IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ホームテクノ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-スチーマー 図1
  • 特許-スチーマー 図2
  • 特許-スチーマー 図3
  • 特許-スチーマー 図4
  • 特許-スチーマー 図5
  • 特許-スチーマー 図6
  • 特許-スチーマー 図7
  • 特許-スチーマー 図8
  • 特許-スチーマー 図9
  • 特許-スチーマー 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】スチーマー
(51)【国際特許分類】
   D06F 75/14 20060101AFI20250409BHJP
   D06F 75/34 20060101ALI20250409BHJP
   D06F 75/40 20060101ALI20250409BHJP
   D06F 75/18 20060101ALI20250409BHJP
   D06F 87/00 20060101ALI20250409BHJP
【FI】
D06F75/14 Z
D06F75/34
D06F75/40
D06F75/18
D06F87/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021155089
(22)【出願日】2021-09-24
(65)【公開番号】P2023046476
(43)【公開日】2023-04-05
【審査請求日】2024-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗林 正人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕雅
(72)【発明者】
【氏名】高木 均
(72)【発明者】
【氏名】三宅 一也
(72)【発明者】
【氏名】庭山 晃一
(72)【発明者】
【氏名】小俣 汐生
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-185199(JP,A)
【文献】特開平06-098998(JP,A)
【文献】特開昭60-203300(JP,A)
【文献】特開平08-131698(JP,A)
【文献】特開昭56-083399(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0088932(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108642838(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 75/14
D06F 75/34
D06F 75/40
D06F 75/18
D06F 87/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチームを噴出する噴出部と、
使用時に把持する把持部と、
前記把持部を把持していることを検知する把持検知手段と、
前記スチームの噴出/停止の操作を行なう操作体と、
前記把持検出手段および前記操作体と電気的に接続され、前記スチームの噴出を停止させる噴出停止手段と、
前記操作体からの指示に基づいて前記噴出部からスチームを一定時間継続して噴出させる継続噴出手段と、を備え、
前記スチームの噴出中に、前記把持検知手段が前記把持を非検知となった場合に、前記噴出停止手段により前記スチームの噴出が停止されることを特徴とするスチーマー。
【請求項2】
前記継続噴出手段は電磁ポンプを有し、
前記電磁ポンプは、前記噴出停止手段からの信号により、その動作を停止することを特徴とする請求項1に記載のスチーマー。
【請求項3】
前記電磁ポンプに電源を供給する蓄電手段と、
交流電力を直流電力に変換して所定の電圧の電力にし、前記蓄電手段を充放電させる発電装置と、を備えることを特徴とする請求項2に記載のスチーマー。
【請求項4】
前記蓄電手段から前記電磁ポンプへの電力供給を制御する制御装置を備え、
前記制御装置が、前記継続噴出手段および前記噴出停止手段の機能を有していることを特徴とする請求項3に記載のスチーマー。
【請求項5】
前記把持検知手段が前記把持を非検知の場合、前記操作体を操作しても前記スチームが噴出されないことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のスチーマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類などの繊維製品にスチームを継続して噴出可能なスチーマーに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のスチーマーに関し、本願出願人は、例えば特許文献1で従来の機械的なスチーム発生機構に代わって、直流モータを駆動源とした電磁ポンプをスチームアイロンに組み込む考えを提案している。この場合、直流モータへの通断電を繰り返して電磁ポンプを駆動させることにより、気化室の内圧に拘わらず、またアイロン本体がどのような姿勢で使用されても、噴出部からスチームをスムーズに噴出させることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-87592号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記特許文献1の技術では、スチームを継続して噴出させた状態でスチーマーを使用しているときに、スチームの噴出を停止せずにスチーマー本体を置台に載置した場合、スチーマー本体からスチームが噴出し続けるため、置台やスチーマー本体にスチームが付着して濡れる虞、または汚れる虞があった。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑み、従来のスチーム停止操作を行うことなくスチーム噴出を停止可能なスチーマーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスチーマーは、スチームを噴出する噴出部と、使用時に把持する把持部と、前記把持部を把持していることを検知する把持検知手段と、前記スチームの噴出/停止の操作を行なう操作体と、前記把持検出手段および前記操作体と電気的に接続され、前記スチームの噴出を停止させる噴出停止手段と、前記操作体からの指示に基づいて前記噴出部からスチームを一定時間継続して噴出させる継続噴出手段と、を備え、前記スチームの噴出中に、前記把持検知手段が前記把持を非検知となった場合に、前記噴出停止手段により前記スチームの噴出が停止されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、一定時間継続したスチーム噴出中に把持部から手を離すことでスチームの噴出を停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態におけるスチーマーの右側面図である。
図2】同上、スチーマーの右側後方から見た斜視図である。
図3】同上、(A)コード付きでの使用状態を示すスチーマー本体の右側後方から見た部分斜視図、(B)コードレスでの使用状態を示すスチーマー本体の右側後方から見た部分斜視図である。
図4】同上、スチーマー本体の内部構造を示す断面図である。
図5】同上、スチーマー本体の右側前方から見た断面図である。
図6】同上、給電プラグの内部構造を示すプラグユニットの一部切り欠き斜視図である。
図7】同上、置台にプラグユニットを取付けた状態を示す右側前方から見た斜視図である。
図8】同上、スチーマーの電気的な接続の構成を示す回路ブロック図である。
図9】本発明の第2の実施形態におけるスチーマーの、スチーマー本体を左側後方ら見た斜視図である。
図10】同上、スチーマー本体の内部構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好ましいスチーマーの実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、これらの全図面にわたり、共通する部分には共通する符号を付すものとする。
【0010】
図1図8は、本発明の第1の実施形態におけるスチーマーを示している。これらの各図において全体の構成を説明すると、本実施形態のスチーマーは、液体である水を加熱気化してスチームを外部に噴出するスチーマー本体1であり、床面Sに置いた状態で使用される置台3に載置可能な構成となっている。この置台3は、家庭用のコンセント(図示せず)からスチーマー本体1に商用電力を供給するプラグユニット2を備えており、スチーマー本体1はプラグユニット2と着脱可能に構成される。なおプラグユニット2は、スチーマー本体1と置台3の何れにも着脱可能な構成となっており、スチーマー本体1は、プラグユニット2を取付けて使用するコード付き状態と、プラグユニット2を取外して使用するコードレス状態のいずれでも使用可能に構成されている。
【0011】
スチーマー本体1はプラグユニット2を受ける凹状の受電部5が後部に設けられる一方で、加熱手段としてヒータ6を埋設した金属製のベース7を下部に備えている。ベース7は、ダイキャスト成形品によるベース基体8の底面に、掛け面部材となるベースプレート9が具備された構成を有し、ベースプレート9に固着された締結部材10によって、ベース基体8に密着固定される。ベース7の内部には、ヒータ6の近傍に位置して蒸気室すなわち気化室11が形成され、この気化室11に連通する複数のスチーム孔12が、ベース7の下面をなすベースプレート9に開口形成される。また、ベース7は金属板状の上蓋となるスチームカバー13を備え、ベース基体8に取付け固定されたスチームカバー13により、気化室11の上面が形成される。
