IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーダーマン・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフトの特許一覧

特許7663350骨アンカーにロッドを連結するための連結装置、骨アンカーのヘッド上に連結装置を配置するための器具、骨アンカーおよび器具にロッドを連結するための連結装置のシステム、ならびに、骨アンカーのヘッド上に連結装置を配置する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】骨アンカーにロッドを連結するための連結装置、骨アンカーのヘッド上に連結装置を配置するための器具、骨アンカーおよび器具にロッドを連結するための連結装置のシステム、ならびに、骨アンカーのヘッド上に連結装置を配置する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/70 20060101AFI20250409BHJP
【FI】
A61B17/70
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020207648
(22)【出願日】2020-12-15
(65)【公開番号】P2021094398
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-09-21
(31)【優先権主張番号】19217559
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】62/949,872
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511211737
【氏名又は名称】ビーダーマン・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BIEDERMANN TECHNOLOGIES GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティモ・ビーダーマン
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0085536(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0257798(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0055542(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0192192(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0367295(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0020574(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/70 - 17/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨アンカーにロッドを連結するための連結装置であって、
前記連結装置は受け部(20)を含み、前記受け部は、
前記骨アンカーのヘッド(3)を回動可能に受け取るための内側座部(35)を含むヘッド受け部(22)を備え、前記ヘッド受け部は、前記ヘッドの挿入を可能にするように拡張可能であるともに、挿入されたヘッドを前記座部にロックするように圧縮可能であり、前記受け部はさらに、
2つの開放型の脚部(25)および底部(24a)を形成する凹部(24)を含むロッド受け部(21)を備え、前記凹部は、前記ロッドを受け取るための経路を規定し、前記ロッド受け部は、器具(100)との係合のための第1の係合構造(32)を含み、前記受け部はさらに、
前記ヘッド受け部(22)のまわりに配置されるように構成されたロックリング(40)を備え、前記ロックリングは、前記器具(100)のための第2の係合構造を含み、 前記ロックリング(40)は、挿入されたロッドのためのロッド支持面(44a)を形成する自由端面を有する突起(44)を備え、前記ロッド支持面(44a)は前記第2の係合構造を形成し、
前記ロックリング(40)が前記ヘッド受け部(22)のまわりにあるとき、前記ロックリングは、前記骨アンカーの前記ヘッド(3)を前記ヘッド受け部内に挿入することができる挿入位置と、挿入されたヘッド(3)が前記ヘッド受け部(22)において回動することは可能であるが前記ヘッド受け部から外れるのが防止されている仮ロック位置とを取ることができ、
前記器具が前記第1の係合構造(32)と係合し、前記器具が前記第2の係合構造を押圧することによって、前記ロックリング(40)は前記挿入位置から前記仮ロック位置に移動可能であり、
前記ロックリング(40)が前記挿入位置にあるときに前記第1の係合構造(32)が前記器具と係合されると、前記連結装置(10)は前記骨アンカー(1)の前記ヘッド(3)上に配置されるように構成されている、連結装置。
【請求項2】
前記受け部は、前記ロッド受け部(21)に隣接する上方端部(2a)と、前記ヘッド受け部(22)に隣接する下方端部(2b)とを備え、前記骨アンカー(1)を前記受け部の前記下方端部(2b)から前記ヘッド受け部(22)に挿入することが可能であり、前記骨アンカー(1)は骨に挿入された骨アンカーである、請求項1に記載の連結装置。
【請求項3】
前記ロックリング(40)は、前記ロックリング(40)の下方への動きによって、前記挿入位置から前記仮ロック位置へと動かされるように構成されている、請求項1または2に記載の連結装置。
【請求項4】
前記ロックリング(40)は、前記器具(100)で前記第2の係合構造(44a)を押圧することによって、前記挿入位置から前記仮ロック位置へと移動可能である、請求項3に記載の連結装置。
