(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-10
(45)【発行日】2025-04-18
(54)【発明の名称】エレベーターのロープ取付装置
(51)【国際特許分類】
B66B 7/08 20060101AFI20250411BHJP
【FI】
B66B7/08 D
(21)【出願番号】P 2023216406
(22)【出願日】2023-12-22
【審査請求日】2023-12-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003568
【氏名又は名称】弁理士法人加藤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】開 和洋
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 紘平
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-285277(JP,A)
【文献】特開2005-126218(JP,A)
【文献】特開2002-003126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00 - 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路の上部に水平に配置された固定部に取り付けられる支持部と、
前記固定部から下方へ離れた位置において前記支持部に取り付けられるロープ止め部と
を備え、
前記ロープ止め部は、吊り部材と、昇降体を吊り下げるロープの端部であるロープ端末が前記固定部から下方へ離れた状態で前記ロープ端末を前記吊り部材に取り付けるロープ端末取付具とを有しており、
前記支持部は、連結部材と、前記連結部材を前記固定部に取り付ける第1支持取付具と、前記連結部材を前記吊り部材に取り付ける第2支持取付具とを有しており、
前記連結部材は、上下方向に沿って配置されるロッド部を有しており、
前記固定部及び前記吊り部材の少なくともいずれかは、前記ロッド部が取り付けられるロッド取付対象部となっており、
前記第1支持取付具及び前記第2支持取付具のうち、前記ロッド取付対象部に前記ロッド部を取り付ける支持取付具は、支持位置調整具となっており、
前記吊り部材に対する前記ロープ端末の位置は、前記ロープ端末取付具によって上下方向へ調整可能であり、
前記ロッド取付対象部に対する前記支持部の位置は、前記支持位置調整具によって前記ロッド部に沿って調整可能であり、
前記固定部は、水平方向に対して、前記支持部が取り付けられる箇所の両側が固定されて
おり、
前記固定部は、建築梁であり、
前記連結部材は、上下方向に沿って配置されており、
前記第1支持取付具は、前記連結部材の上端部を前記建築梁に取り付けており、
前記連結部材は、前記建築梁から下方へ吊り下がっているエレベーターのロープ取付装置。
【請求項2】
昇降路の上部に水平に配置された固定部に取り付けられる支持部と、
前記固定部から下方へ離れた位置において前記支持部に取り付けられるロープ止め部と
を備え、
前記ロープ止め部は、吊り部材と、昇降体を吊り下げるロープの端部であるロープ端末が前記固定部から下方へ離れた状態で前記ロープ端末を前記吊り部材に取り付けるロープ端末取付具とを有しており、
前記支持部は、連結部材と、前記連結部材を前記固定部に取り付ける第1支持取付具と、前記連結部材を前記吊り部材に取り付ける第2支持取付具とを有しており、
前記連結部材は、上下方向に沿って配置されるロッド部を有しており、
前記固定部及び前記吊り部材の少なくともいずれかは、前記ロッド部が取り付けられるロッド取付対象部となっており、
前記第1支持取付具及び前記第2支持取付具のうち、前記ロッド取付対象部に前記ロッド部を取り付ける支持取付具は、支持位置調整具となっており、
前記吊り部材に対する前記ロープ端末の位置は、前記ロープ端末取付具によって上下方向へ調整可能であり、
前記ロッド取付対象部に対する前記支持部の位置は、前記支持位置調整具によって前記ロッド部に沿って調整可能であり、
前記固定部は、水平方向に対して、前記支持部が取り付けられる箇所の両側が固定されており、
前記固定部は、前記昇降体を移動させる駆動力を発生する駆動装置の荷重を受ける機械台の上部において前記機械台の本体部分から水平に張り出している張出板部であり、
前記機械台は、前記昇降路内に固定され前記昇降路の底部から前記昇降路の上部に達しかごガイドレール及び釣合おもりガイドレールを固定する支持構造体に支持されてい