【0012】
15はベース7の上部から側部を覆うように設けられた樹脂製のカバーであり、16はカバー15の上方に固定して設けられ、側面から見て後端を開放した略U字状に形成された把手である。把手16の内部前方から後方にかけては、液体を貯留するタンクに相当するタンク組立体17が設けられる。タンク組立体17は、何れも樹脂製のタンクカバー18とタンクベース19とにより構成され、タンクカバー18の底面開口を覆うようにタンクベース19を取付け固定することで、タンク組立体17の内部に液体の貯留空間20が形成される。
【0013】
21は、タンク組立体17の前部に設けられ、前述の貯留空間20に直接連通する注水口である。この注水口21に対向して把手16の前部には、注水口21を手動で開閉可能にする注水口蓋22が設けられ、注水口蓋22を手前側に起こして注水口21を開けることで、ここからタンク組立体17内に液体である水を収容したり、タンク組立体17内の不要水を廃棄したりするようになっている。またスチーマー本体1の内部において、タンクカバー18の後方に形成された立壁18Aで貯留空間20と仕切られた上部収容空間23には、タンク組立体17の貯留空間20に収容される水を、ヒータ6で加熱される気化室11に供給するための電磁ポンプ24が配設される。電磁ポンプ24には、タンク組立体17の貯留空間20に連通する吸込管25と、気化室11に連通する吐出管26がそれぞれ接続され、吸込管25は立壁18Aに形成された連結管27に液密状態で連結して、電磁ポンプ24の上部収容空間23から水の貯留空間20に延設される。これにより、電磁ポンプ24とタンク組立体17とが液密状態で連結し、スチーマー本体1がどのような姿勢で使用されても、貯留空間20に収容した水が電磁ポンプ24を配置した把手16の後端の内部の空間に侵入することなく、電磁ポンプ24の動作時に貯留空間20から吸込管25を通して電磁ポンプ24に吸い込んだ水を、吐出管26を通して気化室11に送り出すことが可能となる。
【0014】
本実施形態のスチーマー本体1は把手16の内部前方から後方にかけてタンク組立体17および上部収容空間23が設けられ、タンク組立体17および上部収容空間23が後述する下部収容空間54の上方を覆っているため、タンク組立体17の貯留空間20内の水または空気、および上部収容空間23内の空気がベース7からの熱の伝達を抑制する層の役割を果たし、後述するように把手16の内部に配置される部品、例えば電磁ポンプ24や、後述する第1基板37Aおよび第2基板37Bに搭載される各部品などの温度上昇が抑制できる。ここで電磁ポンプ24の使用環境温度は、電磁ポンプ24が送水を対象としたダイヤフラム式ポンプの場合は、一般的には50℃が使用限度とされており、したがって本実施形態では上部収容空間23内の温度が50℃未満、好ましくは45℃未満になるように構成されている。
【0015】
把手16は、何れも例えばポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ABS樹脂などの樹脂製である、把手ベース28と把手カバー29との二部品で構成され、スチーマー本体1の最上部に位置して、前方から後方に延びる棒状の握り部31が形成される。把持部である握り部31は、スチーマー本体1の腹部32との間に空隙部33を有しており、握り部31の後部には、スチーマー本体1の後部から空隙部33に手を差し入れて、握り部31を手で握ることができるように、握り部31の後部がスチーマー本体1のどの部位にも連結せずに、開放した形状を有する。また、ここでいう腹部32とは、握り部31に対向したスチーマー本体1の平坦状の中央上面部を指すものであり、把手ベース28の基部28Aとして形成される。把手ベース28は、カバー15上に取り付けられるこの基部28Aの他に、基部28Aの前側でU字状に立ち上がる連結部28Bと、前方連結部28Bより後方に延びる延設部28Cと、からなり、延設部28Cを把手カバー29で覆うことで、スチーマー本体1の握り部31が構成される。
【0016】
ここで握り部31の温度の限度は、電気用品安全法に定める「持ち運び用のとっ手」の温度を適用した場合は、基準周囲温度が20℃であるときに金属製、陶磁器製またはガラス製のとっ手は60℃であり、プラスチックなどのその他の材料製では75℃となっているため、75℃が適用される。その一方で、例えば44~50℃は、長時間に亘って皮膚の同一箇所に接触していたときに、その接触している皮膚の下の筋肉などが壊死するために「低温やけど」を負う虞がある比較的低温な温度である。この「低温やけど」を発症するまでの接触時間は、接触箇所の温度が44℃の場合は3~4時間以上、46℃の場合は30分~1時間、50℃の場合は2~3分であると一般的に言われている一方で、接触している人の体調などの身体の状態によっても異なることが知られている。そのため本実施形態の握り部31の温度は、スチーマー本体1の使用時に握り部31を握っている時間を考慮して、50℃未満になるように構成されており、45℃未満になるように構成されるのが好ましい。
【0017】
本実施形態のスチーマー本体1は、コードレスの状態において片手で持つことができる実用性を考慮すると、タンク組立体17への注水量を50mL以上、好ましくは65mL以上として当該タンク組立体17の貯留空間20に水を収容した状態で、スチーマー本体1の重量を0.9kg以下、好ましくは0.8kg以下とし、スチーマー本体1の全長を190mm以下、好ましくは180mm以下として、幅を80mm以下、好ましくは75mm以下とし、全高を150mm以下、好ましくは140mm以下として、軽量、コンパクトに構成している。そのため、把手16の大きさ、すなわち握り部31の大きさを上述の製品寸法内に収める必要がある一方で、握り部31はユーザーが手で握りやすい形状および寸法が求められるため、握り部31の断面外形の寸法は横幅が、例えば29~35mm、好ましくは31~33mmに形成され、握り部31の厚さ方向の幅(以下、縦幅という)が、例えば22~28mm、好ましくは24~26mmに形成されている。また握り部31の断面外形は4つの角部に丸みを持たせて形成されてユーザーが手で握りやすい形状にしており、この断面外形の周長が、例えば101~125mm、好ましくは110~118mm程度になるように構成されている。握り部31の内部の断面空間の寸法は、この断面外形の寸法から外郭を形成している樹脂の材厚、例えば2.0~3.0mmを減じた値になり、例えば握り部31の横幅が32mmで樹脂の材厚が2.5mmの場合、握り部31の内部空間の横幅は、32mm-2.5mm-2.5mmの27mmとなる。
【0018】
スチーマー本体1の上部に位置する握り部31の前側には、手動操作が可能な操作体として、ベース7の温度設定と電源の入・切を兼用する第1操作体としての温度設定/切ボタン35と、スチーム孔12から噴出するスチームの噴出/停止を行なう第2操作体としてのスチームボタン36がそれぞれ配設される。これらの操作用のボタン35,36は、握り部31の内部前方に配置されたプリント基板としての第1基板37Aに搭載される。本実施形態の第1基板37Aおよび後述する第2基板37Bは、ガラス布基材エポキシ樹脂積層材から構成されており、このガラス布基材エポキシ樹脂積層材の使用温度の上限値に関して、電気用品安全法に定める「電気用品に使用される絶縁物」の使用温度の上限値を適用した場合は、120℃となっている。ここで、上述したように握り部31の内部空間の横幅が27mmである場合は、第1基板37Aおよび第2基板37Bを、この握り部31が設けられている把手16内に格納するため、第1基板37Aおよび第2基板37Bの横幅Wが27mm未満に制限され、好ましくは26mm以下に制限される。また後述する基板37に搭載される各部品を、例えばハンダ付けで第1基板37Aおよび第2基板37Bの回路パターンである銅箔に実装する場合、第1基板37Aおよび第2基板37Bのハンダ付けをされる箇所の熱の影響による膨張や収縮を考慮し、このハンダ付けをされるハンダ部の温度を90℃以下に制限している。なお、操作体の数や形式は本実施形態のようなものに限定されず、押動式以外の操作体であってもよい。また、どの操作体にどの機能を割り当てても構わない。
【0019】
第1基板37Aには、温度設定/切ボタン35やスチームボタン36の他に、握り部31の上部前側に設けられ、複数のLEDを並べた表示ランプ38と、電源の入・切およびベース7が設定温度に達したのを音で知らせる報知部としてのブザー42と、スチーマー本体1の負荷となるヒータ6や、電磁ポンプ24や、表示ランプ38や、ブザー42の動作を制御する制御装置40などが搭載される。表示ランプ38は、温度設定/切ボタン35による設定温度や、温度検知手段41が検知したベース7の温度が設定温度に達したか否かを表示したり、またスチーム孔12から噴出するスチームの量の設定を表示したり、スチーマー本体1がコード付きの状態かコードレスの状態かを表示したりするもので、スチーマー本体1の動作状態を表示する表示手段に相当する。また温度検知手段41は、スチーマー本体1の動作状態を表示する温度センサ部として、スチーマー本体1の内部でベース7に取付け固定される。
【0020】
