(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-10
(45)【発行日】2025-04-18
(54)【発明の名称】ストッカー及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B65H 75/02 20060101AFI20250411BHJP
B65H 67/02 20060101ALI20250411BHJP
G16Y 40/35 20200101ALI20250411BHJP
【FI】
B65H75/02 Z
B65H67/02
G16Y40/35
(21)【出願番号】P 2024100508
(22)【出願日】2024-06-21
【審査請求日】2024-06-21
(31)【優先権主張番号】202311254021.1
(32)【優先日】2023-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523443995
【氏名又は名称】チョーチアン ヘンイー ペトロケミカル カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シエンタオ ポン
(72)【発明者】
【氏名】イーポー チウ
(72)【発明者】
【氏名】ポン ワン
【審査官】倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-273269(JP,A)
【文献】特開平07-017668(JP,A)
【文献】特開平07-257822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 54/86、67/02、73/00、75/02
G16Y 40/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストッカーであって、
支持体と、
少なくとも1つの受取ロッドであって、
前記支持体に連結された第1端部と、前記ストッカーと巻取機との間で移動可能なドッフィング機の排出口から排出された、そのドッフィング機が前記巻取機から取り出した複数の巻糸パッケージを前記受取ロッドの外側に嵌設できるように、前記ドッフィング機の排出口
と位置合わせされるための第2端部と、を有する、受取ロッドと、
糸剥ぎ取りロッドであって、前記糸剥ぎ取りロッドの第1端部は前記支持体に摺動可能に連結され、前記糸剥ぎ取りロッドは、複数の巻糸パッケージが前記少なくとも1つの受取ロッドのうちの第1受取ロッドの外側に嵌設され且つ第1受取ロッド上の巻糸パッケージの数が設定条件に達した場合に、前記糸剥ぎ取りロッドの第1端部が前記支持体に対して摺動することにより、前記第1受取ロッドに対応する糸剥ぎ取り位置まで摺動される、糸剥ぎ取りロッドと、を備え、
前記糸剥ぎ取りロッドには、
前記第1受取ロッドの外側に嵌設された前記複数の巻糸パッケージを撮像して、前記複数の巻糸パッケージの中から、垂れ下がった繊維糸が存在する目標巻糸パッケージを特定することに用いられる巻糸パッケージ画像を得るためのカメラと、
前記糸剥ぎ取りロッドが前記第1受取ロッドに対応する糸剥ぎ取り位置まで摺動されたときに前記第1受取ロッドの外側に嵌設された前記複数の巻糸パッケージと1対1に対応できるように構成された複数の糸剥ぎ取り器であって、前記糸剥ぎ取り器は、前記糸剥ぎ取りロッドに伸縮可能に連結され、対応する
前記第1受取ロッドの外側に嵌設された巻糸パッケージが前記目標巻糸パッケージである場合に、前記糸剥ぎ取りロッドから前記目標巻糸パッケージに向かって伸出することができる、糸剥ぎ取り器と、が設けられてお
り、 前記糸剥ぎ取り器は、糸吸引器と糸カッターとを含み、
前記糸吸引器は、前記糸剥ぎ取り器が前記糸剥ぎ取りロッドから伸出して前記目標巻糸パッケージに向いているときに、前記目標巻糸パッケージの垂れ下がった繊維糸の末端を吸着して前記末端を前記糸吸引器に固定させることに用いられるものであり、
前記糸カッターは、前記糸吸引器による吸着時間長が設定閾値に達した場合に、前記糸吸引器と前記目標巻糸パッケージとの間に連結された繊維糸を切断することに用いられるものである、
ストッカー。
【請求項2】
各前記受取ロッドの第1端部は前記支持体に回動可能に連結され、
前記巻糸パッケージ画像は、前記複数の巻糸パッケージの繊維糸が巻糸パッケージに巻かれる第1方向を識別することにさらに用いられ、
前記第1受取ロッドは、前記複数の巻糸パッケージの中から、垂れ下がった繊維糸が存在する目標巻糸パッケージを特定する前に、前記第1方向とは逆方向に回動することで、該巻糸パッケージに巻かれた繊維糸が垂れ下がるように前記第1受取ロッドの外側に嵌設された巻糸パッケージを回動させることに用いられる、
請求項1に記載のストッカー。
【請求項3】
前記糸吸引器は、前記糸剥ぎ取り器に回転可能に連結され、前記目標巻糸パッケージの外表面の繊維糸が外側に巻き出されるように、前記糸剥ぎ取り器が前記糸剥ぎ取りロッドから伸出して前記目標巻糸パッケージに向いているときに、前記目標巻糸パッケージの垂れ下がった繊維糸の末端を吸着して前記末端を前記糸吸引器に固定させると共に、前記糸吸引器を前記第1方向とは逆方向に回転することにより、前記目標巻糸パッケージを前記第1方向とは逆方向に回転させることに用いられる、
請求項2に記載のストッカー。
【請求項4】
前記第1受取ロッドは、前記糸吸引器が前記目標巻糸パッケージの外表面の繊維糸を吸着している場合に、前記第1方向とは逆方向に回転することで、前記目標巻糸パッケージの外表面の繊維糸が外側に巻き出されるように前記目標巻糸パッケージを回転させることに用いられる、
請求項3に記載のストッカー。
【請求項5】
前記糸剥ぎ取り器は前記糸剥ぎ取りロッドに摺動可能に連結される、
請求項1に記載のストッカー。
【請求項6】
前記ストッカーは、
前記糸剥ぎ取りロッドの下方に位置しており且つ前記糸剥ぎ取りロッドに向いている容器開口部を有する廃糸容器をさらに備え、前記廃糸容器は、前記糸剥ぎ取り器によって剥ぎ取られた繊維糸を回収することに用いられる、
請求項1に記載のストッカー。
【請求項7】
前記ストッカーは、
吸着ノズルが前記廃糸容器の内側面であって且つ前記容器開口部の近傍に設けられた真空吸着器をさらに備え、前記真空吸着器は、前記糸剥ぎ取り器によって剥ぎ取られた繊維糸を吸着して前記廃糸容器内に回収することに用いられる、
請求項6に記載のストッカー。
【請求項8】
前記容器開口部は漏斗開口部である、
請求項6に記載のストッカー。
【請求項9】
コンピュータにおいて、プロセッサにより実行されると、
請求項1に記載のストッカーにおいて、
ドッフィング機の排出口から排出された複数の巻糸パッケージを前記ストッカーにおける前記第1受取ロッドの外側に嵌設できるように、前記第1受取ロッドの第2端部が前記ドッフィング機の排出口に位置合わせされ、
前記ドッフィング機の前記排出口から排出された前記複数の巻糸パッケージが前記第1受取ロッドの外側に嵌設されたとき、前記第1受取ロッド上の巻糸パッケージの数が設定条件に達した場合に、前記ストッカーにおける糸剥ぎ取りロッドの第1端部を支持体に対して摺動させることにより、前記糸剥ぎ取りロッドが前記第1受取ロッドに対応する糸剥ぎ取り位置まで摺動し、
前記糸剥ぎ取りロッド上のカメラが前記第1受取ロッドの外側に嵌設された前記複数の巻糸パッケージを撮像して第1巻糸パッケージ画像を得、前記第1巻糸パッケージ画像に基づいて前記複数の巻糸パッケージの中から垂れ下がった繊維糸が存在する目標巻糸パッケージを特定し、前記目標巻糸パッケージに対応する糸剥ぎ取り器が前記目標巻糸パッケージに向かって前記糸剥ぎ取りロッドから伸出し、前記糸剥ぎ取り器が前記糸剥ぎ取りロッドから伸出して前記目標巻糸パッケージに向いているときに前記糸剥ぎ取り器の糸吸引器が前記目標巻糸パッケージの垂れ下がった繊維糸の末端を吸着して前記末端を前記糸吸引器に固定させ、前記糸吸引器による吸着時間長が設定閾値に達した場合に前記糸剥ぎ取り器の糸カッターが前記糸吸引器と前記目標巻糸パッケージとの間に連結された繊維糸を切断する、ように制御する、
制御方法を実現
させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機械技術分野及びコンピュータ技術分野に関し、特に、ストッカー、糸剥ぎ取り器方法、糸剥ぎ取り装置、電子デバイス、記憶媒体及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
