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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】ジンバルクリアランス最適化システム
(51)【国際特許分類】
   F16D 3/38 20060101AFI20250409BHJP
【FI】
F16D3/38 R
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020173466
(22)【出願日】2020-10-14
(65)【公開番号】P2021105447
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2023-10-12
(31)【優先権主張番号】16/718,325
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513075180
【氏名又は名称】インサイツ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コール, ジョーセフ シー.
(72)【発明者】
【氏名】ロード, ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】ブラウアー, クレイグ シー.
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-132173(JP,A)
【文献】米国特許第04487436(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 1/00-9/10
F16L 27/00-27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング(104)、
前記リング(104)に接続された第1のクレビス(220)、
前記リング(104)に接続された第2のクレビス(230)
前記第1のクレビス(220)と前記リング(104)との間に位置するワッシャー(110)
前記リング(104)、前記第1のクレビス(220)、及び前記ワッシャー(110)の中央に位置する孔(154)を通って延在するピン(106)、
前記リング(104)に取り付けられ、前記ピン(106)と接触するキャップ(102)、並びに
前記第1のクレビス(220)との軸受面(136)を設ける、前記ピン(106)の肩部(130)
を備えているジンバルシステム。
【請求項2】
前記ワッシャーが
記リング(104)の側部(122)に接触するように成形された円筒状側部(166)、及び
前記クレビス(220)が、前記中央に位置する孔(154)の中心を通って延在する軸(158)の周りで前記リング(104)に対して回転することを可能にするように成形された球状側部(160)
をさらに備えている、請求項に記載のジンバルシステム。
【請求項3】
前記ワッシャー(110)が、前記リングの幅(120)に基づく外径(150)を有する、請求項1又は2に記載のジンバルシステム。
【請求項4】
前記ワッシャーの前記中央に位置する孔(154)が、前記リング(104)、前記第1のクレビス(220)、及び前記ワッシャーの前記中央に位置する孔(154)を通って延在するピンの外径(124)に基づく直径(156)を有する、請求項に記載のジンバルシステム。
【請求項5】
前記ワッシャー(110)は厚さ(170)を有し、前記厚さ(170)は、前記ワッシャーと前記リングとの間の間隙(176)及び前記ワッシャーと前記クレビスとの間の間隙(178)とが、累計的に所望の間隙公差(174)内となるような厚さである、請求項1からのいずれか一項に記載のジンバルシステム。
【請求項6】
中央に位置する孔(154)、前記リング(104)の対応する側部に接触するように成形された円筒状側部(166)、及び球状側部(160)を有する、複数のワッシャー(110)であって、前記球状側部(160)は、前記第1のクレビス(220)及び第2のクレビス(230)が、前記ワッシャーの対応する孔の中心を通って延在する軸(158)の周りで前記リングに対して回転することを可能にするように成形されている、複数のワッシャー(110)
をさらに備えている、請求項1からのいずれか一項に記載のジンバルシステム。
【請求項7】
中央に位置する孔(154)を有するワッシャー(110)、
前記ワッシャー(110)上の円筒状側部(166)であって、前記ワッシャー(110)がジンバル(100)のためのクレビス(108)と前記ジンバル(100)のためのリング(104)との間に位置するとき、前記ジンバル(100)のための前記リングの側部(122)に接触するように成形されている、円筒状側部(166)
前記ワッシャー(110)上の球状側部(160)であって、前記ワッシャー(110)が前記クレビス(108)と前記リング(104)との間に位置するとき、前記クレビス(108)が、前記ワッシャー(158)の前記孔の中心を通って延在する軸の周りで前記リング(104)に対して回転することを可能にする形状を有する、球状側部(160)
前記リング(104)、前記クレビス(108)、及び前記ワッシャー(110)の中央に位置する孔(154)を通って延在するピン(106)、
前記リング(104)に取り付けられ、前記ピン(106)と接触するキャップ(102)、並びに
前記クレビス(108)との軸受面(136)を設ける、前記ピン(106)の肩部(130)
を備えている装置。
【請求項8】
前記球状側部(160)上に位置するコーティング(164)
をさらに備えている、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記コーティング(164)が、潤滑剤、乾性被膜潤滑剤、前記ワッシャー(110)上のセラミック結合剤中の潤滑顔料の第1の層、並びに前記第1の層上で硬化されたグラファイト及びフェノール樹脂の第2の層のうちの少なくとも1つから選択される、請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記ワッシャー(110)が、前記ワッシャー(110)の前記円筒状側部(166)と前記リング(104)の表面(122)との間の軸受面(168)に所望の圧縮荷重(152)を伝達するように選択された直径(150)を有する、請求項7から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記ワッシャー(110)は厚さ(170)を有し、前記厚さ(170)は、前記ワッシャーと前記リングとの間の間隙(176)及び前記ワッシャーと前記クレビスとの間の間隙(178)の両方が、累計的に所望の間隙公差(174)内となるような厚さである、請求項7から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記ジンバル(100)における前記クレビス(108)が、流体移送システム、液体移送システム、ガス移送システム、極低温システム、液圧システム、及び燃料システムのうちの1つのためのダクティングに接続する、請求項7から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記ワッシャー上の前記円筒状側部(166)が、前記リングのための第1の軸受面(168)を形成し、前記球状側部(160)が、前記クレビスのための第2の軸受面(162)を形成する、請求項7から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
