(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】薬物送達デバイスの、スマートウォッチおよび車両用インフォテインメントシステムとの統合
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20250409BHJP
A61M 5/00 20060101ALI20250409BHJP
【FI】
G16H20/10
A61M5/00 500
(21)【出願番号】P 2023536499
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(86)【国際出願番号】 US2021064056
(87)【国際公開番号】W WO2022133228
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-07-10
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519167449
【氏名又は名称】インスレット コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】マシュー アレス
(72)【発明者】
【氏名】ジュン ボク リー
【審査官】甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-537761(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0071765(US,A1)
【文献】特表2019-509770(JP,A)
【文献】特表2018-523546(JP,A)
【文献】特表2018-522634(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0006876(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スマートウォッチのプロセッサによって実行される方法であって、
前記スマートウォッチのディスプレイ上に、薬物送達デバイスに薬物ボーラスを要求するためのユーザインターフェース要素を表示することと、
前記ユーザインターフェース要素が、前記薬物ボーラスを前記薬物送達デバイスのユーザに対して送達することを要求するために使用されたことを判定することと、
前記判定することに応答して、前記薬物ボーラスを前記ユーザに対して送達するように前記薬物送達デバイスに指示する
ように、前記スマートウォッチから管理デバイスへの無線通信を送ることであって、前記管理デバイスは、前記薬物送達デバイスを管理し、かつ前記薬物送達デバイスとは別個のデバイスである、送ることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記薬物
ボーラスが、インスリン、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬、またはプラムリンチドのうち少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ユーザに対する前記薬物ボーラスの投与量を決定することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記投与量を決定することが、前記投与量を決定することのための情報を得るために、前記スマートウォッチの前記ディスプレイ上にプロンプトを表示することを含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記プロンプトが、炭水化物量を要求する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記スマートウォッチの前記ディスプレイ上に、前記ユーザが食事を摂取すべき時間のリマインダを表示することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
ディスプレイを有するスマートウォッチのプロセッサによって実行される方法であって、
前記スマートウォッチの前記ディスプレイ上に、薬物送達デバイスによるユーザに対するスケジュール設定された薬物ボーラス送達を遅延させるためのオプションを表示することと、
前記ユーザが前記スケジュール設定された薬物ボーラス送達を遅延させたいことを示唆する入力を受け取ることと、
前記ユーザが前記スケジュール設定された薬物ボーラス送達を遅延させたいことを示唆する前記入力を受け取ることに応じて、前記薬物送達デバイスに前記スケジュール設定された薬物ボーラス送達を遅延させるよう指示するように、前記薬物送達デバイスを管理する管理デバイスに促すための無線通信を、前記管理デバイスに対して送ることと、
を含む、方法。
【請求項8】
薬物ボーラスがインスリン
を含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記遅延の期間を指定するためのユーザインターフェース要素を、前記ディスプレイ上に表示することをさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項10】
ユーザインターフェース要素とのユーザ相互作用の結果として、前記遅延の示唆を受け取ること、及び前記管理デバイスへの前記無線通信において前記遅延の期間を指定することをさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項11】
車両用インフォテインメントシステムのプロセッサによって実行される方法であって、
前記車両用インフォテインメントシステムのディスプレイ上に、薬物送達デバイスに薬物ボーラスを要求するためのユーザインターフェース要素を表示することと、
前記ユーザインターフェース要素が、前記薬物ボーラスを前記薬物送達デバイスのユーザに対して送達することを要求するために使用されたことを判定することと、
前記判定することに応答して、前記薬物ボーラスを前記ユーザに対して送達するように前記薬物送達デバイスに指示する
ように、前記車両用インフォテインメントシステムから管理デバイスに対して無線通信を送ることであって、前記管理デバイスは、前記薬物送達デバイスを管理し、かつ前記薬物送達デバイスとは別個のデバイスである、送ることと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記薬物
ボーラスが、インスリン、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬、またはプラムリンチドのうち少なくとも1つを含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記ユーザに対する前記薬物ボーラスの投与量を決定することをさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記投与量を決定することが、前記投与量を決定することのための情報を得るために、プロンプトを出力することを含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記プロンプトが、炭水化物量を要求する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記ユーザが、前記プロンプトに対して口頭での応答を行う、請求項14記載の方法。
【請求項17】
ディスプレイを有する車両用インフォテインメントシステムのプロセッサによって実行される方法であって、
前記車両用インフォテインメントシステムの前記ディスプレイ上に、薬物送達デバイスによるユーザに対するスケジュール設定された薬物ボーラス送達を遅延させるためのオプションを表示することと、
前記ユーザが前記スケジュール設定された薬物ボーラス送達を遅延させたいことを示唆する入力を受け取ることと、
前記ユーザが前記スケジュール設定された薬物ボーラス送達を遅延させたいことを示唆する前記入力を受け取ることに応じて、前記薬物送達デバイスに前記スケジュール設定された薬物ボーラス送達を遅延させるよう指示するように、前記薬物送達デバイスを管理する管理デバイスに促すための無線通信を、前記管理デバイスに対して送ることと、
を含む、方法。
【請求項18】
薬物ボーラスがインスリン
を含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記遅延の期間を指定するためのユーザインターフェース要素を、前記ディスプレイ上に表示することをさらに含む、請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記ユーザインターフェース要素とのユーザ相互作用の結果として、前記遅延の示唆を受け取ること、及び前記管理デバイスへの前記無線通信において前記遅延の期間を指定することを含む、請求項19記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2020年12月18日に出願された、米国仮特許出願公開第2020/63127218号明細書、および2021年8月2日に出願された、米国仮特許出願公開第2021/63228415号明細書に対する利益を主張する。これらの出願全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
インスリン送達デバイスのような薬物送達デバイスは、関連付けられた管理デバイスを有する場合がある。該管理デバイスは、専用のハンドヘルド電子デバイスであってもよいし、薬物送達デバイスを管理するためのソフトウェアがインストールされたスマートフォンまたは他のモバイル電子デバイスであってもよい。各管理デバイスは、ユーザに対して、薬物送達履歴、およびグルコースレベル履歴等のユーザメトリクスといった情報を提供することができる。該管理デバイスはまた、ユーザによる薬物送達の制御を可能にし得る。たとえば、ユーザは、該管理デバイスを使用して、薬物ボーラス送達を行い得る。さらに、ユーザは、該管理デバイスを介して、定期的な間隔で継続的に送達されるという薬物のベーサル送達等の薬物の送達の投与量を設定することができることもある。
【0003】