るエレベーターのロープ取付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターのロープ取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、トラクション式のエレベーターでは、かご及び釣合おもりがロープによって吊り下げられている。昇降路の底部には、かご側緩衝器及び釣合おもり側緩衝器が設置されている。かごが最上階に停止したときの釣合おもりと釣合おもり側緩衝器との間の寸法、即ち釣合おもり側ランバイ寸法は、規定範囲内に維持されることが要求されている。しかし、ロープには、かご及び釣合おもりのそれぞれの荷重が常に加わっている。このため、ロープが経年的に伸びる。これにより、かごと釣合おもりとの位置関係が経年的に変化し、釣合おもり側ランバイ寸法が規定範囲よりも小さくなることがある。
【0003】
特許文献1には、ロープの端部に設けられたロッドを支持プレートにばねを介して支持し、ロッドの位置を支持プレートに対して調整することにより、かごと釣合おもりとの位置関係を調整するエレベーターのロープ長さ調整装置が開示されている。ロッドには、ばねを介して支持プレートに掛かるばね固定ナットがねじ込まれている。ロープ長さ調整装置では、ばね固定ナットの位置をロッドに対して調整することにより、ロッドの位置が支持プレートに対して調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された従来のエレベーターのロープ長さ調整装置では、ロープの端部に設けられたロッドの長さの範囲内においてのみ、ロッドの位置が支持プレートに対して調整される。従って、ロープの伸びの大きさがロッドの長さの範囲よりも大きくなると、ロープの伸びの大きさのうち、ロッドの長さを超えた範囲においては、ロッドの位置を支持プレートに対して調整することができなくなってしまう。
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決するものであり、固定部に対するロープ端末の位置をより確実に調整することができるエレベーターのロープ取付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るエレベーターのロープ取付装置は、昇降路の上部に水平に配置された固定部に取り付けられる支持部と、固定部から下方へ離れた位置において支持部に取り付けられるロープ止め部とを備え、ロープ止め部は、吊り部材と、昇降体を吊り下げるロープの端部であるロープ端末が固定部から下方へ離れた状態でロープ端末を前記吊り部材に取り付けるロープ端末取付具とを有しており、支持部は、連結部材と、連結部材を固定部に取り付ける第1支持取付具と、連結部材を吊り部材に取り付ける第2支持取付具とを有しており、連結部材は、上下方向に沿って配置されるロッド部を有しており、固定部及び吊り部材の少なくともいずれかは、ロッド部が取り付けられるロッド取付対象部となっており、第1支持取付具及び第2支持取付具のうち、ロッド取付対象部にロッド部を取り付ける支持取付具は、支持位置調整具となっており、吊り部材に対するロープ端末の位置は、ロープ端末取付具によって上下方向へ調整可能であり、ロッド取付対象部に対する支持部の位置は、支持位置調整具によってロッド部に沿って調整可能であり、前記固定部は、水平方向に対して、前記支持部が取り付けられる箇所の両側が固定されており、固定部は、建築梁であり、連結部材は、上下方向に沿って配置されており、第1支持取付具は、連結部材の上端部を建築梁に取り付けており、連結部材は、建築梁から下方へ吊り下がっている。
また、本開示に係るエレベーターのロープ取付装置は、昇降路の上部に水平に配置された固定部に取り付けられる支持部と、固定部から下方へ離れた位置において支持部に取り付けられるロープ止め部とを備え、ロープ止め部は、吊り部材と、昇降体を吊り下げるロープの端部であるロープ端末が固定部から下方へ離れた状態でロープ端末を前記吊り部材に取り付けるロープ端末取付具とを有しており、支持部は、連結部材と、連結部材を固定部に取り付ける第1支持取付具と、連結部材を吊り部材に取り付ける第2支持取付具とを有しており、連結部材は、上下方向に沿って配置されるロッド部を有しており、固定部及び吊り部材の少なくともいずれかは、ロッド部が取り付けられるロッド取付対象部となっており、第1支持取付具及び第2支持取付具のうち、ロッド取付対象部にロッド部を取り付ける支持取付具は、支持位置調整具となっており、吊り部材に対するロープ端末の位置は、ロープ端末取付具によって上下方向へ調整可能であり、ロッド取付対象部に対する支持部の位置は、支持位置調整具によってロッド部に沿って調整可能であり、前記固定部は、水平方向に対して、前記支持部が取り付けられる箇所の両側が固定されており、固定部は、昇降体を移動させる駆動力を発生する駆動装置の荷重を受ける機械台の上部において機械台の本体部分から水平に張り出している張出板部であり、機械台は、昇降路内に固定され昇降路の底部から昇降路の上部に達しかごガイドレール及び釣合おもりガイドレールを固定する支持構造体に支持されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、固定部に対するロープ端末の位置をより確実に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係るエレベーターを示す模式的な構成図である。