ジンバルにおいてワッシャーを取り付けるための方法であって、
前記ジンバルのクレビスと前記ジンバルのリングとの間の距離を特定すること(1202)と、
前記ワッシャーが、前記ワッシャーと前記リングとの間の第1の間隙及び前記ワッシャーと前記クレビスとの間の第2の間隙が累計的に所望の間隙公差内となるような厚さを有するように、前記ワッシャーを形成すること(1204)と、
前記ワッシャーと前記リングとの間、及び前記ワッシャーと前記クレビスとの間に所望の間隔公差を維持しながら、キャップがピン上に位置し、前記ピンが前記クレビス上に位置し、前記クレビスが前記ワッシャー上に位置するように、前記ピンを、前記リング、前記クレビス、及び前記ワッシャーを通して挿入し、前記キャップを前記リングに固定すること(1210)
を含む方法。
【請求項15】
前記ワッシャーを形成することが、
前記ワッシャー上に円筒状側部を形成することであって、前記ワッシャーが前記クレビスと前記リングとの間に位置するとき、前記円筒状側部が、前記リングの側部に接触するように成形されている、前記ワッシャー上に円筒状側部を形成すること(1204)を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ワッシャーを形成することが、
前記ワッシャー上に球状側部を形成することであって、前記球状側部は、前記ワッシャーが前記クレビスと前記リングとの間に位置するとき、前記クレビスが、前記ワッシャーの中心を通って延在する軸の周りで前記リングに対して回転することを可能にする形状を有する、前記ワッシャー上に球状側部を形成すること(1204)を含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記ピンが、前記ピンと前記クレビスとの間、前記ピンと前記リングとの間、及び前記ピンと前記ワッシャーとの間で所望の間隙公差範囲を満たすように、前記クレビス又は前記リングのうちの少なくとも1つを機械加工すること(1206)を含む、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記球状側部にコーティングを施すことであって、前記コーティングが、潤滑剤、乾性被膜潤滑剤、前記ワッシャー上のセラミック結合剤中の潤滑顔料の第1の層、並びに前記第1の層上で硬化されたグラファイト及びフェノール樹脂の第2の層のうちの少なくとも1つから選択される、前記球状側部にコーティングを施すこと(1208)をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ワッシャーの取り付けが新しいジンバル上で行われる(1200)、請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ワッシャーの取り付けが、既存のジンバルの再加工である(1200)、請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、可撓性のジョイントジンバルシステムの製造及び整備に関し、具体的には、可撓性ジョイントにおけるクリアランスを所望の許容誤差内に低減する球面状ワッシャーを取り付けることにより、緩い嵌合部品に起因する金属製コルゲートベローズジンバルジョイントの疲労損傷を低減することに関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性の金属製コルゲートベローズジンバルジョイントは、流体移送システムのダクティングを接続するために一般的に使用されており、ダクティングの部分間の相対的運動を可能にするのに有益である。しかしながら、例えば、ロケットエンジンなどの高歪み、高振動、又は劇的な温度シフト環境では、過剰な製造クリアランスが、環状せん断荷重の下でベローズに対して意図しない追加の歪みをもたらし、それにより、著しい疲労損傷を生じさせ、寿命を減少させる。
【0003】
損傷の原因に対処する既存の解決法は、典型的に、既存のユニットの再設計を必要とする。このような特性のジンバルに対しては、普通の球面ボールベアリングを使用することが業界標準のプラクティスである。このアプローチを最初からベアリングが使用されない既存のジョイントで実施するためには、ジンバルジョイントを、破壊的に分割し、十分の厚さがある場合は機械加工を施し、又は主な構成要素を交換して、再度組み立てる必要がある。この組み立てには、溶接と再洗浄が関わる。この手順に関連する著しいコストとリスクにより、ユニット全体を交換した方がより実行可能となることが多い。
【0004】
したがって、上述の課題の少なくとも幾つか、及び他のあり得る課題を考慮した方法及び装置を有することが望ましい。例えば、アセンブリからジョイントを取り外さず、圧力バリアを壊さずにこれらのクリアランスを除去することを実現し、ジョイントの完全なパフォーマンス能力をもたらす一方で、耐疲労性動作寿命を著しく延長させる方法及び装置を有することが望ましい。さらに、可撓性のジョイントにおいて所望の許容誤差内の減少したクリアランスを含むジンバルシステムを製造することが望ましい。このクリアランスの減少により、初期設置からの高歪み環境に対処し、動作寿命の延長をもたらすことができる。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施例は、リングを備えたジンバルシステムを提供する。第1のクレビスがリングに接続され、第2のクレビスがリングに接続される。ワッシャーが、第1のクレビスとリングとの間に位置する。
【0006】
本開示の別の実施例は、中央に位置する孔を有するワッシャーを備えた装置を提供する。ワッシャーは、円筒状側部を含み、円筒状側部は、ワッシャーがジンバルのためのクレビスとジンバルのためのリングとの間に位置するとき、ジンバルのためのリングの側部に接触するように成形されている。ワッシャーは、球状側部をさらに含み、球状側部は、ワッシャーがクレビスとリングとの間に位置するとき、クレビスが、ワッシャーの孔の中心を通って延在する軸の周りでリングに対して回転することを可能にする形状を有する。
【0007】
