IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 波壯科技股▲分▼有限公司の特許一覧

特許7663874電動アシスト自転車の電力アシスト駆動装置
<>
  • 特許-電動アシスト自転車の電力アシスト駆動装置 図1
  • 特許-電動アシスト自転車の電力アシスト駆動装置 図2
  • 特許-電動アシスト自転車の電力アシスト駆動装置 図3
  • 特許-電動アシスト自転車の電力アシスト駆動装置 図4
  • 特許-電動アシスト自転車の電力アシスト駆動装置 図5
  • 特許-電動アシスト自転車の電力アシスト駆動装置 図6
  • 特許-電動アシスト自転車の電力アシスト駆動装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-09
(45)【発行日】2025-04-17
(54)【発明の名称】電動アシスト自転車の電力アシスト駆動装置
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/55 20100101AFI20250410BHJP
【FI】
B62M6/55
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2024008376
(22)【出願日】2024-01-24
【審査請求日】2024-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】524031980
【氏名又は名称】波壯科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Enerstro Tech. Corp.
【住所又は居所原語表記】No.37,Sec.3,Yunke Rd.,Douliu City,Yunlin County 640,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100185694
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 隆志
(72)【発明者】
【氏名】林柏儒
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-214157(JP,A)
【文献】特開平09-169290(JP,A)
【文献】特開平07-035164(JP,A)
【文献】特開2014-037203(JP,A)
【文献】特表2015-514635(JP,A)
【文献】特開2017-166695(JP,A)
【文献】国際公開第2023/248851(WO,A1)
【文献】中国実用新案第217706161(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第113381549(CN,A)
【文献】米国特許第06468178(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのモータ(10)と、1つの遊星ギア群(12)と、1つの環状支持部材(18)と、1本の左軸(24)と、1本の右軸(26)と、1つの第1のクラッチ(14)と、1つの第2のクラッチ(16)とを備える、電動アシスト自転車の電力アシスト駆動装置であって、
前記モータ(10)は、1台の自転車の1つのボトムブラケット内に設けるとともに、1つの管状コア(22)を有し、前記管状コア(22)は、1つの小径段部(23)を有し、
前記遊星ギア群(12)は、前記管状コア(22)の小径段部(23)に設けた1つの小型の太陽歯車(36)を有し、
前記環状支持部材(18)は、少なくとも1つのスプロケットと接続し、
前記左軸(24)は、前記管状コア(22)に挿通するとともに、一方のクランクと接続した1つの左端(28)と、1つの右端(30)と、前記管状コア(22)の小径段部(23)に挿通する1つの小径段部(34)とを有し、右端(30)は、左端(28)より小さく、
前記右軸(26)は、他方のクランクと接続する1つの右端(38)と、前記左軸(24)の右端(30)と接続する1つの左端(40)とを有し、前記左軸(24)と前記右軸(26)とを一緒に回転させ、
記第1のクラッチ(14)は、前記遊星ギア群(12)と前記環状支持部材(18)との間に配設し、
前記第2のクラッチ(16)は、前記右軸(26)と前記遊星ギア群(12)との間に配設することを特徴とする、電動アシスト自転車の電力アシスト駆動装置。
【請求項2】
前記左軸(24)の前記右端(30)は、形状が立方体であり、
前記右軸(26)の前記左端(40)は、前記左軸(24)の方形状の前記右端(30)を収容する1つの方形孔(42)を有することを特徴とする請求項1に記載の電動アシスト自転車の電力アシスト駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車に関し、特に、電動アシスト自転車の電力アシスト駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電動アシスト自転車の電力アシスト駆動装置は、1つのモータ、1つの遊星ギア群、2つのクラッチ、1つの環状支持部材及びクランクシャフト群を備える。モータは自転車のボトムブラケットの中に配設する。モータは、管状コアを有する。遊星ギアは、管状コアに設けた太陽歯車を有する。クランクシャフト群は、1本の軸及び2本のクランクを有する。軸は管状コアに挿設するが、両者は互いに接続せず、軸が管状コアに対して回転可能である。第1のクラッチは、管状コアと環状支持部材との間に設ける。第2のクラッチは、環状支持部材と軸との間に設ける。環状支持部材は、少なくとも1枚のスプロケットに接続する。スプロケットは、チェーンを介して少なくとも1つのフライホイールに接続する。フライホイールは、自転車の1つの後輪に接続する。
【0003】
