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特許7665108情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-10
(45)【発行日】2025-04-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/617 20240101AFI20250411BHJP
【FI】
G05D1/617
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2024562923
(86)(22)【出願日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 JP2024022175
【審査請求日】2024-10-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】赤穂 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏平
(72)【発明者】
【氏名】河合 克哉
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-140233(JP,A)
【文献】特開2008-246665(JP,A)
【文献】特開2023-104601(JP,A)
【文献】特開2011-204181(JP,A)
【文献】特許第7397228(JP,B1)
【文献】特開2023-023966(JP,A)
【文献】特開2002-006784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00- 1/87
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体が動作する際の前記移動体の存在感を示す影響度を推定する推定部と、
前記影響度に基づいて、前記移動体および前記移動体の周辺の周辺機器のうち少なくとも一方である制御対象装置を制御する制御処理部と、
を備え、
前記影響度は、前記移動体が動作する際に周囲に与える影響の度合いを示す第1の影響度と、人および物のうちの少なくとも一方である推定対象物が前記移動体から受ける影響の度合いを示す第2の影響度と、を含み
前記制御処理部は、前記第1の影響度および前記第2の影響度に基づいて、前記制御対象装置を制御し、
前記推定部は、
前記第1の影響度を推定する第1の推定部と、
前記第2の影響度を推定する第2の推定部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の推定部は、
情報記憶部に記憶された前記第1の影響度を読み出すことで、前記第1の影響度を推定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2の推定部は、
情報記憶部に記憶された前記第2の影響度を読み出すことで、前記第2の影響度を推定することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記推定部は、人および物のうちの少なくとも一方である推定対象物の属性を示す属性情報に基づいて、前記推定対象物が前記移動体から受ける前記影響度を推定し、
前記制御処理部は、前記推定部の推定結果に基づいて、前記移動体および前記移動体の周辺の周辺機器のうち少なくとも一方である制御対象装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御処理部は、さらに前記移動体の周辺の状況を示す周辺情報に基づいて、前記制御対象装置を制御することを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記周辺情報は、前記移動体の周囲を撮影することにより得られた画像情報と、前記推定対象物である人の生体情報と、前記移動体の周囲の音を示す音情報とのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御処理部は、さらに前記移動体の存在する施設の種類を示す施設情報と前記施設における設備に関する設備情報とのうちの少なくとも一方に基づいて、前記制御対象装置を制御することを特徴とする請求項からのいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御処理部は、さらに前記属性情報を用いて、前記制御対象装置を制御することを特徴とする請求項からのいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記周辺機器は、ディスプレイを含み、
前記制御処理部は、前記推定部の推定結果に基づいて、前記影響度を低下させると判断した場合に、前記ディスプレイに画像を表示させることを特徴とする請求項からのいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記制御処理部は、前記移動体と人との接触により不安全となる状況が予測される場合に、前記影響度を上げるよう前記制御対象装置を制御することを特徴とする請求項からのいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記制御処理部は、前記移動体の周囲を撮影することにより得られた画像情報に基づいて人がよそ見をしていると判断した場合に、前記影響度を上げるよう前記制御対象装置を制御することを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記画像は、前記属性情報に基づいて決定されることを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記推定部の推定結果を分布図として示す表示情報を生成し、前記表示情報を表示装置へ出力する表示情報生成部、
を備えることを特徴とする請求項1、2、4から6のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項14】
