(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】誘電体ミラーベースのマルチスペクトルフィルタアレイ
(51)【国際特許分類】
H10F 39/12 20250101AFI20250409BHJP
G02B 5/26 20060101ALI20250409BHJP
G02B 5/28 20060101ALI20250409BHJP
H10F 77/00 20250101ALI20250409BHJP
【FI】
H10F39/12
G02B5/26
G02B5/28
H10F77/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021135733
(22)【出願日】2021-08-23
(62)【分割の表示】P 2020171080の分割
【原出願日】2016-12-28
【審査請求日】2021-09-08
【審判番号】
【審判請求日】2024-06-12
(32)【優先日】2015-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517002764
【氏名又は名称】ビアビ・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Viavi Solutions Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100221556
【氏名又は名称】金田 隆章
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク・イョット・オッケンフス
【合議体】
【審判長】河本 充雄
【審判官】綿引 隆
【審判官】松永 稔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第05/69376(WO,A1)
【文献】特開2013-190580号公報(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0042782(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10F39/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャネルを有するマルチスペクトルフィルタを備える光センサデバイスを製造する方法であって、
基板の上に第1のミラーを堆積させるステップと、
リフトオフプロセスを用いて、前記第1のミラーの上に第1~第4のスペーサ層を堆積させてスペーサを形成するステップと、
前記スペーサの上から第2のミラーを堆積させるステップと
、
を含み、
前記スペーサは、ニオブチタン酸化物を含み、
前記複数のチャネルのうちの1つにおける前記スペーサの厚さは、前記複数のチャネルの他のチャネルにおける前記スペーサの厚さのいずれとも異なり、
前記複数のチャネルの前記スペーサの厚さは、薄い方から順に数えた場合に、等間隔に並ばず、不連続である、
方法。
【請求項2】
前記第2のスペーサ層は、前記第1のスペーサ層の上に堆積される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数のチャネルを有するマルチスペクトルフィルタであって、
基板と、
前記基板の上に堆積された第1のミラーと、
前記第1のミラーの少なくとも一部の上に堆積されたスペーサと、
前記スペーサの上に堆積された第2のミラーとを備え
、
前記スペーサは、ニオブチタン酸化物を含み、
前記複数のチャネルのうちの1つにおける前記スペーサの厚さは、前記複数のチャネルの他のチャネルにおける前記スペーサの厚さのいずれとも異なり、
前記複数のチャネルの前記スペーサの厚さは、薄い方から順に数えた場合に、等間隔に並ばず、不連続である、
マルチスペクトルフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
マルチスペクトル画像データを捕獲するためにマルチスペクトル画像デバイスが利用されることがある。例えば、マルチスペクトル画像化デバイスは、電磁気周波数のセットに関する画像データを捕獲してもよい。マルチスペクトル画像化デバイスは、画像データを捕獲するセンサ素子(例えば、光センサ、スペクトルセンサ、および/または画像センサ)のセットを含んでもよい。例えば、複数の周波数に関する情報を捕獲するためにセンサ素子のアレイを利用することができる。センサ素子アレイの特定のセンサ素子は、特定のセンサ素子に向けられた周波数の範囲を制限するフィルタと関連付けられてもよい。
【発明の概要】
【0002】
いくつかの可能な実施形態によれば、光センサデバイスは、光センサのセットを含んでもよい。光センサデバイスは、基板を含んでもよい。光センサデバイスは、基板上に配置されたマルチスペクトルフィルタアレイを含んでもよい。マルチスペクトルフィルタアレイは、基板上に配置された第1の誘電体ミラーを含んでもよい。スペーサは、層のセットを含んでもよい。マルチスペクトルフィルタアレイは、スペーサ上に配置された第2の誘電体ミラーを含んでもよい。第2の誘電体ミラーは、センサ素子のセットの2つ以上のセンサ素子と整列されてもよい。
【0003】
いくつかの可能な実施形態によれば、光フィルタは、第1の層を含んでもよい。第1の層は、第1の層に向けられた光の一部を反射する第1の誘電体ミラーであってもよい。第1の層は、光センサのセットに関連する基板の上に堆積されてもよい。光フィルタは、第2の層のセットを含んでもよい。第2の層のセットは、第1の層の上にのみ堆積されてもよい。第2の層のセットは、センサ素子のセットに対応するチャネルセットに関連付けられてもよい。チャネルセットのチャネルは、光センサのセットの特定の光センサに向けられた光の特定の波長に対応する特定の厚さに関連付けられてもよい。光フィルタは、第3の層を含んでもよい。第3の層は、第3の層に向けられた光の一部を反射する第2の誘電体ミラーであってもよい。第3の層は、第2の層のセットに関連する複数のセンサ素子のセットの上に堆積されてもよい。
