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特許7663485チャンバー、ガス透過度測定装置、およびガス透過度測定方法。
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  • 特許-チャンバー、ガス透過度測定装置、およびガス透過度測定方法。 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】チャンバー、ガス透過度測定装置、およびガス透過度測定方法。
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/08 20060101AFI20250409BHJP
   G01N 13/04 20060101ALI20250409BHJP
   G01M 3/04 20060101ALI20250409BHJP
   G01M 3/20 20060101ALI20250409BHJP
【FI】
G01N15/08 D
G01N13/04
G01M3/04 C
G01M3/20 L
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021205497
(22)【出願日】2021-12-17
(65)【公開番号】P2023090514
(43)【公開日】2023-06-29
【審査請求日】2024-07-17
(73)【特許権者】
【識別番号】390000686
【氏名又は名称】株式会社住化分析センター
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】高萩 寿
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-030579(JP,A)
【文献】特開平10-267826(JP,A)
【文献】特開2021-018165(JP,A)
【文献】国際公開第2014/119688(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00-15/1492
G01N 11/00-13/04
G01M 3/00-3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空部を備える試料を固定するチャンバーであって、
上記チャンバーは、
上記試料に設けられた試料開口部の周縁部を固定する固定部と、
上記試料開口部を介し、上記中空部にガスを導入し、上記中空部に導入された上記ガスを上記チャンバー内部に回収するチャンバー開口部と、を備えており、
上記固定部は、
上記試料開口部および上記チャンバー開口部に連通する治具開口部を備え、上記中空部内に配置される試料内治具と、
上記試料開口部の周縁部を、上記治具開口部の周縁部と、上記チャンバー開口部の周縁部とによって締め付ける締め付け部と、を備えている、
チャンバー。
【請求項2】
上記締め付け部は、上記治具開口部の周縁部と、上記試料開口部の内側と、上記チャンバー開口部の周縁部とに挿入され、上記治具開口部の周縁部と上記チャンバー開口部の周縁部とを締め付けることで、上記試料開口部の周縁部を固定する、請求項1に記載のチャンバー。
【請求項3】
上記治具開口部の周縁部を包囲する第1当接部と、
上記チャンバー開口部の周縁部を包囲する第2当接部とを備え、
上記第1当接部および第2当接部によって上記試料開口部の周縁部分を包囲するようにして挟み込む、請求項1または2に記載のチャンバー。
【請求項4】
上記チャンバー開口部を備えた固定治具と、
上記固定治具を固定するチャンバー凹部と、を備え、
上記固定治具を上記チャンバー凹部に固定することで、上記チャンバー内部を形成する、請求項1~3の何れか1項に記載のチャンバー。
【請求項5】
上記試料内治具は、複数に分割された分割治具からなり、
当該分割治具を組み合わせることで、上記治具開口部を形成する、請求項1~4の何れか1項に記載のチャンバー。
【請求項6】
上記チャンバー開口部を通り、上記中空部内に挿入される、ガス導入管を備える、請求項1~5の何れか1項に記載のチャンバー。
【請求項7】
上記試料がシール部を備える容器である、請求項1~6の何れか1項に記載のチャンバー。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載のチャンバーを備える、ガス透過度測定装置。
【請求項9】
請求項1~7の何れか1項に記載のチャンバーを用いる、ガス透過度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチャンバー、ガス透過度測定装置、およびガス透過度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜状の試料が、水蒸気および酸素等の大気中の成分を透過する性質を評価する方法が求められてきた。近年では、包装容器などの立体形状を有する試料について、試料外部から試料内部へのガス透過度を測定する方法が求められている。
【0003】
特許文献1には、2本のパイプを貫通させた気体透過度測定治具を容器の開口部に取り付け、一方のパイプからガスを導入し、もう一方のパイプから容器内のガスを回収して、回収したガスに含まれる成分を測定することにより、容器の気体透過度を測定する気体透過度測定治具が開示されている。特許文献1に記載の気体透過度測定治具おいては2本のパイプを接着剤により固定する。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、ガス遮断層および樹脂層を含んだフィルムが複数積層された積層フィルムが、樹脂層の張り合わせられている一部とともに第1の空間と第2の空間とを隔てており、第1の空間から第2の空間に移動した上記標的成分を測定する工程を含んでいる、ガス透過度の測定方法が記載されている。
