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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-09
(45)【発行日】2025-04-17
(54)【発明の名称】基板搬送装置および基板搬送方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20250410BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20250410BHJP
   B25J 9/10 20060101ALI20250410BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20250410BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20250410BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20250410BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/68 F
B25J9/10 A
G03F7/20 521
H01L21/30 562
G01B11/00 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021046272
(22)【出願日】2021-03-19
(65)【公開番号】P2022145029
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】▲桑▼原 丈二
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0068347(US,A1)
【文献】特開2006-351884(JP,A)
【文献】特開2015-222796(JP,A)
【文献】特開2006-060135(JP,A)
【文献】特表2019-535132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/68
B25J 9/10
G03F 7/20
H01L 21/027
G01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送する基板搬送装置であって、
基板を保持可能に構成された保持部と、
ライン状の受光面を有しかつ前記保持部に設けられ、前記保持部上に配置された基板の外周部に向けて光をそれぞれ出射するとともに、前記受光面により基板から反射された光をそれぞれ受光して、受光量を示す信号を出力する複数の反射型光検出器と、
前記複数の反射型光検出器の出力信号に基づいて、前記保持部上に配置された基板について前記保持部における基板の外周端部の複数の部分の位置をそれぞれ算出する部分位置算出部と、
前記部分位置算出部により算出された基板の前記複数の部分の位置に基づいて前記保持部に対する基板の位置を判定する位置判定部と
前記保持部に設けられ、基板の外周部よりも内側に位置する内側部分に向けて第1の光量の光を出射するとともに、基板により反射された光を受光して、受光量を示す信号を出力する受光量測定器と、
光量位置情報生成部とを備え、
平面視で、各反射型検出器の一部が前記保持部上に配置された基板の外周部に重なる状態で、前記受光量測定器の全体は基板に重なり、
前記光量位置情報生成部は、
前記第1の光量と前記受光量測定器の出力信号とに基づいて基板の反射率を算出し、
算出された反射率と、前記保持部における前記複数の反射型光検出器の設計位置を示す検出器情報とに基づいて、前記複数の反射型光検出器が受光する受光量と前記保持部における基板の前記複数の部分の位置との間の関係を示す光量位置情報を生成し、
前記部分位置算出部は、前記複数の反射型光検出器の出力信号に加えて、前記光量位置情報生成部により生成された前記光量位置情報に基づいて前記保持部における基板の前記複数の部分の位置をそれぞれ算出する、基板搬送装置。
【請求項2】
前記複数の反射型光検出器の各々は、前記受光面から上方に向かって延びる帯状の検出領域を有し、
前記複数の部分は、平面視で複数の反射型光検出器の検出領域と前記保持部上に配置された基板の外周端部との交点である、請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記複数の反射型光検出器は、前記受光面が一の方向において互いに重ならないように、前記保持部に設けられた第1および第2の反射型光検出器を含む、請求項1または2記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記複数の反射型光検出器が受光する受光量と前記保持部における基板の前記複数の部分の位置との間の予め定められた関係を示す光量位置情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記部分位置算出部は、前記複数の反射型光検出器の出力信号に加えて、前記記憶部に記憶された前記光量位置情報に基づいて前記保持部における基板の前記複数の部分の位置をそれぞれ算出する、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記保持部は、前記基板の下面を吸着保持する複数の吸着部をさらに有し、
前記受光量測定器と前記複数の吸着部のうち一の吸着部との間の距離は、前記複数の反射型光検出器の各々と前記一の吸着部との間の距離よりも小さい、請求項1~4のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項6】
基板を搬送する基板搬送装置であって、
基板を保持可能に構成された保持部と、
ライン状の受光面を有しかつ前記保持部に設けられ、前記保持部上に配置された基板の外周部に向けて光をそれぞれ出射するとともに、前記受光面により基板から反射された光をそれぞれ受光して、受光量を示す信号を出力する複数の反射型光検出器と、
前記複数の反射型光検出器の出力信号に基づいて、前記保持部上に配置された基板について前記保持部における基板の外周端部の複数の部分の位置をそれぞれ算出する部分位置算出部と、
前記部分位置算出部により算出された基板の前記複数の部分の位置に基づいて前記保持部に対する基板の位置を判定する位置判定部と、
記保持部における基板の前記複数の部分の高さを検出する高さ検出部と、
前記高さ検出部により検出された基板の前記複数の部分の高さに基づいて、前記部分位置算出部により算出された基板の前記複数の部分の位置をそれぞれ補正する補正部とを備え、
前記位置判定部は、前記補正部による補正後の基板の前記複数の部分の位置に基づいて、前記保持部に対する前記基板の位置を判定する、基板搬送装置。
【請求項7】
前記複数の反射型光検出器を制御する光検出器制御部をさらに備え、
前記光検出器制御部は、前記保持部により基板が保持された状態で、前記複数の反射型光検出器を制御する第1の制御モードと、
前記保持部により基板が保持されずかつ前記保持部が支持部に支持された基板の下方の位置に配置された状態で、前記複数の反射型光検出器を制御する第2の制御モードとで動作可能に構成された、請求項1~のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項8】
前記保持部を移動させる移動部と、
前記位置判定部による判定結果に基づいて、前記保持部により保持された基板が予め定められた第1の位置から第2の位置へ搬送されるように前記移動部を制御する移動制御部とをさらに備える、請求項1~のいずれか一項に記載の基板搬送装置。
【請求項9】
基板を搬送する基板搬送方法であって、
基板を保持可能に構成された保持部上に基板を配置するステップと、
ライン状の受光面を有しかつ前記保持部に設けられた複数の反射型光検出器を用いることにより、前記保持部上に配置された基板の外周部に向けて光を出射するとともに、前記受光面により基板から反射された光をそれぞれ受光して、前記複数の反射型光検出器から受光量を示す信号をそれぞれ出力させるステップと、
前記複数の反射型光検出器の出力信号に基づいて、前記保持部上に配置された基板について前記保持部における基板の外周端部の複数の部分の位置をそれぞれ算出するステップと、
前記算出するステップにより算出された基板の前記複数の部分の位置に基づいて前記保持部に対する基板の位置を判定するステップと
前記保持部に設けられる受光量測定器を用いて前記保持部上に配置された基板の外周部よりも内側に位置する内側部分に向けて第1の光量の光を出射するとともに基板から反射された光を受光することにより、当該受光量測定器から受光量を示す信号を出力させるステップと、
前記複数の反射型光検出器が受光する受光量と前記保持部における基板の前記複数の部分の位置との間の関係を示す光量位置情報を生成するステップとを含み、
平面視で、各反射型検出器の一部が前記保持部上に配置された基板の外周部に重なる状態で、前記受光量測定器の全体は基板に重なり、
前記光量位置情報を生成するステップは、
前記第1の光量と前記受光量測定器の出力信号とに基づいて基板の反射率を算出することと、
算出された反射率と、前記保持部における前記複数の反射型光検出器の設計位置を示す検出器情報とに基づいて、前記光量位置情報を生成することとを含み、
前記算出するステップは、前記複数の反射型光検出器の出力信号に加えて、前記生成するステップにより生成された前記光量位置情報に基づいて前記保持部における基板の前記複数の部分の位置をそれぞれ算出することを含む、基板搬送方法。
【請求項10】
前記複数の反射型光検出器の各々は、前記保持部から上方に向かって延びる帯状の検出領域を有し、
前記複数の部分は、平面視で複数の反射型光検出器の検出領域と前記保持部上に配置された基板の外周端部との交点である、請求項記載の基板搬送方法。
【請求項11】
前記複数の反射型光検出器は、前記受光面が一の方向において互いに重ならないように、前記保持部に設けられた第1および第2の反射型光検出器を含む、請求項または10記載の基板搬送方法。
【請求項12】
前記複数の反射型光検出器が受光する受光量と前記保持部における基板の前記複数の部分の位置との間の予め定められた関係を示す光量位置情報を記憶するステップをさらに含み、
前記算出するステップは、前記複数の反射型光検出器の出力信号に加えて、前記記憶するステップにより記憶された前記光量位置情報に基づいて前記保持部における基板の前記複数の部分の位置をそれぞれ算出することを含む、請求項11のいずれか一項に記載の基板搬送方法。
【請求項13】
前記保持部上に基板を配置するステップは、前記保持部が有する複数の吸着部により基板の下面を吸着保持することを含み、
前記受光量測定器と前記複数の吸着部のうち一の吸着部との間の距離は、前記複数の反射型光検出器の各々と前記一の吸着部との間の距離よりも小さい、請求項9~12のいずれか一項に記載の基板搬送方法。
【請求項14】
基板を搬送する基板搬送方法であって、
基板を保持可能に構成された保持部上に基板を配置するステップと、
ライン状の受光面を有しかつ前記保持部に設けられた複数の反射型光検出器を用いることにより、前記保持部上に配置された基板の外周部に向けて光を出射するとともに、前記受光面により基板から反射された光をそれぞれ受光して、前記複数の反射型光検出器から受光量を示す信号をそれぞれ出力させるステップと、
前記複数の反射型光検出器の出力信号に基づいて、前記保持部上に配置された基板について前記保持部における基板の外周端部の複数の部分の位置をそれぞれ算出するステップと、
前記算出するステップにより算出された基板の前記複数の部分の位置に基づいて前記保持部に対する基板の位置を判定するステップと、
前記保持部における基板の前記複数の部分の高さを検出するステップと、
前記高さを検出するステップにより検出された基板の前記複数の部分の高さに基づいて、前記算出するステップにより算出された基板の前記複数の部分の位置をそれぞれ補正するステップとを含み、
前記基板の位置を判定するステップは、前記補正するステップによる補正後の基板の前記複数の部分の位置に基づいて、前記保持部に対する前記基板の位置を判定することを含む、基板搬送方法。
【請求項15】
前記複数の反射型光検出器から受光量を出力させるステップは、前記保持部により保持された基板の外周部に向けて光を出射することと、前記保持部により基板が保持されずかつ前記保持部が支持部に支持された基板の下方の位置に配置された状態で基板の外周部に向けて光を出射することとを含む、請求項14のいずれか一項に記載の基板搬送方法。
【請求項16】
前記基板の位置を判定するステップによる判定結果に基づいて、前記保持部により保持された基板が予め定められた第1の位置から第2の位置へ搬送されるように前記保持部を移動させるステップをさらに含む、請求項15のいずれか一項に記載の基板搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を搬送する基板搬送装置および基板搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等の各種基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられる。
【0003】
