(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】ウェアラブルディスプレイ内の光透過アーチファクトの調整可能減衰
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20250409BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20250409BHJP
G02F 1/1347 20060101ALI20250409BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20250409BHJP
G02F 1/13363 20060101ALI20250409BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20250409BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02F1/13 505
G02F1/1347
G02F1/1335 510
G02F1/13363
G02B5/30
(21)【出願番号】P 2022579996
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(86)【国際出願番号】 US2021039211
(87)【国際公開番号】W WO2021263183
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2024-06-24
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】チェン, フイ-チュアン
(72)【発明者】
【氏名】マンリー, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】マトゥール, ヴァイブハブ
(72)【発明者】
【氏名】ハドック, ジョシュア ナアマン
(72)【発明者】
【氏名】メッサー, ケビン
(72)【発明者】
【氏名】カーライル, クリントン
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0180890(US,A1)
【文献】特開2017-120311(JP,A)
【文献】特開平04-238724(JP,A)
【文献】特表2019-511004(JP,A)
【文献】特表2019-511750(JP,A)
【文献】国際公開第2012/026341(WO,A1)
【文献】米国特許第05515186(US,A)
【文献】特開2009-198814(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0227321(US,A1)
【文献】国際公開第2021/256499(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01,27/02
G02F 1/13
G02F 1/1335,1/13363
G02F 1/1347
G02F 1/15-1/19
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェアラブルディスプレイシステムであって、
アイウェアとしてユーザによって装着可能なフレームであって、前記フレームは、接眼レンズスタックを格納し、前記接眼レンズスタックは、世界側と、前記世界側に対向するユーザ側とを有し、使用の間、前記ユーザ側に位置付けられる前記ユーザは、前記ユーザの環境の前記ユーザの視野を拡張させる前記接眼レンズスタックを介して、前記ウェアラブルディスプレイシステムによって送達される表示される画像を視認する、フレームと、
前記接眼レンズスタックの前記世界側に配列されている調整可能減衰器であって、前記調整可能減衰器は、第1の電気光学セルと、第1の線形偏光器によって前記第1の電気光学セルから分離される第2の電気光学セルとを備え、前記第1の電気光学セルおよび前記第2の電気光学セルおよび前記第1の線形偏光器は、一対の線形偏光器の間に配列されている、調整可能減衰器と、
前記フレームに搭載されており、かつ、前記世界側に面しているカメラモジュールと、
前記調整可能減衰器および前記カメラモジュールと通信する電子処理モジュールであって、前記電子処理モジュールは、前記カメラモジュールによって捕捉された画像に基づいて、周囲光源からの光の入射角についての情報を決定し、前記入射角に基づいて、前記調整可能減衰器の減衰率を変動させるようにプログラムされている、電子処理モジュールと
を備え、
前記第1の電気光学セルおよび前記第2の電気光学セルの少なくとも1つの状態に対して、前記調整可能減衰器は、(a)50°よりも小さい入射角に対して前記調整可能減衰器を通して透過される460nm~630nmの波長範囲内の波長を有する光が、法線入射光の透過率と比較して10%よりも大きい透過率を有するように、かつ、(b)70°よりも大きい入射角に対して前記調整可能減衰器を通して透過される460nm~630nmの波長範囲内の波長を有する光が、法線入射光の透過率と比較して10%よりも小さい透過率を有するように、入射光を減衰させる、ウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項2】
前記電子処理モジュールは、前記第1の電気光学セルおよび前記第2の電気光学セルの光学状態を制御することにより、前記調整可能減衰器上に入射する可視光の透過率を、入射角の第1の範囲内の前記入射角に応じた量だけ低減させることによって、前記調整可能減衰器の前記減衰率を変動させるようにプログラムされている、請求項1に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項3】
前記第1の電気光学セルおよび前記第2の電気光学セルのそれぞれは、液晶材料の層を備え、前記調整可能減衰器は、可変電圧を前記液晶材料のそれぞれに印加するように配列されている電圧源をさらに備える、請求項1に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項4】
前記調整可能減衰器は、前記第1の電気光学セルおよび前記第2の電気光学セルの前記液晶材料の層に加えて、複屈折材料の少なくとも1つの層をさらに備える、請求項3に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項5】
前記複屈折材料の前記少なくとも1つの層は、一対の4分の1波長板を備え、前記4分の1波長板は、前記第1の電気光学セルおよび前記第2の電気光学セルの前記液晶材料の層の対向側に配置されている、請求項
4に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項6】
前記第1の電気光学セルおよび前記第2の電気光学セルの前記一対の4分の1波長板のそれぞれは、円偏光器を形成するように前記線形偏光器のうちの対応する1つに対して配列されている、請求項
5に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項7】
前記複屈折材料の前記少なくとも1つの層は、C-プレートをさらに備える、請求項
5に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項8】
前記第1の電気光学セルまたは前記第2の電気光学セルのうちの一方は、前記調整可能減衰器の前記世界側の前記一対の線形偏光器のうちの第1の線形偏光器によって透過される光の偏光状態を回転させる、請求項1に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項9】
前記偏光状態の回転の量は、前記第1の電気光学セルまたは前記第2の電気光学セルの状態および前記一対の線形偏光器の前記第1の線形偏光器によって透過される光の入射角に応じて変動する、請求項
8に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項10】
大入射角を有する透過される光は、小入射角を有する透過される光よりも小さく回転される、請求項
9に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項11】
前記調整可能減衰器は、50mm×50mmよりも大きい面積を有する、請求項1に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項12】
前記第1の電気光学セルおよび前記第2の電気光学セルのそれぞれは、液晶材料の対応する層から成る、請求項1に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項13】
前記調整可能減衰器は、前記第1の電気光学セルおよび前記第2の電気光学セルの前記液晶材料の対応する層のそれぞれの対向側に配列されている複屈折材料の1つ以上の層をさらに備える、請求項
12に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【請求項14】
ウェアラブルディスプレイシステムを使用して画像を表示するための方法であって、
ディスプレイからのディスプレイ光をユーザに向かって接眼レンズを通して指向することにより、画像を前記ユーザの視野内に投影することと、
周囲光源と前記接眼レンズとの間の相対的場所を決定することと、
(a)50°よりも小さい入射角に対して460nm~630nmの波長範囲内の波長を有する周囲光が、法線入射光の透過率と比較して10%よりも大きい透過率を有するように、かつ、(b)70°よりも大きい入射角に対して460nm~630nmの波長範囲内の波長を有する周囲光が、法線入射光の透過率と比較して10%よりも小さい透過率を有するように、前記周囲光源と前記接眼レンズとの間の相対的場所に応じて、前記接眼レンズを通した前記周囲光源から周囲光の減衰率を調節することであって、前記調節することは、順番に、
前記周囲光を偏光させ、偏光された光を提供することと、
前記偏光された光を第1の量だけ遅延させ、1回遅延された偏光された光を提供することと、
前記1回遅延された偏光された光を偏光させ、2回偏光された光を提供することと、
前記2回偏光された光を遅延させ、2回遅延された偏光された光を提供することと、
前記2回遅延された偏光された光を偏光させ、3回偏光された光を提供することであって、前記3回偏光された光の強度は、前記周囲光に対して減衰されている、ことと
を含む、ことと
を含む、方法。
【請求項15】
前記電子処理モジュールは、入射角の第1の範囲内において前記調整可能減衰器上に入射する可視光の透過率を、前記第1の範囲外の入射角で前記調整可能減衰器上に入射する光の透過率を有意に低減させることなく、低減させるように、前記調整可能減衰器を制御するようにプログラムされている、請求項2に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国特許法第119条(e)下、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、「Tunable Attenuation of Light Transmission Artifacts in Wearable Displays」と題され、2020年6月25日に出願された、米国特許出願第63/044,013号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、ウェアラブルディスプレイ内の光透過アーチファクトの調整可能減衰のための技法に関する。
【背景技術】
【0003】
ウェアラブルディスプレイシステム(例えば、ウェアラブルディスプレイヘッドセット)等の光学結像システムは、投影された画像をユーザに提示する、1つまたはそれを上回る接眼レンズを含むことができる。接眼レンズは、1つまたはそれを上回る高度に屈折性の材料の薄い層を使用して、構築されることができる。実施例として、接眼レンズは、高度に屈折性のガラス、シリコン、金属、またはポリマー基板の1つまたはそれを上回る層から構築されることができる。
【0004】
複数の接眼レンズが、シミュレートされた3次元画像を投影するように併用されることができる。例えば、複数の接眼レンズ(それぞれ、異なるパターンを有する)が、重ねて層化されることができ、各接眼レンズは、立体画像の異なる深度層を投影することができる。したがって、接眼レンズは、集合的に、3次元を横断して、立体画像をユーザに提示することができる。これは、例えば、ユーザに「仮想現実」環境を提示する際に有用であり得る。
【0005】