【請求項5】
前記第1の係合構造(32)は、前記器具(100)において対応する突起(109)または凹部と係合することが可能な凹部または突起を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の連結装置。
【請求項6】
前記凹部(32)または突起が、各々の前記脚部(25)の互いに反対側の位置に形成されている、請求項5に記載の連結装置。
【請求項7】
前記第1の係合構造(32)は、少なくとも1つの前記脚部(25)の内壁の一部に位置している、請求項1から6のいずれか1項に記載の連結装置。
【請求項8】
前記第1の係合構造(32)は、前記ロッドを受け取るための前記凹部(24)の端縁にまたは前記端縁付近に位置している、請求項7に記載の連結装置。
【請求項9】
前記ロックリング(40)は180°ずらされた2つの前記突起(44)を備え、前記突起(44)の各々は挿入されたロッドのためのロッド支持面(44a)を形成する自由端面を有し、前記ロッド支持面(44a)は前記第2の係合構造を形成する、請求項1から8のいずれか1項に記載の連結装置。
【請求項10】
前記受け部(20)は、第3の係合構造(31a)を含み、前記第3の係合構造(31a)は、前記ロックリングが、前記仮ロック位置から離れる方向に前記挿入位置を越えて移動するのが防止されるように、前記ロックリング(40)と係合されるように構成されている、請求項1から9のいずれか1項に記載の連結装置。
【請求項11】
前記第3の係合構造(31a)は、前記ロッド受け部(21)の外面に位置する、請求項10に記載の連結装置。
【請求項12】
前記受け部(20)は、第4の係合構造(31b)を含み、前記第4の係合構造(31b)は、前記ロックリングが前記器具(100)に対して前記仮ロック位置においてラッチ固定されるように、前記ロックリング(40)と係合されるように構成されている、請求項1から11のいずれか1項に記載の連結装置。
【請求項13】
前記第4の係合構造(31b)は、前記ロッド受け部(21)の外面に位置する、請求項12に記載の連結装置。
【請求項14】
前記ロックリング(40)は、前記ヘッド(3)がロックされるように前記ヘッド受け部が圧縮されるロック位置を、前記ヘッド受け部(22)に対して取ることができる、請求項1から13のいずれか1項に記載の連結装置。
【請求項15】
骨アンカーのヘッド上に請求項1から14のいずれか1項に記載の連結装置を配置するための器具であって、
前記器具(100)は、
前記受け部(20)に係合するように構成された保持部材(101)と、
前記保持部材(101)に対して相対的に変位可能である押圧部材(120)とを備え、前記保持部材(101)が前記受け部(20)に係合して前記ロックリング(40)が前記挿入位置にあるとき、前記器具(100)は骨アンカー(1)のヘッド(3)上に前記連結装置(10)を配置するように構成されている、器具。
【請求項16】
前記連結装置(10)が前記骨アンカー(1)の前記ヘッド(3)上に配置されると、前記押圧部材(120)は前記ロックリング(40)を前記仮ロック位置に移動させるために前記ロックリング(40)に係合するように構成されている、請求項15に記載の器具。
【請求項17】
前記保持部材(101)は、長手方向軸を有するとともに、2つのアーム(105,105a)を備えた前方部分を含み、前記前方部分は、前記脚部(25)同士の間に挿入されるように構成されるとともに、前記ロッド受け部(21)に係合するように構成されている、請求項15または16に記載の器具。
【請求項18】
前記アーム(105,105a)は、前記長手方向軸に対して横断する方向に可撓的に拡張および/または圧縮されるように構成されており、前記ロッド受け部(21)の前記脚部(25)の内壁において係合構造(32)に係合するように構成された係合部分(109)を含む、請求項17に記載の器具。
【請求項19】
前記押圧部材(120)は、前記保持部材(101)を前記受け部(20)に固定するために前記アーム(105,105a)を拡張するように前記アーム同士の間に押込まれるように構成されている、請求項17または18に記載の器具。
【請求項20】
前記押圧部材(120)の端部分における係合部分(123)は、前記保持部材(101)の長手方向軸に対して実質的に横断方向に延在する長手方向軸に沿って実質的に細長である、請求項15から19のいずれか1項に記載の器具。
【請求項21】
前記係合部分(123)は、前記ロックリング(40)におけるロッド支持面(44a)に係合するように構成されている、請求項20に記載の器具。
【請求項22】
骨アンカーおよび器具にロッドを連結するための連結装置のシステムであって、前記連結装置は、請求項1から14のいずれか1項に記載の連結装置(10)を含み、前記器具は、請求項15から21のいずれか1項に記載の器具(100)を含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッドを骨アンカーに連結するための連結装置と、連結装置を骨アンカーのヘッドに配置するための器具とに関する。より特定的には、本発明は、外側ロックリングを備えた受け部を体内の原位置で(in situ)、すなわち、骨アンカーが骨または椎骨内に既に挿入された状態で、骨表面から突き出るヘッド上に配置することを可能にする連結装置および器具に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッド受け部のまわりに配置された外側ロックリングを備えるタイプの連結装置は、たとえばUS2018/0055545A1から公知である。連結装置は多軸骨固定装置の一部であって、ロッド受け部およびヘッド受け部を備えた受け部と、挿入されたヘッドに圧力を加えるための圧縮部材を形成するとともにヘッド受け部のまわりに配置されるロックリングとを含む。ヘッド受け部は複数のスリットを備える。これら複数のスリットによりヘッド受け部に可撓性がもたらされ、このため、ロックリングによってヘッド受け部に圧力が加えられると、ヘッドがクランプされ得るとともに最終的にロックされ得る。ロックリングをヘッドの挿入位置からヘッドのロック位置へと、またはこの逆の方向に移動させるための器具も上記文献に開示されている。通常、骨固定装置は、骨アンカーと予め組立てられている。
