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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-09
(45)【発行日】2025-04-17
(54)【発明の名称】抗PD―L1抗体およびその用途
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20250410BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20250410BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20250410BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20250410BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20250410BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20250410BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20250410BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20250410BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250410BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20250410BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20250410BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C12N15/62 Z
C07K16/46
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61P35/00
A61K39/395 T
C12N15/13
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023160978
(22)【出願日】2023-09-25
(62)【分割の表示】P 2020554903の分割
【原出願日】2018-08-27
(65)【公開番号】P2023179558
(43)【公開日】2023-12-19
【審査請求日】2023-09-25
(31)【優先権主張番号】201810309302.5
(32)【優先日】2018-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520358863
【氏名又は名称】オリセル セラピューティクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ、ボーフア
(72)【発明者】
【氏名】ワン、フアジン
(72)【発明者】
【氏名】ヘ、シャオウェン
【審査官】齋藤 光介
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-508475(JP,A)
【文献】国際公開第2018/056821(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C07K
GenBank/EMBL/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD137タンパク質に結合できる抗体またはその抗原結合断片であって、LCDR1~3を含む、軽鎖可変領域VLと、HCDR1~3を含む、重鎖可変領域VHとを含み、前記LCDR1~3のアミノ酸配列は、順次、配列番号80~82に示され、前記HCDR1~3のアミノ酸配列は、順次、配列番号77~79に示される、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項2】
前記軽鎖可変領域VLが、配列番号20に示されるアミノ酸配列を含み、前記重鎖可変領域VHが、配列番号18または配列番号25に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項3】
CD137アゴニスト活性を有する、請求項1または2に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項4】
前記抗体が、モノクローナル抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体および完全ヒト化抗体からなる群より選択され、前記抗原結合断片が、Fab、Fab’、F(ab)2およびFv断片からなる群より選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項5】
軽鎖定常領域を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片であって、前記軽鎖定常領域がヒトIgλ定常領域を含む、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項6】
重鎖定常領域を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片であって、前記重鎖定常領域がヒトIgG定常領域を含む、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項7】
軽鎖および重鎖を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片であって、前記軽鎖が、配列番号23に示すアミノ酸配列を含み、前記重鎖が、配列番号21または配列番号27に示すアミノ酸配列を含む、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項8】
第一標的指向部分および第二標的指向部分を含む、二重特異性抗体であって、前記第二標的指向部分が、CD137タンパク質に特異的に結合し、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片を含む、二重特異性抗体。
【請求項9】
前記第一標的指向部分が、PD-L1タンパク質に特異的に結合する、請求項8に記載の二重特異性抗体。
【請求項10】
第一ポリペプチド鎖および第二ポリペプチド鎖を含む、請求項8または9に記載の二重特異性抗体であって、前記第一ポリペプチド鎖が、前記第一標的指向部分の抗体の重鎖可変領域、前記第二標的指向部分の抗体の重鎖可変領域、および前記第二標的指向部分の抗体の軽鎖可変領域を含み、前記第二ポリペプチド鎖が、前記第一標的指向部分の抗体の軽鎖可変領域を含む、二重特異性抗体。
【請求項11】
前記第一ポリペプチド鎖において、前記第一標的指向部分の前記抗体の前記重鎖可変領域が、前記第二標的指向部分の前記抗体の前記重鎖可変領域のN末端に位置し、前記第二標的指向部分の前記抗体の前記重鎖可変領域が、前記第二標的指向部分の前記抗体の前記軽鎖可変領域のN末端に位置する、あるいは、
前記第一標的指向部分の前記抗体の前記重鎖可変領域が、前記第二標的指向部分の前記抗体の前記軽鎖可変領域のN末端に位置し、前記第二標的指向部分の前記抗体の前記軽鎖可変領域が、前記第二標的指向部分の前記抗体の前記重鎖可変領域のN末端に位置する、請求項10に記載の二重特異性抗体。
【請求項12】
前記第二標的指向部分の前記抗体またはその抗原結合断片がscFvを含む、請求項10または11に記載の二重特異性抗体。
【請求項13】
前記scFvが、配列番号83に示すアミノ酸配列を含む、請求項12に記載の二重特異性抗体。
【請求項14】
前記第一ポリペプチド鎖が、配列番号43に示すアミノ酸配列を含み、前記第二ポリペプチド鎖が、配列番号34に示すアミノ酸配列を含む、請求項10~13のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項15】
請求項1~7のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片、または請求項8~14のいずれか1項に記載の二重特異性抗体をコードする1つ以上の単離された核酸分子。
【請求項16】
請求項15に記載の核酸分子を含む、ベクター。
【請求項17】
請求項15に記載の核酸分子または請求項16に記載のベクターを含む、細胞。
【請求項18】
請求項1~7のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片、請求項8~14のいずれか1項に記載の二重特異性抗体、請求項15に記載の核酸分子、請求項16に記載のベクターおよび/または請求項17に記載の細胞を含む、医薬品組成物。
【請求項19】
腫瘍の治療に使用するための、請求項18に記載の医薬品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオメディカル分野に関して、具体的に、抗PD-L1抗体に関して、さらに、ガン治療のため抗CD137抗体と併用投与する方法に関して、またさらに、抗CD137抗体とによって形成される二重特異性抗体に関する。
【背景技術】
【0002】
プログラム細胞死タンパク質-1(programmed death-1であり、PD-1、CD279とも称する)、その配位子PD-L1(B7-H1、CD274とも称する)およびPD-L2(B7-DC、CD273とも称する)は、共に負の共刺激シグナルを与えて、T細胞活性化を調節する。T細胞は、共刺激シグナルが不十分な場合、抗原刺激を感知し難く、免疫応答を効果的に引き出すことができなく、さらに、異種抗原に対する疲弊または寛容を引き起こしてしまう。PD-1は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラーT細胞、活性化された単球および樹状細胞(DCs)上で発現することができる。PD-1は、活性化されても刺激されていないヒトCD4+とCD8+T細胞、B細胞および骨髓細胞によって発現されてよい。PD-L1とPD-L2は、発現パターンで異なる。PD-L1は、造血細胞に発現されて良く、また、複数種類の非造血細胞に発現されて良いが、PD-L2は、主に樹状細胞および貪食細胞での発現に限られる。B7.1(CD80)は、活性化されたB細胞、T細胞、貪食細胞および樹状細胞に発現されるPD-L1の受容体でもある。PD-L1は、PD-1およびB7.1の配位子として、さらに、複数種類の腫瘍細胞に選択的に発現される。PD-L1とPD-1、B7.1の何れかまたは両者との相互作用の遮断を含めて、PD-L1シグナル伝達を阻害することにより、PD-L1が負の共刺激シグナルをT 細胞およびその他の抗原提示細胞に発信することが阻止され、これが、感染(例えば急性および慢性)応答についての免疫および腫瘍免疫を増強することが可能である。
【0003】
CD137(4-1BB、TNFRSF9などとも称する)は、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFRS)の膜貫通タンパク質の一つである。今までの検討によると、CD137作動性モノクローナル抗体が、多くのモデルに、共刺激分子発現を増加させると共に、細胞溶解性Tリンパ細胞応答を顕著に高め、抗腫瘍効果を発揮することが分かった。CD137標的指向治療法では、抗腫瘍効果が、抗マウスCD137作動性モノクローナル抗体によるマウスインビボ抗腫瘍治療効果の検討により確認された。
【0004】
今まで承認されたPD-L1抗体は、ガンの一部の治療に使用可能であり、既存のCD137抗体は、複数種類の腫瘍を治療する見込みが示された。担腫瘍マウス動物モデルを利用してPD-1抗体とCD137抗体の組合わせ抗腫瘍治療効果を検討している報道があり、その結果から、2種類の抗体の併用が、それぞれの単剤投与よりも強くなっている抗腫瘍活性を示したが、コンプライアンスおよび痛みからすれば、患者に不便をかけると共に、治療費用が高くなっていることが分かった。この2種類のモノクローナル抗体の二重特異性抗体(Bispecific antibody、BsAb)の検討は、2種類の特異的抗原結合部位を含むことによって以上の問題を乗り越えるためである。そのため、よりよい抗腫瘍効果を達成するように、より強い薬効、より低い免疫原性、およびPD-L1/CD137二重特異性抗体を持たせる新規抗PD-L1抗体の開発が望まれている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、1)高い親和力でPD-L1タンパク質に特異的に結合することができ、2)PD-1タンパク質とPD-L1タンパク質の結合を阻害することができ、3)腫瘍を寛解または治療することができる特性の1種類または複数種類を含むPD-L1抗体、その抗原結合断片または変異体を提供する。本発明は、1)高い親和力でPD-L1タンパク質に特異的に結合することができ、2)高い親和力でCD137タンパク質に特異的に結合することができ、3)T細胞機能を増強することができ、4)腫瘍を寛解または治療することができる特性の1種類または複数種類を含む二重特異性抗体も提供する。本発明は、さらに、上記PD-L1抗体、その抗原結合断片または変異体、二重特異性抗体の調製方法および使用を提供する。
【0006】
一方で、本発明は、3×10-9Mまたはより低いKDでPD-L1タンパク質に結合する抗体、その抗原結合断片または変異体を提供する。
【0007】
ある実施形態において、上記抗体は、SEQ ID NO: 53で表されるアミノ酸配列TGTX1SX2VGGYX3X4VSを有するLCDR1を含有する抗体軽鎖またはその断片を含み、ここで、X1が、S、RまたはVであり、X2が、D、EまたはSであり、X3が、NまたはRであり、X4が、YまたはEであり、且つ、ここで、上記LCDR1が抗体Kabatの番号付けインデックスによって規定される。
ある実施形態において、上記LCDR1は、SEQ ID NO: 54-58の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。ある実施形態において、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 59で表されるアミノ酸配列X1NSX2RPSを有するLCDR2を含有し、ここで、X1が、GまたはEであり、X2が、NまたはIであり、且つ、ここで、上記LCDR2が抗体Kabatの番号付けインデックスによって規定される。ある実施形態において、上記LCDR2は、SEQ ID NO: 60-61の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。ある実施形態において、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 62で表されるアミノ酸配列QSYDSSLSGX1Vを有するLCDR3を含有し、ここで、X1が、SまたはTであり、且つ、ここで、上記LCDR3が抗体Kabatの番号付けインデックスによって規定される。
【0008】
ある実施形態において、上記抗体軽鎖またはその断片は、さらに、フレームワーク領域L-FR1、L-FR2、L-FR3、およびL-FR4を含む。ある実施形態において、上記フレームワーク領域は、ヒト共通フレームワーク配列およびヒト生殖系列配列の群から選ばれる。ある実施形態において、上記L-FR1は、C末端が上記LCDR1のN末端と直接的または間接的に連結され、SEQ ID NO: 71の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。ある実施形態において、上記L-FR2は、上記LCDR1と上記LCDR2の間にあり、SEQ ID NO: 72の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。ある実施形態において、上記L-FR3は、上記LCDR2と上記LCDR3の間にあり、SEQ ID NO: 73-75の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。ある実施形態において、上記L-FR4は、N末端が上記LCDR3のC末端と直接的または間接的に連結され、SEQ ID NO: 76の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。
【0009】
ある実施形態において、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 4、SEQ ID NO: 11、SEQ ID NO: 33、SEQ ID NO: 37、SEQ ID NO: 39およびSEQ ID NO: 41の群から選ばれるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域VLを含む。
【0010】
ある実施形態において、上記抗体軽鎖またはその断片は、さらに、ヒトIgλ定常領域を持つヒト定常領域を含む。
【0011】
ある実施形態において、上記抗体軽鎖またはその断片はSEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 15、SEQ ID NO: 34、SEQ ID NO: 38、SEQ ID NO: 40およびSEQ ID NO: 42の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。
【0012】
ある実施形態において、上記抗体は、SEQ ID NO: 45で表されるアミノ酸配列X1YAISを有するHCDR1を含有する抗体重鎖またはその断片を含み、ここで、X1が、SまたはTであり、且つ、ここで、上記HCDR1が抗体Kabatの番号付けインデックスによって規定される。ある実施形態において、上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 48で表されるアミノ酸配列を有するHCDR2を含有し、且つ、ここで、上記HCDR2が抗体Kabatの番号付けインデックスによって規定される。ある実施形態において、上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 49で表されるアミノ酸配列TMX1X2YX3X4GNX5DYを有するHCDR3を含有し、ここで、X1が、D、EまたはGであり、X2が、GまたはEであり、X3が、SまたはGであり、X4が、YまたはFであり、X5が、FまたはYであり、且つ、ここで、上記HCDR3が抗体Kabatの番号付けインデックスによって規定される。ある実施形態において、上記HCDR3は、SEQ ID NO: 50-52の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。
【0013】
ある実施形態において、上記抗体重鎖またはその断片は、さらに、フレームワーク領域H-FR1、H-FR2、H-FR3、およびH-FR4を含む。ある実施形態において、上記フレームワーク領域は、ヒト共通フレームワーク配列およびヒト生殖系列配列の群から選ばれる。ある実施形態において、上記H-FR1は、C末端が上記HCDR1のN末端と直接的または間接的に連結され、SEQ ID NO: 65-67の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。ある実施形態において、上記H-FR2は、上記HCDR1と上記HCDR2の間にあり、SEQ ID NO: 68の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。ある実施形態において、上記H-FR3は、上記HCDR2と上記HCDR3の間にあり、SEQ ID NO: 69の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。ある実施形態において、上記H-FR4は、N末端が上記HCDR3のC末端と直接的または間接的に連結され、SEQ ID NO: 70の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。
【0014】
ある実施形態において、上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 31およびSEQ ID NO: 35の群から選ばれるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域VHを含む。
【0015】
ある実施形態において、上記抗体重鎖またはその断片は、さらに、ヒトIgG1定常領域を持つヒト定常領域を含む。
【0016】
ある実施形態において、上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 13、SEQ ID NO: 32およびSEQ ID NO: 36の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。
【0017】
ある実施形態において、上記PD-L1タンパク質は、ヒトPD-L1タンパク質、サルPD-L1タンパク質およびマウスPD-L1タンパク質の群から選ばれる。
【0018】
一方で、本発明は、5×10-9Mまたはより低いKDでCD137タンパク質に結合する抗体、その抗原結合断片または変異体を提供する。
【0019】
ある実施形態において、上記抗体、その抗原結合断片または変異体は、3×10-9Mまたはより低いKDでCD137タンパク質に結合する。
【0020】
ある実施形態において、上記抗体、その抗原結合断片または変異体は、腫瘍を寛解または治療可能である。ある実施形態において、上記抗体、その抗原結合断片または変異体は、結腸がんを寛解または治療可能である。
【0021】
ある実施形態において、上記抗体は、抗体軽鎖またはその断片を含む。ある実施形態において、上記軽鎖またはその断片は、アミノ酸配列が順次にSEQ ID NO: 80-82で表されるLCDR1-3を含有する。ある実施形態において、上記抗体軽鎖またはその断片は、さらに、フレームワーク領域L-FR1、L-FR2、L-FR3およびL-FR4を含む。ある実施形態において、上記フレームワーク領域は、ヒト共通フレームワーク配列およびヒト生殖系列配列の群から選ばれる。ある実施形態において、上記L-FR1は、C末端が上記LCDR1のN末端と直接的または間接的に連結され、SEQ ID NO: 89のアミノ酸配列を有する。ある実施形態において、上記L-FR2は、上記LCDR1と上記LCDR2の間にあり、SEQ ID NO: 90のアミノ酸配列を有する。ある実施形態において、上記L-FR3は、上記LCDR2と上記LCDR3の間にあり、SEQ ID NO: 91のアミノ酸配列を有する。ある実施形態において、上記L-FR4は、N末端が上記LCDR3のC末端と直接的または間接的に連結され、SEQ ID NO: 92のアミノ酸配列を有する。
【0022】
ある実施形態において、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 20のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域VLを含む。
【0023】
ある実施形態において、上記抗体軽鎖またはその断片は、さらに、ヒトIgλ定常領域を持つヒト定常領域を含む。
【0024】
ある実施形態において、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 23のアミノ酸配列を有する。
【0025】
ある実施形態において、上記抗体は、アミノ酸配列が順次にSEQ ID NO: 77-79で表されるHCDR1-3を含有する抗体重鎖またはその断片を含む。ある実施形態において、上記抗体重鎖またはその断片は、さらに、フレームワーク領域H-FR1、H-FR2、H-FR3およびH-FR4を含む。ある実施形態において、上記フレームワーク領域は、ヒト共通フレームワーク配列およびヒト生殖系列配列の群から選ばれる。ある実施形態において、上記H-FR1は、C末端が上記HCDR1のN末端と直接的または間接的に連結され、SEQ ID NO: 84-85のアミノ酸配列を有する。ある実施形態において、上記H-FR2は、上記HCDR1と上記HCDR2の間にあり、SEQ ID NO: 86のアミノ酸配列を有する。ある実施形態において、上記H-FR3は、上記HCDR2と上記HCDR3の間にあり、SEQ ID NO: 87のアミノ酸配列を有する。ある実施形態において、上記H-FR4は、N末端が上記HCDR3のC末端と直接的または間接的に連結され、SEQ ID NO: 88のアミノ酸配列を有する。
【0026】
ある実施形態において、上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 18およびSEQ ID NO: 25の群から選ばれるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域VHを含む。
【0027】
ある実施形態において、上記抗体重鎖またはその断片は、さらに、ヒトIgG定常領域を持つヒト定常領域を含む。
【0028】
ある実施形態において、上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 21およびSEQ ID NO: 27の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。
【0029】
ある実施形態において、上記CD137タンパク質は、ヒトCD137タンパク質を含む。
【0030】
一方で、本発明は、2×10-9Mまたはより低いKD値でPD-L1タンパク質に結合し、且つ8×10-9Mまたはより低いKD値でCD137タンパク質に結合する二重特異性抗体を提供する。
【0031】
ある実施形態において、上記の二重特異性抗体は、上記の抗体、その抗原結合断片または変異体を有する上記PD-L1タンパク質に特異的に結合する第一標的指向部分を含む。
【0032】
ある実施形態において、上記の二重特異性抗体は、上記CD137タンパク質に結合する抗体、その抗原結合断片または変異体を有する上記CD137タンパク質に特異的に結合する第二標的指向部分を含む。ある実施形態において、上記CD137タンパク質に結合する抗体は、SEQ ID NO: 83から選ばれるアミノ酸配列を有するscFvを含有する。ある実施形態において、上記の二重特異性抗体は、上記PD-L1タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域、上記CD137タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域、および上記CD137タンパク質に結合する抗体の軽鎖可変領域を有する第一ポリペプチド鎖、および、上記PD-L1タンパク質に結合する抗体の軽鎖可変領域を有する第二ポリペプチド鎖を含む。
【0033】
ある実施形態において、上記第一ポリペプチド鎖において、上記PD-L1タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域が、上記CD137タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域のN末端に位置し、且つ上記CD137タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域が、上記CD137タンパク質に結合する抗体の軽鎖可変領域のN末端に位置し、または、上記PD-L1タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域が、上記CD137タンパク質に結合する抗体の軽鎖可変領域のN末端に位置し、且つ上記CD137タンパク質に結合する抗体の軽鎖可変領域が、上記CD137タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域のN末端に位置する。
【0034】
ある実施形態において、第一ポリペプチド鎖において、scFvが、上記CD137タンパク質に結合する抗体の軽鎖可変領域と上記CD137タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域とより構成される。
【0035】
ある実施形態において、上記第一ポリペプチド鎖において、さらに、上記PD-L1タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域のC末端であって、且つ上記CD137タンパク質に結合する抗体の軽鎖可変領域のN末端に位置し、または、上記PD-L1タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域のC末端であって、且つ上記CD137タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域のN末端に位置するヒトIgG定常領域を含有する。
【0036】
ある実施形態において、上記第一ポリペプチド鎖は、SEQ ID NO: 30、SEQ ID NO: 43およびSEQ ID NO: 44の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。ある実施形態において、上記第二ポリペプチド鎖は、SEQ ID NO: 15およびSEQ ID NO: 34の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。
【0037】
一方で、本発明は、上記の抗体、その抗原結合断片または変異体、あるいは上記の二重特異性抗体をコードする1種類または複数種類の核酸分子を提供する。
【0038】
一方で、本発明は、上記の核酸分子を含むベクターを提供する。
【0039】
一方で、本発明は、上記の核酸分子または上記のベクターを含む細胞を提供する。
【0040】
一方で、本発明は、上記の抗体、その抗原結合断片または変異体、あるいは上記の二重特異性抗体を発現させる条件で、上記の細胞を培養することを含む、上記の抗体、その抗原結合断片または変異体、あるいは上記の二重特異性抗体を調製する方法を提供する。
【0041】
一方で、本発明は、上記の抗体、その抗原結合断片または変異体、あるいは上記の二重特異性抗体、上記の核酸分子、上記のベクターおよび/または上記の細胞、および、任意選択で薬学的に許容可能なアジュバントを含む医薬品組成物を提供する。
【0042】
一方で、本発明は、腫瘍を寛解または治療する医薬品の調製における上記の抗体、その抗原結合断片または変異体、あるいは上記の二重特異性抗体、上記の核酸分子、上記のベクター、上記の細胞および/または上記の医薬品組成物の使用を提供する。
【0043】
一方で、本発明は、上記の抗体、その抗原結合断片または変異体、あるいは上記の二重特異性抗体、上記の核酸分子、上記のベクター、上記の細胞および/または上記の医薬品組成物を投与することを含むPD-L1タンパク質とPD-1タンパク質の結合を阻害する方法を提供する。
【0044】
本発明において、上記抗体CDRの位置は、抗体Kabat定義法により特定される。
【0045】
当該技術分野における当業者は、以降の詳細な記載からの本開示のその他の側面や利点の把握が容易であろう。以下の詳細な記載では、本開示の例としての実施形態しか表現して記載していない。当該技術分野における当業者にとって、本開示の詳細によって、本発明に係る趣旨や範囲を逸脱しない限り、公開されている具体的な実施形態を変更してもよい。それに応じて、本発明において、図面や明細書の記載があくまでも例であり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本発明に係る具体的な特徴は、添付の請求項のように示されたものである。本発明に係る特徴やメリットは、以下詳しく記載されている例示的実施形態や図面を参照することによって、より確実的に把握されるだろう。図面に関しては、以下のように概略的に説明する。
図1図1は、本発明に記載のPD-L1抗体重鎖可変領域および軽鎖可変領域と関連生殖系列配列のアミノ酸配列整列を示す。下線箇所が、Kabat定義法により特定されたCDRである。
図2図2は、本発明に記載のPD-L1抗体がヒトPD-L1とヒトPD-1の結合を阻害する結果を示す。
図3図3は、本発明に記載のPD-L1抗体がカニクイザルPD-L1とカニクイザルPD-1の結合を阻害する結果を示す。
図4図4は、本発明に記載のPD-L1抗体がマウスPD-L1とマウスPD-1の結合を阻害する結果を示す。
図5図5は、本発明に記載の各抗体によるC57BL/6マウスにおけるMC38腫瘍成長への影響(*, P< 0.05; ***, P< 0.001、Unpaired t検定)を示す。
図6図6は、本発明に記載のCD137抗体重鎖可変領域および軽鎖可変領域と関連生殖系列配列のアミノ酸配列整列を示し、下線箇所がKabat定義法により特定されたCDRである。
