(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-09
(45)【発行日】2025-04-17
(54)【発明の名称】フッ素化されたまたはフッ素化されていな媒体中、ヒドロキシドの形態にある窒素性の有機構造化剤とアルキル金属クロリドとの存在中でIZM-2ゼオライトを調製するための方法
(51)【国際特許分類】
C01B 39/48 20060101AFI20250410BHJP
【FI】
C01B39/48
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020159229
(22)【出願日】2020-09-24
【審査請求日】2023-09-20
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591007826
【氏名又は名称】イエフペ エネルジ ヌヴェル
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【氏名又は名称】玉井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】ラケル マルティネス フランコ
(72)【発明者】
【氏名】モニク プリジェント
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-162207(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0273391(US,A1)
【文献】特開2018-162206(JP,A)
【文献】特表2010-531801(JP,A)
【文献】特表2011-530396(JP,A)
【文献】Filipe MARQUES MOTA et al.,“IZM-2: A promising new zeolite for the selective hydroisomerization of long-chain n-alkanes”,Journal of Catalysis,2013年05月,Vol. 301,p.20-29,DOI: 10.1016/j.jcat.2013.01.017
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/20 - 39/54
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IZM-2ゼオライトを調製する方法であって、少なくとも以下の工程:
i) 水性媒体中、酸化物形態XO
2にある少なくとも1種の四価元素Xの少なくとも1種の供給源、酸化物形態Y
2O
3にある少なくとも1種の三価元素の少なくとも1種の供給源、窒素性有機化合物R(OH)
2である、1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン ジヒドロキシド、価数nの少なくとも1種のアルカリ金属Mの少なくとも1種の供給源であって、アルカリ金属クロリドから選ばれ、nは、1以上の整数であり、Mは、リチウム、カリウム、ナトリウムおよびセシウム、およびこれらの金属のうちの少なくとも2種の混合物から選ばれる、ものを、場合によっては、少なくとも1種のフッ化物アニオンBFの存在中で、均一な前駆体ゲルが得られるまで混合する工程であって、反応混合物は、以下のモル組成:
XO
2/Y
2O
3:70~350
H
2O/XO
2:1~100
R(OH)
2/XO
2:0.006~0.25
M
1/nCl/XO
2:0.005~0.5
BF/XO
2:0~0.25
を有し、
Xは、以下の元素:ケイ素、ゲルマニウム、チタンによって形成される群から選ばれる1種または複数種の四価元素であり、少なくとも1種の元素Xはケイ素であり、Yは、以下の元素:アルミニウム、鉄、ホウ素、インジウムおよびガリウムによって形成される群から選ばれる1種または複数種の三価元素であり、少なくとも1種の元素Yはアルミニウムであり、BFは、フッ化水素酸水溶液およびBがカチオンNH
4
+、Na
+、K
+およびLi
+から選ばれるカチオンであるフッ素塩から選ばれる、工程、
ii) 工程i)の終結の際に得られた前記前駆体ゲルを、120℃~220℃の温度で1日~10日の時間にわたって水熱処理する工程
を含む、方法。
【請求項2】
工程i)の混合物は、ケイ素以外の、以下の元素:ゲルマニウム、チタンによって形成される群から選ばれる1種または複数種の四価元素Xおよび/またはアルミニウム以外の、以下の元素:鉄、ホウ素、インジウムおよびガリウムによって形成される群から選ばれる1種または複数種の三価元素Yも含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程i)からの反応混合物は、以下のモル組成:
XO
2/Y
2O
3:80~300
H
2O/XO
2:5~50
R(OH)
2/XO
2:0.01~0.20
M
1/nCl/XO
2:0.01~0.4
BF/XO
2:0~0.2
を有し、BF、X、Y、RおよびMは、上記の意味を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
Mは、ナトリウムである、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
BFは、BがNH
4
+カチオンであるフッ素塩である、請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
IZM-2ゼオライトの種結晶体を工程i)からの反応混合物に、反応混合物において用いられる無水の形態にある前記四価および三価の元素(1種または複数種)の供給源の全質量の0.01%~10%の量で加え、前記種結晶体は、四価および三価の元素の供給源の全質量において考慮に入れられない、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
工程i)は、得られた反応混合物を、20~100℃の温度で、撹拌を伴ってまたは伴わずに、30分~48時間の時間にわたって熟成させる工程を含む、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
自生圧力下に150℃~195℃の温度で、2日~8日の期間にわたって工程ii)の水熱処理を行う、請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
