(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】給気処理装置及びその給気処理方法
(51)【国際特許分類】
B01D 46/66 20220101AFI20250409BHJP
B01D 46/58 20220101ALI20250409BHJP
B01D 46/62 20220101ALI20250409BHJP
F24F 7/003 20210101ALI20250409BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20250409BHJP
F24F 8/108 20210101ALI20250409BHJP
F24F 8/90 20210101ALI20250409BHJP
【FI】
B01D46/66
B01D46/58
B01D46/62
F24F7/003
F24F7/06 B
F24F7/06 101A
F24F8/108 110
F24F8/108 310
F24F8/108 320
F24F8/108 330
F24F8/90 130
(21)【出願番号】P 2022098705
(22)【出願日】2022-06-20
【審査請求日】2024-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】日下部 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】保坂 司
(72)【発明者】
【氏名】菊地 泰紀
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-189259(JP,A)
【文献】特開2003-056898(JP,A)
【文献】特開2004-183958(JP,A)
【文献】特公昭45-024693(JP,B1)
【文献】特開2003-314873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D46/00-46/90
F24F 7/00- 7/007
F24F 4/00 -7/06
F24F 8/00- 8/99
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給気処理装置を構成するケーシングの中に、第1及び第2のフィルタと、該第1及び第2のフィルタより目の粗い第3のフィルタとを内蔵し、かつ、第1のファンが設置されている第1の部屋には第1の開口部が、第2のファンが設置されている第2の部屋には第2の開口部が、前記第1の部屋と前記第2の部屋の境界部には両者を連通する第3の開口部がそれぞれ形成されていると共に、少なくとも前記第1、第2及び第3の開口部をそれぞれ閉止する第1、第2及び第3の仕切り板を有し、
前記第1のファン又は前記第2のファンが起動する通常運転時には、前記第3の開口部を前記第3の仕切り板を用いて閉止した状態で前記第1の開口部又は前記第2の開口部を開放して外気を前記第1の部屋又は第2の部屋に導入し、この導入した外気を前記第3のフィルタでろ過して清浄な空気とすることを特徴とする給気処理装置の給気処理方法。
【請求項2】
給気処理装置を構成するケーシングの中に、第1及び第2のフィルタと、該第1及び第2のフィルタより目の粗い第3のフィルタとを内蔵し、かつ、第1のファンが設置されている第1の部屋には第1の開口部が、第2のファンが設置されている第2の部屋には第2の開口部が、前記第1の部屋と前記第2の部屋の境界部には両者を連通する第3の開口部がそれぞれ形成されていると共に、少なくとも前記第1、第2及び第3の開口部をそれぞれ閉止する第1、第2及び第3の仕切り板を有し、
火山灰が降下した状態で前記第1のファンが起動する際の運転時には、前記第1のフィルタを前記第1の開口部に設置して前記火山灰が含まれた空気を前記第1のフィルタを通して前記火山灰を除去し、前記第1のフィルタで火山灰が除去された空気を前記第3のフィルタに送り込み、前記第3のフィルタでろ過して清浄な空気とすることを特徴とする給気処理装置の給気処理方法。
【請求項3】
請求項2に記載の給気処理装置の給気処理方法であって、
