(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-09
(45)【発行日】2025-04-17
(54)【発明の名称】農作業センサユニット、耕耘爪、農作業機および農作業検出制御システム
(51)【国際特許分類】
A01B 33/10 20060101AFI20250410BHJP
【FI】
A01B33/10 C
(21)【出願番号】P 2021164103
(22)【出願日】2021-10-05
【審査請求日】2024-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】木村 和正
(72)【発明者】
【氏名】石橋 一平
(72)【発明者】
【氏名】海田 健児
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-005535(JP,A)
【文献】特開2021-016334(JP,A)
【文献】特開2019-126321(JP,A)
【文献】特開2019-149966(JP,A)
【文献】特開2020-005601(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0045276(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 33/00-33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作業機に配置された農作業センサユニットであって、
農作業時に生じる農作業検出情報を検出するセンサと、
前記センサに接続された制御装置と、を含み、
前記制御装置は、
前記センサから前記農作業検出情報を取得する取得部と、
取得された前記農作業検出情報にもとづいて、制御モードを設定する第1設定部と、
前記制御モードに応じて前記センサの検出頻度を設定する第2設定部を有する、
農作業センサユニット。
【請求項2】
電池を有し、前記センサおよび前記制御装置に電力を供給する電源部をさらに含む、
請求項1に記載の農作業センサユニット。
【請求項3】
前記制御モードは、第1制御モードおよび第2制御モードを含み、
前記第1設定部は、取得された前記農作業検出情報が第1設定条件を満たすときに、前記第1制御モードを前記第2制御モードに変更し、
前記第2設定部は、前記第2制御モードにおける前記センサの検出頻度が前記第1制御モードにおける前記センサの検出頻度よりも大きくなるように、前記センサの検出頻度を設定する、
請求項1または2に記載の農作業センサユニット。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第2制御モードにおいて前記農作業検出情報が前記第1設定条件を満さなくなったときから前記第1設定条件を満たさない前記農作業検出情報が取得され続ける経過時間を計測する計測部を有し、
前記第1設定部は、計測された前記経過時間が第2設定条件を満たすとき、前記第2制御モードを前記第1制御モードに変更する、
請求項3に記載の農作業センサユニット。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の農作業センサユニットを含む、
耕耘爪。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の農作業センサユニットと、
前記農作業センサユニットが配置された耕耘爪と、を含む、
農作業機。
【請求項7】
前記農作業検出情報は、前記耕耘爪が衝撃を受けた時の加速度信号である、
請求項6に記載の農作業機。
【請求項8】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の農作業センサユニットと、
レシーバユニットと、を含み、
前記農作業センサユニットは、
前記取得された前記農作業検出情報を、前記レシーバユニットに無線通信装置を介して送信する、
農作業検出制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業センサユニット、耕耘爪、農作業機および農作業検出制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
農作業機の技術分野において、トラクタ等の走行機体に装着され、走行機体の進行方向に沿って圃場における各種作業を行う作業機が知られている。このような作業機は、作業の内容に応じて様々な種類のものがあり、例えば、走行機体の走行位置に対して後方の位置を作業させる作業機として、耕耘機が知られている。
【0003】