【
図2】
図1の釣合おもり側ロープ取付装置を巻上機の正面側から見たときの状態を示す斜視図である。
【
図3】
図2の釣合おもり側ロープ取付装置を巻上機の背面側から見たときの状態を示す斜視図である。
【
図4】実施の形態2に係るエレベーターの釣合おもり側ロープ取付装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の対象を実施するための形態について添付の図を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。なお、本開示の対象は、以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、又は実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーターを示す模式的な構成図である。図において、昇降路1内には、かご2及び釣合おもり3がそれぞれ昇降体として複数本のロープ4によって吊り下げられている。
図1では、簡単のため、1本のロープ4のみを示している。
【0012】
かご2は、かご本体21と、一対のかご吊り車22とを有している。一対のかご吊り車22は、かご本体21の下部に設けられている。
【0013】
釣合おもり3は、釣合おもり本体31と、おもり吊り車32とを有している。おもり吊り車32は、釣合おもり本体31の上部に設けられている。
【0014】
昇降路1の上部には、機械台5が配置されている。機械台5は、昇降路1内に固定された後述する支持構造体に固定されている。機械台5には、駆動装置である巻上機6が載せられている。従って、機械台5は、巻上機6の荷重を受けている。巻上機6は、かご2及び釣合おもり3を移動させる駆動力を発生する。
【0015】
巻上機6は、巻上機本体61と、駆動シーブ62とを有している。駆動シーブ62は、巻上機本体61に設けられている。巻上機本体61は、モータを有している。巻上機本体61のモータは、駆動シーブ62を回転させる駆動力を発生する。
【0016】
機械台5には、2つのロープ取付装置が設けられている。即ち、機械台5には、かご側ロープ取付装置7と、釣合おもり側ロープ取付装置8とが設けられている。釣合おもり側ロープ取付装置8は、かご側ロープ取付装置7よりも巻上機6に近い位置に配置されている。
【0017】
各ロープ4の両端部のうち、一方の端部は第1ロープ端末41となっており、他方の端部は第2ロープ端末42となっている。第1ロープ端末41は、かご側ロープ取付装置7に取り付け可能なロープ端末である。第2ロープ端末42は、釣合おもり側ロープ取付装置8に取り付け可能なロープ端末である。各第1ロープ端末41は、かご側ロープ取付装置7に取り付けられている。各第2ロープ端末42は、釣合おもり側ロープ取付装置8に取り付けられている。
【0018】
各ロープ4は、かご側ロープ取付装置7から、一対のかご吊り車22、駆動シーブ62及びおもり吊り車32の順に巻き掛けられ、釣合おもり側ロープ取付装置8に達している。かご2及び釣合おもり3は、駆動シーブ62の回転に応じて昇降路1内を上下方向へ移動する。これにより、かご2の移動方向と、釣合おもり3の移動方向とは、互いに逆方向となる。
【0019】
昇降路1内には、一対のかごガイドレール11と、一対の釣合おもりガイドレール12とがそれぞれ上下方向に沿って設置されている。各かごガイドレール11及び一方の釣合おもりガイドレール12のそれぞれの上端部は、巻上機6よりも高い位置に位置している。他方の釣合おもりガイドレール12の上端部は、機械台5の下面を受けている。
【0020】
かご2は、一対のかごガイドレール11の間に配置されている。かご2は、一対のかごガイドレール11によって案内されながら上下方向へ移動する。釣合おもり3は、一対の釣合おもりガイドレール12の間に配置されている。釣合おもり3は、一対の釣合おもりガイドレール12によって案内されながら上下方向へ移動する。
【0021】
かご2は、昇降路1内に設定されたかご移動範囲を上下方向へ移動する。釣合おもり3は、かご移動範囲に隣り合う釣合おもり移動範囲を上下方向へ移動する。釣合おもり移動範囲は、機械台5よりも下方に設定されている。釣合おもり側ロープ取付装置8は、釣合おもり移動範囲よりも上方で、かつ巻上機6よりも下方に配置されている。
【0022】
昇降路1の底部には、かご側緩衝器13と、釣合おもり側緩衝器14とが設けられている。かご側緩衝器13は、かご移動範囲よりも下方に位置している。釣合おもり側緩衝器14は、釣合おもり移動範囲よりも下方に位置している。