【0004】
いくつかの可能な実施形態によれば、システムは、基板に組み込まれた光センサのセットを含んでもよい。システムは、基板上に堆積されたマルチスペクトルフィルタアレイを含んでもよい。マルチスペクトルフィルタは、光源からの光を部分的に反射するための第1の誘電体ミラーを含んでもよい。第1の誘電体ミラーは、高屈折率の層および低屈折率の層の第1の4分の1波長スタックを含んでもよい。マルチスペクトルフィルタは、光源からの光を部分的に反射するための第2の誘電体ミラーを含んでもよい。第2の誘電体ミラーは、高屈折率の層および低屈折率の層の第2の4分の1波長スタックを含んでもよい。マルチスペクトルフィルタアレイは、第1の誘電体ミラーと第2の誘電体ミラーとの間に配置された複数の高屈折率のスペーサ層を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図2】マルチスペクトルフィルタアレイを有するセンサデバイスの製造プロセス例の図である。
【
図3A】
図2に示すプロセス例に関する実施例の図である。
【
図3B】
図2に示すプロセス例に関する実施例の図である。
【
図3C】
図2に示すプロセス例に関する実施例の図である。
【
図4A】
図2に示すプロセス例に関する他の実施例の図である。
【
図4B】
図2に示すプロセス例に関する他の実施例の図である。
【
図4C】
図2に示すプロセス例に関する他の実施例の図である。
【
図5A】
図2に示すプロセス例に関する他の実施例の図である。
【
図5B】
図2に示すプロセス例に関する他の実施例の図である。
【
図6A】
図2に示すプロセス例に関する他の実施例の図である。
【
図6B】
図2に示すプロセス例に関する他の実施例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の実施例の詳細な説明では、添付の図面を参照する。異なる図面における同じ参照番号は、同一または類似の要素を特定してもよい。
【0007】
センサ素子(例えば光センサ)は、電磁周波数のセットに関する情報(例えばスペクトルデータ)を取得するために光センサデバイスに組み込まれてもよい。例えば、光センサは、特定のセンサ素子に向けられた光のセンサ測定を実行することができるイメージセンサ、マルチスペクトルセンサなどの特定のセンサ素子を含んでもよい。この場合、光センサデバイスは、相補型金属酸化物半導体(CMOS)技術を使用するイメージセンサ、電荷結合素子(CCD)技術を使用するイメージセンサなどの1つ以上のイメージセンサ技術を利用してもよい。光センサデバイスは、それぞれが画像データを取得するように構成される複数のセンサ素子(例えばセンサ素子のアレイ、センサ素子のスーパーアレイ、センサ素子の分散アレイなど)を含んでもよい。加えて、または代わりに、光センサデバイスは、それぞれが異なる波長の光と関連し、画像のセットを取得するように構成されたセンサ素子のセットを含んでもよい。
【0008】
センサ素子は、センサ素子に向かう光をフィルタするフィルタと関連付けられてもよい。例えば、センサ素子は、光センサに向けられた光の一部をフィルタする線形可変フィルタ(LVF)、円形可変フィルタ(CVF)、ファブリ・ペローフィルタなどと並べられてもよい。しかしながら、LVFまたはCVFを使用してフィルタアレイを統合すること、または半導体に関連してフィルタをパターン化することは困難である可能性がある。さらに、マルチスペクトル検出に利用されるフィルタのいくつかのセットは、捕捉可能な情報のスペクトル範囲または捕捉される情報の精度を低下させ得る比較的大きな角度シフト値、比較的小さなスペクトル範囲などと関連付けられ得る。更に、温度などの環境条件は、フィルタにセンサ素子に向けられた光の波長を変化させることによって、センサ素子の操作に影響を与える場合がある。
【0009】
本明細書に記載の実施形態は、マルチスペクトル検出のため、4分の1波長スタックタイプのミラーまたは分布ブラッグ反射タイプのミラーなどの誘電体ミラーを使用する、環境的に耐久性のあるマルチスペクトルフィルタアレイを利用するものであってもよい。このようにして、耐久性が向上し、スペクトル範囲が改善し、温度シフトが改善し、透過率が向上し、および1つ以上の他のタイプのフィルタと比較して低減された角度シフトを有する光センサデバイス用の光フィルタを提供することができる。さらに、1つ以上の他のタイプのフィルタと比較して、半導体ベースのセンサ素子またはセンサ素子アレイ上にフィルタを組み込むことの難しさを低減することができる。
【0010】
図1は、本明細書に記載されている実施例100の概要図である。
図1に示すように、マルチスペクトルフィルタ105は、第1の誘電体ミラー110-1と、第2の誘電体ミラー110-2と、スペーサ120とを含んでもよい。
【0011】
さらに
図1に示すように、第1の誘電体ミラー110-1および第2の誘電体ミラー110-2は、スペーサ120を挟んでもよい。言い換えると、スペーサ120は、第1の誘電体ミラー110-1と第2の誘電体ミラー110-2とをしきい値距離だけ分離させてもよく、および/またはスペーサ120の面は、第1の誘電体ミラー110-1および第2の誘電体ミラー110-2によって少なくとも部分的に囲まれてもよい。いくつかの実施形態では、誘電体ミラー110は、特定の材料に関連付けられてもよい。例えば、誘電体ミラー110は、4分の1波長スタックを形成する誘電体材料の堆積層(例えば、堆積された水素化シリコン層のセットまたは酸化シリコン層)であってもよい。誘電体ミラー110-2は、マルチスペクトルフィルタアレイの各チャネルに関連するセンサ素子アレイの各センサ素子と並んでもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、スペーサ120は、1つ以上のスペーサ層130を含んでもよい。例えば、スペーサ120は、スペーサ層130-1から130-5(例えば誘電体層)のセットを含んでもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の層130の厚さは、特定の波長に対する最小のスペーサの厚さを確保することに関連付けられてもよい。