握り部31の内部には、制御用の第1基板37Aよりも後方に位置して、電源用の第2基板37Bが配設される。これらの基板37A,37Bは、配線47によってお互いに電気的に接続される。第2基板37Bには、プラグユニット2からの外部商用電力とは別に、スチーマー本体1の内部で交流電力を直流電力に変換し、所定の電圧の電力にする発電機能を有する発電装置43と、発電装置43で発生した電力を受けて、スチーマー本体1の各部に適切な動作電力を出力する電源回路44と、静電容量式のタッチセンサスイッチ48などが搭載される。なお、スチーマー本体1に組み込まれる基板37A,37Bの数や、どの基板37A,37Bにどの部品を搭載するのかは、特に限定されない。
【0021】
発電装置43は、プラグユニット2からの外部商用電力とは別に、スチーマー本体1の内部で発電機能を有するものであり、プラグユニット2からの外部商用電力を受けて、スチーマー本体1の各部に適切な動作電力を出力する電源回路44と、電源供給用の蓄電手段としての電気2重層コンデンサ45と、当該電気2重層コンデンサ45への急速充電回路としての定電流回路82(図7参照)と、逆流防止用のダイオード84,85(図7参照)と、を主に備えて構成される。そのため、発電装置43が電気2重層コンデンサ45の充放電手段として作用している。
【0022】
電気2重層コンデンサ45から電磁ポンプ24へ電力供給などを制御する制御装置40は、発電装置43から動作電力が与えられると、温度設定/切ボタン35からの操作信号に基づく設定温度と、温度検知手段41からの検知信号に基づくベース7の温度と、後述するゼロクロス回路92からの検知信号に基づくプラグユニット2のスチーマー本体1への接続の有無とにより、表示ランプ38への制御駆動を行なう。また制御装置40は、発電装置43から動作電力が与えられると、温度設定/切ボタン35からの操作信号に基づき電源の入・切を報知するようにブザー42の制御駆動を行ない、また温度設定/切ボタン35からの操作信号に基づく設定温度と、温度検知手段41からの検知信号に基づくベース7の温度とにより、温度表示ランプ38への制御駆動を行なうものである。そして制御装置40は、発電装置43から動作電力が与えられると、スチームボタン36からの操作信号に基づき設定された流量のスチームが、スチーム孔12を通してスチーマー本体1の外部に噴出されるように、電磁ポンプ24の駆動を制御する。このとき電磁ポンプ24は、同じく発電装置43からの動作電力が与えられて、設定されたスチーム流量に応じた動作を行なう構成となっている。
【0023】
ブザー42は、スチーマー本体1の電源の入・切の時や、ベース7が設定温度に達した時や温度低下時、電気2重層コンデンサ45の蓄電量低下時に音で知らせるものであり、例えば停電発生時やスチーマー本体1の受電部5からプラグユニット2が切り離されたときなど、スチーマー本体1への商用電力の供給が停止したときに、例えば「ピッ」と1回報知し、停電復帰時や、スチーマー本体1の受電部5にプラグユニット2を差し込んで嵌合させたときなど、スチーマー本体1への商用電力の供給が開始されたときに、例えば「ピッピッピッ」と3回報知して、スチーマー本体1への商用電力の供給の停止時と開始時に異なるブザー報知を行なっている。そのためユーザーは、より容易にスチーマー本体1への商用電力の供給の停止、開始を知ることができる。またブザー42は、例えば電気2重層コンデンサ45の蓄電量の低下に応じて、例えば「ピー」→「ピーピッ」→「ピーピーピッ」などブザー報知を変化させており、電気2重層コンデンサ45の蓄電量が低下していることをユーザーがより容易に把握することができ、スチーマー本体1をコードレスで使用しており、電気2重層コンデンサ45からの電力でスチーマー本体1の各部が動作しているときに、電気2重層コンデンサ45の蓄電量の低下およびスチーマー本体1への商用電力の供給が必要なタイミングを容易に把握することができる。
【0024】
タッチセンサスイッチ48は、ユーザーが握り部31を手で握ったときに、その手とタッチセンサスイッチ48の電極との間に発生する静電容量を計測することによりユーザーの握り部31への接触/非接触を検知するものであり、本実施形態では、電極を備えたタッチセンサ本体48Aと、当該電極と電気的に接続された導体のスプリング部48Bと、を有して構成される。スプリング部48Bは、一方の端部がタッチセンサ本体48Aに接続され、他方の端部48Cが渦巻き状に広げられており、導体であるスプリング部48Bがタッチセンサ本体48Aの電極と把手カバー29の接触場所Pとの間に介在するようにタッチセンサスイッチ48が配置される。また端部48Cと把手カバー29との接触場所Pにおける接触面積を増加させることで、接触場所Pにユーザーの手が接触していない非接触状態と手が接触している接触状態との静電容量の差を増加させて、感度を向上させている。したがってタッチセンサスイッチ48は、ユーザーが把持部である握り部31を把持していることを検知する把持検知手段としての機能も有している。
【0025】
なお本実施形態では、接触場所Pが握り部31の上面に配置されているが、本発明ではこれに限定されず、ユーザーが握り部31を把持するときにタッチセンサスイッチ48がユーザーの握り部31への接触/非接触を検知するような構成であればよく、例えば接触場所Pを握り部31の下面や側面に配置して、その配置に合わせてタッチセンサスイッチ48を配置してもよい。また端部48Cと接触する把手カバー29の接触場所Pにおける厚さを薄くし、または接触場所Pの材質を、例えばアクリルやガラスなどの比誘電率の高い素材にすることで、タッチセンサスイッチ48の感度をさらに向上させてもよい。そして把手カバー29の接触場所Pの材質、または外面側の色を変更することにより、ユーザーにタッチセンサスイッチ48の位置を案内し、その場所を手で握る目印にしてもよい。
【0026】
タンク組立体17から気化室11に至る液体の通路46には、前述の吸込管25や吐出管や連結管27を含む電磁ポンプ24が組み込まれる。電磁ポンプ24は、タンク組立体17から気化室11に水を供給すると共に、温度設定/切ボタン35やスチームスイッチ39で設定されたスチーム流量に応じて、気化室11に供給する水の流量を可変する液体供給部として、スチーマー本体1内部の上部収容空間23に配設される。
【0027】
この場合、後述するマイコン87が温度検知手段41からの検知信号に基づくベース7の温度に従い、ベース7が液体の気化温度よりも高い場合には電磁ポンプ24への通断電を繰り返すように、制御装置40が電磁ポンプ24を駆動制御することで、タンク組立体17から気化室11に所定量の水を送り出すことが可能となり、電磁ポンプ24からの送水量、ひいてはスチーム孔12からのスチーム流量は、電磁ポンプ24への通断電のタイミングを変えることで任意に増減できる。一方、ベース7が液体の気化温度よりも低い場合には、マイコン87が電磁ポンプ24を駆動停止するように制御している。
【0028】
スチーマー本体1の内部において、タンク組立体17の底面を形成するタンクベース19と、ヒータ6で加熱されるベース7の上面との間には、スチームカバー13の上面に載置された温度検知手段41などをカバー15で覆って収容する下部収容空間54が形成される。タンクベース19とベース7との間の下部収容空間54には、カバー15の上面が遮熱部15Aとして介在しており、図5に示すようなベース7の底面を水平に向けた状態、すなわちスチーマー本体1を水平にした状態で、電磁ポンプ24や、基板37A,37Bに搭載される各部品、例えば発電装置43などは、何れもタンクベース19や下部収容空間54よりも上方の高い位置に配置される。
【0029】
本実施形態では、カバー15内に配設される、ベース7および下部収容空間54で第1の空間56を構成し、また把手16内に配設される、タンク組立体17内の空間と、上部収容空間23と、握り部31内の空間と、で第2の空間57を構成しており、そのためタンクベース19や、上部収容空間23下方の壁や、受電部5が第1の空間56の外郭として作用している。また基部28A、連結部28B、延設部28Cが外郭として作用して、第2の空間57の下部に空隙部33が形成され、この空隙部33は外気が連通する外気連通空間として作用している。そのため、第1の空間56内の熱が第2の空間57内の部品に干渉することを抑制し、また第2の空間57内の熱が第1の空間56内の部品に干渉することを抑制する構成となっている。
【0030】
具体的には、把手16の内部前方から後方にかけてタンク組立体17および上部収容空間23が設けられ、タンク組立体17および上部収容空間23が下部収容空間54の上方を全部覆っており、タンク組立体17の上方に空隙部33が形成されているため、第1の空間56下部と第2の空間57上部との両方で空気層および水の層が形成され、タンク組立体17の貯留空間20内の水および空気と、上部収容空間23内の空気と、空隙部33に連通している外気と、下部収容空間54内の空気と、が熱を遮断する層の役割を果たし、第1の空間56内で発生したベース7からの熱が、第2の空間57内の握り部31の内部に配置される基板37に搭載される各部品や、上部収容空間23の内部に配置される電磁ポンプ24に干渉することを抑制し、これらの部品の温度上昇が回避できる。そのため上述したように、一般的には50℃が使用限度とされる電磁ポンプ24を上部収容空間23に格納することにより、電磁ポンプ24の使用温度の上限値を設計保証することができる。また、下部収容空間54にはカバー15の遮熱部15Aも配置されるため、この遮熱部15Aもベース7からの熱を効果的に遮断して、電磁ポンプ24や基板37に搭載される各部品の温度上昇を一層回避できる。第1の空間56内には、蒸気発生手段としての気化室11およびヒータ6を備えているベース7が格納されており、気化室11内に送り込まれた水をヒータ6で加熱された気化室11で気化させるためにベース7の温度は高温となり、そのため第1の空間56の温度が第2の空間57と比較して高温になるが、このような構成により、第1の空間56内の温度上昇による熱が第2の空間57内の各部品に極力影響されないように構成されており、第2の空間57内の各部品の温度上昇を抑制できるようにしている。