【0023】
図2は、
図1の釣合おもり側ロープ取付装置8を巻上機6の正面側から見たときの状態を示す斜視図である。
図3は、
図2の釣合おもり側ロープ取付装置8を巻上機6の背面側から見たときの状態を示す斜視図である。昇降路1内に固定された支持構造体15は、昇降路1の底部から昇降路1の上部に達している。機械台5は、支持構造体15に支持されている。各かごガイドレール11及び各釣合おもりガイドレール12は、支持構造体15に固定されている。
【0024】
機械台5は、張出板部51を固定部として有している。張出板部51は、機械台5の一部である。張出板部51は、機械台5の上部において機械台5の本体部分から水平に張り出している。これにより、張出板部51は、昇降路1の上部に水平に配置されている。本実施の形態では、張出板部51が巻上機6の荷重の一部を受けている。
【0025】
釣合おもり側ロープ取付装置8は、支持部81と、ロープ止め部82とを有している。支持部81は、機械台5の張出板部51に取り付けられている。ロープ止め部82は、張出板部51から下方へ離れた位置において支持部81に取り付けられている。
【0026】
ロープ止め部82は、吊り部材821と、複数のロープ端末取付具822とを有している。
【0027】
吊り部材821には、不図示の複数のロープ端末用貫通孔が設けられている。複数のロープ端末用貫通孔は、複数の第2ロープ端末42に対応している。各第2ロープ端末42は、端末ロッド421を有している。各端末ロッド421は、吊り部材821の対応するロープ端末用貫通孔に上下方向へ通されている。端末ロッド421の外周面には、ねじ部が形成されている。
【0028】
複数のロープ端末取付具822は、複数の第2ロープ端末42に対応している。各ロープ端末取付具822は、対応する第2ロープ端末42を吊り部材821に取り付けている。各第2ロープ端末42は、張出板部51から下方へ離れた状態で吊り部材821に取り付けられている。各ロープ4に加わる下方への荷重は、各第2ロープ端末42からロープ端末取付具822を介して吊り部材821に加わっている。
【0029】
各ロープ端末取付具822は、外れ防止部材823と、ばね824とを有している。
【0030】
外れ防止部材823は、対応する第2ロープ端末42の端末ロッド421に取り付けられている。外れ防止部材823は、複数のナットを有している。外れ防止部材823における複数のナットは、端末ロッド421に互いに重ねてねじ込まれている。これにより、外れ防止部材823は、吊り部材821の上方において端末ロッド421に取り付けられている。端末ロッド421に対する外れ防止部材823の位置は、外れ防止部材823における複数のナットを回すことにより、端末ロッド421に沿って調整可能になっている。
【0031】
ばね824は、外れ防止部材823と吊り部材821との間に配置されている。外れ防止部材823は、ばね824を介して吊り部材821に掛かっている。ばね824は、ロープ4に加わる下方への荷重を外れ防止部材823から受けている。これにより、ばね824は、外れ防止部材823と吊り部材821との間で弾性変形しながら縮まっている。ロープ端末取付具822では、外れ防止部材823がばね824を介して吊り部材821に掛かることにより、端末ロッド421が吊り部材821から下方へ抜けることが防止される。
【0032】
吊り部材821に対する第2ロープ端末42の位置は、端末ロッド421に対する外れ防止部材823の位置の調整によって端末ロッド421に沿って調整可能になっている。これにより、吊り部材821に対する第2ロープ端末42の位置は、ロープ端末取付具822によって上下方向へ調整可能である。
【0033】
支持部81は、一対の連結部材811と、一対の第1支持取付具812と、一対の第2支持取付具813とを有している。第1支持取付具812は、連結部材811を機械台5の張出板部51に取り付ける支持取付具である。第2支持取付具813は、連結部材811を吊り部材821に取り付ける支持取付具である。
【0034】
一対の第1支持取付具812及び一対の第2支持取付具813は、一対の連結部材811に対応している。各第1支持取付具812は、対応する連結部材811を機械台5の張出板部51に取り付けている。各第2支持取付具813は、対応する連結部材811を吊り部材821に取り付けている。
【0035】
機械台5の張出板部51には、
図3に示すように、複数の貫通孔511が設けられている。一対の連結部材811は、複数の貫通孔511のうちの2つの貫通孔511に通されている。
【0036】
連結部材811は、ロッド部811aと、接続部811bとを有している。ロッド部811aは、上下方向に沿って配置されている。ロッド部811aの外周面には、ねじ部が形成されている。接続部811bは、ロッド部811aの下端部に固定されている。
