(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】被加工物回転装置及びレーザ加工システム
(51)【国際特許分類】
A23L 19/00 20160101AFI20250409BHJP
A23B 7/02 20060101ALI20250409BHJP
【FI】
A23L19/00 B
A23B7/02
(21)【出願番号】P 2020205597
(22)【出願日】2020-12-11
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000104113
【氏名又は名称】カゴメ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】染谷 雅敬
【審査官】水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-178434(JP,A)
【文献】特開2020-031632(JP,A)
【文献】特開2003-098300(JP,A)
【文献】特開2001-070892(JP,A)
【文献】実開平01-028894(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0062784(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 19/00 -19/20
A23N 1/00 -17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物回転装置であって、それを構成するのは、少なくとも、以下である:
第1のロール:これが回転するのは、第1の方向であり、及び、
第2のロール:これに水平な方向に設けられるのは、当該第1のロールであり、かつ、
これが回転するのは、第2の方向であり、当該第2の方向に一致するのは、当該第1の方向であ
り、更に、当該第2のロールの周面に形成されるのは、螺旋条、及び、螺旋羽根である。
【請求項2】
請求項1の装置であって、
当該第1のロール及び当該第2のロールの間に形成されるのは、空隙である。
【請求項3】
請求項2の装置であって、
当該周面に形成されるのは、更に、案内片であり、その形成場所は、当該螺旋条及び当該螺旋羽根の境界部分である。
【請求項4】
請求項3の装置であって、
当該案内片の長手方向と交差するのは、当該螺旋条又は当該螺旋羽根の形成方向である。
【請求項5】
請求項1乃至
4の何れかの装置であって、
当該第1のロールの単位時間当たりの回転数は、当該第2のロールの単位時間当たりの回転数より大きい。
【請求項6】
請求項1乃至
5の何れかの装置であって、それを構成するのは、更に、以下である:
駆動部:これで同時に駆動されるのは、当該第1のロール及び当該第2のロールである。
【請求項7】
レーザ加工システムであって、それを構成するのは、少なくとも、以下である:
レーザ照射装置:これが有するのは、レーザ照射部であり、及び、
被加工物回転装置:これが設けられるのは、当該レーザ照射部の下方であり、かつ、それを構成するのは、少なくとも、以下である:
第1のロール:これが回転するのは、第1の方向であり、及び、
第2のロール:これに水平な方向に設けられるのは、当該第1のロールであり、かつ
、これが回転するのは、第2の方向であり、当該第2の方向に一致するのは、当該第1の方向であ
り、更に、当該第2のロールの周面に形成されるのは、螺旋条、及び、螺旋羽根である。
【請求項8】
請求項7のシステムであって、
当該第1のロール及び当該第2のロールの間に形成されるのは、空隙である。
【請求項9】
請求項8のシステムであって、
当該周面に形成されるのは、更に、案内片であり、その形成場所は、当該螺旋条及び当該螺旋羽根の境界部分である。
【請求項10】
請求項9のシステムであって、
当該案内片の長手方向と交差するのは、当該螺旋条又は当該螺旋羽根の形成方向である。
【請求項11】
請求項9又は10のシステムであって、
当該レーザ照射部で照射されるのは、レーザであり、その照射先は、当該螺旋条及び当該螺旋羽根の上方である。
【請求項12】
請求項8乃至11の何れかのシステムであって、
当該第1のロールの単位時間当たりの回転数は、当該第2のロールの単位時間当たりの回転数より大きい。
【請求項13】