工程ii)の終結の際に得られた固相は、ろ過され、洗浄され、かつ、20~150
℃の温度で、5~24時間の時間にわたって乾燥させられて乾燥済みゼオライトが得られ
る、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記固相は、60~100℃の温度で乾燥させられる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
乾燥済みゼオライトを、次いで、450~700℃の温度で、2~20時間の時間にわたって焼成し、焼成は、場合によっては、温度漸増によって先行される、請求項9
または10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IZM-2ミクロ細孔性固体またはIZM-2ゼオライトとして知られている、ミクロ細孔性結晶固体を調製するための新規な方法に関する。この新規な方法により、特定の有機性または構造化の種であって、2個の四級アンモニウム基を含むものの存在中でIZM-2ゼオライトの合成を行うことが可能となる。特に、前記新規方法により可能になるのは、フッ素化された媒体およびフッ素化されていない媒体の両方中で、少なくとも1種のケイ素源、少なくとも1種のアルミニウム源、アルカリ金属クロリドから選ばれる価数nの少なくとも1種のアルカリ金属Mの少なくとも1種の供給源および2個の四級アンモニウム基を含む特定の有機性のまたは構造化の分子である1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン ジヒドロキシドにより開始して、IZM-2ゼオライトの合成を行うことである。本発明の方法により得られた前記IZM-2ミクロ細孔性固体は、有利には、触媒、吸着剤または分離剤としてのその適用を見出す。
【背景技術】
【0002】
結晶性のミクロ細孔性の材料、例えば、ゼオライトまたはシリコアルミノリン酸塩は、石油産業において、触媒、触媒担体、および吸着剤または分離剤として広く用いられている固体である。多くのミクロ細孔性の結晶構造が発見されたが、精製および石油化学の産業は、絶えず、新規なゼオライト構造であって、適用、例えば、ガスの精製または分離、炭素ベースの種の転化等のための特定の特性を有しているものを探しているところである。
【0003】
IZM-2ゼオライトは、未知の構造を有している固体である。IZM-2ミクロ細孔性材料のトポロジーを予測する目的のためにモデル反応(メタキシレンの異性化および不均化およびn-デカンの異性化-水素化分解)が採用された(非特許文献1)。これらの反応について得られた結果により、IZM-2材料の構造は、2つのタイプの細孔サイズ(10-MRおよび12-MR)からなることが示唆される。
【0004】
IZM-2ゼオライトは、それのアルミノケイ酸塩の形態(Fecantらの特許文献1)およびそれの高純度のケイ酸塩の形態(Fecantらの特許文献1およびLiらの非特許文献2)で、四級アンモニウムイオン1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンを構造化剤として用いて、それのヒドロキシドまたはブロミドの形態で合成された。これらの文献において、合成は、ケイ素源、構造化剤(1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン)および場合による無定形アルミニウム源、および場合によるアルカリ金属および/またなアルカリ土類金属の源(NaOH)を含有している水性ゲルの水熱処理を行うことからなる。
【0005】
近時、IZM-2ゼオライトは、ケイ素およびアルミニウムの供給源としてFAU骨格タイプのゼオライトを用いて調製された(Martinez Franco らの特許文献2および3)。
【0006】
特許出願の特許文献2において、合成は、ケイ素およびアルミニウムの供給源としてのFAU骨格タイプのゼオライトと、場合による追加のSiO2供給源と、特定の構造化剤(1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン)ブロミドと、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の供給源(好ましくはNaOH)と、場合による少なくとも1種のフッ素化物アニオンの供給源BFとを含有している水性ゲルの水熱処理を行うことからなる。
【0007】
特許出願の特許文献3において、合成は、ケイ素およびアルミニウムの供給源としてのFAU骨格タイプのゼオライトと、場合による追加のSiO2供給源と、特定の構造化剤(1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン) ジヒドロキシドと、少なくとも1種のフッ化物アニオンの供給源BFとを含有している水性ゲルの水熱処理を、場合によっては、アルカリ金属の供給源、好ましくはNaOHの存在中で行うことからなる。
【0008】
本発明の主題は、合成IZM-2ゼオライトを調製するための新規な方法であって、ケイ素源と、無定形アルミニウム源と、特定の構造化剤(1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン)であって、そのジヒドロキシドの形態にあるものとを、特定のアルカリ金属クロリドM(好ましくはNaCl)の供給源との組み合わせで、フッ素化されたまたはフッ素化されていない媒体中に含有している水性ゲルの水熱処理を行うことからなる、方法にある。
【0009】
それ故に、本出願人が発見したことは、2個の四級アンモニウム基を含む窒素性のまたは構造化の有機化合物1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン ジヒドロキシドを、少なくとも1種のケイ素源、少なくとも1種のアルミニウム源および場合による、少なくとも1種の三価元素および/または少なくとも1種の四価元素の他の供給源、価数nの少なくとも1種のアルカリ金属Mの少なくとも1種の供給源であって、アルカリ金属クロリドから選ばれ、nは1以上の整数である、ものの存在中、少なくとも1種のフッ化物アニオンの供給源が存在する中または不在の中で混合したものにより、非常に高い純度のIZM-2ゼオライトの前駆体ゲルが生じるに至ることである。任意の他の結晶性または無定形の相は、一般的かつ非常に優先的には、当該調製方法の終結の際に得られたIZM-2ゼオライトからなる結晶性固体を欠いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】仏国特許出願公開第2918050号明細書(特表2010-531801号公報)