【0003】
US10,258,390B2は、骨固定装置の受け部を骨固定要素のヘッド上に配置するための装置を開示している。当該装置は、保持部分と、当該保持部分に保持されるように構成されたコレットとを備える。当該コレットは、管状本体と、径方向に可撓的に拡張および圧縮されるように構成された遠位端部分とを有する。当該装置はさらに、当該コレット内に位置決めされるように構成されたプランジャを備える。本装置を用いることで、受け部を内壁において係合させるとともに、骨内に既に挿入されている骨アンカー上に配置することができる。この文献に開示されている骨固定装置は、ヘッドをロックするためのロッドまたはロック部材とともに、ヘッドに圧力を加えるための圧縮部材として受け部内に配置された内側キャップを用いるタイプである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】US2018/0055545A1
【文献】US10,258,390B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術に開示されるヘッドをクランプおよびロックするために内側キャップを用いる骨固定装置は、多くの臨床用途に適している場合もあるが、受け部および圧縮部材を含む連結装置を体内の原位置において埋込み済み骨アンカー上に配置することを可能にする代替的および/または改善された骨固定装置が依然として必要とされている。
【0006】
したがって、本発明の目的は、公知の装置と比べて改善された連結装置と、このような連結装置と共に用いられる器具とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
当該目的は、請求項1に記載の連結装置、請求項10に記載の器具、ならびに、請求項16に記載の連結装置および器具のシステムによって解決される。さらなる展開例が従属請求項において与えられる。
【0008】
連結装置は、外側ロックリングを圧縮部材として用いてヘッドに圧力を加えるタイプであり、生体内の原位置において骨または椎骨に挿入された骨アンカー上に配置することができる。このような生体内の原位置での配置は、過度に強い力を加えることによる損傷を避けるために注意深く進める必要がある。器具は携帯型装置を備えており、この携帯型装置は連結装置を生体内の原位置に配置することを可能にする。これは軽い力で実現可能であって、損傷をもたらす恐れのある過度な力を加える必要がない。特に脊椎手術においてはこのような手順には利点がある。
【0009】
さらに、連結装置は、骨アンカーのヘッド上に配置されると、ロッドまたはロック部材なしでも仮ロックを実行できる。ロッドも挿入可能であるが、ロッド支持部上に載せる必要はなく、高位置に置くことができる。したがって、ロックリングをロック位置から仮ロック位置へ移動させるかまたはこの逆方向に移動させることによって、骨固定装置をロックおよびアンロックすることができ、さまざまな調整ステップの実行が可能になる。外科手術の終わりに最終的にロックするためにだけ、ロッドおよび/またはロック部材の存在が必要となる。したがって、ヘッドを仮におよび/または変動可能にロックした状態で連結装置を体内の原位置に配置することができるので、手術中に実行できる補正ステップの種類が増える。
【0010】
器具を用いることで、ロックリングを骨アンカーのヘッド上に配置した後に仮ロック位置へと移動させることができる。これにより、連結装置が骨アンカーのヘッドに接続された後、挿入された骨アンカーのヘッドから連結装置が外れるのが防止される。したがって、器具を安全に取り外すことができる。
【0011】
一実施形態に従うと、連結装置は、ロッド経路の脚部の内壁において器具によって係合されるように構成されている。受け部は外周面上が器具によって係合されないので、既に骨内に挿入されている骨アンカーのヘッド上に連結装置を配置するために必要な空間が小さくて済む可能性がある。これにより、人体の組織内を通る狭い経路を用いて埋込み部位に接近することが可能となる。したがって、当該器具および当該連結装置は、低侵襲手術(minimally invasive surgery:MIS)に特に適用可能である。
【0012】
さらに、一実施形態に従うと、器具のアームは弾力的に可撓性があり、これにより、器具を連結装置に取付ける際に触覚応答が得られる。これにより、器具を連結装置に取付けるのが容易になる。
【0013】
本発明のさらなる特徴および利点が、添付の図面を参照した実施形態の記載から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】骨アンカーが埋込まれた脊柱の一部と、一実施形態に従った連結装置に取付けられた一実施形態に従った器具と示す斜視図である。
図2図1の拡大部分を示す図である。
図3】骨アンカーのヘッド上に配置された連結装置および器具の実施形態を、器具の中心長手方向軸を含むとともに受け部の脚部の中心に対して垂直である面に沿って示す断面図である。
図4図1図3の連結装置の受け部を上から見た斜視図である。
図5図4の受け部を底から見た斜視図である。
図6図4および図5の受け部を示す上面図である。
図7図4図6の受け部を図6の線A-Aに沿って示す断面図である。
図8図1から図3の連結装置のロックリングを上から見た斜視図である。
図9図8のロックリングを底から見た斜視図である。
図10図8および図9のロックリングを示す上面図である。
図11図8図10のロックリングを図10の線B-Bに沿って示す断面図である。
