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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】蛍光GTP類似体および使用
(51)【国際特許分類】
   C07H 23/00 20060101AFI20250409BHJP
   G01N 33/533 20060101ALI20250409BHJP
   G01N 33/542 20060101ALI20250409BHJP
【FI】
C07H23/00 CSP
G01N33/533
G01N33/542 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021544495
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 FR2020050149
(87)【国際公開番号】W WO2020157439
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】1900856
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514064671
【氏名又は名称】シスビオ バイオアッセイズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】ラマルク, ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ブリエ, エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ルー, トマ
(72)【発明者】
【氏名】トリンケ, エリック
(72)【発明者】
【氏名】デュピュイ, エロディ
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/063721(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/068751(WO,A1)
【文献】Anal. Chem.,2009年,81,5033-5038
【文献】DDT,2002年,18,S150-156
【文献】Inorg. Chem.,2013年,52,8461-8466
【文献】Chem. Rev.,2010年,110,2729-2755
【文献】Applied Spectroscopy Reviews,2005年,40,1-31
【文献】Chem. Rev.,2014年,114,4496-4539
【文献】Journal of Fluorescence,2005年,15,559-568
【文献】Eur. J. Inorg. Chem.,2005年,3918-3927
【文献】Sci. China Tech. Sci.,2018年,61,1265-1285
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H
G01N 33/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
のうちの1つから選択される、化合物。
【請求項2】
下記式:
【化10】
である、請求項に記載の化合物。
【請求項3】
Gタンパク質共役受容体(GPCR)の活性化を変化させられる分子を同定する方法であって、
a)(i)請求項1または2に記載の化合物と(ii)受容体フルオロフォアで標識された抗Gαタンパク質抗体とで構成された一対のFRETパートナー、および、試験分子の存在下で、GPCRおよびGαタンパク質を含む膜調製物をインキュベートする工程、および、
b)FRET信号が現れるかどうかを判定する工程
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Gタンパク質共役受容体の活性化を変化させられる分子をエネルギー移動技術によって検出するのに有用な蛍光GTP類似体に関する。
【背景技術】
【0002】
Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、哺乳類および動物界全体に見られる膜受容体ファミリーである。Gタンパク質は、GPCRにより活性化されるヘテロ三量体タンパク質(α、β、およびγの3つのサブユニット)である。GPCRを介して、Gタンパク質は、細胞外からのシグナルを細胞内に伝達する役割(すなわち、外的刺激に対する細胞応答)を果たす。一般的に述べられるその作用機序を図1に示し、以下に概要を示す。
・休止している不活性状態では、Gタンパク質のαサブユニットはヌクレオチドGDPに結合している(GDPに結合した完全なGタンパク質)。
・GPCRの活性化後、GPCRはGタンパク質のαサブユニットに結合し、以下の2段階で構成されるGタンパク質活性化プロセスを開始する:
1)Gタンパク質からGDPが放出されて空のGタンパク質となり、不活性なGPCR/空のGタンパク質複合体が形成される。
2)GTPが結合してGTP型の活性Gタンパク質(GTPに結合した完全なGタンパク質)が形成される。
第一段階では、受容体に結合したGタンパク質は「空(から)型」と呼ばれる形態である。文献では、この状態は一過性とされている。というのは、ヌクレオチドGTPが、Gタンパク質のαサブユニットへすぐに結合するといわれているからである。また、活性化Gタンパク質のβ/γサブユニットがαサブユニットから解離する。
・次いで、GTPに結合した完全なGタンパク質のαサブユニットは、エフェクターに結合してエフェクターを活性化する。すると、エフェクターはシグナル伝達経路を活性化し、その結果、細胞応答が起こる。
・次いで、GTPはGタンパク質のαサブユニットにより加水分解されてGDPを形成し、αサブユニットはβ/γサブユニットと再結合して、GDPに結合した完全なGタンパク質を再形成する(不活性状態)。
【0003】
異なるエフェクターに対して異なる選択性プロファイルを示し(非特許文献1)、それによって優先的シグナル伝達経路の活性化を誘導するGαタンパク質サブタイプがいくつか存在する。
【0004】
GPCRは多くの重要な生理学的機能に関与しており、多くの病態に対する好ましい治療標的の1つと見なされている。したがって、GPCRを変化させられる分子を同定するために多くのインビトロスクリーニング試験が開発されている。開発された試験は、それぞれ異なるGタンパク質活性化機構を利用し、様々な技術を採用したものである(非特許文献2)。特に、放射性標識リガンドを用いてGPCRに対するリガンドの親和性を測定する親和性試験、GPCRに結合させたシンチグラフィービーズを用いる近接性シンチグラフィー試験、あるいはGTPγS(GTP-ガンマ-S)などの低加水分解性もしくは非加水分解性GTPを用いる機能性試験が挙げられる。しかしながら、これらの試験は実施が難しく、膜ろ過工程を必要とする場合もあるため、ハイスループットスクリーニング(HTS)試験として用いることが制限される場合もある。GPCR活性化を確認する他の試験も開発されている。これらの試験は、特に、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)(非特許文献3参照)または生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)(非特許文献4)などのエネルギー移動技術(共鳴エネルギー移動(RET))に基づいている。これら2つの技術には、エネルギーを付与できる分子(供与体という)またはエネルギーを受け取れる分子(受容体という)という概念が関与する(非特許文献5参照)。例えば、GPCRに共役した供与体とGタンパク質に共役した受容体とを用いて(特許文献1および特許文献2)、またはGタンパク質のαサブユニットに共役した受容体とGタンパク質のβおよび/またはγサブユニットに共役した供与体とを用いて(非特許文献6)、GPCRとGタンパク質との相互作用を明らかにするエネルギー移動技術が挙げられる。しかしながら、これらの技術は融合タンパク質の調製を必要とし、細胞により内因的に発現された(すなわち、未修飾および非過剰発現の)GPCRおよびGタンパク質の研究が可能でないため、限定的である。一方、受容体により活性化されるGαタンパク質の各種サブタイプを識別するために、これらの技術は複数の膜試料の調製(Gαタンパク質のサブタイプごとの特定の調製)を必要とする。また、エネルギー移動技術は、Gタンパク質のGTP(活性)型またはGタンパク質のGDP(不活性)型の変化を視覚化することを目的とした試験の開発にも使用されている。例えば、シアニン型分子に結合したGTP類似体を採用する特許文献3および特許文献4が挙げられる。
【0005】
特許文献5には、標識されたATP誘導体を用いてエネルギー移動信号を検出する方法が記載されている。しかしながら、該誘導体はGタンパク質に結合できない。非特許文献7には、GTP類似体が時間分解蛍光検出法で使用可能であることが記載されている。この類似体は、GTPのガンマ位にあるリン酸原子に窒素原子を介して結合したユウロピウムキレートで構成されている。しかしながら、ユウロピウムキレートの構造は開示されておらず、当該類似体を合成するのに使用される方法も同様である。非特許文献8には別のGTP類似体が記載されており、これは、ガンマ-[(8-アミノオクチル)イミド]グアノシン-5’-三リン酸と{2,2’,2’’,2’’’-{[[2-(4-イソチオシアナトフェニル)エチル]イミノ]ビス(メチレン)ビス{4-{[4-(R-D-グルコピラノキシ)フェニル]エチニル}ピリジン-6,2-ジイル}ビス(メチレンニトリロ)}テトラキス(アセタト)}ユウロピウム(III)との結合で得られ、その合成は非特許文献9に記載されている。