【文献】仏国特許出願公開第3064262号明細書(特開2018-162206号公報)
【文献】仏国特許出願公開第3064261号明細書(特開2018-162207号公報)
【非特許文献】
【0011】
【文献】Fecantら著、「J. Catal.」、2013年、第20巻、p20-29
【文献】Liら著、「Microporous Mesoporous Mater.」、2017年、第237巻、p.222-227
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の概要)
特に、本発明は、IZM-2ゼオライトを調製するための方法であって、少なくとも以下の工程:
i) 水性媒体中で、酸化物形態XO2にある少なくとも1種の四価元素Xの少なくとも1種の供給源と、酸化物形態Y2O3にある少なくとも1種の三価元素Yの少なくとも1種の供給源と、窒素性有機化合物R(OH)2であって、1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン ジヒドロキシドであるものと、価数nの少なくとも1種のアルカリ金属Mの少なくとも1種の供給源であって、アルカリ金属クロリドから選ばれ、nは、1以上である整数であり、Mは、リチウム、カリウム、ナトリウムおよびセシウム、およびこれらの金属の少なくとも2種の混合物から選ばれるものとを、場合によっては少なくとも1種のフッ化物アニオンのBFの存在中で、均一な前駆体のゲルが得られるまで、混合する工程であって、反応混合物は、以下のモル組成:
XO2/Y2O3:70~350、好ましくは80~300
H2O/XO2:1~100、好ましくは5~50
R(OH)2/XO2:0.006~0.25、好ましくは0.01~0.20
M1/nCl/XO2:0.005~0.5、好ましくは0.01~0.4
BF/XO2:0~0.25、好ましくは0~0.2
を有し、
Xは、ケイ素、ゲルマニウムおよびチタン、およびこれらの四価元素の少なくとも2種の混合物から選ばれ、Xは、好ましくはケイ素であり、
Yは、アルミニウム、ホウ素、鉄、インジウムおよびガリウム、およびこれらの三価元素の少なくとも2種の混合物から選ばれ、Yは、好ましくはアルミニウムであり、および
BFは、BがカチオンNH4
+、Na+、K+およびLi+から選ばれるカチオンであるフッ素塩およびフッ化水素酸水溶液から選ばれる、工程、
ii) 工程i)の終結の際に得られた前記前駆体ゲルを、120℃~220℃の温度で、1日~10日の期間にわたって水熱処理する工程
を含む、方法に関する。
【0013】
本発明は、それ故に、フッ素化されたまたはフッ素化されていないアニオンが存在する中、特定の有機性または構造化の種であって、2個の四級アンモニウム基を含むものである1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン ジヒドロキシドと、特定のアルカリ金属Mの供給源、アルカリ金属クロリド(好ましくは塩化ナトリウム)との組み合わせによる、IZM-2ゼオライトの前駆体ゲルの調製にあり、前記方法は、特定の、とりわけ水熱処理時間についての操作条件下に行われる。
【0014】
本発明の一つの利点は、高純度のIZM-2ゼオライトを形成するための新規な調製方法をそれが提供することにある。任意の他の結晶性のまたは無定形の相は、一般的にかつ大いに優先的に、本調製方法の終結の際に得られたIZM-2ゼオライトからなる結晶性固体を欠いている。
【0015】
本発明の別の利点は、IZM-2ゼオライトであって、SiO2/Al2O3比が70~350、好ましくは80~300であるものの調製をそれが可能にすることにある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(発明の詳細な説明)
本発明によると、混合工程i)は、水性媒体中で、酸化物形態XO2にある少なくとも1種の四価元素Xの少なくとも1種の供給源と、酸化物形態Y2O3にある少なくとも1種の三価元素の少なくとも1種の供給源と、窒素性の有機化合物R(OH)2であって、1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン ジヒドロキシドであるものと、価数nの少なくとも1種のアルカリ金属Mの少なくとも1種の供給源であって、アルカリ金属クロリドから選ばれ、nは、1以上の整数であり、Mは、リチウム、カリウム、ナトリウムおよびセシウム、およびこれらの金属の少なくとも2種の混合物から選ばれる、ものとを、場合によっては少なくとも1種のフッ化物アニオンBFの存在中で、均一な前駆体ゲルが得られるまで混合することによって行われ、反応混合物は、以下のモル組成:
XO2/Y2O3:70~350、好ましくは80~300
H2O/XO2:1~100、好ましくは5~50
R(OH)2/XO2:0.006~0.25、好ましくは0.01~0.20
M1/nCl/XO2:0.005~0.5、好ましくは0.01~0.4
BF/XO2:0~0.25、好ましくは0~0.2
を有し、
Xは、ケイ素、ゲルマニウムおよびチタン、およびこれらの四価元素の少なくとも2種の混合物から選ばれ、Xは、好ましくはケイ素であり、
Yは、アルミニウム、ホウ素、鉄、インジウムおよびガリウム、およびこれらの三価元素の少なくとも2種の混合物から選ばれ、Yは、好ましくはアルミニウムであり、
BFは、BがカチオンNH4
+、Na+、K+およびLi+から選ばれるカチオンであるフッ素塩およびフッ化水素酸水溶液から選ばれる。
【0017】
工程i)の混合物は、ケイ素以外の以下の元素:ゲルマニウム、チタンによって形成される群から選ばれる1種または複数種の四価元素Xを含んでもよく、かつ/または、混合物は、アルミニウム以外の以下の元素:鉄、ホウ素、インジウムおよびガリウムによって形成される群から選ばれる1種または複数種の三価元素Yを含んでもよい。
【0018】
上記反応混合物のモル組成において、本説明を通して:
XO2は、酸化物の形態で表される四価元素(1種または複数種)のモル量を表示し、Y2O3は、酸化物の形態で表される三価元素(1種または複数種)のモル量を表示し、
H2Oは、反応混合物中に存在する水のモル量を表示し、
R(OH)2は、前記窒素性の有機化合物のモル量を表示し、
M1/nClは、アルカリ金属クロリドの形態で存在するアルカリ金属の供給源のM1/nClの形態で表されるモル量を表示し、