【0005】
また、例えば、特許文献3には、フィルム試料の第1面が第1ガスに暴露された状態で、第1ガス室とフィルム試料との間を封止するシート状の第1シール部と、前記フィルム試料の第1面に対向する第2面が第2ガスに暴露された状態で、第2ガス室と前記フィルム試料との間を封止するシート状の第2シール部と、第1シール部および第2シール部を、それぞれフィルム試料に垂直な方向に加圧する締め付け部とを備えるガス透過セルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平10-267826号公報
【文献】特開2013-134144号公報
【文献】特開2013-3029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の治具を用いた方法は、回収したガスに接着剤の成分が混入するという問題があった。また、特許文献2および3に記載のガス透過セルは、内部が中空の試料を、外気に対する気密性を保ちつつ、当該試料の中空部にガスを供給するように試料を固定することができないという問題がある。
【0008】
本発明の一実施形態は、試料が内部に備える中空部を外部の雰囲気に対する気密性を保ちつつ、当該中空部にガスを供給できる、新規なチャンバーおよびその関連技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態に係るチャンバーは、中空部を備える試料を固定するチャンバーであって、上記チャンバーは、上記試料に設けられた試料開口部を固定する固定部と、上記試料開口部を介し、上記中空部にガスを導入し、上記中空部に導入された上記ガスをチャンバー内部への回収するチャンバー開口部と、を備えており、上記固定部は、上記試料開口部および上記チャンバー開口部に連通する治具開口部を備え、上記中空部内側に配置される試料内治具と、上記試料開口部の周囲を、上記治具開口部の周囲と、上記チャンバー開口部の周囲とによって締め付ける締め付け部と、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、試料が内部に備える中空部を外部の雰囲気に対する気密性を保ちつつ、当該中空部にガスを供給できる、新規なチャンバーおよびその関連技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るチャンバー1が備える固定部20の概略を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係るチャンバー1の概略を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係るチャンバー1が備える治具固定部21の概略を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係るチャンバー1が備える試料内治具22の概略を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係るガス透過度測定装置100の概略を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係るチャンバー1'を備えるガス透過度測定装置100'の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<チャンバー1>
以下、本発明の一実施形態について、図1図4を参照して説明する。図1は一実施形態に係るチャンバー1が備える固定部20の概略図であり、図2は、一実施形態に係るチャンバー1の概略図である。図3は、固定部20の一部を構成する固定治具21の概略を説明する図である。図1に示す固定部20、および図2に示すチャンバー1のそれぞれは、図3に示すAA'矢視断面からの概略を説明している。図4は、固定部20が備える試料内治具22の概略を説明する図である。
【0013】
〔固定部20〕
図1に破線で示される固定部20は、試料30を固定する。固定部20は、試料内治具22、治具締め付け部23、および固定治具21の一部であるチャンバー開口部24を備えている。図2に示すチャンバー1では、チャンバー凹部11と固定治具21とを固定することで、これにより、チャンバー内部10が形成される。
【0014】
固定部20は、固定治具21、試料内治具22および治具締め付け部(締め付け部)23を備えている。
【0015】
固定治具21は、当接部213、チャンバー開口部24を備えており、さらに貫通孔211、および貫通孔212を備えている。試料内治具22は、当接部223、治具開口部25を備え、さらに貫通孔211を備えている。
【0016】
図1に示すように、固定部20では、試料30に設けられた試料開口部32の周縁部分を、固定治具21の当接部213と、試料内治具22の当接部223との間に配置する。ここで、図2に示すように、固定治具21の貫通孔211と、試料内治具22の貫通孔221とに治具締め付け部23を挿通し、固定治具21と試料内治具22とが互いに近づくように締めつける。これにより、固定部20は、互いに対向する固定治具21の当接部213と、試料内治具22の当接部223とによって、試料30の試料開口部32の周縁部分を挟持するようにして固定するとよい。