【0031】
図7および図8を参照してプラグユニット2および置台3の構成を説明すると、プラグユニット2は、可撓性の電源コード61と、電源コード61の基端に設けられる給電プラグ62と、を主な構成要素とする。図示しないが、電源コード61の先端には、家庭用のコンセントに挿抜が可能な電源プラグが設けられる。給電プラグ62は、何れも樹脂製であるプラグ基台63とプラグカバー64とを外郭部材とし、プラグカバー64の下面開口をプラグ基台63で塞ぐ構成となっている。本実施形態では、電源コード61付きの給電プラグ62を、スチーマー本体1と置台3の何れにも着脱できる構成となっている。
【0032】
給電プラグ62には、手動操作で給電プラグ62をスチーマー本体1の凹状の受電部5に嵌合可能または嵌合不可能にするコードレス切換スイッチ65が設けられる。コードレス切換スイッチ65は、給電プラグ62の上面側で前後に摺動可能に設けられており、図8に示すような給電プラグ62を置台3に装着した状態では、プラグユニット2をスチーマー本体1から取り外したコードレスの状態で、スチーマー本体1を使用するために、コードレス切換スイッチ65を一側前方に動かして、スチーマー本体1と給電プラグ62との嵌合を解除する。これに対して図3に示されるように、置台3から給電プラグ62を取り外し、プラグユニット2をスチーマー本体1に取り付けたコード付きの状態で、スチーマー本体1を使用するためには、コードレス切換スイッチ65を他側後方に動かして、スチーマー本体1と給電プラグ62とを嵌合させる。このとき、給電プラグ62の前側部分はスチーマー本体1の受電部5に装着されるが、コードレス切換スイッチ65を含む給電プラグ62の後側部分は、受電部5に囲まれることなく露出し、ユーザーが何時でもコードレス切換スイッチ65を手動操作できるようになっている。スチーマー本体1の受電部5には、プラグユニット2の給電端子66と電気的に接続が可能な一対の受電端子67が設けられる。
【0033】
置台3は、スチーマー本体1の前方を斜め上方向に向けて載置するために、床面Sに対して傾斜して形成された本体載置部69と、本体載置部69の後方に設けられる凹状のプラグ収容部70と、置台3の後部に設けられ、給電プラグ62をプラグ収容部70に装着したときに、置台3の外部に電源コード61を引き出すコード引出部71と、を備えている。給電プラグ62をプラグ収容部70の開放した前側から差し込むと、給電プラグ62がプラグ収容部70に嵌合保持される一方、この状態から給電プラグ62を前側に向けて引抜くと、給電プラグ62とプラグ収容部70との嵌合が解除される構成となっている。
【0034】
給電プラグ62は、前述したコードレス切換スイッチ65の他に、嵌合爪73と、シャッター部材74とを備えている。嵌合爪73は、給電プラグ62の内部に設けたスプリングなどの第1弾性部材75により、給電プラグ62の上面部から突出するように常時付勢される。この第1弾性部材75の付勢に抗して、コードレス切換スイッチ65を一側前方の「コードレス」側に動かすと、給電プラグ62の上面部からの嵌合爪73の突出長を少なくする構成となっている。これにより、コードレス切換スイッチ65が「コードレス」側にある場合は、給電プラグ62の上面部からの嵌合爪73の突出長が僅かになるため、前述のように給電プラグ62を置台3のプラグ収容部70に収容保持すれば、嵌合爪73に干渉することなく、置台3の本体載置部69に載せたスチーマー本体1の受電部5を、給電プラグ62に抜き差しできるようになり、スチーマー本体1をコードレスで使用することが可能となる。
【0035】
一方、コードレス切換スイッチ65を他側後方の「コード付き」側に動かすと嵌合爪73には第1弾性部材75の付勢力だけが作用するため、給電プラグ62の上面部からの嵌合爪73の突出長が、「コードレス」の場合よりも増加する。したがって、コードレス切換スイッチ65が「コード付き」側にある場合に、スチーマー本体1の凹部5を給電プラグ62に差し込むと、第1弾性部材75の付勢力により大きく突出した嵌合爪73が、受電部5に形成した受け部(図示せず)に嵌合し、コードレス切換スイッチ65を「コードレス」側に切換えない限り、スチーマー本体1をプラグユニット2が装着したままのコード付きで使用することが可能となる。
【0036】
樹脂製のシャッター部材74は、給電プラグ62の前方に開口形成した一対の給電孔76から、給電プラグ62の内部に設けられた導電性の給電端子66が何れも露出しない方向に、同じく給電プラグ62の内部に設けられたトーションバネなどの第2弾性部材(図示せず)で常時付勢される。そしてスチーマー本体1をコードレスまたはコード付きの何れで使用する場合にも、スチーマー本体1の凹部5を給電プラグ62に挿入すると、給電孔76から給電端子66が露出するように、第2弾性部材の付勢力に抗してシャッター部材74が回動し、スチーマー本体1の受電端子67が、給電プラグ62の給電孔76を挿通して給電端子66に接触する。これにより、家庭用のコンセントからプラグユニット2を介してスチーマー本体1への給電が可能となる。したがって、電源供給手段としての給電プラグ62の接点用開口部である一対の給電孔76をシャッター部材74で遮蔽することにより、スチーマー本体1を置台3に載置する前にスチーマー本体1のスチーム孔12からスチームが噴出された場合でも、給電プラグ62内へのスチームの侵入を防止することができ、給電プラグ62内での電極間の絶縁性を確保でき、また接点や導電板の腐食の虞を抑制することができる。
【0037】
図9は、本実施形態のスチーマーの電気的な接続の構成を示す回路ブロック図である。同図において、81は例えば商用電源などの交流(AC)電源であり、この交流電源81から供給される交流電力が、プラグユニット2および受電部5を介して、ヒータ6や、発電装置43の電源回路44に印加され、電源回路44がこの交流電力を整流平滑して直流電力に変換し、この直流電力を電磁ポンプ24や制御装置40に供給する構成となっている。
【0038】
発電装置43の接続を説明すると、電源回路44の一対の入力端子と、ヒータ6および制御装置40のリレー回路89の直列回路とが、受電部5に並列に接続される。電源回路44の出力端子にはダイオード84のアノードが接続され、ダイオード84のカソードに、例えば制御装置40のマイクロコンピュータ(マイコン)87や電磁ポンプ24などのスチーマー本体1の各部が接続される。また電源回路44の別の出力端子には、定電流回路82およびダイオード85の直列回路が接続され、ダイオード84およびダイオード85のカソード同士が接続される。そして定電流回路82の出力側およびダイオード84のアノードの接続点と、接地ラインGLとの間に、蓄電装置としての電気2重層コンデンサ45が接続される。なお、本実施形態では蓄電装置として電気2重層コンデンサ45を採用しているが、アルミ電解コンデンサなどの他のコンデンサを使用してもよく、また二次電池を用いてもよい。
【0039】
電源回路44は、交流電源81から供給される電力をプラグユニット2経由で受け、基板37に搭載された表示ランプ38や、ブザー42や、制御装置40の各部に、それぞれを動作させるに必要な動作電力を送り出すと共に、電磁ポンプ24にも動作させるのに必要な動作電力を送り出すものである。定電流回路82は、電源回路44から供給された電力により電気2重層コンデンサ45を急速充電するものであり、この定電流回路82が出力する電流を制御する制御ICなどの制御部82Aを備え、この制御部82Aが定電流回路82の出力電圧を監視して、この出力電圧がある電圧の値を超えると、所定の電流値で電圧が出力されるように定電流回路82を制御している。
【0040】
電気2重層コンデンサ45は定電流回路82からの出力電力を充電してスチーマー本体1の各部に電力を供給するものである。ここで第2基板37Bへ電気2重層コンデンサ45を実装した状態で、当該第2基板37Bを把手16内に格納する場合、電気2重層コンデンサ45の高さが可能な限り低いことが好ましい。その一方で、コードレス状態でスチーマー本体1を使用する場合、電磁ポンプ24や温度表示ランプ38やブザー42を駆動する電力用に蓄電量を確保する必要があるため、電気2重層コンデンサ45が大型化してしまい、上述した握り部31の断面外形の寸法を有する把手16内に格納できなかった。そこで本実施形態では、電気2重層コンデンサ45を複数である2個に分割し、把手16の長手方向、すなわち握り部31の長手方向に連なる配置にして、上面視で竹を継いだような状態になるようにし、また直列に接続している。このように構成することにより、電気2重層コンデンサ45の幅および高さを抑制でき、把手16内に格納できるようにしている。なお、電気2重層コンデンサ45の数は2個に限定されず、1個または3個以上でもよい。また電気2重層コンデンサ45の使用環境温度は、一般的に-20~70℃、または-45~85℃である一方で、電気2重層コンデンサ45の温度が高いときには蓄電性能に影響が出てしまうことが知られている。そのため本実施形態では、電気2重層コンデンサ45の周囲温度が70℃未満、好ましくは65℃未満になるように構成され、基板37において、この電気2重層コンデンサ45や、当該電気2重層コンデンサ45の充放電回路としての発電装置43が搭載される場所のハンダ部の温度が90℃未満、好ましくは85℃未満になるように構成される。
