(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-10
(45)【発行日】2025-04-18
(54)【発明の名称】ネットワーク・スライスをアップグレードする方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G06F 8/65 20180101AFI20250411BHJP
H04W 24/00 20090101ALI20250411BHJP
H04W 28/00 20090101ALI20250411BHJP
H04W 88/00 20090101ALI20250411BHJP
【FI】
G06F8/65
H04W24/00
H04W28/00
H04W88/00
(21)【出願番号】P 2023530859
(86)(22)【出願日】2021-09-26
(86)【国際出願番号】 CN2021120768
(87)【国際公開番号】W WO2022111030
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-05-22
(31)【優先権主張番号】202011338018.4
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】劉峰
【審査官】児玉 崇晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-154634(JP,A)
【文献】特開2009-230171(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0026507(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109391482(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106982129(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/65
H04W 24/00
H04W 28/00
H04W 88/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク・スライス内の個々のNF
を管理する情報処理装置が実行する、ネットワーク・スライスをアップグレードする方法であって、
前記個々のNFが、すべてのサービス・インスタンスのバージョン情報を取得し、アップグレード命令を受信するステップと、
前記個々のNFが、アップグレード命令を受信した後、アップグレードパッケージをダウンロードし、前記アップグレードパッケージに従って、すべてのアップグレードが完了するまで、前記個々のNFにおけるサービス・インスタンスを同時にアップグレードするステップと、
を含み、
前記アップグレード命令は、予め設定されたアップグレード割合とアップグレード順序とを含む、
ネットワーク・スライスをアップグレードする方法。
【請求項2】
前記個々のNFが、ネットワーク・スライス内の前記個々のNFのサービス・インスタンスをアップグレードする前に、前記サービス・インスタンスのアップグレード前のバージョンのソフトウェアパッケージ、モデル、及びデータをバックアップする、
請求項1に記載のネットワーク・スライスをアップグレードする方法。
【請求項3】
ネットワーク・スライス内の前記個々のNFは、さらに、ネットワーク・スライス・ダイヤルテスト命令及びネットワーク・スライス・バージョン・ロールバック命令を受信することに用いられ、
前記サービス・インスタンスが前記アップグレード命令に従ってアップグレードされた後、前記ネットワーク・スライスをアップグレードする方法は、
前記個々のNFが、前記ネットワーク・スライス・ダイヤルテスト命令に従って、アップグレードされた前記サービス・インスタンスのトラフィック処理を検証し、検証した結果として正常である場合、すべてのアップグレードが完了するまで、前記個々のNFにおける残りのサービス・インスタンスのアップグレードを持続し、検証の結果として正常でない場合、前記ネットワーク・スライス・バージョン・ロールバック命令に従ってネットワーク・スライス・バージョン・ロールバックを実行するステップと、を含む、
請求項2に記載のネットワーク・スライスをアップグレードする方法。
【請求項4】
アップグレードを必要とするサービス・インスタンスが第1サービス・インスタンスを含み、前記第1サービス・インスタンスが異なるNFに属する場合、前記第1サービス・インスタンスの各々は、前記個々のNFのアップグレード割合及びアップグレード順序に従って、別々に又は同時にアップグレードされ、前記第1サービス・インスタンスが同一NFに属する場合、前記第1サービス・インスタンスは、前記アップグレード割合に従ってアップグレードされ、
前記個々のNFがアップグレード命令を受信した後のアップグレードは、
前記個々のNFが、前記アップグレード前のバージョンのソフトウェアパッケージ、モデル、及びデータをロードし、トラフィックの受信及び処理を開始する一時的なサービス・インスタンスをポップアップし、
前記個々のNFが、一時的にアップグレードされていないサービス・インスタンス及び前記一時的なサービス・インスタンスに、前記第1サービス・インスタンスにおけるトラフィックをすべて移行した後、前記第1サービス・インスタンスをアップグレードし、
前記第1サービス・インスタンスのすべてがアップグレードに成功したか、又は前記第1サービス・インスタンスのいずれかがアップグレードに失敗して、前記個々のNFがネットワーク・スライス・バージョン・ロールバックを実行した後、前記個々のNFが、前記一時的なサービス・インスタンスを削除することを含む、
請求項2又は3に記載のネットワーク・スライスをアップグレードする方法。
【請求項5】
前記個々のNFが、ネットワーク・スライス・バージョン・ロールバックを実行する前記ステップは、
前記個々のNFが、NFアップグレードに失敗した旨のメッセージを受信した後、ネットワーク・スライス・バージョン・ロールバック命令を受信し、前記アップグレード前のバージョンのソフトウェアパッケージを抽出し、実行中のサービス・インスタンス及びそのバージョン情報を問い合わせ、ネットワーク・スライス・バージョン・ロールバックを実行する必要がある第2サービス・インスタンスを決定するステップと、
前記個々のNFが、前記アップグレード前のバージョンのモデル及びデータを抽出して、前記一時的なサービス・インスタンスが前記アップグレード前のバージョンのソフトウェアパッケージ、モデル及びデータをロードするようにするステップと、
前記個々のNFが、一時的にバージョン・ロールバックが実行されていないサービス・インスタンス及び前記一時的なサービス・インスタンスに前記第2サービス・インスタンスにおけるトラフィックをすべて移行するステップと、
前記個々のNFが、前記第2サービス・インスタンスのバージョンに対して、ネットワーク・スライス・バージョン・ロールバックを実行して、前記第2サービス・インスタンスのバージョンが、前記アップグレード前のバージョンのソフトウェアパッケージ、モデル、及びデータをロードし、トラフィックの受信及び処理を開始するようにするステップと、
前記個々のNFが、トラフィックを前記第2サービス・インスタンスにオフロードし、前記第2サービス・インスタンスのトラフィック処理が正常であるか否かを検証し、前記第2サービス・インスタンスのバージョン・ロールバックに成功した場合、前記個々のNFが、前記第2サービス・インスタンスに前記一時的なサービス・インスタンスにおけるトラフィックをすべて移行し、前記一時的なサービス・インスタンスを削除するステップと、を含む、