また、近年、農作業時における農作業機の詳細な情報を取得するため、センサを設けた農作業機の開発が進められている。例えば、特許文献1には、センサを設けた農作業機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
農作業機にセンサを設ける場合、検出された情報は、記憶装置に記憶されることになる。しかし、常にセンサの検出条件によっては、不要な情報も検出され、記憶されることになる。この結果、記憶装置が不要な情報により占有されてしまう。
【0006】
また、農作業機にセンサを設ける場合、センサに電力を供給する必要がある。このとき、電力を容易に供給できない場所へセンサを設置する場合、センサをバッテリ(電池)により駆動する方法が用いられる。しかし、季節または時刻等によっては農作業機が使用されない時間も多く、無駄に電力を消費してしまうことになる。
【0007】
このような課題に鑑み、本発明の目的の一つは、農作業のタイミングに合わせて適切なデータ量の農作業検出情報を検出することである。また、本発明の目的の他の一つは、低消費電力で適切な情報を検出することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、農作業機に配置された農作業センサユニットであって、農作業時に生じる農作業検出情報を検出するセンサと、前記センサに接続された制御装置と、を含み、前記制御装置は、前記センサから前記農作業検出情報を取得する取得部と、取得された前記農作業検出情報にもとづいて、制御モードを設定する第1設定部と、前記制御モードに応じて前記センサの検出頻度を設定する第2設定部を有する、農作業センサユニットが提供される。
【0009】
上記農作業センサユニットにおいて、電池を有し、前記センサおよび前記制御装置に電力を供給する電源部をさらに含んでもよい。
【0010】
上記農作業センサユニットにおいて、前記制御モードは、第1制御モードおよび第2制御モードを含み、前記第1設定部は、取得した前記農作業検出情報が第1設定条件を満たすときに、前記第1制御モードを前記第2制御モードに変更し、前記第2設定部は、前記第2制御モードにおける前記センサの検出頻度が前記第1制御モードにおける前記センサの検出頻度よりも大きくなるように、前記センサの検出頻度を設定してもよい。
【0011】
上記農作業センサユニットにおいて、前記制御装置は、前記第2制御モードにおいて前記農作業検出情報が前記第1設定条件を満さなくなったときから前記第1設定条件を満たさない前記農作業検出情報が取得され続ける経過時間を計測する計測部を有し、前記第1設定部は、計測された前記経過時間が第2設定条件を満たすとき、前記第2制御モードを前記第1制御モードに変更してもよい。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、上記農作業センサユニットを含む耕耘爪が提供される。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、農作業センサユニットと、前記農作業センサユニットが配置された耕耘爪と、を含む、農作業機が提供される。
【0014】
上記農作業機において、前記農作業検出情報は、前記耕耘爪が衝撃を受けた時の加速度信号であってもよい。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、上記農作業センサユニットと、レシーバユニットと、を含み、前記農作業センサユニットは、前記取得した前記農作業検出情報を、前記レシーバユニットに無線通信装置を介して送信する、農作業検出制御システムが提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一実施形態を用いることにより、農作業のタイミングに合わせて適切なデータ量の農作業検出情報を検出することができる。また、本発明の一実施形態を用いることにより、低消費電力で適切な情報を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る農作業検出制御システムのハードウェア構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る農作業機の背面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る農作業機の側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るセンサユニットが配置された耕耘爪の模式図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る農作業検出制御システムのブロック図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る農作業センサユニットにおける農作業検出制御処理の一例を示すフロー図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るレシーバユニットにおける農作業検出制御処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0019】