このような管理デバイスの扱いは、面倒である場合がある。ユーザは、どこへ行くにも該管理デバイスを運搬しなければならない。加えて、ユーザがこのような管理デバイスを使用できる場所および時間には制限があるため、管理デバイスを常に使用できるわけではない。たとえば、ユーザが自動車を運転している場合には、ユーザは管理デバイスを容易には使用できず、運転中の管理デバイスの使用は、運転の安全性に危険をもたらす。
【発明の概要】
【0004】
発明の第1の態様に従って、スマートウォッチのプロセッサによって、方法が実行される。本方法によれば、スマートウォッチのディスプレイ上に、薬物送達デバイスに薬物ボーラスを要求するためのユーザインターフェース要素が表示される。該ユーザインターフェース要素が、薬物送達デバイスのユーザに対して薬物ボーラス送達を行うことを要求するために使用されたということが判定されると、その判定に応答して、薬物送達デバイスは、ユーザに対する薬物ボーラス送達を行うよう指示を受ける。
【0005】
薬物には、たとえば、インスリン、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬、またはプラムリンチドのうちの少なくとも1つが含まれ得る。本方法は、ユーザに対する薬物ボーラスの投与量を決定することを、さらに含み得る。投与量の決定は、投与量の決定のための情報を得るためであるプロンプトを、スマートウォッチのディスプレイ上に表示することを含んでいてもよい。該プロンプトは、炭水化物量を要求し得る。本方法は、リマインダであって、ユーザがいつ食事を摂取すべきか、または場合によっては何(または炭水化物量)を食すべきであるかを示すリマインダをスマートウォッチのディスプレイに表示することを、さらに含み得る。
【0006】
発明の別の態様に従って、ディスプレイを有するスマートウォッチのプロセッサによって、方法が実行される。本方法は、ユーザの分析物測定履歴および薬物送達履歴を取得すること、ならびに、分析物測定履歴から得た過去の分析物測定値の表示および/または薬物送達履歴中にある薬物送達に関する情報の少なくとも一方を、ディスプレイ上に表示することを含む。
【0007】
該薬物がインスリンであることがあり、該分析物測定値がグルコース濃度値であってもよい。本方法は、ユーザによるケアを受けている集団に関する情報にアクセスするためのユーザインターフェース要素をディスプレイ上に表示することを、さらに含み得る。本方法は、ユーザの動きを検出し、それに応答して、ユーザを保護すべく動作モードを変更するというユーザのためのオプションをユーザに表示することを、さらに含み得る。
【0008】
発明のさらなる態様に従って、車両用インフォテインメントシステムのプロセッサによって、方法が実行される。本方法は、車両用インフォテインメントシステムのディスプレイ上に、薬物送達デバイスから薬物ボーラスを要求するためのユーザインターフェース要素を表示することを含む。本方法は、ユーザインターフェース要素が、薬物送達デバイスのユーザに薬物ボーラス送達を行うことを要求するために使用されたということを判定すること、および、その判定に応答して、薬物ボーラス送達をユーザに行うよう薬物送達デバイスに指示することを、さらに含む。
【0009】
薬物には、たとえば、インスリン、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬、またはプラムリンチドのうちの少なくとも1つが含まれ得る。本方法は、ユーザに対する薬物ボーラスの投与量を決定することを、さらに含み得る。投与量の決定は、投与量の決定のための情報を得るためであるプロンプトを出力することを含んでいてもよい。該プロンプトは、炭水化物量を要求し得る。ユーザは、プロンプトに対して口頭での応答を行い得る。
【0010】
発明の追加的な態様に従って、ディスプレイを有する車両用インフォテインメントシステムのプロセッサによって、方法が実行される。本方法は、ユーザの分析物測定履歴および薬物送達履歴を取得すること、ならびに、分析物測定履歴から得た過去の分析物測定値の表示、および/または薬物送達履歴中にある薬物送達に関する情報の少なくとも一方を、車両用インフォテインメントシステムのディスプレイ上に表示することを含む。
【0011】
該薬物がインスリンであることがあり、該分析物測定値がグルコースレベル値であってもよい。本方法は、車両用インフォテインメントシステムを介し、アラーム、アラートまたは通知をユーザに対して出力することを、さらに含み得る。該出力は、車両用インフォテインメントシステムのディスプレイ上に情報を表示することによって、および/または音声出力を生成することによって、アラーム、アラートまたは通知を出力することを伴い得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態の実施に好適な薬物送達システムのブロック図を示している。
【
図2】
図2は、例示的な実施形態のスマートウォッチのホーム画面の例を示している。
【
図3】
図3は、例示的な実施形態において使用され得るトレンドアイコンの例を説明するためのテーブルを示している。
【
図4】
図4は、例示的な実施形態においてスマートウォッチ上に表示される、様々な時間間隔に関するグルコース表示画面の例図を示している。
【
図5】
図5は、グルコースレベルの閾値を設定するための、例示的な実施形態において実行され得るステップの例を表すフローチャートを示している。
【
図6A】
図6Aは、例示的な実施形態においてスマートウォッチ上に表示される、説明的なグルコースレベルおよびボーラス履歴画面を示している。
【
図6B】
図6Bは、例示的な実施形態においてスマートウォッチ上に表示される、インサイト画面の例を示している。
【
図7】
図7は、範囲内であった時間の値を計算するための、例示的な実施形態で実行され得るステップの例のフローチャートを示している。
【
図8】
図8は、インスリン送達の割合を種類ごとに計算すべく、例示的な実施形態において実行され得るステップの例のフローチャートを示している。
【
図9A-9B】
図9Aおよび9Bは、例示的な実施形態において、活動に因るインスリン送達の一時停止をユーザが望むかどうかを確認するために表示され得る例示的な画面を示している。
【
図10】
図10は、ユーザの活動を識別し、それに応答してインスリン送達を一時停止するための、例示的な実施形態において実行され得るステップの例のフローチャートを示している。
【
図11】
図11は、例示的な実施形態においてスマートウォッチ上に表示される、ケアラーに使用されるためのスクリーンの例を示している。
【
図12】
図12は、例示的な実施形態においてスマートウォッチ上に表示される、管理デバイスの位置を特定するための画面の例を示している。
【
図13】
図13は、例示的な実施形態においてスマートウォッチ上に表示される、インスリンボーラス送達のための画面のシークエンスの一例を示している。
【
図14】
図14は、例示的な実施形態においてスマートウォッチ上に表示される、インスリンボーラス送達のための画面のシークエンスの他の例を示している。
【
図15】
図15は、ユーザがインスリンボーラスの要求にあたって炭水化物量ではなく食事サイズを指定する際に、例示的な実施形態においてスマートウォッチ上に表示される画面のシークエンスの例を示している。
【
図16】
図16は、ユーザが薬物ボーラス送達を予定することを希望する際に、例示的な実施形態においてスマートウォッチ上に表示される画面のシークエンスの例を示している。
【
図17】
図17は、ユーザがスヌーズ機能にアクセスする際に、例示的な実施形態においてスマートウォッチ上に表示される画面のシークエンスの例を示している。
【
図18】
図18は、ユーザが予定された薬物ボーラス送達を削除する際、例示的な実施形態においてスマートウォッチ上に表示される画面のシークエンスの例を示している。
【
図19】
図19は、例示的な実施形態における車両用インフォテインメントシステムのホーム画面の例を示している。
【
図20】
図20は、インスリンおよびグルコースレベルの情報を表す、例示的な実施形態において車両用インフォテインメントシステムのディスプレイ上に表示される画面の例を示している。
【
図21】
図21は、例示的な実施形態において車両用インフォテインメントシステムのディスプレイ上に表示される、グルコース表示画面の例を示している。
【
図22】
図22は、例示的な実施形態において車両用インフォテインメントシステムのディスプレイ上に表示される、音声コマンドを要求する画面の例を示している。
【
図23A】
図23Aは、例示的な実施形態において車両用インフォテインメントシステムのディスプレイ上に表示される通知の例を示している。
【
図23B】
図23Bは、例示的な実施形態において車両用インフォテインメントシステムのディスプレイ上に表示される通知履歴の例を示している。
【
図24】
図24は、例示的な実施形態において車両用インフォテインメントシステムのディスプレイ上に表示される、音声コマンドを使用して画面間を移動するための画面のシークエンスの例を示している。
【
図25】
図25は、例示的な実施形態において車両用インフォテインメントシステムのディスプレイ上に表示される、音声コマンドに応答してインスリンボーラス送達を行うための画面のシークエンスの例を示している。
【
図26】
図26は、例示的な実施形態において車両用インフォテインメントシステムのディスプレイ上に表示される、ユーザが運動しようとしていることの確認を要求し、かつ、それに応答してインスリン送達モードに入るかどうかの確認を要求する、音声アシスタントからの画面の例を示している。
【
図27】
図27は、どのようなアクションを取るかを決定すべく、例示的な実施形態においてジオロケーション情報を使用するために実行され得るステップの例のフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
例示的な実施形態は、従来の薬物送達システムの管理デバイスが直面してきた、上記の問題を克服し得る。幾つかの例示的な実施形態においては、ユーザは、該管理デバイスで有効な多くの機能性を備えることができ、かつ、追加的な機能性も備え得るスマートウォッチを装着することができる。スマートウォッチはユーザの手首にストラップで固定されるため、上記のようなスマートウォッチを用いることにより、管理デバイスを運搬する必要はなくなる。スマートウォッチは邪魔にならないし、ユーザが管理デバイスを手に持つ必要もない。スマートウォッチがユーザの手首に固定されていることから、スマートウォッチを紛失する可能性および持ってくるのを忘れる可能性も、管理デバイスよりも低い。
