(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-10
(45)【発行日】2025-04-18
(54)【発明の名称】エレベーターのレール取付装置、及びエレベーターのレール取付方法
(51)【国際特許分類】
B66B 7/02 20060101AFI20250411BHJP
【FI】
B66B7/02 E
(21)【出願番号】P 2024109949
(22)【出願日】2024-07-09
【審査請求日】2024-07-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003568
【氏名又は名称】弁理士法人加藤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳田 篤史
【審査官】山田 拓実
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-056179(JP,U)
【文献】国際公開第2005/097653(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/069452(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00-7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ブラケットと、
昇降路の壁にそれぞれ形成されている第1壁面及び第2壁面のうち、前記第1壁面に固定される本体用アンカーボルトを有しており、前記本体ブラケットを前記第1壁面に固定する本体用固定具と、
前記本体ブラケットに固定される支持ブラケットと、
前記第2壁面に固定される支持用アンカーボルトを有しており、前記支持ブラケットを前記第2壁面に固定する支持用固定具と、
前記本体ブラケットに固定されており、昇降体を案内するガイドレールに取り付けられるレールブラケットと
、
前記本体ブラケットに前記支持ブラケットを固定する連結具と
を備え、
前記第1壁面を含む平面と、前記第2壁面を含む平面とは、互いに交差しており、
前記本体ブラケット及び前記支持ブラケットは、互いに別部材であ
り、
前記本体ブラケットには、本体連結用穴が設けられており、
前記支持ブラケットには、支持連結用穴が設けられており、
前記連結具は、前記本体連結用穴及び前記支持連結用穴に通された状態で前記本体ブラケットに前記支持ブラケットを固定し、
前記本体連結用穴及び前記支持連結用穴のいずれか一方の連結用穴は、長穴であり、
前記一方の連結用穴の長手方向は、前記第1壁面に交差する水平方向と一致しているエレベーターのレール取付装置。
【請求項2】
前記本体ブラケットには、本体固定用穴が設けられており、
前記本体固定用穴は、長穴であり、
前記本体ブラケットは、前記本体固定用穴の長手方向を前記第1壁面に沿った水平方向と一致させた状態で配置され、
前記本体用固定具は、前記本体固定用穴に前記本体用アンカーボルトを通した状態で前記本体ブラケットを前記第1壁面に固定する請求項1に記載のエレベーターのレール取付装置。
【請求項3】
前記支持ブラケットには、支持固定用穴が設けられており、
前記支持固定用穴は、長穴であり、
前記支持ブラケットは、前記支持固定用穴の長手方向を上下方向と一致させた状態で配置され、
前記支持用固定具は、前記支持固定用穴に前記支持用アンカーボルトを通した状態で前記支持ブラケットを前記第2壁面に固定する請求項1又は請求項2に記載のエレベーターのレール取付装置。
【請求項4】
請求項1に記載のエレベーターのレール取付装置における前記本体ブラケットを前記本体用固定具によって前記第1壁面に固定する本体ブラケット固定工程と、
前記支持ブラケットを前記支持用固定具によって前記第2壁面に固定する支持ブラケット固定工程と、
前記本体ブラケット固定工程及び前記支持ブラケット固定工程のそれぞれの後、前記支持ブラケットを前記本体ブラケットに固定するブラケット間固定工程と、
前記レールブラケットを前記ガイドレールに取り付けるレール取付工程と、
前記レールブラケットを前記本体ブラケットに固定するレールブラケット固定工程と
を備えているエレベーターのレール取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターのレール取付装置、及びエレベーターのレール取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、かごを案内するガイドレールを昇降路に保持するために、昇降路の内壁面にアンカーボルト及びナットによってU字状の取付金具を固定し、取付金具に固定したレールブラケットをガイドレールに取り付けたエレベーターが開示されている。取付金具は、乗場装置に締結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている従来のエレベーターでは、U字状の取付金具が単一部材となっている。このため、取付金具に固定されるレールブラケットの位置の選択肢が制限されてしまう。従って、かごのレイアウトに応じてレールブラケットの位置を調整することが難しくなるおそれがあり、昇降路の省スペース化を図ることが難しくなってしまう。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するものであり、昇降路の省スペース化を図ることができるエレベーターのレール取付装置、及びエレベーターのレール取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベーターのレール取付装置は、本体ブラケットと、昇降路の壁にそれぞれ形成されている第1壁面及び第2壁面のうち、第1壁面に固定される本体用アンカーボルトを有しており、本体ブラケットを第1壁面に固定する本体用固定具と、本体ブラケットに固定される支持ブラケットと、第2壁面に固定される支持用アンカーボルトを有しており、支持ブラケットを第2壁面に固定する支持用固定具と、本体ブラケットに固定されており、昇降体を案内するガイドレールに取り付けられるレールブラケットとを備え、第1壁面を含む平面と、第2壁面を含む平面とは、互いに交差しており、本体ブラケット及び支持ブラケットは、互いに別部材である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、昇降路の省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係るエレベーターのレール取付装置を示す上面図である。
【
図3】
図1のIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】
図1のエレベーターのレール取付装置を示す斜視図である。
【
図7】
図4のレールブラケットを示す斜視図である。
【
図8】
図1のレール取付装置によるエレベーターのレール取付方法を示すフローチャートである。
【
図9】実施の形態2に係るエレベーターのレール取付装置を示す上面図である。
【
図11】
図9のXI-XI線に沿った断面図である。
【
図12】
図9のエレベーターのレール取付装置を示す斜視図である。
【
図15】
図9の昇降路の幅方向に沿って左壁面に向かう方向への外力を釣合おもりガイドレールが受けたときに昇降路の壁に作用する荷重を支持する力を示す上面図である。
【
図16】
図9の昇降路の幅方向に沿って左壁面に向かう方向への外力を釣合おもりガイドレールが受けたときに昇降路の壁に作用するモーメントを支持する力を示す上面図である。
【
図17】
図9の昇降路の幅方向に沿って左壁面から遠ざかる方向への外力を釣合おもりガイドレールが受けたときに昇降路の壁に作用する荷重を支持する力を示す上面図である。
【
図18】
図9の昇降路の幅方向に沿って左壁面から遠ざかる方向への外力を釣合おもりガイドレールが受けたときに昇降路の壁に作用するモーメントを支持する力を示す上面図である。
【
図19】
図9の昇降路の奥行き方向に沿って後壁面に向かう方向への外力を釣合おもりガイドレールが受けたときに昇降路の壁に作用する荷重を支持する力を示す上面図である。
【
図20】実施の形態3に係るエレベーターのレール取付装置を示す上面図である。
【
図22】
図20のXXII-XXII線に沿った断面図である。
【
図23】
図20のエレベーターのレール取付装置を示す斜視図である。
【
図27】