【0017】
また、図2に示すように、チャンバー1は、固定治具21の貫通孔212と、チャンバー凹部11が備える貫通孔111とに、チャンバー締め付け部12を挿通し、固定治具21とチャンバー凹部11とが互いに近づくように締めつける。これにより、チャンバー1は、固定治具21とチャンバー凹部11とによって、チャンバー1にチャンバー開口部24を固定しつつ、チャンバー内部10を形成する。
【0018】
チャンバー1は、チャンバー開口部24、治具開口部25、および試料開口部32のそれぞれを互いに連通させつつ、固定治具21と、試料内治具22とによって、試料開口部32の周囲を挟み込むことができる。これにより、チャンバー1のチャンバー内部10と試料30の中空部33内とが、外部の雰囲気に対して気密性を高められつつ、互いに連通するように、チャンバー1と試料30とが固定される。
【0019】
また、図2に示す、チャンバー1は、試料30の外部の雰囲気に対して気密性を保ちつつ、当該試料30が備える中空部にチャンバー内部10側から、例えばキャリアガスを供給することができる。よって、チャンバー1は、ガス透過度測定用チャンバーとして好適に用いることができる。また、接着剤組成物を用いることなく、チャンバー1に試料30を固定することができるため試料30自体を透過した成分以外がキャリアガスに含まれない。言い換えれば、接着剤組成物から放出される成分によるキャリアガスの汚染、およびキャリアガスが汚染されることにより、試料30自体を透過した成分の検出精度の低下が生じることを回避できる。
【0020】
〔固定治具21〕
図1に示すように、固定治具21は、試料30の中空部内に配置される試料内治具22を、当該試料30の中空部33の外側から固定する治具である。ここで、図3に示すように、固定治具21は、チャンバー開口部24と、チャンバー開口部24の周縁部分に設けられチャンバー開口部24を包囲する複数の貫通孔211とを備えているとよい。また、固定治具21において、チャンバー開口部24および複数の貫通孔211は、環状構造を有する当接部213によって包囲され得る。
【0021】
(チャンバー開口部24)
図3に示すように、チャンバー開口部24の形状は円形状であることが好ましく、真円形状であることがより好ましい。ただし、チャンバー開口部24の形状は、チャンバー開口部24と、治具開口部25とが互いに連通すればよく、限定されるものではなく、例えば、楕円形状、あるいは四角形状等の多角形状であってもよい。また、チャンバー開口部24の内径は、試料開口部32の内側に締め付け部を挿入するという観点から、試料開口部32の内径よりも小さいことが好ましい。また、図1に示すように、複数の貫通孔211は、試料30を固定したときにおいて、試料開口部32の内径よりも内側に配置されるようにしてチャンバー開口部24の周縁部分に設けられていることが好ましい。これにより、図1および図2に示すように、試料30が有する試料開口部32の周縁部分に治具締め付け部23を挿入するための貫通孔を設ける必要がない。
【0022】
また、図3に示すように、固定治具21は、破線で示される当接部213の内側に規定されるチャンバー開口部24の周縁部分に、貫通孔211が複数設けられているとよい。貫通孔211は、試料内治具22に設けられた貫通孔221と共に、締め付け部23が挿通され、当該締め付け部23が固定治具21と試料内治具22とを締め付けることにより、チャンバー開口部24の周縁部分において、試料開口部32の周縁部分を挟み込む(図2)。固定治具21に設けられた、複数の貫通孔211は、それぞれ、締め付け部23と螺合可能なねじ穴であってもよい。
【0023】
貫通孔211は、固定治具21における当接部213の内側であり、かつ、チャンバー開口部24の周縁部分において、チャンバー開口部24を包囲し、かつ等間隔に設けられているとよい。これにより、チャンバー開口部24と貫通孔211とを包囲する当接部213により、試料開口部32の周縁部分に対し、締め付け部23を締め付けることで加えられる応力を均等にすることができる。
【0024】
なお、図3において、貫通孔211は、チャンバー開口部24の周縁部分に4つ設けられているがこれに限定されない。貫通孔211の数の下限は、試料開口部32の周縁部分に対して、当接部213から加える力を均等にするという観点から、2以上であってもよい。固定治具21および試料内治具22との密閉性を高める観点から、4以上であることが好ましい。貫通孔211の数の上限は特に限定されず、例えば、試料30のサイズなどに応じて設計され得るチャンバー開口部24の内径、および、締め付け部23のサイズなどに応じて決定してもよい。例えば、開口部24の内径を大きすぎないようにしつつ、締め付け部23にて加える力によって十分に密閉性を高める観点から、12以下であってもよく、8以下であることが好ましい。すなち、貫通孔211の数は、2~12であってもよく、4~12が好ましく、4~8がさらに好ましい。
【0025】
また、図3に示ように、固定治具21は、破線で示される当接部213の外側に規定される固定治具21の最外周の周縁部分に、複数の貫通孔212が設けられているとよい。固定治具21の貫通孔212は、後述するチャンバー凹部11が備える貫通孔111と対応しており、貫通孔212と、貫通孔111とに、チャンバー締め付け部12を挿通し、当該チャンバー締め付け部12が固定治具21とチャンバー凹部11とを締め付けることにより、チャンバー内部10を形成する(図2)。言い換えれば、チャンバー1は、チャンバー凹部11に着脱可能な固定治具21を備え、固定治具21をチャンバー凹部11から脱離した状態にて、当該固定治具21におけるチャンバー開口部24の周縁部分に、試料30を固定することができる。