【0014】
例示的な実施形態はまた、車両用インフォテインメントシステムにおいても、管理デバイスの能力を提供し得る。したがって、管理デバイスの能力は、運転中のユーザが利用可能である。ユーザは、薬物送達デバイスを管理するために、車両用インフォテインメントシステムに対して音声コマンドを発することができるのであって、その音声コマンドには、薬物送達デバイスへのコマンド送信、および薬物送達デバイスからの情報受信が含まれる。結果として、ユーザが、運転中に管理デバイスへのアクセスを試みる必要はない。その代わりに、ユーザは、車両用インフォテインメントシステムによって受信され、薬物送達デバイスに渡される音声コマンドを、ハンズフリーで発することができるのである。表示されるあらゆる情報は、車両用インフォテインメントシステムのディスプレイに表示され得るのであって、かくしてその情報がユーザの視界に入るものとなる。
【0015】
「車両用インフォテインメントシステム」という用語は、インフォメーションシステム、エンタテインメントシステム、またはその両方を指し得る。インフォメーションシステムの例には、ディスプレイを備えるナビゲーションシステム、車両情報を表示するビデオディスプレイ、車両統合型コンピューティングデバイス等が含まれる。エンタテインメントシステムには、ラジオシステム、CDシステム、DVDプレーヤのようなビデオエンタテインメントデバイス、車両統合型ゲームシステム、ビデオまたはオーディオコンテンツをストリーミングするためのストリーミングデバイス等が含まれ得る。上記のインフォテインメントシステムは、ビデオディスプレイ、タッチスクリーンディスプレイデバイス等の出力ディスプレイデバイス、マイクロフォンを含み得る。
【0016】
図1は、インスリン、GLP-1受容体作動薬、または以下に詳述するような他の薬物をユーザ108に送達するのに好適である、例示的な実施形態に従う薬物送達システム100の例を示している。薬物送達システム100は、薬物送達デバイス102を含んでいる。薬物送達デバイス102は、ユーザ108の身体上に装着されるウェアラブルデバイスであってよい。薬物送達デバイス102は、ユーザに直接結合されている(たとえば、粘着剤またはそれに類するものを介してユーザ108の身体の一部分および/または皮膚に直接付着させられている)ことがあり、または、管および輸液セットを介してユーザに接続されているということもある。一例によれば、薬物送達デバイス102の表面に、ユーザ108への取付けを容易にするための粘着剤が含まれていてもよい。
【0017】
薬物送達デバイス102は、プロセッサ110を含み得る。プロセッサ110は、たとえば、メモリに結合されたマイクロプロセッサ、論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)またはマイクロコントローラであり得る。プロセッサ110が、日付および時刻に関する機能に加え、他の機能(たとえば、計算等)を有していることもある。プロセッサ110は、ストレージ114に格納された制御アプリケーション116を実行するように動作可能であってよく、該制御アプリケーション116により、プロセッサ110は、薬物送達デバイス102の動作を制御するための制御システムを実行できるようになる。制御アプリケーション116が、本明細書で説明されるようなユーザ108への薬物送達を制御し得るのである。ストレージ114は、自動化された薬物のベーサル送達履歴、ボーラス送達履歴、食事イベント履歴、活動イベント履歴、CGMから得られるグルコースレベルデータ等のセンサデータ、およびそれらに類する、ユーザのための履歴111を保持し得る。加えて、プロセッサ110は、データまたは情報を受信するように動作可能でもあり得る。ストレージ114は、一次メモリおよび二次メモリの両方を含むこともできる。ストレージ114は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、光学ストレージ、磁気ストレージ、可搬記憶媒体、ソリッドステートストレージ、またはそれらに類するものを含み得る。
【0018】
薬物送達デバイス102は、必要とされているときにユーザ108に送達されるための薬物を貯蔵するためのリザーバ112を備え得る。ユーザ108への流体経路が備えられている場合があり、その際、薬物送達デバイス102は、リザーバ112から薬物を排出し、該流体経路を介してユーザ108に薬物を送達することができる。該流体経路は、たとえば、薬物送達デバイス102をユーザ108に結合する管(たとえば、カニューレをリザーバ112に結合する管)を含み得る。
【0019】
薬物送達デバイス102から物理的に分離している1つまたは複数のデバイスの間に、通信リンクが存在することがあり、該デバイスには、たとえば、ユーザおよび/またはユーザのケアラーの管理デバイス104、および/または(複数の)センサ106が含まれる。該通信リンクは、任意の有線通信リンク、または、任意の無線通信リンクであって、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、近距離無線通信規格、セルラー規格、または他の無線プロトコルといった任意の既知の通信プロトコルまたは規格に従って動作する任意の無線通信リンクを含み得る。薬物送達デバイス102は、ユーザインターフェース117を含むこともあり、ユーザインターフェース117は、たとえば、ユーザ108に情報を表示し、かつ、幾つかの実施形態においてはユーザ108からの情報の受信も行う、統合型ディスプレイデバイスであり得る。該ユーザインターフェース117は、たとえばタッチスクリーンおよび/またはボタン、ノブまたはキーボード等の入力デバイスを1つ以上含み得る。
【0020】
薬物送達デバイス102は、ネットワーク122とインターフェース接続し得る。ネットワーク122は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)またはそれらの組み合わせを含み得る。コンピューティングデバイス126は、該ネットワークとインターフェース接続することができ、その際には、コンピューティングデバイス126は、薬物送達デバイス102と通信することができる。
【0021】
薬物送達システム100は、1つ以上の分析物のレベルを検知するための(複数の)センサ106を備え得る。(複数の)センサ106は、たとえば粘着剤またはそれに類するものによってユーザ108に結合されることがあり、その際は、(複数の)センサ106は、ユーザ108の1つ以上の病状および/または身体的特性に関する情報またはデータを提供することができる。(複数の)センサ106は、幾つかの例示的な実施形態においては、定期的なグルコース濃度測定を行い得るのであって、その際には、(複数の)センサ106は、持続グルコース測定器(CGM)であることもあれば、または、血中グルコースレベルを正確に推定できるという間質液中のグルコース濃度測定等のグルコース測定を行う他の種類のデバイスまたはセンサでもあり得る。(複数の)センサ106は、薬物送達デバイス102から物理的に分離されていることもあれば、薬物送達デバイス102に統合された構成要素であることもある。(複数の)センサ106は、プロセッサ110に、ユーザ108の分析物の測定レベルまたは検出レベルの1つ以上を示すデータを提供し得る。(複数の)センサ106から提供された情報またはデータは、薬物送達デバイス102の薬物送達動作を調整するために使用され得る。
【0022】
薬物送達システム100はまた、管理デバイス104を含むこともある。幾つかの実施形態においては、管理デバイス104は必要なく、薬物送達デバイス102が自身を管理するということもある。管理デバイス104は、専用の個人用糖尿病マネジャー(PDM)デバイスのような、特別な目的を有するデバイスであってもよい。管理デバイス104は、プログラムされた汎用デバイスであってよく、たとえば、プロセッサ、マイクロコントローラまたはそれに類する専用コントローラを備えたデバイス等を含む、任意のポータブル電子デバイスであってよい。該管理デバイス104は、薬物送達デバイス102および/またはセンサ106の動作をプログラムまたは調整するために使用され得る。管理デバイス104はまた、薬物送達および分析物レベルに関連するデータおよび他の情報を見るために使用されることもある。そのような管理デバイス104は、たとえば、専用デバイス、スマートフォン、スマートウォッチまたはタブレットを含む、任意のポータブル電子デバイスであってよい。図示されている例によれば、管理デバイス104は、プロセッサ119およびストレージ118を含み得る。プロセッサ119は、ユーザ108への薬物の送達を管理および制御するための処理を実行することができる。プロセッサ119は、ストレージ118に格納されたプログラミングコードを実行するように動作可能であり得る。たとえば、ストレージ118は、プロセッサ119による実行に備え、制御アプリケーション120を格納するように動作可能であってよい。制御アプリケーション120は、薬物送達デバイス102の制御を、たとえば、ユーザ108にインスリンを送達するインスリン自動投与制御システム(AID)の制御を担当し得るものである。ストレージ118は、上記した薬物送達デバイス102のための制御アプリケーションおよび履歴に類する、制御アプリケーション120および履歴121、ならびに他のデータおよび/またはプログラムを格納することもできる。
【0023】
管理デバイス104は、ユーザ108と通信するためのユーザインターフェース(UI)123を備えていてもよい。ユーザインターフェース123は、タッチスクリーンのような、情報を表示するためのディスプレイを含み得る。また、ユーザインターフェース123がタッチスクリーンであるときには、該タッチスクリーンは入力を受け付けるためにも使用され得る。ユーザインターフェース123はまた、キーボード、ボタン、ノブ等の入力要素を備えていることもある。
【0024】
管理デバイス104は、ネットワーク124であって、たとえばLAN、WAN、またはそのようなネットワークの組み合わせであるネットワーク124とインターフェース接続していることもある。管理デバイス104は、ネットワーク124を介して、1つ以上のサーバまたはクラウドサービス128と通信することができる。