【0013】
1つ以上のセンサに向けられた842ナノメートル(nm)の波長に関するなどのいくつかの例では、層130-1は、108.5nmの厚さに関連付けられてもよい。このように、スペーサ120は、1つ以上のセンサ素子に向けられるべき光の波長について、誘電体ミラー110の間の最小の分離を確保する。いくつかの実施形態では、1つ以上のスペーサ層130の厚さは、2進数に基づいて関連付けられてもよい。例えば、スペーサ層130-2は、約26.9ナノメートルの厚さと関連付けられてもよく、スペーサ層130-3は、約13.5ナノメートルの厚さと関連付けられてもよく、スペーサ層130-4は、約6.7ナノメートルの厚さと関連付けられてもよく、およびスペーサ層130-5は、約3.4ナノメートルの厚さと関連付けられてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、マルチスペクトルフィルタ105は、センサシステムの光センサデバイスに関連する基板上に堆積されてもよい。例えば、誘電体ミラー110-1は、情報(例えばスペクトルデータ)を捕獲するためのセンサ素子のアレイを含む基板上に(例えば堆積プロセスおよび/またはフォトリソグラフィのリフトオフプロセスによって)堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、スペーサ120は、複数の波長に関連する情報の捕獲を可能にする。例えば、第1のセンサ素子(例えば、裏面照射型光センサまたは正面照射型光センサ)と並べられたスペーサ120の第1の部分は、第1の厚さに関連付けられてもよく、および第2の光センサと並べられたスペーサ120の第2の部分は、第2の厚さに関連付けられてもよい。この場合、第1のセンサ素子および第2のセンサ素子に向かう光は、第1の厚さに基づく第1のセンサ素子の第1の波長と、第2の厚さに基づく第2のセンサ素子の第2の波長とに相当してもよい。いくつかの実施形態では、誘電体ミラー110-1および/または110-2は、センサ素子の大多数、センサ素子のすべてなどの、センサシステムのセンサ素子と整列されてもよい。このようにして、マルチスペクトルフィルタ105は、複数の厚さに関連し、光センサデバイスの複数のセンサ素子と並んだ複数の部分に関連するスペーサ(例えばスペーサ120)を使用する光センサデバイスによるマルチスペクトル検出を可能にする。
【0015】
上に示したように、
図1は、単なる一例である。他の例も可能であり、かつ
図1に関して説明した例と異なってもよい。
【0016】
図2は、
図1に示すマルチスペクトルフィルタ105などのマルチスペクトルフィルタアレイを有する光センサデバイスを製造するためのプロセス例200を示すフローチャートである。プロセス200は、スペクトル測定に関する情報を捕獲するために使用されるマルチスペクトルフィルタアレイを有する光センサデバイスの設計に適用されてもよい。
図3A~
図3Cは、
図2に示す例示的なプロセス200に関する実施例300の図である。
【0017】
図2に示すように、プロセス200は、光センサデバイス上で製造を開始することを含んでもよい(ブロック210)。例えば、
図3Aに参照番号304により示すように、基板306は、基板306に組み込まれたセンサ素子308のセットを含んでもよい。いくつかの実施形態では、基板306は、特定の構成に関連付けられてもよい。例えば、基板306は、シリコンベース基板を含んでもよい。別の例では、基板306は、ガラスベース基板を含んでもよく、およびセンサ素子308は、
図8Aおよび
図8Bに関して本明細書で説明されるように、ガラスベースの基板に結合されるシリコンベースのウエハに配置される。さらに、または代わりに、基板306は、比較的高温条件の下における比較的低い角度シフトに関連付けられたマルチスペクトルフィルタアレイに関連付けられてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、基板306は、センサ素子308のセットによって得られた情報を提供するための1つ以上の導電経路(図示せず)を含んでもよい。例えば、基板306は、基板306が別のデバイスに取り付けられ、およびセンサ素子308のセットから、カメラデバイス、スキャンデバイス、計測デバイス、処理デバイス、マイクロコントローラデバイスなどの他のデバイスにデータを提供することを可能にする導電経路のセットを含んでもよい。いくつかの実施形態では、基板306は、基板材料の複数の層に関連付けられてもよい。例えば、基板306は、層がセンサ素子308のセットを受け取ることに関連付けられた多層基板を含んでもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、基板306は、センサ素子308の特定の類型に関連付けられてもよい。例えば、基板306は、CMOS技術、CCD技術などを覆い、またはそれらに近接する1つ以上のフォトダイオード、センサアレイの1つ以上のセンサ素子に関連付けられてもよい。いくつかの実施形態では、センサ素子308は、裏面照射型光センサのセットを含んでもよい。この場合、基板306は、別の構成と比べてより薄くてもよく、それによって光がシリコン表面を通って光センサに向かうようにすることができる。
【0020】
図2に更に示すように、プロセス200は、光センサデバイスに関連付けられた基板上にマルチスペクトルフィルタアレイの複数の層を堆積させることを含んでもよい(ブロック220)。例えば、