請求項8乃至12の何れかのシステムであって、当該被加工物回転装置を構成するのは、
更に、以下である:
駆動部:これで同時に駆動されるのは、当該第1のロール及び当該第2のロールである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明が関係するのは、被加工物回転装置及びレーザ加工システムである。
【背景技術】
【0002】
近年、乾燥食品への需要は、高まっている。その理由の一つは、食生活の多様化である
。とりわけ、乾燥野菜及び乾燥果実への需要は、着実に、高まっている。今後、乾燥トマ
トへの需要の伸びは、大きく期待される。なぜなら、トマトは、野菜の中で消費量が多い
ものの一つだからである。
他方で、乾燥食品で解決されうるのは、食品廃棄量の削減である。持続可能な開発目標
(SDGs)の下、農作物の生産者が直面している課題は、規格外の農作物の活用法であ
る。現状、多くの規格外の農作物は、廃棄処分されている。
【0003】
そのような背景の下、多くの食品乾燥技術が完成している。特許文献1で開示されてい
るのは、乾燥トマトの製造方法である。この製法で実現されるのは、乾燥トマトの良好な
食感、風味及び外観、並びに、その製法の簡便さである。当該製法では、トマトをレーザ
照射し、乾燥させる。その結果、クチクラ層の一部が焼滅して、そこから水分が効率的に
放出される。また、焼成面が形成されることで、果汁が殆ど漏れ出ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、レーザ加工品の量産性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上を踏まえて、本願発明者が鋭意検討して見出したのは、被加工物への抗力作用線及
び重力作用線がずれることで、当該被加工物が転がり易いことである。そのような観点か
ら本発明を定義すると、以下のとおりである。
【0007】
<被加工物回転装置(1)>被加工物回転装置が有するのは、少なくとも、複数の抗力
作用点及び回転力作用点である。当該複数の抗力作用点の位置は、分かれており、その分
れ目は、被加工物の重力作用線である。当該回転力作用点に一致し、或いは、その近傍に
位置するのは、当該複数の抗力作用点のうちの少なくとも1点である。
【0008】
<レーザ加工システム(1)>レーザ加工システムを構成するのは、少なくとも、レー
ザ照射装置及び被加工物回転装置である。当該レーザ照射装置が有するのは、レーザ照射
部である。当該被加工物回転装置が設けられるのは、当該レーザ照射部の下方である。当
該被加工物回転装置が有するのは、少なくとも、複数の抗力作用点及び回転力作用点であ
る。当該複数の抗力作用点の位置は、分かれており、その分れ目は、被加工物の重力作用
線である。当該回転力作用点に一致し、或いは、その近傍に位置するのは、当該複数の抗
力作用点のうちの少なくとも1点である。
【0009】
<被加工物回転装置(2)>被加工物回転装置を構成するのは、少なくとも、第1のロ
ール及び第2のロールである。当該第1のロールが回転するのは、第1の方向である。当
該第2のロールに水平な方向に設けられるのは、当該第1のロールである。当該第2のロ
ールが回転するのは、第2の方向である。当該第2の方向に一致するのは、当該第1の方
向である。
【0010】
<レーザ加工システム(2)>レーザ加工システムを構成するのは、少なくとも、レー
ザ照射装置及び被加工物回転装置である。当該レーザ照射装置が有するのは、レーザ照射
部である。当該被加工物回転装置が設けられるのは、当該レーザ照射部の下方である。当
該被加工物回転装置を構成するのは、少なくとも、第1のロール及び第2のロールである
。当該第1のロールが回転するのは、第1の方向である。当該第2のロールに水平な方向
に設けられるのは、当該第1のロールである。当該第2のロールが回転するのは、第2の
方向である。当該第2の方向に一致するのは、当該第1の方向である。
【発明の効果】
【0011】
本発明が可能にするのは、レーザ加工品の量産性を向上することである。とりわけ、食
品がレーザ照射され、かつ、乾燥される場合、そのような乾燥食品の量産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の概念であり、(a)X‐Z平面での作用点及び力の関係であり、(b)X‐Y平面での作用点及び力の関係である。
【