【0025】
薬物送達システム100は、ユーザ108に装着されるスマートウォッチ130を含み得る。スマートウォッチ130は、マイクロプロセッサ等のプロセッサ140を含んでおり、このプロセッサ140は、コンピュータプログラミング命令を、たとえば本明細書に記載の機能性を実施するためのアプリケーション148等を実行するためのものである。スマートウォッチ130はまた、コンテンツを表示するためのディスプレイ142も備えている。ディスプレイ142は、入力を受け付けるためでもあるタッチスクリーンであってよい。スマートウォッチ130は、スピーカーやマイク等の音声出力/入力144を含んでいてもよい。スマートウォッチ130は、上記した管理デバイス104のためのストレージに類する、データ、およびアプリケーション148のようなソフトウェアを保持するためのストレージを備え得る。
【0026】
スマートウォッチ130は、管理デバイス104との無線通信接続を有する。スマートウォッチ130は、上記の接続上で管理デバイス104に無線通信を送信することによって、薬物送達デバイス102に対してコマンドを発すること、および薬物送達デバイス102からの情報を取得することが可能である。幾つかの実施形態においては、該スマートウォッチは、
図1に示されている内容によれば、薬物送達デバイス102との間に、情報を取得しコマンドを発するための直接的な通信リンクを有していることもある。他の実施形態においては、スマートウォッチ130は管理デバイス104に命令を送り、次に管理デバイス104が薬物送達デバイス102に命令を発する場合がある。同様にして、スマートウォッチ130は、情報の要求を行ってもよい。この要求は、管理デバイス104によって受信され、その後、薬物送達デバイス102に転送され得る。薬物送達デバイス102は、要求された情報を管理デバイス104に提供し、管理デバイス104は、その要求された情報をスマートウォッチ130へと返すのである。薬物送達システム100に関連付けられたスマートウォッチ130の機能性ある能力は、以下でより詳細に説明される。アプリケーション148は、管理デバイス104との通信を容易にし、スマートウォッチ130の機能性を提供するのであるが、このことについても以下でより詳細に説明される。
【0027】
車両用インフォテインメントシステム150が、薬物送達システム100の一部になっていることもある。車両用インフォテインメントシステム150は、多くの車両で見られるようなものであって、ユーザが、スマートフォン、サムドライブまたはそれに類するポータブルデバイスから、ラジオを聴くこと、音楽または他のオーディオコンテンツを再生することを可能にするためのものであってよい。車両用インフォテインメントシステム150は、地図表示および音声出力を介したナビゲーションアシスタントを提供することもある。車両用インフォテインメントシステムは、アプリケーション158等のコンピュータプログラミング命令を実行するための、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、またはASICであるようなプロセッサを含んでいることもある。車両用インフォテインメントシステム150は、タッチスクリーンディスプレイ等のディスプレイ154、ならびにラウドスピーカーおよびマイクロフォン等の音声出力/入力160を含む。車両用インフォテインメントシステム150は、ストレージ156を備えており、ストレージ156は、ストレージ114に関連付けられている、上述したようなメモリデバイスを含んでいてもよい。ストレージ156は、アプリケーション158を格納することができる。アプリケーション158は、本明細書で説明される機能性を促進する。幾つかの実施形態においては、管理デバイス104はアプリケーションを含んでおり、車両用インフォテインメントシステム150は、管理デバイス104と通信して、本明細書で説明される機能性を実現することができる。
【0028】
車両用インフォテインメントシステム150は、上記の接続上で管理デバイス104に送信される無線通信によって、薬物送達デバイス102にコマンドを発し、薬物送達デバイス102から情報を取得することができる。Apple CarPlay(登録商標)またはAndroid(登録商標) Auto等の技術が、管理デバイス104と車両用インフォテインメントシステム150を統合するために使用されてもよい。車両用インフォテインメントシステム150は管理デバイス104に命令を送ることもあり、その際は、管理デバイス104が薬物送達デバイス102に命令を発する。同様にして、車両用インフォテインメントシステム150が情報の要求を行ってもよい。この要求は、管理デバイス104によって受信され、次に薬物送達デバイス102に転送される。薬物送達デバイス102は、要求された情報を管理デバイス104に提供し、管理デバイス104は、要求された情報を車両用インフォテインメントシステム150へと返すのである。薬物送達システム100に関連付けられた車両用インフォテインメントシステム150の機能性ある能力は、以下でより詳細に説明される。アプリケーション158は、管理デバイス104との通信を容易にし、車両用インフォテインメントシステム150の機能性を提供するのであるが、このことについても以下でより詳細に説明される。幾つかの代替的な実施形態においては、車両用インフォテインメントシステム150は、
図1で接続線によって示されている内容によれば、薬物送達デバイス102との間の直接的な無線接続を有し得る。
【0029】
上記のように、薬物送達システム100は、Apple Watch、Fitbit Versaスマートウォッチ、Samsung Galaxy Watch等のスマートウォッチ130を含んでいてもよい。スマートウォッチ130は、プロセッサ14
0上でアプリケーション148を実行し、本明細書に記載された機能性を提供することができる。
図2は、例示的な実施形態と共に使用するのに好適なスマートウォッチ200の一例を示している。この例においては、スマートウォッチ200は、インスリン送達デバイスの形態である薬物送達デバイス102を制御するために使用される。スマートウォッチ200は、ストラップ202であって、スマートウォッチをユーザ108の手首に固定するためのストラップを備えている。スマートウォッチ200は、ディスプレイ204を備えている。幾つかの例示的な実施形態においては、ディスプレイ204がタッチスクリーンディスプレイである場合がある。スマートウォッチ200が、回転ホイール206を含んでいることもある。回転ホイール206は、後述されるように、表示されたアイテムのリストをスクロールするために使用され得る。
図2に示されているホーム画面は、ユーザの現在の分析物レベルを表示することができる。
図2においては、該分析物レベルは、ユーザ108の現在のグルコースレベル読取値208(「110」)になっている。現在のグルコースレベル読取値は、幾つかの実施形態においては、管理デバイス104または薬物送達デバイス102から取得され得る。残存インスリン(IOB)210もまた、ホーム画面上に表示される(「1.05」)。ホーム画面は、ユーザ108に対するインスリンボーラス送達を要求するために選択され得るアイコン212を表示する。他のアイコン214は、分析物レベルのトレンドアイコンを表示する。この例示的な場合においては、分析物レベルは、ユーザ108のグルコースレベルである。
【0030】
ユーザ108の分析物レベルのトレンドの視覚的キューを提供するために表示され得るトレンドアイコンには、
図2に示されているトレンドアイコン214以外の異なったものが多数存在する。
図3は、表示可能なトレンドアイコンの例のリストを表す表300を示している。表300は、行で構成されている。行302は、横向き矢印アイコンであって、ユーザ108のグルコースレベルの増加または減少が毎分1mg/dL未満であることを意味するアイコンを示している。行304は、それぞれ45°方向に方向づけられている、上向き矢印アイコンおよび下向き矢印アイコンを示している。行304のこれらのアイコンは、ユーザ108のグルコースレベルが30分あたり30mg/dLないし60mg/dLの割合で増加(上向き矢印アイコン)または減少(下向き矢印アイコン)していることを示している。行306は、上矢印アイコンおよび下矢印アイコンを示している。これらのアイコンは、ユーザ108のグルコースレベルが30分あたり60mg/dLないし90mg/dLの割合でそれぞれ増加または減少していることを示している。最後に、行308は、二重上矢印アイコンおよび二重下矢印アイコンを示している。これらのアイコンは、ユーザ108のグルコースレベルが90mg/dLを超える割合で増加または減少していることを示している。
【0031】
図2を再度参照すると、ステータスビュー216は、インスリン送達モードを、手動モード(開ループ)にあること、センサとの接続が制限されている制限モード(CGMとの接続が制限されている場合、またはCGMとの接続が現在進行中である場合等)にあること、自動モード(ハイブリッド閉ループ)にあること、または、ユーザへの伝達が必要となり得る他の何らかのモードであって、低血糖症を防ぐためにユーザへのインスリン送達を一時的に減少または停止させる低血糖保護モード等のモードで指定している。
図2に示されている例においては、ステータスビューは、現在のインスリン送達モードが自動インスリン送達モードであることを示している。
【0032】
スマートウォッチ130は、分析物レベルの履歴およびトレンドに関する情報を、ユーザ
108に提供することができる。
図4は、スマートウォッチ130がインスリン送達デバイスと共に使用されている場合の、表示の例を示している。ユーザ108は、スマートウォッチ401のディスプレイ405上に表示されるビューの時間幅を選択することができる。