図7図7は、本発明に記載のCD137抗体によるヒトCD137遺伝子が導入されたC57BL/6雌マウスにおけるMC38腫瘍成長への影響(*, P< 0.05; **, P< 0.01、Unpaired t検定)を示す。
図8図8は、本発明に記載のPD-L1抗体重鎖可変領域および軽鎖可変領域と関連生殖系列配列のアミノ酸配列整列を示し、下線箇所がKabat定義法により特定されたCDR、陰影箇所がIMGT定義法により特定されたCDRである。親和力成熟の場合、YN003の各CDR領域(CDR領域における一部アミノ酸残基および/またはCDR領域付近のFR領域における個別アミノ酸残基)をランダム化する標的指向アミノ酸残基が斜体アルファベットで表される。
図9図9は、本発明に記載のPD-L1抗体重鎖可変領域と関連生殖系列配列のアミノ酸配列整列を示し、下線箇所がKabat定義法により特定されたCDR、陰影箇所がIMGT定義法により特定されたCDRである。
図10図10は、本発明に記載のPD-L1抗体軽鎖可変領域と関連生殖系列配列のアミノ酸配列整列を示し、下線箇所がKabat定義法により特定されたCDR、陰影箇所がIMGT定義法により特定されたCDRである。
図11図11は、本発明に記載のPD-L1抗体がヒトPD-L1安定発現CHO細胞に結合する状況を示す。
図12図12は、本発明に記載のPD-L1抗体がヒトPD-1とヒトPD-L1の結合を阻害する状況を示す。
図13図13は、本発明に記載のPD-L1抗体がマウスPD-L1安定発現CHO細胞に結合する状況を示す。
図14図14は、本発明に記載のPD-L1抗体がマウスPD-1とマウスPD-L1の結合を阻害する状況を示す。
図15図15は、本発明に記載のPD-L1抗体がMDA-MB-231細胞に結合する状況を示す。
図16図16は、本発明に記載のPD-L1抗体およびPD-L1/CD137二重特異性抗体がヒトPD-L1安定発現CHO細胞に結合する状況を示す。
図17図17は、本発明に記載のPD-L1抗体およびPD-L1/CD137二重特異性抗体がヒトPD-1とヒトPD-L1の結合を阻害する状況を示す。
図18図18.は、本発明に記載のPD-L1抗体およびPD-L1/CD137二重特異性抗体がマウスPD-L1安定発現CHO細胞に結合する状況を示す。
図19図19.は、本発明に記載のPD-L1抗体およびPD-L1/CD137二重特異性抗体がマウスPD-1とマウスPD-L1の結合を阻害する状況を示す。
図20図20は、本発明に記載のCD137抗体およびPD-L1/CD137二重特異性抗体がヒトCD137安定発現293T細胞に結合する状況を示す。
図21図21は、SDS-PAGEによって本発明に記載の抗体の分子量を解析する状況を示す。a:非還元、b:還元。
図22図22は、本発明に記載の各抗体がヒトCD137、および安定に組み込まれたルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現する293T細胞を刺激するルシフェラーゼ活性の結果を示す。
図23図23は、本発明に記載の抗体によるヒトCD137遺伝子が導入されたC57BL/6雌マウスにおけるMC38腫瘍成長への影響(*, P< 0.05;Unpaired t検定)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本願発明の実施形態を、所定の具体的な実施例によって説明するが、当業者が、本明細書に公開された内容により、本願発明のその他のメリットや効果を容易に把握することができる。
【0048】
本発明において、抗体という用語は、通常、所定の抗原を特異的に認識及び/又は中和することができるポリペプチド分子を指す。例えば、抗体は、ジスルフィド結合によりお互いに連結された少なくとも2本の重鎖(H)と2本の軽鎖(L)からなる免疫グロブリンを含むと共に、その抗原結合部分より構成される分子を全て含む。抗体という用語は、モノクローナル抗体、抗体断片或いは抗体誘導体を含み、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体(例えば、scFv)、及び抗原に結合する抗体断片(例えば、Fab、Fab’および(Fab)2断片)を含むがこれに限定されない。抗体という用語は、さらに、抗体のあらゆる組換え体の態様、例えば、原核細胞に発現する抗体、非グリコシル化抗体及び本明細書に記載の抗原に結合するいかなる抗体断片およびその誘導体を含む。重鎖は、1本ごとに重鎖可変領域(VH)と重鎖定常領域より構成されてもよい。軽鎖は、1本ごとに軽鎖可変領域(VL)と軽鎖定常領域より構成されてもよい。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれたより保存された領域に散在している相補性決定領域(CDR)と呼ばれた高可変領域に更に細分することができる。各VHおよびVLは、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4といった順にアミノ末端からカルボキシ末端に配列された3つのCDRと4つのFRで構成されてよい。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含んでいる。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第一成分(Clq)を含む宿主組織または因子への該免疫グロブリンの結合を媒介しうる。
【0049】
本発明において、PD-L1タンパク質という用語は、通常、プログラム細胞死タンパク質-1(programmed death-1, PD-1)タンパク質の配位子を指す。PD-1は、特異性配位子(PD-L)との相互作用で、T細胞抗原受容体シグナル伝達を負に制御し、また、自己寛容の維持に役立つことが提案されたIgスーパーファミリーの受容体である。T細胞は、共刺激シグナルが不十分な場合、抗原刺激を感知し難く、免疫応答を効果的に引き出すことができなく、さらに、異種抗原に対する疲弊または寛容を引き起こってしまう。PD-L1は、造血細胞に発現可能であり、複数種類の非造血細胞にも発現可能である。B7.1(CD80)は、活性化されたB細胞、T細胞、貪食細胞および樹状細胞に発現するPD-L1の受容体でもある。PD-L1は、PD-1およびB7.1の配位子として、さらに、複数種類の腫瘍細胞に選択的に発現する。PD-L1とPD-1、B7.1の何れかまたは両者との相互作用の遮断を含めて、PD-L1シグナル伝達を阻害することにより、PD-L1が負の共刺激シグナルをT 細胞およびその他の抗原提示細胞に発信することが阻止され、これが、感染(例えば急性および慢性)応答についての免疫および腫瘍免疫を増強することが可能である。
【0050】
本発明において、4-1BBまたはTNFRS9とも称されるCD137タンパク質という用語は、通常、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFRS)の膜貫通タンパク質の一つであり、活性化誘導される共刺激分子である免疫応答の重要な調節剤である。今までの検討によると、CD137作動性モノクローナル抗体が、多くのモデルに、共刺激分子発現を増加させると共に、細胞溶解性Tリンパ細胞応答を顕著に高め、抗腫瘍効果を発揮することが分かった。CD137標的指向治療法では、抗腫瘍効果が、抗マウスCD137作動性モノクローナル抗体によるマウスインビボ抗腫瘍治療効果の検討により確認された。CD137は、免疫細胞の有効な活性剤になり、また、各種の疾患を治療する重要な候補抗原である。(Vinay, Dass S., and Byoung S. Kwon. "4-1BB(CD137), an inducible costimulatory receptor, as a specific target for cancer therapy." BMB reports 47.3 (2014): 122参照)
【0051】
本発明において、NFκBという用語は、活性化B細胞の核因子κ軽鎖エンハンサー(nuclear factor kappa-light-chain-enhancer of activated B cells、NFκB)を指す。それは、DNA転写を制御するタンパク質複合体の1つである。NFκBは、ほぼあらゆるタイプの動物細胞に存在して、細胞によるストレス、サイトカイン、ラジカル、紫外線照射、酸化LDLおよび細菌またはウイルス抗原を含む多くの刺激への応答を関与する。NFκBは、感染に対しての免疫反応に、中心的調節機能(κ軽鎖が、免疫グロブリンの重要構成部分である)を果たす。NFκB活性制御の不良は、ガン、炎症および自己免疫疾患、感染性ショック、ウイルス感染および免疫異形成などの原因になる。NFκBは、シナプス可塑性および記憶過程にも密接に結び付いている。NFκBの主な標的細胞は、走化因子、免疫受容体、接着分子、ストレス反応遺伝子、アポトーシス調節因子、転写因子、増殖因子、酵素および細胞周期調節因子である。なお、NFκBは、若干のウイルスプロモーター/エンハンサー(例えばHIV-1およびCMV)の転写に重要な影響を与える(Tergaonkar, Vinay. "NFκB pathway: A good signaling paradigm and therapeutic target." The international journal of biochemistry & cell biology 38.10 (2006): 1647-1653.参照)。
【0052】
本発明において、KDという用語は、KDと置換可能に使用されて良く、通常、M(mol/L)の単位の所定の抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指す。KDは、物質ABとそれを解離した物質Aおよび物質Bとの濃度により算出されてよい。KD =c(A)*c(B)/c(AB)。その式によれば、KD値が大きいほど、多く解離され、物質A、B間における親和性が弱くなってしまい、逆に、KD値が小さいほど、少なく解離され、物質A、B間における親和性が強くなっていることを表す。
【0053】
本発明において、モノクローナル抗体という用語は、通常、すなわち、微量存在するかもしれない起こりうる天然突然変異を除いて同一である各抗体より構成される基本的に相同抗体である1群の抗体を指す。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原性部位に対応する。なお、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含んでいる従来のポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対応する。修飾語「モノクローナル」は、いかなる特定の方法による抗体の生産を必要とすることを意味するためのものではない。例えば、上記モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法で調製されるか、又は、組換えDNA法で細菌、真核動物や植物細胞中で産生されることができるし、例えば、ファージ抗体ライブラリーから、Clackson etal. , Nature, 352:624-628(1991)およびMarks et al., Mol.Biol.、222:581-597(1991)に記載の技術を使用してもよい。
【0054】
本発明において、一本鎖抗体(scFv)という用語は、通常、抗体における重鎖可変領域および軽鎖可変領域が、短ペプチドリンカー(linker)により連結された分子を意味する。
【0055】
本発明において、キメラ抗体という用語は、通常、各重鎖又は軽鎖アミノ酸配列の一部が、特定の種由来の抗体中で対応するアミノ酸配列と相同か、あるいは特定のクラスに属する一方で、その鎖の残りの部分が他の種由来の対応する配列と相同である抗体を意味する。例えば、軽鎖および重鎖は、可変領域がともに1つの動物種(例えば、マウス、ラット等)の抗体の可変領域に由来し、定常部分が別の種(例えばヒト)に由来する抗体の配列と相同である。例えば、キメラ抗体を得るために、非ヒトB細胞又はハイブリドーマ細胞により、可変領域を産生することができ、また、組み合わせた定常領域がヒト由来である。上記可変領域は、調製容易なメリットを有しており、その特異性は、組み合わせた定常領域由来による影響がない。同時に、キメラ抗体は、定常領域がヒト由来でありうるため、注射の場合、キメラ抗体は、定常領域が非ヒト由来である抗体よりも、免疫応答を引き起こす可能性が低い。
【0056】
本発明において、ヒト化抗体という用語は、通常、遺伝子工学技術を利用して、非ヒト生物種(例えばマウスまたはラット)由来の抗体、免疫グロブリン結合タンパク質およびポリペプチドのヒトへの免疫原性を低下させると同時に、オリジナル抗体の抗原結合特性を保持する改変抗体を指す。例えば、CDR移植(Jones et al., Nature 321:522 (1986))およびその変異体と、「再構成」(reshaping)、(Verhoeyen, et al., 1988 Science 239:1534-1536; Riechmann, et al., 1988 Nature 332:323-337; Tempest, et al., Bio/Technol 1991 9:266-271)、「超キメラ化」(hyperchimerization)、(Queen, et al., 1989 Proc Natl Acad Sci USA 86:10029-10033; Co, et al., 1991 Proc Natl Acad Sci USA 88:2869-2873; Co, et al., 1992 J Immunol 148:1149-1154)および「ベニヤリング」(veneering)、(Mark, et al., “Derivation of therapeutically active humanized and veneered anti-CD18 antibodies.”In: Metcalf B W, Dalton B J, eds. Cellular adhesion: molecular definition to therapeutic potential. New York: Plenum Press, 1994: 291-312)からなる技術とを使用し、非ヒト由来の結合ドメインをヒト化する。その他の領域、例えばヒンジ領域および定常領域ドメインも非ヒト由来であれば、それらの領域をヒト化することもできる。
【0057】
本発明において、完全ヒト化抗体という用語は、通常、抗体(抗体の定常領域部分、CHおよびCL領域を含む)の全てがヒト由来の遺伝子によってコードされることを指す。完全ヒト化抗体は、異種抗体によるヒトの免疫副反応を大きく減少することができる。
【0058】
本発明において、二重特異性抗体(Bispecific antibody、BsAbs)という用語は、通常、結合アーム中で二重特異性を有する抗体または抗体構築物を指す。天然に存在する抗体は、単一特異的であり、且つ、それらの抗原結合アーム中で同一の特異性を有する。二重特異性抗体は、2種類の異なる由来から取得され、オリジナル抗体における2種類の特異性を保存するように、組換えDNAまたは細胞融合法で構築されている。二重特異性抗体は、異なる抗原結合部位を2つ持っている。二重特異性抗体におけるFc部分は、任意の単一特異性親抗体におけるFc部分と異なる。二重特異性抗体は、医薬品および腫瘍細胞に対して二重特異性を持つことで、理論的に、体内における腫瘍のない部位よりも、腫瘍のほうの薬物蓄積が多くなる。二重特異性抗体の多くは、細胞毒性効果細胞(例えばTc細胞、NK細胞、好中性顆粒球)を標的細胞(例えば腫瘍細胞)に再指向させることができる。二重特異性抗体は、同時に発症メカニズム中で固有または重複な機能を発揮する2種類の異なる媒介/経路を遮断することができ、さらに、1種類の相互作用ではなく2種類の異なる細胞表面抗原によって、結合特異性を向上させることができる。(Fanger, Michael W., and Paul M. Guyre. "Bispecific antibodies for targeted cellular cytotoxicity." Trends in biotechnology, 1991: 375-380), (Fan, Gaowei, et al. "Bispecific antibodies and their applications." Journal of hematology & oncology, 2015: 130)
【0059】
本発明において、配列相同性という用語は、通常、相同タンパク質のアミノ酸配列が有する顕著な類似性を指す。
【0060】
本発明において、エピトープという用語は、通常、抗原決定基、すなわち、分子中で免疫系(例えば抗体)によって認識される部分である。例えば、エピトープは、免疫系によって認識される抗原上非連続三次元部位である。エピトープは、通常、分子の化学的に活性な表面基(例えばアミノ酸や炭水化物側鎖)からなり、一般に所定の三次元構造特性及び所定の電荷特性を有する。エピトープは、構造によれば、コンホメーションエピトープと非コンホメーションエピトープ(線状エピトープ)に分けてよい。コンホメーションエピトープは、非コンホメーションエピトープとの違いが、変性溶媒の存在下で前者が結合を失うが、後者が失わい点にある。抗原物質表面にしか位置しなく、抗原認識受容体または抗体に結合し易いエピトープが、機能性エピトープと言われ、分子内部に位置し、免疫原性のないエピトープが隠れたエピトープと言われてよい。エピトープは、連続的な残基で構成されても良く、又は、抗原ポリマーの折り畳みにより近接する非連続的な残基で構成されてもよい。タンパク質において、連続したアミノ酸で形成されるエピトープが一般的に、変性溶媒に曝されても保持されるが、非連続なアミノ酸で形成されるエピトープが一般的に、このように曝されるとなくなる。
【0061】
本発明において、抗原結合断片という用語は、通常、完全長抗体の一部、例えば、完全長抗体の抗原結合領域および/または可変領域を指す。ある実施形態において、上記抗原結合断片は、Fab、Fab'、F(ab)2、F(ab')2およびFv断片を含んでよい。ある実施形態において、本発明に記載の抗体は、二本鎖抗体、線状抗体、一本鎖抗体分子および抗体断片より構成される多重特異性抗体を含んでよい。パパインによって完全長構造を持つ抗体が消化された(例えば、Fc領域およびヒンジ領域が除去された)場合、「Fab」断片とも称する同一の抗原結合断片を2つ産生する。Fab断片は、完全長軽鎖、重鎖可変領域(VH)および重鎖の第一定常ドメイン(CH1)より構成される。各Fab断片は、抗原結合に対して一価であり、すなわち、単一の抗原結合部位を有する。F(ab)2抗体断片は、最初にペアでのFab断片として産生され、それらの間にシステインにより連結される。ペプシンにより完全長構造を持つ抗体が消化された場合、ジスルフィド結合によって連結された抗原結合活性の異なる2つのFab断片に概略に相当しても抗原を架橋可能な単一の大きいF(ab')2断片を産生する。Fab'断片は、Fab断片との違いが、CH1ドメインのカルボキシル末端に抗体ヒンジ領域由来の1個または複数のシステインを含む幾つかの余分な残基を含有する点にある。Fv断片は、抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなる。
【0062】
本発明において、変異体という用語は、通常、それと、基本的に同一の機能(例えば、PD-L1に特異的に結合することができる)を有し、且つ、それと少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するものを指す。ある実施形態において、上記アミノ酸配列の変異体は、それと、基本的に同一の機能(例えば、PD-L1に特異的に結合することができる)を有し、且つ、それに基づき1個または複数(例えば、1~2個、1~3個、1~4個、1~5個、1~6個、1~7個、1~8個、1~9個、1~10個またはより多く)のアミノ酸の置換、欠失または付加を含むアミノ酸配列である。
【0063】
本発明において、同一性という用語は、通常、候補配列が所定のペプチドまたはポリペプチド配列に比べて、全てのアミノ酸残基で同一のアミノ酸残基が占めるパーセントを指す。
【0064】
本発明において、IgGという用語は、通常、免疫グロブリンG(Immunoglobulin G)を指す。IgGは、ヒト免疫グロブリンの1つであり、他にも、さらに、lgA、lgM、IgDおよびlgEがある。IgGは、血清Igの約75%を占める血清の主な抗体成分である。IgG分子におけるγ鎖の抗原性の違いに基づいて、ヒトIgGがIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4の4つのサブタイプを有する。本発明において、IgG1という用語は、通常、Fc受容体と高い親和性を持つ、IgGにおける最大な割合になるサブタイプを指す。
【0065】
本発明において、核酸分子という用語は、通常、その天然環境から単離され、または人工合成された任意長さの単離形態であるヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、あるいはリボヌクレオチドまたはそのアナログを指す。
【0066】
本発明において、ベクターという用語は、通常、挿入された核酸分子を宿主細胞中および/または宿主細胞間に運搬する、適当な宿主で自己複製できる核酸分子を指す。上記ベクターは、主にDNAまたはRNAを細胞に挿入するためのベクター、主にDNAまたはRNAを複製するためのベクター、および主にDNAまたはRNAを転写および/または翻訳するための発現ベクターを含む。上記ベクターは、さらに、上記機能を複数種類有するベクターを含む。上記ベクターは、適当な宿主細胞を導入する場合、ポリペプチドに転写して翻訳することができるポリヌクレオチドでありうる。上記ベクターは、通常、上記ベクターからなる適当な宿主細胞を培養することによって、所望の発現産物を産生することができる。
【0067】
本発明において、宿主細胞という用語は、通常、本発明に記載の核酸分子からなるプラスミドやベクターを含有可能か、既に含有中であり、又は、本発明に記載の抗体、またはその抗原結合断片を発現することができる単独細胞、細胞株又は細胞培養物を指す。上記細胞は、単一宿主細胞の子世代を含んでよい。子世代の細胞は、天然的、非予期的若しくは意図的な突然変異によって、形態またはゲノムについて本来の親細胞とかならずしも完全に同一ではないかもしれないが、本発明に記載の抗体またはその抗原結合断片を発現すればよい。上記した宿主細胞は、本発明に記載のベクターを利用して、細胞をインビトロトランスフェクトすることにより得られる。上記した宿主細胞は、原核細胞(例えば大腸菌)であって良く、真核細胞(例えば酵母細胞、COS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、HEK293細胞、COS-1細胞、NS0細胞あるいは骨髄腫細胞)であってもよい。ある実施態様において、上記宿主細胞は、哺乳動物細胞である。例えば、上記哺乳動物細胞は、CHO-K1細胞でありうる。本発明において、組換え宿主細胞という用語は、通常、中で組換え発現ベクターが導入された細胞を指す。上記組換え宿主細胞は、ある種類の所定の細胞だけではなく、さらに、これらの細胞の子孫を含んでいる。
【0068】
本発明において、ガンという用語は、通常、細胞増殖や生存障害を代表的に特徴とする哺乳動物における生理状態を指すか、また記載する。癌の例としては、癌、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫および白血病及び悪性リンパ腫を含むがこれに限定されない。例えば、リンパ腫であってよい。
【0069】
本発明において、……間にという用語は、通常、ある種類のアミノ酸断片のC末端が第一アミノ酸断片のN末端と直接的または間接的に連結されていると共に、そのN末端が、第二アミノ酸断片のC末端と直接的または間接的に連結されていることを指す。軽鎖に、例えば、上記L-FR2のN末端が、上記LCDR1のC末端と直接的または間接的に連結されていると共に、上記L-FR2のC末端が上記LCDR2のN末端と直接的または間接的に連結されている。又、例えば、上記L-FR3のN末端が、上記LCDR2のC末端と直接的または間接的に連結されていると共に、上記L-FR3のC末端が上記LCDR3のN末端と直接的または間接的に連結されている。重鎖に、例えば、上記H-FR2のN末端が、上記HCDR1のC末端と直接的または間接的に連結されていると共に、上記H-FR2のC末端が、上記HCDR2のN末端と直接的または間接的に連結されている。又、例えば、上記H-FR3のN末端が、上記HCDR2のC末端と直接的または間接的に連結されていると共に、上記H-FR3のC末端が、上記HCDR3のN末端と直接的または間接的に連結されている。
【0070】
本発明において、約という用語は、通常、所定の数値の0.5%~10%以上または以下の範囲、例えば所定の数値の0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、または10%以上または以下の範囲に変動することを意味する。
【0071】
本発明において、含むという用語は、通常、有すること、備えること、含有することや、包含することを指す。場合によって、であること、からなることという意味もある。
【0072】
抗体またはその抗体結合断片
1つの局面において、本発明は、3×10-9M以下(例えば、上記KDの値が、約3×10-9Mよりも高くなく、約2×10-9Mよりも高くなく、約1×10-9Mよりも高くなく、約9×10-10Mよりも高くなく、約8×10-10Mよりも高くなく、約7×10-10Mよりも高くなく、約6×10-10Mよりも高くなく、約5×10-10Mよりも高くなく、約4×10-10Mよりも高くなく、約3×10-10Mよりも高くなく、約2×10-10Mよりも高くなく、1×10-10Mよりも高くなく、約9×10-11Mよりも高くなく、約8×10-11Mよりも高くなく、約7×10-11Mよりも高くなく、約6×10-11Mよりも高くなく、約1×10-11Mよりも高くなくまたはそれらの以下)のKD値でPD-L1タンパク質に結合する抗体またはその抗原結合断片もしくは変異体を提供する。例えば、上記の抗体、その抗原結合断片または変異体は、8×10-11M以下のKD値でPD-L1タンパク質に結合することができる。
【0073】
本発明に記載の抗体またはその抗原結合断片もしくは変異体は、PD-L1とPD-1の結合を阻害することができる。
【0074】
本発明に記載の抗体またはその抗原結合断片もしくは変異体は、腫瘍に関する疾患を寛解または治療することができる。上記腫瘍は、結腸がんを含む。
【0075】
本発明において、上記抗体は、モノクローナル抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体および完全ヒト化抗体の群から選ばれてよい。
【0076】
本発明において、上記の抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab)2およびFv断片の群から選ばれてよい。
【0077】
本発明において、上記変異体は、それと基本的に同一の機能(例えば、PD-L1に特異的に結合することができる)を含有し、且つそれと少なくとも85%以上の(例えば、少なくとも約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%またはより高い)配列同一性を含有するアミノ酸配列であってよい。ある実施形態において、上記アミノ酸配列の変異体は、それと基本的に同一の機能(例えば、PD-L1に特異的に結合することができる)を含有し、且つそれに基づき1個または複数(例えば、1~2個、1~3個、1~4個、1~5個、1~6個、1~7個、1~8個、1~9個、1~10個またはより多く)のアミノ酸の付加、欠失または置換を含有するアミノ酸配列であってよい。又、例えば、本発明に記載の変異体は、上記抗体または上記その抗原結合断片中で1個または複数のアミノ酸が置換、欠失または付加されたタンパク質またはポリペプチド、上記抗体または上記その抗原結合断片と85%以上の(例えば、少なくとも約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%またはより高い)配列相同性を有するタンパク質またはポリペプチドの群から選ばれてよい。
【0078】
ある実施形態において、本発明に記載の抗体は、SEQ ID NO: 53で表されるアミノ酸配列TGTX1SX2VGGYX3X4VSを有するLCDR1を含み、ここで、X1が、S、RまたはVであり、X2が、D、EまたはSであり、X3が、NまたはRであり、X4が、YまたはEであり、且つ、ここで、上記LCDR1が抗体Kabatの番号付けインデックスによって規定される抗体軽鎖またはその断片を有してよい。例えば、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 54-58のアミノ酸配列またはその変異体を有するLCDR1を含有してよい。
【0079】
ある実施形態において、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 59で表されるアミノ酸配列X1NSX2RPSを有し、ここで、X1が、GまたはEであり、X2が、NまたはIであり、且つ、ここで、抗体Kabatの番号付けインデックスによって規定されるLCDR2を含有してよい。例えば、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 60-61のアミノ酸配列またはその変異体を有するLCDR2を含有してよい。
【0080】
ある実施形態において、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 62で表されるアミノ酸配列QSYDSSLSGX1Vを有し、ここで、X1が、SまたはTであり、且つ、ここで、抗体Kabatの番号付けインデックスによって規定されるLCDR3を含有してよい。例えば、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 63およびSEQ ID NO: 64の群から選ばれるアミノ酸配列またはその変異体を有するLCDR3を含有してよい。
【0081】
ある実施形態において、上記抗体軽鎖またはその断片は、さらに、フレームワーク領域L-FR1、L-FR2、L-FR3、およびL-FR4を含んでよい。例えば、上記L-FR1は、C末端が上記LCDR1のN末端と直接的または間接的に連結され、SEQ ID NO: 71のアミノ酸配列を有する。上記L-FR2は、上記LCDR1と上記LCDR2の間にあり、SEQ ID NO: 72のアミノ酸配列を有する。上記L-FR3は、上記LCDR2と上記LCDR3の間にあり、SEQ ID NO: 73-75のアミノ酸配列を有する。上記L-FR4は、N末端が上記LCDR3のC末端と直接的または間接的に連結され、SEQ ID NO: 76のアミノ酸配列を有する。ある実施形態において、上記フレームワーク領域は、ヒト共通フレームワーク配列およびヒト生殖系列配列の群から選ばれる。
【0082】
ある実施形態において、本発明に記載の抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 4、SEQ ID NO: 11、SEQ ID NO: 33、SEQ ID NO: 37、SEQ ID NO: 39およびSEQ ID NO: 41の群から選ばれるアミノ酸配列またはその変異体を有する軽鎖可変領域VLを含む。
【0083】
本発明に記載の抗体またはその抗原結合断片もしくは変異体において、上記抗体軽鎖またはその断片は、さらに、ヒトIgλ定常領域を持つヒト定常領域を含んでよい。
【0084】
本発明において、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 15、SEQ ID NO: 34、SEQ ID NO: 38、SEQ ID NO: 40およびSEQ ID NO: 42の群から選ばれるアミノ酸配列を有してよい。
【0085】
本発明において、本発明に記載の抗体は、SEQ ID NO: 45で表されるアミノ酸配列X1YAISを有するHCDR1を含有し、ここで、X1が、SまたはTであり、且つ、ここで、上記HCDR1が抗体Kabatの番号付けインデックスによって規定される抗体重鎖またはその断片を含んでよい。例えば、上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 46およびSEQ ID NO: 47の群から選ばれるアミノ酸配列またはその変異体を有するHCDR1を含有してよい。
【0086】
本発明において、上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 48のアミノ酸配列またはその変異体を有し、且つ、ここで、抗体Kabatの番号付けインデックスによって規定されるHCDR2を含有してよい。
【0087】
