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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】冷却モジュール及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20250409BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20250409BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 B
H05K7/20 H
H05K7/20 G
H05K7/20 D
H05K7/20 R
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024124306
(22)【出願日】2024-07-31
【審査請求日】2024-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 聡伸
(72)【発明者】
【氏名】森脇 隆久
(72)【発明者】
【氏名】鶴身 侑大
(72)【発明者】
【氏名】星野 鷹典
(72)【発明者】
【氏名】尾上 祐介
【審査官】漆原 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-186865(JP,A)
【文献】国際公開第2023/199796(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/20
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の筐体の内部に搭載される冷却モジュールであって、
ヒートパイプと、
相互間に空気が流通する複数の第1フィンを有し、前記ヒートパイプと接続された第1ヒートシンクと、
吐出口を有し、前記吐出口が前記第1ヒートシンクに対向配置されたファンと、
を備え、
前記ファンは、
前記電子機器の筐体とは別体に構成され、一側面に前記吐出口が設けられたファン筐体と、
前記ファン筐体内で回転するインペラと、
前記ファン筐体内で前記インペラの周囲に設けられたメイン流路と、
前記ファン筐体内で前記メイン流路から分岐し、前記メイン流路との間が仕切り壁で仕切られたサブ流路と、
前記ファン筐体内で前記サブ流路に設けられ、前記ヒートパイプの前記第1ヒートシンクに対する第1接続部とは異なる位置に対して熱的に接続された第2ヒートシンクと、
を有し、
前記第1ヒートシンクは、前記ファン筐体外で前記吐出口に面して配置されている
ことを特徴とする冷却モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の冷却モジュールであって、
前記ヒートパイプは、
前記第1ヒートシンクの長手方向に沿って延びる前記第1接続部と、
前記第1接続部から屈曲し、前記ファン筐体の前記一側面と交差する側面に沿って延びると共に、前記サブ流路と上下にオーバーラップして配置されることで、前記第2ヒートシンクと熱的に接続された第2接続部と、
を有する
ことを特徴とする冷却モジュール。
【請求項3】
電子機器に搭載される冷却モジュールであって、
ヒートパイプと、
相互間に空気が流通する複数の第1フィンを有し、前記ヒートパイプと接続された第1ヒートシンクと、
吐出口を有し、前記吐出口が前記第1ヒートシンクに対向配置されたファンと、
を備え、
前記ファンは、
一側面に前記吐出口が設けられたファン筐体と、
前記ファン筐体内で回転するインペラと、
前記ファン筐体内で前記インペラの周囲に設けられたメイン流路と、
前記ファン筐体内で前記メイン流路から分岐し、前記メイン流路との間が仕切り壁で仕切られたサブ流路と、
前記サブ流路に設けられ、前記ヒートパイプの前記第1ヒートシンクに対する第1接続部とは異なる位置に対して熱的に接続された第2ヒートシンクと、
を有し、
前記第2ヒートシンクは、前記サブ流路での空気の流通方向に沿って延び、相互間に空気が流通する複数の第2フィンを有し、
前記第2ヒートシンクでの前記第2フィン相互間のピッチは、前記第1ヒートシンクでの前記第1フィン相互間のピッチよりも大きい
ことを特徴とする冷却モジュール。
【請求項4】
請求項3に記載の冷却モジュールであって、
前記第2フィンは、前記空気の流通方向に沿う長さが前記第1フィンよりも長い
ことを特徴とする冷却モジュール。
【請求項5】
電子機器に搭載される冷却モジュールであって、
ヒートパイプと、
相互間に空気が流通する複数の第1フィンを有し、前記ヒートパイプと接続された第1ヒートシンクと、
吐出口を有し、前記吐出口が前記第1ヒートシンクに対向配置されたファンと、
を備え、
前記ファンは、
一側面に前記吐出口が設けられたファン筐体と、
前記ファン筐体内で回転するインペラと、
前記ファン筐体内で前記インペラの周囲に設けられたメイン流路と、
前記ファン筐体内で前記メイン流路から分岐し、前記メイン流路との間が仕切り壁で仕切られたサブ流路と、
前記サブ流路に設けられ、前記ヒートパイプの前記第1ヒートシンクに対する第1接続部とは異なる位置に対して熱的に接続された第2ヒートシンクと、
を有し、
前記第2ヒートシンクは、前記サブ流路での空気の流通方向に沿って延び、相互間に空気が流通する複数の第2フィンを有し、