【0037】
機械台5の張出板部51は、ロッド部811aが取り付けられるロッド取付対象部となっている。各第1支持取付具812は、対応する連結部材811のロッド部811aを張出板部51に取り付けている。
【0038】
第1支持取付具812は、複数のナットを有している。第1支持取付具812における複数のナットは、ロッド部811aに互いに重ねてねじ込まれている。これにより、第1支持取付具812は、張出板部51の上方においてロッド部811aに取り付けられている。ロッド部811aに対する第1支持取付具812の位置は、第1支持取付具812における複数のナットを回すことにより、ロッド部811aに沿って調整可能になっている。
【0039】
第1支持取付具812は、張出板部51に上方から掛かっている。これにより、ロッド部811aが張出板部51から下方へ抜けることが防止される。ロッド部811aは、第1支持取付具812が張出板部51に掛かることにより張出板部51に取り付けられている。
【0040】
張出板部51に対するロッド部811aの位置は、ロッド部811aに対する第1支持取付具812の位置の調整によってロッド部811aに沿って調整可能になっている。これにより、張出板部51に対するロッド部811aの位置は、第1支持取付具812によってロッド部811aに沿って調整可能である。即ち、第1支持取付具812は、張出板部51に対するロッド部811aの位置を調整する支持位置調整具となっている。
【0041】
各第2支持取付具813は、対応する連結部材811の接続部811bを吊り部材821に取り付けている。これにより、吊り部材821は、張出板部51から下方へ離れた位置に位置している。
【0042】
本実施の形態では、接続部811bと吊り部材821とを締結する締結具が第2支持取付具813として用いられている。また、本実施の形態では、各接続部811bが吊り部材821に第2支持取付具813を中心として回転可能に取り付けられている。
【0043】
各ロープ4には、かご2及び釣合おもり3などの荷重が常に加わっている。これにより、各ロープ4は、経年的に伸びる。各ロープ4が伸びると、かご2及び釣合おもり3の位置関係が変化する。これにより、各ロープ4が伸びると、かご2が最上階に停止したときの釣合おもり3と釣合おもり側緩衝器14との間の寸法、即ち釣合おもり側ランバイ寸法が縮小する。釣合おもり側ランバイ寸法が規定範囲よりも小さくなると、例えばかご2が最上階に停止したときに釣合おもり3が釣合おもり側緩衝器14に衝突するなどの不具合が生じるおそれがある。
【0044】
従って、釣合おもり側ランバイ寸法が各ロープ4の伸びによって規定範囲よりも小さくなっている場合、規定範囲内に収まるように釣合おもり側ランバイ寸法をエレベーターの保守点検時に調整する。釣合おもり側ランバイ寸法の調整は、釣合おもり側ロープ取付装置8において張出板部51に対する各第2ロープ端末42の位置を調整することにより行う。
【0045】
張出板部51に対する各第2ロープ端末42の位置を調整するときには、まず、各ロッド部811aに対する各第1支持取付具812の位置をロッド部811aに沿って調整する。ロッド部811aに対する第1支持取付具812の位置の調整は、第1支持取付具812における複数のナットを回すことにより行う。これにより、張出板部51に対するロープ止め部82の位置が調整され、張出板部51に対する各第2ロープ端末42の位置がまとめて調整される。
【0046】
この後、必要であれば、複数の第2ロープ端末42の少なくともいずれかの位置を吊り部材821に対して上下方向へ調整する。第2ロープ端末42の位置を吊り部材821に対して調整するときには、端末ロッド421に対する外れ防止部材823の位置を端末ロッド421に沿って調整する。端末ロッド421に対する外れ防止部材823の位置の調整は、外れ防止部材823における複数のナットを回すことにより行う。これにより、吊り部材821に対する第2ロープ端末42の位置が調整される。このようにして、釣合おもり側ランバイ寸法が規定範囲内に収まるように調整される。
【0047】
このようなエレベーターの釣合おもり側ロープ取付装置8では、支持部81が機械台5の張出板部51に取り付けられている。ロープ止め部82は、張出板部51から下方へ離れた位置において支持部81に取り付けられている。ロープ止め部82では、ロープ端末取付具822が第2ロープ端末42を吊り部材821に取り付けている。支持部81では、第1支持取付具812が連結部材811のロッド部811aを張出板部51に取り付けている。吊り部材821に対する第2ロープ端末42の位置は、ロープ端末取付具822によって上下方向へ調整可能になっている。張出板部51に対する支持部81の位置は、第1支持取付具812によってロッド部811aに沿って調整可能になっている。このため、吊り部材821に対する第2ロープ端末42の位置の調整範囲に加えて、ロッド部811aの長さの範囲においても、張出板部51に対する第2ロープ端末42の位置を調整することができる。これにより、各ロープ4の伸びの大きさが吊り部材821に対する第2ロープ端末42の位置の調整範囲を超えた場合であっても、各ロープ4の伸びの大きさに応じて、張出板部51に対する第2ロープ端末42の位置を調整することができる。従って、張出板部51に対する第2ロープ端末42の位置をより確実に調整することができ、釣合おもり側ランバイ寸法をより確実に調整することができる。
