(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-09
(45)【発行日】2025-04-17
(54)【発明の名称】バラスト軌道の補修方法とその補修材及びバラスト軌道
(51)【国際特許分類】
E01B 27/18 20060101AFI20250410BHJP
E01B 37/00 20060101ALI20250410BHJP
【FI】
E01B27/18
E01B37/00 B
(21)【出願番号】P 2022072204
(22)【出願日】2022-04-26
【審査請求日】2024-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2021113441
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100104064
【氏名又は名称】大熊 岳人
(72)【発明者】
【氏名】中村 貴久
(72)【発明者】
【氏名】桃谷 尚嗣
(72)【発明者】
【氏名】景山 隆弘
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-138465(JP,A)
【文献】特開2009-167687(JP,A)
【文献】特開平06-158601(JP,A)
【文献】特開平10-165998(JP,A)
【文献】特開平09-206800(JP,A)
【文献】特開2015-068090(JP,A)
【文献】特開2008-019630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 27/18
E01B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道床バラストによってまくらぎを保持するバラスト軌道を補修材によって補修するバラスト軌道の補修方法であって、
超速硬セメント及び高分子凝集剤を含有し、水を含有しない粉状の前記補修材と既設の道床バラストとを
、前記まくらぎ下につき入れて、この既設の道床バラストとこの補修材とを混合する混合工程を含
み、
前記道床バラストは、15mm以上70mm以下の大きさの粉石であり、
前記超速硬セメントの添加量は、前記補修材と混合する乾燥した前記道床バラストの質量を100%としたときに0.1%以上4.0%以下であり、
前記高分子凝集剤の添加量は、前記補修材と混合する乾燥した前記道床バラストの質量を100%としたときに0.1%以上4.0%以下であること、
を特徴とするバラスト軌道の補修方法。
【請求項2】
請求項1に記載のバラスト軌道の補修方法において、
前記混合工程は、アクリルアミド系の高分子凝集剤を含有する補修材と前記既設の道床バラストとを混合する工程を含むこと、
を特徴とするバラスト軌道の補修方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のバラスト軌道の補修方法において、
前記まくらぎ下に向けて前記バラスト軌道に穴をあける穴あけ工程と、
前記補修材を前記穴に投入する補修材投入工程とを含み、
前記混合工程は、前記既設の道床バラストと前記補修材とを前記まくらぎ下にタイタンパによってつき入れて、この既設の道床バラストとこの補修材とを混合する工程を含むこと、
を特徴とするバラスト軌道の補修方法。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のバラスト軌道の補修方法において、
前記バラスト軌道に前記補修材を散布する補修材散布工程を含み、
前記混合工程は、前記既設の道床バラストと前記補修材とを前記まくらぎ下にタイタンパによってつき入れて、この既設の道床バラストとこの補修材とを混合する工程を含むこと、
を特徴とするバラスト軌道の補修方法。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のバラスト軌道の補修方法において、
前記バラスト軌道に前記補修材を散布する補修材散布工程を含み、
前記混合工程は、前記既設の道床バラストと前記補修材とを前記まくらぎ下に保守用重機によってつき入れて、この既設の道床バラストとこの補修材とを混合する工程を含むこと、
を特徴とするバラスト軌道の補修方法。
【請求項6】
まくらぎ下の既設の道床バラストと混合することによって、バラスト軌道を補修するバラスト軌道の補修材であって、
超速硬セメント及び高分子凝集剤を含有し、水を含有しない
粉状であり、前記既設の道床バラストとともに前記まくらぎ下につき入れられて、この既設の道床バラストと混合されており、
前記道床バラストは、15mm以上70mm以下の大きさの粉石であり、