本開示のさらに別の実施例は、ジンバルにおいてワッシャーを取り付けするための方法であって、ジンバルのクレビスとジンバルのリングとの間の距離を特定することと、ワッシャーが、ワッシャーとリングとの間の第1の間隙及びワッシャーとクレビスとの間の第2の間隙が累計的に所望の間隙公差内となるような厚さを有するように、ワッシャーを形成することを含む方法を提供する。
【0008】
これらの特徴及び機能は、本開示の様々な実施例において個別に実現可能であり、又は、さらに別の実施例において組み合せることができる。さらなる詳細は、下記の説明及び図面を参照して確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
例示的な実施例の特性と考えられる新規の特徴は、付随する特許請求の範囲に明記される。しかしながら、例示的な実施例及び好ましい使用モード、並びにそれらのさらなる目的及び特徴は、添付図面と併せて下記の本開示の例示的な実施例の詳細説明を参照することによって、最もよく理解されよう。
【0010】
図1】例示的な実施例に係る、ブロック図の形態のジンバルシステムを示す。
図2】例示的な実施例に係る、ジンバルシステムを示す。
図3】例示的な実施例に係る、ジンバルシステムを示す。
図4】例示的な実施例に係る、ジンバルシステムの一断面を示す。
図5】例示的な実施例に係る、ジンバルシステムの一断面を示す。
図6】例示的な実施例に係る、ワッシャーを示す。
図7】例示的な実施例に係る、ワッシャーを示す。
図8】例示的な実施例に係る、ワッシャーの一断面を示す。
図9】例示的な実施例に係る、ワッシャーの一断面を示す。
図10】例示的な実施例に係る、ピンを示す。
図11】例示的な実施例に係る、ピンを示す。
図12】ジンバルにおいてワッシャーを取り付けする方法のフロー図である。
図13】ジンバルにおいてワッシャーを取り付けする方法を示す。
図14】例示的な実施例に係る、ブロック図の形態の製品管理システムを示す。
図15】例示的な実施例に係る、航空機の製造及び保守方法を示す。
図16】例示的な実施例が実施され得る航空機を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
例示的な実施例では、1つ又は複数の異なる検討事項が認識されており、考慮されている。例えば、例示的な実施例では、可撓性のジョイントにおける製造クリアランスを所望の公差内に低減することが可能な可撓性ジョイントジンバルシステムを製造することが望ましいことが認識されており、考慮されている。さらに、可撓性ジョイントジンバルシステムが、例えば、航空機、ロケット、又は衛星の極低温ダクティング又は液圧ラインに一般的に関連付けられる高歪み、高振動、又は劇的な温度シフト環境に対して耐久可能であることが望ましい。
【0012】
例示的な実施例では、非破壊評価を使用することにより、可撓性ジョイントを解体せずに、可撓性のジョイントのクリアランスを低減させることにより、過剰な運動による疲労損傷を減少させるために、既存の可撓性ジョイントジンバルシステムを再加工することが、認識されており、考慮されている。
【0013】
したがって、例示的な実施例では、ロケットエンジンでよくある高振動又は劇的な温度変化に対して耐久可能な、間隙クリアランスを低減した可撓性ジョイントジンバルシステムが提供される。
【0014】
例示的な実施例のための例示的な諸実施例は、ロケットエンジン又は衛星に関して説明されているが、例示的な実施例は、他の種類のプラットフォームに適用され得る。このプラットフォームは、例えば、移動式プラットフォーム、固定式プラットフォーム、陸上構造物、水上構造物、及び宇宙構造物であり得る。
【0015】
ここで図1を参照すると、例示的な実施例に係るジンバルシステムのブロック図が示される。ジンバルシステム100は、キャップ102、リング104、ピン106、クレビス108、ワッシャー110、及びベローズ111を含む。例示的な実施例では、クレビス108は、突起の端に孔を有するU形状の部品である。クレビス108は、片方の軸の周りの回転を可能しながら、他方の軸の回転を制限することができる。
【0016】
ジンバルシステムは、ダクティングシステムのダクティングの部分間の相対的運動が有益な位置において見い出され得る。この相対的運動により、熱変形や、ロケットエンジンの高振動に起因する運動が生じ得る。
【0017】
キャップ102は、ファスナ112を含む。ファスナ112は、キャップ102をリング104に接続し得る。ファスナ112は、キャップ102をリング104に固定するボルト、スレッド、タブ、又は任意の他の種類のファスナの形態であってもよい。キャップ102は、ピン106又はクレビス108に当接し得る。
【0018】
リング104は、リング104の外周と同心円状に整列するチャネル114を含む。図示されているように、リング104及びチャネル114は、概して円形形状であるが、ベローズ111を囲むことが可能なチャネルを画定する任意の形状で十分である。リング104は、リング104の外周において等距離で離間されたスロット116をさらに含む。スロット116は、楕円形として示されているが、円形、四角形等の他の形状も考えられる。リング104は、少なくとも2つのスロット116を含まなければならなく、典型的には、少なくとも4つのスロット116を含む。リング104を通過する各スロット116は、第1の側部118及び第2の側部119、並びに幅120を有し得る。幅120は、リング104の幅に対応する。第1の側部118は、貫通孔121を含む。貫通孔121は、スロット116の第1の側部118を完全に貫通する。第2の側部119は、円筒状表面122を有する。円筒状表面122の長手方向軸は、幅120を二分する。第2の側部119の円筒状表面122は、止まり孔123を含む。止まり孔123は、スロット116の第2の側部119を完全に貫通する場合もあるし、完全に貫通しない場合もある。貫通孔121と止まり孔123は、同心円状に整列し、したがって、共通の中心長手方向軸を共有する。
【0019】
ピン106は、概して、外径124を有する円筒形状として示される。ピン106は、リング104に対するクレビス108の回転軸を設ける。ピン106は、円筒形状の長手方向中心軸に対応する幅128を有する。ピン106は、貫通孔121、クレビス108、ワッシャー110を通って延在し、止まり孔123の中へと入る。外径124が、間隙公差126内で貫通孔121、クレビス108、ワッシャー110に嵌合し、止まり孔123の中へと入る。ジンバルシステム100の製造又は再加工の間、ピン106、クレビス108、ワッシャー110、及び止まり孔123の間の間隔が所望の間隙公差126内にあるように、外径124が形成される。ピン106は、肩部130を含み得る。肩部は、長さ132を含む。長さ132は、長さ128より短い。肩部130は、外径134を有し得る。外径134は、外径124より大きい。肩部130は、軸受面136を含み得る。軸受面136は、クレビス108に接触し得る。ジンバルシステム100の製造又は再加工の間、肩部130と貫通孔121との間の間隔が所望の間隙公差126内にあるように、外径134が形成される。ジンバルシステム100の製造又は再加工の間、キャップ102とピン106との間の間隔と、軸受面136とクレビス108との間の間隔との累積的な間隔が間隙公差137内にあるように、長さ132が形成される。間隙公差137は、0.002インチ内である。