また、各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字xxxにA,Bまたは1,2などを付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、構成の一部が図面から省略される場合がある。その他、本発明の属する分野における通常に知識を有する者であれば認識できるものである場合、特段の説明を行わないものとする。
【0020】
<第1実施形態>
本実施形態に係る農作業センサユニット、耕耘爪、農作業機および農作業検出制御システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
(1-1.農作業検出制御システムのハードウェア構成)
図1に、農作業検出制御システム1のハードウェア構成図を示す。農作業検出制御システム1の一部の構成において、農作業のタイミングに合わせて適切なデータ量の農作業検出情報を検出し、低消費電力で適切な農作業検出情報の検出を行うための農作業検出制御処理が実行される。
【0022】
農作業検出制御システム1は、農作業センサユニット10、およびレシーバユニット20を含む。農作業センサユニット10は、センサから送信されるセンシングデータに基づいて制御モードを設定し、制御モードに応じてセンサの検出頻度を設定する機能を有する。レシーバユニット20は、農作業センサユニット10から受信した各種のセンシングデータを受信し、各センサの稼働時間や農作業データ(圃場のマッピングデータなど)を生成する機能を有する。以下にそれぞれの構成を示す。
【0023】
(1-1-1.農作業センサユニットのハードウェア構成)
農作業センサユニット10は、マイコン11(制御装置ともいう)、センサ13、通信部15、および電源部17を有する。マイコン11、センサ13、通信部15、および電源部17は配線バスを介して電気的に接続される。
【0024】
マイコン11は、制御部11aおよびメモリ11bを含む。制御部11aは、コンピュータの一つであり、この例ではCPU(Central Processing Unit)が用いられる。メモリ11bは、ROM(Read On Memory)およびRAM(Random Accesss Memory)の少なくともいずれかを含む。制御部11aは、メモリ11bに記憶された農作業検出制御プログラムに基づいて、各種の演算処理を実行する。なお、制御部11aは、CPUに限定されない。制御部11aには、CPUの他、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはその他の演算処理回路が用いられてもよい。
【0025】
センサ13は、農作業時に生じるセンシングデータ(農作業検出情報ともいう)を検出する。センサ13には、この例では3軸加速度センサが用いられる。3軸加速度センサを用いることで、センサが取り付けられる後述する耕耘爪が(耕耘作業時に)衝撃を受けた時の加速度信号を検出することができる。センサ13は、検出モードに応じて検出頻度が設定される。具体的には、ローパワーモード(間欠モードともいう)では、検出頻度は1Hzである。また、ノーマルモードでは、検出頻度は1000Hzである。
【0026】
通信部15は、レシーバユニット20と無線通信により情報の送受信を行う。この例では、通信部15には、ビーコン送受信機が用いられる。ビーコン送受信機は、BLE(Bluetooth Low Energy)の電波を用いることで、低消費電力で情報の送受信を行うことができる。通信部15は、無線通信装置ということができる。
【0027】
電源部17は、電池を有し、マイコン11、センサ13、および通信部15に電力を供給する。この例では、電源部17の電池には、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、リチウムイオン電池、リチウムフェライト電池、全固体電池などの2次電池、または1次電池が用いられる。
【0028】
(1-1-2.レシーバユニットのハードウェア構成)
レシーバユニット20は、マイコン21、記憶部23、ユーザインタフェース部25、通信部27、および電源部29を有する。マイコン21、記憶部23、ユーザインタフェース部25、通信部27、および電源部29は配線バスを介して接続される。
【0029】
