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  • 特許-炭酸化セメントスラリー製造システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-08
(45)【発行日】2025-04-16
(54)【発明の名称】炭酸化セメントスラリー製造システム
(51)【国際特許分類】
   B28C 5/46 20060101AFI20250409BHJP
   C04B 40/00 20060101ALI20250409BHJP
【FI】
B28C5/46
C04B40/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024547053
(86)(22)【出願日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 JP2024000113
(87)【国際公開番号】W WO2024154603
(87)【国際公開日】2024-07-25
【審査請求日】2024-08-28
(31)【優先権主張番号】P 2023006301
(32)【優先日】2023-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162145
【弁理士】
【氏名又は名称】村地 俊弥
(72)【発明者】
【氏名】新島 瞬
(72)【発明者】
【氏名】仙石 大洋
(72)【発明者】
【氏名】寺崎 淳一
【審査官】浅野 昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0077045(US,A1)
【文献】国際公開第2014/205577(WO,A1)
【文献】特開2023-006313(JP,A)
【文献】特開2006-069860(JP,A)
【文献】米国特許第10464234(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28C 1/00-9/04
C04B 40/00-40/06
C01F 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント及び水を含むセメントスラリーを二酸化炭素含有ガスによって炭酸化してなる炭酸化セメントスラリーを製造するための炭酸化セメントスラリー製造システムであって、
上記炭酸化セメントスラリー製造システムが、上記セメントスラリーと上記二酸化炭素含有ガスを接触させるための炭酸化装置上記炭酸化装置に上記二酸化炭素含有ガスを大気圧よりも大きな圧力で供給するための二酸化炭素含有ガス供給装置、及び、上記炭酸化装置の前流側に配設された、上記セメントと上記水を混合して上記セメントスラリーを得るための混合用タンクを含み、
上記炭酸化装置が、加圧できる構造を有する密閉容器であり、上記セメントスラリーの流入口、及び、上記二酸化炭素含有ガスの流入口を有し、かつ、上記セメントスラリー及び上記二酸化炭素含有ガスを、上記セメントスラリーからなる液相の上方に上記二酸化炭素含有ガスからなる気相が位置するように収容するための炭酸化用タンクを含み、
上記セメントスラリーの流入口が、上記混合用タンク内の上記セメントスラリーを上記炭酸化用タンクに供給するためのものであることを特徴とする炭酸化セメントスラリー製造システム。
【請求項2】
上記セメントを上記混合用タンク内に投入するためのセメントの流入口、及び、上記水を上記混合用タンク内に投入するための水の流入口を含む請求項1に記載の炭酸化セメントスラリー製造システム。
【請求項3】
上記炭酸化セメントスラリー製造システムが、上記炭酸化装置と上記混合用タンクの間で上記炭酸化セメントスラリーを循環させるためのスラリー循環路を含む請求項に記載の炭酸化セメントスラリー製造システム。
【請求項4】
上記炭酸化セメントスラリー製造システムが、上記混合用タンクの後流側でかつ上記炭酸化装置の前流側に、上記セメントスラリーを貯留するための貯留用タンクを含み、かつ、上記炭酸化装置と上記貯留用タンクの間で上記炭酸化セメントスラリーを循環させるためのスラリー循環路を含む請求項1に記載の炭酸化セメントスラリー製造システム。
【請求項5】
上記炭酸化セメントスラリー製造システムが、上記炭酸化装置によって得られた上記炭酸化セメントスラリーを保管するための保管タンクを含む請求項1~のいずれか1項に記載の炭酸化セメントスラリー製造システム。
【請求項6】
上記炭酸化セメントスラリー製造システムが、上記炭酸化装置によって得られた上記炭酸化セメントスラリー中の水の一部を回収するための固液分離手段を含む請求項1~のいずれか1項に記載の炭酸化セメントスラリー製造システム。
【請求項7】