本発明において、上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 49で表されるアミノ酸配列TMX1X2YX3X4GNX5DYを有し、ここで、X1が、D、EまたはGであり、X2が、GまたはEであり、X3が、SまたはGであり、X4が、YまたはFであり、X5が、FまたはYであり、且つ、ここで、抗体Kabatの番号付けインデックスによって規定されるHCDR3を含有してよい。例えば、上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 50-52のアミノ酸配列またはその変異体を有するHCDR3を含有してよい。
【0088】
ある実施形態において、上記抗体重鎖またはその断片は、さらに、フレームワーク領域H-FR1、H-FR2、H-FR3、およびH-FR4を含む。例えば、上記H-FR1は、C末端が上記HCDR1のN末端と直接的または間接的に連結され、SEQ ID NO: 65、SEQ ID NO: 66およびSEQ ID NO: 67の群から選ばれるアミノ酸配列を有してよい。上記H-FR2は、上記HCDR1と上記HCDR2の間にあり、SEQ ID NO: 68のアミノ酸配列を有してよい。上記H-FR3は、上記HCDR2と上記HCDR3の間にあり、SEQ ID NO: 69のアミノ酸配列を有してよい。上記H-FR4は、N末端が上記HCDR3のC末端と直接的または間接的に連結され、SEQ ID NO: 70のアミノ酸配列を有してよい。ある実施形態において、上記フレームワーク領域は、ヒト共通フレームワーク配列およびヒト生殖系列配列の群から選ばれる。
【0089】
本発明に記載の抗体重鎖またはその断片は、且つ上記重鎖可変領域VHは、SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 31、およびSEQ ID NO: 35の群から選ばれるアミノ酸配列またはその変異体を有する重鎖可変領域VHを含んでよい。本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体重鎖またはその断片は、さらに、ヒト定常領域を含んでよい。例えば、上記ヒト定常領域は、ヒトIgG定常領域を含んでよい。例えば、上記ヒトIgG定常領域は、ヒトIgG1定常領域を含有してよい。
【0090】
ある実施形態において、上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 13、SEQ ID NO: 32、およびSEQ ID NO: 36の群から選ばれるアミノ酸配列またはその変異体を有してよい。
【0091】
ある実施形態において、本発明に記載の抗体は、SEQ ID NO: 53で表されるアミノ酸配列TGTX1SX2VGGYX3X4VSを有するLCDR1を含有し、ここで、X1が、S、RまたはVであり、X2が、D、EまたはSであり、X3が、NまたはRであり、X4が、YまたはEであり、且つ、ここで、上記LCDR1が抗体Kabatの番号付けインデックスによって規定される抗体軽鎖またはその断片を含む。例えば、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 54-58の群から選ばれるアミノ酸配列またはその変異体を有するLCDR1を含有してよい。上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 59で表されるアミノ酸配列X1NSX2RPSを有し、ここで、X1が、GまたはEであり、X2が、NまたはIであり、且つ、ここで、抗体Kabatの番号付けインデックスによって規定されるLCDR2を含有する。例えば、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 60-61の群から選ばれるアミノ酸配列またはその変異体を有するLCDR2を含有してよい。上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 62で表されるアミノ酸配列QSYDSSLSGX1Vを有し、ここで、X1が、SまたはTであり、且つ、ここで、抗体Kabatの番号付けインデックスによって規定されるLCDR3を含有する。例えば、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 63-64の群から選ばれるアミノ酸配列またはその変異体を有するLCDR3を含有してよい。そして、本発明に記載の抗体は、SEQ ID NO: 45で表されるアミノ酸配列X1YAISを有するHCDR1を含有し、ここで、X1が、SまたはTであり、且つ、ここで、上記HCDR1が抗体Kabatの番号付けインデックスによって規定される抗体重鎖またはその断片を含む。例えば、上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 46およびSEQ ID NO: 47の群から選ばれるアミノ酸配列またはその変異体を有するHCDR1を含有してよい。例えば、上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 48のアミノ酸配列またはその変異体を有し、且つ、ここで、抗体Kabatの番号付けインデックスによって規定されるHCDR2を含有してよい。又、例えば、上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 49で表されるアミノ酸配列TMX1X2YX3X4GNX5DYを有し、ここで、X1が、D、EまたはGであり、X2が、GまたはEであり、X3が、SまたはGであり、X4が、YまたはFであり、X5が、FまたはYであり、且つ、ここで、抗体Kabatの番号付けインデックスによって規定されるHCDR3を含有する。上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 50-52のアミノ酸配列またはその変異体を有するHCDR3を含有してよい。
【0092】
本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、LCDR1のアミノ酸配列が、SEQ ID NO: 54またはその変異体を有して良く、LCDR2のアミノ酸配列が、SEQ ID NO: 60またはその変異体を有して良く、LCDR3のアミノ酸配列が、SEQ ID NO: 63またはその変異体を有して良く、且つ、HCDR1のアミノ酸配列が、SEQ ID NO: 46を有して良く、HCDR2のアミノ酸配列が、SEQ ID NO:48またはその変異体を有して良く、HCDR3のアミノ酸配列が、SEQ ID NO:50またはその変異体を有してよい。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-002またはそれと同一のLCDR1-3およびHCDR1-3を含有する抗体を含んでよい。上記抗体、その抗原結合断片または変異体において、L-FR1のアミノ酸配列が、SEQ ID NO:71またはその変異体を有して良く、L-FR2のアミノ酸配列が、SEQ ID NO:72またはその変異体を有して良く、L-FR3のアミノ酸配列が、SEQ ID NO:73またはその変異体を有して良く、L-FR4のアミノ酸配列が、SEQ ID NO:76またはその変異体を有して良く、且つ、H-FR1のアミノ酸配列が、SEQ ID NO:65またはその変異体を有して良く、H-FR2のアミノ酸配列が、SEQ ID NO:68またはその変異体を有して良く、H-FR3のアミノ酸配列が、SEQ ID NO:69またはその変異体を有して良く、且つ、H-FR4のアミノ酸配列が、SEQ ID NO:70またはその変異体を有してよい場合もある。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-002またはそれと同一のLCDR1-3、HCDR1-3、L-FR1-4およびH-FR1-4を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、軽鎖が、アミノ酸配列がSEQ ID NO:4またはその変異体を有する軽鎖可変領域を含んでよく、且つ、重鎖が、アミノ酸配列がSEQ ID NO:2またはその変異体を有する重鎖可変領域を含んでよい。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-002またはそれと同一の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 8で表される軽鎖、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 6で表される重鎖を有してよい。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-002またはそれと同一の軽鎖および重鎖を含有する抗体を含んでよい。
【0093】
ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、PD-L1タンパク質(例えば、ヒトPD-L1タンパク質)にリファレンス抗体と競合的に結合する。上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO:54またはその変異体を有するLCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:60またはその変異体を有するLCDR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:63またはその変異体を有するLCDR3のLCDR1-3、およびアミノ酸配列がSEQ ID NO:46またはその変異体を有するHCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:48またはその変異体を有するHCDR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:50またはその変異体を有するHCDR3のHCDR1-3を含有してよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、抗体YN-002またはそれと同一のLCDR1-3およびHCDR1-3を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO:71またはその変異体を有するL-FR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:72またはその変異体を有するL-FR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:73またはその変異体を有するL-FR3、アミノ酸配列がSEQ ID NO:76またはその変異体を有するL-FR4のL-FR1-4、およびアミノ酸配列がSEQ ID NO:65またはその変異体を有するH-FR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:68またはその変異体を有するH-FR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:69またはその変異体を有するH-FR3、アミノ酸配列がSEQ ID NO:70またはその変異体を有するH-FR4のH-FR1-4を含有してよい。例えば、該抗体またはその抗原結合断片は、抗体YN-002またはそれと同一のLCDR1-3、HCDR1-3、L-FR1-4およびH-FR1-4を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO:4またはその変異体を有する軽鎖可変領域、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO:2またはその変異体を有する重鎖可変領域を含んでよい。例えば、該リファレンス抗体は、抗体YN-002またはそれと同一の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 8で表される軽鎖、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 6で表される重鎖を有してよい。例えば、該リファレンス抗体は、抗体YN-002またはそれと同一の軽鎖および重鎖を含有する抗体を含んでよい。
【0094】
ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体に、LCDR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:54またはその変異体を有して良く、LCDR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:60またはその変異体を有して良く、LCDR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:63またはその変異体を有して良く、且つ、HCDR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:46またはその変異体を有して良く、HCDR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:48またはその変異体を有して良く、HCDR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:50またはその変異体を有してよい。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-003またはそれと同一のLCDR1-3およびHCDR1-3を含有する抗体を含んでよい。上記抗体、その抗原結合断片または変異体において、L-FR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:71またはその変異体を有して良く、L-FR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:72またはその変異体を有して良く、L-FR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:74またはその変異体を有して良く、L-FR4のアミノ酸配列がSEQ ID NO:76またはその変異体を有して良く、且つ、H-FR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:66またはその変異体を有して良く、H-FR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:68またはその変異体を有して良く、H-FR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:69またはその変異体を有して良く、且つ、H-FR4のアミノ酸配列がSEQ ID NO:70またはその変異体を有してよい場合もある。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-003またはそれと同一のLCDR1-3、HCDR1-3、L-FR1-4およびH-FR1-4を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、軽鎖が、アミノ酸配列がSEQ ID NO:11またはその変異体を有する軽鎖可変領域を含んでよく、且つ、重鎖が、アミノ酸配列がSEQ ID NO:9またはその変異体を有する重鎖可変領域を含んでよい。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-003またはそれと同一の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 15で表される軽鎖、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 13で表される重鎖を有してよい。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-003またはそれと同一の軽鎖および重鎖を含有する抗体を含んでよい。
【0095】
ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、PD-L1タンパク質(例えば、ヒトPD-L1タンパク質)にリファレンス抗体と競合的に結合する。上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO:54またはその変異体を有するLCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:60またはその変異体を有するLCDR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:63またはその変異体を有するLCDR3のLCDR1-3、およびアミノ酸配列がSEQ ID NO:46またはその変異体を有するHCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:48またはその変異体を有するHCDR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:50またはその変異体を有するHCDR3のHCDR1-3を含有してよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、抗体YN-003またはそれと同一のLCDR1-3およびHCDR1-3を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO:71またはその変異体を有するL-FR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:72またはその変異体を有するL-FR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:74またはその変異体を有するL-FR3、アミノ酸配列がSEQ ID NO:76またはその変異体を有するL-FR4のL-FR1-4、およびアミノ酸配列がSEQ ID NO:66またはその変異体を有するH-FR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:68またはその変異体を有するH-FR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:69またはその変異体を有するH-FR3、アミノ酸配列がSEQ ID NO:70またはその変異体を有するH-FR4のH-FR1-4を含有してよい。例えば、該抗体またはその抗原結合断片は、抗体YN-003またはそれと同一のLCDR1-3、HCDR1-3、L-FR1-4およびH-FR1-4を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO:11またはその変異体を有する軽鎖可変領域、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO:9またはその変異体を有する重鎖可変領域を含んでよい。例えば、該リファレンス抗体は、抗体YN-003またはそれと同一の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 15で表される軽鎖、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 13で表される重鎖を有してよい。例えば、該リファレンス抗体は、抗体YN-003またはそれと同一の軽鎖および重鎖を含有する抗体を含んでよい。
【0096】
ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体に、LCDR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:55またはその変異体を有してよく、LCDR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:60またはその変異体を有してよく、LCDR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:64またはその変異体を有してよく、且つ、HCDR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:47またはその変異体を有してよく、HCDR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:48またはその変異体を有してよく、HCDR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:51またはその変異体を有してよい。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-035またはそれと同一のLCDR1-3およびHCDR1-3を含有する抗体を含んでよい。上記抗体、その抗原結合断片または変異体に、L-FR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:71またはその変異体を有してよく、L-FR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:72またはその変異体を有してよく、L-FR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:74またはその変異体を有してよく、L-FR4のアミノ酸配列がSEQ ID NO:76またはその変異体を有してよく、且つ、H-FR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:67またはその変異体を有してよく、H-FR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:68またはその変異体を有してよく、H-FR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:69またはその変異体を有してよく、且つ、H-FR4のアミノ酸配列がSEQ ID NO:70またはその変異体を有してよい場合もある。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-035またはそれと同一のLCDR1-3、HCDR1-3、L-FR1-4およびH-FR1-4を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、軽鎖が、アミノ酸配列がSEQ ID NO:33またはその変異体を有する軽鎖可変領域を含んでよく、且つ、重鎖が、アミノ酸配列がSEQ ID NO:31またはその変異体を有する重鎖可変領域を含んでよい。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-035またはそれと同一の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 34で表される軽鎖、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 32で表される重鎖を有してよい。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-035またはそれと同一の軽鎖および重鎖を含有する抗体を含んでよい。
【0097】
ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、PD-L1タンパク質(例えば、ヒトPD-L1タンパク質)にリファレンス抗体と競合的に結合する。上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO:55またはその変異体を有するLCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:60またはその変異体を有するLCDR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:64またはその変異体を有するLCDR3のLCDR1-3、およびアミノ酸配列がSEQ ID NO:47またはその変異体を有するHCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:48またはその変異体を有するHCDR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:51またはその変異体を有するHCDR3のHCDR1-3を含有してよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、抗体YN-035またはそれと同一のLCDR1-3およびHCDR1-3を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO:71またはその変異体を有するL-FR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:72またはその変異体を有するL-FR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:74またはその変異体を有するL-FR3、アミノ酸配列がSEQ ID NO:76またはその変異体を有するL-FR4のL-FR1-4、およびアミノ酸配列がSEQ ID NO:67またはその変異体を有するH-FR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:68またはその変異体を有するH-FR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:69またはその変異体を有するH-FR3、アミノ酸配列がSEQ ID NO:70またはその変異体を有するH-FR4のH-FR1-4を含有してよい。例えば、該抗体またはその抗原結合断片は、抗体YN-035またはそれと同一のLCDR1-3、HCDR1-3、L-FR1-4およびH-FR1-4を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO:33またはその変異体を有する軽鎖可変領域、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO:31またはその変異体を有する重鎖可変領域を含んでよい。例えば、該リファレンス抗体は、抗体YN-035またはそれと同一の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 34で表される軽鎖、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 32で表される重鎖を有してよい。例えば、該リファレンス抗体は、抗体YN-035またはそれと同一の軽鎖および重鎖を含有する抗体を含んでよい。
【0098】
ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体に、LCDR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:55またはその変異体を有してよく、LCDR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:60またはその変異体を有してよく、LCDR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:64またはその変異体を有してよく、且つ、HCDR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:47またはその変異体を有してよく、HCDR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:48またはその変異体を有してよく、HCDR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:52またはその変異体を有してよい。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-036またはそれと同一のLCDR1-3およびHCDR1-3を含有する抗体を含んでよい。上記抗体、その抗原結合断片または変異体において、L-FR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:71またはその変異体を有してよく、L-FR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:72またはその変異体を有してよく、L-FR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:74またはその変異体を有してよく、L-FR4のアミノ酸配列がSEQ ID NO:76またはその変異体を有してよく、且つ、H-FR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:67またはその変異体を有してよく、H-FR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:68またはその変異体を有してよく、H-FR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:69またはその変異体を有してよく、且つ、H-FR4のアミノ酸配列がSEQ ID NO:70またはその変異体を有してよい場合もある。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-036またはそれと同一のLCDR1-3、HCDR1-3、L-FR1-4およびH-FR1-4を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、軽鎖が、アミノ酸配列がSEQ ID NO:33またはその変異体を有する軽鎖可変領域を含んでよく、且つ、重鎖が、アミノ酸配列がSEQ ID NO:35またはその変異体を有する重鎖可変領域を含んでよい。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-036またはそれと同一の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 34で表される軽鎖、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 36で表される重鎖を有してよい。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-036またはそれと同一の軽鎖および重鎖を含有する抗体を含んでよい。
【0099】
ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、PD-L1タンパク質(例えば、ヒトPD-L1タンパク質)にリファレンス抗体と競合的に結合する。上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO:55またはその変異体を有するLCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:60またはその変異体を有するLCDR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:64またはその変異体を有するLCDR3のLCDR1-3、およびアミノ酸配列がSEQ ID NO:47またはその変異体を有するHCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:48またはその変異体を有するHCDR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:52またはその変異体を有するHCDR3のHCDR1-3を含有してよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、抗体YN-036またはそれと同一のLCDR1-3およびHCDR1-3を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO:71またはその変異体を有するL-FR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:72またはその変異体を有するL-FR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:74またはその変異体を有するL-FR3、アミノ酸配列がSEQ ID NO:76またはその変異体を有するL-FR4のL-FR1-4、およびアミノ酸配列がSEQ ID NO:67またはその変異体を有するH-FR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:68またはその変異体を有するH-FR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:69またはその変異体を有するH-FR3、アミノ酸配列がSEQ ID NO:70またはその変異体を有するH-FR4のH-FR1-4を含有してよい。例えば、該抗体またはその抗原結合断片は、抗体YN-036またはそれと同一のLCDR1-3、HCDR1-3、L-FR1-4およびH-FR1-4を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO:33またはその変異体を有する軽鎖可変領域、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO:35またはその変異体を有する重鎖可変領域を含んでよい。例えば、該リファレンス抗体は、抗体YN-036またはそれと同一の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 34で表される軽鎖、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 36で表される重鎖を有してよい。例えば、該リファレンス抗体は、抗体YN-036またはそれと同一の軽鎖および重鎖を含有する抗体を含んでよい。