マイコン21は、制御部21aおよびメモリ21bを含む。制御部21aは、コンピュータの一つであり、この例ではCPUが用いられる。メモリ21bは、ROMおよびRAMの少なくともいずれかを含む。制御部21aは、メモリ21bに記憶された農作業検出制御プログラムまたは関連するプログラムに基づいて、各種の演算処理を実行する。
【0030】
記憶部23は、SSD(Solid State Drive)の半導体メモリ等のほか、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク等)、光記録媒体、光磁気記録媒体、その他記憶可能な素子が用いられる。記憶部23は、農作業センサユニット10から送信された情報を格納する農作業検出情報データベースとしての機能を有する。
【0031】
ユーザインタフェース部25は、ユーザとの間で情報の入出力を行う。ユーザインタフェース部は表示部25aおよび操作部25bを含む。表示部25aは、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの表示デバイスであって、マイコン21から入力される信号により表示内容が制御される。操作部25bは、コントローラー、ボタン、またはスイッチを含む。ユーザから操作部25bを用いて上下左右への移動、押圧、または回転などの動作がなされることにより、その動作に基づく情報が制御部21aに入力される。なお、ユーザインタフェース部25は、タッチセンサを有する表示装置(タッチパネル)であれば、表示部25aと操作部25bとが、同じ場所に配置されてもよい。
【0032】
通信部27は、農作業センサユニット10と無線通信により情報の送受信を行う。この例では、通信部27には、ビーコン送受信機が用いられる。なお、通信部27には、ビーコン送受信機のほか、GPS(Global Positioning System)受信機などのその他の受信機が用いられてもよい。
【0033】
電源部29は、マイコン21、記憶部23、ユーザインタフェース部25、および通信部27に電力を供給する。電源部29には、リチウムイオン電池などの電池が用いられるほか、トラクタからの電源供給、または発電機が用いられてもよい。
【0034】
(1-1-3.農作業センサユニットの配置構成および農作業機の構成)
ここで、農作業センサユニット10の配置構成および農作業センサユニット10が配置される農作業機について説明する。
図2は、農作業センサユニット10が配置される農作業機100(ロータリ作業機または耕耘機という場合がある)の背面図である。
図3は、農作業機100の側面図である。
図2および
図3に示されるように、本実施形態に係る農作業機100は、本体101(主フレーム110およびシールドカバー120を含む)、ロータリ作業部102およびエプロン130等を備える。
【0035】
本体101のうち主フレーム110は、トラクタ等の走行機体300の後部に装着(接続)される。主フレーム110は円筒形であり、内部に動力伝達軸を有する。主フレーム110にはギアボックス125が取付けられている。レシーバユニット20は、走行機体300に配置される。
【0036】
前進走行するトラクタ等の走行機体300からの回転動力は、農作業機100のPIC(Power Input Connection)シャフト106、ギアボックス125内の図示しないギア、主フレーム110の左側内の図示しないシャフトに伝達される。さらに、この回転動力は、農作業機100の進行方向の左へと向きを変えてチェーンケース105内のチェーン伝達機構によって、ロータリ作業部102の耕耘軸104に伝達されていく。そして、農作業機100は、ロータリ作業部102を回転させながら走行機体300の前進走行に伴って進行して圃場を耕耘する。
【0037】
ロータリ作業部102は、本体101の耕耘軸104と、この耕耘軸104に設けられた複数の耕耘爪103とで構成される。ロータリ作業部102は、本体101によって支持される。
図3に示されるように、複数の耕耘爪103は、取り付け部から耕耘軸104に対して垂直に伸びた縦刃部103aと、進行方向に対して右又は左に屈曲した横刃部103bを有する。複数の耕耘爪103において、個々の耕耘爪103が土を掘り起こす領域(幅)は隣接する耕耘爪103との間で重なりがある。ロータリ作業部102は、
図3の側面視において反時計回りに回転する。
【0038】
シールドカバー120は、ロータリ作業部102の上方を覆うように配置される。シールドカバー120の側面には、側板121が設けられる。
【0039】
エプロン130は、シールドカバー120の後端部に固定された回動支点140を中心にして下降及び跳ね上げ回動可能に支持されている。エプロン130は、ロータリ作業部102の後方に配置される。エプロン130の重心は、回動支点140よりも後方にあるため、エプロン130は自重により下降しようとする。
【0040】
