(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】通信システム、通信制御方法及び基地局
(51)【国際特許分類】
H04W 88/04 20090101AFI20250409BHJP
H04W 12/08 20210101ALI20250409BHJP
【FI】
H04W88/04
H04W12/08
(21)【出願番号】P 2023535088
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 JP2022006030
(87)【国際公開番号】W WO2023286308
(87)【国際公開日】2023-01-19
【審査請求日】2023-12-06
(31)【優先権主張番号】P 2021115397
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】山本 誠
(72)【発明者】
【氏名】石倉 勝利
(72)【発明者】
【氏名】山崎 敦史
(72)【発明者】
【氏名】新明 秀章
(72)【発明者】
【氏名】國定 温子
(72)【発明者】
【氏名】日向 崚輝
【審査官】▲高▼木 裕子
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03343962(EP,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0126933(KR,A)
【文献】特開2016-219875(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0060072(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と、
前記基地局とデータ通信可能であるとともに、子機端末装置を前記基地局に通信接続する親機端末装置として動作するテザリング機能を有する、端末装置と、
前記端末装置が有する前記テザリング機能を用いた通信接続を利用可能な前記子機端末装置と、
を備え、
前記基地局は、前記基地局との通信接続が許可された子機端末装置の子機端末情報を記憶し、
前記子機端末装置による、前記基地局との通信接続が許可されていない場合、少なくとも前記子機端末装置と前記基地局との通信接続が停止される、
通信システム。
【請求項2】
基地局と、
前記基地局とデータ通信可能であるとともに、子機端末装置を前記基地局に通信接続する親機端末装置として動作するテザリング機能を有する、端末装置と、
前記端末装置が有する前記テザリング機能を用いた通信接続を利用可能な前記子機端末装置と、
を備え、
前記子機端末装置による、前記基地局との通信接続が許可されていない場合、少なくとも前記子機端末装置と前記基地局との通信接続が停止され、
前記基地局は、前記子機端末装置による前記基地局との通信接続が許可されていない場合、前記端末装置との前記データ通信を停止することにより、前記子機端末装置と前記基地局との通信を停止する、
通信システム。
【請求項3】
前記端末装置は、前記子機端末装置による前記基地局との通信接続が許可されていない場合、前記テザリング機能を停止することにより、前記子機端末装置と前記基地局との通信接続を停止する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記端末装置は、前記子機端末装置による前記基地局との通信接続が許可されていない場合、前記子機端末装置との前記テザリング機能を用いた通信接続を停止することにより、前記子機端末装置と前記基地局との通信接続を停止する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記基地
局は、
前記テザリング機能を用いた通信接続を利用可能な前記子機端末装置の子機端末情報が、前記記憶した子機端末情報に含まれるか否かに基づいて、前記テザリング機能を用いた通信接続を利用可能な前記子機端末装置による前記基地局との通信接続が許可されているか否かを判定する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項6】
前記基地局は、ローカル5G、プライベートLTE(Long Term Evolution)又はプライベート5Gによる前記データ通信を提供する、請求項1から5のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項7】
基地局と、
前記基地局とデータ通信可能であるとともに、子機端末装置を前記基地局に通信接続する親機端末装置として動作するテザリング機能を有する、端末装置と、
前記端末装置が有する前記テザリング機能を用いた通信接続を利用可能な前記子機端末装置と、
を備え、
前記基地局は、前記基地局との通信接続が許可された子機端末装置の子機端末情報を記憶する通信システムが実行する通信制御方法であって、
前記子機端末装置による、前記基地局との通信接続が許可されていない場合、前記基地局又は前記端末装置が、少なくとも前記子機端末装置と前記基地局との通信接続を停止するステップ、
を含む、通信制御方法。
【請求項8】
端末装置とのデータ通信に用いられる無線信号を送受信する通信部と、
制御部と、
を備える基地局であって、
前記端末装置は、子機端末装置を前記基地局に通信接続する親機端末装置として動作するテザリング機能を有し、
前記制御部は、
前記テザリング機能により前記端末装置を介して前記子機端末装置と前記基地局との通信接続が実行されようとする場合に、前記子機端末装置による、前記基地局との通信接続が許可されているか否かを判定し、
前記子機端末装置による、前記基地局との通信接続が許可されていない場合、少なくとも前記子機端末装置と前記基地局との通信接続を停止するための制御を実行する、