【0100】
ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体に、LCDR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:56またはその変異体を有してよく、LCDR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:61またはその変異体を有してよく、LCDR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:64またはその変異体を有してよく、且つ、HCDR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:47またはその変異体を有してよく、HCDR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:48またはその変異体を有してよく、HCDR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:52またはその変異体を有してよい。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-037またはそれと同一のLCDR1-3およびHCDR1-3を含有する抗体を含んでよい。上記抗体、その抗原結合断片または変異体において、L-FR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:71またはその変異体を有してよく、L-FR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:72またはその変異体を有してよく、L-FR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:75またはその変異体を有してよく、L-FR4のアミノ酸配列がSEQ ID NO:76またはその変異体を有してよく、且つ、H-FR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:67またはその変異体を有してよく、H-FR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:68またはその変異体を有してよく、H-FR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:69またはその変異体を有してよく、且つ、H-FR4のアミノ酸配列がSEQ ID NO:70またはその変異体を有してよい場合もある。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-037またはそれと同一のLCDR1-3、HCDR1-3、L-FR1-4およびH-FR1-4を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、軽鎖が、アミノ酸配列がSEQ ID NO:37またはその変異体を有する軽鎖可変領域を含んでよく、且つ、重鎖が、アミノ酸配列がSEQ ID NO:35またはその変異体を有する重鎖可変領域を含んでよい。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-037またはそれと同一の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 38で表される軽鎖、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 36で表される重鎖を有してよい。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-037またはそれと同一の軽鎖および重鎖を含有するを含んでよい。
【0101】
ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、PD-L1タンパク質(例えば、ヒトPD-L1タンパク質)にリファレンス抗体と競合的に結合する。上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO:56またはその変異体を有するLCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:61またはその変異体を有するLCDR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:64またはその変異体を有するLCDR3のLCDR1-3、およびアミノ酸配列がSEQ ID NO:47またはその変異体を有するHCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:48またはその変異体を有するHCDR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:52またはその変異体を有するHCDR3のHCDR1-3を含有してよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、抗体YN-037またはそれと同一のLCDR1-3およびHCDR1-3を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO:71またはその変異体を有するL-FR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:72またはその変異体を有するL-FR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:75またはその変異体を有するL-FR3、アミノ酸配列がSEQ ID NO:76またはその変異体を有するL-FR4のL-FR1-4、およびアミノ酸配列がSEQ ID NO:67またはその変異体を有するH-FR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:68またはその変異体を有するH-FR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:69またはその変異体を有するH-FR3、アミノ酸配列がSEQ ID NO:70またはその変異体を有するH-FR4のH-FR1-4を含有してよい。例えば、該抗体またはその抗原結合断片は、抗体YN-037またはそれと同一のLCDR1-3、HCDR1-3、L-FR1-4およびH-FR1-4を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO:37またはその変異体を有する軽鎖可変領域、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO:35またはその変異体を有する重鎖可変領域を含んでよい。例えば、該リファレンス抗体は、抗体YN-037またはそれと同一の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 38で表される軽鎖、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 36で表される重鎖を有してよい。例えば、該リファレンス抗体は、抗体YN-037またはそれと同一の軽鎖および重鎖を含有する抗体を含んでよい。
【0102】
ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体に、LCDR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:57またはその変異体を有してよく、LCDR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:61またはその変異体を有してよく、LCDR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:64またはその変異体を有してよく、且つ、HCDR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:47またはその変異体を有してよく、HCDR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:48またはその変異体を有してよく、HCDR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:52またはその変異体を有してよい。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-038またはそれと同一のLCDR1-3およびHCDR1-3を含有する抗体を含んでよい。上記抗体、その抗原結合断片または変異体において、L-FR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:71またはその変異体を有してよく、L-FR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:72またはその変異体を有してよく、L-FR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:75またはその変異体を有してよく、L-FR4のアミノ酸配列がSEQ ID NO:76またはその変異体を有してよく、且つ、H-FR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:67またはその変異体を有してよく、H-FR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:68またはその変異体を有してよく、H-FR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:69またはその変異体を有してよく、且つH-FR4のアミノ酸配列がSEQ ID NO:70またはその変異体を有してよい場合もある。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-038またはそれと同一のLCDR1-3、HCDR1-3、L-FR1-4およびH-FR1-4を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、軽鎖が、アミノ酸配列がSEQ ID NO:39またはその変異体を有する軽鎖可変領域を含んでよく、且つ、重鎖が、アミノ酸配列がSEQ ID NO:35またはその変異体を有する重鎖可変領域を含んでよい。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-038またはそれと同一の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 40で表される軽鎖、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 36で表される重鎖を有してよい。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-038またはそれと同一の軽鎖および重鎖を含有する抗体を含んでよい。
【0103】
ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、PD-L1タンパク質(例えば、ヒトPD-L1タンパク質)にリファレンス抗体と競合的に結合する。上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO:57またはその変異体を有するLCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:61またはその変異体を有するLCDR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:64またはその変異体を有するLCDR3のLCDR1-3、およびアミノ酸配列がSEQ ID NO:47またはその変異体を有するHCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:48またはその変異体を有するHCDR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:52またはその変異体を有するHCDR3のHCDR1-3を含有してよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、抗体YN-038またはそれと同一のLCDR1-3およびHCDR1-3を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO:71またはその変異体を有するL-FR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:72またはその変異体を有するL-FR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:75またはその変異体を有するL-FR3、アミノ酸配列がSEQ ID NO:76またはその変異体を有するL-FR4のL-FR1-4、およびアミノ酸配列がSEQ ID NO:67またはその変異体を有するH-FR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:68またはその変異体を有するH-FR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:69またはその変異体を有するH-FR3、アミノ酸配列がSEQ ID NO:70またはその変異体を有するH-FR4のH-FR1-4を含有してよい。例えば、該抗体またはその抗原結合断片は、抗体YN-038またはそれと同一のLCDR1-3、HCDR1-3、L-FR1-4およびH-FR1-4を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO:39またはその変異体を有する軽鎖可変領域、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO:35またはその変異体を有する重鎖可変領域を含んでよい。例えば、該リファレンス抗体は、抗体YN-038またはそれと同一の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 40で表される軽鎖、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 36で表される重鎖を有してよい。例えば、該リファレンス抗体は、抗体YN-038またはそれと同一の軽鎖および重鎖を含有する抗体を含んでよい。
【0104】
ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体に、LCDR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:58またはその変異体を有してよく、LCDR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:61またはその変異体を有してよく、LCDR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:64またはその変異体を有してよく、且つ、HCDR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:47またはその変異体を有してよく、HCDR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:48またはその変異体を有してよく、HCDR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:52またはその変異体を有してよい。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-039またはそれと同一のLCDR1-3およびHCDR1-3を含有する抗体を含んでよい。上記抗体、その抗原結合断片または変異体において、L-FR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:71またはその変異体を有してよく、L-FR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:72またはその変異体を有してよく、L-FR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:75またはその変異体を有してよく、L-FR4のアミノ酸配列がSEQ ID NO:76またはその変異体を有してよく、且つ、H-FR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:67またはその変異体を有してよく、H-FR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:68またはその変異体を有してよく、H-FR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:69またはその変異体を有してよく、且つ、H-FR4のアミノ酸配列がSEQ ID NO:70またはその変異体を有してよい場合もある。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-039またはそれと同一のLCDR1-3、HCDR1-3、L-FR1-4およびH-FR1-4を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、軽鎖が、アミノ酸配列がSEQ ID NO:41またはその変異体を有する軽鎖可変領域を含んでよく、且つ、重鎖が、アミノ酸配列がSEQ ID NO:35またはその変異体を有する重鎖可変領域を含んでよい。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-039またはそれと同一の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 42で表される軽鎖、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 36で表される重鎖を有してよい。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-039またはそれと同一の軽鎖および重鎖を含有する抗体を含んでよい。
【0105】
ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、PD-L1タンパク質(例えば、ヒトPD-L1タンパク質)にリファレンス抗体と競合的に結合する。上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO:58またはその変異体を有するLCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:61またはその変異体を有するLCDR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:64またはその変異体を有するLCDR3のLCDR1-3、およびアミノ酸配列がSEQ ID NO:47またはその変異体を有するHCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:48またはその変異体を有するHCDR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:52またはその変異体を有するHCDR3のHCDR1-3を含有してよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、抗体YN-039またはそれと同一のLCDR1-3およびHCDR1-3を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO:71またはその変異体を有するL-FR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:72またはその変異体を有するL-FR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:75またはその変異体を有するL-FR3、アミノ酸配列がSEQ ID NO:76またはその変異体を有するL-FR4のL-FR1-4、およびアミノ酸配列がSEQ ID NO:67またはその変異体を有するH-FR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:68またはその変異体を有するH-FR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:69またはその変異体を有するH-FR3、アミノ酸配列がSEQ ID NO:70またはその変異体を有するH-FR4のH-FR1-4を含有してよい。例えば、該抗体またはその抗原結合断片は、抗体YN-039またはそれと同一のLCDR1-3、HCDR1-3、L-FR1-4およびH-FR1-4を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO:41またはその変異体を有する軽鎖可変領域、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO:35またはその変異体を有する重鎖可変領域を含んでよい。例えば、該リファレンス抗体は、抗体YN-039またはそれと同一の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 42で表される軽鎖、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 36で表される重鎖を有してよい。例えば、該リファレンス抗体は、抗体YN-039またはそれと同一の軽鎖および重鎖を含有する抗体を含んでよい。
【0106】
本発明において、上記PD-L1タンパク質は、ヒトPD-L1タンパク質、サルPD-L1タンパク質およびマウスPD-L1タンパク質の群から選ばれる。
【0107】
一方で、本発明は、さらに、5×10-9M以下(例えば、約5×10-9Mよりも高くなく、約4×10-9Mよりも高くなく、約3×10-9Mよりも高くなく、約2×10-9Mよりも高くなく、約1×10-9Mよりも高くなくもしくは約1×10-10Mよりも高くなく、またはそれらの以下)のKD値でCD137タンパク質に結合する抗体、その抗原結合断片または変異体を提供する。例えば、3×10-9M 以下のKD値でCD137タンパク質に結合する。
【0108】
本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、腫瘍を寛解または治療することができる。例えば、上記腫瘍は、結腸がんを含んで良く。
【0109】
本発明において、上記抗体は、モノクローナル抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体および完全ヒト化抗体の群から選ばれてよい。
【0110】
本発明において、上記抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab)2およびFv断片の群から選ばれてよい。
【0111】
本発明において、上記変異体は、上記抗体とは、基本的に同一の機能(例えば、CD137に特異的に結合することができる)を有し、且つ、少なくとも85%以上の(例えば、少なくとも約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%またはより高い)配列同一性を有するアミノ酸配列である。ある実施形態において、上記アミノ酸配列の変異体は、それとは、基本的に同一の機能(例えば、CD137に特異的に結合することができる)を有し、且つ、それに基づき1個または複数(例えば、1~2個、1~3個、1~4個、1~5個、1~6個、1~7個、1~8個、1~9個、1~10個またはより多く)のアミノ酸の付加、欠失または置換を含有するアミノ酸配列である。
【0112】
ある実施形態において、上記抗体は、抗体軽鎖またはその断片を含んでよい。例えば、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 80のアミノ酸配列またはその変異体を有するLCDR1を含有してよい。例えば、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 81のアミノ酸配列またはその変異体を有するLCDR2を含有してよい。又、例えば、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 82のアミノ酸配列を有するLCDR3またはその変異体を含んでよい。
【0113】
ある実施形態において、上記の抗体、その抗原結合断片または変異体は、上記抗体軽鎖またはその断片が、さらに、フレームワーク領域L-FR1、L-FR2、L-FR3およびL-FR4を含む。例えば、上記L-FR1は、C末端が上記LCDR1のN末端と直接的または間接的に連結され、SEQ ID NO: 89のアミノ酸配列を有してよい。上記L-FR2は、上記LCDR1と上記LCDR2の間にあり、SEQ ID NO: 90のアミノ酸配列を有してよい。上記L-FR3は、上記LCDR2と上記LCDR3の間にあり、SEQ ID NO: 91のアミノ酸配列を有してよい。上記L-FR4は、N末端が上記LCDR3のC末端と直接的または間接的に連結され、SEQ ID NO: 92のアミノ酸配列を有してよい。
【0114】
ある実施形態において、上記の抗体、その抗原結合断片または変異体は、上記抗体軽鎖またはその断片がSEQ ID NO: 20のアミノ酸配列またはその変異体を有する軽鎖可変領域VLを含む。
【0115】
本発明において、上記抗体軽鎖またはその断片は、さらに、ヒトIgλ定常領域を持つヒト定常領域を含んでよい。
【0116】
本発明において、上記抗体の上記軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 23のアミノ酸配列を有してよい。
【0117】
ある実施形態において、上記の抗体は、抗体重鎖またはその断片を含んでよい。上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 77のアミノ酸配列またはその変異体を有するHCDR1を含有する。上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 78のアミノ酸配列またはその変異体を有するHCDR2を含有する。上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 79のアミノ酸配列またはその変異体を有するHCDR3を含有する。
【0118】
ある実施形態において、上記抗体重鎖またはその断片は、さらに、フレームワーク領域H-FR1、H-FR2、H-FR3およびH-FR4を含んでよい。上記H-FR1は、C末端が上記HCDR1のN末端と直接的または間接的に連結され、SEQ ID NO: 84-85のアミノ酸配列を有してよい。上記H-FR2は、上記HCDR1と上記HCDR2の間にあり、SEQ ID NO: 86のアミノ酸配列を有してよい。上記H-FR3は、上記HCDR2と上記HCDR3の間にあり、SEQ ID NO: 87のアミノ酸配列を有してよい。上記H-FR4は、N末端が上記HCDR3のC末端と直接的または間接的に連結され、SEQ ID NO: 88のアミノ酸配列を有してよい。
【0119】
本発明に記載の抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 18またはSEQ ID NO: 25の群から選ばれるアミノ酸配列またはその変異体を有する重鎖可変領域VHを含む。
【0120】
本発明の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体重鎖またはその断片は、さらに、ヒト定常領域を含んでよい。例えば、上記ヒト定常領域は、ヒトIgG定常領域を持ってよい。例えば、上記ヒトIgG定常領域は、ヒトIgG1定常領域を持ってよい。
【0121】
本発明において、上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 21またはSEQ ID NO: 27の群から選ばれるアミノ酸配列またはその変異体を有してよい。
【0122】
ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体に、LCDR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 80またはその変異体を有してよく、LCDR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:81またはその変異体を有してよく、LCDR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:82またはその変異体を有してよく、且つ、HCDR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:77またはその変異体を有してよく、HCDR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:78またはその変異体を有してよく、HCDR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:79またはその変異体を有してよい。例えば、上記抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-005またはそれと同一のLCDR1-3およびHCDR1-3を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、軽鎖可変領域のアミノ酸配列がSEQ ID NO:20またはその変異体を有してよく、且つ、重鎖可変領域のアミノ酸配列がSEQ ID NO:18またはその変異体を有してよい。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-005またはそれと同一の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 23で表される軽鎖、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 21で表される重鎖を有してよい。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-005またはそれと同一の軽鎖および重鎖を含有する抗体を含んでよい。
【0123】
ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、CD137タンパク質(例えば、ヒトCD137タンパク質)にリファレンス抗体と競合的に結合する。上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO:80またはその変異体を有するLCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:81またはその変異体を有するLCDR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:82またはその変異体を有するLCDR3のLCDR1-3、およびアミノ酸配列がSEQ ID NO:77またはその変異体を有するHCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:78またはその変異体を有するHCDR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:79またはその変異体を有するHCDR3のHCDR1-3を含有してよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、抗体YN-005またはそれと同一のLCDR1-3およびHCDR1-3を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO:20またはその変異体を有する軽鎖可変領域、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO 18またはその変異体を有する重鎖可変領域を含んでよい。例えば、該リファレンス抗体は、抗体YN-005またはそれと同一の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 23で表される軽鎖、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 21で表される重鎖を有してよい。例えば、該リファレンス抗体は、抗体YN-005またはそれと同一の軽鎖および重鎖を含有する抗体を含んでよい。
【0124】
ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体に、LCDR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 80またはその変異体を有してよく、LCDR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:81またはその変異体を有してよく、LCDR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:82またはその変異体を有してよく、且つ、HCDR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:77またはその変異体を有してよく、HCDR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:78またはその変異体を有してよく、HCDR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:79またはその変異体を有してよい。例えば、上記抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-006またはそれと同一のLCDR1-3およびHCDR1-3を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、軽鎖可変領域のアミノ酸配列がSEQ ID NO:20またはその変異体を有してよく、且つ、重鎖可変領域のアミノ酸配列がSEQ ID NO:25またはその変異体を有してよい。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-006またはそれと同一の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 23で表される軽鎖、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 27で表される重鎖を有してよい。例えば、該抗体、その抗原結合断片または変異体は、抗体YN-006またはそれと同一の軽鎖および重鎖を含有する抗体を含んでよい。
【0125】
ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、CD137タンパク質(例えば、ヒトCD137タンパク質)にリファレンス抗体と競合的に結合する。上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO:80またはその変異体を有するLCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:81またはその変異体を有するLCDR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:82またはその変異体を有するLCDR3のLCDR1-3、およびアミノ酸配列がSEQ ID NO:77またはその変異体を有するHCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO:78またはその変異体を有するHCDR2、アミノ酸配列がSEQ ID NO:79またはその変異体を有するHCDR3のHCDR1-3を含有してよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、抗体YN-006またはそれと同一のLCDR1-3およびHCDR1-3を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO:20またはその変異体を有する軽鎖可変領域、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO 25またはその変異体を有する重鎖可変領域を含んでよい。例えば、該リファレンス抗体は、抗体YN-006またはそれと同一の軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含有する抗体を含んでよい。ある実施形態において、上記リファレンス抗体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 23で表される軽鎖、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 27で表される重鎖を有してよい。例えば、該リファレンス抗体は、抗体YN-006またはそれと同一の軽鎖および重鎖を含有する抗体を含んでよい。
【0126】
本発明において、上記CD137タンパク質は、ヒトCD137タンパク質を含んでよい。
【0127】
一方で、本発明は、さらに、2×10-9M以下(例えば、約2×10-9Mよりも高くなく、約1×10-9Mよりも高くなく、約1×10-10Mよりも高くなくあるいは約8×10-11Mよりも高くなく、またはそれらの以下)のKD値でPD-L1タンパク質に結合し、且つ8×10-9M以下(例えば、約8×10-9Mよりも高くなく、約7×10-9Mよりも高くなく、約6×10-9Mよりも高くなく、約5×10-9Mよりも高くなく、約4×10-9Mよりも高くなく、約3×10-9Mよりも高くなく、約2×10-9Mよりも高くなく、約1×10-9Mよりも高くなくあるいは約1×10-10Mよりも高くなくまたはそれらの以下)のKD値でCD137タンパク質に結合する二重特異性抗体を提供する。
【0128】
本発明において、上記PD-L1タンパク質は、ヒトPD-L1タンパク質、サルPD-L1タンパク質およびマウスPD-L1タンパク質の群から選ばれ、且つ、上記CD137タンパク質は、ヒトCD137タンパク質を含む。
【0129】
本発明において、上記の二重特異性抗体は、PD-L1に結合する上記の抗体、その抗原結合断片または変異体を有する上記PD-L1タンパク質に特異的に結合する第一標的指向部分を含む。
【0130】
例えば、上記第一標的指向部分における上記抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab)2およびFv断片の群から選ばれてよい。又、例えば、上記第一標的指向部分における上記変異体は、上記抗体または上記その抗原結合断片中で1個または複数のアミノ酸が置換、欠失または付加されたタンパク質またはポリペプチドと、上記抗体または上記その抗原結合断片と85%以上の(例えば、少なくとも約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%またはより高い)配列相同性を有するタンパク質またはポリペプチドの群から選ばれてよい。上記抗体、その抗原結合断片または変異体は、上記PD-L1タンパク質に結合する抗体、その抗原結合断片または変異体でありうる。
【0131】
ある実施形態において、上記の二重特異性抗体におけるPD-L1タンパク質に結合する抗体は、軽鎖またはその断片を含んでよい。例えば、上記軽鎖またはその断片は、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 54-58であるLCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 60-61であるLCDR2、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 63-64の群から選ばれるLCDR3のLCDR1-3を含有する。ある実施形態において、上記軽鎖またはその断片は、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 4、SEQ ID NO: 11、SEQ ID NO: 33、SEQ ID NO: 37、SEQ ID NO: 39およびSEQ ID NO: 41の群から選ばれる軽鎖可変領域を含んでよい。ある実施形態において、上記抗体の軽鎖またはその断片は、ヒトIgλ定常領域を持つヒト定常領域を含んでよい。
【0132】
ある実施形態において、上記軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 15、SEQ ID NO: 34、SEQ ID NO: 38、SEQ ID NO: 40およびSEQ ID NO: 42の群から選ばれるアミノ酸配列を有してよい。
【0133】
ある実施形態において、上記PD-L1タンパク質に結合する抗体は、重鎖またはその断片を含んでよい。例えば、上記重鎖またはその断片は、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 46-47の群から選ばれるHCDR1、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 48であるHCDR2、およびアミノ酸配列がSEQ ID NO: 50~52であるHCDR3のHCDR1-3を含有する。
【0134】
ある実施形態において、上記重鎖またはその断片は、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 31およびSEQ ID NO: 35の群から選ばれる重鎖可変領域を含んでよい。
【0135】
ある実施形態において、上記重鎖またはその断片は、さらに、ヒトIgG定常領域を持つヒト定常領域を含んでよい。例えば、上記ヒトIgG定常領域がヒトIgG1定常領域である。
【0136】
ある実施形態において、上記重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 6、SEQID NO: 13、SEQ ID NO: 32およびSEQ ID NO: 36の群から選ばれるアミノ酸配列を有してよい。
【0137】
ある実施形態において、上記二重特異性抗体は、上記CD137タンパク質に結合する抗体、その抗原結合断片または変異体を有する上記CD137タンパク質に特異的に結合する第二標的指向部分を含む。ある実施形態において、上記抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab)2およびFv断片の群から選ばれる。ある実施形態において、上記変異体は、上記抗体または上記その抗原結合断片中で1個または複数のアミノ酸が置換、欠失または付加されたタンパク質またはポリペプチドと、上記抗体または上記その抗原結合断片と85%以上の(例えば、少なくとも約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%またはより高い)配列相同性を有するタンパク質またはポリペプチドの群から選ばれる。
【0138】
ある実施形態において、上記CD137タンパク質に結合する抗体は、軽鎖またはその断片を含んでよい。例えば、上記軽鎖またはその断片は、アミノ酸配列が順次にSEQ ID NO: 80、SEQ ID NO: 81およびSEQ ID NO: 82であるLCDR1-3を含有する。ある実施形態において、上記軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 20のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含んでよい。
【0139】
ある実施形態において、上記CD137タンパク質に結合する抗体は、重鎖またはその断片を含んでよい。ある実施形態において、上記抗体の重鎖またはその断片は、アミノ酸配列が順次にSEQ ID NO: 77、SEQ ID NO: 78およびSEQ ID NO: 79であるHCDR1-3を含有してよい。ある実施形態において、上記抗体の重鎖またはその断片は、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 18およびSEQ ID NO: 25の群から選ばれる重鎖可変領域を含んでよい。
【0140】
ある実施形態において、上記CD137タンパク質に結合する抗体は、SEQ ID NO: 83のアミノ酸配列を有するscFvを含有してよい。
【0141】
本発明において、上記の二重特異性抗体は、上記PD-L1タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域、上記CD137タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域および上記CD137タンパク質に結合する抗体の軽鎖可変領域を有する第一ポリペプチド鎖、および、上記PD-L1タンパク質に結合する抗体の軽鎖可変領域を有する第二ポリペプチド鎖を含んでよい。
【0142】
例えば、上記第一ポリペプチド鎖において、上記PD-L1タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域は、上記CD137タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域のN末端に位置し、且つ上記CD137タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域は、上記CD137タンパク質に結合する抗体の軽鎖可変領域のN末端に位置することができる。又、例えば、上記第一ポリペプチド鎖において、上記PD-L1タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域は、上記CD137タンパク質に結合する抗体の軽鎖可変領域のN末端に位置し、且つ上記CD137タンパク質に結合する抗体の軽鎖可変領域は、上記CD137タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域のN末端に位置することができる。
【0143】
例えば、上記第一ポリペプチド鎖において、上記CD137タンパク質に結合する抗体の軽鎖可変領域は、上記CD137タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域と一緒に、scFvを構成することができる。例えば、上記scFvは、SEQ ID NO: 83のアミノ酸配列を有してよい。
【0144】
上記第一ポリペプチド鎖は、さらに、ヒトIgG定常領域を含んでよい。例えば、上記ヒトIgG定常領域は、ヒトIgG1定常領域であってよい。
【0145】
ある実施形態において、上記ヒトIgG定常領域は、上記PD-L1タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域のC末端であって、且つ上記CD137タンパク質に結合する抗体の軽鎖可変領域のN末端に位置し、または、上記PD-L1タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域のC末端であって、且つ上記CD137タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域のN末端に位置することができる。
【0146】
ある実施形態において、上記第一ポリペプチド鎖は、SEQ ID NO: 30、SEQ ID NO: 43およびSEQ ID NO: 44のアミノ酸配列を有してよい。
【0147】
ある実施形態において、上記第二ポリペプチド鎖は、さらに、ヒトIgλ定常領域を含んでよい。
【0148】
本発明において、上記第二ポリペプチド鎖は、SEQ ID NO: 15およびSEQ ID NO: 34のアミノ酸配列を有してよい。
【0149】
例えば、本発明に記載の二重特異性抗体の第一標的指向部分において、LCDR1のアミノ酸配列が、SEQ ID NO: 54、SEQ ID NO: 55、SEQ ID NO: 56、SEQ ID NO: 57およびSEQ ID NO: 58またはその変異体の群から選ばれてよく、LCDR2のアミノ酸配列が、SEQ ID NO: 60およびSEQ ID NO:61またはその変異体の群から選ばれてよく、LCDR3のアミノ酸配列が、SEQ ID NO: 63およびSEQ ID NO: 64またはその変異体の群から選ばれてよく、且つ、HCDR1のアミノ酸配列が、SEQ ID NO: 46およびSEQ ID NO: 47またはその変異体の群から選ばれてよく、HCDR2のアミノ酸配列が、SEQ ID NO:48またはその変異体を有してよく、HCDR3のアミノ酸配列が、SEQ ID NO::50~52またはその変異体の群から選ばれてよい。ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、軽鎖可変領域のアミノ酸配列が、SEQ ID NO: 4、SEQ ID NO: 11、SEQ ID NO: 33、SEQ ID NO: 37、SEQ ID NO: 39およびSEQ ID NO: 41またはその変異体の群から選ばれてよく、且つ、重鎖可変領域のアミノ酸配列が、SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 31およびSEQ ID NO: 35またはその変異体の群から選ばれてよい。ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 15、SEQ ID NO: 34、SEQ ID NO: 38、SEQ ID NO: 40およびSEQ ID NO: 42の群のアミノ酸配列から選ばれる軽鎖、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 13、SEQ ID NO: 32およびSEQ ID NO: 36の群のアミノ酸配列から選ばれる重鎖を有してよい。
例えば、本発明に記載の二重特異性抗体の第二標的指向部分において、LCDR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 80またはその変異体を有してよく、LCDR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:81またはその変異体を有してよく、LCDR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:82またはその変異体を有してよく、且つ、HCDR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO:77またはその変異体を有してよく、HCDR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO:78またはその変異体を有してよく、HCDR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO:79またはその変異体を有してよい。ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、軽鎖可変領域のアミノ酸配列がSEQ ID NO:20またはその変異体を有してよく、且つ、重鎖可変領域のアミノ酸配列がSEQ ID NO:18およびSEQ ID NO:25の群またはその変異体から選ばれてよい。ある実施形態において、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体は、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 23で表される軽鎖、および、アミノ酸配列がSEQ ID NO: 21またはSEQ ID NO: 27で表される重鎖を有してよい。
【0150】
例えば、本発明に記載の二重特異性抗体において、上記第一ポリペプチドは、SEQ ID NO: 30で表されるアミノ酸配列を有してよく、上記第二ポリペプチドは、SEQ ID NO: 15で表されるアミノ酸配列を有してよい。該二重特異性抗体は、抗体YN-007またはそれと同一の第一ポリペプチドおよび第二ポリペプチドを含有する抗体を含んでよい。ここで、上記第一ポリペプチドに、SEQ ID NO: 25で表されるアミノ酸配列、SEQ ID NO: 20で表されるアミノ酸配列およびSEQ ID NO: 13で表されるアミノ酸配列を有してよく、且つ、上記第二ポリペプチドに、SEQ ID NO: 15で表されるアミノ酸配列を有してよい。
【0151】
又、例えば、本発明に記載の二重特異性抗体において、上記第一ポリペプチドは、SEQ ID NO: 43で表されるアミノ酸配列を有してよく、上記第二ポリペプチドは、SEQ ID NO: 34で表されるアミノ酸配列を有してよい。該二重特異性抗体は、抗体YN-051またはそれと同一の第一ポリペプチドおよび第二ポリペプチドを含有する抗体を含んでよい。ここで、上記第一ポリペプチドに、SEQ ID NO: 25で表されるアミノ酸配列、SEQ ID NO: 20で表されるアミノ酸配列およびSEQ ID NO: 32で表されるアミノ酸配列を有してよく、且つ、上記第二ポリペプチドに、SEQ ID NO: 34で表されるアミノ酸配列を有してよい。
【0152】
又、例えば、本発明に記載の二重特異性抗体において、上記第一ポリペプチドは、SEQ ID NO: 44で表されるアミノ酸配列を有してよく、上記第二ポリペプチドは、SEQ ID NO: 34で表されるアミノ酸配列を有してよい。該二重特異性抗体は、抗体YN-052またはそれと同一の第一ポリペプチドおよび第二ポリペプチドを含有する抗体を含んでよい。ここで、上記第一ポリペプチドに、SEQ ID NO: 25で表されるアミノ酸配列、SEQ ID NO: 20で表されるアミノ酸配列およびSEQ ID NO: 36で表されるアミノ酸配列を有してよく、且つ、上記第二ポリペプチドに、SEQ ID NO: 34で表されるアミノ酸配列を有してよい。
【0153】
例えば、本発明に記載の二重特異性抗体において、上記第一ポリペプチドは、SEQ ID NO: 30で表されるアミノ酸配列を有してよく、且つ、上記第二ポリペプチドは、SEQ ID NO: 15で表されるアミノ酸配列を有してよい。該二重特異性抗体は、抗体YN-007またはそれと同一の第一ポリペプチドおよび第二ポリペプチドを含有する抗体を含んでよい。ここで、上記第一ポリペプチドに、SEQ ID NO: 27で表されるアミノ酸配列、SEQ ID NO: 23で表されるアミノ酸配列およびSEQ ID NO: 13で表されるアミノ酸配列を有してよく、且つ、上記第二ポリペプチドに、SEQ ID NO: 15で表されるアミノ酸配列を有してよい。
【0154】
又、例えば、本発明に記載の二重特異性抗体において、上記第一ポリペプチドは、SEQ ID NO: 43で表されるアミノ酸配列を有してよく、上記第二ポリペプチドは、SEQ ID NO: 34で表されるアミノ酸配列を有してよい。該二重特異性抗体は、抗体YN-051またはそれと同一の第一ポリペプチドおよび第二ポリペプチドを含有する抗体を含んでよい。ここで、上記第一ポリペプチドに、SEQ ID NO: 32で表されるアミノ酸配列、SEQ ID NO: 27で表されるアミノ酸配列、SEQ ID NO: 23で表されるアミノ酸配列を有してよく、且つ、上記第二ポリペプチドに、SEQ ID NO: 34で表されるアミノ酸配列を有してよい。
【0155】
又、例えば、本発明に記載の二重特異性抗体において、上記第一ポリペプチドは、SEQ ID NO: 44で表されるアミノ酸配列を有してよく、上記第二ポリペプチドは、SEQ ID NO: 34で表されるアミノ酸配列を有してよい。該二重特異性抗体は、抗体YN-052またはそれと同一の第一ポリペプチドおよび第二ポリペプチドを含有する抗体を含んでよい。ここで、上記第一ポリペプチドに、SEQ ID NO: 36で表されるアミノ酸配列、SEQ ID NO: 27で表されるアミノ酸配列、SEQ ID NO: 23で表されるアミノ酸配列を有してよく、且つ、上記第二ポリペプチドに、SEQ ID NO: 34で表されるアミノ酸配列を有してよい。
核酸、ベクター、宿主細胞および調製方法
【0156】
別の1つの局面において、本発明は、さらに、本発明に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体、もしくは上記二重特異性抗体をコードすることができる単離された1種類または複数種類の核酸分子を提供する。例えば、上記1種類または複数種類の核酸分子における各核酸分子は、完全長の上記抗体またはその抗原結合断片をコードすることができるし、その一部(例えば、HCDR1-3、LCDR1-3、VL、VH、軽鎖または重鎖の1種類または複数種類)をコードすることもできる。
【0157】
本発明に記載の核酸分子は単離可能なものである。例えば、(i)インビトロでの増幅、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅と、(ii)クローン組換えと、(iii)精製、例えば、酵素消化およびゲル電気泳動分画によるものと、或いは、(iv)合成、例えば、化学合成によって産生または合成されてよい。ある実施形態において、上記単離された核酸は、組換えDNAの技術で調製される核酸分子である。
【0158】
本発明において、当該技術分野における周知の様々な手法によって上記した抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸を調製することができ、それらの手法が、制限断片の操作によって、または、合成オリゴヌクレオチドによる重複伸長PCRによって構築され得ることを含むがこれに限定されない。具体的な手引きは、Sambrookら、Molecular Cloning, A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor, N.Y.,1989、およびAusubeらCurrent Protocols in Molecular Biology ,Greene Publishing and Wiley-Interscience,New York N.Y., 1993に見出すことができる。
【0159】
別の1つの局面において、本発明は、本発明に記載の1種類または複数種類の核酸分子を含む1種類または複数種類のベクターを提供する。各種のベクターに、1種類または複数種類の上記核酸分子を含んでよい。なお、上記ベクターには、その他の遺伝子、例えば適合な宿主細胞中および適合な条件で該ベクターへの選択が許容される標識遺伝子をさらに含んで良い。なお、上記ベクターは、さらに、コード領域が適切な宿主中で正しく発現することが許容される発現調節因子を含んで良い。このような調節因子は、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、エンハンサー、および遺伝子転写やmRNA翻訳を調節するその他の調節因子などを含めて、当該技術分野における当業者の周知のものである。ある実施形態において、上記発現調節配列が調節可能なものである。上記発現調節配列の具体な構造は、生物種や細胞種の機能により変化するが、通常、例えばTATAボックス、キャッピング配列、およびCAAT配列などそれぞれ転写および翻訳開始を関与する5’非転写配列並びに5’および3’非翻訳配列を含む。例えば、5’非転写発現調節配列は、機能的に連結された核酸を転写制御するためのプロモーター配列を包含するプロモーター領域を含んで良い。本発明に記載の1種類または複数種類の核酸分子は、上記発現調節因子と操作可能に連結されてよい。
【0160】
上記ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス、ファージ、または、例えば遺伝子工学に一般的に用いられるその他のベクターを含んで良い。例えば、上記ベクターは発現ベクターである。
【0161】
別の1つの局面において、本発明は、本発明に記載の核酸分子および/または本発明に記載のベクターを含んでいる細胞を提供する。ある実施形態において、宿主細胞は、1つ又は1種の本発明に記載の核酸分子又はベクターを1つ又は1種ずつ含んで良い。ある実施形態において、宿主細胞は、複数(例えば、2つ又はこれ以上)或いは多種類(例えば、2種類又はこれ以上)の本発明に記載の核酸分子又はベクターを、1つ又は1種ずつ含んで良い。例えば、本発明に記載のベクターを、上記宿主細胞、例えば真核細胞、植物由来細胞、真菌又は酵母細胞などに導入することができる。当該技術分野における周知の手法、例えば電気穿孔、lipofectineトランスフェクト、lipofectaminトランスフェクトなどで、本発明に記載のベクターを上記宿主細胞に導入することができる。
【0162】
別の1つの局面において、本発明は、上記の核酸分子または上記のベクターを含む上記の1種類または複数種類の宿主細胞を提供する。
【0163】
別の1つの局面において、本発明は、上記抗体あるいはその抗原結合断片もしくは変異体、または上記二重特異性抗体を調製する方法を提供する。上記方法は、上記抗体、その抗原結合断片もしくは変異体、または上記二重特異性抗体を発現させる条件で、上記した本発明に記載の宿主細胞を培養することを含んで良い。しかも、任意選択で上記抗体、その抗原結合断片または変異体を取得する。例えば、これらの方法は、適切な培地、適切な温度および培養時間等を利用することによって、当該技術分野における当業者に把握させるだろう。
【0164】
医薬品組成物、使用
別の1つの局面において、本発明は、上記抗体、その抗原結合断片もしくは変異体、または上記二重特異性抗体、上記の核酸分子、上記のベクターおよび/または上記の宿主細胞、および任意選択で薬学的に許容可能なアジュバントを含有可能な医薬品組成物を提供する。
【0165】
上記した薬学的に許容可能なアジュバントは、緩衝剤、酸化防止剤、防腐剤、低分子量ポリペプチド、タンパク質、親水ポリマー、アミノ酸、糖、キレート剤、対イオン、金属複合体および/又は非イオン界面活性剤等を含んでよい。
【0166】
本発明において、上記医薬品組成物は、経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、腫瘍部位におけるin situ投与、吸入、直腸投与、膣内投与、経皮投与又は皮下ストレージによる投与のために調製されることができる。
【0167】
一方で、本発明は、腫瘍を寛解または治療する医薬品の調製における上記抗体、その抗原結合断片あるいは変異体、または上記二重特異性抗体、上記核酸分子、上記ベクター、上記宿主細胞および/または上記医薬品組成物の使用を提供する。ここで、上記腫瘍は、結腸がんを含む。
【0168】
一方で、本発明は、必要のある被験者へ、上記PD-L1タンパク質に結合する抗体、その抗原結合断片または変異体、上記CD137タンパク質に結合する抗体、その抗原結合断片または変異体、または上記二重特異性抗体、上記核酸分子、上記ベクター、上記宿主細胞および/または上記医薬品組成物を投与することを含む、T細胞機能を増強する方法を提供する。ここで、上記T細胞は、腫瘍に関する機能不全のT細胞である。
【0169】
一方で、本発明は、必要のある被験者へ、上記抗体、その抗原結合断片または変異体、または上記二重特異性抗体、上記核酸分子、上記ベクター、上記宿主細胞および/または上記医薬品組成物を投与することを含む、PD-L1タンパク質とPD-1タンパク質の結合を阻害する方法を提供する。
【0170】
本発明において、上記抗体CDRの位置は、抗体Kabat定義法により特定されることができる。
【0171】
本発明は、さらに、以下の実施形態を含んでいる。
1.3×10-9Mまたはより低いKD値でPD-L1タンパク質に結合する、抗体、その抗原結合断片または変異体。
【0172】
2.実施態様1に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、8×10-11Mまたはより低いKDでPD-L1タンパク質に結合する。
