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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】電圧検出線および電圧検出線モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/569 20210101AFI20250409BHJP
   H01M 50/519 20210101ALI20250409BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20250409BHJP
【FI】
H01M50/569
H01M50/519
H01M50/284
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022508048
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 JP2020043105
(87)【国際公開番号】W WO2021186794
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2023-09-05
(31)【優先権主張番号】P 2020049122
(32)【優先日】2020-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】喜田 浩昭
(72)【発明者】
【氏名】稲村 卓思
(72)【発明者】
【氏名】小島 康雅
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-105522(JP,A)
【文献】特開2002-141660(JP,A)
【文献】特開2015-233125(JP,A)
【文献】特開2013-206617(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10209648(DE,A1)
【文献】特開2015-035546(JP,A)
【文献】米国特許第04251683(US,A)
【文献】特開平10-004248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1導線、および前記複数の第1導線を被覆する第1絶縁フィルムを有する第1フレキシブルプリント基板と、
複数の第2導線、および前記複数の第2導線を被覆する第2絶縁フィルムを有する第2フレキシブルプリント基板と、
互いに対応する前記第1導線および前記第2導線のそれぞれにはんだ付けされて前記第1導線および前記第2導線を電気的に接続する接続部と、を備え、
前記複数の第1導線および前記複数の第2導線が複数の電池に電気的に接続されて前記複数の電池の電圧を検出し、
前記接続部は、各第1導線と各第2導線とにはんだ付けされる複数の金属部材を有し、
前記第1絶縁フィルムおよび前記第2絶縁フィルムは、隣り合う前記金属部材の間の領域に切り欠き部を有
前記接続部は、前記複数の金属部材を支持する板部と、隣り合う前記金属部材を隔てる壁部と、を有し、
前記板部および前記壁部は、一体成形されており、
前記壁部は、前記切り欠き部に嵌め込まれる、
電圧検出線。
【請求項2】
各金属部材は、単一の金属片で構成される請求項1に記載の電圧検出線。
【請求項3】
各金属部材は、前記第1導線にはんだ付けされる第1部分と、前記第2導線にはんだ付けされる第2部分とに分割された構造を有し、
前記第1部分と前記第2部分とが嵌合して、前記第1導線および前記第2導線が電気的に接続される請求項1に記載の電圧検出線。
【請求項4】
前記接続部は、前記第1導線との接合部および前記第2導線との接合部を封止する封止樹脂層を有する請求項1乃至のいずれか1項に記載の電圧検出線。
【請求項5】
前記第1絶縁フィルムは、接続部側の端部に幅広部を有し、
前記接続部は、前記幅広部で包まれる請求項1乃至のいずれか1項に記載の電圧検出線。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の電圧検出線と、
前記電圧検出線を支持する支持プレートと、を備え、
前記支持プレートは突起部を有し、