基板処理装置では、例えば一枚の基板に対して複数の処理ユニットにおいて連続的に処理が行われる。そのため、基板処理装置には、複数の処理ユニットの間で基板を搬送する基板搬送装置が設けられる。このような基板搬送装置においては、基板が保持部により保持された状態で搬送される。基板が保持部に対してずれた位置で保持されていると、高い精度で基板を搬送することができない。そこで、保持部に対する基板の位置を判定する構成が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載された基板搬送装置においては、処理対象となる基板が保持部(ハンド)により保持され、保持部が移動することにより基板が搬送される。具体的には、第1の位置から第2の位置への基板の搬送時には、第1の位置で保持部により基板が受け取られた後、基板を保持する保持部が予め定められた第3の位置(進退初期位置)まで移動する。この移動時に、保持部により保持される基板の外周端部の第1~第5の部分が検出される。それらの検出に基づいて、保持部における第1~第5の部分の位置がそれぞれ算出される。算出された第1~第5の部分の位置に基づいて保持部における基板の位置が判定される。また、特許文献2に記載された基板搬送装置においては、基板を保持する保持部(フォーク)が予め定められた位置にある状態で、保持部により保持される基板の外周端部の4つの部分の位置が計測される。計測結果に基づいて保持部における基板の位置が判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-133415号公報
【文献】特開2012-182393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基板搬送装置による基板の搬送時間を短縮することができれば、基板処理装置における基板処理のスループットが向上する。そのため、基板搬送装置による基板の位置判定に要する時間は、低減されることが望ましい。
【0007】
本発明の目的は、基板の位置判定に要する時間を低減することが可能な基板搬送装置および基板搬送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)第1の発明に係る基板搬送装置は、基板を搬送する基板搬送装置であって、基板を保持可能に構成された保持部と、ライン状の受光面を有しかつ保持部に設けられ、保持部上に配置された基板の外周部に向けて光をそれぞれ出射するとともに、受光面により基板から反射された光をそれぞれ受光して、受光量を示す信号を出力する複数の反射型光検出器と、複数の反射型光検出器の出力信号に基づいて、保持部上に配置された基板について保持部における基板の外周端部の複数の部分の位置をそれぞれ算出する部分位置算出部と、部分位置算出部により算出された基板の複数の部分の位置に基づいて保持部に対する基板の位置を判定する位置判定部と、保持部に設けられ、基板の外周部よりも内側に位置する内側部分に向けて第1の光量の光を出射するとともに、基板により反射された光を受光して、受光量を示す信号を出力する受光量測定器と、光量位置情報生成部とを備え、平面視で、各反射型検出器の一部が保持部上に配置された基板の外周部に重なる状態で、受光量測定器の全体は基板に重なり、光量位置情報生成部は、第1の光量と受光量測定器の出力信号とに基づいて基板の反射率を算出し、算出された反射率と、保持部における複数の反射型光検出器の設計位置を示す検出器情報とに基づいて、複数の反射型光検出器が受光する受光量と保持部における基板の複数の部分の位置との間の関係を示す光量位置情報を生成し、部分位置算出部は、複数の反射型光検出器の出力信号に加えて、光量位置情報生成部により生成された光量位置情報に基づいて保持部における基板の複数の部分の位置をそれぞれ算出する
【0009】
その基板搬送装置においては、保持部に設けられた複数の反射型光検出器から基板の外周部に光がそれぞれ出射される。この場合、基板の外周部で反射される光の光量は、ライン状の受光面が延びる方向における基板の外周端部の位置に応じて変化する。そのため、複数の第1の反射型光検出器の出力信号により示される受光量によれば、複数の反射型光検出器のライン状の受光面が延びる方向における基板の外周端部の複数の部分の位置を算出することが可能になる。それにより、保持部上に基板が配置された時点で、保持部に対する基板の位置を判定することができる。その結果、基板の搬送時における基板の位置判定に要する時間を低減することが可能になる。
上記のように、基板搬送装置は、保持部に設けられ、基板の外周部よりも内側に位置する内側部分に向けて光を出射するとともに、基板により反射された光を受光して、受光量を示す信号を出力する受光量測定器と、受光量測定器の出力信号に基づいて、複数の反射型光検出器が受光する受光量と保持部における基板の複数の部分の位置との間の関係を示す光量位置情報を生成する光量位置情報生成部とを備え、部分位置算出部は、複数の反射型光検出器の出力信号に加えて、光量位置情報生成部により生成された光量位置情報に基づいて保持部における基板の複数の部分の位置をそれぞれ算出する。
この場合、基板に対する光の反射率が未知である場合でも、受光量測定器の出力信号に基づいて光量位置情報が生成される。それにより、生成された光量位置情報に基づいて、基板の外周端部の複数の部分の位置を高い精度で算出することができる。
【0010】
(2)複数の反射型光検出器の各々は、受光面から上方に向かって延びる帯状の検出領域を有し、複数の部分は、平面視で複数の反射型光検出器の検出領域と保持部上に配置された基板の外周端部との交点であってもよい。この場合、算出される基板の複数の部分の位置に基づいて基板の位置を判定することができる。
【0011】
(3)複数の反射型光検出器は、受光面が一の方向において互いに重ならないように、保持部に設けられた第1および第2の反射型光検出器を含んでもよい。この場合、第1および第2の反射型光検出器の出力信号と第1および第2の反射型光検出器の位置関係とに基づいて、基板の複数の部分の位置を高い精度で算出することができる。
【0012】
(4)基板搬送装置は、複数の反射型光検出器が受光する受光量と保持部における基板の複数の部分の位置との間の予め定められた関係を示す光量位置情報を記憶する記憶部をさらに備え、部分位置算出部は、複数の反射型光検出器の出力信号に加えて、記憶部に記憶された光量位置情報に基づいて保持部における基板の複数の部分の位置をそれぞれ算出してもよい。この場合、光量位置情報に基づいて、基板の外周端部の複数の部分の位置を高い精度で算出することができる。
【0015】
)保持部は、基板の下面を吸着保持する複数の吸着部をさらに有し、受光量測定器と複数の吸着部のうち一の吸着部との間の距離は、複数の反射型光検出器の各々と一の吸着部との間の距離よりも小さくてもよい。
【0016】
この場合、受光量測定器は複数の反射型光検出器に比べて一の吸着部の近傍に位置する。そのため、基板に反り等の変形が発生している場合でも、受光量測定器からの光を受ける基板の内側部分の高さは、一の吸着部により略一定の高さに保持される。したがって、光量位置情報を生成するための条件のばらつきが低減される。その結果、適切に生成された光量位置情報に基づいて、基板の外周端部の複数の部分の位置をより高い精度で算出することができる。
【0017】
第2の発明に係る基板搬送装置は、基板を搬送する基板搬送装置であって、基板を保持可能に構成された保持部と、ライン状の受光面を有しかつ保持部に設けられ、保持部上に配置された基板の外周部に向けて光をそれぞれ出射するとともに、受光面により基板から反射された光をそれぞれ受光して、受光量を示す信号を出力する複数の反射型光検出器と、複数の反射型光検出器の出力信号に基づいて、保持部上に配置された基板について保持部における基板の外周端部の複数の部分の位置をそれぞれ算出する部分位置算出部と、部分位置算出部により算出された基板の複数の部分の位置に基づいて保持部に対する基板の位置を判定する位置判定部と、保持部における基板の複数の部分の高さを検出する高さ検出部と、高さ検出部により検出された基板の複数の部分の高さに基づいて、部分位置算出部により算出された基板の複数の部分の位置をそれぞれ補正する補正部とを備え、位置判定部は、補正部による補正後の基板の複数の部分の位置に基づいて、保持部に対する基板の位置を判定す
【0018】
反射型光検出器から出射されて基板で反射されることにより当該反射型光検出器に帰還する光の光量は、反射型光検出器と基板との間の距離によっても変化する。上記の構成によれば、基板の外周端部の複数の部分の高さが検出され、検出された高さに基づいて基板の外周端部の複数の部分の位置の算出結果が補正される。したがって、基板の外周端部の複数の部分の位置をさらに高い精度で取得することができる。
【0019】
)基板搬送装置は、複数の反射型光検出器を制御する光検出器制御部をさらに備え、光検出器制御部は、保持部により基板が保持された状態で、複数の反射型光検出器を制御する第1の制御モードと、保持部により基板が保持されずかつ保持部が支持部に支持された基板の下方の位置に配置された状態で、複数の反射型光検出器を制御する第2の制御モードとで動作可能に構成されてもよい。
【0020】
この場合、保持部により基板が保持された状態および保持部が支持部に支持された基板の下方に配置された状態のうちいずれの状態にあっても、保持部における基板の位置をそれぞれ判定することができる。
【0021】
)基板搬送装置は、保持部を移動させる移動部と、位置判定部による判定結果に基づいて、保持部により保持された基板が予め定められた第1の位置から第2の位置へ搬送されるように移動部を制御する移動制御部とをさらに備えてもよい。
【0022】
この場合、位置判定部による判定結果に基づいて、保持部により保持される基板を予め定められた第1の位置から第2の位置へ高い精度で搬送することができる。
【0023】
)第の発明に係る基板搬送方法は、基板を搬送する基板搬送方法であって、基板を保持可能に構成された保持部上に基板を配置するステップと、ライン状の受光面を有しかつ保持部に設けられた複数の反射型光検出器を用いることにより、保持部上に配置された基板の外周部に向けて光を出射するとともに、受光面により基板から反射された光をそれぞれ受光して、複数の反射型光検出器から受光量を示す信号をそれぞれ出力させるステップと、複数の反射型光検出器の出力信号に基づいて、保持部上に配置された基板について保持部における基板の外周端部の複数の部分の位置をそれぞれ算出するステップと、算出するステップにより算出された基板の複数の部分の位置に基づいて保持部に対する基板の位置を判定するステップと、保持部に設けられる受光量測定器を用いて保持部上に配置された基板の外周部よりも内側に位置する内側部分に向けて第1の光量の光を出射するとともに基板から反射された光を受光することにより、当該受光量測定器から受光量を示す信号を出力させるステップと、複数の反射型光検出器が受光する受光量と保持部における基板の複数の部分の位置との間の関係を示す光量位置情報を生成するステップとを含み、平面視で、各反射型検出器の一部が保持部上に配置された基板の外周部に重なる状態で、受光量測定器の全体は基板に重なり、光量位置情報を生成するステップは、第1の光量と受光量測定器の出力信号とに基づいて基板の反射率を算出することと、算出された反射率と、保持部における複数の反射型光検出器の設計位置を示す検出器情報とに基づいて、光量位置情報を生成することとを含み、算出するステップは、複数の反射型光検出器の出力信号に加えて、生成するステップにより生成された光量位置情報に基づいて保持部における基板の複数の部分の位置をそれぞれ算出することを含む。
【0024】
その基板搬送方法においては、保持部に設けられた複数の反射型光検出器から基板の外周部に光がそれぞれ出射される。この場合、基板の外周部で反射される光の光量は、ライン状の受光面が延びる方向における基板の外周端部の位置に応じて変化する。そのため、複数の第1の反射型光検出器の出力信号により示される受光量によれば、複数の反射型光検出器のライン状の受光面が延びる方向における基板の外周端部の複数の部分の位置を算出することが可能になる。それにより、保持部上に基板が配置された時点で、保持部に対する基板の位置を判定することができる。その結果、基板の搬送時における基板の位置判定に要する時間を低減することが可能になる。
上記のように、基板搬送方法は、保持部に設けられる受光量測定器を用いて保持部上に配置された基板の外周部よりも内側に位置する内側部分に向けて光を出射するとともに基板から反射された光を受光することにより、当該受光量測定器から受光量を示す信号を出力させるステップと、受光量測定器の出力信号に基づいて、複数の反射型光検出器が受光する受光量と保持部における基板の複数の部分の位置との間の予め定められた関係を示す光量位置情報を生成するステップとをさらに含み、算出するステップは、複数の反射型光検出器の出力信号に加えて、生成するステップにより生成された光量位置情報に基づいて保持部における基板の複数の部分の位置をそれぞれ算出することを含む。
この場合、基板に対する光の反射率が未知である場合でも、受光量測定器の出力信号に基づいて光量位置情報が生成される。それにより、生成された光量位置情報に基づいて、基板の外周端部の複数の部分の位置を高い精度で算出することができる。
【0025】
10)複数の反射型光検出器の各々は、保持部から上方に向かって延びる帯状の検出領域を有し、複数の部分は、平面視で複数の反射型光検出器の検出領域と保持部上に配置された基板の外周端部との交点であってもよい。この場合、算出される基板の複数の部分の位置に基づいて基板の位置を判定することができる。
【0026】
11)複数の反射型光検出器は、受光面が一の方向において互いに重ならないように、保持部に設けられた第1および第2の反射型光検出器を含んでもよい。この場合、第1および第2の反射型光検出器の出力信号と第1および第2の反射型光検出器の位置関係とに基づいて、基板の複数の部分の位置を高い精度で算出することができる。
【0027】
12)基板搬送方法は、複数の反射型光検出器が受光する受光量と保持部における基板の複数の部分の位置との間の予め定められた関係を示す光量位置情報を記憶するステップをさらに含み、算出するステップは、複数の反射型光検出器の出力信号に加えて、記憶するステップにより記憶された光量位置情報に基づいて保持部における基板の複数の部分の位置をそれぞれ算出してもよい。この場合、光量位置情報に基づいて、基板の外周端部の複数の部分の位置を高い精度で算出することができる。
【0030】
