(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-10
(45)【発行日】2025-04-18
(54)【発明の名称】原子力発電所用熱供給装置の制御システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
G21D 9/00 20060101AFI20250411BHJP
F01K 7/34 20060101ALI20250411BHJP
F01K 17/02 20060101ALI20250411BHJP
F01D 17/10 20060101ALI20250411BHJP
【FI】
G21D9/00
F01K7/34
F01K17/02
F01D17/10 G
(21)【出願番号】P 2024549434
(86)(22)【出願日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 CN2023076173
(87)【国際公開番号】W WO2023160444
(87)【国際公開日】2023-08-31
【審査請求日】2024-08-14
(31)【優先権主張番号】202210169686.1
(32)【優先日】2022-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524304699
【氏名又は名称】シャンドン ニュークリアー パワー カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】524304703
【氏名又は名称】ステート ニュークリアー エレクトリック パワー プランニング デザイン アンド リサーチ インスティテュート カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウー、 ファン
(72)【発明者】
【氏名】リウ、 フェイ
(72)【発明者】
【氏名】シュー、 グオビン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、 ビンチュオ
(72)【発明者】
【氏名】リー、 ジャンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チュ、 チービン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、 シャンユー
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ、 シャンヤン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、 ヨンフェン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、 ダ
(72)【発明者】
【氏名】シン、 チャオカイ
(72)【発明者】
【氏名】シエ、 ホンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、 シャンシャン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、 ジンフェン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、 シャン
【審査官】坂上 大貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-137450(JP,A)
【文献】特開2008-032696(JP,A)
【文献】国際公開第2005/041209(WO,A1)
【文献】特開昭58-002403(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106053105(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21D 1/00- 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力発電所用熱供給装置の制御システムであって、
蒸気タービンの初段圧力を測定して初段圧力信号を得るための初段圧力測定装置と、
前記蒸気タービンの高圧シリンダの排気圧力を測定して排気圧力信号を得るための高圧吐出圧力測定装置と、
抽気熱供給流量を測定して抽気熱供給流量信号を得るための抽気熱供給流量測定装置と、
測定により得られた前記初段圧力信号、前記排気圧力信号及び前記抽気熱供給流量信号を収集し、収集した前記初段圧力信号、前記排気圧力信号及び前記抽気熱供給流量信号をコア演算処理モジュールに送信するためのデータ収集モジュールと、
前記データ収集モジュールから送信された前記初段圧力信号、前記排気圧力信号及び前記抽気熱供給流量信号を受信し、前記初段圧力信号、前記排気圧力信号及び前記抽気熱供給流量信号に基づいて熱供給装置における各弁の動作コマンドを生成するか、又は、受信した信号を利用して前記蒸気タービンの負荷値を確定し、前記動作コマンド又は前記蒸気タービンの負荷値を信号出力モジュールに送信するためのコア演算処理モジュールと、
前記コア演算処理モジュールから前記動作コマンド又は前記蒸気タービンの負荷値を受信し、前記動作コマンド又は前記蒸気タービンの負荷値を現場機器に送信して制御を行うための前記信号出力モジュールと、を備え、
前記コア演算処理モジュールは、
熱供給ネットワークの負荷需要に応じて予め設定された流量設定値又は操作者がマンマシンインタフェースモジュールを介して提供した設定値を熱供給流量自動調節モジュールに送信するための抽気流量設定値生成モジュールと、
前記抽気流量設定値生成モジュールから送信された設定値を受信し、測定により得られた抽気熱供給流量と前記設定値との偏差を確定し、前記偏差に基づいてPID演算を行い、演算結果を手動/自動モジュールに送信するための前記熱供給流量自動調節モジュールと、
前記熱供給流量自動調節モジュールから送信された演算結果を受信し、前記演算結果に基づいて熱供給装置における抽気ファストクロージング調節弁FCVを制御するための前記手動/自動モジュールと、を備える、ことを特徴とする原子力発電所用熱供給装置の制御システム。
【請求項2】
前記原子力発電所用熱供給装置の制御システムは、前記コア演算処理モジュールと情報交換を行うためのマンマシンインタフェース処理モジュールをさらに備え、
前記情報交換は、コア演算処理プロセスにおける手動操作コマンド、設定値入力、信号表示、警報処理及び機能切替を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の原子力発電所用熱供給装置の制御システム。
【請求項3】
前記初段圧力信号、前記排気圧力信号及び前記抽気熱供給流量信号に基づいて熱供給装置における各弁の動作コマンドを生成するか、又は、受信した信号を利用して前記蒸気タービンの負荷値を確定する前には、さらに、
受信した前記初段圧力信号、排気圧力信号及び抽気熱供給流量信号に対して前処理を行うことを含み、
前記前処理は、複数のチャネルが収集した初段圧力信号、排気圧力信号及び抽気熱供給流量信号に対してそれぞれ2/3多数決冗長処理を行い、収集信号に対応する測定範囲が予め設定された測定範囲を超えるか否か及び前記収集信号の値が予め設定された信号閾値より大きいか否かを判断し、前記収集信号に対応する測定範囲が予め設定された測定範囲を超えた場合又は前記収集信号の値が予め設定された信号閾値より大きい場合、警報信号をマンマシンインタフェース処理モジュールに送信することを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の原子力発電所用熱供給装置の制御システム。
【請求項4】
前記コア演算処理モジュールは、
蒸気タービンの設計要件に基づいて予め設定された高圧吐出圧力設定値又は操作者がマンマシンインタフェースモジュールを介して提供した設定値を高圧吐出圧力調節モジュールに送信するための高圧吐出圧力設定値生成モジュールと、
測定により得られた蒸気タービンの高圧シリンダの排気圧力及び高圧吐出圧力設定値生成モジュールから送信された排気圧力設定値を受信し、測定により得られた排気圧力と前記設定値との偏差を確定し、前記偏差に基づいてPID演算を行って演算結果を取得し、前記演算結果に基づいて蒸気タービンの低圧シリンダの吸気調節弁ICVを制御するための前記高圧吐出圧力調節モジュールと、をさらに備える、ことを特徴とする請求項2に記載の原子力発電所用熱供給装置の制御システム。