前記第1フレキシブルプリント基板および前記第2フレキシブルプリント基板の少なくとも一方は、前記突起部が嵌まる穴部を有する電圧検出線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電圧検出線および電圧検出線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両用等の高い出力電圧が要求される電源として、複数個の電池が電気的に接続された電池モジュールが知られている。電池モジュールにおいて、隣り合う電池はバスバーを介して電気的に接続されていた。また、各バスバーには電圧検出線が取り付けられ、各電池間の電圧が検出されていた。電圧検出線に関して、例えば特許文献1にはフレキシブルプリント基板(FPC)を電圧検出線として用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-27831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電池モジュールのさらなる高容量化が求められており、電池の配列数が増加する傾向にある。このため、電圧検出線を長尺にする必要がある。しかしながら、設備上の制約からFPCには製造可能な長さに制限があり、電池の配列数の増加に対応することが困難であった。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、フレキシブルプリント基板で構成される電圧検出線の長尺化を図る技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様は、電圧検出線である。この電圧検出線は、複数の第1導線、および複数の第1導線を被覆する第1絶縁フィルムを有する第1フレキシブルプリント基板と、複数の第2導線、および複数の第2導線を被覆する第2絶縁フィルムを有する第2フレキシブルプリント基板と、互いに対応する第1導線および第2導線のそれぞれにはんだ付けされて第1導線および第2導線を電気的に接続する接続部と、を備え、複数の第1導線および複数の第2導線が複数の電池に電気的に接続されて複数の電池の電圧を検出する。
【0007】
本開示の他の態様は、電圧検出線モジュールである。この電圧検出線モジュールは、上記態様の電圧検出線と、電圧検出線を支持する支持プレートと、を備える。支持プレートは突起部を有し、第1フレキシブルプリント基板および第2フレキシブルプリント基板の少なくとも一方は、突起部が嵌まる穴部を有する。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、フレキシブルプリント基板で構成される電圧検出線の長尺化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る電圧検出線を備える電池モジュールの平面図である。
図2】電池積層体の一部分の斜視図である。
図3】実施の形態1に係る電圧検出線の斜視図である。
図4】電圧検出線の一部分の斜視図である。
図5図5(A)は、実施の形態2に係る電圧検出線の一部分の斜視図である。図5(B)は、接続部の斜視図である。
図6図6(A)は、電圧検出線の一部分の斜視図である。図6(B)は、接続部の断面図である。
図7図7(A)は、実施の形態3に係る電圧検出線の一部分の斜視図である。図7(B)は、接続部の断面図である。
図8】実施の形態4に係る電圧検出線の一部分の斜視図である。
図9図9は、実施の形態5に係る電圧検出線の組み立て工程を示す図である。
図10図10(A)および図10(B)は、実施の形態5に係る電圧検出線の組み立て工程を示す図である。
図11】実施の形態6に係る電圧検出線および支持プレートの一部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、本開示を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも本開示の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る電圧検出線を備える電池モジュールの平面図である。図2は、電池積層体の一部分の斜視図である。なお、図1では、電池積層体について一部の電池のみを破線で図示している。また、図1では、電圧検出線について一部の導線のみを破線で図示している。
【0013】
電池モジュール1は、電池積層体2と、支持プレート4と、電圧検出線6と、を備える。電池積層体2は、配列された複数の電池8と、各電池8を電気的に接続する複数のバスバー10と、を有する。各電池8は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル-水素電池、ニッケル-カドミウム電池等の充電可能な二次電池である。各電池8は、いわゆる角形電池であり、扁平な直方体形状の外装缶12を有する。外装缶12の一面には略長方形状の開口(図示せず)が設けられ、この開口を介して外装缶12に電極体や電解液等が収容される。外装缶12の開口には、開口を塞ぐ略長方形状の封口板14が嵌め合わされる。