上記炭酸化セメントスラリー製造システムが、上記固液分離手段によって回収された水を、上記セメントスラリーを調製するための水の一部として用いるための水返送手段を含む請求項に記載の炭酸化セメントスラリー製造システム。
【請求項8】
上記炭酸化セメントスラリー製造システムが、上記セメントスラリー及び上記炭酸化セメントスラリーの少なくともいずれか一方の液温を調整するための液温調整手段を含む請求項1~のいずれか1項に記載の炭酸化セメントスラリー製造システム。
【請求項9】
上記炭酸化セメントスラリー製造システムが、上記セメントスラリー及び上記炭酸化セメントスラリーの少なくともいずれか一方のpHを測定するためのpH測定手段を含む請求項1~のいずれか1項に記載の炭酸化セメントスラリー製造システム。
【請求項10】
請求項1~4のいずれか1項に記載の炭酸化セメントスラリー製造システムを用いて、セメント及び水を含むセメントスラリーを二酸化炭素含有ガスによって炭酸化してなる炭酸化セメントスラリーを製造するため方法であって、
上記混合用タンク内で、上記セメントと上記水を混合して、上記セメントスラリーを得るセメントスラリー調製工程と、
上記セメントスラリーを、上記混合用タンクから、上記セメントスラリーの流入口を通って、上記炭酸化用タンクに供給し、上記セメントスラリー及び上記二酸化炭素含有ガスを、上記セメントスラリーからなる液相の上方に上記二酸化炭素含有ガスからなる気相が位置するように、上記炭酸化用タンク内に収容するセメントスラリー収容工程と、
上記気相に、上記二酸化炭素含有ガスを大気圧よりも大きな圧力で供給して、上記液相と上記気相を接触させることによって、上記セメントスラリーを炭酸化させて、炭酸化セメントスラリーを得る炭酸化セメントスラリー調製工程、
を含むことを特徴とする炭酸化セメントスラリー製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸化セメントスラリー製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の抑制のため、二酸化炭素の排出量の低減が重要な課題になっている。
これに関連して、セメント製造工場で発生する排ガス等から回収された二酸化炭素を、コンクリート等に固定化する技術が検討されている。
二酸化炭素が効率よく固定化されたコンクリートを提供することができる方法として、特許文献1には、コンクリートを製造する方法であり、セメントと水を含む第1の混合物を形成すること、前記第1の混合物に二酸化炭素を添加して第2の混合物を形成すること、および前記第2の混合物を硬化することを含み、前記水の重量は、前記コンクリートに残存する未水和セメントが0%以上50%以下になるように調整される方法が記載されている。
また、二酸化炭素を吸収したカルシウム含有粉末を用いたセメント粉末組成物の製造方法として、特許文献2には、セメントクリンカー粉末、石膏粉末、及び、炭酸化したカルシウム含有粉末を含むセメント粉末組成物を製造するための方法であって、炭酸化前の上記カルシウム含有粉末及び水を含むスラリーの中に、二酸化炭素含有ガスを供給して、炭酸化処理されたスラリーを得る炭酸化工程と、セメント製造用の仕上げミルの中に、セメントクリンカー、石膏、及び、上記炭酸化処理されたスラリーを供給して粉砕し、上記セメント粉末組成物を得る粉砕工程、を含むことを特徴とするセメント粉末組成物の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-37493号公報
【文献】特開2020-152631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、セメントスラリーに、二酸化炭素を効率的に、かつ、より多くの量で固定化することができる炭酸化セメントスラリー製造システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、セメント及び水を含むセメントスラリーを二酸化炭素含有ガスによって炭酸化してなる炭酸化セメントスラリーを製造するための炭酸化セメントスラリー製造システムであって、上記炭酸化セメントスラリー製造システムが、セメントスラリーと二酸化炭素含有ガスを接触させるための炭酸化装置、及び、炭酸化装置に二酸化炭素含有ガスを大気圧よりも大きな圧力で供給するための二酸化炭素含有ガス供給装置を含むものであり、かつ、上記炭酸化装置が、セメントスラリー及び二酸化炭素含有ガスを、セメントスラリーからなる液相の上方に二酸化炭素含有ガスからなる気相が位置するように収容するための炭酸化用タンクを含むものであれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[12]を提供するものである。
【0006】