記表示情報生成部は、前記第1の影響度および前記第2の影響度に基づいて、前記表示情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記第1の推定部は、前記移動体の移動方向および前記移動体の存在する施設における設備に関する設備情報のうち少なくとも一方に基づいて前記第1の影響度を推定することを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記第1の推定部は、前記移動体の色、大きさおよび動作モードのうちの少なくとも1つに基づいて前記第1の影響度を推定することを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記設備情報は、前記施設における、壁の位置および形状と、道路の位置および形状とのうちの少なくとも一方を示す情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記第2の推定部は、前記推定対象物の属性を示す属性情報に基づいて前記第2の影響度を推定することを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項19】
移動体が動作する際の前記移動体の存在感を示す影響度を推定する推定部と、
前記推定部の推定結果を分布図として示す表示情報を生成し、前記表示情報を表示装置へ出力する表示情報生成部と、
を備え、
前記影響度は、前記移動体が動作する際に周囲に与える影響の度合いを示す第1の影響度と、人および物のうちの少なくとも一方である推定対象物が前記移動体から受ける影響の度合いを示す第2の影響度と、を含み
前記表示情報生成部は、前記第1の影響度および前記第2の影響度に基づいて、前記表示情報を生成し、
前記推定部は、
前記第1の影響度を推定する第1の推定部と、
前記第2の影響度を推定する第2の推定部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項20】
情報処理装置における情報処理方法であって、
移動体が動作する際の前記移動体の存在感を示す影響度を推定する推定ステップと、
前記影響度に基づいて、前記移動体および前記移動体の周辺の周辺機器のうち少なくとも一方である制御対象装置を制御する制御ステップと、
を含み、
前記影響度は、前記移動体が動作する際に周囲に与える影響の度合いを示す第1の影響度と、人および物のうちの少なくとも一方である推定対象物が前記移動体から受ける影響の度合いを示す第2の影響度と、を含み、
前記推定ステップでは、前記第1の影響度および前記第2の影響度推定され、
前記制御ステップでは、前記第1の影響度および前記第2の影響度に基づいて、前記制御対象装置が制御されることを特徴とする情報処理方法。
【請求項21】
コンピュータシステムに、
移動体が動作する際の前記移動体の存在感を示す影響度を推定する推定ステップと、
前記影響度に基づいて、前記移動体および前記移動体の周辺の周辺機器のうち少なくとも一方である制御対象装置を制御する制御ステップと、
を実行させ、
前記影響度は、前記移動体が動作する際に周囲に与える影響の度合いを示す第1の影響度と、人および物のうちの少なくとも一方である推定対象物が前記移動体から受ける影響の度合いを示す第2の影響度と、を含み、
前記推定ステップでは、前記第1の影響度および前記第2の影響度推定され、
前記制御ステップでは、前記第1の影響度および前記第2の影響度に基づいて、前記制御対象装置が制御されることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な場面でロボットをはじめとした移動体の導入が進んでいる。今後、移動体と人との協働および共生が進み、人にとって移動体が身近に存在するようになると予想される。このため、移動体の存在を考慮した様々な検討が必要となる。特許文献1には、移動ロボットが狭い通路を通行する際、作業者または他の移動ロボットの通行の妨げにならないような特定位置で移動ロボットを待機させる技術が開示されている。特許文献1に記載の技術によれば、移動ロボットが作業者の通行の妨げとなることを避けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2023-009850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人と移動体とが共生する際に、移動体の存在感が強すぎると人にとってストレスになることもあり、逆に、移動体が人を支援する場面で移動体の存在感がないと移動体が適切に人を支援できないこともある。したがって、状況に応じて移動体を適切に制御するために、まずは移動体の存在感を把握することが望まれるが、特許文献1に記載の技術には、移動体の存在感を把握することに関しては開示されていない。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、移動体の存在感を把握することができる情報処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる情報処理装置は、移動体が動作する際の移動体の存在感を示す影響度を推定する推定部と、影響度に基づいて、移動体および移動体の周辺の周辺機器のうち少なくとも一方である制御対象装置を制御する制御処理部と、を備え、影響度は、移動体が動作する際に周囲に与える影響の度合いを示す第1の影響度と、人および物のうちの少なくとも一方である推定対象物が移動体から受ける影響の度合いを示す第2の影響度と、を含み、制御処理部は、第1の影響度および第2の影響度に基づいて、制御対象装置を制御し、推定部は、第1の影響度を推定する第1の推定部と、第2の影響度を推定する第2の推定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示にかかる情報処理装置は、移動体の存在感を把握することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1にかかる情報処理システムの構成例を示す図
図2】実施の形態1の情報処理装置における処理手順の一例を示すフローチャート
図3】実施の形態1における実験により取得されるデータの一例を示す図
図4】実施の形態1における実験により取得されるデータの別の一例を示す図
図5】機械学習が用いられる場合の実施の形態1の第1の推定部の構成例を示す図
図6】実施の形態1の、施設情報に応じた目標影響度の一例を示す図
図7】実施の形態1の、人の行動に応じた目標影響度の一例を示す図