図12図1図3の器具の前方部分を示す斜視図である。
図13図12に示す器具の前方部分を、器具の中心長手方向軸を含むとともに器具のアームの中心を通って延びる面に沿って示す断面図である。
図14図12および図13に示される器具の保持部材の端部を上から見た斜視図である。
図15図12図14の器具の保持部材を底から見た斜視図である。
図16図12図15の器具の保持部材を示す側面図である。
図17図16に示される器具の保持部材の前方部分を、器具の中心長手方向軸を含むとともにアームの中心を通って延びる断面に沿って示す断面図である。
図18図12および図13の器具の押圧部材の前方部分を上から見た斜視図である。
図19図18の押圧部材を底から見た斜視図である。
図20図18および図19に示される押圧部材の前方部分を示す側面図である。
図21a】器具を連結装置に取付けるステップを示す側面図である。
図21b】器具を連結装置に取付けるステップを示す側面図である。
図21c】器具を連結装置に取付けるステップを示す側面図である。
図21d】器具を連結装置に取付けるステップを示す側面図である。
図22】器具の前方部分を連結装置に固定するステップを示す斜視図である。
図23】受け部に対するロックリングの仮ロック位置を器具で調整するステップを示す斜視図である。
図24a】骨に挿入された骨アンカーのヘッド上に器具付き連結装置を配置するステップを示す図である。
図24b】骨に挿入された骨アンカーのヘッド上に器具付き連結装置を配置するステップを示す図である。
図24c】骨に挿入された骨アンカーのヘッド上に器具付き連結装置を配置するステップを示す図である。
図25】骨アンカーおよび連結装置が挿入された背骨の一部分と、骨アンカーに対して連結装置をロックするための別の器具の取付けとを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1図3は、骨アンカーのヘッド上に連結装置を配置するための器具100によって係合された連結装置10の第1の実施形態を示す。一実施形態に従うと、骨アンカー1は、その上に連結装置を装着する前に、骨(たとえば、堆骨500の椎弓根)に既に挿入しておくことができる。骨アンカー1は、骨に係止されるように構成されたシャンク2と、ヘッド3とを含む。シャンク2は、少なくともその一部分に骨固定構造、たとえば、骨ねじもしくはかかり、または係止するための他の任意で好適な構造などを有していてもよい。ヘッド3は球状の外面部分を有していてもよい。たとえば、ヘッド3は、球体の最大外径を含むような寸法を有していてもよい。ヘッド3の自由端に、ねじ回しと係合させるための係合凹部4が設けられてもよい。連結装置10は、連結装置に挿入されて固定されるように構成されたロッド(図示せず)に骨アンカー1を連結するように構成される。特に図3から分かるように、連結装置10は受け部20およびロックリング40を含む。受け部は、ヘッド3を収容するとともにロッド(図示せず)を受け取る役割を果たす。ロックリング40は、受け部20にヘッド3をクランプおよび/またはロックするように構成される。骨アンカー1および連結装置10は、骨アンカーのさまざまな角度位置で骨アンカーに対してロッドを連結することを可能にするように構成された多軸骨固定装置を形成する。
【0016】
図4図7を付加的に参照すると、受け部は、第1の端部または上方端部2aと、第2の端部または下方端部2bとを有する。長手方向中心軸Cは上方端部2aから下方端部2bにまで延在する。受け部は、上方端部2aの隣りにロッド受け部21を含み、下方端部2bの隣りにヘッド受け部22を含む。ロッド受け部21は実質的に円筒形であって、中心軸Cを規定するとともに、上方端部2aからヘッド受け部22内に延在する通路23を有している。通路23は異なる直径および/または形状を備えた領域を有していてもよい。本実施形態においては、第1の領域23aは第1の直径を備えた同軸ボアであってもよく、上方端部2aから延びてヘッド受け部(22)から或る距離だけ離れたところにまで延在している。第1の領域23aの後に、より狭い第2の領域23bが続いてもよく、この第2の領域23bの後に、直径がさらに一層狭い第3の領域23cが続いてもよく、この第3の領域23cがヘッド受け部22内に開口している。第1の領域23aと第2の領域23bとの間には段差23dが設けられていてもよい。同様に、第2の領域23bと第3の領域23cとの間には段差23eが設けられていてもよい。加えて、第2の領域23bにおいては、図4に最もよく示されているように、軸方向に対向して延在する2つの円筒セグメント形状の凹部39が形成されていてもよい。凹部39は、器具100の一部分のための案内構造としての役割を果たす。なお、通路の詳細な形状が図示される実施形態とは異なる可能性のあることに留意されたい。
【0017】
底部24aを備えた実質的にU字型の凹部24は、上方端部2aから延びてヘッド受け部22から或る距離だけ離れたところにまで延在する。実質的にU字型の凹部24により、自由な2本の脚部25が形成される。凹部24はロッドを受け取るための経路をもたらす。雌ねじ26が脚部25上に設けられており、実質的に上方端部2aから延びて凹部24の底部24aから或る距離だけ離れたところにまで延在している。言いかえれば、雌ねじ26は、実質的に通路の第1の領域23aに沿って設けられている。雌ねじ26は、たとえば、脚部25が広がるのを防止するのに有利であり得る角ねじであってもよい。ヘッド受け部22に面する雌ねじ26の下方端部にはアンダーカット26aが形成されていてもよい。上方端部2aから離れたところに、溝または脆弱区域27が設けられている。この溝または脆弱区域27は、壁が薄くなっており、脚部25の上方部分を折り取ることを可能にする。脆弱区域27の円周方向端縁には、円周方向に延在する凹部またはカットアウト27aが形成されていてもよい。この凹部またはカットアウト27aは、脆弱区域27をさらに脆弱化するとともに、脚部25の上方部分を折り取ることを容易にし得る。また、通路23の内部では、脆弱区域27の下方端縁に対応する軸方向位置において雌ねじ26が中断されていてもよい。このため、脆弱区域27の上方にある脚部は広がったタブとして機能し得る。このようにタブが広がっていれば、凹部24の底部24aと比べてより高い位置にあり得る挿入されたロッドで多軸骨固定装置を操作することが可能となる。これにより、たとえば、堆骨をロッドに対して引き寄せることができる。