図3Aに参照番号310により更に示すように、第1のミラー構造312が基板306上に堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、第1のミラー構造312は、光センサデバイスのセンサ素子のセットと整列して配置された誘電体ミラーであってもよい。いくつかの実施形態では、第1のミラー構造312は、均一な厚さに関連付けられてもよい。いくつかの実施形態では、第1のミラー構造312は、基板306と第1のミラー構造312との間の中間層の上など、基板306のしきい値近接内に配置されてもよい。言い換えれば、第1のミラー構造312は、必ずしも基板306上に配置されず、基板306と第1のミラー構造312との間の中間層上に配置されてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、ミラー構造312は、誘電体成分などの特定の組成に関連付けられてもよい。例えば、ミラー構造312は、酸化物ベースの材料(例えば、Nb2O5、Ta2O5、TiO2、HfO2などの高屈折率の酸化物、またはSiO2、Al2O3などの低屈折率の酸化物など)、窒化物ベースの材料(例えば、Si3N4)、ゲルマニウムベースの材料、またはシリコンベースの材料(例えば、水素化シリコンベースの材料または炭化シリコンベースの材料など)などを利用してもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、ミラー構造312および/または1つ以上のその他の層は、パルスマグネトロンスパッタリング堆積プロセスを使用して、基板306上に、または別の層上に堆積されてもよい。例えば、コーティングプラットフォームは、選択された材料の屈折率および所望のミラーの波長に基づく厚さのミラー構造312を堆積させることに関連付けられてもよい。同様に、コーティングプラットフォームは、特定の半導体ウエハサイズ(例えば、200ミリメートル(mm)のウエハまたは300mmのウエハ)に関連付けられてもよく、およびパルスマグネトロンを利用して、本明細書に記載の特定の厚さの(例えば、いくつかのスペーサ層ついては5ナノメートル(nm)未満の厚さの、2nm未満の厚さの、または1nm未満の厚さの、およびその他のスペーサ層については5nmより大きい、または100nmより大きいなどのその他の厚さの)層を堆積させてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、スペーサのスペーサ層のセットを堆積させて、ミラー構造312を別のミラー構造から分離してもよい。例えば、
図3Aに参照番号314により更に示すように、空洞の第1のスペーサ層316が、(例えば、パルスマグネトロンスパッタリング堆積プロセスを使用して)ミラー構造312上に堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、第1のスペーサ層316は、パターニング技術に基づいてミラー構造312上に堆積されてもよい。例えば、特定の厚さの第1のスペーサ層316を形成するためにリフトオフプロセスが利用されてもよい。第1のスペーサ層316および/または別のスペーサ層は、ミラー構造312上に全面的に配置されてもよい。例えば、第1のスペーサ層316は、連続した誘電体ミラー上に連続したスペーサ層を形成する1つ以上の別個の部分を含んでもよい。この場合、第1のスペーサ層316および/または1つ以上のその他のスペーサ層は、本明細書に記載の第1のミラー構造312および別のミラー構造を有する全面的な層のセットとして、対応する複数のセンサ素子308の方へ光を向かわせるセンサ素子308のセットと整列した複数のチャネルを形成してもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の、第1のミラー構造312および別のミラー構造に関連する第1のスペーサ層316は、特定のフィルタリング機能を実行することに関連付けられてもよい。いくつかの実施形態では、光源からの所望のスペクトル範囲(例えば、光センサに送られた約380nmから約1110nmの間)または低減された角度シフトについての要望に基づいて、第1のスペーサ層316および/または1つ以上のその他のスペーサ層は、酸化物ベースの材料(例えば、可視スペクトル範囲については、ニオブチタン酸化物(NbTiOx)、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化タンタル、またはこれらの組み合わせなど)、窒化物ベースの材料(例えば、窒化シリコン)、シリコンベースの材料(例えば、650nmより大きいスペクトル範囲については水素化シリコン(SiH)、炭化シリコン(SiC)、またはシリコン(Si))、またはゲルマニウム(Ge)ベースの材料(例えば、赤外のスペクトル範囲について)などを利用してもよい。いくつかの実施形態では、第1のスペーサ層316は、別の材料と比較して角度シフトの低減を達成するために、特定の材料を利用してもよい。例えば、Si-Hベースの材料を利用することにより、二酸化シリコン(SiO2)ベースの材料を使用することに比べて、角度シフトを低減することができる。別の例では、第1のスペーサ層316は、別のタイプの酸化物材料、窒化物材料、またはフッ化物材料などを利用してもよい。いくつかの実施形態では、光源は、特定のスペクトル範囲(例えば、約700ナノメートルから約1100ナノメートルの間)の光を生成してもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、ミラー構造312および/または1つ以上のその他のミラー構造および第1のスペーサ層316および/または1つ以上のその他のスペーサ層は、スペーサ層のセットとミラーのセットとの間の屈折率の比を最大にするように選択されてもよい。例えば、光センサデバイスは、誘電体ミラーの低屈折率の層の材料(890nmにおいて約1.47の屈折率)に対しては二酸化シリコン(SiO2)ベースの材料、および誘電体ミラーの高屈折率の層の材料(890nmにおいて約3.66の屈折率)に対しては水素化シリコン(Si:H)を利用してもよい。同様に、光センサデバイスは、ニオブチタン酸化物(NbTiOx)ベースの材料(890nmにおいて約2.33の屈折率)を利用してもよい。例えば、ミラー構造312および/または1つ以上のその他のミラー構造は、比較的大きなスペクトル範囲を提供するために、二酸化シリコンベースの材料および/または水素化シリコンベースの材料を利用してもよく、および第1のスペーサ層316および/または1つ以上のその他のスペーサ層は、比較的低減された熱シフトを提供するために、水素化シリコンベースの材料、またはニオブチタン酸化物、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化チタン、またはそれらの混合物などを利用してもよい。