前記仕切り壁は、前記第2フィンで形成されている
ことを特徴とする冷却モジュール。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の冷却モジュールであって、
前記仕切り壁は、前記吐出口から前記メイン流路での空気の流通方向とは逆方向に向かって突出するように設けられ、その先端が前記サブ流路の前記メイン流路からの分岐口の一縁部を形成している
ことを特徴とする冷却モジュール。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の冷却モジュールであって、
前記仕切り壁は、前記吐出口から前記メイン流路での空気の流通方向に向かって突出するように設けられ、その先端が前記サブ流路の前記メイン流路からの分岐口の一縁部を形成している
ことを特徴とする冷却モジュール。
【請求項8】
電子機器に搭載される冷却モジュールであって、
ヒートパイプと、
相互間に空気が流通する複数の第1フィンを有し、前記ヒートパイプと接続された第1ヒートシンクと、
吐出口を有し、前記吐出口が前記第1ヒートシンクに対向配置されたファンと、
を備え、
前記ファンは、
一側面に前記吐出口が設けられたファン筐体と、
前記ファン筐体内で回転するインペラと、
前記ファン筐体内で前記インペラの周囲に設けられたメイン流路と、
前記ファン筐体内で前記メイン流路から分岐し、前記メイン流路との間が仕切り壁で仕切られたサブ流路と、
前記サブ流路に設けられ、前記ヒートパイプの前記第1ヒートシンクに対する第1接続部とは異なる位置に対して熱的に接続された第2ヒートシンクと、
を有し、
前記仕切り壁は、前記吐出口から前記メイン流路での空気の流通方向に向かって突出するように設けられ、その先端が前記サブ流路の前記メイン流路からの分岐口の一縁部を形成しており、
前記ファンは、
前記仕切り壁の基端から前記メイン流路に張り出すように設けられた第1舌部と、
前記第1舌部と前記分岐口を挟んで反対側に位置し、前記ファン筐体の内周面から前記メイン流路に張り出すように設けられた第2舌部と、
を有する
ことを特徴とする冷却モジュール。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の冷却モジュールであって、
前記ファン筐体は、前記サブ流路の一面を閉じる金属製のカバープレートを有し、
前記第2ヒートシンクは、前記カバープレートの内面に固定され、
前記ヒートパイプは、前記カバープレートの外面に接続されている
ことを特徴とする冷却モジュール。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の冷却モジュールであって、
前記ファン筐体は、前記サブ流路の一面が前記ヒートパイプによって閉じられており、
前記第2ヒートシンクは、前記ヒートパイプに固定されている
ことを特徴とする冷却モジュール。
【請求項11】
電子機器であって、
筐体と、
前記筐体内に設けられた発熱体と、
相互間に空気が流通する複数の第1フィンを有する第1ヒートシンクと、吐出口が前記第1ヒートシンクに対向配置されたファンと、一端部が前記発熱体と熱的に接続され、他端部が前記第1ヒートシンクに接続されたヒートパイプと、を有し、前記筐体の内部に搭載された冷却モジュールと、
を備え、
前記ファンは、
前記筐体とは別体に構成され、一側面に前記吐出口が設けられたファン筐体と、
前記ファン筐体内で回転するインペラと、
前記ファン筐体内で前記インペラの周囲に設けられたメイン流路と、
前記ファン筐体内で前記メイン流路から分岐し、前記メイン流路との間が仕切り壁で仕切られたサブ流路と、
前記ファン筐体内で前記サブ流路に設けられ、前記ヒートパイプの前記第1ヒートシンクに対する第1接続部とは異なる位置に対して熱的に接続された第2ヒートシンクと、
を有し、
前記第1ヒートシンクは、前記ファン筐体外で前記吐出口に面して配置されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項12】
請求項11に記載の電子機器であって、
前記筐体は、前記第1ヒートシンクと対向する排気口を有し、
前記ヒートパイプは、
前記第1ヒートシンクの長手方向に沿って延びる前記第1接続部と、
前記第1接続部から屈曲し、前記ファン筐体の前記一側面と交差する側面に沿って延びると共に、前記サブ流路と上下にオーバーラップして配置されることで、前記第2ヒートシンクと熱的に接続された第2接続部と、
を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項13】
電子機器であって、
筐体と、
前記筐体内に設けられた発熱体と、
相互間に空気が流通する複数の第1フィンを有する第1ヒートシンクと、吐出口が前記第1ヒートシンクに対向配置されたファンと、一端部が前記発熱体と熱的に接続され、他端部が前記第1ヒートシンクに接続されたヒートパイプと、を有する冷却モジュールと、
を備え、
前記ファンは、
一側面に前記吐出口が設けられたファン筐体と、
前記ファン筐体内で回転するインペラと、
前記ファン筐体内で前記インペラの周囲に設けられたメイン流路と、
前記ファン筐体内で前記メイン流路から分岐し、前記メイン流路との間が仕切り壁で仕切られたサブ流路と、
前記サブ流路に設けられ、前記ヒートパイプの前記第1ヒートシンクに対する第1接続部とは異なる位置に対して熱的に接続された第2ヒートシンクと、
を有し、