図8】実施の形態1の、人の位置の変化の一例を示す図
図9】実施の形態1の、人の位置に応じた目標影響度の一例を示す図
図10】実施の形態1の、複数の人の行動の一例を示す図
図11】実施の形態1の、会話の内容に応じた目標影響度の一例を示す図
図12】実施の形態1の座席の配置例を示す図
図13】実施の形態1の在席情報の一例を示す図
図14】実施の形態1の、視線方向を考慮した制御を説明するための図
図15】実施の形態1の、人の行動に応じた目標影響度の一例を示す図
図16】実施の形態1の周辺機器の制御による影響度の低下を説明するための図
図17】実施の形態1の情報処理装置のそれぞれを実現するコンピュータシステムの構成例を示す図
図18】実施の形態2にかかる情報処理システムの構成例を示す図
図19】実施の形態2の情報処理装置における処理手順の一例を示すフローチャート
図20】実施の形態2の表示装置に表示される表示画面の一例を示す図
図21】実施の形態2の表示装置に表示される表示画面の一例を示す図
図22】実施の形態2の表示装置に表示される表示画面の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施の形態にかかる情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態にかかる情報処理システム100の構成例を示す図である。本実施の形態の情報処理システム100は、情報処理装置1と、制御対象装置2とを備える。情報処理装置1は、移動体が動作する際の影響度を推定し、推定した影響度を用いて制御対象装置2を制御する制御装置である。移動体が動作する際の影響度は、具体的には、例えば、移動体が動作する際の、人または物に対する影響度であり、移動体の存在感を示す数値である。ここでいう、物は、例えば、他の移動体、構造物、家具、設備などであるが、これらに限定されない。移動体の動作は、例えば、移動体の移動、移動以外の移動体の動き、移動体による音の出力、移動体(表示する機能を有する移動体)による表示などを含む。
【0011】
移動体は、例えば、移動機構を備えるロボットであるが、これに限定されず、自律的にまたは遠隔操作により移動することが可能な移動体であればよい。移動体がロボットである場合、当該ロボットは、搬送ロボット、清掃ロボット、案内ロボットなどの特定の作業を行う機能を有するロボットであってもよいし、人とコミュニケーションをとることを目的とするロボットであってもよいし、複数の機能を有する多機能ロボットであってもよいし、これら以外であってもよい。また、移動体は、車輪、クローラなどの移動機構を備え、地面、床面などを移動する移動体であってもよいし、人型ロボット、動物型ロボットなどのように2足または4足の足を有する移動体であってもよいし、無人航空機(ドローン)のように空中を飛行可能なロボットであってもよい。移動体における移動機構はこれらに限定されない。
【0012】
制御対象装置2は、移動体の影響度を変更するために情報処理装置1によって制御される装置であり、当該移動体自体であってもよいし、移動体の周辺の周辺機器であってもよい。周辺機器は、例えば、ディスプレイ、照明装置、スピーカなどを含むが、これらに限定されない。
【0013】
情報処理装置1は、情報記憶部11と、推定部12と、制御処理部15と、取得部16と、受付部17とを備える。情報記憶部11は、後述する第1の影響度の推定に用いる第1の情報、後述する第2の影響度の推定に用いる第2の情報などの、情報処理装置1における処理において使用される各種の情報を記憶する。
【0014】
推定部12は、移動体が動作する際の影響度を推定し、推定した影響度、すなわち影響度の推定結果を制御処理部15へ出力する。詳細には、推定部12は、第1の影響度を推定し、推定した第1の影響度を制御処理部15へ出力する第1の推定部13と、第2の影響度を推定し、推定した第2の影響度を制御処理部15へ出力する第2の推定部14とを備える。
【0015】
第1の影響度は、移動体が動作する際に周囲に与える影響の度合いを示す影響度である。第1の影響度は、移動体に依存する影響度であり、影響を受ける人や物に依存しない影響度である。一方、第2の影響度は、人または物が移動体から受ける影響の度合いを示す影響度である。第2の影響度は、移動体の影響を受ける人または物に依存する影響度である。例えば、高速に移動する大きな移動体が存在すると、一般的に人は当該移動体の影響を受けやすくなる。このように、移動体の影響の度合いは移動体自体に依存する場合がある。一方、例えば、静止している移動体が視野に入った場合に、視野に入るだけで不快と感じる人もいれば、特に気にならない人もいる。また、移動体が、移動または作業に伴って音を発生させる場合に、その音が気になるかどうかについても、人によって異なる場合がある。このように、同じ移動体が同じ動作を行っても、人によって感じ方が異なることがある。また、移動体の影響を受ける物についても同様であり、例えば、机などは移動体が衝突したりしない限り移動体が近くを通過しても影響を受けないが、周囲に広告のための表示を行っている表示装置などは移動体が表示画面の近くを通過すると広告の表示の妨げとなり影響を受ける。
【0016】
以上のことから、推定部12は、移動体に依存する影響度と、人または物に依存する影響度との両方を推定する。これにより、推定部12は、いずれか一方の影響度を考慮する場合に比べてより適切な影響度を求めることができる。なお、以下では、推定部12が、第1の推定部13と、第2の推定部14との両方を備える例を説明するが、推定部12は、第1の推定部13と、第2の推定部14とのいずれか一方だけを備えてもよい。すなわち、推定部12は、第1の影響度と、第2の影響度とのうちの少なくとも一方を推定すればよい。
【0017】
また、推定部12は、取得部16が取得する推定用参照情報を用いて第1の影響度および第2の影響度を推定してもよい。推定用参照情報は、例えば、周辺情報、施設情報、設備情報、属性情報および状態情報のうちの少なくとも1つを含む。
【0018】