【0026】
図3Bに参照番号318により示すように、第2のスペーサ層320は、第1のスペーサ層316の上に堆積されてもよい。例えば、第2のスペーサ層320は、反応性スパッタリングプロセス、パルスマグネトロンスパッタリングプロセス、イオンビーム支援蒸着プロセス、イオンビームスパッタリングプロセス、デュアルイオンビームスパッタリングプロセス、反応性直流スパッタリングプロセス、交流スパッタリングプロセス、高周波スパッタリングプロセス、または原子層堆積プロセスなどを使用して堆積されてもよい。本明細書では、層の堆積の特定の順序に関して説明したが、層の堆積の別の順序が利用されてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、第2のスペーサ120は、第1のスペーサ層316に関する厚さに関連付けられてもよい。例えば、第1のスペーサ層316が第1の厚さt
0に関連付けられている場合、第2のスペーサ層320は、第2の厚さt
1で堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、第2のスペーサ層320は、第1のスペーサ層316の一部の上に堆積されてもよい。例えば、チャネルセットについての所望のスペーサの厚さの配置に基づいて、第1のスペーサ層の表面のサブセット上に第2のスペーサ層を堆積させて、第1のセンサ素子308を第1のスペーサの厚さに関連付けさせ、および第2のセンサ素子308を第2のスペーサの厚さに関連付けさせてもよく、これにより第1のセンサ素子308が第1の波長に関する情報を捕獲することができ、および第2のセンサ素子308が第2の波長に関する情報を捕獲することができるようになる。さらに、または代わりに、第1の層は、堆積されて、センサ素子のセットを覆ってもよく、第2の層は、堆積されてセンサ素子のセットの半分を覆ってもよく、第3の層は、堆積されてセンサ素子の一部を覆ってもよい、などである。スペーサ層のセットのパターニングに関する更なる詳細は、
図4A~
図4Cおよび
図5Aおよび
図5Bに関して説明される。
【0028】
図3Bに参照番号322により更に示すように、第3のスペーサ層324は、第2のスペーサ層320および/または第1のスペーサ層316の上に堆積されてもよい。例えば、第3のスペーサ層324および/または1つ以上の後続のスペーサ層(図示せず)が堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、第3のスペーサ層324(および/または1つ以上のその他のスペーサ層n、ここでnは2以上)は、前の層(例えば、第3のスペーサ層324に対して第2のスペーサ層320)の半分の厚さに関連付けられてもよい。言い換えれば、第3のスペーサ層324は、第2のスペーサ層320の厚さの1/2の厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、第3のスペーサ層324は、第1のスペーサ層316および/または第2のスペーサ層320の一部の上に選択的に堆積されてもよい。例えば、第3のスペーサ層324の第1の部分は、第1のスペーサ層316の一部の上に堆積されてもよく、第3のスペーサ層324の第2の部分は、第2のスペーサ層320の一部の上に堆積されてもよく、これにより、複数のセンサ素子308が複数のスペーサの厚さに関連付けられることができ、および複数の波長に関する情報を捕獲することができる。
【0029】
図3Bに参照番号326により示すように、ミラー構造328が堆積されてもよい。例えば、ミラー構造328は、1つ以上の層(例えば、第1のスペーサ層316、第2のスペーサ層320、第3のスペーサ層324、または別の後続の層)の1つ以上の部分の上に堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、ミラー構造328は、光センサデバイスの光センサ(例えばセンサ素子308)と整列して配置された誘電体ミラーであってもよい。スペーサ層316、320、および324に基づいて堆積されることにより、ミラー構造328は、空洞によってミラー構造312から分離される。このようにして、光は、1つ以上の波長で1つ以上のセンサ素子308の方に向けられてもよい。いくつかの実施形態では、ミラー構造328とスペーサ層324との間に別の層が堆積されてもよい。例えば、1つ以上の機能を行うために、薄膜層などが堆積されてもよい。
【0030】
図3Cに示すように、レンズ330を堆積させる前に、帯域外遮蔽物層のセット332(例えば、パターニングされた遮蔽物を形成する層のセット)が堆積されてもよい。代わりに、反射防止コーティング層のセット334が堆積されてもよい。この場合、
図3Cに示すように、ミラー構造328は、反射防止コーティング層334上に堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の別個のフィルタコーティングを堆積させることができる。さらに、または代わりに、複数の波長、複数のチャネルなどの帯域外の光を抑制するために、単一の遮蔽物が堆積されてもよい。
【0031】
図2に更に示すように、いくつかの実施形態では、プロセス200は、マルチスペクトルフィルタアレイに関連する1つ以上のその他の層を堆積することを含んでもよい(ブロック230)。例えば、本明細書で詳細に説明するように、反射防止コーティングフィルタ(例えば、反射防止コーティング層)、帯域外遮蔽フィルタ(例えば、帯域外遮蔽物層)、高次抑制フィルタ(higher-order suppression filter)などのフィルタは、ミラー構造328上などに堆積されてもよい。
