(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】パウチパックが収容された付け替え容器、パウチパック及び容器体
(51)【国際特許分類】
B65D 77/06 20060101AFI20250409BHJP
【FI】
B65D77/06 H
B65D77/06 L
(21)【出願番号】P 2021038138
(22)【出願日】2021-03-10
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000228408
【氏名又は名称】日本キム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【氏名又は名称】水野 浩司
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 信孝
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博嗣
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-307048(JP,A)
【文献】特開2017-159921(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0247171(US,A1)
【文献】特開2016-159934(JP,A)
【文献】特開2012-214253(JP,A)
【文献】特開2006-182442(JP,A)
【文献】特開2008-273556(JP,A)
【文献】特開2014-001005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00-79/02
B65D 39/00-55/16
B65D 83/00
B05B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注出口を具備したスパウトが取り付けられたパウチパックと、前記注出口に装着される 注出ポンプと、前記パウチパックを付け替え可能に収容する容器体と、を有するパウチパックが収容された付け替え容器において、
前記スパウトには、前記パウチパックが出し入れされる前記容器体の開口部を閉塞する蓋部が形成され、
前記容器体には、前記蓋部を開口部に対して着脱可能に係脱させる係脱手段が設けられ、
前記係脱手段は、前記容器体の開口部を規定する側壁の上端に設けられ、前記容器体の縦方向に沿って切欠溝が形成された複数の逆爪バネ部を有し、前記蓋部を着脱する際、弾性変位しながら前記蓋部を係脱させることを特徴とする付け替え容器。
【請求項2】
前記容器体の開口部を規定する側壁の内側には、前記スパウトの蓋部で前記開口部を閉塞した際、蓋部が前記側壁の端縁と略同一面となるように支持する段部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の付け替え容器。
【請求項3】
前記蓋部は、前記開口部を閉塞する際、前記側壁の端縁に支持されることを特徴とする請求項1に記載の付け替え容器。
【請求項4】
注出口を具備したスパウトが取り付けられたパウチパックと、前記注出口に装着される注出ポンプと、前記パウチパックを付け替え可能に収容する容器体と、を有するパウチパックが収容された付け替え容器において、
前記スパウトには、前記パウチパックが出し入れされる前記容器体の開口部を閉塞する蓋部が形成され、
前記蓋部及び前記容器体には、前記蓋部を開口部に対して着脱可能に係脱させる係脱手段が設けられ、
前記容器体は円筒形状であると共に、前記スパウトの蓋部は円板形状であり、
前記係脱手段は、
前記蓋部の外周縁に径方向に突出する
一対の突部と、
前記容器体の開口部の内縁部の対向する位置に、周方向に沿って形成される円弧状の溝と、
前記円弧状の溝の上壁の一部に形成された切欠部と
を有し、
前記突部を前記切欠部に嵌合させた状態で前記容器体とスパウトを相対回転させ、前記突部と前記円弧状の溝が係合することで前記蓋部を開口部に対して着脱可能に係脱させるよう構成されていることを特徴とする付け替え容器。
【請求項5】
前記切欠部の近傍に形成され、前記円弧状の溝に向けて突出する突起と、
前記蓋部の前記突部に形成され、前記突部と前記円弧状の溝が係合する際、前記突起を乗り越える乗越え突起と、