[1] セメント及び水を含むセメントスラリーを二酸化炭素含有ガスによって炭酸化してなる炭酸化セメントスラリーを製造するための炭酸化セメントスラリー製造システムであって、上記炭酸化セメントスラリー製造システムが、上記セメントスラリーと上記二酸化炭素含有ガスを接触させるための炭酸化装置、及び、上記炭酸化装置に上記二酸化炭素含有ガスを大気圧よりも大きな圧力で供給するための二酸化炭素含有ガス供給装置を含み、上記炭酸化装置が、上記セメントスラリー及び上記二酸化炭素含有ガスを、上記セメントスラリーからなる液相の上方に上記二酸化炭素含有ガスからなる気相が位置するように収容するための炭酸化用タンクを含むことを特徴とする炭酸化セメントスラリー製造システム。
[2] 上記炭酸化装置が、上記セメントスラリーの流入口、及び、上記二酸化炭素含有ガスの流入口を有し、上記炭酸化セメントスラリー製造システムが、上記炭酸化装置の前流側に、上記セメントと上記水を混合して上記セメントスラリーを得るための混合用タンクを含む前記[1]に記載の炭酸化セメントスラリー製造システム。
[3] 上記炭酸化セメントスラリー製造システムが、上記炭酸化装置と上記混合用タンクの間で上記炭酸化セメントスラリーを循環させるためのスラリー循環路を含む前記[2]に記載の炭酸化セメントスラリー製造システム。
【0007】
[4] 上記炭酸化装置が、上記セメントの流入口、上記水の流入口、及び、上記二酸化炭素含有ガスの流入口を有する前記[1]に記載の炭酸化セメントスラリー製造システム。
[5] 上記炭酸化セメントスラリー製造システムが、上記炭酸化装置から排出された上記炭酸化セメントスラリーの一部を、上記炭酸化装置に返送して循環させるためのスラリー循環路を含む前記[4]に記載の炭酸化セメントスラリー製造システム。
[6] 上記炭酸化セメントスラリー製造システムが、上記炭酸化装置の前流側に、上記セメントと上記水を混合して上記セメントスラリーを得るための混合用タンク、及び、上記混合用タンクの後流側でかつ上記炭酸化装置の前流側に、上記セメントスラリーを貯留するための貯留用タンクを含み、かつ、上記炭酸化装置と上記貯留用タンクの間で上記炭酸化セメントスラリーを循環させるためのスラリー循環路を含む前記[1]に記載の炭酸化セメントスラリー製造システム。
【0008】
[7] 上記炭酸化セメントスラリー製造システムが、上記炭酸化装置によって得られた上記炭酸化セメントスラリーを保管するための保管タンクを含む前記[1]~[6]のいずれかに記載の炭酸化セメントスラリー製造システム。
[8] 上記炭酸化セメントスラリー製造システムが、上記炭酸化装置によって得られた上記炭酸化セメントスラリー中の水の一部を回収するための固液分離手段を含む前記[1]~[7]のいずれかに記載の炭酸化セメントスラリー製造システム。
[9] 上記炭酸化セメントスラリー製造システムが、上記固液分離手段によって回収された水を、上記セメントスラリーを調製するための水の一部として用いるための水返送手段を含む前記[8]に記載の炭酸化セメントスラリー製造システム。
[10] 上記炭酸化セメントスラリー製造システムが、上記セメントスラリー及び上記炭酸化セメントスラリーの少なくともいずれか一方の液温を調整するための液温調整手段を含む前記[1]~[9]のいずれかに記載の炭酸化セメントスラリー製造システム。
[11] 上記炭酸化セメントスラリー製造システムが、上記セメントスラリー及び上記炭酸化セメントスラリーの少なくともいずれか一方のpHを測定するためのpH測定手段を含む前記[1]~[10]のいずれかに記載の炭酸化セメントスラリー製造システム。
【0009】
[12] セメント及び水を含むセメントスラリーを二酸化炭素含有ガスによって炭酸化してなる炭酸化セメントスラリーを製造するため方法であって、上記セメントと上記水を混合して、上記セメントスラリーを得るセメントスラリー調製工程と、上記セメントスラリー及び上記二酸化炭素含有ガスを、上記セメントスラリーからなる液相の上方に上記二酸化炭素含有ガスからなる気相が位置するように、炭酸化用タンク内に収容するセメントスラリー収容工程と、上記気相に、上記二酸化炭素含有ガスを大気圧よりも大きな圧力で供給して、上記液相と上記気相を接触させることによって、上記セメントスラリーを炭酸化させて、炭酸化セメントスラリーを得る炭酸化セメントスラリー調製工程、を含むことを特徴とする炭酸化セメントスラリー製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の炭酸化セメントスラリー製造システムによれば、セメントスラリーに、二酸化炭素を効率的にかつより多量に固定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】混合用タンクを含む、本発明の炭酸化セメントスラリー製造システムの一例を模式的に示す図である。