【0006】
従って、Gタンパク質に結合可能な化合物であって、Gタンパク質共役受容体の活性化を変化させられる分子をエネルギー移動技術によって検出する方法で実際に使用できる化合物を利用したいというニーズが実際に存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2006/086883号
【文献】国際公開第2003/008435号
【文献】国際公開第2006/035208号
【文献】米国特許出願公開第2007/0287162号明細書
【文献】国際公開第2009/068751号
【非特許文献】
【0008】
【文献】Journal of Molecular Biology,2016,428,3850
【文献】Zhang et al.;Tools for GPCR Drug Discovery;Acta Pharmacologica Sinica,2012,33,372
【文献】Clinical Chemistry,1995,41,1391
【文献】Proceedings of the National Academy of Sciences,1999,96(1),151
【文献】Physical Chemistry Chemical Physics,2007,9,5847
【文献】Bunemann et al.,Proceedings of the National Academy of Sciences,2003,26,16077
【文献】Drug Discovery Today,2002,7(18),S150
【文献】Analytical Chemistry,2009,81,5033
【文献】Analytical Chemistry,2003,75,3193
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ランタニド錯体に結合する、一般式(I):
【化1】
(式中、
Xは、O、NH、またはCHであり、
Yは、O、NH、またはCHであり、
Lは、二価の連結基であり、
Ln3+は、反応性基G(下記で定義する)を有していてもよいランタニド錯体であるが、
XがNHでありL-Yがオクチルアミノ基である場合、Ln3+は{2,2’,2’’,2’’’-{[[2-(4-イソチオシアナトフェニル)エチル]イミノ]ビス(メチレン)ビス{4-{[4-(R-D-グルコピラノキシ)フェニル]エチニル}ピリジン-6,2-ジイル}ビス(メチレンニトリロ)}テトラキス(アセタト)}ユウロピウム(III)ではないことが理解される)で表されるGTPまたはその誘導体の新規な分子を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】Gタンパク質の作用機序を表す。
図2】本発明の化合物とGタンパク質との結合を検出するのに使用されるアッセイフォーマットを表す。
図3】本発明の化合物をGαiタンパク質に結合させる試験を表す。
図4】本発明の化合物をGαiタンパク質に結合させる試験を表す。
図5】本発明の化合物をGαiタンパク質に結合させる試験を表す。
図6】本発明の化合物をGαiタンパク質に結合させる試験を表す。
図7】本発明の化合物をGαiタンパク質に結合させる試験を表す。
図8】本発明の化合物をGαiタンパク質に結合させる試験を表す。
図9】本発明の化合物をGαiタンパク質に結合させる試験を表す。
図10】本発明の化合物をGαiタンパク質に結合させる試験を表す。
図11】膜および試験化合物の濃度が該化合物とGαiタンパク質との結合に与える効果を表す。
図12】本発明の化合物をGαiタンパク質に結合させる試験を表す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一態様によれば、本発明は、式(I):
【化2】
(式中、
Xは、O、NH、またはCHであり、
Yは、O、NH、またはCHであり、
Lは、二価の連結基であり、
Ln3+は、反応性基G(下記で定義する)を有していてもよいランタニド錯体であるが、
但し、XがNHでありL-Yがオクチルアミノ基である場合、Ln3+は{2,2’,2’’,2’’’-{[[2-(4-イソチオシアナトフェニル)エチル]イミノ]ビス(メチレン)ビス{4-{[4-(R-D-グルコピラノキシ)フェニル]エチニル}ピリジン-6,2-ジイル}ビス(メチレンニトリロ)}テトラキス(アセタト)}ユウロピウム(III)ではない)で表される化合物に関する。
【0012】
「ランタニド錯体」という語は、ランタニドファミリーの原子を錯体化できるキレート、大環状分子、クリプテート、または任意の有機種を意味するものと理解され、ランタニド(Ln)は、Eu、Sm、Tb、Gd、Dy、Nd、またはErから選択される。ランタニドは、Tb、Sm、またはEuであることが好ましく、EuまたはTbであることがより好ましい。
【0013】
式(I)の各種化合物のファミリーは、式(Ia)~(Ig):
【化3】
(式中、LおよびLn3+は、上で示した意味を有する)で表される。
【0014】
本発明に係る化合物の第1のファミリーは、式(Ia)、(Id)、および(If)の化合物で構成される。このファミリーはGTP-ガンマ-Oファミリーと呼ばれる(二価の連結基が酸素原子を介してGTPのガンマ位にあるリン酸に結合しているため)。本発明に係る化合物の第2のファミリーは、式(Ib)、(Ie)、および(Ig)の化合物で構成される。このファミリーはGTP-ガンマ-Nファミリーと呼ばれる(二価の連結基が窒素原子を介してGTPのガンマ位にあるリン酸に結合しているため)。本発明に係る化合物の第3のファミリーは、式(Ic)の化合物で構成される。このファミリーはGTP-ガンマ-Cファミリーと呼ばれる(二価の連結基が炭素原子を介してGTPのガンマ位にあるリン酸に結合しているため)。
【0015】
一実施形態において、XはOである。別の実施形態において、XはNHである。別の実施形態において、XはCHである。
【0016】
一実施形態において、二価の連結基Lは、
・直接結合;
・1つ以上の二重または三重結合を含んでいてもよい直鎖状または分岐鎖状の炭素数1~20、好ましくは炭素数1~8のアルキレン基;
・炭素数5~8のシクロアルキレン基;または
・炭素数6~14のアリーレン基
から選択され、
上記アルキレン基、シクロアルキレン基、またはアリーレン基は、酸素、窒素、硫黄、もしくはリン等のヘテロ原子を1個以上、またはカルバモイル基もしくはカルボキサミド基を1個以上含んでいてもよく、上記アルキレン基、シクロアルキレン基、またはアリーレン基は、1~5個、好ましくは1~3個の炭素数1~8のアルキル基、炭素数6~14のアリール基、スルホネート基、またはオキソ基で置換されていてもよい。
【0017】
二価の連結基Lは、以下の基:
【化4】
(式中、n、m、p、およびqは1~16、好ましくは1~5の整数であり、eは1~6、好ましくは1~4の範囲の整数である)から選択されることが有利である。
【0018】
特に有利な方法では、二価の連結基Lは、直接結合、直鎖状または分岐鎖状の炭素数1~8のアルキレン基、または下記式:
【化5】
の基から選択される。
【0019】
二価の連結基Lは、以下:
【化6】
から選択されることが好ましく、-(CH-基が特に好ましい。
【0020】
別の実施形態によれば、二価の連結基Lは、式:
【化7】
(式中、m、n、およびpは、1~16、好ましくは1~5の整数である)の基である。
【0021】
一実施形態において、ランタニド錯体Ln3+は、下記錯体のうちの1つから選択される。
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
【0022】
pHに応じて、-SOH基、-COH基、および-PO(OH)基は脱プロトン化された形態またはされていない形態である。従って、これらの基は、-SO 基、-CO 基、および-PO(OH)O基とも表される。
【0023】
ランタニド錯体Ln3+は、錯体C1~C17、C24~C32、およびC36~C44のうちの1つから選択されることが有利である。ランタニド錯体Ln3+は、錯体C1~C17およびC36~C44のうちの1つから選択されることがより有利である。ランタニド錯体Ln3+は、錯体C1~C17のうちの1つから選択されることが更に有利である。ランタニド錯体Ln3+は、錯体C1~C4およびC11~C17のうちの1つから選択されることが更に有利である。ランタニド錯体Ln3+は、錯体C1~C4およびC11のうちの1つから選択されることが更に有利である。ランタニド錯体Ln3+は、錯体C2または錯体C3であることが非常に有利である。
【0024】
ランタニド錯体C1~C90は、以下の出版物に記載されている。これらの錯体は、市販されているか、あるいは下記出版物に記載された合成経路で得られる。
C1:国際公開第03/076938号
C2:欧州特許出願公開第0 203 047号明細書
C3~C4:国際公開第2008/025886号
C5:Spectrochimica Acta;Part A,Molecular and Biomolecular Spectroscopy,2001,57(11),2197.