【請求項5】
前記コア演算処理モジュールは、
測定により得られた蒸気タービンの高圧シリンダの排気圧力と測定により得られた初段圧力信号との比を予め設定された第1の圧力比閾値と比較し、前記測定により得られた蒸気タービンの高圧シリンダの排気圧力と前記測定により得られた初段圧力信号との比が前記予め設定された第1の圧力比閾値より大きいと、抽気ファストクロージング調節弁を閉鎖する信号を熱供給流量自動調節モジュールに送信して、前記抽気ファストクロージング調節弁の閉鎖を実現するための第1の圧力比ローパス閾値モジュールと、
測定により得られた蒸気タービンの高圧シリンダの排気圧力と測定により得られた初段圧力信号との比を予め設定された第2の圧力比閾値と比較し、前記測定により得られた蒸気タービンの高圧シリンダの排気圧力と前記測定により得られた初段圧力信号との比が前記予め設定された第2の圧力比閾値より大きいと、抽気ファストクロージング調節弁を閉鎖する信号をオーバーライド処理モジュールに送信して、前記抽気ファストクロージング調節弁の快速閉鎖を実現するための第2の圧力比ローパス閾値モジュールと、
オーバーライド処理モジュールであって、オーバーライド機能トリガ条件モジュールから送信された信号を受信した時、オーバーライド制御モジュールに制御コマンドを送信するための前記オーバーライド処理モジュールであって、前記オーバーライド機能トリガ条件は、熱供給退出、タービントリップ、OPC動作を含むオーバーライド処理モジュールと、
前記抽気ファストクロージング調節弁の入力端に設けられており、前記オーバーライド処理モジュールから送信された制御コマンドを受信し、前記制御コマンドに基づいて前記抽気ファストクロージング調節弁を制御するための前記オーバーライド制御モジュールと、をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載の原子力発電所用熱供給装置の制御システム。
【請求項6】
前記コア演算処理モジュールは、
高圧吐出圧力が迅速に調節されるように、測定により得られた抽気熱供給流量の変化に対して事前に反応して、蒸気タービンの低圧シリンダの吸気調節弁を事前に動作させるためのフィードフォワードモジュールをさらに備える、ことを特徴とする請求項4に記載の原子力発電所用熱供給装置の制御システム。
【請求項7】
前記コア演算処理モジュールは、
制御コマンドを計算して生成し、蒸気タービンの総負荷をそのまま保持する場合に、熱供給量を調整すると共にユニットの電気負荷を自動的に増減させるための熱供給流量負荷補償アルゴリズムモジュールをさらに備え、
前記電気負荷の増減は、蒸気タービンコントローラが蒸気タービン高圧調整弁を動作させることにより達成される、ことを特徴とする請求項1に記載の原子力発電所用熱供給装置の制御システム。
【請求項8】
前記コア演算処理モジュールは、
予め得られた負荷曲線1が設定されており、前記負荷曲線1に基づいて、測定により得られた初段圧力に対応する蒸気タービンの負荷値を確定するための第1の曲線モジュールと、
予め得られた負荷曲線2が設定されており、前記負荷曲線2に基づいて、測定により得られた初段圧力に対応する蒸気タービンの負荷値を確定するための第2の曲線モジュールと、
予め得られた負荷曲線3が設定されており、前記負荷曲線3に基づいて、測定により得られた初段圧力に対応する蒸気タービンの負荷値を確定するための第3の曲線モジュールと、
切り替え信号を受信して、前記予め得られた負荷曲線1と前記予め得られた負荷曲線2との切り替えを行うための第1の切り替えモジュールと、
切り替え信号を受信して、前記予め得られた負荷曲線2と前記予め得られた負荷曲線3との切り替えを行うための第2の切り替えモジュールと、をさらに備え、
前記負荷曲線の数は、抽気熱供給流量の稼働状況の種類に応じて決定される、ことを特徴とする請求項1に記載の原子力発電所用熱供給装置の制御システム。
【請求項9】
前記コア演算処理モジュールは、
測定により得られた抽気熱供給流量の大きさと第1の流量閾値モジュールにおける予め設定された閾値とを比較し、前記測定により得られた抽気熱供給流量が前記予め設定された閾値より大きいと、前記負荷曲線1から前記負荷曲線2へ切り替えるコマンドを前記第1の切り替えモジュールに送信するための前記第1の流量閾値モジュールと、
測定により得られた抽気熱供給流量の大きさと第2の流量閾値モジュールにおける予め設定された閾値とを比較し、前記測定により得られた抽気熱供給流量が前記予め設定された閾値より大きいと、前記負荷曲線2から前記負荷曲線3へ切り替えるコマンドを前記第2の切り替えモジュールに送信するための前記第2の流量閾値モジュールと、
操作者からの熱供給投入/退出コマンドに応じて、前記熱供給装置が熱供給投入条件を満たすか否かを判断し、その条件を満たすと、熱供給投入コマンドを送信するための熱供給投入/退出コマンド処理モジュールと、をさらに備える、ことを特徴とする請求項8に記載の原子力発電所用熱供給装置の制御システム。
【請求項10】
前記第1の切り替えモジュール及び第2の切り替えモジュールは、さらに切り替え前後の負荷曲線の相互自動追跡を実現するために用いられ、
流量閾値モジュールの数は、切り替えモジュールの数と一致し、
前記流量閾値モジュールの数は、抽気熱供給流量の稼働状況の種類に応じて決定される、ことを特徴とする請求項8に記載の原子力発電所用熱供給装置の制御システム。
【請求項11】
請求項1~7のいずれか一項に記載の原子力発電所用熱供給装置の制御システムによる原子力発電所用熱供給装置の制御方法であって、
測定により得られた蒸気タービンの初段圧力信号、蒸気タービンの高圧シリンダの排気圧力信号及び抽気熱供給流量信号、並びに熱供給ネットワークの負荷需要に対応する抽気熱供給流量設定値及び高圧吐出圧力設定値を取得するステップと、
前記抽気熱供給流量設定値及び前記抽気熱供給流量信号を利用して前記抽気熱供給流量信号と前記抽気熱供給流量設定値との偏差を確定し、前記高圧吐出圧力設定値及び前記蒸気タービンの高圧シリンダの排気圧力信号を利用して前記排気圧力信号と前記高圧吐出圧力設定値との偏差を確定するステップと、
前記偏差及び抽気熱供給流量信号に基づいて抽気ファストクロージング調節弁、蒸気タービンの低圧シリンダの吸気調節弁及び蒸気タービンの高圧シリンダの吸気調節弁をそれぞれ制御するステップと、を含む、ことを特徴とする原子力発電所用熱供給装置の制御方法。
【請求項12】
請求項1~3、8~10のいずれか一項に記載の原子力発電所用熱供給装置の制御システムによる原子力発電所用熱供給装置の制御方法であって、
データ収集モジュールを利用して前記初段圧力信号及び前記抽気熱供給流量信号を収集し、収集した前記初段圧力信号及び前記抽気熱供給流量信号に対して前処理を行うステップと、
前記前処理後の初段圧力信号及び抽気熱供給流量信号に基づいて抽気熱供給流量とマッチングする負荷曲線を選択して蒸気タービンの負荷値を確定するステップと、
前記蒸気タービンの負荷値に基づいて原子炉出力を調節するステップと、を含む、ことを特徴とする原子力発電所用熱供給装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2022年2月24日に提出された、出願番号が202210169686.1である中国特許出願に基づく優先権を主張し、この中国特許出願のすべての内容は参照により本願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、原子力熱供給の技術分野に関し、特に、原子力発電所用熱供給装置の制御システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
我が国(中国)の都市では、集中的熱供給システムを採用し、暖房用エネルギーとしては、主に、化石エネルギー(fossil energy)を採用するため、炭素酸化物の排出による環境への影響を回避しにくい。
原子力エネルギーは、クリーンで効率的で安定的なエネルギーとして、ユーザに絶えない熱量を提供することができるため、原子力エネルギーによる熱供給は、原子力エネルギーの別のエネルギー供給形態になっている。
【0004】