図2】混合用タンクを含まない、本発明の炭酸化セメントスラリー製造システムの一例を模式的に示す図である。
図3】混合用タンク及び貯留用タンクを含む、本発明の炭酸化セメントスラリー製造システムの一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の炭酸化セメントスラリー製造システムは、セメント及び水を含むセメントスラリーを二酸化炭素含有ガスによって炭酸化してなる炭酸化セメントスラリーを製造するためのものである。本発明の炭酸化セメントスラリー製造システムは、セメントスラリーと二酸化炭素含有ガスを接触させるための炭酸化装置、及び、炭酸化装置に二酸化炭素含有ガスを大気圧よりも大きな圧力で供給するための二酸化炭素含有ガス供給装置を含む。上記炭酸化装置は、セメントスラリー及び二酸化炭素含有ガスを、セメントスラリーからなる液相の上方に二酸化炭素含有ガスからなる気相が位置するように収容するための炭酸化用タンクを含む。
なお、本明細書中、「炭酸化」とは、二酸化炭素を吸収及び固定化することをいう。
以下、詳しく説明する。
【0013】
炭酸化装置は、セメントスラリー及び二酸化炭素含有ガス(気体の形態を有する二酸化炭素(以下、「炭酸ガス」ともいう。)を含む気体)を、セメントスラリーからなる液相の上方に二酸化炭素含有ガスからなる気相が位置するように収容するための炭酸化用タンクを備えたものである。
本明細書中、「液相」の語は、液体と粉粒体(具体的には、水とセメント)を混合してなるスラリー(具体的には、セメントスラリー)を包含する概念を有する。
炭酸化用タンク内において、上記気相の圧力が大気圧よりも大きい(例えば、圧力の差として0.02MPa以上)環境下でセメントスラリーと二酸化炭素含有ガスを接触させる(液相と気相の境界面で接触させる)ことによって、セメントスラリーに、二酸化炭素を効率的にかつより多量に吸収させ固定化することができる。
なお、炭酸化用タンクは、通常、加圧できる構造を有する密閉容器である。加圧下(炭酸化用タンクの内部圧力を、大気圧よりも大きくした環境下)において、炭酸化用タンク内の気相に炭酸ガスを供給することで、炭酸化セメントスラリーに固定化される二酸化炭素の量を増加させて、より多くの二酸化炭素が固定化された炭酸化セメントスラリーを得ることができる。
また、セメントスラリーに、二酸化炭素を効率的にかつより多量に吸収させ固定化する観点から、炭酸化用タンク内に撹拌翼等の撹拌手段を配設し、該撹拌手段を用いてセメントスラリーを撹拌しながら、あるいは、循環手段を用いてセメントスラリーを循環しながら、セメントスラリーと二酸化炭素含有ガスを接触させてもよい。
【0014】
セメントスラリーは、セメント及び水を含む混合物(スラリー)である。
セメントとしては、特に限定されるものではなく、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや、高炉セメント、フライアッシュセメント等の混合セメントや、エコセメント等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水としては、特に限定されず、例えば、上水道水や、工業用水や、コンクリート製造工場で発生する上澄水やスラッジ水等の回収水等が挙げられる。
【0015】
セメントスラリーの水セメント比(水とセメントの質量比(水/セメント))は、炭酸化セメントスラリーの用途や、目標とする炭酸化セメントスラリーの濃度によっても異なるが、好ましくは0.2~10.0、より好ましくは0.4~9.5、さらに好ましくは0.6を超え、9.0以下、さらに好ましくは1.0~8.5、さらに好ましくは2.0~8.0、特に好ましくは3.0~7.5である。
上記水セメント比が0.2以上であれば、セメントスラリーの粘性が低くなるため、作業性が向上するとともに、連続的かつ安定的にセメントスラリーに二酸化炭素を吸収させ固定化することができる。
上記水セメント比が10.0以下であれば、炭酸化セメントスラリーの用途が限定されにくくなるとともに、炭酸化セメントスラリーをコンクリート等の材料の一部として配合する場合において、他の材料(例えば、水)の量の調整等がより容易になる。また、装置が過大になる事を防ぐことができる。
【0016】
二酸化炭素含有ガスとしては、二酸化炭素(炭酸ガス)のみからなる気体であってもよいが、入手の容易性等の観点から、二酸化炭素(炭酸ガス)及び他の気体(例えば、窒素)を含む気体であってもよい。
二酸化炭素含有ガス中の二酸化炭素(炭酸ガス)の割合は、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、さらに好ましくは20体積%以上、さらに好ましくは50体積%以上、さらに好ましくは80体積%以上、特に好ましくは90体積%以上である。該割合が5体積%以上であれば、セメントスラリーに固定化される二酸化炭素の量をより増やすことができる。また、炭酸化セメントスラリーが調製されるのに要する時間をより短くすることができる。