図20の昇降路の幅方向に沿って左壁面に向かう方向への外力を釣合おもりガイドレールが受けたときに昇降路の壁に作用する荷重を支持する力を示す上面図である。
【
図28】
図20の昇降路の幅方向に沿って左壁面に向かう方向への外力を釣合おもりガイドレールが受けたときに昇降路の壁に作用するモーメントを支持する力を示す上面図である。
【
図29】
図20の昇降路の幅方向に沿って左壁面から遠ざかる方向への外力を釣合おもりガイドレールが受けたときに昇降路の壁に作用する荷重を支持する力を示す上面図である。
【
図30】
図20の昇降路の幅方向に沿って左壁面から遠ざかる方向への外力を釣合おもりガイドレールが受けたときに昇降路の壁に作用するモーメントを支持する力を示す上面図である。
【
図31】
図20の昇降路の奥行き方向に沿って後壁面に向かう方向への外力を釣合おもりガイドレールが受けたときに昇降路の壁に作用する荷重を支持する力を示す上面図である。
【
図32】
図20の昇降路の奥行き方向に沿って後壁面に向かう方向への外力を釣合おもりガイドレールが受けたときに昇降路の壁に作用するモーメントを支持する力を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の対象を実施するための形態について添付の図を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。なお、本開示の対象は、以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、又は実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーターのレール取付装置を示す上面図である。
図2は、
図1のII-II線に沿った断面図である。
図3は、
図1のIII-III線に沿った断面図である。
図4は、
図1のエレベーターのレール取付装置を示す斜視図である。昇降路1の壁には、不図示の前壁面と、後壁面11と、左壁面12と、不図示の右壁面とが形成されている。昇降路1は、上から見たとき、前壁面、後壁面11、左壁面12及び右壁面によって囲まれている。
【0011】
左壁面12及び右壁面は、昇降路1の幅方向において互いに対向している。昇降路1の幅方向は、各階の乗場から昇降路1を見たときの左右方向と一致している。前壁面及び後壁面11は、昇降路1の奥行き方向において互いに対向している。昇降路1の奥行き方向は、昇降路1の幅方向に直交する水平な方向と一致している。
【0012】
各階の乗場では、前壁面を貫通する不図示の乗場出入口が昇降路1の壁に形成されている。各階では、昇降路1が乗場出入口を通して乗場に開放されている。各乗場出入口は、不図示の乗場ドアによって開閉可能になっている。本実施の形態では、各階の乗場から乗場出入口を見たとき、乗場出入口よりも左側に位置する壁面が左壁面12とされ、乗場出入口よりも右側に位置する壁面が右壁面とされている。また、本実施の形態では、各階の乗場から乗場出入口を見たとき、前壁面よりも奥側に後壁面が位置している。
【0013】
左壁面12を含む平面は、前壁面及び後壁面11を個別に含む2つの平面のそれぞれと交差している。右壁面を含む平面も、前壁面及び後壁面11を個別に含む2つの平面のそれぞれと交差している。本実施の形態では、昇降路1を上から見たとき、左壁面12及び右壁面のそれぞれが前壁面及び後壁面11のそれぞれに直交している。これにより、本実施の形態では、上から見たときの昇降路1の形状が、四隅に角部がそれぞれ形成された矩形状となっている。
【0014】
昇降路1には、
図1に示すように、かご13及び釣合おもり14が昇降体として上下方向へ移動可能に設けられている。本実施の形態では、昇降路1を上から見たとき、釣合おもり14が昇降路1の幅方向においてかご13の隣に位置している。釣合おもり14は、かご13よりも左壁面12に近い位置に位置している。
【0015】
昇降路1には、不図示の一対のかごガイドレールと、一対の釣合おもりガイドレール2とが上下方向に沿ってそれぞれ配置されている。各かごガイドレールは、かご13を案内するガイドレールである。各釣合おもりガイドレール2は、釣合おもり14を案内するガイドレールである。本実施の形態では、一対のかごガイドレールが昇降路1の幅方向においてかご13を介して対向しており、一対の釣合おもりガイドレール2が昇降路1の奥行き方向において釣合おもり14を介して対向している。かごガイドレールの構成は、釣合おもりガイドレール2の構成と同様である。
【0016】
一対の釣合おもりガイドレール2のうち、後壁面11に近い位置に位置する一方の釣合おもりガイドレール2は、レール取付装置3を介して昇降路1の壁に取り付けられている。
【0017】
釣合おもりガイドレール2は、フランジ部21と、案内部22とを有している。フランジ部21は、上下方向に沿って配置された板状部である。案内部22は、フランジ部21の長手方向に沿ってフランジ部21に設けられている。釣合おもりガイドレール2の長手方向に沿って釣合おもりガイドレール2を見たとき、フランジ部21の中間部から案内部22が突出している。これにより、釣合おもりガイドレール2の断面形状は、T字状となっている。レール取付装置3によって昇降路1の壁に取り付けられた一方の釣合おもりガイドレール2は、フランジ部21の背面を後壁面11に向けた状態で配置されている。
【0018】
レール取付装置3は、昇降路1において後壁面11及び左壁面12の間に形成されている角部に配置されている。釣合おもりガイドレール2が受ける水平方向の外力は、レール取付装置3を介して後壁面11及び左壁面12によって支持される。
【0019】
レール取付装置3は、本体ブラケット4と、本体用固定具5と、支持ブラケット6と、支持用固定具7と、レールブラケット8とを有している。本実施の形態では、本体ブラケット4が固定される第1壁面が後壁面11とされており、支持ブラケット6が固定される第2壁面が左壁面12とされている。本体ブラケット4、支持ブラケット6及びレールブラケット8は、互いに別部材となっている。
【0020】
ここで、
図5は、
図4の本体ブラケット4を示す斜視図である。本体ブラケット4は、本体ベース部41と、本体張出部42とを有している。
【0021】
本体ベース部41は、本体ブラケット4の長手方向に沿って配置された板状部である。本体ベース部41には、本体固定用穴43が設けられている。本体固定用穴43は、本体ベース部41を貫通している。本実施の形態では、本体ブラケット4における本体固定用穴43の数が1つであるとともに、本体固定用穴43が丸穴となっている。
【0022】
本体張出部42は、本体ベース部41の縁部に設けられた板状部である。本体張出部42は、本体ブラケット4の長手方向に沿って配置されている。本体ブラケット4の長手方向に沿って本体ブラケット4を見たとき、本体張出部42は、本体ベース部41に対して交差する方向へ本体ベース部41の縁部から突出している。これにより、本体ブラケット4の長手方向に沿って本体ブラケット4を見たとき、本体ブラケット4の形状は、本体ベース部41及び本体張出部42によってL字状となっている。
【0023】
本体ブラケット4は、
図1に示すように、釣合おもりガイドレール2の背面と後壁面11との間の空間に配置されている。本体ブラケット4は、
図2及び
図3に示すように、本体ベース部41を後壁面11に重ねた状態で配置されている。また、本体ブラケット4は、本体ベース部41の上部から後壁面11とは反対側に向けて本体張出部42を突出させた状態で配置されている。
【0024】
本体ブラケット4は、本体ブラケット4の長手方向を後壁面11に沿った水平方向と一致させて配置されている。従って、本実施の形態では、本体ブラケット4の長手方向が昇降路1の幅方向と一致している。また、本実施の形態では、本体張出部42が水平に配置されている。
【0025】
本体用固定具5は、本体ブラケット4を後壁面11に固定している。本実施の形態では、本体ブラケット4を後壁面11に固定する本体用固定具5の数が1つとされている。本体用固定具5は、本体用アンカーボルト51と、本体用固定ナット52とを有している。
【0026】
本体用アンカーボルト51は、後壁面11が形成された壁に設けられた不図示の下穴に打ち込まれることにより後壁面11に固定されている。本体用アンカーボルト51は、本体ベース部41に設けられた本体固定用穴43に通されている。本体用固定具5は、本体固定用穴43に本体用アンカーボルト51を通した状態で本体ブラケット4を後壁面11に固定している。
【0027】