BFは、フッ化物アニオンの供給源のBFの形態で表されるモル量を表示する。
【0019】
本発明によると、少なくとも1種の酸化物XO2の少なくとも1種の供給源が混合物に組み入れられて、調製方法の工程(i)が行われ、Xは、以下の元素:ケイ素、ゲルマニウム、チタンによって形成される群から選ばれる1種または複数種の四価元素であり、Xは、好ましくは、ケイ素である。
【0020】
Xがケイ素である場合、前記四価元素(1種または複数種)の供給源(1種または複数種)は、元素Xを含んでおりかつ活性な形態でこの元素を水溶液中に放出することができるあらゆる化合物であってよい。
【0021】
ケイ素源は、ゼオライトの合成のために一般的に用いられている前記供給源のうちのいずれか1種であってよく、例えば、紛体状シリカ、ケイ酸、コロイダルシリカ、溶解シリカまたはテトラエトキシシラン(tetraethoxysilane:TEOS)である。紛体状シリカの中で、使用がなされてよいのは、沈殿シリカであり、特に、アルカリ金属ケイ酸塩の溶液からの沈殿によって得られたもの、ヒュームドシリカ、例えば、Cab-O-Sil、およびシリカゲルである。種々の粒子サイズ、例えば、平均等価径10~15nmまたは40~50nmを有しているコロイダルシリカが用いられてよく、例えば、Ludox等の登録商標名の下に販売されているものがある。好ましくは、ケイ素源は、Ludox(登録商標) HS-40である。
【0022】
Xがチタンである場合、Ti(EtO)4がチタン源として有利に用いられる。
【0023】
本発明によると、少なくとも1種の酸化物Y2O3の少なくとも1種の供給源が混合物に組み入れられて、本発明による調製方法の前記工程(i)が行われ、Yは、以下の元素:アルミニウム、鉄、ホウ素、インジウムおよびガリウムによって形成される群から選ばれる1種または複数種の三価元素であり、三価元素Yの少なくとも1種は、アルミニウムである。
【0024】
アルミニウム源は、好ましくは、水酸化アルミニウムまたはアルミニウム塩、例えば、塩化物、硝酸塩または硫酸塩、アルミン酸ナトリウム、アルミニウムアルコキシド、またはアルミナ自体、好ましくは、水和型または水和可能型のアルミナ、例えば、コロイダルアルミナ、プソイドベーマイト、ガンマ-アルミナまたはアルファまたはベータのアルミナ三水和物である。上記の供給源の混合物の使用がなされてもよい。
【0025】
本発明によると、Rは、窒素性有機化合物1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサンであり、前記化合物は、有機構造化剤として工程(i)を行うために反応混合物に組み入れられる。本発明によるIZM-2ゼオライトの合成のための構造化有機種中に存在する四級アンモニウムカチオンと関連するアニオンは、水酸化物アニオン(OH-)である。
【0026】
本発明によると、アルカリ金属クロリドから選ばれる価数nの少なくとも1種のアルカリ金属Mの少なくとも1種の供給源は、工程i)の反応混合物中で用いられ、nは、1以上の整数であり、Mは、好ましくは、リチウム、カリウム、ナトリウムおよびセシウム、およびこれらの金属の少なくとも2種の混合物から選ばれる。好ましくは、Mは、ナトリウムである。
【0027】
大いに好ましくは、少なくとも1種のアルカリ金属Mの供給源は、塩化ナトリウムである。
【0028】
混合工程i)において、水酸化ナトリウムNaOHは、少なくとも1種のアルカリ金属の供給源として用いられない。
【0029】
本発明によると、BFと称される少なくとも1種のフッ化物アニオンの少なくとも1種の供給源が工程i)の前記反応混合物に加えられてもよく、BFは、フッ化水素酸水溶液およびBがカチオンNH4
+、Na+、K+およびLi+から選ばれるカチオンであるフッ素塩、およびこれらの塩の少なくとも2種の混合物から選ばれる。好ましくは、BFは、BがNH4
+カチオンであるフッ素塩である。それ故に、少なくとも1種のフッ化物アニオンの供給源は、好ましくはNH4F水溶液である。
【0030】
本発明によると、混合工程i)は、フッ化物アニオンが存在する中または存在しない中で行われてよい。工程i)の反応混合物のモル組成におけるフッ素化されたアニオンの供給源のモル量は、BFの形態で表されて、以下のようにされる:
BF/XO2:0~0.25、好ましくは0~0.2。
【0031】
好ましい実施形態において、本発明の方法の前記工程i)の間に反応混合物にIZM-2ゼオライトの種を加えて、IZM-2ゼオライトの結晶体の形成に要求される時間および/または全結晶化時間を低減させることが有利であってよい。前記種結晶体は、不純物に損害を与えて前記IZM-2ゼオライトの形成も促進する。このような種は、結晶固体、とりわけIZM-2ゼオライトの結晶体を含む。種結晶体は、一般的には、反応混合物において用いられる無水の形態の前記四価および三価の元素(1種または複数種)の供給源の全質量の0.01%~10%の比率で加えられるが、前記種結晶体は、四価および三価の元素の供給源の全質量において考慮に入れられない。前記種は、上記のような、反応混合物および/またはゲルの組成を決定するために、すなわち、反応混合物の組成の種々のモル比の決定において考慮に入れられない。
【0032】
混合工程i)は、均一な混合物が得られるまで、好ましくは30分以上の時間にわたって、好ましくは当業者に知られているあらゆるシステムによって撹拌しながら、低いまたは高いせん断速度で行われる。
【0033】
工程i)の終結の際に、均一な前駆体ゲルが得られる。
【0034】
有利には、工程i)の終結の際に得られた前駆体ゲルが有している四価元素の酸化物として表される全量対三価元素の酸化物として表される全量のモル比は、80~300である。
【0035】
X=SiおよびY=Alの場合、工程i)の終結の際に得られた前駆体ゲルが有しているSiO2/Al2O3モル比は、80~300である。
【0036】
一つの実施形態によると、工程i)の終結の際に得られた反応混合物の工程i)の間の熟成を水熱結晶化工程ii)の前に行って、IZM-2ゼオライトの結晶体のサイズをコントロールすることが有利であってよい。前記熟成は、不純物に損害を与えて前記IZM-2ゼオライトの形成も促進する。本発明の方法の前記工程i)の終結の際に得られた反応混合物の熟成は、室温でまたは20~100℃の温度で、撹拌を伴ってまたは伴わずに、有利には30分~48時間の期間にわたって行われてよい。
【0037】