主フレーム110に設けられた台座111とエプロン130との間には、エプロン加圧機構150が備えられている。エプロン加圧機構150は、エプロン130が下降状態にあるときに、エプロン130及び整地板131を圃場に一定の圧力で押さえつける働きをする。エプロン加圧機構150が作用する力の大きさは、作業者の操作によって調整可能である。また、エプロン加圧機構150は、各作業状態に応じてロックされる。
【0041】
図4(A)は、耕耘爪103の正面図である。
図4(B)は、耕耘爪103の側面図である。
図4(C)は、耕耘爪103の平面図である。
図3および
図4(A)~(C)に示すように、本実施形態において、農作業センサユニット10は、農作業機100のうち耕耘爪103に配置される。より具体的には、農作業センサユニット10は、各々の耕耘爪103の縦刃部103aの峰側に配置される。各々の耕耘爪103に設けられた農作業センサユニット10は、独立して動作する。センサ13(3軸加速度センサ)におけるX軸方向は、ロータリ作業部102の耕耘軸104から農作業センサユニット10に向かう方向に対応する。センサ13におけるY軸方向は、X軸方向に垂直であって、耕耘爪103によって形成される仮想円の接線方向に対応する。センサ13におけるZ軸方向は、X軸方向およびY軸方向に垂直であって、ロータリ作業部102の耕耘軸104の延伸する方向に対応する。
【0042】
(1-2.農作業検出制御システムの機能構成)
図5は、農作業検出制御システム1の各構成要素によって構成された機能ブロック図である。
【0043】
農作業センサユニット10のマイコン11は、農作業検出機能を実現させるプログラム(農作業検出プログラム)を制御する各機能部を有する。
図5に示すように、マイコン11は、機能部として取得部11a1、判定部11a2、第1設定部11a3、第2設定部11a5、計測部11a7、および送信部11a9を含む。
【0044】
取得部11a1は、センサ13から送信されたセンシング情報(加速度信号、農作業検出情報)を取得する機能を有する。
【0045】
第1設定部11a3は、取得された農作業検出情報に基づいて、マイコン11の制御モードを設定する機能を有する。この例では、第1設定部11a3は、センサ13から取得したX軸方向の加速度信号に応じてマイコン11をスリープモード(第1制御モードともいう)からウェイクアップモード(第2制御モードともいう)に設定する。
【0046】
第2設定部11a5は、制御モードに応じてセンサ13の検出頻度を設定する機能を有する。この例では、第2設定部11a5は、マイコン11がスリープモードの時には、センサ13の検出頻度を1Hzに設定する。または、第2設定部11a5は、マイコンがウェイクアップモードの時にはスリープモードにおけるセンサ13の検出頻度よりも大きくなるように、センサ13の検出頻度を設定する。具体的には、第2設定部11a5は、マイコンがウェイクアップモードの時にセンサ13の検出頻度を1000Hzに設定する。
【0047】
計測部11a7は、ウェイクアップモードにおいて第1閾値未満のX軸方向の加速度信号が取得されたタイミングから第1閾値未満のX軸方向の加速度信号が取得され続ける経過時間を計測する機能を有する。
【0048】
送信部11a9は、レシーバユニット20に対して通信部15を介して各種情報を送信する。
【0049】
判定部11a2は、取得部11a1または計測部11a7から取得した情報に基づいて判定する機能を有する。例えば、判定部11a2は、取得部11a1から取得したセンシング情報が所定の条件(第1設定条件ともいう)を満たすかどうかを判定する。第1設定条件は、取得されたX軸方向の加速度信号があらかじめ設定された第1閾値以上である。または、判定部11a2は、計測部11a7が計測した時間情報が所定の条件(第2設定条件ともいう)を満たすかどうかを判定する。
【0050】
レシーバユニット20のマイコン21は、機能部として取得部21a1、生成部21a3、および表示制御部21a5を含む。
【0051】
取得部21a1は、農作業センサユニット10から送信された農作業検出情報を取得する機能を有する。取得した農作業検出情報は、記憶部23に格納される。また、取得部21a1は、GPS情報など農作業検出情報以外の情報を取得してもよい。
【0052】
生成部21a3は、取得した情報から各種情報を生成する機能を有する。具体的には、取得した3軸加速度信号のデータを演算処理して解析データを生成する。また、生成部21a3は、GPS情報と合わせて圃場マッピング情報を生成してもよい。生成された各種情報は、記憶部23に格納される。
【0053】
表示制御部21a5は、表示部25aに対して生成された各種情報を表示部25aに表示するように制御する機能を有する。
【0054】