現在、原子力発電所の熱供給システムは、手動操作の方法で抽気熱供給パラメータの調整を実現し、抽気量の変化は、蒸気タービンの高圧シリンダの吐出圧力(以下、高圧吐出圧力と略称する)及び電気負荷の同期調整に関し、高圧吐出圧力の安定は、蒸気タービンの稼動安全に直接関係し、電気負荷は、原子力発電所の発電効果に直接影響するため、抽気熱供給量の調節が要求を満たすか否かはとても重要である。
手動で抽気量を行う場合、熱供給負荷の変動時に、抽気量、高圧吐出圧力及び電気負荷の複数のパラメータを同期監視及び調整する必要があり、これは、操作者の操作負担及び手動操作による誤操作の確率を増加させ、そして、手動操作前に各パラメータの適合性を検査する必要があり、熱電負荷調整には大きな操作時間遅延が存在し、システム応答速度が遅く、それにより、一部の発電量の損失を引き起こし、ユニットの安全的かつ安定的な稼動に潜在的なリスクが存在する。
また、原子力発電所の熱供給ユニットの正常的な稼動モード(非熱供給シーズン)において、蒸気タービンは、非抽気熱供給稼働状況で稼動し、原子炉と蒸気タービンの負荷との協調稼動(以下、炉・タービン協調と略称する)は、一般に、原子炉電力制御システムが蒸気タービンの初段圧力(蒸気タービンの負荷を表す)を自動的に追跡することにより実現され、追跡の依拠は、蒸気タービンの負荷と初段圧力との関数曲線である。
抽気熱供給を行う場合、蒸気タービンの負荷と初段圧力との対応関係曲線は、抽気熱供給量の相違に応じてシフトする。
元の非抽気熱供給稼働状況での蒸気タービンの負荷と初段圧力との関数曲線を維持させて稼動すると、炉・タービン協調稼動による負荷マッチング誤差が発生し、抽気量が大きいほど、誤差が大きくなり、原子炉システム(一次回路)の稼動パラメータの安定性に影響を与え、さらに、原子力発電ユニット全体の安全的かつ安定的な稼動に潜在的な悪影響を与える。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の態様の実施例に係る原子力発電所用熱供給装置の制御システムは、
蒸気タービンの初段圧力を測定して初段圧力信号を得るための初段圧力測定装置と、
蒸気タービンの高圧シリンダの排気圧力を測定して排気圧力信号を得るための高圧吐出圧力測定装置と、
抽気熱供給流量を測定して抽気熱供給流量信号を得るための抽気熱供給流量測定装置と、
測定により得られた前記初段圧力信号、前記排気圧力信号及び前記抽気熱供給流量信号を収集し、収集した前記初段圧力信号、前記排気圧力信号及び前記抽気熱供給流量信号をコア演算処理モジュールに送信するためのデータ収集モジュールと、
データ収集モジュールから送信された前記初段圧力信号、前記排気圧力信号及び前記抽気熱供給流量信号を受信し、前記初段圧力信号、前記排気圧力信号及び前記抽気熱供給流量信号に基づいて熱供給装置における各弁の動作コマンドを生成するか、又は、受信した信号を利用して前記蒸気タービンの負荷値を確定し、前記動作コマンド又は蒸気タービンの負荷値を信号出力モジュールに送信するためのコア演算処理モジュールと、
コア演算処理モジュールから前記動作コマンド又は蒸気タービンの負荷値を受信し、前記動作コマンド又は蒸気タービンの負荷値をそれぞれ各関連の制御システム及び機器に送信するための信号出力モジュールと、を備える。
【0006】
本発明の第2の態様の実施例に係る原子力発電所用熱供給装置の制御方法は、
測定により得られた蒸気タービンの初段圧力信号、蒸気タービンの高圧シリンダの排気圧力信号及び抽気熱供給流量信号、並びに熱供給ネットワークの負荷需要に対応する抽気熱供給流量設定値及び高圧吐出圧力設定値を取得するステップと、
前記抽気熱供給流量設定値及び前記抽気熱供給流量信号を利用して前記抽気熱供給流量信号と前記抽気熱供給流量設定値との偏差を確定し、前記高圧吐出圧力設定値及び前記蒸気タービンの高圧シリンダの排気圧力信号を利用して前記排気圧力信号と前記高圧吐出圧力設定値との偏差を確定するステップと、
前記偏差及び抽気熱供給流量信号に基づいて抽気ファストクロージング調節弁、蒸気タービンの低圧シリンダの吸気調節弁及び蒸気タービンの高圧シリンダの吸気調節弁をそれぞれ制御することで、抽気熱供給流量、高圧シリンダの排気圧力及び蒸気タービンユニットの電気負荷を調節する目的を達成するステップと、を含む。
【0007】
本発明の第3の態様の実施例に係る他の原子力発電所用熱供給装置の制御方法は、
データ収集モジュールを利用して前記初段圧力信号及び前記抽気熱供給流量信号を収集し、収集した前記初段圧力信号及び前記抽気熱供給流量信号に対して前処理を行うステップと、
前記前処理後の初段圧力信号及び抽気熱供給流量信号に基づいて抽気熱供給流量とマッチングする負荷曲線を選択して蒸気タービンの負荷値を確定するステップと、
前記蒸気タービンの負荷値に基づいて、原子炉出力制御システムにより原子炉出力を調節するステップと、を含む。
【0008】
本発明の追加の態様及び利点は、以下の説明で部分的に提供され、一部は以下の説明から明らかになるか、又は、本開示の実施を通じて理解される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の態様及び利点は、以下の図面と併せた実施例の説明から明らかに理解しやすくなる。
【
図1】本発明の一実施例に係る原子力発電所用熱供給装置の制御システムの構造図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る原子力発電所用熱供給装置の制御システムの構造図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る原子力発電所用熱供給装置の制御システムにおけるコア演算処理モジュールの第1構造図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る原子力発電所用熱供給装置の制御システムにおけるコア演算処理モジュールの第2構造図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る原子力発電所用熱供給装置の制御システムにおけるコア演算処理モジュールの第3構造図である。
【
図6】本発明の一実施例に係る原子力発電所用熱供給装置の制御システムにおけるコアル演算モジュールの第4構造図である。
【
図7】本発明の一実施例に係る原子力発電所用熱供給装置の制御システムにおけるコア演算処理モジュールの第5構造図である。
【
図8】本発明の一実施例に係る原子力発電所用熱供給装置の制御システムにおけるコア演算処理モジュールの第6構造図である。
【
図9】本発明の一実施例に係る原子力発電所用熱供給装置の制御システムにおけるコア演算処理モジュールの第7構造図である。
【
図10】本発明の一実施例に係る原子力発電所用熱供給装置の制御システムの具体的な適用構造図である。
【
図11】本発明の一実施例に係る原子力発電所用熱供給装置の制御システムにおけるコア演算処理モジュールが熱供給装置における各弁の動作コマンドを生成する詳細な機能ブロック図である。
【
図12】本発明の一実施例に係る原子力発電所用熱供給装置の制御システムにおけるコア演算処理モジュールが蒸気タービンの負荷値を確定する詳細な機能ブロック図である。
【
図13】本発明の一実施例に係る原子力発電所の抽気熱供給ユニットの炉・タービン協調制御システムにおける非抽気熱供給稼働状況で対応する初段圧力と蒸気タービンの負荷との関係曲線図である。
【
図14】本発明の一実施例に係る原子力発電所の抽気熱供給ユニットの炉・タービン協調制御システムにおける500t/hの稼働状況で対応する初段圧力と蒸気タービンの負荷との関係曲線図である。
【
図15】本発明の一実施例に係る原子力発電所の抽気熱供給ユニットの炉・タービン協調制御システムにおける1000t/hの稼働状況で対応する初段圧力と蒸気タービンの負荷との関係曲線図である。
【
図16】本発明の一実施例に係る原子力発電所用熱供給装置の制御方法において各弁の動作コマンドを生成するフローチャートである。
【
図17】本発明の一実施例に係る原子力発電所用熱供給装置の制御方法において蒸気タービンの負荷値を確定するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を詳細に説明し、前記実施例は、図面に示され、図面において同一若しくは類似の参照符号は、同一若しくは類似の素子や機能を有する素子を示す。
添付の図面を参照しながら以下で説明される実施例は、本発明を説明することを意図しており、本発明を限定するものではない。
【0011】