周辺情報は、例えば、移動体の周辺の情報を示す第1の周辺情報と、人または物の周辺の情報を示す第2の周辺情報とのうちの少なくとも一方を含む。例えば、第1の周辺情報は、第1の影響度を推定する際に用いられ、第2の周辺情報は、第2の影響度を推定する際に用いられる。第1の周辺情報は、例えば、移動体の周辺の状況を示す情報であり、第2の周辺情報は、例えば、人または物の周辺の状況を示す情報である。第1の周辺情報および第2の周辺情報は、静的な情報であってもよいし、動的な情報すなわち状態を示す情報であってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
【0019】
第1の周辺情報は、例えば、移動体の周囲に存在する人または物の位置、移動体の周囲に存在する人または物の速度、移動体の周囲に存在する人の行動、移動体の周囲に存在する人の会話の内容などのうちの少なくとも1つを示す情報を含むが、これらに限定されない。また、第1の周辺情報は、例えば、移動体の周囲を撮影することにより得られた画像情報と、移動体の周囲の人の生体情報と、移動体の周囲の音を示す音情報とのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。人または物の位置は、画像情報から算出されてもよい。また、人が携帯する携帯端末から、当該携帯端末が備えるGPS(Global Positioning System)受信機などの位置検出装置によって検出された位置を示す位置情報が送信され、情報処理装置1が受信してもよい。また、移動体の周囲を撮影する撮影装置は、移動体に設けられていてもよいし、移動体が用いられる施設内に設定されてもよい。移動体の周囲の音を検出するマイクなどの装置は、移動体に設けられていてもよいし、施設内に設定されてもよい。人または物の位置は、位置座標で示されていてもよいし、例えば、机に座っている、机から離れている、部屋の外といったように、移動体の影響度を推定する範囲である推定対象範囲の施設内の設備、構造物などとの関係により示されてもよい。
【0020】
第2の周辺情報は、移動体の影響を受ける可能性のある人または物、すなわち移動体の影響の評価の対象となる人または物(以下、評価対象物とも呼ぶ)に応じて生成される。第2の周辺情報は、例えば、評価対象物の周囲に存在する移動体の位置、評価対象物の周囲に存在する移動体の速度、評価対象物の周囲に存在する移動体の動作モード、評価対象物の周囲に存在する移動体が発する音の大きさ(音量)、評価対象物の周囲に存在する物体(移動体以外)に関する情報などのうちの少なくとも1つを示す情報を含むが、これらに限定されない。第2の周辺情報は、例えば、評価対象物の周囲を撮影することにより得られた画像情報と、評価対象物の周囲の音を示す音情報とのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。また、評価対象物の周囲を撮影する撮影装置は、物に設けられていてもよいし、人が携帯する携帯端末に設けられてもよいし、施設内に設定されてもよい。移動体の周囲の音を検出するマイクなどの装置は、物に設けられていてもよいし、人が携帯する携帯端末に設けられてもよいし、施設内に設定されてもよい。なお、例えば、施設に設けられる撮影装置によって撮影された画像情報は、第1の周辺情報と第2の周辺情報とを兼ねてもよい。このように、第1の周辺情報と第2の周辺情報とは同一の情報を含んでいてもよい。
【0021】
施設情報は、例えば、移動体が用いられる施設、すなわち移動体が存在する施設の種類を示す情報を含むが、これに限定されない。この施設は、評価対象物が存在する施設でもある。施設は、例えば、情報処理装置1が、移動体の影響度を推定する範囲である推定対象範囲に対応する。なお、推定対象範囲は、1つの独立した施設に限定されず、施設の一部であってもよいし、複数の施設の組み合わせであってもよい。施設は、屋内であってもよいし、屋外であってもよいし、屋内と屋外との組み合わせであってもよい。
【0022】
設備情報は、移動体が存在する施設における設備に関する情報である。設備情報は、例えば、壁の位置および形状と、道路の位置および形状とのうちの少なくとも一方を示す情報を含む。また、設備情報は、例えば、移動体が用いられる施設がホテルである場合の、ホテル内の設備であるロビーなどで開催されるイベントに関する情報、移動体が用いられる施設内のエレベータに関する情報、オフィスなどにおける在席情報などを含んでもよい。設備情報は、これらに限定されない。また、設備情報は、監視カメラなどの撮影装置から取得された画像情報であってもよいし、フリーアドレスで運用されている職場における座席の予約情報などであってもよい。施設情報および設備情報は、オペレータなどによって入力されてもよいし、図示しない他の装置などから送信されてもよい。
【0023】
属性情報は、移動体の属性を示す第1の属性情報と、評価対象物の属性を示す第2の属性情報とのうちの少なくとも一方を含む。第1の属性情報は、移動体の種類、大きさ、色、形状などのうちの少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。第1の属性情報は、オペレータなどによって入力されてもよいし、移動体を撮影した画像情報であってもよい。第1の属性情報が画像情報である場合、例えば、取得部16または推定部12が、画像情報から移動体の属性を推定する。
【0024】
第2の属性情報は、評価対象物が人である場合は、性別、年代、年齢、大人であるか子どもであるかを識別する情報、性格などのうちの少なくとも1つを含み、評価対象物が物である場合には、物の種類、機能などを含むが、これらに限定されない。例えば、第1の属性情報は、第1の影響度を推定する際に用いられ、第2の属性情報は、第2の影響度を推定する際に用いられる。第2の属性情報は、オペレータなどによって入力されてもよいし、図示しない他の装置などから送信されてもよい。
【0025】
第2の属性情報は、評価対象物を撮影した画像情報であってもよいし、評価対象物が人の場合には、人自身によって入力されてもよい。人自身によって入力される場合、例えば、移動体が用いられる施設、部屋などに入場する際に、入口などに設けられた入力装置を用いて、人が第2の属性情報を入力し、情報処理装置1の取得部16が当該入力装置から第2の属性情報を受信してもよい。第2の属性情報が、評価対象物を撮影した画像情報である場合、例えば、取得部16または推定部12が当該画像情報から評価対象物の属性を推定する。
【0026】