ウェアラブルディスプレイシステム内の光学要素はまた、ユーザが存在する、環境からの光である、周囲光と相互作用し得る。例えば、ウェアラブルディスプレイシステム内の回折構造は、通常、ユーザの視野に進入しないであろう、高角度でウェアラブルディスプレイ上に入射する周囲光を、ユーザの体験を減少させる、可視アーチファクトを作成する視野の中に回折し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
角度的に選択的なフィルムを含み、高入射角の周囲光入射と関連付けられる、アーチファクトを軽減させる、ウェアラブルディスプレイシステムが、説明される。例えば、角度的に選択的なフィルムは、偏光調節要素と組み合わせて、偏光器を利用することができ、そのための調節の量は、光の入射角に応じて変動し、ある入射角における光の透過率を低減させる。ある実施形態では、角度的に選択的なフィルムは、動的要素を含むことができ、その中で透過性質は、電場に応答して等、ある刺激に応答して、変動されることができる。
【0007】
本発明の種々の側面は、以下のように要約される。
【0008】
一般に、第1の側面では、本発明は、ウェアラブルディスプレイシステムを使用して画像を表示するための方法であって、ディスプレイからのディスプレイ光をユーザに向かって接眼レンズを通して指向し、画像をユーザの視野内に投影することと、周囲光源と接眼レンズとの間の相対的場所を決定することと、周囲光源と接眼レンズとの間の相対的場所に応じて、接眼レンズを通した周囲光源から周囲光の減衰を調節することとを含む、方法を特徴とする。
【0009】
ウェアラブルディスプレイシステムを使用して画像を表示するための方法の実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたはそれを上回るものを含むことができる。例えば、相対的場所を決定することは、接眼レンズ上の周囲光源からの周囲光の入射角を決定することを含み、減衰率は、入射角に基づいて調節される。減衰率は、より低い入射角における減衰率と比較して、入射角における周囲光の透過率を低減させるように調節されることができる。
【0010】
周囲光を減衰させることは、周囲光を偏光させ、偏光された光を提供することと、周囲光の入射角の関数として、偏光された光の偏光状態を変調させることとを含むことができる。減衰率は、偏光された光の偏光状態の変調率を変動させることによって、変動されることができる。変調率は、偏光された光の経路内の複屈折材料の層によって提供される遅延率を変動させることによって、変動されることができる。複屈折材料は、液晶を含むことができる。遅延率は、液晶に印加される電場を変動させることによって、変動されることができる。液晶は、ブルー相液晶または垂直に整合された液晶であることができる。
【0011】
周囲光を減衰させることはさらに、変調された偏光された光を第2の偏光器を通して指向することを含むことができる。減衰率は、液晶要素を使用して変動されることができる。
【0012】
周囲光源と接眼レンズとの間の相対的場所を決定することは、周囲光強度を監視することと、監視される周囲光強度の変化に基づいて、相対的場所を決定することとを含むことができる。周囲光強度は、周囲環境の画像を入手し、入手された画像を分析し、画像内の周囲光源の場所を決定することによって監視されることができる。
【0013】
第2の側面では、本発明は、ウェアラブルディスプレイシステムであって、世界側と、世界側に対向するユーザ側とを有する、接眼レンズスタックであって、使用の間、ユーザ側に位置付けられる、ユーザは、ユーザの環境のユーザの視野を拡張させる、接眼レンズスタックを介して、ウェアラブルディスプレイシステムによって送達される、表示される画像を視認する、接眼レンズスタックと、接眼レンズスタックの世界側に配列される、調整可能減衰器であって、一対の線形偏光器間に配列される、電気光学セルを備える、調整可能減衰器と、世界側に面したカメラモジュールと、調整可能減衰器およびカメラモジュールと通信する、電子処理モジュールであって、カメラモジュールによって捕捉された画像に基づいて、周囲光源に対する接眼レンズスタックの相対的場所についての情報を決定し、相対的場所についての情報に基づいて、調整可能減衰器の減衰率を変動させるようにプログラムされる、電子処理モジュールとを含む、ウェアラブルディスプレイシステムを特徴とする。
【0014】
ウェアラブルディスプレイシステムの実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたはそれを上回るものを含むことができる。調整可能減衰器は、入射角の第1の範囲内の調整可能減衰器上に入射する可視光の透過率を、第1の範囲外の入射角における調整可能減衰器上に入射する光の透過率を有意に低減させずに、低減させることができる。
【0015】
電気光学セルは、液晶材料の層を含むことができ、調整可能減衰器はさらに、可変電圧を液晶材料に印加するように配列される、電圧源を含むことができる。液晶材料は、ブルー相液晶材料または垂直に整合された液晶材料であることができる。調整可能減衰器はさらに、液晶材料の層に加え、複屈折材料の少なくとも1つの層を含むことができる。
【0016】
複屈折材料の少なくとも1つの層は、一対の4分の1波長板を含むことができ、4分の1波長板は、液晶材料の層の対向側に配置される。各4分の1波長板は、線形偏光器の対応するものに対して配列され、円偏光器を形成することができる。複屈折材料の少なくとも1つの層はさらに、C-プレートを含むことができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、2つの線形偏光器の通過軸は、交差されることができる。
【0018】
電気光学セルは、調整可能減衰器の世界側の一対の線形偏光器の第1の線形偏光器によって透過される光の偏光状態を回転させることができる。偏光状態の回転の量は、電気光学セルの状態および一対の線形偏光器の第1の線形偏光器によって透過される光の入射角に応じて、変動することができる。大入射角を有して透過される、光は、小入射角を有して透過される、光未満だけ回転されることができる。
【0019】
調整可能減衰器は、50mm×50mmを上回る面積を有する。
【0020】
電気光学セルは、第1の電気光学セルであることができ、調整可能減衰器はさらに、第2の電気光学セルと、第3の線形偏光器とを含むことができ、第2の電気光学セルは、一対の線形偏光器と第3の線形偏光器との間に配列される。第1および第2の電気光学セルはそれぞれ、液晶材料の対応する層から成ることができる。調整可能減衰器はさらに、液晶材料の対応する層の対向側に配列される、複屈折材料の1つまたはそれを上回る層を備えることができる。
【0021】
調整可能減衰器は、2つまたはそれを上回る段階を含むことができ、各段階は、一対の線形偏光器間に配列される、電気光学セルを備える。隣接する段階は、線形偏光器を共有することができる。
【0022】
利点の中でもとりわけ、本発明の実装は、ディスプレイ内の格子構造と相互作用する迷周囲光と関連付けられる、あるウェアラブルディスプレイ内の望ましくない光学アーチファクト(例えば、レインボー効果)を低減させることができる。例えば、表面レリーフ格子を採用する、導波管ベースのウェアラブルディスプレイ(例えば、AR/MR用途のため)は、迷周囲光をディスプレイのアイボックスの中に回折し、望ましくないアーチファクトをユーザの視野内にもたらし、ユーザの体験を減少させ得る。本発明の実装は、ユーザの視野に有意に影響を及ぼさずに、そのようなアーチファクトを有意に低減させることができる。
【0023】
実装は、その入射角に基づいて、周囲光の透過率を減衰させることができる。例えば、ユーザの視野より大きい入射角に関する光を選択的に減衰させる、フィルムは、ユーザの世界のビューの透過率を犠牲にせずに、回折接眼ディスプレイによって生成されたアーチファクトの可視性を軽減させることができる。
【0024】
1つまたはそれを上回る実施形態の詳細は、付随の図面および下記の説明に記載される。他の特徴および利点は、説明および図面から、および請求項から明白となるであろう。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
ウェアラブルディスプレイシステムであって、
世界側と、前記世界側に対向するユーザ側とを有する接眼レンズスタックであって、使用の間、前記ユーザ側に位置付けられるユーザは、前記ユーザの環境のユーザの視野を拡張させる前記接眼レンズスタックを介して、前記ウェアラブルディスプレイシステムによって送達される表示される画像を視認する、接眼レンズスタックと、
前記接眼レンズスタックの世界側に配列される調整可能減衰器であって、前記調整可能減衰器は、一対の線形偏光器間に配列される電気光学セルを備える、調整可能減衰器と、
前記世界側に面したカメラモジュールと、
前記調整可能減衰器および前記カメラモジュールと通信する電子処理モジュールであって、前記電子処理モジュールは、前記カメラモジュールによって捕捉された画像に基づいて、周囲光源に対する前記接眼レンズスタックの相対的場所についての情報を決定し、前記相対的場所についての情報に基づいて、前記調整可能減衰器の減衰率を変動させるようにプログラムされる、電子処理モジュールと
を備える、ウェアラブルディスプレイシステム。
(項目2)
前記調整可能減衰器は、入射角の第1の範囲内の前記調整可能減衰器上に入射する可視光の透過率を、前記第1の範囲外の入射角における前記調整可能減衰器上に入射する光の透過率を有意に低減させずに、低減させる、項目1に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
(項目3)
前記電気光学セルは、液晶材料の層を備え、前記調整可能減衰器はさらに、可変電圧を前記液晶材料に印加するように配列される電圧源を備える、項目1または項目2に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
(項目4)
前記液晶材料は、ブルー相液晶材料または垂直に整合された液晶材料である、項目1-3のいずれか1項に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
(項目5)
前記調整可能減衰器はさらに、前記液晶材料の層に加え、複屈折材料の少なくとも1つの層を備える、項目1-3のいずれか1項に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
(項目6)
前記複屈折材料の少なくとも1つの層は、一対の4分の1波長板を備え、前記4分の1波長板は、前記液晶材料の層の対向側に配置される、項目5に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
(項目7)
前記一対の4分の1波長板はそれぞれ、前記線形偏光器の対応するものに対して配列され、円偏光器を形成する、項目6に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
(項目8)
前記複屈折材料の少なくとも1つの層はさらに、C-プレートを備える、項目6または項目7に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
(項目9)
2つの線形偏光器の通過軸は、交差される、項目1-8のいずれか1項に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
(項目10)
前記電気光学セルは、前記調整可能減衰器の世界側の前記一対の線形偏光器の第1の線形偏光器によって透過される光の偏光状態を回転させる、項目1-9のいずれか1項に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
(項目11)
前記偏光状態の回転の量は、前記電気光学セルの状態および前記一対の線形偏光器の前記第1の線形偏光器によって透過される光の入射角に応じて変動する、項目10に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
(項目12)
大入射角を有して透過される光は、小入射角を有して透過される光未満だけ回転される、項目11に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
(項目13)
前記調整可能減衰器は、50mm×50mmを上回る面積を有する、項目1-12のいずれか1項に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
(項目14)
前記電気光学セルは、第1の電気光学セルであり、前記調整可能減衰器はさらに、第2の電気光学セルと、第3の線形偏光器とを備え、前記第2の電気光学セルは、前記一対の線形偏光器と前記第3の線形偏光器との間に配列される、項目1-13のいずれか1項に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