前記超速硬セメントの添加量は、前記補修材と混合する乾燥した前記道床バラストの質量を100%としたときに0.1%以上4.0%以下であり、
前記高分子凝集剤の添加量は、前記補修材と混合する乾燥した前記道床バラストの質量を100%としたときに0.1%以上4.0%以下であること、
を特徴とするバラスト軌道の補修材。
【請求項7】
請求項6に記載のバラスト軌道の補修材において、
アクリルアミド系の高分子凝集剤を含有すること、
を特徴とするバラスト軌道の補修材。
【請求項8】
道床バラストによってまくらぎを保持するバラスト軌道であって、
前記まくらぎ下の既設の道床バラストが補修された補修バラスト層を備え、
前記補修バラスト層は、
超速硬セメント及び高分子凝集剤を含有し、水を含有しない粉状の補修材と既設の道床バラストとが
、前記まくらぎ下につき入れられて、この既設の道床バラストとこの補修材と混合されて
おり、
前記道床バラストは、15mm以上70mm以下の大きさの粉石であり、
前記超速硬セメントの添加量は、前記補修材と混合する乾燥した前記道床バラストの質量を100%としたときに0.1%以上4.0%以下であり、
前記高分子凝集剤の添加量は、前記補修材と混合する乾燥した前記道床バラストの質量を100%としたときに0.1%以上4.0%以下であること、
を特徴とするバラスト軌道。
【請求項9】
請求項8に記載のバラスト軌道において、
前記補修バラスト層は、アクリルアミド系の高分子凝集剤を含有する補修材と前記既設の道床バラストとが混合されていること、
を特徴とするバラスト軌道。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バラストによってまくらぎを保持するバラスト軌道の補修方法と、まくらぎ下の既設バラストと混合することによって、バラスト軌道を補修するバラスト軌道の補修材、及び道床バラストによってまくらぎを保持するバラスト軌道に関する。
【背景技術】
【0002】
土砂が混入したバラスト軌道では、維持管理コスト低減のために、列車間合いで施工可能で補修効果が持続する沈下抑制対策工が求められている。従来、タイタンパを用いたつき固め補修が行われているものの、土砂の混入率が高いと沈下が進行して、保守頻度が多くなってしまう。
【0003】
従来の軌道補修方法(以下、従来技術1という)は、バラスト上に敷設されたまくらぎの脇に補修材を投入する補修材投入口を形成する工程と、この補修材投入口に補修材を投入する工程と、タイタンパによってまくらぎ下にバラスト及び補修材をつき込み、バラストを内包する固結体をまくらぎ下に形成する工程とを含む(例えば、特許文献1参照)。この従来技術1では、生分解性ポリマー水溶液と、この生分解性ポリマー水溶液をゲル化させる反応剤とを補修材として利用している。従来技術1では、タイタンパ補修時に補修材を道床に散布することで、ゲル化したポリマーによってバラストを内包する固結体を形成し、道床のまくらぎ支持強度を増加させて補修効果を持続させている。
【0004】
従来のバラスト軌道の補修工法(以下、従来技術2という)は、まくらぎの下に液状充填剤を含浸させる工程と、バラスト及び細粒土をこの液状充填剤で一体に硬化させる工程と、硬化後の細粒土部分を破砕し造粒させる工程とを含む(例えば、特許文献2参照)。この従来技術2では、経年劣化により細粒化したバラストに、液状充填剤として超微粒子からなるセメント(グラウト)を浸透させて、固化後の細粒土部分をハンマードリルで破砕して細粒土を造粒化している。従来技術2では、造粒塊をバラストとともにタイタンパによってまくらぎの下につき込んで、バラスト軌道の排水性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術1では、樹脂系の材料をタイタンパでバラストと混合して安定処理しているが、水溶液にして使用しているため、硬化前に土砂の含水比が高くなるとともに強度が低下し、沈下を抑制できないことがあった。従来技術2では、グラウトの散布および養生時間に手間がかかることから施工性に課題があった。
【0008】
この発明の課題は、簡単な作業によって道床バラストの強度低下を防止することができるバラスト軌道の補修方法とその補修材及びバラスト軌道を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、
図2~
図6及び
図8~
図12に示すように、道床バラスト(6)によってまくらぎ(4)を保持するバラスト軌道(2)を補修材(M)によって補修するバラスト軌道の補修方法であって、
超速硬セメント及び高分子凝集剤を含有し、水を含有しない粉状の前記補修材と既設の道床バラストとを
、前記まくらぎ下につき入れて、この既設の道床バラストとこの補修材とを混合する混合工程(#130;#150)を含
み、