基地局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、通信制御方法及び基地局に関する。本願は、2021年7月13日に日本で出願された特願2021-115397号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来、テザリング機能を用いて情報通信を行うシステムが知られている。例えば、特許文献1には、第2の通信装置が第1の通信装置を介して通信ネットワークと通信接続するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テザリング機能を用いた通信では、基地局とデータ通信を行う親機端末装置に、子機端末装置がテザリング機能を用いて通信接続されることにより、子機端末装置が親機端末装置を介して基地局との通信を行うことが可能になる。しかしながら、例えば、基地局が提供する通信ネットワークが、特定のユーザのみに対して提供されるべきものである場合、テザリング機能により、当該特定のユーザでない第三者が当該通信ネットワークに接続しうるという、セキュリティ上のリスクが発生する。例えば、当該第三者が、テザリング機能により、当該通信ネットワークとの通信接続が許可されていない子機端末装置を、当該通信ネットワークとの通信接続が許可されている親機端末装置に接続することにより、当該通信ネットワークとの通信接続が許可されていない子機端末装置と基地局との通信が確立されうる。
【0005】
本開示は、上述の問題に鑑みてなされたものである。本開示の目的は、テザリング機能を用いた通信においてセキュリティを向上可能な通信システム、通信制御方法及び基地局を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態の通信システムは、基地局と、前記基地局とデータ通信可能であるとともに、子機端末装置を前記基地局に通信接続する親機端末装置として動作するテザリング機能を有する、端末装置と、前記端末装置が有する前記テザリング機能を用いた通信接続を利用可能な前記子機端末装置と、を備え、前記子機端末装置による、前記基地局との通信接続が許可されていない場合、少なくとも前記子機端末装置と前記基地局との通信接続が停止される。
【0007】
本開示の一形態の通信制御方法は、基地局と、前記基地局とデータ通信可能であるとともに、子機端末装置を前記基地局に通信接続する親機端末装置として動作するテザリング機能を有する、端末装置と、前記端末装置が有する前記テザリング機能を用いた通信接続を利用可能な前記子機端末装置と、を備える通信システムが実行する通信制御方法であって、前記子機端末装置による、前記基地局との通信接続が許可されていない場合、前記基地局又は前記端末装置が、少なくとも前記子機端末装置と前記基地局との通信接続を停止するステップ、を含む。
【0008】
本開示の一形態の基地局は、端末装置とのデータ通信に用いられる無線信号を送受信する通信部と、制御部と、を備える基地局であって、前記端末装置は、子機端末装置を前記基地局に通信接続する親機端末装置として動作するテザリング機能を有し、前記制御部は、前記テザリング機能により前記端末装置を介して前記子機端末装置と前記基地局との通信接続が実行されようとする場合に、前記子機端末装置による、前記基地局との通信接続が許可されているか否かを判定し、前記子機端末装置による、前記基地局との通信接続が許可されていない場合、少なくとも前記子機端末装置と前記基地局との通信接続を停止するための制御を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る通信システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図1の通信システムの構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図2の通信システムによる処理の第1例を示すシーケンス図である。
【
図4】
図2の通信システムによる処理の第2例を示すシーケンス図である。
【
図5】
図2の通信システムによる処理の第3例を示すシーケンス図である。
【
図6】
図2の基地局が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面において、同一又は同等の構成要素には同一の符号を付し、同一又は同等の構成要素に関する説明が重複する場合は適宜省略する。
【0011】
図1は、一実施形態に係る通信システム1の概略構成を示す図である。
図1に示すように、通信システム1は、基地局10と、端末装置20と、第1子機端末装置30と、第2子機端末装置40と、を備える。
【0012】
基地局10は、所定の無線通信方式による通信ネットワークを提供する。所定の無線通信方式は、第5世代移動通信システム(5Gシステム)を用いた通信方式であってよい。例えば、所定の無線通信方式は、ローカル5Gであってよい。ローカル5Gは、5Gシステムを、限られた範囲において全国携帯キャリアではなくケーブル事業者等が設置することで、無線を用いてデータ通信を行うものである。ただし、所定の無線通信方式は、ローカル5Gに限られず、例えば、プライベートLTE(Long Term Evolution)又はプライベート5Gなどを含む、他の無線通信方式であってもよい。プライベートLTEは、例えば地域BWA(Broadband Wireless Access)又はsXGPを含んでよい。本実施形態では、基地局10は、ローカル5Gによる通信ネットワークを提供するとして、以下説明する。ローカル5Gによる通信ネットワークの利用に際しては、外部のネットワークとの通信接続を行わないことにより、ローカル5Gによる通信ネットワークのセキュリティを向上させることができる。
【0013】
端末装置20は、基地局10とデータ通信可能な端末装置である。端末装置20は、基地局10が提供する通信ネットワークを用いて、基地局10とデータ通信を行う。端末装置20は、例えば、ルータ端末、スマートフォン又はタブレット端末などであってよい。
【0014】
図1では、端末装置20は1台のみ図示されているが、実際には、通信システム1は、端末装置20を複数台備えてよい。基地局10は、通信ネットワークの通信可能エリアA1内にある複数台の端末装置20とデータ通信を実行可能である。
【0015】
本実施形態では、基地局10は、ローカル5Gによる通信ネットワークを提供しているため、予め、基地局10に登録されたSIM(Subscriber Identity Module)カードを挿入した端末装置20のみが、基地局10とのデータ通信を行うことができる。従って、端末装置20に挿入することで当該端末装置20を基地局10とのデータ通信を実行可能にさせるSIMカードの情報は、例えば、後述する基地局記憶部12に記憶されることにより、予め基地局10に登録されている。基地局10は、任意の公知の方法で、データ通信を行う端末装置を、登録されたSIMカードを挿入した端末装置20のみに制限できる。例えば、基地局10は、認証を行うことにより、登録されたSIMカードを挿入した端末装置20とデータ通信を実行する。基地局10は、基地局10に登録されたSIMカードを挿入した端末装置20のみとデータ通信を行うことにより、基地局10に登録されたSIMカードを挿入していない外部の端末装置と情報通信が行われることを防ぐ。これにより、通信ネットワークにおけるセキュリティが確保される。