【0020】
クレビス108は、ハブ139から延在する少なくとも2つの突起138を含む。ハブ139は、さらにダクト144を形成する。ダクト144は、ジンバルシステム100のベローズ111へと至るダクティングを支える。ジンバルシステム100は、1つ又は複数のクレビス108を含み得る。クレビス108の各突起138は同一であり、したがって、以下では1つの突起138についてしか説明しない。突起138は、孔140を含む。孔140は、直径142を有する。直径142は、ピン106を受け入れるように寸法形成される。突起138の第1の表面は、ピン106のキャップ102又は肩部130に接触し得る。第1の表面の反対側の第2の表面がワッシャー110に接触する。ワッシャー110に接触する表面は、凹状の円筒形状を有する。
【0021】
ワッシャー110は、概して、外径150を有する円盤形状であり、中心軸158の周りの中央孔154を含む。ワッシャー110は、円筒状表面166の反対側の球状表面160を含む。球状表面160は、軸受面162を含む。軸受面162は、クレビス108に接触し得る。軸受面162は、コーティング164を含み得る。コーティング164は、潤滑剤、乾性被膜潤滑剤、ワッシャー上のセラミック結合剤中の潤滑顔料の第1の層、並びに第1の層上で硬化されたグラファイト及びフェノール樹脂の第2の層のうちの少なくとも1つであってもよい。さらに、コーティング164は、ピン106の外表面及びキャップ102に塗布され得る。球状表面160は、ワッシャーがクレビス108とリング104との間に位置するとき、クレビス108が、ワッシャーの中央孔154の中心を通って延在する中心軸158の周りでリング104に対して回転することを可能にする形状を有する。
【0022】
円筒状表面166は、軸受面168を含む。軸受面168は、リング104の円筒状表面122に接触し得る。円筒状表面166は、ワッシャー110がクレビス108とリング104との間に位置するとき、リング104の円筒状表面122に接触するように成形される。
【0023】
本明細書で使用される場合、列挙されたアイテムと共に使用される「~のうちの少なくとも1つ」という表現は、列挙されたアイテムのうちの1つ又は複数の種々の組み合わせを使用してもよく、列挙された各アイテムのうちの1つだけが必要とされ得ることを意味する。言い換えると、「~のうちの少なくとも1つ」とは、アイテムの任意の組み合わせ又は幾つかのアイテムが、列挙された中から使用されてよいことを意味するが、列挙されたアイテムの全てが必要とされるわけではないことを意味する。アイテムとは、特定の対象物、物品、又はカテゴリであり得る。
【0024】
例えば、限定するものではないが、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも1つ」は、アイテムA、アイテムAとアイテムB、又はアイテムBを含み得る。この例はまた、アイテムA、アイテムB、及びアイテムC、又はアイテムBとアイテムCも含み得る。言うまでもなく、これらのアイテムのあらゆる組み合わせが存在してもよい。ある例示的な実施例では、「~のうちの少なくとも1つ」は、例えば、限定しないが、2個のアイテムA、1個のアイテムB、及び10個のアイテムC、4個のアイテムBと7個のアイテムC、又は他の適切な組み合わせであってよい。
【0025】
ワッシャーは、厚さ170を有する。厚さ170は、ワッシャーとリングとの間の第1の間隙176、及びワッシャーとクレビスとの間の第2の間隙178が、累計的に所望の間隙公差174内となるように形成される。間隙公差174は、0.001インチ内にある。第1の間隙若しくは第2の間隙のいずれか、又はその両方がゼロ値である可能性があり得る。
【0026】
ワッシャー110は、ワッシャーとリングとの間及びワッシャーとクレビスとの間で所望の間隔公差を維持することを可能にする、リング104の熱膨張率及びクレビス108の熱膨張率の選択範囲内の熱膨張率172を有する材料からなる。
【0027】
外径150は、リング104の幅120に基づいて寸法形成され得る。ワッシャーが、ワッシャーの円筒状側部166とリングの円筒状表面122との間の軸受面168に所望の圧縮荷重152を伝達できるように、外径150が決定され得る。
【0028】
ジンバルシステム100の図解及び図1に示す種々の構成要素は、例示的な実施例が実施され得る態様への物理的制限又は構造的制限を示唆することが意図されているわけではない。図示した構成要素に加えて又は代えて、他の構成要素を使用してもよい。一部の構成要素は、不要であり得る。さらに、幾つかの機能的構成要素を示すためにブロックが提示されている。例示的な実施例において実施される場合、これらのブロックのうちの1つ又は複数を組み合わせるか、分割するか、又は、組み合わせて種々のブロックへと分割することができる。
【0029】
ここで図2及び図3を参照すると、例示的な実施例に係る、ジンバルシステム200が例示されている。図示されているジンバルシステム200は、図1のジンバルシステム100の一実装形態の例である。
【0030】
図示されているように、ジンバルシステム200は、キャップ202、キャップ204、キャップ206、及びキャップ208を含む複数のキャップを含む。これらのキャップは、ファスナ212を用いてリング210に接続される。リング210は、チャネル242、並びにスロット214、215、216、及び217を含み、それぞれのスロットは対応するキャップに関連付けられている。クレビス220は、ハブ224から延在してスロット214を通ってリング210内に入る突起222を有する。クレビス220は、ハブ224から延在してスロット216を通ってリング210内に入る突起226を有する。クレビス220は、ダクト228を含む。ダクト228は、ジンバルシステム100の内部のベローズ111へと至るダクティングを支える。
【0031】
クレビス230は、ハブ234から延在してスロット215を通ってリング210内に入る突起232を有する。クレビス230は、ハブ234から延在してスロット217を通ってリング210内に入る突起236を有する。クレビス230は、ダクト238を含む。ダクト238は、ジンバルシステム100の内部のベローズ111へと至るダクティングを支える。
【0032】