二酸化炭素含有ガスの例としては、液化炭酸ガス、セメント製造工程において発生した排ガス(炭酸ガス濃度:約20体積%)、製鉄工程において発生した排ガス(炭酸ガス濃度:約20体積%)、火力発電工程において発生した排ガス(炭酸ガス濃度:約10体積%)、または、これらの排ガスからの分離回収ガス(炭酸ガス濃度:約100体積%)等が挙げられる。
【0017】
二酸化炭素含有ガスは、二酸化炭素含有ガス供給装置から、二酸化炭素含有ガスの流入路を通って、炭酸化装置の二酸化炭素含有ガスの流入口から、炭酸化装置内に大気圧よりも大きな圧力で供給される。
二酸化炭素含有ガスは、セメントスラリーからなる液相の上方に形成された二酸化炭素含有ガスからなる気相に供給される。また、二酸化炭素含有ガスの流入口は、スケールの発生による閉塞を防ぐ観点から、通常、セメントスラリーと接触しない位置(炭酸化タンクの上部(例えば、蓋)等の、セメントスラリーの液面よりも鉛直上向きの位置)に配設される。
二酸化炭素含有ガスが供給される気相の圧力(炭酸化用タンク内の気相の圧力)と大気圧の差は、好ましくは0.02~0.2MPa、より好ましくは0.03~0.18MPa、特に好ましくは0.04~0.15MPaである。上記圧力が0.02MPa以上であれば、単位時間当たりのセメントスラリーへの二酸化炭素の固定化量をより大きくすることができ、より効率的にセメントスラリーを炭酸化することができる。また、炭酸化装置をより小型にすることができる。上記圧力が0.2MPa以下であれば、設備にかかる費用が過大になることを防ぐことができる。
【0018】
以下、図1~3を参照にしながら、具体的に説明する。なお、以下の説明において、「前流側」とは、セメントと水が混合される場所に近い側と意味し、「後流側」とは、セメントと水が混合される場所から遠い側を意味する。
図1は、炭酸化装置2、混合用タンク7を含む炭酸化セメントスラリー製造システム1を模式的に示す図である。
二酸化炭素含有ガスは、二酸化炭素含有ガス供給装置3から二酸化炭素含有ガスの流入口6(流入路)を通って、炭酸化用タンク4内に収容されたセメントスラリー15の上方に位置する二酸化炭酸含有ガスからなる気相に供給される。
【0019】
炭酸化装置2の前流側には、セメントと水を混合してセメントスラリーを得るための混合用タンク7が配設されている。
セメントスラリーの材料であるセメントは、セメントの流入口13(流入路)を通って混合用タンク7内に投入される。また、セメントスラリーの材料である水は、水の流入口12(流入路)を通って混合用タンク7内に投入される。
混合用タンク7内に投入されたセメントと水は、混合用タンク7内に配設された撹拌翼や、ハンドミキサ等の混合手段(図示せず)を用いて、撹拌し混合されてセメントスラリーが調製される。
混合用タンク7内で調製されたセメントスラリーは、セメントスラリーの流入口8(流入路)を通って、炭酸化用タンク4に供給される。また、セメントスラリーを炭酸化用タンク4へ供給させるためにポンプ等の供給手段をセメントスラリーの流入口8(流入路)に配設してもよい(図示せず)。
【0020】
炭酸化セメントスラリー製造システム1は、炭酸化用タンク4と混合用タンク7の間で炭酸化セメントスラリーを循環させるためのスラリー循環路5を備えていてもよい。
炭酸化セメントスラリーは、炭酸化用タンク4からスラリー循環路5を通って混合用タンク7に返送された後、混合用タンク7からセメントスラリーの流入口8(流入路)を通って炭酸化用タンク4に戻されることを繰り返すことで循環される。
炭酸化セメントスラリーを循環させるために、ポンプ等の循環手段を、セメントスラリーの流入口8(流入路)及びスラリー循環路5に配設してもよい(図示せず)。セメントスラリーまたは炭酸化セメントスラリーは、ポンプ等の循環手段によって、通常、一方方向に循環する。
上記循環は、通常、セメントスラリーが、目標とする量の二酸化炭素(炭酸ガス)が吸収され固定化された炭酸化セメントスラリー(十分な量の炭酸ガスが吸収され固定化された炭酸化セメントスラリー)になるまで行われる。
炭酸化セメントスラリーを、炭酸化用タンク4と混合用タンク7の間で循環させながら、炭酸化用タンク4内で、セメントスラリーの炭酸化を行うことによって、単位時間当たりのセメントスラリーへの二酸化炭素の固定化量をより大きくすることができ、より効率的にセメントスラリーを炭酸化することができる。また、セメントスラリーの炭酸化を連続的に行う場合において、炭酸化に要する時間等の調整を容易にすることができる。
なお、ポンプ等の循環手段を用いずに、炭酸化セメントスラリーを循環させてもよい。この場合、セメントスラリーの流入口(流入路)とスラリー循環路を別々に配設せずに、セメントスラリーの流入口(流入路)がスラリー循環路を兼ねていてもよい。