を有することを特徴とする請求項4に記載の付け替え容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチパックが収容された付け替え容器、そのような付け替え容器に設置されるパウチパック、及び、パウチパックが収容される容器体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチック容器の廃棄やリサイクルに関する環境対応が問題となっており、例えば、シャンプー、液体洗剤、化粧液など(以下、内容物と総称する)を収容したパウチパックを別の外容器体内に設置し、パウチパックの内容物を消費した後は、空のパウチパックを、内容物の入ったパウチパックに付け替えて使用するパウチパック用付け替え容器が普及している。このような付け替え容器は、付け替え作業の容易さ、簡便さが求められており、部品点数はできるだけ少ない方が好ましい。
【0003】
例えば、特許文献1には、筒状の容器体の上部の開口に蓋体を取り付けるパウチパック用の付け替え容器が開示されている。前記蓋体の中央部には、雌螺子を有する開口部が形成されており、この部分にパウチパックのスパウトを螺合して注出口を蓋体から突出させ、この状態で、蓋体を容器体に装着するようになっている。容器体内に設置されたパウチパックの注出口は、蓋体から突出しており、この突出した部分に、内容物を吸引・注出するポンプ体が取り付けられて使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したような付け替え容器及びそれに装着されるパウチパックは、交換時に、容器体から蓋体を取り外すと共に、その蓋体からパウチパックを取り外して新しいパウチパックに付け替え、新しいパウチパックを装着した蓋体を容器体に取り付ける作業が必要となる。このため、付け替え部品点数が多く、付け替え作業が煩雑になるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、部品点数を少なくして付け替え作業が容易に行えるパウチパックが収容された付け替え容器、パウチパック及び容器体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明に係る付け替え容器は、注出口を具備したスパウトが取り付けられたパウチパックと、前記注出口に装着される注出ポンプと、前記パウチパックを付け替え可能に収容する容器体と、を有しており、前記スパウトには、前記パウチパックが出し入れされる前記容器体の開口部を閉塞する蓋部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
上記した構成の付け替え容器では、容器体に対してスパウト付きのパウチパックを付け替える際、スパウトに形成された蓋部で容器体の開口部を閉塞するため、付け替え操作時に容器体から蓋体を取り外し、蓋体にパウチパックを装着する必要がない。すなわち、パウチパックのスパウトに蓋部を形成したことで、付け替え部品点数が少なくなり、付け替え作業を容易に行なうことが可能となる。
【0009】
また、本発明は、容器体に対して付け替え可能に収容され、注出口を具備したスパウトが取り付けられたパウチパックを特徴としており、前記スパウトには、パウチパックを出し入れする前記容器体の開口部を閉塞する蓋部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
このようなパウチパックによれば、付け替え容器に収容されているパウチパックの内容物が無くなったときに、それを取り出して付け替え容器の容器体に対して収容されるものであり、収容する際、スパウトに形成された蓋部がそのまま容器体の開口部を閉塞することから、付け替え作業が容易に行える。
【0011】
また、本発明は、注出口と蓋部を具備したスパウトが取り付けられたパウチパックを付け替え可能に収容する容器体を特徴としており、前記容器体は、前記パウチパックを出し入れすると共に前記蓋部によって閉塞される開口部を備えており、前記開口部には、前記スパウトの蓋部を開口部に対して着脱可能に係脱させる係脱手段が設けられていることを特徴とする。
【0012】
このような容器体によれば、パウチパックを収容する際、スパウトに形成された蓋部がそのまま容器体の開口部を閉塞することから、付け替え作業が容易に行える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、部品点数を少なくして付け替え作業が容易に行えるパウチパックが収容された付け替え容器、パウチパック及び容器体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る付け替え容器の第1の実施形態を示す斜視図。
【
図3】パウチパックのスパウトを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図、(d)は正面図、(d)は底面図。
【
図4】容器体の構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は中央位置における断面図、(c)は主要部の拡大図。
