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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】チャックユニット
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/06 20060101AFI20250409BHJP
   B25B 23/10 20060101ALI20250409BHJP
【FI】
B23P19/06 D
B25B23/10 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021138806
(22)【出願日】2021-08-27
(65)【公開番号】P2023032580
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2024-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安積 慶一
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-174349(JP,A)
【文献】特開2013-107158(JP,A)
【文献】実開昭58-000802(JP,U)
【文献】実開平03-087578(JP,U)
【文献】米国特許第05123158(US,A)
【文献】中国実用新案第207127493(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00-21/00
B25B 23/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結部品に係合可能なドライバビットあるいは前記ドライバビットを内包したスクリューガイドが挿通されるチャック本体を有し、このチャック本体に前記締結部品の保持可能な一対のチャック爪を揺動自在に配するとともに、このチャック爪を常時閉じる方向へ付勢する爪ばねと、前記チャック爪の揺動面に交差しかつ斜め後方に向かって延びるホース取付金具と、このホース取付金具と前記チャック爪との間に配され前記チャック爪の揺動面から離反する方向へ揺動自在な供給パイプと、この供給パイプを前記ホース取付金具と前記チャック爪とを接続する方向へ常時付勢する付勢部材とを備えてなるチャックユニットにおいて、
前記供給パイプには、閉じた前記チャック爪に嵌合する嵌合爪を有する揺動規制部が設けられ、
前記チャック爪の対向面には、ねじを保持する保持穴が分割形成されており、
前記揺動規制部には、前記保持穴の前方を閉鎖する閉鎖部が設けられていることを特徴とするチャックユニット。
【請求項2】
前記揺動規制部は、供給パイプから着脱自在に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のチャックユニット。
【請求項3】
前記チャック本体には、スクリューガイドにより揺動した供給パイプの開口部を封鎖する封鎖部材が装着されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のチャックユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給された締結部品を保持するチャックユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ねじ締め機等において圧送されてきたねじ等の締結部品を一旦保持するチャックユニットとして、先行特許1に開示されたものが知られている。このチャックユニットは、ねじと嵌合可能なドライバビットあるいはこのドライバビットを内包するスクリューガイドを案内するチャック本体を備えており、このチャック本体には、揺動自在に取り付けられた一対のチャック爪と、このチャック爪にねじを供給する供給パイプと供給パイプを常時チャック爪に向かって付勢するねじりコイルばねとが装着されている。このチャックユニットのチャック爪は、その対向面にねじを保持可能な保持穴が形成されており、前記供給パイプは、常時保持穴に連続するとともにドライバビットが保持穴に向かい進行することで、チャック爪の揺動面と離反する方向に揺動するように構成されていた。また、前記チャックユニットには、チャック爪の揺動を規制する為の揺動板が設けられている。この揺動板は、前記供給パイプとねじりコイルばねとの間に設けられており、閉じた前記チャック爪に嵌合する嵌合部と、前記ねじりコイルばねに常時当接する傾斜面と、前記供給パイプに当接する当接部とを備えている。このため、揺動板は、常時ねじりコイルばねにより、チャック爪側に付勢され、かつ供給パイプの揺動に連動して揺動可能となる。