図2に更に示すように、プロセス200は、マルチスペクトルフィルタアレイで光センサデバイスをファイナライズすることを含んでもよい(ブロック240)。例えば、
図3Bに更に参照番号326により示すように、レンズ330のセットがミラー構造328に取り付けられてもよい。例えば、ガラスレンズ、プラスチックレンズなどの特定のレンズ330は、例えば光を収束させ、光を歪ませ、光を方向付け、光が光センサデバイスに入ることができる角度許容値を増加させ、または光センサデバイスのセンサ素子308に向かう光の量を増加させるためなど、対応するセンサ素子308に向けられた光の特性を変更させるために、ミラー構造328に取り付けられてもよい。
【0032】
このようにして、マルチスペクトルファブリペローフィルタアレイは、誘電体ミラーおよび/または4分の1波長スタックを使用して構成されてもよい。さらに、または代わりに、誘電体ミラーの利用に基づいて、異なるタイプのミラーを利用する場合に比べて、比較的大きなスペクトル帯域幅を達成することができる。さらに、または代わりに、ニオブチタン酸化物スペーサ層の使用に基づいて、異なるタイプのスペーサを利用する場合に比べて、マルチスペクトルフィルタアレイの遮蔽範囲を大幅に減少させることなく、比較的低い温度シフトを達成することができる。さらに、または代わりに、パルスマグネトロンスパッタリングプロセスおよび/またはリフトオフプロセスの利用に基づいて、マルチスペクトルフィルタアレイは、製造が過度に困難ではない、半導体基板を有する光センサデバイスに組み込まれてもよい。
【0033】
図2は、プロセス200の例示的なブロックを示すが、いくつかの実施形態では、プロセス200は、追加のブロック、より少ないブロック、異なるブロック、または
図2に示したものとは異なる配置のブロックを含んでもよい。さらに、または代わりに、プロセス200の2つ以上のブロックは、並行して実行されてもよい。上述のように、
図3A~
図3Cは、単なる一例として提供されている。その他の例も可能であり、
図3A~
図3Cに関して説明したものと異なってもよい。
【0034】
図4A~
図4Cは、
図2に示す例示的なプロセス200に関連する実施例400の図である。
図4A~
図4Cは、マルチスペクトルフィルタのフィルタアレイのレイアウトの一例を示す。
【0035】
図4Aに示すように、フィルタアレイ401は、層のセットに関連付けられてもよい。フィルタアレイ401は、16のセンサ素子に対応する16チャネル(例えば光チャネル)を含む4×4のフィルタアレイであってもよい。いくつかの実施形態では、フィルタアレイ401は、
図1の断面図に示された例示のマルチスペクトルフィルタ105に対応する。いくつかの実施形態では、各チャネルは、センサアレイに関連付けられてもよい。例えば、チャネルは、向けられた光に関する情報をチャネルを用いて捕獲することに関連付けられたセンサ素子のセットを有するセンサアレイを含んでもよい。いくつかの実施形態では、各チャネルは、各スペーサ層に対する特定の厚さに関連付けられてもよい。チャネルのスペーサ層のセットの厚さは、チャネルに対応する光センサによって捕獲されるべき情報の所望の波長に基づいて選択されてもよい。いくつかの実施形態では、4×4フィルタアレイ(例えば、または別の次元のフィルタアレイ)は、モザイクパターン(例えば、スナップショットベイヤモザイクパターン)、タイルパターン(例えば、スナップショットタイルパターン)、またはラインパターン(例えば、連続ライン走査パターン、または非連続ライン走査パターン)などの特定のパターニングに関連付けられてもよい。
【0036】
光センサによって捕獲されるスペクトル範囲に基づいて、4×4フィルタアレイのミラーによって挟まれたスペーサ層の厚さは、
tmax=2*(λmax/(4*nref));
tmin=2*(λmin/(4*nref));
と決定されてもよく、ここで、tmaxは、情報が捕獲される最も高い中心波長のためにミラー構造のセットを分離するスペーサ層の合計の厚さを表し、λmaxは、画像データが捕獲される最も高い中心波長を表し、nrefは、スペーサ層の屈折率を表し、tminは、画像データが捕獲される最も低い中心波長のためにミラー構造のセットを分離するスペーサ層の合計の厚さを表し、およびλminは、画像データが捕獲される最も高い中心波長を表す。
【0037】
チャネルセット(例えば、4×4フィルタアレイの16チャネル)を形成するために堆積されるべきスペーサ層の層の数は、
c=2x;
と決定されてもよく、ここで、cは、堆積されたスペーサ層の所与の数xに対して生成されることができるチャネルの最大数を表す。いくつかの実施形態では、スペーサ層の特定の数に対して最大のチャネル数を選択することができる。例えば、4つのスペーサ層の堆積では最大16チャネルが生成されてもよいが、4つのスペーサ層に対して9チャネル、10チャネルなどの別のチャネル数が選択されてもよい。この場合、1つ以上のチャネルは、省略または複製されてもよい。例えば、特定の光センサが、特定の波長に関する画像データを捕獲することについての性能不足に関連付けられる場合、特定の波長に関する情報は、情報の精度を向上させるために、複数のチャネルに関連する複数の光センサによって捕獲されるようにされてもよい。
【0038】
特定のチャネルのスペーサ層の各層の厚さは(例えば、等距離チャネルセットについて)、
t0=tmin;
t1=(c/2)/((c-1)*2*nref)*(λmax-λmin);
tn=tn-1/2;
n=log2(c);
と決定されてもよく、ここで、tnは、第n番目の層の厚さ(例えば、t0は、第1の層であり、t1は、第2の層である)を表し、cは、チャネルセットのチャネルのチャネル数を表す。いくつかの実施形態では、等距離でないチャネルセットが利用されてもよい。例えば、第1の波長セットと、第1の波長セットと不連続である第2の波長セットとに関する情報を得るために、チャネルの不連続なパターニングが選択されてもよい。この場合、tminおよびtmaxは、やはり決定されるが、異なる中間層のセットが選択されてもよい。いくつかの実施形態では、異なるチャネル数が利用されてもよい。さらに、または代わりに、チャネルのパターニングは、共通の厚さを有する複数のチャネルを用いて利用されてもよく、それにより複数の光センサが共通の波長の光に関する情報を捕獲することを可能にする。