13)保持部上に基板を配置するステップは、保持部が有する複数の吸着部により基板の下面を吸着保持することを含み、受光量測定器と複数の吸着部のうち一の吸着部との間の距離は、複数の反射型光検出器の各々と一の吸着部との間の距離よりも小さくてもよい。
【0031】
この場合、受光量測定器は複数の反射型光検出器に比べて一の吸着部の近傍に位置する。そのため、基板に反り等の変形が発生している場合でも、受光量測定器からの光を受ける基板の内側部分の高さは、一の吸着部により略一定の高さに保持される。したがって、光量位置情報を生成するための条件のばらつきが低減される。その結果、適切に生成された光量位置情報に基づいて、基板の外周端部の複数の部分の位置をより高い精度で算出することができる。
【0032】
14第4の発明に係る基板搬送方法は、基板を搬送する基板搬送方法であって、基板を保持可能に構成された保持部上に基板を配置するステップと、ライン状の受光面を有しかつ保持部に設けられた複数の反射型光検出器を用いることにより、保持部上に配置された基板の外周部に向けて光を出射するとともに、受光面により基板から反射された光をそれぞれ受光して、複数の反射型光検出器から受光量を示す信号をそれぞれ出力させるステップと、複数の反射型光検出器の出力信号に基づいて、保持部上に配置された基板について保持部における基板の外周端部の複数の部分の位置をそれぞれ算出するステップと、算出するステップにより算出された基板の複数の部分の位置に基づいて保持部に対する基板の位置を判定するステップと、保持部における基板の複数の部分の高さを検出するステップと、高さを検出するステップにより検出された基板の複数の部分の高さに基づいて、算出するステップにより算出された基板の複数の部分の位置をそれぞれ補正するステップとを含み、基板の位置を判定するステップは、補正するステップによる補正後の基板の複数の部分の位置に基づいて、保持部に対する基板の位置を判定することを含
【0033】
反射型光検出器から出射されて基板で反射されることにより当該反射型光検出器に帰還する光の光量は、反射型光検出器と基板との間の距離によっても変化する。上記の構成によれば、基板の外周端部の複数の部分の高さが検出され、検出された高さに基づいて基板の外周端部の複数の部分の位置の算出結果が補正される。したがって、基板の外周端部の複数の部分の位置をさらに高い精度で取得することができる。
【0034】
15)複数の反射型光検出器から受光量を出力させるステップは、保持部により保持された基板の外周部に向けて光を出射することと、保持部により基板が保持されずかつ保持部が支持部に支持された基板の下方の位置に配置された状態で基板の外周部に向けて光を出射することとを含んでもよい。
【0035】
この場合、保持部により基板が保持された状態および保持部が支持部に支持された基板の下方に配置された状態のうちいずれの状態にあっても、保持部における基板の位置をそれぞれ判定することができる。
【0036】
16)基板搬送方法は、基板の位置を判定するステップによる判定結果に基づいて、保持部により保持された基板が予め定められた第1の位置から第2の位置へ搬送されるように保持部を移動させるステップをさらに含んでもよい。
【0037】
この場合、基板の位置を判定するステップによる判定結果に基づいて、保持部により保持される基板を予め定められた第1の位置から第2の位置へ高い精度で搬送することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、基板の位置判定に要する時間を低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】第1の実施の形態に係る基板搬送装置の平面図である。
図2図1の基板搬送装置の側面図である。
図3図1の基板搬送装置の正面図である。
図4図1の反射型光検出器の詳細を説明するためのハンドの一部拡大斜視図である。
図5】光量位置情報の一例を示す図である。
図6】第1の実施の形態に係る基板搬送装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図7】ハンドに定義されるXY座標系の一例を示す平面図である。
図8】複数のずれ量のうち少なくとも1つがしきい値を超える場合のハンド上の基板と4つの仮想円との位置関係をそれぞれ示す平面図である。
図9】複数のずれ量のうち少なくとも1つがしきい値を超える場合のハンド上の基板と4つの仮想円との位置関係をそれぞれ示す平面図である。
図10】複数のずれ量のうち少なくとも1つがしきい値を超える場合のハンド上の基板と4つの仮想円との位置関係をそれぞれ示す平面図である。
図11】複数のずれ量のうち少なくとも1つがしきい値を超える場合のハンド上の基板と4つの仮想円との位置関係をそれぞれ示す平面図である。
図12】第1の実施の形態に係る搬送制御部の機能的な構成を示すブロック図である。
図13】第1の実施の形態に係る基板搬送装置による基板の基本的な搬送動作を示すフローチャートである。
図14】第1の実施の形態に係る基板搬送装置による基板の基本的な搬送動作を示すフローチャートである。
図15】第2の実施の形態に係る基板搬送装置の平面図である。
図16】第2の実施の形態に係る基板搬送装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図17】第2の実施の形態に係る搬送制御部の機能的な構成を示すブロック図である。
図18】第2の実施の形態に係る基板搬送装置による基板の基本的な搬送動作の一部を示すフローチャートである。
図19】第3の実施の形態に係る基板搬送装置の平面図である。
図20】第3の実施の形態に係る基板搬送装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図21】第3の実施の形態に係る搬送制御部の機能的な構成を示すブロック図である。
図22】第3の実施の形態に係る基板搬送装置による基板の基本的な搬送動作の一部を示すフローチャートである。
図23】第4の実施の形態に係る搬送制御部が第2の制御モードにあるときの基板搬送装置の動作の一例を説明するための図である。
図24】第4の実施の形態に係る搬送制御部が第2の制御モードにあるときの基板搬送装置の動作の一例を説明するための図である。
図25】第4の実施の形態に係る搬送制御部が第2の制御モードにあるときの基板搬送装置の動作の一例を説明するための図である。
図26】第4の実施の形態に係る搬送制御部が第2の制御モードにあるときの基板搬送装置の動作の一例を説明するための図である。
図27】第4の実施の形態に係る搬送制御部が第2の制御モードにあるときの基板搬送装置の動作の一例を説明するための図である。
図28】第4の実施の形態に係る基板搬送装置の第2の動作モードによるハンドの位置調整動作を示すフローチャートである。
図29】第4の実施の形態に係る基板搬送装置の第2の動作モードによるハンドの位置調整動作を示すフローチャートである。
図30】第1~第4のいずれかの実施の形態に係る基板搬送装置を備えた基板処理装置の全体構成を示す模式的ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の一実施の形態に係る基板搬送装置および基板搬送方法について図面を用いて説明する。以下の説明において、基板とは、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。
【0041】
また、以下に示す実施の形態で用いられる基板は、少なくとも一部が円形状の外周端部を有する。具体的には、基板には、位置決め用のノッチが形成され、基板のうちノッチを除く外周端部が円形状を有する。なお、基板には、ノッチに代えてオリエンテーションフラットが形成されてもよい。
【0042】
1.第1の実施の形態
[1]第1の実施の形態に係る基板搬送装置の構成
図1は第1の実施の形態に係る基板搬送装置の平面図であり、図2図1の基板搬送装置500の側面図であり、図3図1の基板搬送装置500の正面図である。図1図3に示す基板搬送装置500は、移動部材510(図2および図3)、回転部材520、2つのハンドH1,H2および複数の反射型光検出器SA1,SA2,SA3,SA4,SA5(図1)を含む。本実施の形態では、2つのハンドH1,H2の各々に、5つの反射型光検出器SA1~SA5が設けられている。移動部材510は、ガイドレール(図示せず)に沿って水平方向に移動可能に構成される。
【0043】
移動部材510上には、略直方体形状の回転部材520が上下方向の軸の周りで回転可能に設けられる。回転部材520には、支持部材521,522が設けられている。支持部材521,522は、ハンドH1,H2をそれぞれ支持する。ハンドH1,H2は、それぞれ支持部材521,522により支持された状態で、回転部材520の長手方向に進退可能となっている。本実施の形態では、ハンドH2が回転部材520の上面の上方に位置し、ハンドH1がハンドH2の上方に位置する。以下の説明では、図1図3に矢印で示すように、回転部材520に対してハンドH1,H2が進退可能な方向を進退方向ABと呼ぶ。本実施の形態では、図1図3の矢印が向く方向を前方とし、その逆の方向を後方とする。
【0044】
ハンドH1,H2の各々は、ガイド部Haおよびアーム部Hbからなる。図1に示すように、ガイド部Haは略U字型の平板形状を有し、アーム部Hbは一方向に延びる矩形の平板形状を有する。ガイド部Haは、アーム部Hbの一端部から2本に枝分かれするように設けられている。
【0045】
ガイド部Haの上面には、互いに離間する複数(本例では3つ)の部分に複数(本例では3つ)の吸着部smがそれぞれ設けられている。各吸着部smは、吸気系(図示せず)に接続される。複数の吸着部sm上に基板Wが載置される。この状態で、複数の吸着部sm上の基板Wの下面が吸気系により複数の吸着部smに吸着される。図1図3では、各ハンドH1,H2により理想的な位置関係で吸着保持された状態の基板Wが二点鎖線で示される。
【0046】
反射型光検出器SA1~SA5は、基本的に共通の構成を有する。各反射型光検出器SA1~SA5は、平面視で当該反射型光検出器の一部が各ハンドH1,H2により保持される基板Wの外周端部にそれぞれ重なるようにガイド部Ha上に分散配置されている。
【0047】
より具体的には、反射型光検出器SA1~SA4は、図1に示すように、ハンドH1,H2により保持される基板Wの中心を基準として略90°間隔で当該基板Wの外周端部に重なるように配置されている。一方、反射型光検出器SA5は、反射型光検出器SA4の近傍に配置されている。反射型光検出器SA4,SA5間の距離は、基板Wの直径よりも小さくかつ基板Wの周方向におけるノッチの長さよりも大きい。なお、本実施の形態に係る基板Wの直径は例えば300mmであり、その基板Wが有するノッチの周方向の長さは例えば2.73mmである。ハンドH1,H2に取り付けられた複数の反射型光検出器SA1~SA5の上端部の高さ位置は、ハンドH1,H2に取り付けられた複数の吸着部smの上端部の高さ位置よりも低い。したがって、基板Wが各ハンドH1,H2により保持された状態で、当該ハンドに設けられる反射型光検出器SA1~SA5の上端部は基板Wの下面から離間している。
【0048】
各反射型光検出器SA1~SA5は、検出領域に向けてライン状の光を出射するとともに検出領域からの帰還光を受光し、受光量に応じた信号を出力する。本実施の形態においては、各反射型光検出器SA1~SA5は、いわゆるファイバセンサであり、主として本体部、光ファイバおよびファイバユニットから構成される。本体部は、光源および受光素子を含む。ファイバユニットは、1または複数の光学系(レンズ等)を含み、光を出射する出射面および光を受光する受光面を有する。光ファイバは、本体部とファイバユニットとを接続する。
【0049】
ファイバセンサにおいては、本体部の光源で発生される光が、光ファイバを通してファイバユニットに導かれる。ファイバユニットでは、光ファイバを通して導かれた光が光学系を通してライン状の光に整形され、出射面から検出領域に出射される。検出領域で反射された光は、帰還光として受光面に入射し、光学系および光ファイバを通して本体部の受光素子に導かれる。受光素子は、光ファイバから導かれた光を受光することにより、受光量に応じた信号を出力する。
【0050】
このように、各反射型光検出器SA1~SA5がファイバセンサで構成される場合、各ハンドH1,H2のガイド部Haには、ファイバユニットのみが取り付けられる。また、アーム部HbまたはハンドH1,H2とは異なる部材に、本体部が取り付けられる。その上で、ファイバユニットと本体部とが光ファイバにより接続される。そのため、図1図3において、各ハンドH1,H2上に示される反射型光検出器SA1~SA5は、ファイバセンサのうちファイバユニットを示す。なお、各反射型光検出器SA1~SA5は、光源、受光素子および光学系が一のケーシング内に収容された構成を有してもよい。この場合、出射面および受光面は、一のケーシングに一体的に設けられる。
【0051】
反射型光検出器SA1~SA5は、ハンドH1,H2上に基板Wが保持された状態で、ハンドH1,H2における基板Wの外周端部の複数の部分の位置を算出するために用いられる。反射型光検出器SA1~SA5を代表して反射型光検出器SA4,SA5により基板Wの外周端部の複数の部分の位置を算出する方法について説明する。
【0052】
図4は、図1の反射型光検出器SA4,SA5の詳細を説明するためのハンドH1の一部拡大斜視図である。図4に示すように、各反射型光検出器SA4,SA5は、一方向に延びるとともに上方に向く光通過面ssを有し、光通過面ssが延びる方向が進退方向ABに平行となるようにガイド部Haの上面に取り付けられている。光通過面ssは、上記の出射面および受光面として機能する。この状態で、反射型光検出器SA4,SA5は、光通過面ssから上方に向かって延びる帯状の検出領域df4,df5をそれぞれ有する。
【0053】