請求項4に記載のネットワーク・スライスをアップグレードする方法。
【請求項6】
前記ネットワーク・スライス・バージョン・ロールバックは完全なロールバックと部分的なロールバックと、を含み、前記完全なロールバックと部分的なロールバックは逐次的なロールバックをさらに含み、
前記完全なロールバックは、ネットワーク・スライス内の前記サービス・インスタンスのいずれかがアップグレード後に検証の結果として正常でない場合、アップグレードに成功したサービス・インスタンス及びアップグレードに失敗したサービス・インスタンスの両方をロールバックすることを含み、
前記部分的なロールバックは、アップグレードに失敗したサービス・インスタンスのみをロールバックすることを含み、
前記逐次的なロールバックは、アップグレード順序とは逆の順序でバージョン・ロールバックを実行することを含む、
請求項5に記載のネットワーク・スライスをアップグレードする方法。
【請求項7】
前記ネットワーク・スライス内の前記個々のNFが、すべてのサービス・インスタンスのバージョン情報を取得する前記ステップは、
前記個々のNFが、ネットワーク・スライス内のNSMFによって提供される、NSSMFインスタンス、ネットワーク・スライス・インスタンス、及びネットワーク・スライス・サブネット・インスタンスの情報を取得するステップと、
前記個々のNFが、NSSMFによって提供される、ネットワーク・スライス・サブネット・インスタンス及びNFの情報を取得するステップと、
前記個々のNFが、すべてのNFによって提供される、すべてのサービス・インスタンスのバージョン情報を取得するステップと、を含む、
請求項1に記載のネットワーク・スライスをアップグレードする方法。
【請求項8】
ネットワーク・スライス内の個々のNFにおけるサービス・インスタンスのバージョン情報を問い合わせ、アップグレード命令を発行するように構成されるネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットと、
ネットワーク・スライス内の個々のNFにおけるサービス・インスタンスの各バージョンのソフトウェアパッケージ、モデル、及びデータを管理するように構成される少なくとも2つのモデル及びデータ管理ユニットと、
ネットワーク・スライス内の個々のNFがアップグレード命令を受信した後、アップグレードパッケージをダウンロードし、前記アップグレードパッケージに従って、すべてのアップグレードが完了するまで、個々のNFにおけるサービス・インスタンスを同時にアップグレードするように構成さるた少なくとも2つのエージェントユニットであって、前記アップグレード命令は、予め設定されたアップグレード割合とアップグレード順序とを含む少なくとも2つのエージェントユニッと、を含む、
ネットワーク・スライスをアップグレードする装置。
【請求項9】
前記ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、さらに、
ネットワーク・スライス・ダイヤルテスト命令及びネットワーク・スライス・バージョン・ロールバック命令を発行するように構成され、
前記エージェントユニットは、さらに、
ネットワーク・スライス内の個々のNFにおけるサービス・インスタンスが前記アップグレード命令に従ってアップグレードされた後、前記ネットワーク・スライス・ダイヤルテスト命令に従って、アップグレードされた前記サービス・インスタンスのトラフィック処理を検証し、検証した結果として正常である場合、すべてのアップグレードが完了するまで、個々のNFにおける残りのサービス・インスタンスのアップグレードを継続し、検証の結果として正常でない場合、前記ネットワーク・スライス・バージョン・ロールバック命令に従ってバージョン・ロールバックを実行するように構成される、
請求項8に記載のネットワーク・スライスをアップグレードする装置。
【請求項10】
前記装置は、少なくとも2つの負荷分散ユニットをさらに含み、
アップグレードを必要とするサービス・インスタンスは、第1サービス・インスタンスを含み、前記第1サービス・インスタンスが異なるNFに属する場合、前記エージェントユニットは、前記第1サービス・インスタンスの各々を、個々のNFのアップグレード割合及びアップグレード順序に従って、別々に又は同時にアップグレードし、前記第1サービス・インスタンスが同一NFに属する場合、前記第1サービス・インスタンスを前記アップグレード割合に従ってアップグレードし、
アップグレード命令を受信した後、前記エージェントユニットは、前記アップグレード前のバージョンのソフトウェアパッケージ、モデル、及びデータをロードし、トラフィックの受信及び処理を開始する一時的なサービス・インスタンスをポップアップするように構成され、
前記負荷分散ユニットは、一時的にアップグレードされていないサービス・インスタンス及び前記一時的なサービス・インスタンスに、前記第1サービス・インスタンスにおけるトラフィックをすべて移行するように構成され、
前記エージェントユニットは、前記第1サービス・インスタンスをアップグレードし、前記第1サービス・インスタンスのすべてがアップグレードに成功したか、又は前記第1サービス・インスタンスのいずれかがアップグレードに失敗して、ネットワーク・スライス・バージョン・ロールバックを実行した後、一時的なサービス・インスタンスを削除するように構成される、
請求項8又は9に記載のネットワーク・スライスをアップグレードする装置。
【請求項11】
前記ネットワーク・スライス・バージョン・ロールバックを実行することは、
前記ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、NFアップグレードに失敗した旨のメッセージを受信した後、ネットワーク・スライス・バージョン・ロールバック命令を発行することと、
前記エージェントユニットは、前記ネットワーク・スライス・バージョン・ロールバック命令を受信し、アップグレード前のバージョンのソフトウェアパッケージを抽出し、実行中のサービス・インスタンス及びそのバージョン情報を問い合わせ、バージョン・ロールバックを実行する必要がある第2サービス・インスタンスを決定することと、
前記モデル及びデータ管理ユニットは、アップグレード前のバージョンのモデル及びデータを抽出し、前記一時的なサービス・インスタンスは、前記アップグレード前のバージョンのソフトウェアパッケージ、モデル及びデータをロードすることと、
前記負荷分散ユニットは、一時的にバージョン・ロールバックが実行されていないサービス・インスタンス及び前記一時的なサービス・インスタンスに、前記第2サービス・インスタンスにおけるトラフィックをすべて移行することと、
前記エージェントユニットが前記第2サービス・インスタンスに対してバージョン・ロールバックを実行した後、前記第2サービス・インスタンスは、前記モデル及びデータ管理ユニットからアップグレード前のバージョンのソフトウェアパッケージ、モデル及びデータをロードし、トラフィックの受信及び処理を開始することと、
前記負荷分散ユニットは、トラフィックを前記第2サービス・インスタンスにオフロードし、前記第2サービス・インスタンスのトラフィック処理が正常であるか否かを検証し、前記第2サービス・インスタンスのバージョン・ロールバックに成功した場合、前記負荷分散ユニットは、前記一時的なサービス・インスタンスにおけるトラフィックをすべて前記第2サービス・インスタンスに移行し、前記エージェントユニットは、前記一時的なサービス・インスタンスを削除することと、を含む、
請求項10に記載のネットワーク・スライスをアップグレードする装置。