前記火山灰が通過した前記第1のフィルタを、前記第3の開口部に前記第1のフィルタの前記火山灰が付着した面を前記第1の部屋側に向けて設置し、前記第1の開口部に前記第1の仕切り板を設置して前記第1の開口部を閉止すると共に、前記第2の開口部に前記第2のフィルタを設置し、この状態で前記第1のファンを運転することで外気を前記第2の開口部から前記第2のフィルタを介して前記第2の部屋に導入し、前記第2の部屋に導入された空気を前記第3の開口部から前記第1のフィルタを介して前記第1の部屋に導入することで前記第1のフィルタに付着した前記火山灰を除去することを特徴とする給気処理装置の給気処理方法。
【請求項4】
請求項3に記載の給気処理装置の給気処理方法であって、
前記第3の開口部に前記第2のフィルタの前記火山灰が付着した面を前記第2の部屋側に向けて設置し、前記第2の開口部に前記第2の仕切り板を設置して前記第2の開口部を閉止すると共に、前記第1の開口部から前記第1の仕切り板を取り外して前記第1の開口部に前記第1のフィルタを設置し、この状態で前記第2のファンを運転することで外気を前記第1の開口部から前記第1のフィルタを介して前記第1の部屋に導入し、前記第1の部屋に導入された空気を前記第3の開口部から前記第2のフィルタを介して前記第2の部屋に導入することで前記第2のフィルタに付着した前記火山灰を除去することを特徴とする給気処理装置の給気処理方法。
【請求項5】
ケーシングと、該ケーシングの中に内蔵されている第1及び第2のフィルタと、前記ケーシングの中に内蔵されている第1及び第2のフィルタより目の粗い第3のフィルタと、第1の開口部が形成され、かつ、第1のファンが設置されている第1の部屋と、第2の開口部が形成され、かつ、第2のファンが設置されている第2の部屋と、前記第1の部屋と前記第2の部屋の境界部に形成され、前記第1の部屋と前記第2の部屋を連通する第3の開口部と、少なくとも前記第1、第2及び第3の開口部をそれぞれ閉止する第1、第2及び第3の仕切り板と、を備え、
前記第1のファン又は前記第2のファンが起動する通常運転時には、前記第3の開口部が前記第3の仕切り板で閉止され、この状態で前記第1の開口部又は前記第2の開口部が開放されて外気が前記第1の部屋又は第2の部屋に導入され、この導入された外気が前記第3のフィルタでろ過されて清浄な空気が形成されることを特徴とする給気処理装置。
【請求項6】
ケーシングと、該ケーシングの中に内蔵されている第1及び第2のフィルタと、前記ケーシングの中に内蔵されている第1及び第2のフィルタより目の粗い第3のフィルタと、第1の開口部が形成され、かつ、第1のファンが設置されている第1の部屋と、第2の開口部が形成され、かつ、第2のファンが設置されている第2の部屋と、前記第1の部屋と前記第2の部屋の境界部に形成され、前記第1の部屋と前記第2の部屋を連通する第3の開口部と、少なくとも前記第1、第2及び第3の開口部をそれぞれ閉止する第1、第2及び第3の仕切り板と、を備え、
火山灰が降下した状態で前記第1のファンが起動する際の運転時には、前記第1のフィルタが前記第1の開口部に設置されて前記火山灰が含まれた空気が前記第1のフィルタを通過することで前記火山灰が除去され、前記第1のフィルタで火山灰が除去された空気を前記第3のフィルタに送り込み、前記第3のフィルタでろ過して清浄な空気を形成することを特徴とする給気処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の給気処理装置であって、
前記火山灰が通過した前記第1のフィルタが、前記第3の開口部に前記第1のフィルタの前記火山灰が付着した面を前記第1の部屋側に向けて設置され、前記第1の開口部に前記第1の仕切り板が設置されて前記第1の開口部が閉止されると共に、前記第2の開口部に前記第2のフィルタが設置され、この状態で前記第1のファンを運転することで外気が前記第2の開口部から前記第2のフィルタを介して前記第2の部屋に導入され、前記第2の部屋に導入された空気が前記第3の開口部から前記第1のフィルタを介して前記第1の部屋に導入されることで前記第1のフィルタに付着した前記火山灰が除去されることを特徴とする給気処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の給気処理装置であって、
前記第3の開口部に前記第2のフィルタの前記火山灰が付着した面が前記第2の部屋側に向けて設置され、前記第2の開口部に前記第2の仕切り板が設置されて前記第2の開口部が閉止されると共に、前記第1の開口部から前記第1の仕切り板が取り外されて前記第1の開口部に前記第1のフィルタが設置され、この状態で前記第2のファンを運転することで外気が前記第1の開口部から前記第1のフィルタを介して前記第1の部屋に導入され、前記第1の部屋に導入された空気が前記第3の開口部から前記第2のフィルタを介して前記第2の部屋に導入されることで前記第2のフィルタに付着した前記火山灰が除去されることを特徴とする給気処理装置。