(項目15)
前記第1および第2の電気光学セルはそれぞれ、液晶材料の対応する層から成る、項目14に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
(項目16)
前記調整可能減衰器はさらに、前記液晶材料の対応する層の対向側に配列される複屈折材料の1つまたはそれを上回る層を備える、項目15に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
(項目17)
前記調整可能減衰器は、2つまたはそれを上回る段階を備え、各段階は、一対の線形偏光器間に配列される電気光学セルを備える、項目1-16のいずれか1項に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
(項目18)
隣接する段階は、線形偏光器を共有する、項目17に記載のウェアラブルディスプレイシステム。
(項目19)
ウェアラブルディスプレイシステムを使用して画像を表示するための方法であって、
ディスプレイからのディスプレイ光をユーザに向かって接眼レンズを通して指向し、画像を前記ユーザの視野内に投影することと、
周囲光源と前記接眼レンズとの間の相対的場所を決定することと、
前記周囲光源と前記接眼レンズとの間の相対的場所に応じて、前記接眼レンズを通した前記周囲光源から周囲光の減衰率を調節することと
を含む、方法。
(項目20)
前記相対的場所を決定することは、前記接眼レンズ上の前記周囲光源からの前記周囲光の入射角を決定することを含み、前記減衰率は、前記入射角に基づいて調節される、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記減衰率は、より低い入射角における前記減衰率と比較して、前記入射角における前記周囲光の透過率を低減させるように調節される、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記周囲光を減衰させることは、前記周囲光を偏光させ、偏光された光を提供することと、前記周囲光の入射角の関数として、前記偏光された光の偏光状態を変調させることとを含む、項目19-21のいずれか1項に記載の方法。
(項目23)
前記減衰率は、前記偏光された光の偏光状態の変調率を変動させることによって、変動される、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記変調率は、前記偏光された光の経路内の複屈折材料の層によって提供される遅延率を変動させることによって、変動される、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記複屈折材料は、液晶を備える、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記遅延率は、前記液晶に印加される電場を変動させることによって、変動される、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記液晶は、ブルー相液晶または垂直に整合された液晶である、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記周囲光を減衰させることはさらに、前記変調された偏光された光を第2の偏光器を通して指向することを含む、項目23に記載の方法。
(項目29)
前記減衰率は、液晶要素を使用して変動される、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記周囲光源と前記接眼レンズとの間の前記相対的場所を決定することは、周囲光強度を監視することと、前記監視される周囲光強度の変化に基づいて、前記相対的場所を決定することとを含む、項目19-29のいずれか1項に記載の方法。
(項目31)
前記周囲光強度は、前記周囲環境の画像を入手し、前記入手された画像を分析し、前記画像内の前記周囲光源の場所を決定することによって監視される、項目30に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、ウェアラブルディスプレイシステムの実施例を示す。
【0026】
【
図2A】
図2Aは、ユーザのための3次元画像データをシミュレートするための従来のディスプレイシステムを示す。
【0027】
【
図2B】
図2Bは、複数の深度面を使用して3次元画像データをシミュレートするためのアプローチの側面を示す。
【0028】
【
図3】
図3A-3Cは、曲率半径と焦点半径との間の関係を示す。
【0029】
【
図4】
図4は、AR接眼レンズ内で画像情報をユーザに出力するための導波管スタックの実施例を示す。
【0030】
【
図5】
図5および6は、導波管によって出力された出射ビームの実施例を示す。
【0031】
【
図6】
図5および6は、導波管によって出力された出射ビームの実施例を示す。
【0032】
【
図7】
図7Aおよび7Bは、表面レリーフ格子を有する、ディスプレイコンバイナを通した光経路を図示する、概略図である。
【0033】
【
図8】
図8Aおよび8Bは、角度的に選択的なフィルムの有無別のディスプレイコンバイナを通した光透過を仕切る、概略図である。
【0034】
【
図9】
図9はディスプレイコンバイナと、調整可能減衰器の実施例とを伴う、接眼レンズの概略図である。
【0035】
【
図10】
図10は、調整可能減衰器の実施例を通した入射光角度の関数として、3つの異なる波長に関する透過率を示す、プロットである。
【0036】
【
図11】
図11A-11Iは、それぞれ、3つの異なる入射角における3つの異なる接眼レンズ実施例に対応する、異なるシミュレートされたレインボーアーチファクトのチャートである。
【0037】
【
図12】
図12A、12C、および12Eは、3つの異なる遅延値における知覚される色偏移を示す、チャートである。
図12B、12D、および12Fは、3つの異なる遅延値における3つの異なる波長に関する透過率プロファイルを示す、チャートである。
【0038】
【
図13】
図13は、ディスプレイコンバイナと、調整可能減衰器の別の実施例とを伴う、接眼レンズの概略図である。
【0039】
【
図14】
図14は、3つの異なる波長に関する複数の調整可能減衰器を通した入射光角度の関数として、透過率を示す、プロットである。
【0040】
【
図15】
図15は、ディスプレイコンバイナと、静的C-プレートと組み合わせた調整可能減衰器のなおもさらなる実施例とを伴う、接眼レンズの概略図である。
【0041】
【
図16】
図16は、周囲光減衰のための例示的電圧制御フィードバック機構を詳述する、フローチャートである。
【0042】
【
図17】
図17Aおよび17Bは、異なる入射角におけるディスプレイコンバイナを通した光透過率を比較する、概略図である。
【0043】
【
図18】
図18は、複数の入射角におけるディスプレイコンバイナを通した複数の光透過率を経時的に比較する、概略図である。
【0044】
【
図19】
図19A-19Cは、等方性媒体と異なるブルー相LC材料を比較する、屈折率楕円体の概略図である。
【0045】
【
図20】
図20は、垂直に整合されたネマチック液晶層を伴う、例示的電気光学セルの概略図である。
【0046】
【
図21】
図21A-21Cは、垂直に整合されたネマチック液晶層を使用する、デバイス内の例示的表面整合パターンを示す、プロットである。
【0047】
【
図22】
図22は、ウェアラブルディスプレイシステムとの併用に有用である、例示的コンピュータシステムの略図である。
【0048】
図中では、同様の参照番号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
詳細な説明
図1は、ディスプレイまたは接眼レンズ70と、そのディスプレイ70の機能をサポートするための種々の機械的および電子モジュールおよびシステムとを含む、例示的ウェアラブルディスプレイシステム60を図示する。ディスプレイ70は、フレーム80内に格納されてもよく、これは、ディスプレイシステムユーザ90によって装着可能であって、ディスプレイ70をユーザ90の眼の正面に位置付けるように構成される。ディスプレイ70は、いくつかの実施形態では、アイウェアと見なされてもよい。世界視認(例えば、ユーザの環境に面し、類似視野を有する)カメラ81が、フレーム80内に搭載される。いくつかの実施形態では、スピーカ100が、フレーム80に結合され、ユーザ90の外耳道に隣接して位置付けられる。ディスプレイシステムはまた、1つまたはそれを上回るマイクロホン110を含み、音を検出してもよい。マイクロホン110は、ユーザが、入力またはコマンドをシステム60に提供することを可能にすることができ(例えば、音声メニューコマンドの選択、自然言語質問等)、および/または他の人物(例えば、類似ディスプレイシステムの他のユーザ)とのオーディオ通信を可能にすることができる。マイクロホン110はまた、オーディオデータ(例えば、ユーザおよび/または環境からの音)をユーザの周囲から収集することができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステムもまた、周辺センサ120aを含んでもよく、これは、フレーム80と別個であって、ユーザ90の身体(例えば、頭部、胴体、四肢等上)に取り付けられてもよい。周辺センサ120aは、いくつかの実施形態では、ユーザ90の生理学的状態を特徴付けるデータを取得してもよい。
【0050】
ディスプレイ70は、有線導線または無線コネクティビティ等の通信リンク130によって、ローカルデータ処理モジュール140に動作可能に結合され、これは、フレーム80に固定して取り付けられる、ユーザによって装着されるヘルメットまたは帽子に固定して取り付けられる、ヘッドホンに内蔵される、または別様にユーザ90に除去可能に取り付けられる(例えば、リュック式構成において、またはベルト結合式構成において)等、種々の構成において搭載されてもよい。同様に、センサ120aは、通信リンク120b(例えば、有線導線または無線コネクティビティ)によって、ローカルプロセッサおよびデータモジュール140に動作可能に結合されてもよい。ローカル処理およびデータモジュール140は、ハードウェアプロセッサおよび不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリまたはハードディスクドライブ)等のデジタルメモリを含んでもよく、その両方とも、データの処理、キャッシュ、および記憶を補助するために利用され得る。データは、1)画像捕捉デバイス(例えば、カメラ)、マイクロホン、慣性測定ユニット、加速度計、コンパス、GPSユニット、無線デバイス、ジャイロスコープ、および/または本明細書に開示される他のセンサ等の(例えば、フレーム80に動作可能に結合される、または別様にユーザ90に取り付けられ得る)センサから捕捉されるデータ、および/または2)可能性として、処理または読出後にディスプレイ70への通過のために、遠隔処理モジュール150および/または遠隔データリポジトリ160(仮想コンテンツに関連するデータを含む)を使用して取得および/または処理されたデータを含んでもよい。ローカル処理およびデータモジュール140は、これらの遠隔モジュール150、160が相互に動作可能に結合され、ローカル処理およびデータモジュール140に対するリソースとして利用可能であるように、有線または無線通信リンク等を介して、通信リンク170、180によって、遠隔処理モジュール150および遠隔データリポジトリ160に動作可能に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、ローカル処理およびデータモジュール140は、画像捕捉デバイス、マイクロホン、慣性測定ユニット、加速度計、コンパス、GPSユニット、無線デバイス、および/またはジャイロスコープのうちの1つまたはそれを上回るものを含んでもよい。いくつかの他の実施形態では、これらのセンサのうちの1つまたはそれを上回るものは、フレーム80に取り付けられてもよい、または有線または無線通信経路によってローカル処理およびデータモジュール140と通信する、独立デバイスであってもよい。
【0051】
遠隔処理モジュール150は、画像およびオーディオ情報等のデータを分析および処理するための1つまたはそれを上回るプロセッサを含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠隔データリポジトリ160は、デジタルデータ記憶設備であり得、これは、インターネットまたは「クラウド」リソース構成における他のネットワーキング構成を通して利用可能であってもよい。いくつかの実施形態では、遠隔データリポジトリ160は、情報(例えば、拡張現実コンテンツを生成するための情報)をローカル処理およびデータモジュール140および/または遠隔処理モジュール150に提供する、1つまたはそれを上回る遠隔サーバを含んでもよい。他の実施形態では、全てのデータが、記憶され、全ての算出が、ローカル処理およびデータモジュールにおいて実施され、遠隔モジュールからの完全に自律的な使用を可能にする。