【請求項12】
前記ネットワーク・スライス・バージョン・ロールバックは完全なロールバックと部分的なロールバックと、を含み、前記完全なロールバックと部分的なロールバックは逐次的なロールバックをさらに含み、
前記完全なロールバックは、ネットワーク・スライス内の前記サービス・インスタンスのいずれかがアップグレード後に検証の結果として正常でない場合、アップグレードに成功したサービス・インスタンス及びアップグレードに失敗したサービス・インスタンスの両方をロールバックすることを含み、
前記部分的なロールバックは、アップグレードに失敗したサービス・インスタンスのみをロールバックすることを含み、
前記逐次的なロールバックは、アップグレード順序とは逆の順序でバージョン・ロールバックを実行することを含む、
請求項11に記載のネットワーク・スライスをアップグレードする装置。
【請求項13】
前記ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、さらに、
NSMFにNSSMFインスタンス、ネットワーク・スライス・インスタンス、及びネットワーク・スライス・サブネット・インスタンスの情報を問い合わせ、
NSSMFにネットワーク・スライス・サブネット・インスタンス及びNFの情報を問い合わせ、
すべてのNFに、すべてのサービス・インスタンスのバージョン情報を問い合せるように構成される、
請求項8に記載のネットワーク・スライスをアップグレードする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願番号202011338018.4、出願日2020年11月25日の中国特許出願に基づいて提出され、当該中国特許出願の優先権を主張しており、当該中国特許出願のすべての内容はここで参考として本願に組み込まれている。
【0002】
本願は、通信の技術分野に関し、特にネットワーク・スライスをアップグレードする方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
5G通信において、ネットワーク・スライスNS(Network Slice)は物理ネットワークをオンデマンドで複数のエンドツーエンドの仮想ネットワークに分割し、各ネットワーク・スライスは、例えば大容量マシン通信、超高信頼性低遅延、拡張モバイルブロードバンドなど、さまざまなタイプのニーズを満たすことができる。1つのネットワーク・スライスは、例えば、無線アクセスネットワーク・スライス・サブネット、コアネットワーク・スライス・サブネット、ベアラネットワーク・スライス・サブネットなど、複数のネットワーク・スライス・サブネットNSS(Network Slice Subnet)で構成してもよい。1つのネットワーク・スライス・サブネットの下には、1つ又は複数のネットワーク機能NF(Network Function)があってもよい。1つのNFは、1つのネットワーク・スライス又はスライス・サブネットに専用にしてもよく、複数のネットワーク・スライス又はスライス・サブネットで同時に共有してもよい。
【0004】
ネットワーク・スライス管理機能(NSMF:Network Slicing Management Function)は、ネットワーク・スライスのインスタンス化とそのライフサイクルの制御管理を行う。ネットワーク・スライス・サブネット管理機能(NSSMF:Network Slice Subnet Management Function)は、スライス・サブネットのインスタンス化とそのライフサイクルの制御管理を行う。
【0005】
5G NFはサービス化に基づくアーキテクチャを採用しており、1つのNFには複数の異なるタイプのサービスがあり、各タイプのサービスは1つ又は複数のサービス・インスタンスが動作してもよく、複数のサービス・インスタンス間は負荷分担の関係にあってもよい。ネットワーク・スライスのアップグレードは、無線アクセスネットワーク、コアネットワーク及びベアラネットワークに及ぼすエンドツーエンドのネットワークに関連しており、複数の領域のNFは、アップグレード中にネットワーク・スライスのエンドツーエンドネットワーク全体のトラフィック処理に影響を与えることなく、共同アップグレードを行う必要がある。既存のアップグレード技術は、単一のNFのバージョンのみを更新するものであり、
図1に示すように、アップグレード中に単一のNFにおけるサービス・インスタンスを一括して又は段階的にアップグレードすることができる。しかし、この分野のいくつかのシナリオでは、ネットワーク・スライスの下にある複数の専有ネットワーク及び複数のNFの共同アップグレードは不可能である。アップグレード中にネットワーク・スライスに対して新バージョンの運転効果のダイヤルテスト検証をエンドツーエンドかつ低リスクで行い、テストに合格した場合に、すべてのアップグレードを行うことができない。また、単一のNFをアップグレードするときに、ネットワーク・スライス内の他のNFが影響を受ける可能性があり、その結果、ネットワーク・スライスのエンドツーエンド・トラフィックが正常に処理できなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の技術的課題の少なくとも1つをある程度解決するために、本願は、ネットワーク・スライスをアップグレードする方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の一実施例においては、以下の技術案が含まれる。
【0008】
ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、NSMFにネットワーク・スライス・インスタンス及びネットワーク・スライス・サブネット・インスタンスの情報を問い合わせる。ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、それぞれ、無線アクセスネットワークNSSMF、コアネットワークNSSMF、ベアラネットワークNSSMFにネットワーク・スライス・サブネット・インスタンス及びNFの情報を問い合わせる。ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、すべてのNFにそのバージョン情報、及びNFの各種サービス・インスタンスのタイプ、数及びバージョン情報を問い合わせる。個々のNFには、異なるタイプのサービス・インスタンスが含まれ、異なるタイプのサービス・インスタンスは、異なるトラフィックを処理する。ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットには、ネットワーク・スライス、ネットワーク・スライス・サブネット、及びNF所属トポロジー図、ならびにNFサービス・インスタンスのバージョン情報が表示されてもよい。
【0009】
ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、ネットワーク・スライス・アップグレード・スケジュール、ネットワーク・スライス・ダイヤルテスト・スケジュール、及びネットワーク・スライス・ロールバック・スケジュールを作成してもよい。
【0010】
前記ネットワーク・スライス・アップグレード・スケジュールは、ネットワーク・スライス内の個々のNFのアップグレード順序と、個々のNFがアップグレードを必要とするサービスタイプと、アップグレード中の各サービスタイプの各バージョンのサービス・インスタンスの割合と、を少なくとも含む。
【0011】
前記ネットワーク・スライス・ダイヤルテスト・スケジュールは、ダイヤルテスト用のネットワーク・スライスと、ダイヤルテスト用のユーザと、ダイヤルテスト用のトラフィックと、ダイヤルテスト用のNFと、ダイヤルテスト用のサービス・バージョンと、を少なくとも含む。