図4は、6時間ビュー402のグラフ411、3時間ビュー404のグラフ412、および1時間ビュー406のグラフ414を示している。これらの期間は単に例示的なものであり、限定的なものとなることは意図されていないということは理解されたい。他の期間が使用されてもよいのである。各グラフ411、412、および414は、指定された期間にわたるグルコースレベル値410を示している。これらのビュー402、404、および406により、ユーザが、それぞれの期間にわたるグルコースレベルのトレンドを理解することが可能になる。ユーザによる調整が可能なグルコース濃度の上限閾値または下限閾値408が、ビュー402、404、および406の各々において示されている。最新のグルコース濃度読取値403が、トレンドアイコン407と共に表示される。表示されているデータがどのユーザのものであるかは、ディスプレイ405の頂部に表示されるテキスト422によって識別される。これは、他の集団または複数の集団のデータを閲覧しなければならない場合があるケアラーにとって有用である。グラフのバー416は、指定された期間内においてインスリン送達が一時停止された時間を説明するものである。アイコン418は、上記の期間の間のどこでボーラスが送達されたかを示している。
【0033】
上記のように、ユーザ108はグルコース濃度の閾値408を設定し得る。具体的には、
図5のフローチャート500に示されている通り、ユーザ108は、502でグルコース濃度の上限閾値を設定することができ、504でグルコース濃度の下限閾値を設定することができる。これらの閾値は、ひとたび設定されると、スマートウォッチ130のディスプレイ上に、
図4に示されているようなグラフ形式のグルコースレベルの履歴と共に表示され得るのである。
【0034】
例示的な実施形態においては、スマートウォッチ600は、過去のグルコースレベルおよび薬物ボーラスの情報を、
図6Aに示されているように、ディスプレイ602上に表示することができる。スマートウォッチ600は、たとえば、インスリン送達情報604、グルコースレベル履歴、および最近の薬物ボーラス送達履歴等を、管理デバイス104から取得し、その後、ディスプレイ602上にそれらの情報を表示するということができる。表示される情報604には、ボーラス送達が行われた時間、ボーラス送達時のユーザ108のグルコースレベル、およびボーラス送達の量も含まれ得る。スマートウォッチ600は、最近のグルコースレベル読取値のうち、目標範囲を上回った数、目標範囲を下回った数、または範囲内にあった数を、色および大きさによって示すという、グラフ的描写606を表示することもある。最近のグルコースレベル読取値のうち範囲を上回った割合608は、最近のグルコースレベル読取値のうち範囲を下回った割合612と共に表示され得る。最近のグルコースレベル読取値のうち範囲内であった割合610が表示されてもよい。最近のグルコースレベル読取値の平均値614が表示されてもよい。スマートウォッチ600は、これらの割合の表示に先立ち、割合を決定するために必要な計算を実行することもできる。
【0035】
スマートウォッチ600はまた、ユーザによるインスリン送達、および一定期間にわたってユーザが摂取した総炭水化物に関するインサイトを表示することもできる。該インサイトは、収集されたユーザ108に関するデータを処理することによって得られる。
図6Bが示しているディスプレイは、
図6Aのディスプレイに類するものではあるが、上記のインサイトおよび最後のボーラス送達に関する情報を備えている。インサイト620は、1日または過去1時間等といった期間に送達された総インスリンの描写624を含んでいる。示されている例示的な場合においては、最近のグルコースレベル読取値として、10回分の読取値が含まれている。インスリン送達のうちベーサルインスリン送達であった割合626が、ボーラスインスリン送達であった割合628と共に表示されている。該期間内に摂取された総炭水化物630もまた表示されている。最後のボーラス送達の投与量および時間622が、ディスプレイ602上に表示されている。
【0036】
図6Bに示されたインサイト区画に表示されている、範囲内であった時間の値は、アプリケーション148によって計算処理される必要がある。
図7は、範囲内であった時間の値の計算処理のために、例示的な実施形態によって実行され得るステップの例を表すフローチャート700を示している。最初に、702で、アプリケーション148は、期間内にグルコースレベル値が範囲内であった割合を計算しなければならない。該範囲は、ユーザによって設定される閾値によって境界付けられ得る。アプリケーション148は、定義された範囲内に入る値の数を決定し、次に、それらの値が全体の何パーセントを占めているかを決定する。アプリケーション148はまた、704で、期間内にグルコースレベル値が範囲の上限閾値を上回った割合を計算する。この計算は、範囲の上限閾値を上回った値の数を決定し、その値の数を値の総数で割り、その結果をパーセントに変換することを伴う。706では、期間内にグルコースレベル値が範囲の下限閾値を下回った割合が決定される。これは、範囲の下限閾値を下回った値の数を決定し、その数を値の総数で割り、その結果をパーセントに変換することを伴う。
【0037】
図8は、期間内のユーザへのインスリン送達の内訳を、インスリン送達の種類によって決定するために実行され得るステップの例を表すフローチャート800を示している。最初に、802で、アプリケーション148は、期間内にユーザ108に送達されたインスリンの総量を決定する。このことは、期間内にユーザ108に送達されたベーサルインスリンの量を合計すること、および期間内にユーザ108に送達されたボーラスインスリンの量を合計することを伴っている。両者を合計した結果が、期間内に送達された総インスリンを構成しているのである。
ボーラス送達に利用されたインスリンの割合は、804で、期間内に送達されたボーラスインスリンの総和を、期間内に送達された総インスリン量で割ることによって決定されることができる。ボーラスインスリンでないインスリンの割合は、806で、期間内にベーサル送達されたインスリンの総和を、期間内に送達された総インスリンで割ることによって計算される。比率は、ボーラスインスリンを総インスリンで割ることによって決定され得る(これは、0.5周辺の値を与え得る)。この比率は、別の方法を用いて決定されてもよい。
【0038】
アプリケーション148は、ユーザ108への薬物送達の制御を助けるため、およびユーザ108とのやり取りのために、スマートウォッチ900(
図9A参照)に備わっている特徴を利用することができる。たとえば、該スマートウォッチは、ユーザ108による動きを検出する加速度計を備えている場合がある。スマートウォッチ900は、インテリジェンスであって、該加速度計によって検出された活動を、たとえば、運動、食事、または車の運転で見られる動きのパターンと一致させるという、スマートウォッチ900上のフィットネスアプリケーションに見られるようなインテリジェンスを有し得る。あるいは、手の動き等の動作が、食事等の活動を特徴づけるということもある。
図10は、運動、食事、または運転等の活動を検出し、それに応じて薬物送達を調整するためである、例示的な実施形態において実行され得るステップの例を表すフローチャート1000を示している。1002で、スマートウォッチ900は、運動(または食事、または運転等)であり得るアクティビティ、または活動を(たとえば、手の動きによって)特徴づけ得る活動を、加速度計を介して検出する。その活動のパターンが、運動(または他の活動)のパターンと一致していた場合、1004で、スマートウォッチ900は、ユーザが運動している(または他の活動に従事している)ことをユーザに確認することができる。
図9Aは、運動である可能性がある活動の検出に応答し、スマートウォッチ900に表示され得るユーザインターフェースの一例を示している。ディスプレイ902は、ユーザ108が運動しているかどうかをユーザ108に尋ねるためのプロンプト904を含んでいる。プロンプト904は、たとえば、可聴音、発光、または振動等と組み合わせられてもよい。ユーザ108は、「はい」ボタン906または「いいえ」ボタン908の選択によってプロンプト904に応答するというオプションを有する。ユーザ108が運動中であることを認めなかった場合には、処理は停止されるのがよい。ユーザ108が運動中であることを認めた場合には、1006で、ユーザ108は、インスリンの送達を一時停止できる別のインスリン管理モードに入るといった、インスリン管理に利益をもたらし得るアクションを取りたいかどうかを尋ねられ得る。インスリン送達の一時停止は、ユーザ108が運動の間に低血糖症になることを防止するための予防的措置である。運動は、ユーザのグルコースレベルを低下させる。運動は、インスリン送達と組み合わせられたとき、ユーザのグルコースレベルを所望以上に低下させるおそれがあるのである。
図9Bは、スマートウォッチ900のディスプレイ902に表示され得るユーザインターフェースの例を示している。プロンプト910は、ユーザ108に、ユーザがインスリン送達の一時停止を望むかどうかを尋ねている。ユーザは、プロンプト910に応答して、「はい」ボタン912または「いいえ」ボタン914を選択することができる。ユーザがボタン912または914のどちらを選択したかに基づいて、1008で、インスリン送達を一時停止するかどうかのチェックが行われる。ユーザが「はい」ボタン912を選択した場合には、インスリン送達は、30分または1時間等の期間、一時停止される。ユーザが「いいえ」ボタン914を選択した場合には、この一時停止に関するさらなる活動は行われない。
【0039】
上記のように、スマートウォッチ130は、ケアラーであって、ケアしている相手の情報にアクセスする必要があり、かつ、ケアしている相手のために必要に応じて薬物を送達できなければならないケアラーによって、使用され得る。その目的のために、スマートウォッチ1100は、
図11に示されているように、どのユーザに関する情報を表示したいかをケアラーに尋ねるプロンプト1104を、ディスプレイ1102上に表示することができる。
図11に示されている例においては、「マット(Matt)」のアイコンおよびテキスト名1106、ならびに、「サラ(Sarah)」のアイコンおよびテキスト名1108が表示されている。ケアラーは、アイコン1106または1108のうちの1つを選択するだけで、または、ユーザがケアラーであると同時に患者であるという場合には、自身の名前を伴うアイコンを選択するだけで、対応するユーザに関する情報を表示することができる。
【0040】
ユーザは時に容易く管理デバイス104を置き忘れてしまう。スマートウォッチ1200(