【
図5】パウチパックを容器体に収容する状態を示す図。
【
図7】パウチパックが収容された状態の容器体を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は中央位置における断面図、(c)は主要部の拡大図。
【
図8】容器体に収容されたパウチパックに対して注出ポンプを取り付ける状態を示す図。
【
図9】容器体に収容されたパウチパックに注出ポンプを差し込む状態を示す図。
【
図10】容器体に収容されたパウチパックに注出ポンプが装着された状態を示す中央位置における断面図。
【
図11】容器体に収容されたパウチパックから注出ポンプを取り外す状態を示す図。
【
図12】容器体からパウチパックを取り外す状態を示す図。
【
図13】本発明に係る付け替え容器の第2の実施形態を示す斜視図。
【
図15】パウチパックのスパウトを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は図(b)のA-A線に沿った断面図、(d)は正面図、(e)は側面図、(f)は底面図。
【
図16】パウチパックを付け替えた状態の容器体を示す図であり、(a)は中央位置における断面図、(b)は主要部の拡大図。
【
図17】本発明に係る付け替え容器の第3の実施形態を示す斜視図。
【
図18】スパウトの構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図。
【
図19】本発明に係る付け替え容器の第4の実施形態を示す斜視図。
【
図20】スパウトの構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は図(a)のB-B線に沿った断面図。
【
図21】本発明に係る付け替え容器の第5の実施形態を示す斜視図。
【
図22】容器体の構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は開口部の係脱手段の部分の断面図。
【
図23】スパウトの構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図。
【
図24】注出ポンプが装着されたスパウトの開口部に対する装着手順を示す平面図であり、(a)はスパウトを開口部に係合させた状態を示す図、(b)はスパウトを回動させて固定した状態を示す図。
【
図25】本発明に係る付け替え容器の第6の実施形態を示す斜視図。
【
図26】スパウトの構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は図(a)のC-C線に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明では、注出口を有するスパウトが取着されたパウチパック、スパウトの注出口に装着された注出ポンプ、及び、パウチパックを収容する容器体が一体化された状態を総称して「付け替え容器」と定義する。この場合、パウチパック、注出ポンプ及び容器体の大きさについては限定されることはない。
【0016】
図1から
図12は、本発明に係る付け替え容器の第1の実施形態を示す図である。
図1に示す付け替え容器1は、
図2から
図4に示すパウチパック10及び容器体50を備えている。
【0017】
本発明におけるパウチパック10は、容器体50に対する付け替えタイプとして構成され、本実施形態では、重ね合わせた矩形形状の合成樹脂製のシート状部材10a,10bの周囲(ドットで示す領域)を溶着することで形成されている。溶着することで形成される収容部10Aには、用途に応じて様々な内容物が収容されており、パウチパック10は、内容物が注出されるにしたがって萎むように柔軟性を有し、内容物を使い切った後は、容器体50から取り出されてそのまま廃棄される。
【0018】
本実施形態のパウチパック10は、
図2に示すように、底部を備えた自立袋構造で構成されているが、三方が溶着された三方体構造であっても良いし、左右側面部にマチを有する、いわゆるガゼット体構造としても良い。その場合、内容物が注出され収容部10Aが萎んだ場合であっても、左右側面部のマチによって前記シート状部材10a,10bが密着し難くなり、内容物の流路が確保されやすくなる。
【0019】
収容部10Aの上端縁には、内容物を注出可能とする合成樹脂で形成されたスパウト20が取着されている。スパウト20は、シート状部材10a,10b間に介在されて溶着されるように、断面が略舟形形状に形成された溶着部21と、溶着部21と一体化され、内容物が通過する流路22aが形成された円筒状の注出口22とを備えている。この注出口22の外周面には、雄ネジ部22bが形成されており、この部分に雌ネジ部が形成されたキャップ23が螺合して装着されている。