【0012】
前記ネットワーク・スライス・ロールバック・スケジュールは、ロールバックが必要なNFの範囲と、個々のNFのロールバック順序と、を少なくとも含む。
【0013】
ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、個々のNFにアップグレード命令を発行し、NFは、アップグレードパッケージをダウンロードし、現在のバージョン、現在のモデル及びデータをバックアップし、このアップグレード命令は、予め設定されたアップグレード割合を持つ。エージェントユニットは、NFにおけるサービス・インスタンスをアップグレードし、ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットに進捗状況を報告する。
【0014】
個々のNFが予め設定されたアップグレード割合に従ってサービス・インスタンスのアップグレードを完了した後、ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは個々のNFにネットワーク・スライス・ダイヤルテスト命令を発行し、ネットワーク・スライス内の新バージョンのサービス・インスタンスのトラフィック処理のダイヤルテスト検証をエンドツーエンドで行う。検証した結果としてトラフィックが正常である場合、ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、すべてのアップグレードが完了するまで、ネットワーク・スライスによってカバーされた範囲内のNFの残りのサービス・インスタンスのアップグレードを持続する。
【0015】
トラフィック処理の異常が発見された場合、ネットワーク・スライス・バージョン・ロールバックを実行する必要がある。ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、個々のNFにネットワーク・スライス・バージョン・ロールバック命令を発行し、各エージェントユニットは、個々のNFのバージョン・ロールバックを行う。
【0016】
本願の一実施例では、ネットワーク・スライス内の個々のNFを管理する情報処理装置が実行する、ネットワーク・スライスをアップグレードする方法を提供する。前記方法は、前記個々のNFが、すべてのサービス・インスタンスのバージョン情報を取得し、アップグレード命令を受信するステップと、前記個々のNFが、アップグレード命令を受信した後、アップグレードパッケージをダウンロードし、前記アップグレードパッケージに従って、すべてのアップグレードが完了するまで、前記個々のNFにおけるサービス・インスタンスを同時にアップグレードするステップと、を含み、前記アップグレード命令は、予め設定されたアップグレード割合とアップグレード順序とを含む。
【0017】
本願の一実施例では、ネットワーク・スライスをアップグレードする装置をさらに提供する。前記装置は、ネットワーク・スライス内の個々のNFにおけるサービス・インスタンスのバージョン情報を問い合わせ、アップグレード命令を発行するように構成されたネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットと、ネットワーク・スライス内の個々のNFにおけるサービス・インスタンスの各バージョンのソフトウェアパッケージ、モデル、及びデータを管理するように構成された少なくとも2つのモデル及びデータ管理ユニットと、ネットワーク・スライス内の個々のNFがアップグレード命令を受信した後、アップグレードパッケージをダウンロードし、前記アップグレードパッケージに従って、すべてのアップグレードが完了するまで、個々のNFにおけるサービス・インスタンスを同時にアップグレードするように構成された少なくとも2つのエージェントユニットと、を含み、前記アップグレード命令は、予め設定されたアップグレード割合とアップグレード順序とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】当該分野のいくつかのシナリオにおける、NFをアップグレードする方法のフローチャートである。
【
図4】本願の装置の具体的な実施例の概略図である。
【
図5】単一のNFのアップグレードのフローチャートである。
【
図6】ネットワーク・スライス全体のアップグレードのフローチャートである。
【
図7】ネットワーク・スライス・ダイヤルテスト検証のフローチャートである。
【
図8】ネットワーク・スライス・バージョン・ロールバックのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本願の技術案について詳細に説明する。なお、本願の説明において、「第1」及び「第2」という用語は、単に説明の目的のために使用されるものであって、異なる構成要素を区別するために過ぎず、相対的な重要性を示し若しくは暗示し、又は示された技術的特徴の数を暗示的に示すものとは理解されない。本願では、「第1サービス・インスタンス」は、ネットワーク・スライス内の個々のNFにおける、アップグレードを必要とするサービス・インスタンスを含み、「第2サービス・インスタンス」は、ネットワーク・スライス内の個々のNFにおける、ネットワーク・スライスバージョン・ロールバックを必要とするサービス・インスタンスを含む。
【0020】
図2は本願の方法のフローチャートである。
図2に示すように、ネットワーク・スライス内の個々のNFは、すべてのサービス・インスタンスのバージョン情報を取得し、アップグレード命令を受信するステップ200と、アップグレード命令を受信した後、アップグレードパッケージをダウンロードし、すべてのアップグレードが完了するまで、前記アップグレードパッケージに従って個々のNFにおけるサービス・インスタンスを同時にアップグレードするステップ201とに用いられ、前記アップグレード命令は、予め設定されたアップグレード割合とアップグレード順序とを含む。
【0021】
具体的な実施例として、ネットワーク・スライス内の個々のNFのサービス・インスタンスがアップグレードされる前に、サービス・インスタンスのアップグレード前のバージョンのソフトウェアパッケージ、モデル、及びデータがバックアップされる。
【0022】
具体的な実施例として、ネットワーク・スライス内の個々のNFがすべてのサービス・インスタンスのバージョン情報を取得するステップは、まず、ネットワーク・スライス内のNSMFは、NSSMFインスタンス、ネットワーク・スライス・インスタンス、及びネットワーク・スライス・サブネット・インスタンスの情報を提供し、次に、NSSMFは、ネットワーク・スライス・サブネット・インスタンス及びNFの情報を提供し、最後に、NFは、すべてのサービス・インスタンスのタイプ、数、及びバージョン情報を提供するステップを含む。一般に、サービス・インスタンスのタイプ及び数は、アップグレード命令を決定することに用いられ、例えは、サービス・インスタンスの数に基づいて予め設定されたアップグレード割合を決定する。現在のアップグレードが通常のトラフィックの処理に影響を及ぼさないように、適切なアップグレード割合を決定する。
【0023】