【0048】
ここで、各ロープ4が伸びて釣合おもり側ランバイ寸法の調整が必要になった場合、各ロープ4を切って各ロープ4の実際の長さを短くする切り詰め作業によって、釣合おもり側ランバイ寸法を調整することもできる。しかし、切り詰め作業は、張出板部51に対する第2ロープ端末42の位置の調整作業よりも手間がかかる。
【0049】
本実施の形態では、張出板部51に対する第2ロープ端末42の位置の調整範囲が拡大するため、切り詰め作業をなくしたり、切り詰め作業の頻度を下げたりすることができる。これにより、釣合おもり側ランバイ寸法を容易に調整することができ、エレベーターの保守点検作業のコストの低減化を図ることができる。また、エレベーターの長寿命化を図ることもできる。
【0050】
また、複数の第2ロープ端末42がロープ止め部82に取り付けられているため、張出板部51に対する支持部81の位置を調整することにより、複数の第2ロープ端末42の位置を張出板部51に対してまとめて調整することができる。これにより、張出板部51に対する各第2ロープ端末42の位置を容易に調整することができ、張出板部51に対する各第2ロープ端末42の位置の調整時間の短縮化を図ることができる。
【0051】
また、釣合おもり側ロープ取付装置8では、支持部81が機械台5に取り付けられている。機械台5は、支持構造体15に支持されている。このため、釣合おもり側ロープ取付装置8に加わる荷重を機械台5によって支持することができる。これにより、釣合おもり側ロープ取付装置8を支持する取付台を機械台5の下方に設置する必要がなくなり、各釣合おもりガイドレール12を設置するスペースを避けて機械台5の下方に釣合おもり側ロープ取付装置8を配置することができる。従って、各釣合おもりガイドレール12が設置されていない状態でも、機械台5の下方に釣合おもり側ロープ取付装置8を配置することができ、釣合おもり側ロープ取付装置8から吊り足場を吊り下げることができる。これにより、釣合おもり側ロープ取付装置8から吊り下げた吊り足場に作業者が乗って作業する足場なし工法、即ちWOS工法を、エレベーターの据付作業を行うときの工法として採用することができる。従って、例えば釣合おもりガイドレール12などの設置をWOS工法によって行うことができる。これにより、エレベーターの据付作業の負担の軽減化を図ることができる。また、エレベーターの据付作業にかかるコストの低減化も図ることができる。
【0052】
なお、実施の形態1では、機械台5が支持構造体15に支持されている。しかし、機械台5は、各かごガイドレール11及び各釣合おもりガイドレール12に支持されていてもよい。このようにしても、吊り部材821に対する第2ロープ端末42の位置の調整範囲を超えた範囲で、第2ロープ端末42の位置を張出板部51に対して調整することができる。従って、張出板部51に対する第2ロープ端末42の位置をより確実に調整することができる。また、このようにすれば、支持構造体15をなくすことができ、昇降路1内のスペースの設計自由度を向上させることができる。
【0053】
また、実施の形態1では、連結部材811の接続部811bが吊り部材821に取り付けられている。しかし、連結部材811の接続部811bをなくして、連結部材811のロッド部811aを吊り部材821に取り付けてもよい。即ち、ロッド部811aが取り付けられるロッド取付対象部を吊り部材821としてもよい。この場合、吊り部材821には、ロッド部811aを通すロッド用貫通孔が設けられる。また、この場合、ロッド部811aは、第2支持取付具813によって吊り部材821に取り付けられる。さらに、この場合、第2支持取付具813は、ロッド部811aにねじ込まれる複数のナットを有する。また、この場合、第2支持取付具813における複数のナットを回すことにより、吊り部材821に対するロッド部811aの位置が調整される。これにより、第2支持取付具813は、吊り部材821に対するロッド部811aの位置を調整する支持位置調整具とされる。このようにすれば、張出板部51に対するロッド部811aの位置の調整だけでなく、吊り部材821に対するロッド部811aの位置の調整によっても、張出板部51に対する第2ロープ端末42の位置を調整することができる。
【0054】
実施の形態2.