【0020】
また、前記スパウト20には、パウチパック10が出し入れされる容器体50の開口部50Aを閉塞する蓋部25が一体形成されている。蓋部25は、容器体50の開口部50Aの形状と対応する板状に形成されており、本実施形態では、注出口22の延出方向(軸方向)に対して直交する方向に略菱形形状に形成されている。前記スパウト20は、この板状の蓋部25の中央部の上方側に注出口22が突出形成され、蓋部25の下方側に前記溶着部21が形成されている。
【0021】
前記容器体50は、
図4に示すように、底部51を具備し、断面多角形状で有底の筒型形状に形成されており、その側壁52は、上端に開口部50Aを有すると共に、前記パウチパック10を自立状態にして収容する収容胴部50Bを具備するよう構成されている。この場合、側壁52は、前記スパウト20の蓋部25と同形状で、前記蓋部25の外縁部が開口部50Aの内側に嵌合する大きさに形成されている。
【0022】
なお、容器体50は、底部51を形成することなく、内部を空洞化して側壁52の下縁を設置面として構成しても良いし、側壁52に開口等を形成することで意匠性を向上しても良い。また、前記容器体50を形成する材料は、特に限定されることはないが、例えば、プラスチック成形品とすることで、低コストで製造できると共に、図に示すような形状を容易に成形することが可能である。或いは、化粧品としてのパウチパックを収容するなど、高級感を持たせたい場合には、金属や木材などによって成形しても良いし、部分的にフレーム構造となっていても良い。
【0023】
前記容器体50には、パウチパック10を開口部50Aから挿入した際、蓋部25を開口部50Aに対して着脱可能に係脱させる係脱手段55が設けられている。本実施形態の係脱手段55は、容器体の開口部50Aを規定する側壁52の上端に設けられ、蓋部25を着脱する際、弾性変位しながら蓋部を係脱させる複数の弾性変位部56を有する構成となっている。
【0024】
具体的に、弾性変位部56は、側壁52の上端の対向する位置に一対設けられており、それぞれ開口部50Aの端縁52aから上方に突出する逆爪バネ部として構成されている。すなわち、弾性変位部(逆爪バネ部)56の両側には、縦方向に沿って切欠溝57が形成されて弾性変位部56が外側に倒れるようにしていると共に、弾性変位部の先端の内面側には、係止突起56aが形成されている。これにより、前記蓋部25の両側の端部を係止突起56aに位置付けし、蓋部25を上方側から下降させると、それぞれの弾性変位部56は外側に倒れるように弾性変位し、蓋部25が係止突起56aを通過すると、それぞれの弾性変位部56は、元に戻って蓋部25の上面に当て付いて、蓋部25が外れないように保持する。このとき、開口部50Aは、蓋部25によって閉塞された状態となる。
【0025】
本実施形態では、側壁52の内側に、スパウトの蓋部25で開口部50Aを閉塞した際、蓋部25の表面が側壁52の端縁52aと略同一面となるように支持する段部59が設けられている。この段部59は、例えば、前記切欠溝57に隣接するリブ状の部材として構成することができ、蓋部25の裏面に当て付いて蓋部を支持するようにしている。
【0026】
次に、上記した付け替え容器1の使用方法について、
図5から
図12を参照して説明する。
上記したパウチパック10は、容器体50の開口部50Aを介して容器体の収容胴部50B内に収容される。この収容時では、パウチパック10のスパウト20に形成された蓋部25が開口部50Aに位置付けされ、そのまま下方に押し込むと、前記弾性変位部56の係止突起56aが押圧作用を受け、両側の弾性変位部56が共に外方に倒れ、蓋部25が係止突起56aを通過すると元の位置に戻って蓋部25の上面に当て付き、蓋部25が外れないように保持する。このとき、蓋部25は、段部59に当て付いて支持されると共に、開口部50Aは、蓋部25によって閉塞され(
図6,
図7参照)、蓋部25の表面は、開口部50Aの端縁52aと略面一となる。
【0027】
そして、この状態で注出口22に螺合されたキャップ23を取り外し、注出ポンプ80を注出口に取り付ける(
図8から
図10参照)。
注出ポンプ80は、例えば、注出時において内部に空気を導入することのないエアレスフロータイプのものを用いることが可能である。このようなエアレスフロータイプの注出ポンプ80は、一般的に公知であるため、詳細な構造についての説明は省略するが、付勢力に抗して押圧操作される押圧部81と、パウチパック10のスパウトの注出口22の外周面に形成された雄ネジ部22bに対して固定される円筒部82と、パウチパック10のスパウト20の流路を介して収容部10Aに延出する筒部(注出管)83とを備え、押圧部81を押圧することで、パウチパック内の内容物は、押圧部81に形成された吐出部85から吐出される。