本発明は、原子力発電所用熱供給装置の制御システム及び方法を提供し、前記システムは、初段圧力測定装置1、高圧吐出圧力測定装置2、抽気熱供給流量測定装置3、データ収集モジュール4、コア演算処理モジュール5、信号出力モジュール6及びマンマシンインタフェース処理モジュール7を備え、上記装置及びモジュールにより、抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12、蒸気タービンの高圧シリンダの吸気調節弁(GV)10及び蒸気タービンの低圧シリンダの吸気調節弁(ICV)11の動作コマンドを生成するか、又は、前記蒸気タービンの負荷値を確定し、その後、前記動作コマンド又は前記蒸気タービンの負荷値に基づいて現場機器を制御する。
本発明は、手動熱供給装置の制御方式を最適化改良し、抽気熱供給に関連するシステム機器のスマート化調節を実現し、システムの自動化の度合いを高め、人為的要因によるミスを減少させることができ、また、多種稼動制御曲線のバンプレス切り替えにより、熱供給稼動期間の蒸気タービンの負荷変化による一次回路パラメータに対する外乱を回避し、原子力発電ユニットの熱供給期間の稼動安全性、信頼性を向上させることができる。
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例の原子力発電所用熱供給装置の制御システム及び方法について説明する。
(実施例1)
【0013】
図1は、本発明の実施例に係る原子力発電所用熱供給装置の制御システムの構造図であり、前記制御システムは、初段圧力測定装置1、高圧吐出圧力測定装置2、抽気熱供給流量測定装置3、データ収集モジュール4、コア演算処理モジュール5及び信号出力モジュール6を備え、
前記初段圧力測定装置1は、蒸気タービンの初段圧力を測定して初段圧力信号を得るためのものであり、
前記高圧吐出圧力測定装置2は、蒸気タービンの高圧シリンダの排気圧力を測定して排気圧力信号を得るためのものであり、
前記抽気熱供給流量測定装置3は、抽気熱供給流量を測定して抽気熱供給流量信号を得るためのものであり、
前記データ収集モジュール4は、測定により得られた前記初段圧力信号、前記排気圧力信号及び前記抽気熱供給流量信号を収集し、収集した前記初段圧力信号、前記排気圧力信号及び前記抽気熱供給流量信号を前記コア演算処理モジュール5に送信するためのものであり、
前記コア演算処理モジュール5は、データ収集モジュール4からの前記初段圧力信号、前記排気圧力信号及び前記抽気熱供給流量信号を受信し、前記初段圧力信号、前記排気圧力信号及び前記抽気熱供給流量信号に基づいて熱供給装置における各弁の動作コマンドを生成するか、又は、受信した信号を利用して前記蒸気タービンの負荷値を確定し、前記動作コマンド又は蒸気タービンの負荷値を前記信号出力モジュール6に送信するためのものであり、
前記信号出力モジュール6は、前記コア演算処理モジュール5から前記動作コマンド又は蒸気タービンの負荷値を受信し、前記動作コマンド又は蒸気タービンの負荷値を現場機器に送信して制御するためのものである。
【0014】
図2に示すように、本発明の実施例である原子力発電所用熱供給装置の制御システムは、前記コア演算処理モジュール5と情報交換を行うためのマンマシンインタフェース処理モジュール7をさらに備え、
前記情報交換は、コア演算処理プロセスにおける手動操作コマンド、設定値(Setting value)入力、信号表示、警報処理及び機能切替(function switching)を含む。
【0015】
なお、前記初段圧力信号、前記排気圧力信号及び前記抽気熱供給流量信号に基づいて熱供給装置における各弁の動作コマンドを生成するか、又は、受信した信号を利用して前記蒸気タービンの負荷値を確定する前には、さらに、
受信した前記初段圧力信号、排気圧力信号及び抽気熱供給流量信号に対して前処理を行うことを含み、
ここで、この前処理は、複数のチャネルが収集した初段圧力信号、排気圧力信号及び抽気熱供給流量信号に対してそれぞれ2/3多数決冗長(two-out-of-three redundancy)処理を行い、前記収集信号に対応する測定範囲(range)が予め設定された測定範囲を超えるか否か及び前記収集信号の値が予め設定された信号閾値より大きいか否かを判断し、前記収集信号に対応する測定範囲が予め設定された測定範囲を超えた場合又は前記収集信号の値が予め設定された信号閾値より大きい場合、警報信号をマンマシンインタフェース処理モジュール7に送信することを含む。
【0016】
図3に示すように、本発明の実施例におけるコア演算処理モジュール5は、抽気流量設定値生成モジュール501、熱供給流量自動調節モジュール502及び手動/自動モジュール503を備え、
前記抽気流量設定値生成モジュール501は、熱供給ネットワークの負荷需要に応じて予め設定された流量設定値又は操作者がマンマシンインタフェースモジュールを介して提供した設定値を熱供給流量自動調節モジュール502に送信するためのものであり、
前記熱供給流量自動調節モジュール502は、前記抽気流量設定値生成モジュール501から送信された設定値を受信し、測定により得られた抽気熱供給流量と前記設定値との偏差を確定し、前記偏差に基づいてPID(比例/積分/微分)演算を行い、前記演算結果を手動/自動モジュール503に送信するためのものであり、
前記手動/自動モジュール503は、熱供給流量自動調節モジュール502から送信された演算結果を受信し、前記演算結果に基づいて熱供給装置における抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12を制御するためのものである。
【0017】
図4に示すように、本発明の実施例におけるコア演算処理モジュール5は、高圧吐出圧力設定値生成モジュール505及び高圧吐出圧力調節モジュール510をさらに備え、
前記高圧吐出圧力設定値生成モジュール505は、熱供給ネットワークの負荷需要に応じて予め設定された高圧吐出圧力設定値又は操作者がマンマシンインタフェースモジュールを介して提供した設定値を高圧吐出圧力調節モジュール510に送信するためのものであり、
前記高圧吐出圧力調節モジュール510は、測定により得られた蒸気タービンの高圧シリンダの排気圧力及び高圧吐出圧力設定値生成モジュール505から送信された排気圧力設定値を受信し、測定により得られた排気圧力と前記設定値との偏差を確定し、前記偏差に基づいてPID演算を行って演算結果を取得し、前記演算結果に基づいて蒸気タービンの低圧シリンダの吸気調節弁(ICV)11を制御するためのものである。
【0018】
図5に示すように、本発明の実施例における前記コア演算処理モジュール5は、第1の圧力比ローパス閾値モジュール506、第2の圧力比ローパス閾値モジュール507、オーバーライド機能トリガ条件モジュール508、オーバーライド処理モジュール509及びオーバーライド制御モジュール504をさらに備え、
前記第1の圧力比ローパス閾値モジュール506は、測定により得られた蒸気タービンの高圧シリンダの排気圧力と測定により得られた初段圧力信号との比を予め設定された第1の圧力比閾値と比較し、前記測定により得られた蒸気タービンの高圧シリンダの排気圧力と測定により得られた初段圧力信号との比が前記予め設定された第1の圧力比閾値より大きいと、抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12を閉鎖する信号を熱供給流量自動調節モジュール502に送信して、抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12の緩速閉鎖を実現するためのものであり、
前記第2の圧力比ローパス閾値モジュール507は、測定により得られた蒸気タービンの高圧シリンダの排気圧力と測定により得られた初段圧力信号との比を予め設定された第2の圧力比閾値と比較し、前記測定により得られた蒸気タービンの高圧シリンダの排気圧力と測定により得られた初段圧力信号との比が前記予め設定された第2の圧力比閾値より大きいと、抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12を閉鎖するための信号をオーバーライド処理モジュール509に送信して、抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12の快速閉鎖を実現するためのものである。