【0016】
端末装置20は、テザリング機能を有する。テザリング機能は、子機端末装置を基地局10に接続する親機端末装置として動作する機能である。すなわち、端末装置20は、テザリング機能における親機端末装置として動作可能である。端末装置20は、親機端末装置として動作する場合、子機端末装置に対してアクセスポイントとして機能する。端末装置20は、任意の公知の接続方式により、テザリング機能を用いた子機端末装置との通信を確立することができる。本実施形態では、端末装置20は、Wifi(登録商標)接続によりテザリング機能を用いた子機端末装置との通信を確立するとして、以下説明する。ただし、端末装置20は、Bluetooth(登録商標)接続又はUSB(Universal Serial Bus)接続により、テザリング機能を用いた子機端末装置との通信を確立してもよい。
【0017】
第1子機端末装置30及び第2子機端末装置40は、端末装置20が有するテザリング機能を用いた通信接続を利用可能な端末装置である。つまり、第1子機端末装置30及び第2子機端末装置40は、テザリング機能により端末装置20と通信接続可能な子機端末装置である。第1子機端末装置30及び第2子機端末装置40は、例えば、コンピュータ、スマートフォン又はタブレット端末などであってよい。
【0018】
第1子機端末装置30は、基地局10が提供する通信ネットワークとの通信接続が許可された子機端末装置である。例えば、第1子機端末装置30は、予め基地局10に登録されている。一方、第2子機端末装置40は、基地局10が提供する通信ネットワークとの通信接続が許可されていない子機端末装置である。そのため、例えば、第2子機端末装置40は、基地局10に登録されていない。本明細書では、以下、基地局10との通信接続が許可されていることを、単に「接続許可された」とも表現する。すなわち、本実施形態では、第1子機端末装置30は基地局10と接続許可されており、第2子機端末装置40は基地局10と接続許可されていない。
【0019】
図1では、第1子機端末装置30及び第2子機端末装置40は、それぞれ1台のみ図示されているが、実際には、通信システム1は、第1子機端末装置30及び第2子機端末装置40をそれぞれ複数台備えてよい。すなわち、端末装置20は、テザリング機能により通信可能なエリアA2内にある複数台の第1子機端末装置30及び第2子機端末装置40と、テザリング機能を用いた通信を行うことができる。
【0020】
図2は、
図1の通信システム1の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0021】
図2に示すように、基地局10は、機能部として、基地局制御部11と、基地局記憶部12と、基地局通信部13と、を備える。
【0022】
基地局制御部11は、基地局10の各機能部をはじめとして、基地局10の全体を制御及び管理する。基地局制御部11は、少なくとも1つのプロセッサを含んで構成される。基地局制御部11は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ又は各機能の処理に特化した専用のプロセッサで構成される。なお、基地局制御部11は、例えば基地局10に代えて、基地局10と通信接続可能なクラウドに備えられていてもよい。
【0023】
基地局制御部11は、例えば、基地局10と、基地局10に登録されたSIMカードを挿入した端末装置20とのデータ通信の制御を実行する。すなわち、基地局制御部11は、データ通信を実行しようとする端末装置20が基地局10に登録されたSIMカードを挿入した端末装置であるか否かを判定し、基地局10に登録されたSIMカードを挿入した端末装置であると判定した場合に、当該端末装置20とのデータ通信を実行する。SIMカードに関する情報は、例えば予め基地局記憶部12に記憶されている。基地局制御部11は、データ通信を実行しようとする端末装置20から、端末装置に関する情報を受信すると、基地局記憶部12に記憶された端末装置に関する情報を参照し、基地局10に登録されたSIMカードが当該端末装置20に挿入されているか否かを判定する。基地局制御部11は、基地局10に登録されたSIMカードが当該端末装置20に挿入されていると判定した場合に、当該端末装置20とのデータ通信を実行する。
【0024】
本実施形態において、基地局制御部11は、テザリング機能により端末装置20を介して子機端末装置と基地局10との通信接続が実行されようとする場合に、当該子機端末装置による基地局10との通信接続が許可されているか否かを判定する。つまり、基地局制御部11は、基地局10とデータ通信する端末装置20がテザリング機能を用いて子機端末装置との通信を実行する場合に、当該子機端末装置による、基地局10が提供する通信ネットワークとの通信接続が許可されているか否かを判定する。基地局制御部11は、判定した結果に応じた処理を実行する。基地局制御部11が実行する処理の詳細については、後述する。
【0025】
基地局記憶部12は、プログラム及びデータを記憶可能な記憶媒体である。基地局記憶部12は、例えば半導体メモリ又は磁気メモリなどで構成することができる。基地局記憶部12は、例えば基地局10を動作させるためのプログラムなどを記憶してよい。基地局記憶部12も、基地局制御部11と同様に、例えば基地局10に代えて、基地局10と通信接続可能なクラウドに備えられていてもよい。
【0026】
基地局記憶部12は、例えば、基地局10とのデータ通信接続が許可された端末装置に関する情報(以下「端末情報」ともいう)を記憶する。端末情報は、端末装置を一意に特定可能な情報である。端末情報は、例えば、IMEI(International Mobile Equipment Identity)番号又は製造番号を含む、任意の情報であってよい。基地局記憶部12は、例えば、基地局10とのデータ通信接続が許可された端末装置に関する端末情報のリストを記憶する。
【0027】
