(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-09
(45)【発行日】2025-04-17
(54)【発明の名称】プランター
(51)【国際特許分類】
A01G 9/02 20180101AFI20250410BHJP
【FI】
A01G9/02 103G
(21)【出願番号】P 2025012116
(22)【出願日】2025-01-28
【審査請求日】2025-01-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592124469
【氏名又は名称】迎 寿
(73)【特許権者】
【識別番号】525035729
【氏名又は名称】古瀬 千寿美
(73)【特許権者】
【識別番号】525035730
【氏名又は名称】峯野 祐子
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】迎 寿
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-533050(JP,A)
【文献】特開2012-70723(JP,A)
【文献】実開昭55-157844(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/00 - 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一形状の少なくとも5枚のパネルを同一形状の連結体で連結した組立式のプランターであり、
各パネルは、正方形状のパネルベースの四辺それぞれに連結体を着脱自在に装着可能な連結部を設け、あるパネルの連結部とそのパネルを90°回転させた状態の他のパネルの連結部とを連結体で連結することでプランターを組立可能とするとともに、いずれかのパネルを表裏反転させても連結部同士を連結体で連結することでプランターを組立可能とし、
底側に配置したパネルとその左側と右側と前側と後側にそれぞれ配置したパネルとを連結体で連結するとともに、左側のパネルと前側のパネル、前側のパネルと右側のパネル、右側のパネルと後側のパネル、後側のパネルと左側のパネルとを連結体で連結することで、上方を開口させた立方体状の基本形となるプランターを形成し、
底側に配置したパネルの前後左右いずれか側に新たなパネルを増設することで、基本形となるプランターを水平方向に変形させた水平拡張形のプランターを形成可能とし、
また、前後左右側に配置したそれぞれのパネルの上側に新たなパネルを増設することで、基本形となるプランターを垂直方向に変形させた垂直拡張形のプランターを形成可能としたことを特徴とするプランター。
【請求項2】
前記各パネルに通気性及び通水性を有する貫通孔を形成したことを特徴とする請求項1に記載のプランター。
【請求項3】
前記各パネルにリブを間隔をあけて形成し、リブの間隔に連結体を着脱自在に装着可能としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプランター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プランターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プランターは、ベランダやバルコニーや庭の一角において草花等の植物を栽培するために広く利用されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
このプランターとしては、上方を開口させた横長矩形箱型形状のプラスチック製や陶磁器製などのものが市販されている。
【0004】
そして、市販されているプランターが縦や横や高さが異なる各種の横長矩形箱型形状となっているため、使用者は、設置する場所に応じて縦や横や高さが異なる複数のプランターを購入し、それらを組み合わせて使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のプランターでは、縦や横や高さが異なる横長矩形箱型形状のものを組み合わせて使用せざるを得ないために、設置する場所の形状や使用者の好みや栽培する植物に適した形態でプランターを設置することが難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、請求項1に係る本発明では、同一形状の少なくとも5枚のパネルを同一形状の連結体で連結した組立式のプランターであり、各パネルは、正方形状のパネルベースの四辺それぞれに連結体を着脱自在に装着可能な連結部を設け、あるパネルの連結部とそのパネルを90°回転させた状態の他のパネルの連結部とを連結