【0052】
「3次元」または「3-D」としての画像の知覚は、ユーザの各眼への画像の若干異なる提示を提供することによって達成され得る。
図2Aは、ユーザに関する3次元画像データをシミュレートするための従来のディスプレイシステムを図示する。眼210、220毎に1つの2つの明確に異なる画像190、200が、ユーザに出力される。画像190、200は、ユーザの視線と平行な光学またはz-軸に沿って距離230だけ眼210、220から離間される。画像190、200は、平坦であって、眼210、220は、単一の遠近調節された状態をとることによって、画像上に合焦し得る。そのような3-Dディスプレイシステムは、ヒト視覚系に依拠し、画像190、200を組み合わせ、組み合わせられた画像の深度および/または尺度の知覚を提供する。
【0053】
しかしながら、ヒト視覚系は、複雑であって、深度の現実的知覚を提供することは、困難である。例えば、従来の「3-D」ディスプレイシステムの多くのユーザは、そのようなシステムが不快であることを見出す、または深度の感覚を全く知覚しない場合がある。オブジェクトは、輻輳・開散運動と遠近調節の組み合わせに起因して、「3次元」として知覚され得る。相互に対する2つの眼の輻輳・開散運動の移動(例えば、瞳孔が、相互に向かって、またはそこから離れるように移動し、眼の個別の視線を収束させ、オブジェクトを固視するような瞳孔の回転)は、眼の水晶体の合焦(または「遠近調節」)と緊密に関連付けられる。正常条件下、焦点を1つのオブジェクトから異なる距離における別のオブジェクトに変化させるための眼の水晶体の焦点の変化または眼の遠近調節は、「遠近調節-輻輳・開散運動反射」および散瞳または縮瞳として知られる関係下、輻輳・開散運動の整合変化を自動的に同一距離に生じさせるであろう。同様に、正常条件下、輻輳・開散運動の変化は、水晶体形状および瞳孔サイズの遠近調節の整合変化を誘起するであろう。本明細書に記載されるように、多くの立体視または「3-D」ディスプレイシステムは、3次元視点がヒト視覚系によって知覚されるように、各眼への若干異なる提示(したがって、若干異なる画像)を使用して、場面を表示する。しかしながら、そのようなシステムは、単に、画像情報を単一の遠近調節された状態において提供し、「遠近調節-輻輳・開散運動反射」に対抗して機能するため、一部のユーザにとって不快であり得る。遠近調節と輻輳・開散運動との間のより良好な合致を提供するディスプレイシステムが、3次元画像データのより現実的かつ快適なシミュレーションを形成し得る。
【0054】
図2Bは、複数の深度面を使用して3次元画像データをシミュレートするためのアプローチの側面を図示する。
図2Bを参照すると、眼210、220は、異なる遠近調節された状態をとり、オブジェクトをz-軸に沿って種々の距離に合焦させる。その結果、特定の遠近調節された状態は、特定の深度面におけるオブジェクトまたはオブジェクトの一部が、眼がその深度面に対して遠近調節された状態にあるときに合焦するように、関連付けられる焦点距離を有する、図示される深度面240のうちの特定の1つと関連付けられると言え得る。いくつかの実施形態では、3次元画像データが、眼210、220毎に、画像の異なる提示を提供することによって、また、複数の深度面に対応する画像の異なる提示を提供することによってシミュレートされてもよい。眼210、220の個別の視野は、例証を明確にするために別個であるものとして示されるが、それらは、例えば、z-軸に沿った距離が増加するにつれて、重複し得る。加えて、例証を容易にするために、深度面は、平坦であるものとして示されるが、深度面の輪郭は、深度面内の全ての特徴が特定の遠近調節された状態における眼と合焦するように、物理的空間内で湾曲され得ることを理解されたい。
【0055】
オブジェクトと眼210または220との間の距離はまた、その眼によって視認されるようなそのオブジェクトからの光の発散の量を変化させ得る。
図3A-3Cは、距離と光線の発散との間の関係を図示する。オブジェクトと眼210との間の距離は、減少距離R1、R2、およびR3の順序で表される。
図3A-3Cに示されるように、光線は、オブジェクトまでの距離が減少するにつれてより発散する。距離が増加するにつれて、光線は、よりコリメートされる。換言すると、点(オブジェクトまたはオブジェクトの一部)によって生成されるライトフィールドは、点がユーザの眼から離れている距離の関数である、球状波面曲率を有すると言え得る。曲率は、オブジェクトと眼210との間の距離の減少に伴って増加する。その結果、異なる深度面では、光線の発散度もまた、異なり、発散度は、深度面とユーザの眼210との間の距離の減少に伴って増加する。単眼210のみが、例証を明確にするために、
図3A-3Cおよび本明細書の他の図に図示されるが、眼210に関する議論は、ユーザの両眼210および220に適用され得ることを理解されたい。
【0056】
知覚された深度の高度に真実味のあるシミュレーションが、眼に限定数の深度面のそれぞれに対応する画像の異なる提示を提供することによって達成され得る。異なる提示は、ユーザの眼によって別個に集束され、それによって、異なる深度面上に位置する場面のための異なる画像特徴に合焦させるために要求される眼の遠近調節の量に基づいて、および/または焦点がずれている異なる深度面上の異なる画像特徴の観察に基づいて、ユーザに深度キューを提供することに役立ててもよい。
【0057】
図4は、AR接眼レンズ内で画像情報をユーザに出力するための導波管スタックの実施例を図示する。ディスプレイシステム250は、複数の導波管270、280、290、300、310を使用して、3次元知覚を眼/脳に提供するために利用され得る、導波管のスタックまたはスタックされた導波管アセンブリ260を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム250は、
図1のシステム60であって、
図4は、そのシステム60のいくつかの部分をより詳細に図式的に示す。例えば、導波管アセンブリ260は、
図1のディスプレイ70の一部であってもよい。ディスプレイシステム250は、いくつかの実施形態では、ライトフィールドディスプレイと見なされてもよいことを理解されたい。
【0058】
導波管アセンブリ260はまた、複数の特徴320、330、340、350を導波管の間に含んでもよい。いくつかの実施形態では、特徴320、330、340、350は、1つまたはそれを上回るレンズであってもよい。導波管270、280、290、300、310および/または複数のレンズ320、330、340、350は、種々のレベルの波面曲率または光線発散を用いて、画像情報を眼に送信するように構成されてもよい。各導波管レベルは、特定の深度面と関連付けられてもよく、その深度面に対応する画像情報を出力するように構成されてもよい。画像投入デバイス360、370、380、390、400は、導波管のための光源として機能してもよく、画像情報を導波管270、280、290、300、310の中に投入するために利用されてもよく、それぞれ、本明細書に説明されるように、眼210に向かって出力するために、各個別の導波管を横断して入射光を分散させるように構成されてもよい。光は、各個別の画像投入デバイス360、370、380、390、400の出力表面410、420、430、440、450から出射し、個別の導波管270、280、290、300、310の対応する入力表面460、470、480、490、500の中に投入される。いくつかの実施形態では、入力表面460、470、480、490、500はそれぞれ、対応する導波管の縁であってもよい、または対応する導波管の主要表面の一部(すなわち、世界510またはユーザの眼210に直接面する導波管表面のうちの1つ)であってもよい。いくつかの実施形態では、光のビーム(例えば、コリメートされたビーム)が、各導波管の中に投入されてもよく、導波管内の屈折によって、ビームレットにサンプリングすること等によって複製され、次いで、その特定の導波管と関連付けられる深度面に対応する屈折力の量を伴って、眼210に向かって指向されてもよい。いくつかの実施形態では、画像投入デバイス360、370、380、390、400のうちの単一の1つは、複数(例えば、3つ)の導波管270、280、290、300、310と関連付けられ、その中に光を投入してもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、画像投入デバイス360、370、380、390、400はそれぞれ、対応する導波管270、280、290、300、310の中への投入のための画像情報をそれぞれ生成する、離散ディスプレイである。いくつかの他の実施形態では、画像投入デバイス360、370、380、390、400は、1つまたはそれを上回る光学導管(光ファイバケーブル等)を介して、画像情報を画像投入デバイス360、370、380、390、400のそれぞれに透過させ得る、単一の多重化されたディスプレイの出力端である。画像投入デバイス360、370、380、390、400によって提供される画像情報は、異なる波長または色の光を含んでもよいことを理解されたい。
【0060】
いくつかの実施形態では、導波管270、280、290、300、310の中に投入される光は、光プロジェクタシステム520によって提供され、これは、光モジュール530を含み、これは、発光ダイオード(LED)等の光源または光エミッタを含んでもよい。光モジュール530からの光は、ビームスプリッタ(BS)550を介して、光変調器540(例えば、空間光変調器)によって指向および変調されてもよい。光変調器540は、導波管270、280、290、300、310の中に投入される光の知覚される強度を空間的および/または時間的に変化させてもよい。空間光変調器の実施例は、シリコン上液晶(LCOS)ディスプレイを含む、液晶ディスプレイ(LCD)、およびデジタル光処理(DLP)ディスプレイにおいて使用されるもの等のMEMSマイクロミラーアレイを含む。いくつかの実施形態では、光プロジェクタシステム520が、マイクロLEDディスプレイ等の発光ダイオード(LED)ディスプレイを含むことができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、光プロジェクタシステム520またはその1つまたはそれを上回るコンポーネントは、フレーム80(
図1)に取り付けられてもよい。例えば、光プロジェクタシステム520は、フレーム80のつる部分(例えば、耳掛け部82)の一部である、またはディスプレイ70の縁に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、光モジュール530は、BS550および/または光変調器540と別個であってもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム250は、光を種々のパターン(例えば、ラスタ走査、螺旋走査、リサジューパターン等)で1つまたはそれを上回る導波管270、280、290、300、310の中に、最終的には、ユーザの眼210の中に投影するための1つまたはそれを上回る走査ファイバを備える、走査ファイバディスプレイであってもよい。いくつかの実施形態では、図示される画像投入デバイス360、370、380、390、400は、光を1つまたは複数の導波管270、280、290、300、310の中に投入するように構成される、単一走査ファイバまたは走査ファイバの束を図式的に表し得る。いくつかの他の実施形態では、図示される画像投入デバイス360、370、380、390、400は、複数の走査ファイバまたは走査ファイバの複数の束を図式的に表し得、それぞれ、光を導波管270、280、290、300、310のうちの関連付けられる1つの中に投入するように構成される。1つまたはそれを上回る光ファイバは、光を光モジュール530から1つまたはそれを上回る導波管270、280、290、300、および310に透過させてもよい。加えて、1つまたはそれを上回る介在光学構造が、走査ファイバまたは複数のファイバと、1つまたはそれを上回る導波管270、280、290、300、310との間に提供され、例えば、走査ファイバから出射する光を1つまたはそれを上回る導波管270、280、290、300、310の中に再指向してもよい。
【0063】