本実施の形態に係るハンドH1においては、複数の吸着部smによりハンドH1上に基板Wが吸着保持されることにより、各反射型光検出器SA4,SA5の光通過面ssの一部が基板Wの外周部に対して所定距離離間しつつ対向する。図4では、ハンドH1により保持される基板Wがドットパターンで示される。この状態で、図4に一点鎖線の矢印で示すように、反射型光検出器SA4,SA5の光通過面ssから上方に向けてライン状の光が出射される。
【0054】
この場合、各光通過面ssのうち基板Wに対向する部分から出射される光は、基板Wの下面で反射され、図4に太い実線の矢印で示すように当該光通過面ssに入射する。一方、各光通過面ssのうち基板Wに対向しない部分から出射される光は、基板Wの側方を通過する。そのため、各光通過面ssのうち基板Wに対向しない部分には、光が入射しない。
【0055】
ここで、ハンドH1における反射型光検出器SA4,SA5の位置が既知であり、進退方向ABにおける反射型光検出器SA4,SA5と基板Wとのおおまかな位置関係が既知であるものとする。これらの場合には、各反射型光検出器SA4,SA5の出力信号に基づいて、基板Wの外周端部のうち各検出領域df4,df5に位置する部分のハンドH1における進退方向ABの位置を算出することが可能となる。なお、反射型光検出器SA4,SA5と基板Wとのおおまかな位置関係とは、例えばハンドH1により基板Wが保持された状態で反射型光検出器SA4,SA5が基板Wの中心を基準として進退方向ABにおける前方に位置するのか後方に位置するのかを意味する。また、上記の基板Wの外周端部のうち各検出領域df4,df5に位置する部分とは、平面視で各反射型光検出器SA4,SA5の検出領域df4,df5とハンドH1上に保持された基板Wの外周端部との交点を意味する。
【0056】
ところで、光通過面ssから出射されて、基板Wの下面で反射される光の反射率は、基板Wの種類に応じて異なる。そこで、本実施の形態では、各反射型光検出器SA1~SA5について、当該反射型光検出器が受光する受光量と光が照射された基板Wの外周端部の位置との間の予め定められた関係を示す光量位置情報が用いられる。光量位置情報は、後述する搬送制御部550(図6)に記憶される。
【0057】
図5は、光量位置情報の一例を示す図である。図5の光量位置情報は、図4の反射型光検出器SA4が受ける受光量と反射型光検出器SA4により検出される基板Wの外周端部の位置との関係を示す。図5では、反射型光検出器SA4に対応する光量位置情報がグラフにより示される。図5のグラフにおいて、縦軸は反射型光検出器SA4が受ける受光量を表し、横軸はハンドH1における進退方向ABの位置を表す。縦軸にαで示される受光量は、例えば反射型光検出器SA4から出射されて基板Wにより反射された光の全てが帰還したときの受光量(以下、最大受光量と呼ぶ。)であり、基板Wの反射率に基づいて定まる。
【0058】
図5のグラフおよび位置P1に対応する吹き出し内に示すように、反射型光検出器SA4上に位置する基板Wの部分が検出領域df4の全体を横切る場合には、受光量が最大受光量αで保持される。一方、図5のグラフおよび位置P2に対応する吹き出し内に示すように、反射型光検出器SA4上に位置する基板Wの部分が検出領域df4の一部(後半部分)を横切る場合には、受光量が最大受光量αよりも低い値を示している。他方、図5のグラフおよび位置P3に対応する吹き出し内に示すように、反射型光検出器SA4上に位置する基板Wの部分が検出領域df4を横切らない場合には、受光量が0となっている。
【0059】
これにより、図5の光量位置情報によれば、基板Wの外周端部の一部分が反射型光検出器SA4の検出領域df4内に位置することにより、当該基板Wの外周端部の一部分についてハンドH1における位置を算出することが可能になる。図5の光位置検出情報は、例えば実験またはシミュレーション等により生成することができる。
【0060】
上記の構成によれば、各ハンドH1,H2により基板Wが保持された時点で、当該ハンドを移動させることなく、複数の反射型光検出器SA1~SA5により当該ハンドにおける基板Wの外周端部の複数の部分の位置を算出することができる。
【0061】
各ハンドH1,H2においては、保持される基板Wの中心が位置すべき基準の位置(以下、基準位置と呼ぶ。)が予め定められている。各ハンドH1,H2における基準位置は、例えば3つの吸着部smの中心位置である。
【0062】
各ハンドH1,H2により保持される基板Wの外周端部の5つの部分の位置を算出することができれば、当該ハンドにおける基板Wの位置を判定することができる。それにより、各ハンドH1,H2により実際に保持されている基板Wの中心が基準位置からどれだけずれているのかを算出することができる。
【0063】
[2]基板搬送装置500の制御系の構成
図6は、第1の実施の形態に係る基板搬送装置500の制御系の構成を示すブロック図である。図6に示すように、基板搬送装置500は、上下方向駆動モータ511、上下方向エンコーダ512、水平方向駆動モータ513、水平方向エンコーダ514、回転方向駆動モータ515、回転方向エンコーダ516、上ハンド進退用駆動モータ525、上ハンドエンコーダ526、下ハンド進退用駆動モータ527、下ハンドエンコーダ528、複数の反射型光検出器SA1~SA5、搬送制御部550および操作部529を含む。なお、複数の反射型光検出器SA1~SA5は、ハンドH1,H2にそれぞれ対応するように設けられる。
【0064】
上下方向駆動モータ511は、搬送制御部550の制御により移動部材510(図2)を上下方向に移動させる。上下方向エンコーダ512は、上下方向駆動モータ511の回転角度を示す信号を搬送制御部550に出力する。それにより、搬送制御部550は、移動部材510の上下方向の位置を検出することができる。
【0065】
水平方向駆動モータ513は、搬送制御部550の制御により移動部材510(図2)を水平方向に移動させる。水平方向エンコーダ514は、水平方向駆動モータ513の回転角度を示す信号を搬送制御部550に出力する。それにより、搬送制御部550は、移動部材510の水平方向の位置を検出することができる。
【0066】
回転方向駆動モータ515は、搬送制御部550の制御により回転部材520(図1)を上下方向の軸の周りで回転させる。回転方向エンコーダ516は、回転方向駆動モータ515の回転角度を示す信号を搬送制御部550に出力する。それにより、搬送制御部550は、水平面内での回転部材520の向きを検出することができる。
【0067】
上ハンド進退用駆動モータ525は、搬送制御部550の制御によりハンドH1(図1)を回転部材520上で水平方向に進退させる。上ハンドエンコーダ526は、上ハンド進退用駆動モータ525の回転角度を示す信号を搬送制御部550に出力する。それにより、搬送制御部550は、回転部材520上でのハンドH1の位置を検出することができる。
【0068】
下ハンド進退用駆動モータ527は、搬送制御部550の制御によりハンドH2(図2)を回転部材520上で水平方向に進退させる。下ハンドエンコーダ528は、下ハンド進退用駆動モータ527の回転角度を示す信号を搬送制御部550に出力する。それにより、搬送制御部550は、回転部材520上でのハンドH2の位置を検出することができる。
【0069】
反射型光検出器SA1~SA5は、搬送制御部550の制御により光通過面ss(図4)から上方に向けてライン状の光を出射する。反射型光検出器SA1~SA5から出力される信号は、搬送制御部550に与えられる。それにより、搬送制御部550は、ハンドH1に設けられた反射型光検出器SA1~SA5の出力信号および予め記憶された光量位置情報に基づいてハンドH1における基板Wの外周端部の複数の部分の位置を算出する。同様に、搬送制御部550は、ハンドH2に設けられた反射型光検出器SA1~SA5の出力信号および予め記憶された光量位置情報に基づいてハンドH2における基板Wの外周端部の複数の部分の位置を算出する。
【0070】
搬送制御部550には、操作部529が接続される。使用者は、操作部529を操作することにより各種指令および情報を搬送制御部550に与えることができる。
【0071】
[3]ハンドH1,H2における基板Wの位置の判定
上記の各ハンドH1,H2においては、X軸およびY軸を有するXY座標系が定義される。X軸およびY軸は、各ハンドH1,H2により保持される基板Wに平行な水平面内に位置し、各ハンドH1,H2の基準位置で直交する。そのため、基準位置は、原点Oとなる。本例では、Y軸は、各ハンドH1,H2の進退方向に対して平行に定義される。
【0072】
図7は、ハンドH1に定義されるXY座標系の一例を示す平面図である。図7では、ハンドH1に定義されるXY座標系のX軸およびY軸が一点鎖線で示される。また、基準位置が原点Oとして示される。さらに、ハンドH1により保持される基板Wが実線で示される。図7の例において、ハンドH1により保持される基板Wの中心位置は原点Oにあるものとする。
【0073】
基板搬送装置500においては、反射型光検出器SA1~SA5によりハンドH1における基板Wの外周端部の5つの部分p1~p5の位置がそれぞれ算出される。算出された部分p1~p5の位置に基づいてハンドH1における基板Wの位置が判定される。同様に、反射型光検出器SA1~SA5によりハンドH2における基板Wの5つの部分p1~p5が算出され、算出された部分p1~p5の位置に基づいてハンドH2における基板Wの位置が判定される。判定された基板Wの位置に基づいて、上記の上下方向駆動モータ511、水平方向駆動モータ513、回転方向駆動モータ515、上ハンド進退用駆動モータ525および下ハンド進退用駆動モータ527が制御される。ハンドH1における基板Wの位置の判定方法を説明する。
【0074】
まず、例えばハンドH1上に基板Wが吸着保持された状態で、反射型光検出器SA1~SA5の光通過面ss(図4)からライン状の光が基板Wの外周部に向けて出射される。出射された各光の一部が基板Wの下面により反射され、光通過面ssに入射する。このとき反射型光検出器SA1~SA5から出力される信号と、反射型光検出器SA1~SA5にそれぞれ対応する光量位置情報とに基づいて、ハンドH1における基板Wの5つの部分p1~p5の位置がそれぞれ算出される。
【0075】
次に、XY座標系において部分p1,p2,p3,p4のうち互いに異なる3つの部分の位置を通る4つの仮想円が算出されるとともに、4つの仮想円の中心位置がそれぞれ算出される。さらに、4つの中心位置間の複数のずれ量が算出される。
【0076】
以下の説明においては、部分p1,p2,p3を通る仮想円を仮想円cr1と呼び、部分p2,p3,p4を通る仮想円を仮想円cr2と呼び、部分p1,p3,p4を通る仮想円を仮想円cr3と呼び、部分p1,p2,p4を通る仮想円を仮想円cr4と呼ぶ。また、ハンドH1における仮想円cr1,cr2,cr3,cr4のそれぞれの中心位置をvp1,vp2,vp3,vp4とする。
【0077】
図7に点線で示すように、中心位置vp1~vp4の間の複数のずれ量の全てが0である場合、4つの中心位置vp1~vp4はハンドH1における基板Wの中心位置Cに一致する。また、複数のずれ量の少なくとも1つが0にならない場合でも、4つの中心位置vp1~vp4の間の複数のずれ量の全てが予め定められたしきい値以下である場合には、4つの中心位置vp1~vp4はハンドH1における基板Wの中心位置Cにほぼ一致する。ここで、しきい値は、例えばハンドH1における反射型光検出器SA1~SA4の実際の位置と設計上の取付位置(設計位置)との間で許容される誤差に定められる。
【0078】
このように、複数のずれ量の全てがしきい値以下である場合には、反射型光検出器SA1~SA4により検出される基板Wの部分p1~p4のいずれにもノッチNが存在しない。そのため、4つの仮想円cr1~cr4の全てがハンドH1における基板Wの位置を表すので、4つの仮想円cr1~cr4のいずれかまたは全てに基づいてハンドH1における基板Wの位置を判定することができる。
【0079】
図8図11は、複数のずれ量のうち少なくとも1つがしきい値を超える場合のハンドH1上の基板Wと4つの仮想円cr1~cr4との位置関係をそれぞれ示す平面図である。なお、図8図11では、ハンドH1の図示を省略する。図8に基板Wと仮想円cr1との位置関係が示され、図9に基板Wと仮想円cr2との位置関係が示される。また、図10に基板Wと仮想円cr3との位置関係が示され、図11に基板Wと仮想円cr4との位置関係が示される。
【0080】
複数のずれ量のうち少なくとも1つがしきい値を超える場合には、4つの中心位置vp1~vp4のうち1つの中心位置(本例では仮想円cr1の中心位置vp1)のみがハンドH1における基板Wの中心位置Cに一致するかまたはほぼ一致する(図8)。一方、残りの3つの中心位置(本例では仮想円cr2,cr3,cr4の中心位置vp2,vp3,vp4)はハンドH1における基板Wの中心位置Cから一定値よりも大きくずれる(図9図10および図11)。
【0081】
このように、複数のずれ量のうち少なくとも1つがしきい値を超える場合には、反射型光検出器SA1~SA4により検出される基板Wの部分p1~p4のいずれか(本例では部分p4)にノッチNが存在する。
【0082】
ここで、上記のように、反射型光検出器SA4,SA5間の距離は、基板Wの直径よりも小さくかつ基板Wの周方向におけるノッチNの長さよりも大きい。この場合、部分p5は他の部分p1~p4に対して少なくともノッチNの周方向の長さよりも大きく離間する。そのため、反射型光検出器SA5により検出される基板Wの部分p5には、ノッチNが存在しない。したがって、ハンドH1,H2における基板Wの位置を示す仮想円は、部分p5の位置を通ることになる。そこで、4つの仮想円cr1~cr4のうち部分p5の位置を通る仮想円を選択することにより、選択された仮想円に基づいてハンドH1における基板Wの位置を判定することができる。
【0083】
[4]搬送制御部550の機能的な構成