本体用固定ナット52は、本体用アンカーボルト51にねじ込まれている。本体ベース部41の一部は、後壁面11と本体用固定ナット52との間に挟まれている。本体用固定具5は、本体用固定ナット52を締め込んで本体ベース部41を後壁面11に押し付けることにより、本体ブラケット4を後壁面11に固定している。
【0028】
図6は、
図4の支持ブラケット6を示す斜視図である。支持ブラケット6は、支持ベース部61と、支持張出部62とを有している。
【0029】
支持ベース部61は、支持ブラケット6の長手方向に沿って配置された板状部である。支持ベース部61には、支持固定用穴63が設けられている。支持固定用穴63は、支持ベース部61を貫通している。本実施の形態では、支持ブラケット6における支持固定用穴63の数が1つであるとともに、支持固定用穴63が丸穴となっている。
【0030】
支持張出部62は、支持ベース部61の縁部に設けられた板状部である。支持張出部62は、支持ブラケット6の長手方向に沿って配置されている。支持ブラケット6の長手方向に沿って支持ブラケット6を見たとき、支持張出部62は、支持ベース部61に対して交差する方向へ支持ベース部61の縁部から突出している。これにより、支持ブラケット6の長手方向に沿って支持ブラケット6を見たとき、支持ブラケット6の形状は、支持ベース部61及び支持張出部62によってL字状となっている。
【0031】
支持ブラケット6は、
図1に示すように、釣合おもりガイドレール2と左壁面12との間の空間に配置されている。支持ブラケット6は、
図2及び
図3に示すように、支持ベース部61を左壁面12に重ねた状態で配置されている。また、支持ブラケット6は、支持ベース部61の上部から左壁面12とは反対側に向けて支持張出部62を突出させた状態で配置されている。
【0032】
支持ブラケット6は、支持ブラケット6の長手方向を左壁面12に沿った水平方向と一致させて配置されている。従って、本実施の形態では、支持ブラケット6の長手方向が昇降路1の奥行き方向と一致している。また、本実施の形態では、支持張出部62が水平に配置されている。
【0033】
支持用固定具7は、支持ブラケット6を左壁面12に固定している。本実施の形態では、支持ブラケット6を左壁面12に固定する支持用固定具7の数が1つとされている。支持用固定具7は、支持用アンカーボルト71と、支持用固定ナット72とを有している。
【0034】
支持用アンカーボルト71は、左壁面12が形成された壁に設けられた不図示の下穴に打ち込まれることにより左壁面12に固定されている。支持用アンカーボルト71は、支持ベース部61に設けられた支持固定用穴63に通されている。支持用固定具7は、支持固定用穴63に支持用アンカーボルト71を通した状態で支持ブラケット6を左壁面12に固定している。
【0035】
支持用固定ナット72は、支持用アンカーボルト71にねじ込まれている。支持ベース部61の一部は、左壁面12と支持用固定ナット72との間に挟まれている。支持用固定具7は、支持用固定ナット72を締め込んで支持ベース部61を左壁面12に押し付けることにより、支持ブラケット6を左壁面12に固定している。
【0036】
支持張出部62の一部は、本体張出部42と重なっている。本実施の形態では、支持張出部62の一部が本体張出部42の下面に重なっている。支持張出部62は、本体張出部42に重なった部分において本体張出部42に固定されている。本実施の形態では、支持張出部62が本体張出部42に溶接によって固定されている。これにより、支持ブラケット6は、本体ブラケット4に固定されている。
【0037】
レールブラケット8は、本体ブラケット4に固定されている。レールブラケット8は、保持具10によって釣合おもりガイドレール2に取り付けられている。
【0038】
図7は、
図4のレールブラケット8を示す斜視図である。レールブラケット8は、固定ベース部81と、レール取付部82とを有している。固定ベース部81は、レールブラケット8の長手方向に沿って配置された板状部である。
【0039】
レール取付部82は、固定ベース部81の縁部に設けられた板状部である。レール取付部82は、レールブラケット8の長手方向に沿って配置されている。レールブラケット8の長手方向に沿ってレールブラケット8を見たとき、レール取付部82は、固定ベース部81に対して交差する方向へ固定ベース部81の縁部から突出している。これにより、レールブラケット8の長手方向に沿ってレールブラケット8を見たとき、レールブラケット8の形状は、固定ベース部81及びレール取付部82によってL字状となっている。
【0040】
レール取付部82には、一対のレール取付用穴83が設けられている。各レール取付用穴83は、レール取付部82を貫通している。一対のレール取付用穴83は、レールブラケット8の長手方向において互いに離れている。本実施の形態では、レールブラケット8の長手方向における一対のレール取付用穴83の間の中心位置が、レールブラケット8の長手方向におけるレールブラケット8の両端部間の中心位置と一致している。各レール取付用穴83は、長穴である。各レール取付用穴83の長手方向は、レールブラケット8の長手方向と一致している。
【0041】
レールブラケット8は、
図3及び
図4に示すように、固定ベース部81の一部を本体張出部42に重ねた状態で配置されている。これにより、固定ベース部81は、水平に配置されている。本実施の形態では、固定ベース部81の一部が本体張出部42の上面に重なっている。
【0042】
レールブラケット8は、レール取付部82の位置を固定ベース部81よりも釣合おもりガイドレール2に近い位置にした状態で配置されている。レールブラケット8は、レール取付部82を固定ベース部81の縁部から上方へ突出させた状態で配置されている。レールブラケット8は、釣合おもりガイドレール2の背面にレール取付部82を重ねた状態で配置されている。
【0043】
固定ベース部81は、本体張出部42に固定されている。本実施の形態では、固定ベース部81が本体張出部42に溶接によって固定されている。これにより、レールブラケット8は、本体ブラケット4に固定されている。
【0044】
保持具10は、一対のレールクリップ101と、一対の締結具102とを有している。各レールクリップ101は、各締結具102によってレール取付部82に個別に取り付けられている。各締結具102は、レール取付用穴83に通されたボルトと、ボルトにねじ込まれたナットとを有している。レール取付部82に対する各締結具102の位置は、レールブラケット8の長手方向において調整可能になっている。
【0045】
釣合おもりガイドレール2のフランジ部21は、各レールクリップ101とレール取付部82との間に挟まれている。各レールクリップ101は、各締結具102の締め付け力によって釣合おもりガイドレール2のフランジ部21をレール取付部82に押し付けている。これにより、保持具10は、釣合おもりガイドレール2にレールブラケット8を取り付けている。
【0046】
次に、レール取付装置3によって釣合おもりガイドレール2を昇降路1の壁に取り付けるレール取付方法について説明する。
図8は、
図1のレール取付装置3によるエレベーターのレール取付方法を示すフローチャートである。レール取付方法は、本体ブラケット固定工程S1と、支持ブラケット固定工程S2と、ブラケット間固定工程S3と、レール取付工程S4と、レールブラケット固定工程S5とを有している。釣合おもりガイドレール2を昇降路1の壁に取り付けるときには、まず、昇降路1における予め決められた位置に釣合おもりガイドレール2を配置する。この後、本体ブラケット固定工程S1、支持ブラケット固定工程S2、ブラケット間固定工程S3、レール取付工程S4及びレールブラケット固定工程S5の順に、各工程を実施する。
【0047】
<本体ブラケット固定工程S1>
本体ブラケット固定工程S1では、本体ブラケット4を本体用固定具5によって後壁面11に固定する。
【0048】
本体ブラケット固定工程S1では、釣合おもりガイドレール2の位置に基づいて、釣合おもりガイドレール2に対する本体ブラケット4の水平方向における位置を調整する。このとき、釣合おもりガイドレール2に対する本体ブラケット4の位置は、後壁面11に沿って調整する。これにより、本体固定用穴43の位置は、
図2に示すように、釣合おもりガイドレール2の位置から昇降路1の幅方向において外れた位置に調整される。
【0049】
本体ブラケット固定工程S1では、釣合おもりガイドレール2に対する本体ブラケット4の位置を調整した後、本体ブラケット4を本体用固定具5によって後壁面11に固定する。