体で連結することでプランターを組立可能とするとともに、いずれかのパネルを表裏反転させても連結部同士を連結体で連結することでプランターを組立可能とし、底側に配置したパネルとその左側と右側と前側と後側にそれぞれ配置したパネルとを連結体で連結するとともに、左側のパネルと前側のパネル、前側のパネルと右側のパネル、右側のパネルと後側のパネル、後側のパネルと左側のパネルとを連結体で連結することで、上方を開口させた立方体状の基本形となるプランターを形成し、底側に配置したパネルの前後左右いずれか側に新たなパネルを増設することで、基本形となるプランターを水平方向に変形させた水平拡張形のプランターを形成可能とし、また、前後左右側に配置したそれぞれのパネルの上側に新たなパネルを増設することで、基本形となるプランターを垂直方向に変形させた垂直拡張形のプランターを形成可能とすることにした。
【0008】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記各パネルに通気性及び通水性を有する貫通孔を形成することにした。
【0009】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記各パネルにリブを間隔をあけて形成し、リブの間隔に連結体を着脱自在に装着可能とすることにした。
【発明の効果】
【0010】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0011】
すなわち、本発明では、同一形状の少なくとも5枚のパネルを同一形状の連結体で連結した組立式のプランターであり、各パネルは、正方形状のパネルベースの四辺それぞれに連結体を着脱自在に装着可能な連結部を設け、あるパネルの連結部とそのパネルを90°回転させた状態の他のパネルの連結部とを連結体で連結することでプランターを組立可能とするとともに、いずれかのパネルを表裏反転させても連結部同士を連結体で連結することでプランターを組立可能とし、底側に配置したパネルとその左側と右側と前側と後側にそれぞれ配置したパネルとを連結体で連結するとともに、左側のパネルと前側のパネル、前側のパネルと右側のパネル、右側のパネルと後側のパネル、後側のパネルと左側のパネルとを連結体で連結することで、上方を開口させた立方体状の基本形となるプランターを形成し、底側に配置したパネルの前後左右いずれか側に新たなパネルを増設することで、基本形となるプランターを水平方向に変形させた水平拡張形のプランターを形成可能とし、また、前後左右側に配置したそれぞれのパネルの上側に新たなパネルを増設することで、基本形となるプランターを垂直方向に変形させた垂直拡張形のプランターを形成可能とすることにしているために、プランターを設置する場所の形状や使用者の好みや栽培する植物に適した形態でプランターを設置することができる。
【0012】
特に、前記各パネルに通気性及び通水性を有する貫通孔を形成した場合には、プランターの外側から貫通孔を介してプランターの内部の土の脱気や排水を容易に行うことができる。
【0013】
また、前記各パネルにリブを間隔をあけて形成し、リブの間隔に連結体を着脱自在に装着可能とした場合には、連結体をパネルに収容することができるとともに、プランターの上方に被せたビニール等のシートをリブにおいて連結体で挟んで固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係るプランターの基本形を示す斜視図。
【
図2】プランターの組立方法を示す分解斜視説明図。
【
図4】パネルを示す平面図(a)、左側面図(b)、正面図(c)。
【
図5】パネルを示す背面図(a)、A-A断面図(b)、B-B断面図(c)。
【
図6】連結体を示す左側面図(a)、正面図(b)。
【
図7】連通管の使用状態を示す平面図(a)、垂直断面図(b)。
【
図8】潅水具の使用状態を示す平面図(a)、正面図(b)、垂直断面図(c)。
【
図9】支柱の使用状態を示す平面図(a)、垂直断面図(b)。
【
図10】パネルを示す表面斜視図(a)、裏面斜視図(b)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係るプランターの具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1に示すように、プランター1は、同一形状の少なくとも5枚のパネル2を同一形状の連結体3で連結することで立方体状のプランター1を組み立てることができる組立式のプランター1となっている。
【0017】