【0018】
ロッド受け部21の外面には、器具(たとえば、図25に示されるような器具300)と係合させるための係合構造が設けられてもよい。係合構造は、円周方向に延在するリブ28を含んでもよい。当該リブ28は、受け部20の中心軸Cと実質的にU字型の凹部24の経路軸Lとを含む面に対して非対称に配置されていてもよい。これは、第1のリブが、一方側のU字型凹部24の端縁から離れたところから始まって、或る距離にまで受け部20のまわりに延在することを意味する。第2のリブはU字型の凹部とは反対側から始まって、そこから或る距離にまでロッド受け部のまわりに延在している。これにより、リブ無し表面29がU字型の凹部24から両側に形成される。各々のリブ28の下方には、実質的に平坦な外面部分30が形成されていてもよい。外面部分30は、長方形または正方形の輪郭を有し得るとともに、ロックリング40の一部と係合する役割を果たし得る。リブ28と実質的に平坦な面部分30との間には、2つのラッチ溝または段差31a、31bが軸方向に交互に設けられていてもよい。ラッチ溝31aおよび31bは、ロックリング40を或る位置において仮に保持するためにロックリング40の一部と協働するように構成されている。上方のラッチ溝31aは、挿入位置においてロックリングがさらに上方に移動するのを防ぐ役割を果たし得る。下方のラッチ溝31bは、ロックリング31bを仮ロック位置においてラッチ固定する役割を果たし得る。
【0019】
脆弱区域27と実質的にU字型の凹部24の底部24aとの間の位置に、器具100と係合させるための係合構造32が設けられてもよい。係合構造32は、浅くて円形の溝として形成されていてもよく、好ましくは実質的に円筒形であってもよく、脚部25の端縁に位置していてもよい。このような溝が4つ、すなわち、各々の脚部25に2つずつ、各々の脚部25の両側に1つずつ、設けられていてもよい。係合構造32の軸方向位置は脆弱区域27よりわずかに下方にあってもよい。好ましくは、係合構造32は、それに適合される器具100の対応する係合部分が摺動しながら係合構造32に出入りすることが可能となるような形状を有する。より具体的には、器具の係合部分は弾力的に係合構造32に嵌まり込み得る。
【0020】
さらに、カットアウト33が、ロックリング40の突起を受け取る役割を果たし得る実質的にU字型の凹部24の両側に設けられてもよい。これにより、ロックリング40を、受け部20に対して相対的に回転しないように固定することができる。ロッド受け部21の外径または幅狭部分により、カットアウト33の上方の位置から下方端部2bにまで段差34が形成される。段差34はロックリングのためのさらなる当接部としての役割を果たす。
【0021】
ヘッド受け部22は実質的にキャップ形状を有しており、実質的に球状の中空内部35を備えており、その内部に、ヘッド3を回動可能に受け入れるための座部を形成している。複数のスリット36a,36bがヘッド受け部22に可撓性をもたらし、これにより、ヘッド3が中空内部35に挿入されたときに、ヘッド受け部22が広げられこととなる。挿入されたヘッド3に対してロックリング40により圧力が加えられると、ヘッド受け部22が圧縮される。スリットは下方端部2bに向かって開いており、球状区域に沿って延在している。スリット36aは球状区域の端部において終端する。他のスリット36bは、ロッド受け部のうち通路23の第3の領域23cを含む領域内へと延在し得る。ヘッド受け部22の外面は、ロッド受け部21の下方端部に対して径方向に凹んでいてもよい。外面は、円筒形であり得るかまたはわずかに外側に先細であり得る底区域37aを含み得る。底区域37aは、ロックリング40の対応する部分と協働するように構成された環状突起を形成する。底区域37aの後に周方向溝が続き、さらにその後に、径方向外側に膨らんだ隆起部分37bが続く。隆起部分37bはロックリング40の別の部分と協働するように構成されている。隆起部分37bは、ロッド受け部に向かって狭くなっており、これにより、ヘッド受け部22が凹んだ形状となる。
【0022】
ここで図8から図11を参照して、ロックリング40について説明する。ロックリング40は、ヘッド受け部22を取り囲むように設計されている。ロックリング40はさらに、ロックリングがその最下位置にあるときに、ヘッド受け部22と協働して、挿入されたヘッド3をヘッド受け部22において完全にロックすることを可能にする内面構造を有している。これはさらに、ロックリングが最下位置よりもわずかに上方の位置にあるときに仮ロックを実現可能にする。この仮ロックは、ヘッド受け部22においてヘッド3が回動することを可能にする一方で、ヘッド3がヘッド受け部22から外れるのを防いでいる。最後に、ロックリングは、ロックリングが受け部に対して最上位置にあるときに、中空内部35にヘッド3を挿入することを可能にするように構成されている。
【0023】
より詳細には、ロックリング40は下面4bと反対側の上面4aとを有しており、実質的にリング形状である。下面4aの隣りには第1の径方向突起41が内側に向かって設けられている。第1の径方向突起41は、ヘッド受け部において外側部分37aと協働するように構成されている。環状突起41に続いて幅広区域42が設けられている。幅広区域42に続いて、第2の環状突起43が上面4aの側に設けられている。第2の環状突起43は内側に向かって突出ている。図3に示されるように、ロックリング40がヘッド受け部22のまわりに装着されると、第1の環状突起41がヘッド受け部の第1の部分37aを押圧するように構成されているとともに、第2の環状突起43が隆起部分37bを押圧するように構成されている。