【0041】
スチーマー本体1にプラグユニット2からの商用電力が供給されているときには、電源回路44からの直流電力を定電流回路62に供給し、その定電流回路62の出力電力が電気2重層コンデンサ45に充電され、スチーマー本体1にプラグユニット2からの商用電力が供給されていないコードレスの状態のときには、電気2重層コンデンサ45からの電力が、ダイオード64のカソードに接続されたスチーマー本体1の各部に供給されるように構成される。
【0042】
制御装置40は、スチーマー本体1の制御手段としてのマイコン(マイクロコンピュータ)87と、電磁ポンプ24を駆動させるスイッチング素子88と、ヒータ6をON/OFFさせるリレー回路89と、温度設定/切ボタン35やスチームボタン36からの操作信号をマイコン87に送信するSW(スイッチ)回路90と、表示ランプ38をON/OFFさせるLED回路91と、受電部5に印加される交流電圧を検知してマイコン87に送信するゼロクロス回路92と、ブザー42をON/OFFさせる報知回路93と、を主に備えて構成される。
【0043】
温度検知手段41はマイコン87の入力側に接続されており、上述したようにベース7の温度を検知してマイコン87に送信している。またタッチセンサスイッチ48もマイコン87の入力側に接続されており、上述したようにユーザーの握り部31への接触/非接触を検知してマイコン87に送信している。スイッチング素子88は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)などで構成され、電磁ポンプ24と接地ラインGLとの間に接続される。また制御端子となる例えばIGBTのゲートにマイコン87が接続され、マイコン87の出力側から、例えばPMW(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御信号などのパルス駆動信号が送出されて、スイッチング素子8のスイッチング動作に伴い発電装置43から電磁ポンプ24への直流電力を断続させて、電磁ポンプ24を駆動させている。
【0044】
SW回路90は、温度設定/切ボタン35およびスチームボタン36と、マイコン87の入力側との間に接続され、温度設定/切ボタン35やスチームボタン36が操作されると、その操作信号をマイコン87に送信するものである。またLED回路91は、マイコン87の出力側と、表示ランプ38との間に接続され、マイコン87の制御信号に従い表示ランプ38のON/OFFを行なうものである。そしてリレー回路89は、マイコン87の制御信号に従いヒータ6のON/OFFを行なうものであり、リレー回路89に含まれるリレーの一次側にマイコン87の出力側が接続され、このリレーの二次側にヒータ6が接続されている。
【0045】
ゼロクロス回路92は、受電部5からの高出力である交流電力からリレー回路89のリレーの接点を保護するために受電部5に印加される交流電圧を検知してマイコン87に送信するものであり、リレー回路89および受電部5の接続点と、マイコン87の入力側との間に接続される。マイコン87は、ゼロクロス回路92からの検出信号に基づき、リレー回路89のリレーに印加される電圧が0VのときにこのリレーのON/OFFが行なわれるように制御信号を送出している。またゼロクロス回路92は、電源コード61を通して受電部5経由で給電される交流電圧の電力波形を検知し、スチーマー本体1に商用電力が給電されているかどうかを検知する停電検知手段や、給電されているかどうかによりプラグユニット2と受電部5とが電気的に接続したかを検知し、スチーマー本体1がコード付きの状態かコードレスの状態かを検出する接続検知手段としての機能も有し、マイコン87は、ゼロクロス回路92からの検知信号に基づき、この電力波形の有無によりプラグユニット2の接続の有無や商用電力からの給電の有無を検出するように構成される。
【0046】
報知回路93は、マイコン87の出力側と、ブザー42との間に接続され、マイコン87の制御信号に従いブザー42のON/OFFを行なうものである。なお報知回路93が、マイコン87の制御信号に従いブザー42の音声や音色を変更するように構成されている。
【0047】
制御装置40は、発電装置43から動作電力が与えられると、温度設定/切ボタン35からの操作信号に基づく設定温度と、温度検知手段41からの検知信号に基づくベース7の温度とにより、温度表示ランプ38への制御駆動を行なう。また制御装置40は、発電装置43から動作電力が与えられると、温度設定/切ボタン35からの操作信号に基づき電源の入・切を報知するようにブザー42の制御駆動を行ない、また温度設定/切ボタン35からの操作信号に基づく設定温度と、温度検知手段41からの検知信号に基づくベース7の温度とにより、温度表示ランプ38への制御駆動を行なう。そして制御装置40はタイマーなどの図示しない計時手段を有しており、発電装置43から動作電力が与えられると、ユーザーの握り部31への接触をタッチセンサスイッチ48からの検知信号で検出しているときに、スチームボタン36からの操作信号に基づき設定された流量のスチームが、スチーム孔12を通してスチーマー本体1の外部に、60秒などの一定時間だけ継続して噴出されるように電磁ポンプ24の駆動を制御する。このとき電磁ポンプ24は、同じく発電装置43からの動作電力が与えられて、設定されたスチーム流量に応じた動作を行なう構成となっている。したがって制御装置40および電磁ポンプ24は、タンク組立体17の貯留空間20からの水を、吐出管26および液体の通路46を通して気化室11に送り出し、スチーム孔12からスチームを一定時間継続して噴出させる継続噴出手段としての機能を有し、また制御装置40は、電磁ポンプ24の動作を停止させて気化室11への水の送出を停止することによりスチームの噴出を停止させる噴出停止手段としての機能も有している。
【0048】
次に、上記構成のスチーマーについて、その動作を説明する。スチーマー本体1に設けられた注水口蓋22を開閉して、所定量の水をタンク組立体17の貯留空間20に収容する。続いて、置台3のプラグ収容部70にプラグユニット2の給電プラグ62を嵌合収容し、その置台3の本体載置部69にスチーマー本体1を載置するか、或いは置台3を用いずに、スチーマー本体1の受電部5に給電プラグ62を差し込んで嵌合させて、家庭用のコンセントから供給される商用電力を、給電プラグ62を介してスチーマー本体1に給電する。ここで、スチーマー本体1をコードレスで使用する場合は、プラグユニット2のコードレス切換スイッチ65を一側前方の「コードレス」側に動かし、給電プラグ62の上面部からの嵌合爪73の突出長を少なくし、スチーマー本体1をコード付きで使用する場合は、コードレス切換スイッチ65を他側後方の「コード付き」側に動かし、第1弾性部材75の付勢力により大きく突出した嵌合爪73を受電部5に形成した受け部に嵌合させる。
【0049】
給電直後の温度設定/切ボタン35やスチームボタン36を操作しない切状態では、商用電力が受電部5経由で発電装置43の電源回路44に供給され、この電源回路44の出力端子からスチーマー本体1の各部に直流電力が送り出される。また電源回路44の別の出力端子から送り出された直流電力により、定電流回路82経由で電気2重層コンデンサ45が自動的に充電される。
【0050】
定電流回路82経由で電気2重層コンデンサ45を充電すると、所定の電圧値までは一次関数的に電気2重層コンデンサ45の電圧が上昇していく。そして、この電圧が、電気2重層コンデンサ45において電荷を所定量蓄えた時の、所定の電圧の値を超えるまで上昇したことを定電流回路82の出力電圧から制御部82Aが検知すると、制御部82Aは定電流回路82から所定の電流値で電力が供給されるように定電流回路82を制御するため、電気2重層コンデンサ45の電圧の上昇値がこれまでの一次関数的なものよりも増加し、電荷か蓄えられて電気2重層コンデンサ45の容量が一杯になってきても充電速度が遅くなることなく、電気2重層コンデンサ45が蓄えた電荷の量に影響されずに一定の電流で充電でき、短時間で充電できる。
【0051】
電気2重層コンデンサ45の電圧が充電完了となる値まで上昇したことを定電流回路82の出力電圧から制御部82Aが検知すると、制御部82Aは定電流回路82からの電力の供給を停止するように定電流回路82を制御する。そのため、電気2重層コンデンサ45の充電が完了した後も電気2重層コンデンサ45に充電し続けて過充電になることを防止することができる。したがって定電流回路82は、電気2重層コンデンサ45の過充電保護機能も有している。
【0052】
定電流回路82からの電力の供給が停止されると、電気2重層コンデンサ45からの放電が少しずつ行なわれ、この放電された電力がダイオード85経由で、ダイオード84経由の電源回路44からの電力と共にスチーマー本体1の各部に送り出される。また電気2重層コンデンサ45の電圧が再充電を開始する値にまで低下したことを制御部82Aが検知すると、制御部82Aは定電流回路82から所定の電流値で電力が再度供給されるように定電流回路82を制御し、電気2重層コンデンサ45の電圧が上述した充電完了となる値に上昇するまで再度充電される。
【0053】
ここでユーザーが切状態から温度設定/切ボタン35を押動操作し、スチームの噴出対象物となる衣類の布地などに合わせた温度を設定、またはスチームの噴出量に対応する温度を設定すると、スチーマー本体1の内部において、制御装置40のマイコン87は、温度検知手段41で検知されるベース7の温度が、温度設定/切ボタン35で設定した温度に近付くように、リレー回路89に制御信号を送出してヒータ6を通断電制御し、気化室11を含むベース7を加熱する。