各パネル2は、正面視で正方形状のパネルベース4の四辺それぞれに連結体3を着脱自在に装着可能な連結部5を設け、あるパネル2の連結部5とそのパネル2(パネルベース4)を正面視で90°回転させた状態の他のパネル2の連結部5とを連結体3で連結することでプランター1を組立可能となっており、いずれかのパネル2を表裏反転させても連結部5同士を連結体3で連結することでプランター1を組立可能となっている。
【0018】
そして、
図2に示すように、底側に配置したパネル2とその左側と右側と前側と後側にそれぞれ配置したパネル2とを連結体3で連結するとともに、左側のパネル2と前側のパネル2、前側のパネル2と右側のパネル2、右側のパネル2と後側のパネル2、後側のパネル2と左側のパネル2とを連結体3で連結することで、
図1に示すような上方を開口させた立方体状の基本形となるプランター1を形成することができる。
【0019】
このプランター1は、
図3(a)に示すように、一部又は全部のパネル2を表裏反転させて組み立てることで表裏反転形となるプランター1aを形成することができ、また、
図3(b)に示すように、底側に配置したパネル2の前後左右いずれか側に新たなパネル2を増設することで、基本形となるプランター1を水平方向に変形させた水平拡張形のプランター1bを形成することができ、また、
図3(c)に示すように、前後左右側に配置したそれぞれのパネル2の上側に新たなパネル2を増設することで、基本形となるプランター1を垂直方向に変形させた垂直拡張形のプランター1cを形成することができ、さらには、
図3(d)に示すように、新たなパネル2を増設することで、基本形となるプランター1を水平方向や垂直方向に様々に変形させた水平垂直拡張形となるプランター1dを形成することができる。
【0020】
このように、設置する場所の形状や使用者の好みや栽培する植物に応じて、それに適した形態のプランター1,1a,1b,1c,1dを設置することができる。また、プランター1,1a,1b,1c,1dの底側のパネル2にキャスターを取付けて、容易に移動できるようにすることもできる。
【0021】
このプランター1は、上記構成となっていれば形状が限定されるものではないが、たとえば、
図4及び
図5に示すように、パネル2は、薄板正方形状のパネルベース4の中央に表裏貫通する通気性及び通水性を有する貫通孔6を形成し、パネルベース4の一面(裏面)に正方形枠型のリブ7,8を間隔をあけて形成するとともに、内側のリブ8と貫通孔6の周囲の間に概略十字状のリブ9を形成している。なお、外側のリブ7と内側のリブ8との間隔は、連結体3を嵌入できる間隔として、リブ7,8の間隔に連結体3を着脱自在に装着できるようにしている。
【0022】
また、各パネル2は、パネルベース4の上辺(リブ7の上部)及び下辺(リブ7の下部)にそれぞれ2個の連結部5を左右に間隔をあけて形成するとともに、パネルベース4の左辺(リブ7の左部)及び右辺(リブ7の右部)に1個の連結部5を形成している。なお、全ての連結部5は、パネルベース4の各辺の1/3の長さで同一形状となっている。
【0023】
連結部5には、パネル2の各辺に沿って伸延する断面円形状の挿通孔10が形成されており、この挿通孔10に連結体3を着脱自在に嵌入することができるようになっている。
【0024】
各パネル2において、パネルベース4の上辺及び下辺には、左右端部それぞれに連結部5を形成し、左右の連結部5の間隔を連結部5の長さと同一とし、また、パネルベース4の左辺及び右辺には、中央部に連結部5を形成し、左右を連結部5の長さと同一としている。
【0025】
これにより、一のパネル2の上辺又は下辺に形成した左右2個の連結部5,5の間に、他のパネル2の左辺又は右辺に形成した中央1個の連結部5を他のパネル2を90°回転させた状態で挿入し、3個の連結部5の挿通孔10を一直線上に合わせた状態で1本の連結体3を挿通することで、2枚のパネル2を連結することができる。
【0026】
連結体3は、
図6に示すように、中空円筒形状となっている。この連結体3は、連結部5の挿通孔10に挿通(嵌入)することができるように、挿通孔10の断面と同一外形を有しており、挿通孔10の内径と連結体3の外径を同一とし、また、パネル2同士の連結によって連結体3の端部が連結部5から張り出さないように、パネル2のパネルベース4の各辺の長さと同一かそれよりも短くしている。なお、連結体3を連結部5の挿通孔10に嵌入することができればよく、断面を矩形や多角形や楕円としてもよいが、断面を円形とすることで、連結後にパネル2を連結体3を中心にして回転させることができるので、同一平面上でパネル2を並べた状態で連結体3で連結した後にパネル2を回転させて組み立てることができて組立作業性を向上させることができる。
【0027】
プランター1は、以上に説明したように構成しており、