前記第2ヒートシンクは、前記サブ流路での空気の流通方向に沿って延び、相互間に空気が流通する複数の第2フィンを有し、
前記第2ヒートシンクでの前記第2フィン相互間のピッチは、前記第1ヒートシンクでの前記第1フィン相互間のピッチよりも大きい
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンを備える冷却モジュール及び該冷却モジュールを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型PCのような電子機器はCPU等の発熱体を搭載している。このような電子機器は筐体内に冷却モジュールを搭載し、発熱体が発生する熱を吸熱して外部に放熱する。例えば特許文献1には、発熱体であるCPUと、ファンの吐出口に対向配置されたヒートシンクとの間をヒートパイプで接続した構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第7097477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなヒートシンクは、ファンの吐出口の幅方向に沿って等間隔に並列された複数のフィンを有する。吐出口から吐出された空気は、フィン相互間の隙間を通過することでヒートシンクを冷却する。
【0005】
ところで、上記のような電子機器は、筐体の薄型化及び小型化のために筐体内のスペースが限られている。このためヒートシンクはファンの風量に対して余裕を持った大型のものを搭載することが難しく、十分な熱交換性能を確保できない場合がある。冷却モジュールは、ヒートシンクでの放熱が十分でない場合は冷却能力が制限され、CPU等のパフォーマンス低下の要因にもなる。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、冷却性能を向上することができる冷却モジュール及び該冷却モジュールを備える電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る冷却モジュールは、電子機器に搭載される冷却モジュールであって、ヒートパイプと、相互間に空気が流通する複数の第1フィンを有し、前記ヒートパイプと接続された第1ヒートシンクと、吐出口を有し、前記吐出口が前記第1ヒートシンクに対向配置されたファンと、を備え、前記ファンは、一側面に前記吐出口が設けられたファン筐体と、前記ファン筐体内で回転するインペラと、前記ファン筐体内で前記インペラの周囲に設けられたメイン流路と、前記ファン筐体内で前記メイン流路から分岐し、前記メイン流路との間が仕切り壁で仕切られたサブ流路と、前記サブ流路に設けられ、前記ヒートパイプの前記第1ヒートシンクに対する第1接続部とは異なる位置に対して熱的に接続された第2ヒートシンクと、を有する。
【0008】
本発明の第2態様に係る電子機器は、筐体と、前記筐体内に設けられた発熱体と、相互間に空気が流通する複数の第1フィンを有する第1ヒートシンクと、吐出口が前記第1ヒートシンクに対向配置されたファンと、一端部が前記発熱体と熱的に接続され、他端部が前記第1ヒートシンクに接続されたヒートパイプと、を有する冷却モジュールと、を備え、前記ファンは、一側面に前記吐出口が設けられたファン筐体と、前記ファン筐体内で回転するインペラと、前記ファン筐体内で前記インペラの周囲に設けられたメイン流路と、前記ファン筐体内で前記メイン流路から分岐し、前記メイン流路との間が仕切り壁で仕切られたサブ流路と、前記サブ流路に設けられ、前記ヒートパイプの前記第1ヒートシンクに対する第1接続部とは異なる位置に対して熱的に接続された第2ヒートシンクと、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記態様によれば、冷却性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係る電子機器を上から見下ろした模式的な平面図である。
図2図2は、筐体の内部構造を模式的に示す平面図である。
図3図3は、冷却モジュールを下面側から見た模式的な構成図である。
図4図4は、図3に示す冷却モジュールを上面側から見た模式的な構成図である。
図5図5は、冷却モジュールのファン及びその周辺部での斜視図である。
図6図6は、図5に示すファン及びその周辺部での分解斜視図である。
図7図7は、冷却モジュールのファン及びその周辺部での模式的な平面断面図である。
図8図8は、第1変形例に係る冷却モジュールのファン及びその周辺部での模式的な平面断面図である。
図9図9は、第2変形例に係る冷却モジュールのファン及びその周辺部での分解斜視図である。
図10図10は、第3変形例に係る冷却モジュールのファン及びその周辺部での模式的な平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る冷却モジュール及び電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を上から見下ろした模式的な平面図である。図1に示すように、本実施形態の電子機器10は、クラムシェル型のノート型PCである。電子機器10は、蓋体11と筐体12をヒンジ14で相対的に回動可能に連結した構成である。本実施形態ではノート型PCの電子機器10を例示しているが、電子機器はノート型PC以外、例えばタブレット型PC、スマートフォン、又は携帯用ゲーム機等でもよい。