C6:Spectrochimica Acta;Part A,Molecular and Biomolecular Spectroscopy,2001,57(11),2197.
C7:Analytical Biochemistry,2000,286(1),17.
C8:国際公開第01/96877号
C9:Spectrochimica Acta;Part A,Molecular and Biomolecular Spectroscopy,2001,57(11),2197.
C10:国際公開第01/96877号
C11:国際公開第2008/063721号
C12~C17:国際公開第2017/098180号
C18~C20:国際公開第2013/011236号
C21~C35:国際公開第2014/111661号
C36~C44:国際公開第2018/229408号
C45~C47:Organic&Biomolecular Chemistry,2012,10,8509.
C48:国際公開第2010/084090号
C49:国際公開第2009/010580号
C50~C51:Chemical Communications,2007,3841
C52:国際公開第2006/120444号
C53:European Journal of Inorganic Chemistry,2010,3961.
C54:Bioconjugate Chemistry,2009,20(3),625.
C55:欧州特許出願公開第0 770 610号明細書
C56:国際公開第2016/106241号
C57~C58:欧州特許出願公開第0 770 610号明細書
C59~C60:Analytical Chemistry,2003,75,3193-3201
C61:Bioconjugate Chemistry,1997,8(2),127
C62:国際公開第93/11433号
C63:米国特許出願公開第5 696 240号明細書
C64a~C81b:国際公開第2018/22932号
C82:国際公開第2010/070232号
C83~C85:国際公開第2018/045385号
C86a~b:Analyst,2010,135(1),42
C87~C89:Chemistry-A European Journal,2011,17,9164
C90:Journal of the American Chemical Society,2004,126(15),4888
【0025】
以下のスキーム1~19で、式(I)の化合物の合成をより詳細に説明する。これらの化合物は、典型的には、反応性基の使用に基づいて2つの有機分子を共役させる手法によって得られる。上記手法は当業者の一般知識の範囲内にあり、例えば、Bioconjugate Techniques,G.T.Hermanson,Academic Press,Second Edition,2008,pp.169-211に記載されている。GTP-ガンマ-O化合物を得るために、まずはGTPを式G-L-Gの化合物と反応させ、こうして形成された中間体化合物をランタニド錯体と共役させる。上記式G-L-G中、
Lは、上で定義した二価の連結基であり、
は、GTPのガンマ位にあるリン酸のOH官能基と反応可能な反応性求電子基であり、
は、ランタニド錯体Ln3+が有する反応性基(G)と反応可能な反応性基である。
【0026】
中間体化合物(反応性基Gを有する)とランタニド錯体(反応性基Gを有する)との共役反応の結果、反応性基の原子を1個以上有する共有結合が形成される。
【0027】
一実施形態において、求電子基Gは、
・ガンマ位にあるリン酸のヒドロキシ官能基と反応できる反応種を中間体として形成する反応物質により活性化されるOH基、または、
・例えば、脂肪族塩化物、脂肪族臭化物、脂肪族ヨウ化物、脂肪族メシレート、脂肪族トシレート、および脂肪族トリフレート等の脱離基タイプの反応性基である。
【0028】
一実施形態において、反応性基GおよびGは、互いに独立して以下の基:アクリルアミド、活性化されていてもよいアミン(例えば、カダベリンまたはエチレンジアミン)、活性化エステル、アルデヒド、ハロゲン化アルキル、無水物、アニリン、アジド、アジリジン、カルボン酸、ジアゾアルカン、ハロアセトアミド、モノクロロトリアジンもしくはジクロロトリアジン等のハロトリアジン、ヒドラジン(ヒドラジドを含む)、イミドエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、ハロゲン化スルホニル、チオール、ケトン、酸ハロゲン化物、スクシンイミジルエステル、ヒドロキシスクシンイミジルエステル、ヒドロキシスルホスクシンイミジルエステル、アジドニトロフェニル、アジドフェニル、3-(2-ピリジルジチオ)プロピオンアミド、グリオキサール、トリアジン、アセチレン基のうちの1つから選択され、特に、式:
【化44】
(式中、wは0~8まで変化し、vは0または1に等しく、Arは1~3個のヘテロ原子を含む飽和または不飽和の5または6員複素環であり、ハロゲン原子で置換されていてもよい)の基から選択される基である。
【0029】
およびGは、適合する保護基で保護されたそれらの形態に由来したものであってもよい。
【0030】
反応性基GおよびGは、互いに独立して、アミン(-NHBocの形態で保護されていてもよい)、スクシンイミジルエステル、ヒドロキシスクシンイミジルエステル、ハロアセトアミド、ヒドラジン、ハロトリアジン、イソチオシアネート、マレイミド基、またはカルボン酸(-COMeまたは-COtBu基の形態で保護されていてもよい)から選択されることが好ましい。後者の場合、求核種と反応可能とするために、酸をエステルの形態で活性化することが必要となる。
【0031】
GTP-ガンマ-N化合物を得るために、ランタニド錯体がNH基を有する場合、GTPをランタニド錯体と直接反応させることができる。また、GTPは、式HN-(CH-NH(式中、nは上で定義した通りであり、アミノ基のうち1つは保護基で保護されていてもよい)の化合物と反応させることができ、次いで、得られた中間体化合物を、上で定義した反応性基Gで官能化したランタニド錯体と結合させることができる。
【0032】
本発明に係る化合物は、Gタンパク質に結合できる。この性質は、FRET原理に基づくイムノアッセイによって、受容体フルオロフォアで標識された抗Gαタンパク質抗体と本発明に係る化合物とで構成された一対のFRETパートナーの存在下、GPCRおよびGαタンパク質を含む膜調製物をインキュベートすることで確認される。インキュベーションは、GTPγS等の非加水分解性または徐加水分解性GTP類似体の存在下または非存在下で実施される。FRETペアの各パートナーが同じGαタンパク質に結合すると、FRETシグナルが現れ、それにより、本発明の化合物がGαタンパク質へ結合したことが確認される。したがって、本発明の化合物は、Gタンパク質共役受容体の活性化を変化させられる分子をFRET法によって同定するのに使用でき、有利である。