【0026】
固定治具21に設けられた、貫通孔212は、貫通孔211と同じく、それぞれ、チャンバー締め付け部12と螺合可能なねじ穴であってもよい。なお、図3において、貫通孔212は、固定治具21自身の周縁部分に2つ設けられているがこれに限定されない。貫通孔212は、固定治具21とチャンバー凹部11とを十分に締め付け、チャンバー内部10を形成するという観点から、2以上設けられていてもよく、チャンバー内部10における外部の雰囲気に対する気密性を高める観点から、4以上設けられていることが好ましい。貫通孔212の数の上限は特に限定されず、チャンバー凹部11およびその内径に応じて設計され得る固定治具21の外径およびチャンバー締め付け部12の直径などに応じて決定してもよいが、例えば、操作性の観点から、16以下であってもよく、12以下であることが好ましく、8以下であることがさらに好ましい。すなち、貫通孔212の数は、2~16であってもよく、4~12が好ましく、4~8がさらに好ましい。
【0027】
(当接部213)
また、固定治具21は、図1のY軸方向に沿って、試料内治具22側に向かって突出する当接部213(第2当接部)が設けられているとよい。ここで、図3に破線で示される当接部213は、チャンバー開口部24と、当該チャンバー開口部24を包囲する貫通孔211の全てとを包囲する、環状構造として形成され得る。これにより、図2に示すように、当接部213を試料開口部32の周縁部分に当接することで、試料開口部32とチャンバー開口部24とを連通させつつ、これら開口部を試料30の外側から包囲することができる。なお、図3において、当接部213は、チャンバー開口部24を包囲する円環状の凸部として図示されているが、これに限定されない。チャンバー開口部と、その周縁部分に設けられた貫通孔とを包囲することができれば、固定治具が備え得る当接部の形状は、円環状に限定されず、矩形状、六角形状等に例示される多角形状の凸部であってもよい。
【0028】
固定治具21が備える当接部213を、後述する試料内治具22が備える当接部223に対峙するように配置し、当接部213と当接部223との間に試料30に設けられた試料開口部32を配置するとよい。ここで、当接部213の環状構造と当接部223の環状構造とによって、試料開口部32を包囲しつつ、試料開口部32の周縁部分を挟み込む。これにより、図2に示すように、試料内治具22が備える治具開口部25、試料30に設けられ試料開口部32、およびチャンバー開口部24が連通した状態にて、固定治具21に試料30が固定される。
【0029】
このように、固定治具21が当接部213を備え、試料内治具22が当接部223を備えていることにより、試料30の試料開口部32の間に加わる応力を当接部に集中させることができる。よって、チャンバー1および試料30の外部から大気が試料30の中空部33、およびチャンバー内部10に漏れ込むことを抑制できる。
【0030】
〔試料内治具22〕
試料内治具22は、試料30の中空部33外に配置される固定治具21に、中空部33の内側から固定される治具である。図4に示すように、試料内治具22は、治具開口部25と、複数の貫通孔221とを備えているとよく、治具開口部25と、複数の貫通孔221と包囲する周縁部分に当接部223を備えているとよい。
【0031】
試料内治具22において、当接部223は、治具開口部25と、環状の周縁部とから構成される環状構造を備え得る。後述するように、試料内治具22は、例えば、試料30が備える、密封する前のシール部31から、試料30の中空部内に導入すればよい。
【0032】
試料内治具22の形状、つまり、チャンバー1に試料30を固定する側から見える試料内治具22の形状は、特に限定されないが、図4に例示するように円形状であってもよく、真円形状、楕円形状、または四角形状などの多角形状であってもよい。例えば、試料内治具の形状は、試料開口部の形状に応じて設計してもよい。より具体的には、試料開口部が楕円形状、または四角形状などの多角形状であれば、これら形状に応じて試料内治具の形状を楕円形状、または四角形状などの多角形状に設計し、試料開口部から試料内治具を挿入可能にしてもよい。
【0033】
(治具開口部25)
上面視における治具開口部25の形状、つまり、チャンバー1の試料30を固定する側から見える治具開口部25の形状は、限定されるものではないが、チャンバー開口部24と同じく、真円形状、楕円形状などの円形状、または四角形状などの多角形状であり得る。また、治具開口部25の内径は、試料開口部32の内側に締め付け部23を挿入するという観点から、試料開口部32の内径よりも小さいことが好ましい。また、図1に示すように、複数の貫通孔221は、試料30を固定したときにおいて、試料開口部32の内径よりも内側に配置されるようにして治具開口部25の周縁部分に設けられていることが好ましく、これにより、試料30が有する試料開口部32の周縁部分に治具締め付け部23を挿入するための貫通孔を設ける必要がない。
【0034】
試料内治具22における複数の貫通孔221は、治具開口部25を包囲し、当該貫通孔223のそれぞれが固定治具21に設けられた貫通孔211のそれぞれと対を成し、締め付け部23を挿入できるように配置されているとよい。また、試料内治具22における複数の貫通孔221は、それぞれ、締め付け部23と螺合可能なねじ穴であってもよい。また、貫通孔221のそれぞれは、固定治具21の貫通孔211それぞれに対を成すように設けられているとよい。