本発明によると、本方法は、工程ii)を含み、この工程ii)は、工程i)の終結の際に得られた前記前駆体ゲルを、120℃~220℃の温度で、1日~10日の時間にわたって水熱処理することからなる。
【0038】
前記前駆体ゲルの水熱処理の工程ii)は、前記IZM-2ゼオライトが結晶化するまで行われる。
【0039】
前駆体ゲルは、有利には、水熱条件下に自生圧力で、場合によっては、ガス例えば窒素の添加を伴って、120℃~220℃、好ましくは150℃~195℃の温度で、IZM-2ゼオライトが完全に結晶化されるまで置かれる。
【0040】
結晶化を得るために要求される期間は、1日~10日、好ましくは2日~8日の範囲にわたる。
【0041】
前記前駆体ゲルの水熱処理の工程ii)は、好ましくは、撹拌を伴ってまたは伴わずに、好ましくは撹拌を伴って行われる。用いられてよい撹拌システムは、当業者に知られているあらゆるシステムであり、例えば、カウンタブレードを有する傾斜パドル、撹拌ターボミキサまたはエンドレススクリューである。
【0042】
反応の終わりに、本発明による調製方法の前記工程ii)を行った後に、IZM-2ゼオライトから形成された固相は、好ましくは、ろ過され、洗浄され、次いで、乾燥させられる。乾燥処理は、一般的には、20℃~150℃、好ましくは60℃~100℃の温度で、5~24時間の時間にわたって行われる。
【0043】
次いで、乾燥済みゼオライトは、有利には、焼成されてよい。焼成済みIZM-2ゼオライトは、一般的に、X線回折によって分析され、この技術により、本発明の方法を介して得られた前記ゼオライトの純度を決定することも可能である。
【0044】
大いに有利には、本発明の方法により、任意の他の結晶または無定形の相がないIZM-2ゼオライトの形成に至る。前記IZM-2ゼオライトは、乾燥工程の後に、続く工程、例えば、焼成およびイオン交換の用意ができている。これらの工程のために、当業者に知られているあらゆる従来の方法が採用されてよい。
【0045】
本発明の方法により得られたIZM-2ゼオライトを焼成する工程は、優先的には、450~700℃の温度で2~20時間の時間にわたって行われ、焼成は、可能であれば、温度漸増によって先行される。
【0046】
焼成工程の終結の際に得られたIZM-2ゼオライトは、あらゆる有機種、特に有機構造化剤R(OH)2を含んでいない。
【0047】
前記焼成工程の終結の際に、X線回折により、本発明による方法を介して得られた固体が実際にIZM-2ゼオライトであることを確認することが可能となる。得られる純度は、有利には90重量%超、好ましくは95重量%超、大いに好ましくは99.8重量%超である。得られた固体が有しているX線回折パターンは、表1において記録されたラインを少なくとも含んでいる。好ましくは、X線回折パターンは、表1において記録されたものよりも有意な強度(すなわち、バックグランドノイズの約3倍の強度を有する)の任意の他のラインを含まない。
【0048】
この回折パターンは、放射線結晶学分析によって回折計により従来の粉末法を用いて銅のKα1放射(λ=1.5406Å)で得られる。角度2θによって示される回折ピークの位置に基づいて、サンプルに特徴的な面間隔dhklは、ブラッグの関係式を用いて計算される。dhklに関する測定誤差Δ(dhkl)は、ブラッグの関係式によって、2θの測定に割り当てられる絶対誤差Δ(2θ)の関数として計算される。±0.02°に等しい絶対誤差Δ(2θ)が一般に受け入れられる。dhklの各値に割り当てられる相対強度Irelは、対応する回折ピークの高さから測定される。本発明によるIZM-2結晶固体のX線パターンは、表1に与えられるdhklの値のところのラインを少なくとも含む。dhkl値の列には、面間隔の平均値がオングストローム(Å)で与えられる。これらの値のそれぞれには、±0.6Å~0.01Åの測定誤差Δ(dhlk)が割り当てられなければならない。
【0049】
【0050】
表1:IZM-2結晶固体のX線回折パターンに基づいて測定されるdhklの平均値および相対強度
表中、VS=非常に強い;S=強い;m=中程度;mw=中程度に弱い;w=弱い;vw=非常に弱い。相対強度Irelは、100の値がX線回折図中の最も強いラインに帰せられる相対強度スケールとして与えられる;vw<15;15≦w<30;30≦mw<50;50≦m<65;65≦S<85;VS≧85。
【0051】
本発明による方法を介して得られるIZM-2ゼオライトのプロトン型を得ることも有利である。前記プロトン型は、酸、特に強鉱酸、例えば、塩化水素酸、硫酸または硝酸、または化合物、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウムまたは硝酸アンモニウムとのイオン交換を行うことによって得られてよい。イオン交換の工程は、懸濁液中の前記IZM-2ゼオライトを1回以上イオン交換溶液とともに置くことによって行われてよい。前記ゼオライトは、イオン交換の前またはその後または2回のイオン交換の間に焼成されてよい。ゼオライトは、好ましくは、イオン交換の前に焼成されて、ゼオライトの孔隙(porosity)中に含まれるあらゆる有機物質が取り除かれる。イオン交換がこれにより促進されるからである。
【0052】
本発明の方法を介して得られたIZM-2ゼオライトは、イオン交換の後に、精製および石油化学の分野における触媒反応のための酸固体として用いられてよい。それは、吸着剤としてまたはモレキュラーシーブとして用いられてもよい。
【0053】
本発明による方法は、IZM-2ゼオライトであって、有利には、X=Si、およびY=Alである場合においてSiO2/Al2O3比70~350、好ましくは80~300を有しているものの生成を可能にする。
【0054】
得られたゼオライトのSiO2/Al2O3比を決定するために以下の分析技術が用いられる。
【0055】
蛍光X線分光法(X-ray fluorescence spectrometry:XFS)は、物質の物理的特性である蛍光X線を用いた化学分析技術である。それにより、ベリリウム(Be)から出発した化学元素の大部分の分析が数ppmから100%にわたる濃度範囲で可能となり、精密かつ再生可能な結果を伴う。X線は、サンプル中の原子を励起するように用いられ、これは、それらに、存在する各元素に特徴的なエネルギーを有しているX線を放出させる。これらのX線の強度およびエネルギーは、物質中の元素の濃度を決定するために測定される。
【0056】