【0021】
炭酸化用タンク4内で得られた炭酸化セメントスラリー(目標とする量の二酸化炭素(炭酸ガス)が吸収され固定化された炭酸化セメントスラリー)は、混合用タンク7から、炭酸化セメントスラリーの排出口14(排出路)を通って、固液分離手段10に移送される。
図1において、炭酸化セメントスラリーの排出口14は、混合用タンク7に配設されているが、炭酸化用タンク4に炭酸化セメントスラリーの排出口(図示せず)を配設し、該排出口から炭酸化セメントスラリーを排出してもよい。
排出された炭酸化セメントスラリーは、コンクリート等のセメント組成物の材料等として使用することができる。
排出された炭酸化セメントスラリーは、炭酸化セメントスラリーを排出するための流路17を通って、一時的に、炭酸化セメントスラリー16を保管するための保管タンク9に保管される。
保管タンク9は、炭酸化セメントスラリーが沈殿することを防ぐ目的で、保管タンク内に、撹拌翼等の撹拌手段(図示せず)を有していてもよい。
【0022】
炭酸化セメントスラリー製造システム1は、炭酸化装置2によって得られた炭酸化セメントスラリー中の水の一部を回収するための固液分離手段10を備えている。
固液分離手段10としては、炭酸化セメントスラリー中の水の一部を分離することができればよく、例えば、沈降槽、真空脱水機、加圧脱水機、遠心脱水機等の一般的な固液分離装置を使用することができる。
固液分離手段10を用いて、炭酸化セメントスラリー中の水の一部を分離することによって、炭酸化セメントスラリーの水セメント比(水とセメントの質量比(水/セメント))を調整することができる。上記水セメント比を調整することで、炭酸化セメントスラリーに含まれる水の量を調整し、コンクリート等のセメント組成物の材料として、上記炭酸化セメントスラリーを使用する場合のセメント組成物に含まれる水の量の調整をより容易にすることができる。
また、炭酸化セメントスラリー製造システム1は、固液分離手段10によって回収された水を、セメントスラリーを調製するための水の少なくとも一部として用いるための水返送手段11を備えている。回収された水を、セメントスラリーを調製するための水の少なくとも一部として用いることによって、排水を発生させない又は排水の量を大幅に低減することができる。回収された水は、通常、混合用タンク7に供給される。
なお、スラリー循環路、保管タンク、固液分離手段、及び水返送手段は省略することができる。
【0023】
図2は、炭酸化装置22及び二酸化炭素含有ガス供給装置23を含み、上述の混合用タンクを含まない、炭酸化セメントスラリー製造システム21を模式的に示す図である。
炭酸化装置22は、炭酸用タンク24、セメントの流入口27、水の流入口25、及び二酸化炭素含有ガスの流入口26を有する。
セメントスラリーの材料であるセメントは、セメントの流入口27(流入路)を通って炭酸化用タンク24内に投入される。また、セメントスラリーの材料である水は、水の流入口25(流入路)を通って炭酸化用タンク24内に投入される。
炭酸化用タンク24内に投入されたセメントと水は、炭酸化用タンク24内に配設された撹拌翼や、ハンドミキサ等の混合手段(図示せず)を用いて、撹拌し混合されてセメントスラリー30が調製される。
二酸化炭素含有ガス供給装置23、二酸化炭素含有ガスの流入口26は、各々、上述した二酸化炭素含有ガス供給装置3、二酸化炭素含有ガスの流入口6と同様である。
【0024】
炭酸化用タンク24内で得られた炭酸化セメントスラリー(目標とする量の二酸化炭素(炭酸ガス)が吸収され固定化された炭酸化セメントスラリー)は、炭酸化セメントスラリーの排出口28(排出路)から排出される。
炭酸化セメントスラリー製造システム21は、炭酸化用タンク24(炭酸化装置22に含まれる炭酸化用タンク)から排出された炭酸化セメントスラリーの一部を、炭酸化用タンク24に返送して循環させるためのスラリー循環路29を備えている。
また、炭酸化セメントスラリーを循環させるために、循環用ポンプ44等の循環手段がスラリー循環路29に配設されている。
上記循環は、通常、セメントスラリーが、目標とする量の二酸化炭素(炭酸ガス)が吸収され固定化された炭酸化セメントスラリー(十分な量の炭酸ガスが吸収され固定化された炭酸化セメントスラリー)になるまで行われる。
炭酸化セメントスラリーを、循環用ポンプ44及びスラリー循環路29によって循環させることで、単位時間当たりのセメントスラリーへの二酸化炭素の固定化量をより大きくすることができ、より効率的にセメントスラリーを炭酸化することができる。また、セメントスラリーの炭酸化を連続的に行う場合であっても、炭酸化に要する時間の調整を容易にすることができる。
なお、スラリー循環路及び循環用ポンプは省略することができる。