図12参照)は、管理デバイス104の位置を特定するのに役立つ能力を備えている。具体的には、スマートウォッチ1200のディスプレイ1202は、アイコン1206、ならびにプロンプトであって、選択またはアクティベートされたとき、管理デバイス104に呼び出し音やビープ音のような音声出力を行わせるプロンプトを備え得る。この音声出力は、ユーザ108が管理デバイス104の位置を特定するのに役に立つ。この例においては、管理デバイス104は、個人用糖尿病マネジャー(PDM)になっている。
【0041】
スマートウォッチ130は、インスリンボーラスのサイズを計算する能力、および指定されたサイズのインスリンボーラス送達をユーザ108に行う能力を備えている。ユーザ108は、アイコン212(
図2参照)の選択等、インスリンボーラス送達のためのオプションの選択によって、ボーラスの計算を行い、かつ、インスリンボーラス送達のための処理を開始することができる。
図13は、インスリンボーラスの計算およびユーザ108へのインスリンボーラス送達を容易にするためである、スマートウォッチ1300のディスプレイ1302上に表示され得る画面のシークエンスを示している。最初に、ユーザ108が、グルコース値を入力するよう促され得る。ユーザ108は、テキストボックス1306に値を入力することもあれば、表示された値オプション1308を回転ノブ1304を用いてスクロールし、表示された値オプション1308の中から、たとえば値1310を選択することもある。グルコース値はまた、インスリンコントローラシステムに組み合わせられている持続グルコース測定器(CGM)によって、自動的に事前入力されていることもある。入力されたグルコース値は、mg/dLまたはmmol/Lで表されるグルコース濃度値であり得る。次に、ユーザ108は、
図13に示されているように、炭水化物量を入力するように促される。ユーザは、テキストボックス1312に炭水化物のグラム数を手動で入力することもあれば、オプションをスクロールし、たとえばハイライトされている値1314といった値を選択することもある。次の画面においては、スマートウォッチ1300のディスプレイ1302上に、ユーザ108の最新の値を表している、入力されたグルコース濃度値1316、および、ユーザ108によって入力された、食事で摂取された炭水化物量1318が表示されている。また、補正係数1320も表示されている。該補正係数は、ユーザの血糖値の高さまたは低さが範囲外になっているときに、それを補正するための数値/計算式である。これは、制御ソフトウェアにおけるユーザ設定で管理される。補正係数は、摂取された炭水化物の1gを補正するために必要なインスリンの量を示すものである。ユーザの血中グルコースレベルが範囲外であり、ボーラスの実行が考慮される必要がある場合に、補正ボーラスが事前入力されている。これは、総ボーラス量を増やすことによる、高い血中グルコース値の補正であることもあれば、全体的なボーラス値を減らすことになる低い血中グルコースレベルの逆補正であることもある。次に、アプリケーション148は、提供された情報および補正係数を用いて計算を行い、そして、現在のグルコース濃度を考慮した上での、表示された数値の炭水化物を補正するに適切な補正ボーラスの投与量を表示する(1322参照)。例の場合においては、25gの炭水化物を補正するために2.5単位のインスリンが必要となっている(すなわち、25×0.1)。ユーザ108は、右へのスワイプといった物理的行為、または口頭でのボーラス確認といった言語的行為によってボーラスの処方を確認するよう促される場合がある。次の画面においては、ユーザ108は、要素1326の選択により通常(Normal)ボーラスを選択するか、または要素1328の選択により拡張された(Extended)ボーラスを選択するか、といういずれかのオプションを選択するように促される。この例においては、ユーザ108の選択は、要素1326または1328を右へスワイプすることによって行われる。
図13の例においては、ユーザ108は、ディスプレイ1302上のテキスト1330によって示されているように、拡張されたボーラスを選択している。ユーザ108は、時間経過に対してどのように拡張されたボーラス送達を行うかを指定するために、パーセント値を入力する。テキストボックス1332において、ユーザ108は、今送達されるべきボーラスの割合を入力する。テキストボックス1334においては、ユーザ108は、拡張されて送達されるボーラスの割合を入力する。テキストボックス1336においては、ユーザ108は、拡張された部分の送達の時間幅を入力する。スマートウォッチ130はまた、拡張されたボーラスのパーセント値を使用するのではなく、送達されるインスリンの量を検討するようユーザに促すこともできる。ユーザ108は、適切な値を入力すると、右へのスワイプ等によって要素1338を選択することにより、拡張されたボーラス送達を確認することができる。
【0042】
図14は、ユーザ108が拡張されたボーラス送達を選択した後の、次の画面のシークエンスを示している。最初に、ユーザ108は、ディスプレイ1402上の画面1404に示されているように、拡張されたボーラスを選択している。次に、ユーザ108は、ディスプレイ1412によって示されている単位数の送達を確認するように、1414を促される。ユーザが2.5単位の送達を容認した場合、ユーザは画面1416を介して送達開始のための確認コードを入力する。確認コードは、ユーザのオンボーディングの間に、ユーザに登録され得る。その後、スマートウォッチ1400は、画面1418をディスプレイ1402上に表示し、食事を摂取してよい時間に通知を受けるということを、ユーザ108に思い出させる。この時間パラメタは、インスリンコントローラシステムのアプリケーション内でユーザ108によって設定されるのであって、それは、該アプリケーションがコントローラであったとしてもスマートフォンアプリケーションであったとしても同様である。食事時間リマインダの目的は、目標血糖範囲を逸脱しないようにするため、食前にインスリンを投与することでユーザの前ボーラス(pre-bolus)活動を改善することである。示された例においては、ユーザは15分後に食事をするようにリマインドされている。15分が経過した後、スマートウォッチ1400は、ディスプレイ1402上に画面1406を表示し、ユーザ108が食事を摂取すべき時間であることをリマインドする。これにより、ユーザ108は、炭水化物を摂取するに十分な時間が経過したことを知ることに加えて、インスリンボーラス送達を行ったもののそのインスリンボーラスの目的である炭水化物の摂取を行わなかった場合に生じる問題を回避することができる。
【0043】
スマートウォッチ130はまた、摂取予定の炭水化物量をグラム単位で指定するのではなく、ユーザが、摂取予定の食事のサイズをただ選択するだけでインスリンボーラスの投与量を決定できるということも可能にし得る。アプリケーション148は、普通サイズの食事(regular meal)および大型サイズの食事(large meal)といった、食事サイズのカテゴリーを有し得る。普通サイズの食事は、第1の量の炭水化物を含むものと仮定され、一方、大型サイズの食事は、第1の量より多い第2の量の炭水化物を含むものと仮定される。「小型サイズの食事(small meal)」または「スナック」がオプションとして提示されることもあり、これらは、普通サイズの食事のオプションよりも少ない炭水化物量に対応し得る。これらの炭水化物量は、ユーザ108または医療提供者のいずれかがインスリンコントローラシステムにそのような量をプログラムすることにより、定義され得る。カスタム食事名(および炭水化物量)もまた、ユーザによってインスリンコントローラシステムに設定され得る。
図15に示されているように、スマートウォッチ1500は、ユーザ108による選択のために、普通サイズの食事のオプション1504および大型サイズの食事のオプション1506を、ディスプレイ1502上に表示する場合がある。ユーザ108は、続いて、ユーザ108が画面1506でどの食事サイズを選択したかを確認するよう促され得る。画面1506は、選択された食事サイズを確認するための「はい」ボタン1508、または選択された食事サイズを確認しないための「いいえ」ボタン1510を含み得る。ユーザ108が「はい」ボタン1508を選択して食事サイズを確認した場合、ユーザ108は、インスリンボーラス送達を開始するための確認コードをディスプレイ1512を使用して入力するように促される。ユーザ108はまた、スマートウォッチ1500上の音声コマンドによって食事の確認を促されることもあり、その際には、ユーザ108は、該音声コマンドを用いて口頭で確認を行うことができる。画面1514は、上記同様、ユーザ108が食事をすべき時間のリマインドを行う。食事の時間が来ると、この画面1514に続いて、フォローアップリマインダ画面1516が表示される。画面1516は、ユーザ108に、食事をすべき時間が来たことをリマインドする。
【0044】
ユーザ108はまた、スマートウォッチ130を介して、インスリンボーラス等の薬物送達を予定することもできる。
図16は、ボーラス送達に関するオプションをユーザ108に提供する、スマートウォッチ130上の画面1600を示している。今すぐボーラス送達(Bolus Now)ボタン1602は、スマートウォッチ130のタッチスクリーンにタッチすること等によって選択され、上記のようなボーラス送達を直ちに行うことができる。ボーラス予定(Schedule Bolus)ボタン1604は、将来の日付および時刻にボーラス送達を予定するために、ユーザ108によって選択され得る。戻るボタン1606は、前の画面に戻るために選択され得る。ユーザ108が
ボーラス予定ボタンを選択した場合、画面1610が表示され得る。画面1610は、薬物ボーラス送達の予定を容易にするためのユーザインターフェース要素を含んでいる。ユーザインターフェース要素1616は、ユーザ108が送達されるボーラス量を入力または編集することを可能にする。ユーザインターフェース要素1618は、ユーザにより、予定された薬物ボーラス送達の日付を月日で指定するために使用され得る。ユーザインターフェース要素1620は、ユーザ108により、予定されたボーラス送達の時間を時分の単位で指定するために使用され得る。確認ボタン1624は、予定された薬物ボーラス送達のボーラス量ならびに日付および時刻の確認のために、ユーザ108によって選択され得る。確認ボタン1624が選択されると、予定されたボーラス送達のボーラス量1632、日付1634および時刻1636を表す確認画面1630が表示され得る。