誘導結合プラズマ質量分析(inductively-coupled plasma mass spectrometry:ICP)は、励起されたかまたはイオン化された原子によって発される放射を測定するための化学分析技術である。励起されるために、サンプルは、非常に高い温度(8000K)でアルゴンプラズマに注入される。この温度で、サンプルは、融解、気化、イオン化および熱励起を経る。励起イオンによって発される光は、光学発光分光計(optical emission spectrometer:OES)によって検出されかつ測定される。
【0057】
(図面のリスト)
[
図1]
図1は、本発明による合成方法における構造化剤として選ばれた1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン ジヒドロキシドの化学式を示す。
[
図2]
図2は、実施例2によって得られたIZM-2ゼオライトのX線回折パターンを示す。
【0058】
本発明による合成方法の他の特徴および利点は、下記の添付図面を参照しながら非限定的例示実施形態の以下の説明を読めば明らかになるだろう。
【0059】
(実施例)
(実施例1:1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン ジヒドロキシド[R(OH)2]の調製)
1,6-ジブロモヘキサン50g(0.20mol、99%、Alfa Aesar)をN-メチルピペリジン50g(0.51mol、99%、Alfa Aesar)およびエタノール200mLを含有している1Lの丸底フラスコ中に置く。反応媒体を5時間にわたって還流撹拌する。次いで、混合物を室温に冷却し、次いで、ろ過する。混合物を冷ジエチルエーテル300mLに注ぎ、次いで、生じた沈殿物をろ別し、ジエチルエーテル100mLにより洗浄する。得られた固体をエタノール/エーテルの混合物から再結晶する。得られた固体を真空下に12時間にわたって乾燥させる。白色固体71gが得られる(すなわち、収率:80%)。
【0060】
生成物は、期待される1H NMRスペクトルを有している。1H NMR(D2O,ppm/TMS):1.27(4H,m);1.48(4H,m);1.61(4H,m);1.70(8H,m);2.85(6H,s);3.16(12H,m)。
【0061】
Ag2O18.9g(0.08mol,99%,Aldrich)を実施例1に従って調製された構造化剤1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ジブロミド30g(0.07mol)および脱イオン水100mLを含んでいる250mLのテフロン(登録商標)ビーカ中に置く。反応媒体を12時間にわたって光がない中で撹拌する。次いで、混合物をろ過する。得られたろ液は、1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン ジヒドロキシドの水溶液からなっている。この種のアッセイは、標準としてギ酸を用いたプロトンNMRによって行われる。
【0062】
(実施例2:本発明に合致するIZM-2固体の調製)
実施例1に従って調製された1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン ジヒドロキシドの水溶液(18.36重量%)3.486gを脱イオン水1.434gと混合した。塩化ナトリウム(固体、純度99重量%、Alfa Aesar)0.427gを先行の混合物に加え、得られた調製物を10分にわたって撹拌しながら維持した。次いで、無定形水酸化アルミニウムゲル(無定形Al(OH)3ゲル、58.55% Al2O3、Merck)0.009gを組み入れ、合成ゲルを15分にわたって撹拌しながら維持した。コロイダルシリカ1.828g(Ludox HS40、40重量%、Aldrich)を混合物に組み入れ、このものを15分にわたって撹拌しながら維持した。最後に、フッ化アンモニウム水溶液(10重量%)0.866gを合成混合物に組み入れ、このものを30分にわたって撹拌しながら維持し、所望の前駆体ゲルの組成物が得られるまで溶媒を留去する。すなわち、混合物のモル組成は、以下の通りである:60SiO2:0.25Al2O3:10R(OH)2:9.6NaCl:1770H2O:10NH4Fである。すなわち、得られたゲルのSiO2/Al2O3比は、240である。次いで、前駆体ゲルを、均一化の後に、オートクレーブに移す。オートクレーブを閉じ、次いで、回転スピットシステムにより32rpmで撹拌しながら8日にわたって170℃で加熱する。得られた結晶生成物をろ別し、脱イオン水により洗浄し、次いで、100℃で終夜乾燥させる。次いで、固体をマッフル炉に導入し、そこで、焼成工程を行う:焼成サイクルは、200℃までの1.5℃/分の昇温、2時間にわたって維持される200℃での安定段階、550℃までの1℃/分の昇温、その後の、8時間にわたって維持される550℃での安定段階、その後の室温への戻りを含む。
【0063】
焼成済みの固体生成物をX線回折によって分析し、99.8%超の純度を有するIZM-2ゼオライトからなるとして同定した。焼成済みIZM-2ミクロ細孔性固体について生じた回折パターンは、
図2に与えられる。
【0064】
(実施例3:本発明に合致するIZM-2固体の調製)
実施例1に従って調製された1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン ジヒドロキシドの水溶液(18.36重量%)43.564gを脱イオン水26.721gと混合した。塩化ナトリウム(固体、純度99重量%、Alfa Aesar)5.328gを先行の混合物に加え、得られた調製物を10分にわたって撹拌しながら維持する。次いで、無定形水酸化アルミニウムゲル(無定形Al(OH)3ゲル、58.55%Al2O3、Merck)0.111gを組み入れ、合成ゲルを15分にわたって撹拌しながら維持する。コロイダルシリカ(Ludox HS40、40重量%、Aldrich)22.773gを混合物に組み入れ、このものを15分にわたって撹拌しながら維持する。最後に、フッ化アンモニウム水溶液(10重量%)10.854gを合成混合物に組み入れ、このものを30分にわたって撹拌しながら維持し、所望の前駆体ゲルの組成が得られるまで溶媒を留去する。すなわち、混合物のモル組成は以下の通りである:60SiO2:0.25Al2O3:10R(OH)2:9.6NaCl:1770H2O:10NH4Fであり、すなわち、ゲルのSiO2/Al2O3比は、240である。次いで、前駆体ゲルを4個の傾斜パドルを有する撹拌システムを備えている1000mLのステンレススチール製反応器に移す。反応器を閉にし、次いで、350rpmで撹拌しながら8日にわたって170℃で加熱する。得られた結晶生成物をろ別し、脱イオン水により洗浄し、次いで、100℃で終夜乾燥させる。次いで、固体をマッフル炉に導入し、そこで、焼成工程を行う:焼成サイクルは、200℃までの1.5℃/分の昇温、2時間にわたって維持される200℃での安定段階、550℃までの1℃/分の昇温、続いて、8時間にわたって維持される550℃での安定段階、次いで、室温への戻りを含む。