【0050】
本体ブラケット4を本体用固定具5によって後壁面11に固定するときには、後壁面11が形成された壁にドリル工具によって下穴を設ける。後壁面11に設ける下穴の位置は、本体固定用穴43が重なる位置と一致させる。この後、本体用アンカーボルト51を後壁面11の下穴に打ち込むことにより、本体用アンカーボルト51を後壁面11に固定する。この後、本体用アンカーボルト51を本体固定用穴43に挿入して本体ブラケット4の本体ベース部41を後壁面11に重ねる。この後、本体用アンカーボルト51に本体用固定ナット52をねじ込んで本体用固定ナット52を締め込むことにより、本体ブラケット4を後壁面11に固定する。
【0051】
<支持ブラケット固定工程S2>
本体ブラケット固定工程S1の後、支持ブラケット固定工程S2を実施する。支持ブラケット固定工程S2では、支持ブラケット6を支持用固定具7によって左壁面12に固定する。
【0052】
支持ブラケット固定工程S2では、本体ブラケット4の位置に基づいて、本体ブラケット4に対する支持ブラケット6の位置を調整する。本体ブラケット4に対する支持ブラケット6の位置の調整は、支持張出部62が本体張出部42に重なるように、左壁面12に沿って行う。
【0053】
支持ブラケット固定工程S2では、本体ブラケット4に対する支持ブラケット6の位置を調整した後、支持ブラケット6を支持用固定具7によって左壁面12に固定する。
【0054】
支持ブラケット6を支持用固定具7によって左壁面12に固定するときには、左壁面12が形成された壁にドリル工具によって下穴を設ける。左壁面12に設ける下穴の位置は、支持固定用穴63が重なる位置と一致させる。この後、支持用アンカーボルト71を左壁面12の下穴に打ち込むことにより、支持用アンカーボルト71を左壁面12に固定する。この後、支持用アンカーボルト71を支持固定用穴63に挿入して支持ブラケット6の支持ベース部61を左壁面12に重ねる。この後、支持用アンカーボルト71に支持用固定ナット72をねじ込んで支持用固定ナット72を締め込むことにより、支持ブラケット6を左壁面12に固定する。
【0055】
<ブラケット間固定工程S3>
本体ブラケット固定工程S1及び支持ブラケット固定工程S2の後、ブラケット間固定工程S3を実施する。ブラケット間固定工程S3では、支持ブラケット6を本体ブラケット4に固定する。
【0056】
ブラケット間固定工程S3では、支持張出部62が本体張出部42に重なった状態で支持張出部62を本体張出部42に固定する。本実施の形態では、支持張出部62を溶接によって本体張出部42に固定する。これにより、支持ブラケット6が本体ブラケット4と一体化される。
【0057】
<レール取付工程S4>
ブラケット間固定工程S3の後、レール取付工程S4を実施する。レール取付工程S4では、レールブラケット8を釣合おもりガイドレール2に取り付ける。
【0058】
レール取付工程S4では、釣合おもりガイドレール2の背面にレール取付部82を重ねた状態で釣合おもりガイドレール2にレール取付部82を保持具10によって取り付ける。本実施の形態では、レールブラケット8が本体ブラケット4に固定されていない状態で釣合おもりガイドレール2にレールブラケット8を取り付ける。
【0059】
<レールブラケット固定工程S5>
レール取付工程S4の後、レールブラケット固定工程S5を実施する。レールブラケット固定工程S5では、本体ブラケット4にレールブラケット8を固定する。
【0060】
レールブラケット固定工程S5では、本体ブラケット4の本体張出部42にレールブラケット8の固定ベース部81を溶接によって固定する。このようにして、釣合おもりガイドレール2がレール取付装置3によって昇降路1の壁に取り付けられる。
【0061】
このようなレール取付装置3では、本体ブラケット4及び支持ブラケット6が互いに別部材となっている。本体用固定具5が本体ブラケット4を固定する第1壁面は、後壁面11となっている。支持用固定具7が支持ブラケット6を固定する第2壁面は、左壁面12となっている。後壁面11を含む平面と、左壁面12を含む平面とは、互いに交差している。このため、かご13及び釣合おもり14のレイアウトに応じて本体ブラケット4と支持ブラケット6との位置関係を調整することができ、本体ブラケット4及び支持ブラケット6の少なくともいずれかの位置を後壁面11及び左壁面12に対して調整する自由度を高めることができる。これにより、例えば、釣合おもり14と干渉しない位置に支持ブラケット6の位置を調整することができ、左壁面12に近づく方向へ釣合おもり14の寸法を広げることができる。従って、昇降路1の省スペース化を図ることができる。
【0062】
また、支持ブラケット6は、本体ブラケット4に固定される。このため、釣合おもりガイドレール2が受ける水平方向の外力をより確実に後壁面11及び左壁面12のそれぞれに伝達することができる。これにより、レール取付装置3によって釣合おもりガイドレール2を安定して支持することができる。
【0063】
また、このようなレール取付方法では、本体ブラケット固定工程S1及び支持ブラケット固定工程S2の後に、支持ブラケット6を本体ブラケット4に固定するブラケット間固定工程S3を実施する。このため、本体ブラケット4及び支持ブラケット6を一体として取り扱う必要がなくなり、かご13及び釣合おもり14のレイアウトに応じて本体ブラケット4と支持ブラケット6との位置関係を調整することができる。これにより、例えば、釣合おもり14と干渉しない位置に支持ブラケット6の位置を調整することができる。従って、昇降路1の省スペース化を図ることができる。
【0064】
実施の形態2.
図9は、実施の形態2に係るエレベーターのレール取付装置を示す上面図である。
図10は、
図9のX-X線に沿った断面図である。
図11は、
図9のXI-XI線に沿った断面図である。
図12は、
図9のエレベーターのレール取付装置を示す斜視図である。レール取付装置3は、本体ブラケット4、本体用固定具5、支持ブラケット6、支持用固定具7及びレールブラケット8に加えて、連結具9を有している。
【0065】
図13は、
図12の本体ブラケット4を示す斜視図である。本体ベース部41に設けられた本体固定用穴43は、長穴となっている。本体固定用穴43の長手方向は、本体ブラケット4の長手方向と一致している。
【0066】
本体ブラケット4の本体張出部42には、本体連結用穴44が設けられている。本体連結用穴44は、本体張出部42を貫通している。本実施の形態では、本体連結用穴44が長穴となっている。本体連結用穴44の長手方向は、本体固定用穴43の長手方向に交差する方向と一致している。本実施の形態では、本体連結用穴44の長手方向が本体固定用穴43の長手方向に直交する方向と一致している。
【0067】
本体ブラケット4は、
図9及び
図10に示すように、本体固定用穴43の長手方向を後壁面11に沿った水平方向と一致させた状態で配置されている。従って、本体ベース部41を後壁面11に重ねて本体ブラケット4が配置されている状態では、本体固定用穴43の長手方向が昇降路1の幅方向と一致している。これにより、本体連結用穴44の長手方向は、後壁面11に交差する水平方向と一致している。本実施の形態では、本体連結用穴44の長手方向が、
図9に示すように、昇降路1の奥行き方向と一致している。本体ブラケット4における他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0068】
本体用固定具5は、本体固定用穴43に本体用アンカーボルト51を通した状態で本体ブラケット4を後壁面11に固定している。本体用アンカーボルト51に対する本体ブラケット4の水平方向における位置は、本体固定用穴43の長手方向の寸法範囲内において後壁面11に沿って調整可能になっている。従って、本体ブラケット4の位置は、本体固定用穴43の長手方向、即ち昇降路1の幅方向において、支持ブラケット6に対して調整可能になっている。
【0069】
図14は、
図12の支持ブラケット6を示す斜視図である。支持ベース部61に設けられた支持固定用穴63は、長穴となっている。支持固定用穴63の長手方向は、支持ブラケット6の長手方向に交差する方向と一致している。本実施の形態では、支持固定用穴63の長手方向が支持ブラケット6の長手方向に直交する方向と一致している。
【0070】
支持ブラケット6の支持張出部62には、支持連結用穴64が設けられている。支持連結用穴64は、支持張出部62を貫通している。支持連結用穴64は、丸穴となっている。
【0071】