【0033】
(合成)
ガンマ位でランタニド錯体に結合したGTPの合成をスキーム1~19で説明する。
【0034】
(GTP-ガンマ-O(GTPγO)ファミリー化合物の合成)
本発明の化合物(ランタニド錯体GTP)の前駆体である化合物2は、当業者に知られているプロトコルに従って合成できる。市販のGTPを出発物質とし、アルファ位に脱離基(I、Br、メシル、トシル)を有し、そのオメガ位に保護されたアミノ基を有する連結基とGTPとの求核置換によって、GTPのガンマ位に連結基「L1」を導入することで、化合物1が得られる。P=CBzまたはCOCFの場合、類似した結合例を利用できる(国際公開第2009/105077号または国際公開第2009/091847号を参照)。保護基に対応した脱保護条件を用いて保護基を除去する(国際公開第2009/014612を参照)。次いで、当業者に知られている従来の方法を用いて、アミド結合を介して化合物2をランタニド錯体に共有結合させる(スキーム1)。
【化45】
【0035】
GTPのガンマ位でランタニド錯体を結合させるための別の選択肢としては、「クリックケミストリー」の使用が挙げられる。そのためには、まず初めに、アジド基(スキーム2)またはアセチレン基(スキーム3)のいずれかを導入する必要がある。上記の通り、これらの基は、連結基L2またはL3とGTPとの求核置換反応を介して導入される(スキーム2および3)。ヌクレオチドと連結基との結合例は、例えば、Hacker et al.(The Journal of Organic Chemistry,2012,77(22),17450)により記載されている。
【化46】
【化47】
【0036】
逆に、アセチレン基を第1段階でGTPに導入することができ、6系の化合物が得られる。他のヌクレオチドへの結合例は文献から入手できる(Journal of the American Chemical Society,2003,125,9588)。次いで、アジド形態に官能化されたランタニド錯体で環化付加反応を実施して、CLn3+-7a~d化合物を得ることができる。
【0037】
(GTP-ガンマ-Nファミリー化合物の合成)
GTP-ガンマ-Oファミリーの場合と同じように、類似した戦略に従ってGTP-ガンマ-N化合物を調製できる。NH官能化ランタニド錯体は、リンカーを挿入することなくGTP分子へ直接縮合される(スキーム4)。
【化48】
【0038】
ランタニド錯体は、前もって導入された末端NH連結基を既に含むGTP-ガンマ-N分子9a~eを用いて結合できる。
【化49】
【0039】
ジアミノ連結基のいくつかの等価物の使用を避けるために、例えばCBzやトリフルオロ酢酸(COCF)基で官能基の1つが保護される。続いて、(GTPの化学的加水分解を回避する条件下で)保護基を除去することで、同じ化合物9a~eが得られる。これらの化合物に、当業者に知られている従来の方法を用いてランタニド錯体を結合させる(スキーム6)。
【化50】
【0040】
(GTP-ガンマ-Cファミリー化合物の合成)
GTP-ガンマ-C系は、末端位置がさまざまな方法で置換できるホスホン酸とグアノシン二リン酸(GDP)との縮合によって合成される。末端位置が保護された(トリフルオロアセトアミド15a~fまたはCBz16a~f)アミン官能基である場合、これらの化合物は、文献(欧州特許出願公開第0 959 077号明細書(TFA)、国際公開第2012/150866号明細書、およびThe Journal of Organic Chemistry,1984,49,1158(CBz))に記載された方法を用いて調製される。第1段階では、N-フタルイミドアルキルブロミド(12a~f)を亜リン酸トリエチルと縮合し、続いてヒドラジンで処理することで、アミン官能基を脱保護する。ホスホン酸エチルを臭化水素酸の存在下で加水分解することで、化合物14a~fが得られる。GDPとの結合反応中の自己縮合反応を防ぐために、第一級アミン官能基をCBzまたはトリフルオロアセトアミドのいずれかで保護する。この反応シーケンスによって、中間体化合物15a~fおよび16a~fを得ることができる。
【化51】
【0041】
マスクされた第一級アミン官能基を導入する代わりに、リンカーの末端部がアセチレン単位であるGTP-ガンマ-Cを利用することもできる。この官能基によって、結合反応に利用できるアジド官能基を有するランタニド錯体とアセチレン系GTP-ガンマ-Cとの「クリックケミストリー」反応を実施できる。スキーム8には、文献で入手できるプロトコルに従って調製された各種中間体を簡潔に記載している(Bioorganic Medicinal Chemistry,2018,26,191およびAngewandte Chemie International Edition,2011,50,10699)。市販のアセチレン系臭化アルキル誘導体を亜リン酸トリメチルシリルと縮合させた後、加水分解することで、18a~f系が得られる。
【化52】
【0042】
生体共役反応を可能にする官能基をGTP-ガンマ-C化合物のリンカーに導入する別の選択肢も考えられる。このアプローチでは、スキーム9に記載されたシーケンスを用いてアジド基をホスホン酸に導入する。プロトコルは、例えば、Chemistry,A European Journal,2010,16,12718、Langmuir,2010,26,10725、あるいはThe Journal of Organic Chemistry,2012,77,10450等の文献に記載されている。二臭素化誘導体を亜リン酸トリエチルと反応させて、化合物20a~fが得られる。続いて、アジ化ナトリウムとの単純な求核置換によってアジド官能基が導入される。続いて、TMS-Brの存在下でジエステルを加水分解すると、誘導体22a~fが得られる。
【化53】
【0043】
化合物15a~f、16a~f、18a~f、または22a~fとランタニド錯体との結合は、当業者に知られている従来の方法を用いて実施される(スキーム10~13)。
【化54】
【化55】
【化56】
【化57】
【0044】
GTPの場合と同様に、同じ合成戦略を採用して、GPPNHP類似体(市販品、CAS:64564-03-0)をガンマ位でランタニド錯体と結合させることができる。ガンマOで置換された誘導体の場合、合成は、例えばスキーム14に記載されている。ガンマNで置換された誘導体の場合、合成はスキーム15および16に記載されている。また、これらの結合は国際公開第2009/068751号にも例示されており、該文献ではATP類似体を使用している。
【化58】
【化59】
【化60】
【0045】