前記道床バラストは、15mm以上70mm以下の大きさの粉石であり、前記超速硬セメントの添加量は、前記補修材と混合する乾燥した前記道床バラストの質量を100%としたときに0.1%以上4.0%以下であり、前記高分子凝集剤の添加量は、前記補修材と混合する乾燥した前記道床バラストの質量を100%としたときに0.1%以上4.0%以下であることを特徴とするバラスト軌道の補修方法(#100)である。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載のバラスト軌道の補修方法において、前記混合工程は、アクリルアミド系の高分子凝集剤を含有する補修材と前記既設の道床バラストとを混合する工程を含むことを特徴とするバラスト軌道の補修方法である。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のバラスト軌道の補修方法において、
図1、
図5及び
図6に示すように、前記まくらぎ下に向けて前記バラスト軌道に穴(5a)をあける穴あけ工程(#110)と、前記補修材を前記穴に投入する補修材投入工程(#120)とを含み、前記混合工程(#130)は、前記既設の道床バラストと前記補修材とを前記まくらぎ下にタイタンパ(T)によってつき入れて、この既設の道床バラストとこの補修材とを混合する工程を含むことを特徴とするバラスト軌道の補修方法である。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2に記載のバラスト軌道の補修方法において、
図8~
図10に示すように、前記バラスト軌道に前記補修材を散布する補修材散布工程(#140)を含み、前記混合工程(#150)は、前記既設の道床バラストと前記補修材とを前記まくらぎ下にタイタンパ(T)によってつき入れて、この既設の道床バラストとこの補修材とを混合する工程を含むことを特徴とするバラスト軌道の補修方法である。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1又は請求項2に記載のバラスト軌道の補修方法において、
図11及び
図12に示すように、前記バラスト軌道に前記補修材を散布する補修材散布工程(#140)を含み、前記混合工程(#150)は、前記既設の道床バラストと前記補修材とを前記まくらぎ下に保守用重機(E)によってつき入れて、この既設の道床バラストとこの補修材とを混合する工程を含むことを特徴としているバラスト軌道の補修方法である。
【0014】
請求項6の発明は、
図2、図3、図6、図7及び図9~図12に示すように、まくらぎ(4)下の既設の道床バラスト(6)と混合することによって、バラスト軌道を補修するバラスト軌道(2)の補修材であって、超速硬セメント及び高分子凝集剤を含有し、水を含有しない
粉状であり、前記既設の道床バラストとともに前記まくらぎ下につき入れられて、この既設の道床バラストと混合されており、前記道床バラストは、15mm以上70mm以下の大きさの粉石であり、前記超速硬セメントの添加量は、前記補修材と混合する乾燥した前記道床バラストの質量を100%としたときに0.1%以上4.0%以下であり、前記高分子凝集剤の添加量は、前記補修材と混合する乾燥した前記道床バラストの質量を100%としたときに0.1%以上4.0%以下であることを特徴とするバラスト軌道の補修材(M)である。
【0015】
請求項7の発明は、請求項6に記載のバラスト軌道の補修材において、アクリルアミド系の高分子凝集剤を含有することを特徴とするバラスト軌道の補修材である。
【0016】
請求項8の発明は、
図2、
図3、
図6、
図10及び
図12に示すように、道床バラスト(6)によってまくらぎ(4)を保持するバラスト軌道であって、前記まくらぎ下の既設の道床バラストが補修された補修バラスト層(7)を備え、
前記補修バラスト層は、
超速硬セメント及び高分子凝集剤を含有し、水を含有しない粉状の補修材と既設の道床バラストとが
、前記まくらぎ下につき入れられて、この既設の道床バラストとこの補修材と混合されて
おり、
前記道床バラストは、15mm以上70mm以下の大きさの粉石であり、前記超速硬セメントの添加量は、前記補修材と混合する乾燥した前記道床バラストの質量を100%としたときに0.1%以上4.0%以下であり、前記高分子凝集剤の添加量は、前記補修材と混合する乾燥した前記道床バラストの質量を100%としたときに0.1%以上4.0%以下であることを特徴とするバラスト軌道(2)である。
【0017】
請求項9の発明は、請求項8に記載のバラスト軌道において、前記補修バラスト層は、アクリルアミド系の高分子凝集剤を含有する補修材と前記既設の道床バラストとが混合されていることを特徴とするバラスト軌道である。
【発明の効果】