【0065】
焼成済みの固体生成物をX線回折によって分析し、99.8%超の純度を有するIZM-2ゼオライトからなるとして同定した。得られたIZM-2ゼオライトが有しているSiO2/Al2O3モル比は、蛍光X線およびICPによって決定されたように222.3である。
【0066】
(実施例4:本発明に合致するIZM-2固体の調製)
実施例1に従って調製された1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン ジヒドロキシドの水溶液(18.36重量%)3.522gを脱イオン水1.619gと混合した。塩化ナトリウム(固体、純度99重量%、Alfa Aesar)0.194gを先行の混合物に加え、得られた調製物を10分にわたって撹拌しながら維持する。次いで、無定形水酸化アルミニウムゲル(無定形Al(OH)3ゲル、58.55%Al2O3、Merck)0.01gを組み入れ、合成ゲルを15分にわたって撹拌しながら維持する。コロイダルシリカ(Ludox HS40、40重量%、Aldrich)1.837gを混合物に組み入れ、このものを、15分にわたって撹拌しながら維持する。最後に、フッ化アンモニウム水溶液(10重量%)0.863gを合成混合物に組み入れ、このものを30分にわたって撹拌しながら維持し、所望の前駆体ゲルの組成が得られるまで溶媒を留去する。すなわち、混合物のモル組成は以下の通りである:60SiO2:0.25Al2O3:10R(OH)2:4.8NaCl:1770H2O:10NH4F、すなわち、SiO2/Al2O3比は、240である。次いで、前駆体ゲルを、均一化の後に、オートクレーブに移す。オートクレーブを閉じ、次いで、回転スピットシステムにより32rpmで撹拌しながら8日にわたって170℃で加熱する。得られた結晶生成物をろ別し、脱イオン水により洗浄し、次いで、100℃で終夜乾燥させる。次いで、固体をマッフル炉に導入し、そこで、焼成工程を行う:焼成サイクルは、200℃までの1.5℃/分の昇温、2時間にわたって維持される200℃での安定段階、550℃までの1℃/分の昇温、その後の、8時間にわたって維持される550℃での安定段階、次いで、室温への戻りを含む。
【0067】
焼成済みの固体生成物をX線回折によって分析し、99.8%超の純度を有するIZM-2ゼオライトからなるとして同定した。
【0068】
(実施例5:本発明に合致するIZM-2固体の調製)
実施例1に従って調製された1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン ジヒドロキシドの水溶液(18.36重量%)39.497gを脱イオン水26.011gと混合した。塩化ナトリウム(固体、純度99重量%、Alfa Aesar)2.273gを先行の混合物に加え、得られた調製物を10分にわたって撹拌しながら維持する。次いで、無定形水酸化アルミニウムゲル(無定形Al(OH)3ゲル、58.55%Al2O3、Merck)0.102gを組み入れ、合成ゲルを15分にわたって撹拌しながら維持する。コロイダルシリカ(Ludox HS40、40重量%、Aldrich)20.618gを混合物に組み入れ、このものを15分にわたって撹拌しながら維持する。最後に、フッ化アンモニウム水溶液(10重量%)9.727gを合成混合物に組み入れ、このものを30分にわたって撹拌しながら維持し、所望の前駆体ゲルの組成が得られるまで溶媒を留去する。すなわち、混合物のモル組成は以下の通りである:60SiO2:0.25Al2O3:10R(OH)2:4.8NaCl:1770H2O:10NH4F。すなわち、SiO2/Al2O3比は、240である。次いで、前駆体ゲルを4個の傾斜パドルを有する撹拌システムを備えている160mLのステンレススチール反応器に移す。反応器を閉にし、次いで、350rpmで撹拌しながら8日にわたって170℃で加熱する。得られた結晶生成物をろ別し、脱イオン水により洗浄し、次いで、100℃で終夜乾燥させる。次いで、固体をマッフル炉に導入し、そこで、焼成工程を行う:焼成サイクルは、200℃までの1.5℃/分の昇温、2時間にわたって維持される200℃での安定段階、550℃までの1℃/分の昇温、その後の、8時間にわたって維持される550℃での安定段階、次いで、室温への戻りを含む。
【0069】
焼成済みの固体生成物をX線回折によって分析し、99.8%超の純度を有するIZM-2ゼオライトからなるとして同定した。生成物が有しているSiO2/Al2O3モル比は、蛍光X線およびICPによって決定されるように212.8である。
【0070】
(実施例6:本発明に合致するIZM-2固体の調製)
実施例1に従って調製された1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン ジヒドロキシドの水溶液(18.36重量%)3.473gを脱イオン水1.819gと混合する。塩化ナトリウム(固体、純度99重量%、Alfa Aesar)0.921gを先行の混合物に加え、得られた調製物を10分にわたって撹拌しながら維持する。次いで、無定形水酸化アルミニウムゲル(無定形Al(OH)3ゲル、58.55%Al2O3、Merck)0.009gを組み入れ、合成ゲルを15分にわたって撹拌しながら維持する。最後に、コロイダルシリカ(Ludox HS40、40重量%、Aldrich)1.808gを合成混合物に組み入れ、このものを30分にわたって撹拌しながら維持し、所望の前駆体ゲルの組成が得られるまで溶媒を留去する。すなわち、混合物のモル組成は、以下の通りである:60SiO2:0.25Al2O3:10R(OH)2:20NaCl:1770H2O。すなわち、SiO2/Al2O3比は、240である。次いで、前駆体ゲルを、均一化の後に、オートクレーブに移す。オートクレーブを閉にし、次いで、回転スピットシステムにより32rpmで撹拌しながら6日にわたって170℃で加熱する。得られた結晶生成物をろ別し、脱イオン水により洗浄し、次いで、100℃で終夜乾燥させる。次いで、固体をマッフル炉に導入し、そこで、焼成工程を行う:焼成サイクルは、200℃までの1.5℃/分の昇温、2時間にわたって維持される200℃での安定段階、550℃までの1℃/分の昇温、その後の、8時間にわたって維持される550℃での安定段階、次いで、室温への戻りを含む。