そして、前記オーバーライド処理モジュール509は、オーバーライド機能トリガ条件モジュール508から送信された信号を受信した時、オーバーライド制御モジュール504に制御コマンドを送信するためのものであり、ここで、前記オーバーライド機能トリガ条件は、熱供給退出(熱供給機ユニットの抽気量が定額の抽気量からゼロまで下降する過程)、タービントリップ、OPC動作を含む。
また、前記オーバーライド制御モジュール504は、抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12の入力端に設けられ、オーバーライド処理モジュール509から送信された制御コマンドを受信し、前記制御コマンドに基づいて抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12の快速閉鎖を制御するためのものである。
【0019】
なお、前記第1の圧力比ローパス閾値モジュール506と第2の圧力比ローパス閾値モジュール507とは、設定値が異なり、後者は前者より低く、危害もより深刻である。
第1の圧力比ローパス閾値モジュール506は、熱供給流量自動調節モジュール502に閉鎖信号を送信した後、抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12の緩速閉鎖動作が圧力比の継続的な低下を阻止しないと、第2の圧力比ローパス閾値モジュール507を引き続きトリガし、オーバーライド処理モジュール509及びオーバーライド制御モジュール504により抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12を快速に閉鎖するように保護する。
なお、第2の圧力比ローパス閾値モジュール507が動作する時、第1の圧力比ローパス閾値モジュール506も、圧力比値が閾値モジュール自体の設定値より大きいまで動作状態を保持する。
【0020】
図6に示すように、本発明の実施例における前記コア演算処理モジュール5は、フィードフォワードモジュール511をさらに備える。
そして、このフィードフォワードモジュール511は、測定により得られた抽気熱供給流量の変化に対して事前に反応して、蒸気タービンの低圧シリンダの吸気調節弁(ICV)11の応答を快速化するためのものである。
【0021】
図7に示すように、本発明の実施例における前記コア演算処理モジュール5は、熱供給流量負荷補償アルゴリズムモジュール512をさらに備える。
そして、この熱供給流量負荷補償アルゴリズムモジュール512は、電気負荷制御コマンドを計算して生成し、蒸気タービンの総負荷をそのまま保持する場合に、熱供給量を調整すると共にユニットの電気負荷を自動的に増減させることを実現するためのものであり、
ここで、熱供給流量負荷補償アルゴリズムモジュール512は、電気負荷の増減コマンドを出力し、信号出力モジュール6により蒸気タービンコントローラ8に送信して蒸気タービンの高圧シリンダの吸気調節弁(GV)10を動作させてユニットの電気負荷の調整を実現する。
【0022】
図8に示すように、本発明の実施例における前記コア演算処理モジュール5は、第1の曲線モジュール513、第2の曲線モジュール514、第3の曲線モジュール515、第1の切り替えモジュール516及び第2の切り替えモジュール517をさらに備える。
そして、この第1の曲線モジュール513には、予め得られた負荷曲線1が設定されており、前記第1の曲線モジュール513は、前記負荷曲線1に基づいて、測定により得られた初段圧力に対応する蒸気タービンの負荷値を確定するためのものであり、
前記第2の曲線モジュール514には、予め得られた負荷曲線2が設定されており、前記第2の曲線モジュール514は、前記負荷曲線2に基づいて、測定により得られた初段圧力に対応する蒸気タービンの負荷値を確定するためのものであり、
前記第3の曲線モジュール515には、予め得られた負荷曲線3が設定されており、前記第3の曲線モジュール515は、前記負荷曲線3に基づいて、測定により得られた初段圧力に対応する蒸気タービンの負荷値を確定するためのものであり、
前記第1の切り替えモジュール516は、切り替え信号を受信して、予め得られた負荷曲線1と予め得られた負荷曲線2との切り替えを行うためのものであり、
前記第2の切り替えモジュール517は、切り替え信号を受信して、予め得られた負荷曲線2と予め得られた負荷曲線3との切り替えを行うためのものである。
ここで、前記負荷曲線の数は、抽気熱供給流量の稼働状況の種類に応じて決定され、予め得られた曲線1、曲線2及び曲線3は、いずれも原子炉の電力を横座標とし、初段圧力を縦座標として作成される。
【0023】
なお、前記第1の切り替えモジュール516及び第2の切り替えモジュール517は、さらに切り替え前後の負荷曲線の相互自動追跡を実現するために用いられ、
前記流量閾値モジュールの数は、切り替えモジュールの数と一致し、
ここで、前記流量閾値モジュールの数は、抽気熱供給流量の稼働状況の種類に応じて決定される。
【0024】
図9に示すように、本発明の実施例における前記コア演算処理モジュール5は、第1の流量閾値モジュール518、第2の流量閾値モジュール519及び熱供給投入/退出コマンド処理モジュール520をさらに備え、
前記第1の流量閾値モジュール518は、測定により得られた抽気熱供給流量の大きさと第1の流量閾値モジュール518における予め設定された閾値とを比較し、前記測定により得られた抽気熱供給流量が前記予め設定された閾値より大きいと、負荷曲線1から負荷曲線2へ切り替えるコマンドを第1の切り替えモジュール516に送信するためのものであり、
前記第2の流量閾値モジュール519は、測定により得られた抽気熱供給流量の大きさと第2の流量閾値モジュール519における予め設定された閾値とを比較し、前記測定により得られた抽気熱供給流量が前記予め設定された閾値より大きいと、負荷曲線2から負荷曲線3へ切り替えるコマンドを第2の切り替えモジュール517に送信するためのものであり、
前記熱供給投入/退出コマンド処理モジュール520は、操作者からの熱供給投入/退出コマンドに応じて、熱供給装置が熱供給投入条件を満たすか否かを判断し、その条件を満たすと、熱供給オンコマンドを送信するためのものである。
【0025】
要すると、本発明の実施例に係る制御システムは、手動熱供給装置の制御方式を最適化改良し、抽気熱供給に関連するシステム機器のスマート化調節を実現し、自動化の度合いを高めることができ、また、多種稼動制御曲線のバンプレス切り替えにより、熱供給稼動期間の原子炉の一次回路パラメータの外乱を回避し、原子力発電ユニットの熱供給期間の稼動安全性、信頼性を向上させることができる。
(実施例2)
【0026】
上記実施例1に係る制御システムに基づいて、本実施例は、熱供給装置における抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12、蒸気タービンの高圧シリンダの吸気調節弁(GV)10及び蒸気タービンの低圧シリンダの吸気調節弁(ICV)11に対する制御プロセスを示す。
そして、
図10に示すように、前記制御プロセスは、まず、初段圧力測定装置1により蒸気タービンの初段圧力を測定し、高圧吐出圧力測定装置2により蒸気タービンの高圧シリンダの排気圧力を測定し、抽気熱供給流量測定装置3により抽気熱供給流量を測定し、次に、データ収集モジュール4を利用して測定により得られたデータを収集してコア演算処理モジュール5に送信し、続いて、前記コア演算処理モジュール5が前記データ収集モジュール4から送信された信号を受信し、そして、前記コア演算処理モジュール5が受信した信号を利用して抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12、蒸気タービンの高圧シリンダの吸気調節弁(GV)10及び蒸気タービンの低圧シリンダの吸気調節弁(ICV)11の動作コマンドを生成して、この動作コマンドを信号出力モジュール6に送信し、前記信号出力モジュール6が前記抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12の動作コマンドを抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12に送信して弁の制御を行うことを含む。