【0045】
次に、ユーザ108は、ダイヤルまたはタッチスクリーンユーザインターフェース等のスマートウォッチ制御を使用して、ボーラス量、アプリケーション148が予定されたボーラスのリマインダを発する日付および時刻を決定することができる。
図17の画面1700は、予定されたボーラスのリマインダの例を示している。画面1700は、送達が予定されたボーラス量1701を示している。確認ボタン1702は、予定されたボーラスを選択により確認するために備えられている。ユーザ108が確認ボタン1702を選択した場合には、追加のセキュリティ層として、パスワードまたはPINを入力するための数字パッド1710が表示されてもよい。
【0046】
また、スヌーズボタン1704も表示される。スヌーズボタン1704を選択すると、予定されたボーラスは、定められた時間だけ遅延される。ユーザ108がスヌーズボタン1704を選択したときには、画面1712が表示され得る。ユーザ108には、スヌーズの大きさ(たとえば、5、10、15、20、25または30分)をオプションの中から選択することができるボタン1716が提示される。ユーザ108は、スヌーズボタン1714を選択して遅延を発効することができる。
【0047】
ユーザ108が編集またはキャンセルボタン1706を選択したときには、画面1718が表示され得る。画面1718は、編集可能なテキストボックス1722を含んでおり、ユーザ108はここでボーラス量を修正することができる。ユーザインターフェース要素1724は、予定されたボーラスの日付の編集を可能にし、ユーザ108のインターフェース要素1726は、予定されたボーラスの時刻の編集を可能にする。ユーザ108は、ボーラス量、日付および/または時間を編集した後で、ボタン1728を選択し、予定されたボーラス送達の修正事項を確認することができる。ユーザ108は、予定されたボーラスをキャンセルしたい場合、キャンセルボタン1730を選択するだけでよい。ユーザ108が、編集が行われた予定されたボーラス送達を確認した場合には、画面1740が表示され、編集が行われた予定されたボーラス送達の、ボーラス量1742、予定日1746および予定時刻1748が表され得る。
【0048】
図18に示されているように、ユーザ108は、複数のボーラス送達予定時間を、リストビューで閲覧することができる。たとえば、画面1800が表示され得る。この例示的な場合においては、第1の予定されたボーラスの情報1802、および第2の予定されたボーラスの情報1804が表示されている。新しいボーラスを予定するためのボタン1806もまた、表示されている。表示されている第2の予定されたボーラスの情報1804が、左へのスワイプにより選択されたときには、該スワイプを明示するために矢印アイコン1812が表示される。加えて、第2の予定されたボーラスの編集を行うために、編集ボタン1814が表示され得る。第2の予定されたボーラスの削除のために、削除ボタン1816が表示される。削除ボタン1816が選択されたときには、削除を確認するためのボタン1822、および削除をキャンセルするためのキャンセルボタン1824が、画面1820上に表示され得る。ユーザ108が編集ボタン181
4を選択した場合、編集画面1830が表示される。編集画面1830は、第2の予定されたボーラスのボーラス量、日付および時刻をそれぞれ編集するためのユーザインターフェース要素1831、1832および1834を含んでいる。第2の予定されたボーラスの編集された事項は、ボタン1836の選択によって容認されることができ、またはボタン1838の選択によって拒否されることもできる。
【0049】
ユーザ108はまた、自動車、トラック、オートバイ、または他の種類の車両といった車両の運転中または乗車中には、車両用インフォテインメントシステム150を使用して、薬物送達デバイス102および管理デバイス104とやり取りすることもできる。
図19は、車両用インフォテインメントシステム150のディスプレイ1900の一例を示している。ディスプレイ1900は、典型的には、運転者の視野内で車両のダッシュボード内である場所に配置されている。ユーザ108による選択のための一群のアイコン1902が表示されている。各アイコンは、特定のアプリケーションに関連付けられたものである。アイコン1904は、アプリケーション158であって、薬物送達デバイス102を制御し、それとやり取りするアプリケーション158のためのものである。ユーザ108は、タッチスクリーンディスプレイへのタッチを介して、または音声コマンドによって、アイコン1904を選択することができる。管理デバイス104は音声コマンドをサポートすることもあれば、アプリケーション158がその能力を活用することもある。
【0050】
ひとたびアイコン190
4が選択されると、
図20に示されているようなホーム画面2002が、車両用インフォテインメントシステムのディスプレイ2000上に表示され得る。該ホーム画面は、最後のグルコースレベル読取値の表示2004、および最後のグルコース読取時刻を指定するテキスト2006を含んでいる。加えて、ホーム画面2002は、ユーザ108のグルコースレベル値の現在のトレンドを示す矢印アイコン2008を表示することもできる。ホーム画面2002は、ユーザ108のための残存インスリン2010を表示してもよい。ホーム画面2002は、ユーザ108のためのグルコースレベル値のプロット2016であって、組み合わせられているCGMセンサによって駆動されることができるプロット2016を表示し得る。指定された期間にわたる値の曲線2024が、プロット2016に示される。ユーザが選択した下限閾値2026および上限閾値2028が、プロット2016に示される。アプリケーション158は、スマートウォッチ130と同様に、グルコースレベルの履歴およびインスリン送達履歴に関するデータを、管理デバイス104から、あるいは薬物送達デバイス102から取得することができる。通知アイコン2020を選択すると、薬物送達システム100によって生成された通知を表示することができる。音声コマンドを使用するために、ユーザ108は、アイコン2022を選択し、音声認識エージェントを起動することができる。
【0051】
ユーザ108が、ユーザ108のグルコース濃度値の履歴およびトレンドに関するより多くの情報を閲覧したい場合、ユーザ108は、グルコース表示画面を表示することを選択することができる。
図21は、ディスプレイ2100上に示されたグルコース表示画面2102の例を示している。ユーザ108が1時間ビュー、3時間ビュー、または6時間ビューのいずれを表示するかを選択できるように、3つのボタン2104が表示されている。
図21に示されている例においては、ユーザ108は、3時間ビューを選択している。ユーザ108は、薬物デバイスの設定において、アプリケーションに表示される表示ウィンドウオプションを調整できる。3時間にわたるグルコースレベル読取値の曲線2110を含むプロット2112が表示されている。下限閾値2108および上限閾値2106が表示されている。グルコース表示画面2102はまた、最新のグルコースレベル値2118およびトレンドアイコン2120も表示している。ホームボタン2116が、ホーム画面に戻るために提供されている。ボタン2114は、音声コマンドの使用を行うために提供されている。ユーザがアイコン2114を選択すると、
図22に示されているような画面2202が、ディスプレイ2200上に表示される。音声コマンドを与えるよう促すためであるプロンプト2204がユーザに提供される。
【0052】
上記したように、薬物送達システム100は、アラート、アラームおよび他の通知を生成することができる。これらの通知は、幾つかの実施形態によれば、車両用インフォテインメントシステムのディスプレイ上に表示される場合がある。該通知は、アプリケーション158によって、または管理デバイス104によって生成される。
図23Aは、車両用インフォテインメントシステム2300のディスプレイ2302上に表示される例示的な通知2304を示している。通知2304は、テキストコンテンツを含んでいる。この例においては、通知2304は、薬物送達デバイスのインスリン残量が50単位未満であることをユーザ108に知らせている。通知を読んだユーザ108は、「解除(Dismiss)」ボタン2306を選択することにより、通知を解除することができる。通知はまた、メッセージの優先度に応じて設定された時間の経過の後に消えてもよい。
【0053】
ユーザ108はまた、最新の通知の履歴を見ることもできる。
図23Bは、車両用インフォテインメントシステム2300のディスプレイ2312であって、最新のものにはじまり最も古いものに至る時系列順のリスト形式で編成された通知の履歴を示すディスプレイ2312を示している。もっとも、該履歴は、薬物デバイスのユーザ108の好みに基づいてソートされてもよい。各通知は、通知時刻および通知内容説明を含む。たとえば、通知2310は、午前9時に発せられ、薬物送達デバイスが4時間後に期限切れになることをユーザ108に伝えている。通知2308は、午前9時25分に発せられ、3.5単位のインスリンボーラス送達をユーザ108に伝えている。「ボーラス(BOLUS)」という語が、ユーザまたはシステムのアクションを示すために、強調して表示されている。画面2312はまた、ホーム画面に戻るためのホームボタン2314を含む。
【0054】
ユーザ108は、ハンズフリーでの操作のために、音声コマンドを使用して、グルコース表示画面への移動および該画面上での選択を行うことができる。このことは、車両の運転手にとって有用である。アプリケーション158の一部として音声アシスタントが提供されてもよいし、管理デバイス104の音声アシスタントが使用されてもよい。
図24は、例示的な実施例において表示され得る画面のシークエンスを示している。最初に、ステップ1で、画面2400が表示され、音声コマンドが起動されたことが示される。この例においては、ユーザは、240
4に示されているように、自分の最新のグルコースレベル読取値を尋ねている。音声アシスタントは、ステップ2で、画面240
2を生成し音声コマンドの受信を確認する。次に、ステップ3で、グルコース表示画面2406が表示される。