化学繊維製品を製造する工程において、繊維糸を巻取機で巻き取り、複数の巻糸パッケージを得る。これらの巻糸パッケージは、後続のプロセスにおける対応の動作を行うために、ドッフィング機によって巻取機からストッカー内に移動され一時的に保管される。しかし、これらの巻糸パッケージ上の繊維糸は一部の糸が垂れ下がっている可能性があるため、移動中に隣接する巻糸パッケージの垂れ下がった繊維糸と結びついたり、他の機械や部品に絡みついたりすることがある。また、巻取機で繊維糸を巻糸パッケージに巻き取り、巻糸パッケージが満巻になりかけていると、巻取機の減速により巻糸パッケージの外表面の層の繊維糸の品質が悪くなる。
【0003】
したがって、これらを回避するためには、巻糸パッケージが巻き終わった後、巻糸パッケージに対して糸剥ぎ取りを行う必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、ストッカー、糸剥ぎ取り方法、糸剥ぎ取り装置、電子デバイス、記憶媒体及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1態様によれば、ストッカーを提供し、当該ストッカーは、
支持体と、
少なくとも1つの受取ロッドであって、前記受取ロッドの第1端部は前記支持体に連結され、前記受取ロッドの第2端部は、ドッフィング機の排出口から排出された複数の巻糸パッケージを受取ロッドの外側に嵌設できるように、前記ドッフィング機の排出口と対応して設けられる、受取ロッドと、
複数の巻糸パッケージが前記少なくとも1つの受取ロッドのうちの第1受取ロッドの外側に嵌設され且つ第1受取ロッド上の巻糸パッケージの数が設定条件に達した場合に、前記第1受取ロッドに対応する糸剥ぎ取り位置まで摺動するための糸剥ぎ取りロッドであって、前記糸剥ぎ取りロッドの第1端部は前記支持体に摺動可能に連結され、前記糸剥ぎ取りロッドには、前記複数の巻糸パッケージと1対1に対応している複数の糸剥ぎ取り器が設けられている、糸剥ぎ取りロッドと、を備え、
前記糸剥ぎ取り器は対応する巻糸パッケージの外表面の繊維糸を剥ぎ取ることに用いられる。
【0006】
本開示のもう1つの態様によれば、糸剥ぎ取り方法を提供し、当該方法は、
ドッフィング機の排出口が本開示の実施例におけるいずれか1つのストッカーにおける第1受取ロッドの第2端部と対応するよう制御することと、
前記ドッフィング機が複数の巻糸パッケージを前記排出口から排出して、前記複数の巻糸パッケージを前記第1受取ロッドの外側に嵌設するよう制御することと、
前記第1受取ロッド上の巻糸パッケージの数が設定条件に達した場合に、前記ストッカーにおける糸剥ぎ取りロッドが前記第1受取ロッドに対応する糸剥ぎ取り位置まで摺動するよう制御することと、
前記糸剥ぎ取りロッド上の各糸剥ぎ取り器が各々の対応する巻糸パッケージの外表面の繊維糸を前記第1受取ロッド上で剥ぎ取るよう制御することと、を含む。
【0007】
本開示のもう1つの態様によれば、糸剥ぎ取り装置を提供し、当該装置は、
ドッフィング機の排出口が本開示の実施例におけるいずれか1つのストッカーにおける第1受取ロッドの第2端部と対応するよう制御するための排出位置制御モジュールと、
前記ドッフィング機が複数の巻糸パッケージを前記排出口から排出して、前記複数の巻糸パッケージを前記第1受取ロッドの外側に嵌設するよう制御するための排出制御モジュールと、
前記第1受取ロッド上の巻糸パッケージの数が設定条件に達した場合に、前記ストッカーにおける糸剥ぎ取りロッドが前記第1受取ロッドに対応する糸剥ぎ取り位置まで摺動するよう制御するための糸剥ぎ取りロッド摺動制御モジュールと、
前記糸剥ぎ取りロッド上の各糸剥ぎ取り器が各々の対応する巻糸パッケージの外表面の繊維糸を前記第1受取ロッド上で剥ぎ取るよう制御するための糸剥ぎ取り器制御モジュールと、を備える。
【0008】
本開示のもう1つの態様によれば、電子デバイスを提供し、該デバイスは、
少なくとも1つのプロセッサと、
該少なくとも1つのプロセッサと通信接続されるメモリと、を備え、
該メモリには、該少なくとも1つのプロセッサで実行可能な命令が記憶され、該命令は、該少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、本開示の実施例におけるいずれか1つの糸剥ぎ取り方法を実行させる。
【0009】
本開示のもう1つの態様によれば、本開示の実施例におけるいずれか1つの糸剥ぎ取り方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータ命令を記憶した非一時的コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0010】
本開示のもう1つの態様によれば、プロセッサにより実行されると、本開示の実施例におけるいずれか1つの糸剥ぎ取り方法を実現するためのプログラムを提供する。
【0011】
本開示により提供される技術的解決手段の有益な効果は、少なくとも次のものを含む。
【0012】
本開示の技術によれば、ストッカー内には1つ又は複数の受取ロッドが設けられており、受取ロッドの一端はストッカー内の支持体に連結され、他端は、排出口から排出された複数の巻糸パッケージを受取ロッドに嵌設することができるように、ドッフィング機の排出口と対応している。このように、ストッカーは複数の巻糸パッケージを収容することができる。一方、ストッカー内には、一端が支持体に摺動可能に連結された糸剥ぎ取りロッドが設けられており、糸剥ぎ取りロッドは、複数の巻糸パッケージが上記1つ又は複数の受取ロッドのうちの第1受取ロッドに嵌設され且つ第1受取ロッド上の巻糸パッケージの数が設定条件に達したときに、第1受取ロッドに対応する糸剥ぎ取り位置まで摺動可能であり、これにより、糸剥ぎ取りロッド上の各糸剥ぎ取り器は、各々の対応する巻糸パッケージの外表面の繊維糸を剥ぎ取ることができる。したがって、ストッカー内に糸剥ぎ取りロッドを配置することにより、巻糸パッケージの保管または移送前にあらかじめ巻糸パッケージの最外層の繊維糸を剥ぎ取ることに役立ち、その後の保管または移送時に巻糸パッケージの繊維糸が他の装置と絡み合うことを回避することができる。
【0013】
ここに記載された内容は、本開示の実施例のキーポイント又は重要な特徴を記述することを意図せず、また、本開示の範囲を制限することにも用いられないことを理解すべきである。本開示の他の特徴については、下記の明細書を通して理解を促す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
添付の図面において、別段説明がない限り、複数の図面を通して同一の番号は同一又は類似の部品又は要素を表す。これらの添付図面は、必ずしも縮尺通りに描かれていない。これらの図面は、本開示により提供されるいくつかの実施形態のみを示し、本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解され得る。
【
図1】本開示の一実施例によるストッカーの構成を示す概略図である。
【
図2】本開示の他の実施例によるストッカーの構成を示す概略図である。
【
図3】本開示の他の実施例によるストッカーの構成を示す概略図である。
【
図4】本開示の一実施例による糸剥ぎ取り方法の概略フローチャートである。
【
図5】本開示の一実施例による糸剥ぎ取り装置の構成のブロック図である。
【
図6】本開示の一実施例による電子デバイスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照して本開示の例示的な実施例を説明するが、これらの図面には、理解を助けるために本開示の実施例の様々な詳細が含まれており、これらは例示的なものに過ぎないと理解されるべきである。したがって、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された実施例に様々な変更および修正を加えることができることを認識すべきである。同様に、周知の機能および構造の説明は、明確かつ簡潔にするために、以下の説明から省略される。
【0016】
図1は本開示の一実施例によるストッカーの構成を示す概略図である。
【0017】