【0024】
ロックリング40のリング状部分の上面4aから、2つの突起44が突出ている。2つの突起44は、安定化ロッドのためのロッド支持面44aを形成する自由端面を有している。突起44は直径方向に対向している(すなわち、180°ずらされている)。ロッド支持面は、異なる直径のロッドを安全に支持することを可能にするように実質的にV字型の断面を有していてもよい。上面4aが受け部の上方端部2aに面するようにロックリング40が受け部20に装着されると、突起44がカットアウト33内を通って延びることで、受け部20に対するロックリング40の回転方向が固定され得る。ロックリング40はまた、2つの直立したアーム45を含む。2つの直立したアーム45は、受け部20のロッド受け部21のリブ28と同じ態様で、中心軸Cを通るとともにロッド支持面44aの中央を通って延在する面に対して非対称に位置決めされている。アーム45の上方端部において、溝46aの範囲を規定する円周方向リブ46の形状をした係合部分が、器具との係合のために設けられている。このような器具は、たとえば、図25に示されるような器具300であってもよい。アーム45のうち内側に面する上方端縁45aが設けられていてもよい。上方端縁45aは、受け部20においてラッチ溝31a,31bと係合するように構成されている。組立てられた状態では、溝46a付きのリブ46の形状をした係合構造が受け部20において係合構造28と位置合わせされることで、受け部20のリブ無し表面29が露出されたままとなる。さらに、アーム45は、ロッド受け部21において平坦部分30に係合するように構成された実質的に平坦な内壁を有する。これにより、ロックリング40と受け部20との間にさらに形状がぴったりとフィットした接続がもたらされる。突起44とアーム45との間には直立した可撓性部分47が存在する。直立した可撓性部分47は、突起44よりわずかに高く構成されており、その内壁に棚部47aを備える。棚部47aは、受け部20上の段差34に当接するように構成されている。
【0025】
一実施形態に従った骨固定装置はさらに、実質的にU字型の凹部24に挿入されるように構成されたロッドと、脚部25同士の間にねじ留めされるように構成されたロック部材(たとえば、止めねじなど)とを含み得る。
【0026】
図12図20を参照して、骨アンカー1のヘッド3上に連結装置10を配置するための器具100の一実施形態をより詳細に説明する。図1に付加的に示されるように、器具100は、実質的に管状の保持部材101と、保持部材101の内部に配置されるシャフト状の押圧部材120とを含む。保持部材101は、ハンドル102に接続されるかまたはハンドル102を備える後方部分と、前方部分とを含む。前方部分は、2つのアーム105を含むようにスロット104を介して二叉に分岐されている。2つのアーム105は、保持部分の長手方向管軸Tに対して横断方向に可撓的に圧縮可能および拡張可能に構成されている。スロット104は、実質的にU字型の態様で保持部材101の自由端部101aから延在しており、底部が保持部材の後端に面している。実質的に直線の部分104bがスロットの底部から続いており、細長部分104c内に開口している。なお、さまざまな度合いの可撓性を得るためにスロットが異なる形状を有し得ることに留意されたい。
【0027】
アーム105は、自由端部101aに隣接する前方部分105aを有する。前方部分105aは、受け部20のロッド受け部に嵌まり込むように、保持部材の円筒形状全体から凹んでいる。アーム105の前方部分105aが凹むように構成されていることにより、当接面106が前方部分105aの端部に設けられる。当接面106は、アームの前方部分105aがロッド受け部に挿入されると、受け部の上方端部2aに当接し得る。アームの前方部分105aは各々、自由端部101aに隣接する凹部107を有する。凹部107は実質的に長方形であってもよい。凹部107により、2つの短い脚部107aがアーム105の前方部分105aの各々に形成される。この設計により、アームの前方部分105aが、下方へと延びて実質的にU字型の凹部24の最下領域内にまで延在することが可能となる。前方部分105aの外面は、軸方向に延在するとともに実質的に円筒セグメント形状のリブまたは突起108を含む。当該リブまたは突起108は、ロッド受け部21の第2の区域23bにおいて円筒形の凹み39に係合するように構成されている。
【0028】
さらに、各々のアーム105は、当接面106から離れたところに係合部分109を含む。係合部分109は、ロッド受け部21において係合構造32に係合するように構成されている。より詳細には、係合部分109は、保持部分の長手方向軸Tに対して横断方向に延びる円筒軸に沿った円筒形突起として形成され得るとともに、溝32に係合するように配置および構成され得る。図12図14および図15から特に分かるように、各々の前方部分105は2つの係合部分109を含む。2つの係合部分109は、軸方向円筒形突起108の右側および左側に位置している。アーム105は、軸方向突起108および係合部分109の領域を除く外面においては実質的に平坦であってもよい。前方部分105aの内壁には、同軸上に延在する円筒形の凹み110が、凹み107に隣接する領域に形成されている。これら凹部110により、押圧部材120が誘導される。アームの前方部分105aは、それらの内側に、凹部110に隣接して拡径区域111を含み得る。拡径区域111は、押圧部材120がその内部を通って摺動することを可能にするのに十分な空間をもたらすためのものである。段差部分111aが、凹部110と拡径区域111との間に形成されて、以下に説明されるように、押圧部材の外面において段差部分のための当接部を形成し得る。
【0029】