図12は、第1の実施の形態に係る搬送制御部550の機能的な構成を示すブロック図である。搬送制御部550は、部分位置算出部51、仮想円算出部52、基板位置判定部53、検出器位置記憶部54、しきい値記憶部55、移動制御部58、座標情報記憶部59、座標情報補正部60および光量位置情報記憶部81を含む。搬送制御部550は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)および記憶装置により構成される。CPUがROMまたは記憶装置等の記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、搬送制御部550の各構成要素の機能が実現される。なお、搬送制御部550の一部またはすべての構成要素が電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0084】
ここで、基板搬送装置500は、一の処理ユニットの所定の位置(以下、受け取り位置と呼ぶ。)にある基板Wを受け取って搬送し、他の処理ユニットの所定の位置(以下、載置位置と呼ぶ。)に基板Wを載置するものとする。受け取り位置および載置位置は基板搬送装置500全体について固定された座標系の座標で表される。受け取り位置の座標を受け取り座標と呼び、載置位置の座標を載置座標と呼ぶ。
【0085】
座標情報記憶部59は、受け取り位置の受け取り座標および載置位置の載置座標を座標情報として予め記憶する。移動制御部58は、座標情報記憶部59に記憶された座標情報(受け取り座標)に基づいて、基板Wを受け取り位置から受け取るように図6の上下方向駆動モータ511、水平方向駆動モータ513および回転方向駆動モータ515を制御するとともに、上ハンド進退用駆動モータ525または下ハンド進退用駆動モータ527を制御する。このとき、ハンドH1またはハンドH2は、回転部材520上で進退する。
【0086】
検出器位置記憶部54は、各ハンドH1,H2上の複数の反射型光検出器SA1~SA5の設計位置を検出器情報として記憶する。光量位置情報記憶部81は、複数の反射型光検出器SA1~SA5の各々に対応する光量位置情報を記憶する。部分位置算出部51は、複数の反射型光検出器SA1~SA5の出力信号、検出器位置記憶部54に記憶された検出器情報および光量位置情報記憶部81に記憶された光量位置情報に基づいて、ハンドH1またはハンドH2における基板Wの複数の部分p1~p5の位置を算出する。
【0087】
仮想円算出部52は、部分位置算出部51により算出された部分p1~p4の位置から4つの仮想円cr1~cr4(図7図11)をそれぞれ算出する。また、仮想円算出部52は、算出された各仮想円cr1~cr4の中心位置vp1~vp4(図7図11)それぞれを算出する。
【0088】
しきい値記憶部55は、上記のしきい値を記憶する。基板位置判定部53は、仮想円算出部52により算出された複数の中心位置vp1~vp4の間の複数のずれ量を算出する。また、基板位置判定部53は、複数のずれ量の全てがしきい値記憶部55に記憶されたしきい値以下であるか否かを判定する。
【0089】
基板位置判定部53は、複数のずれ量の全てがしきい値以下である場合に、4つの仮想円cr1~cr4のいずれかまたは全てに基づいてハンドH1またはハンドH2における基板Wの位置を判定する。一方、基板位置判定部53は、上記の複数のずれ量のうち少なくとも1つがしきい値を超える場合に、4つの仮想円cr1~cr4のうち、部分位置算出部51により算出された部分p5の位置を通る仮想円を選択する。また、基板位置判定部53は、選択した仮想円に基づいてハンドH1またはハンドH2における基板Wの位置を判定する。
【0090】
座標情報補正部60は、基板位置判定部53により判定されたハンドH1またはハンドH2における基板Wの位置に基づいて、ハンドH1またはハンドH2の基準位置に対する基板Wの中心位置Cのずれを算出する。また、座標情報補正部60は、算出されたずれに基づいて座標情報記憶部59に記憶された座標情報(載置座標)を補正する。移動制御部58は、座標情報記憶部59に記憶されかつ補正された座標情報(載置座標)に基づいて、受け取り位置で受け取った基板Wを載置位置に載置するように図6の上下方向駆動モータ511、水平方向駆動モータ513および回転方向駆動モータ515を制御するとともに、上ハンド進退用駆動モータ525または下ハンド進退用駆動モータ527を制御する。このとき、ハンドH1またはハンドH2が回転部材520上で進退する。
【0091】
[5]基板搬送装置500の動作
図13および図14は、第1の実施の形態に係る基板搬送装置500による基板Wの基本的な搬送動作を示すフローチャートである。以下、ハンドH1を用いた基板Wの搬送動作について説明する。初期状態において、ハンドH1は、回転部材520上で最も後方に位置する。また、初期状態のハンドH1には、基板Wは保持されていないものとする。
【0092】
図12の移動制御部58は、座標情報記憶部59に記憶された座標情報(受け取り座標)に基づいて、ハンドH1を受け取り位置の近傍に移動させ(ステップS1)、ハンドH1を前進させることにより受け取り位置にある基板Wを受け取らせる(ステップS2)。そこで、部分位置算出部51は、検出器位置記憶部54および光量位置情報記憶部81から検出器情報および光量位置情報を読み込む(ステップS3)。
【0093】
次に、部分位置算出部51は、反射型光検出器SA1~SA5から基板Wの外周部に向けて光を出射させ、反射型光検出器SA1~SA5の出力信号、検出器情報および光量位置情報に基づいて基板Wの外周端部の複数の部分p1~p5のハンドH1における位置を算出する(ステップS4)。
【0094】
仮想円算出部52は、算出された基板Wの部分p1~p4の位置のうち互いに異なる3つの部分の位置を通る4つの仮想円cr1~cr4をそれぞれ算出するとともに、それらの仮想円cr1~cr4の中心位置vp1~vp4をそれぞれ算出する(ステップS5)。
【0095】
次に、基板位置判定部53は、算出された複数の中心位置vp1~vp4の間の複数のずれ量を算出し(ステップS6)、算出された複数のずれ量の全てがしきい値記憶部55に記憶されたしきい値以下であるか否かを判別する(ステップS7)。
【0096】
複数のずれ量の全てがしきい値以下である場合に、基板位置判定部53は、4つの仮想円cr1~cr4のいずれかまたは全てに基づいてハンドH1における基板Wの位置を判定する(ステップS8)。
【0097】
次に、座標情報補正部60は、判定された基板Wの位置に基づいて基準位置に対する基板Wの中心位置Cのずれを算出し、算出結果に基づいてハンドH1により載置されることになる基板Wの位置と載置位置とのずれが相殺されるように座標情報記憶部59に記憶された座標情報(載置座標)を補正する(ステップS9)。
【0098】
その後、移動制御部58は、補正された座標情報(載置座標)に基づいて、載置位置へ基板Wを搬送するようにハンドH1の搬送制御を開始し(ステップS10)、ハンドH1により保持された基板Wを載置位置に載置させる(ステップS11)。これにより、ハンドH1における基板Wの位置によらず、基板Wを載置位置に正確に載置することが可能になる。
【0099】
上記のステップS7において、複数のずれ量のうち少なくとも1つがしきい値を超える場合に、基板位置判定部53は、4つの仮想円cr1~cr4のうち部分p5の位置を通る1つの仮想円を選択する(ステップS12)。その後、基板位置判定部53は、選択した仮想円に基づいてハンドH1における基板Wの位置を判定し(ステップS13)、ステップS9に進む。
【0100】
なお、上記の搬送動作においては、ステップS3の処理がステップS2またはステップS1の前に行われてもよい。また、上記の搬送動作においては、ステップS7,S8の動作に代えて、ステップS12,S13の動作が行われてもよい。この場合、ずれ量に関するしきい値を設定する必要がない。
【0101】
なお、各ハンドH1,H2上に保持される基板Wの中心が基準位置から著しくずれた位置にある場合には、基板Wの外周端部が複数の反射型光検出器SA1~SA5の検出領域df1~df5上に位置しない可能性がある。この場合、光量位置情報を用いても基板Wの外周端部の複数の部分p1~p5について正確な位置を算出することができない。したがって、上記ステップS4において、部分位置算出部51は、複数の反射型光検出器SA1~SA5のうち少なくとも一の反射型光検出器の出力信号が「受光量=0」または「受光量=最大受光量α」を示す場合に搬送動作を停止させてもよい。さらに、この場合、部分位置算出部51は、各ハンドH1,H2による基板Wの保持状態に異常がある旨の警報信号を基板搬送装置500の外部装置へ出力してもよい。
【0102】
[6]第1の実施の形態の効果
(1)上記の基板搬送装置500においては、ハンドH1,H2の各々に設けられた複数の反射型光検出器SA1~SA5から基板Wの外周部にライン状の光がそれぞれ出射される。この場合、基板Wの外周部で反射される光の光量は、ライン状の光通過面ssが延びる方向(進退方向AB)における基板Wの外周端部の位置に応じて変化する。
【0103】
複数の反射型光検出器SA1~SA5の出力信号は、光通過面ssに入射する光の受光量を示す。そのため、それらの受光量によれば、複数の反射型光検出器SA1~SA5の光通過面ssが延びる方向における基板Wの外周端部の複数の部分p1~p5の位置を算出することが可能になる。それにより、ハンドH1,H2により保持された基板Wの位置を算出するために、ハンドH1,H2を特定の位置に移動させる等の動作が不要である。したがって、ハンドH1,H2上に基板Wが配置された時点で、ハンドH1,H2に対する基板Wの位置を判定することができる。その結果、基板Wの位置判定に要する時間を低減することが可能になる。また、基板Wの位置判定結果に基づいて、ハンドH1,H2により保持された基板Wを載置位置へ高い精度で搬送することができる。
【0104】
(2)複数の反射型光検出器SA1~SA5は、進退方向ABに平行に延びている。また、複数の反射型光検出器SA1~SA5のうち反射型光検出器SA1,SA2と反射型光検出器SA3,SA4とは、進退方向ABにおいて互いに重ならないように配置されている。特に、上記の反射型光検出器SA1~SA4は、ハンドH1,H2上に定義されたX軸およびY軸により分割される4つの領域にそれぞれ位置するように配置されている。この配置によれば、例えば反射型光検出器SA1~SA4がX軸およびY軸により分割される4つの領域のうち1つまたは3つの領域に集中して配置される場合に比べて、検出対象となる基板Wの複数の部分p1~p4が基板Wの外周端部上でより均一に分散される。したがって、光量位置情報に基づいて基板Wの外周端部の複数の部分p1~p4を高い精度で算出することができる。
【0105】
2.第2の実施の形態
第2の実施の形態に係る基板搬送装置500について、第1の実施の形態に係る基板搬送装置500と異なる点を説明する。図15は、第2の実施の形態に係る基板搬送装置500の平面図である。
【0106】
図15に示すように、第2の実施の形態に係る基板搬送装置500は、第1の実施の形態に係る基板搬送装置500の構成に加えて、ハンドH1,H2上に反射型光検出器SB1がさらに設けられる。反射型光検出器SB1は、反射型光検出器SA1~SA5と基本的に同じ構成を有するファイバセンサであり、複数の吸着部smのうち一の吸着部smの近傍に配置されている。
【0107】
基板搬送装置500においては、ハンドH1,H2により保持される基板Wの種類は1つに限定されない。反射型光検出器SA1~SA5から出射される光に対する基板Wの反射率は、基板の種類に応じて異なる。第1の実施の形態で説明したように、反射型光検出器SA1~SA5にそれぞれ対応する光量位置情報の最大受光量αの値は、基板Wの反射率に基づいて定まる。したがって、各反射型光検出器SA1~SA5の設計位置および基板Wの反射率を知ることができれば、ハンドH1,H2により保持される基板Wごとに、反射型光検出器SA1~SA5にそれぞれ対応する光量位置情報を生成することが可能になる。すなわち、図12の光量位置情報記憶部81に予め多数の光量位置情報を記憶させる必要がなくなる。
【0108】
そこで、本実施の形態に係る基板搬送装置500においては、基板Wの反射率を求めるために反射型光検出器SB1が用いられる。例えば、ハンドH1に設けられる反射型光検出器SB1は、検出領域df11に沿うように、ハンドH1に保持された基板Wの外周部よりも内側の部分に向けてライン状の光を出射する。以下の説明では、反射型光検出器SB1から出射される光を受ける基板Wの部分を内側部分p10と呼ぶ。
【0109】
この場合、反射型光検出器SB1の光通過面ssから出射されて基板Wにより反射された光の全てが内側部分p10で反射され、光通過面ssに入射する。このとき、光通過面ssから出射される光の光量と、反射型光検出器SB1の出力信号とに基づいて基板Wの反射率が算出される。また、算出された基板Wの反射率と、検出器情報(反射型光検出器SA1~SA5の設計位置)とに基づいてハンドH1の反射型光検出器SA1~SA5にそれぞれ対応する光量位置情報が生成される。
【0110】
ハンドH2に設けられる反射型光検出器SB1(図示せず)も、ハンドH1に設けられる反射型光検出器SB1と同様に、ハンドH2に保持された基板Wの外周部よりも内側の部分に向けてライン状の光を出射する。それにより、上記の例と同様の方法により、ハンドH2の反射型光検出器SA1~SA5にそれぞれ対応する光量位置情報が生成される。
【0111】
図16は、第2の実施の形態に係る基板搬送装置500の制御系の構成を示すブロック図である。図16に示すように、第2の実施の形態に係る基板搬送装置500は、第1の実施の形態に係る図6の基板搬送装置500の構成に加えて、ハンドH1,H2にそれぞれ設けられる反射型光検出器SB1を含む。反射型光検出器SB1は、搬送制御部550の制御により光通過面ssから上方に向けてライン状の光を出射する。反射型光検出器SB1から出力される信号は、搬送制御部550に与えられる。
【0112】