図2】レーザ加工システムの構成を正面視したもの(正面図)である。
【
図3】被加工物回転装置の構成を上面視したもの(上面図)である。
【
図4】被加工物回転装置の構成を左側面視したもの(左側面図)である。
【
図5】被加工物回転装置の構成を右側面視したもの(右側面図)である。
【
図6】被加工物回転装置の構成を背面視したもの(背面図)である。
【
図7】被加工物回転装置の構成を正面視したもの(正面図)である。
【
図8】第2のロールの構成を側面視したもの(側面図)である。
【
図9】被加工物の回転の様子であり、(a)螺旋条での回転運動であり、(b)螺旋羽根での回転運動である。
【
図10】第2のロールの構成を部分的に拡大し正面視したもの(部分拡大正面図)である。
【
図11】第2のロールの構成を部分的に拡大し斜めから側面視したもの(部分拡大斜視図)である。
【
図12】第2のロールの変形例の構成を部分的に拡大し正面視したもの(部分拡大正面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<本発明の概念>
図1で示すのは、本発明の概念である。レーザ光線Lが照射されるの
は、被加工物Oである。レーザ照射されながら、被加工物Oが運動するのは、空間である
。この空間をなすのは、互いに直交する3軸(X軸、Y軸及びZ軸)である。
図1(a)で示すのは、X‐Z平面での作用点及び力の関係である。被加工物Oに作用
するのは、少なくとも、重力Fg、抗力N1及び抗力N2、並びに、回転力Frである。
ここで、水平面をなすのは、X軸及びY軸である。鉛直線に対応するのは、Z軸である。
【0014】
重力Fgが作用するのは、被加工物の各点であり、そこに含まれるのは、被加工物の重
心Gである。以下の説明において、被加工物Oの重力作用線とは、重力Fgの作用線であ
って、その始点が重心Gであるものをいう。
抗力N1が作用し、或いは、作用されるのは、抗力作用点P1である。また、抗力N2
が作用し、或いは、作用されるのは、抗力作用点P2である。これら抗力作用点の位置P
1及びP2は、分かれており、その分かれ目は、被加工物Oの重力作用線である。言い換
えると、被加工物Oを支えるのは、その重心Gの真下以外の点である。仮に抗力作用点が
重心Gの真下であるならば、被加工物Oは、回転し難い。つまり、被加工物Oの重心Gの
真下は、空隙である。
【0015】
回転力が作用し、或いは、作用されるのは、回転力作用点P3である。回転力作用点P
3に一致し、或いは、その近傍に位置するのは、複数の抗力作用点N1及びN2のうちの
少なくとも1点である。当該回転力が作用すると、被加工物Oは、繰り返し倒立する。
図1(b)で示すのは、X‐Y平面での作用点及び力の関係である。被加工物Oに作用
するのは、更に、搬送力Fm、及び、起立力Fpである。前述のとおり、水平面をなすの
は、X軸及びY軸である。鉛直線に対応するのは、Z軸である。
【0016】
搬送力Fmが作用し、或いは、作用されるのは、搬送力作用点P4である。当該搬送力
が作用すると、被加工物Oが移動し、その移動方向は、概ね、Y軸の正方向である。
起立力Fpが作用し、或いは、作用されるのは、起立力作用点P5である。当該起立力
が作用すると、被加工物Oが横転する。
以上を踏まえて、被加工物回転装置の構成を概念的に説明すると、この装置が有するの
は、複数の抗力作用点P1及びP2、並びに、回転力作用点P3である。抗力作用点P1
及びP2の位置は、分かれており、その分れ目は、被加工物の重力作用線である。回転力
作用点P3に一致し、或いは、その近傍に位置するのは、抗力作用点P1及びP2のうち
の少なくとも1点である。
【0017】
<被加工物>
被加工物とは、有体物であって、その形態が固定され、かつ、加工されるものをいう。
本実施の形態において、被加工物Oとは、食品であって、その表面に有するのがクチクラ
層であるものをいう。被加工物Oを例示すると、果物や野菜などである。果物を例示する
と、柿、リンゴ、ナシ、レモンやミカンなどである。野菜を例示すると、トマト、ナス、
ズッキーニ、ピーマン、キュウリ等である。参照のため、本願明細書に取り込まれるのは
、特許第5280380号公報の内容である。
【0018】
<レーザ加工システム>
図2で示されるのは、レーザ加工システムの構成を正面視した
ものである。レーザ加工システム1でレーザ加工されるのは、被加工物Oである。レーザ