このように、内容物の注出時に空気を流入させないことで、化粧液のような嫌気性の内容物を収容して注出することが可能となる。
【0028】
その後、パウチパックの内容物を消費した後は、注出ポンプ80を注出口22から取り外し(
図11参照)、前記注出口22を摘まんでそのままスパウト20を引き上げることで、前記弾性変位部56は外側に倒れるように弾性変位して空のパウチパック10をスパウト20と共に取り外すことができる(
図12参照)。そして、内容物が充填されたパウチパックを同様な手順で、容器体50に装着することで付け替え操作が完了する。
【0029】
以上のような構成によれば、容器体50を閉塞する蓋部25がスパウト20と一体形成されているため、付け替え容器の部品点数が少なくなり、付け替え作業が容易に行えるようになる。
【0030】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。
なお、以下の実施形態では、上記した実施形態と同一の機能を有する部分には、同一の参照符号を付し、詳細な説明については省略する。
【0031】
図13から
図16は、本発明に係る付け替え容器の第2の実施形態を示す図である。
本実施形態の付け替え容器1は、パウチパック10を付け替える際、スパウト20の蓋部25を、開口部50Aの端縁52a上に設置するように構成されている。蓋部25は、
図14及び
図15に示すように、開口部50Aに嵌合する下側壁25Aと開口部50Aの端縁52a上に設置される上側壁25Bを備えた段差構造となっており、対向する側部の上側壁25Bの一部をそれぞれ切り欠いて凹所25aを形成し、その部分に弾性変位部56の係止突起56aが係合可能となるように構成している。すなわち、本実施形態では、蓋部25を容器体50の開口部に対して着脱可能に係脱させる係脱手段については、容器体50及び蓋部の両方に設けられた構成となっている。
【0032】
このような構成では、パウチパック10を付け替える際、
図13及び
図16に示すように、容器体の弾性変位部56の係止突起56aが凹所25aに係合して、下側壁25Aが開口部50Aに嵌合し、かつ、上側壁25Bの周囲が開口部50Aの端縁52a上に当接した状態となり、蓋部によって開口部50Aが閉塞される。
このような構成では、閉塞時におけるシール性が高まると共に、部品点数を少なくして、付け替え作業を容易に行なうことが可能となる。
【0033】
図17及び
図18は、本発明に係る付け替え容器の第3の実施形態を示す図である。
この実施形態では、容器体50を円筒形状(断面円形状)に構成すると共に、容器体50の開口部50Aを閉塞するスパウト20の蓋部25を円板形状に構成したものである。蓋部25は、上述した第1の実施形態と同様、側壁(円周壁)52の内側に嵌合して、開口部を閉塞するようになっており、側壁52の内面には、蓋部25の表面が側壁52の端縁52aと略同一面となるように支持する段部(図示せず)が設けられている。
【0034】
このような形状の容器体によれば、円板状の蓋部25を、位置に関係なく容器体50の弾性変位部56の係止突起56aに装着することが可能となる(図に示すように、係合位置にマーク25b等を付しておいても良い)。また、上記した実施形態と同様、部品点数を少なくして、付け替え作業を容易に行なうことが可能となる。
【0035】
図19及び
図20は、本発明に係る付け替え容器の第4の実施形態を示す図である。
この実施形態では、第3の実施形態と同様、容器体50を円筒形状に構成すると共に、容器体50の開口部を閉塞するスパウト20の蓋部25を円板形状に構成したものである。また、蓋部25は、第2の実施形態と同様、容器体の弾性変位部56の係止突起56aが変位して凹所25aに係合し、下側壁25Aが開口部50Aに嵌合すると共に、上側壁25Bの周囲が開口部50Aの端縁52a上に当接した状態で、蓋部によって開口部50Aが閉塞されるようになっている。
【0036】
上記した第3の実施形態と同様、本発明は、容器体の形状については、種々変形することが可能であり、それに応じて、スパウト20の蓋部の形状についても種々変形することが可能である。また、蓋部についても、第2の実施形態と同様、開口部50Aの端縁52a上に当接した状態に載置させるなど、種々変形することが可能である。
本実施形態の構成においても、閉塞時におけるシール性が高まると共に、部品点数を少なくして、付け替え作業を容易に行なうことが可能となる。
【0037】
図21から
図24は、本発明に係る付け替え容器の第5の実施形態を示す図である。