【0035】
(当接部223)
試料内治具22の外周縁部分には、治具開口部25を包囲する貫通孔221の全てを包囲し、かつ、治具開口部25が設けられた平面部よりも、固定治具21側に向かって突出した、環状構造をした凸部として当接部223が形成されていてもよい。試料内治具22の周縁部分に当接部223(第1当接部)を形成することで、締め付け部23を締め付けることで加えられる応力を、当接部223と、固定治具21が備える当接部213との間に集中させることができる。これにより、当接部223と当接部213とが、試料開口部32を包囲しつつ、試料内治具22の治具開口部25と、試料開口部32およびチャンバー開口部24とを連通させることができる。
【0036】
なお、図4において、当接部223は、当該治具開口部25を包囲する円環状の凸部として図示されているが、これに限定されない。治具開口部と、その周縁部分に設けられた貫通孔とを包囲することができれば、試料内治具が備え得る当接部の形状は、円環状に限定されず、矩形状、六角形状等に例示される多角形状の凸部であってもよい。
【0037】
〔締め付け部23〕
締め付け部23は、治具開口部25に設けられた貫通孔221およびチャンバー開口部24に設けられた貫通孔221に挿通され、試料内治具22の当接部223と、固定治具21の当接部213とが互いに近づくように締め付ける。これにより、試料開口部32の周縁部分をチャンバー1が備える固定治具21に固定する。締め付け部23を締め付けることによって、固定部20における試料30と、固定治具21および試料内治具22との密閉性が高まるため、チャンバー内部10および試料30の中空部33に対する外部の雰囲気に対する気密性が高められる(図2)。
【0038】
締め付け部23は、例えば、固定治具21の貫通孔211、および試料内治具22に設けられた貫通孔221の数に対応した、複数のボルトおよびナットにより実現してもよく、ワッシャーを備えていてもよい。また、貫通孔221および貫通孔211のそれぞれは、締め付け部23に螺合するねじ部として形成されていてもよい。
【0039】
(ガスケット)
また、固定治具21および試料内治具22において、試料開口部32の周縁部分に互いに対向するように配置される当接部213と当接部223とは、環状構造の凸部の先端に、ガスケット26および27が設けられていることが好ましい。これにより、固定部20における試料30との間の気密性を高めることができる。ガスケットの材質は、例えば、樹脂材質であってよく、弾性を有していることが好ましい。当該ガスケットはゴム製であってもよく、好ましくは、フッ素樹脂またはフッ素系エラストマーである。フッ素樹脂またはフッ素系エラストマーからなるガスケット26および27は、一般的な封止材であるOリングよりも材質が硬いため、試料30に圧縮して封止する際に曲げ応力が生じにくく、圧縮応力によりフィルム試料30との密着性を効果的に高めることができる。また、金属封止材と同等程度の密着性が得られるうえに、試料30に与えるダメージは金属封止材よりも低減することができるという利点がある。
【0040】
また、フッ素樹脂またはフッ素系エラストマーは一般に耐熱性が約150℃以上と高いので、フッ素樹脂またはフッ素系エラストマーからなるガスケット26および27は、高温でもそのガス透過度が低く保たれる。したがって、フッ素樹脂またはフッ素系エラストマーからなるガスケット26および27によれば、高温測定時であっても、気密性が保たれ、高精度なガス透過度測定が可能である。
【0041】
ガスケット26および27を形成するフッ素樹脂またはフッ素系エラストマーとしては、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロエチレン-プロペンコポリマー、ポリビニリデンフルオライド、エチレン-クロロトリフルオロエチレンコポリマー、エチレンと4フッ化エチレンとの共重合、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素系高分子材料からなる群より選択されるフッ素樹脂またはフッ素系エラストマーを好適に使用可能である。本明細書において、フッ素樹脂とは、フッ素を含むオレフィンを重合して得られる合成樹脂を意図しており、フッ素系エラストマーとは、フッ素原子を含む合成エラストマーを意図している。
【0042】
ガスケット26および27は、締め付け部23により試料30と共に挟み込まれ、それぞれ試料30に垂直な方向に圧縮される。締め付け部23によって、ガスケット26および27は、試料30に対して垂直な方向に圧縮されるため、試料30に適切に圧縮応力をかけることができる。締め付け部23は、ガスケット26および27を、50~240cNmの圧力で加圧することが好ましく、60~200cNmであることがより好ましく、例えば、後述するようにフィルム材から形成される試料30を破損させることなく、かつ気密性が効果的に向上するので、160cNmであることが最も好ましい。なお、締め付け部5によるガスケット26および27に負荷される最適な圧力は、ガスケット26および27の材料および試料30の表面状態に応じて、上記圧力範囲から適切に選択されるものである。
【0043】
〔チャンバー凹部11〕