図1に示すように、ストッカーは、支持体101と、糸剥ぎ取りロッド102と、少なくとも1つの受取ロッド103とを備える。受取ロッド103の第1端部は支持体101に連結され、受取ロッド103の第2端部は、排出口から排出された複数の巻糸パッケージ104を受取ロッド103の外側に嵌設することができるように、ドッフィング機の排出口と対応することに用いられる。糸剥ぎ取りロッド102の第1端部は支持体101に摺動可能に連結され、糸剥ぎ取りロッド102は、少なくとも1つの受取ロッド103のうちの第1受取ロッド103の外側に複数の巻糸パッケージ104が嵌設され、かつ、第1受取ロッド103上の巻糸パッケージ104の数が設定条件に達した場合に、第1受取ロッド103と対応する糸剥ぎ取り位置まで摺動することに用いられる。糸剥ぎ取りロッド102には、複数の巻糸パッケージ104と1対1に対応している複数の糸剥ぎ取り器105が設けられており、糸剥ぎ取り器105は対応する巻糸パッケージ104の外表面の繊維糸を剥ぎ取ることに用いられる。
【0018】
なお、ドッフィング機は巻取機とストッカーとの間で移動可能であり、ドッフィング機の供給口は巻取機の排出口と対応しており、ドッフィング機は複数の巻糸パッケージ104を巻取機から取り出し、さらに、複数の巻糸パッケージ104をストッカーに移動して保管することに用いられることが理解され得る。
【0019】
なお、巻糸パッケージ104は、柱状中空体に繊維糸を巻き付けて形成された、コイル状に巻き付けた糸のことであることが理解され得る。
【0020】
なお、巻糸パッケージ104の外表面の繊維糸とは、巻糸パッケージの外表面である繊維糸の層、すなわち最外層の繊維糸を指すことが理解され得る。
【0021】
なお、ストッカー内には、1つ又は複数の受取ロッド103が配置されていてもよい。例えば、複数の受取ロッド103は、互いに平行に且つ複数行複数列に並んで配置されている。支持体101は床面に立設され、受取ロッド103は床面に平行であり、受取ロッド103の第2端部がドッフィング機の排出口と対応しやすくなることが理解され得る。
【0022】
なお、第1受取ロッド103は供給中の受取ロッド103であることが理解され得る。そして、第1受取ロッド103にて供給された巻糸パッケージ104が設定条件を満たした時点で、第1受取ロッド103上の巻糸パッケージ104の糸剥ぎ取りを開始することが理解され得る。
【0023】
なお、上記の設定条件は、巻糸パッケージ104の数が設定された数の閾値に達することであってもよい。例えば、巻糸パッケージ104の数が8個よりも多い場合には、巻糸パッケージ104の数が設定条件に達していると判定することが理解され得る。
【0024】
なお、ストッカー内には、1つ又は複数の糸剥ぎ取りロッド102が配置されていてもよい。各糸剥ぎ取りロッド102は、1つ又は複数の受取ロッド103に対応しており、この1つ又は複数の受取ロッド103上の巻糸パッケージ104の外表面の繊維糸、すなわち最外層の繊維糸を剥ぎ取る。1つの糸剥ぎ取りロッド102が複数の受取ロッド103に対応していれば、ある受取ロッド103への供給が終わった直後に、糸剥ぎ取りロッド102を受取ロッド103に近い位置まで摺動させることができ、糸剥ぎ取りロッド102が受取ロッド103上の巻糸パッケージ104に対して外表面の繊維糸を剥ぎ取ることに役立つことが理解され得る。
【0025】
なお、支持体101には摺動レールが設けられており、糸剥ぎ取りロッド102の第1端部には、摺動レールに埋め込まれ、第1受取ロッド103に接近するように摺動するための滑車が設けられていることが理解され得る。また、摺動レールには、各々の受取ロッド103にそれぞれ対応する係止ブロックを設けてもよく、糸剥ぎ取りロッド102が第1受取ロッド103と対応する糸剥ぎ取り位置に摺動すると、当該糸剥ぎ取り位置に対応する係止ブロックが摺動レール内に進入し、糸剥ぎ取りロッド102を係止して糸剥ぎ取りロッド102を固定することができる。
【0026】
上述した実施形態によれば、ストッカー内には1つ又は複数の受取ロッド103が設けられており、受取ロッド103の一端はストッカー内の支持体101に連結され、他端は、排出口から排出された複数の巻糸パッケージ104を受取ロッド103に嵌設することができるように、ドッフィング機の排出口と対応している。このように、ストッカーは複数の巻糸パッケージ104を収容することができる。一方、ストッカー内には、一端が支持体101に摺動可能に連結された糸剥ぎ取りロッド102が設けられており、糸剥ぎ取りロッド102は、複数の巻糸パッケージ104が上記1つ又は複数の受取ロッド103のうちの第1受取ロッド103に嵌設され且つ第1受取ロッド103上の巻糸パッケージ104の数が設定条件に達したときに、第1受取ロッド103に対応する糸剥ぎ取り位置まで摺動可能であり、これにより、糸剥ぎ取りロッド102上の各糸剥ぎ取り器105は、各々の対応する巻糸パッケージ104の外表面の繊維糸を剥ぎ取ることができる。したがって、ストッカー内に糸剥ぎ取りロッド102を配置することにより、巻糸パッケージ104の保管または移送前にあらかじめ巻糸パッケージ104の最外層の繊維糸を剥ぎ取ることに役立ち、その後の保管または移送時に、巻糸パッケージ104の最外層の繊維糸が緩んだり、糸端が下方に垂れ下がったりして、繊維糸が他の装置と絡み合うことを回避することができるとともに、良好な作業条件で効率よく糸剥ぎ取り工程を完了することができ、生産効率を向上させることができる。
【0027】
図2は本開示の他の実施例によるストッカーの構成を示す概略図である。
【0028】
一実施形態では、
図2に示すように、糸剥ぎ取りロッド102上にカメラ106をさらに設けられている。カメラ106は、第1受取ロッド103の外側に嵌設された複数の巻糸パッケージ104を撮像して、複数の巻糸パッケージ104の中から、糸垂れの存在する目標巻糸パッケージ104を特定するための巻糸パッケージ画像を得ることに用いられる。糸剥ぎ取り器105は糸剥ぎ取りロッド102に伸縮可能に連結され、糸剥ぎ取り器105は、対応する巻糸パッケージ104が目標巻糸パッケージ104である場合に、糸剥ぎ取りロッド102から目標巻糸パッケージ104に向かって伸出して、目標巻糸パッケージ104の外表面の繊維糸を剥ぎ取ることに用いられる。
【0029】
なお、糸剥ぎ取りロッド102には、1つまたは複数のカメラ106が設けられていてもよく、受取ロッド103上のすべての巻糸パッケージ104をあらゆる角度から撮像することができることが理解され得る。
【0030】
なお、カメラ106は、巻糸パッケージ104の画像をバックグラウンドサービスに提供し、バックグラウンドサービスは、巻糸パッケージ104の画像に基づいて、垂れ下がった繊維糸が存在する目標巻糸パッケージ104を特定することが理解され得る。例えば、バックグラウンドサービスは、画像認識モデルを使用して画像を識別して、目標巻糸パッケージを特定することができる。
【0031】
なお、垂れ下がった繊維糸とは、巻糸パッケージ104の側面から垂れ下がり、且つ先端が空中にぶら下がって巻糸パッケージ104の側面に接触していない繊維糸を意味することが理解され得る。
【0032】
なお、目標巻糸パッケージ104は1つまたは複数であってもよいことが理解され得る。
【0033】
なお、目標巻糸パッケージ104が複数である場合には、各々の目標巻糸パッケージ104の対応する糸剥ぎ取り器105が、糸剥ぎ取りロッド102から目標巻糸パッケージ104に向かって伸出することが理解され得る。
【0034】
なお、糸剥ぎ取り器105は、伸縮ロッド107を介して糸剥ぎ取りロッド102に垂直に連結されていることが理解され得る。糸剥ぎ取りが必要な場合には、糸剥ぎ取り器105を目標巻糸パッケージ104に近づけるように、伸縮ロッド107を伸長させる。糸剥ぎ取り器105が外表面の繊維糸を剥ぎ取った後、伸縮ロッド107を後退させて糸剥ぎ取り器105を目標巻糸パッケージ104から遠ざける。
【0035】
上述した実施形態によれば、第1受取ロッド103上の複数の巻糸パッケージ104をカメラ106で撮像することにより、目視認識によって、垂れ下がった繊維糸が存在する目標巻糸パッケージ104を正確に識別することができる。糸剥ぎ取りロッド102において伸縮可能な糸剥ぎ取り器105を設けることにより、目標巻糸パッケージ104の外表面の繊維糸の剥ぎ取りを容易にし、繊維糸の糸剥ぎ取り効率を向上させることができる。垂れ下がった繊維糸が存在する目標巻糸パッケージは、その外表面の層の繊維糸の品質も悪いので、目標巻糸パッケージの外表面の繊維糸を剥ぎ取ることにより、巻糸パッケージの垂れ下がった繊維糸を剥ぎ取って他の装置との絡まりを回避することができ、巻糸パッケージの繊維糸の品質を向上させることができる。垂れ下がった繊維糸が存在しない他の巻糸パッケージについては、その外表面の繊維糸を剥ぎ取らなくてもよく、ストッカー内の巻糸パッケージに対する剥ぎ取りの効率を向上させることができる。