図17は、第2の実施の形態に係る搬送制御部550の機能的な構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る搬送制御部550は、第1の実施の形態に係る図12の搬送制御部550の構成のうち光量位置情報記憶部81に代えて光量位置情報生成部82を備える。
【0113】
光量位置情報生成部82は、ハンドH1の反射型光検出器SB1の出力信号、反射型光検出器SB1の出力信号および検出器位置記憶部54に記憶された検出器情報に基づいて、ハンドH1の反射型光検出器SA1~SA5にそれぞれ対応する光量位置情報を生成する。また、光量位置情報生成部82は、ハンドH2の反射型光検出器SB1から出力される光の光量、反射型光検出器SB1の出力信号および検出器位置記憶部54に記憶された検出器情報に基づいて、ハンドH2の反射型光検出器SA1~SA5にそれぞれ対応する光量位置情報を生成する。
【0114】
これにより、部分位置算出部51は、複数の反射型光検出器SA1~SA5の出力信号、検出器位置記憶部54に記憶された検出器情報および光量位置情報生成部82により生成された光量位置情報に基づいて、ハンドH1またはハンドH2における基板Wの複数の部分p1~p5の位置を算出する。
【0115】
図18は、第2の実施の形態に係る基板搬送装置500による基板Wの基本的な搬送動作の一部を示すフローチャートである。本実施の形態に係る基板Wの搬送動作においては、第1の実施の形態に係る図12のステップS1,S2と同様の動作が行われた後、光量位置情報生成部82が、反射型光検出器SB1を用いて光量位置情報を生成する(ステップS31)。その後、第1の実施の形態と同様に、図12および図13のステップS4~S13の動作が行われる。
【0116】
本実施の形態に係る基板搬送装置500においては、基板Wに対する光の反射率が未知であり光量位置情報が存在しない場合でも、反射型光検出器SB1の出力信号に基づいて反射型光検出器SA1~SA5にそれぞれ対応する光量位置情報が生成される。それにより、生成された光量位置情報に基づいて、基板Wの外周端部の複数の部分p1~p5の位置を高い精度で算出することができる。
【0117】
反射型光検出器SB1は、反射型光検出器SA1~SA5に比べて一の吸着部smの近傍に位置する。各吸着部smが基板Wの下面を吸着保持した状態で、当該吸着部smの近傍に位置する基板Wの内側部分p10の高さは、吸着部smにより略一定の高さに保持される。したがって、基板Wの反射率を算出するための条件、すなわち光量位置情報を生成するための条件のばらつきが低減され、光量位置情報を適切に生成することが可能となる。その結果、適切に生成された光量位置情報に基づいて、基板の外周端部の複数の部分の位置をより高い精度で算出することができる。
【0118】
3.第3の実施の形態
第3の実施の形態に係る基板搬送装置500について、第2の実施の形態に係る基板搬送装置500と異なる点を説明する。図19は、第3の実施の形態に係る基板搬送装置500の平面図である。
【0119】
図19に示すように、第3の実施の形態に係る基板搬送装置500は、第2の実施の形態に係る基板搬送装置500の構成に加えて、ハンドH1,H2上に反射型光検出器SC1~SC4がさらに設けられる。反射型光検出器SC1~SC4は、反射型光検出器SA1~SA5と基本的に同じ構成を有するファイバセンサである。
【0120】
反射型光検出器SC1は、平面視で反射型光検出器SA1の近傍でかつ当該反射型光検出器SC1の検出領域df21全体がハンドH1,H2により保持される基板Wに重なるように配置されている。反射型光検出器SC2は、平面視で反射型光検出器SA2の近傍でかつ当該反射型光検出器SC2の検出領域df22全体がハンドH1,H2により保持される基板Wに重なるように配置されている。反射型光検出器SC3は、平面視で反射型光検出器SA3の近傍でかつ当該反射型光検出器SC3の検出領域df23全体がハンドH1,H2により保持される基板Wに重なるように配置されている。さらに、反射型光検出器SC4は、平面視で反射型光検出器SA4,SA5の近傍でかつ当該反射型光検出器SC4の検出領域df24全体がハンドH1,H2により保持される基板Wに重なるように配置されている。
【0121】
上記のように、反射型光検出器SA1~SA5の各々は、ファイバセンサである。ファイバセンサの本体部からファイバユニットに導かれる光は、光通過面ssから所定の広がり角で出射される。そのため、反射型光検出器SA1~SA5と基板Wとの間の距離(本例では高さ)が変動すると、それらの距離の変動に応じて反射型光検出器SA1~SA5が受ける光の量も変動する。
【0122】
例えば、XY座標上の基板Wの位置が固定されている状態で、反射型光検出器SA1と基板Wとの間の距離が拡大されると光通過面ssに帰還する光量の減少量が大きくなる。一方、XY座標上の基板Wの位置が固定されている状態で、反射型光検出器SA1と基板Wとの間の距離が縮小されると光通過面ssに帰還する光量の減少量が小さくなる。そのため、反射型光検出器SA1と基板Wの部分p1との間の距離が、光量位置情報の生成時における反射型光検出器SB1と基板Wの内側部分p10との間の距離に対して異なると、部分p1の位置の算出精度が低下する。反射型光検出器SA1~SA5と基板Wとの間の距離が変化することによる反射型光検出器SA1~SA5の受光量の変化の度合いは、出射される光の広がり角度大きい程大きくなる。
【0123】
そこで、反射型光検出器SA1~SA5,SB1と基板Wとの間の距離のばらつきに起因する部分p1~p5の位置の算出精度の低下を抑制するために、基板Wの内側部分p10の高さと基板Wの部分p1~p5の高さとの差分が取得される。
【0124】
具体的には、光量位置情報の生成時における基板Wの内側部分p10の高さとして、反射型光検出器SB1の出力信号が取得される。この出力信号が示す受光量を基準受光量と呼ぶ。また、光量位置情報の生成時における基板Wの部分p1,p2,p3の高さとして、反射型光検出器SC1,SC2,SC3の出力信号がそれぞれ取得される。反射型光検出器SC1,SC2,SC3の出力信号が示す受光量を第1、第2および第3の受光量と呼ぶ。また、光量位置情報の生成時における基板Wの部分p4,p5の高さとして、反射型光検出器SC4の出力信号が取得される。反射型光検出器SC4の出力信号が示す受光量を第4の受光量と呼ぶ。
【0125】
この場合、基板Wの内側部分p10の高さと基板Wの部分p1の高さとの差分は、例えば基準受光量に対する第1の受光量の比率で表すことができる。また、基板Wの内側部分p10の高さと基板Wの部分p2の高さとの差分は、例えば基準受光量に対する第2の受光量との比率で表すことができる。また、基板Wの内側部分p10の高さと基板Wの部分p3の高さとの差分は、例えば基準受光量に対する第3の受光量の比率で表すことができる。さらに、基板Wの内側部分p10の高さと基板Wの部分p4,p5の高さとの差分は、例えば基準受光量に対する第4の受光量の比率で表すことができる。
【0126】
上記の各比率によれば、基板Wの内側部分p10および部分p1~p5の高さのばらつきに起因する位置算出の誤差が相殺されるように、反射型光検出器SA1~SA5の出力信号に基づいて算出された基板Wの部分p1~p5の位置を補正することが可能になる。
【0127】
例えば、反射型光検出器SA1の出力信号と光量位置情報とに基づいて、基板Wの部分p1が進退方向ABにおける反射型光検出器SA1の前端から後方に向かって1mmの位置にあると算出された場合を想定する。この場合、基準受光量に対する第1の受光量の比率が70%である場合には、上記の判定結果を補正することにより、基板Wの部分p1は反射型光検出器SA1の前端から後方に向かって1.429mmの位置にあるとすることができる。
【0128】
また、反射型光検出器SA2の出力信号と光量位置情報とに基づいて、基板Wの部分p2が進退方向ABにおける反射型光検出器SA2の前端から後方に向かって1.1mmの位置にあると算出された場合を想定する。この場合、基準受光量に対する第2の受光量の比率が80%である場合には、上記の判定結果を補正することにより、基板Wの部分p2は反射型光検出器SA2の前端から後方に向かって1.375mmの位置にあるとすることができる。
【0129】
また、反射型光検出器SA3の出力信号と光量位置情報とに基づいて、基板Wの部分p3が進退方向ABにおける反射型光検出器SA3の後端から前方に向かって1.2mmの位置にあると算出された場合を想定する。この場合、基準受光量に対する第3の受光量の比率が90%である場合には、上記の判定結果を補正することにより、基板Wの部分p3は反射型光検出器SA3の後端から前方に向かって1.333mmの位置にあるとすることができる。
【0130】
さらに、反射型光検出器SA4の出力信号と光量位置情報とに基づいて、基板Wの部分p4が進退方向ABにおける反射型光検出器SA4の後端から前方に向かって1.3mmの位置にあると算出された場合を想定する。この場合、基準受光量に対する第4の受光量の比率が100%である場合には、上記の判定結果を補正することにより、基板Wの部分p4は反射型光検出器SA4の後端から前方に向かって1.3mmの位置にあるとすることができる。
【0131】
図20は、第3の実施の形態に係る基板搬送装置500の制御系の構成を示すブロック図である。図20に示すように、第3の実施の形態に係る基板搬送装置500は、第2の実施の形態に係る図16の基板搬送装置500の構成に加えて、ハンドH1,H2にそれぞれ設けられる反射型光検出器SC1~SC5を含む。反射型光検出器SC1~SC5は、搬送制御部550の制御により光通過面ssから上方に向けてライン状の光を出射する。反射型光検出器SC1~SC5から出力される信号は、搬送制御部550に与えられる。
【0132】
図21は、第3の実施の形態に係る搬送制御部550の機能的な構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る搬送制御部550は、第2の実施の形態に係る図17の搬送制御部550の構成に加えて、部分位置補正部83を備える。
【0133】
部分位置補正部83は、ハンドH1の反射型光検出器SB1,SC1~SC5の出力信号に基づいて、部分位置算出部51により算出された基板Wの複数の部分p1~p5の位置を補正する。この場合、仮想円算出部52は、部分位置補正部83により補正された部分p1~p4の位置から4つの仮想円cr1~cr4(図7図11)をそれぞれ算出する。
【0134】
図22は、第3の実施の形態に係る基板搬送装置500による基板Wの基本的な搬送動作の一部を示すフローチャートである。本実施の形態に係る基板Wの搬送動作においては、第2の実施の形態に係る図18のステップS1,S2,S31,S4と同様の動作が行われた後、部分位置補正部83が、反射型光検出器SC1~SC4を用いてステップS4で算出された基板Wの外周端部の複数の部分p1~p5の位置を補正する(ステップS41)。その後、第1の実施の形態と同様に、図12および図13のステップS5~S13の動作が行われる。
【0135】
本実施の形態に係る基板搬送装置500においては、基板Wの内側部分p10に光が照射されることにより光量位置情報が生成される。内側部分p10に対する基板Wの外周端部の複数の部分p1~p5の高さが、反射型光検出器SC1~SC4により取得される。反射型光検出器SA1~SA5の出力信号に基づいて算出される基板Wの複数の部分p1~p5の位置が、複数の部分p1~p5の高さに基づいて補正される。これにより、基板Wの外周端部の複数の部分p1~p5の位置をさらに高い精度で取得することができる。
【0136】
なお、本実施の形態においては、基板Wの部分p4,p5の高さを取得するために、2つの部分p4,p5に対して共通の反射型光検出器SC4が用いられている。この例に限らず、反射型光検出器SA4,SA5の近傍には、基板Wの部分p4,p5の高さをそれぞれ取得するための2つの反射型光検出器が設けられてもよい。
【0137】
4.第4の実施の形態
第4の実施の形態に係る基板搬送装置500について、第1の実施の形態に係る基板搬送装置500と異なる点を説明する。本実施の形態に係る基板搬送装置500は、ハンドH1上に基板Wが保持された状態および支持部に支持された基板Wの下方にハンドH1が配置された状態で、ハンドH1に対する基板Wの位置を判定することが可能である。また、ハンドH2上に基板Wが保持された状態および支持部に支持された基板Wの下方にハンドH2が配置された状態で、ハンドH2に対する基板Wの位置を判定することが可能である。
【0138】
以下の説明では、ハンドH1,H2上に基板Wが保持された状態で当該ハンドH1,H2に対する基板Wの位置を判定するときの搬送制御部550の制御モードを第1の制御モードと呼ぶ。一方、支持部に支持された基板Wの下方にハンドH1,H2が配置された状態で当該ハンドH1,H2に対する基板Wの位置を判定するときの搬送制御部550の制御モードを第2の制御モードと呼ぶ。使用者は、例えば図6の操作部529を操作して、搬送制御部550の制御モードを指定する。これにより、搬送制御部550は、使用者の指定に応答して、指定された制御モードで基板搬送装置500の各部の制御を行う。
【0139】
搬送制御部550が第1の制御モードにあるときの基板搬送装置500の動作は、第1の実施の形態で説明した通りである。それにより、ハンドH1,H2に保持される基板Wのハンドにおける位置に応じて座標情報が補正される。一方、第2の制御モードは、例えばハンドH1,H2による基板Wの保持が行われる直前でハンドH1,H2と基板Wとの位置関係を調整する場合、または基板搬送装置500のティーチングを行う場合に有効に利用することができる。以下、搬送制御部550が第2の制御モードにあるときの基板搬送装置500の具体的な動作の一例を説明する。
【0140】