チャンバー凹部11は、チャンバー締め付け部12により、固定治具21と固定されることでチャンバー内部10を形成できる。チャンバー凹部11と固定治具21とは着脱可能に固定されている。固定治具21およびチャンバー凹部11の接続部には、接続部を保護するチャンバー用ガスケット13を備えているとよい。チャンバー凹部11が固定治具21と着脱可能に固定されていることにより、固定治具21を取り外し、試料30を固定した後に、固定治具21とチャンバー凹部11とを組み立てるとよい。これにより、チャンバー1に試料30を首尾よく固定することができる。また、チャンバー締め付け部12を備えていることにより、組み立て式であるチャンバー1においても、チャンバー内部10における外部の雰囲気に対する気密性が保たれる。なお、ガスケット13は、上述のガスケット26および27と同じ材質のものを使用できる。また、チャンバー締め付け部12の構成は、上述のチャンバー締め付け部23と同じく、ボルト等によって実現することができる。また、貫通孔111と、チャンバー締め付け部12とは互いに螺合するねじ部として構成されていてもよい。
【0044】
〔ガス導入管41〕
チャンバー1は、チャンバー凹部11にガス導入管41を備えていることが好ましい。ガス導入管41は、試料30の中空部にキャリアガスを導入する管である。ガス導入管41は、その先端にガス導入管開口部42を備え、当該ガス導入管開口部42がチャンバー内部10側から、治具開口部25を通過し、試料30の中空部に挿入されていることが好ましい。これにより、ガス導入管41からのキャリアガスを試料30の中空部に導入しつつ、当該キャリアガスの流れを試料30の中空部からチャンバー内部10に誘導することができる。このため、例えば、ファンやポンプ等を用いずとも、キャリアガスの流れを制御でき、試料30の中空部内でのキャリアガスの滞留を抑制できる。
【0045】
〔試料30〕
本発明の一実施形態に係るチャンバーに固定する試料は、その内部に中空部を備える試料である。試料は、例えば、電子部品や医薬品など様々な用途に使用される容器であり得、容器には、例えば、フィルム材から形成されるラミネートバッグ等の袋、および金属容器等が挙げられる。試料30は、フィルム材から形成される袋であり、シール部31、シール部31'を備え、試料開口部32が形成されている。
【0046】
試料30におけるシール部31、シール部31'は、例えば、試料30がラミネートバッグ等のラミネートフィルムである場合、ヒートシール部であり得る。例アルミラミネートバッグはヒートシールによって中空部が形成されることがあり、アルミ箔はガスの透過性が極めて低い。
【0047】
また、試料30におけるシール部31'は、袋を開封および密封可能なジッパーであり得る。試料30におけるシール部31'は、ヒートシール等の熱融着によって形成されるシール部であり得る。試料は、すなわち、ジップロック(登録商標)等に例示されるフリーザバッグであり得る。ここで、ファスナー付き樹脂製袋を形成するフィルム材は、単層の樹脂フィルムであってもよく、アルミフィルムと樹脂フィルムとの積層フィルムであってもよく、その材質は限定されない。なお、試料30においては、シール部31'を開封して、試料内治具22を試料30の中空部内に導入し、シール部31を密封すればよい。
【0048】
以上のように、シール部31および/またはシール部31'のような、ジッパーおよびまたはヒートシール部を備える容器である試料30は、これらシール部におけるガス透過度が、当該容器のフィルム面におけるガス透過度と異なることが問題となる。しかしながら、チャンバー1によれば、シール部31およびシール部31'等のシール部の形状を損なうことなく、試料30の中空部と、チャンバー内部10とを連通させることができ、かつ外部の雰囲気に対する気密性を保つことができる。よって、例えば、シール部31およびシール部31'等のように容器材料とのガス透過度が異なる部材を備えた試料30であっても、シール部31およびシール部31'等の構造を損なうことなく、ガス透過度を測定することができる。
【0049】
試料開口部32は、試料30を形成するフィルム材の一部を切り取ることで設けるとよい。試料開口部32の上面視における形状は、試料30の中空部とチャンバー内部10とにガスを流通させることができ、固定治具21の周縁部と試料内治具22の周縁部との内側によって試料開口部32の周縁部を固定することができる大きさであれば限定されない。例えば、試料開口部32の上面視における形状は、例えば、カッター等に設けられたスリット状の開口であってもよい。また、一例として、固定治具21の貫通孔および試料内治具22の貫通孔に、首尾よく締め付け部23を挿入するという観点から、試料開口部32の上面視における形状は円形状であることが好ましく、試料開口部32の直径は固定治具21における環状の周縁部と試料内治具22の環状の周縁部との内径の大きさに合せることが好ましい。例えば、試料開口部32の上面視における形状は、真円形状、楕円形状などの円形状、または四角形状などの多角形状であってもよい。例えば、試料開口部32は、オープナー等の公知の手段により、試料30に設けてもよい。
【0050】
(その他の試料)
試料が金属容器である場合、金属容器は、例えば、Oリング等のシール部を備えたキャップ付きの金属容器であり得る。試料30の場合と同様に、金属容器の側面に試料開口部を設け、試料内治具を金属容器の内部(つまり、中空部)に配置し、固定部により、金属容器の側面を固定すればよい。これにより、Oリングおよびメタルガスケット等のシール部を備えたキャップまたは、これらシール部を備えたフランジ付きの金属容器における、当該シール部の構造を損なうことなく、当該シール部に支配される金属容器のガス透過度を測定することができる。
【0051】
<一変形例に係るチャンバー>