【0036】
一実施形態では、各受取ロッド103の第1端部は支持体101に回動可能に連結されており、上記カメラ106によって撮像された巻糸パッケージ画像は、第1受取ロッド103に嵌設された複数の巻糸パッケージの繊維糸が巻糸パッケージに巻かれる方向、すなわち第1方向を識別するためにも使用される。第1受取ロッド103は、複数の巻糸パッケージの中から、垂れ下がった繊維糸のある目標巻糸パッケージを特定する前に、第1方向とは逆方向に回動することで、第1受取ロッド103の外側に嵌設された巻糸パッケージ104を回動させて当該巻糸パッケージ104に巻かれた繊維糸を下方に垂下させる。
【0037】
なお、受取ロッド103は、回転軸108を介して支持体101に連結されてもよく、回転軸108は、時計回りにも反時計回りにも回転可能であることが理解され得る。
【0038】
なお、第1受取ロッド上のどの巻糸パッケージが目標巻糸パッケージ104であるかを決定する前に、あらかじめ第1受取ロッド103を回転させる。回転方向は、巻糸パッケージ104の繊維糸が巻糸パッケージに巻かれる方向とは逆方向であり、巻糸パッケージ104に巻かれた繊維糸が垂れ下がるように、すなわち繊維糸の末端が空中にぶら下がるようにすることに役立つ。
【0039】
以上の実施形態によれば、目標巻糸パッケージを識別する前に、あらかじめ第1受取ロッド103を回転させることで巻糸パッケージ104を回転させ、巻糸パッケージ104に巻かれた糸を垂下させることにより、現在垂れ下がった糸がないが、将来糸が垂れ下がる可能性がある巻糸パッケージ104について、できるだけ糸端部を垂下させて、目標巻糸パッケージとして決定すると、その後、その外表面の繊維糸を剥ぎ取ることにより巻糸パッケージの繊維糸の品質を向上させることができる。また、後続の移送工程においてストッカー内の巻糸パッケージ104が他の部品と引っ掛かったり絡み合ったりする可能性を低減することができる。
【0040】
一実施形態では、糸剥ぎ取り器105は、糸吸引器と糸カッターとを含むことができる。糸吸引器は、糸剥ぎ取り器105が糸剥ぎ取りロッド102から伸出して目標巻糸パッケージに向かっているときに、目標巻糸パッケージの垂れ下がった繊維糸の末端を吸着してその末端を糸吸引器に固定させることで、目標巻糸パッケージを第1方向とは逆方向に回転させて目標巻糸パッケージの外表面の繊維糸を外側に巻き出すことに用いられる。糸カッターは、糸吸引器による吸着時間長が設定閾値に達した場合に、糸吸引器と目標巻糸パッケージとの間に連結された繊維糸を切断することに用いられる。
【0041】
なお、糸吸引器は、糸剥ぎ取り器105に回転可能に連結されていることが理解され得る。糸吸引器は、目標巻糸パッケージ上の繊維糸が外側に巻き出されて糸吸引器に巻き込まれるように、目標巻糸パッケージの垂れ下がった繊維糸の末端を吸引しながら第1方向とは逆方向に回転する。
【0042】
なお、糸カッターは、糸剥ぎ取り器に伸縮可能かつ摺動可能に連結されていることが理解され得る。糸吸引器による吸着時間長が設定閾値に達した場合には、糸カッターが移動して、糸吸引器と目標巻糸パッケージとの間に連結された繊維糸に近づけて繊維糸を切断する。
【0043】
なお、糸吸引器による吸着時間長は設定閾値に達したことは、目標巻糸パッケージの外表面の繊維糸はすでに完全に巻き出されたと考えられることが理解され得る。
【0044】
上述した実施形態によれば、目標巻糸パッケージの垂れ下がった繊維糸の末端が糸吸引器によって糸吸引器に固定され、次いで、糸吸引器に固定された巻糸パッケージを第1方向とは逆方向に回転させることにより、目標巻糸パッケージの外表面の繊維糸が外側に巻き出される。糸吸引器による吸着時間長が設定閾値に達した場合に、糸カッターを移動させて糸吸引器と目標巻糸パッケージとの間に連結された繊維糸に近づけて繊維糸を切断する。これにより、糸剥ぎ取り器が巻糸パッケージの外表面の繊維糸を剥ぎ取る効果を得ることができる。
【0045】
1つの実施形態では、第1受取ロッド103は、糸吸引器が目標巻糸パッケージの外表面繊維糸を吸着している状態で、第1方向とは逆方向に回転することで、目標巻糸パッケージの外表面繊維糸が外側に巻き出されるように目標巻糸パッケージを回転させることに用いられる。
【0046】
この例では、糸剥ぎ取り器が目標巻糸パッケージに対して糸剥ぎ取りを行っている間に、第1受取ロッドが目標巻糸パッケージの繊維糸が巻糸パッケージに巻かれる方向とは逆方向に回転するよう制御することにより、目標巻糸パッケージがこの逆方向に回転することを促進し、ひいては目標巻糸パッケージの外表面の繊維糸が外側へ巻き出される速度を促進し、糸剥ぎ取り器による糸剥ぎ取りの効率を向上させることができる。
【0047】
一実施形態では、糸剥ぎ取り器105は、糸剥ぎ取りロッド102に摺動可能に連結され、糸剥ぎ取りロッド102は、対応する巻糸パッケージ104が目標巻糸パッケージ104である場合に、目標巻糸パッケージ104に対する糸剥ぎ取り器105の対応する位置を較正するように、糸剥ぎ取りロッド102上を摺動する。
【0048】
なお、糸剥ぎ取りロッド102は円筒形であってもよいことが理解され得る。糸剥ぎ取りロッド102は伸縮ロッドを介して糸剥ぎ取り器105に連結されている。伸縮ロッドの第1端部は、糸剥ぎ取りロッド102を係止するための締緩可能なスロットである。伸縮ロッドの第2端部は糸剥ぎ取り器105に連結されている。糸剥ぎ取り器105を摺動させて目標巻糸パッケージ104との対応位置を較正する必要がある場合に、スロットが糸剥ぎ取りロッド102の延在方向に摺動するためにスロットを緩めることができる。糸剥ぎ取り器105が目標巻糸パッケージ104との位置較正が完了すると、糸剥ぎ取りロッド102上の糸剥ぎ取り器105の位置を固定するためにスロットを締めることができ、これにより、糸剥ぎ取り器105が目標巻糸パッケージ104の外表面の繊維糸を剥ぎ取ることに役立つ。
【0049】
上述した実施形態によれば、糸剥ぎ取りロッド102に摺動可能に連結された糸剥ぎ取り器105を設けることにより、糸剥ぎ取り器105によって目標巻糸パッケージ104に対して糸剥ぎ取りを行う前に、糸剥ぎ取りロッド102上で糸剥ぎ取り器105を摺動させることができ、目標巻糸パッケージ104に対する糸剥ぎ取り器105の糸剥ぎ取り位置を較正することができ、糸剥ぎ取りの効率を向上させることができる。
【0050】
一実施形態では、
図2に示すように、ストッカーは、糸剥ぎ取りロッド102の下方に位置し、且つ糸剥ぎ取りロッド102に向いている容器開口部を有する廃糸容器109をさらに備えることができ、廃糸容器109は、糸剥ぎ取り器105によって剥ぎ取られた繊維糸を回収することに用いられる。
【0051】
なお、容器開口部は、第1受取ロッド103上の巻糸パッケージ104に近接していることが理解され得る。
【0052】
なお、容器開口部の床面への正投影は、第1受取ロッド103上の巻糸パッケージ104の床面への正投影を覆うことが理解され得る。
【0053】
なお、容器開口部は、漏斗開口部又は布袋開口部のような形状であってもよいことが理解され得る。
【0054】
上述した実施形態によれば、剥ぎ取られた繊維糸を回収するための廃糸容器を使用することにより、ストッカーを清潔にすることができ、また、繊維糸が散らばることを回避することができる。
【0055】
一実施形態では、
図2に示すように、ストッカーは、吸着ノズル110が廃糸容器の内側面であって且つ前記容器開口部の近傍に設けられた真空吸着器をさらに備えることができ、真空吸着器は、糸剥ぎ取り器105によって剥ぎ取られた繊維糸を吸着して廃糸容器内に回収することに用いられる。
【0056】
なお、真空吸着器と廃糸容器とを一体的に設けてもよいことが理解され得る。
【0057】
上述した実施形態によれば、糸剥ぎ取り器105で剥ぎ取られた繊維糸を真空吸着器で吸着することにより、剥ぎ取られた繊維糸を確実に廃棄物容器に回収するよう制御することができ、剥ぎ取られた繊維糸が廃糸容器外に落ちることを回避する。
【0058】
一実施形態では、
図1及び
図2に示すように、ストッカー内の支持体101は、底板111と、底板111に垂直な支持板112とを含み、受取ロッド103の第1端部は支持板112に連結され且つ底板111に平行であり、糸剥ぎ取りロッド102の第1端部は支持板112に摺動可能に連結され且つ底板111に平行である。
【0059】