図7に示すように、上方の開口部から内部に土11を入れて草花等の植物の栽培を行うことができるようになっている。
【0028】
その際に、プランター1では、パネル2に貫通孔6が形成されているために、プランター1の外側から貫通孔6を介してプランター1の内部の土11の脱気や排水を容易に行うことができ、また、パネル2の貫通孔6に脱気や排水を行わせるための連通管12を挿入して、土11の内部の任意の位置からの脱気や排水を容易に行うことができる。ここで、連通管12は、中空円筒管の先端部を先鋭状に切断し、網等の多孔体で先端部を被覆して、土11の流出を阻害するようにしている。
【0029】
また、プランター1では、
図8に示すように、パネル2の貫通孔6に組立式の潅水具13を着脱自在に装着して、プランター1の内部の土に潅水することができる。ここで、潅水具13は、上下に伸延するジョウロ部14の下端部に通水部15を連通連結し、通水部15の一端部に貯水部16を上下回動自在に連通連結するとともに、通水部15の他端部に給水部17を設けている。潅水具13は、ジョウロ部14と通水部15と貯水部16と給水部17とに分離可能となっている。ジョウロ部14は、中空円筒状の支柱14aの上端部にジョウロ14bを着脱自在に取付けており、ジョウロ14bを支柱14aから外して使用することもでき、支柱14aで草木等の植物を支えられるようにしている。ジョウロ14bの内側には中空状の浮き14cが設けられており、降雨時等に雨水等の水がジョウロ14bから支柱14aに流れるとともに、晴天時等においてジョウロ14bを塞いで水の蒸発を防止できるようにしている。また、通水部15は、貯水部16側よりも給水部17側を高くしてジョウロ部14からの水を貯水部16に円滑に流れるようにしている。また、貯水部16は、通水部15に回動自在のジョイント16aを介してペットボトル等の貯水容器16bを連結しており、集水時には貯水容器16bを下げた状態にしておき、潅水時には貯水容器16bをジャッキや手で持上げた状態にする。貯水容器16bは、ゴム製等のパッキン16cを介して着脱できるようにしている。給水部17は、通水部15に着脱自在に挿通させたキッチンペーパー等の通水性を有する通水体17aの一端部を貯水部16の貯水容器16bに配置するとともに他端部を土11の内部に敷いたキッチンペーパー等の通水性を有する通水体17bに接触させている。これにより、潅水具13は、ジョウロ部14で雨水等の水を集めて貯水部16で一時的に貯めておき、貯水部16からの水圧や浸透圧で通水部15を通過した水が給水部17を通って土11に潅水することができるようになっている。
【0030】
また、プランター1では、
図9に示すように、外側のリブ7と内側のリブ8との間隔に連結体3を着脱自在に装着(嵌入)できるようになっているために、パネル2の2個の連結部5や2個の連結部5に挿入した連結体3に逆U字状等の門型の支柱18を跨設することができ、プランター1の上方で支柱18,18に被せたビニール等のシート19の端部をリブ7,8において連結体3で挟んで(連結体3を圧入して)固定することができる。
【0031】
なお、上記プランター1では、あるパネル2とそのパネル2を90°回転させた状態の他のパネル2の連結部5とを連結して組み立てることができればよく、たとえば、
図10に示すように、パネル2’の正方形状のパネルベース4’の各辺に一片の1/2の長さの連結部5'を同一端部に形成したものでもよい。
【符号の説明】
【0032】
1,1a,1b,1c,1d プランター 2,2’ パネル
3 連結体 4,4’ パネルベース
5,5’ 連結部 6 貫通孔
7,8,9 リブ 10 挿通孔
11 土 12 連通管
13 潅水具 14 ジョウロ部
14a 支柱 14b ジョウロ
14c 浮き 15 通水部
16 貯水部 16a ジョイント
16b 貯水容器 16c パッキン
17 給水部 17a,17b 通水体
18 支柱 19 シート
【要約】
【課題】プランターを設置する場所の形状や使用者の好みや栽培する植物に適した形態でプランターを設置できるようにすること。
【解決手段】本発明では、同一形状の少なくとも5枚のパネル(2)を同一形状の連結体(3)で連結した組立式のプランター(1)であり、各パネル(2)は、正方形状のパネルベース(4)の四辺それぞれに連結体(3)を着脱自在に装着可能な連結部(5)を設け、あるパネル(2)の連結部(5)とそのパネル(2)を90°回転させた状態の他のパネル(2)の連結部(5)とを連結体(3)で連結することでプランター(1)を組立可能とするとともに、いずれかのパネル(2)を表裏反転させても連結部(5)同士を連結体(3)で連結することでプランター(1)を組立可能とすることにした。
【選択図】
図1