支持ブラケット6は、
図11に示すように、支持固定用穴63の長手方向を上下方向と一致させた状態で配置されている。従って、支持ベース部61を左壁面12に重ねて支持ブラケット6が配置されている状態では、支持固定用穴63の長手方向が上下方向と一致している。支持ブラケット6における他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0072】
支持用固定具7は、支持固定用穴63に支持用アンカーボルト71を通した状態で支持ブラケット6を左壁面12に固定している。支持用アンカーボルト71に対する支持ブラケット6の上下方向における位置は、支持固定用穴63の長手方向の寸法範囲内において調整可能になっている。従って、支持ブラケット6の位置は、支持固定用穴63の長手方向、即ち上下方向において、本体ブラケット4に対して調整可能になっている。
【0073】
支持用固定具7は、支持用アンカーボルト71に支持ベース部61が掛かることにより、昇降路1の奥行き方向への支持ブラケット6の移動を阻止している。即ち、支持用固定具7は、支持ブラケット6から受ける昇降路1の奥行き方向の力を支圧接合により支持する。
【0074】
レール取付装置3では、支持ブラケット6の位置が本体ブラケット4に対して上下方向において調整されることにより、
図10及び
図11に示すように、支持張出部62の一部が本体張出部42に重なっている。また、レール取付装置3では、本体ブラケット4の位置が支持ブラケット6に対して昇降路1の幅方向において調整されることにより、本体連結用穴44の位置が支持連結用穴64に重なる位置となっている。本実施の形態では、本体連結用穴44が昇降路1の奥行き方向に沿った長穴であるため、本体連結用穴44に対する支持連結用穴64の位置のずれが昇降路1の奥行き方向において吸収される。即ち、本体連結用穴44は、本体連結用穴44に対する支持連結用穴64の位置のずれを吸収する。
【0075】
連結具9は、本体連結用穴44及び支持連結用穴64に通された状態で本体ブラケット4に支持ブラケット6を固定している。連結具9は、連結用ボルト91と、連結用ナット92とを有している。
【0076】
連結用ボルト91は、本体連結用穴44及び支持連結用穴64に通されている。連結用ナット92は、連結用ボルト91にねじ込まれている。本体張出部42及び支持張出部62は、連結用ボルト91の頭部と連結用ナット92との間に挟まれている。本体張出部42及び支持張出部62が連結用ボルト91の頭部と連結用ナット92との間に挟まれた状態で連結用ナット92が締め込まれることにより、支持張出部62は本体張出部42に固定されている。
【0077】
連結具9は、連結用ボルト91に本体張出部42及び支持張出部62が掛かることにより、昇降路1の幅方向への本体ブラケット4の移動を支持ブラケット6に対して阻止している。これにより、連結具9は、本体ブラケット4と支持ブラケット6との間で昇降路1の幅方向の力を支圧接合により伝達可能にしている。実施の形態2における他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0078】
釣合おもりガイドレール2が水平方向への外力を受けたとき、釣合おもりガイドレール2が受けた外力は、レール取付装置3を介して昇降路1の壁によって支持される。釣合おもりガイドレール2は、昇降路1の幅方向に沿って左壁面12に向かう方向、昇降路1の幅方向に沿って左壁面12から遠ざかる方向、及び昇降路1の奥行き方向に沿って後壁面11に向かう方向のそれぞれへの外力を受ける場合が考えられる。
【0079】
次に、昇降路1の幅方向に沿って左壁面12に向かう方向への外力を釣合おもりガイドレール2が受けたときに昇降路1の壁に作用する荷重を支持する力について説明する。
図15は、
図9の昇降路1の幅方向に沿って左壁面12に向かう方向への外力を釣合おもりガイドレール2が受けたときに昇降路1の壁に作用する荷重を支持する力を示す上面図である。釣合おもりガイドレール2が左壁面12に向かう方向へ外力F1を受けたとき、外力F1は、釣合おもりガイドレール2から、レールブラケット8、本体ブラケット4、連結具9、支持ブラケット6の順に伝達され、左壁面12に達する。これにより、左壁面12には、支持ブラケット6から押し付け荷重が作用する。従って、左壁面12に向かう方向への外力F1は、支持ブラケット6の押し付け荷重に反する左壁面12の反力F2によって支持される。
【0080】
図16は、
図9の昇降路1の幅方向に沿って左壁面12に向かう方向への外力F1を釣合おもりガイドレール2が受けたときに昇降路1の壁に作用するモーメントを支持する力を示す上面図である。釣合おもりガイドレール2が左壁面12に向かう方向へ外力F1を受けたとき、力のモーメントが支持ブラケット6から左壁面12に作用する。力のモーメントが支持ブラケット6から左壁面12に作用すると、支持ブラケット6における後壁面11から遠い側の端部が左壁面12に押し付けられ、支持ブラケット6における後壁面11に近い側の端部が左壁面12から離れようとする。この場合、左壁面12に作用する力のモーメントは、支持ブラケット6の押し付け荷重に反する左壁面12の反力F3と、支持用固定具7を保持する左壁面12の保持力F4とによって支持される。
【0081】
次に、昇降路1の幅方向に沿って左壁面12から遠ざかる方向への外力を釣合おもりガイドレール2が受けたときに昇降路1の壁に作用する荷重を支持する力について説明する。
図17は、
図9の昇降路1の幅方向に沿って左壁面12から遠ざかる方向への外力を釣合おもりガイドレール2が受けたときに昇降路1の壁に作用する荷重を支持する力を示す上面図である。釣合おもりガイドレール2が左壁面12から遠ざかる方向へ外力F1を受けたとき、外力F1は、釣合おもりガイドレール2から、レールブラケット8、本体ブラケット4、連結具9、支持ブラケット6、支持用固定具7の順に伝達され、左壁面12に達する。これにより、左壁面12には、支持用固定具7を引き抜く方向への荷重が作用する。従って、左壁面12から遠ざかる方向への外力F1は、支持用固定具7を引き抜く方向への荷重を保持する左壁面12の保持力F2によって支持される。
【0082】
図18は、
図9の昇降路1の幅方向に沿って左壁面12から遠ざかる方向への外力F1を釣合おもりガイドレール2が受けたときに昇降路1の壁に作用するモーメントを支持する力を示す上面図である。釣合おもりガイドレール2が左壁面12から遠ざかる方向へ外力F1を受けたとき、力のモーメントが支持ブラケット6から左壁面12に作用する。力のモーメントが支持ブラケット6から左壁面12に作用すると、支持ブラケット6における後壁面11に近い側の端部が左壁面12に押し付けられ、支持ブラケット6における後壁面11から遠い側の端部が左壁面12から離れようとする。この場合、左壁面12に作用する力のモーメントは、支持ブラケット6の押し付け荷重に反する左壁面12の反力F3と、支持用固定具7を保持する左壁面12の保持力F4とによって支持される。
【0083】
次に、昇降路1の奥行き方向に沿って後壁面11に向かう方向への外力を釣合おもりガイドレール2が受けたときに昇降路1の壁に作用する荷重を支持する力について説明する。
図19は、
図9の昇降路1の奥行き方向に沿って後壁面11に向かう方向への外力を釣合おもりガイドレール2が受けたときに昇降路1の壁に作用する荷重を支持する力を示す上面図である。釣合おもりガイドレール2が後壁面11に向かう方向へ外力F1を受けたとき、外力F1は、釣合おもりガイドレール2から、レールブラケット8、本体ブラケット4の順に伝達され、後壁面11に達する。これにより、後壁面11には、本体ブラケット4から押し付け荷重が作用する。従って、後壁面11に向かう方向への外力F1は、本体ブラケット4の押し付け荷重に反する後壁面11の反力F2によって支持される。
【0084】
次に、レール取付装置3によって釣合おもりガイドレール2を昇降路1の壁に取り付けるレール取付方法について説明する。レール取付方法では、釣合おもりガイドレール2を昇降路1に配置した後、実施の形態1と同様に、本体ブラケット固定工程S1、支持ブラケット固定工程S2、ブラケット間固定工程S3、レール取付工程S4及びレールブラケット固定工程S5の順に、各工程を実施する。
【0085】
本実施の形態では、支持ブラケット固定工程S2において、支持張出部62が本体張出部42から上下方向へ離れている場合、本体ブラケット4に対する支持ブラケット6の位置を上下方向において調整する。このとき、支持用固定具7に対する支持ブラケット6の位置を支持固定用穴63の長手方向に沿って調整する。この後、支持ブラケット6を支持用固定具7によって左壁面12に固定する。