図23図27は、第4の実施の形態に係る搬送制御部550が第2の制御モードにあるときの基板搬送装置500の動作の一例を説明するための図である。例えば、一の処理ユニットに支持部としてスピンチャックchが設けられているものとする。また、図23の平面図および図24の側面図で示すように、スピンチャックch上に基板Wが保持されているものとする。さらに、スピンチャックch上に保持された基板Wの中心位置Cが受け取り位置に設定されておりかつハンドH1が当該スピンチャックch上の基板Wを受け取るものとする。
【0141】
この場合、図23および図24に白抜きの矢印で示すように、ハンドH1は受け取り位置でスピンチャックchの上面からわずかに下方の位置に向かって移動する。それにより、図25の側面図に示すように、ハンドH1がスピンチャックchにより保持された基板Wの下方の位置で保持される。ここで、上下方向におけるハンドH1の吸着部smと基板Wとの間の距離は、例えば数mm~数十mm程度に維持される。
【0142】
この状態で、図25に実線の矢印で示すように、反射型光検出器SA1~SA5の光通過面ssから基板Wの外周部に向かってライン状の光が出射される。このとき、反射型光検出器SA1~SA5と基板Wとの間の距離が所定の範囲内にあれば、基板Wの下面の外周部で反射される光は反射型光検出器SA1~SA5にそれぞれ帰還する。それにより、ハンドH1により基板Wが保持されていない場合でも、反射型光検出器SA1~SA5の出力信号に基づいてハンドH1における基板Wの外周端部の複数の部分p1~p5の位置(XY座標上の位置)を算出することができる。算出結果に基づいて、ハンドH1に対する基板Wの位置を判定することができる。
【0143】
ハンドH1に対する基板Wの位置を判定した結果、図26の平面図に示すように、基板Wの中心位置CがハンドH1の基準位置rpからずれている場合を想定する。この場合、図26に白抜きの矢印で示すように、判定結果に基づいてずれが相殺されるようにハンドH1が移動する。その結果、図27の平面図に示すように、基板Wの中心位置CがハンドH1の基準位置rpに一致する。なお、図26および図27では、スピンチャックchにより吸着保持される基板Wが二点鎖線で示される。
【0144】
上記のように、スピンチャックchにより保持される基板WをハンドH1が受け取る前に、基板Wの中心位置Cが基準位置rpに一致するように、基板Wに対するハンドH1の位置が調整される。この状態でハンドH1が基板Wを受け取る場合には、搬送先の座標情報(載置座標)を補正する必要がなくなる。
【0145】
なお、スピンチャックchに保持される基板Wの受け取りに関するティーチング時には、最初に、スピンチャックchの回転中心に基板Wの中心が一致するように、スピンチャックch上に基板Wを吸着保持させる。その後、図23図27の一連の動作を行う。この場合、最終的なハンドH1の水平方向の位置を受け取り座標または載置座標として決定することができる。
【0146】
図28および図29は、第4の実施の形態に係る基板搬送装置500の第2の動作モードによるハンドH1の位置調整動作を示すフローチャートである。初期状態においては、例えば一の処理ユニット内に設けられた支持部(例えば、図23のスピンチャックch)上の予め定められた位置に基板Wが支持されているものとする。また、図12の座標情報記憶部59には、一の処理ユニットの支持部上の位置を暫定的に示す座標情報が記憶されているものとする。さらに、初期状態のハンドH1には、基板Wは保持されていないものとする。
【0147】
図12の移動制御部58は、座標情報記憶部59に記憶された座標情報に基づいて、ハンドH1を支持部に支持された基板Wの下方の位置に移動させる(ステップS101)。そこで、図12の部分位置算出部51は、図12の検出器位置記憶部54および光量位置情報記憶部81から検出器情報および光量位置情報を読み込む(ステップS102)。
【0148】
その後、図13のステップS4,S5,S6と同様に、基板Wの外周端部の複数の部分p1~p5の位置の算出、複数の仮想円cr1~cr4およびそれらの中心位置vp1~vp4の算出、ならびに複数の中心位置vp1~vp4の間の複数のずれ量の算出が行われる(ステップS103,S104,S105)。
【0149】
また、図14のステップS7と同様に、ステップS105で算出された複数のずれ量の全てが図12のしきい値記憶部55に記憶されたしきい値以下であるか否かが判別される(ステップS106)。そこで、複数のずれ量の全てがしきい値以下である場合に、図14のステップS8と同じ処理が行われる(ステップS107)。一方、複数のずれ量のうち少なくとも1つがしきい値を超える場合に、図14のステップS12,S13と同じ処理が行われる(ステップS110,S111)。
【0150】
ステップS107またはステップS111の処理後、移動制御部58は、基板Wの中心位置Cが基準位置rpに一致するようにハンドH1の位置を調整する(ステップS108)。そこで、図12の座標情報記憶部59は、現時点でハンドH1が位置する座標を記憶する(ステップS109)。これにより、ハンドH1の位置調整動作が終了する。ハンドH2についても、ハンドH1と同様の位置調整動作が行われる。なお、各ハンドH1,H2の位置調整動作後、当該ハンドH1,H2は、基板Wを受け取るとともに受け取った基板Wを他の処理ユニットに搬送してもよい。
【0151】
本実施の形態に係る基板搬送装置500においては、ハンドH1,H2に基板Wが保持された状態およびハンドH1,H2が支持部に支持された基板Wの下方に配置された状態のうちいずれの状態にあっても、ハンドH1,H2における基板Wの位置をそれぞれ判定することができる。それにより、判定結果に基づいて、高い精度で基板Wを搬送することおよび基板搬送装置500のティーチングを行うことが可能になる。
【0152】
なお、本実施の形態に係る基板搬送装置500は、搬送制御部550が第1および第2の制御モードで動作可能である点を除いて、第1の実施の形態に係る基板搬送装置500と同じ構成を有するとしているが、本発明はこれに限定されない。本実施の形態に係る基板搬送装置500は、搬送制御部550が第1および第2の制御モードで動作可能である点を除いて、第2および第3の実施の形態に係る基板搬送装置500と同じ構成を有してもよい。すなわち、第2および第3の実施の形態に係る基板搬送装置500において、搬送制御部550が上記の第1および第2の制御モードで動作可能に構成されてもよい。
【0153】
5.第5の実施の形態
図30は、第1~第4のいずれかの実施の形態に係る基板搬送装置500を備えた基板処理装置の全体構成を示す模式的ブロック図である。図30に示すように、基板処理装置100は、露光装置800に隣接して設けられ、制御装置210、第1~第4のいずれかの実施の形態に係る基板搬送装置500、熱処理部230、塗布処理部240および現像処理部250を備える。
【0154】
制御装置210は、例えばCPUおよびメモリ、またはマイクロコンピュータを含み、基板搬送装置500、熱処理部230、塗布処理部240および現像処理部250の動作を制御する。また、制御装置210は、基板搬送装置500のハンドH1,H2を所定の処理ユニットの支持部に位置合わせするための指令を搬送制御部550に与える。
【0155】
基板搬送装置500は、基板Wを熱処理部230、塗布処理部240、現像処理部250および露光装置800の間で搬送する。塗布処理部240および現像処理部250の各々は、複数の処理ユニットPUを含む。塗布処理部240に設けられる処理ユニットPUには、支持部600としてスピンチャックが設けられる。また、処理ユニットPUには、スピンチャックにより回転される基板Wにレジスト膜を形成するための処理液を供給する処理液ノズル5が設けられる。それにより、未処理の基板Wにレジスト膜が形成される。レジスト膜が形成された基板Wには、露光装置800において露光処理が行われる。
【0156】
現像処理部250に設けられる処理ユニットPUには、スピンチャックにより回転される基板Wに現像液を供給する現像液ノズル6が設けられる。それにより、露光装置800による露光処理後の基板Wが現像される。
【0157】
熱処理部230は、基板Wに加熱または冷却処理を行う複数の処理ユニットTUを含む。処理ユニットTUにおいては、支持部600として温度調整プレートが設けられる。温度調整プレートは、加熱プレートまたはクーリングプレートである。熱処理部230においては、塗布処理部240による塗布処理、現像処理部250による現像処理、および露光装置800による露光処理の前後に基板Wの熱処理が行われる。
【0158】
上記の基板処理装置100には、第1~第4のいずれかの実施の形態に係る基板搬送装置500が設けられる。それにより、基板Wの位置判定に要する時間を低減することができるので、基板の搬送時間が短縮され、基板処理のスループットが向上する。また、複数の処理ユニットPU,TU間で基板Wが高い精度で搬送される。それにより、各処理ユニットPU,TUにおいて、基板Wの位置ずれに起因する処理不良の発生が防止され、基板Wの処理精度が向上する。
【0159】
6.他の実施の形態
(1)第1~第4の実施の形態に係る基板搬送装置500においては、反射型光検出器SA1~SA5は、ファイバセンサであり、検出領域df1~df5にライン状の光を出射するが、本発明はこれに限定されない。反射型光検出器SA1~SA5は、基板Wにより反射される光を受ける受光面がライン状に形成されていればよい。したがって、反射型光検出器SA1~SA5は、円形状、楕円形状または矩形状の光を上方に向けて出射する構成を有してもよい。
【0160】
(2)第1~第4の実施の形態に係る基板搬送装置500においては、ハンドH1,H2における基板Wの位置を判定するために5つの反射型光検出器SA1~SA5が用いられるが、本発明はこれに限定されない。
【0161】
例えば、位置判定の対象となる基板Wの設計半径が既知である場合には、ハンドH1,H2の各々に、基板Wの位置判定用の4つの反射型光検出器SA1~SA4のみが設けられてもよい。この場合、反射型光検出器SA1~SA4を用いて生成される4つの仮想円cr1~cr4のうち、設計半径に一致するかまたは最も近い半径を有する仮想円(本例では仮想円cr4)を選択することにより、選択された仮想円に基づいてハンドH1,H2における基板Wの位置を判定することができる。
【0162】
また、例えば位置判定の対象となる基板Wにノッチが形成されていない場合には、ハンドH1,H2の各々に、基板Wの位置判定用の3つの反射型光検出器SA1~SA3のみが設けられてもよい。この場合、3つの反射型光検出器SA1~SA3から算出される基板Wの3つの部分p1~p3の位置を通る仮想円に基づいてハンドH1,H2における基板Wの位置を判定することができる。
【0163】
さらに、例えば位置判定の対象となる基板Wにノッチが形成されておらずかつ基板Wの設計半径が既知である場合には、ハンドH1,H2の各々に、基板Wの位置判定用の2つの反射型光検出器SA1,SA2のみが設けられてもよい。この場合、2つの反射型光検出器SA1,SA2から算出される基板Wの2つの部分p1,p2の位置を通りかつ設計半径を有する2つの仮想円と、予め推定される基板Wと反射型光検出器SA1,SA2との位置関係とに基づいてハンドH1,H2における基板Wの位置を判定することができる。
【0164】
(3)第1~第4の実施の形態に係る基板搬送装置500においては、反射型光検出器SA1~SA5は、光通過面ssが進退方向ABに平行となるように、ハンドH1,H2上に配置されるが、本発明はこれに限定されない。反射型光検出器SA1~SA5は、反射型光検出器SA1~SA5の光通過面ssの少なくとも一部が他の光通過面ssとは異なる方向に延びるように形成されてもよい。
【0165】
(4)第2および第3の実施の形態に係る基板搬送装置500においては、反射型光検出器SB1は反射型光検出器SA1~SA5と基本的に同じ構成を有するが、本発明はこれに限定されない。反射型光検出器SB1は、反射型光検出器SA1~SA5から出射される光に対する基板Wの反射率を求めることが可能な構成を有すればよく、反射型光検出器SA1~SA5とは異なる構成を有してもよい。
【0166】
(5)第3の実施の形態に係る基板搬送装置500においては、反射型光検出器SC1~SC4は反射型光検出器SA1~SA5と基本的に同じ構成を有するが、本発明はこれに限定されない。反射型光検出器SC1~SC4は、反射型光検出器SA1~SA5を用いて算出される基板Wの複数の部分p1~p5の内側部分p10に対する高さを求めることが可能な構成を有すればよい。そのため、第3の実施の形態では、反射型光検出器SC1~SC4に代えて、基板Wの複数の部分p1~p5および内側部分p10の高さ関係を算出するための複数の高さセンサが設けられてもよい。
【0167】
7.請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。上記の実施の形態では、基板搬送装置500が基板搬送装置の例であり、ハンドH1,H2が保持部の例であり、光通過面ssが受光面の例であり、複数の反射型光検出器SA1~SA5が複数の反射型光検出器の例であり、部分位置算出部51が部分位置算出部の例であり、基板位置判定部53が基板位置判定部の例である。
【0168】
また、反射型光検出器SA1~SA5の検出領域df1~df5が帯状の検出領域の例であり、進退方向ABが一の方向の例であり、反射型光検出器SA1,SA2が第1の反射型光検出器の例であり、反射型光検出器SA3,SA4,SA5が第2の反射型光検出器の例であり、光量位置情報記憶部81が記憶部の例である。
【0169】
また、反射型光検出器SB1が受光量測定器の例であり、光量位置情報生成部82が光量位置情報生成部の例であり、複数の吸着部smが複数の吸着部の例であり、複数の反射型光検出器SC1~SC4が高さ検出部の例であり、部分位置補正部83が補正部の例である。
【0170】