以上の実施形態によれば、支持体101は、底板111と、底板111に垂直な支持板112とを備えているので、受取ロッド103は支持板112に連結され且つ底板111に平行であり、糸剥ぎ取り器102は支持板112に連結され且つ底板111に平行である。これにより、ストッカーに大量の巻糸パッケージ104を収容した場合に、重心のずれによってストッカーが倒れることがなく、ストッカーのバランスを保つことができる。一方、受取ロッド103は底板111に平行であるので、受取ロッド103とドッフィング機との突き合わせを容易にし、巻糸パッケージ104の排出を容易にすることができる。
【0060】
図3は本開示の他の実施例によるストッカーの構成を示す概略図である。
【0061】
一実施形態では、
図3に示すように、底板の支持板から離れた底面には複数の滑車が設けられている。
【0062】
以上の実施形態によれば、ストッカーの底板111の底面に複数の滑車113を設けることにより、ストッカーの移動を容易にし、巻糸パッケージ104を移動させることに役立つ。
【0063】
図4は、本開示の一実施例による糸剥ぎ取り方法の概略フローチャートである。
【0064】
図4に示すように、該糸剥ぎ取り方法は、次のステップを含むことができる。
【0065】
S410において、ドッフィング機の排出口が本開示の実施例におけるいずれか1つのストッカーであるストッカーにおける第1受取ロッドの第2端部に対応するよう制御する。
【0066】
S420において、ドッフィング機が複数の巻糸パッケージを排出口から排出して、複数の巻糸パッケージを第1受取ロッドの外側に嵌設するよう制御する。
【0067】
S430において、第1受取ロッド上の巻糸パッケージ数が設定条件に達した場合に、ストッカーにおける糸剥ぎ取りロッドが第1受取ロッドに対応する糸剥ぎ取り位置まで摺動するよう制御する。
【0068】
S440において、糸剥ぎ取りロッド上の各糸剥ぎ取り器が各々の対応する巻糸パッケージの外表面の繊維糸を第1受取ロッド上で剥ぎ取るよう制御する。
【0069】
ここで、ストッカーの構造及びその機能は、前述したいずれかの実施例を参照することができ、ここでは詳細に説明しない。
【0070】
なお、ドッフィング機の排出口がストッカーにおける第1受取ロッドの第2端部に対応することとは、排出口が第2端部に位置合わせされていることを意味することが理解され得る。
【0071】
なお、上記の設定条件は、巻糸パッケージの数が設定数閾値に達した場合であってもよい。例えば、巻糸パッケージ数が8個より多い場合には、巻糸パッケージ数が設定条件に達していると判定することが理解され得る。
【0072】
なお、糸剥ぎ取りロッド上の1つ又は複数の糸剥ぎ取り器が各々の対応する巻糸パッケージの外表面の繊維糸を第1受取ロッド上で剥ぎ取るよう制御することが理解され得る。
【0073】
なお、ストッカーにおける糸剥ぎ取りロッドが第1受取ロッドに対応する糸剥ぎ取り位置まで摺動することとは、糸剥ぎ取りロッドが第1受取ロッドに平行でありかつ近接した位置まで摺動することを意味し、糸剥ぎ取りロッド上の糸剥ぎ取り器が第1受取ロッド上の巻糸パッケージの外表面の繊維糸を容易に剥ぎ取ることを可能にすることが理解され得る。
【0074】
上述した実施形態によれば、ドッフィング機の排出口がストッカーにおける第1受取ロッドに対応するよう制御した後、ドッフィング機が複数の巻糸パッケージを排出口から排出して、複数の巻糸パッケージを第1受取ロッドの外側に嵌設するよう制御する。このようにして、複数の巻糸パッケージをストッカー内に収容することができる。第1受取ロッド上の巻糸パッケージの数が設定条件に達した場合に、ストッカーにおける糸剥ぎ取りロッドが第1受取ロッドに対応する糸剥ぎ取り位置まで摺動するよう制御した後、糸剥ぎ取りロッド上の糸剥ぎ取り器を用いて、対応する巻糸パッケージの外表面の繊維糸を第1受取ロッド上で剥ぎ取る。
【0075】
一実施形態では、糸剥ぎ取りロッドにはカメラがさらに設けられており、糸剥ぎ取り器は糸剥ぎ取りロッドに伸縮可能に連結される。上記の糸剥ぎ取りロッド上の各糸剥ぎ取り器が各々の対応する巻糸パッケージの垂れ下がった繊維糸を第1受取ロッド上で剥ぎ取るよう制御することは、第1受取ロッドの外側に嵌設された複数の巻糸パッケージを撮像して、第1巻糸パッケージ画像を得ることと、第1巻糸パッケージ画像に基づいて、複数の巻糸パッケージの中から、垂れ下がった繊維糸が存在する目標巻糸パッケージを特定することと、目標巻糸パッケージに対応する糸剥ぎ取り器が目標巻糸パッケージに向かって糸剥ぎ取りロッドから伸出するよう制御することと、目標巻糸パッケージに対応する糸剥ぎ取り器が目標巻糸パッケージの外表面の繊維糸を剥ぎ取るよう制御することと、を含む。
【0076】
なお、糸剥ぎ取りロッドには、受取ロッド上のすべての巻糸パッケージをあらゆる角度から撮像するための1つ又は複数のカメラが設けられていてもよいことが理解され得る。
【0077】
なお、目標巻糸パッケージは1つ又は複数であってもよいことが理解され得る。
【0078】
なお、目標巻糸パッケージが複数である場合に、各々の目標巻糸パッケージに対応する糸剥ぎ取り器が、それぞれ目標巻糸パッケージに向かって糸剥ぎ取りロッドから伸出することが理解され得る。
【0079】
なお、糸剥ぎ取り器は、伸縮ロッドを介して糸剥ぎ取りロッドに垂直に連結されていることが理解でき得る。糸の剥ぎ取りが必要な場合に、伸縮ロッドを伸長させて、糸剥ぎ取り器を目標巻糸パッケージに近づける。糸剥ぎ取り器が外表面の繊維糸を剥ぎ取った後、伸縮ロッドを縮退させて糸剥ぎ取り器を目標巻糸パッケージから遠ざける。
【0080】
上述した実施形態によれば、第1受取ロッド上の複数の巻糸パッケージをカメラで撮像することにより、目視認識によって、垂れ下がった繊維糸が存在する目標巻糸パッケージを正確に認識することができる。糸剥ぎ取りロッドにおいて伸縮可能な糸剥ぎ取り器を設けることにより、目標巻糸パッケージの外表面の繊維糸の剥ぎ取りを容易にし、繊維糸の糸剥ぎ取り効率を向上させることができる。垂れ下がった繊維糸が存在する目標巻糸パッケージは、その外表面の層の繊維糸の品質も悪いため、目標巻糸パッケージの外表面の繊維糸を剥ぎ取ることにより、巻糸パッケージの垂れ下がった繊維糸を剥ぎ取って他の装置との絡まりを回避することができ、巻糸パッケージの繊維糸の品質を向上させることもできる。垂れ下がった繊維糸が存在しない他の巻糸パッケージについては、その外表面の繊維糸を剥ぎ取らなくてもよく、ストッカー内の巻糸パッケージに対する剥ぎ取りの効率を向上させることができる。
【0081】
一実施形態では、糸剥ぎ取り器は糸剥ぎ取りロッドに摺動可能に連結されており、上記の方法は、目標巻糸パッケージに対応する糸剥ぎ取り器が糸剥ぎ取りロッドから伸出するよう制御する前に、目標巻糸パッケージに対応する糸剥ぎ取り器の、目標巻糸パッケージに対する対応位置を較正するために、該糸剥ぎ取り器が糸剥ぎ取りロッド上を摺動するよう制御することをさらに含むことができる。
【0082】
なお、受取ロッドは、回転軸を介して支持体に連結されてもよく、回転軸は時計回りにも反時計回りにも回転可能であることが理解され得る。
【0083】
なお、第1受取ロッド上の巻糸パッケージの数が設定条件に達した時点で、すなわち、第1受取ロッド上の巻糸パッケージの剥ぎ取りを開始しようとする前に、まず第1受取ロッドを回転させることが理解され得る。回転方向は、巻糸パッケージに巻かれた繊維糸が垂れ下がるように、すなわち、繊維糸の末端が垂れ下がるように、巻糸パッケージの繊維糸の巻き付け方向とは逆方向になるようにする。
【0084】
上述した実施形態によれば、第1受取ロッド上の巻糸パッケージの外表面の繊維糸を剥ぎ取る前に、あらかじめ第1受取ロッドを回転させることで、巻糸パッケージを回転させて、巻糸パッケージに巻かれた糸を垂下させることにより、現在垂れ下がった糸がないが、将来糸が垂れ下がる可能性がある巻糸パッケージについて、できるだけ糸端部を垂下させ、その後、その外表面の繊維糸を剥ぎ取ることにより、垂れ下がった繊維糸を剥ぎ取ることに役立つ。これにより、後続の移送工程において、巻糸パッケージが他の構成部品と引っ掛かったり絡み合ったりする可能性を低減することができる。
【0085】
一実施形態では、上記第1巻糸パッケージ画像に基づいて、複数の巻糸パッケージの中から、垂れ下がった線維糸が存在する目標巻糸パッケージを特定することは、第1巻糸パッケージ画像を画像認識モデルに入力して、画像認識モデルによって出力される第1検出枠画像を取得することであって、第1検出枠画像は、第1巻糸パッケージ画像と、少なくとも1つの、第1巻糸パッケージ画像におけるいずれかの垂れ下がった線維糸を含む検出フレームとを含む、ことと、第1検出枠画像における各検出枠の位置情報に基づいて、複数の巻糸パッケージの中から、目標巻糸パッケージを特定することと、を含む。