【0086】
また、本実施の形態では、ブラケット間固定工程S3において、本体連結用穴44の位置が支持連結用穴64に重なる位置から昇降路1の幅方向へ外れている場合、支持ブラケット6に対する本体ブラケット4の位置を昇降路1の幅方向において調整する。支持ブラケット6に対する本体ブラケット4の位置を調整するときには、本体用固定具5の本体用固定ナット52を緩める。このようにして、本体連結用穴44の位置を支持連結用穴64に重なる位置に調整する。
【0087】
ブラケット間固定工程S3では、本体連結用穴44の位置を支持連結用穴64に重なる位置に調整した後、支持ブラケット6の支持張出部62を本体ブラケット4の本体張出部42に連結具9によって固定する。レール取付方法における他の手順は、実施の形態1と同様である。
【0088】
このようなレール取付装置3では、本体ブラケット4に設けられた本体固定用穴43が長穴である。本体ブラケット4は、本体固定用穴43の長手方向を昇降路1の幅方向、即ち後壁面11に沿った水平方向と一致させた状態で配置されている。本体用固定具5は、本体固定用穴43に本体用アンカーボルト51を通した状態で本体ブラケット4を後壁面11に固定している。このため、本体用固定具5に対する本体ブラケット4の位置を本体固定用穴43に沿って調整することができる。これにより、支持ブラケット6に対する本体ブラケット4の位置が後壁面11に沿った水平方向においてずれている場合でも、支持ブラケット6に対する本体ブラケット4の位置を調整することができる。従って、支持ブラケット6を本体ブラケット4に容易に固定することができる。
【0089】
また、支持ブラケット6に設けられた支持固定用穴63は、長穴である。支持ブラケット6は、支持固定用穴63の長手方向を上下方向と一致させた状態で配置されている。支持用固定具7は、支持固定用穴63に支持用アンカーボルト71を通した状態で支持ブラケット6を左壁面12に固定している。このため、支持ブラケット6が本体ブラケット4から上下方向において離れている場合でも、本体ブラケット4に対する支持ブラケット6の位置を上下方向において調整することができる。これにより、支持ブラケット6を本体ブラケット4に容易に固定することができる。
【0090】
また、本体ブラケット4には、本体連結用穴44が設けられている。支持ブラケット6には、支持連結用穴64が設けられている。本体連結用穴44は、長穴である。本体連結用穴44の長手方向は、後壁面11に交差する水平方向と一致している。連結具9は、本体連結用穴44及び支持連結用穴64に通された状態で本体ブラケット4に支持ブラケット6を固定している。このため、本体連結用穴44の長手方向における寸法範囲内において本体連結用穴44を支持連結用穴64に重ねることができる。これにより、本体連結用穴44に対する支持連結用穴64の位置のずれを吸収することができ、支持連結用穴64に本体連結用穴44をより確実に重ねることができる。従って、本体連結用穴44及び支持連結用穴64に連結具9をより確実に通すことができ、本体ブラケット4に支持ブラケット6をより確実に固定することができる。
【0091】
なお、上記実施の形態2では、本体連結用穴44が長穴である。しかし、支持連結用穴64を長穴とし、本体連結用穴44を丸穴としてもよい。この場合、支持連結用穴64の長手方向は、後壁面11に交差する水平方向と一致する。このようにしても、本体連結用穴44に対する支持連結用穴64の位置のずれを支持連結用穴64によって吸収することができ、支持連結用穴64に本体連結用穴44をより確実に重ねることができる。即ち、本体連結用穴44及び支持連結用穴64のいずれか一方の連結用穴を長穴とし、当該一方の連結用穴の長手方向を後壁面11に交差する水平方向と一致させることにより、支持連結用穴64に本体連結用穴44をより確実に重ねることができる。
【0092】
実施の形態3.
図20は、実施の形態3に係るエレベーターのレール取付装置を示す上面図である。
図21は、
図20のXXI-XXI線に沿った断面図である。
図22は、
図20のXXII-XXII線に沿った断面図である。
図23は、
図20のエレベーターのレール取付装置を示す斜視図である。レール取付装置3は、実施の形態2と同様に、本体ブラケット4と、本体用固定具5と、支持ブラケット6と、支持用固定具7と、レールブラケット8と、連結具9とを有している。本実施の形態では、本体ブラケット4が固定される第1壁面が左壁面12とされており、支持ブラケット6が固定される第2壁面が後壁面11とされている。
【0093】
図24は、
図23の本体ブラケット4を示す斜視図である。本体ベース部41に設けられた本体固定用穴43は、長穴となっている。また、本体張出部42に設けられた本体連結用穴44は、長穴となっている。本体固定用穴43の長手方向は本体ブラケット4の長手方向と一致しており、本体連結用穴44の長手方向は本体固定用穴43の長手方向に交差する方向と一致している。本実施の形態では、本体連結用穴44の長手方向が本体固定用穴43の長手方向に直交する方向と一致している。
【0094】
本体ブラケット4は、
図20に示すように、釣合おもりガイドレール2と左壁面12との間の空間に配置されている。本体ブラケット4は、
図21及び
図22に示すように、本体ベース部41を左壁面12に重ねた状態で配置されている。また、本体ブラケット4は、本体ベース部41の上部から左壁面12とは反対側に向けて本体張出部42を突出させた状態で配置されている。
【0095】
本体ブラケット4は、
図21及び
図22に示すように、本体固定用穴43の長手方向を左壁面12に沿った水平方向と一致させた状態で配置されている。従って、本体ベース部41を左壁面12に重ねて本体ブラケット4が配置されている状態では、本体固定用穴43の長手方向が昇降路1の奥行き方向と一致している。これにより、本体連結用穴44の長手方向は、左壁面12に交差する水平方向と一致している。本実施の形態では、本体連結用穴44の長手方向が、
図20に示すように、昇降路1の幅方向と一致している。本体ブラケット4における他の構成は、実施の形態2と同様である。
【0096】
本体用固定具5は、本体固定用穴43に本体用アンカーボルト51を通した状態で本体ブラケット4を左壁面12に固定している。本体用アンカーボルト51に対する本体ブラケット4の水平方向における位置は、本体固定用穴43の長手方向の寸法範囲内において左壁面12に沿って調整可能になっている。従って、本体ブラケット4の位置は、本体固定用穴43の長手方向、即ち昇降路1の奥行き方向において、支持ブラケット6に対して調整可能になっている。
【0097】
図25は、
図23の支持ブラケット6を示す斜視図である。支持ベース部61に設けられた支持固定用穴63は、長穴となっている。支持固定用穴63の長手方向は、支持ブラケット6の長手方向に交差する方向と一致している。本実施の形態では、支持固定用穴63の長手方向が支持ブラケット6の長手方向に直交する方向と一致している。支持張出部62に設けられた支持連結用穴64は、丸穴となっている。
【0098】
支持ブラケット6は、
図20に示すように、釣合おもりガイドレール2の背面と後壁面11との間の空間に配置されている。支持ブラケット6は、
図21及び
図22に示すように、支持ベース部61を後壁面11に重ねた状態で配置されている。また、支持ブラケット6は、支持ベース部61の上部から後壁面11とは反対側に向けて支持張出部62を突出させた状態で配置されている。支持ブラケット6は、支持固定用穴63の長手方向を上下方向と一致させた状態で配置されている。支持ブラケット6における他の構成は、実施の形態2と同様である。
【0099】
支持用固定具7は、支持固定用穴63に支持用アンカーボルト71を通した状態で支持ブラケット6を後壁面11に固定している。支持用アンカーボルト71に対する支持ブラケット6の上下方向における位置は、支持固定用穴63の長手方向の寸法範囲内において調整可能になっている。従って、支持ブラケット6の位置は、支持固定用穴63の長手方向、即ち上下方向において、本体ブラケット4に対して調整可能になっている。
【0100】
支持用固定具7は、支持用アンカーボルト71に支持ベース部61が掛かることにより、昇降路1の幅方向への支持ブラケット6の移動を阻止している。即ち、支持用固定具7は、支持ブラケット6から受ける昇降路1の幅方向の力を支圧接合により支持する。