本実施形態において、基地局記憶部12は、例えば、基地局10が提供する通信ネットワークとの通信接続が許可された子機端末装置に関する情報を記憶する。子機端末装置に関する情報(以下「子機端末情報」ともいう)は、子機端末装置を一意に特定可能な情報である。子機端末情報は、例えば、IMEI番号又は製造番号を含む、任意の情報であってよい。基地局記憶部12は、例えば、基地局10が提供する通信ネットワークとの通信接続が許可された子機端末装置に関する子機端末情報のリストを記憶する。
【0028】
基地局通信部13は、アンテナを介して、無線通信によるデータ(無線信号)を送受信する。当該無線信号は、端末装置20とのデータ通信に用いられる。データの送受信により、基地局10と端末装置20とのデータ通信が実行される。基地局通信部13で受信されたデータは、基地局制御部11により所定の処理が実行される。所定の処理は、例えばAD変換及びフーリエ変換などを含む公知の処理である。また、基地局通信部13は、基地局制御部11により生成された無線信号をアンテナから送信する。
【0029】
図2に示すように、端末装置20は、機能部として、端末制御部21と、端末記憶部22と、端末通信部23と、端末表示部24と、端末入力部25と、を備える。
【0030】
端末制御部21は、端末装置20の各機能部をはじめとして、端末装置20の全体を制御及び管理する。端末制御部21は、少なくとも1つのプロセッサを含んで構成される。端末制御部21は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPUなどのプロセッサ又は各機能の処理に特化した専用のプロセッサで構成される。
【0031】
端末制御部21は、端末装置20がテザリング機能を用いて子機端末装置との通信を実行する場合、当該テザリング機能を用いた通信の処理を制御する。端末装置20がテザリング機能を用いて子機端末装置との通信を実行する際に、当該子機端末装置が接続許可されていない第2子機端末装置40であると基地局制御部11が判定した場合、端末制御部21は、判定結果に基づく処理を実行してもよい。ここで端末制御部21が実行する処理の詳細については、後述する。
【0032】
端末記憶部22は、プログラム及びデータを記憶可能な記憶媒体である。端末記憶部22は、例えば半導体メモリ又は磁気メモリなどで構成することができる。端末記憶部22は、例えば端末装置20を動作させるためのプログラムなどを記憶してよい。また、端末記憶部22は、当該端末記憶部22を備える端末装置20の端末情報を記憶してよい。例えば、端末記憶部22は、IMEI番号又は製造番号などを記憶してよい。
【0033】
端末通信部23は、アンテナを介して、無線通信によるデータを送受信する。データの送受信により、基地局10と端末装置20とのデータ通信が実行される。端末通信部23で受信されたデータは、端末制御部21により所定の処理が実行される。所定の処理は、例えばAD変換及びフーリエ変換などを含む公知の処理である。また、端末通信部23は、端末制御部21により生成された無線信号をアンテナから送信する。また、端末装置20がテザリング機能を用いて子機端末装置との通信接続を実行する場合、例えばテザリング機能を用いた通信接続(以下「テザリング接続」ともいう)用のWifi信号を発信する。なお、USB接続により、テザリング機能を用いた通信が確立される場合には、端末通信部23は、USBケーブルを介した有線通信によるデータを送受信してよい。
【0034】
端末表示部24は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)、有機ELパネル(Organic Electro-Luminescence Panel)、又は無機ELパネル(Inorganic Electro-Luminescence panel)などの表示デバイスを備える。端末表示部24は、文字、画像、記号又は図形等を表示する。端末表示部24は、表示機能のみならず、タッチスクリーンの機能も含むタッチスクリーンディスプレイで構成されてもよい。この場合、タッチスクリーンは、端末装置20のユーザの指又はスタイラスペン等の接触を検出する。
【0035】
端末入力部25は、端末装置20のユーザからの操作入力を受け付ける。端末入力部25は、例えば操作ボタン(操作キー)により構成される。端末入力部25をタッチスクリーンにより構成し、端末表示部24である表示デバイスの一部にユーザからの操作入力を受け付ける入力領域を表示して、ユーザによるタッチ操作入力を受け付けてもよい。
【0036】
図2に示すように、第1子機端末装置30は、機能部として、第1制御部31と、第1記憶部32と、第1通信部33と、第1表示部34と、第1入力部35と、を備える。
【0037】
第1制御部31は、第1子機端末装置30の各機能部をはじめとして、第1子機端末装置30の全体を制御及び管理する。第1制御部31は、少なくとも1つのプロセッサを含んで構成される。第1制御部31は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPUなどのプロセッサ又は各機能の処理に特化した専用のプロセッサで構成される。第1制御部31は、例えばテザリング機能を用いた通信の処理を制御する。
【0038】
第1記憶部32は、プログラム及びデータを記憶可能な記憶媒体である。第1記憶部32は、例えば半導体メモリ又は磁気メモリなどで構成することができる。第1記憶部32は、例えば第1子機端末装置30を動作させるためのプログラムなどを記憶してよい。また、第1記憶部32は、当該第1記憶部32を備える第1子機端末装置30の子機端末情報を記憶してよい。例えば、第1記憶部32は、IMEI番号又は製造番号などを記憶してよい。
【0039】
第1通信部33は、アンテナを介して、無線通信によるデータを送受信する。本実施形態では、第1通信部33は、少なくともテザリング機能を用いた無線通信によるデータを送受信する。なお、USB接続により、テザリング機能を用いた通信が確立される場合には、第1通信部33は、USBケーブルを介した有線通信によるデータを送受信してよい。第1通信部33で受信されたデータは、第1制御部31により所定の処理が実行される。所定の処理は、例えばAD変換及びフーリエ変換などを含む公知の処理である。
【0040】
第1表示部34は、液晶ディスプレイ、有機ELパネル、又は無機ELパネルなどの表示デバイスを備える。第1表示部34は、文字、画像、記号又は図形等を表示する。第1表示部34は、表示機能のみならず、タッチスクリーンの機能も含むタッチスクリーンディスプレイで構成されてもよい。この場合、タッチスクリーンは、第1子機端末装置30のユーザの指又はスタイラスペン等の接触を検出する。