【請求項9】
請求項7に記載の給気処理装置であって、
前記第1及び第2のファンは、それぞれダクトを介して前記ケーシングに取付けられていることを特徴とする給気処理装置。
【請求項10】
請求項7に記載の給気処理装置であって、
前記第1及び第2の部屋の底部は、端部に向うに従い低くなるように傾斜して形成されていることを特徴とする給気処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は給気処理装置及びその給気処理方法に係り、特に、室内に導入された外気をろ過して清浄な空気とする複数のフィルタを備えているものに好適な給気処理装置及びその給気処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、原子力発電所等の施設においては、電源喪失時等に電力供給を行うために、非常用発電設備が設けられている。
【0003】
このような非常用発電設備では、ディーゼル機関等の内燃機関が用いられる場合が多いが、この非常用発電設備は、電源喪失した際には、確実に始動すると共に安定的に発電が可能であることが求められる。
【0004】
例えば、特許文献1には、原子力発電所用のディーゼル機関の運転を停止することなく、フィルタの交換を実施する技術が記載されている。
【0005】
即ち、特許文献1には、原子力発電所用のディーゼル機関の運転を停止することなしに、容易にフィルタの交換を可能とするために、ディーゼル機関の吸気に含まれる火山灰を捕捉するフィルタ本体と、このフィルタ本体を吸気の流れる方向と交差する交差方向にスライド可能に支持する第一レールと、吸気の流れる方向で前記第一レールの上流側又は下流側に配置され、吸気が通過不能な閉止板を前記交差方向にスライド可能に支持する第二レールと、複数の前記フィルタ本体が前記交差方向に並んで配置されるように前記第一レール支持すると共に、複数の前記閉止板が前記交差方向に並んで配置されるように前記第二レールを支持するフレームと、を備えたフィルタ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1では、フィルタの交換をレールを利用して行うことで、ディーゼル機関の運転を停止することなく実施することを提案しているが、近年、新規制への対応として、空調でも火山灰を考慮し、火山の噴火発生に伴う火山灰を除去する火山灰フィルタを設置し、火山灰フィルタが閉塞した場合は、人の手によって火山灰フィルタを交換する計画としている。
【0008】
ところが、評価によって想定される火山噴火時の火山灰濃度が非常に高いため、特許文献1に記載された技術では、火山灰フィルタの交換頻度が非常に多くなるという課題があった。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、導入した外気を清浄な空気とすることが可能な給気処理装置及びその給気処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の給気処理装置は、上記目的を達成するために、ケーシングと、該ケーシングの中に内蔵されている第1及び第2のフィルタと、前記ケーシングの中に内蔵されている第1及び第2のフィルタより目の粗い第3のフィルタと、第1の開口部が形成され、かつ、第1のファンが設置されている第1の部屋と、第2の開口部が形成され、かつ、第2のファンが設置されている第2の部屋と、前記第1の部屋と前記第2の部屋の境界部に形成され、前記第1の部屋と前記第2の部屋を連通する第3の開口部と、少なくとも前記第1、第2及び第3の開口部をそれぞれ閉止する第1、第2及び第3の仕切り板と、を備え、前記第1のファン又は前記第2のファンが起動する通常運転時には、前記第3の開口部が前記第3の仕切り板で閉止され、この状態で前記第1の開口部又は前記第2の開口部が開放されて外気が前記第1の部屋又は第2の部屋に導入され、この導入された外気が前記第3のフィルタでろ過されて清浄な空気が形成されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の給気処理装置の給気処理方法は、上記目的を達成するために、給気処理装置を構成するケーシングの中に、第1及び第2のフィルタと、該第1及び第2のフィルタより目の粗い第3のフィルタとを内蔵し、かつ、第1のファンが設置されている第1の部屋には第1の開口部が、第2のファンが設置されている第2の部屋には第2の開口部が、前記第1の部屋と前記第2の部屋の境界部には両者を連通する第3の開口部がそれぞれ形成されていると共に、少なくとも前記第1、第2及び第3の開口部をそれぞれ閉止する第1、第2及び第3の仕切り板を有し、前記第1のファン又は前記第2のファンが起動する通常運転時には、前記第3の開口部を前記第3の仕切り板を用いて閉止した状態で前記第1の開口部又は前記第2の開口部を開放して外気を前記第1の部屋又は第2の部屋に導入し、この導入した外気を前記第3のフィルタでろ過して清浄な空気とすることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の給気処理装置は、上記目的を達成するために、ケーシングと、該ケーシングの中に内蔵されている第1及び第2のフィルタと、前記ケーシングの中に内蔵されている第1及び第2のフィルタより目の粗い第3のフィルタと、第1の開口部が形成され、かつ、第1のファンが設置されている第1の部屋と、第2の開口部が形成され、かつ、第2のファンが設置されている第2の部屋と、前記第1の部屋と前記第2の部屋の境界部に形成され、前記第1の部屋と前記第2の部屋を連通する第3の開口部と、少なくとも前記第1、第2及び第3の開口部をそれぞれ閉止する第1、第2及び第3の仕切り板と、を備え、火山灰が降下した状態で前記第1のファンが起動する際の運転時には、前記第1のフィルタが前記第1の開口部に設置されて前記火山灰が含まれた空気が前記第1のフィルタを通過することで前記火山灰が除去され、前記第1のフィルタで火山灰が除去された空気を前記第3のフィルタに送り込み、前記第3のフィルタでろ過して清浄な空気を形成することを特徴とする。
【0013】
更に、本発明の給気処理装置の給気処理方法は、上記目的を達成するために、給気処理装置を構成するケーシングの中に、第1及び第2のフィルタと、該第1及び第2のフィルタより目の粗い第3のフィルタとを内蔵し、かつ、第1のファンが設置されている第1の部屋には第1の開口部が、第2のファンが設置されている第2の部屋には第2の開口部が、前記第1の部屋と前記第2の部屋の境界部には両者を連通する第3の開口部がそれぞれ形成されていると共に、少なくとも前記第1、第2及び第3の開口部をそれぞれ閉止する第1、第2及び第3の仕切り板を有し、火山灰が降下した状態で前記第1のファンが起動する際の運転時には、前記第1のフィルタを前記第1の開口部に設置して前記火山灰が含まれた空気を前記第1のフィルタを通して前記火山灰を除去し、前記第1のフィルタで火山灰が除去された空気を前記第3のフィルタに送り込み、前記第3のフィルタでろ過して清浄な空気とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、導入した外気を清浄な空気とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の給気処理装置の実施例1における通常運転時に第1のファンを起動している状態を示す平面図である。
【
図2】本発明の給気処理装置の実施例1における通常運転時に第2のファンを起動している状態を示す平面図である。
【
図3】本発明の給気処理装置の実施例1において、火山灰の降下が生じた直後に第1のファンを起動している状態を示す平面図である。
【
図4】本発明の給気処理装置の実施例1において、第1の火山灰フィルタの逆洗運転をしている場合を示す平面図である。
【
図5】本発明の給気処理装置の実施例1において、第2の火山灰フィルタの逆洗運転をしている場合を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図示した実施例に基づいて本発明の給気処理装置及び給気処理方法を説明する。なお、各図において、同一構成部品には同符号を使用する。
【実施例1】
【0017】
図1及び
図2に、本発明の給気処理装置20の実施例1を示す。
図1は、給気処理装置20の通常運転時に第1のファン1を起動している状態を示し、
図2は、給気処理装置20の通常運転時に第2のファン2を起動している状態を示す。
【0018】
図1及び