【0071】
焼成済みの固体生成物をX線回折によって分析し、99.8%超の純度を有するIZM-2ゼオライトからなるとして同定した。
【0072】
(実施例7:本発明に合致するIZM-2固体の調製)
実施例1に従って調製された1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン ジヒドロキシドの水溶液(18.36重量%)3.496gを脱イオン水2.020gと混合する。塩化ナトリウム(固体、純度99重量%、Alfa Aesar)0.681gを先行の混合物に加え、得られた調製物を10分にわたって撹拌しながら維持する。次いで、無定形水酸化アルミニウムゲル(無定形Al(OH)3ゲル、58.55%Al2O3、Merck)0.009gを組み入れ、合成ゲルを15分にわたって撹拌しながら維持する。最後に、コロイダルシリカ(Ludox HS40、40重量%、Aldrich)1.835gを合成混合物に組み入れ、このものを30分にわたって撹拌しながら維持して、所望の前駆体ゲルの組成が得られるまで溶媒を留去する。すなわち、混合物のモル組成は以下の通りである:60SiO2:0.25Al2O3:10R(OH)2:15NaCl:1770H2O。すなわち、SiO2/Al2O3比は、240である。次いで、前駆体ゲルを、均一化の後に、オートクレーブに移す。オートクレーブを閉にし、次いで、回転スピットシステムにより32rpmで撹拌しながら6日にわたって170℃に加熱する。得られた結晶生成物をろ別し、脱イオン水により洗浄し、次いで、100℃で終夜乾燥させる。次いで、固体をマッフル炉に導入し、そこで焼成工程を行う:焼成サイクルは、200℃までの1.5℃/分の昇温、2時間にわたって維持される200℃での安定段階、550℃までの1℃/分の昇温、その後の、8時間にわたって維持される550℃での安定段階、次いで、室温への戻りを含む。
【0073】
焼成済みの固体生成物をX線回折によって分析し、99.8%超の純度を有するIZM-2ゼオライトからなるとして同定した。
【0074】
(実施例8:本発明に合致するIZM-2固体の調製)
実施例1に従って調製された1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン ジヒドロキシドの水溶液(18.36重量%)1.831gを脱イオン水3.578gと混合する。塩化ナトリウム(固体、純度99重量%、Alfa Aesar)0.722gを先行の混合物に加え、得られた調製物を10分にわたって撹拌しながら維持する。次いで、無定形水酸化アルミニウムゲル(無定形Al(OH)3ゲル、58.55% Al2O3、Merck)0.011gを組み入れ、合成ゲルを15分にわたって撹拌しながら維持する。最後に、コロイダルシリカ(Ludox HS40、40重量%、Aldrich)1.908gを合成混合物に組み入れ、このものを、30分にわたって撹拌しながら維持し、所望の前駆体ゲルの組成が得られるまで溶媒を留去する。すなわち、混合物のモル組成は、以下の通りである:60SiO2:0.3Al2O3:5R(OH)2:15NaCl:1770H2O。すなわち、SiO2/Al2O3比は、200である。次いで、前駆体ゲルを、均一化の後に、オートクレーブに移す。オートクレーブを閉にし、次いで、回転スピットシステムにより32rpmで撹拌しながら4日にわたって170℃で加熱する。得られた結晶生成物をろ別し、脱イオン水により洗浄し、次いで、100℃で終夜乾燥させる。次いで、固体をマッフル炉に導入し、そこで焼成工程を行う:焼成サイクルは、200℃までの1.5℃/分の昇温、2時間にわたって維持される200℃での安定段階、550℃までの1℃/分の昇温、その後の、8時間にわたって維持される550℃での安定段階、次いで室温への戻りを含む。
【0075】
焼成済みの固体生成物をX線回折によって分析し、99.8%超の純度を有するIZM-2ゼオライトからなるとして同定した。
【0076】
(実施例9:本発明に合致するIZM-2固体の調製)
実施例1に従って調製された1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン ジヒドロキシドの水溶液(18.36重量%)34.901gを脱イオン水20.085gと混合する。塩化ナトリウム(固体、純度99重量%、Alfa Aesar)6.799gを先行の混合物に加え、得られた調製物を10分にわたって撹拌しながら維持する。次いで、無定形水酸化アルミニウムゲル(無定形Al(OH)3ゲル、58.55% Al2O3、Merck)0.125gを組み入れ、合成ゲルを15分にわたって撹拌しながら維持する。最後に、コロイダルシリカ(Ludox HS40、40重量%、Aldrich)18.234gを合成混合物に組み入れ、このものを30分にわたって撹拌しながら維持し、所望の前駆体ゲルの組成が得られるまで溶媒を留去する。すなわち、混合物のモル組成は以下の通りである:60SiO2:0.35Al2O3:10R(OH)2:15NaCl:1770H2O。すなわち、SiO2/Al2O3比は、171である。次いで、前駆体ゲルを4個の傾斜パドルを有する撹拌システムを備えている160mLのステンレススチール反応器に移す。反応器を閉にし、次いで、350rpmで撹拌しながら4日にわたって170℃で加熱する。得られた結晶生成物をろ別し、脱イオン水により洗浄し、次いで、100℃で終夜乾燥させる。次いで、固体をマッフル炉に導入し、そこで焼成工程を行う:焼成サイクルは、200℃までの1.5℃/分の昇温、2時間にわたって維持される200℃での安定段階、550℃までの1℃/分の昇温、その後の8時間にわたって維持される550℃での安定段階、次いで室温への戻りを含む。
【0077】
焼成済みの固体生成物をX線回折によって分析し、99.8%超の純度を有するIZM-2ゼオライトからなるとして同定した。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【
図1】本発明による合成方法における構造化剤として選ばれた1,6-ビス(メチルピペリジニウム)ヘキサン ジヒドロキシドの化学式を示す。
【
図2】実施例2によって得られたIZM-2ゼオライトのX線回折パターンを示す。