【0013】
蓋体11は、薄い扁平な箱状の筐体である。蓋体11はディスプレイ16を搭載している。ディスプレイ16は、例えば有機ELディスプレイや液晶ディスプレイである。
【0014】
筐体12は、薄い扁平な箱体である。筐体12の上面(表面12a)にはキーボード装置18及びタッチパッド19が臨んでいる。以下、筐体12及びこれに搭載された各構成要素について、オペレータがキーボード装置18を操作する姿勢を基準とし、筐体12の幅方向(左右)をそれぞれX1,X2方向、筐体12の奥行方向(前後)をそれぞれY1,Y2方向、筐体12の厚み方向(上下)をそれぞれZ1,Z2方向と呼んで説明する。X1,X2方向をまとめてX方向と呼ぶこともあり、Y1,Y2方向及びZ1,Z2方向についても同様にY方向、Z方向と呼ぶことがある。これら各方向は、説明の便宜上定めた方向であり、電子機器10の使用状態又は設置姿勢等によって変化する場合も当然にあり得る。
【0015】
筐体12は、上面及び四周側面を形成する筐体部材20と、下面を形成するカバー材21とで構成されている。筐体部材20は、筐体12の表面12aを形成するカバープレート20Aの四周縁部に立壁20Bを形成したものである。このため筐体部材20は下面が開口した略バスタブ形状を有する。カバー材21は略平板形状を有し、筐体部材20の下面開口を閉じる蓋となる。筐体部材20及びカバー材21は厚み方向に重ね合わされて互いに着脱可能に連結される。立壁20Bはカバー材21に形成してもよい。この場合、筐体部材20はカバープレート20Aのみで構成されるとよい。
【0016】
ヒンジ14は、筐体12の後縁部に形成された凹状のヒンジ配置溝12bに設置され、筐体12と蓋体11とを連結する。ヒンジ14は、例えば回転軸となるヒンジシャフトをヒンジ筐体14aの長手方向の両端部にそれぞれ支持した構造である。本実施形態のヒンジ14は、ヒンジ筐体14aがヒンジ配置溝12bの長手方向に沿って延在した、いわゆるワンバー形状に構成されている。ヒンジ14は、ヒンジ筐体14bが蓋体11と一体となって回転しつつ斜め後方へと下降する。ヒンジ14は、このようにして蓋体11の回動角度を稼ぐ構造、いわゆるドロップダウン構造である。ヒンジ14の構造は上記以外でもよい。
【0017】
図2は、筐体12の内部構造を模式的に示す平面図である。図2は、カバー材21を取り外して筐体部材20の内部を下面側から見た図である。
【0018】
図2に示すように、筐体12の内部には、冷却モジュール24と、マザーボード25と、バッテリ装置26とが収容されている。筐体12の内部には、さらに各種の電子部品や機械部品等が設けられる。
【0019】
マザーボード(基板)25は、電子機器10のメインボードとなる回路基板である。マザーボード25は、筐体12のY2側寄りに配置され、X方向に延在している。バッテリ装置26は、電子機器10の電源となる充電池である。バッテリ装置26は、マザーボード25のY1側寄りに配置され、X方向に延在している。
【0020】
本実施形態のマザーボード25は、CPU(Central Processing Unit)25aを実装している。マザーボード25は、CPU25a以外にも、各種の電子部品、例えばGPU(Graphics Processing Unit)、メモリ、通信モジュール等を実装することができる。
【0021】
マザーボード25は、例えば上面(第1面25A)が筐体部材20に対する取付面となり、下面(第2面25B)がCPU25a等の実装面となる。
【0022】
次に、冷却モジュール24の構成例を説明する。
【0023】
CPU25aは、筐体12内に搭載された電子部品中で最大級の発熱量の発熱体である。冷却モジュール24は、CPU25aが発生する熱を吸熱及び拡散し、筐体12外へと排出することができる。冷却モジュール24は、CPU25a以外の発熱体、例えばGPU等を冷却するように構成してもよい。
【0024】
図3は、冷却モジュール24を下面側(Z2側)から見た模式的な構成図である。図4は、図3に示す冷却モジュール24を上面側(Z1側)から見た模式的な構成図である。
【0025】
図2図4に示すように、本実施形態の冷却モジュール24は、ヒートパイプ28と、第1ヒートシンク30と、ファン32と、金属プレート34とを備える。
【0026】
ヒートパイプ28はパイプ型の熱輸送デバイスである。ヒートパイプ28は、金属パイプを薄く扁平に潰して断面楕円形状に形成し、内側の密閉空間に作動流体を封入した構成である。作動流体としては、水、代替フロン、アセトン又はブタン等を例示できる。
【0027】
ヒートパイプ28の一端部28aは、CPU25aに対して熱的に接続される受熱部となる。一端部28aとCPU25aとの間には、例えば銅プレート等で形成された受熱板36を介在させることができる。ヒートパイプ28の他端部28bは、第1ヒートシンク30に対して熱的に接続される放熱部となる。他端部28bは、例えば第1ヒートシンク30の表面(Z2側面)にはんだ付け等で固定される。これによりヒートパイプ28は、CPU25aの熱を効率よく受け取り、第1ヒートシンク30へと効率よく輸送することができる。本実施形態のヒートパイプ28は、さらにファン32内に設置された第2ヒートシンク54とも熱交換するが(図5参照)、詳細は後述する。
【0028】