動作において、クレビス220は、スロット214、216の中で、リング210に対して軸244の周りで枢動し得る。さらに、クレビス230は、スロット215、217の中で、リング210に対して軸246の周りで枢動し得る。ジンバルシステム200は、チャネル242内に位置付けされ且つ両方のクレビスに接続されたベローズ240を含み、それにより、ダクト228、238に接続されたダクティングが、流体的に且つフレキシブルにジンバルシステム200内に内部接続される。
【0033】
ジンバルシステム200及びジンバルシステム200の対応する構成要素の全体的寸法は、意図される使用法によって決定される。より具体的には、可撓性のベローズジンバルジョイントの使用が必要とされるダクティングの寸法は、ジンバルシステム200の相対的寸法を決定することになる。結果として、構成要素の寸法は、インチから数フィートの範囲となり得る。
【0034】
ここで図4及び図5を参照すると、例示的な実施例に係る、ジンバルシステムの一断面が例示されている。図4は、1つのピン、1つのキャップ、及び1つのワッシャーを含むリングの1つのスロットの内部の図3の1つの突起の線4-4に沿った断面図である。図5は、図4の図に対する90°回転に対応し、1つのピン、1つのキャップ、及び1つのワッシャーを含むリングの1つのスロットの内部の1つの突起の図3の線5-5に沿った断面図である。当業者であれば、図4及び図5が、クレビスとリングとの接続の一態様を表しており、図示されているように、ジンバルシステム200が、4つの同じ接続を含むことを理解されよう。
【0035】
図4及び図5に示されるように、クレビス220の突起226は、リング210内のスロット216を通って延在する。ピン404は、リング210内の貫通孔430、突起226内の貫通孔432、ワッシャー410内の中央孔434を通って延在し、リング210内の止まり孔416の中に入る。ピン404は、外径418を有する。ピン404の肩部406は、外径419を有する。キャップ208は、ファスナ212を用いてリング210に接続される。肩部406の軸受面408は、突起226に接続する。突起226は、ワッシャー410の球状表面412に接触する。ワッシャー410の円筒状表面414は、リング210の円筒状表面422に接触する。ピン404は、リング210に対する突起226の回転軸440を設ける。球状表面412は、クレビスの突起226が、中央孔434を通って延在する軸の周りでリングに対して回転することを可能にするように成形される。より円滑な回転を促進するために、球状表面は、コーティング(例えば、潤滑剤)を含み得る。ワッシャー410は厚さ424を有し、この厚さ424は、ワッシャー410とリング210との間の間隙及びワッシャー410と突起226との間の間隙が、累計的に所望の間隙公差内となるような厚さである。
【0036】
ここで図6から図9を参照すると、例示的な実施形態に係るワッシャーが示されている。図示されているように、ワッシャー600は、図1のワッシャー110、並びに図4及び図5のワッシャー410の一実装形態の一例である。
【0037】
図示されているように、ワッシャー600は、球状表面602及び円筒状表面604を含む。ワッシャーは、外径606及び中央孔608を有する。中央孔は、直径610を有する。クレビスと接触しているとき、球状表面602は、ワッシャー600のための軸受面である。リングと接触しているとき、円筒状表面604は、ワッシャー600のための軸受面である。中央孔608は、図1ではピン106を受け入れ、図4及び図5ではピン404を受け入れるように寸法形成される。例示されたジンバルシステムの製造又は再加工の間、ピンと中央孔608との間の間隔が所望の間隙公差内にあるように、ピンが形成される。
【0038】
ここで図10及び図11を参照すると、例示的な実施例に係るピンが示されている。図示されているように、ピン1000は、図1のピン106、図4及び図5のピン404の一実装形態の一例である。
【0039】
図示されているように、ピン1000は、概して、外径1002を有する円筒形状として示される。ピン1000は、長さ1004を有する。外径1002は、所望の間隙公差内でリング、クレビス、及びワッシャー内に適合する。ジンバルシステム100の製造又は再加工の間、ピン1000、クレビス、ワッシャー、及びリングの間の間隔が所望の間隙公差内にあるように、外径1002が形成される。ピン1000は、肩部1006を含み得る。肩部1006は、外径1008を有し得る。外径1008は、外径1002より大きい。肩部1008は、軸受面1010を含み得る。軸受面1010は、クレビスに接触し得る。ジンバルシステム100の製造又は再加工の間、肩部1000とリング内の貫通孔との間の間隔が所望の間隙公差内にあるように、外径1008が形成される。ジンバルシステム100の製造又は再加工の間、キャップとピン1000との間の間隔と、軸受面1010とクレビスとの間の間隔との累積的な間隔が間隙公差内にあるように、長さ1004が形成される。該間隙公差は、0.002インチ内である。
【0040】
図2から図11のジンバルシステム100の構成要素は、図1のブロック形態で示されたジンバルシステム100の種々の物理的実施形態を示すために例示される。これらの例示は、他の例示的な実施例が実施され得る態様の限定を意図していない。
【0041】
次に図12を参照すると、ワッシャーを例示的な実施例に係るジンバルシステム内に取り付けするためのプロセス1200のフロー図が示されている。例示されたプロセスは、図1のジンバルシステム100において実施することが可能である。
【0042】
プロセス1200は、ジンバルのクレビスとジンバルのリングとの間の距離を特定すること(動作1202)によって開始する。ジンバルのクレビスとリングとの間の距離が大きすぎると、動作を意図しない方向で2つの構成要素間の相対的運動が過剰となり得る。この意図しない方向での過剰運動により、構成要素に疲労が生じ、構成要素とジンバルシステム全体のライフサイクルを縮めることになる。
【0043】
動作1204では、ワッシャーとリングとの間の第1の間隙とワッシャーとクレビスとの間の第2の間隙とが、累計的に所望の間隙公差内となるような厚さを有するように、ワッシャーが形成される。ワッシャーの形成には、ブランクを所望の形状に機械加工することと、材料を鋳型内に注入することと、仕上げ加工することと、ブランクをレーザ切断すること等が含まれ得る。第1の間隙若しくは第2の間隙、又はその両方が、ゼロの値を有し得る。ワッシャーの形成には、ワッシャー上に円筒状側部を形成することが含まれ得る。ワッシャーがクレビスとリングとの間に位置するとき、円筒状側部は、リングの側部に接触するように成形される。ワッシャーの形成には、ワッシャー上に球状側部を形成することがさらに含まれ得る。球状側部は、ワッシャーがクレビスとリングとの間に位置するとき、クレビスが、ワッシャーの中心を通って延在する軸の周りでリングに対して回転することを可能にする形状を有する。