【0041】
第1入力部35は、第1子機端末装置30のユーザからの操作入力を受け付ける。第1入力部35は、例えば操作ボタン(操作キー)により構成される。第1入力部35をタッチスクリーンにより構成し、第1表示部34である表示デバイスの一部にユーザからの操作入力を受け付ける入力領域を表示して、ユーザによるタッチ操作入力を受け付けてもよい。
【0042】
図2に示すように、第2子機端末装置40は、機能部として、第2制御部41と、第2記憶部42と、第2通信部43と、第2表示部44と、第2入力部45と、を備える。第2子機端末装置40が備える、第2制御部41、第2記憶部42、第2通信部43、第2表示部44及び第2入力部45の構成及び機能は、第1子機端末装置30が備える、第1制御部31、第1記憶部32、第1通信部33、第1表示部34及び第1入力部35とそれぞれ同様であってよい。そのため、ここでは、第2制御部41、第2記憶部42、第2通信部43、第2表示部44及び第2入力部45の詳細な説明は省略する。
【0043】
次に、通信システム1により実行される処理の例について説明する。
図3は、
図2の通信システム1による処理の第1例を示すシーケンス図であり、本開示に係る通信制御方法の一例を示すシーケンス図である。
【0044】
まず、基地局10は、通信ネットワークによる端末装置20と通信接続を確立する。本実施形態では、基地局10は、端末装置20とのローカル5G接続を確立する(ステップS11)。基地局10は、例えば、端末装置20に挿入されたSIMカードの認証を行い、端末装置20に挿入されたSIMカードが基地局10に登録されたSIMカードであることを確認することによって、端末装置20との通信接続を確立する。
【0045】
端末装置20のユーザが、端末装置20に対して、テザリング機能を実行させるための所定の入力操作を行うと、端末装置20は、テザリング機能を実行する。例えば、端末装置20は、テザリング接続用のWifi信号を発信する。第1子機端末装置30は、例えば端末装置20が発信するWifi信号を受信し、端末装置20とのテザリング接続を確立する(ステップS12)。同様に、第2子機端末装置40は、例えば端末装置20が発信するWifi信号を受信し、端末装置20とのテザリング接続を確立する(ステップS13)。
【0046】
端末装置20は、少なくとも1台の子機端末装置とのテザリング接続が確立されたことを検出すると、テザリングAPNを用いた接続要求の信号を送信する(ステップS14)。テザリングAPNは、端末装置20がテザリング機能を実行する際に用いるアクセスポイント名である。すなわち、端末装置20は、ステップS14において、基地局10に対して、テザリング機能を実行するアクセスポイント名で、通信接続を実行することを要求する信号を送信する。
【0047】
基地局10は、端末装置20からテザリングAPNを用いた接続要求の信号を受信することにより、端末装置20がテザリング機能を実行していることを認識することができる。
【0048】
基地局10は、端末装置20からテザリングAPNを用いた接続要求の信号を受信すると、テザリング機能を用いて基地局10との通信接続を確立しようとする子機端末装置が、接続許可された子機端末装置であるか否かを判定する。テザリング機能を用いて基地局10との通信接続を確立しようとする子機端末装置は、端末装置20とテザリング接続が確立された子機端末装置であり、ここでの例では、第1子機端末装置30及び第2子機端末装置40である。
【0049】
具体的には、基地局10は、テザリング機能を用いた通信接続を利用可能な子機端末装置の子機端末情報が、基地局記憶部12に記憶した子機端末情報に含まれるか否かに基づいて、当該子機端末装置による基地局10との通信接続が許可されているか否かを判定する。より具体的には、基地局10は、例えばステップS15、ステップS20及びステップS21により、子機端末装置による基地局10との通信接続が許可されているか否かを判定する。
【0050】
すなわち、基地局10は、端末装置20からテザリングAPNを用いた接続要求の信号を受信すると、端末装置20に対して、子機端末情報を要求する信号を送信する(ステップS15)。具体的には、基地局10は、端末装置20がテザリング機能により通信接続を確立する子機端末装置の子機端末情報を要求する信号を送信する。ここでは、端末装置20がテザリング機能により通信接続を確立する子機端末装置は、ステップS12及びステップS13によりそれぞれテザリング接続が確立された第1子機端末装置30及び第2子機端末装置40である。
【0051】
端末装置20は、基地局10から子機端末情報を要求する信号を受信すると、当該端末装置20とテザリング接続が確立されている全ての子機端末装置に対して、子機端末情報を要求する信号を送信する。すなわち、ここでの例では、端末装置20は、第1子機端末装置30に対して、子機端末情報を要求する信号を送信する(ステップS16)。同様に、端末装置20は、第2子機端末装置40に対して、子機端末情報を要求する信号を送信する(ステップS17)。端末装置20は、ステップS16及びステップS17において、ステップS15により受信した子機端末情報を要求する信号をそのまま第1子機端末装置30及び第2子機端末装置40に送信(転送)してもよく、ステップS15により受信した子機端末情報を要求する信号に基づいて新たな信号を生成して、第1子機端末装置30及び第2子機端末装置40に当該新たな信号を送信してもよい。
【0052】
第1子機端末装置30は、端末装置20から子機端末情報を要求する信号を受信したことに応じて、第1記憶部32に記憶された、第1子機端末装置30の子機端末情報を、端末装置20に送信する(ステップS18)。同様に、第2子機端末装置40は、端末装置20から子機端末情報を要求する信号を受信したことに応じて、第2記憶部42に記憶された、第2子機端末装置40の子機端末情報を、端末装置20に送信する(ステップS19)。
【0053】
端末装置20は、子機端末装置から受信した子機端末情報を、基地局10に送信する(ステップS20)。すなわち、ここでの例では、端末装置20は、第1子機端末装置30及び第2子機端末装置40の子機端末情報を、基地局10に送信する。
【0054】