加工システム1を構成するのは、レーザ照射装置10及び被加工物回転装置20である。
【0019】
<レーザ照射装置>レーザ照射装置10で照射されるのは、レーザである。レーザ照射
装置10が有するのは、レーザ照射部11である。レーザ照射部11が位置するのは、被
加工物回転装置20の上方である。言い換えると、被加工物回転装置20が設けられるの
は、レーザ照射部11の下方である。
レーザ照射部11を構成するのは、一又は複数の照射源(不図示)である。照射源の位
置は、可変又は固定である。また、照射源の照射方向は、可変又は固定である。レーザ照
射を説明する際の参照のため、本願明細書に取り込まれるのは、特許第5280380号
公報の内容である。
【0020】
<被加工物回転装置>
図3で示すのは、被加工物回転装置の構成を上面視したものであ
る。被加工物回転装置20を構成するのは、台部21、一対の柱部22a、22b、第1
のロール23、第2のロール24、及び駆動部25である。被加工物Oが置かれるのは、
第1のロール23及び第2のロール24の上である。被加工物Oの下部が向き合うのは、
空隙Sである。空隙Sを形成するのは、第1のロール23及び第2のロール24である。
被加工物Oの重力作用線が通過するのは、空隙Sである。
【0021】
図4で示すのは、被加工物回転装置の構成を左側面視したものである。柱部22aで支
えているのは、回転軸23a及び回転軸24aである。柱部22aが有するのは、軸受(
不図示)である。回転軸23a及び回転軸24aを駆動するのは、駆動部25である。
図5で示すのは、被加工物回転装置の構成を右側面視したものである。柱部22bで支
えているのは、回転軸23a及び回転軸24aである。柱部22bが有するのは、軸受(
不図示)である。
【0022】
<駆動部>
図4で示すとおり、駆動部25を構成するのは、歯車25a、25b、25
c、チェインベルト25d、及び、モータ25eである。歯車25aが取り付けられるの
は、回転軸23aである。また、歯車25bが取り付けられているのは、回転軸24aで
ある。これらとは別に、歯車25cが取り付けられているのは、柱部22aである。これ
らの歯車25a、25b、25cを連結するのは、チェインベルト25dである。チェイ
ンベルト25dを駆動するのは、モータ25eである。つまり、本実施の形態において、
駆動部25で同時に駆動されるのは、第1のロール23及び第2のロール24である。
【0023】
第1のロール23の単位時間当たりの回転数A(rpm)及び第2のロール24の単位
時間当たりの回転数B(rpm)の設定は、任意である。両者の関係が「A>B」の場合
、搬送速度が遅く、回転速度が速くなる。それによって、レーザ照射の斑が生じにくい。
【0024】
<第1のロール>第1のロール23が満たすのは、レーザへの耐食性である。なぜなら
、レーザ照射部11で照射されるレーザが到達する先は、第1のロール23の上方だから
である。第1のロール23の材質を例示すると、高反射性である。高反射性材料を例示す
ると、アルミニウムなどである。もっとも、レーザの条件(波長や到達範囲など)次第で
、当該耐食性は、必ずしも求められない。
【0025】
図3で示すとおり、第1のロール23の周面23bで支持されるのは、被加工物Oであ
る。周面23bが有するのは、抗力作用点であり、そこで生じるのは、抗力である。第1
のロール23が回転するか否かを問わず、被加工物Oは、支持される。
図6で示すのは、被加工物回転装置の構成を背面視したものである。第1のロール23
で回転させられるのは、被加工物Oである。周面23bが有するのは、回転力作用点であ
り、そこで生じるのは、回転力である。第1のロール23が回転するのは、第1の方向d
1である。これに対して、被加工物Oが回転するのは、第1の方向d1とは逆方向である
。
【0026】
<第2のロール>第2のロール24が満たすのは、レーザへの耐食性である。なぜなら
、レーザ照射部11で照射されるレーザが到達する先は、第2のロール24の上方だから
である。第2のロール24の材質を例示すると、高反射性である。高反射性材料を例示す
ると、アルミニウムなどである。もっとも、レーザの条件(波長や到達範囲など)次第で
、当該耐食性は、必ずしも求められない。
【0027】
図3で示すとおり、第2のロール24の周面24bで支持されるのは、被加工物Oであ
る。周面24bが有するのは、抗力作用点であり、そこで生じるのは、抗力である。第1