GTPの場合と同様に、同じ合成戦略を採用して、GPPCHP類似体(市販品、CAS:13912-93-1または10470-57-2、Na塩形態)をガンマ位でランタニド錯体と結合させることができる。ガンマOで置換された誘導体の場合、合成は、例えばスキーム17に記載されている。ガンマNで置換された誘導体の場合、合成はスキーム18および19に記載されている。また、これらの結合は国際公開第2009/068751号にも例示されており、該文献ではATP類似体を使用している。
【化61】
【化62】
【化63】
【実施例
【0046】
例示として示した以下の実施例によって本発明を説明する。
【0047】
(使用した略語)
BRET:生物発光共鳴エネルギー移動
BSA:ウシ血清アルブミン
DMSO:ジメチルスルホキシド
EDC:N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド
eq:当量
ESI+:ポジティブエレクトロスプレーイオン化モード
FRET:フェルスター共鳴エネルギー移動
GDP:グアノシン二リン酸
GPCR:Gタンパク質共役受容体
GTP:グアノシン三リン酸
GTPγS:グアノシン5’-[γ-チオ]三リン酸
h:時間
HEPES:4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
LC-MS:質量分析と組み合わせた高速液体クロマトグラフィー
LRMS:低分解能質量分析
MES:2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸
MOPS:3-モルホリノ-1-プロパンスルホン酸
NCS:イソチオシアネート
NHS:N-ヒドロキシスクシンイミド
Py:ピリジン
GPCR:Gタンパク質共役受容体
AT:周囲温度
TEA:トリエチルアミン
TRIS:トリスヒドロキシメチルアミノメタン
UPLC:超高速液体クロマトグラフィー
UPLC-MS:質量分析と組み合わせた超高速液体クロマトグラフィー
UV:紫外線
【0048】
(クロマトグラフィー)
分析用および分取用高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の手順は、次の2つの機器で実行した。
分析HPLC:ThermoScientific、P4000クォータナリポンプ、重水素ランプ(190~350nm)を有するUV1000検出器、Waters XBridge C18分析カラム(3.5μm、4.6×100mm)
分取HPLC:島津製作所、LC-8Aポンプ2個、Varian ProStarダイオードアレイUV検出器、Waters XBridge prep C18分取カラム(5μm:19×100mmまたは50×150mm)
【0049】
分析用超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)の手順は、検出器としてPDA型ダイオードアレイUV検出器またはSQD2型シングル四重極質量検出器のいずれかを備えたWaters Acquity HClass機器で実行した。プローブは、ポジティブモードのエレクトロスプレーをキャピラリー電圧3.2kV、コーン電圧30Vで使用した。
【0050】
勾配A:Waters Xbridge C18カラム(5μm、10×100mm)、A/水 25mM酢酸トリエチルアンモニウム、pH7、B/アセトニトリル、t=0~5分:1%B、t=10分:10%B、20ml.min-1(260nm)
【0051】
勾配B
Waters Xbridge C18カラム(5μm、4.6×100mm)、A/水 25mM酢酸トリエチルアンモニウム、pH7、B/アセトニトリル、t=0~2分:2%B、t=19分:40%B、1ml.min-1
【0052】
勾配C
Waters Xbridge C18カラム(3.5μm、4.6×100mm)、A/水 5mM酢酸アンモニウム、pH5、B/アセトニトリル、t=0分:2%B、t=1分:2%B、t=15分:40%B、1ml.min-1
【0053】
勾配D
Waters Xbridge C18カラム(5μm、19×100mm)、A/水 5mM酢酸アンモニウム、pH6.6、B/アセトニトリル、t=0分:2%B、t=2.5分:2%B、t=27分:40%B、12ml.min-1(280および320nm)
【0054】
勾配E
Waters Xbridge C18カラム(5μm、19×100mm)、A/水 25mM酢酸トリエチルアンモニウム、pH7、B/アセトニトリル、t=0分:2%B、t=2分:2%B、t=20分:50%B、20ml.min-1(280および320nm)
【0055】
勾配F
Waters Acquity C18カラム(300Å、1.7μm、2.1×50mm)、A/水 5mM酢酸アンモニウム、pH5、B/アセトニトリル、t=0分:2%B、t=0.2分:2%B、t=5分:40%B、0.6ml.min-1
【0056】
勾配G
Waters Xbridge C18カラム(300Å、5μm、10×100mm)、A/水 25mM酢酸トリエチルアンモニウム、B/アセトニトリル、t=0分:2%B、t=19分:20%B、5ml.min-1
【0057】
勾配H
Waters Xbridge C18カラム(5μm、4.6×100mm)、A/水 25mM酢酸トリエチルアンモニウム、pH7、B/アセトニトリル、t=0~2分:2%B、t=19分:50%B、1ml.min-1
【0058】
勾配I
Waters Xbridge C18カラム(5μm、10×100mm)、A/水 25mM酢酸トリエチルアンモニウム、pH7、B/アセトニトリル、t=0分:2%B、t=2分:2%B、t=27分:50%B、3.5ml.min-1(280nm)
【0059】
勾配J
Waters Xbridge C18カラム(5μm、19×100mm)、A/水 25mM酢酸トリエチルアンモニウム、B/アセトニトリル、t=0分:5%B、t=17分:45%B、20ml.min-1
【0060】
勾配K
Waters Xbridge C18カラム(300Å、5μm、10×100mm)、水 25mM酢酸トリエチルアンモニウム、B/アセトニトリル、t=0分:2%B、t=19分:40%B、5ml.min-1
【0061】
(化合物の調製)
調製例1:GTPガンマ-N-ペンチル-NH(9c)
【化64】
EDC(40mg;210μmol、11eq)とカダベリン(58mg、573μmol、30eq)のMOPS溶液(pH8)とを、GTP(10mg;19.1μmol、1eq)の水(500μl)溶液が入った丸底フラスコに添加した。この反応混合物をATで一晩撹拌した後、分取HPLC(勾配A)で精製した。化合物9c(5mg)に対応する白色固体が得られた。(ESI+):calculated C152813[M+H],m/z=608.10,found 608.55.