そして、前記制御プロセスは、前記マンマシンインタフェース処理モジュール7がコア演算処理モジュール5から送信された処理後の信号及び動作コマンドを生成するプロセスにおける情報を受信して表示し、前記信号出力モジュール6がコア演算処理モジュール5から送信された動作コマンドを受信し、前記動作コマンドを蒸気タービンコントローラ8に送信して電気負荷の自動増減を制御して、熱-電気の連動を実現し、又は、受信した信号を利用して前記蒸気タービンの負荷値を確定して、蒸気タービンの負荷値を信号出力モジュール6に送信し、前記信号出力モジュール6が前記信号を原子炉電力制御システム14に送信し、前記原子炉電力制御システム14が受信した信号に基づいて原子炉15の熱出力を制御し、続いて、原子炉15の一次回路冷却剤が原子炉系(Nuclear Island)蒸気発生器9を加熱して蒸気を生成し、主蒸気が蒸気タービンの高圧シリンダの吸気調節弁(GV)10を経由して蒸気タービンの高圧シリンダに進入し、さらに、蒸気タービンの低圧シリンダの吸気調節弁(ICV)11を経由して低圧シリンダに進入し、高、低圧シリンダの作業により発電機を駆動して電力を生成させ、高圧シリンダの排気の一部が抽気ダクト及び抽気ファストクロージング調節弁12を通じて熱供給ネットワークヒータ13に直接進入し、熱供給ネットワークヒータ13がその内部に進入された熱供給循環水を加熱し、最終的に循環水を加熱することにより外部への熱供給を実現することをさらに含む。
【0027】
本発明の実施例における前記コア演算処理モジュール5は、前記データ収集モジュール4から送信された信号を受信し、この信号を利用して抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12、蒸気タービンの高圧シリンダの吸気調節弁(GV)10及び蒸気タービンの低圧シリンダの吸気調節弁(ICV)11の動作コマンドを生成するために用いられる。
図11は、コア演算処理モジュール5の内部の詳細な機能ブロック図であり、モジュール5とモジュール4、6、7との間の詳細な関係を説明する。
図11を参照すると、前記モジュール5は、肝要な演算処理タスクを担当し、具体的には、抽気流量設定値生成モジュール501において熱供給ネットワークヒータ13の負荷需要に応じて予め設定された流量設定値又は操作者がマンマシンインタフェースモジュール7を介して提供した流量設定値を抽気流量設定値生成モジュール501に入力し、その後、抽気流量設定値生成モジュール501は、前記流量設定値を熱供給流量自動調節モジュール502に送信すると共に、データ収集モジュール4からの抽気熱供給流量信号を熱供給流量自動調節モジュール502に入力し、熱供給流量自動調節モジュール502は、実際の熱供給流量と501から入力された設定値との偏差を比較し、偏差に基づいてPID(比例/積分/微分)演算を行い、その結果をFCV弁の動作コマンドとして弁の開閉を制御して、熱供給蒸気流量を調節する。
ここで、FCV弁位置コマンドの伝送途中にさらに手動/自動モジュール503及びオーバーライド制御モジュール504を経由する必要があり、手動/自動モジュール503は、調節回路の手動/自動切り替え機能を実現し、自動時には、装置が自動調節モジュール502のコマンドを出力し、手動時には、操作者がマンマシンインタフェースを介してFCVの弁位置を設定することで、弁の手動制御を実現することができる。
【0028】
さらに、
図11に示すように、オーバーライド処理モジュール509がオーバーライド機能トリガ条件モジュール508から送信された信号を受信したとき、前記オーバーライド処理モジュール509は、オーバーライド制御モジュール504に制御コマンドを送信し、前記オーバーライド制御モジュール504は、オーバーライド処理モジュール509から送信された制御コマンドを受信し、受信した制御コマンドを信号出力モジュール6に送信し、信号出力モジュール6は、前記制御コマンドを受信し、前記制御コマンドを抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12に送信して抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12を制御する。
ここで、前記オーバーライド機能トリガ条件は、熱供給退出、タービントリップ、OPC動作を含む。
【0029】
また、
図11に示すように、前記モジュール505を利用して高圧吐出圧力設定値を確定し、前記高圧吐出圧力設定値を高圧吐出圧力調節モジュール510に送信し、高圧吐出圧力調節モジュール510は、前記設定値と測定により得られた蒸気タービンの高圧シリンダの排気圧力との偏差を確定し、前記偏差に基づいてPID演算を行い、その結果を出力して蒸気タービンの低圧シリンダの吸気調節弁(ICV)11の開度を制御することにより、高圧吐出圧力が設定値の要件に合致するようにする。
具体的には、高圧吐出圧力調節モジュール510の制御コマンドの出力とフィードフォワード処理モジュール511の出力とを加算した総合コマンドを信号出力モジュール6に送信し、信号出力モジュール6により蒸気タービンコントローラ8に送信して、蒸気タービンの低圧シリンダの吸気調節弁(ICV)11の開度を制御する。
ここで、前記高圧吐出圧力設定値モジュール505は、主に、初段圧力(蒸気タービンの負荷を表す)と高圧吐出圧力との対応関係又はマンマシンインタフェース処理モジュール7からの操作者の設定に基づいて、高圧吐出圧力設定値を確定する。
【0030】
なお、ICVの頻繁な動作は、蒸気タービンの負荷の外乱及び弁機械部分の摩耗をもたらすことができるため、高圧吐出圧力の調整について、所定の不感帯を予め設定することを考慮する必要があり、具体的な不感帯の大きさは工事の実際状況に応じて決定され、現場試験により修正される。
【0031】
なお、
図11に示すように、高圧吐出圧力は、原子力蒸気タービンの稼動、特に最終段の羽根の安全に対して非常に肝要であり、本発明は、正常的な調節制御を考慮する以外、追加の保護回路を設計した。
FCVの抽気流量の調節変化の速すぎにより高圧吐出圧力の変動を引き起こすことを防止するために、フィードフォワード処理モジュール511を追加してICVの応答を快速化し、また、圧力比保護回路も考慮し、すなわち、第1の圧力比ローパス閾値モジュール506及び第2の圧力比ローパス閾値モジュール507によりFCVの閉鎖を実現して、稼働状況のさらなる悪化を回避し、具体的には、前述した測定により得られた蒸気タービンの高圧シリンダの排気圧力と測定により得られた初段圧力信号との比が前記予め設定された第1の圧力比閾値より大きいと、前記第1の圧力比ローパス閾値モジュール506は、熱供給流量自動調節モジュール502に抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12を閉鎖する信号を信号出力モジュール6に送信し、信号出力モジュール6は、抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12を閉鎖する信号を受信し、受信した信号を抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12に送信して、抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12の閉鎖を実現し、前述した測定により得られた蒸気タービンの高圧シリンダの排気圧力と測定により得られた初段圧力信号との比が前記予め設定された第2の圧力比閾値より大きいと、前記第2の圧力比ローパス閾値モジュール507は、オーバーライド処理モジュール509に抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12を閉鎖する信号を送信して、抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12の閉鎖を実現する。
【0032】
なお、
図11に示すように、前記抽気流量の変化時に、熱供給流量負荷補償アルゴリズムモジュール512により自動的に増減する必要があるユニットの電気負荷値を算出し、信号出力モジュール6を介して蒸気タービンコントローラ8に送信して自動的に電気負荷を増減させて蒸気タービンの高圧シリンダの吸気調節弁(GV)10を制御して、熱-電気の連動を実現する。
【0033】
本発明の実施例では、上記実施例1に係る制御システムに基づき、熱供給装置において蒸気タービンの負荷値を確定して現場機器を制御するプロセスを示し、
図12に示すように、以下のことを含む。