ここで特に図18図20を参照して、押圧部材120を説明する。図1に概略的に示されるように、押圧部材120は、その後方側がノブ121に接続されていてもよい。ノブ121は、保持部材101内で押圧部材120を変位させるように適合されている。ハンドル102には、ノブ121の回転移動を、保持部材101に対する押圧部材120の軸方向変位に伝達する機構(図示せず)が付加的に収容されていてもよい。保持部材に対して押圧部材120を変位させるためのさまざまな機構が企図され得る。たとえば、ノブ121を回転させることにより押圧部材を保持部材に対する最大位置にまで軸方向に押圧できるように設計され得るとともに、ノブ121をさらに回転させたときに押圧部材を最大軸方向位置から引込めるように設計され得る機構であってもよい。
【0030】
押圧部材120の前方部分が図18図20に詳細に示される。押圧部材120は、第1の実質的に円筒形の区域122を自由端120aの隣りに備える。第1の実質的に円筒形の区域122は、保持部材の前方部分105aの内壁において軸方向円筒形の凹み110に嵌まり込むように構成された外径を備えている(さらに図13を参照)。自由端120aの隣りに、または自由端120aに近接して、細長い係合部分123が設けられている。細長い係合部分123は、長手方向軸Tに対して横断方向に延在している(特に、長手方向軸に対して垂直に延在している)。細長い係合部分123は、図示される実施形態においてはロッド形状を有しており、前方部分122における横断方向の穴を通って延びるピンによって実現されてもよい。細長い係合部分123の長さは、ロックリング40上の突起44同士の間の距離よりも少なくとも長く、このため、突起44のロッド支持面44aが細長い係合部分123によって係合可能となる。言いかえれば、細長い係合部分123は、ロッド支持面44aを押圧するように構成された一種のダミーロッドを形成する。第1の円筒区域122の隣りに、外径がわずかにより大きな第2の区域124が設けられていてもよく、これにより、第2の区域124と第1の区域122との間に肩部122aが形成されることとなる。肩部は保持部材101の内側において段差部分111aに当接するように構成されている。第2の区域は、アームの前方部分105aの長さよりもさらに保持部材内に延在するような長さを有していてもよい。さらに安定性を得るために、より一層大きな直径をもつ第3の区域125が設けられてもよい。
【0031】
アームの前方部分105aは、ロッド受け部21に挿入されるように構成されているとともに、当接面106が受け部20の上方端部2aに当接したときに脚部107aが受け部20のうち実質的にU字型の凹部24の底部24aからわずかな距離にまで延在するような大きさにされている。この位置では、係合部分109は、受け部において係合構造32との係合を可能にするような軸高さにある。
【0032】
骨アンカー、連結装置および器具の部品および部分は、如何なる材料で作られていてもよいが、好ましくは、生体適合性材料、たとえば、チタンもしくはステンレス鋼、または、他の任意の生体適合性金属もしくは金属合金、または、プラスチック材料などであり得る。生体適合性合金として、NiTi合金(たとえば、ニチノール(Nitinol))が用いられてもよい。他の材料はマグネシウムまたはマグネシウム合金であってもよい。使用される生体適合性プラスチック材料は、たとえば、ポリエーテル・エーテル・ケトン(polyether ether ketone:PEEK)またはポリ-L-ラクチド酸(poly-L-lactide acid:PLLA)であってもよい。部品は、互いに同じ材料または異なる材料から作ることができる。
【0033】
連結装置10および器具100の使用状態を図21a~図24cを参照して説明する。初めに、連結装置10と器具100とを組立てるステップについて説明する。連結装置は予め組立てられた状態では受け部20およびロックリング40を含む。図21aに示されるように、押圧部材120は、係合部分109よりも、保持部材の自由端部分101aからさらに離れた格納位置にある。ロックリング40は、突起44が受け部のカットアウト33に係合するように受け部上に装着されている。器具100と係合させるために、ロックリング40は挿入位置にある。この挿入位置では、アーム45の端縁45aが、軸方向により高い位置に配置されたラッチ用段差31aに当接する。この挿入位置において、ヘッド3は、ヘッド受け部22の中空内部35に入り込み得る。アーム105の前方部分105a同士の間の距離は、アームの前方部分が脚部25同士の間に差し込まれたときに前方部分105が互いに向かって圧縮されるような距離となっている。
【0034】
図21bに示されるように、アームの前方部分105a同士が脚部25の内壁によって互い向かって圧縮されると、前方部分105は通路23内に、より深く進入し得る。アームの前方部分105aの外壁における係合部分109が受け部20における係合構造32に到達すると、係合部分109は、図21cに示されるように係合構造32に嵌まり込む。保持部材101は受け部20に固定接続される。なぜなら、アーム105の前方部分105aが内側に圧縮されるのが防止されているからである。その結果、連結装置10が器具に固定接続される。図21dは、細長い係合部分123がロッド支持面44aに接触している前方押込み位置における保持部材101と受け部20と押圧部材120との間の固定接続を示す。
【0035】
図22および図23は、保持部材101に対する押圧部材120の位置をより詳細な斜視図で示す。図22では、押圧部材は、係合部分109および係合構造32よりも上方の位置にあり、アームの前方部分105aを広げ始める。図23では、細長い係合部分123が突起44のロッド支持面44aのわずかに上方の位置にくるまで、押圧部材が下方に押し込まれている。細長い係合部分123はまだロッド支持面44と接触していない。この位置から押圧部材を下方に向かって軸方向にわずかに移動させるだけで、細長い係合部分123がロッド支持面44aを押圧することが可能となる。これにより、ロックリング40が下方に移動するため、ロックリングの環状突起41がヘッド受け部22の外面において底部分37aに係合することが可能となる。これにより、挿入されたヘッド3が外れることのないように中空内部35の下方開口部を狭くすることができる。