【0101】
レール取付装置3では、支持ブラケット6の位置が本体ブラケット4に対して上下方向において調整されることにより、
図21及び
図22に示すように、支持張出部62の一部が本体張出部42に重なっている。また、レール取付装置3では、本体ブラケット4の位置が支持ブラケット6に対して昇降路1の奥行き方向において調整されることにより、本体連結用穴44の位置が支持連結用穴64に重なる位置となっている。本実施の形態では、本体連結用穴44が昇降路1の幅方向に沿った長穴であるため、本体連結用穴44に対する支持連結用穴64の位置のずれが昇降路1の幅方向において吸収される。即ち、本体連結用穴44は、本体連結用穴44に対する支持連結用穴64の位置のずれを吸収する。
【0102】
連結具9は、連結用ボルト91に本体張出部42及び支持張出部62が掛かることにより、昇降路1の奥行き方向への本体ブラケット4の移動を支持ブラケット6に対して阻止している。これにより、連結具9は、本体ブラケット4と支持ブラケット6との間で昇降路1の奥行き方向の力を支圧接合により伝達可能にしている。
【0103】
図26は、
図23のレールブラケット8を示す斜視図である。レールブラケット8の長手方向における一対のレール取付用穴83の間の中心位置は、レールブラケット8の長手方向におけるレールブラケット8の両端部間の中心位置からずれている。
【0104】
レールブラケット8は、
図20~
図23に示すように、レールブラケット8の長手方向を昇降路1の幅方向と一致させて配置されている。本体ブラケット4の本体張出部42には、レールブラケット8の両端部のうち、一対のレール取付用穴83から遠い側の端部が固定されている。本実施の形態では、レールブラケット8の固定ベース部81が本体張出部42に溶接によって固定されている。実施の形態3における他の構成は、実施の形態2と同様である。
【0105】
次に、昇降路1の幅方向に沿って左壁面12に向かう方向への外力を釣合おもりガイドレール2が受けたときに昇降路1の壁に作用する荷重を支持する力について説明する。
図27は、
図20の昇降路1の幅方向に沿って左壁面12に向かう方向への外力を釣合おもりガイドレール2が受けたときに昇降路1の壁に作用する荷重を支持する力を示す上面図である。釣合おもりガイドレール2が左壁面12に向かう方向へ外力F1を受けたとき、レールブラケット8、本体ブラケット4の順に伝達され、左壁面12に達する。これにより、左壁面12には、本体ブラケット4から押し付け荷重が作用する。従って、左壁面12に向かう方向への外力F1は、本体ブラケット4の押し付け荷重に反する左壁面12の反力F2によって支持される。
【0106】
図28は、
図20の昇降路1の幅方向に沿って左壁面12に向かう方向への外力F1を釣合おもりガイドレール2が受けたときに昇降路1の壁に作用するモーメントを支持する力を示す上面図である。釣合おもりガイドレール2が左壁面12に向かう方向へ外力F1を受けたとき、力のモーメントが本体ブラケット4から左壁面12に作用する。力のモーメントが本体ブラケット4から左壁面12に作用すると、本体ブラケット4における後壁面11から遠い側の端部が左壁面12に押し付けられ、本体ブラケット4における後壁面11に近い側の端部が左壁面12から離れようとする。この場合、左壁面12に作用する力のモーメントは、本体ブラケット4の押し付け荷重に反する左壁面12の反力F3と、本体用固定具5を保持する左壁面12の保持力F4とによって支持される。
【0107】
次に、昇降路1の幅方向に沿って左壁面12から遠ざかる方向への外力を釣合おもりガイドレール2が受けたときに昇降路1の壁に作用する荷重を支持する力について説明する。
図29は、
図20の昇降路1の幅方向に沿って左壁面12から遠ざかる方向への外力を釣合おもりガイドレール2が受けたときに昇降路1の壁に作用する荷重を支持する力を示す上面図である。釣合おもりガイドレール2が左壁面12から遠ざかる方向へ外力F1を受けたとき、外力F1は、釣合おもりガイドレール2から、レールブラケット8、本体ブラケット4、本体用固定具5の順に伝達され、左壁面12に達する。これにより、左壁面12には、本体用固定具5を引き抜く方向への荷重が作用する。従って、左壁面12から遠ざかる方向への外力F1は、本体用固定具5を引き抜く方向への荷重を保持する左壁面12の保持力F2によって支持される。
【0108】
図30は、
図20の昇降路1の幅方向に沿って左壁面12から遠ざかる方向への外力F1を釣合おもりガイドレール2が受けたときに昇降路1の壁に作用するモーメントを支持する力を示す上面図である。釣合おもりガイドレール2が左壁面12から遠ざかる方向へ外力F1を受けたとき、力のモーメントが本体ブラケット4から左壁面12に作用する。力のモーメントが本体ブラケット4から左壁面12に作用すると、本体ブラケット4における後壁面11に近い側の端部が左壁面12に押し付けられ、本体ブラケット4における後壁面11から遠い側の端部が左壁面12から離れようとする。この場合、左壁面12に作用する力のモーメントは、本体ブラケット4の押し付け荷重に反する左壁面12の反力F3と、本体用固定具5を保持する左壁面12の保持力F4とによって支持される。
【0109】
次に、昇降路1の奥行き方向に沿って後壁面11に向かう方向への外力を釣合おもりガイドレール2が受けたときに昇降路1の壁に作用する荷重を支持する力について説明する。
図31は、
図20の昇降路1の奥行き方向に沿って後壁面11に向かう方向への外力を釣合おもりガイドレール2が受けたときに昇降路1の壁に作用する荷重を支持する力を示す上面図である。釣合おもりガイドレール2が後壁面11に向かう方向へ外力F1を受けたとき、外力F1は、釣合おもりガイドレール2から、レールブラケット8、本体ブラケット4、連結具9、支持ブラケット6の順に伝達され、後壁面11に達する。これにより、後壁面11には、支持ブラケット6から押し付け荷重が作用する。従って、後壁面11に向かう方向への外力F1は、支持ブラケット6の押し付け荷重に反する後壁面11の反力F2によって支持される。
【0110】
図32は、
図20の昇降路1の奥行き方向に沿って後壁面11に向かう方向への外力F1を釣合おもりガイドレール2が受けたときに昇降路1の壁に作用するモーメントを支持する力を示す上面図である。釣合おもりガイドレール2が後壁面11に向かう方向へ外力F1を受けたとき、力のモーメントが本体ブラケット4から左壁面12に作用する。力のモーメントが本体ブラケット4から左壁面12に作用すると、本体ブラケット4における後壁面11に近い側の端部が左壁面12に押し付けられ、本体ブラケット4における後壁面11から遠い側の端部が左壁面12から離れようとする。この場合、左壁面12に作用する力のモーメントは、本体ブラケット4の押し付け荷重に反する左壁面12の反力F3と、本体用固定具5を保持する左壁面12の保持力F4とによって支持される。
【0111】
次に、釣合おもりガイドレール2を昇降路1の壁にレール取付装置3によって取り付けるレール取付方法について説明する。レール取付方法では、釣合おもりガイドレール2を昇降路1に配置した後、実施の形態2と同様に、本体ブラケット固定工程S1、支持ブラケット固定工程S2、ブラケット間固定工程S3、レール取付工程S4及びレールブラケット固定工程S5の順に、各工程を実施する。
【0112】
本実施の形態では、本体ブラケット固定工程S1において、本体ブラケット4を本体用固定具5によって左壁面12に固定する。
【0113】
また、本実施の形態では、支持ブラケット固定工程S2において、支持ブラケット6を支持用固定具7によって後壁面11に固定する。支持ブラケット固定工程S2において、支持張出部62が本体張出部42から上下方向へ離れている場合、実施の形態2と同様にして、本体ブラケット4に対する支持ブラケット6の位置を上下方向において調整する。
【0114】
本実施の形態では、ブラケット間固定工程S3において、本体連結用穴44の位置が支持連結用穴64に重なる位置から昇降路1の奥行き方向へ外れている場合、支持ブラケット6に対する本体ブラケット4の位置を昇降路1の奥行き方向において調整する。支持ブラケット6に対する本体ブラケット4の位置を調整するときには、本体用固定具5の本体用固定ナット52を緩める。このようにして、本体連結用穴44の位置を支持連結用穴64に重なる位置に調整する。レール取付方法における他の手順は、実施の形態2と同様である。
【0115】