具体的な実施例として、ネットワーク・スライス内の個々のNFはまた、ネットワーク・スライス・ダイヤルテスト命令及びネットワーク・スライス・バージョン・ロールバック命令を受信し、ネットワーク・スライス・ダイヤルテスト命令に従って、ネットワーク・スライス内の個々のNFにおけるアップグレードされたサービス・インスタンスのトラフィック処理を検証する。検証した結果として正常である場合、すべてのアップグレードが完了するまで、ネットワーク・スライス内の個々のNFにおける残りのサービス・インスタンスのアップグレードを持続する。検証の結果として正常でない場合、ネットワーク・スライス内の個々のNFは、前記ネットワーク・スライス・バージョン・ロールバック命令に従ってバージョン・ロールバックを実行する。本願のネットワーク・スライス・アップグレード及びダイヤルテスト方法は、実行中にネットワーク・スライスのエンドツーエンドのトラフィックの正常な処理に影響を与えない。検証の過程において、例えば、ネットワーク・スライス内のアップグレードが必要なすべてのNFにおけるサービス・インスタンスの一部がアップグレードされた後、NFには、他のサービス・インスタンスがアップグレードを待っており。
図7に示すように、まず、アップグレード済みのサービス・インスタンスのトラフィック処理を検証し、アップグレード済みのサービス・インスタンスにトラフィックをオフロードする。すなわち、アップグレード済みのサービス・インスタンスにダイヤルテスト・トラフィックを導く。サービス・インスタンスがトラフィックを正常に処理していれば、そのサービス・インスタンスは検証に合格する。
【0024】
図3は本願の装置の概略図である。該装置は、ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットと、少なくとも2つのモデル及びデータ管理ユニットと、少なくとも2つのエージェントユニットと、を含む。ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、ネットワーク・スライス全体のすべてのNFのソフトウェアバージョンを管理し、ネットワーク・スライス内のすべてのNFのすべてのサービス・インスタンスのバージョン情報を問い合わせ、アップグレード命令、ネットワーク・スライス・ダイヤルテスト命令、及びネットワーク・スライス・バージョン・ロールバック命令を発行する。少なくとも2つのモデル及びデータ管理ユニットは、単一のNFにおける複数セットの異なるバージョンのモデル及びデータを管理する。少なくとも2つのエージェントユニットは、単一のNFのバージョンを管理し、アップグレード命令を受信した後、アップグレードパッケージをダウンロードし、前記アップグレードパッケージに従って個々のNFにおけるサービス・インスタンスを同時にアップグレードする。前記アップグレード命令は、予め設定されたサービス・インスタンス・アップグレード割合を含む。アップグレード中に、ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットにアップグレードの進捗状況をリアルタイムで報知してもよい。
【0025】
ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットが個々のNFにおけるサービス・インスタンスのバージョン情報の問い合わせることは、まず、NSMFにNSSMFインスタンス、ネットワーク・スライス・インスタンス及びネットワーク・スライス・サブネット・インスタンスの情報を問い合わせ、次に、NSSMFにネットワーク・スライス・サブネット・インスタンス及びNFの情報を問い合わせ、最後に、ネットワーク・スライス内のすべてのNFに各種類のサービス・インスタンスのタイプ、数及びバージョン情報を問い合わせることを含む。
【0026】
前記エージェントユニットは、さらに、個々のNFにおけるサービス・インスタンスが前記アップグレード命令に従ってアップグレードされた後、前記ネットワーク・スライス・ダイヤルテスト命令に従って、アップグレードされたサービス・インスタンスのトラフィック処理を検証し、検証した結果として正常である場合、すべてのアップグレードが完了するまで、残りの個々のNFにおけるサービス・インスタンスのアップグレードを継続し、検証の結果として正常でない場合、前記ネットワーク・スライス・バージョン・ロールバック命令に従ってバージョン・ロールバックを実行するように構成されている。
【0027】
上記装置は、少なくとも2つの負荷分散ユニットをさらに含む。前記負荷分散ユニットは、個々のNFにおけるサービス・インスタンスにトラフィックを発行し、サービス・インスタンスにおけるトラフィックを移行してオフロードするように主に構成される。例えば、一時的にアップグレードを必要としないサービス・インスタンス及び一時的なサービス・インスタンスに、アップグレードを必要とするサービス・インスタンスにおけるトラフィックを移行するか、又はアップグレード済みのサービス・インスタンスに一時的なサービス・インスタンスにおけるトラフィックを移行するか、又はアップグレードされたサービス・インスタンスにネットワーク・スライス・ダイヤルテストのトラフィックをオフロードする。
【0028】
図4は、本願に記載の装置の具体的な実施例である。
図4に示すように、ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、NSMF及びNSSMFに接続されている。ここで、NSSMFは、異なる専門の分野によって無線アクセスネットワークNSSMF、コアネットワークNSSMF及びベアラネットワークNSSMFに分けられている。無線アクセスネットワークNSSMF、コアネットワークNSSMF及びベアラネットワークNSSMFはいずれも、エージェントユニット、モデル及びデータ管理ユニット、及び負荷管理ユニットがそれぞれ配置された少なくとも1つのNFを含んでいる。
【0029】
具体的な実施例として、ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、独立して配置された管理システムであってもよく、他の管理システムと統合して配置されてもよい。エージェントユニット、モデル及びデータ管理ユニット、及び負荷分散ユニットは、一般的にNFに配置されている。
【0030】
具体的な実施例として、アップグレード前のネットワーク・スライスの準備は以下を含む。
(1)ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、NSMFに問い合わせ、ネットワーク内のすべてのネットワーク・スライス・インスタンス情報及びネットワーク・スライス・サブネット・インスタンス情報を取得する。ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、無線アクセスネットワークNSSMF、コアネットワークNSSMF、ベアラネットワークNSSMFにそれぞれ問い合わせ、各ネットワーク・スライス・サブネット・インスタンス情報及びNF情報を取得する。ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、すべてのNFにそれぞれ問い合わせ、個々のNFのバージョン情報、各種サービス・インスタンスのタイプ、数、及びバージョン情報を取得する。その後、ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、5Gネットワーク・スライス、ネットワーク・スライス・サブネット、NF所属関係トポロジー図、並びに個々のNFにおける各種サービス・インスタンスのタイプ、数、及びバージョン情報を表示する。
(2)ネットワーク・スライス・アップグレードパッケージをネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットにアップロードし、ネットワーク・スライス・アップグレードパッケージは、ネットワーク・スライスの下にある各種NFのアップグレードパッケージから構成される。アップグレードを必要とするネットワーク・スライス・インスタンスと、対応するネットワーク・スライス・アップグレードパッケージを選択する。