コントローラ560は、画像投入デバイス360、370、380、390、400、光源530、および光変調器540の動作を含む、スタックされた導波管アセンブリ260の動作を制御する。いくつかの実施形態では、コントローラ560は、ローカルデータ処理モジュール140の一部である。コントローラ560は、導波管270、280、290、300、310への画像情報のタイミングおよび提供を調整する、プログラミング(例えば、非一過性媒体内の命令)を含む。いくつかの実施形態では、コントローラは、単一一体型デバイスまたは有線または無線通信チャネルによって接続される分散型システムであってもよい。コントローラ560は、いくつかの実施形態では、処理モジュール140または150(
図1)の一部であってもよい。
【0064】
導波管270、280、290、300、310は、全内部反射(TIR)によって、各個別の導波管内で光を伝搬するように構成されてもよい。導波管270、280、290、300、310はそれぞれ、主要上部および底部表面およびそれらの主要上部表面と底部表面との間に延在する縁を伴う、平面である、または別の形状(例えば、湾曲)を有してもよい。図示される構成では、導波管270、280、290、300、310はそれぞれ、各個別の導波管内で伝搬する光を導波管から外に再指向し、画像情報を眼210に出力することによって、光を導波管から抽出するように構成される、外部結合光学要素570、580、590、600、610を含んでもよい。抽出された光はまた、外部結合光と称され得、光を外部結合する光学要素はまた、光抽出光学要素と称され得る。抽出された光のビームは、導波管によって、導波管内で伝搬する光が光抽出光学要素に衝打する場所において出力され得る。外部結合光学要素570、580、590、600、610は、例えば、本明細書にさらに議論されるような回折格子を含む、回折光学特徴であってもよい。外部結合光学要素570、580、590、600、610は、導波管270、280、290、300、310の底部主要表面に配置されて図示されるが、いくつかの実施形態では、それらは、本明細書にさらに議論されるように、上部および/または底部主要表面に配置されてもよく、および/または導波管270、280、290、300、310の容積内に直接配置されてもよい。いくつかの実施形態では、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、透明基板に取り付けられ、導波管270、280、290、300、310を形成する、材料の層内に形成されてもよい。いくつかの他の実施形態では、導波管270、280、290、300、310は、材料のモノリシック片であってもよく、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、その材料片の表面上および/または内部に形成されてもよい。
【0065】
各導波管270、280、290、300、310は、光を出力し、特定の深度面に対応する画像を形成してもよい。例えば、眼の最近傍の導波管270は、眼210にコリメートされた光のビームを送達してもよい。コリメートされた光のビームは、光学無限遠焦点面を表し得る。次の上方の導波管280は、眼210に到達する前に、第1のレンズ350(例えば、負のレンズ)を通して通過する、コリメートされた光のビームを出力してもよい。第1のレンズ350は、眼/脳が、その導波管280から生じる光を光学無限遠から眼210に向かって内向きにより近い第1の焦点面から生じるものとして解釈するように、若干の凸面波面曲率をコリメートされたビームに追加してもよい。同様に、第3の上方の導波管290は、眼210に到達する前に、その出力光を第1のレンズ350および第2のレンズ340の両方を通して通過させる。第1のレンズ350および第2のレンズ340の組み合わせられた屈折力は、眼/脳が、第3の導波管290から生じる光が第2の導波管280からの光であったよりも光学無限遠から内向きにさらに近い第2の焦点面から生じるものとして解釈するように、別の漸増量の波面曲率を追加してもよい。
【0066】
他の導波管層300、310およびレンズ330、320も同様に構成され、スタック内の最高導波管310が、人物に最も近い焦点面を表す集約焦点力のために、その出力をそれと眼との間のレンズの全てを通して送出する。スタックされた導波管アセンブリ260の他側の世界510から生じる光を視認/解釈するとき、レンズ320、330、340、350のスタックを補償するために、補償レンズ層620が、スタックの上部に配置され、下方のレンズスタック320、330、340、350の集約屈折力を補償してもよい。そのような構成は、利用可能な導波管/レンズ対と同じ数の知覚される焦点面を提供する。導波管の外部結合光学要素およびレンズの集束側面の両方とも、静的であってもよい(すなわち、動的または電気活性ではない)。いくつかの代替実施形態では、一方または両方とも、電気活性特徴を使用して動的であってもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、導波管270、280、290、300、310のうちの2つまたはそれを上回るものは、同一の関連付けられる深度面を有してもよい。例えば、複数の導波管270、280、290、300、310が、同一深度面に設定される画像を出力してもよい、または導波管270、280、290、300、310の複数のサブセットが、深度面毎に1つのセットを伴う、同一の複数の深度面に設定される画像を出力してもよい。これは、それらの深度面において拡張された視野を提供するようにタイル化された画像を形成する利点を提供し得る。
【0068】
外部結合光学要素570、580、590、600、610は、導波管と関連付けられる特定の深度面のために、光をその個別の導波管から再指向し、かつ本光を適切な量の発散またはコリメーションを伴って出力するように構成されてもよい。その結果、異なる関連付けられる深度面を有する導波管は、外部結合光学要素570、580、590、600、610の異なる構成を有してもよく、これは、関連付けられる深度面に応じて、異なる量の発散を伴う光を出力する。いくつかの実施形態では、光抽出光学要素570、580、590、600、610は、立体または表面特徴であってもよく、これは、具体的角度において光を出力するように構成されてもよい。例えば、光抽出光学要素570、580、590、600、610は、立体ホログラム、表面ホログラム、および/または回折格子であってもよい。いくつかの実施形態では、特徴320、330、340、350は、レンズではなくてもよい。むしろ、それらは、単に、スペーサであってもよい(例えば、空隙を形成するためのクラッディング層および/または構造)。
【0069】
いくつかの実施形態では、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、ビーム内の光の屈折力の一部のみが、各相互作用を伴って、眼210に向かって再指向される一方、残りが、TIRを介して、導波管を通して移動し続けるように、十分に低い回折効率を伴う、回折特徴である。故に、光モジュール530の射出瞳は、導波管を横断して複製され、光源530からの画像情報を搬送する複数の出力ビームを作成し、眼210が複製された光源射出瞳を捉え得る場所の数を効果的に拡張させる。これらの回折特徴はまた、その幾何学形状を横断して可変回折効率を有し、導波管によって出力される光の均一性を改良してもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る回折特徴は、能動的に回折する「オン」状態と有意に回折しない「オフ」状態との間で切替可能であり得る。例えば、切替可能な回折特徴は、微小液滴がホスト媒体中に回折パターンを備える、ポリマー分散液晶の層を含んでもよく、微小液滴の屈折率は、ホスト材料の屈折率に実質的に整合するように切り替えられてもよい(その場合、パターンは、入射光を著しく回折させない)、または微小液滴は、ホスト媒体のものに合致しない屈折率に切り替えられてもよい(その場合、パターンは、入射光を能動的に回折させる)。
【0071】
いくつかの実施形態では、カメラアセンブリ630(例えば、可視光およびIR光カメラを含む、デジタルカメラ)が、提供され、眼210、眼210の一部、または眼210を囲繞する組織の少なくとも一部の画像を捕捉し、例えば、ユーザ入力を検出し、バイオメトリック情報を眼から抽出し、眼の視線方向を推定および追跡し、ユーザの生理学的状態を監視すること等を行ってもよい。いくつかの実施形態では、カメラアセンブリ630は、画像捕捉デバイスと、光(例えば、IRまたは近IR光)を眼に投影するための光源(次いで、眼によって反射され、画像捕捉デバイスによって検出され得る)とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、光源は、IRまたはその近IRを放出する、発光ダイオード(「LED」)を含む。いくつかの実施形態では、カメラアセンブリ630は、フレーム80(
図1)に取り付けられてもよく、処理モジュール140または150と電気通信してもよく、これは、カメラアセンブリ630からの画像情報を処理し、例えば、ユーザの生理学的状態、装着者の視線方向、虹彩識別等に関する、種々の決定を行い得る。いくつかの実施形態では、1つのカメラアセンブリ630が、眼毎に利用され、各眼を別個に監視してもよい。
【0072】
図5は、導波管によって出力される出射ビームの実施例を図示する。1つの導波管が、図示される(斜視図を用いて)が、導波管アセンブリ260(
図4)内の他の導波管も、同様に機能し得る。光640は、導波管270の入力表面460において導波管270の中に投入され、TIRによって、導波管270内を伝搬する。回折特徴との相互作用を通して、光は、出射ビーム650として、導波管から出射する。出射ビーム650は、画像を導波管の中に投影する、プロジェクタデバイスからの射出瞳を複製する。出射ビーム650のうちの任意の1つは、入力光640の総エネルギーのサブ部分を含む。また、完璧に効率的なシステムでは、全ての出射ビーム650内のエネルギーの和は、入力光640のエネルギーに等しくなるであろう。出射ビーム650は、
図6では、略平行であるように図示されるが、本明細書に議論されるように、ある屈折力の量が、導波管270と関連付けられる深度面に応じて、付与されてもよい。平行出射ビームは、光を外部結合し、眼210から長距離(例えば、光学無限遠)における深度面上に設定されるように現れる、画像を形成する、外部結合光学要素を伴う導波管を示し得る。他の導波管または他の外部結合光学要素のセットは、
図6に示されるように、より発散する、出射ビームパターンを出力してもよく、これは、眼210がより近い距離に遠近調節し、網膜上に合焦させることを要求し、光学無限遠より眼210に近い距離からの光として脳によって解釈されるであろう。
【0073】
ウェアラブルディスプレイシステム(例えば、ウェアラブルディスプレイシステム内で使用される光学要素を含む)に関する付加的情報は、2018年12月14日に出願され、「EYEPIECES FOR AUGMENTED REALITY DISPLAY SYSTEM」と題された、米国特許公開第U.S.2019/0187474A1号(その内容は、参照することによってその全体として組み込まれる)に見出されることができる。
【0074】
上記に述べられたように、ウェアラブルディスプレイシステム60は、ウェアラブルディスプレイシステムの光学性能を向上させる、1つまたはそれを上回る格子構造を有する、1つまたはそれを上回る光学要素を含む。例えば、
図7Aおよび7Bを参照すると、回折レリーフ構造である、格子710が、射出瞳エクスパンダ(EPE)としての接眼ディスプレイコンバイナ700(例えば、上記に説明されるようにスタックされた導波管アセンブリ)と併用され、ウェアラブルディスプレイシステムの射出瞳のサイズを増加させる。
図7Aに図示されるように、コンバイナ700は、格子710が、光の少なくとも一部が、光ガイド710からディスプレイシステムのユーザに向かって抽出されるように、入射誘導光を回折する間、縁結合光を、全内部反射(TIR)を介して、その長さに沿って、誘導する、導波管720(例えば、ガラス基板)を含む。
【0075】
図7Bを具体的に参照すると、ユーザの環境からの周囲光もまた、「世界」側からディスプレイコンバイナ700上に入射する。本光は、格子710と相互作用し、本光の少なくとも一部は、ユーザの視野の中に回折され得る。ユーザによってEPEを通して視認されると、世界から回折される光は、望ましくない画像アーチファクトとして現れ得る。アーチファクトをユーザの視野内に生成する、入射角は、概して、ディスプレイコンバイナ上の設計に依存する。回折導波管ベースのディスプレイコンバイナに関して、大入射角は、多くの場合、迷光経路をユーザの世界の視野の中心の最も近くにもたらす。