【0039】
参照番号402により示すように、フィルタアレイ401は、特定の波長の光を対応する光センサに向かわせるために、各チャネルが特定の厚さに関連する(例えば、第1のミラー構造と第2のミラー構造との間のスペーサ層の)層402、Nを含む。例えば、層402のチャネルの第1のグループは、(例えば、第1のミラー構造の上に、または第1のミラー構造の上に堆積された保護層などの別の層の上に)8*t4の厚さ(ここで、t4は、第4の層の厚さを表す)の層が堆積されていることを示す8*t4の厚さに関連付けられる。同様に、層402のチャネルの第2のグループは、これらのチャネルについては、堆積が行われているが、堆積した材料を取り除くためにリフトオフが使用されていることを示す0*t4の厚さに関連付けられる。
【0040】
図4Aに参照番号404により更に示すように、層404、N+1は、層402の上に堆積されている。層404は、4*t
4の厚さに関連付けられたチャネルの第1のグループと、0*t
4の厚さに関連付けられたチャネルの第2のグループとを含む。いくつかの実施形態では、層404の厚さは、層402の厚さに基づいて選択される。例えば、マルチスペクトルフィルタ(例えば、フィルタ層の二進数列に関連付けられたフィルタ)を製造する場合、層404の厚さは、層402の厚さの半分として選択されてもよい。別の例では、層402と層404との間の別の関係が利用されてもよい。例えば、層404は、層402の厚さの75%であってもよく、および後続の層は、層404の厚さの33%、25%などであってもよい。別の例では、層404は、層402の50%であってもよく、および後続の層は、層404の厚さの33%、または層404の厚さの10%などであってもよい。
【0041】
図4Aに参照番号406により更に示すように、層406、N+2は、層404の上に堆積されている。層406は、2*t
4の厚さに関連付けられたチャネルの第1のグループと、0*t
4の厚さに関連付けられたチャネルの第2のグループとを含む。参照番号408により示すように、層408、N+3は、層406の上に堆積されている。層408は、1*t
4の厚さに関連付けられたチャネルの第1のグループと、0*t
4の厚さに関連付けられたチャネルの第2のグループとを含む。参照番号410により示すように、フィルタアレイ401の層N~層N+3の厚さは、各チャネルの各層の厚さを合計することに基づいて特定される。例えば、二進数列およびフィルタ層の配置に基づいて、各チャネルは異なる厚さに関連付けられてもよく、それにより、対応する各光学センサが異なる波長に関する情報を捕獲することを可能にする。その上にt
1からt
nが配置される層の厚さt
0(例えば、t
min)は、情報(例えば、スペクトルデータ)が捕獲されるべき光の波長に関連してもよい。
【0042】
図4Bに示すように、同様のフィルタアレイ421は、それぞれが1つ以上の厚さに関連付けられている層のセットに関連付けられてもよい。参照番号422により示すように、層422、Mは、8*t
4の厚さに関連付けられたチャネルの第1のグループと、0*t
4の厚さに関連付けられたチャネルの第2のグループとを含む。参照番号424により示すように、層424、M+1は、4*t
4の厚さに関連付けられたチャネルの第1のグループと、0*t
4の厚さに関連付けられたチャネルの第2のグループとを含む。参照番号426により示すように、層426、M+2は、2*t
4の厚さに関連付けられたチャネルの第1のグループと、0*t
4の厚さに関連付けられたチャネルの第2のグループとを含む。参照番号428により示すように、層428、M+3は、1*t
4の厚さに関連付けられたチャネルの第1のグループと、0*t
4の厚さに関連付けられたチャネルの第2のグループとを含む。参照番号430により示すように、層422、424、426、および428の堆積の結果は、フィルタアレイ421のチャネルのセットについての厚さのセットであり、フィルタアレイ421の光学センサが波長セットに関する画像データを捕獲することを可能にする。
【0043】
図4Cに示すように、別のフィルタアレイ441は、フィルタアレイ401およびフィルタアレイ421の4×4の配置ではなく、16チャネルの線形配置を利用してもよい。参照番号442により示すように、層442、Lは、8*t
4の厚さを有するチャネルの第1のグループと、0*t
4の厚さを有するチャネルの第2のグループとを含む。参照番号444により示すように、層444、L+1は、4*t
4の厚さを有するチャネルの第1のグループと、0*t
4の厚さを有するチャネルの第2のグループとを含む。参照番号446により示すように、層446、L+2は、2*t
4の厚さを有するチャネルの第1のグループと、0*t
4の厚さを有するチャネルの第2のグループとを含む。参照番号448により示すように、層448、L+3は、1*t
4の厚さを有するチャネルの第1のグループと、0*t
4の厚さを有するチャネルの第2のグループとを含む。参照番号450により示すように、層442、444、446、および448の堆積の結果は、フィルタアレイ441のチャネルのセットについての厚さのセットであり、光学センサをして波長セットに関する画像データを捕獲させる。
【0044】
上述のように、
図4A~
図4Cは、単なる一例として提供されている。その他の例も可能であり、
図4A~
図4Cに関して説明したものと異なってもよい。
【0045】
図5Aおよび
図5Bは、
図2に示す例示的なプロセス200に関する実施例500の図である。
図5Aおよび
図5Bは、不均一なチャネル間隔を有するマルチスペクトルフィルタのフィルタアレイのレイアウトの一例を示す。
【0046】