【0014】
封口板14には、一対の出力端子16が配置される。具体的には、長手方向の一端寄りに正極端子16aが配置され、他端寄りに負極端子16bが配置される。以下では、一対の出力端子16の極性を区別する必要がない場合、正極端子16aと負極端子16bとをまとめて出力端子16と称する。
【0015】
外装缶12、封口板14および出力端子16は導電体であり、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス等の金属で構成される。外装缶12と封口板14とは、例えばレーザー溶接により接合される。各出力端子16は、封口板14に形成された貫通孔に挿通される。各出力端子16と各貫通孔との間には、絶縁性のシール部材が介在する。外装缶12は、シュリンクチューブ等の図示しない絶縁フィルムで被覆されてもよい。また、外装缶12および封口板14は、絶縁性の樹脂で構成されてもよい。
【0016】
各電池8は、封口板14に弁部18を有する。弁部18は、封口板14における一対の出力端子16の間に配置される。弁部18は、安全弁とも呼ばれ、電池8の内圧が所定値以上に上昇した際に開弁して、電池8の内部のガスを放出できるように構成される。弁部18は、例えば、封口板14の一部に設けられる他部よりも厚さが薄い薄肉部と、この薄肉部の表面に形成される線状の溝とで構成される。この構成では、電池8の内圧が上昇すると、溝を起点に薄肉部が裂けることで弁部18が開弁する。各電池8の弁部18は、後述するガスダクト20に接続され、電池内部のガスは弁部18からガスダクト20に排出される。
【0017】
本実施の形態の説明では、便宜上、封口板14を電池8の上面、封口板14と対向する外装缶12の底面を電池8の下面とする。また、電池8は、上面および下面をつなぐ4つの側面を有する。4つの側面のうち2つは、封口板14の対向する2つの長辺に接続される一対の長側面である。各長側面は、電池8が有する面のうち面積の最も大きい面、すなわち主表面である。2つの長側面を除いた残り2つの側面は、封口板14の短辺に接続される一対の短側面である。
【0018】
また、便宜上、電池積層体2において電池8の上面側の面を電池積層体2の上面とし、電池8の下面側の面を電池積層体2の下面とし、電池8の短側面が集合した面を電池積層体2の長側面とし、電池8の長側面側の面を電池積層体2の短側面とする。これらの方向および位置は、便宜上規定したものである。したがって、例えば、本開示において上面と規定された部分は、下面と規定された部分よりも必ず上方に位置することを意味するものではない。
【0019】
複数の電池8は、隣り合う電池8の主表面どうしが対向するようにして所定の間隔で配列される。本実施の形態では、電池8は水平方向に配列されている。以下では適宜、電池8が配列される方向を第1方向Xとし、第1方向Xと交わる水平方向を第2方向Yとし、第1方向Xおよび第2方向Yと交わる鉛直方向を第3方向Zとする。本実施の形態では、第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zは互いに直交する。
【0020】
各電池8は、出力端子16が同じ方向を向くように配置される。本実施の形態の各電池8は、出力端子16が鉛直方向上方を向くように配置される。また、各電池8は、隣接する電池8を直列に接続する場合、一方の電池8の正極端子16aと他方の電池8の負極端子16bとが隣り合うように配列される。また、隣接する電池8を並列に接続する場合、一方の電池8の正極端子16aと他方の電池8の正極端子16aとが隣り合うように配列される。
【0021】
隣接する2つの電池8の間には、図示しないセパレータが配置される。これにより、当該2つの電池8間が電気的に絶縁される。セパレータは、絶縁スペーサとも呼ばれ、例えば絶縁性を有する樹脂シートからなる。セパレータを構成する樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ノリル(登録商標)樹脂(変性PPE)等の樹脂が例示される。
【0022】
複数の電池8は、図示しない一対のエンドプレートで第1方向Xに挟まれる。一対のエンドプレートは、第1方向Xの両端に位置する電池8とセパレータを介して隣り合う。各エンドプレートは、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属で構成される金属板である。