(1-3.農作業検出制御処理)
次に、農作業検出制御システム1における農作業検出制御処理について図面を用いて詳細に説明する。
図6は、農作業センサユニット10における農作業検出制御処理の一例を示すフロー図である。
図7は、レシーバユニット20における農作業検出制御処理の一例を示すフロー図である。
【0055】
まず、農作業センサユニット10のマイコン11は、農作業機100が動作していない状況において、あらかじめスリープモードに設定されている(S101)。レシーバユニット20は、無線受信できる状態で待機している(S201)。
【0056】
センサ13(3軸加速度センサ)は、農作業機100が動作していない状態で、ローパワーモードに設定されている(S103)。センサ13は、ローパワーモードにおいて、検出頻度は1Hzとして設定されている。この場合、間欠的にセンシングデータが取得されるため(S103)、センサ13で検出されるデータ量を減らすことができる。これにより、不要な情報を多数検出することを防止することができる。また、間欠的にデータが取得されることにより、農作業機100が動作していない状況において農作業センサユニット10における電力消費を減らすことができる。取得部11a1は、センサ13で検出された農作業検出情報(具体的には、X軸方向の加速度信号)を取得する。
【0057】
次に、判定部11a2は、取得部11a1で取得されたX軸方向の加速度信号が所定の条件(第1設定条件)を満たすか(この例では、あらかじめ設定された第1閾値以上であるかどうか)を判定する(S105)。X軸方向の加速度信号は、ロータリ作業部102の動作、つまりロータリ作業部102(耕耘軸104)に設けられた耕耘爪103の回転動作に応じて変動する。そのため、農作業機100が動作していない場合には、X軸方向の加速度信号が第1閾値未満であるため(S105;No)、処理がループする。
【0058】
次に、農作業機100が動作し始めると、センサ13が配置されている耕耘爪103が回転し始めるため、センサ13のX軸方向の加速度信号が大きくなる。この結果、X軸方向の加速度信号が第1閾値以上であると(S105;Yes)、第1設定部11a3は、マイコン11をウェイクアップモード(第1制御モードともいう)に設定する(S107)。また、第2設定部11a5は、マイコン11の制御モードがスリープモードからウェイクアップモードに変更したことに合わせてセンサ13の検出モードをローパワーモードからノーマルモードに設定してもよい。このとき、第2設定部11a5は、センサ13の検出頻度を、ローパワーモードに対応する1Hzからノーマルモードに対応する1000Hzに設定する(S109)。
【0059】
また、制御部11aは、耕耘爪103のX軸方向の加速度信号が閾値以上であると(S105;Yes)、耕耘軸回転開始情報を生成する。送信部11a9は、生成された耕耘軸回転開始情報をレシーバユニット20に送信する(S111)。レシーバユニット20の取得部21a1は、送信された耕耘軸回転開始情報を取得する(S203)。このとき、取得された耕耘軸回転開始情報には、複数の耕耘爪に配置されたセンサ13を識別するための識別情報(センサIDともいう)が含まれてもよい。つまり、どのセンサ13が動作しているかを識別することができる。また、電源部17の電池容量がないセンサ13の場合、当該センサ13の加速度信号は送信されない。したがって、電池切れしているセンサ13を特定することができる。
【0060】
次に、計測部11a7は、ウェイクアップモードにおいて、センサ13によって1000Hzで検出されていたX軸方向の加速度信号が第1設定条件を満たさなくなった(第1閾値未満のX軸方向の加速度信号が取得された)タイミングから第1閾値未満のX軸方向の加速度信号が取得され続ける経過時間(スリープ時間という)を計測する(S113)。スリープ時間は、第1閾値以上のX軸方向の加速度信号が取得された段階で計測が終了となり、再度X軸方向の加速度信号が第1閾値未満となったタイミングから再度0secからスリープ時間の計測が開始される。
【0061】
スリープ時間が所定の時間を超えない場合(S115;No)、判定部11a2は、取得される加速度信号のうち、Y軸方向の加速度信号が所定の条件を満たすか(第2閾値以上であるか)を判定する(S117)。Y軸方向の加速度信号が第2閾値未満であるとき(S117;No)、S115の処理に戻る。
【0062】
Y軸方向の加速度信号が第2閾値以上であるとき(S117;Yes)、送信部11a9は、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向の加速度信号をレシーバユニット20に送信する(S119)。続けて、制御処理はS115に戻る。
【0063】