また、人の顔を撮影した顔情報と当該人の属性を示す情報とを対応づけた登録情報が情報記憶部11にあらかじめ格納され、取得部16または推定部12が、画像情報と顔情報とを用いて顔認証処理を行うことにより人を特定してもよい。そして、取得部16または推定部12は、特定した人に対応する、属性を示す情報を登録情報から抽出することによって第2の属性情報を取得してもよい。また、人が携帯するスマートフォン、タブレットなどの携帯端末の識別情報と対応する人の属性を示す情報とを対応付けた登録情報が情報記憶部11にあらかじめ格納され、情報処理装置1の取得部16が、携帯端末から、当該携帯端末の識別情報と当該携帯端末の位置を示す位置情報とを受信してもよい。この場合、取得部16または推定部12が、受信した位置情報に基づいて、携帯端末に対応する人を評価対象物とすると判定した場合に、携帯端末の識別情報に対応する人の属性を示す情報を登録情報から抽出してもよい。例えば、取得部16または推定部12は、推定対象範囲内に携帯端末が存在すると判定した場合に、携帯端末に対応する人を評価対象物とすると判定する。
【0027】
状態情報は、移動体の状態を示す第1の状態情報と、評価対象物の状態を示す第2の状態情報とのうちの少なくとも一方を含む。第1の状態情報は、例えば、移動体の動作モード(清掃、会話、運搬、案内、ダンスなど)、移動体が発生させる音の大きさ(音量)、移動体の色(移動体がディスプレイを備えることにより、色が変更可能な場合など)、移動体の移動方向、移動体の速度、移動体の移動ベクトルなどのうちの少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。第2の状態情報は、例えば、評価対象物の位置、評価対象物の動作の種類(仕事中、睡眠中など)、評価対象物の速度、評価対象物の感情を示す情報などのうちの少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。第1の状態情報は、移動体を撮影した画像情報であってもよく、第2の状態情報は、評価対象物を撮影した画像情報であってもよい。また、第1の状態情報は、移動体が発生させる音の検出結果である音情報であってもよく、第2の状態情報は、評価対象物が発生させる音の検出結果である音情報であってもよい。また、第1の状態情報は、第1の影響度を推定する際に用いられ、第2の状態情報は、第2の影響度を推定する際に用いられる。制御処理部15が移動体の動作モード、動作の種類などを管理している場合には、制御処理部15から推定部12に第1の属性情報が入力されてもよい。推定用参照情報の詳細、および推定部12における推定方法の詳細については後述する。
【0028】
制御処理部15は、推定部12から受け取った影響度を用いて制御対象装置2を制御する。詳細には、例えば、制御処理部15は、推定部12から受け取った第1の影響度と、第2の影響度とを用いて、総合的な影響度である総合影響度を算出し、総合影響度を用いて、総合影響度を目標値(目標影響度)に近づけるように、制御対象装置2を制御するための制御信号を生成し、制御信号を制御対象装置2へ出力する。制御対象装置2は、複数であってもよく、この場合には、制御処理部15は、複数の制御対象装置2のそれぞれに対応する制御信号を生成し、生成した制御信号を対応する制御対象装置2へ出力する。
【0029】
なお、推定部12が、第1の影響度だけ、または第2の影響度だけを推定する場合には、制御処理部15は、総合影響度を算出する必要はなく、推定部12から受け取った影響度(第1の影響度または第2の影響度)を用いて制御対象装置2を制御する。また、制御処理部15は、第1の影響度と第2の影響度とを加算することで総合影響度を算出してもよいし、第1の影響度と第2の影響度とを重み付け加算することで総合影響度を算出してもよいし、これら以外の方法で総合影響度を算出してもよい。制御処理部15は、例えば、分布として得られる第1の影響度と分布として得られる第2の影響度とを用いて、同じ位置に対応する、第1の影響度の値と第2の影響度の値とを加算、または重み付け加算する。
【0030】
また、制御処理部15は、推定部12から受け取った影響度に加えて、さらに取得部16が取得する制御用参照情報を用いて制御対象装置2を制御してもよい。制御用参照情報は、上述した推定用参照情報と同様に、例えば、周辺情報、施設情報、設備情報、属性情報および状態情報のうちの少なくとも1つを含む。推定用参照情報と制御用参照情報とは、同じであってもよいし、異なっていてもよく、一部が重複し残部が異なっていてもよい。制御処理部15における処理の詳細については後述する。
【0031】
取得部16は、推定用参照情報、制御用参照情報などの情報を取得する。取得部16は、取得した推定用参照情報を推定部12へ出力し、取得した制御用参照情報を制御処理部15へ出力する。推定用参照情報および制御用参照情報は、上述したように、オペレータによって入力されてもよいし、他の装置から送信されてもよい。すなわち、取得部16は、推定用参照情報および制御用参照情報などを、オペレータからの入力を受け付けることで取得してもよいし、他の装置から受信することで取得してもよい。
【0032】
受付部17は、各種の指示を受け付ける。例えば、影響度の制御の開始の指示などの指示を受け付ける。受付部17は、オペレータからの入力を受け付けることで指示を受け付けてもよいし、他の装置から指示を受信することで指示を受け付けてもよい。
【0033】
次に、本実施の形態の動作について説明する。図2は、本実施の形態の情報処理装置1における処理手順の一例を示すフローチャートである。例えば、情報処理装置1は、影響度の制御の開始の指示を受け付けると、図2に示す処理を開始するが、処理の開始の契機はこの例に限定されない。
【0034】
図2に示すように、情報処理装置1は、第1の情報を用いて第1の影響度を推定する(ステップS1)。具体的には、第1の推定部13が、第1の情報を用いて第1の影響度を推定し、推定結果を制御処理部15へ出力する。
【0035】