【0173】
3.実施態様1~2のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、PD-L1とPD-1の結合を阻害する。
【0174】
4.実施態様1~3のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、腫瘍に関連する疾患を寛解または治療可能である。
【0175】
5.実施態様4に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記腫瘍は、結腸がんを含む。
【0176】
6.実施態様1~5のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体は、モノクローナル抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体および完全ヒト化抗体の群から選ばれる。
【0177】
7.実施態様1~6のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab)2およびFv断片の群から選ばれる。
【0178】
8.実施態様1~7のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記変異体は、
1)上記抗体または上記その抗原結合断片中で1個または複数のアミノ酸が置換、欠失または付加されたタンパク質またはポリペプチド、および
2)上記抗体または上記その抗原結合断片と90%以上の配列相同性を有するタンパク質またはポリペプチド
の群から選ばれる。
【0179】
9.実施態様1~8のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記PD-L1タンパク質にリファレンス抗体と競合的に結合し、ここで、上記リファレンス抗体が、SEQ ID NO: 54-58の群から選ばれるアミノ酸配列を有するLCDR1、SEQ ID NO: 60-61の群から選ばれるアミノ酸配列を有するLCDR2、およびSEQ ID NO: 63-64の群から選ばれるアミノ酸配列を有するLCDR3のLCDR1-3を含有する軽鎖可変領域、および、SEQ ID NO: 46-47の群から選ばれるアミノ酸配列を有するHCDR1、SEQ ID NO: 48の群から選ばれるアミノ酸配列を有するHCDR2、SEQ ID NO: 50-52の群から選ばれるアミノ酸配列を有するHCDR3のHCDR1-3を含有する重鎖可変領域を含む。
【0180】
10.実施態様9に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記リファレンス抗体は、軽鎖可変領域がSEQ ID NO: 4、SEQ ID NO: 11、SEQ ID NO: 33、SEQ ID NO: 37、SEQ ID NO: 39およびSEQ ID NO: 41の群から選ばれるアミノ酸配列を有し、且つ、重鎖可変領域がSEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 31およびSEQ ID NO: 35の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。
【0181】
11.実施態様9~10のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記リファレンス抗体は、軽鎖がSEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 15、SEQ ID NO: 34、SEQ ID NO: 38、SEQ ID NO: 40およびSEQ ID NO: 42の群から選ばれるアミノ酸配列を有し、且つ、重鎖がSEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 13、SEQ ID NO: 32およびSEQ ID NO: 36の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。
【0182】
12.実施態様1~11に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体は、SEQ ID NO: 53で表されるアミノ酸配列TGTX1SX2VGGYX3X4VSを有するLCDR1を含有する抗体軽鎖またはその断片を含み、ここで、X1が、S、RまたはVであり、X2が、D、EまたはSであり、X3が、NまたはRであり、X4が、YまたはEであり、且つ、ここで、上記LCDR1が抗体Kabatの番号付けインデックスによって規定される。
【0183】
13.実施態様12に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記LCDR1は、SEQ ID NO: 54-58の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。
【0184】
14.実施態様11~13のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 59で表されるアミノ酸配列X1NSX2RPSを有するLCDR2を含有し、ここで、X1が、GまたはEであり、X2が、NまたはIであり、且つ、ここで、上記LCDR2が抗体Kabatの番号付けインデックスによって規定される。
【0185】
15.実施態様14に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記LCDR2は、SEQ ID NO: 60-61の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。
【0186】
16.実施態様11~15のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 62で表されるアミノ酸配列QSYDSSLSGX1Vを有するLCDR3を含有し、ここで、X1が、SまたはTであり、且つ、ここで、上記LCDR3が抗体Kabatの番号付けインデックスによって規定される。
【0187】
17.実施態様11~16のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体軽鎖またはその断片は、さらに、フレームワーク領域L-FR1、L-FR2、L-FR3、およびL-FR4を含む。
【0188】
18.実施態様17に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記フレームワーク領域は、ヒト共通フレームワーク配列およびヒト生殖系列配列の群から選ばれる。
【0189】
19.実施態様17~18のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記L-FR1は、C末端が上記LCDR1のN末端と直接的または間接的に連結され、SEQ ID NO: 71の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。
【0190】
20.実施態様17~19のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記L-FR2は、上記LCDR1と上記LCDR2の間にあり、SEQ ID NO: 72の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。
【0191】
21.実施態様17~20のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記L-FR3は、上記LCDR2と上記LCDR3の間にあり、SEQ ID NO: 73-75の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。
【0192】
22.実施態様17~21のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記L-FR4は、N末端が上記LCDR3のC末端と直接的または間接的に連結され、SEQ ID NO: 76の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。
【0193】
23.実施態様12~22のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 4、SEQ ID NO: 11、SEQ ID NO: 33、SEQ ID NO: 37、SEQ ID NO: 39およびSEQ ID NO: 41の群から選ばれるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域VLを含む。
【0194】
24.実施態様12~23のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体軽鎖またはその断片は、さらに、ヒトIgλ定常領域を持つヒト定常領域を含む。
【0195】
25.実施態様12~24のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 15、SEQ ID NO: 34、SEQ ID NO: 38、SEQ ID NO: 40およびSEQ ID NO: 42の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。
【0196】
26.実施態様1~25のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体は、SEQ ID NO: 45で表されるアミノ酸配列X1YAISを有するHCDR1を含有する抗体重鎖またはその断片を含み、ここで、X1が、SまたはTであり、且つ、ここで、上記HCDR1が抗体Kabatの番号付けインデックスによって規定される。
【0197】
27.実施態様26に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 48で表されるアミノ酸配列を有するHCDR2を含有し、且つ、ここで、上記HCDR2が抗体Kabatの番号付けインデックスによって規定される。
【0198】
28.実施態様26~27のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 49で表されるアミノ酸配列TMX1X2YX3X4GNX5DYを有するHCDR3を含有し、ここで、X1が、D、EまたはGであり、X2が、GまたはEであり、X3が、SまたはGであり、X4が、YまたはFであり、X5が、FまたはYであり、且つ、ここで、上記HCDR3が抗体Kabatの番号付けインデックスによって規定される。
【0199】
29.実施態様28に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記HCDR3は、SEQ ID NO: 50-52の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。
【0200】
30.実施態様26~29のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体重鎖またはその断片は、さらに、フレームワーク領域H-FR1、H-FR2、H-FR3、およびH-FR4を含む。
【0201】
31.実施態様30に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記フレームワーク領域は、ヒト共通フレームワーク配列およびヒト生殖系列配列の群から選ばれる。
【0202】
32.実施態様30~31のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記H-FR1は、C末端が上記HCDR1のN末端と直接的または間接的に連結され、SEQ ID NO: 65-67の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。
【0203】
33.実施態様30~32のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記H-FR2は、上記HCDR1と上記HCDR2の間にあり、SEQ ID NO: 68の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。
【0204】
34.実施態様30~33のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記H-FR3は、上記HCDR2と上記HCDR3の間にあり、SEQ ID NO: 69の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。
【0205】
35.実施態様30~34のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記H-FR4は、N末端と上記HCDR3のC末端と直接的または間接的に連結され、SEQ ID NO: 70の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。
【0206】
36.実施態様26~35のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 31およびSEQ ID NO: 35の群から選ばれるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域VHを含む。
【0207】
37.実施態様26~36のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体重鎖またはその断片は、さらに、ヒトIgG1定常領域を持つヒト定常領域を含む。
【0208】
38.実施態様26~37のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 6、SEQ ID NO: 13、SEQ ID NO: 32およびSEQ ID NO: 36の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。
【0209】
39.実施態様1~38のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記PD-L1タンパク質は、ヒトPD-L1タンパク質、サルPD-L1タンパク質およびマウスPD-L1タンパク質の群から選ばれる。
【0210】
40.5×10-9Mまたはより低いKDでCD137タンパク質に結合する抗体、その抗原結合断片または変異体。
【0211】
41.実施態様40に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、3×10-9Mまたはより低いKDでCD137タンパク質に結合する。
【0212】
42.実施態様40~41のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、CD137のアゴニスト活性を有する。
【0213】
43.実施態様40~42のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、腫瘍を寛解または治療可能である。
【0214】
44.実施態様43に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記腫瘍は、結腸がんを含む。
【0215】
45.実施態様40~44のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体は、モノクローナル抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体および完全ヒト化抗体の群から選ばれる。
【0216】
46.実施態様40~45のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab)2およびFv断片の群から選ばれる。
【0217】
47.実施態様40~46のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記変異体は、
1)上記抗体または上記その抗原結合断片中で1個または複数のアミノ酸が置換、欠失または付加されたタンパク質またはポリペプチド、および
2)上記抗体または上記その抗原結合断片と90%以上の配列相同性を有するタンパク質またはポリペプチド
の群から選ばれる。
【0218】
48.実施態様40~47のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記CD137タンパク質にリファレンス抗体と競合的に結合し、ここで、上記リファレンス抗体が、アミノ酸配列が順次にSEQ ID NO: 80-82で表されるLCDR1-3を含有する軽鎖可変領域、および、アミノ酸配列が順次にSEQ ID NO: 77-79で表されるHCDR1-3を含有する重鎖可変領域を含む。
【0219】
49.実施態様48に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記リファレンス抗体は、軽鎖可変領域がSEQ ID NO: 20で表されるアミノ酸配列を有し、且つ、重鎖可変領域がSEQ ID NO: 18およびSEQ ID NO: 25で表されるアミノ酸配列を有する。
【0220】
50.実施態様48~49のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記リファレンス抗体は、軽鎖がSEQ ID NO: 23で表されるアミノ酸配列を有し、且つ、重鎖がSEQ ID NO: 21およびSEQ ID NO: 27で表されるアミノ酸配列を有する。
【0221】
51.実施態様40~50のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体は、抗体軽鎖またはその断片を含む。
【0222】
52.実施態様51に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 80で表されるアミノ酸配列を有するLCDR1を含有する。
【0223】
53.実施態様51~52のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 81で表されるアミノ酸配列を有するLCDR2を含有する。
【0224】
54.実施態様51~53のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 82で表されるアミノ酸配列を有するLCDR3を含有する。
【0225】
55.実施態様51~54のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体軽鎖またはその断片は、さらに、フレームワーク領域L-FR1、L-FR2、L-FR3およびL-FR4を含む。
【0226】
56.実施態様55に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記フレームワーク領域は、ヒト共通フレームワーク配列およびヒト生殖系列配列の群から選ばれる。
【0227】
57.実施態様55~56のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記L-FR1は、C末端が上記LCDR1のN末端と直接的または間接的に連結され、SEQ ID NO: 89で表されるアミノ酸配列を有する。
【0228】
58.実施態様55~57のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記L-FR2は、上記LCDR1と上記LCDR2の間にあり、SEQ ID NO: 90で表されるアミノ酸配列を有する。
【0229】
59.実施態様55~58のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記L-FR3は、上記LCDR2と上記LCDR3の間にあり、SEQ ID NO: 91で表されるアミノ酸配列を有する。
【0230】
60.実施態様55~59のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記L-FR4は、N末端が上記LCDR3のC末端と直接的または間接的に連結され、SEQ ID NO: 92で表されるアミノ酸配列を有する。
【0231】
61.実施態様51~60のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 20で表されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域VLを含む。
【0232】
62.実施態様51~61のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体軽鎖またはその断片は、さらに、ヒトIgλ定常領域を持つヒト定常領域を含む。
【0233】
63.実施態様51~62のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体軽鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 23で表されるアミノ酸配列を有する。
【0234】
64.実施態様40~63のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体は、抗体重鎖またはその断片を含む。
【0235】
65.実施態様64に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 77で表されるアミノ酸配列を有するHCDR1を含有する。
【0236】
66.実施態様64~65のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 78で表されるアミノ酸配列を有するHCDR2を含有する。
【0237】
67.実施態様64~66のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 79で表されるアミノ酸配列を有するHCDR3を含有する。
【0238】
68.実施態様64~67のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体重鎖またはその断片は、さらに、フレームワーク領域H-FR1、H-FR2、H-FR3およびH-FR4を含む。
【0239】
69.実施態様68に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記フレームワーク領域は、ヒト共通フレームワーク配列およびヒト生殖系列配列の群から選ばれる。
【0240】
70.実施態様68~69のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記H-FR1は、C末端が上記HCDR1のN末端と直接的または間接的に連結され、SEQ ID NO: 84-85で表されるアミノ酸配列を有する。
【0241】
71.実施態様68~70のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記H-FR2は、上記HCDR1と上記HCDR2の間にあり、SEQ ID NO: 86で表されるアミノ酸配列を有する。
【0242】
72.実施態様68~71のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記H-FR3は、上記HCDR2と上記HCDR3の間にあり、SEQ ID NO: 87で表されるアミノ酸配列を有する。
【0243】
73.実施態様68~72のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記H-FR4は、N末端が上記HCDR3のC末端と直接的または間接的に連結され、SEQ ID NO: 88で表されるアミノ酸配列を有する。
【0244】
74.実施態様68~73のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 18またはSEQ ID NO: 25で表されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域VHを含む。
【0245】
75.実施態様64~74のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体重鎖またはその断片は、さらに、ヒトIgG定常領域を持つヒト定常領域を含む。
【0246】
76.実施態様75に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記IgG定常領域は、ヒトIgG1定常領域を含む。
【0247】
77.実施態様64~76のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記抗体重鎖またはその断片は、SEQ ID NO: 21またはSEQ ID NO: 27で表されるアミノ酸配列を有する。
【0248】
78.実施態様40~77のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体において、上記CD137タンパク質は、ヒトCD137タンパク質を含む。
【0249】
79.2×10-9Mまたはより低いKD値でPD-L1タンパク質に結合し、且つ8×10-9Mまたはより低いKD値でCD137タンパク質に結合する二重特異性抗体。
【0250】
80.実施態様30に記載の二重特異性抗体において、実施態様1~39のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体を有する、上記PD-L1タンパク質に特異的に結合する第一標的指向部分を含む。
【0251】
81.実施態様30~31のいずれか1項に記載の二重特異性抗体において、実施態様40~78のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体を有する、上記CD137タンパク質に特異的に結合する第二標的指向部分を含む。
【0252】
82.実施態様79~81のいずれか1項に記載の二重特異性抗体において、上記PD-L1タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域、上記CD137タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域、および上記CD137タンパク質に結合する抗体の軽鎖可変領域を有する第一ポリペプチド鎖、および、上記PD-L1タンパク質に結合する抗体の軽鎖可変領域を有する第二ポリペプチド鎖を含む。
【0253】
83.実施態様82に記載の二重特異性抗体において、上記第一ポリペプチド鎖において、上記PD-L1タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域が、上記CD137タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域のN末端に位置し、且つ上記CD137タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域が、上記CD137タンパク質に結合する抗体の軽鎖可変領域のN末端に位置し、または、
上記PD-L1タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域が、上記CD137タンパク質に結合する抗体の軽鎖可変領域のN末端に位置し、且つ上記CD137タンパク質に結合する抗体の軽鎖可変領域が、上記CD137タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域のN末端に位置する。
【0254】
84.実施態様82~83のいずれか1項に記載の二重特異性抗体において、上記第一ポリペプチド鎖において、scFvが、上記CD137タンパク質に結合する抗体の軽鎖可変領域と上記CD137タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域とより構成される。
【0255】
85.実施態様82~84のいずれか1項に記載の二重特異性抗体において、上記第一ポリペプチド鎖において、さらに、上記PD-L1タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域のC末端であって、且つ上記CD137タンパク質に結合する抗体の軽鎖可変領域のN末端に位置し、または、上記PD-L1タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域のC末端であって、且つ上記CD137タンパク質に結合する抗体の重鎖可変領域のN末端に位置するヒトIgG定常領域を含む。
【0256】
86.実施態様82~85のいずれか1項に記載の二重特異性抗体において、上記第一ポリペプチド鎖は、SEQ ID NO: 30、SEQ ID NO: 43およびSEQ ID NO: 44の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。
【0257】
87.実施態様82~86のいずれか1項に記載の二重特異性抗体において、上記第二ポリペプチド鎖は、SEQ ID NO: 15およびSEQ ID NO: 34の群から選ばれるアミノ酸配列を有する。
【0258】
88.実施態様1~39のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体、実施態様40~78のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体、あるいは実施態様79~87のいずれか1項に記載の二重特異性抗体をコードする単離された1種類または複数種類の核酸分子。
【0259】
89.実施態様88に記載の核酸分子を含むベクター。
【0260】
90.実施態様88に記載の核酸分子または実施態様89に記載のベクターを含む細胞。
【0261】
91.実施態様1~39のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体、実施態様40~78のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体、あるいは実施態様79~87のいずれか1項に記載の二重特異性抗体を発現させる条件で、実施態様90に記載の細胞を培養することを含む、実施態様1~39のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体、実施態様40~78のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体、あるいは実施態様79~87のいずれか1項に記載の二重特異性抗体を調製する方法。
【0262】
92.実施態様1~39のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体、実施態様40~78のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体、あるいは実施態様79~87のいずれか1項に記載の二重特異性抗体、実施態様88に記載の核酸分子、実施態様89に記載のベクターおよび/または実施態様90に記載の細胞、および任意選択で薬学的に許容可能なアジュバントを含む医薬品組成物。
【0263】
93.腫瘍を寛解または治療する医薬品の調製における実施態様1~39のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体、実施態様40~78のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体、あるいは実施態様79~87のいずれか1項に記載の二重特異性抗体、実施態様88に記載の核酸分子、実施態様89に記載のベクター、実施態様90に記載の細胞および/または実施態様92に記載の医薬品組成物の使用。
【0264】
94.実施態様93に記載の使用において、上記腫瘍は、結腸がんを含む。
【0265】
95.実施態様1~39のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体、実施態様40~78のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体、あるいは実施態様79~87のいずれか1項に記載の二重特異性抗体、実施態様88に記載の核酸分子、実施態様89に記載のベクター、実施態様90に記載の細胞および/または実施態様92に記載の医薬品組成物を投与することを含む、PD-L1タンパク質とPD-1タンパク質の結合を阻害する方法。
【0266】