【0023】
複数の電池8は、図示しない一対の拘束部材によって第1方向Xに拘束される。一対の拘束部材は、バインドバーとも呼ばれ、第1方向Xに長い長尺状の部材である。一対の拘束部材は、例えば第2方向Yに配列される。各拘束部材は、例えば鉄やステンレス鋼等の金属で構成される。
【0024】
複数の電池8は、複数のセパレータと交互に配列された状態で、一対のエンドプレートで第1方向Xに挟まれる。一対の拘束部材は、複数の電池8、複数のセパレータおよび一対のエンドプレートを第2方向Yに挟むように配置され、各拘束部材の両端が一対のエンドプレートに固定される。例えば、拘束部材は第1方向Xの両端に、エンドプレートの主表面と重なる折曲部を有し、この折曲部がエンドプレートにねじ止め等により固定される。複数の電池8は、一対の拘束部材によって第1方向Xに拘束されて、第1方向Xに位置決めされる。セパレータ、エンドプレートおよび拘束部材は公知の構造を有するため、図示および詳細な説明を省略する。
【0025】
隣り合う電池8の出力端子16どうしは、バスバー10によって電気的に接続される。バスバー10は、アルミニウムや銅等の金属で構成される帯状部材である。バスバー10の一方の端部は、隣接する2つの電池8のうち一方の電池8の正極端子16aに接続され、他方の端部は他方の電池8の負極端子16bに接続される。なお、バスバー10は、隣接する複数個の電池8における同極性の出力端子16どうしを並列接続して電池ブロックを形成し、さらに電池ブロックどうしを直列接続してもよい。また、第1方向Xにおける最外側の電池8の出力端子16には、外部接続端子22が取り付けられる。外部接続端子22は、図示しない外部負荷に接続される。
【0026】
電池積層体2の上面には、支持プレート4が載置される。支持プレート4は、電圧検出線6を支持する板状の部材である。支持プレート4と、電圧検出線6と、で電圧検出線モジュール7が構成される。
【0027】
支持プレート4は、電池積層体2の上面、つまり各電池8の弁部18が配置される面を覆う。支持プレート4は、ベース板24と、複数の開口部26と、ガスダクト20と、を有する。ベース板24は、電池積層体2の上面に沿って拡がる。複数の開口部26およびガスダクト20は、ベース板24に設けられる。
【0028】
複数の開口部26は、第3方向Zで各電池8の出力端子16と重なる位置に設けられ、出力端子16を露出させる。各開口部26には、バスバー10が載置される。複数のバスバー10は、支持プレート4によって支持される。したがって、支持プレート4は、いわゆるバスバープレートとしても機能する。
【0029】
ガスダクト20は、各電池8から噴出するガスが流れ込む流路である。ベース板24は、各電池8の弁部18に対応する位置に、弁部18を露出させる図示しない複数の開口を有する。ガスダクト20は、第1方向Xに延びて、第3方向Zで各弁部18と重なる。各弁部18は、ベース板24に設けられた開口を介してガスダクト20に連通される。各電池8から噴出したガスは、ガスダクト20に一時的に貯留される。したがって、支持プレート4は、いわゆるダクトプレートとしても機能する。
【0030】
本実施の形態の支持プレート4は、ガスダクト20における各弁部18と対向する天面を除いてポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ノリル(登録商標)樹脂(変性PPE)等の樹脂で構成される。ガスダクト20の天面は、鉄やアルミニウム等の金属板で構成される。
【0031】
電圧検出線6は、複数の電池8の電圧を検出するための部材である。電圧検出線6は、複数のバスバー10に電気的に接続されて各電池8の電圧を検出する。電圧検出線6は、複数の導線28と、複数の導線28を被覆する絶縁フィルム30と、を有する。各導線28の一端は、タブ端子部32を介して、対応する各バスバー10に電気的に接続される。導線28は、例えばはんだ付けによりタブ端子部32の一端に接合される。タブ端子部32の他端は、例えばレーザ溶接や超音波接合によってバスバー10に接合される。各導線28の他端は、コネクタ34に接続される。これにより、各バスバー10とコネクタ34とが電気的に接続される。一部の導線28は、外部接続端子22とコネクタ34とを電気的に接続する。コネクタ34は、外部の電池ECU等に接続される。電池ECUは、各電池8の電圧等の検知、各電池8の充放電等を制御する。なお、導線28は、タブ端子部32を介さずに直にバスバー10に接続されてもよい。