炭酸化セメントスラリー製造システム21は、上述の炭酸化セメントスラリー製造システム1と同様に、保管タンク、固液分離手段、水返送手段等を含んでいてもよい(図示せず)。
【0025】
図3は、炭酸化装置32、二酸化炭素含有ガス供給装置33、混合用タンク37、及び貯留用タンク39を含む、炭酸化セメントスラリー製造システム31を模式的に示す図である。
炭酸化装置32の前流側には、セメントと水を混合してセメントスラリーを得るための混合用タンク37が配設されている。
セメントスラリーの材料であるセメントは、セメントの流入口42(流入路)を通って混合用タンク37内に投入される。また、セメントスラリーの材料である水は、水の流入口41(流入路)を通って混合用タンク37内に投入される。
混合用タンク37内に投入されたセメントと水は、混合用タンク37内に配設された撹拌翼や、ハンドミキサ等の混合手段(図示せず)を用いて、撹拌し混合されて、セメントスラリーが調製される。
【0026】
混合用タンク37の後流側でかつ炭酸化装置32の前流側に、セメントスラリーを貯留するための貯留用タンク39が配設されている。
混合用タンク37内のセメントスラリー(以下、「第一のセメントスラリー」ともいう。)は、第一のセメントスラリーの流入口40(流入路)を通って、貯留用タンク39に供給され、貯留される。また、混合用タンク37内の第一のセメントスラリーを貯留用タンク39に供給させるために、ポンプ等の供給手段を第一のセメントスラリーの流入口40に配設してもよい(図示せず)。
貯留用タンク39内のセメントスラリー(以下、「第二のセメントスラリー」ともいう。)は、第二のセメントスラリーの流入口38(流入路)を通って、炭酸化用タンク34内に収容されるセメントスラリー44として供給される。また、貯留用タンク39内の第二のセメントスラリーを炭酸化タンク34に供給させるために、ポンプ等の供給手段が第二のセメントスラリーの流入口38に配設してもよい(図示せず)。
炭酸化セメントスラリー製造システム31は、炭酸化用タンク34と貯留用タンク39の間で炭酸化セメントスラリーを循環させるためのスラリー循環路35を備えている。
また、炭酸化セメントスラリーを循環させるために、ポンプ等の循環手段をスラリー循環路35に配設してもよい(図示せず)。
二酸化炭素含有ガス供給装置33、二酸化炭素含有ガスの流入口36は、各々、上述した二酸化炭素含有ガス供給装置3、二酸化炭素含有ガスの流入口6と同様である。
【0027】
炭酸化セメントスラリーは、炭酸化用タンク34からスラリー循環路35を通って貯留用タンク39に返送された後、貯留用タンク39から第二のセメントスラリーの流入口38(流入路)を通って炭酸化用タンク34に戻されることを繰り返すことで循環される。
炭酸化セメントスラリーを循環させるために、ポンプ等の循環手段を、第二のセメントスラリーの流入口38(流入路)及びスラリー循環路35に配設してもよい(図示せず)。セメントスラリーまたは炭酸化セメントスラリーは、ポンプ等の循環手段によって、通常、一方方向に循環する。
上記循環は、通常、セメントスラリーが、目標とする量の二酸化炭素(炭酸ガス)が吸収され固定化された炭酸化セメントスラリー(十分な量の炭酸ガスが吸収され固定化された炭酸化セメントスラリー)になるまで行われる。
炭酸化セメントスラリーを、炭酸化用タンク34と貯留用タンク39の間で循環させながら、炭酸化用タンク34内で、セメントスラリーの炭酸化を行うことによって、単位時間当たりのセメントスラリーへの二酸化炭素の固定化量をより大きくすることができ、より効率的にセメントスラリーを炭酸化することができる。また、セメントスラリーの炭酸化を連続的に行う場合であっても、炭酸化に要する時間の調整を容易にすることができる。
なお、ポンプ等の循環手段を用いずに、炭酸化セメントスラリーを循環させてもよい。この場合、セメントスラリーの流入口(流入路)とスラリー循環路を別々に配設せずに、セメントスラリーの流入口(流入路)がスラリー循環路を兼ねていてもよい。
【0028】
炭酸化用タンク34内で炭酸化が行われた炭酸化セメントスラリーは、貯留用タンク39から、炭酸化セメントスラリーの排出口43(排出路)を通って排出される。
なお、図3において、炭酸化セメントスラリーの排出口43は、貯留用タンク39に配設されているが、炭酸化用タンク34に炭酸化セメントスラリーの排出口(図示せず)を配設し、該排出口から炭酸化セメントスラリーを排出してもよい。
排出された炭酸化セメントスラリーは、コンクリート等のセメント組成物の材料等として使用することができる。
なお、スラリー循環路は省略することができる。
炭酸化セメントスラリー製造システム31は、上述の炭酸化セメントスラリー製造システム1と同様に、保管タンク、固液分離手段、水返送手段等を含んでいてもよい(図示せず)。