第1の影響度の推定結果は、例えば、推定対象範囲における移動体の位置ごとの影響度、すなわち第1の影響度の分布(平面分布または空間分布)を示す情報であるが、これに限定されず、その時点の移動体の位置に応じた1つ以上の値(影響度の値)であってもよい。その時点の移動体の位置に応じた1つ以上の値は、例えば、その時点の移動体の位置に対応する1つの影響度、またはその時点の移動体の位置および周辺の、定められた数の複数の影響度である。第1の影響度の推定結果として分布を求めるか、その時点の移動体の位置に応じた1つ以上の値を求めるかは、影響度の算出方法、および後述する影響度の制御の内容に応じて定められればよい。例えば、影響度として第1の影響度と第2の影響度との両方が推定される場合には、第1の推定部13は、第1の影響度の分布を示す情報を推定結果として出力してもよい。また、例えば、影響度として第1の影響度だけが推定され、移動体の発生させる音が制御される場合には、第1の推定部13は、その時点の移動体の位置に応じた1つ以上の値を、推定結果として出力してもよい。また、第1の推定部13が、第1の影響度の分布を示す情報を制御処理部15へ出力し、制御処理部15が制御対象装置2の制御の際に、第1の影響度の分布を示す情報を用いて、その時点の移動体の位置に対応する1つ以上の値を求め、求めた1つ以上の値に基づいて後述する制御を行ってもよい。
【0036】
第1の情報は、例えば、移動体の影響度を調べる実験などによって取得されたデータを用いて算出される情報であり、第1の影響度を推定するための情報である。ここで、第1の情報の算出方法について説明する。例えば、移動体の影響度を調べる実験において、移動体の位置と評価対象物の位置とのうち少なくとも一方が異なる状態で、評価対象物の影響度が取得される。評価対象物が人であれば、人が影響度を決定する。評価対象物が物であれば、物の状態を、例えば、オペレータなどが評価して影響度を決定する。これを、複数の評価対象物に関して実施し、移動体の位置と評価対象物の位置と取得された影響度とを含むデータセットが複数記録される。
【0037】
なお、推定対象範囲内の各種の状態が均一である場合には、移動体の位置と評価対象物の位置とがデータセットとして記録される代わりに、移動体と評価対象物との相対位置が記録されてもよい。例えば、移動体における定められた基準点を原点とするXY座標系で、評価対象物の位置が示されることにより、相対位置が表現されてもよい。相対位置の表現方法は、この例に限定されない。また、推定対象範囲内の各種の状態が均一でなく、移動体および評価対象物の絶対位置により影響度が異なる場合には、相対位置を用いずに、移動体の位置と評価対象物の位置とを用いる。この場合、実験は、実際の推定対象範囲において行われることが望ましい。データセットとして相対位置を用いる場合には、推定対象範囲と実験の場所とは異なっていてもよいが、実験の場所は推定対象範囲と各種の状態が類似していることが望ましい。また、移動体が飛行可能な移動体である場合、2次元のXY座標系ではなく、3次元の座標系、例えばXYZ座標系で、移動体および評価対象物の位置、相対位置などが表される。
【0038】
図3は、本実施の形態における実験により取得されるデータの一例を示す図である。図3に示した例では、#1,#2,#3などは、人の識別情報を示しており、相対位置(移動体と人との相対位置)ごとに、各自が感じた、すなわち各自が評価した影響度を示す。例えば、影響度を1から10までの10段階で示すこととし、実験に参加する人が影響度を1から10までの数値のなかから選択する。なお、影響度の数値化は、10段階で示す例に限定されず、何段階の数値で示されてもよい。また、ここでは、影響度の数値が大きいほど影響が大きいことを示す例を説明するが、影響度の数値が小さいほど影響が大きくなるように影響度を定義してもよい。
【0039】
第1の情報は、例えば、図3に示したような、複数の人が評価した影響度を用いて算出される。ここでは、第1の推定部13が第1の情報を算出する例を説明するが、第1の情報の算出は、図示しない他の装置が行ってもよい。他の装置が第1の情報を算出する場合は、他の装置が算出した第1の情報が情報記憶部11に記憶される。例えば、取得部16が、他の装置から第1の情報を取得して、第1の情報を情報記憶部11に格納してもよいし、オペレータが第1の情報を入力することにより取得部16が第1の情報を取得し、第1の情報を情報記憶部11に格納してもよい。第1の推定部13が第1の情報を算出する場合、実験により得られたデータ(データセット)は、情報記憶部11に記憶され、第1の推定部13は、情報記憶部11に格納されているデータを用いて第1の情報を算出する。
【0040】
図4は、本実施の形態における実験により取得されるデータの別の一例を示す図である。図3では、相対位置を変えて影響度が評価されたが、これに限らず、推定用参照情報として用いられる情報の値を異ならせて実験が行われてもよい。図4に示した例では、相対位置および移動体が発生させる音の大きさ(音量)を変えて、実験を行い、相対位置および音量の値の組み合わせごとに、人が影響度を評価する。なお、図3および図4では、図示のためにテーブル形式でデータを示しているが、データの保存形式は、これに限らずどのような形式であってもよい。推定用参照情報は、移動体が発生させる音の大きさに限らず、例えば、移動体の移動方向および設備情報のうち少なくとも一方を含んでいてもよい。また、推定用参照情報は、移動体の色、大きさおよび動作モードのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0041】
第1の推定部13は、例えば、図3に示したデータが実験により得られた場合、相対位置ごとの影響度を示す第1の情報を生成する。具体的には、例えば、第1の推定部13は、相対位置ごとに、各自が評価した影響度の平均値、中央値などの代表値を算出する。これにより、相対位置ごとの影響度の代表値が平面分布として得られることになる。例えば、定められたサイズの四角形を1つのメッシュとし、実験によりメッシュごとに影響度を取得することとし、第1の推定部13は、メッシュごとの代表値を影響度とすることで、影響度の平面分布を得ることができる。第1の推定部13は、この平面分布を第1の情報としてもよい。なお、3次元座標系における位置を変えて実験のデータが取得される場合には、平面分布の代わりに空間分布が得られる。
【0042】
または、第1の推定部13は、相対位置ごとの代表値を用いて、相対位置に応じた影響度を示す近似式を、回帰分析などにより算出し、当該近似式を第1の情報としてもよい。近似式は、多項式でもよいし対数、指数などを用いた式であってもよいし、特に制約はない。近似式の算出方法は、これらの例に限定されない。
【0043】