(3)ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、アップグレードパッケージを解析し、ネットワーク・スライス内のアップグレードが必要なNFインスタンスを自動的に選択する。
(4)ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、所定のルールに従って、ネットワーク・スライス内の個々のNFのアップグレード順序、個々のNFがアップグレードを必要とするサービスのタイプ、アップグレー中の各種サービスタイプの新旧バージョンのサービス・インスタンスの割合を含むネットワーク・スライス・アップグレード・スケジュールを作成する。例えば、まず、データタイプNFをアップグレードし、次に、トラフィックタイプNFをアップグレードする。また、例えば、同じタイプのNFを1つアップグレードしてから、残りの複数の同じタイプのNFを同時にアップグレーする。また、例えば、ダイヤルテスト前には、サービス・インスタンスのアップグレード割合は1:3であり、1/3だけのサービス・インスタンスはアップグレードされ、ダイヤルテスト後には、サービス・インスタンスのアップグレード割合は3:3であり、すべてのサービス・インスタンスはアップグレードされる。ダイヤルテスト前にサービス・インスタンスのアップグレード割合は2:3である場合、ダイヤルテスト検証は2/3のサービス・インスタンスをアップグレードしてから行われ、ダイヤルテスト後にサービス・インスタンスのアップグレード割合は3:3である場合、すべてのサービス・インスタンスはアップグレードされる。
(5)ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、ダイヤルテスト用のネットワーク・スライス・インスタンス、ダイヤルテスト用のNFサービス・インスタンス・リスト、ダイヤルテスト用のユーザ、ダイヤルテスト用のトラフィックを含むネットワーク・スライス・ダイヤルテスト・スケジュールを作成する。
(6)ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、予め設定されたロールバックポリシーに従って、ロールバックが必要なNFインスタンス、個々のNFのロールバック順序を含め、ネットワーク・スライス・アップグレードに失敗した場合のロールバック・スケジュールを自動的に作成する。例えば、アップグレードに失敗したNFのみをロールバックする部分的なロールバックする。また、例えば、アップグレードに失敗したNFと正常にアップグレードされたNFをすべてロールバックする完全なロールバックする。また、例えば、アップグレードの順序で最後にアップグレードされたNFが最初にロールバックされ、最初にアップグレードされたNFが最後にロールバックされる。
(7)ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットで、ネットワーク・スライス・アップグレード・スケジュール、ネットワーク・スライス・ダイヤルテスト・スケジュール、及びネットワーク・スライス・ロールバック・スケジュールを検討し、誤りがないことを確認した後、ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットはスケジュールの実行を開始する。
(8)ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、エージェントユニットにアップグレード前の準備命令を発行する。エージェントユニットは、ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットから本NFに適合するNFアップグレードパッケージをダウンロードし、アップグレードパッケージの正当性を検証し、エージェントユニットのローカルに格納する。NFにおけるモデル及びデータ管理ユニットは、現在実行中のアップグレード前のバージョンのファイル、モデル、及びデータをバックアップし、異常が発生した場合のバージョン・ロールバックに備えておく。
【0031】
図5は、個々のNFにおける同じタイプのサービス・インスタンスが負荷分散方式で動作する単一のNFのアップグレードのフローチャートである。以下では、同じサービスタイプのサービス1、サービス2、サービス3のバージョンV1からバージョンV2へのアップグレードについて詳細に説明する。
【0032】
(1)ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、NFのエージェントユニットにアップグレード命令を発行する。サービス・インスタンスのアップグレード割合は1:3であり、すなわち、1つのサービス・インスタンスのみはアップグレードされる。
【0033】
(2)エージェントユニットは、NFアップグレードパッケージを解析し、V2バージョンのサービスアップグレードパッケージを得る。
【0034】
(3)モデル及びデータ管理ユニットは、V1バージョンのデータを1つコピーし、V2バージョンのサービスアップグレードパッケージからV2バージョンのモデルとアップグレードスクリプトを解析し、アップグレードスクリプトを実行してV2バージョンのデータを得る。
【0035】
(4)エージェントユニットは、サービス4をポップアップし、ローカルからV1バージョンをロードして実行し、モデル及びデータ管理ユニットからV1バージョンのモデル及びデータをロードして、トラフィックの受信及び処理を開始する。
【0036】
(5)負荷分散ユニットは、サービス1におけるトラフィックをすべてサービス2、サービス3、サービス4に移行し、サービス1はトラフィックを処理しなくなる。
【0037】
(6)エージェントユニットは、サービス1をV2バージョンにアップグレードし、モデル及びデータ管理ユニットからV2バージョンのモデル及びデータをロードする。
【0038】
(7)NFにおけるエージェントユニットは、ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットにアップグレードの進捗状況をフィードバックする。
【0039】
一方、ネットワーク・スライス全体のアップグレードには、ネットワーク・スライス内の複数のNFをエンドツーエンドで調整し、ネットワーク・スライス内の個々のNFのアップグレード後のサービス・インスタンスをエンドツーエンドでダイヤルテスト検証する必要がある。例えば、ネットワーク・スライスの特性の新しい特性をサポートするには、それぞれ3つの5G基地局(gNB:gNodeB)、2つのアクセス及び移動性管理機能(AMF:Access and Mobility Management Function)、1つの統合データ管理(UDM:Unified Data Management)であるネットワーク・スライス内の複数のNFをアップグレードする必要がある。アップグレード順序としては、UDMが最初にアップグレードされ、AMFが次にアップグレードされ、gNBが最後にアップグレードされる。例えば、gNBには2つの同じタイプのサービス・インスタンスがあり、AMFには3つの同じタイプのサービス・インスタンスがあり、UDMには3つの同じタイプのサービス・インスタンスがあり、それぞれのサービス・インスタンスは負荷分散方式で動作する。
【0040】
上記のアップグレード順序に従って、ネットワーク・スライス全体のアップグレードステップは、
図6に示すとおりである。
【0041】