基地局10は、端末装置20から子機端末情報を受信すると、当該子機端末情報を有する子機端末装置による、基地局10との通信接続が許可されているか否かを判定する。(ステップS21)。基地局10は、例えば、端末装置20から受信した子機端末情報が、基地局記憶部12に記憶されているか否かを判定することにより、基地局10との通信接続が許可されているか否かを判定する。すなわち、基地局10は、端末装置20から受信した子機端末情報が、基地局記憶部12に記憶されている、接続許可された子機端末装置に関する子機端末情報のリストに含まれるか否かを判定する。基地局10は、端末装置20から受信した子機端末情報が、リストに含まれている場合、当該子機端末情報の子機端末装置は、基地局10との通信接続が許可されていると判定する。反対に、基地局10は、端末装置20から受信した子機端末情報がリストに含まれていない場合、当該子機端末情報の子機端末装置による基地局10との通信接続が許可されていないと判定する。
【0055】
基地局10は、端末装置20から複数の子機端末情報を受信した場合、ステップS21において、当該複数の子機端末情報にそれぞれ対応する複数の子機端末装置について、通信接続が許可されているか否かを判定する。つまり、この場合、基地局10は、複数の子機端末情報のそれぞれについて、基地局記憶部12に記憶された、通信接続が許可された子機端末装置に関する子機端末情報のリストに含まれるか否かを判定する。本実施形態では、基地局10は、第1子機端末装置30及び第2子機端末装置40の子機端末情報を受信しているため、ステップS21において、これら2台の子機端末装置について、通信接続が許可されているか否かを判定する。
【0056】
ここでの例では、第1子機端末装置30の子機端末情報は、基地局記憶部12に記憶されたリストに含まれている。そのため、基地局10は、第1子機端末装置30による、基地局10との通信接続が許可されていると判定する。一方、第2子機端末装置40の子機端末情報は、基地局記憶部12に記憶されたリストに含まれていない。そのため、基地局10は、第2子機端末装置40による、基地局10との通信接続が許可されていないと判定する。
【0057】
ステップS21において、子機端末装置による基地局10との通信接続が許可されていないと基地局10が判定した場合、通信システム1では、少なくとも当該子機端末装置と基地局10との通信接続が停止される。この場合、例えば、基地局10が、少なくとも当該子機端末装置と基地局10との通信接続を停止するための制御を実行する。ここでの例では、第2子機端末装置40による基地局10との通信接続が許可されていないと判定されるため、基地局10は、少なくとも第2子機端末装置40と基地局10との通信接続を停止するための制御を実行する。
【0058】
図3に示す第1例では、少なくとも第2子機端末装置40と基地局10との通信接続を停止するための制御として、基地局10は、端末装置20とのデータ通信を停止する(ステップS22)。これにより、端末装置20は、基地局10とのデータ通信を実行することができなくなるため、テザリング機能により子機端末装置と基地局との通信を実行させることができなくなる。そのため、第2子機端末装置40と基地局10との通信接続が停止される。
【0059】
この場合、基地局10と端末装置20とのデータ通信が停止されるため、通信接続が許可された第1子機端末装置30も、テザリング機能を用いた基地局10との通信接続が実行できなくなる。しかしながら、通信接続が許可されていない第2子機端末装置40が基地局10と不正に通信接続を実行することを防ぐため、第1例に示したように、基地局10は、端末装置20とのデータ通信を停止してよい。
【0060】
なお、基地局10は、ステップS21において、受信した子機端末情報にそれぞれ対応する複数の子機端末装置の全てについて、通信接続が許可されていると判定した場合、端末装置20によるテザリングAPNを用いた接続要求を許可し、端末装置20にテザリング機能を用いた通信接続を実行させる。これにより、子機端末装置は、親機端末装置として機能する端末装置20を介して、基地局10と通信接続を行うことができる。
【0061】
図3で示した処理の第1例では、少なくとも第2子機端末装置40と基地局10との通信接続を停止するための制御として、基地局10が、端末装置20とのデータ通信を停止すると説明した。しかしながら、少なくとも第2子機端末装置40と基地局10との通信接続を停止するための制御は、これに限られない。少なくとも第2子機端末装置40と基地局10との通信接続を停止するための制御の他の例を、処理の第2例及び第3例として説明する。
【0062】
図4は、
図2の通信システム1による処理の第2例を示すシーケンス図である。
図4に示す第2例の処理において、ステップS11からステップS21は、それぞれ
図3を参照して説明した第1例のステップS11からステップS21と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0063】
基地局10は、ステップS21において、子機端末装置による基地局10との通信接続が許可されていないと判定した場合、少なくとも当該子機端末装置と基地局10との通信接続を停止するための制御を実行する。
図4に示す第2例では、少なくとも第2子機端末装置40と基地局10との通信接続を停止するための制御として、基地局10は、子機端末装置が、通信接続が許可されていないことを通知する信号(以下「通知信号」ともいう)を、端末装置20に送信する(ステップS23)。基地局10は、通信接続が許可されていないと判定した子機端末装置の子機端末情報を、通知信号に含めて、端末装置20に送信してもよい。ここでの例では、基地局10は、通信接続が許可されていない第2子機端末装置40の子機端末情報を、当該通知信号に含めて、端末装置20に送信する。
【0064】
端末装置20は、基地局10から通知信号を受信すると、テザリング機能を停止する(ステップS24)。例えば、端末装置20は、テザリング接続用のWifi信号の発信を停止してよい。例えば、端末装置20は、テザリング機能を用いた基地局10とのデータ通信を無効にしてよい。例えば、端末装置20は、テザリング機能を用いて通信されるデータを認証しないように制御してよい。端末装置20は、ここに示した方法以外の他の方法により、テザリング機能を停止してもよい。端末装置20が、テザリング機能を停止することにより、第2子機端末装置40と基地局10との通信接続が停止される。
【0065】