第1ヒートシンク30は、薄い金属プレートで形成された複数枚のフィン(第1フィン)30aを長手方向(Y方向)に等間隔に並べた構造である。各フィン30aはZ方向に起立し、X方向に延在している。隣接するフィン30a,30aの相互間には、ファン32から送られた空気が通過する隙間が形成されている。各フィン30aはアルミニウム又は銅のような高い熱伝導率を有する金属で形成されている。第1ヒートシンク30は、ファン32のY2側の側面40aに設けられた吐出口42に対向配置される。筐体12は、第1ヒートシンク30に面したX1側の立壁20Bに排気口38が開口形成されている。
【0029】
ファン32は、ファン筐体40内に収容したインペラ41をモータによって回転させる遠心ファンである(図7参照)。ファン32はファン筐体40のX1側の側面(一側面)40aに吐出口42を有する。吐出口42は第1ヒートシンク30に近接し、対向している。ファン32は、ファン筐体40のZ方向を向いた上下の端面40b,40cのうち、少なくともZ2側の端面40cに吸込口43を有する。吸込口43はZ1側の端面40bにも設けることができる。端面40b,40cは、側面40aと直交し、さらにインペラ41の回転軸の軸方向と直交する面である。吸込口43は、例えば筐体12の底面(下面)を形成するカバー材21に開口形成された吸気口から外気を吸い込む。
【0030】
金属プレート34は、銅又はアルミニウム等の熱伝導率が高い金属で形成された薄いプレートである。金属プレート34はファン32のX2側に隣接し、マザーボード25の第2面25Bを覆うように配置される。これにより金属プレート34はマザーボード25に実装されたCPU25a及び他の発熱体の熱を吸熱して拡散する熱拡散部材として機能する。金属プレート34は、例えばヒートパイプ28を板厚方向(Z方向)に貫通させる繰り抜き孔34aを有する。ヒートパイプ28の一端部28aは繰り抜き孔34aを通して受熱板36と接続される。金属プレート34が受熱板36と上下にオーバーラップする部分の周辺には、X方向に延びた帯板状の板ばね46が取り付けられている。板ばね46は、Y方向で一対設けられる。板ばね46は、受熱板36及びこれに接続されたヒートパイプ28の一端部28aをCPU25aに対して押し付ける部品である。
【0031】
次に、ファン32及びその周辺部のより具体的な構成例を説明する。
【0032】
図5は、冷却モジュール24のファン32及びその周辺部での斜視図である。図6は、図5に示すファン32及びその周辺部での分解斜視図である。図5及び図6はインペラ41の図示を省略している。図5はカバープレート49を分解して図示している。図7は、冷却モジュール24のファン32及びその周辺部での模式的な平面断面図である。図7は吸込口43の図示を省略している。
【0033】
図5図7に示すように、ファン筐体40は、外周側面を形成する側壁部材48と、側壁部材48の上下面の開口を閉じるカバープレート49,50とを有する。
【0034】
側壁部材48は、例えば金属又は樹脂で形成され、略C字状に湾曲した薄いプレート状部材である。側壁部材48は、吐出口42となる側面40aを除いてファン筐体40の外周を囲んでいる。カバープレート49,50は、例えばステンレス等の金属で形成された薄いプレート状部材である。カバープレート49は側壁部材48のZ1側の開口を閉じる蓋であり、端面40bを形成する。カバープレート50は側壁部材48のZ2側の開口を閉じる蓋であり、端面40cを形成する。吸込口43はカバープレート50に形成されている。
【0035】
図7に示すように、ファン筐体40の内部には、メイン流路51と、サブ流路52とが設けられている。
【0036】
メイン流路51は、インペラ41の周囲に設けられた空気流路である。メイン流路51は一般的な遠心ファンの内部に設けられる流路に相当する。インペラ41は図7中で反時計回りに回転する。図7中に1点鎖線で示す矢印は空気の流れを模式的に示したものである。側壁部材48は、サブ流路52側と反対側(Y1側)の内周面から舌部48aが突出している。メイン流路51は、吸込口43から導入された外部の空気A1を、最も上流の舌部48a付近から最も下流にある吐出口42まで流通させる流路である。空気A1は最後は吐出口42から外部に吐出される。図5及び図6では舌部48aの図示を省略しており、図9も同様である。
【0037】
サブ流路52は、ファン筐体40内でメイン流路51から分岐し、メイン流路51との間が仕切り壁52aで仕切られた空気流路である。サブ流路52は、側壁部材48の舌部48aとは反対側(Y2側)の内周面48bと、仕切り壁52aとの間に形成されている。吐出口42はメイン流路51からサブ流路52まで跨るようにY方向に延在しており、第1ヒートシンク30も同様である。サブ流路52は、メイン流路51での空気A2の流通方向で吐出口42よりも上流側の位置に臨んで開口した分岐口(入口)52bを有することができる。サブ流路52の出口は吐出口42となる。仕切り壁52aは、吐出口42からメイン流路51での空気A1の流通方向(略X1方向)とは逆方向に向かって突出するように設けられている。仕切り壁52aの先端52a1は分岐口52bの一縁部を形成する。つまりサブ流路52の分岐口52bは、先端52a1と、これと対向位置にある側壁部材48の内周面との間に形成された隙間である。
【0038】