【0076】
本効果はさらに、
図8Aに図示され、これは、ディスプレイコンバイナ800を示す。周囲光は、入射角θ
incにおいて、ディスプレイコンバイナ800の正面表面上に入射する。入射光の少なくとも一部は、図示されるように、格子およびコンバイナを通して透過される。しかしながら、ディスプレイコンバイナ800は、入射光の少なくとも一部をユーザに向かって回折する、格子(図示せず)をサポートする。迷光と標識される、本光は、角度θ
strayにおいて回折する。
【0077】
図8Bを参照すると、調整可能減衰器810が、ディスプレイコンバイナ800に適用され(例えば、その上に接合され)、周囲光と関連付けられる、迷光アーチファクトを低減させることができる。概して、減衰器810を通した光の透過率は、フィルム上への光の入射角と、減衰器の1つまたはそれを上回る調整可能層の光学状態との両方に依存する。図示されるように、減衰器810は、比較的に高い(例えば、ユーザが屋内環境内の頭上の照明から被るであろうような、例えば、30°またはそれを上回る、35°またはそれを上回る、40°またはそれを上回る、45°またはそれを上回る)、入射角θ
incを有する、光の透過率を減衰(例えば、低減または遮断)させるが、より低い入射角θ
aを有する、光(例えば、本デバイスのコア視野内において装着者によって見られる、「世界光」)を透過させる。下記により詳細に議論されるように、減衰器810は、例えば、ディスプレイに対する周囲光源の可変相対的配向等、周囲照明条件下の変動に応答して、異なる入射角において、減衰角度を変動させることができる。減衰器は、広波長範囲にわたって、例えば、420nm~680nm等のディスプレイシステムの動作波長範囲にわたって、本機能を実施することができる。
【0078】
所与の光学状態では、入射光に関する透過効率性は、概して、比較的に高透過効率性(例えば、40%またはそれを上回る、45%またはそれを上回る)から比較的に低透過効率性(例えば、1%未満、0.5%未満)まで、入射角の関数として変動する。透過効率性は、特定の波長において透過される、光の相対的強度を指す。いくつかの実施形態では、25°~85°の入射角を伴って角度的に選択的なフィルムに入射する、420nm~680nmの範囲内の波長の非偏光は、0.5%未満の透過効率性を有する。最小透過効率性の正確な角度は、ある角度範囲内等に調節されることができる。
【0079】
調整可能減衰器はまた、フィルムを通して視認される画像の色に比較的にわずかのみ影響を及ぼし得る。例えば、D65源に関して、調整可能減衰器は、処方された角度範囲(例えば、±40°)内の入射角を伴う非偏光のために、(0.33、0.33)CIE1931白色点を(+/-0.02、+/-0.02)未満(例えば、(+/-0.01、+/-0.01)またはそれ未満)偏移させることができる。
【0080】
調整可能減衰器の透過率はまた、減衰によって特徴付けられることができ、これは、少なくともいくつかの比較的に高入射角(例えば、10dBまたはそれを上回る、15dBまたはそれを上回る、20dBまたはそれを上回る、25dBまたはそれを上回る、30dBまたはそれを上回る)では、高くなり得る。25°またはそれ未満(例えば、20°またはそれ未満、15°またはそれ未満、10°またはそれ未満)等のより低い入射角における光は、非常に低レベルの減衰(例えば、2dBまたはそれ未満、1dBまたはそれ未満)を被り得る。
【0081】
概して、調整可能減衰器810は、比較的に薄くあることができる。例えば、フィルム810は、500ミクロン~5,000ミクロンの範囲内の総厚を有することができる。故に、調整可能減衰器を使用する利点は、有意なバルクをウェアラブルディスプレイシステムに追加せずに、達成されることができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、調整可能減衰器810は、一対の偏光器フィルム(例えば、線形偏光器)間に配列される、電気光学セル(例えば、液晶電気光学セル)を含む、多層スタックから成る。偏光器フィルムおよび電気光学セルは、入射角のある範囲内において調整可能減衰器810上に入射する可視光の透過率を、その範囲外の入射角において調整可能減衰器上に入射する光の透過率を有意に低減させずに、有意に低減させる。
【0083】
一般に、2つの偏光器および電気光学セルの構成は、着目角度入射範囲(例えば、-75°~+75°)にわたって、所望のレベルの透過率変動を提供するように変動し得る。いくつかの実施形態では、偏光器は、線形偏光器であり、2つの線形偏光器の通過軸は、(例えば、90°において)交差されることができる。
【0084】
概して、電気光学セルは、少なくとも1つの状態では、層が、世界側から入射する、一対の線形偏光器の第1のものによって透過される、光の偏光状態を回転させる、異なる光学状態間で切り替わるように設計される、1つまたはそれを上回る可変複屈折層を含む。可変複屈折層は、少なくとも1つの状態では、液晶材料の異常軸が層の平面と平行であり(例えば、4分の1波(QW)遅延を提供する)、および/またはホメオトロピック配列では、液晶材料の異常軸が層の平面と垂直であるように配列され得る、液晶材料(例えば、ネマチック相液晶材料)を含むことができる。
【0085】
典型的には、電気光学セルが偏光状態を回転させる、量は、液晶材料の構成および位相に応じて、かつ一対の線形偏光器の第1のものによって透過される光の入射角に応じて変動する。いくつかの実施形態では、大入射角(例えば、35°またはそれを上回る)を有して透過される、光は、小入射角(例えば、35°未満)を有して透過される、光未満回転される。例えば、偏光器が、線形偏光器と交差される場合、最大90°の回転の量が大きいほど、フィルムの透過効率性も大きくなる。そのような場合、より大きい入射角における光と比較して、軸上光に関して、より大きい回転が、望ましい。逆に言えば、いくつかの実施形態では、偏光器軸は、平行であって、偏光調節フィルムは、軸上光をより大きい入射角における光未満回転させる。
【0086】
概して、調整可能減衰器は、ウェアラブルディスプレイシステムの接眼レンズの少なくとも一部を被覆するように適切に定寸される。例えば、いくつかの実施形態では、調整可能減衰器は、20mm×20mmまたはそれを上回る面積を有することができる(例えば、最短寸法が20mmである、面積を有する)。
【0087】
ここで調整可能減衰器の具体的実施例に目を向け、
図9を参照すると、ウェアラブルディスプレイシステムの接眼レンズ900は、ディスプレイコンバイナ800と、調整可能減衰器として動作する、スタック910とを含む。スタック910は、一対の線形偏光器920aおよび920bを含む。線形偏光器間に、スタック910は、一対の4分の1波長板(QW)930aおよび930bを調整可能複屈折層940(例えば、液晶層)の両側に含む。
【0088】
いくつかの実装では、波長板930aおよび930bの速軸は、線形偏光器920bとQW930bの組み合わせが、世界側から入射する非偏光を略円偏光に変換する(すなわち、組み合わせは、円偏光器として挙動する)ように、それぞれ、線形偏光器920aおよび920bの通過軸に対して約45°に配向される。QW930aと線形偏光器920aの組み合わせは、同様に挙動する。各円偏光器の掌性は、同一であることに留意されたい。
【0089】
少なくとも1つの状態では、調整可能複屈折層940は、法線入射光に関しては、ゼロ位相差を有するが、斜め入射光に関しては、非ゼロ位相差を有する。理論によって拘束されることを所望するわけではないが、入射角の関数としての調整可能複屈折層の遅延は、
【化1】
によって与えられることができ、式中、n
oは、調整可能複屈折層の通常屈折率であり、n
eは、調整可能複屈折層の異常屈折率であり、θは、調整可能複屈折層界面の法線に対する入射角であり、k
o=2π/λは、入射光の波数であり、λは、入射光の波長であり、dは、調整可能複屈折層の厚さである。加えて、調整可能複屈折層の有効屈折率n
oおよびn
eは、非ゼロ電圧を調整可能複屈折層に印加することによって、修正されることが可能である。円偏光を使用することによって、全ての入射角に関する調整可能複屈折層内の通常および異常モードの励起は、ほぼ等しくなる。これは、入力円偏光状態からT=cos
2(Γ/2)の出力における同一円偏光状態への透過につながる。
【0090】
一般に、スタック910の透過特性は、調整可能複屈折層940の性質(例えば、層を形成する材料の厚さおよび複屈折)および印加される電圧に応じて、変動する。スタック910の例示的実装に関する入射角の関数としての透過率の実施例が、
図10に示される。ここでは、入射角の関数としての透過率が、3つの異なる波長において、n
o=1.5236、n
e=1.52、および厚さd=153μmを伴う、C-プレートとして構成される調整可能減衰器に関して示される。
図10を生産するためにシミュレートされた調整可能減衰器は、
図9と同一構成であって、例えば、2つの線形偏光器と、2つの4分の1波長板と、調整可能複屈折層とを伴う。透過率は、ここでは、軸上光に関して、1に正規化され、約20°まで、1または1に近いままであって、その後、波長に応じて、60°~80°で、ゼロまで単調に低下する。より短い波長(例えば、460nm~525nm)に関して、1010および1020における狭ピーク減衰窓後、透過率は、入射角が90°まで増加するにつれて、増加する。
【0091】
調整可能複屈折層では、noおよびneに関する値は、調整可能複屈折層に印加される電圧に依存する。これは、入射角の関数としての透過率がまた、調整可能複屈折層に印加される電圧に依存することを意味する。さらに、1010、1020、および1030において、可変波長における透過率と関連付けられる最小値は、例えば、世界側センサを使用して検出される、具体的光源(例えば、頭上の照明または太陽)の入射角に合致するように調整されることができる。
【0092】
調整可能減衰器を使用する効果は、
図11A-Iに示されるプロットに図示される。これらのプロットは、周囲光源からの光が、3つの異なる非ゼロ入射角に関してレンズ上に入射するときの、減衰器を伴わない(
図11A、D、G)、静的減衰器を伴う(
図11B、E、H)、および調整可能減衰器を伴う(
図11C、F、I)、接眼レンズ格子によって形成されるレインボーアーチファクトを比較する。レインボーアーチファクトは、非ゼロ入射角におけるディスプレイコンバイナ内の格子構造による回折に起因して、周囲源からの白色光を構成する、異なる波長の分散によって生じる(上記に議論される
図7Bに図示されるように)。
【0093】
図11A-Iでは、光学レインボーアーチファクトは、70°(
図11A-C)、60°(
図11D-F)、および50°(
図11G-I)入射角において、上方からデバイス上に入射する5800K黒体スペクトルを伴う、白色光源に関して示される。390nmのピッチを伴う格子が、アーチファクトの回折角度を計算するために使用された。列1110内の画像は、フィルタが存在しない場合に知覚されるレインボーアーチファクトを示す。列1120内の画像は、550nmにおけるピーク遅延を伴う静的C-プレートフィルタが使用されるときの、レインボーアーチファクトの強度における低減を示す。列1130内の画像は、フィルムスタック内の調整可能複屈折層の遅延率を制御する電圧が光源の入射角に対して選定されるときの、列1110内の画像に優るアーチファクト強度におけるさらなる低減を示す。
図11Cでは、透過率が、450nmにおけるピーク遅延を伴う調整可能減衰器に関してモデル化され、
図11Fでは、透過率が、660nmにおけるピーク遅延を伴う調整可能減衰器に関してモデル化され、
図11Iでは、透過率が、900nmにおけるピーク遅延に関してモデル化される。
【0094】
調整可能減衰器をフィルムスタック(例えば、スタック910)内で使用する際、接眼レンズ900を通して見られるようなユーザの世界のビューにおける色偏移とのトレードオフが存在し得る。周囲光源からの光の入射角が、低減されるにつれて、調整可能減衰器のピーク遅延は、
図11A-Iに説明されるように、ユーザによって見られるにつれて、任意のアーチファクトを減衰させるように調整されるべきである。
【0095】
しかしながら、調整可能減衰器のピーク遅延が、修正されるにつれて、透過される光内に知覚される色偏移が存在し得る。本効果は、
図12A-12Fに図示され、これは、550nm(
図12Aおよび12B)、660nm(
図12Cおよび12D)、および900nm(
図12Eおよび12F)の最適ピーク遅延における、調整可能減衰器セットの透過性質を描写する。
図12A、12C、および12Eは、それぞれ、垂直および水平に100°視野に及ぶ(-50°~50°)、これらの3つの光学ピーク遅延に関するシミュレートされた開口を描写する。シミュレートされた開口は、45°を上回る入射角に関して、透過率をゼロまで低減させる。