96.実施態様1~39のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体、実施態様40~78のいずれか1項に記載の抗体、その抗原結合断片または変異体、あるいは実施態様79~87のいずれか1項に記載の二重特異性抗体、実施態様88に記載の核酸分子、実施態様89に記載のベクター、実施態様90に記載の細胞および/または実施態様92に記載の医薬品組成物を投与することを含む、T細胞機能を増強する方法。
以下の実施例は、どんな理論にもよらず、本発明の要件、方法やシステムの作用形態を釈明することに過ぎなく、本願発明の範囲を制限するものではない。
【0267】
実施例
実施例1ファージ抗体ライブラリーによる抗PD-L1 抗体のスクリーニング
ヒトPD-L1-Fcタンパク質(上海原能細胞メディカルテクノロジー有限会社)を抗原とし、ファージ天然ヒト抗体ライブラリー(上海原能細胞メディカルテクノロジー有限会社)の選別を行った。20 μg/ml(第1、2ラウンド)または 10 μg/ml(第3、4ラウンド)PD-L1タンパク質含有CBS緩衝液で、4℃で酵素結合免疫チューブを一晩被覆した。そして、該管を、PBS緩衝液で洗浄して、その中に、10%脱脂粉乳を加えて免疫チューブをブロックし、また、ブロックされたphageを1 ml入れて、室温(20±5℃)で1時間インキュベートした。PBSTで十分に洗浄後、pH2.2のGly-HCl緩衝液を800μl入れて溶離させた直後に、pH8.0のTris-HCl緩衝液を400μl入れて中和した。そして、20mlの対数増殖期にある0.8ぐらいのOD値のE. coliSS320に入れて均一に混合後、37℃で1時間静置した。菌液を500μl取り出し、ファージ力価測定およびグリセリン菌体保存を行い、残りの菌液によってプレートを塗布して、37℃で一晩培養した。翌日、プレートにおける細菌を、菌液のOD値が0.2になるように、80mlの2YT-Amp培地に比例して導入した。数時間培養後、OD値が0.8になると、helper phageを160μl入れて均一に混合し、37℃で1時間静置した。そして、IPTG、Kan抗生物質を加え、250rpmで、30℃で振盪しながら一晩培養した。その後、上澄液を採取して、PEG/NaCl溶液でファージを沈殿させ、1.5mlのPBS緩衝液に再懸濁させ、エンリッチメント・スクリーニングを行った。
【0268】
それぞれ1μg/mlのヒトPD-L1-Fcタンパク質(上海原能細胞メディカルテクノロジー有限会社)およびマウスPD-L1-Fcタンパク質(M5251、北京百普賽斯バイオテクノロジー有限会社から購入)を利用して4℃で96ウェルELISAプレートを一晩被覆した。その後、該プレートは、10%の脱脂粉乳で非特異的結合部位をブロックして、十分に洗浄後、モノクローナルファージ上澄液を、96ウェルプレートに加えて、37℃で2時間インキュベートした。十分に洗浄後、1ウェルごとにHRP標識抗M13抗体(27-9421-01、GE healtcare)を加えて、37℃で45分間反応した。十分に洗浄後、1ウェルごとにTMBを加えて発色をさせ、室温(20±5℃)で5~10分間反応後、1ウェルごとに硫酸を加えて反応を停止させ、マイクロプレートリーダーで450 nmにおける各ウェルのOD値を測定した。
【0269】
ELISA同定を行うことによって、ヒトPD-L1に特異的に結合しつつマウスPD-L1に特異的に結合することができるファージ抗体クローン1B10が1株得られた。シーケンシング結果から、上記ファージ抗体1B10の重鎖可変領域VHをコードするヌクレオチド配列がSEQ ID NO: 1で表され、ファージ抗体1B10の重鎖可変領域VHのアミノ酸配列がSEQ ID NO: 2で表され、上記ファージ抗体1B10の軽鎖可変領域VLをコードするヌクレオチド配列がSEQ ID NO: 3で表され、ファージ抗体1B10の軽鎖可変領域VLのアミノ酸配列がSEQ ID NO: 4で表されることを示した。
【0270】
実施例2 抗PD-L1完全ヒト化完全長抗体の発現および精製
ファージ抗体1B10のVHにPCR増幅を行い、PCR産物を組換えによってAgeIおよびSalIにより両酵素消化されたpCMV-IgG1NDLベクターにクローンするように、プライマーを設計し、ファージ抗体1B10のVLにPCR増幅を行い、PCR産物を組換えによってAgeIおよびBsiWIにより両酵素消化されたpCMV-λベクターにクローンするように、プライマーを設計した。シーケンシングが正しくなると、重/軽鎖発現ベクターを293F細胞に同時形質移入して瞬時に発現させ、ProteinAカラムで精製することによって、ファージ抗体1B10の完全長IgG1,λ抗体を得て、この抗PD-L1完全ヒト化抗体をYN-002と命名した。
【0271】
シーケンシング結果から、抗体YN-002のVHをコードするヌクレオチド配列がSEQ ID NO: 1で表され、抗体YN-002のVHのアミノ酸配列がSEQ ID NO: 2で表され、抗体YN-002のVLをコードするヌクレオチド配列がSEQ ID NO: 3で表され、抗体YN-002のVLのアミノ酸配列がSEQ ID NO: 4で表され、抗体YN-002の重鎖をコードするヌクレオチド配列がSEQ ID NO: 5で表され、YN-002の重鎖のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 6で表され、抗体YN-002の軽鎖をコードするヌクレオチド配列がSEQ ID NO: 7で表され、抗体YN-002の軽鎖のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 8で表されることを示した。
【0272】
実施例3 抗PD-L1完全ヒト化抗体YN-002の生殖系列バージョン(germlined version)
抗体YN-002重鎖免疫グロブリン配列を、既知のヒト生殖系列免疫グロブリン重鎖配列と整列し、抗体YN-002重鎖によるヒト生殖系列IGHV1-69*09由来のVHセグメント、ヒト生殖系列IGHD5-18*01由来のDセグメントおよびヒト生殖系列IGHJ4*02由来のJHセグメントの利用を確認した。
【0273】
抗体YN-002軽鎖免疫グロブリン配列を、既知のヒト生殖系列免疫グロブリン軽鎖配列と整列し、抗体YN-002軽鎖によるヒト生殖系列IGLV2-14*01由来のVLセグメント、ヒト生殖系列IGLJ2*01由来のJLセグメントの利用を確認した。
【0274】
Kabatシステムにより、抗体YN-002のCDR領域配列(図1参照)を解析した。
【0275】
シーケンシング結果から、抗体YN-002のLCDR1-3のアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 54、SEQ ID NO: 60およびSEQ ID NO: 63で表され、且つそのHCDR1-3のアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 46、SEQ ID NO: 48およびSEQ ID NO: 50で表されることを示した。
【0276】
抗体YN-002の免疫原性を最小化するために、幾つかのアミノ酸残基を生殖系列配列に突然変異して戻してよい。抗体YN-003は、抗体YN-002の生殖系列バージョン(germlined version)の1つであって、YN-002重鎖可変領域のFR1領域における1個のアミノ酸を生殖系列配列に突然変異して戻し、また、YN-002軽鎖可変領域のFR2領域における1個のアミノ酸およびFR3領域における6個のアミノ酸を、生殖系列配列に突然変異して戻すことによって調製された(図1参照)。抗PD-L1完全ヒト化抗体YN-003の重鎖発現ベクターは、上記構築されたYN-002重鎖発現プラスミドに基づいて、突然変異キット(天根の点突然変異キット、KM101)により部位特異的突然変異を行うことによって得られた。YN-003軽鎖発現ベクターは、YN-002軽鎖発現プラスミドに基づいて突然変異キット(天根の点突然変異キット、KM101)により部位特異的突然変異を行うことによって得られた。
【0277】
抗体YN-003 VHのアミノ酸配列は、SEQ ID NO: 9で表されるように、抗体YN-002 VHのアミノ酸配列中での1個のアミノ酸残基を突然変異させることによって得られ、YN-003 VHをコードするヌクレオチド配列が、SEQ ID NO: 10で表される。抗体YN-003 VLのアミノ酸配列は、SEQ ID NO: 11で表されるように、抗体YN-002 VLのアミノ酸配列中での7個のアミノ酸残基を突然変異させることによって得られ、YN-003VLをコードする対応したヌクレオチド配列が、SEQ ID NO: 12で表される。抗体YN-003重鎖のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 13で表され、YN-003重鎖をコードするヌクレオチド配列がSEQ ID NO: 14で表され、抗体YN-003軽鎖のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 15で表され、抗体YN-003軽鎖をコードするヌクレオチド配列がSEQ ID NO: 16で表される。
【0278】
YN-003抗体の発現、精製については、実施例2におけるYN-002抗体の発現、精製のステップを参照してよい。
【0279】
実施例4 抗PD-L1抗体結合親和力測定
分子間相互作用分析装置(Octet RED384、Pall ForteBio会社から入手)を使って、抗体YN-002および抗体YN-003による組換えヒト、カニクイザル、マウス、犬PD-L1タンパク質の結合親和力を測定した。ビオチン(EZ-Link Sulfo-NHS-LC-Biotin,Pierce,21327)で、組換えヒト PD-L1-Fc、組換えカニクイザルPD-L1-Fc(90251-C02H、北京義翹神州バイオテクノロジー有限会社から購入)、組換えマウスPD-L1-Fc(M5251、北京百普賽斯バイオテクノロジー有限会社から購入)、組換え犬PD-L1-Fc(70110-D02H、北京義翹神州バイオテクノロジー有限会社から購入)のタンパク質を標識した。バイオレイヤー干渉(BLI)技術によって、分子間相互作用分析装置(Octet RED384、Pall ForteBio会社)を利用して、0.1% BSAおよび0.02% Tween20含有PBS緩衝液で、抗原抗体結合速度論解析を行った。50nMの濃度のbiotin結合を介した抗原タンパク質を利用してSAセンサー(Pall ForteBio会社)に固定して、1500rpmで10分間結合し、そして、倍数希釈された抗体溶液に1500rpmで10分間結合し、最後、1500rpmで10分間解離した。得られた結果に対して、Octet Data Analysis 9.0ソフトウェア(Pall ForteBio会社)によるデータ解析を行い、KD値、Kon(1/Ms)値およびKoff(1/s)値が得られた。
【0280】
測定された抗PD-L1抗体YN-002とYN-003の結合親和力の結果は、表1~4を参照してよい。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】
【0281】
実施例5:PD-L1抗体によるヒトPD-L1とヒトPD-1間の結合阻害
ビオチン(EZ-Link Sulfo-NHS-LC-Biotin、Pierce、21327)でヒトPD-1-Fcタンパク質(北京百普賽斯バイオテクノロジー有限会社、H5257)を標識し、亜飽和濃度のビオチンで標識されたヒトPD-1-Fcを1×106/mlのヒトPD-L1安定発現CHO細胞に加えた直後に、5倍希釈の各抗体を入れて均一に混合後、(4°C、1時間)インキュベートした。細胞洗浄後、Streptavidin R-PE Conjugate(life technology、SA10041)を入れて、(4°C、30分間)インキュベートした。細胞洗浄後、フローサイトメーター(Intellicyt iQue Screener)により蛍光強度を測定した。結果は、図2に示されたように、YN-002およびYN-003が、何れもヒトPD-1とヒトPD-L1発現CHO細胞の結合を効果的に阻害することができることであった。
【0282】
実施例6:PD-L1抗体によるカニクイザルPD-L1とカニクイザルPD-1間の結合阻害
Octet RED384機器((Pall ForteBio会社)を用いて、抗PD-L1抗体YN-002およびYN-003によるカニクイザルPD-L1-Fc(北京義翹神州バイオテクノロジー有限会社、90251-C02H)とカニクイザルPD-1-Fc(北京義翹神州バイオテクノロジー有限会社、90311-C02H)の結合の遮断能力を評価した。まず、ビオチン(EZ-Link Sulfo-NHS-LC-Biotin,Pierce,21327)でカニクイザルPD-1-Fcを標識した。バイオレイヤー干渉(BLI)技術によって、fortebio octet RED384機器(PALL)、分子間相互作用分析装置を用いて、PD-L1抗体によるカニクイザルPD-L1とカニクイザルPD-1間の結合阻害速度論解析(抗原、抗体の希釈に、ともに0.1%BSAと0.02%tween20のPBS緩衝液が用いられる)を行った。濃度の100nMのbiotin結合を介した組換えヒトPD-1-Fcを利用してSAセンサーに固定して、1500rpm/minで10min結合し、最終濃度の75nMのカニクイザルPD-L1を3倍希釈抗体溶液と混合し、60分間インキュベートした後、機器に入れて1500rpm/minで10min結合した。最後、1500rpm/minで10分間解離した。得られた結果は、Octet Data Analysis 9.0ソフトウェア(Pall Fortebio会社)でデータ解析を行った。結果は、図3に示されたように、YN-002およびYN-003が、何れもカニクイザルPD-L1-FcとカニクイザルPD-1-Fcの結合を効果的に阻害することができることであった。
【0283】
実施例7:PD-L1抗体によるマウスPD-L1とマウスPD-1間の結合阻害
ビオチン(EZ-Link Sulfo-NHS-LC-Biotin、Pierce、21327)で、マウスPD-1-Fc(北京百普賽斯バイオテクノロジー有限会社、M5259)を標識し、亜飽和濃度のビオチンで標識されたマウスPD-1-Fcを、1×106/mlのマウスPD-L1安定発現CHO細胞に加えた直後に、5倍希釈の各抗体を入れて均一に混合後、(4°C、1時間)インキュベートした。細胞洗浄後、Streptavidin R-PE Conjugate(life technology、SA10041)を入れて、(4°C、30分間)インキュベートした。細胞洗浄後、フローサイトメーター(Intellicyt iQue Screener)により、蛍光強度を測定した。結果は、図4に示されたように、YN-002およびYN-003が、何れもマウスPD-1とマウスPD-L1発現CHO細胞の結合を効果的に阻害することができることであった。
【0284】
実施例8:結腸癌担癌マウスにおける抗PD-L1モノクローナル抗体の抗癌効果検討
0日目に、3×106個MC38マウス結腸直腸癌細胞(上海林渊バイオテクノロジー有限会社)を、6~8週齢のC57BL/6雌マウスに皮下接種した。3日目に、マウスを、8~9匹を1群として7群に平均に群分け、各群の担癌マウスにヒト抗体IgG-Fcタンパク質(10 mg/kg、週に2回合計2週)、YN-003抗体(10 mg/kg、週に2回合計2週)、Atezolizumab(10 mg/kg、週に2回合計2週)をそれぞれ腹腔内注射した。各群のマウスの体重および腫瘍の大きさの変化を定期に観察した。実験結果によれば、対照IgG1-Fcに比べて、YN-003とAtezolizumabがともに腫瘍成長を効果的抑制することができ、特に、YN-003の抗癌効果がより目立った(図5)ことが分かった。
【0285】
実施例9:ファージ抗体ライブラリーによる抗CD137抗体のスクリーニング
CD137タンパク質(北京義翹神州テクノロジー有限会社から購入)を抗原とし、ファージ天然ヒト抗体ライブラリー(上海原能細胞メディカルテクノロジー有限会社)の選別を行った。20μg/ml(第1、2ラウンド)または10μg/ml(第3、4ラウンド)CD137タンパク質含有CBS緩衝液で、4℃で酵素結合免疫チューブを一晩被覆した。そして、該管を、PBS緩衝液で洗浄して、その中に、10%脱脂粉乳を加えて免疫チューブをブロックし、また、ブロックされたphageを1ml入れて、室温(20±5℃)で1時間インキュベートした。PBSTで十分に洗浄後、pH2.2のGly-HCl緩衝液を800 μl入れて溶離させた直後に、pH8.0のTris-HCl緩衝液を400 μl入れて中和した。そして、20 mlの対数増殖期にある0.8ぐらいのOD値のE. coliSS320に入れて均一に混合後、37℃で1時間静置した。500μl菌液を取り出し、ファージ力価測定およびグリセリン菌体保存を行い、残りの菌液によってプレートを塗布して、37℃で一晩培養した。翌日、プレートにおける細菌を、菌液のOD値が0.2になるように、80mlの2YT-Amp培地に比例して導入した。数時間培養後、OD値が0.8になると、helper phageを160 μl入れて均一に混合し、37℃で1時間静置した。そして、IPTG、Kan 抗生物質を加え、250 rpmで、30℃で振盪しながら一晩培養した。その後、上澄液を採取して、PEG/NaCl溶液でファージを沈殿させ、1.5mlのPBS緩衝液中で再懸濁させ、エンリッチメント・スクリーニングを行った。
1 μg/mlのヒトCD137タンパク質で96ウェルELISAプレートを4℃で一晩被覆した。その後、該プレートを、10%脱脂粉乳で非特異的結合部位をブロックして十分に洗浄後、モノクローナルファージ上澄液を取り、96ウェルプレートに入れて、37℃で2時間インキュベートした。十分に洗浄後、1ウェルごとにHRP標識抗M13抗体(27-9421-01、GE healtcareから購入)を加えて、37℃で45分間反応した。十分に洗浄後、1ウェルごとにTMBを加えて発色をさせ、室温(20±5℃)で5~10分間反応後、1ウェルごとに硫酸を加えて反応を停止させ、マイクロプレートリーダーで450 nmにおける各ウェルのOD値を測定した。
ELISA同定を行うことによって、ヒトCD137に特異的に結合するファージ抗体クローン1A6を1株得て、シーケンシング後、VHおよびVL遺伝子配列を得た。シーケンシング結果から、ファージ抗体1A6のVHをコードするヌクレオチド配列がSEQ ID NO: 17で表され、ファージ抗体1A6のVHのアミノ酸配列がSEQ ID NO: 18で表され、ファージ抗体1A6のVLをコードするヌクレオチド配列がSEQ ID NO: 19で表され、ファージ抗体1A6のVLのアミノ酸配列がSEQ ID NO: 20で表されることを示した。
【0286】
実施例10抗CD137完全ヒト化完全長抗体の発現および精製
ファージ抗体1A6のVHにPCR増幅を行い、PCR産物を組換えによってAgeIおよびSalIにより両酵素消化されたpCMV-IgG2ベクターにクローンするように、プライマーを設計し、ファージ抗体1A6のVLにPCR増幅を行い、PCR産物を組換えによってAgeIおよびBsiWIにより両酵素消化されたpCMV-λベクターにクローンするように、プライマーを設計した。シーケンシングが正しくなると、重/軽鎖発現ベクターを293F細胞に同時形質移入して瞬時に発現させ、ProteinAカラムで精製することによって、1A6の完全長IgG2,λ抗体を得て、この抗CD137完全ヒト化完全長抗体をYN-005と命名した。
【0287】
シーケンシング結果から、抗体YN-005 VHのアミノ酸配列がSEQ ID NO: 18で表され、抗体YN-005 VHをコードするヌクレオチド配列がSEQ ID NO: 17で表され、且つ、抗体YN-005 VLのアミノ酸配列がSEQ ID NO: 20で表され、抗体YN-005 VLをコードするヌクレオチド配列がSEQ ID NO: 19で表され、抗体YN-005重鎖のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 21で表され、抗体YN-005重鎖をコードするヌクレオチド配列がSEQ ID NO: 22で表され、抗体YN-005軽鎖のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 23で表され、抗体YN-005軽鎖をコードするヌクレオチド配列がSEQ ID NO: 24で表されることを示した。
【0288】
実施例11:抗CD137完全ヒト化抗体YN-005の生殖系列バージョン(germlined version)
抗体YN-005重鎖免疫グロブリン配列を、既知のヒト生殖系列免疫グロブリン重鎖配列と整列し、抗体YN-005重鎖によるヒト生殖系列IGHV3-23*04由来のVHセグメント、ヒト生殖系列IGHD7-27*01由来のDセグメントおよびヒト生殖系列IGHJ3*02由来のJHセグメントの利用を確認した。
【0289】
YN-005軽鎖免疫グロブリン配列を、既知のヒト生殖系列免疫グロブリン軽鎖配列と整列し、抗体YN-005軽鎖によるヒト生殖系列IGLV1-44*01由来のVLセグメント、ヒト生殖系列IGLJ1*01由来のJLセグメントの利用を確認した。
【0290】
Kabatシステムにより、抗体YN-005のCDR領域配列(図6参照)を解析し、シーケンシング結果から、抗体YN-005のHCDR1-3のアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 77、SEQ ID NO: 78およびSEQ ID NO: 79で表され、抗体YN-005のLCDR1-3のアミノ酸配列がそれぞれSEQ ID NO: 80、SEQ ID NO: 81およびSEQ ID NO: 82で表されることを示した。
【0291】
抗体YN-005の免疫原性を最小化するために、幾つかのアミノ酸残基を生殖系列配列に突然変異して戻してよい。抗体YN-006は、抗体YN-005の生殖系列バージョン(germlined version)の1つであって、YN-005重鎖可変領域のFR1 領域における1個のアミノ酸を生殖系列配列に突然変異して戻すことによって調製された(図6参照)。抗CD137完全ヒト化抗体YN-006の重鎖発現ベクターは、上記構築されたYN-005重鎖発現プラスミドに基づいて、突然変異キット(天根の点突然変異キット、KM101)により部位特異的突然変異を行うことによって得られた。
【0292】
シーケンシングから、抗体YN-006 VHのアミノ酸配列がSEQ ID NO: 25で表され、YN-006 VHをコードするヌクレオチド配列がSEQ ID NO: 26で表され、また、抗体YN-006 VLのアミノ酸配列がSEQ ID NO: 20で表され、抗体YN-006 VLをコードするヌクレオチド配列がSEQ ID NO: 19で表され、また、抗体YN-006重鎖のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 27で表され、抗体YN-006重鎖をコードするヌクレオチド配列がSEQ ID NO: 28で表され、且つ抗体YN-006軽鎖のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 23で表され、YN-006軽鎖をコードするヌクレオチド配列がSEQ ID NO: 24で表されることが示された。
【0293】
YN-006抗体の発現、精製については、実施例9におけるYN-005抗体の発現、精製の具体なステップを参照してよい。
【0294】
実施例12:抗CD137抗体の結合親和力測定
分子間相互作用分析装置(Octet RED384、Pall ForteBio会社から入手)を使って、抗体YN-005およびYN-006による組換えヒトCD137-Hisタンパク質(上海原能細胞メディカルテクノロジー有限会社)の結合親和力を測定した。バイオレイヤー干渉(BLI)技術によって、分子間相互作用分析装置(Octet RED384、Pall ForteBio 会社から入手)を利用して、0.1% BSAおよび0.02% Tween20含有PBS緩衝液で、抗原抗体結合速度論解析を行った。50nMの濃度の抗体を利用して、AHCセンサーに固定して、1500rpmで5分間結合し、また、倍数希釈された組換えヒトCD137-Hisタンパク質抗原溶液(100、50、25、12.5、6.25、3.125、1.56nM)に1500 rpmで5分間結合し、最後、1500 rpmで10分間解離した。AHCセンサーが、グリシンパルスが再生されることによって再利用可能である。得られた結果に対して、Octet Data Analysis 9.0ソフトウェア(Pall ForteBio 会社)によるデータ解析を行い、KD値、Kon(1/Ms)値およびKoff(1/s)値が得られた。測定されたCD137抗体YN-005とYN-006の結合親和力結果は、表5を参照してよい。
【表5】
【0295】
実施例13: 結腸癌担癌マウスにおけるCD137モノクローナル抗体の抗癌効果検討
0日目に、1.5×106個MC38マウス結腸直腸癌細胞(上海林渊バイオテクノロジー有限会社)を、6~8週齢のヒトCD137遺伝子が導入されたC57BL/6雌マウス(B-hTNFRSF9(4-1BB)mice、北京百奥賽図遺伝子バイオテクノロジー有限会社から購入)に皮下接種した。3日目に、マウスを、7匹を1群として3群に平均に群分け、各群の担癌マウスに、ヒト抗体IgG-Fcタンパク質(3 mg/kg、週に2回合計2週)、CD137抗体YN-006抗体(3 mg/kg、週に2回合計2週)、CD137抗体Utomilumab(3 mg/kg、週に2回合計2週)をそれぞれ腹腔内注射した。各群のマウス体重および腫瘍大きさの変化を定期に観察した。実験結果から、対照IgG1-Fcに比べて、YN-006とUtomilumabがともに腫瘍成長を効果的に抑制することができ、注意すべきは、YN-006の抗癌効果が、Utomilumabよりもより目立った(図7に示された)ことを示した。
【0296】
実施例14:抗PD-L1/CD137二重特異性抗体YN-007の構築
抗PD-L1抗体YN-003の重鎖遺伝子と抗ヒトCD137抗体YN-006の重/軽鎖遺伝子を利用して、Overlap PCR、部位特異的突然変異などの分子クローン法によって、抗PD-L1/CD137二重特異性抗体YN-007の第一ポリペプチド遺伝子を構築して、組換えによってAgeIおよびBamHIにより両酵素消化されたpCMV-IgG1AEMベクターにクローンし、YN-007の第一ポリペプチド発現ベクターとして構築した。
【0297】
YN-007の第二ポリペプチド遺伝子は、YN-003の軽鎖遺伝子と同じである。YN-007の第二ポリペプチド発現ベクターは、上記構築されたYN-003の軽鎖発現ベクターになった。
【0298】
シーケンシング結果が正しくなると、第一ポリペプチド、第二ポリペプチド発現ベクターを、293F細胞に同時形質移入して瞬時に発現させ、そして、ProteinAカラムで精製することによって抗PD-L1/CD137二重特異性抗体YN-007を得た。
【0299】
抗体YN-007の第一ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列がSEQ ID NO: 29で表され、抗体YN-007の第一ポリペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO: 30で表され、且つ、抗体YN-007の第二ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列がSEQ ID NO: 16で表され、抗体YN-007の第二ポリペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO: 15で表される。
【0300】
実施例15:抗PD-L1/CD137二重特異性抗体YN-007の結合親和力の測定
分子間相互作用分析装置(Octet RED384、Pall ForteBio会社から入手)を使って、抗PD-L1/CD137二重特異性抗体YN-007のそれぞれによる組換えヒトPD-L1-Fcタンパク質と組換えマウスPD-L1-Fcの結合親和力を測定した。ビオチン(EZ-Link Sulfo-NHS-LC-Biotin,Pierce,21327)で組換えヒトPD-L1-Fcおよび組換えマウスPD-L1-Fcを標識した。バイオレイヤー干渉(BLI)技術によって、分子間相互作用分析装置(Octet RED384、Pall ForteBio会社から入手)を使って、0.1% BSAおよび0.02% Tween20含有PBS緩衝液で、抗原抗体結合速度論解析を行った。50nMの濃度のbiotin結合を介した抗原タンパク質を利用してSAセンサー(Pall ForteBio会社)に固定して、1500rpmで10分間結合し、そして、倍数希釈されたYN-007抗体溶液に1500rpmで10分間結合し、最後、1500rpmで10分間解離した。得られた結果に対して、Octet Data Analysis 9.0ソフトウェア(Pall ForteBio会社)によるデータ解析を行い、KD値、Kon(1/Ms)値およびKoff(1/s)値が得られた。
【0301】
測定されたYN-007とヒトPD-L1-Fcの結合親和力結果は、表6を参照してよい。
【0302】
測定されたYN-007とマウスPD-L1-Fcの結合親和力結果は、表7を参照してよい。
【表6】

【表7】
【0303】
分子間相互作用分析装置(Octet RED384、Pall ForteBio会社から入手)を使って、抗PD-L1/CD137二重特異性抗体YN-007による組換えヒトCD137-Hisタンパク質の結合親和力を測定した。バイオレイヤー干渉(BLI)技術によって、分子間相互作用分析装置(Octet RED384、Pall ForteBio 会社から入手)を使って、0.1% BSA および0.02% Tween20含有PBS緩衝液で、抗原抗体結合速度論解析を行った。50nMの濃度の抗体を利用してAHCセンサーに固定して、1500rpmで5分間結合し、そして、倍数希釈された組換えヒトCD137-Hisタンパク質抗原溶液(100、50、25、12.5、6.25、3.125、1.56nM)に1500rpmで5分間結合し、最後、1500rpmで10分間解離した。AHCセンサーは、グリシンパルスが再生されることによって再利用可能である。得られた結果に対して、Octet Data Analysis 9.0ソフトウェア(Pall ForteBio 会社)によるデータ解析を行い、抗原と抗体の結合強度を算出し、KD値、Kon(1/Ms)値およびKoff(1/s)値を得た。
【0304】
測定された抗PD-L1/CD137二重特異性抗体YN-007のヒトCD137への結合親和力結果は、表8を参照してよい。
【表8】
【0305】
実施例16:PD-L1抗体YN-003の親和力成熟
重複PCRにより、PD-L1抗体YN-003の一本鎖抗体(ScFv)遺伝子を構築して、pDFファージミドベクターにクローンするように、プライマーを設計し、pDF-YN-003 ScFvと記入した。pDF-YN-003 ScFvを鋳型として、重複PCRにより抗体YN-003の六つのCDR領域(CDR領域における一部のアミノ酸残基および/またはCDR領域付近のFR領域における個別のアミノ酸残基を含む)に対して、それぞれランダム化するように、縮重プライマーを設計した(図8に示された)。
【0306】
重複PCRで得られたCDR領域をランダム化した後のscFv遺伝子断片を、BssHIIおよびNheIによって両酵素消化した場合、BssHIIおよびNheIにより両酵素消化されたpDFファージミドベクターと連結し、また、1μgの連結産物を電気穿孔によってTG1エレクトロポレーション-コンピテント細胞に導入して倍数希釈後、2YT+AGプレートを塗布して翌日、ローンをプレートから掻き落としながら、300mlの2YT+Amp培地に展開し、37℃でODが0.8前後になるように培養し、helper phageを入れて均一に混合後、1時間静置し、1mMの最終濃度のIPTG、50μg/mlのカナマイシンを加えて、30℃で一晩振盪した。翌日、遠心分離して上澄液を採取し、0.45の濾過膜でろ過滅菌し、1/5容積のPEG-NaClを加えながらphageを沈殿させ、遠心分離により沈殿を取り出して、1/10容積のPBSで沈殿を再懸濁させ、OD260を測定してファージpfuを算出し、また、4℃で保存することによって、該ファージ抗体ライブラリーをそのまま後期のパンニングに用いることができる。
【0307】