【0054】
その後、ヒータ6への通電に伴いベース7がある温度以上に達すると、マイコン87がLED回路91に制御信号を送出し、設定した温度に対応する表示ランプ38の中の一つのLEDを点滅動作させるように制御し、温度検知手段41で検知されるベース7の温度が設定した温度に達したとマイコン87が判断すると、LED回路91に制御信号を送出して、点滅したLEDを点灯動作に切替えるように制御すると共に、報知回路93に制御信号を送出して、ブザー42を所定の時間ONに切替えるように制御する。
【0055】
ここでスチーマー本体1をコードレスで使用する場合、消費電力の大きいヒータ6以外は、電気2重層コンデンサ45を電源としてスチーマー本体1の各部を動作させている。
【0056】
具体的には、ユーザーが握り部31を手で握ると、制御装置40のマイコン87は、タッチセンサスイッチ48からの検知信号によりユーザーの握り部31への接触を検出したと判断して、それに連動させてスイッチング素子88の制御端子へのパルス駆動信号を送出可能にして、スチームボタン36の操作によりスチームを噴出できるように制御する。本実施形態では、第1の空間56上部と第2の空間57下部との両方で空気層および水の層が形成されているため、第1の空間56内で発生したベース7の熱が第2の空間57の握り部31に伝わることを抑制して、握り部31の温度上昇を抑制している。そのためユーザーは握り部31を低温やけど等することなく安全に握ることができる。
【0057】
その後、ユーザーがスチーマー本体1を前方向に持ち上げると、上述のようにコードレス切換スイッチ65が一側前方の「コードレス」側になっているため、嵌合爪73に干渉することなく、スチーマー本体1の受電部5から給電プラグ62が切り離されて、スチーマー本体1への商用電力の供給が停止する。これにより第2基板37Bに搭載された電源回路44の出力端子からの直流電力の供給が停止し、定電流回路82から電気2重層コンデンサ45への充電も停止する。またダイオード84経由の電力の供給も停止するため、ダイオード84のカソードの電位が低下する。そしてこのダイオード84のカソードの電位よりもダイオード85のカソードの電位、すなわち充電された電気2重層コンデンサ45の電位が高くなると、この電気2重層コンデンサ45からダイオード85経由で、第1基板37Aに搭載された表示ランプ38や、ブザー42や、制御装置40などに動作電力を供給する。これにより動作した制御装置40のマイコン87は、温度設定/切ボタン35で設定したSW回路90からの操作信号に基づく設定温度と、温度検知手段41からの検知信号に基づくベース7の温度とにより、前述したLED回路91および報知回路93を制御するための制御信号をそれぞれ送出し、表示ランプ38の中の一つのLEDは、電気2重層コンデンサ45から与えられた動作電力により制御信号に従い点灯または点滅動作し、ブザー42は、電気2重層コンデンサ45から与えられた動作電力により制御信号に従いON/OFFする。そのためスチーマー本体1のコードレスでの使用中にも、電気2重層コンデンサ45からの電力を利用して、スチーマー本体1の動作状態であるベース7の温度を、スチーマー本体1の上面部に設けた表示ランプ38で引き続き表示確認でき、またベース7の温度が低下したときにブザー42で報知できる。
【0058】
マイコン87は、ゼロクロス回路92からの検知信号を受けて受電部5に交流電圧が印加されていないと判断すると、プラグユニット2のスチーマー本体1への接続が有りから無しに切り替わったことを検出したとして、報知回路93に操作信号を送出してブザー42を駆動させ、LED回路91に操作信号を送出して表示ランプ38の表示を変更させてスチーマー本体1がコードレスであることをユーザーに報知する。
【0059】
ここで、ユーザーがスチーム機能を利用する場合は、握り部31を手で握ったままスチームボタン36を初期位置から指で一回押動操作すると、SW回路90が操作信号をマイコン87に送出し、マイコン87は、SW回路90からの操作信号を受け、またタッチセンサスイッチ48からの検知信号によりユーザーの握り部31への接触を検出し、そして温度検知手段41からの検知信号に基づくベース7の温度に従い、ベース7が液体の気化温度よりも高い場合にはスイッチング素子88の制御端子にパルス駆動信号を送出する。また上述のように、コードレスの状態で電気2重層コンデンサ45からダイオード85経由で電磁ポンプ24にも動作電力を供給するため、マイコン87のパルス駆動信号により電磁ポンプ24が動作することができ、タンク組立体17の貯留空間20からの水を、吐出管26および液体の通路46を通して気化室11に送り出し、加熱された気化室11に水が確実に達してそこで気化され、スチーム本体1の底面からスチーム孔12を通して、設定された流量でスチームを噴出する。そしてスチームを噴出してから、例えば60秒など一定時間が経過したことを計時手段で検出すると、マイコン87はスイッチング素子88の制御端子へのパルス駆動信号の送出を停止する。これを受けて電磁ポンプ24はその動作を停止し、タンク組立体17の貯留空間20から気化室11への水の送出が遮断され、スチームの噴出が停止する。
【0060】
また、ユーザーがスチーム機能を停止する場合は、スチームを噴出しているときにスチームボタン36を初期位置から指で一回押動操作すると、SW回路90がスチームボタン36の操作信号をマイコン87に送出し、マイコン87は、スイッチング素子88の制御端子へのパルス駆動信号の送出を停止する。これを受けて電磁ポンプ24はその動作を停止し、タンク組立体17の貯留空間20から気化室11への水の送出が遮断される。
【0061】
そしてユーザーがドライ機能を利用する場合は、スチームボタン36を操作せずにスチーマー本体1を使用する。このときマイコン87は、スイッチング素子88の制御端子へのパルス駆動信号の送出を停止しているので、電磁ポンプ24はその動作を停止しており、タンク組立体17の貯留空間20から気化室11への水の送出が遮断されている。したがって、この場合は全てのスチーム孔12からスチームが噴出しないドライスチーマーとして、スチーマー本体1を使用できる。
【0062】
その後、ベース7の温度がある温度を下回るまで低下すると、マイコン87が温度検知手段41からの検知信号に基づくベース7の温度に従って電磁ポンプ24の駆動を制御する。またマイコン87は、例えば定電流回路82の制御部82Aからの信号により電気2重層コンデンサ45の電圧、すなわち電気2重層コンデンサ45の蓄電量を検出しており、例えば電気2重層コンデンサ45が所定の蓄電量のときに、蓄電量の低下に応じて、例えば「ピー」→「ピーピッ」など報知の仕方を変化させたブザー報知を行なうようにブザー42を制御してユーザーに報知する。そして電気2重層コンデンサ45の蓄電量がさらに減少して、電磁ポンプ24が駆動不可になる所定値まで電気2重層コンデンサ45の電圧が低下し、蓄電量が低下したことを制御部82Aが検出したときに、マイコン87は、報知回路93に操作信号を送出してブザー42を、例えば「ピーピーピッ」などブザー報知をさらに変化させるように駆動させて、電気2重層コンデンサ45の蓄電量が無くなったことをユーザーに報知し、さらにLED回路91に操作信号を送出して、スチーマー本体1への給電が無いことをゼロクロス回路92が検知した前後とはさらに異なる表示、例えば温度表示ランプ38のLEDが全部消灯、または全部点滅させるなどの表示を温度表示ランプ38にさせて、電気2重層コンデンサ45の蓄電量が無くなったことを表示でユーザーに報知する。
【0063】
ユーザーがスチーマー本体1を置台3に載置する場合、置台3の前方から後方へとスチーマー本体1を載置し、給電プラグ62が受電部5に差し込まれると、プラグユニット2の給電プラグ62が受電部5に嵌合し、受電端子67が給電プラグ62の給電孔76を挿通して給電端子66に接触し、スチーマー本体1へ商用電力が供給されて第2基板37Bに搭載された電源回路44の出力端子から直流電力が供給される。マイコン87は、ゼロクロス回路92からの検知信号を受けて受電部5に交流電圧が印加されたと判断すると、プラグユニット2のスチーマー本体1への接続が無しから有りに切り替わったことを検出したとして、報知回路93に操作信号を送出してブザー42を例えば「ピッピッピッ」と3回ブザー報知するなど駆動させ、LED回路91に操作信号を送出して表示ランプ38の表示を変更させてスチーマー本体1がコード付きであることをユーザーに報知する。
【0064】
ここでユーザーがスチーム機能を停止せずにスチーマー本体1を置台3に載置した場合について説明すると、スチーマー本体1がコードレス状態のときに給電プラグ62が受電部5に差し込まれない状態でスチーマー本体1を置台3に載置した際、マイコン87は、スイッチング素子88の制御端子へパルス駆動信号を送出しており、SW回路90からの操作信号およびゼロクロス回路92からの検知信号をいずれも受けていない状態であるので、スチーマー本体1からスチームがまだ噴出している。このときユーザーが握り部31から手を離すと、マイコン87は、タッチセンサスイッチ48からの検知信号により、ユーザーの握り部31への非接触を検知して握り部31への接触がなくなったと判断し、それに連動させてスイッチング素子88の制御端子へのパルス駆動信号の送出を停止する。これを受けて電磁ポンプ24はその動作を停止し、タンク組立体17の貯留空間20から気化室11への水の送出が遮断されて、スチーマー本体1のスチームの噴出が停止する。したがってコードレス状態でスチーマー本体1のスチーム噴出の停止をし忘れた場合や、スチーマー本体1のスチーム噴出を途中で中断する場合において、握り部31から手を離した際に自動的にスチーマー本体1のスチーム噴出が停止するため、置台3やスチーマー本体1にスチームが付着して濡れる虞、または汚れる虞を防止し、安全に配慮した構成とすることができる。