また、前記嵌合部の長さは、前記チャック本体を通過する前記スクリューガイドの先端によって前記チャック爪が揺動開始する直前までに当該チャック爪との嵌合を完全に解くように寸法設定されている。この結果、揺動板は、スクリューガイドが保持穴に連続している際、圧送されてきたねじがチャック爪を押し開けて外部へ飛び出すことを規制でき、なおかつスクリューガイドがチャック爪を押し開ける前に規制を解除し、チャック爪を円滑に揺動させることが可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-107158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のチャックユニットに用いられていた揺動板は、上述のようにチャック爪に嵌合する嵌合部と、前記ねじりコイルばねに常時当接する傾斜面と、前記供給パイプに当接する当接部と備えており、これらを供給パイプ等の他の構成部品に合わせて設計する必要があった。また、揺動板は、供給パイプより幅広く構成されており、なおかつ供給パイプと同一の支軸からチャック爪まで伸びる大きい構成であったため、その揺動時の可動範囲が広くなっていた。これらから、従来のチャックユニットは、供給パイプ等の他の部品に合わせて揺動板を設計して、なおかつ当該揺動板と干渉しないよう他の部品を配置する必要があるため、設計が複雑になるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて創生されたものであり、チャック爪の揺動を規制可能かつ容易に設計可能に構成されたチャックユニットの提供を目的とする。この目的を達成するために本発明は、締結部品に係合可能なドライバビットあるいは前記ドライバビットを内包したスクリューガイドが挿通されるチャック本体を有し、このチャック本体に前記締結部品の保持可能な一対のチャック爪を揺動自在に配するとともに、このチャック爪を常時閉じる方向へ付勢する爪ばねと、前記チャック爪の揺動面に交差しかつ斜め後方に向かって延びるホース取付金具と、このホース取付金具と前記チャック爪との間に配され前記チャック爪の揺動面から離反する方向へ揺動自在な供給パイプと、この供給パイプを前記ホース取付金具と前記チャック爪とを接続する方向へ常時付勢する付勢部材とを備えてなるチャックユニットにおいて、前記供給パイプには、閉じた前記チャック爪に嵌合する嵌合爪を有する揺動規制部が設けられていることを特徴とする。なお、前記揺動規制部は、供給パイプから着脱自在に構成されていることが好ましい。また、前記チャック本体には、スクリューガイドにより揺動した供給パイプの開口部を封鎖する封鎖部材が装着されていることが好ましい。さらに前記チャック爪の対向面には、ねじを保持する保持穴が分割形成されており、前記揺動規制部には、前記保持穴の前方を閉鎖する閉鎖部が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明のチャックユニットは、供給パイプにチャック爪の揺動を規制可能な揺動規制部が設けられているため、当該揺動規制部を従来のチャックユニットに使用される揺動板と比して単純かつ小さい構成にできる。このため、本発明のチャックユニットは揺動板を用いた従来のものより、容易に設計可能等の利点がある。なお、揺動規制部が従来の使用される揺動板と比して小さい構成であり、その可動範囲も狭くなるため、狭い場所にも設置できる等の利点も有する。また、チャック爪と当接することで比較的変形、破損し易い揺動規制部が着脱自在に構成されているため、揺動規制部のみを容易に交換可能等の利点もある。さらに、前記チャック本体には、スクリューガイドの先端により揺動した供給パイプの開口部を封鎖する封鎖部材が装着されており、ねじ締め動作中に次段のねじを供給できるため、サイクルタイムが向上する等の利点もある。しかも、揺動規制部に前記保持穴の前方を閉鎖可能な閉鎖部が設けられているため、頭部と軸部の外径の差が小さいねじ等の飛び出し易いねじであっても確実に保持可能になる等の利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係るチャックユニットの構造を示す図面であり、(a)はチャック爪が閉じた状態を示す平面図であり、(b)は、チャック爪が開いた状態を示す平面図である。
図2】本発明に係るチャックユニットの構造を示す側面図である。
図3】本発明に係るチャックユニットの構造を示す図面であり、(a)は供給パイプが揺動する前の状態を示す側面断面図であり、(b)は供給パイプが揺動した状態を示す側面断面図である。
図4】本発明に係る第2のチャックユニットの構造を示す側面図である。