のロール24が回転するか否かを問わず、被加工物Oは、支持される。
第2のロール24で搬送されるのは、被加工物Oである。第2のロール24が回転する
のは、第2の方向d2である。第2の方向d2に一致するのは、第1の方向d1である。
つまり、第1のロール23及び第2のロール24が回転するのは、同じ方向である。
図3
で示すとおり、被加工物Oの搬送方向d3と略平行なのは、第2のロール24の回転軸2
4aの方向である。つまり、回転力が変換されて得られるのは、直進力(搬送力)である
。
【0028】
図7で示すのは、被加工物回転装置の構成を正面視したものである。第2のロール24
の周面24bに形成されるのは、螺旋条24cである。螺旋条24cが有するのは、搬送
力作用点であり、そこで生じるのは、搬送力である。この搬送力が作用する先は、被加工
物Oである。つまり、第2のロール24の回転方向がd2である場合、被加工物Oの移動
方向は、d3である。
【0029】
図8で示すのは、第2のロールの構成を側面視したものである。第2のロール24の周
面24bに形成されるのは、更に、螺旋羽根24dである。螺旋羽根24dに連なって形
成されているのは、螺旋条23cである。螺旋羽根24dの高さHは、所定の値であり、
例示すると、1cm乃至7cmである。被加工物Oの形状が非球形状である場合、螺旋羽
根24dの形成間隔(ピッチ)は、被加工物Oの短手方向の幅よりも大きく、被加工物O
の長手方向の幅よりも小さい。それによって、後述する横転状態が維持される。
【0030】
図9で示すのは、被加工物の回転の様子である。被加工物Oがトマトである場合、回転
力が作用すると、トマトは、倒立する。仮に、トマトが横転しても、それは一時的であり
、最終的には、倒立する。言い換えると、トマトの頭部又は尻部が留まろうとするのは、
鉛直方向である。トマトの頭部又は尻部の向き(以下、軸心方向という。)を変えて水平
方向にしても、当該軸心方向が戻る先は、鉛直方向である。
【0031】
図9(a)で示すのは、螺旋条23cでの回転運動である。螺旋条23cで維持される
のは、トマトの倒立状態である。なぜなら、螺旋条23cの高さ(山)が小さいからであ
る。この場合、レーザが照射されるのは、トマトの頭部又は尻部の周辺のみである。
図9(b)で示すのは、螺旋羽根24dでの回転運動である。螺旋羽根24dで維持さ
れるのは、トマトの横転状態である。なぜなら、螺旋羽根24dの高さ(山)が大きいか
らである。この場合、レーザが照射されるのは、トマトの側周面である。
【0032】
本実施の形態において、螺旋条24c及び螺旋羽根24dが形成されているのは、レー
ザの照射範囲である。言い換えると、レーザ照射部11で照射されるレーザが届くのは、
螺旋条24c及び螺旋羽根24dの上方である。
図10で示すのは、第2のロールの構成を部分的に拡大し正面視したものである。第2
のロール24の周面24bに形成されるのは、更に、案内片24eである。案内片24e
が形成されるのは、螺旋条24c及び螺旋羽根24dの境界部分である。案内片24eの
長手方向と交差するのは、螺旋条24c又は螺旋羽根24dの形成方向である。
【0033】
案内片24eが有するのは、横転力作用点であり、そこで生じるのは、起立力である。
この起立力が作用する先は、被加工物Oである。つまり、案内片24eによって被加工物
Oの側面が向くのは、上下方向となる。
図11で示すのは、第2のロールの構成を部分的に拡大し斜めから側面視したものであ
る。案内片24eの高さは、傾斜している。螺旋条24c側よりも低いのは、螺旋羽根2
4d側である。これによって、被加工物Oは、円滑に横転する。
【0034】
図12で示すのは、第2のロールの変形例の構成を部分的に拡大し正面視したものであ
る。案内片24eが形成されるのは、螺旋条24c及び螺旋羽根24dの境界部分である
。案内片24eが部分的に隣り合っているのは、螺旋条24cである。この場合であって
も、被加工物Oは、円滑に横転する。
【符号の説明】
【0035】
1 レーザ加工システム
10 レーザ照射装置
11 レーザ照射部
20 被加工物回転装置
23 第1のロール
24 第2のロール
24b 周面
24c 螺旋条
24d 螺旋羽根
24e 案内片
25 駆動部
d1 第1の方向
d2 第2の方向
O 被加工物
P1 抗力作用点
P2 抗力作用点
P3 回転力作用点