また、上下方向駆動モータ511、水平方向駆動モータ513、回転方向駆動モータ515、上ハンド進退用駆動モータ525、下ハンド進退用駆動モータ527、移動部材510および回転部材520を含む構成が移動部の例であり、受け取り位置が第1の位置の例であり、載置位置が第2の位置の例であり、移動制御部58が移動制御部の例である。
【0171】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
8.参考形態
(1)第1の参考形態に係る基板搬送装置は、基板を搬送する基板搬送装置であって、基板を保持可能に構成された保持部と、ライン状の受光面を有しかつ保持部に設けられ、保持部上に配置された基板の外周部に向けて光をそれぞれ出射するとともに、受光面により基板から反射された光をそれぞれ受光して、受光量を示す信号を出力する複数の反射型光検出器と、複数の反射型光検出器の出力信号に基づいて、保持部上に配置された基板について保持部における基板の外周端部の複数の部分の位置をそれぞれ算出する部分位置算出部と、部分位置算出部により算出された基板の複数の部分の位置に基づいて保持部に対する基板の位置を判定する位置判定部とを備える。
その基板搬送装置においては、保持部に設けられた複数の反射型光検出器から基板の外周部に光がそれぞれ出射される。この場合、基板の外周部で反射される光の光量は、ライン状の受光面が延びる方向における基板の外周端部の位置に応じて変化する。そのため、複数の第1の反射型光検出器の出力信号により示される受光量によれば、複数の反射型光検出器のライン状の受光面が延びる方向における基板の外周端部の複数の部分の位置を算出することが可能になる。それにより、保持部上に基板が配置された時点で、保持部に対する基板の位置を判定することができる。その結果、基板の搬送時における基板の位置判定に要する時間を低減することが可能になる。
(2)複数の反射型光検出器の各々は、受光面から上方に向かって延びる帯状の検出領域を有し、複数の部分は、平面視で複数の反射型光検出器の検出領域と保持部上に配置された基板の外周端部との交点であってもよい。この場合、算出される基板の複数の部分の位置に基づいて基板の位置を判定することができる。
(3)複数の反射型光検出器は、受光面が一の方向において互いに重ならないように、保持部に設けられた第1および第2の反射型光検出器を含んでもよい。この場合、第1および第2の反射型光検出器の出力信号と第1および第2の反射型光検出器の位置関係とに基づいて、基板の複数の部分の位置を高い精度で算出することができる。
(4)基板搬送装置は、複数の反射型光検出器が受光する受光量と保持部における基板の複数の部分の位置との間の予め定められた関係を示す光量位置情報を記憶する記憶部をさらに備え、部分位置算出部は、複数の反射型光検出器の出力信号に加えて、記憶部に記憶された光量位置情報に基づいて保持部における基板の複数の部分の位置をそれぞれ算出してもよい。この場合、光量位置情報に基づいて、基板の外周端部の複数の部分の位置を高い精度で算出することができる。
(5)基板搬送装置は、保持部に設けられ、基板の外周部よりも内側に位置する内側部分に向けて光を出射するとともに、基板により反射された光を受光して、受光量を示す信号を出力する受光量測定器と、受光量測定器の出力信号に基づいて、複数の反射型光検出器が受光する受光量と保持部における基板の複数の部分の位置との間の関係を示す光量位置情報を生成する光量位置情報生成部とを備え、部分位置算出部は、複数の反射型光検出器の出力信号に加えて、光量位置情報生成部により生成された光量位置情報に基づいて保持部における基板の複数の部分の位置をそれぞれ算出してもよい。
この場合、基板に対する光の反射率が未知である場合でも、受光量測定器の出力信号に基づいて光量位置情報が生成される。それにより、生成された光量位置情報に基づいて、基板の外周端部の複数の部分の位置を高い精度で算出することができる。
(6)保持部は、基板の下面を吸着保持する複数の吸着部をさらに有し、受光量測定器と複数の吸着部のうち一の吸着部との間の距離は、複数の反射型光検出器の各々と一の吸着部との間の距離よりも小さくてもよい。
この場合、受光量測定器は複数の反射型光検出器に比べて一の吸着部の近傍に位置する。そのため、基板に反り等の変形が発生している場合でも、受光量測定器からの光を受ける基板の内側部分の高さは、一の吸着部により略一定の高さに保持される。したがって、光量位置情報を生成するための条件のばらつきが低減される。その結果、適切に生成された光量位置情報に基づいて、基板の外周端部の複数の部分の位置をより高い精度で算出することができる。
(7)基板搬送装置は、保持部における基板の複数の部分の高さを検出する高さ検出部と、高さ検出部により検出された基板の複数の部分の高さに基づいて、部分位置算出部により算出された基板の複数の部分の位置をそれぞれ補正する補正部をさらに備え、位置判定部は、補正部による補正後の基板の複数の部分の位置に基づいて、保持部に対する基板の位置を判定してもよい。
反射型光検出器から出射されて基板で反射されることにより当該反射型光検出器に帰還する光の光量は、反射型光検出器と基板との間の距離によっても変化する。上記の構成によれば、基板の外周端部の複数の部分の高さが検出され、検出された高さに基づいて基板の外周端部の複数の部分の位置の算出結果が補正される。したがって、基板の外周端部の複数の部分の位置をさらに高い精度で取得することができる。
(8)基板搬送装置は、複数の反射型光検出器を制御する光検出器制御部をさらに備え、光検出器制御部は、保持部により基板が保持された状態で、複数の反射型光検出器を制御する第1の制御モードと、保持部により基板が保持されずかつ保持部が支持部に支持された基板の下方の位置に配置された状態で、複数の反射型光検出器を制御する第2の制御モードとで動作可能に構成されてもよい。
この場合、保持部により基板が保持された状態および保持部が支持部に支持された基板の下方に配置された状態のうちいずれの状態にあっても、保持部における基板の位置をそれぞれ判定することができる。
(9)基板搬送装置は、保持部を移動させる移動部と、位置判定部による判定結果に基づいて、保持部により保持された基板が予め定められた第1の位置から第2の位置へ搬送されるように移動部を制御する移動制御部とをさらに備えてもよい。
この場合、位置判定部による判定結果に基づいて、保持部により保持される基板を予め定められた第1の位置から第2の位置へ高い精度で搬送することができる。
(10)第2の参考形態に係る基板搬送方法は、基板を搬送する基板搬送方法であって、基板を保持可能に構成された保持部上に基板を配置するステップと、ライン状の受光面を有しかつ保持部に設けられた複数の反射型光検出器を用いることにより、保持部上に配置された基板の外周部に向けて光を出射するとともに、受光面により基板から反射された光をそれぞれ受光して、複数の反射型光検出器から受光量を示す信号をそれぞれ出力させるステップと、複数の反射型光検出器の出力信号に基づいて、保持部上に配置された基板について保持部における基板の外周端部の複数の部分の位置をそれぞれ算出するステップと、算出するステップにより算出された基板の複数の部分の位置に基づいて保持部に対する基板の位置を判定するステップとを含む。
その基板搬送方法においては、保持部に設けられた複数の反射型光検出器から基板の外周部に光がそれぞれ出射される。この場合、基板の外周部で反射される光の光量は、ライン状の受光面が延びる方向における基板の外周端部の位置に応じて変化する。そのため、複数の第1の反射型光検出器の出力信号により示される受光量によれば、複数の反射型光検出器のライン状の受光面が延びる方向における基板の外周端部の複数の部分の位置を算出することが可能になる。それにより、保持部上に基板が配置された時点で、保持部に対する基板の位置を判定することができる。その結果、基板の搬送時における基板の位置判定に要する時間を低減することが可能になる。
(11)複数の反射型光検出器の各々は、保持部から上方に向かって延びる帯状の検出領域を有し、複数の部分は、平面視で複数の反射型光検出器の検出領域と保持部上に配置された基板の外周端部との交点であってもよい。この場合、算出される基板の複数の部分の位置に基づいて基板の位置を判定することができる。
(12)複数の反射型光検出器は、受光面が一の方向において互いに重ならないように、保持部に設けられた第1および第2の反射型光検出器を含んでもよい。この場合、第1および第2の反射型光検出器の出力信号と第1および第2の反射型光検出器の位置関係とに基づいて、基板の複数の部分の位置を高い精度で算出することができる。
(13)基板搬送方法は、複数の反射型光検出器が受光する受光量と保持部における基板の複数の部分の位置との間の予め定められた関係を示す光量位置情報を記憶するステップをさらに含み、算出するステップは、複数の反射型光検出器の出力信号に加えて、記憶するステップにより記憶された光量位置情報に基づいて保持部における基板の複数の部分の位置をそれぞれ算出してもよい。この場合、光量位置情報に基づいて、基板の外周端部の複数の部分の位置を高い精度で算出することができる。
(14)基板搬送方法は、保持部に設けられる受光量測定器を用いて保持部上に配置された基板の外周部よりも内側に位置する内側部分に向けて光を出射するとともに基板から反射された光を受光することにより、当該受光量測定器から受光量を示す信号を出力させるステップと、受光量測定器の出力信号に基づいて、複数の反射型光検出器が受光する受光量と保持部における基板の複数の部分の位置との間の予め定められた関係を示す光量位置情報を生成するステップとをさらに含み、算出するステップは、複数の反射型光検出器の出力信号に加えて、生成するステップにより生成された光量位置情報に基づいて保持部における基板の複数の部分の位置をそれぞれ算出することを含んでもよい。
この場合、基板に対する光の反射率が未知である場合でも、受光量測定器の出力信号に基づいて光量位置情報が生成される。それにより、生成された光量位置情報に基づいて、基板の外周端部の複数の部分の位置を高い精度で算出することができる。
(15)保持部上に基板を配置するステップは、保持部が有する複数の吸着部により基板の下面を吸着保持することを含み、受光量測定器と複数の吸着部のうち一の吸着部との間の距離は、複数の反射型光検出器の各々と一の吸着部との間の距離よりも小さくてもよい。
この場合、受光量測定器は複数の反射型光検出器に比べて一の吸着部の近傍に位置する。そのため、基板に反り等の変形が発生している場合でも、受光量測定器からの光を受ける基板の内側部分の高さは、一の吸着部により略一定の高さに保持される。したがって、光量位置情報を生成するための条件のばらつきが低減される。その結果、適切に生成された光量位置情報に基づいて、基板の外周端部の複数の部分の位置をより高い精度で算出することができる。
(16)基板搬送方法は、保持部における基板の複数の部分の高さを検出するステップと、高さを検出するステップにより検出された基板の複数の部分の高さに基づいて、算出するステップにより算出された基板の複数の部分の位置をそれぞれ補正するステップをさらに含み、基板の位置を判定するステップは、補正するステップによる補正後の基板の複数の部分の位置に基づいて、保持部に対する基板の位置を判定することを含んでもよい。
反射型光検出器から出射されて基板で反射されることにより当該反射型光検出器に帰還する光の光量は、反射型光検出器と基板との間の距離によっても変化する。上記の構成によれば、基板の外周端部の複数の部分の高さが検出され、検出された高さに基づいて基板の外周端部の複数の部分の位置の算出結果が補正される。したがって、基板の外周端部の複数の部分の位置をさらに高い精度で取得することができる。
(17)複数の反射型光検出器から受光量を出力させるステップは、保持部により保持された基板の外周部に向けて光を出射することと、保持部により基板が保持されずかつ保持部が支持部に支持された基板の下方の位置に配置された状態で基板の外周部に向けて光を出射することとを含んでもよい。
この場合、保持部により基板が保持された状態および保持部が支持部に支持された基板の下方に配置された状態のうちいずれの状態にあっても、保持部における基板の位置をそれぞれ判定することができる。
(18)基板搬送方法は、基板の位置を判定するステップによる判定結果に基づいて、保持部により保持された基板が予め定められた第1の位置から第2の位置へ搬送されるように保持部を移動させるステップをさらに含んでもよい。
この場合、基板の位置を判定するステップによる判定結果に基づいて、保持部により保持される基板を予め定められた第1の位置から第2の位置へ高い精度で搬送することができる。
【符号の説明】
【0172】
5…処理液ノズル,6…現像液ノズル,51…部分位置算出部,52…仮想円算出部,53…基板位置判定部,54…検出器位置記憶部,55…しきい値記憶部,58…移動制御部,59…座標情報記憶部,60…座標情報補正部,81…光量位置情報記憶部,82…光量位置情報生成部,83…部分位置補正部,100…基板処理装置,210…制御装置,230…熱処理部,240…塗布処理部,250…現像処理部,500…基板搬送装置,510…移動部材,511…上下方向駆動モータ,512…上下方向エンコーダ,513…水平方向駆動モータ,514…水平方向エンコーダ,515…回転方向駆動モータ,516…回転方向エンコーダ,520…回転部材,521,522…支持部材,525…上ハンド進退用駆動モータ,526…上ハンドエンコーダ,527…下ハンド進退用駆動モータ,528…下ハンドエンコーダ,529…操作部,550…搬送制御部,600…支持部,800…露光装置,AB…進退方向,C,vp1~vp4…中心位置,df1~df5,df11,df21~df24…検出領域,W…基板,H1,H2…ハンド,Ha…ガイド部,Hb…アーム部,N…ノッチ,PU,TU…処理ユニット,SA1~SA5,SB1,SC1~SC4…反射型光検出器,cr1~cr4…仮想円,p1~p5…部分,p10…内側部分,rp…基準位置,sm…吸着部
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