上記した実施形態では、蓋部及び容器体に設けられる係脱手段は、スパウト20の蓋部25を、一対の弾性変位部56を広げるように押し付けて係止突起56aに蓋部25の縁部を係止させていたが、本実施形態では、円筒状の容器体50(開口部50A)に対して円板状の蓋部25を相対回転させることで着脱(開口部を開閉)するように構成している。
【0038】
具体的に、本実施形態の係脱手段65は、
図22に示すように、容器体50の開口部50Aの部分を多少厚肉に形成し、その部分の内縁部の2か所に、周方向に沿って円弧状の溝66を対向する位置に形成すると共に、各円弧状の溝66の上壁(容器体の開口部の端縁52a)の一部に切欠部52dを形成している。また、円板状の蓋部25の外周縁には、
図23に示すように、各切欠部52dに入り込むように、径方向に突出する一対の突部25dを形成しており、この突部25dと円弧状の溝66との係合関係で係脱手段65が構成されている。
【0039】
すなわち、パウチパックの容器体に対する取り付けは、スパウトの蓋部25一対の突部25dを切欠部52dに嵌合させ(
図24(a)参照)、その状態でスパウト20(キャップ又は注出ポンプでも良い)を摘まんで矢印方向に回転することで、前記一対の突部25dが、溝66に沿って周方向に移動し(
図24(b))、突部25dが溝66から抜けなくなることで固定するようにしている。この場合、溝66の形成位置、及び、蓋部25の肉厚等は、
図21に示すように、蓋部25が開口部を閉塞した際、その表面が容器体の開口部の端縁52aと略同一面となるように構成されている。
このように、係脱手段65は、スパウトの蓋部25を開口部50Aに対して相対回転して蓋部を開閉するような構成であっても良い。
【0040】
なお、上記したような構成において、
図21及び
図22に示すように、前記切欠部52dの近傍に、円弧状の溝66に向けて突出する突起52eを形成すると共に、前記円弧状の溝66に沿って周方向に移動する蓋部25の突部25dに、蓋部25を回転した際、前記突起52eを乗り越える突起25eを形成しても良い。このような突起52e,25eを容器体50及び蓋部25に形成することで、蓋部25を回転して容器体に固定状態にすると、蓋部25を逆方向に回転させても簡単に外れないようにできるので、使用中、不用意にパウチパックが容器体から外れることを防止することができる。この場合、突起52e,25eの係合関係は、簡単な力で回転操作しても外れることはなく、強めに回転操作した際、乗り越えできる程度に形成しておけば良い。
【0041】
図25及び
図26は、本発明に係る付け替え容器の第6の実施形態を示す図である。
本実施形態では、
図26に示すように、スパウト20の円形状の蓋部25を、第2,第4の実施形態と同様、開口部50Aの端縁52a上に設置するように構成されている。蓋部25は、
図26に示すように、開口部50Aに嵌合する下側壁25Aと開口部50Aの端縁52a上に設置される上側壁25Bを備えた段差構造となっており、下側壁25Aの対向する外周縁に一対の突部25dが形成されている。
【0042】
各突部25dは、
図22に示した容器体50の各切欠部52dに係合させ、スパウト20を回転することで、上記した第5実施形態と同様、スパウト20と容器体を着脱するようにしている。このような構成では、蓋部25を開口部に固定すると、
図25に示すように、下側壁25Aが開口部50Aに嵌合すると共に、上側壁25Bの周囲が開口部50Aの端縁52a上に当接した状態となって、蓋部25によって開口部50Aが閉塞される状態となる。
本実施形態の構成においても、閉塞時におけるシール性が高まると共に、部品点数を少なくして、付け替え作業を容易に行なうことが可能となる。なお、本実施形態においても、
図21及び
図22で示したような突起を形成することで、蓋部を簡単な力で回転操作しても外れないように構成することが可能である。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0044】
例えば、パウチパックの形態や大きさ、スパウトの装着位置などは適宜変形することができ、それに応じて容器体の形状、大きさ等も適宜変形することが可能である。また、注出口に固定される注出ポンプの構成については特に限定されることはなく、1回の押圧で所定量の内容物を吐出するもの、或いは、内容物を霧状に吐出するタイプであっても良く、更には、空気導入タイプの注出ポンプを固定しても良い。また、係脱手段については、蓋部側のみに設けられる構造であっても良く、その構成についても、螺合式にする等、適宜、変形することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 付け替え容器
10 パウチパック
20 スパウト
22 注出口
25 蓋部
50 容器体
50A 開口部
55,65 係脱手段
80 注出ポンプ