簡易な遊星ギアの減速比を求める計算方式は、1つの内歯リングの歯数を、太陽歯車の歯数で除算して得た数字に固定係数1を加算する。内歯リングの歯数は固定され、減速比は太陽歯車の歯数により決められる。
【0004】
上述した軸を管状コアに挿通する。管状コアには、太陽歯車を載置する。軸の直径は、管状コアの内外2つの直径を決める。管状コアの外径は、太陽歯車の内外2つの直径(即ち歯数)を決める。2本のクランクを組み合わせるため、軸の直径は固定する。太陽歯車の歯数が固定されているため、減速比は固定される。しかし、これは内歯リングを大きくするのでなければ、好ましくない構造設計であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、小型であるか、好ましい減速比の電力アシストを電動アシスト自転車に提供する、電動アシスト自転車の電力アシスト駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
こうした現状に鑑み、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、従来技術の問題点を改善し、本発明を完成させたものである。すなわち、上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、1つのモータ(10)と、1つの遊星ギア群(12)と、1つの環状支持部材(18)と、1本の左軸(24)と、1本の右軸(26)と、1つの第1のクラッチ(14)と、1つの第2のクラッチ(16)とを備える、電動アシスト自転車の電力アシスト駆動装置であって、前記モータ(10)は、1台の自転車の1つのボトムブラケット内に設けるとともに、1つの管状コア(22)を有し、前記管状コア(22)は、1つの小径段部(23)を有し、前記遊星ギア群(12)は、前記管状コア(22)の小径段部(23)に設けた1つの小型の太陽歯車(36)を有し、前記環状支持部材(18)は、少なくとも1つのスプロケットと接続し、前記左軸(24)は、前記管状コア(22)に挿通するとともに、1本のクランクと接続した1つの左端(28)と、1つの右端(30)と、前記管状コア(22)の小径段部(23)に挿通する1つの小径段部(34)とを有し、右端(30)は、左端(28)より小さく、前記右軸(26)は、他方のクランクと接続する1つの右端(38)と、前記左軸(24)の右端(30)と接続する1つの左端(40)とを有し、前記左軸(24)と前記右軸(26)とを一緒に回転させ、前記前記第1のクラッチ(14)は、前記遊星ギア群(12)と前記環状支持部材(18)との間に配設し、前記第2のクラッチ(16)は、前記右軸(26)と前記遊星ギア群(12)との間に配設することを特徴とする、電動アシスト自転車の電力アシスト駆動装置を提供する。
【0007】
前記左軸(24)の前記右端(30)は、形状が立方体であり、前記右軸(26)の前記左端(40)は、前記左軸(24)の方形状の前記右端(30)を収容する1つの方形孔(42)を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る電動アシスト自転車の電力アシスト駆動装置は、小型であるか、好ましい減速比の電力アシストを電動アシスト自転車に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施例に係る電動アシスト自転車の電力アシスト駆動装置を示す斜視図である。
図2図2は、図1の電力アシスト駆動装置を示す分解斜視図である。
図3図3は、図1の電力アシスト駆動装置を示す断面図である。
図4図4は、電力アシスト駆動装置のクラッチを切った状態を示す正面図である。
図5図5は、電力アシスト駆動装置のクラッチをつないだ状態を示す正面図である。
図6図6は、電力アシスト駆動装置のもう一つのクラッチを切った状態を示す正面図である。
図7図7は、電力アシスト駆動装置のもう一つのクラッチをつないだ状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について図に基づいて説明する。図面で用いられる同一又は類似した構造又はユニットには同一の符号を付してある。勿論、上述した実施例とは本発明の一実施例であり、全ての実施例を表すわけではない。上述した実施例に基づいた代替実施例を得るか、必要に応じて変更、修正した構造を得てもよく、それらは本発明の保護範囲に含まれる。
【0011】
なお、以降の説明において、“上”、“下”、“左”、“右”、“前”、“後”、 “内”、“外”、“側面”などの方向を表す用語は、単に図面の方向を示すものである。方向を表す用語は、より明白に説明して本願が理解し易いようにするものであり、装置又は部材を必ずしも特定の方向、構造にしたり操作したりすることを指示したり暗示したりするものではなく、本願の技術内容を何ら制限するものではない。
【0012】
特定されるか明確に規格及び限定されていない限り、以下で述べる「装着」、「連接」、「接続」又は「~上に設けられる」は広い意味で理解されるべきであり、例えば、固定接続、着脱可能に接続、一体的接続、機械的接続、直接接続、間接接続、2つの部材内部の接続などの意味も含まれ、当業者は知識又は経験に基づいて各実施例中の上述した用語又は本願の具体的な含意を理解するべきである。
【0013】
また、別途説明していない限り、以下で述べる「多数個」とは、2個又は2個以上を表す。
【0014】
図1図3を参照する。図1図3に示すように、本発明の一実施例に係る電動アシスト自転車の電力アシスト駆動装置は、1つのモータ10と、1つの遊星ギア群12と、2つのクラッチ14,16と、1つの環状支持部材18と、クランクシャフト群とを有する。モータ10は、1台の自転車の1つのボトムブラケット(図示せず)内に設ける。モータ10は、1つのハウジング20と、1つの管状コア22と、1組の磁石群(図示せず)と、1組のコイルとを有する。ハウジング20は、管状コア22、磁石及びコイルを収容する。磁石は、管状コア22に付着する。管状コア22は、1つの小径段部23を有する。