図5】本発明に係る第2のチャックユニットの構造を示す側面図であり、(a)は供給パイプが揺動する前の状態を示す側面断面図であり、(b)は供給パイプが揺動した状態を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。図1ないし図5において10は、供給装置(図示せず)から圧送される締結部品の一例であるねじSを一旦保持するチャックユニットである。このチャックユニット10は、図1に示すようにねじSを吸着保持可能なスクリューガイド60の移動経路上に設置されるチャック本体20と、このチャック本体20に揺動自在に支持される一対のチャック爪30,30と、このチャック爪30,30にねじSを供給する供給パイプ40とから構成されている。
【0009】
前記スクリューガイド60は、前後方向に延びる略円筒状の中空部材であり、その前側開口部の穴径は、ねじSの頭部径より若干大きく構成されている。また、スクリューガイド60の後端部には、エア吸引可能な吸引装置(図示せず)が接続されており、この吸引装置が駆動することでスクリューガイド60は、前記前側開口部にねじSを吸着保持可能に構成されている。さらに、スクリューガイド60の内部には、前記ねじSの頭部に形成される駆動穴(図示せず)と嵌合可能なドライバビット61が挿通されている。このドライバビット61は、その後端部が回転駆動源(図示せず)に連結されており、その回転駆動を受けて、スクリューガイド60内で回転可能に構成されている。しかも、これらスクリューガイド60およびドライバビット61は、往復駆動源(図示せず)に連結されており、この往復駆動源の駆動を受けて、軸方向に往復移動可能に構成されている。なお、前記スクリューガイド60は、クッションばね(図示せず)により常時前方に付勢されており、このクッションばねが撓むことでスクリューガイド60は、ドライバビット61に対して軸方向に相対移動し、その前側開口部からドライバビット61を突出させることが可能に構成される。
【0010】
前記チャック本体20には、前記スクリューガイド60の最大径より大きい穴径の案内穴21が貫通形成されており、この案内穴21は、スクリューガイド60が軸方向に挿通自在に構成されている。このチャック本体20の両側面には、案内穴21を挟むように一対の前記チャック爪30,30が揺動自在に装着されており、このチャック爪30,30は、チャック本体20との間に挟設された爪ばね(図示せず)により、常時前側が閉じるよう付勢されている。このチャック爪30,30の対向面には、前記案内穴21の延長線上に保持穴31が分割形成されている。この保持穴31は、前記ねじSの頭部径より大きい穴径に形成されており、その前方には、ねじSの首部径より大きくかつ頭部径より小さい穴径のガイド穴32が連続している。これにより、チャック爪30,30は、図2(a)および(b)に示すように保持穴31およびガイド穴32の境界部分に頭部座面を当接させてねじSを保持する。また、前記チャック本体20には、前記案内穴21に対して傾斜し、それぞれの延長線が交差する傾斜穴22が形成されており、この傾斜穴22には、前記供給装置から伸びる供給ホース62が接続されるホース取付金具23が設置されている。このホース取付金具23は、ねじSが通過可能に構成された円筒状部材であり、このホース取付金具23と前記チャック爪30,30との間には、前記供給パイプ40が設置されている。
【0011】
前記供給パイプ40もねじSが通過可能に構成された円筒状部材であり、チャック本体20の両側面それぞれに配された止めねじ24,24を支軸として前記チャック爪30,30の揺動面から離反する方向へ揺動可能に装着されている。この供給パイプ40は、常時ホース取付金具23に連通し、なおかつその先端部がチャック爪30,30の保持穴31の後端部に連続するようねじりコイルばね25により付勢されており、このねじりコイルばね25は、その端部が前記止めねじ24,24に巻き付けられている。また、スクリューガイド60の先端には、揺動規制部41が着脱自在に連結されている。この揺動規制部41には、二又の嵌合爪411,411を有しており、この嵌合爪411,411は、前記供給パイプ40が前記案内穴21の延長線上に位置する時、チャック爪30,30の外側側面に当接し、チャック爪30,30が開くことを強制的に規制するように構成されている。この嵌合爪411,411は、前記チャック爪30,30が前記スクリューガイド60に押し開けられる前に当該チャック爪30,30から外れるように寸法設定されている。さらに、この揺動規制部41は、前記嵌合爪411が供給パイプ40の先端より後方側に位置するように固定されている。なお、嵌合爪411は、供給パイプ40が円滑に揺動できるようチャック爪30,30との間に若干の隙間が設けられている。
【0012】
次に、上記のように構成されたチャックユニット10の作用を説明する。