図2に示すように、本実施例の給気処理装置20は、外枠であるケーシング12と、このケーシング12の中に内蔵されている第1のフィルタである第1の火山灰フィルタ3及び第2のフィルタである第2の火山灰フィルタ4と、ケーシング12の中に内蔵されている第1の火山灰フィルタ3及び第2の火山灰フィルタ4より目が粗く形成されている第3のフィルタである中性能フィルタ8と、ケーシング12の一部に第1の開口部9が形成され、かつ、第1のファン1が接続されている第1の部屋15と、ケーシング12の一部に第2の開口部10が形成され、かつ、第2のファン2が接続されている第2の部屋16と、この第1の部屋15と第2の部屋16の境界部に形成され、第1の部屋15と第2の部屋16を連通する第3の開口部11と、第1の開口部9、第2の開口部10及び第3の開口部11をそれぞれ閉止する第1の仕切り板5、第2の仕切り板6及び第3の仕切り板7と、から概略構成されている。なお、第1ファン1はダクト13aを介して、第2のファン2はダクト13bを介して、ケーシング12に取付けられている。
【0019】
そして、
図1に示すように、第1のファン1が起動する通常運転時には、第3の開口部11が第3の仕切り板7で閉止され、この状態で第1の開口部9が開放されて矢印で示す外気が第1の部屋15に導入され、この導入された外気が中性能フィルタ8でろ過されて清浄な空気が形成され、この清浄な空気が建屋内に導入される。
【0020】
また、
図2に示すように、第2のファン2が起動する通常運転時には、第3の開口部11が第3の仕切り板7で閉止され、この状態で第2の開口部10が開放されて矢印で示す外気が第2の部屋16に導入され、この導入された外気が中性能フィルタ8でろ過されて清浄な空気が形成される、この清浄な空気が建屋内に導入される。
【0021】
上記した第1のファン1及び第2のファン2が起動する通常運転時には、第1の火山灰フィルタ3及び第1の火山灰フィルタ4と第1の仕切り板5及び第2の仕切り板6は、使用していない。
【0022】
次に、火山灰が降下した状態で第1のファン1及び第2のファン2が起動する際の給気処理装置20の運転について、
図3、
図4及び
図5を用いて説明する。なお、
図3、
図4及び
図5の給気処理装置20の構成は、
図1及び
図2に示す給気処理装置20の構成と同一である。
【0023】
図3は、本実施例の給気処理装置20において、火山灰の降下が生じた直後に第1のファン1を起動している場合を示し、
図4は、本実施例の給気処理装置20において、第1の火山灰フィルタ3の逆洗運転をしている場合を示し、
図5は、本実施例の給気処理装置20において、第2の火山灰フィルタ4の逆洗運転をしている場合を示す。
【0024】
以下、具体的に説明する。
【0025】
図3に示すように、火山灰が降下した状態で第1のファン1が起動する際の運転時には、第1の火山灰フィルタ3を第1の開口部9に設置して火山灰が含まれた空気を第1の火山灰フィルタ3を通して火山灰を除去し、第1の火山灰フィルタ3で火山灰が除去された空気を中性能フィルタ8に送り込み、火山灰が除去された空気を中性能フィルタ8でろ過して清浄な空気とし建屋内に導入される。
【0026】
即ち、作業員の手によって、第1の火山灰フィルタ3を第1の開口部9に設置することで、矢印で示すように空気が流れることで、第1の火山灰フィルタ3のおもて面(空気の入気側)によって火山灰が除去された空気を中性能フィルタ8に送り込み、更に、中性能フィルタ8によってろ過された清浄な空気が建屋内に導入される。
【0027】
次に、第1の火山灰フィルタ3の逆洗運転を行う場合には、
図4に示すように、火山灰が通過した第1の火山灰フィルタ3を、第3の開口部11に第1の火山灰フィルタ3の火山灰が付着した面を第1の部屋15側に向けて設置し、第1の開口部9に第1の仕切り板5を設置して第1の開口部9を閉止すると共に、第2の開口部10に第2の火山灰フィルタ4を設置し、この状態で第1のファン1を運転することで外気を第2の開口部10から第2の火山灰フィルタ4を介して第2の部屋16に導入し、この第2の部屋16に導入された空気を、第3の開口部11から第1の火山灰フィルタ3を介して第1の部屋15に導入することで、第1の火山灰フィルタ3に付着した火山灰を除去することで、第1の火山灰フィルタ3の逆洗が行われる。
【0028】
即ち、
図3で使用した第1の火山灰フィルタ3を作業員の手によって、第
3の開口部
11に、おもて面(
図3における空気の入気側で、
図4では、第1の火山灰フィルタ3の左側=第1の部屋15側)を第1のファン1側に向けて設置する。また、第1の開口部9に第1の仕切り板5を設置し、第2の開口部10には第2の火山灰フィルタ4を設置する。
【0029】