【0029】
炭酸化セメントスラリー製造システムは、セメントスラリー及び炭酸化セメントスラリーの少なくともいずれか一方の液温を調整するための液温調整手段(図示せず)を含んでいてもよい。
セメントスラリーへの二酸化炭素の吸収及び固定化の程度、並びに、炭酸化セメントスラリーの品質は、セメントスラリー及び炭酸化セメントスラリーの温度に影響される。セメントスラリー及び炭酸化セメントスラリーの少なくともいずれか一方の液温を調整することで、セメントスラリーに二酸化炭素をより効率的にかつより多量に吸収、固定化させるとともに、炭酸化セメントスラリーの品質を管理(調整)することができる。
液温調整手段は、冷却手段及び加熱手段を有するものであれば特に限定されるものではない。
液温調整手段は、混合用タンク、貯留用タンク、炭酸化用タンク、スラリー循環路等に配設することができる。また、液温調整手段は、セメントスラリーまたは炭酸化セメントスラリーの液温を測定するための温度測定手段(図示せず)によって測定された液温に基いて、セメントスラリーまたは炭酸化セメントスラリーの液温を調整する。温度測定手段は、混合用タンク、貯留用タンク、炭酸化用タンク、スラリー循環路等に配設することができる。
液温調整手段によって調整されるセメントスラリーまたは炭酸化セメントスラリーの液温は、好ましくは10~50℃、より好ましくは20~40℃である。上記液温が10℃以上であれば、冷却用の設備にかかるコストが過大になることを防ぐことができる。上記液温が50℃以下であれば、セメントスラリーに、二酸化炭素をより効率的にかつより多量に吸収させ固定化することができる。
【0030】
炭酸化セメントスラリー製造システムは、セメントスラリー及び炭酸化セメントスラリーの少なくともいずれか一方のpHを測定するためのpH測定手段(図示せず)を含んでいてもよい。セメントスラリーまたは炭酸化セメントスラリーのpHの測定値に基いて、目標とする量の二酸化炭素(炭酸ガス)が吸収され固定化された炭酸化セメントスラリーが得られたかどうか(セメントスラリーに十分な量の炭酸ガスが吸収され固定化されたかどうか)を判断することができる。
例えば、炭酸化用タンク内の炭酸化セメントスラリーのpHの測定値が、予め定められた所定の数値範囲内である場合、セメントスラリーに十分な量の炭酸ガスが吸収され固定化されたと判断し、炭酸化用タンク内の炭酸化セメントスラリーを、目標とする量の二酸化炭素(炭酸ガス)が吸収され固定化された炭酸化セメントスラリーとして排出してもよい。
また、セメントスラリーまたは炭酸化セメントスラリーのpHの測定値に基いて、二酸化炭素含有ガスの供給や、セメントスラリーの循環の調整等を行うことで、炭酸化セメントスラリーの調製を管理(調整)することができる。
pH測定手段は、混合用タンク、貯留用タンク、炭酸化用タンク、スラリー循環路等のセメントスラリーまたは炭酸化セメントスラリーが貯留又は移送される部材に配設することができる。
さらに、上述した炭酸化セメントスラリー製造システムを構成する各部材は、炭酸化セメントスラリーの調製を管理する目的で、炭酸化用タンク内の気相部分の温度を測定するための温度計、炭酸イオン濃度測定装置、酸素濃度測定装置、二酸化炭素濃度測定装置、及び圧力計等の各種測定手段を備えていてもよい。
【0031】
上述した炭酸化セメントスラリー製造システムを用いた、セメント及び水を含むセメントスラリーを二酸化炭素含有ガスによって炭酸化してなる炭酸化セメントスラリーを製造するための方法の例としては、セメントと水を混合して、セメントスラリーを得るセメントスラリー調製工程と、セメントスラリー及び二酸化炭素含有ガスを、セメントスラリーからなる液相の上方に二酸化炭素含有ガスからなる気相が位置するように、炭酸化用タンク内に収容するセメントスラリー収容工程と、気相に、二酸化炭素含有ガスを大気圧よりも大きな圧力で供給して、液相と気相を接触させることによって、セメントスラリーを炭酸化させて、炭酸化セメントスラリーを得る炭酸化セメントスラリー調製工程、を含む方法が挙げられる。
【符号の説明】
【0032】
1、21、31 炭酸化セメントスラリー製造システム
2、22、32 炭酸化装置
3、23、33 二酸化炭素含有ガス供給装置
4、24、34 炭酸化用タンク
5、29、35 スラリー循環路
6、26、36 二酸化炭素含有ガスの流入口
7、37 混合用タンク
8 セメントスラリー流入口
9 保管タンク
10 固液分離手段
11 水返送手段
12、25、41 水の流入口
13、27、42 セメントの流入口
39 貯留用タンク
14、28、43 炭酸化セメントスラリーの排出口
15、30、44 セメントスラリー
16 炭酸化セメントスラリー
17 流路
38 第二のセメントスラリーの流入口
40 第一のセメントスラリーの流入口
44 循環用ポンプ
図1
図2
図3