サブ流路52は、分岐口52bから吐出口42に向かって内周面48bを形成するファン筐体40の側面40dに沿うように延在している。これによりサブ流路52は、分岐口52bから導入される空気A1の一部(空気A2)を吐出口42まで流通させ、吐出口42から外部に吐出することができる。つまりサブ流路52はファン筐体40内でメイン流路51からバイパスしたダクト流路である。
【0039】
サブ流路52には第2ヒートシンク54が設けられている。
【0040】
第2ヒートシンク54は、サブ流路52を流れる空気A2とヒートパイプ28とを熱交換させる部品である。第2ヒートシンク54は、薄い金属プレートで形成された複数枚のフィン(第2フィン)54aを並べた構造である。本実施形態の第2ヒートシンク54は2枚のフィン54a,54aを有する。各フィン54aはZ方向に起立し、サブ流路52での空気A2の流通方向に沿って延在している。フィン54a,54aの相互間には、ファン32から送られた空気A2が通過する隙間が形成されている。Y2側のフィン54aと内周面48bとの間にも空気A2が通過する隙間が形成されている。フィン54aは1枚でもよいし、3枚以上でもよい。図7に示す構成例では、第2ヒートシンク54の一方のフィン54aが仕切り壁52aを構成している。すなわち仕切り壁52aはフィン54aで形成されている。
【0041】
本実施形態の第2ヒートシンク54は、2枚のフィン54a,54aの一端面(Z2側端面)同士が底プレート54bで一体的に形成されることができる。すなわち第2ヒートシンク54は断面略U字状の樋形状を有する板金部材で構成することができる。これにより第2ヒートシンク54は、底プレート54bを介してカバープレート50の内面50bに容易に固定できる。第2ヒートシンク54は、例えばはんだ付けで内面50bに固定される。各フィン54a及び底プレート54bはアルミニウム又は銅のような高い熱伝導率を有する金属で形成されている。
【0042】
第2ヒートシンク54はヒートパイプ28と熱的に接続される。ヒートパイプ28は、第1ヒートシンク30に対する接続部である他端部28bとは異なる位置が第2ヒートシンク54と熱的に接続される。以下、他端部28bを「第1接続部28b」と呼ぶこともある。ヒートパイプ28は、Y方向に延びる第1接続部28bからX2方向へと屈曲し、側面40dに沿って略X方向に延びる部分がサブ流路52と上下にオーバーラップして配置される。ヒートパイプ28は、サブ流路52の一面(Z2側開口)を閉じるカバープレート50の外面(端面40c)に接続される。これによりヒートパイプ28はカバープレート50を介して第2ヒートシンク54と熱的に接続される。ヒートパイプ28は、例えばはんだ付けでカバープレート50の外面に固定される。以下、ヒートパイプ28の端面40cに接続される部分、つまり第2ヒートシンク54と熱的に接続される部分を「第2接続部28c」と呼ぶ。
【0043】
カバープレート50は、第2接続部28cが接続される部分に段差部50aを形成してもよい(図5及び図6参照)。段差部50aはカバープレート50を内面50b側(Z1側)に一段下げた面である。段差部50aは、ヒートパイプ28が重ねられたことによって増大するファン筐体40の厚みを抑制するものである。
【0044】
図7に示すように、冷却モジュール24は、第2ヒートシンク54でのフィン54a,54a相互間のピッチP2が、第1ヒートシンク30でのフィン30a,30a相互間のピッチP1よりも大きいことができる。第2ヒートシンク54のフィン54aは、空気の流通方向に沿う長さが第1ヒートシンク30のフィン30aよりも長いことができる。
【0045】
次に、冷却モジュール24の冷却作用について説明する。
【0046】
電子機器10は、CPU25a等の発熱体が発生する熱はヒートパイプ28の一端部28aで吸熱され、他端部28bに向けて高効率に輸送される。ヒートパイプ28を輸送される熱は、第2接続部28cで第2ヒートシンク54に伝達され、第1接続部28bで第1ヒートシンク30に伝達される。
【0047】
ファン32は、吸込口43から吸い込んだ外気をインペラ41の回転によって吐出口42へと排出する。メイン流路51を流れる空気A1は、吐出口42から第1ヒートシンク30を通過する。その際、空気A1は第1接続部28bから第1ヒートシンク30に伝達された熱を吸熱し、排気口38から筐体12外へと排出される。
【0048】
空気A1の一部は分岐口52bからサブ流路52へと流入する。サブ流路52を流れる空気A2は第2ヒートシンク54を通過する。その際、空気A2は第2接続部28cから第2ヒートシンク54に伝達された熱を吸熱し、吐出口42及び排気口38を通過して筐体12外へと排出される。なお、吐出口42を通過した空気A2は、第1ヒートシンク30も通過するため、第1ヒートシンク30も冷却することができる。
【0049】
以上のように、本実施形態の冷却モジュール24は、ヒートパイプ28と、相互間に空気が流通する複数のフィン30aを有し、ヒートパイプ28と接続された第1ヒートシンク30と、吐出口42が第1ヒートシンク30に対向配置されたファン32とを備える。ファン32は、ファン筐体40と、インペラ41と、インペラ41の周囲に設けられたメイン流路51と、メイン流路51から分岐し、メイン流路51との間が仕切り壁52aで仕切られたサブ流路52とを有する。サブ流路52には、ヒートパイプ28の第1接続部28bとは異なる位置(第2接続部28c)に対して熱的に接続された第2ヒートシンク54が設けられている。
【0050】