【0018】
この発明によると、簡単な作業によってバラストの強度低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】この発明の第1実施形態に係るバラスト軌道を模式的に示す平面図である。
【
図2】
図1のII-II線で切断した状態を示す断面図である。
【
図3】
図1のIII-III線で切断した状態を示す断面図である。
【
図4】この発明の第1実施形態に係るバラスト軌道の補修方法の工程図である。
【
図5】この発明の第1実施形態に係るバラスト軌道の補修方法の作業工程を説明するための模式図である。
【
図6】この発明の第1実施形態に係るバラスト軌道の補修方法を説明するための模式図であり、(A)は穴あけ工程を示す模式図であり、(B)は補修材投入工程を示す模式図であり、(C)は混合工程を示す模式図である。
【
図7】この発明の第1実施形態に係るバラスト軌道の補修方法を説明するための写真であり、(A)は穴あけ工程を示す写真であり、(B)は補修材投入工程を示す写真であり、(C)は混合工程を示す写真図である。
【
図8】この発明の第2実施形態に係るバラスト軌道の補修方法の工程図である。
【
図9】この発明の第2実施形態に係るバラスト軌道の補修方法の作業工程を説明するための模式図である。
【
図10】この発明の第2実施形態に係るバラスト軌道の補修方法を説明するための模式図であり、(A)は補修前の状態を示す模式図であり、(B)は補修材散布工程を示す模式図であり、(C)は混合工程を示す模式図である。
【
図11】この発明の第3実施形態に係るバラスト軌道の補修方法の工程図である。
【
図12】この発明の第3実施形態に係るバラスト軌道の補修方法を説明するための模式図であり、(A)は補修前の状態を示す模式図であり、(B)は補修材散布工程を示す模式図であり、(C)は混合工程を示す模式図である。
【
図13】載荷回数と軌道の沈下量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1~
図3に示す路盤1は、バラスト軌道2を支持する基盤であり、バラスト軌道2上を列車が通過するときの荷重を支持する構造物である。路盤1は、例えば、噴泥や凍上し難い良質な自然土若しくはクラッシャランを用いて十分に締め固めた砕石路盤(土路盤)、アスファルト混合物からなる上部路盤と砕石からなる下部路盤とから構成されたアスファルト路盤(強化路盤)、又は鉄筋コンクリート版及び粒度調整砕石によって構成されたコンクリート路盤などである。
【0021】
バラスト軌道2は、道床バラスト6によってまくらぎ4を保持する。バラスト軌道2は、レール3と、まくらぎ4と、道床5などを備えており、列車が走行する通路(線路)を構成する。
図1~
図3に示すバラスト軌道2は、鉄道線路に敷設される一般的な軌道構造であり、主としてレール3、まくらぎ4及び道床バラスト6によって構成されている。バラスト軌道2は、
図2及び
図3に示すように、細粒分の高い道床バラスト6に対して超速硬セメント及び高分子凝集剤を混合し安定処理する超低強度安定処理工法によって、道床5が補修されて補修バラスト層7が形成されている。
【0022】
レール3は、列車の車輪を支持し案内してこの列車を走行させる部材である。レール3は、
図1~
図3に示すように、列車の車輪と接触するレール頭部と、まくらぎ4に取り付けられるレール底部(フランジ部)と、レール頭部とレール底部とを繋ぐレール腹部(ウェブ部)などを備えている。レール3は、レール締結装置によってまくらぎ4に締結されており、レール3の底部上面を締結ばねによって押さえ付けてまくらぎ4に締結する。
【0023】
まくらぎ4は、レール3を支持する支持体(支承体)である。まくらぎ4は、左右のレール3の間隔(軌間)を正確に保持するとともに、レール3から伝達される列車荷重を道床5に分散させるために、レール3と道床5との間に設置されている。まくらぎ4は、バラスト軌道2の一部を構成する軌道構成部材である。
図1~
図3に示すまくらぎ4は、レール3に対して直角に並べて敷設される横まくらぎ(一般区間で使用される並まくらぎ)である。まくらぎ4は、例えば、緊張材として使用される鋼材(Prestressing Steel(PC))によってプレストレスが与えられたプレストレスコンクリート製まくらぎ(PCまくらぎ)である。
【0024】
道床5は、バラスト層によってまくらぎ4を支持する構造体である。道床5は、道床バラスト6を積層したバラスト層によって構成されたバラスト道床であり、路盤1に荷重を分散し伝達する。道床5は、まくらぎ4の下面から路盤面までの距離である道床厚が在来線の場合には線路等級に応じて150~250mm以上であり、新幹線の場合には一般区間(土路盤区間)で300mm以上である。