【0096】
図12B、12D、12Fは、入射角の関数として、460nm、525nm、および630nmにおいて透過される光の透過率曲線を示す。
図12A、12C、および12Eにおいて、45°入射角に描かれる破線は、シミュレートされた開口が透過率をゼロまで低減させる場所を示すために提示される。
図12B、12D、および12Fでは、0°~45°入射角において、630nm(例えば、赤色)光の透過曲線は、460nm(例えば、青色)光より高い透過率を有するように示され、630nm波長における光のより低い減衰を示す。赤色光と青色光の相対的比率は、入射角に応じて、調整可能減衰器を通して知覚される色を赤色色相に偏移させる。本効果は、
図12A、12C、および12Eにおけるシミュレートされた視野に見られ得る。例えば、
図12Fでは、460nm光に関する透過率曲線は、45°入射角において約ゼロである一方、630nm波長光における光は、依然として、約0.2の近似相対的透過値を有する。これは、
図12Eにおける視野の縁の周囲の円周方向赤色色相によって実証される。
【0097】
一般に、
図9は、単一調整可能複屈折層940を2つの線形偏光器920間に含む、調整可能減衰器の実施例を示すが、付加的層を伴う実装も、可能性として考えられる。例えば、
図13は、ディスプレイコンバイナ800の世界側に適用されるフィルムスタック1310を含む、接眼レンズ1300を示す。フィルムスタック1310は、3つの線形偏光器1320a、1320b、および1320cを含む。第1の偏光調節スタックは、偏光器1320aと1320bとの間に配列される。本スタックは、一対のQW1330aおよび130bを調整可能複屈折層1340aの両側に含む。第2の偏光調節スタックは、偏光器1320bと1320cとの間に配列される。本スタックは、QW1330cおよび1330dを調整可能複屈折層1340bの両側に含む。事実上、スタック1310は、ともに設置された2つのスタック910のように性能を発揮する。
【0098】
スタック910は、「単段階」配列と見なされ得、スタック1310は、二段階配列と見なされ得る。概して、付加的段階が、追加されることができる。理論によって拘束されることを所望するわけではないが、いくつかの段階は、直列に使用され、異なる透過応答
【化2】
を提供してもよく、式中、Γ
nは、n番目の段階の遅延率であって、印加される電圧の関数として変動する。
【0099】
複数の段階の直列使用は、大入射角からの光のより強い減衰を有効にし得る。例えば、
図14を参照すると、スタック1310等の2段階調整可能減衰器配列のための入射角の関数としての3つの異なる波長に関する透過率が、示される。本実施例では、調整可能複屈折層1340aおよび1340bに関して、n
o=1.5236、n
e=1.52であって、第1の段階1340b内の調整可能複屈折層の厚さは、d
1=111μmであって、第2の段階1340a内の調整可能複屈折層の厚さは、d
2=111μmである。
図10に描写される単段階フィルムと比較して、
図14は、全3つの波長に関する透過率が、軸上光に関して1に正規化され、約20°まで、1またはそれに近いままであって、その後、それらが、約460nmの波長に関して、漸近的に減少するが、90°の入射において非ゼロ減衰値である、ピークまで、より長い波長(例えば、525nm~630nm)では、単調に減少することを実証する。90°までの高入射角では、透過率は、60°~80°の最小値から増加するのではなく、460nm~525nmにおいて低いままである。透過率は、
図10に描写されるように、これらの波長における透過率と異なり、ピーク減衰角度後、もはや増加しない。
【0100】
複数の段階をフィルムスタック内で使用するとき、第2の層は、調整可能複屈折層ではない、層であってもよい、すなわち、静的層であることができる。
図15は、静的C-プレート1540と併せて、調整可能複屈折層1550を使用する、例示的調整可能減衰器1510を示す。C-プレート1540は、法線入射光に関して、ゼロ位相差を有するが、斜め入射光に関して、静的非ゼロ位相差を有する。調整可能複屈折層1550が、静的C-プレート1540と併用されるとき、C-プレート1540は、初期遅延を提供し、調整可能複屈折層は、付加的かつ可変量の遅延を提供し、環境のための必要とされる遅延の総量Γを提供する。静的C-プレート層1540の追加は、駆動電圧および調整可能複屈折層の厚さを低減させることに役立ち得る。
【0101】
一般に、調整可能減衰器を使用する、ウェアラブルディスプレイシステムは、周囲光源を検出および減衰させ、光学アーチファクト(例えば、光学レインボー)を排除し得る。ウェアラブルディスプレイシステムは、調整可能減衰器を制御し、差動電圧を調整可能複屈折層に印加することによって、異なる入射角における周囲光源を減衰させることができる。周囲光源からの光の特定の減衰のための例示的方法は、
図16に示される。例えば、フレーム搭載型カメラからの画像データが、ローカルデータ処理モジュールに送信されることができ、これは、周囲光源1610の存在を検出するようにプログラムされることができる。画像データ内の高明度の面積が、いくつかの実装では、ローカルデータ処理モジュールによって、周囲光源を背景画像から区別するために使用されることができる。
【0102】
ウェアラブルディスプレイシステムのユーザの視野内の周囲光源の存在が、検出された後、周囲光源の入射角が、ウェアラブルディスプレイシステム1620のローカルデータ処理モジュールによって計算されてもよい。ウェアラブルディスプレイシステムは、次いで、命令をディスプレイに送信し、調整可能減衰器1630の液晶層に印加される電圧を制御してもよい。修正された電圧は、検出された周囲光源を減衰させるような様式において、液晶層を修正することができる。その後、本システムは、ステップ1610に戻り、ユーザ視野が変化している(例えば、ユーザが移動している、1つを上回る周囲光源が存在する)かどうかのさらなる決定を行ってもよい。
【0103】
図16において説明される周囲光源の検出および減衰のための例示的用途は、
図17Aおよび17Bに描写される。
図17Aでは、周囲光源1710が、第1の入射角1730において調整可能減衰器に衝打する、光1720を放出する。電圧を調整可能減衰器1750に印加することによって、周囲光が、減衰1770され得る。
図17Bでは、周囲光源1710が、異なる入射角1740において調整可能減衰器に衝打する、光1720を放出する。異なる電圧を調整可能減衰器1750に印加することによって、周囲光は、その具体的入射角1740に関して減衰1770され得る。このように、光(1010、1020、および1030)の異なる波長と関連付けられる透過最小値が、一意の入射角において特定の周囲光源を減衰させるように調整され得る。
【0104】
さらに、個別の入射角および強度における複数の周囲光源が、ユーザの視野内で減衰されてもよい。
図18は、調整可能減衰器1850上に入射する、第1の強度S
11810、第2の強度S
21820、および第3の強度S
31830における、3つの周囲光源を示す。時間シーケンシャル動作モードで動作することによって、これらの周囲光源は、その個別の強度および入射角に関して減衰され得る。ある調整可能複屈折層は、新しい視覚的画像フレームがユーザに表示される、周波数(<約0.03s)より高速の時間応答(≦1ms)を有する。ユーザに表示されるフレーム間の総時間が、t
totalとして与えられる場合、これは、ユーザの視野内のn個の周囲光源に従って、細分割されることができる。総分割は、t
total=Δt
1+Δt
2+...+Δt
nとして与えられる。各周囲光源の強度が決定された後、その中で具体的光源が主に減衰されるであろう、サブフレーム時間が、計算される。3つの周囲光源S
11810、S
21820、およびS
31830の強度が、S
2>S
3>S
1であるように関連される場合、サブフレーム時間は、
図18に示されるように、Δt
21880>Δt
31890>Δt
11870のように計算され得る。本関数を実施することによって、個別の強度レベルnにおける、各周囲光源が、個別のサブフレーム時間インターバルt
n内で減衰され得る。このように、複数の周囲光源からの光が、単一のユーザに表示されるフレーム内で、その個別の強度および入射角に基づいて、減衰されることができる。
【0105】
一般に、種々の適用可能LC位相およびモードが、調整可能複屈折層内で使用されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、ブルー相液晶(BPLC)が、調整可能複屈折層として使用されてもよい。BPLCディスプレイは、電圧が印加されないとき、光学的に等方性である。換言すると、BPLC媒体の屈折率は、複屈折層の3つの主方向において等しい(例えば、n
z=n
x=n
y)。電圧が、印加されると、正の誘電異方性を伴う液晶分子に関して、液晶分子は、結果として生じる電場と整合し、複屈折を層内に誘発する。適切な電極幾何学形状に関して、BPLC層は、調整可能C-プレートとして機能し、LC材料の複屈折に応じて、正または負の複屈折を誘発することができる。例えば、正の誘電異方性および正の複屈折を伴う、BPLC材料では、屈折率の配向を記述する、屈折率楕円体は、n
o=n
x=n
y、n
z=n
e、およびn
o<n
eとなり、n
eは、電場に沿って整合される。負の複屈折を伴う、BPLC材料では、屈折率の配向を記述する、屈折率楕円体は、n
o>n
eによって定義され、n
oは、印加される電場に直交して整合される。本効果は、
図19A-19Cに図示される。特に、
図19Aは、等方性光学媒体の、すなわち、BPLC層のゼロ-電圧状態における、屈折率楕円体を示す。
図19Bは、十分な電圧が、層に印加され、LC分子と対応する電場Eを整合させるときの、正の誘電異方性を伴う、正の複屈折LC材料の屈折率楕円体を示す。
図19Cは、十分な電圧が、層に印加され、LC分子と電場を整合させるときの、正の誘電異方性を伴う、負の複屈折LC材料の屈折率楕円体を示す。
【0106】
ある実施形態では、垂直に整合されたネマチック液晶(VAN)材料が、フィルムスタック910内の2つの円偏光器間で使用されてもよい。垂直に整合された液晶(VALC)の層は、遅延率が、従来の液晶ディスプレイ(LCD)を用いて行われるものとほぼ同じように、電圧の印加によって調整され得る、追加利益を伴う、正のC-プレート補償フィルムの光学的均等物である。
【0107】
典型的VALCデバイス2000は、下記の
図20に示される。典型的VALCデバイスは、2つの基板2010間の垂直に整合されたLC材料の層2040を含む。各基板2010は、透明電極2020をLC層2040に面した表面上に、整合層2030を透明電極上に支持する。
【0108】
電圧源(図示せず)が、各電極2020に接続され、電圧をLC層2040を横断して印加する。整合層2030は、LC層2040の境界におけるLC分子の整合を制御し、それによって、LC層2040内のLC分子のゼロ電圧配向を制御する。概して、整合層2030は、予傾斜角度2050(α)を導入することによって、整合を制御し、これは、印加される電圧が、除去されると、分子が均一に配向し、ディスクリネーションまたは他の配向欠陥のLC層の中への導入を低減させることを確実にする。本予傾斜角度は、典型的には、基板2010の表面法線に対して1°~5°(例えば、2°、3°、4°)であって、布を用いたポリマー層の物理的擦過によって、または直線偏光されたUV光への暴露によって、確立されることができる(プロセスは、材料依存であって、当技術分野において公知である)。
【0109】
そのようなデバイスでは、遅延率は、単一電極2020が使用される場合、本デバイスのアクティブ面積を横断して均一に調整され得る。いくつかの実施形態では、電極2020は、遅延率が空間的に可変様式において調整され得るように、パターン化されてもよい。電極は、略矩形形状であって、デカルトグリッド(従来のLCDのように)において構成され、固定または可変幅を伴う、恣意的遅延プロファイルまたは一連の同心円形を定義し、回転対称遅延プロファイルを定義してもよい。
【0110】
予傾斜角度2050は、多くの場合、
図21Aに描写されるように、基板2010の表面を横断して、均一および一方向性であるが、ある場合には、空間的に変動されてもよい。予傾斜の空間変動は、均一またはパターン化された電極が使用されるかどうかにかかわらず、使用されることができる。これは、パターン化された電極構造を使用して達成不可能である、遅延プロファイルを実装する、または電極をパターン化することを必要とせずに、遅延プロファイルを実装するために使用されることができる。予傾斜角度2050の任意の適切なパターンが、実現されてもよいが、ある実施形態では、予傾斜角度2050は、