まず、初段圧力測定装置1により蒸気タービンの初段圧力を測定し、抽気熱供給流量測定装置3により抽気熱供給流量を測定し、続いて、データ収集モジュール4を利用して前記初段圧力、抽気熱供給流量を収集し、収集した信号をコア演算処理モジュール5に送信し、さらに、前記コア演算処理モジュール5がデータ収集モジュール4から送信された初段圧力信号、蒸気タービンの高圧シリンダの排気圧力及び抽気熱供給流量信号を受信し、受信した前記信号を利用して蒸気タービンの負荷値を確定し、前記負荷値をマンマシンインタフェース処理モジュール7及び信号出力モジュール6に送信し、そして、前記マンマシンインタフェース処理モジュール7がコア演算処理モジュール5から送信された負荷値を受信して表示し、前記信号出力モジュール6がコア演算処理モジュール5から送信された蒸気タービンの負荷値を受信して前記蒸気タービンの負荷値を原子炉出力制御システム14に送信し、最後に、原子炉出力制御システム14が前記負荷値に基づいて原子炉15の冷却剤を制御して蒸気発生器9に進入させ、蒸気発生器が原子力発電所の一次回路と二次回路との接続橋梁(蒸気発生器の伝熱管側が原子炉系の冷却剤を収容する一次回路であり、他側がタービン発電機系(Conventional Island)の冷却水の二次回路である)であり、原子炉系の冷却剤が蒸気発生器において二次回路の水を加熱すると共に一次回路から熱を奪って原子炉炉心を冷却し、二次回路の水が蒸気発生器内で加熱された後に蒸気発生器の出口で主蒸気を生成し、主蒸気が蒸気タービンユニットの高圧シリンダに進入し、高圧シリンダの作業により発電機を駆動して電力を生成させ、高圧シリンダの排気の一部が抽気ダクト及びシャットダウン調整弁12を通過した後に熱供給ネットワークヒータ13に直接進入し、熱供給ネットワークヒータ13がその内部に進入した熱供給循環水を加熱し、最終的に循環水を加熱することにより外部への熱供給を実現する。
【0034】
本発明の実施例における前記コア演算処理モジュール5は、データ収集モジュール4から送信された初段圧力信号及び抽気熱供給流量信号を受信し、受信した前記信号を利用して蒸気タービンの負荷値を確定するために用いられ、
図12に示すようなことを含む。
図12は、コア演算処理モジュール5内部の詳細な機能ブロック図であり、モジュール5とモジュール4、7との詳細な関係を説明する。
図12を参照すると、モジュール5は、肝要な演算処理タスクを担当し、データ収集モジュール4からの蒸気タービンの初段圧力信号は、同時に第1の曲線モジュール513、第2の曲線モジュール514、第3の曲線モジュール515に送信され、そのうち、第1の曲線モジュール513には、非抽気熱供給曲線(すなわち、曲線1)が設定されており、第2の曲線モジュール514には、曲線2が設定されており、第3の曲線モジュール515には、曲線3が設定されている。
なお、本実施例に係る3本の曲線において、そのうち1本の曲線は、非抽気熱供給曲線(非抽気熱供給稼働状況での初段圧力と蒸気タービンの負荷との関係曲線)を表し、他の2本の曲線は、それぞれ2種類の抽気流量稼働状況(例えば、500t/h及び1000t/h)で対応する初段圧力と蒸気タービンの負荷との関係曲線を表し、抽気流量稼働状況の選択は、最大抽気量及び負荷曲線偏差の影響を総合的に考慮して算出して確定する必要がある。
曲線の入力端は、蒸気タービンの初段圧力であり、出力は、曲線に基づいて線形変換された蒸気タービンの負荷値である。
【0035】
さらに、
図12に示すように、非抽気熱供給曲線(即ち、曲線1)の切り替え選択は、第1の切り替えモジュール516により達成され、第1の入力ポート441及び第2の入力ポート442は、それぞれ第1の切り替えモジュール516の2つの入力(それぞれ2つの曲線からの出力)を表し、第1の制御ポート443は、第1の切り替えモジュール516の制御端であり、第1の制御ポート443が論理「0」であるとき、第1の切り替えモジュール516は、非抽気熱供給曲線の負荷値を出力し、第1の制御ポート443が論理「1」であるとき、第1の切り替えモジュール516は、第2の曲線モジュール514の曲線の負荷値を出力し、第1の入力ポート441と第2の入力ポート442が互いに切り替えるプロセスにおける妨害を回避するために、第1の切り替えモジュール516は、2つの入力端のデータの相互追跡を実現して、切り替えプロセスにおけるバンプレスを確保することができる。
例えば、第1の切り替えモジュール516が第1の入力ポート441で稼動する時、第2の入力ポート442が第1の入力ポート441の値を自動的に追跡し、第1の切り替えモジュール516が、第1の制御ポート443が論理「1」であることを検出すると、第1の入力ポート441から第2の入力ポート442に迅速に切り替えて稼動し、第2の入力ポート442が第1の入力ポート441の値を始終追跡するため、切り替える瞬間での第1の切り替えモジュール516の出力は変化せず、切り替えた後にその出力が予め設定されたレート(例えば、5%/min、具体的には工事の実際状況に応じて決定される)で第1の入力ポート441の値から第2の入力ポート442に徐々に変化し、その逆も、同様である。
【0036】
さらに、
図12に示すように、第2の切り替えモジュール517の動作原理は、第1の切り替えモジュール516と同じであり、第2の切り替えモジュール517は、システムが曲線2で動作するか曲線3で動作するかを選択するために用いられる。
第1の切り替えモジュール516及び第2の切り替えモジュール517の切り替えコマンドは、それぞれ第1の流量閾値モジュール518及び第2の流量閾値モジュール519からのものであり、切り替えコマンドの生成原理を以下のように例を挙げて説明する。
【0037】
3本の曲線は、それぞれ非抽気熱供給稼働状況、抽気量500t/h及び1000t/hという3種類の稼働状況に対応する初段圧力と蒸気タービンの負荷との関係曲線であると仮定し、
図13、
図14及び
図15に示すように、この時の第1の流量閾値モジュール518の設定値が250t/h超で動作し、第2の流量閾値モジュール519の設定値が750t/h超で動作すると仮定すると、動作プロセスの実例は、以下のとおりである。
ユニットが抽気熱供給に投入する時、まず、操作者がマンマシンインタフェースモジュール7を介して熱供給投入/退出コマンドを発し、当該熱供給コマンドが熱供給投入/退出コマンド処理モジュール520に進入されてさらに計算処理され、熱供給投入の条件を満たす(準備完了)と、熱供給投入/退出コマンド処理モジュール520は、「1」を出力し、熱供給投入を表す。
抽気熱供給流量が250t/hより低い場合、第1の流量閾値モジュール518及び第2の流量閾値モジュール519は、いずれも動作せず、第1の制御ポート443及び第2の制御ポート453の値は、いずれも「0」であり、第1の切り替えモジュール516及び第2の切り替えモジュール517にそれぞれ第1の入力ポート441及び第3の入力ポート451の値を出力させる。
このようにして、非抽気熱供給曲線の蒸気タービンの負荷値が出力され、抽気熱供給流量が250t/h超でありかつ750t/h未満であるとき、第1の流量閾値モジュール518が動作して「1」を出力し、この時の熱供給投入/退出コマンド処理モジュール520の出力も「1」であり、第2の流量閾値モジュール519は、「NOT」演算を行った後にも「1」であるため、第1の流量閾値モジュール518の後の「AND」論理ゲートは「1」を出力し、このように第1の切り替えモジュール516に対応する第1の制御ポート443は、「1」であり、第1の切り替えモジュール516を第1の入力ポート441から第2の入力ポート442に切り替えさせ、すなわち、非抽気熱供給曲線から500t/hの曲線へ切り替えて稼動させる。
同様に、抽気熱供給流量が750t/hを超えた場合、第2の流量閾値モジュール519が動作して「1」を出力し、この時の熱供給投入/退出コマンド処理モジュール520の出力も「1」であるため、第2の流量閾値モジュール519の後の「AND」論理ゲートは「1」を出力し、このように第2の切り替えモジュール517に対応する第2の制御ポート453は、「1」であり、第2の切り替えモジュール517の出力を第3の入力ポート451から第4の入力ポート452に切り替えさせ、500t/hの曲線から1000t/hの曲線へ切り替えて稼動させる。
当該スマート装置は、異なる抽気熱供給量に応じて、負荷マッチング曲線の選択を自動的に完了することができる他に、マンマシンインタフェースに現在システムがどの曲線で稼動するかをリアルタイムに表示することができ、操作者が監視しやすい。
【0038】