【0015】
遊星ギア群12は、管状コア22の小径段部23に設けた1つの太陽歯車36を有する。
【0016】
クランクシャフト群は、1本の左軸24及び1本の右軸26を有する。左軸24は、管状コア22に挿通するが、両者は互いに接続しない。左軸24は、管状コア22に対して回転可能である。クラッチ14は、管状コア22と環状支持部材18との間に配設する。クラッチ16は、環状支持部材18と右軸26との間に配設する。環状支持部材18は、少なくとも1枚のスプロケット(図示せず)と接続する。スプロケットは、チェーン(図示せず)を介して少なくとも1つのフライホイール(図示せず)と接続する。フライホイールは、自転車の1つの後輪(図示せず)に接続する。
【0017】
左軸24は、1つの左端28と、1つの右端30と、大径段部32と、小径段部34とを有する。大径段部32は、左端28に隣り合う。左端28及び右端30の形状は立方体である。左端28は、左クランクの方形孔(図示せず)に挿入可能である。小径段部34は、右端30に近接するように配置する。大径段部32と小径段部34とは互いに隣り合う。大径段部32の直径は、一般のクランクシャフトの直径に等しい。小径段部34の直径は、一般のクランクシャフトの直径より小さい。
【0018】
左軸24の小径段部34は、管状コア22の小径段部23に挿通する。左軸24の小径段部34及び管状コア22の小径段部23は、太陽歯車36の直径が一般の電力アシスト駆動装置の遊星ギア群の太陽歯車の直径より小さいことを許容する。そのため、遊星ギア群12は、一般の電力アシスト駆動装置の遊星ギア群と比べて好ましい減速比が得られる。
【0019】
右軸26は、1つの右端38及び1つの左端40を有する。右端38は、1本の右クランクの方形孔(図示せず)に挿入する。右軸26の左端40は、左軸24の右端30に収納する1つの方形孔42を有する。そのため、右軸26は、左軸24に対して回転せず、両者は一緒に回転するのみである。
【0020】
図2図3及び図6を参照する。図2図3及び図6に示すように、クラッチ14は、遊星ギア群12の1つの枠体44、複数の鋼球46、複数のばね48及び1つのリング50から構成される。枠体44は、1つの中心孔52と、複数の溝部54と、複数の周辺孔56とを有する。中心孔52は、各溝部54とそれぞれ連通する。各溝部54は、隣り合う周辺孔56と連通する。各溝部54は、中心孔52から、対応する周辺孔56にかけて広がる。中心孔52は、リング50を収容する。各溝部54は、1つの鋼球46を収容する。各周辺孔56は、単一のばね48を収容する。
【0021】
リング50の右側は、1つの非円形部58を有する。環状支持部材18の左側は、非円形部58を収容する1つの非円形孔60を有する。そのため、リング50は、環状支持部材18に対して回転することがなく、両者は一緒に回転しかしない。他の実施例では、リング50と環状支持部材18とは一体成形可能である。
【0022】
図2及び図4を参照する。図2及び図4に示すように、クラッチ16は、複数の歯62と、複数の爪64とにより構成する。複数の歯62は、環状支持部材18の内側に成形する。複数の爪64は、右軸26に枢着し、複数の爪64は右軸26から弾性力により外方向に拡張する。各爪64は、1つの歯62にそれぞれ当接可能である。
【0023】
動作していないとき、クラッチ14及びクラッチ16は、切れた状態にある(図4及び図6を参照する)。
【0024】
人力のみ用いるとき、クラッチ16は、つながれた状態にあり(図5を参照する)、クラッチ14は、切れた状態にある。
【0025】
電力のみ用いるとき、クラッチ14は、つながれた状態にあり(図7を参照する)、クラッチ16は、切れた状態にある(図4を参照する)。
【0026】
人力及び電力を用いるとき、クラッチ16は、つながれた状態にあり(図5を参照する)、クラッチ14は、つながれた状態にある(図7を参照する)。
【0027】
クラッチ14,16については、従来技術に属するため、ここでは詳説しない。
【0028】
当該分野の技術を熟知するものが理解できるように、本発明の好適な実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0029】
10 モータ
12 遊星ギア群
14 クラッチ
16 クラッチ
18 環状支持部材
20 ハウジング
22 管状コア
23 小径段部
24 左軸
26 右軸
28 左端
30 右端
32 大径段部
34 小径段部
36 太陽歯車
38 右端
40 左端
42 方形孔
44 枠体
46 鋼球
48 ばね
50 リング
52 中心孔
54 溝部
56 周辺孔
58 非円形部
60 非円形孔
62 歯
64 爪
【要約】
【課題】小型であるか、好ましい減速比の電力アシストを電動アシスト自転車に提供する、電動アシスト自転車の電力アシスト駆動装置を提供する。
【解決手段】
本発明の電動アシスト自転車の電力アシスト駆動装置は、1つのモータ10と、1つの遊星ギア群12と、1つの環状支持部材18と、1本の左軸24と、1本の右軸26と、1つの第1のクラッチ14と、1つの第2のクラッチ16とを備える。モータは、1台の自転車の1つのボトムブラケット内に設けるとともに、1つの管状コア22を有する。管状コアは、1つの小径段部23を有する。遊星ギア群は、管状コアの小径段部に設けた1つの小型の太陽歯車36を有する。環状支持部材は、少なくとも1つのスプロケットと接続する。左軸は、管状コアに挿通するとともに、1本のクランクと接続した1つの左端28と、1つの右端30と、管状コアの小径段部に挿通する1つの小径段部34とを有する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7