図4は、実施の形態2に係るエレベーターの釣合おもり側ロープ取付装置を示す正面図である。昇降路1の頂部には、複数の建築梁16が固定部として水平に配置されている。複数の建築梁16は、建物の躯体、即ち建築躯体の一部である。複数の建築梁16は、昇降路1内に露出している。複数の建築梁16は、機械台5よりも高い位置に配置されている。
【0055】
各建築梁16は、縦板部161と、一対の下側水平板部162と、一対の上側水平板部163とを有している。建築梁16の長手方向に沿って建築梁16を見たとき、縦板部161は、鉛直方向に沿って配置されている。一対の下側水平板部162は、縦板部161の下端部から互いに逆方向へ水平に突出している。一対の上側水平板部163は、縦板部161の上端部から互いに逆方向へ水平に突出している。建築梁16としては、H形鋼が用いられている。従って、建築梁16の断面形状は、縦板部161、一対の下側水平板部162及び一対の上側水平板部163によってH形状となっている。
【0056】
釣合おもり側ロープ取付装置8は、支持部81と、ロープ止め部82とを有している。
【0057】
ロープ止め部82は、吊り部材821と、複数のロープ端末取付具822とを有している。
【0058】
吊り部材821は、機械台5よりも下方の位置に水平に配置されている。吊り部材821には、不図示の複数のロープ端末用貫通孔と、不図示の2つのロッド用貫通孔とが設けられている。本実施の形態では、2つのロッド用貫通孔が水平方向へ互いに離れた位置に位置し、複数のロープ端末用貫通孔が2つのロッド用貫通孔の間に位置している。
【0059】
各ロープ端末用貫通孔には、第2ロープ端末42の端末ロッド421が上下方向へ通されている。各ロープ端末取付具822は、対応する第2ロープ端末42を吊り部材821に取り付けている。ロープ端末取付具822の構成は、実施の形態1と同様である。これにより、吊り部材821に対する第2ロープ端末42の位置は、ロープ端末取付具822によって上下方向へ調整可能になっている。
【0060】
支持部81は、一対の連結部材811と、一対の第1支持取付具812と、一対の第2支持取付具813とを有している。一対の連結部材811は、複数の建築梁16のうち、互いに異なる2つの建築梁16に取り付けられている。
【0061】
一対の第1支持取付具812は、一対の連結部材811に対応している。各第1支持取付具812は、対応する連結部材811を建築梁16に取り付けている。一対の第2支持取付具813は、一対の連結部材811に対応している。各第2支持取付具813は、対応する連結部材811を吊り部材821に取り付けている。
【0062】
各連結部材811は、ロッド部811aと、接続部811bとを有している。ロッド部811a及び接続部811bは、上下方向に沿って配置されている。ロッド部811aの外周面には、ねじ部が形成されている。接続部811bは、ロッド部811aの上端部に固定されている。
【0063】
第1支持取付具812は、対応する連結部材811の接続部811bの上端部を建築梁16に取り付けている。本実施の形態では、建築梁16における一対の下側水平板部162に掛かって保持される保持具が第1支持取付具812として用いられている。本実施の形態では、第1支持取付具812が一対の下側水平板部162に保持されることにより、連結部材811の接続部811bが建築梁16に取り付けられている。
【0064】
一対の連結部材811は、互いに異なる2つの建築梁16から下方へ吊り下がっている。これにより、各連結部材811におけるロッド部811aの下端部は、機械台5よりも下方の位置に位置している。各ロッド部811aは、吊り部材821における2つのロッド用貫通孔に個別に通されている。
【0065】
吊り部材821は、ロッド部811aが取り付けられるロッド取付対象部となっている。各第2支持取付具813は、対応する連結部材811のロッド部811aを吊り部材821に取り付けている。これにより、吊り部材821は、各建築梁16から下方へ離れた位置に位置している。本実施の形態では、吊り部材821が機械台5よりも下方の位置に位置している。
【0066】
第2支持取付具813は、複数のナットを有している。第2支持取付具813における複数のナットは、ロッド部811aに互いに重ねてねじ込まれている。第2支持取付具813は、吊り部材821を下方から受けている。これにより、ロッド部811aが吊り部材821から上方へ抜けることが防止される。
【0067】
ロッド部811aに対する第2支持取付具813の位置は、第2支持取付具813における複数のナットを回すことにより、ロッド部811aに沿って調整可能になっている。吊り部材821に対するロッド部811aの位置は、ロッド部811aに対する第2支持取付具813の位置の調整により、ロッド部811aに沿って調整可能になっている。これにより、第2支持取付具813は、吊り部材821に対するロッド部811aの位置を調整する支持位置調整具となっている。従って、建築梁16に対するロープ止め部82の位置は、第2支持取付具813によってロッド部811aに沿って調整可能になっている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0068】