(1)UDMをアップグレードする。ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、UDMにアップグレード命令を発行し、サービス・インスタンスのアップグレード割合は1:3であり、すなわち1つのサービス・インスタンスのみはアップグレードされる。UDMにおけるエージェントユニットは、アップグレードが完了した後、ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットにアップグレードの進捗状況をフィードバックする。
【0042】
(2)AMFをアップグレードする。ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、1番目のAMFにアップグレード命令を発行し、サービス・インスタンスのアップグレード割合は1:3であり、すなわち1つのサービス・インスタンスのみはアップグレードされる。1番目のAMFにおけるエージェントユニットは、アップグレードが完了した後、ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットにアップグレードの進捗状況をフィードバックする。ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、さらに2番目のAMFにアップグレード命令を発行し、サービス・インスタンスのアップグレード割合は1:3であり、すなわち1つのサービス・インスタンスのみはアップグレードされる。2番目のAMFにおけるエージェントユニットは、アップグレードが完了した後、ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットにアップグレードの進捗状況をフィードバックする。
【0043】
(3)gNBをアップグレードする。ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、1番目のgNBにアップグレード命令を発行し、サービス・インスタンスのアップグレード割合は1:2であり、すなわち、1つのサービス・インスタンスのみはアップグレードされる。1番目のgNBにおけるエージェントユニットは、アップグレードが完了した後、ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットにアップグレードの進捗状況をフィードバックする。ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、さらに2番目及び3番目のgNBにアップグレード命令を発行し、サービス・インスタンスのアップグレード割合は1:2であり、すなわち1つのサービス・インスタンスのみはアップグレードされる。2番目及び3番目のgNBにおけるエージェントユニットは、アップグレードが完了した後、ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットにアップグレードの進捗状況をフィードバックする。
【0044】
(4)個々のNFはサービス・インスタンスの一部を所定の割合で新バージョンにアップグレードした後、ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、ダイヤルテスト用のネットワーク・スライス、ダイヤルテスト用のユーザ、ダイヤルテスト用のトラフィック、ダイヤルテスト用のサービス・バージョンを含むネットワーク・スライス・ダイヤルテスト・タスクを構築し、ネットワーク・スライスの下にある各NFに発行する。個々のNFの負荷分散ユニットは、ダイヤルテスト用のネットワーク・スライス、ダイヤルテスト用のユーザ、ダイヤルテスト用のトラフィックをアップグレード済みの特定のバージョンのサービス・インスタンスに導き、ダイヤルテスト・トラフィックの実行を検証する。検証した結果としてダイヤルテスト・トラフィックが異常である場合、問題の原因を特定し、必要に応じてアップグレードを停止し、ネットワーク・スライス・ロールバック・スケジュールを実行し、ネットワーク・スライス内の個々のNFがネットワーク・スライス・バージョン・ロールバックを実行する。ダイヤルテスト・トラフィックを検証した結果として正常である場合、ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニッはアップグレード命令の発行を持続し、ネットワーク・スライスによってカバーされる範囲内のNFの残りのサービス・インスタンスをアップグレードする。
【0045】
ダイヤルテスト・トラフィックを検証した結果として正常である場合、すなわちネットワーク・スライスのエンドツーエンド・ダイヤルテスト・トラフィックを検証した結果として正常である場合、ネットワーク・スライスによってカバーされる範囲内のNFの残りのサービス・インスタンスのアップグレードを持続してもよい。具体的な実施例として、NFはネットワーク・スライス1に専用であり、このNF内には同じタイプの同じバージョンのサービス・インスタンス(サービス1、サービス2、及びサービス3を含む)があり、各サービス・インスタンスは負荷分散方式で動作する。サービス1がバージョンV2にアップグレードされており、サービス2、サービス3、及びサービス4がバージョンV1のままであり、サービス4がアップグレード時にエージェントユニットによってポップアップされる一時的なサービス・インスタンスである場合、サービス2、サービス3をバージョンV2にアップグレードし、アップグレードが完了した後にサービス4を削除する必要がある。具体的なステップは次のとおりである。
【0046】
(1)ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、NFにおけるエージェントユニットにアップグレード持続命令を発行する。
【0047】
(2)負荷分散ユニットは、サービス2におけるトラフィックをすべてサービス1、サービス3、サービス4に移行し、サービス2はトラフィックを処理しなくなる。
【0048】
(3)エージェントユニットは、サービス2をV2バージョンにアップグレードし、モデル及びデータ管理ユニットからV2バージョンのモデル及びデータをロードする。
【0049】
(4)エージェントユニットは、サービス2のアップグレードと同じ方法で、さらにサービス3をアップグレードする。
【0050】
(5)サービス1、サービス2、サービス3はいずれもV2バージョンにアップグレードする。
【0051】
(6)負荷分散ユニットは、サービス4におけるトラフィックをすべてサービス1、サービス2、サービス3に移行し、サービス4はトラフィックを処理しなくなる。
【0052】
(7)エージェントユニットは、サービス4を削除する。
【0053】
(8)エージェントユニットは、ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットに、専用NFのすべてのサービスのアップグレードに成功した旨を返す。
【0054】
ネットワーク・スライス・ダイヤルテスト・トラフィックを検証した結果として異常である場合、ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、ネットワーク・スライス・ロールバック・スケジュールに従って、ネットワーク・スライス内の個々のNFに対してネットワーク・スライス・バージョン・ロールバックを実行する必要がある。単一のNFのバージョン・ロールバックを例にして、単一のNFバージョン・ロールバックは2つのシナリオを含む。シナリオ1:NFにおけるサービス1はV2バージョンであり、V1バージョンにロールバックする必要があり、サービス2、サービス3、及びサービス4のバージョンはすべてV1であり、ロールバックの必要はない。ここで、サービス4はアップグレード中にポップアップされる一時的なサービス・インスタンスである。バージョン・ロールバックが完了した後にサービス4を削除する必要がある。シナリオ2:NFにおけるすべてのサービスがアップグレードされており、サービス1、サービス2、サービス3のバージョンがすべてV2であり、V1にロールバックする必要がある。バージョン・ロールバックの具体的なステップは、次のとおりである。