図21Bに描写されるように、純半径方向(例えば、中心z-軸から離れるように半径方向に向いている)、または
図21Cに描写されるように、純方位角(例えば、中心z-軸の周囲に円形に進む)であってもよい。
【0111】
種々の好適な異なる材料が、角度的に選択的なフィルム内の層毎に使用されることができる。線形偏光器は、例えば、発色団(例えば、ヨウ素)で染色されている、延伸ポリマー材料(例えば、PVA)から形成されることができる。SanritzCo.(Japan)またはNittto Denko(Japan)から利用可能なもの等の市販の線形偏光器が、使用されることができる。QWは、例えば、延伸ポリマーフィルムまたは液晶ポリマーフィルムから作製されることができる。C-プレートは、例えば、鋳造三酢酸セルロース等の鋳造ポリマーフィルムから形成されることができる。液晶ポリマーC-プレートもまた、可能性として考えられる。
【0112】
概して、各層は、均質層として表されるが、合成層も、可能性として考えられる。例えば、C-プレートは、複数のスタックされた層から形成されることができ、それぞれ、その隣接する層と異なる光学性質を有する。同様に、多層QWも、使用されることができる。
【0113】
一般に、フィルムスタックは、上記に説明されるもの以外の付加的層を含むことができる。例えば、スタックは、付加的層を含み、光学機能ではなく、機械的機能を提供することができる。接着剤層および/または機械的強度および/または環境保護のための層が、含まれることができる。そのような層は、透過される光の偏光に有意に影響を及ぼさないように、光学的に等方性であることができる。いくつかの実施形態では、スタックは、1つまたはそれを上回る層を最外線形偏光器の世界側に含む。例えば、反射防止フィルムおよび/または硬質コート層が、含まれることができる。
【0114】
本明細書に説明されるいくつかの実装は、デジタル電子回路網、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアの1つまたはそれを上回るグループまたはモジュールとして、またはそれらのうちの1つまたはそれを上回るものの組み合わせ内に実装されることができる。異なるモジュールが、使用されることができるが、各モジュールは、明確に異なる必要はなく、複数のモジュールが、同一デジタル電子回路網、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェア、またはそれらの組み合わせ上に実装されることができる。
【0115】
本明細書に説明されるいくつかの実装は、1つまたはそれを上回るコンピュータプログラム、すなわち、データ処理装置による実行のために、またはその動作を制御するために、コンピュータ記憶媒体上にエンコーディングされたコンピュータプログラム命令の1つまたはそれを上回るモジュールとして実装されることができる。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶デバイス、コンピュータ可読記憶基板、ランダムまたはシリアルアクセスメモリアレイまたはデバイス、またはそれらのうちの1つまたはそれを上回るものの組み合わせであることができる、またはその中に含まれることができる。さらに、コンピュータ記憶媒体は、伝搬信号ではないが、コンピュータ記憶媒体は、人工的に生成された伝搬信号内にエンコーディングされたコンピュータプログラム命令のソースまたは宛先であることができる。コンピュータ記憶媒体はまた、1つまたはそれを上回る別個の物理的コンポーネントまたは媒体(例えば、複数のCD、ディスク、または他の記憶デバイス)である、またはその中に含まれることができる。
【0116】
用語「データ処理装置」は、データを処理するためのあらゆる種類の装置、デバイス、および機械を包含し、一例として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、システムオンチップ、または前述の複数のもの、または組み合わせを含む。装置は、特殊目的論理回路網、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)を含むことができる。装置はまた、ハードウェアに加え、当該コンピュータプログラムのための実行環境を作成する、コード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、クロスプラットフォームランタイム環境、仮想機械、またはそれらのうちの1つまたはそれを上回るものの組み合わせを構成する、コードを含むことができる。装置および実行環境は、ウェブサービス、分散型コンピューティング、およびグリッドコンピューティングインフラストラクチャ等の種々の異なるコンピューティングモデルインフラストラクチャを実現することができる。
【0117】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとしても知られる)は、コンパイルまたはインタープリタ型言語、宣言型、または手続型言語を含む、任意の形態のプログラミング言語で書き込まれることができる。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応してもよいが、そうである必要はない。プログラムは、他のプログラムまたはデータを保持する、ファイルの一部内に(例えば、マークアップ言語ドキュメント内に記憶される、1つまたはそれを上回るスクリプト)、当該プログラムに専用の単一ファイル内に、または複数の協調ファイル(例えば、1つまたはそれを上回るモジュール、サブプログラム、またはコードの一部を記憶する、ファイル)内に記憶されることができる。コンピュータプログラムは、1つの施設に位置する、または複数の施設を横断して分散され、通信ネットワークによって相互に接続される、1つのコンピュータ上または複数のコンピュータ上で実行されるように展開されることができる。
【0118】
本明細書に説明されるプロセスおよび論理フローのうちのいくつかは、入力データに作用し、出力を生成することによって、1つまたはそれを上回るコンピュータプログラムを実行し、アクションを実施する、1つまたはそれを上回るプログラマブルプロセッサによって実施されることができる。プロセスおよび論理フローはまた、特殊目的論理回路網、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によって実施されることができ、装置はまた、そのようなものとして実装されることができる。
【0119】
コンピュータプログラムの実行のために好適なプロセッサは、一例として、汎用および特殊目的マイクロプロセッサの両方および任意の種類のデジタルコンピュータのプロセッサを含む。概して、プロセッサは、命令およびデータを読取専用メモリまたはランダムアクセスメモリまたは両方から受信するであろう。コンピュータは、命令に従ってアクションを実施するためのプロセッサと、命令およびデータを記憶するための1つまたはそれを上回るメモリデバイスとを含む。コンピュータはまた、データを記憶するための1つまたはそれを上回る大容量記憶デバイス、例えば、磁気、光磁気ディスク、または光ディスクを含む、またはそこからデータを受信する、またはそこにデータを転送する、または両方を行うために、そこに動作可能に結合されてもよい。しかしながら、コンピュータは、そのようなデバイスを有する必要はない。コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するために好適なデバイスは、あらゆる形態の不揮発性メモリ、媒体、およびメモリデバイスを含み、一例として、半導体メモリデバイス(例えば、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリデバイス、およびその他)、磁気ディスク(例えば、内部ハードディスク、リムーバブルディスク、およびその他)、光磁気ディスク、およびCD ROMおよびDVD-ROMディスクを含む。プロセッサおよびメモリは、特殊目的論理回路網によって補完される、またはその中に組み込まれることができる。
【0120】
ユーザとの相互作用を提供するために、動作は、情報をユーザに表示するためのディスプレイデバイス(例えば、モニタまたは別のタイプのディスプレイデバイス)と、それによってユーザがコンピュータへの入力を提供し得る、キーボードおよびポインティングデバイス(例えば、マウス、トラックボール、タブレット、タッチセンサ式画面、または別のタイプのポインティングデバイス)とを有する、コンピュータ上で実装されることができる。他の種類のデバイスも同様に、ユーザとの相互作用を提供するために使用されることができ、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック、例えば、視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、または触覚フィードバックであることができ、ユーザからの入力は、音響、発話、または触覚入力を含む、任意の形態で受信されることができる。加えて、コンピュータは、ユーザによって使用されるデバイスに、ドキュメントを送信し、そこからドキュメントを受信することによって、例えば、ウェブブラウザから受信された要求に応答して、ウェブページをユーザのクライアントデバイス上のウェブブラウザに送信することによって、ユーザと相互作用することができる。
【0121】
コンピュータシステムは、単一コンピューティングデバイス、または相互に近接して、または概して、遠隔で、動作し、典型的には、通信ネットワークを通して相互作用する、複数のコンピュータを含んでもよい。通信ネットワークの実施例は、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)および広域ネットワーク(「WAN」)、ネットワーク間(例えば、インターネット)、衛星リンクを備える、ネットワーク、およびピアツーピアネットワーク(例えば、アドホックピアツーピアネットワーク)を含む。クライアントおよびサーバの関係は、個別のコンピュータ上で起動し、相互にクライアント-サーバ関係を有する、コンピュータプログラムによって生じ得る。
【0122】
図22は、プロセッサ2210と、メモリ2220と、記憶デバイス2230と、入/出力デバイス2240とを含む、例示的コンピュータシステム2200を示す。コンポーネント2210、2220、2230、および2240はそれぞれ、例えば、システムバス2250によって、相互接続されることができる。プロセッサ2210は、システム2200内での実行のための命令を処理することが可能である。いくつかの実装では、プロセッサ2210は、シングルスレッド式プロセッサ、マルチスレッド式プロセッサ、または別のタイプのプロセッサである。プロセッサ2210は、メモリ2220内または記憶デバイス2230上に記憶される命令を処理することが可能である。メモリ2220および記憶デバイス2230は、情報をシステム2200内に記憶することができる。
【0123】
入/出力デバイス2240は、システム2200のための入/出力動作を提供する。いくつかの実装では、入/出力デバイス2240は、ネットワークインターフェースデバイス、例えば、Ethernet(登録商標)カード、シリアル通信デバイス、例えば、RS-232ポート、および/または無線インターフェースデバイス、例えば、802.11カード、3G無線モデム、4G無線モデム等のうちの1つまたはそれを上回るものを含むことができる。いくつかの実装では、入/出力デバイスは、入力データを受信し、出力データを他の入/出力デバイス、例えば、ウェアラブルディスプレイデバイス2260に送信するように構成される、ドライバデバイスを含むことができる。いくつかの実装では、モバイルコンピューティングデバイス、モバイル通信デバイス、および他のデバイスも、使用されることができる。
【0124】
本明細書は、多くの詳細を含有するが、これらは、請求され得る内容の範囲に関する限界としてではなく、むしろ、特定の実施例に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実装のコンテキストにおいて本明細書に説明されるある特徴はまた、組み合わせられることができる。逆に言えば、単一実装のコンテキストに説明される種々の特徴はまた、複数の実施形態内に別個に、または任意の好適な副次的組み合わせにおいて実装されることができる。
【0125】
いくつかの実装が、説明されている。但し、種々の修正が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、行われてもよいことを理解されたい。故に、他の実装も、以下の請求項の範囲内である。