この場合、端末装置20自体のテザリング機能が停止されるため、通信接続が許可されている第1子機端末装置30も、テザリング機能を用いた基地局10との通信接続が実行できなくなる。しかしながら、通信接続が許可されていない第2子機端末装置40が基地局10と不正に通信接続を実行することを防ぐため、第2例で示したように、端末装置20はテザリング機能を停止してよい。
【0066】
図5は、
図2の通信システム1による処理の第3例を示すシーケンス図である。
図5に示す第3例の処理において、ステップS11からステップS21は、それぞれ
図3を参照して説明した第1例のステップS11からステップS21と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0067】
基地局10は、ステップS21において、子機端末装置による基地局10との通信接続が許可されていないと判定した場合、少なくとも当該子機端末装置と基地局10との通信接続を停止するための制御を実行する。
図5に示す第3例では、少なくとも第2子機端末装置40と基地局10との通信接続を停止するための制御として、通知信号を、端末装置20に送信する(ステップS23)。第3例の処理におけるステップS23は、第2例の処理におけるステップS23と同一であってよい。
【0068】
端末装置20は、基地局10から通知信号を受信すると、通信接続が許可されていない子機端末装置とのテザリング機能を用いた通信接続を停止する(ステップS25)。具体的には、端末装置20は、通信信号に含まれる、通信接続が許可されていないと判定された子機端末装置の子機端末情報に基づき、通信接続が許可されていないと判定された子機端末装置を特定する。ここでの例では、第2子機端末装置40が、通信接続が許可されていないと判定された子機端末装置として特定される。端末装置20は、特定された第2子機端末装置40とのテザリング接続を停止する。例えば、端末装置20は、通知信号に含まれる子機端末情報が示す子機端末装置(ここでは第2子機端末装置40)にIPアドレスを割り当てないように制御してよい。例えば、端末装置20は、第2子機端末装置40から受信したデータを認証しないように制御してよい。端末装置20は、ここに示した方法以外の他の方法により、第2子機端末装置40とのテザリング接続を停止してもよい。端末装置20が、第2子機端末装置40とのテザリング機能を停止することにより、第2子機端末装置40と基地局10との通信接続が停止される。
【0069】
第3例の場合、端末装置20は、第2子機端末装置40とのテザリング接続を停止する。そのため、第1子機端末装置30とのテザリング接続は維持される。つまり、通信接続が許可された第1子機端末装置30は、テザリング機能を用いた基地局10との通信接続を実行することができる。このようにして、通信システム1は、通信接続が許可されていない第2子機端末装置40との通信接続を停止させつつ、通信接続が許可された第1子機端末装置30によるテザリング接続を実行することができる。
【0070】
以上、第1例から第3例で説明したように、第2子機端末装置40と基地局10との通信接続の停止は、基地局10及び端末装置20のいずれにより実行されてもよい。すなわち、第2子機端末装置40による、基地局10との通信接続が許可されていない場合、基地局10又は端末装置20が、少なくとも第2子機端末装置40と基地局10との通信接続を停止すればよい。
【0071】
図6は、
図2の基地局10が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0072】
まず、基地局10は、端末装置20とのローカル5G接続を確立させる(ステップS31)。例えば
図3のステップS11を参照して説明したように、基地局10は、端末装置20に挿入されたSIMカードの認証を行い、端末装置20に挿入されたSIMカードが基地局10に登録されたSIMカードであることを確認することによって、端末装置20との通信接続を確立する。基地局10は、端末装置20とのローカル5G接続を確立させた後、ローカル5Gの通信ネットワークを用いて、基地局10とデータ通信を実行できる。
【0073】
基地局10は、端末装置20から、テザリングAPNを用いた接続要求の信号を受信したか否かを判定する(ステップS32)。例えば
図3のステップS14で説明したように、端末装置20は、テザリングAPNを用いた接続要求の信号を送信することができる。端末装置20が当該信号を送信し、基地局10が当該信号を受信すると、基地局10は、ステップS32において、テザリングAPNを用いた接続要求の信号を受信したと判定する。
【0074】
基地局10は、テザリングAPNを用いた接続要求の信号を受信していないと判定した場合(ステップS32のNo)、テザリングAPNを用いた接続要求の信号を受信したと判定するまで、ステップS32を繰り返す。
【0075】
基地局10は、テザリングAPNを用いた接続要求の信号を受信したと判定した場合(ステップS32のYes)、端末装置20と子機端末装置とのテザリング接続が確立されていると認識できる(ステップS33)。
【0076】
この場合、基地局10は、端末装置20に対して、子機端末情報を要求する信号を送信する(ステップS34)。ステップS34で送信される信号は、
図3のステップS15で説明した信号と同様である。
【0077】
図3のステップS16からステップS20で説明したように、基地局10から子機端末情報を要求する信号を受信した端末装置20は、テザリング接続が確立されている子機端末装置から、子機端末情報を取得し、取得した子機端末情報を基地局10に送信する。
【0078】
基地局10は、端末装置20から送信された子機端末情報を受信する(ステップS35)。
【0079】
そして、基地局10は、受信した子機端末情報に基づき、当該子機端末情報を有する子機端末装置による、基地局10との通信接続が許可されているか否かを判定する(ステップS36)。ステップS36において基地局10が実行する処理の詳細は、
図3のステップS21で説明した処理と同様であってよい。すなわち、基地局10は、例えば、基地局記憶部12に記憶されたリストを参照して、子機端末装置による、基地局10との通信接続が許可されているか否かを判定してよい。
【0080】