第1の推定部13は、例えば、図4に示したデータが実験により得られた場合、音量を複数の範囲のレベルに分け、レベルごとに、図3に示したデータを用いる場合と同様に第1の情報を算出し、レベルごとの第1の情報を情報記憶部11に格納してもよい。または、第1の推定部13は、相対位置および音量ごとの代表値を求め、相対位置および音量に応じた影響度を示す近似式を、回帰分析などにより算出し、当該近似式を第1の情報としてもよい。上述した例と同様に、近似式は、多項式でもよいし対数、指数などを用いた式であってもよいし、特に制約はない。近似式の算出方法は、これらの例に限定されない。
【0044】
または、第1の推定部13は、ある音量を基準とし、基準の音量に対応するデータを用いて上述した図3に示したデータを用いる場合の第1の情報と同様の情報を基準情報として算出し、音量による補正を行うための補正情報を算出してもよい。例えば、音量ごとに、実験により得られた影響度の平均値、中央値などの代表値を算出し、基準の音量以外の音量の代表値に関して、基準の音量の代表値との差または比などを算出し、算出した差または比などを補正情報としてもよい。または、第1の推定部13は、音量ごとの代表値を用いて音量に応じた影響度を示す近似式を回帰分析などにより算出し、算出した近似式を補正情報としてもよい。また、第1の推定部13は、相対位置によらずに共通の情報として補正情報を求めてもよいし、相対位置を複数の区分に分け、区分ごとに補正情報を求めてもよい。第1の推定部13は、このようにして算出した基準情報と補正情報とを第1の情報として、情報記憶部11に格納する。
【0045】
なお、相対位置の代わりに、移動体の位置と評価対象物の位置とが用いられる場合、第1の推定部13は、例えば、移動体の位置別に、同様に、評価対象物の位置ごとに、各自が評価した影響度の平均値、中央値などの代表値を算出することにより、メッシュごとの影響度、または近似式などにより第1の情報を算出する。
【0046】
また、第1の推定部13は、移動体の位置を変えて実験を行い、移動体の位置と様々な位置の人が評価した影響度とを対応付けたデータセットを記録してもよい。この場合、移動体の位置ごとに、影響度の平均値、中央値などの代表値を算出することで、移動体の位置に応じた影響度が分布として算出される。第1の推定部13は、移動体の位置に応じた影響度を第1の情報として、情報記憶部11に格納する。
【0047】
図3および図4は例示であり、これらの例に限定されず、推定用参照情報として用いる情報に応じて、実験が行われる。例えば、推定用参照情報として移動体の色が用いられる場合、移動体の位置、評価対象物の位置だけでなく、移動体の色を変えて実験が行われ、移動体の色ごとに、第1の情報が算出されてもよいし、基準情報と色による違いを補正するための補正情報とが第1の情報として生成されてもよい。また、推定用参照情報として他の情報(他の種類の情報)が用いられる場合も同様であり、推定用参照情報として複数の種類の情報が用いられる場合も、同様に、複数の種類の情報の値の組み合わせごとに第1の情報が算出されてもよいし、基準情報と情報の種類ごとの補正情報とが第1の情報として算出されてもよいし、複数の種類の情報の値と影響度との関係を示す近似式が第1の情報として生成されてもよい。
【0048】
また、第1の情報は、機械学習によって生成された学習済モデルであってもよい。図5は、機械学習が用いられる場合の本実施の形態の第1の推定部13の構成例を示す図である。図5に示した例では、第1の推定部13は、モデル生成部131と、推論部132とを備える。モデル生成部131は、例えば、教師有り学習により学習済モデルを生成し、生成した学習済モデルを第1の情報として情報記憶部11に格納する。推論部132は、第1の影響度を推定する際に、学習済モデルを用いて第1の影響度を推定(推論)する。学習済モデルは、特徴量から第1の影響度を推論するための学習済モデルであり、特徴量は、相対位置であってもよいし、移動体の位置であってもよいし、推定用参照情報であってもよいし、相対位置または移動体の位置と推定用参照情報とであってもよい。
【0049】
上述した図3に例示した実験により得られたデータを用いて学習が行われる場合、例えば、モデル生成部131は、相対位置と当該相対位置に対応する正解データである影響度(実験により得られた第1の影響度に相当)とを含むデータセットを複数用いて教師有学習により学習済モデルを生成する。推論部132は、学習済モデルに相対位置を入力することにより、相対位置ごとの第1の影響度の推定値を取得する。推論部132は、複数の相対位置に関してそれぞれ同様の処理を行うことにより、第1の影響度の分布を得る。
【0050】
または、上述した図3に例示した実験により得られたデータを用いて学習が行われる場合、モデル生成部131は、移動体の位置と当該位置に対応する正解データである影響度の分布とを含むデータセットを複数用いて教師有学習により学習済モデルを生成してもよい。この場合、推論部132は、学習済モデルに移動体の位置を入力することにより、第1の影響度の分布を得る。
【0051】
また、モデル生成部131は、上述した図4に例示した実験により得られたデータを用いて学習が行われる場合、相対位置および推定用参照情報(図4に示した例では音量)を特徴量とし、特徴量と対応する正解データである影響度とを含むデータセットを複数用いて教師有学習により学習済モデルを生成する。推論部132は、学習済モデルに相対位置および推定用参照情報を入力することにより、相対位置ごとの第1の影響度の推定値を取得する。推論部132は、複数の相対位置に関してそれぞれ同様の処理を行うことにより、第1の影響度の分布を得る。
【0052】
または、上述した図4に例示した実験により得られたデータを用いて学習が行われる場合、モデル生成部131は、推定用参照情報と当該推定用参照情報に対応する正解データである影響度の分布とを含むデータセットを複数用いて教師有学習により学習済モデルを生成してもよい。この場合、推論部132は、学習済モデルに推定用参照情報を入力することにより、第1の影響度の分布を得る。
【0053】
学習済モデルの生成に用いられる機械学習としては、例えば、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシンなどを例示できるが、機械学習のアルゴリズムはこれらに限定されない。また、上述した機械学習の具体的な方法は例示であり、これらに限定されず、第1の影響度を推論するための学習済モデルが生成されれば、どのような方法で機械学習が行われてもよい。