【0086】
なお、上述した画像認識モデルは、予めトレーニング済みモデルであってもよいことが理解される。
【0087】
なお、第1検出枠画像には、1つまたは複数の検出枠が含まれてもよく、各検出枠には1つの垂れ下がった繊維糸の末端が含まれていることが理解され得る。各検出枠に含まれる垂れ下がった線維糸が同一でないものである。
【0088】
なお、各検出枠の位置情報を用いて、各検出枠の対応する巻糸パッケージを特定することができ、ひいては目標巻糸パッケージを特定することができることが理解され得る。
【0089】
上述した実施形態によれば、画像認識モデルを用いて巻糸パッケージ画像に対して垂れ下がった繊維糸を識別することにより、垂れ下がった繊維糸の識別精度を向上させることができる。
【0090】
一実施形態では、上記方法は、同一の受取ロッド上の全ての巻糸パッケージを2つの異なる撮像角度で撮像して得られた画像である、第2巻糸パッケージ画像及び第3巻糸パッケージ画像を取得することと、第2巻糸パッケージ画像を画像認識モデルに入力して、画像認識モデルによって出力される第2検出枠画像を得ることであって、第2検出枠画像は、第2巻糸パッケージ画像と、少なくとも1つの、第2巻糸パッケージ画像におけるいずれかの垂れ下がった繊維糸を含む検出枠とを含む、ことと、第3巻糸パッケージ画像を画像認識モデルに入力して、画像認識モデルによって出力される第3検出枠画像を得ることであって、第3検出枠画像は、第3巻糸パッケージ画像と、少なくとも1つの、第3巻糸パッケージ画像におけるいずれかの垂れ下がった繊維糸を含む検出枠とを含む、ことと、第2検出枠画像における各検出枠の位置情報と、第3検出枠画像における各検出枠の位置情報とに基づいて、第1損失関数を決定することと、第1損失関数に基づいて、画像認識モデルのモデルパラメータを調整することと、をさらに含む。
【0091】
なお、画像認識モデルのトレーニングプロセスは、上記と同様であってもよいが、事前にトレーニングされているものであることが理解され得る。
【0092】
なお、第2検出枠画像における各検出枠の位置情報に基づいて、垂れ下がった繊維糸が存在する各第1巻糸パッケージを特定し、第3検出枠画像における各検出枠の位置情報に基づいて、垂れ下がった繊維糸が存在する各第2巻糸パッケージを特定し、各第1巻糸パッケージと各第2巻糸パッケージとのマッチング度合いを第1損失関数として決定することが理解され得る。第1損失関数の勾配情報を用いて、画像認識モデルのモデルパラメータを調整する。
【0093】
なお、第2巻糸パッケージ画像と第3巻糸パッケージ画像を更新し、上記ステップを繰り返し実行し、第1損失関数の損失値が設定閾値に達した場合に、画像認識モデルのパラメータの調整を停止する。
【0094】
上述した実施形態によれば、巻糸パッケージ画像に対するラベリングを必要とせず、同一の受取ロッド上の全ての巻糸パッケージを2つの異なる角度で撮像して得られた2つの画像に対して敵対的学習を行い、その学習結果を利用して画像認識モデルのモデルパラメータを調整することにより、モデルトレーニングの効率を向上させるだけでなく、モデル精度を向上させることができる。
【0095】
一実施形態では、受取ロッドの第1端部はストッカーにおける支持体に回動可能に連結され、上記方法は、第1巻糸パッケージ画像に基づいて、複数の巻糸パッケージの繊維糸が巻糸パッケージに巻かれる第1方向を識別することと、複数の巻糸パッケージの中から、垂れ下がった繊維糸が存在する目標巻糸パッケージを特定する前に、第1受取ロッドを第1方向とは逆方向に回転させることで、該巻糸パッケージに巻かれた繊維糸が垂れ下がるように第1受取ロッドの外側に嵌設された巻糸パッケージを回転させることと、をさらに含む。
【0096】
なお、受取ロッドは、回転軸を介して支持体に連結されてもよく、時計回りにも反時計回りにも回転可能であることが理解され得る。
【0097】
なお、第1受取ロッド上のどの巻糸パッケージが目標巻糸パッケージであるかを決定する前に、あらかじめ第1受取ロッドを回転させることが理解され得る。回転方向は、巻糸パッケージの繊維糸が巻糸パッケージに巻かれる方向とは逆方向であり、巻糸パッケージに巻かれた繊維糸が垂れ下がるように、すなわち、繊維糸の末端が垂れ下がるようにすることに役立つ。
【0098】
上記実施形態によれば、目標巻糸パッケージを特定する前に、あらかじめ第1受取ロッドを回転させることで巻糸パッケージを回転させ、巻糸パッケージに巻かれた繊維糸を垂下させることにより、現在は垂れ下がった繊維糸がないが、将来繊維糸が垂れ下がる可能性がある巻糸パッケージを目標巻糸パッケージであると判定することができ、その後、その外表面の繊維糸を剥ぎ取ることにより、巻糸パッケージの品質を向上させることができる。また、後続の移送工程において巻糸パッケージが他の構成部品と引っ掛かったり絡み合ったりする可能性を低減することができる。
【0099】
一実施形態では、糸剥ぎ取り器は、糸吸引器と糸カッターとを含み、目標巻糸パッケージに対応する糸剥ぎ取り器が目標巻糸パッケージの外表面の繊維糸を剥ぎ取るよう制御することは、該糸吸引器が目標巻糸パッケージの垂れ下がった繊維糸の末端を吸着して該末端を糸吸引器に固定させることで、該目標巻糸パッケージの外表面の繊維糸が外側に巻き出されるように該目標巻糸パッケージを第1方向とは逆方向に回転させるよう制御することと、糸吸引器による吸着時間長が設定閾値に達した場合に、糸カッターが糸吸引器と目標巻糸パッケージとの間に連結された繊維糸を切断するよう制御することと、をさらに含む。
【0100】
なお、糸吸引器は糸剥ぎ取り器に回転可能に連結されていることが理解され得る。糸吸引器が目標巻糸パッケージの垂れ下がった繊維糸の末端を吸引しながら第1方向とは逆方向に回転することで、目標巻糸パッケージ上の繊維糸が外側に巻き出されて糸吸引器に巻き込まれる。
【0101】
なお、糸カッターは糸剥ぎ取り器に伸縮可能かつ摺動可能に連結されていることが理解され得る。糸吸引器による吸着時間長が設定閾値に達した場合に、糸カッターを移動させて、糸吸引器と目標巻糸パッケージとの間に連結された繊維糸に近づけて繊維糸を切断する。
【0102】
なお、糸吸引器による吸着時間長は設定閾値に達したこととは、目標巻糸パッケージ上の外表面の繊維糸が完全に巻き出されたと考えられることが理解され得る。
【0103】
上述した実施形態によれば、目標巻糸パッケージの垂れ下がった繊維糸の末端が糸吸引器によって糸吸引器に固定され、次いで、糸吸引器に固定された目標巻糸パッケージを第1方向とは逆方向に回転させることにより、目標巻糸パッケージの外表面の繊維糸が外側に巻き出される。糸吸引器による吸着時間長が設定閾値に達した場合には、糸カッターを移動させて糸吸引器と目標巻糸パッケージとの間に連結された繊維糸に近づけて繊維糸を切断する。これにより、糸剥ぎ取り器が巻糸パッケージの外表面の繊維糸を剥ぎ取る効果を得ることができる。
【0104】
一実施形態では、上記方法は、糸吸引器が目標巻糸パッケージの外表面繊維糸を吸着している場合に、第1受取ロッドを第1方向とは逆方向に回転させることで、目標巻糸パッケージの外表面繊維糸が外向きに巻き出されるように目標巻糸パッケージを回転させることよう制御することをさらに含むことができる。
【0105】
この例では、糸剥ぎ取り器が目標巻糸パッケージを剥ぎ取る間に、第1受取ロッドを、目標巻糸パッケージの繊維糸が巻糸パッケージに巻かれる方向とは逆方向に回転させるよう制御することにより、目標巻糸パッケージがこの逆方向に回転することを促進し、ひいては目標巻糸パッケージの外表面の繊維糸が外側へ巻き出される速度を促進し、糸剥ぎ取り器による糸剥ぎ取りの効率を向上させることができる。
【0106】
一実施形態では、ストッカーは、糸剥ぎ取りロッドの下方に位置し、且つ糸剥ぎ取りロッドに向いている容器開口部を有する廃糸容器と、吸着ノズルが廃糸容器の内側面であって且つ容器開口部の近傍に配置された真空吸着器と、をさらに備え、上記方法は、真空吸着器が糸剥ぎ取り器によって剥ぎ取られた繊維糸を吸着して、剥ぎ取られた繊維糸を廃糸容器内に回収するよう制御することをさらに含む。
【0107】
なお、容器開口部は第1受取ロッド上の巻糸パッケージに近接していることが理解され得る。
【0108】