従って、冷却モジュール24は、ファン32のメイン流路51を流れる空気A1で第1ヒートシンク30を冷却することができる。ここでヒートパイプ28は、第1ヒートシンク30に対する第1接続部28b以外の位置(第2接続部28c)がサブ流路52内の第2ヒートシンク54に熱的に接続されている。このため、冷却モジュール24は、さらにファン32のサブ流路52を流れる空気A2で第2ヒートシンク54を冷却することができる。これにより冷却モジュール24は、ヒートパイプ28で輸送される熱を複数のヒートシンク30,54で受熱し、それぞれを流路51,52を流れる空気で効率的に冷却できる。このため冷却モジュール24は冷却性能が向上し、電子機器10のパフォーマンスも向上できる。
【0051】
例えば一般的なノート型PCに搭載されるファンは、1cm程度の長さのフィンを有するヒートシンクに対して風速1~2m/s程度で吐出口から空気を吐出する。これを本実施形態の電子機器10に当てはめると、メイン流路51から吐出口42で吐出される空気A1は、例えば風速1~2m/s程度で第1ヒートシンク30を通過する。一方、第1ヒートシンク30の大きさは、薄型化及び小型化が必要とされる筐体12の内部スペースに収まる必要がある。このため第1ヒートシンク30は、各フィン30aのX方向長さや枚数が制限され、ファン32の風速(風量)に対して余裕のある大きさを確保することが難しい。その結果、吐出口42から吐出される空気と第1ヒートシンク30の第1接続部28bとの間での熱交換効率の向上には限界がある。このためヒートパイプ28で輸送される熱は、第1接続部28bを介して第1ヒートシンク30に伝達し、十分に放熱することは困難である。この点、当該冷却モジュール24は、第1ヒートシンク30に対する第1接続部28bとは異なる位置にある第2接続部28cを第2ヒートシンク54に接続し、これとサブ流路52を流れる空気A2とを熱交換させる。これにより冷却モジュール24はヒートパイプ28とヒートシンク30,54との間での熱交換効率及び交換熱量が増大し、冷却性能が向上する。
【0052】
ところで、サブ流路52は第2ヒートシンク54が設置されているため、メイン流路51よりも通風抵抗が大きい。通常、空気(風)は通風抵抗がある部分を避けて流れる。このため、例えば単にメイン流路51に第2ヒートシンク54を設置しただけでは、第2ヒートシンク54には空気がほとんど流れず、第2ヒートシンク54での熱交換効率は向上しない。そこで、当該冷却モジュール24は、メイン流路51とサブ流路52との間をセパレータ(仕切り壁52a)で仕切っている。これによりメイン流路51を流れる空気A1は、吐出口42よりも上流側で分岐口52bからサブ流路52へと強制的に導入される。その結果、冷却モジュール24は、サブ流路52での空気A2の流通を確保でき、第2ヒートシンク54での熱交換効率を向上させることができる。
【0053】
冷却モジュール24は、フィン54a,54a相互間のピッチP2がフィン30a,30a相互間のピッチP1よりも大きいことが好ましい。これにより第2ヒートシンク54は空気A2の通風抵抗を下げることができ、サブ流路52への空気の流入を促進できる。第2ヒートシンク54のフィン54aは、空気の流通方向に沿う長さが第1ヒートシンク30のフィン30aよりも長いことが好ましい。これにより第2ヒートシンク54はフィン54aの枚数を制限し、或いはピッチP2を拡大しつつも、空気A2との熱交換表面積を十分に確保することができる。
【0054】
当該冷却モジュール24において、ヒートパイプ28は、第1ヒートシンク30の長手方向に沿って延びる第1接続部28bと、第1接続部28bから屈曲し、ファン筐体40の側面40aと交差する側面40dに沿って延びると共に、サブ流路52と上下にオーバーラップして配置された第2接続部28cとを有することができる。すなわち図2に示すように、本実施形態の電子機器10は、筐体12のサイドの立壁20Bに排気口38を設け、これに第1ヒートシンク30を対面させている。このためヒートパイプ28は筐体12の中央付近にあるCPU25aから第1ヒートシンク30に向かう際、第2接続部28cと第1接続部28bとの間で略90度屈曲させる必要がある。つまり第2接続部28cをファン筐体40に重ねない場合、第2接続部28cの下(Z1側)にはデッドスペースを生じる。冷却モジュール24は、このようなヒートパイプ28の下のデッドスペースを利用して、ヒートパイプ28と第2ヒートシンク54とを熱交換させる構成としている。このため冷却モジュール24は筐体12内での占有スペースを実質的に増加させることなく、その冷却能力を高めることが可能となっている。第2ヒートシンク54と第2接続部28cとの接続構造は、第1接続部28bと第2接続部28cとの間が屈曲しないヒートパイプ28に対しても利用可能であることは言うまでもない。
【0055】
仕切り壁52aは、第2ヒートシンク54のフィン54aで形成することができる。そうするとファン筐体40内に仕切り壁52aを別途設ける必要がなく、部品コストが低下し、ファン32の製造効率が向上する。
【0056】
図8は、第1変形例に係る冷却モジュール24Aのファン32及びその周辺部での模式的な平面断面図である。図8において、図1図7に示される参照符号と同一の参照符号は、同一又は同様な構成を示し、このため同一又は同様な機能及び効果を奏するものとして詳細な説明を省略し、以下同様とする。
【0057】