【0055】
(1)ネットワーク・スライスのネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットはNFアップグレードに失敗した旨のメッセージを受信し、ネットワーク・スライス・ロールバック・スケジュールに従って実行する。
【0056】
(2)ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、エージェントユニットにネットワーク・スライス・バージョン・ロールバック命令を発行する。
【0057】
(3)エージェントユニットは、アップグレード前にバックアップされたV1バージョンのソフトウェアパッケージをローカルに抽出する。モデル及びデータ管理ユニットは、アップグレード前にバックアップされたV1モデル及びデータをローカルに抽出する。
【0058】
(4)エージェントユニットは、実行中のサービス・インスタンスとバージョンを検査し、バージョン・ロールバックが必要なサービス・インスタンスを判断する。
【0059】
(5)サービス4が存在しない場合、エージェントユニットは、サービス4をポップアップし、ローカルからバージョンV1をロードし、モデル及びデータ管理ユニットからバージョンV1のモデル及びデータをロードし、トラフィックの受信及び処理を開始する。サービス1をバージョンV1にロールバックする必要がある場合、負荷分散ユニットは、サービス1におけるトラフィックをすべてサービス2、サービス3、サービス4に移行する。サービス1は、トラフィックを処理しなくなる。エージェントユニットは、サービス1バージョンをV1にロールバックし、モデル及びデータ管理ユニットからV1バージョンのモデル及びデータをロードし、トラフィックの受信及び処理を開始する。負荷分散ユニットは、トラフィックをサービス1に均等にオフロードし、サービス1のトラフィック処理が正常であるか否かを検証する。サービス1におけるトラフィック処理が異常である場合、問題の原因を特定し、トラブルを段階的に排除する必要がある。サービス1におけるトラフィック処理が正常である場合、サービス1のロールバックは成功した。
【0060】
(6)エージェントユニットは、サービス1のロールバックと同様に、サービス2、サービス3のバージョンを逐次判断してロールバックする。
【0061】
(7)サービス1、サービス2、サービス3がV1バージョンにロールバックされた後、負荷分散ユニットは、サービス4におけるトラフィックをすべてサービス1、サービス2、サービス3に移行する。サービス4は、トラフィックを処理しなくなる。エージェントユニットは、サービス4を削除する。エージェントユニットは、NFロールバックに成功した旨をネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットに返す。
【0062】
ネットワーク・スライス全体をロールバックするには、ネットワーク・スライス内の複数のNFをロールバックする必要がある。例えば、前記ネットワーク・スライス・アップグレードプロセスが関与するNFは、それぞれ、3つのgNB、2つのAMF及び1つのUDMであり、アップグレードに失敗し、ロールバックが必要になる。逐次的なロールバックを採用する場合、アップグレード順序とは逆の順序でロールバックを行う。前記アップグレード順序がUDM-AMF-gNBである場合、ロールバックの順序はgNB-AMF-UDMである。
【0063】
上記のロールバック順序に従って、ネットワーク・スライス全体のロールバックステップは
図8に示すとおりである。
【0064】
(1)gNBをロールバックする。ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、1番目のgNBにロールバック命令を発行する。1番目のgNBにおけるエージェントユニットは、ロールバックが完了した後、ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットに、ロールバックに成功した旨をフィードバックする。ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットはさらに、2番目及び3番目のgNBにロールバック命令を発行する。2番目及び3番目のgNBにおけるエージェントユニットは、ロールバックが完了した後、ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットに、ロールバックに成功した旨をフィードバックする。
【0065】
(2)AMFをロールバックする。ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、1番目のAMFにロールバック命令を発行する。1番目のAMFにおけるエージェントユニットは、ロールバックが完了した後、ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットに、ロールバックに成功した旨をフィードバックする。ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、さらに、2番目のAMFにロールバック命令を発行する。2番目のAMFにおけるエージェントユニットは、ロールバックが完了した後、ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットに、ロールバックに成功した旨をフィードバックする。
【0066】
(3)UDMをロールバックする。ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットは、UDMにロールバック命令を発行する。UDMにおけるエージェントユニットは、ロールバックが完了した後、ネットワーク・スライス・アップグレード・主制御ユニットに、ロールバックに成功した旨をフィードバックする。
【0067】
本願の有益な効果は以下のとおりである。本願に記載されたネットワーク・スライスをアップグレードする方法及び装置では、ネットワーク・スライスレベルで無線アクセスネットワーク、コアネットワーク及びベアラネットワークのアップグレードをエンドツーエンドでグローバルに制御し、ネットワーク・スライスによってカバーされる範囲内の複数のNFの共同アップグレードを行い、これにより、ネットワークの保守性を向上させる。また、個々のNFのサービス・インスタンスは部分的にのみアップグレードされ、個々のNFはダイヤルテスト・トラフィックを、アップグレード済みのサービス・インスタンスに導き、新バージョンのサービス・インスタンスのトラフィック処理をエンドツーエンドで検証する。検証に合格する場合、ネットワーク・スライスによってカバーされる範囲内のNFの残りのサービス・インスタンスをアップグレードする。ダイヤルテスト検証に失敗した場合、ネットワーク・スライスの下にある複数のNFのバージョンを順番にロールバックすることができる。また、本願のアップグレード、ダイヤルテスト、ロールバックの全プロセスは、ネットワーク・スライスのエンドツーエンドのトラフィックの正常な処理に影響を与えない。
【0068】
以上は、本願のいくつかの実施例であり、本願の特許範囲は、特許請求の範囲及びその等価物によって定められる。