【0044】
動作1206では、リング、クレビス、及びワッシャーを通して挿入されたピンが、ピンとクレビスとの間、ピンとリングとの間、及びピンとワッシャーとの間で所望の間隙公差範囲を満たすように、クレビス又はリングのうちの少なくとも1つが機械加工される。
【0045】
動作1208では、コーティングがワッシャーの球状側部に施される。コーティングは、潤滑剤、乾性被膜潤滑剤、ワッシャー上のセラミック結合剤中の潤滑顔料の第1の層、並びに第1の層上で硬化されたグラファイト及びフェノール樹脂の第2の層のうちの少なくとも1つから選択される。
【0046】
動作1210では、ワッシャーとリングとの間、及びワッシャーとクレビスとの間に所望の間隔公差を維持しながら、キャップがピン上に位置し、ピンがクレビス上に位置し、クレビスがワッシャー上に位置するように、キャップがリングに固定される。プロセス1200は、新しく製造されたジンバルにワッシャーが取り付けられる場合に実施することができ、又はプロセス1200は、ワッシャーの取り付けが既存のジンバルの再加工である場合に実施することができる。
【0047】
上述の動作は、動作が提示された順序に制限されない。幾つかの動作は、上述の諸動作の前に実行されてもよく、幾つかの動作は同時に行われてもよい。提示された動作の順序は、動作を実施する順序を示唆しているわけではない。
【0048】
図13は、例示的な実施例に係る、ジンバルシステム内にワッシャーを取り付ける方法1300を示す。1302では、既存のキャップ1304及びピン1306が、リング1308及びクレビス1310から取り外される。1312では、ツール位置合わせピン1314が、リング1308及びクレビス1310内に挿入され、リング1308及びクレビス1310に固定される。1318では、貫通孔1320がリング1308内に、孔1322がクレビス内に、止まり孔1324がリング内に所望の寸法で機械加工され、クリアランスが低減する。1330では、ツール保持ピン1316が挿入されて、リング1308の周りの各位置で1302、1312、及び1318が繰り返される。1332では、所望の公差までの貫通孔1320、孔1322、及び止まり孔1324のすべての機械加工が完了する。1334では、リング1308の周りの各位置でワッシャー1336、交換用ピン1338、及び交換用キャップ1340が取り付けられる。方法の期間中の任意の時点で、ジンバルシステムのベローズの統合性を保護するために、一度にジンバルシステムから1つの組み合わせのキャップとピンだけが分解される。
【0049】
これより図14を参照すると、例示的な実施例に従って、製品管理システムのブロック図が示される。製品管理システム1400は、物理的なハードウェアシステムである。この例示的な実施例では、製品管理システム1400は、製造システム1402又は整備システム1404のうちの少なくとも1つを含む。
【0050】
製造システム1402は、図1のジンバルシステム100などの製品を製造するように構成される。図示されるように、製造システム1402は、製造設備1406を含む。製造設備1406は、加工設備1408又は組立設備1410のうちの少なくとも1つを含む。
【0051】
加工設備1408は、図1のジンバルシステム100の形成に使用される部品用の構成要素を加工するために使用される設備である。例えば、加工設備1408は、機械及びツールを含み得る。これらの機械及びツールは、ドリル、油圧プレス、燃焼室、型、複合テープ敷設機、真空システム、施盤、又は他の適切な種類の機器のうちの少なくとも1つであってもよい。加工設備1408を使用して、金属部品、複合材部品、半導体、回路、ファスナ、リブ、外板パネル、スパー、アンテナ、又は他の適切な種類の部品のうちの少なくとも1つを加工することができる。
【0052】
組立設備1410は、図1のジンバルシステム100を形成する部品を組み立てるために使用される設備である。具体的には、図1のジンバルシステム100を形成する構成要素及び部品の組み立てに組立設備1410が使用される。組立設備1410は、機械及びツールをさらに含み得る。このような機械及びツールは、ロボットアーム、クローラ、ファスナ設置システム、レールベースのドリルシステム、又はロボットのうちの少なくとも1つであってもよい。組立設備1410は、例えば、座席、水平安定板、翼、エンジン、エンジンハウジング、着陸ギアシステム、及び図1のジンバルシステム100用の他の部品などの部品の組み立てに使用され得る。
【0053】
この例示的な実施例では、整備システム1404は、整備設備1412を含み得る。整備設備1412は、図1のジンバルシステム100の整備を行うのに必要な任意の設備を含み得る。整備設備1412は、図1のジンバルシステム100の部品に対して種々の作業を実施するツールを含み得る。このような作業には、部品の分解、部品の改修、部品の検査、部品の再加工、交換部品の製造、又は図1の航空機ジンバルシステム100の整備を行うための他の作業のうちの少なくとも1つが含まれ得る。このような作業は、定期的整備、検査、更新、改修、又は他の種類の整備作業であり得る。
【0054】
この例示的な実施例では、整備設備1412は、超音波検査装置、X線撮像システム、ビジョンシステム、ドリル、クローラ、及び他の適切な装置を含み得る。場合によっては、整備設備1412は、整備に必要である部品を生産且つ組み立てるための、加工設備1408、組立設備1410、又はこれらの両方を含み得る。
【0055】
製品管理システム1400は、制御システム1414もさらに含む。制御システム1414は、ハードウェアシステムであり、ソフトウェア又は他の種類の構成要素をさらに含み得る。制御システム1414は、製造システム1402又は整備システム1404のうちの少なくとも1つの作業を制御するように構成される。具体的には、制御システム1414は、加工設備1408、組立設備1410、又は整備設備1412のうちの少なくとも1つの作業を制御し得る。
【0056】
制御システム1414内のハードウェアは、コンピュータ、回路、ネットワーク、及び他の種類の設備を含み得るハードウェアを使用して実装され得る。制御は、製造設備1406の直接制御の形態をとり得る。例えば、ロボット、コンピュータ制御機械、及び他の設備を制御システム1414によって制御することができる。他の例示的な実施例では、制御システム1414は、ジンバルシステム100の製造又は整備の実施において、作業人員1416が実施する作業を管理することができる。例えば、制御システム1414は、任務を割り当てたり、指示を与えたり、モデルを表示したり、又は作業人員1416が実施する作業を管理するための他の作業を実施したりすることができる。
【0057】