【0025】
道床バラスト6は、まくらぎ7と路盤1との間に敷き詰められる砕石などの粒状体である。道床バラスト6は、例えば、花こう岩、けい岩、玄武岩又は安山岩などの硬い岩石を砕石機によって15~70mm程度の大きさに破砕した石である。道床バラスト6は、比重が2.5~3.0g/cm3であり、粒度が19.1~63.5mmである。
【0026】
補修バラスト層7は、まくらぎ4下の既設の道床バラスト6が補修された道床バラスト層である。補修バラスト層7は、まくらぎ4下の既設の道床バラスト6と、超速硬セメント及び高分子凝集剤を含有し、水を含有しない補修材Mとが混合されている。補修バラスト層7は、道床5内の水分を吸収することによって道床5内の水分を低減し、安定処理して軌道沈下を抑制する。
【0027】
補修材Mは、まくらぎ4下の既設の道床バラスト6と混合することによって、バラスト軌道2を補修する改質剤である。補修材Mは、超速硬セメント及び高分子凝集剤を含有し、水を含有しない。補修材Mは、道床5内の水と反応するように、取り扱いが容易な粉状である。補修材Mは、まくらぎ4下の既設の道床バラスト6と混合することによって、道床バラスト6の強度低下を防止し軌道沈下を抑制する。補修材Mは、例えば、超速硬セメント及び高分子凝集剤を同じ添加量で添加されている。
【0028】
超速硬セメントは、極めて短時間で高い強度に達するセメント(急硬性セメント)であり、ポルトランドセメントの原料にボーキサイト及び蛍石などを混合しており、注水後2~3時間で圧縮強度5~20N/mm
2に達する。超速硬セメントは、添加量が0.1%を下回ると道床5内の水分の低減効果が不十分になる問題であり、添加量が4.0%を超えると再補修が困難になる問題がある。このため、超速硬セメントは、沈下を抑えられる最低添加量0.1%以上で、つき固め補修可能な最大添加量4.0%以下であることが好ましい。ここで、超速硬セメントの添加量は、乾燥した道床バラスト6の質量を100%としたときの超速硬セメントの添加割合を示す。超速硬セメントの添加量は、超速硬セメントの質量C、道床バラスト6の乾燥質量Sであるときに、C/S×100(%)で表される。道床バラスト6の乾燥質量Sは、
図1及び
図6(A)に示す補修材投入穴5aの体積に対応する道床バラスト6の乾燥質量である。
【0029】
高分子凝集剤は、水中に分散した物質を高分子化合物によって凝集させるポリマー(凝集助剤)である。高分子凝集剤は、例えば、ポリアクリルアミドのようなアクリルアミド系の高分子凝集剤である。高分子凝集剤は、添加量が0.1%を下回ると道床5内の水分の低減効果が不十分になる問題があり、添加量が4.0%を超えると未反応の高分子凝集剤が残留する問題がある。このため、高分子凝集剤は、沈下を抑えられる最低添加量0.1%以上で、つき固め補修可能な最大添加量4.0%以下であることが好ましい。ここで、高分子凝集剤の添加量は、乾燥した道床バラスト6の質量を100%としたときの高分子凝集剤の添加割合を示す。高分子凝集剤の添加量は、高分子凝集剤の質量P、道床バラスト6の乾燥質量Sであるときに、P/S×100(%)で表される。
【0030】
次に、この発明の第1実施形態に係るバラスト軌道の補修材の作用について説明する。
バラスト軌道2では列車通過時の繰り返し荷重によって、弾塑性材である道床5に繰り返し変形が発生すると、レール面の斬新的な塑性沈下によって軌道沈下が発生する。その結果、走行面の上下方向の不陸が増大し、滑らかな車輪走行面を提供するという軌道本来の機能が阻害される。また、バラスト軌道2の経年使用によって道床バラスト6の摩滅や浮き上がり、大規模降雨などによって、バラスト軌道2に土砂が混入する。道床5内の粘土のような細かい土の量と、この細かい土の内部に含まれる水の量が多い場合には、道床バラスト6が列車荷重により沈下しやすい傾向がある。
【0031】
(高分子凝集剤の作用)
図2及び
図3に示すまくらぎ4下の既設の道床バラスト6と補修材Mの高分子凝集剤とが混合すると、既設の道床
5内の水を高分子凝集剤が吸着し、バラスト軌道2内の水分を高分子凝集剤が低下させる。同時に、既設の道床バラスト6の摩滅などによって発生する道床バラスト6の細粒分に高分子凝集剤が糊のように絡み、高分子凝集剤がこの細粒分をより大きい粒子(造粒化)にさせる効果がある。その結果、道床5内の水分が低下することによって、軌道沈下が抑制される。
【0032】
(超速硬セメントの作用)
まくらぎ4下の既設の道床バラスト6と補修材Mの超速硬セメントとが混合すると、既設の道床5内の水を超速硬セメントが吸水し、既設の道床5内の水と超速硬セメントとが反応して超速硬セメントが硬化する。その結果、道床バラスト6の強度が増加することによって、軌道沈下が抑制される。
【0033】