【0036】
図24a~図24cを参照すると、連結装置10および器具100の配置および使用状態が骨アンカー1とともに示される。図24aにおいて、シャンク2は、連結装置をヘッド上に装着する前に、骨に(たとえば堆骨500に)すでに挿入されている。器具は連結装置に固定接続されており、ロックリングは挿入位置にある。この挿入位置では、ヘッド受け部は、その中にヘッド3が入り込めるように拡張可能である。係合部分123はまだロッド支持面44aを押圧していない。図24bに示されるように、連結装置は器具100によってヘッド3上に配置される。このようにすることで、ヘッド3は、ヘッド受け部22の中空内部35に嵌まり込んで、摩擦によってそこに保持され得る。図24cに示される次のステップにおいては、押圧部材120をロックリング40の方に移動させる。図24cに示されるように、係合部分123が突起44のロッド支持面44aに接触するまで押圧部材をさらに下方に移動させてロックリング40を下方に押圧する。これにより、アーム45は、それらの端縁45aが受け部において下方ラッチ用凹部31bに嵌まり込む。このときロックリング40は仮ロック位置にあり、そこでラッチ固定される。加えて、突起47の棚部47bが、ロッド受け部の外面において段差34の下に嵌まり込み得ることで、仮ロック位置がさらに固定される。仮ロック位置に到達した後、押圧部材120を引込める。押圧部材120が係合部分109および係合構造32を遮らないような位置にある場合、アームのうち可撓性のある前方部分105aを互いに向かって圧縮させることができるとともに、器具をヘッドから取外すことができる。
【0037】
連結装置の配置後、多軸骨固定装置は仮ロック位置にある。ヘッドが摩擦によって座部に保持され得ることにより、連結装置はシャンクに対して或る角度位置を取ることができる。この角度位置は、最終的なロック前に一時的に維持することができる。
【0038】
臨床用途では、複数の多軸骨固定装置が、骨部分内または椎骨内に、たとえば、図25に示されるように椎骨500の椎弓根内に、挿入される。次いで、少なくとも2つまたは複数の骨固定装置のロッド受け部においてロッド(図示せず)を受け取ることができるように、連結装置10同士が位置合わせされる。上述の器具100とは異なる図25に概略的に示されるような別の器具300では、ロックリングを仮ロック位置からロック位置に移動させて、ロック位置を解除することができる。ロック位置では、ヘッドがロックされるようにヘッド受け部22が堅く圧縮されるまでロックリング40をさらに下方に移動させる。器具300は、たとえば係合部分28においてロックリングに係合する外管と、ロッド受け部に係合する内管とを含み得る。内管は外管に対して相対的に変位可能であり得る。このため、外管を内管に対して相対的に変位させることにより、ロックリングを仮ロック位置からロック位置に、またはこれとは逆方向に、移動させることができる。骨アンカーに対する連結装置の調整はロッドおよび/もしくはロック部材をロッド受け部に配置することなく実行することができるか、または、ロッドを凹部24の底部24aと比べて高い位置に置くこともできる。なお、ロックおよびアンロックは何回でも実行可能であることに留意されたい。連結装置の正確な位置が調整されると、連結装置は脚部25同士の間にねじ留めされたロック部材を用いて骨アンカーにロックされる。最後に、脚部の上方部分を折り取ってもよい。
【0039】
記載された実施形態の変形例も企図され得る。上述の部分は本実施形態に示されるような詳細な形状に限定されない。特に、受け部およびロックリングの具体的な形状はさまざまであり得る。受け部と器具との係合の形状および構造は、図示された実施形態とは異なっていてもよい。特に前方部分のヘッド上に連結装置を配置するための器具の設計は、本実施形態において示される具体的な設計に限定されない。他の形状も好適であり得る。たとえば、器具はその外面において受け部に係合させてもよい。
【0040】
ロッドは、2つの骨固定装置を接続するように構成される任意の細長い装置を包含するものとする。骨アンカーとして、骨ねじ、骨釘などのすべての種類の骨アンカーが用いられ得る。
【0041】
さらに、器具100付きの連結装置10を組立てる方法が提供される。連結装置は受け部を含む。受け部は、骨アンカーのヘッドを回動可能に受け取るためのヘッド受け部と、凹部を含むロッド受け部とを備える。当該凹部は、2つの開放型の脚部および底部を形成するとともに、ロッドを受け取るための経路を規定する。受け部はさらに、ヘッド受け部のまわりに配置されるように構成されたロックリングを備える。ロックリングは、ヘッドをヘッド受け部に挿入することができる挿入位置と、ヘッドがヘッド受け部から外れるのが防止されている仮ロック位置とを取ることができる。器具は、受け部に係合するように構成された保持部材と、押圧部材とを含む。押圧部材は、保持部材に対して相対的に変位可能であるとともに、ロックリングに係合するように構成されている。方法は、ロックリングが挿入位置にあるときに受け部を保持部材と係合させるステップを含む。組立てるステップは、連結装置を骨アンカーのヘッド上に配置する前に実行される。
【符号の説明】
【0042】
1 骨アンカー、3 ヘッド、10 連結装置、20 受け部、21 ロッド受け部、22 ヘッド受け部、24 凹部、24a 底部、25 脚部、32 第1の係合構造、40 ロックリング、44a 第2の係合構造、100 器具。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21a
図21b
図21c
図21d
図22
図23
図24a
図24b
図24c
図25