なお、容器開口部の床面への正投影は、第1受取ロッドの巻糸パッケージの床面への正投影を覆うことが理解され得る。
【0109】
なお、容器開口部は、漏斗開口部又は布袋開口部のような形状であってもよいことが理解され得る。
【0110】
上述した実施形態によれば、廃糸容器を用いて、剥ぎ取られた繊維糸を回収することにより、ストッカーを清潔にすることができ、繊維糸が散らばることを回避することができる。
【0111】
なお、真空吸着器と廃糸容器とを一体的に設けてもよいことが理解され得る。
【0112】
上述した実施形態によれば、廃糸容器を用いて剥ぎ取られた繊維糸を回収することにより、ストッカーを清潔にすることができ、また、繊維糸が散らばることを回避することができる。糸剥ぎ取り器で剥ぎ取られた繊維糸を真空吸着器で吸着することにより、剥ぎ取られた繊維糸が廃糸容器外に落ちることなく、確実に廃糸容器内に回収されるように制御することができる。
【0113】
図5は本開示の一実施例による糸剥ぎ取り装置の構成を示す図である。
【0114】
図5に示すように、この糸剥ぎ取り装置は、以下のものを含むことができる:
ドッフィング機の排出口が上記実施例におけるいずれか1つのストッカーにおける第1受取ロッドの第2端部と対応するよう制御するための排出位置制御モジュール510と、
前記ドッフィング機が複数の巻糸パッケージを前記排出口から排出して、前記複数の巻糸パッケージを前記第1受取ロッドの外側に嵌設するよう制御するための排出制御モジュール520と、
前記第1受取ロッド上の巻糸パッケージの数が設定条件に達した場合に、前記ストッカーにおける糸剥ぎ取りロッドが前記第1受取ロッドに対応する糸剥ぎ取り位置まで摺動するよう制御するための糸剥ぎ取りロッド摺動制御モジュール530と、
前記糸剥ぎ取りロッド上の各糸剥ぎ取り器が各々の対応する巻糸パッケージの外表面の繊維糸を前記第1受取ロッド上で剥ぎ取るよう制御するための糸剥ぎ取り器制御モジュール540と、を備える。
【0115】
1つの実施形態では、前記糸剥ぎ取りロッドにはカメラがさらに設けられており、前記糸剥ぎ取り器は前記糸剥ぎ取りロッドに伸縮可能に連結され、
前記糸剥ぎ取り器制御モジュール540は、
前記第1受取ロッドの外側に嵌設された前記複数の巻糸パッケージを撮像して、第1巻糸パッケージ画像を得るための巻糸パッケージ撮像ユニットと、
前記第1巻糸パッケージ画像に基づいて、前記複数の巻糸パッケージの中から、垂れ下がった繊維糸が存在する目標巻糸パッケージを特定するための画像認識ユニットと、
前記目標巻糸パッケージに対応する糸剥ぎ取り器が前記目標巻糸パッケージに向かって前記糸剥ぎ取りロッドから伸出するよう制御するための第1制御ユニットと、
前記目標巻糸パッケージに対応する糸剥ぎ取り器が前記目標巻糸パッケージの外表面の繊維糸を剥ぎ取るよう制御するための第2制御ユニットと、を備える。
【0116】
一実施形態では、糸剥ぎ取り器は前記糸剥ぎ取りロッドに摺動可能に連結され、
前記糸剥ぎ取り装置は、
前記目標巻糸パッケージに対応する糸剥ぎ取り器が前記糸剥ぎ取りロッドから伸出するよう制御する前に、前記目標巻糸パッケージに対する、前記目標巻糸パッケージに対応する糸剥ぎ取り器の対応位置を較正するために、該糸剥ぎ取り器が前記糸剥ぎ取りロッド上を摺動するよう制御するための位置較正モジュールをさらに備える。
【0117】
一実施形態において、前記画像認識ユニットは具体的には、
前記第1巻糸パッケージ画像を画像認識モデルに入力して、前記画像認識モデルによって出力される第1検出枠画像を得ることであって、ここで、前記第1検出枠画像は、前記第1巻糸パッケージ画像と、少なくとも1つの、前記第1巻糸パッケージ画像におけるいずれかの垂れ下がった繊維糸を含む検出枠とを含む、ことと、
前記第1検出枠画像における各検出枠の位置情報に基づいて、前記複数の巻糸パッケージの中から、前記目標巻糸パッケージを特定することと、に用いられる。
【0118】
一実施形態では、前記装置は、
第2巻糸パッケージ画像及び第3巻糸パッケージ画像を取得するための画像取得モジュールであって、前記第2巻糸パッケージ画像及び前記第3巻糸パッケージ画像は、同一の前記受取ロッド上の全ての巻糸パッケージを2つの異なる撮像角度で撮像して得られた画像である、画像取得モジュールことと、
前記第2巻糸パッケージ画像を前記画像認識モデルに入力して、前記画像認識モデルによって出力される第2検出枠画像を得るための第1画像認識モジュールであって、前記第2検出枠画像は、前記第2巻糸パッケージ画像と、少なくとも1つの、前記第2巻糸パッケージ画像におけるいずれかの垂れ下がった繊維糸を含む検出枠とを含む、第1画像認識モジュールと、
前記第3巻糸パッケージ画像を前記画像認識モデルに入力して、前記画像認識モデルによって出力される第3検出枠画像を得るための第2画像認識モジュールであって、前記第3検出枠画像は、前記第3巻糸パッケージ画像と、少なくとも1つの、前記第3巻糸パッケージ画像におけるいずれかの垂れ下がった繊維糸を含む検出枠とを含む、第2画像認識モジュールと、
前記第2検出枠画像における各検出枠の位置情報と、前記第3検出枠画像における各検出枠の位置情報とに基づいて、第1損失関数を決定するための損失関数決定モジュールと、
前記第1損失関数に基づいて、前記画像認識モデルのモデルパラメータを調整するためのモデル調整モジュールと、をさらに備える。
【0119】
一実施形態では、受取ロッドの第1端部はストッカーにおける支持体に回動可能に連結され、前記装置は、
前記第1受取ロッド上の巻糸パッケージ数が設定された閾値に達した場合に、前記第1受取ロッドを回転させることで、前記巻糸パッケージに巻かれた繊維糸が垂れ下がるように第1受取ロッドの外側に嵌設された巻糸パッケージを回転させるよう制御するための受取ロッド回転モジュールをさらに備える。
【0120】
一実施形態では、前記ストッカーは、前記糸剥ぎ取りロッドの下方に位置し、且つ前記糸剥ぎ取りロッドに向いている容器開口部を有する廃糸容器と、吸着ノズルが前記廃糸容器の内側面であって且つ前記容器開口部の近傍に配置された真空吸着器と、をさらに備え、
前記糸剥ぎ取り装置は、
前記真空吸着器が前記糸剥ぎ取り器によって剥ぎ取られた繊維糸を吸着して、剥ぎ取られた繊維糸を前記廃糸容器内に回収するよう制御するための吸着制御モジュールをさらに備える。
【0121】
本開示の実施例による装置の各モジュール、サブモジュールの具体的な機能および例示的な説明は、上述した方法の実施形態における対応するステップの関連する説明を参照することができ、ここでは繰り返し述べない。
【0122】
本開示の技術的解決策では、ユーザの個人情報の取得、記憶、及びアプリケーションは、関連する法律及び規則の規定に準拠し、公序良俗に違反しない。
【0123】
本開示の実施例によれば、本開示ではさらに、電子デバイ、非一時的コンピュータ可読記憶媒体及びプログラム製品を提供する。
【0124】
図6は、本開示の実施例を実現するための電子デバイス600のブロック図である。電子デバイスは、各形式のデジタルコンピュータを指し、例えば、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、大型コンピュータ、及びその他の適合するコンピュータが挙げられる。電子デバイスは、各形式の移動装置をさらに指し、例えば、パーソナルデジタルアシスタント、セルラー電話、インテリジェントフォン、ウェアラブルデバイス、及びその他の類似のコンピュータ装置が挙げられる。本開示に記載されているコンポーネント、それらの接続関係、及び機能は例示的なものに過ぎず、本開示に記載・特定されているものの実現を限定するわけではない。
【0125】
図6に示すように、デバイス600は、リードオンリーメモリ(ROM)602に記憶されたコンピュータプログラム命令、または記憶ユニット608からランダムアクセスメモリ(RAM)603にローディングされたコンピュータプログラム命令に基づいて、各種の適切な動作と処理を実行できる計算ユニット601を含む。RAM603には、デバイス600の動作に必要な各種のプログラム及びデータをさらに記憶することができる。計算ユニット601と、ROM602と、RAM603とは、バス604を介して互いに接続されている。入力/出力(I/O)インターフェース605もバス604に接続されている。
【0126】