このように、本体ブラケット4が固定される第1壁面を左壁面12とし、支持ブラケット6が固定される第2壁面を後壁面11としても、かご13及び釣合おもり14のレイアウトに応じて本体ブラケット4と支持ブラケット6との位置関係を調整することができ、本体ブラケット4及び支持ブラケット6の少なくともいずれかの位置を後壁面11及び左壁面12に対して調整する自由度を高めることができる。これにより、例えば、かご13と干渉しない位置に支持ブラケット6の位置を調整することができ、後壁面11に近づく方向へかご13の寸法を広げることができる。従って、昇降路1の省スペース化を図ることができる。
【0116】
なお、上記実施の形態3では、本体連結用穴44が長穴である。しかし、支持連結用穴64を長穴とし、本体連結用穴44を丸穴としてもよい。この場合、支持連結用穴64の長手方向は、左壁面12に交差する水平方向と一致する。このようにしても、本体連結用穴44に対する支持連結用穴64の位置のずれを支持連結用穴64によって吸収することができ、支持連結用穴64に本体連結用穴44をより確実に重ねることができる。即ち、本体連結用穴44及び支持連結用穴64のいずれか一方の連結用穴を長穴とし、当該一方の連結用穴の長手方向を左壁面12に交差する水平方向と一致させることにより、支持連結用穴64に本体連結用穴44をより確実に重ねることができる。
【0117】
また、上記実施の形態2及び3では、本体連結用穴44が長穴である。しかし、本体連結用穴44及び支持連結用穴64のそれぞれを丸穴としてもよい。このようにしても、本体連結用穴44の位置を支持連結用穴64に重なる位置にして本体連結用穴44及び支持連結用穴64に連結具9を通すことにより、本体ブラケット4に支持ブラケット6を固定することができる。
【0118】
また、各上記実施の形態では、本体ブラケット4に対する本体用固定具5の数が1つとされている。しかし、本体ブラケット4に対する本体用固定具5の数を複数としてもよい。この場合、本体ブラケット4における本体固定用穴43の数は、本体用固定具5と同数とされる。
【0119】
また、各上記実施の形態では、支持ブラケット6に対する支持用固定具7の数が1つとされている。しかし、支持ブラケット6に対する支持用固定具7の数を複数としてもよい。この場合、支持ブラケット6における支持固定用穴63の数は、支持用固定具7と同数とされる。
【0120】
また、各上記実施の形態では、昇降路1において後壁面11及び左壁面12の間に形成されている角部にレール取付装置3が配置されている。しかし、レール取付装置3の位置は、これに限定されない。前壁面及び左壁面12の間に形成されている角部、後壁面11及び右壁面の間に形成されている角部、及び前壁面及び右壁面の間に形成されている角部のいずれかにレール取付装置3を配置してもよい。この場合、かご13、釣合おもり14、かごガイドレール及び釣合おもりガイドレール2のそれぞれのレイアウトが調整される。
【0121】
また、各上記実施の形態では、支持ブラケット固定工程S2が本体ブラケット固定工程S1の後でブラケット間固定工程S3の前に実施される。しかし、支持ブラケット固定工程S2の後でブラケット間固定工程S3の前に本体ブラケット固定工程S1を実施してもよい。
【0122】
また、各上記実施の形態では、レール取付工程S4がブラケット間固定工程S3の後でレールブラケット固定工程S5の前に実施される。しかし、本体ブラケット固定工程S1、支持ブラケット固定工程S2、ブラケット間固定工程S3のいずれかの前にレール取付工程S4を実施してもよいし、レールブラケット固定工程S5の後にレール取付工程S4を実施してもよい。
【0123】
また、各上記実施の形態では、レールブラケット固定工程S5がレール取付工程S4の後に実施される。しかし、本体ブラケット固定工程S1、支持ブラケット固定工程S2、ブラケット間固定工程S3及びレール取付工程S4のいずれかの前にレールブラケット固定工程S5を実施してもよい。
【0124】
以上、上記の実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものである。実施の形態は、別の公知の技術と組み合わせることが可能である。本開示の要旨を逸脱しない範囲で、実施の形態の構成の一部を省略または変更することが可能である。
【0125】
以下に、本開示に含まれ得る態様の例について、付記として明記する。
(付記1)
本体ブラケットと、
昇降路の壁にそれぞれ形成されている第1壁面及び第2壁面のうち、前記第1壁面に固定される本体用アンカーボルトを有しており、前記本体ブラケットを前記第1壁面に固定する本体用固定具と、
前記本体ブラケットに固定される支持ブラケットと、
前記第2壁面に固定される支持用アンカーボルトを有しており、前記支持ブラケットを前記第2壁面に固定する支持用固定具と、
前記本体ブラケットに固定されており、昇降体を案内するガイドレールに取り付けられるレールブラケットと
を備え、
前記第1壁面を含む平面と、前記第2壁面を含む平面とは、互いに交差しており、
前記本体ブラケット及び前記支持ブラケットは、互いに別部材であるエレベーターのレール取付装置。
(付記2)
前記本体ブラケットには、本体固定用穴が設けられており、
前記本体固定用穴は、長穴であり、
前記本体ブラケットは、前記本体固定用穴の長手方向を前記第1壁面に沿った水平方向と一致させた状態で配置され、
前記本体用固定具は、前記本体固定用穴に前記本体用アンカーボルトを通した状態で前記本体ブラケットを前記第1壁面に固定する付記1に記載のエレベーターのレール取付装置。
(付記3)
前記支持ブラケットには、支持固定用穴が設けられており、
前記支持固定用穴は、長穴であり、
前記支持ブラケットは、前記支持固定用穴の長手方向を上下方向と一致させた状態で配置され、
前記支持用固定具は、前記支持固定用穴に前記支持用アンカーボルトを通した状態で前記支持ブラケットを前記第2壁面に固定する付記1又は付記2に記載のエレベーターのレール取付装置。
(付記4)
前記本体ブラケットに前記支持ブラケットを固定する連結具を備え、
前記本体ブラケットには、本体連結用穴が設けられており、
前記支持ブラケットには、支持連結用穴が設けられており、
前記連結具は、前記本体連結用穴及び前記支持連結用穴に通された状態で前記本体ブラケットに前記支持ブラケットを固定する付記1から付記3までのいずれか一項に記載のエレベーターのレール取付装置。
(付記5)
前記本体連結用穴及び前記支持連結用穴のいずれか一方の連結用穴は、長穴であり、
前記一方の連結用穴の長手方向は、前記第1壁面に交差する水平方向と一致している付記4に記載のエレベーターのレール取付装置。
(付記6)
付記1から付記5までのいずれか一項に記載のエレベーターのレール取付装置における前記本体ブラケットを前記本体用固定具によって前記第1壁面に固定する本体ブラケット固定工程と、
前記支持ブラケットを前記支持用固定具によって前記第2壁面に固定する支持ブラケット固定工程と、
前記本体ブラケット固定工程及び前記支持ブラケット固定工程のそれぞれの後、前記支持ブラケットを前記本体ブラケットに固定するブラケット間固定工程と、
前記レールブラケットを前記ガイドレールに取り付けるレール取付工程と、
前記レールブラケットを前記本体ブラケットに固定するレールブラケット固定工程と
を備えているエレベーターのレール取付方法。
【符号の説明】
【0126】
1 昇降路、2 釣合おもりガイドレール(ガイドレール)、4 本体ブラケット、5 本体用固定具、6 支持ブラケット、7 支持用固定具、8 レールブラケット、9 連結具、11 後壁面(第1壁面又は第2壁面)、12 左壁面(第1壁面又は第2壁面)、43 本体固定用穴、44 本体連結用穴、51 本体用アンカーボルト、63 支持固定用穴、64 支持連結用穴、71 支持用アンカーボルト。
【要約】
【課題】昇降路の省スペース化を図ることができるエレベーターのレール取付装置、及びエレベーターのレール取付方法を提供する。
【解決手段】エレベーターの取付装置3において、本体用固定具5は、後壁面11に固定される本体用アンカーボルト51を有している。本体用固定具5は、本体ブラケット4を後壁面11に固定する。支持用固定具7は、左壁面12に固定される支持用アンカーボルト71を有している。支持用固定具7は、支持ブラケット6を左壁面12に固定する。レールブラケット8は、本体ブラケット4に固定されており、釣合おもりガイドレール2に取り付けられる。後壁面11を含む平面と、左壁面12を含む平面とは、互いに交差している。本体ブラケット4及び支持ブラケット6は、互いに別部材である。
【選択図】
図1