この状態で第1のファン1を運転すると、矢印で示す空気の流れによって、第2の火山灰フィルタ4のおもて面(空気の入気側=第2の部屋16側)によって火山灰が除去され、第2の火山灰フィルタ4を通った空気によって、第3の開口部11に設置された第1の火山灰フィルタ3のおもて面に付着した火山灰を除去する逆洗が行われる。
【0030】
この
図4に示す第1の火山灰フィルタ3の逆洗によって、第1の火山灰フィルタ3から除去された火山灰は、粒径が大きなものについては給気処理装置20の第1の部屋15内の床面に落下し、粒径が小さいものについては中性能フィルタ8にて除去を行うことで、火山灰がろ過された清浄な空気が建屋内に導入される。
【0031】
粒径の大きい第1の部屋15内の床面に落下した火山灰については、
図4のA-A線に沿った断面である
図6に示すように、第1の部屋15及び第2の部屋16の底部は、端部に向うに従い低くなるように傾斜して形成されているため、給気処理装置20内の端部に火山灰14を蓄積させ、給気処理装置20内の清掃が容易に行えるようにしている。
【0032】
また、第2の火山灰フィルタ4の逆洗運転を行う場合には、
図5に示すように、第3の開口部11に第2の火山灰フィルタ4の火山灰が付着した面を第2の部屋16側に向けて設置し、第2の開口部10に第2の仕切り板6を設置して第2の開口部10を閉止すると共に、第1の開口部9から第1の仕切り板5を取り外して第1の開口部9に第1の火山灰フィルタ3を設置し、この状態で第2のファン2を運転することで外気を第1の開口部9から第1の火山灰フィルタ3を介して第1の部屋15に導入し、第1の部屋15に導入された空気を第3の開口部11から第2の火山灰フィルタ4を介して第2の部屋16に導入することで、第2の火山灰フィルタ4に付着し記火山灰が除去され、第2の火山灰フィルタ4の逆洗が行われる。
【0033】
即ち、
図4で使用した第2の火山灰フィルタ4を第3の開口部11におもて面(
図4における空気の入気側で、
図5では第2の火山灰フィルタ4の右側=第2の部屋16側)を第2のファン2側に向けて設置する。また、第2の開口部10に第2の仕切り板6を設置する。第1の開口部9から第1の仕切り板5を取り外して、代わりに先ほど除染を実施した第1の火山灰フィルタ3を、給気処理装置20の外部におもて面を向けて設置する。この際、
図6に示す蓄積した火山灰14については清掃を行う。
【0034】
この状態で第2のファン2を運転すると、矢印で示す空気の流れによって、第1の火山灰フィルタ3のおもて面(空気の入気側=第1の部屋15側)によって火山灰が除去され、第1の火山灰フィルタ3を通った空気によって、第3の開口部11に設置された第2の火山灰フィルタ4のおもて面に付着した火山灰を除去することで、第2の火山灰フィルタ4の逆洗が行われる。
【0035】
この
図5に示す第2の火山灰フィルタ4の逆洗によって、第2の火山灰フィルタ4から除去された火山灰は、粒径が大きなものについては給気処理装置20の第2の部屋16内の床面に落下し、
図6と同様に、給気処理装置20内の端部に火山灰14を蓄積させ、給気処理装置20内の清掃が容易に行えるようにし、粒径が小さいものについては中性能フィルタ8にて除去を行うことで、火山灰がろ過された清浄な空気が建屋内に導入される。
【0036】
このような本実施例によれば、新規フィルタへの交換を行うことなく、導入した外気を清浄な空気とすることが可能となり、また、火山灰を除去するフィルタを備えたものであっても、新規フィルタへの交換を行うことなく火山灰の除去が可能となる。また、高濃度の火山灰の降下時でも、フィルタの寿命を延命化することができる。
【0037】
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換える事が可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加える事も可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をする事が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1…第1のファン、2…第2のファン、3…第1の火山灰フィルタ、4…第2の火山灰フィルタ、5…第1の仕切り板、6…第2の仕切り板、7…第3の仕切り板、8…中性能フィルタ、9…第1の開口部、10…第2の開口部、11…第3の開口部、12…ケーシング、13a、13b…ダクト、14…火山灰、15…第1の部屋、16…第2の部屋、20…給気処理装置。