【0062】
調製例2:GTPガンマ-O-ヘキシル-C2
【化65】
NCS(イソチオシアネート)形態に官能化された錯体C2(473μg、700nmol)のDMSO(200μl)溶液を、化合物2c(0.454mg、700nmol)の100mM炭酸バッファ(pH9、500μl)溶液に一度で全て添加した。混合物をATで一晩撹拌した。反応の進行をHPLC(勾配B)およびUPLC-MS(勾配C)でモニタリングした。本期間の後、反応は完了していた。反応混合物をそのままセミ分取HPLC(勾配D)で精製して、化合物GTP-ガンマ-O-ヘキシル-C2(125μg、96nmol、14%)を白色粉末として得た。LRMS(ESI+):calculated for C4047EuN1022[M+3H]2+,m/z=650.06,found 650.32.
【0063】
調製例3:GTPガンマ-O-ヘキシル-C3
【化66】
ジクロロトリアジン形態に官能化された錯体C3(0.647mg、708nmol)の100mM炭酸バッファ(pH9、200μl)溶液を、化合物2c(0.442mg、710nmol)の100mM炭酸バッファ(pH9、200μl)溶液に一度で全て添加した。混合物を4℃で一晩撹拌した。反応の進行をUPLC-MS(勾配C)でモニタリングした。本期間の後、反応は完了していた。反応混合物をそのまま分取HPLC(勾配E)で精製して、化合物GTP-ガンマ-O-ヘキシル-C3(0.11mg、70nmol、10%)を白色粉末として得た。LRMS(ESI+):calculated for C5053ClEuN1522 [M+3H]2+,m/z=749.59,found 750.29.
【0064】
調製例4:GTP-ガンマ-N-C2
【化67】
錯体C2(0.366mg、2μmol)を500mM MESバッファ(pH5.5、150μl)に溶解させて、黄色溶液を得た。反応混合物に、GTP(1.32mg、2.4μmol)、次いでEDC(1.92mg、10μmol)を一度で全て添加した。混合物をATで40h撹拌した。反応の進行をUPLC-MS(勾配F)でモニタリングした。本期間の後、反応は部分的であり、それ以上進行しなかった。反応混合物をそのまま分取HPLC(勾配G)で精製して、GTP-ガンマ-N-C2(60nmol、3%)を無色油として得た。LRMS(ESI+):calculated for C333421Eu[M],m/z=1137.6,found 1138.2.
【0065】
調製例5:GTP-ガンマ-N-C3
【化68】
錯体C3(0.366mg、480nmol)を500mM MESバッファ(pH5.5、150μl)に溶解させて、黄色溶液を得た。反応混合物に、GTP(0.317mg、576nmol)、次いでEDC(0.460mg、2.4μmol)を一度で全て添加した。混合物をATで一晩撹拌した。反応の進行をUPLC-MS(勾配F)でモニタリングした。本期間の後、反応は部分的であり、それ以上進行しなかった。反応混合物をそのまま分取HPLC(勾配G)で精製して、GTP-ガンマ-N-C3(45.6nmol、9.5%)を無色油として得た。LRMS(ESI+):calculated for C41401121Eu[M+2H],m/z=1269.7,found 1269.
【0066】
調製例6:GTP-ガンマ-N-オクチル-C2
【化69】
化合物9e(50.0μl、500nmol)を水(100μl)に溶解させた。反応混合物にピリジン(300μl)およびトリエチルアミン(6μl)を添加した。反応混合物を、NCS(イソチオシアネート)形態に官能化された錯体C2(0.438mg、650nmol)を含む試験管に一度で全て添加した。混合物を24℃で12h撹拌した。反応の進行をUPLC-MS(勾配F)でモニタリングした。本期間の後、反応は部分的であった。反応混合物をそのまま分取HPLC(勾配G)で精製して、GTP-ガンマ-N-オクチル-C2(16.9nmol、3.4%)を無色油として得た。LRMS(ESI+):calculated for C42521121SEu[M+3H]2+,m/z=663.5,found 663.9.
【0067】
調製例7:GTP-ガンマ-N-オクチル-C3
【化70】
ジクロロトリアジン形態に官能化された錯体C3(400μg、438nmol)の水(200μl)溶液を、化合物9e(0.545mg、840nmol)の100mM炭酸バッファ(pH9、500μl)溶液に一度で全て添加した。混合物を20℃で一晩撹拌した。反応の進行をHPLC(勾配H)およびUPLC-MS(勾配C)でモニタリングした。本期間の後、反応は完了していた。反応混合物をそのままセミ分取HPLC(勾配I)で精製して、化合物GTP-ガンマ-N-オクチル-C3(7.6μg、5nmol、1%)を白色粉末として得た。LRMS(ESI+):calculated for C5258ClEuN1621 [M+3H]2+,m/z=763.11,found 763.29.
【0068】
調製例8:GTP-ガンマ-N-ヘキシル-C11
【化71】
NHSエステル形態に官能化された錯体C11(1.47mg、1μmol)の無水DMSO(122μl)溶液を、化合物9d(0.62mg、1μmol)の50mM HEPESバッファ(pH8、900μl)溶液に一度で全て添加した。混合物を24℃で1h撹拌した。反応の進行をUPLC-MS(勾配F)でモニタリングした。本期間の後、反応は完了していた。反応混合物をそのまま分取HPLC(勾配J)で精製して、化合物GTP-ガンマ-N-ヘキシル-C11(0.52mg、258nmol、26%)を白色粉末として得た。LRMS(ESI+):calculated for C801092027Tb3+[M-H]2+,m/z=1018.9,found 1019.6、[M+2Na-3H]2+,m/z=1040.8,found 1041.6.
【0069】
調製例9:GTP-ガンマ-N-オクチル-C11
【化72】
NHSエステル形態に官能化された錯体C11(0.76mg、500nmol)の無水DMSO(102μl)溶液を、化合物9e(0.32mg、500nmol)の50mM HEPESバッファ(pH8、300μl)溶液に一度で全て添加した。混合物を24℃で1h撹拌した。反応の進行をUPLC-MS(勾配F)でモニタリングした。本期間の後、反応は完了していた。反応混合物をそのまま分取HPLC(勾配K)で精製して、化合物GTP-ガンマ-N-オクチル-C11(0.22mg、105nmol、21%)を白色粉末として得た。LRMS(ESI+):calculated for C821172027Tb3+[M-2H],m/z=2064.8,found 2064.1.
【0070】
調製例10:GTP-ガンマ-N-オクチル-チオスクシンイミジル-C2
【化73】
化合物9e(0.649mg、1μmol)の水(100μl)溶液を50mM HEPESバッファ(pH8、757μl)で希釈して、無色溶液を得た。反応混合物に、NHS(N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)形態に官能化された錯体C2(750μl、1μmol)の無水DMSO(143μl)溶液を1回で添加した。反応物を25℃で1h撹拌した。反応の進行をUPLC-MS(勾配B)でモニタリングした。本期間の後、反応は完了していなかった。そうではあったが、反応混合物を分取HPLC(勾配E)で2回精製した。所期の生成物に対応する画分を回収した後、減圧下で濃縮して、化合物GTP-ガンマ-N-オクチル-チオスクシンイミジル-C2(0.241μmol、24%)を無色溶液として得た。LRMS(ESI+):calculated for C5168EuN1324 [M+H],m/z=1555.8,found 1555.8.