(高分子凝集剤及び超速硬セメントの作用)
既設の道床バラスト6の細粒分が高分子凝集剤によって造粒化されると、造粒化物内の超速硬セメントが硬化する。その結果、バラスト軌道2内に水が再浸入しても、水を含んで泥土化せず、長期的に軌道沈下が抑制される。既設の道床5内の粘土のような細かい土も高分子凝集剤が水分を吸着し、高分子凝集剤によって細かい土が凝集する。ある程度の大きさに固まった粘土を超速硬セメントによりさらに水分を吸収し、粘土内の水と超速硬セメントとが反応して超速硬セメントが硬化する。その結果、道床5内の粘土の水分も吸収されるため、軌道沈下がより一層抑制される。
【0034】
次に、この発明の第1実施形態に係るバラスト軌道の補修方法について説明する。
図4に示す補修方法#100は、バラスト軌道2を補修材Mによって補修するバラスト軌道2の補修方法である。補修方法#100は、バラスト軌道2の沈下を補修材Mによって抑制する軌道補修方法(超低強度安定処理工法)である。補修方法#100は、穴あけ工程#110と、補修材投入工程#120と、混合工程#130などを含む。
【0035】
穴あけ工程#110は、まくらぎ4下に向けてバラスト軌道2に補修材投入穴5aをあける工程である。穴あけ工程#110では、
図6(A)及び
図7(A)に示すように、タイタンパTでまくらぎ4下まで所定深さの補修材投入穴5aをあける。ここで、補修材投入穴5aは、補修材Mを投入するための穴であり、道床5の表面からまくらぎ4の下方まで斜め方向に形成されている。タイタンパTは、バラスト軌道2の沈下を整正するために道床バラスト6のつき固めを行う保線機械である。タイタンパTは、保線作業員によって操作されるエンジン付きタイタンパであり、電動の先端部をまくらぎ4下の道床バラスト6内に挿入して、前後左右に傾けながら振動によってまくらぎ4下に道床バラスト6を挿入する。穴あけ工程#110では、例えば、
図1に二点鎖線で示すように、まくらぎ1本当たり8箇所に補修材投入穴5aを道床5にあける。
【0036】
補修材投入工程#120は、補修材投入穴5aに補修材Mを投入する工程である。補修材投入工程#120では、保線作業員が補修材Mを補修材投入穴5aに投入する。補修材投入工程#120では、例えば、
図1に二点鎖線で示す8箇所の補修材投入穴5aに、
図6(B)及び
図7(B)に示すように補修材Mが投入される。
【0037】
混合工程#130は、まくらぎ4下の既設の道床バラスト6と補修材Mとを混合する工程である。混合工程#130では、
図6(C)及び
図7(C)に示すように、既設の道床バラスト6と補修材Mとをまくらぎ4下にタイタンパTによってつき入れて、既設の道床バラスト6と補修材Mとを混合する。混合工程#130では、補修材Mを投入後の補修材投入穴5aを既設の道床バラスト6によって埋め戻し、従来のタイタンパTによって道床5のつき固め作業を行う。混合工程#130では、既設の道床バラスト6及び補修材MをタイタンパTによって混合しながら、まくらぎ4下にタイタンパTによって挿入する。
【0038】
この発明の第1実施形態に係るバラスト軌道の補修方法とその補修材及びバラスト軌道には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、まくらぎ4下の既設の道床バラスト6と、超速硬セメント及び高分子凝集剤を含有し、水を含有しない補修材Mとを混合する。このため、まくらぎ4下の既設の道床バラスト6に、超速硬セメント及び高分子凝集剤を混合することによって、安定処理して軌道沈下を抑制することができる。その結果、簡単な作業によって道床バラスト6の強度低下を防止することができる。また、水を使用しないため、初期沈下を防止することができるとともに、道床バラスト6の強度低下を防止することができる。さらに、大規模災害などによって土砂が混入したバラスト軌道2を早期に復旧することができる。
【0039】
(2) この第1実施形態では、アクリルアミド系の高分子凝集剤を含有する補修材Mと既設の道床バラスト6とを混合する。このため、高分子凝集剤によって道床5内の細かい土などに含まれる水を吸着して、道床5内の水の量を低減することができる。その結果、既設の道床バラスト6による強度を担保しつつ、軌道沈下の要因となる水分を排除し、軌道沈下を抑制することができる。
【0040】
(3) この第1実施形態では、まくらぎ4下に向けてバラスト軌道2に補修材投入穴5aをあけて、補修材Mを補修材投入穴5aに投入し、既設の道床バラスト6と補修材Mとをまくらぎ4下にタイタンパTによってつき入れて、既設の道床バラスト6と補修材Mとを混合する。このため、タイタンパTを用いて土砂が混入した道床バラスト6に補修材Mを混合し、安定処理して軌道沈下を抑制することができる。また、補修材投入穴5aに補修材Mを散布してから、通常の補修工事のようにタイタンパTで突き固めるだけで、補修効果が持続する沈下抑制対策工を容易に実現することができる。さらに、従来のつき固めによる補修時と概ね同等の作業量で簡単に施工することができる。