図5Aに示すように、フィルタアレイ501(例えば、マルチスペクトルフィルタ)は、等距離でないチャネルレイアウトを利用してもよい。例えば、参照番号502~508により示すように、層502は、10*t
4の厚さを有するチャネルのグループを含んでもよく、層504は、5*t
4の厚さを有するチャネルのグループを含んでもよく、層506は、3*t
4の厚さを有するチャネルのグループを含んでもよく、層508は、1*t
4の厚さを有するチャネルのグループを含んでもよい。参照番号510により示すように、層502、504、506、および508の堆積の結果は、各チャネルに対して等距離ではない厚さのセットである。例えば、チャネル511は、0*t
4の厚さに関連付けられ、チャネル512は、1*t
4の厚さに関連付けられ、チャネル513は、4*t
4の厚さに関連付けられ、およびチャネル514は、3*t
4の厚さに関連付けられる(例えば、2*t
4の厚さに関連付けられたチャネルが除かれている)。このようにして、フィルタアレイ501は、フィルタアレイ501に関連付けられた光センサのセットが、非連続的な波長セット(例えば、波長が等間隔に分離されていない波長セット)に関する情報を捕獲することを可能にする。
【0047】
図5Bに示すように、同様のフィルタアレイ521は、等距離でないチャネル間隔を利用してもよい。例えば、参照番号522~528により示すように、層522は、15*t
4の厚さを有するチャネルのグループを含んでもよく、層524は、4*t
4の厚さを有するチャネルのグループを含んでもよく、層526は、2*t
4の厚さを有するチャネルのグループを含んでもよく、層528は、1*t
4の厚さを有するチャネルのグループを含んでもよい。参照番号530により示すように、層522、524、526、および528の堆積の結果は、等距離でないチャネルのセットに対する厚さのセットである。例えば、チャネル531は、2*t
4の厚さに関連付けられ、チャネル532は、6*t
4の厚さに関連付けられ、チャネル533は、21*t
4の厚さに関連付けられ、およびチャネル534は、17*t
4の厚さに関連付けられる(例えば、厚さ8*t
4~14*t
4のチャネルが除かれている)。チャネル532とチャネル533との間の不連続は、フィルタアレイ521に関連付けられた光センサのセットが、フィルタアレイ521のその他のチャネル間の分離と等しくないスペクトル量によって分離された2つの波長範囲に関する情報を捕獲することを可能にする。
【0048】
上述のように、
図5Aおよび
図5Bは、単なる一例として提供されている。その他の例も可能であり、
図5Aおよび
図5Bに関して説明したものと異なってもよい。
【0049】
図6Aおよび6Bは、
図2に示す例示的なプロセス200に関する実施例600の図である。
【0050】
図6Aに示すように、センサ素子308は、本明細書に記載の光センサデバイスの製造中に基板306に配置されてもよい。本明細書に記載のように、フィルタ層およびスペーサ層のセットがその上に堆積されるガラスウエハ602が提供されてもよい。
【0051】
図6Bに示すように、ガラスウエハ602上に層604のセットを堆積させた後、ガラスウエハ602および層604は、参照番号606により示すように、基板306に結合される。
【0052】
上述のように、
図6Aおよび
図6Bは、単なる一例として提供されている。その他の例も可能であり、
図6Aおよび
図6Bに関して説明したものと異なってもよい。
【0053】
このようにして、光センサデバイスの半導体基板上に統合され、比較的低い角度シフトおよび比較的高いスペクトル範囲を提供し、並びにLVFタイプのフィルタ、CVFタイプのフィルタなどの他のフィルタ構造に比べて環境的に耐久性のある光センサデバイスのためのマルチスペクトルフィルタアレイが製造されてもよい。
【0054】
上述の開示は、図および説明を提供するが、網羅的であることも、実施形態を開示された厳密な形態に限定することも意図しない。変更および変形は、上述の開示に照らして可能であり、または実施形態の実施から取得されてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態は、しきい値に関連して本明細書で説明されている。本明細書で使用されているように、しきい値を満たすということは、しきい値よりも大きな、しきい値よりも多い、しきい値よりも高い、しきい値以上の、しきい値よりも少ない、しきい値よりも低い、しきい値以下の、しきい値と同じ、などの値を指してもよい。
【0056】
特徴の特定の組み合わせが特許請求の範囲において列挙され、および/または明細書に開示されているが、これらの組み合わせは、可能な実施形態の開示を限定することを意図するものではない。実際に、これらの特徴の多くは、具体的に特許請求の範囲に列挙されていない、および/または明細書に開示されていない方法で組み合わせることができる。以下に列挙する各従属請求項は、ただ1つの請求項に直接に従属することができるが、可能な実施形態の開示は、請求項セットの他のすべての請求項と組み合わせた各従属請求項を含む。
【0057】
本明細書で使用される要素、行為、または命令は、明示的に記載されていない限り、決定的または本質的であると解釈されるべきではない。また、本明細書で使用される限り、冠詞「a」および「an」は、1つ以上のものを含むことを意図し、および「1つ以上の」と同じ意味で使用されてもよい。さらに、本明細書で使用される限り、「セット(set)」の用語は、1つ以上のもの(例えば、関連したもの、関連しないもの、関連したものおよび関連しないものの組み合わせなど)を含むことを意図し、および「1つ以上の」と同じ意味で使用されてもよい。1つのもののみが意図されている場合、「1つ(one)」という用語または同様の言葉が使用される。また、本明細書で使用される限り、「有する(has、have、havingなど)」の用語は、無制限の用語であることを意図する。さらに、「に基づいて(based on)」という語句は、明示的に別段の定めがない限り、「少なくとも部分的に基づいて」を意味するものとする。