【0071】
(結合試験)
(材料)
・GPCRおよびG-アルファ-iタンパク質(Gαi)を発現する細胞の膜標本をPerkin ElmerまたはEuroscreenから購入した。以下の表に、使用した各種試料の細胞バックグラウンドおよび参照番号をまとめる。
【表1】
・DSV36S抗体はCisbio Bioassaysが作製したものであり、要望に応じてCisbio Bioassaysから入手できる(番号DSV36S)。抗体はTR-FRET検出に適合した蛍光プローブd2(赤色受容体)で標識した。DSV36S抗体は、Gαiタンパク質のスイッチIIに結合する。
・GTPおよびGTPγSヌクレオチドはSigma Aldrichから購入した(それぞれカタログ番号G8877およびG8634)。
・白色底の384ウェル低容量白色プレートはGreiner Bio Oneから購入した(カタログ番号784075)。
・ランタニド錯体型の供与体フルオロフォアで標識した非加水分解性/徐加水分解性GTP類似体は、Cisbio Bioassaysで合成したものである。
【0072】
(方法)
(試薬の調製)
特に言及のない限り、試薬はいずれも50mM Tris-HClバッファ(pH7.4)、10mM MgCl、0.1%BSA、10mM NaClで希釈した。膜は4Xで調製して、1ウェルあたり1μgまたは10μg分配した(量は各図の凡例に規定)。GTPγSヌクレオチド(非特異的シグナル条件)は6.67Xで調製して、ウェル中の最終濃度を100μMとした。検出に使用した抗Gαi抗体DSV36S-d2は4Xで調製して、ウェル中の最終濃度10nMを目標とした。蛍光供与体プローブ(ランタニド錯体)で標識した非加水分解性/徐加水分解性GTP類似体は4Xで調製して、各図の凡例に記載したウェル中の最終濃度を目標とした。
【0073】
(384ウェルプレートにおける試薬の分配)
・GPCRおよびGタンパク質を発現する膜:5μl
・GTPγSバッファまたはヌクレオチド(非特異的シグナル条件の場合):3μl
・非加水分解性/徐加水分解性GTP類似体-供与体:5μl
・抗Gαi抗体-受容体(DSV36S-d2):5μl
・バッファ:2μl
【0074】
非特異的シグナル(バックグラウンド蛍光ノイズ)を、過剰量のGTPγS(10または100μM)を含むウェルで測定した。
【0075】
(HTRFシグナルの読取り)
プレートを21℃で20hインキュベートした後、PHERAstarリーダー(BMG Labtech)を用いて以下の構成でHTRFシグナルを測定した。
・モジュール:HTRF(励起337nm、発光665nmおよび620nm)
・励起:レーザー40フラッシュまたはランプ100フラッシュ
・読取りウインドウ:遅延60μs、積分400μs
【0076】
(シグナル処理)
665nmおよび620nmでの生シグナルから、以下の式に従ってHTRF比を算出した。
HTRF比=[(665nmでのシグナル)/(620nmでのシグナル)]×10000
【0077】
(試験フォーマット)
図2は、式(I)の化合物とGタンパク質との結合を検出するのに使用した試験フォーマットを表す。非加水分解性または徐加水分解性GTP類似体(典型的にはGTPγS)の存在下または非存在下、試験化合物と受容体フルオロフォアで標識した抗Gαタンパク質抗体との存在下でGPCRおよびGαiタンパク質を含む膜標本をインキュベートした。2つのFRETパートナー(試験化合物および抗Gαタンパク質抗体)が同じGαタンパク質に結合する場合、FRETシグナルが現れ(図の左側:「全シグナル」)、これは、大過剰量の未標識GTPγS(蛍光GTP類似体の置換)を含む非特異的シグナル(図の右側:「非特異的シグナル」に対応するバックグラウンドノイズ)とは区別される。
【0078】
(実施例1:GTPgN-C2類似体結合試験)
デルタオピオイドGPCRおよびGαiタンパク質を発現するCHO-K1細胞の膜標本(1ウェルあたり10μg)を用いて、GTPgN-C2(調製例2)/抗Gαi抗体DSV36S-d2ペアのGタンパク質への結合による特異的TR-FRETシグナル生成能を確認した。GTPgN-C2は、ウェル中の最終濃度6nMで使用した。大過剰量のGTPγS(100μM)の非存在下または存在下で膜をインキュベートした。これら2つの条件間で見られたTR-FRETシグナルの差(HTRF比、全シグナル/非特異的シグナル=16.6)から、GTPgN-C2類似体はGαiタンパク質に結合でき、抗Gαi抗体-受容体と共にTR-FRETシグナルを生成できることが分かる(図3)。
【0079】
(実施例2:GTPgN-C3類似体結合試験)
デルタオピオイドGPCRおよびGαiタンパク質を発現するHEK293細胞の膜標本(1ウェルあたり1μg)を用いて、GTPgN-C3(調製例5)/抗Gαi抗体DSV36S-d2ペアのGタンパク質への結合による特異的TR-FRETシグナル生成能を確認した。GTPgN-C3は、ウェル中の最終濃度1nMで使用した。大過剰量のGTPγS(100μM)の非存在下または存在下で膜をインキュベートした。これら2つの条件間で見られたTR-FRETシグナルの差(HTRF比、全シグナル/非特異的シグナル=1.7)から、GTPgN-C3類似体はGαiタンパク質に結合でき、抗Gα抗体-受容体と共にTR-FRETシグナルを生成できることが分かる(図4)。
【0080】
(実施例3:GTPgN-オクチル-C2類似体結合試験)
デルタオピオイドGPCRおよびGαiタンパク質を発現するCHO-K1細胞の膜標本(1ウェルあたり10μg)を用いて、GTPgN-オクチル-C2(調製例6)/抗Gαi抗体DSV36S-d2ペアのGタンパク質への結合による特異的TR-FRETシグナル生成能を確認した。GTPgN-オクチル-C2は、ウェル中の最終濃度6nMで使用した。大過剰量のGTPγS(100μM)の非存在下または存在下で膜をインキュベートした。これら2つの条件間で見られたTR-FRETシグナルの差(HTRF比、全シグナル/非特異的シグナル=12.4)から、GTPgN-オクチル-C2類似体はGαiタンパク質に結合でき、抗Gαi抗体-受容体と共にTR-FRETシグナルを生成できることが分かる(図5)。
【0081】
(実施例4:GTPgN-オクチル-C11類似体結合試験)