種々の例示的な実施例では、作業人員1416は、製造設備1406、整備設備1412、又は制御システム1414のうちの少なくとも1つを操作し得るか、又は少なくとも1つと相互作用し得る。この相互作用は、図1のジンバルシステム100を製造するために生じ得る。
【0058】
当然ながら、製品管理システム1400は、図1のジンバルシステム100以外の他の製品を管理するようにも構成され得る。製品管理システム1400は、航空宇宙産業における製造に関連して記載されているが、製品管理システム1400は、他の産業の製品を管理するようにも構成され得る。例えば、製品管理システム1400は、自動車産業、及び任意の他の適切な産業の製品を製造するように構成され得る。
【0059】
本開示の例示的な実施例は、図15に示す航空機の製造及び保守方法1500、並びに図16に示す航空機1600に関連して説明され得る。まず図15を参照すると、航空機の製造及び保守方法が、例示的な実施例に従って図示されている。製造前の段階では、航空機の製造及び保守方法1500は、図16の航空機1600の仕様及び設計1502、並びに材料の調達1504を含み得る。
【0060】
製造段階では、図16の航空機1600の構成要素及びサブアセンブリの製造1506とシステムインテグレーション1508とが行われる。その後、航空機1600は、認可及び納品1510を経て、運航1512に供され得る。顧客による運航1512中、航空機1600は、定期的な整備及び保守1514(これには、改造、再構成、改修、及びその他の整備又は保守が含まれ得る)が予定される。
【0061】
航空機の製造及び保守方法1500の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、事業者、又はこれらの幾つかの組み合わせによって、実施又は実行され得る。これらの実施例では、事業者は顧客であってよい。本明細書の目的のために、システムインテグレータは、限定しないが、任意の数の航空機製造者及び主要システムの下請業者を含んでもよく、第三者は、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含んでもよく、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などであってもよい。
【0062】
ここで図16を参照すると、例示的な実施例が実装され得る、航空機の図が示されている。この実施例では、航空機1600は、複数のシステム1604及び内装1606を有する機体1602を含み得る。システム1604の実施例には、推進システム1608、電気システム1610、液圧システム1612、及び環境システム1614のうちの1つ又は複数が含まれる。任意の数の他のシステムが含まれてもよい。航空宇宙産業の実施例が示されているが、種々の例示的な実施例は、自動車産業などの他の産業にも適用可能である。本明細書で具現化されている装置及び方法は、図15の航空機の製造及び保守方法1500の諸段階のうちの少なくとも1つの段階において採用され得る。
【0063】
例示的な一実施例では、図15の構成要素及びサブアセンブリの製造1506で製造される構成要素又はサブアセンブリは、図15で航空機1600の運航1512中に製造される構成要素又はサブアセンブリと同様の態様で製作又は製造され得る。さらに別の実施例としては、1つ又は複数の装置の実施例、方法の実施例、又はこれらの組み合わせは、図15の構成要素及びサブアセンブリの製造1506、及びシステムインテグレーション1508といった製造段階において利用され得る。1つ又は複数の装置の実施例、方法の実施例、又はこれらの組み合わせは、図15における航空機1600の運航1512中、整備及び保守1514中、又はその両方の最中に利用され得る。例えば、航空機1600におけるジンバルシステム内のクリアランスを低減するために、整備及び保守1514中にジンバルシステムを使用してもよい。
【0064】
したがって、例示的な実施例は、可撓性のジョイントにおける製造クリアランスを所望の公差内に低減することが可能な可撓性ジョイントジンバルシステムを提供する。さらに、例示的な実施例は、破壊的な分解がない状態でシステムの内部のクリアランスを低減するジンバルシステムを提供する。さらに、例示的な実施例は、例えば、航空機、ロケット、又は衛星の極低温ダクティング又は液圧ラインに一般的に関連付けられる高歪み、高振動、又は劇的な温度変化環境に対して耐久可能である可撓性ジョイントジンバルシステムを提供する。例示的な実施例は、非破壊評価を使用することにより、可撓性ジョイントを解体せずに、可撓性のジョイントのクリアランスを低減させることにより、過剰な運動による疲労損傷を減少させるために、既存の可撓性ジョイントジンバルシステムを再加工するプロセスを提供する。種々の例示的な実施例の説明は、例示及び説明を目的として提示されており、網羅的であること、又は開示されている形態における実施例に限定することを意図しているわけではない。種々の例示的な実施例は、作業又は動作を実行する構成要素を説明する。例示的な実施例では、構成要素は、記載された作業又は動作を実行するように構成され得る。例えば、この構成要素は、例示的な実施例においてこの構成要素が実行すると記載されている作業又は動作を実行する能力をこの構成要素に付与する構造体のための構成又は設計を有し得る。
【0065】
当業者には、多くの修正例及び変形例が明らかであろう。さらに、種々の例示的な実施例は、他の望ましい実施例と比べて異なる特徴を提供し得る。選択された1つ又は複数の実施例は、実施例の原理や実際の用途を最もよく説明するために、且つ、他の当業者に対して、様々な実施例の開示内容と、考慮される特定の用途に適した様々な修正例との理解を促すために、選択且つ記載される。
【0066】
本明細書では、第1の構成要素が第2の構成要素に「接続された(connected to)」ということは、第1の構成要素を第2構成要素に直接的又は間接的に接続することができることを意味する。すなわち、第1の構成要素と第2の構成要素との間に追加の構成要素が介在してもよい。これら2つの構成要素の間に1つ又は複数の追加の構成要素が存在する場合、第1の構成要素は第2の構成要素に間接的に接続されていると見なされる。第1の構成要素が第2の構成要素に直接的に接続されている場合、これら2つの構成要素の間に追加の構成要素は存在しない。
【0067】
条項1
リング、前記リングに接続された第1のクレビス、前記リングに接続された第2のクレビス、及び前記第1のクレビスと前記リングとの間に位置するワッシャーを備えているジンバルシステム。
【0068】
条項2
前記リング、前記第1のクレビス、及び前記ワッシャーの中央に位置する孔を通って延在するピン、前記リングに取り付けられ、前記ピンと接触するキャップ、並びに前記第1のクレビスとの軸受面を設ける、前記ピンの肩部を備えている、条項1に記載のジンバルシステム。