【0032】
図3は、実施の形態1に係る電圧検出線6の斜視図である。図4は、電圧検出線6の一部分の斜視図である。なお、図3および図4には、各フレキシブルプリント基板を模式的に示しており、各フレキシブルプリント基板の延び方や分岐形状等は特に限定されない。
【0033】
電圧検出線6は、第1フレキシブルプリント基板36と、第2フレキシブルプリント基板38と、接続部40と、を備える。第1フレキシブルプリント基板36は、一端がコネクタ34に接続される。第1フレキシブルプリント基板36の他端は、接続部40を介して第2フレキシブルプリント基板38に接続される。なお、電圧検出線6は、3つ以上のフレキシブルプリント基板が接続部40を介してつなぎ合わされた構造であってもよい。
【0034】
第1フレキシブルプリント基板36は、複数の第1導線42と、第1絶縁フィルム44と、を有する。複数の第1導線42は、第1絶縁フィルム44で被覆される。第2フレキシブルプリント基板38は、複数の第2導線46と、第2絶縁フィルム48と、を有する。複数の第2導線46は、第2絶縁フィルム48で被覆される。複数の第1導線42および複数の第2導線46で導線28が構成され、第1絶縁フィルム44および第2絶縁フィルム48で絶縁フィルム30が構成される。第1導線42および第2導線46は、例えば銅等の金属からなる。第1絶縁フィルム44および第2絶縁フィルム48は、例えばポリイミド(PI)やポリエチレンナフタレート(PEN)等の樹脂からなる。
【0035】
接続部40は、互いに対応する第1導線42および第2導線46のそれぞれにはんだ付けされる。これにより、第1導線42および第2導線46は電気的に接続される。本実施の形態の接続部40は、各第1導線42と各第2導線46とにはんだ付けされる複数の金属部材50を有する。各金属部材50は、単一の金属片で構成される。各金属部材50は帯状であり、一端が第1導線42にはんだ付けされ、他端が第2導線46にはんだ付けされる。
【0036】
各第1導線42の一端は、コネクタ34に接続される。一部の第1導線42の他端は、タブ端子部32を介してバスバー10に接続される。他の一部の第1導線42の他端は、接続部40の金属部材50にはんだ付けされる。各第2導線46の一端は、金属部材50にはんだ付けされる。各第2導線46の他端は、タブ端子部32を介してバスバー10に接続される。これにより、複数の第1導線42および複数の第2導線46が複数の電池8に電気的に接続される。
【0037】
第1絶縁フィルム44において隣り合う金属部材50で挟まれる領域には、切り欠き部52が設けられる。同様に、第2絶縁フィルム48において隣り合う金属部材50で挟まれる領域には、切り欠き部54が設けられる。これにより、隣り合う金属部材50間の沿面距離を伸ばすことができる。よって、隣り合う導線28間の絶縁性を高めることができる。
【0038】
なお、各第1導線42と接続部40との間、および各第2導線46と接続部40との間には、接着剤を介在させてもよい。これにより、各導線と接続部40との接続強度を高めることができる。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態に係る電圧検出線6は、複数の第1導線42、および複数の第1導線42を被覆する第1絶縁フィルム44を有する第1フレキシブルプリント基板36と、複数の第2導線46、および複数の第2導線46を被覆する第2絶縁フィルム48を有する第2フレキシブルプリント基板38と、互いに対応する第1導線42および第2導線46のそれぞれにはんだ付けされて第1導線42および第2導線46を電気的に接続する接続部40と、を備える。電圧検出線6は、複数の第1導線42および複数の第2導線46が複数の電池8に電気的に接続されて、複数の電池8の電圧を検出する。
【0040】
本実施の形態では、第1フレキシブルプリント基板36と第2フレキシブルプリント基板38とを接続部40でつなぎ合わせている。これにより、フレキシブルプリント基板の製造設備を大型化することなく、フレキシブルプリント基板で構成される電圧検出線6の長尺化を図ることができる。
【0041】
また、接続部40は、第1導線42および第2導線46にはんだ付けされている。このため、従来一般的なフレキシブルプリント基板の接続方法である異方性導電フィルム(ACF)やZIFコネクタでの接続に比べて、第1導線42および第2導線46の接続強度を高めることができる。また、接合部への異物の噛み込み等も抑制でき、第1導線42および第2導線46の電気的接続の安定性を高めることができる。よって、電圧検出線6の信頼性を保ちながら長尺化を図ることができる。また、外部から振動や衝撃が加わりやすい車載用の電池モジュール1に好適な電圧検出線6が得られる。この結果、電圧検出線6が搭載される電池モジュール1の安全性をより高めることができる。