【0041】
(第2実施形態)
以下では、
図1~
図6に示す部分と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図8に示す補修方法#100は、補修材散布工程##140と混合工程#150などを含む。
図8に示す補修方法#100は、
図4に示す補修方法#100とは異なり、穴あけ工程#110が省略されている。
図8に示す補修方法#100では、例えば、道床5の表層の道床バラスト6に空隙があるようなときには、
図1、
図5及び
図6(A)に示すような補修材投入穴5aをあけずに、
図9及び
図10に示すように表層の道床バラスト6に補修材Mを散布した後に、つき固め補修を実施する。
【0042】
図8に示す補修材散布工程#140は、バラスト軌道2に補修材Mを散布する工程である。補修材散布工程#140では、
図9及び
図10に示すように、道床5の表面の道床バラスト6に保線作業員が補修材Mを散布すると、表層の道床バラスト6間の隙間から補修材Mが浸入して、補修材Mが道床5内を下方に落下し、道床5内に補修材Mが入り込む。
【0043】
混合工程#150は、まくらぎ4下の既設の道床バラスト6と補修材Mとを混合する工程である。混合工程#150では、
図10(C)に示すように、既設の道床バラスト6と補修材Mとをまくらぎ4下にタイタンパTによってつき入れて、既設の道床バラスト6と補修材Mとを混合する。混合工程#150では、
図9及び
図10(C)に示すように、補修材Mが散布された後の既設の道床バラスト6を、従来のタイタンパTによってまくらぎ4下につき入れて、道床5のつき固め作業を行う。混合工程#150では、既設の道床バラスト6及び補修材MをタイタンパTによって混合しながら、まくらぎ4下にタイタンパTによって挿入する。
【0044】
この発明の第2実施形態に係るバラスト軌道の補修方法には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第2実施形態では、バラスト軌道4に補修材Mを散布し、既設の道床バラスト6と補修材Mとをまくらぎ4下にタイタンパTによってつき入れて、既設の道床バラスト6と補修材Mとを混合する。このため、第1実施形態のようなまくらぎ4下に向けてバラスト軌道2に補修材投入穴5aをあける穴あけ工程#110が必要なくなって、短時間に沈下抑制対策工を実施することができ、作業量を軽減することができる。
【0045】
(第3実施形態)
混合工程#150では、
図12(C)に示すように、既設の道床バラスト6と補修材Mとをまくらぎ4下に保守用重機Eによってつき入れて、既設の道床バラスト6と補修材Mとを混合する。ここで、保守用重機Eは、レール3に沿って走行しながら道床バラスト6を連続して自動的につき固めるマルチプルタイタンパのような保線機械である。マルチプルタイタンパは、まくらぎ4を挟み込むように、左右のレール3の内側及び外側にまくらぎ1本当たり合計8本(
図11では片側4本のみを示す)のタイピングツールを備えている。混合工程#150では、
図11及び
図12(C)に示すように、補修材Mが散布された後の既設の道床バラスト6を、保守用重機Eによってまくらぎ4下につき入れて、道床5のつき固め作業を行う。混合工程#150では、既設の道床バラスト6及び補修材Mを保守用重機Eによって混合しながら、まくらぎ4下に保守用重機Eによって挿入する。混合工程#150では、例えば、マルチプルタイタンパの振動するタイピングツールを、まくらぎ4を挟み込むように道床バラスト6内に差し込み、補修材Mと道床バラスト6とをまくらぎ4下に押し込みつつ、マルチプルタイタンパのクランプによってレール3を保持しながら移動する。
【0046】
この発明の第3実施形態に係るバラスト軌道の補修方法には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第3実施形態では、バラスト軌道4に補修材Mを散布し、既設の道床バラスト6と補修材Mとをまくらぎ4下に保守用重機Eによってつき入れて、既設の道床バラスト6と補修材Mとを混合する。このため、例えば、補修材Mを散布した後の既設の道床バラスト6をマルチプルタイタンパのような保守用重機Eのつき固めツールによってまくらぎ4下に押し込み、その後につき固め補修を実施することができる。その結果、沈下抑制対策工を実施する際の保線作業者の負担を軽減することができる。
【実施例】
【0047】
次に、この発明の実施例について説明する。
図2、
図3及び