要すると、本発明の実施例に係る制御システムは、抽気熱供給に関連するシステム機器、高圧シリンダの排気圧力及び蒸気タービンの電気負荷などに対するスマート化調節を実現し、人為的要因によるミスの確率を低減させ、自動化程度及び機器の操作信頼性、安全性を向上させ、また、システムの調節方式は柔軟であり、応答が速く、熱供給ユニットの稼動をより安全的、効率的、経済的にし、また、本実施例に係る制御システムも、元の単一曲線によるシステム稼動パラメータの誤差を大幅に低減させ、原子力発電ユニットの熱供給期間の原子炉系のシステム稼動安定性を向上させる。
また、多種稼動制御曲線のバンプレス切り替えにより、熱供給負荷変化期間の原子炉の一次回路パラメータの外乱を回避し、原子力発電ユニットの熱供給期間の稼動安全性、信頼性を向上させる。
(実施例3)
【0039】
図16に示すように、実施例2に係るシステムに対応する熱供給装置における抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12、蒸気タービンの高圧シリンダの吸気調節弁(GV)10及び蒸気タービンの低圧シリンダの吸気調節弁(ICV)11を制御する方法は、
測定により得られた蒸気タービンの初段圧力信号、蒸気タービンの高圧シリンダの排気圧力信号及び抽気熱供給流量信号、並びに熱供給ネットワークの負荷需要に対応する抽気熱供給流量設定値及び高圧吐出圧力設定値を取得するステップ1と、
前記抽気熱供給流量設定値及び前記抽気熱供給流量信号を利用して前記抽気熱供給流量信号と前記抽気熱供給流量設定値との偏差を確定し、前記高圧吐出圧力設定値及び前記蒸気タービンの高圧シリンダの排気圧力信号を利用して前記排気圧力信号と前記高圧吐出圧力設定値との偏差を確定するステップ2と、
前記偏差及び抽気熱供給流量信号に基づいて抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12、蒸気タービンの低圧シリンダの吸気調節弁(ICV)11及び蒸気タービンの高圧シリンダの吸気調節弁(GV)10をそれぞれ制御するステップ3と、を含む。
【0040】
本発明の実施例では、前記偏差及び抽気熱供給流量信号に基づいて抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12、蒸気タービンの低圧シリンダの吸気調節弁(ICV)11及び蒸気タービンの高圧シリンダの吸気調節弁(GV)10をそれぞれ制御するステップは、
前記抽気熱供給流量信号と前記抽気熱供給流量設定値との偏差に基づいて抽気ファストクロージング調節弁(FCV)12を制御するステップと、
前記排気圧力信号と前記高圧吐出圧力設定値との偏差に基づいて蒸気タービンの低圧シリンダの吸気調節弁(ICV)11を制御するステップと、
抽気熱供給流量信号に基づいて自動的に増減する必要があるユニットの電気負荷値を確定して蒸気タービンの高圧シリンダの吸気調節弁(GV)10を制御するステップと、を含む。
【0041】
要すると、本発明の実施例に係る制御方法は、抽気熱供給に関連するシステム機器、高圧シリンダの排気圧力及び蒸気タービンの電気負荷などに対するスマート化調節を実現し、手動操作の人為的要因によるミスの確率を低減させ、自動化程度及び機器の操作信頼性、安全性を向上させ、また、システムの調節方式は柔軟で、応答が速く、熱供給ユニットの稼動をより安全的、効率的、経済的にする。
(実施例4)
【0042】
図17に示すように、実施例2に係るシステムに対応する熱供給装置における蒸気タービンの負荷を制御する方法は、
データ収集モジュール4を利用して前記初段圧力信号及び前記抽気熱供給流量信号を収集し、収集した前記初段圧力信号及び前記抽気熱供給流量信号に対して前処理を行うステップB1と、
前記前処理後の初段圧力信号及び抽気熱供給流量信号に基づいて抽気熱供給流量とマッチングする負荷曲線を選択して蒸気タービンの負荷値を確定するステップB2と、
前記蒸気タービンの負荷値に基づいて原子炉の一次回路の出力を調節するステップB3と、を含む。
【0043】
本発明の実施例では、収集した前処理後の蒸気タービンの初段圧力信号及び抽気熱供給流量信号に基づいて抽気熱供給流量とマッチングする負荷曲線を選択して蒸気タービンの負荷値を確定する前記ステップは、
予め設定された抽気熱供給流量閾値と収集した抽気熱供給流量信号の大きさに基づいて閾値モジュールから出力された切り替えコマンドを確定するステップと、
前記切り替えコマンドに基づいて抽気熱供給流量とマッチングする負荷曲線を選択して初段圧力信号に対応する蒸気タービンの負荷値を確定するステップと、を含む。
【0044】
本発明の実施例では、前記負荷曲線は、抽気熱供給流量の稼働状況に応じて決定される。
【0045】
要すると、本実施例に係る制御方法は、システム稼動パラメータの誤差を低減させ、原子力発電ユニットの熱供給期間の原子炉系のシステム稼動安定性を向上させ、また、多種稼動制御曲線のバンプレス切り替えにより、熱供給負荷変化期間の原子炉の一次回路パラメータの外乱を回避し、原子力発電ユニットの熱供給期間の稼動安全性、信頼性を向上させる。
【0046】
本明細書の説明において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体的な例」、又は「いくつかの例」などの用語を参照する説明は、当該実施例や例に合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施例や例に含まれることを意味する。
本明細書では、上記の用語に対する概略的な説明は、必ずしも同じ実施例や例を指すとは限らない。
また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、いずれか1つ又は複数の実施例や例において適切な方式で組み合わせることができる。
さらに、当業者は、互いに矛盾することなく、本明細書に記載されている異なる実施例や例及び異なる実施例や例の特徴に対して結び合わせと組み合わせを行うことができる。
【0047】
フローチャート又はここで他の方式で説明された任意のプロセス又は方法の説明は、1つ又は複数の特定の論理機能又はプロセスのステップを実現するための実行可能なコマンドのコードを含むモジュール、断片又は部分を示し、且つ、本発明の実施形態の範囲は、別の実現を含み、ここで示された又は議論された順序に従わず、係る機能に応じて基本的に同時の方式又は逆の順序で、機能を実行することを含む。
【0048】
以上、本発明の実施例を説明したが、上記の実施例は、本発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で、上記の実施例に対して変更、修正、置換及び変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0049】
1 初段圧力測定装置
2 高圧吐出圧力測定装置
3 抽気熱供給流量測定装置
4 データ収集モジュール
5 コア演算処理モジュール
6 信号出力モジュール
7 マンマシンインタフェース処理モジュール
8 蒸気タービンコントローラ
9 原子炉系蒸気発生器
10 蒸気タービンの高圧シリンダの吸気調節弁(GV)
11 蒸気タービンの低圧シリンダの吸気調節弁(ICV)
12 抽気ファストクロージング調節弁(FCV)
13 熱供給ネットワークヒータ
14 原子炉電力制御システム
15 原子炉
501 抽気流量設定値生成モジュール
502 熱供給流量自動調節モジュール
503 手動/自動モジュール
504 オーバーライド制御モジュール
505 高圧吐出圧力設定値生成モジュール
506 第1の圧力比ローパス閾値モジュール
507 第2の圧力比ローパス閾値モジュール
508 オーバーライド機能トリガ条件モジュール
509 オーバーライド処理モジュール
510 高圧吐出圧力調節モジュール
511 フィードフォワードモジュール
512 熱供給流量負荷補償アルゴリズムモジュール
513 第1の曲線モジュール
514 第2の曲線モジュール
515 第3の曲線モジュール
516 第1の切り替えモジュール
517 第2の切り替えモジュール
518 第1の流量閾値モジュール
519 第2の流量閾値モジュール
520 熱供給オン/オフコマンド処理モジュール
441 第1の入力ポート
442 第2の入力ポート
443 第1の制御ポート
451 第3の入力ポート
452 第4の入力ポート
453 第2の制御ポート