【0042】
また、本実施の形態の接続部40は、各第1導線42と各第2導線46とにはんだ付けされる複数の金属部材50を有する。そして、各金属部材50は、単一の金属片で構成される。これにより、簡単な構造で第1フレキシブルプリント基板36および第2フレキシブルプリント基板38を接続することができる。
【0043】
(実施の形態2)
実施の形態2は、接続部40の構造を除き、実施の形態1と共通の構成を有する。以下、本実施の形態について実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。図5(A)は、実施の形態2に係る電圧検出線6の一部分の斜視図である。図5(B)は、接続部40の斜視図である。図6(A)は、電圧検出線6の一部分の斜視図である。図6(B)は、接続部40の断面図である。図5(A)および図5(B)は、第1フレキシブルプリント基板36および第2フレキシブルプリント基板38が分離した状態を図示している。図6(A)および図6(B)は、第1フレキシブルプリント基板36および第2フレキシブルプリント基板38が接続された状態を図示している。
【0044】
電圧検出線6は、第1フレキシブルプリント基板36と、第2フレキシブルプリント基板38と、接続部40と、を備える。接続部40は、互いに対応する第1導線42および第2導線46のそれぞれにはんだ付けされる。これにより、第1導線42および第2導線46は電気的に接続される。
【0045】
接続部40は、各第1導線42と各第2導線46とにはんだ付けされる複数の金属部材50を有する。本実施の形態の各金属部材50は、第1導線42にはんだ付けされる第1部分56と、第2導線46にはんだ付けされる第2部分58とに分割された構造を有する。第1部分56と第2部分58とが嵌合することで、第1導線42および第2導線46が電気的に接続される。したがって、第1部分56と第2部分58とは、互いに接続される一対の接続端子を構成する。
【0046】
一例として、第1部分56は扁平な枠状体であり、第1導線42の延在方向に延びる挿通孔60を区画する。また、挿通孔60内の所定位置には、挿通孔60の中心側に突出する凸部62が設けられる。第2部分58は挿通孔60に対応する形状を有する平板であり、凸部62に対応する形状の凹部64を主表面に有する。第2部分58は、第1部分56の挿通孔60に圧入される。第2部分58が挿通孔60内の所定位置まで進入すると、凸部62が凹部64内に収まる。これにより、第1部分56と第2部分58とが嵌合される。なお、第1部分56が平板で、第2部分58が枠状体であってもよい。
【0047】
本実施の形態では、第1部分56を第1導線42に直にはんだ付けし、第2部分58を第2導線46に直にはんだ付けして、第1部分56および第2部分58を嵌合させている。これにより、第1導線42および第2導線46の接続強度を高めることができ、第1導線42および第2導線46の電気的接続の安定性を高めることができる。よって、電圧検出線6の信頼性を保ちながら長尺化を図ることができる。
【0048】
(実施の形態3)
実施の形態3は、接続部40の構造を除き、実施の形態1と共通の構成を有する。以下、本実施の形態について実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。図7(A)は、実施の形態3に係る電圧検出線6の一部分の斜視図である。図7(B)は、接続部40の断面図である。
【0049】
電圧検出線6は、第1フレキシブルプリント基板36と、第2フレキシブルプリント基板38と、接続部40と、を備える。接続部40は、互いに対応する第1導線42および第2導線46のそれぞれにはんだ付けされる。これにより、第1導線42および第2導線46は電気的に接続される。本実施の形態の接続部40は、各第1導線42と各第2導線46とにはんだ付けされる複数の金属部材50を有する。各金属部材50は、実施の形態1のように単一の金属片で構成される。なお、各金属部材50は、実施の形態2のように第1部分56と、第2部分58とに分割されていてもよい。
【0050】