【0069】
条項3
前記ワッシャーが、中央に位置する孔、前記リングの側部に接触するように成形された円筒状側部、及び前記クレビスが、前記孔の中心を通って延在する軸の周りで前記リングに対して回転することを可能にするように成形された球状側部
をさらに備えている、条項1又は2に記載のジンバルシステム。
【0070】
条項4
前記ワッシャーが、前記リングの幅に基づく外径を有する、条項1から3のいずれか条項に記載のジンバルシステム。
【0071】
条項5
前記ワッシャーの前記中央に位置する孔が、前記リング、前記第1のクレビス、及び前記ワッシャーの前記中央に位置する孔を通って延在するピンの外径に基づく直径を有する、条項3に記載のジンバルシステム。
【0072】
条項6
前記ワッシャーは厚さを有し、前記厚さは、前記ワッシャーと前記リングとの間の間隙及び前記ワッシャーと前記クレビスとの間の間隙が、累計的に所望の間隙公差内となるような厚さである、条項1から5のいずれか一項に記載のジンバルシステム。
【0073】
条項7
前記ワッシャーが、前記ワッシャーと前記リングとの間及び前記ワッシャーと前記クレビスとの間で所望の間隔公差を維持することを可能にする、前記リングの熱膨張率及び前記クレビスの熱膨張率の選択範囲内の熱膨張率を有する材料からなる、条項1から6のいずれか一項に記載のジンバルシステム。
【0074】
条項8
中央に位置する孔、前記リングの対応する側部に接触するように成形された円筒状側部、及び球状側部を有する、複数のワッシャーであって、前記球状側部は、前記第1のクレビス及び第2のクレビスが、前記ワッシャーの対応する孔の中心を通って延在する軸の周りで前記リングに対して回転することを可能にするように成形されている、複数のワッシャーをさらに備えている、条項1から7のいずれか一項に記載のジンバルシステム。
【0075】
条項9
中央に位置する孔を有するワッシャー、前記ワッシャー上の円筒状側部であって、前記ワッシャーがジンバルのためのクレビスと前記ジンバルのためのリングとの間に位置するとき、前記ジンバルのための前記リングの側部に接触するように成形されている、円筒状側部、及び前記ワッシャー上の球状側部であって、前記ワッシャーが前記クレビスと前記リングとの間に位置するとき、前記クレビスが、前記ワッシャーの前記孔の中心を通って延在する軸の周りで前記リングに対して回転することを可能にする形状を有する、球状側部を備えている装置。
【0076】
条項10
前記球状側部上に位置するコーティングをさらに備えている、条項9に記載の装置。
【0077】
条項11
前記コーティングが、潤滑剤、乾性被膜潤滑剤、前記ワッシャー上のセラミック結合剤中の潤滑顔料の第1の層、並びに前記第1の層上で硬化されたグラファイト及びフェノール樹脂の第2の層のうちの少なくとも1つから選択される、条項10に記載の装置。
【0078】
条項12
前記ワッシャーが、前記ワッシャーの前記円筒状側部と前記リングの表面との間の軸受面に所望の圧縮荷重を伝達するように選択された直径を有する、条項9から11のいずれか一項に記載の装置。
【0079】
条項13
前記ワッシャーは厚さを有し、前記厚さは、前記ワッシャーと前記リングとの間の間隙及び前記ワッシャーと前記クレビスとの間の間隙の両方が、累計的に所望の間隙公差内となるような厚さである、条項9から12のいずれか一項に記載の装置。
【0080】
条項14
前記ワッシャーが、前記ワッシャーと前記リングとの間及び前記ワッシャーと前記クレビスとの間で所望の間隔公差を維持することを可能にする、前記リングの熱膨張率及び前記クレビスの熱膨張率の選択範囲内の熱膨張率を有する材料からなる、条項9から13のいずれか一項に記載の装置。
【0081】
条項15
前記ジンバルにおける前記クレビスが、流体移送システム、液体移送システム、ガス移送システム、極低温システム、液圧システム、及び燃料システムのうちの1つのためのダクティングに接続する、条項9から14のいずれか一項に記載の装置。
【0082】
条項16
前記ワッシャー上の円筒状側部が、前記リングのための第1の軸受面を形成し、前記球状側部が、前記クレビスのための第2の軸受面を形成する、条項9から15のいずれか一項に記載の装置。
【0083】
条項17
ジンバルにおいてワッシャーを取り付けるための方法であって、前記ジンバルのクレビスと前記ジンバルのリングとの間の距離を特定することと、前記ワッシャーが、前記ワッシャーと前記リングとの間の第1の間隙及び前記ワッシャーと前記クレビスとの間の第2の間隙が累計的に所望の間隙公差内となるような厚さを有するように、前記ワッシャーを形成することを含む方法。
【0084】
条項18
前記ワッシャーを形成することが、前記ワッシャー上に円筒状側部を形成することを含み、前記ワッシャーが前記クレビスと前記リングとの間に位置するとき、前記円筒状側部が、前記リングの側部に接触するように成形されている、条項17に記載の方法。
【0085】
条項19
前記ワッシャーを形成することが、前記ワッシャー上に球状側部を形成することを含み、前記球状側部は、前記ワッシャーが前記クレビスと前記リングとの間に位置するとき、前記クレビスが、前記ワッシャーの中心を通って延在する軸の周りで前記リングに対して回転することを可能にする形状を有する、条項17又は18に記載の方法。
【0086】
条項20
前記リング、前記クレビス、及び前記ワッシャーを通して挿入されたピンが、前記ピンと前記クレビスとの間、前記ピンと前記リングとの間、及び前記ピンと前記ワッシャーとの間で所望の間隙公差範囲を満たすように、前記クレビス又は前記リングのうちの少なくとも1つを機械加工することをさらに含む、条項17から19のいずれか一項に記載の方法
【0087】
条項21
前記球状側部にコーティングを施すことをさらに含み、前記コーティングが、潤滑剤、乾性被膜潤滑剤、前記ワッシャー上のセラミック結合剤中の潤滑顔料の第1の層、並びに前記第1の層上で硬化されたグラファイト及びフェノール樹脂の第2の層のうちの少なくとも1つから選択される、条項18に記載の方法。
【0088】
条項22
前記ワッシャーと前記リングとの間、及び前記ワッシャーと前記クレビスとの間に所望の間隔公差を維持しながら、キャップが前記ピン上に位置し、前記ピンが前記クレビス上に位置し、前記クレビスが前記ワッシャー上に位置するように、前記キャップを前記リングに固定することをさらに含む、条項19に記載の方法。
【0089】
条項23
前記ワッシャーの取り付けが新しいジンバル上で行われる、条項17から22のいずれか一項に記載の方法。
【0090】
条項24
前記ワッシャーの取り付けが、既存のジンバルの再加工である、条項17から23のいずれか一項に記載の方法。
図1
図2
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