釣合おもり側ランバイ寸法の調整は、釣合おもり側ロープ取付装置8において建築梁16に対する各第2ロープ端末42の位置を調整することにより行う。建築梁16に対する各第2ロープ端末42の位置を調整するときには、まず、各ロッド部811aに対する各第2支持取付具813の位置をロッド部811aに沿って調整する。ロッド部811aに対する第2支持取付具813の位置の調整は、第2支持取付具813における複数のナットを回すことにより行う。これにより、建築梁16に対するロープ止め部82の位置が調整され、建築梁16に対する各第2ロープ端末42の位置がまとめて調整される。
【0069】
この後、必要であれば、複数の第2ロープ端末42の少なくともいずれかの位置を吊り部材821に対して上下方向へ調整する。吊り部材821に対する第2ロープ端末42の位置を調整するときの手順は、実施の形態1と同様である。このようにして、釣合おもり側ランバイ寸法が規定範囲内に収まるように調整される。
【0070】
このようなエレベーターの釣合おもり側ロープ取付装置8では、支持部81が建築梁16に取り付けられている。このため、釣合おもり側ロープ取付装置8に加わる荷重を建築梁16によって支持することができる。これにより、機械台5及び支持構造体15に加わる荷重を低減することができ、機械台5及び支持構造体15の大型化を抑制することができる。従って、エレベーター全体のコストの低減化を図ることができる。
【0071】
なお、実施の形態2では、機械台5が支持構造体15に支持されている。しかし、機械台5は、各かごガイドレール11及び各釣合おもりガイドレール12に支持されていてもよい。このようにすれば、支持構造体15をなくすことができ、昇降路1内のスペースの設計自由度を向上させることができる。また、機械台5に加わる荷重が低減するため、機械台5が各かごガイドレール11及び各釣合おもりガイドレール12に支持されても、各かごガイドレール11及び各釣合おもりガイドレール12の大型化の度合いを小さくすることができる。
【0072】
また、実施の形態2では、連結部材811の接続部811bが建築梁16に取り付けられている。しかし、連結部材811の接続部811bをなくして、連結部材811のロッド部811aを建築梁16に取り付けてもよい。即ち、ロッド部811aが取り付けられるロッド取付対象部を建築梁16としてもよい。この場合、建築梁16の下側水平板部162には、ロッド部811aを通すロッド用貫通孔が設けられる。また、この場合、ロッド部811aは、第1支持取付具812によって建築梁16の下側水平板部162に取り付けられる。さらに、この場合、第1支持取付具812は、ロッド部811aにねじ込まれる複数のナットを有する。また、この場合、第1支持取付具812における複数のナットを回すことにより、建築梁16に対するロッド部811aの位置が調整される。これにより、第1支持取付具812は、建築梁16に対するロッド部811aの位置を調整する支持位置調整具とされる。このようにすれば、吊り部材821に対するロッド部811aの位置の調整だけでなく、建築梁16に対するロッド部811aの位置の調整によっても、建築梁16に対する第2ロープ端末42の位置を調整することができる。
【0073】
以上、上記の実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものである。実施の形態は、別の公知の技術と組み合わせることが可能である。本開示の要旨を逸脱しない範囲で、実施の形態の構成の一部を省略または変更することが可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 昇降路、2 かご(昇降体)、3 釣合おもり(昇降体)、5 機械台(固定部)、8 釣合おもり側ロープ取付装置(ロープ取付装置)、15 支持構造体、16 建築梁(固定部)、42 第2ロープ端末(ロープ端末)、81 支持部、82 ロープ止め部、811 連結部材、811a ロッド部、812 第1支持取付具、813 第2支持取付具、821 吊り部材、822 ロープ端末取付具。
【要約】
【課題】固定部に対するロープ端末の位置をより確実に調整することができるエレベーターのロープ取付装置を提供する。
【解決手段】エレベーターのロープ取付装置である釣合おもり側ロープ取付装置8において、支持部81の連結部材811は、ロッド部811aを有している。第1支持取付具812は、固定部としての機械台5にロッド部811aを取り付けている。第2支持取付具813は、吊り部材821を連結部材811に取り付けている。ロープ端末取付具822は、第2ロープ端末42を吊り部材821に取り付けている。吊り部材821に対する第2ロープ端末42の位置は、ロープ端末取付具822によって上下方向へ調整可能である。機械台5に対する支持部81の位置は、第1支持取付具812によってロッド部811aに沿って調整可能である。
【選択図】
図3