図6に示す道床バラスト6の補修方法(超低強度安定処理工法)による補修効果を確認するために、実物大模型を用いた繰返し載荷試験を行った。実物の軌道は、左右のレールを1本のまくらぎにレール締結装置によって締結した状態で、路盤上に敷設した。
【0048】
図7(A)に示すようにエンジン付きタイタンパによってまくらぎ1本当たり8箇所の穴をまくらぎとレールが交差するバラストにあけた。次に、
図7(B)に示すようにバラストにあけた穴に、超速硬セメント及び高分子凝集剤の補修材を投入した。超速硬セメントは、デンカ株式会社製の補修・補強用セメント(商品名:デンカスーパーセメント)を使用した。高分子固化材は、テクニカ合同株式会社製の掘削土砂改良固化剤(ポリマー系固化剤(商品名:TGロック))を使用した。次に、
図7(C)に示すように、通常のつき固め補修(1分間/箇所)と同様に、従来のタイタンパを用いてつき固めて、まくらぎ下の道床バラストと補修材とを混合した。載荷荷重は最小荷重5kN及び最大荷重85kN(荷重振幅80kN)であり、載荷周波数5Hzの正弦波で載荷回数30万回の繰返し載荷を行った。
【0049】
図13は、載荷回数とまくらぎの沈下量との関係を示す試験結果である。
図13に示す横軸は、載荷回数(万回)であり、縦軸は沈下量(mm)である。
図13に示す実施例1は、超速硬セメント及び高分子凝集剤によって、1回補修した場合の超低強度安定化処理工法による試験結果である。実施例2は、超速硬セメント及び高分子凝集剤によって、2回補修した場合の超低強度安定化処理工法による試験結果である。実施例3は、実施例2の超低強度安定化処理工法による補修後に、通常のタイタンパを用いて通常の補修を実施したときの再補修後の試験結果である。比較例は、無対策の場合の試験結果である。
【0050】
比較例は、通常のタイタンパによってつき固め補修をしただけの場合であり、細粒分含有率F
C=12%であって比較的劣化が進んでいる。ここで、細粒分含有率F
Cは、バラスト内の細粒分の割合であり、細粒化が進むほど大きくなる。細粒分含有率F
Cが大きくなると、レールの長手方向や左右方向の形状が変化する軌道変位の進展が大きくなることが室内試験で確認されている。比較例では、噴泥箇所と同様の粒度分布の道床バラストを用いた繰返し載荷試験を実施したところ、
図13に示すように載荷開始から沈下が急進し、その後も沈下がなだらかに進行して、30万回の繰返し載荷で27mm程度の沈下が生じた。
【0051】
一方、実施例1は、超低強度安定化処理工法によって1回補修することで、
図13に示すように30万回後の沈下量を6mm程度に低減することができた。その結果、実施例1では、比較例の無対策の場合に比べて沈下量を78%低減できることが確認された。実施例2は、超低強度安定化処理工法によって2回補修することで、
図13に示すように30万回後の沈下量を3.5mm程度に低減することができた。その結果、実施例2では、比較例の無対策の場合に比べて87%低減できることが確認され、もう一度補修をすることによって実施例1に比べて沈下量をより一層低減できることが確認された。実施例3は、実施例2の超低強度安定化処理工法によって2回補修した後に、タイタンパを用いて通常の補修を実施したところ、沈下量は6mm程度であり、実施例1の超低強度安定処理工法の1回目と同程度の沈下量であった。その結果、実施例3では、実施例1,2のような超低強度安定化処理工法を実施したバラスト軌道について、通常のタイタンパを用いた再補修を実施しても、一定の沈下抑制効果が保持されることが確認された。
【0052】
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
この実施形態では、まくらぎ4がコンクリート製のまくらぎである場合を例に挙げて説明したが、木製の木まくらぎ、ガラス長繊維によって強化された発泡ウレタン樹脂を成形した合成まくらぎ、又は鉄製の鉄まくらぎの場合についても、この発明を適用することができる。また、この第3実施形態では、保守用重機Eとしてマルチプルタイタンパを例に挙げて説明したが、マルチプルタイタンパにこの発明を限定するものではない、例えば、マルチプルタイタンパと同様の機能を有するユニット部を搭載し、軌道と道路の双方を走行可能な構造を有する軌陸車や、マルチプルタイタンパと同様の機能を有する付属装置をバックホウに取り付けて軌道と道路の双方を走行可能な構造を有する軌陸車などの保守用重機についても、この発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 路盤
2 バラスト軌道(軌道)
3 レール
4 まくらぎ
5 道床
5a 補修材投入穴
6 道床バラスト
7 補修バラスト層
M 補修材
T タイタンパ
E 保守用重機