図8に示す冷却モジュール24Aは、メイン流路51とサブ流路52とを仕切る仕切り壁52aをカバープレート50の内面50bに形成している点が、上記した冷却モジュール24と異なる。すなわち仕切り壁52aは第2ヒートシンク54のフィン54aとは別の部材で構成することもできる。冷却モジュール24Aの仕切り壁52aは、例えばステンレス、アルミニウム又は銅のような金属製のプレートで形成され、カバープレート50の内面50bに固定することができる。このように冷却モジュール24Aは、仕切り壁52aを第2ヒートシンク54とは別体に構成している。これにより冷却モジュール24Aは、例えば2枚のフィン54aの全ての表面をサブ流路52内に配置して空気A2との熱交換に利用でき、第2ヒートシンク54での熱交換効率が向上する。
【0058】
上記した冷却モジュール24(24A)では、第2ヒートシンク54は金属製のカバープレート50の内面50bにはんだ付け等で固定することができる。ヒートパイプ28の第2接続部28cは、カバープレートの外面(端面40c)にはんだ付け等で固定することができる。これにより第2ヒートシンク54はヒートパイプ28の熱を一層効率よく受け取ることができる。
【0059】
図9は、第2変形例に係る冷却モジュール24Bのファン32及びその周辺部での分解斜視図である。
【0060】
図9に示す冷却モジュール24Bのように、ファン32は、例えばカバープレート50の段差部50aを構成する部分をカットし、この部分をヒートパイプ28で塞いだ構成である。つまり冷却モジュール24Bは、サブ流路52の一面(Z2側開口)をヒートパイプ28で閉じている。この場合、第2ヒートシンク54はヒートパイプ28の表面にはんだ付け等で固定することができる。そうすると第2ヒートシンク54がヒートパイプ28の熱を直接的に受け取ることができ、相互間での熱伝達効率が一層向上する。冷却モジュール24Bは、カバープレート50の一部をヒートパイプ28で代替することで、ヒートパイプ28をファン筐体40に重ねた部分の厚みも抑制できる。一方、上記した冷却モジュール24(24A)はカバープレート50でサブ流路52の一面を閉じているため、サブ流路52の気密性を確保し易く、製造効率も高いという利点がある。
【0061】
図10は、第3変形例に係る冷却モジュール24Cのファン32及びその周辺部での模式的な平面断面図である。
【0062】
上記した冷却モジュール24(24A,24B)は、メイン流路51の再下流である吐出口42の少し上流側にサブ流路52の分岐口52bを設けている。これに対して、図10に示す冷却モジュール24Cは、メイン流路51の最上流付近にサブ流路52の分岐口52bを設けた構成である。冷却モジュール24Cのサブ流路52は、冷却モジュール24等のサブ流路52と比べて、インペラ41の回転方向に対して略180度反対側にある。冷却モジュール24Cの仕切り壁52aは、吐出口42からメイン流路51での空気A1の流通方向(略X2方向)に向かって突出するように設けられている。
【0063】
このような冷却モジュール24Cにおいても、メイン流路51を流れる空気A1で第1ヒートシンク30を冷却し、サブ流路52を流れる空気A2で第2ヒートシンク54を冷却することができる。このため冷却モジュール24は冷却性能が向上し、電子機器10のパフォーマンスも向上できる。
【0064】
冷却モジュール24Cでは、仕切り壁52aの基端にメイン流路51に向かって張り出す舌部(第1舌部)56が設けられている。冷却モジュール24Cは、さらに舌部56と分岐口52bを挟んで反対側に位置し、側壁部材48の内周面からメイン流路に張り出すように設けられた舌部(第2舌部)57を有することができる。舌部56は、図7に示す舌部48aと同様にメイン流路51の最上流を示し、空気A1の圧縮を開始するためのインペラ41の周りの隙間を詰める部材である。一方、舌部57は、通風抵抗が大きいサブ流路52の分岐口52bに空気A1をより確実に導入するための部材である。舌部57は省略されてもよい。
【0065】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
10 電子機器
12 筐体
20A,49,50 カバープレート
24,24A~24C 冷却モジュール
25 マザーボード
25a CPU
28 ヒートパイプ
30 第1ヒートシンク
30a,54a フィン
32 ファン
40 ファン筐体
41 インペラ
42 吐出口
48a,56,57 舌部
51 メイン流路
52 サブ流路
52a 仕切り壁
52b 分岐口
54 第2ヒートシンク
【要約】
【課題】冷却性能を向上する。
【解決手段】冷却モジュールは、電子機器に搭載される冷却モジュールであって、ヒートパイプと、相互間に空気が流通する複数の第1フィンを有し、前記ヒートパイプと接続された第1ヒートシンクと、吐出口を有し、前記吐出口が前記第1ヒートシンクに対向配置されたファンと、を備え、前記ファンは、一側面に前記吐出口が設けられたファン筐体と、前記ファン筐体内で回転するインペラと、前記ファン筐体内で前記インペラの周囲に設けられたメイン流路と、前記ファン筐体内で前記メイン流路から分岐し、前記メイン流路との間が仕切り壁で仕切られたサブ流路と、前記サブ流路に設けられ、前記ヒートパイプの前記第1ヒートシンクに対する第1接続部とは異なる位置に対して熱的に接続された第2ヒートシンクと、を有する。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10