【0065】
またスチーマー本体1がコードレス状態のときに給電プラグ62が受電部5に差し込まれた状態でスチーマー本体1を置台3に載置した際は、マイコン87は、スイッチング素子88の制御端子へパルス駆動信号を送出しており、SW回路90からの操作信号を受けていない状態で、ゼロクロス回路92からの検知信号を受けて受電部5に交流電圧が印加されたと判断すると、プラグユニット2のスチーマー本体1への接続が無しから有りに切り替わったことを検出したとして、それに連動させてスイッチング素子88の制御端子へのパルス駆動信号の送出を停止する。これを受けて前述のようにスチーマー本体1のスチームの噴出が停止する。したがってコードレス状態でスチーマー本体1のスチーム噴出の停止をし忘れた場合や、スチーマー本体1のスチーム噴出を途中で中断する場合において、スチーマー本体1を置台3に載置した際に、自動的にスチーマー本体1のスチーム噴出が停止するため、置台3やスチーマー本体1にスチームが付着して濡れる虞、または汚れる虞を防止し、安全に配慮した構成とすることができる。
【0066】
一方、スチーマー本体1をコード付きで使用する場合、切状態から温度設定/切ボタン35を押動操作し、スチームの噴出対象物となる衣類の布地などに合わせた温度を設定すると、スチーマー本体1の内部では、制御装置40のマイコン87は、温度検知手段41で検知されるベース7の温度が、温度設定/切ボタン35で設定した温度に近付くように、リレー回路89に制御信号を送出してヒータ6を通断電制御し、気化室11を含むベース7を加熱する。
【0067】
その後、ヒータ6への通電に伴いベース7がある温度以上に達すると、コードレスの場合と同様に、マイコン87がLED回路91に制御信号を送出し、設定した温度に対応する温度表示ランプ38の中の一つのLEDを点滅動作させるように制御し、温度検知手段41で検知されるベース7の温度が設定した温度に達したとマイコン87が判断すると、LED回路91に制御信号を送出して、点滅したLEDを点灯動作に切替えるように制御すると共に、報知回路93に制御信号を送出して、ブザー42を所定の時間ONに切替えるように制御する。
【0068】
ここでユーザーが握り部31を手で握ると、コードレスの場合と同様に、制御装置40のマイコン87は、タッチセンサスイッチ48からの検知信号によりユーザーの握り部31への接触を検出したと判断して、それに連動させてスイッチング素子88の制御端子へのパルス駆動信号を送出可能にして、スチームボタン36の操作によりスチームを噴出できるように制御する。そしてコードレス切換スイッチ76が「コード付き」側にあるときに、ユーザーがスチーマー本体1を前方向に持ち上げると、嵌合爪73が受電部5に形成した受け部に嵌合したまま、給電プラグ62とプラグ収容部70との嵌合が解除され、スチーマー本体1をプラグユニット2が装着したままのコード付きの状態で、置台3から離脱する。
【0069】
またユーザーがスチーム機能を利用する場合も、コードレスの場合と同様に、握り部31を手で握ったままスチームボタン36を初期位置から指で一回押動操作すると、SW回路90が操作信号をマイコン87に送出し、マイコン87は、SW回路90からの操作信号を受け、またタッチセンサスイッチ48からの検知信号によりユーザーの握り部31への接触を検出し、そして温度検知手段41からの検知信号に基づくベース7の温度に従い、ベース7が液体の気化温度よりも高い場合にはスイッチング素子88の制御端子にパルス駆動信号を送出し、設定された流量のスチームがスチーム孔12から噴出されるように電磁ポンプ24の駆動を制御し、電磁ポンプ24は、タンク組立体17の貯留空間20から吸込管25を通して吸込んだ水を、吐出管26および液体の通路46を通して気化室11に送り出す。そしてスチームを噴出してから、例えば60秒など一定時間が経過したことを計時手段で検出すると、マイコン87はスイッチング素子88の制御端子へのパルス駆動信号の送出を停止する。これを受けて電磁ポンプ24はその動作を停止し、タンク組立体17の貯留空間20から気化室11への水の送出が遮断され、スチームの噴出が停止する。
【0070】
ここでスチーマー本体1のスチーム噴出中に、例えば、電源コード61の長さ以上の場所に無理やりスチーマー本体1を移動させようとしたり、給電プラグ62の嵌合爪73の嵌合が不完全だったりして、受電部5から給電プラグ62が切り離された場合や、交流電源81の停電が発生した場合など、何らかの理由で意図せずに交流電源81からの給電が無くなった場合、コードレスで使用する場合で上述したように、電源回路44の出力端子からの直流電力の供給が停止し、ダイオード84のカソードの電位が低下して、このダイオード84のカソードの電位よりも電気2重層コンデンサ45の電位が高くなり、この電気2重層コンデンサ45からダイオード85経由で、第1基板37Aに搭載された温度表示ランプ38や、ブザー42や、制御装置40などに加えて、電磁ポンプ24にも動作電力を供給する。したがって制御装置40のマイコン87にも動作電力が供給されるため、マイコン87は引き続きスチーマー本体1の各部を制御することができる。
【0071】
マイコン87は、ゼロクロス回路92からの検知信号を受けて受電部5に交流電圧が印加されていないと判断すると、プラグユニット2のスチーマー本体1への接続が有りから無しに切り替わったことを検出したとして、報知回路72に操作信号を送出してブザー42を、例えば「ピッ」と1回ブザー報知するなど駆動させ、LED回路70に操作信号を送出して、例えば表示ランプ38の「電源」のLEDを消灯させるなど表示ランプ38の表示を変更させて、交流電源81からの給電が無くなったことをユーザーに報知する。そのためユーザーは、表示ランプ38の「電源」のLEDを確認することや、ブザー42のブザー報知を聞くことにより、何らかの理由で意図せずに交流電源81からの給電が無くなったことを容易に知ることができる。
【0072】
またマイコン87は、交流電源81から給電されていたときに引き続いてスチームを噴出させるように、スイッチング素子88の制御端子にパルス駆動信号を送出する。上述のように電気2重層コンデンサ45からダイオード85経由で電磁ポンプ24にも動作電力が供給されているため、マイコン87のパルス駆動信号により電磁ポンプ24が継続して駆動されるように制御でき、そのため交流電源81から電源回路44経由で間接的に電磁ポンプ24に給電していたときから継続してスチームを噴出させることが可能になる。また電磁ポンプ24の緊急停止を防止することにより、電磁ポンプ24から水が漏れて気化室11経由でスチーム孔12から水漏れが発生することを防止することができる。
【0073】
スチーマー本体1をコード付きで使用する場合の説明に戻ると、スチームを噴出しているときにスチームボタン36を初期位置から指で一回押動操作すると、マイコン87は、スイッチング素子88の制御端子へのパルス駆動信号の送出を停止し、スチーム機能を停止する。その後、スチーマー本体1を置台3に載置する場合、置台3の前方から後方へとスチーマー本体1を載置すると、給電プラグ75がプラグ収容部79に嵌合する。またスチーマー本体1を置台3に載置するときと前後して、温度表示ランプ38のLEDが全て消灯する切状態になるまで温度設定/切ボタン35を押動操作すると、ヒータ6を断電するようにリレー回路89を制御する。
【0074】
ここでユーザーがスチーム機能を停止せずにスチーマー本体1の握り部31から手を離すと、マイコン87は、タッチセンサスイッチ48からの検知信号により、ユーザーの握り部31への非接触を検知して握り部31への接触がなくなったと判断し、それに連動させてスイッチング素子88の制御端子へのパルス駆動信号の送出を停止する。これを受けてスチーマー本体1のスチームの噴出が停止する。したがってコード付き状態でスチーマー本体1を使用していて、スチーム噴出中にスチーマー本体1のスチーム噴出の停止をし忘れた場合や、途中でスチーム噴出を中断する場合においても、握り部31から手を離した際に自動的にスチーマー本体1のスチーム噴出が停止するため、もう一度スチームボタン36を操作する必要がなく、置台3やスチーマー本体1にスチームが付着して濡れる虞、または汚れる虞がなく、安全に配慮した構成とすることができる。
【0075】
なおユーザーがドライ機能を利用する場合は、コードレスで使用する場合と同様なので、説明を省略する。
【0076】
以上のように本実施形態のスチーマーのスチーマー本体1は、スチームを噴出する噴出部としてのスチーム孔12と、ユーザーが使用時に把持する把持部としての握り部31と、スチーム孔12からスチームを一定時間継続して噴出させる継続噴出手段としての制御装置40および電磁ポンプ24と、握り部31をユーザーが把持していることを検知する把持検知手段としてのタッチセンサスイッチ48と、スチームの噴出を停止させる噴出停止手段としての制御装置40と、を備え、スチームの噴出中に、タッチセンサスイッチ48からの検出信号がなくなり、タッチセンサスイッチ48がユーザーの把持を非検知となった場合に、制御装置40によりスイッチング素子88の制御端子へのパルス駆動信号の送出が停止されて電磁ポンプ24が動作を停止し、スチームの噴出が停止される構成としている。