駆動信号が入力されると前記供給装置は、ねじSをチャックユニット10に向けて圧送する。この圧送されたねじSは、前記供給ホース62および供給パイプ40を通じて前記チャック爪30,30の保持穴31まで供給される。この時、嵌合爪411,411がチャック爪30,30に嵌合しているため、ねじSを圧送するための圧送エア、供給パイプ40とチャック爪30との接続箇所等でねじSが方向変換する際の衝撃、および圧送されてきたねじSの頭部座面が前記保持穴31およびガイド穴32の境界部分に接触する衝撃等によってチャック爪30,30が大きく押し開けられることが防止されている。このようにチャック爪30,30の揺動が防止されているため、供給されたねじSは、図3に示すようにその頭部座面を前記保持穴31の先端部に当接させて停止する。結果、ねじSは、頭部が保持穴31にガイドされ、軸部がガイド穴32にガイドされる正しい姿勢でチャック爪30,30の内部に保持される。
【0013】
上述のように保持穴31にねじSが供給された後、前記往復駆動源および前記吸引装置が作動して前記ドライバビット61およびスクリューガイド60をねじSに向かって前進させるとともに、スクリューガイド60の先端からエア吸引を開始する。これにより、前進するスクリューガイド60に押されて前記供給パイプ40がチャック爪30,30の揺動面から離反する方向に揺動する。この時、図5に示すように前記揺動規制部41も供給パイプ40に連動してチャック爪30,30の揺動面から離反する方向に揺動する。これにより、前記嵌合爪411,411がチャック爪30,30から外れ、チャック爪30,30が自在に揺動可能となる。また、前述のように前記嵌合爪411が供給パイプ40の先端より後方側に位置するよう揺動規制部41が固定されており、揺動規制部41の可動範囲が小さくなるため、狭い箇所等への締付可能等の利点も生じる。その後、前記スクリューガイド60が前記保持穴31内に侵入してその前側開口部内にねじSを吸着保持する。この時、前述のようにねじSが保持穴31内に正しい姿勢で保持されるため、スクリューガイド60の先端に確実にねじSを吸着保持することが可能となる。
【0014】
上述のようにねじSを吸着保持したスクリューガイド60は、前記往復駆動源の駆動を受けてさらに前進する。これにより、当該スクリューガイド60が前記チャック爪30,30に接触し、徐々にチャック爪30,30を拡開させる。なお、この時既に嵌合爪411,411はチャック爪30,30から外れており、チャック爪30,30は、円滑に揺動可能であるため、チャック爪30,30を押し開ける過程でのクッションばねの撓みが最小限に抑えられる。結果、スクリューガイド60の前側開口部からドライバビット61が突出し、ねじSが脱落すること等が防止される。その後、チャック爪30,30から突出したスクリューガイド60が被締結部材(図示せず)の表面に当接すると、前記クッションばねが撓み、ドライバビット61のみが前進する。この時、ドライバビット61は、前記回転駆動源の駆動を受けて回転しており、スクリューガイド60内でドライバビット61とねじSが嵌合するため、ねじSは、被締結部材に締結される。しかも、嵌合爪411,411が揺動規制部41に設けられているため、前記ねじりコイルばね25および前記スクリューガイド60等を往復駆動させる往復駆動源以外に別途これらを個別に駆動させる駆動源を備える必要がない。このため、本件チャックユニット10を実装するねじ締め機等の制御部の単純化が望めるという利点がある。
【0015】
上述のように構成されたチャックユニット10は、供給パイプ40の先端に設けられた揺動規制部41により、チャック爪30,30の揺動を規制可能である。また、当該揺動規制部41は、供給パイプ40との連結箇所と二又の嵌合爪411,411とからなる単純な構成であるため、従来のチャックユニットにて使用される揺動板より容易に設計可能になる。また、揺動規制部41は、揺動板より小さく構成されているため、可動範囲が狭くなり、他の構成部品の配置、設計が容易になる等の利点がある。しかも、揺動規制部41が供給パイプ40から着脱自在に構成されているため、変形、破損等した際に揺動規制部41のみを容易に交換可能となる。
【0016】
以下、本発明のチャックユニット10の他の実施形態であるチャックユニット10′を図4に基づいて説明する。