図24の例においては、ステップ4で、ユーザ108は、上記したように、ボタンを使用してビューの期間を選択することができる。ステップ5では、画面2410に示されているように、ユーザがシステム上の「オムニポッドに尋ねる(Ask Omnipod)」ボタンを選択することによって音声アシスタントを開始した後に、音声アシスタントが音声コマンドを待っているという内容のプロンプトが表示される。ユーザ108は、2412で示されているように、ホーム画面に遷移するための音声コマンドを発する。ステップ6で、音声アシスタントは、画面2414を生成し、音声コマンドの受信を確認する。ステップ7で、ホーム画面2416が表示される。
【0055】
上記したように、ユーザ108は、音声コマンドを使用して、薬物ボーラス送達を行わせることができる。
図25は、8つのステップで構成された画面のシークエンスで、音声によるアシストを受けたボーラスのシークエンスを説明するものである。最初に、ユーザは、画面2500で音声コマンドを起動し、25gの炭水化物値に伴うボーラスを計算する要求2502を提出する。ステップ2で、画面2504の音声アシスタントは、ユーザ108によって提供された音声コマンドを受け取ったことを知らせる。ステップ3では、画面2506が表示され、アプリケーション158がインスリンボーラスを計算する方法の説明が行われる。計算は、上記した通りに実行される。ステップ4で、音声アシスタントは、計算されたボーラス値を、音声コマンドまたは画面上のボタンを使用して確認するようユーザ108に求める(画面2508のメッセージ2510を参照)。ステップ4で、ユーザ108が計算されたボーラス値を確認した後、画面2512の音声アシスタントは、ステップ5の一部として、確認コードを入力してインスリンボーラス送達を確認するようユーザ108に求める。例においては、ユーザはパスコード「1234」を入力している(2514を参照)。ステップ6では、画面2516で示されているように、音声アシスタントは、ボーラスが適切なパスコードで確認されたことを示す表示を提供する。ステップ7では、画面2518が表示され、ボーラスが進行中であることを示し、かつ、ボーラスの投与量を指定する。示されている例においては、ステータスバー2520が表示されている。ユーザ108は、キャンセルボタンを選択することによってボーラスをキャンセルする能力を有する。最後に、ステップ8において、ボーラス送達が完了したことを受け、システムはホーム画面2522に戻る。残存インスリン値は、送達されたインスリンボーラスを反映して更新される。
【0056】
アプリケーション158は、GPSデータといった、ジオロケーション情報またはジオポジショニング情報を用い、ユーザを助けることができる。この情報は、スマートウォッチ130または車両用インフォテインメントシステムと共に使用されることもある。たとえば、車両用インフォテインメントシステムにおいては、
図26に示されているように、アプリケーション158は、ジオロケーションサービスに基づいて、ユーザ108が運動の際のルーチンルート上にいることに気づき得る。次に、音声アシスタントが、ディスプレイ2600上に表示されている画面2602上に、メッセージ2604を表示する。メッセージ2604は、ユーザが運動中であると思われることに言及しつつ、ユーザがグルコースレベルの逸脱を回避すべく運動時に好適なインスリン送達のモードに入ることを希望している場合には、ユーザの要求に従うようシステムを促すものである。ユーザ108は、音声コマンドを介して、またはタッチスクリーンを介して、保護インスリン送達モードを容認または拒否することができる。
【0057】
より一般的には、アプリケーション158は、GPSおよび地図情報といった、ジオロケーション情報を活用して、ユーザ108を助けることができる。
図27に示されているように、フローチャート2700の2702で、該アプリケーションは、車両または管理デバイス104のいずれかを介して、自動車およびユーザ108の現在の位置に関するGPS情報を受信することができる。そのGPS情報は、2704で、既知のGPSデータと比較され、合致するものがあるかどうか確認される。たとえば、該GPSデータのシークエンスが、ユーザがレストランに行くときのルートに対応しているという場合がある。その際、アプリケーション158は、ユーザ108に、食事を摂取するつもりであるかどうか、および、食事に好適なインスリン送達モードへの移行を希望するかどうかを尋ね得る。同様にして、GPSデータは、代わりに、車がもはや動いていないこと、および車がレストランの場所に対応していることを示すこともある。ユーザが食事を摂取するかどうかに関するプロンプトが、上記同様に与えられ得る。一般に、該アプリケーションは、2706で、ある行為に関連付けられた位置情報との合致が見出される場合、アクションを起こすことができる。合致するものが見出されない限り、アクションは起こされない。アプリケーション158は、インスリンコントローラの決定を行うために情報を使用することをアプリケーション158に許可した他のスマートフォンアプリケーションを活用することもできる。たとえば、ユーザがモバイルアプリケーションの注文プラットフォームを介して飲食物の注文を決定した場合、アプリケーション158は、炭水化物、カロリー、脂肪、または他の値といった関連情報を読取り、ユーザのインスリン管理ボーラス計算に自動的に追加する場合がある。ユーザは、この情報を直ちに使用して、ボーラス送達を行うことを、または設定された時間に基づいて処理を遅延することを、決定することができる。ボーラスの実行が遅延された場合には、システムは、タイマーが満了したときに、ボーラス送達を確認するようユーザに対して促すのである。
【0058】
例示的な実施形態が本明細書に記載されているが、添付の請求項の意図する範囲から逸脱することなく、その例示的な実施形態に対する形態および詳細における種々の変更がなされ得る。
なお、本開示には、以下の態様も含まれる。
〔態様1〕
スマートウォッチのプロセッサによって実行される方法であって、
前記スマートウォッチのディスプレイ上に、薬物送達デバイスに薬物ボーラスを要求するためのユーザインターフェース要素を表示することと、
前記ユーザインターフェース要素が、薬物ボーラスを前記薬物送達デバイスのユーザに対して送達することを要求するために使用されたことを判定することと、
前記判定することに応答して、前記薬物ボーラスを前記ユーザに対して送達するように前記薬物送達デバイスに指示することと、
を含む、方法。
〔態様2〕
前記薬物が、インスリン、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬、またはプラムリンチドのうち少なくとも1つを含む、態様1記載の方法。
〔態様3〕
前記ユーザに対する前記薬物ボーラスの投与量を決定することをさらに含む、態様1記載の方法。
〔態様4〕
前記投与量を決定することが、前記投与量を決定することのための情報を得るために、前記スマートウォッチの前記ディスプレイ上にプロンプトを表示することを含む、態様3記載の方法。
〔態様5〕
前記プロンプトが、炭水化物量を要求する、態様4記載の方法。
〔態様6〕
前記スマートウォッチの前記ディスプレイ上に、前記ユーザが食事を摂取すべき時間のリマインダを表示することをさらに含む、態様1記載の方法。
〔態様7〕
ディスプレイを有するスマートウォッチのプロセッサによって実行される方法であって、
ユーザの分析物測定履歴および薬物送達履歴を取得することと、
前記分析物測定履歴から得た過去の分析物測定値の表示、および/または前記薬物送達履歴中にある薬物送達に関する情報のうち少なくとも1つを、前記ディスプレイ上に表示することと、
を含む、方法。
〔態様8〕
前記薬物がインスリンであり、前記分析物測定値がグルコース濃度値である、態様7記載の方法。
〔態様9〕
前記ユーザによるケアを受けている集団に関する情報にアクセスするためのユーザインターフェース要素を、前記ディスプレイ上に表示することをさらに含む、態様7記載の方法。
〔態様10〕
前記ユーザによる動きを検出することと、それに応答して、前記ユーザを保護すべく動作モードを変更するという、前記ユーザのためのオプションを表示することをさらに含む、態様7記載の方法。
〔態様11〕
車両用インフォテインメントシステムのプロセッサによって実行される方法であって、
前記車両用インフォテインメントシステムのディスプレイ上に、薬物送達デバイスに薬物ボーラスを要求するためのユーザインターフェース要素を表示することと、
前記ユーザインターフェース要素が、薬物ボーラスを前記薬物送達デバイスのユーザに対して送達することを要求するために使用されたことを判定することと、
前記判定することに応答して、前記薬物ボーラスを前記ユーザに対して送達するように前記薬物送達デバイスに指示することと、
を含む、方法。
〔態様12〕
前記薬物が、インスリン、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬、またはプラムリンチドのうち少なくとも1つを含む、態様11記載の方法。
〔態様13〕
前記ユーザに対する前記薬物ボーラスの投与量を決定することをさらに含む、態様11記載の方法。
〔態様14〕
前記投与量を決定することが、前記投与量を決定することのための情報を得るために、プロンプトを出力することを含む、態様13記載の方法。
〔態様15〕
前記プロンプトが、炭水化物量を要求する、態様14記載の方法。
〔態様16〕
前記ユーザが、前記プロンプトに対して口頭での応答を行う、態様14記載の方法。
〔態様17〕
ディスプレイを有する車両用インフォテインメントシステムのプロセッサによって実行される方法であって、
ユーザの分析物測定履歴および薬物送達履歴を取得することと、
前記分析物測定履歴から得た過去の分析物測定値の表示、および/または前記薬物送達履歴における薬物送達に関する情報のうち少なくとも1つを、前記車両用インフォテインメントシステムの前記ディスプレイ上に表示することと、
を含む、方法。
〔態様18〕
前記薬物がインスリンであり、前記分析物測定値がグルコース濃度値である、態様17記載の方法。
〔態様19〕
前記車両用インフォテインメントシステムを介し、アラーム、アラートまたは通知を前記ユーザに対して出力することをさらに含む、態様17記載の方法。
〔態様20〕
前記出力することが、前記車両用インフォテインメントシステムの前記ディスプレイ上に情報を表示することによって、または音声出力を生成することによって、前記アラーム、アラートまたは通知を出力することを含む、態様19記載の方法。