【0077】
このように構成することにより、一定時間継続したスチーム噴出中にスチーマー本体1のスチーム噴出の停止をし忘れた場合や、途中でスチーム噴出を中断する場合においても、握り部31から手を離した際に自動的にスチーマー本体1のスチーム噴出が停止するため、切スイッチとしてのスチームボタン36を操作する必要がなく、置台3やスチーマー本体1にスチームが付着して濡れる虞、または汚れる虞がなく、安全に配慮した構成とすることができる。
【0078】
また本実施形態のスチーマーは、スチームを噴出するスチーム孔12を有する本体としてのスチーマー本体1と、スチーマー本体1を着脱可能に載置する置台3と、を備え、スチーマー本体1は、スチーム孔12からスチームを一定時間継続して噴出させる制御装置40および電磁ポンプ24と、スチームの噴出を停止させる制御装置40と、置台3に係止されたプラグユニット2と電気的に接続する本体側接続部としての受電部5と、置台に係止されたプラグユニット2と受電部5とが電気的に接続したことを検知する接続検知手段としてのゼロクロス回路92と、を有し、置台3は、受電部5の受電端子67と電気的に接続する置台側接続部としてのプラグユニット2の給電端子66と、給電端子66が受電端子67と非接続のときに給電端子66を遮蔽する遮蔽手段としてのシャッター部材74と、を有し、スチームの噴出中に、ゼロクロス回路92が受電端子67と給電端子66が電気的に接続したことを検知した場合に、制御装置40によりスイッチング素子88の制御端子へのパルス駆動信号の送出が停止されて電磁ポンプ24が動作を停止し、スチームの噴出が停止される構成としている。
【0079】
このように構成することにより、一定時間継続したスチーム噴出中にスチーマー本体1のスチーム噴出の停止をし忘れた場合や、途中でスチーム噴出を中断する場合においても、スチーマー本体1を置台3に載置した際に自動的にスチーマー本体1のスチーム噴出が停止するため、切スイッチとしてのスチームボタン36を操作する必要がなく、置台3やスチーマー本体1にスチームが付着して濡れる虞、または汚れる虞がなく、安全に配慮した構成とすることができる。またスチーマー本体1を置台3に載置する前にスチーマー本体1のスチーム孔12からスチームが噴出された場合でも、給電プラグ62内へのスチームの侵入を防止することができ、給電プラグ62内での電極間の絶縁性を確保でき、また接点や導電板の腐食の虞を抑制することができる。
【0080】
図8および図9は、本発明の第2の実施形態におけるスチーマーを示している。本実施形態のスチーマー本体1’では、第1の実施形態で設けられていたタッチセンサスイッチ48に代えて、スイッチ機構96が設けられている。その他の構成は第1の実施形態と共通であるので、説明を省略する。
【0081】
スイッチ機構96は、ユーザーが握り部31を手で握ったときに、その押しボタン96Aが握り部31と共に握られることにより動作し、スイッチ本体96Bに対する押しボタン96Aの位置でON/OFFするものである。本実施形態ではスイッチ機構96が機械式のマイクロスイッチで、押しボタン96Aとスイッチ本体96Bとを有し、押しボタン96Aを押している間だけON状態になり、握り部31から手を離すことで押しボタン96Aから手を離すと、押しボタン96Aが初期位置に復帰してOFF状態に戻るモーメンタリ動作のものを採用し、ユーザーの握り部31への接触を検知している。なお本発明ではこれに限定されず、押しボタンスイッチなどの他のスイッチや他の動作方式のものを採用してもよい。
【0082】
本実施形態のスイッチ機構96は第2基板37Bの下面に設けられ、延設部28Cの長手方向の中央付近に押しボタン用の孔97が穿設されて、押しボタン96Aが孔97を貫通して下方向に突出している。そのため、ユーザーが握り部31を手で握るなど把持するときに、スチームボタン36を操作する例えば人差し指以外の指、例えば薬指が押しボタン96Aに接触して、押しボタン96Aが握り部31内に押し込まれるように構成している。なお本発明ではこれに限定されず、ユーザーが握り部31を把持するときに押しボタン96Aを握り部31内に押し込むような構成であればよく、例えば押しボタン用の孔97を握り部31の上面や側面に穿設して押しボタン96Aを上方向や横方向に突出させてもよい。
【0083】
次に、上記構成のスチーマーについて、その動作を説明する。ユーザーが握り部31を手で握ると、押しボタン96Aが握り部31内に押し込まれ、スイッチ機構96がON状態になる。制御装置40のマイコン87は、スイッチ機構96がON状態になったことをスイッチ機構96からの検知信号により検知すると、ユーザーの握り部31への接触を検出したと判断して、それに連動させてスイッチング素子88の制御端子へのパルス駆動信号を送出可能にして、スチームボタン36の操作によりスチームを噴出できるように制御する。その後、ユーザーがスチーム機能を利用する場合は、握り部31を手で握ったままスチームボタン36を初期位置から指で一回押動操作すると、SW回路90が操作信号をマイコン87に送出し、マイコン87は、SW回路90からの操作信号を受け、またスイッチ機構96からの検知信号によりユーザーの握り部31への接触を検出し、そして温度検知手段41からの検知信号に基づくベース7の温度に従い、ベース7が液体の気化温度よりも高い場合にはスイッチング素子88の制御端子にパルス駆動信号を送出して、設定された流量でスチームを噴出する。
【0084】
またユーザーがスチーム機能を停止せずにスチーマー本体1’の握り部31から手を離すと、押しボタン96Aが初期位置に復帰してOFF状態に戻る。マイコン87は、スイッチ機構96がOFF状態になったことをスイッチ機構96からの検知信号により検知すると、ユーザーの把持を非検知となり握り部31への接触がなくなったと判断して、それに連動させてスイッチング素子88の制御端子へのパルス駆動信号の送出を停止する。これを受けてスチーマー本体1のスチームの噴出が停止する。したがって、このような構成でも、スチーム噴出中にスチーマー本体1のスチーム噴出の停止をし忘れた場合や、途中でスチーム噴出を中断する場合において、握り部31から手を離した際に自動的にスチーマー本体1のスチーム噴出が停止するため、もう一度スチームボタン36を操作する必要がなく、置台3やスチーマー本体1にスチームが付着して濡れる虞、または汚れる虞がなく、安全に配慮した構成となっている。
【0085】
以上のように本実施形態のスチーマーのスチーマー本体1’は、スチームを噴出する噴出部としてのスチーム孔12と、ユーザーが使用時に把持する把持部としての握り部31と、スチーム孔12からスチームを一定時間継続して噴出させる継続噴出手段としての制御装置40および電磁ポンプ24と、握り部31をユーザーが把持していることを検知する把持検知手段としてのスイッチ機構96と、スチームの噴出を停止させる噴出停止手段としての制御装置40と、を備え、スチームの噴出中に、スイッチ機構96がOFF状態になったことをスイッチ機構96からの検知信号により検知することで、スイッチ機構96がユーザーの把持を非検知となった場合に、制御装置40によりスイッチング素子88の制御端子へのパルス駆動信号の送出が停止されて電磁ポンプ24が動作を停止し、スチームの噴出が停止される構成としている。
【0086】
このように構成することでも、一定時間継続したスチーム噴出中にスチーマー本体1のスチーム噴出の停止をし忘れた場合や、途中でスチーム噴出を中断する場合においても、握り部31から手を離した際に自動的にスチーマー本体1のスチーム噴出が停止するため、切スイッチとしてのスチームボタン36を操作する必要がなく、置台3やスチーマー本体1にスチームが付着して濡れる虞、または汚れる虞がなく、安全に配慮した構成とすることができる。
【0087】
以上、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。本発明の名称である「スチーマー」は、スチームを噴出して衣類などのしわ伸ばしを行なうあらゆる機器に適用され、例えば本実施形態に示すような離れた位置から衣類へのスチーム噴出を行なうのに適したスチーマーは勿論、ベースの掛け面を衣類に押し当てるアイロン掛けを行ないながらスチーム噴出を行なうのに適したスチームアイロンも含まれる。また把手16は、延設部28Cの後部と基部28Aの後部と接続する後方連結部を設けてO字状にしてもよく、また基部28Aの後方に握り部31を延出させた、いわゆるスティックタイプでもよい。この場合でも蒸気発生手段としての気化室11およびヒータ6を備えているベース7が格納された第1の空間56内の温度上昇の影響を、第2の空間である把手16内に備えた電磁ポンプ24や電気2重層コンデンサ45が受けにくい構成であればよく、例えばベース7と電磁ポンプ24との間に、下部収容空間54や上部収容空間23が介在する構成としてもよい。そして各実施形態の各部の構成や形状は、図示したものに限定されず、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0088】
1,1’ スチーマー本体(スチーマー,本体
2 スチーム孔(噴出部)
24 電磁ポンプ(継続噴出手段)
31 握り部(把持部)
40 制御装置(継続噴出手段,噴出停止手段)
43 発電装置
45 電気2重層コンデンサ(蓄電手段)
48 タッチセンサスイッチ(把持検知手段
6 スイッチ機構(把持検知手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10