このチャックユニット10′は、その基本構成がチャックユニット10と同一であるが、相違点として、前記チャック本体20にスクリューガイド60が揺動した際、当該スクリューガイド60の先端開口部を封鎖する封鎖部材26が設置されている点および、前記揺動規制部41に前記供給パイプ40が前記案内穴21の延長線上に位置する時、前記チャック爪30,30の保持穴31の延長線上に位置し、保持穴31の前方を閉鎖可能な閉鎖部412が設けられている点がある。この閉鎖部412は、チャック爪30,30の先端までの間隔がねじSの軸方向寸法より短くなり、なおかつ前記保持穴31およびガイド穴32の境界部分までの間隔がねじSの軸部の軸方向寸法より長くなる範囲に配置されている。これにより、ねじSが供給された際、ねじSは、その頭部がチャック爪30,30に挟持されるとともに、ねじSの頭部座面と前記保持穴31およびガイド穴32の境界部分とが当接可能かつ当該当接時、閉鎖部412とねじSの軸部先端との間に若干の隙間が設けられる。また、閉鎖部412は、前記スクリューガイド60がチャック爪30,30から突出する前に保持穴31の延長線上から離脱し、保持穴31の前方を開放するように寸法設定されている。
【0017】
続いて、チャックユニット10′の作用について説明する。
当該チャックユニット10′は、ねじ締め動作時等供給パイプ40がスクリューガイド60によって揺動している状態において、スクリューガイド60の先端開口部が封鎖部材26により封鎖されている。このため、図5の(b)に二点鎖線にて示すように供給パイプ40が揺動している状態に次のねじSを供給することが可能となる。このようにねじ締め動作中に次のねじSを供給できるため、サイクルタイムが向上する。このように、供給パイプ40まで供給されたねじSは、スクリューガイド60が後退し、ねじりコイルばね25の付勢を受けた供給パイプ40が保持穴31に連続することで保持穴31内に供給される。この時、図4に示すようにチャック爪30,30の揺動が嵌合爪411により規制されているため、当該供給時の圧縮エア等によりねじSを付勢して供給することが可能となる。このように圧縮エアによりねじSを付勢することにより、チャックユニット10が何れの方向に向いていてもねじSを保持穴31に供給することができ、例えば、上方に向かい締め付けること等が可能となるとともにサイクルタイムをより向上する。なお、揺動規制部41に設けられた閉鎖部412によって保持穴31の前方が閉鎖されてため、供給されたねじSがチャック爪30,30から抜け出すことが防止される。このため、頭部径と軸部径との差が小さく、頭部座面が保持穴31およびガイド穴32の境界部分から外れ易いねじ等であっても安定して保持可能となるとともに、飛び出したねじがワークに衝突することによるワークの破損等が防止される。さらに、ねじSを供給装置から供給パイプ40まで圧送する時および供給パイプ40から保持穴421に圧送する時、何れにおいても保持穴421の前方が閉鎖部412により、閉鎖されているため、ねじSを圧送するための圧送エアが保持穴421の先端から噴出されてワークに直撃するということが防止される。結果、当該圧送エア内に含まれる塵や水分といった異物の付着が好ましくない電子基板等のワークに対してもねじ締めが可能となる。しかも、閉鎖部412は、前述のようにねじSの頭部座面と前記保持穴31の先端とが当接した時、閉鎖部412とねじSの先端との間に若干の隙間を有するように設定されており、保持穴31にて停止しなかったねじSのみが衝突可能な位置に配置されている。このため、ねじSが外部に飛び出すことを防止する一方、全てのねじSが閉鎖部412に衝突する構成に比べ、閉鎖部412の変形や破損が生じ難く、長期間の使用が可能となる。
【0018】
その後、前記閉鎖部412は、図5に示すように供給パイプ40に連動し、前記スクリューガイド60がチャックユニット10から突出する前にその移動経路上から離脱する。このため、閉鎖部412がスクリューガイド60に干渉することがない。結果、閉鎖部412とスクリューガイド60とが接触し、スクリューガイド60内に保持されるねじSが脱落することや、ねじSの姿勢が崩れること等が防止され、ねじSとドライバビット61との嵌合不良や被締結部材(図示せず)に形成される下穴(図示せず)から位置ずれする等が防止され、ねじ締め精度が向上する。
【0019】
なお、本発明に係るチャックユニット10は、前述したものに限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、本発明は、チャック爪30,30の揺動を供給パイプ40に設けられた前記揺動規制部41により規制する構成であれば、前記チャック本体20にドライバビット61のみが挿通されている構成や、チャック本体20にスクリューガイド60のみが挿通している構成であっても何ら問題無い。また、前記ねじりコイルばね25は、供給パイプ40を前記ホース取付金具23と前記チャック爪30とを接続する方向へ付勢するため、付勢部材の一例であり、その他の構成であっても何ら問題ない。
【符号の説明】
【0020】
10,10′… チャックユニット
20 … チャック本体
30 … チャック爪
31 … 保持穴
32 … ガイド穴
40 … 供給パイプ
41 … 揺動規制部
411 … 嵌合爪
412 … 閉鎖部
60 … スクリューガイド
61 … ドライバビット
S … ねじ
図1
図2
図3
図4
図5