ヒトPD-L1-Hisタンパク質(上海原能細胞メディカルテクノロジー有限会社)を抗原とし、以上のファージ抗体ライブラリー選別に使用する。酵素結合免疫チューブにおいて、CBS緩衝液で、濃度が100 nM(第1、2ラウンド)または5nM(第3ラウンド)である1mlの抗原PD-L1を4℃で一晩被覆した。翌日、10%の脱脂粉乳含有PBS緩衝液を2ml利用して、免疫チューブをブロックした。免疫チューブへブロックされたphageを1ml加入し、室温で1hインキュベートした。PBSTで20回(第1ラウンド)、50回(第2ラウンド)または100回(第3ラウンド)洗浄した。pH2.2のGly-HCl緩衝液を800μl入れて溶離させた直後に、pH8.0のTris-HCl緩衝液を400μl入れて中和させた。20mlの対数増殖期の0.8ぐらいのODのE.coli TG1に加えて均一に混合し、37℃で1h静置してから、それを500μl取り出してファージ力価およびグリセリン菌体保存の測定に用い、残りの菌液でプレートを塗布し、培養インキュベーター中で37℃で一晩培養した。2日目に、プレートの菌を掻き落とし、一定の割合でODが0.2になるように80mlの2YT-Amp培地へ植菌し、そして、ODが0.8になるように数時間培養すると、helper phageを160μl添加して均一に混合し、37℃で1h静置した。IPTG、Kan抗生物質を加えて、250rpmで、30℃で一晩振盪培養した。上澄液を採取して、PEG/NaCl溶液でファージを沈殿させて、1.5mlのPBS緩衝液で再懸濁させ、再懸濁させたファージが次ラウンドのエンリッチメント・スクリーニングに用いられ、また、第3ラウンドのパンニング後、エンリッチメントを著しく観察した。ELISAによって、96ウェルELISAプレートにヒトPD-L1-Hisタンパク質を1μg/mlの濃度で4℃で一晩被覆することによって、パンニングされたファージ抗体クローンを同定した。そして、10%の脱脂粉乳で非特異的結合部位をブロックして十分に洗浄後、モノクローナルファージ上澄液を96ウェルプレートに添加し、37℃で2時間インキュベートした。十分に洗浄後、HRP標識抗M13抗体(GE healtcare、27-9421-01)を加え、37℃で45min機能させ、十分に洗浄後TMBを加えて、発色を室温下で5~10 minさせてから、最後、硫酸で反応を停止させ、450 nmにおける各ウェルのOD値を測定し、OD450値の高いファージ抗体クローンを選んでシーケンシングを行った。各ファージ抗体クローンの重/軽鎖可変領域遺伝子配列を取得後、各ファージ抗体クローンのVHにPCR増幅を行い、PCR 産物を組換えによってAgeIおよびSalIにより両酵素消化されたpCMV-IgG1NDL抗体重鎖発現ベクターにクローンするようにプライマーを設計し、各ファージ抗体クローンのVLにPCR増幅を行い、PCR産物を組換えによってAgeIおよびBsiWIにより両酵素消化されたpCMV-λ抗体軽鎖発現ベクターにクローンするようにプライマーを設計するように、各ファージ抗体を完全長IgG1,λ抗体に新たに設計した。シーケンシングが正しくなると、それぞれ各抗体の重/軽鎖発現ベクターを293F細胞に同時形質移入して瞬時に発現させ、そして、血清無しの培地で培養して7日後、細胞培養上澄液を採取して、ProteinA カラムで精製することによって抗体タンパク質を得て、精製された抗体をPBSで透析し、最後に、BCA Protein Assay Kitで定量した(Pierce、23225)。分子間相互作用分析装置(Octet RED384、Pall ForteBio 会社から購入)を利用して、以上の完全長抗体による組換えヒトPD-L1-Hisタンパク質(上海原能メディカルテクノロジー有限会社)の結合親和力を測定した。バイオレイヤー干渉(BLI)技術によって、分子間相互作用分析装置(Octet RED384、Pall ForteBio 会社から購入)を利用して、0.1% BSA および0.02% Tween20 含有PBS緩衝液で、抗原抗体結合速度論解析を行った。50nMの濃度の抗体を使って、AHCセンサーに固定して、1500rpmで5分間結合し、また、倍数希釈された抗原溶液(50、25、12.5、6.25、3.125、1.56nM)に、7つの濃度勾配で、1500rpmで5分間結合した。最後、1500rpmで10分間解離した。AHCセンサーは、グリシンパルスが再生されることによって再利用可能である。得られた結果に対して、Octet Data Analysis 9.0ソフトウェア(Pall ForteBio 会社)によるデータ解析を行い、KD値、Kon(1/Ms)値およびKoff(1/s)値が得られた。得られた親和力が向上した各突然変異体クローンをスクリーニング後、異なるCDR領域中で親和力が向上したアミノ酸突然変異位置を、Overlapping PCR等方法で組合わせ、そして、以上の方法で抗体タンパク質を発現して精製し、親和力を測定した。複数のラウンドでのスクリーニングや組合わせを介して、5個の親和力の一番高いYN-003抗体突然変異体クローンが、それぞれYN-035抗体、YN-036抗体、YN-037抗体、YN-038抗体、YN-039抗体と命名された。この5個の抗体における以上の方法で測定された親和力の値は、表9を参照してよい。結果から、YN-035抗体、YN-036抗体、YN-037抗体、YN-038抗体、YN-039抗体は、親和力がともに抗PD-L1抗体AtezolizumabとAvelumabよりも高かったことを示した。
【表9】
【0308】
YN-035抗体重鎖可変領域(YN-035 VH)のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 31で表され、YN-035抗体重鎖のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 32で表され、YN-035抗体軽鎖可変領域(YN-035 VL)のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 33で表され、YN-035抗体軽鎖のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 34で表される。
【0309】
YN-036抗体重鎖可変領域(YN-036 VH)のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 35で表され、YN-036抗体重鎖のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 36で表され、YN-036抗体軽鎖可変領域(YN-036VL)のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 33で表され、YN-036抗体軽鎖のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 34で表される。
【0310】
YN-037抗体重鎖可変領域(YN-037 VH)のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 35で表され、YN-037抗体重鎖のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 36で表され、YN-037抗体軽鎖可変領域(YN-037VL)のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 37で表され、YN-037抗体軽鎖のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 38で表される。
【0311】
YN-038抗体重鎖可変領域(YN-038 VH)のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 35で表され、YN-038抗体重鎖のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 36で表され、YN-038抗体軽鎖可変領域(YN-038VL)のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 39で表され、YN-038抗体軽鎖のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 40で表される。
【0312】
YN-039抗体重鎖可変領域(YN-039VH)のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 35で表され、YN-039抗体重鎖のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 36で表され、YN-039抗体軽鎖可変領域(YN-039 VL)のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 41で表され、YN-039抗体軽鎖のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 42で表される。
【0313】
図9は、抗体YN003、YN035~YN039の重鎖可変領域と関連生殖系列配列のアミノ酸配列整列を示し、ここで、下線箇所がKabat定義法により特定されたCDRである。図10は、抗体YN003、YN035~YN039の軽鎖可変領域と関連生殖系列配列のアミノ酸配列整列を示し、ここで、下線箇所がKabat定義法により特定されたCDRである。ここで、抗体YN003のHCDR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 46で表され、YN035~YN039のHCDR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 47で表され、抗体YN003のHCDR2のアミノ酸配列および抗体YN035~YN039のHCDR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 48で表され、YN-003のHCDR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 50で表され、YN-035のHCDR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 51で表され、抗体YN036~YN039のHCDR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 52で表される。
【0314】
抗体YN003のLCDR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 54で表され、抗体YN035および抗体YN036のLCDR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 55で表され、抗体YN037のLCDR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 56で表され、抗体YN038のLCDR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 57で表され、抗体YN039のLCDR1のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 58で表され、抗体YN003、抗体YN035~YN036のLCDR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 60で表され、抗体YN037~YN039のLCDR2のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 61で表され、抗体YN003のLCDR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 63で表され、抗体YN035~YN039のLCDR3のアミノ酸配列がSEQ ID NO: 64で表される。
【0315】
フローサイトメトリーによって、1×106/mlのヒトPD-L1安定発現CHO細胞に、それぞれ2倍希釈された各PD-L1抗体を入れて均一に混合後、4℃で1時間インキュベートして細胞洗浄後、Goat F(ab')2 Anti-Human IgG - Fc (DyLight 650)(ab98593、Abcam)を加え、4℃で30分間インキュベートして細胞洗浄後、フローサイトメーター(Intellicyt iQue Screener)で蛍光強度を測定することによって、PD-L1抗体YN-035、YN-036、YN-037、YN-038、YN-039とヒトPD-L1の結合活性を測定した。試験結果は、図11に示されたように、YN-035、YN-036、YN-037、YN-038、YN-039が、何れもヒトPD-L1発現CHO細胞に効果的に結合することができることであった。
【0316】
フローサイトメトリーによって、ビオチン(EZ-Link Sulfo-NHS-LC-Biotin、Pierce、21327)でヒトPD-1-Fcタンパク質(上海原能メディカルテクノロジー有限会社)を標識して、亜飽和濃度のビオチンで標識されたヒトPD-1-Fcを、1×106/mlのヒトPD-L1安定発現CHO細胞に加えた直後に、2倍希釈の各抗体を入れて均一に混合後、(4°C、1時間)インキュベートすることによって、PD-L1抗体YN-035、YN-036、YN-037、YN-038、YN-039によるヒトPD-L1/ヒトPD-1結合の阻害能力を測定した。細胞洗浄後、Streptavidin R-PE Conjugate(life technology、SA10041)を入れて、(4°C、30分間)インキュベートした。細胞洗浄後、フローサイトメーター(Intellicyt iQue Screener)で蛍光強度を測定した。実験結果は、図12に示されたように、PD-L1抗体YN-035、YN-036、YN-037、YN-038、YN-039が、何れもヒトPD-1とヒトPD-L1発現CHO細胞の結合を効果的に阻害することができることであった。
【0317】
フローサイトメトリーによって、 1×106/mlのマウスPD-L1安定発現CHO 細胞に、それぞれ2倍希釈された各PD-L1抗体を入れて均一に混合後、4℃で1時間インキュベートして細胞洗浄後、Goat F(ab')2 Anti-Human IgG - Fc (DyLight 650)(ab98593)を加え、4℃で30分間インキュベートして細胞洗浄後、フローサイトメーター(Intellicyt iQue Screener)で蛍光強度を測定することによって、PD-L1抗体YN-035、YN-036、YN-037、YN-038、YN-039とマウスPD-L1の結合活性を測定した。試験結果は、図13に示されたように、YN-035、YN-036、YN-037、YN-038、YN-039が、何れもマウスPD-L1発現CHO細胞に効果的に結合することができることであった。
【0318】
フローサイトメトリーによって、ビオチン(EZ-Link Sulfo-NHS-LC-Biotin、Pierce、21327)でマウスPD-1-Fc(上海原能メディカルテクノロジー有限会社)を標識して、亜飽和濃度のビオチンで標識されたマウスPD-1-Fcを、1×106/mlのマウスPD-L1安定発現CHO細胞に加えた直後に、2倍希釈の各抗体を入れて均一に混合後、(4°C、1時間)インキュベートすることによって、PD-L1抗体YN-035、YN-036、YN-037、YN-038、YN-039によるマウスPD-L1/マウスPD-1結合の阻害能力を測定した。細胞洗浄後、Streptavidin R-PE Conjugate(life technology、SA10041)を入れて、(4°C、30分間)インキュベートした。細胞洗浄後、フローサイトメーター(Intellicyt iQue Screener)で蛍光強度を測定した。結果は、図14に示されたように、PD-L1抗体YN-035、YN-036、YN-037、YN-038、YN-039が、何れもマウスPD-1とマウスPD-L1安定発現CHO細胞の結合を効果的に阻害することができることであった。
【0319】
実施例17:抗PD-L1/CD137二重特異性抗体YN-051とYN-052の構築および同定
抗PD-L1抗体YN-035の重鎖遺伝子と抗ヒトCD137抗体YN-006の重/軽鎖遺伝子を利用して、Overlap PCR、部位特異的突然変異などの分子クローン法によって、抗PD-L1/CD137二重特異性抗体YN-051の第一ポリペプチド遺伝子を構築して、組換えによってAgeIおよびBamHIにより両酵素消化されたpCMV-IgG1AEMベクターにクローンし、YN-051の第一ポリペプチド発現ベクターとして構築した。YN-051の第二ポリペプチド遺伝子は、YN-035の軽鎖遺伝子と同じである。YN-035の第二ポリペプチド発現ベクターは、YN-035の軽鎖発現ベクターになった。
【0320】
シーケンシング結果が正しくなると、抗PD-L1/CD137二重特異性抗体YN-051の第一ポリペプチド、第二ポリペプチド発現ベクターを、293F細胞に同時形質移入して瞬時に発現させ、血清無しの培地で培養して7日後、細胞培養上澄液を採取して、ProteinA カラムで精製することによって抗体タンパク質を得て、精製された抗体をPBSで透析し、最後に、BCA Protein Assay Kitで定量した(Pierce、23225)。
【0321】
YN-051の第一ポリペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO: 43で表され、YN-051の第二ポリペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO: 34で表される。
【0322】
抗PD-L1抗体YN-036の重鎖遺伝子と抗ヒトCD137抗体YN-006の重/軽鎖遺伝子を利用して、Overlap PCR、部位特異的突然変異などの分子クローン法によって、抗PD-L1/CD137二重特異性抗体YN-052の第一ポリペプチド遺伝子を構築して、組換えによってAgeIおよびBamHIにより両酵素消化されたpCMV-IgG1AEMベクターにクローンし、YN-052の第一ポリペプチド発現ベクターとして構築した。YN-052の第二ポリペプチド遺伝子は、YN-036の軽鎖遺伝子と同じである。YN-052の第二ポリペプチド発現ベクターは、YN-036の軽鎖発現ベクターになった。
【0323】
シーケンシング結果が正しくなると、抗PD-L1/CD137二重特異性抗体YN-052の第一ポリペプチド、第二ポリペプチド発現ベクターを、293F細胞に同時形質移入して瞬時に発現させ、血清無しの培地で培養して7日後、細胞培養上澄液を採取して、ProteinA カラムで精製することによって抗体タンパク質を得て、精製された抗体をPBSで透析し、最後に、BCA Protein Assay Kitで定量した(Pierce、23225)。
【0324】
YN-052の第一ポリペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO: 44で表され、YN-052第二ポリペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO: 34で表される。
【0325】
分子間相互作用分析装置(Octet RED384、Pall ForteBio会社から入手)を使って、抗PD-L1/CD137二重特異性抗体YN-051とYN-051による組換えヒトPD-L1-Hisタンパク質(上海原能メディカルテクノロジー有限会社)の結合親和力を測定した。バイオレイヤー干渉(BLI)技術によって、分子間相互作用分析装置(Octet RED384、Pall ForteBio会社から入手)を利用して、0.1% BSA および0.02%Tween20含有PBS緩衝液で、抗原抗体結合速度論解析を行った。50nMの濃度の抗体を利用して、AHCセンサーに固定して、1500rpmで5分間結合し、また、倍数希釈された抗原溶液(50、25、12.5、6.25、3.125、1.56nM)に、7つの濃度勾配で、1500rpmで5分間結合した。最後に、1500rpmで10分間解離した。AHCセンサーは、グリシンパルスが再生されることによって再利用可能である。得られた結果に対して、Octet Data Analysis 9.0ソフトウェア(Pall ForteBio 会社)によるデータ解析を行い、KD値、Kon(1/Ms)値およびKoff(1/s)値が得られた。測定されたYN-007とヒトPD-L1-Fcの結合親和力結果は、表10を参照してよい。
【表10】
【0326】
分子間相互作用分析装置(Octet RED384、Pall ForteBio会社から入手)を使って、抗PD-L1/CD137二重特異性抗体YN-051とYN-052による組換えヒトCD137-Hisタンパク質(上海原能メディカルテクノロジー有限会社)の結合親和力を測定した。バイオレイヤー干渉(BLI)技術によって、分子間相互作用分析装置(Octet RED384、Pall ForteBio 会社から入手)を利用して、0.1% BSAおよび0.02% Tween20含有PBS緩衝液で、抗原抗体結合速度論解析を行った。50nMの濃度の抗体を利用して、AHCセンサーに固定して、1500rpmで5分間結合し、また、倍数希釈された組換えヒトCD137-Hisタンパク質抗原溶液(100、50、25、12.5、6.25、 3.125、1.56nM)に1500rpmで5分間結合し、最後に、1500rpmで10分間解離した。AHCセンサーは、グリシンパルスが再生されることによって再利用可能である。得られた結果に対して、Octet Data Analysis 9.0ソフトウェア(Pall ForteBio会社)によるデータ解析を行い、KD値、Kon(1/Ms)値およびKoff(1/s)値が得られた。
【0327】
測定された抗PD-L1/CD137二重特異性抗体YN-051とYN-052のヒトCD137への結合親和力結果は、表11を参照してよい。
【表11】
【0328】
ヒト乳癌細胞株MDA-MB-231(上海中科院細胞バンク)は、ヒトPD-L1分子を高度に発現した。フローサイトメトリーによって、1×106/mlのMDA-MB-231細胞に、それぞれ2倍希釈の各抗体を入れて均一に混合後、4℃で1時間インキュベートして細胞洗浄後、Goat F(ab')2 Anti-Human IgG - Fc (DyLight 650)(ab98593、abcam)を加え、4℃で30分間インキュベートして細胞洗浄後、フローサイトメーター(Intellicyt iQue Screener)で蛍光強度を測定することによって、PD-1抗体YN-035、YN-036および抗PD-L1/CD137二重特異性抗体YN-051およびYN-052とMDA-MB-231細胞の結合を測定した。試験結果は、図15に示されたように、YN-035、YN-036、YN-051およびYN-052が、何れもMDA-MB-231細胞に効果的に結合することができることであった。
【0329】
フローサイトメトリーによって、1×106/mlのヒトPD-L1安定発現CHO細胞に、それぞれ2倍希釈の各抗体を入れて均一に混合後、4℃で1時間インキュベートして細胞洗浄後、Goat F(ab')2 Anti-Human IgG - Fc (DyLight 650)(ab98593、abcam)を加え、4℃で30分間インキュベートして細胞洗浄後、フローサイトメーター(Intellicyt iQue Screener)で蛍光強度を測定することによって、PD-1抗体YN-035、YN-036および抗PD-L1/CD137二重特異性抗体YN-051およびYN-052とヒトPD-L1の結合活性を測定した。試験結果は、図16に示されたように、YN-035、YN-036、YN-051、YN-052、YN007が、何れもヒトPD-L1発現CHO細胞に効果的に結合することができることであった。
【0330】
フローサイトメトリーによって、ビオチン(EZ-Link Sulfo-NHS-LC-Biotin、Pierce、21327)でヒトPD-1-Fcタンパク質を標識して、亜飽和濃度のビオチンで標識されたヒトPD-1-Fcを、1×106/mlのヒトPD-L1安定発現CHO細胞に加えた直後に、2倍希釈の各抗体を入れて均一に混合後、(4°C、1時間)インキュベートすることによって、PD-1抗体YN-035、YN-036および抗PD-L1/CD137二重特異性抗体YN-051、YN-052、YN007によるヒトPD-L1/ヒトPD-1結合の阻害能力を測定した。細胞洗浄後、Streptavidin R-PE Conjugate(life technology、SA10041)を入れて、(4°C、30分間)インキュベートした。細胞洗浄後、フローサイトメーター(Intellicyt iQue Screener)で蛍光強度を測定した。実験結果は、図17に示されたように、PD-L1抗体YN-035、YN-036、YN-051、YN-052、YN007が、何れもヒトPD-1とヒトPD-L1発現CHO細胞の結合を効果的に阻害することができることであった。
【0331】
フローサイトメトリーによって、 1×106/mlのマウスPD-L1安定発現CHO 細胞に、それぞれ2倍希釈の各抗体を入れて均一に混合後、4℃で1時間インキュベートして細胞洗浄後、Goat F(ab')2 Anti-Human IgG - Fc (DyLight 650)(ab98593、abcam)を加え、4℃で30分間インキュベートして細胞洗浄後、フローサイトメーター(Intellicyt iQue Screener)で蛍光強度を測定することによって、PD-1抗体YN-035、YN-036および抗PD-L1/CD137二重特異性抗体YN-007、YN-051およびYN-052とマウスPD-L1の結合活性を測定した。試験結果は、図18に示されたように、YN-035、YN-036、YN-051、YN-052、YN007が、何れもマウスPD-L1発現CHO細胞に効果的に結合することができることであった。
【0332】
フローサイトメトリーによって、ビオチン(EZ-Link Sulfo-NHS-LC-Biotin、Pierce、21327)でマウスPD-1-Fcを標識して、亜飽和濃度のビオチンで標識されたマウスPD-1-Fcを、1×106/mlのマウスPD-L1安定発現CHO細胞に加えた直後に、2倍希釈の各抗体を入れて均一に混合後、(4°C、1時間)インキュベートすることによって、PD-1抗体YN-035、YN-036および抗PD-L1/CD137二重特異性抗体YN-007、YN-051およびYN-052によるマウスPD-L1/マウスPD-1結合の阻害能力を測定した。細胞洗浄後、Streptavidin R-PE Conjugate(life technology、SA10041)を入れて、(4°C、30分間)インキュベートした。細胞洗浄後、フローサイトメーター(Intellicyt iQue Screener)で蛍光強度を測定した。結果は、図19に示されたように、PD-L1抗体YN-035、YN-036、YN-051、YN-052、YN007が、何れもマウスPD-1とマウスPD-L1発現CHO細胞の結合を効果的に阻害することができることであった。
【0333】
フローサイトメトリーによって、1×106/mlのヒトCD137安定発現293T細胞に、それぞれ2倍希釈の各抗体を入れて均一に混合後、4℃で1時間インキュベートして細胞洗浄後、Goat F(ab')2 Anti-Human IgG - Fc (DyLight 650)(ab98593、abcam)を加え、4℃で30分間インキュベートして細胞洗浄後、フローサイトメーター(Intellicyt iQue Screener)で蛍光強度を測定することによって、CD137抗体YN-006および抗PD-L1/CD137二重特異性抗体YN-007、YN-051ならびにYN-052とヒトCD137の結合活性を測定した。試験結果は、図20に示されたように、YN-006、YN-007、YN-051ならびにYN-052が、何れもヒトCD137発現293T細胞に効果的に結合することができることであった。
【0334】
実施例18:SDSアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)解析
上記精製された抗体YN-003、YN-006、YN-007、YN-035、YN-036、YN-051、YN-052は、それぞれ還元と非還元条件でSDS-PAGEによりその分子量の大きさが測定され、結果は、図21に示されたように、非還元条件(図21aに示された)で、モノクローナル抗体YN-003、YN006、YN-035、YN-036は、ともに分子量大きさが150kDaぐらいである1本のバンドが現れ、二重特異性抗体YN-007、YN-051、YN-052は、ともに分子量大きさが200kDaぐらいである1本のバンドが現れ、還元条件(図21bに示された)で、モノクローナル抗体YN-003、YN006、YN-035、YN-036は、ともに分子量が55kDaおよび25kDaぐらいである2本のバンドが現れ、二重特異性抗体YN-007、YN-051、YN-052は、ともに分子量が75kDaおよび25kDaぐらいである2本のバンドが現れた。
【0335】
実施例19:抗PD-L1/CD137二重特異性抗体のアゴニスト剤活性(ルシフェラーゼ活性測定)
安定に組み込まれたヒトCD137発現NFκBルシフェラーゼレポーター遺伝子の293T細胞を調製した。細胞を取得して洗浄し、6×105個細胞/mLの密度のフェノールレッドフリー完全培地(10%ウシ胎児血清含有、HEPES 緩衝液、非必要なアミノ酸およびL-グルタミンのDMEM培地)中で再懸濁させた。96ウェルプレート(PerkinElmerから入手)を敷き並べ、1ウェルごとに細胞懸濁液を50μl加えた。2.5:1の比率で、架橋抗体(ヤギ抗ヒトIgG Fc)を入れた直後に、それぞれYN-006(10 μg/ml)、YN-035(10 μg/ml)、YN-035+YN-006(10 μg/ml+10μg/ml)、YN-051(10 μg/ml)、YN-003+YN006(10 μg/ml+10μg/ml)、YN-007(10 μg/ml)、および対照抗体IgG Fc(10 μg/ml)を加えて、37℃で5時間インキュベートした。そして、Bright-Glo Luciferase試薬(Promegaから入手)を75μL入れて、マイクロプレートリーダーで(Tecanから入手)ルシフェラーゼ活性を測定した。各抗体処理細胞群と抗体未処理群の細胞蛍光値の比を比較する(図22参照)。結果によると、対照IgG Fcに比べて、YN-006、YN035+YN006、YN003+YN006、YN-007、YN-051が、ともに著しいアゴニスト活性を有するが、抗PD-L1抗体YN-035がアゴニスト活性を有してないことを示した(図22参照)。
【0336】
実施例20:結腸癌担癌マウスにおける抗PD-L1/CD137二重特異性抗体の抗癌効果検討
0日目に、3×106個マウス結腸直腸癌細胞MC38(上海林渊バイオテクノロジー有限会社)を、6~8週齢のヒト4-1BB遺伝子導入C57BL/6雌マウス(B-hTNFRSF9(4-1BB) mice、北京百奥賽図遺伝子バイオテクノロジー有限会社から入手)に皮下接種した。6日目に、マウスを、8群に平均に群分け、各群の担癌マウスに、PBS(週に2回合計2週)、対照抗体ヒトIgG-Fcタンパク質(7.5 mg/kg、週に2回合計2週)、CD137抗体YN-006抗体(3 mg/kg、週に2回合計2週)、PD-L1抗体YN-035(7.5 mg/kg、週に2回合計2週)、CD137抗体YN-006抗体(3 mg/kg、週に2回合計2週)+PD-L1抗体YN-035(7.5 mg/kg、週に2回合計2週)、抗PD-L1/CD137二重特異性抗体YN-051(7.5 mg/kg、週に2回合計2週)、抗PD-L1抗体Atezolizumab(7.5 mg/kg、週に2回合計2週)、抗PD-L1抗体Avelumab(7.5 mg/kg、週に2回合計2週)をそれぞれ腹腔内注射した。PBS群マウスの5匹のほか、残りが、6匹を1群として、7群に群分けた。各群のマウス体重および腫瘍大きさの変化を定期に観察した。実験結果は、図23と表12に示された。図23は、PBS群または対照抗体ヒトIgG-Fc群に比べて、YN006、YN035、YN006+YN035、YN051、Atezolizumab、Avelumabがともに著しい抗癌活性を有することを示した。ここで、YN006+YN035およびYN051は、YN006、YN035、Atezolizumab、Avelumabよりも抗癌活性が明らかに強かった。表12は、この動物実験が完了すると、YN051群は、完全に腫瘍退縮したマウスが5匹あり、YN006+YN035群は、完全に腫瘍退縮したマウスがただ1匹あるので、YN051がYN006+YN035よりも治療効果が優れたことを示した。
【表12】
【0337】
以上、解釈又は例示による詳しい説明を記載したが、添付の請求項の範囲を限定するわけではない。当業者にとっては、これまで本明細書に記載の実施形態に、多様な変更などがあることが明らかであり、且つ、添付の請求項および該当する実施形態の範囲に属する。
図1
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【配列表】
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