本実施の形態の接続部40は、複数の金属部材50を支持する板部66を有する。板部66は、絶縁性の樹脂などで構成される平板であり、複数の金属部材50と支持プレート4との間に介在する。これにより、外部と各金属部材50との間の沿面距離を伸ばすことができる。よって、接続部40の絶縁性を高めることができ、電圧検出線6の信頼性をより高めることができる。なお、板部66は、支持プレート4の一部で構成されてもよい。
【0051】
また、本実施の形態の接続部40は、隣り合う金属部材50を隔てる壁部68を有する。壁部68は、絶縁性の樹脂などで構成される。壁部68は、例えば切り欠き部52および切り欠き部54に嵌め込まれる。壁部68を設けることで、隣り合う金属部材50間の沿面距離を伸ばすことができる。よって、接続部40の絶縁性を高めることができる。
【0052】
また、本実施の形態では、板部66と複数の壁部68とが一体成形されている。これにより、電圧検出線6の部品点数の増加を抑制できる。また、電圧検出線6の組み立て作業が複雑化することを抑制できる。
【0053】
(実施の形態4)
実施の形態4は、接続部40の構造を除き、実施の形態1と共通の構成を有する。以下、本実施の形態について実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。図8は、実施の形態4に係る電圧検出線6の一部分の斜視図である。
【0054】
電圧検出線6は、第1フレキシブルプリント基板36と、第2フレキシブルプリント基板38と、接続部40と、を備える。接続部40は、互いに対応する第1導線42および第2導線46のそれぞれにはんだ付けされる。これにより、第1導線42および第2導線46は電気的に接続される。接続部40は、各第1導線42と各第2導線46とにはんだ付けされる複数の金属部材50を有する。本実施の形態の各金属部材50は、実施の形態2のように第1部分56と第2部分58とに分割された構造を有する。なお、各金属部材50は、実施の形態1のように単一の金属片で構成されていてもよい。
【0055】
本実施の形態の接続部40は、第1導線42との接合部および第2導線46との接合部を封止する封止樹脂層70を有する。封止樹脂層70は、例えばフェノール、アクリル、エポキシ、シリコーン、ポリオレフィン、ウレタン、シリルアクリレート等の樹脂で構成される。各導線と接続部40との接合部を封止樹脂層70で覆うことで、各導線と接続部40との接続強度を高めることができる。また、接続部40の絶縁性を高めることができる。
【0056】
(実施の形態5)
実施の形態5は、接続部40の構造を除き、実施の形態1と共通の構成を有する。以下、本実施の形態について実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。図9図10(A)および図10(B)は、実施の形態5に係る電圧検出線6の組み立て工程を示す図である。
【0057】
電圧検出線6は、第1フレキシブルプリント基板36と、第2フレキシブルプリント基板38と、接続部40と、を備える。接続部40は、各第1導線42と各第2導線46とにはんだ付けされる複数の金属部材50を有する。各金属部材50は、実施の形態1のように単一の金属片で構成される。また、接続部40は、実施の形態3のように板部66を有する。各金属部材50は、板部66の一方の主表面に固定されている。
【0058】
本実施の形態の第1絶縁フィルム44は、接続部40側の端部に幅広部72を有する。幅広部72は、第1導線42の延在方向と交わる方向に広がっている。当該交わる方向における幅広部72の幅は板部66よりも広く、例えば板部66の約2倍の幅を有する。
【0059】
図9に示すように、まず第2フレキシブルプリント基板38の第2導線46が金属部材50にはんだ付けされる。次に、第1フレキシブルプリント基板36の第1導線42が金属部材50にはんだ付けされる。これにより、図10(A)に示すように、第1フレキシブルプリント基板36および第2絶縁フィルム48が接続部40によって接続される。この状態で、板部66の金属部材50が固定された主表面は、幅広部72のおよそ半分に相当する第1領域72aで覆われる。そして、幅広部72の残り半分の第2領域72bが折り線Lに沿って折り返される。
【0060】
これにより、図10(B)に示すように、板部66の反対側の主表面が第2領域72bで覆われる。つまり、接続部40は、幅広部72で包まれる。この状態で幅広部72を加熱することで、幅広部72が接続部40に熱溶着される。これにより、各導線と接続部40との接続強度を高めることができる。また、接続部40の絶縁性を高めることができる。なお、接続部40は板部66を有しなくてもよい。また、金属部材50は、第1部分56および第2部分58で構成されてもよい。