このとき、レシーバユニット20において、取得部21a1は、加速度信号を取得すると(S205)、生成部21a3は、解析データを生成する(S207)。さらに、表示制御部21a5は、生成された解析データを表示部25aに表示指示信号を送信する。その結果、解析データが、表示部25aに表示される(S209)。
【0064】
一方、スリープ時間が第2設定条件を満たす(所定の時間を超える)場合(S115;Yes)、第1設定部11a3は、マイコン11をスリープモードに設定する(S121)。また、第2設定部11a5は、マイコン11の制御モードがウェイクアップモードからスリープモードに変更したことに合わせて、センサ13の検出モードをノーマルモードからローパワーモードに設定する。このとき、第2設定部11a5は、センサ13の検出頻度を、ノーマルモードに対応する1000Hzからローパワーモードに対応する1Hzに設定する(S109)。続けて、制御処理はS101に戻る。以上が農作業検出制御処理である。
【0065】
本実施形態を用いることにより、農作業のタイミングに応じて、センサが適切なデータ量のセンシングデータを検出することできる。したがって、センサで検出される不要なデータが低減され、レシーバユニット20における計算にかかる負荷、および送受信されるデータ量を低減することができる。
【0066】
また、本実施形態を用いることにより、農作業センサユニット10の制御モードに応じてセンサ13の検出頻度が変更される。特に、マイコン11がスリープモードでは、センサの検出頻度が極めて低く設定される。これにより、不要な電力消費を抑えることができるため、農作業センサユニット10を長期間にわたって使用することができる。
【0067】
(変形例)
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に想到し得るものであり、それら変更例および修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、処理の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0068】
本発明の第1実施形態では、センサ13は、農作業機100のうち耕耘爪103に設けられる例を示したが、これに限定されない。センサ13は、農作業機100の他の部材(例えばエプロン)に配置されてもよい。
【0069】
なお、本発明の第1実施形態では、計測部11a7が一つのX軸方向の加速度信号を受信してから他のX軸方向の加速度信号を受信するまでの時間を計測する例を示したが、本発明はこれに限定されない。計測部11a7は、Y軸方向またはZ軸方向の加速度信号を受信する時間を計測してもよい。
【0070】
また、本発明の第1実施形態では、センサ13として3軸加速度センサが用いられる例を示したが、本発明はこれに限定されない。センサ13には、圧力センサなどの他のセンサが用いられてもよい。
【0071】
また、本発明の第1実施形態では、レシーバユニット20が走行機体300に設けられる例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、レシーバユニット20は、走行機体300以外の場所に配置されてもよい。このとき、走行機体300には、農作業センサユニット10で検出された農作業検出情報をレシーバユニット20に中継するための中継装置が設けられてもよい。または、農作業センサユニット10からレシーバユニット20に対して直接的に無線通信されてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1・・・農作業検出制御システム,10・・・農作業センサユニット,11・・・マイコン,11a・・・制御部,11a1・・・取得部,11a2・・・判定部,11a3・・・第1設定部,11a5・・・第2設定部,11a7・・・計測部,11a9・・・送信部,11b・・・メモリ,13・・・センサ,15・・・通信部,17・・・電源部,20・・・レシーバユニット,21・・・マイコン,21a・・・制御部,21a1・・・取得部,21a3・・・生成部,21a5・・・表示制御部,21b・・・メモリ,23・・・記憶部,25・・・ユーザインタフェース部,25a・・・表示部,25b・・・操作部,27・・・通信部,29・・・電源部,100・・・農作業機,101・・・本体,102・・・ロータリ作業部,103・・・耕耘爪,103a・・・縦刃部,103b・・・横刃部,104・・・耕耘軸,105・・・チェーンケース,106・・・PICシャフト,110・・・主フレーム,111・・・台座,120・・・シールドカバー,121・・・側板,125・・・ギアボックス,130・・・エプロン,131・・・整地板,140・・・回動支点,150・・・エプロン加圧機構,300・・・走行機体