デルタオピオイドGPCRおよびGαiタンパク質を発現するCHO-K1細胞の膜標本(1ウェルあたり10μg)を用いて、GTPgN-オクチル-C11(調製例9)/抗Gαi抗体DSV36S-d2ペアのGタンパク質への結合による特異的TR-FRETシグナル生成能を確認した。GTPgN-オクチル-C11は、ウェル中の最終濃度6nMで使用した。大過剰量のGTPγS(100μM)の非存在下または存在下で膜をインキュベートした。これら2つの条件間で見られたTR-FRETシグナルの差(HTRF比、全シグナル/非特異的シグナル=7.6)から、GTPgN-オクチル-C11類似体はGαiタンパク質に結合でき、抗Gαi抗体-受容体と共にTR-FRETシグナルを生成できることが分かる(図6)。
【0082】
(実施例5:GTPgN-オクチル-C3類似体結合試験)
デルタオピオイドGPCRおよびGαiタンパク質を発現するHEK293細胞の膜標本(1ウェルあたり1μg)を用いて、GTPgN-オクチル-C3(調製例7)/抗Gαi抗体DSV36S-d2ペアのGタンパク質への結合による特異的TR-FRETシグナル生成能を確認した。GTPgN-オクチル-C3は、ウェル中の最終濃度1nMで使用した。大過剰量のGTPγS(100μM)の非存在下または存在下で膜をインキュベートした。これら2つの条件間で見られたTR-FRETシグナルの差(HTRF比、全シグナル/非特異的シグナル=1.4)から、GTPgN-オクチル-C3類似体はGαiタンパク質に結合でき、抗Gαi抗体-受容体と共にTR-FRETシグナルを生成できることが分かる(図7)。
【0083】
(実施例6:GTPgO-ヘキシル-C2類似体結合試験)
デルタオピオイドGPCRおよびGαiタンパク質を発現するCHO-K1細胞の膜標本(1ウェルあたり10μg)を用いて、GTPgO-ヘキシル-C2(調製例2)/抗Gαi抗体DSV36S-d2ペアのGタンパク質への結合による特異的TR-FRETシグナル生成能を確認した。GTPgO-ヘキシル-C2は、ウェル中の最終濃度6nMで使用した。大過剰量のGTPγS(100μM)の非存在下または存在下で膜をインキュベートした。これら2つの条件間で見られたTR-FRETシグナルの差(HTRF比、全シグナル/非特異的シグナル=7.1)から、GTPgO-ヘキシル-C2類似体はGαiタンパク質に結合でき、抗Gαi抗体-受容体と共にTR-FRETシグナルを生成できることが分かる(図8)。
【0084】
(実施例7:GTPgO-ヘキシル-C3類似体結合試験)
デルタオピオイドGPCRおよびGαiタンパク質を発現するHEK293細胞の膜標本(1ウェルあたり1μg)を用いて、GTPgO-ヘキシル-C3(調製例3)/抗Gαi抗体DSV36S-d2ペアのGタンパク質への結合による特異的TR-FRETシグナル生成能を確認した。GTPgO-ヘキシル-C3は、ウェル中の最終濃度1nMで使用した。大過剰量のGTPγS(100μM)の非存在下または存在下で膜をインキュベートした。これら2つの条件間で見られたTR-FRETシグナルの差(HTRF比、全シグナル/非特異的シグナル=1.3)から、GTPgO-ヘキシル-C3類似体はGαiタンパク質に結合でき、抗Gαi抗体-受容体と共にTR-FRETシグナルを生成できることが分かる(図9)。
【0085】
(実施例8:GTPgN-オクチル-C2類似体結合試験)
ドーパミンD2S GPCRおよびGαiタンパク質を発現するCHO-K1細胞の膜標本(1ウェルあたり10μg)を用いて、GTPgN-オクチル-C2(調製例6)/抗Gαi抗体DSV36S-d2ペアのGタンパク質への結合による特異的TR-FRETシグナル生成能を確認した。GTPgN-オクチル-C2は、ウェル中の最終濃度6nMで使用した。大過剰量のGTPγS(100μM)の非存在下または存在下で膜をインキュベートした。これら2つの条件間で見られたTR-FRETシグナルの差(HTRF比、全シグナル/非特異的シグナル=3.8)から、GTPgN-オクチル-C2類似体はGαiタンパク質に結合でき、抗Gαi抗体-受容体と共にTR-FRETシグナルを生成できることが分かる(図10)。
【0086】
(実施例9:膜の濃度およびGTP類似体-ランタニドの濃度がGTPgN-オクチル-C2類似体結合試験に与える影響)
デルタオピオイドGPCRおよびGαiタンパク質を発現するCHO-K1細胞の膜標本(1または10μg/ウェル)を用いて、GTPgN-オクチル-C2(調製例6)/抗Gαi抗体DSV36S-d2ペアのGタンパク質への結合による特異的TR-FRETシグナル生成能を確認した。GTPgN-オクチル-C2は、ウェル中の最終濃度2または6nMで使用した。大過剰量のGTPγS(100μM)の非存在下または存在下で膜をインキュベートした。これら2つの条件間で見られたTR-FRETシグナルの差(HTRF比、全シグナル(S)/非特異的シグナル(N))から、GTPgN-オクチル-C2類似体はGαiタンパク質に結合でき、抗Gαi抗体-受容体と共にTR-FRETシグナルを生成できることが分かる(図11Aおよび11B)。また、図11Aから、膜の量を1ウェルあたり1μgから10μgに増加させると、シグナル振幅(S/N)が増大することが明らかである。図11Bから、GTPgN-オクチル-C2の濃度を2nMから6nMに増加させると、シグナル振幅(S/N)が増大することが明らかである。
【0087】
(実施例10:GTPgN-オクチル-チオスクシンイミジル-C2類似体結合試験)
デルタオピオイドGPCRおよびGαiタンパク質を発現するCHO-K1細胞の膜標本(1ウェルあたり10μg)を用いて、GTPgN-オクチル-チオスクシンイミジル-C2(調製例10)/抗Gαi抗体DSV36S-d2ペアのGタンパク質への結合による特異的TR-FRETシグナル生成能を確認した。試薬は50mM Tris-HClバッファ(pH7.4)、60mM MgCl、0.1%BSA、150mM NaClで希釈した。GTPgN-オクチル-チオスクシンイミジル-C2は、ウェル中の最終濃度7.5nMで使用した。膜標本の非存在下または存在下で蛍光コンジュゲートをインキュベートした。これら2つの条件間で見られたTR-FRETシグナルの差(HTRF比、全シグナル/非特異的シグナル=2.8)から、GTPgN-オクチル-チオスクシンイミジル-C2類似体はGαiタンパク質に結合でき、抗Gαi抗体-受容体と共にTR-FRETシグナルを生成できることが分かる(図12)。

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図12