【0061】
(実施の形態6)
実施の形態6は、支持プレート4および電圧検出線6の構造を除き、実施の形態1と共通の構成を有する。以下、本実施の形態について実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。図11は、実施の形態6に係る電圧検出線6および支持プレート4の一部分の斜視図である。
【0062】
電圧検出線6は、第1フレキシブルプリント基板36と、第2フレキシブルプリント基板38と、接続部40と、を備える。接続部40は、互いに対応する第1導線42および第2導線46のそれぞれにはんだ付けされる。これにより、第1導線42および第2導線46は電気的に接続される。接続部40は、各第1導線42と各第2導線46とにはんだ付けされる複数の金属部材50を有する。本実施の形態の各金属部材50は、実施の形態2のように第1部分56と第2部分58とに分割された構造を有する。なお、各金属部材50は、実施の形態1のように単一の金属片で構成されていてもよい。
【0063】
支持プレート4は、電圧検出線6が載置される領域に突起部74を有する。突起部74は、電圧検出線6に向かって突出する。突起部74は、第1フレキシブルプリント基板36が重なる領域と、第2フレキシブルプリント基板38が重なる領域とに設けられる。また、好ましくは突起部74は、接続部40と重なる領域の近傍に配置される。
【0064】
第1フレキシブルプリント基板36および第2フレキシブルプリント基板38はそれぞれ、穴部76を有する。穴部76は、突起部74に対応する形状を有し、突起部74と重なる位置に設けられる。
【0065】
突起部74と穴部76とが重なるように位置合わせされた状態で、電圧検出線6が支持プレート4に載置される。これにより、突起部74が穴部76に嵌まり、支持プレート4に対して電圧検出線6が位置決めされる。この結果、電池モジュール1が振動したり電池モジュール1に衝撃が加わったりした際に、接続部40に応力がかかることを抑制できる。よって、電圧検出線6の信頼性を保ちながら長尺化を図ることができる。なお、第1フレキシブルプリント基板36および第2フレキシブルプリント基板38の少なくとも一方が穴部76を有していれば、第1フレキシブルプリント基板36と第2フレキシブルプリント基板38との接続信頼性を少なからず高めることができる。
【0066】
以上、本開示の実施の形態について詳細に説明した。前述した実施の形態は、本開示を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態の内容は、本開示の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された本開示の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。実施の形態に含まれる構成要素の任意の組み合わせも、本開示の態様として有効である。
【0067】
電池モジュール1が備える電池8の数は特に限定されない。複数の電池8の拘束構造等を含む、電池積層体2の各部の構造は特に限定されない。電池8は、円筒状等であってもよい。
【0068】
なお、実施の形態は、以下に記載する項目によって特定されてもよい。
[項目1]
複数の電池(8)と、
複数の電池(8)に電気的に接続されて複数の電池(8)の電圧を検出する電圧検出線(6)と、を備え、
電圧検出線(6)は、
複数の第1導線(42)、および複数の第1導線(42)を被覆する第1絶縁フィルム(44)を有する第1フレキシブルプリント基板(36)と、
複数の第2導線(46)、および複数の第2導線(46)を被覆する第2絶縁フィルム(48)を有する第2フレキシブルプリント基板(38)と、
互いに対応する第1導線(42)および第2導線(46)のそれぞれにはんだ付けされて第1導線(42)および第2導線(46)を電気的に接続する接続部(40)と、を備える電池モジュール(1)。
【符号の説明】
【0069】
4 支持プレート、 6 電圧検出線、 7 電圧検出線モジュール、 8 電池、 36 第1フレキシブルプリント基板、 38 第2フレキシブルプリント基板、 40 接続部、 42 第1導線、 44 第1絶縁フィルム、 46 第2導線、 48 第2絶縁フィルム、 50 金属部材、 56 第1部分、 58 第2部分、 66 板部、 68 壁部、 70 封止樹脂層、 72 幅広部、 74 突起部、 76 穴部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11