本発明の一実施形態に係るチャンバーは、上述のチャンバー1に限定されない。本発明の一変形例に係るチャンバーは、試料内治具が複数に分割された分割治具(不図示)からなるものであり、当該分割治具を組み合わせることで、治具開口部を形成する試料内治具である。試料内治具は、環状の構造を備える試料内治具であり、当該環状の構造を複数個に分割されたものであり得る。試料内治具が複数に分割された分割治具からなることにより、分割治具のそれぞれを、試料に設けられた試料開口部から試料の中空部に導入し、試料の中空部内で分割治具を組み立てることができる。これにより、例えば、上述のようなファスナーやジッパー等を備えていない容器を試料としても、首尾よく、試料の中空部内に試料内治具を設置できる。例えば、試料内治具22を、図4に示す一点鎖線に沿って等分割したものが、分割治具として例示できる。なお、本変形例において、組み合わせることで、少なくとも1つの治具開口部を形成することができれば、分割治具は、図4に示すような、一点鎖線に沿って試料内治具等を等しく分割したものに限定されない。
【0052】
<ガス透過度測定装置100>
以下、本発明の一実施形態に係るガス透過度測定装置100について、図5を参照して説明する。
【0053】
ガス透過度測定装置100は、チャンバー1を備え、当該チャンバー1が備える固定部20により、中空部33を有する試料30を固定する。また、チャンバー1に固定された試料30は、チャンバー1と共に、ガス導入部40、測定部50、および槽60を備える装置であるガス透過度測定装置100の槽60内に収納され得る。ガス透過度測定装置100は、試料30の外側から中空部33に向けて透過するガスの透過度を測定することができる。
【0054】
<ガスの流れ>
ガス透過度測定装置100では、槽60の外側に設けたガス導入部40からガス導入管41を介して試料30内部に矢印Aの方向にガスが導入するとよい。以下、矢印Aの方向に導入されるガスを「キャリアガス」とも称する。試料30からチャンバー1に回収されたガスは、順次、矢印B、C、D、E、Fに沿って流れ、矢印Gの方向にガス回収管51を介して測定部50まで運ばれる。このとき、試料30の外部は、矢印H、I、Jによって表される雰囲気ガス(検出ガス)に曝されており、試料30の外部から、中空部33に透過した標的成分がキャリアガスにより捕捉され、測定部50に流されることで、キャリアガス中の標的成分が測定され得る。以下、試料30を透過して回収された標的成分を含むガスを「測定対象ガス」と称する。
【0055】
チャンバー内部10および試料30の中空部において、このようにガスが流れるため、ガスの滞留を抑制し、試料30の中空部からチャンバー内部10を経て測定部50にガスの流れを首尾よく誘導できる。
【0056】
キャリアガスは、測定の対象の成分に対して不活性なガスであれば、特に限定されない。例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、およびキセノン等の不活性ガス、並びに酸素等であってもよい。
【0057】
キャリアガスを、チャンバー1のチャンバー内部10および、試料30の中空部33に導入ガス導入部40は、キャリアガスを貯留するボンベと、キャリアガスの流量を調整するための調整弁、およびキャリアガスの流量計を備えているとよい。
【0058】
〔測定部50〕
測定部50は、試料30の外部の雰囲気から当該試料30を透過して、中空部に到達した標的成分を含む測定対象ガスに含まれる標的成分を検出できる装置であれば特に限定されず、検出対象に応じて公知の検出手段を適宜選択すればよい。例えば、測定部50は、水分計、大気圧イオン化質量分析計、質量分析計、酸素濃度計、露点計、ガスセンサー、検知管、および赤外吸収分光計等の検出装置等であってもよい。
【0059】
測定部50において測定される標的成分は特に限定されない。例えば、水蒸気、窒素、ヘリウム、水素、アルゴン、二酸化炭素、一酸化炭素等の無機系ガス;メタン等の有機系ガス、酢酸や硫化水素等の腐食性ガス等が挙げられる。
【0060】
(ガス回収管51)
ガス回収管51は、チャンバー凹部11に設けられたガス回収管開口部52から、測定部50に連通する管であり得る。ガス回収管51は、試料30の中空部に導入されることで、標的成分を含んだ測定対象ガスを測定部50に導入し得る。ガス回収管51はチャンバー凹部11に着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0061】
〔槽60〕
槽60は試料30を固定したチャンバー1を収納できる槽である。槽60は、ガス透過度測定装置100の外部に対して開閉可能なハッチ(不図示)を備えていてもよい。これにより、ガス透過度装置100の外部の雰囲気にチャンバー1に固定した試料30を曝して、ガス透過度を測定することができる。また、たとえば、槽60は、温恒湿槽であるとよく、チャンバー1に固定した試料30の外部の雰囲気の温度、および湿度を調整する空調設備(不図示)を備えていてもよい。
【0062】
<チャンバー1'(ガス透過度測定装置100’)>
以下、本発明の他の実施形態について、図6を参照して説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0063】
図6は、本実施形態に係るチャンバー1’を備えるガス透過度測定装置100’を示す概略図である。ガス透過度測定装置100’は、チャンバー1に代えてチャンバー1’を用いること以外は、ガス透過度測定装置100と同じであるため、その説明を省略する。
【0064】