デバイス600における複数のコンポーネントは、I/Oインターフェース605に接続されており、当該複数のコンポーネントは、キーボードやマウス等の入力ユニット606と、種々なディスプレイやスピーカ等の出力ユニット607と、磁気ディスクや光学ディスク等の記憶ユニット608と、ネットワークカード、モデム、無線通信トランシーバー等の通信ユニット609と、を備える。通信ユニット609は、デバイス600がインターネットのようなコンピュータネット及び/または種々なキャリアネットワークを介して他の機器と情報/データを交換することを許可する。
【0127】
計算ユニット601は、処理及びコンピューティング能力を有する様々な汎用及び/または専用の処理コンポーネントであってもよい。計算ユニット601のいくつかの例としては、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、様々な専用の人工知能(AI)コンピューティングチップ、様々な機械学習モデルアルゴリズムを実行する計算ユニット、デジタル信号プロセッサ(DSP)、及び任意の適切なプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を備えるが、これらに限定されない。計算ユニット601は、上述で説明された各方法及び処理、例えば糸剥ぎ取り方法を実行する。例えば、いくつかの実施例では、糸剥ぎ取り方法を、記憶ユニット608のような機械読み取り可能な媒体に有形的に含まれるコンピュータソフトウエアプログラムとして実現することができる。一部の実施例では、コンピュータプログラムの一部または全ては、ROM602及び/または通信ユニット609を介して、デバイス600にロード及び/またはインストールすることができる。コンピュータプログラムがRAM603にロードされて計算ユニット601によって実行される場合に、前述した糸剥ぎ取り方法の1つまたは複数のステップを実行することができる。追加可能に、他の実施例では、計算ユニット601は、他の任意の適当な方式(例えば、ファームウェア)により糸剥ぎ取り方法を実行するように構成することができる。
【0128】
本開示で記載されているシステムまたは技術の各種の実施形態では、デジタル電子回路システム、集積回路システム、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け標準品(ASSP)、システムオンチップ(SOC)、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)、コンピュータのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/またはこれらの組み合わせによって実現することができる。これらの各実施形態は、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステムにて実行及び/または解釈される1つまたは複数のコンピュータプログラムにより実行することを含み得、該プログラマブルプロセッサは、ストレージシステム、少なくとも1つの入力デバイス、及び少なくとも1つの出力デバイスからデータ及び命令を受け取り、データ及び命令を該ストレージシステム、該少なくとも1つの入力デバイス、及び該少なくとも1つの出力デバイスに転送することができる専用または汎用のプログラマブルプロセッサであってもよい。
【0129】
本開示の方法を実行するためのプログラムコードは、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで作成することができる。これらのプログラムコードは、汎用コンピュータ、専用コンピュータまたは他のプログラミングデータ処理装置のプロセッサまたはコントローラに提供されることにより、プログラムコードがプロセッサまたはコントローラによって実行される場合に、フローチャート及び/またはブロック図に規定された機能/動作を実行することができる。プログラムコードは、完全にマシナリオで実行されてもよいし、部分的にマシナリオで実行されてもよいし、独立したソフトパッケージとして部分的にマシナリオで実行されるとともに部分的にリモートマシナリオで実行されてもよし、または完全にリモートマシナリオまたはサーバで実行されてもよい。
【0130】
本開示の説明において、機械読み取り可能な媒体は、有形な媒体であってもよく、命令実行システム、装置または機器によって、または命令実行システム、装置または機器と合わせて用いられるプログラムを含み、または記憶する。機械読み取り可能な媒体は、機械読み取り可能な信号媒体または機械読み取り可能な記憶媒体であってもよい。機械読み取り可能な媒体は、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、または半導体システム、装置、またはデバイス、または前述した内容の任意の適切な組み合わせを含むことができるがこれらに限定されない。機械読み取り可能な記憶媒体のさらなる具体例として、1つまたは複数の配線による電気的接続、ポータブルコンピュータディスクカートリッジ、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバー、ポータブルコンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、光学記憶装置、磁気記憶装置、または前述した内容の任意の組み合わせを含む。
【0131】
ユーザとのインタラクションを提供するために、コンピュータでここに記載されているシステム及び技術を実施することができ、該コンピュータは、ユーザに情報を表示するための表示装置(例えば、CRT(陰極線管)またはLCD(液晶ディスプレイ)モニター等)、ユーザが入力をコンピュータに提供するためのキーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウスまたはトラックボール等)を備えるができる。ユーザとのインタラクションを提供するために、他の種類の装置を使用することもでき、例えば、ユーザに提供するフィードバックは、いかなる形式のセンサーフィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバック等)であってもよく、また、いかなる形式(例えば、音響入力、音声入力、触覚入力等)によって、ユーザからの入力を受付取るができる。
【0132】
ここに記載されているシステムと技術を、バックグラウンド部品に含まれるコンピューティングシステム(例えば、データサーバとして)、またはミドルウェア部品を含むコンピューティングシステム(例えば、アプリケーションサーバ)、またはフロント部品を含むコンピューティングシステム(例えば、グラフィックスユーザインターフェースまたはネットワークブラウザを有するユーザコンピュータが挙げられ、ユーザがグラフィックスユーザインターフェースまたは該ネットワークブラウザによって、ここに記載されているシステムと技術の実施形態とインタラクションすることができる)、またはこのようなバックグラウンド部品、ミドルウェア部品、またはフロント部品のいかなる組合したコンピューティングシステムで実施することができる。如何なる形式またはメディアのデジタルデータ通信(例えば、通信ネットワーク)を介して、システムの部品を互いに接続することができる。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)及びインターネットを含む。
【0133】
コンピュータシステムは、クライアントとサーバを含み得る。通常、クライアントとサーバは、互いに離れており、通信ネットワークを介してインタラクションを行うことが一般的である。対応するコンピュータで動作することで、クライアント-サーバの関係を有するコンピュータプログラムによってクライアントとサーバの関係を生み出す。サーバは、クラウドサーバ、または分散型システムのサーバ、あるいはブロックチェーンを組み込んだサーバなどであってもよい。
【0134】
上記に示された様々な態様のフローを使用して、ステップを新たに順序付け、追加、または削除することが可能であることを理解すべきである。例えば、本開示で記載された各ステップは、並列に実行しても良いし、順次に実行しても良いし、異なる順序で実行しても良い。本開示で開示された技術方案が所望する結果を実現することができる限り、本開示ではこれに限定されない。
【0135】
上記具体的な実施例は、本開示の保護範囲に対する限定を構成するものではない。当業者は、設計事項やその他の要因によって、様々な修正、組み合わせ、サブ組み合わせ、及び代替が可能であることを理解するべきである。本開示の要旨及び原理原則内における変更、均等な置換及び改善等は、いずれも本開示の保護範囲に含まれるべきである。