基地局10は、子機端末装置による、基地局10との通信接続が許可されていると判定した場合(ステップS36のYes)、当該子機端末装置との間でテザリング機能を用いた通信接続を実行する(ステップS37)。これにより、親機端末装置として機能する端末装置20を介して、基地局10と子機端末装置との通信接続が実行される。
【0081】
一方、基地局10は、子機端末装置による、基地局10との通信接続が許可されていないと判定した場合(ステップS36のNo)、少なくとも当該子機端末装置と基地局10との通信接続を停止するための制御を実行する(ステップS38)。基地局10は、多様な方法で、子機端末装置と基地局10との通信接続を停止するための制御を実行できる。例えば、
図3のステップS22で説明したように、基地局10は、端末装置20とのデータ通信を停止することにより、子機端末装置と基地局10との通信接続を停止できる。例えば、
図4及び
図5のステップS23で説明したように、基地局10は、端末装置20に通知信号を送信してもよい。この場合、通知信号を受信した端末装置20は、例えば
図4のステップS24で説明したようにテザリング機能を停止したり、
図5のステップS25で説明したように通信接続が許可されていない子機端末装置とのテザリング接続を停止したりすることにより、子機端末装置と基地局10との通信接続が停止される。
【0082】
本実施形態の通信システム1では、子機端末装置による、基地局10との通信接続が許可されていない場合、少なくとも当該子機端末装置と基地局10との通信接続が停止される。本実施形態で示した例では、第2子機端末装置40による、基地局10との通信接続が許可されていないため、少なくとも第2子機端末装置40と基地局10との通信接続が停止される。これにより、基地局10との通信接続が許可されていない第2子機端末装置40が、端末装置20を介して基地局10との通信接続を行うことを防止することができる。そのため、通信システム1によれば、テザリング機能を用いた通信においてセキュリティを向上させることができる。
【0083】
上記実施形態では、基地局10の基地局記憶部12が、接続許可された子機端末装置の子機端末情報を記憶し、子機端末装置による基地局10との通信接続が許可されているか否かを判定すると説明した。しかしながら、判定は、必ずしも基地局10により実行されなくてもよい。判定は、例えば端末装置20により実行されてもよい。この場合、端末装置20の端末記憶部22が、接続許可された子機端末装置の子機端末情報を記憶する。端末装置20は、例えば子機端末装置とのテザリング接続が確立されたときに、当該子機端末装置の子機端末情報が、端末記憶部22に記憶した子機端末情報に含まれるか否かを判定することにより、当該子機端末装置による基地局10との通信接続が許可されているか否かを判定してよい。従って、子機端末装置による基地局10との通信接続が許可されているか否かの判定は、基地局10及び端末装置20の少なくとも一方により実行されてよい。
【0084】
上記実施形態では、Wifi接続によりテザリング接続が確立される場合の例について説明した。しかしながら、本開示に係る通信システム1は、他の接続方式によるテザリング接続が確立される場合にも適用されうる。例えば、USBケーブルを介したUSB接続によりテザリング接続が確立される場合や、Bluetooth接続によりテザリング接続が確立される場合においても、子機端末装置による基地局10との通信接続が許可されていない場合、当該子機端末装置と基地局10との通信接続が停止されてよい。
【0085】
上記実施形態では、基地局10は、端末装置20から、テザリングAPNを用いた接続要求の信号を受信した場合に、端末装置20と子機端末装置とのテザリング接続が確立されていると認識すると説明した。しかしながら、基地局10は、他の方法により、端末装置20と子機端末装置とのテザリング接続が確立されていることを認識してもよい。例えば、端末装置20が、端末装置20と子機端末装置とのテザリング接続が確立されていることを通知する通知信号を基地局10に送信してもよい。この場合、基地局10は、通知信号を受信することにより、端末装置20と子機端末装置とのテザリング接続が確立されていると認識できる。この方法は、例えば、端末装置20が、テザリング機能を使用しない端末通信を行う場合に使用するAPNと、テザリング機能を使用したテザリング通信を行う場合に使用するAPNとが、同一である場合などに有効である。基地局10は、端末装置20から受信したデータのデータ形式により、端末装置20と子機端末装置とのテザリング接続が確立されていることを認識してもよい。
【0086】
上記実施形態では、基地局10と端末装置20とのローカル5G接続が確立した(ステップS11)後、端末装置20と、第1子機端末装置30及び第2子機端末装置40とのテザリング接続が確立される(ステップS12及びステップS13)場合について説明した。しかしながら、基地局10と端末装置20とのローカル5G接続が確立する前に、端末装置20と、第1子機端末装置30及び第2子機端末装置40とのテザリング接続が確立されていてもよい。この場合、基地局10と端末装置20とのローカル5G接続が確立した後、基地局10は、子機端末情報を要求する信号を端末装置20に送信してもよい。
【0087】
上記実施形態では、基地局10が、テザリング機能を用いた基地局10と通信接続しようとする子機端末装置の子機端末情報に基づいて、子機端末装置による基地局10との通信接続が許可されているか否かを判定すると説明した。基地局10は、これと同様の方法を用いて、親機端末装置として機能する端末装置20に対して端末情報を要求し、当該端末情報に基づいて、端末装置20による基地局10との通信接続が許可されているか否かを判定してもよい。基地局10は、端末装置20による基地局10との通信接続が許可されていないと判定した場合、基地局10と、接続許可されていない当該端末装置20とのデータ通信を停止してもよい。これにより、例えば、基地局10との通信接続が許可されていない端末装置に対して、基地局10が提供するローカル5Gによる通信接続が許可されたSIMカードが挿入されて使用されることを防ぐことができる。
【0088】
本開示を諸図面及び実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各機能部又は各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の機能部又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。