チャンバー1’は、チャンバー開口部24’が形成された固定部20’を備え、固定部20’は、チャンバー凹部21’に設けられている。すなわち、本実施形態に係るチャンバー1’は、一実施形態に係るチャンバー1が備える固定治具21と、チャンバー凹部11とが一体的に形成されたチャンバー凹部21’の一部として固定部20’を備えている。チャンバー凹部21’は、チャンバー内部10'を規定するチャンバー1’の本体でもあり得る。なお、チャンバー1’では、チャンバー開口部24’を包囲するように設けられた複数の貫通孔211’が、チャンバー1’のチャンバー凹部21’に設けられている。
【0065】
上記の構成においても、チャンバー1と同じく、試料が内部に備える中空部33を外部の雰囲気に対する気密性を保ちつつ、当該中空部33にガスを供給できる。よって、チャンバー1'を用いことで、袋等といった中空部を備える容器を首尾よく固定し、ガス透過度を測定できる。また、チャンバー1'を用いるため、上述の通り、ファスナー付き樹脂製袋やアルミラミネートバッグ等のガス透過度を精度よく測定することができる。
【0066】
<ガス透過度測定方法>
本発明の一実施形態に係るガス透過度測定方法は、本発明の一実施形態または一変形例に係るチャンバーを用いてガス透過度を測定する方法である。ガス透過度測定方法は、一実施形態または一変形例に係るチャンバーを用いることにより、試料が内部に備える中空部を外部の雰囲気に対する気密性を保ちつつ、当該中空部にガスを供給できる。よって、袋等といった中空部を備える容器を首尾よく固定し、ガス透過度を測定できる。また、一実施形態または一変形例に係るチャンバーを用いるため、上述の通り、ファスナー付き樹脂製袋等のガス透過度を精度よく測定することができる。さらには、一実施形態または一変形例に係るチャンバーを用いることにより、接着剤組成物を用いる必要がない。よって、キャリアガスが、接着剤組成物から放出される成分により汚染されることを防止でき、試料自体を透過した成分の検出精度の低下が生じることを回避できる。従って、一実施形態または一変形例に係るチャンバーを用いてガス透過度を測定する方法も、本発明の範疇である。
【0067】
(まとめ)
本発明の態様1に係るチャンバーは、中空部を備える試料を固定するチャンバーであって、上記チャンバーは、上記試料に設けられた試料開口部の周縁部を固定する固定部と、上記試料開口部を介し、上記中空部にガスを導入し、上記中空部に導入された上記ガスを上記チャンバー内部に回収するチャンバー開口部と、を備えており、上記固定部は、上記試料開口部および上記チャンバー開口部に連通する治具開口部を備え、上記中空部内側に配置される試料内治具と、上記試料開口部の周縁部を、上記治具開口部の周縁部と、上記チャンバー開口部の周縁部とによって締め付ける締め付け部と、を備えている。
【0068】
本発明の態様2に係るチャンバーは、上記態様1において、上記締め付け部は、上記治具開口部の周縁部と、上記試料開口部の内側と、上記チャンバー開口部の周縁部とに挿入され、上記治具開口部の周縁部と上記チャンバー開口部の周縁部とを締め付けることで、上記試料開口部の周縁部を固定するとよい。
【0069】
本発明の態様3に係るチャンバーは、上記態様1または2において、上記治具開口部の周縁部を包囲する第1当接部と、上記チャンバー開口部の周縁部を包囲する第2当接部とを備え、上記第1当接部および第2当接部によって上記試料開口部の周縁部を包囲するようにして挟み込むとよい。
【0070】
本発明の態様4に係るチャンバーは、上記態様1~3の何れかにおいて、上記チャンバー開口部を備えた固定治具と、上記固定治具を固定するチャンバー凹部と、を備え、上記固定治具を固定するチャンバー凹部に固定することで、チャンバー内部を形成するとよい。
【0071】
本発明の態様5に係るチャンバーは、上記態様1~4の何れかにおいて、上記試料内治具は、複数に分割された分割治具からなり、当該分割治具を組み合わせることで、上記治具開口部を形成するとよい。
【0072】
本発明の態様6に係るチャンバーは、上記態様1~5の何れかにおいて、上記チャンバー開口部を通り、上記中空部内に挿入される、ガス導入管を備えるとよい。
【0073】
本発明の態様7に係るチャンバーは、上記態様1~6の何れかにおいて、上記試料がシール部を備える容器であり得る。
【0074】
本発明の態様8に係るガス透過度測定装置は、上記態様1~7の何れかのチャンバーを備えるとよい。
【0075】
本発明の態様9に係るガス透過度測定方法は、上記態様1~7の何れかのチャンバーを用いる、ガス透過度測定方法である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、試料のガス透過度の評価に利用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1、1’ チャンバー
10、10’ チャンバー内部(チャンバー)
11 チャンバー凹部(チャンバー)
12 チャンバー締め付け部
13 チャンバー用ガスケット
20 固定部(チャンバー)
21 固定治具(チャンバー)
213 当接部(第1当接部)
22 試料内治具
223 当接部(第2当接部)
23 治具締め付け部(締め付け部)
24 チャンバー開口部(開口部)
25 治具開口部
26 ガスケット(第1当接部)
27 ガスケット(第2当接部)
30 試料
31 シール部(試料)
32 試料開口部(試料)
33 中空部(試料)
40 ガス導入部
41 ガス導入管
42 ガス導入管開口部
50 測定部
51 ガス回収管
52 ガス回収管開口部
60 槽
図1
図2
図3
図4
図5
図6