【0054】
また、図5では、第1の推定部13が、モデル生成部131を備える例を示したが、これに限らず、情報処理装置1とは別の学習装置がモデル生成部131を備え、学習装置が学習済モデルを生成してもよい。この場合、学習装置によって生成された学習済モデルが情報記憶部11に格納され、第1の推定部13の推論部132が、情報記憶部11に記憶されている学習済モデルを用いて、第1の影響度の推定を行う。
【0055】
なお、相対位置ごとにデータが取得される場合、上述したステップS1において第1の影響度を推定する際には、第1の推定部13は、移動体の位置(現在の位置)に基づいて、移動体の位置を相対位置の原点とすることで、移動体の位置を中心とした第1の影響度の分布を推定することができる。移動体の位置は、例えば、状態情報として、移動体から取得される。また、図4に示したように、実験において音量ごとにデータが取得される場合、上述したステップS1において第1の影響度を推定する際には、第1の推定部13は、音検出器などによって検出される移動体が発生させる音の大きさ(音量)を示す音情報と第1の情報とを用いて、音量に応じた第1の影響度を算出する。
【0056】
また、相対位置の代わりに、移動体の位置と評価対象物の位置とが用いられて実験のデータが取得される場合、第1の推定部13は、移動体の位置(現在の位置)に基づいて、第1の情報を情報記憶部11から読み出し、読み出した第1の情報を第1の影響度とすることにより、第1の影響度を推定する。
【0057】
また、移動体の位置に応じた第1の影響度が第1の情報として情報記憶部11に記憶されている場合には、第1の推定部13は、第1の情報を用いて読み出し、読み出した第1の情報を第1の影響度とすることにより、第1の影響度を推定する。
【0058】
なお、例えば、第1の推定部13は、第1の影響度の推定の際に、第1の情報の生成時に考慮された推定用参照情報のうちの一部を使用せずに、第1の影響度の推定を行ってもよい。例えば、移動体の色、大きさ、音量(移動体が発生させる音の大きさ)をそれぞれ変更して実験を行うことにより、基準情報と移動体の色、大きさおよび音量にそれぞれ対応する補正情報とを生成する場合に、第1の推定部13が、基準情報に対して、色および大きさに関する補正情報だけを使用して補正を行ってもよい。また、第1の情報として近似式が算出される場合には、第1の推定部13は、色、大きさおよび音量の全てを考慮した近似式と、色、大きさおよび音量のうち2種類を考慮した近似式と、大きさおよび音量のうち1種類を考慮した近似式とを生成し、第2の影響度を推定する際に、考慮する情報の種類に応じて使用する近似式を選択してもよい。また、第1の情報が、学習済モデルである場合には、色、大きさおよび音量の全てを考慮した学習済モデルと、色、大きさおよび音量のうち2種類を考慮した学習済モデルと、大きさおよび音量のうち1種類を考慮した学習済モデルとを生成し、第2の影響度を推定する際に、考慮する情報の種類に応じて使用する学習済モデルを選択してもよい。これにより、例えば、聴覚に関する影響を考慮しなくてよいような場合に、聴覚に関する影響を考慮しない推定結果を求める、といったように、推定に必要な情報だけを考慮した第1の影響度を推定することができる。
【0059】
また、複数の種類の移動体が用いられる場合には、移動体ごとに、第1の情報が生成されてもよいし、移動体の機種ごとに第1の情報が生成されてもよい。また、移動体を、大きさ、形状、種類(ドローン、人型、車両など)などに応じてグループ分けし、グループごとに第1の情報が生成されてもよい。また、推定対象範囲が複数存在する場合にも、推定対象範囲ごとに、第1の情報が生成されてもよいし、施設の種類(図書館、ホテル、オフィスなど)ごとに第1の情報が生成されてもよい。
【0060】
また、第1の推定部13は、第1の影響度を推定する際に、第1の情報に加えて設備情報を用いて、移動体が備品、家具などに囲まれることにより、どの位置にいる人からも見えない移動体の位置に対応する第1の影響度については、第1の情報を用いて算出した値を補正して第1の影響度の推定結果としてもよい。具体的には、第1の推定部13は、どの位置にいる人からも見えない移動体の位置に対応する第1の影響度については、第1の情報を用いて算出した値から定められた値を減算する、または影響度を最小値にする、などといったように、値を低下させるように第1の影響度を補正してもよい。
【0061】
図2の説明に戻る。情報処理装置1は、第2の情報を用いて第2の影響度を推定する(ステップS2)。具体的には、第2の推定部14が、第2の情報を用いて、第2の影響度の推定対象物ごとに、第2の影響度を推定し、推定結果を制御処理部15へ出力する。推定対象物は、推定対象の評価対象物であり、影響度の推定対象の、人および物のうちの少なくとも一方を含む。第2の影響度の推定対象物は、例えば、受付部17がオペレータからの入力を受け付けることで指定されてもよい。また、取得部16が推定対象範囲を撮影した画像情報を取得して第2の推定部14へ出力し、第2の推定部14が画像情報と上述した登録情報とを用いて、推定対象範囲内に存在する人を特定し、特定した人を、推定対象物としてもよい。また、取得部16が携帯端末の位置を示す位置情報を取得して第2の推定部14へ出力し、第2の推定部14が位置情報に基づいて推定対象範囲内に存在する携帯端末に対応する人を、推定対象物としてもよい。評価対象物が他の移動体である場合には、取得部16または制御処理部15が当該他の移動体の位置を示す位置情報を取得して第2の推定部14へ出力し、第2の推定部14が位置情報に基づいて推定対象範囲内に存在する移動体を、推定対象物としてもよい。推定対象物が移動体以外の物である場合には、推定対象物は、あらかじめ定められていてもよいし、受付部17がオペレータからの入力を受け付けることで指定されてもよいし、画像情報に基づいて推定対象範囲内に存在する物が、推定対象物に決定されてもよい。
【0062】
第2の影響度の推定結果は、第1の影響度の推定結果と同様に、例えば、推定対象範囲における推定対象物の位置ごとの影響度、すなわち第2の影響度の分布(平面分布または空間分布)を示す情報であるが、これに限定されず、その時点の推定対象物の位置に応じた1つ以上の値(影響度の値)であってもよい。例えば、影響度として第1の影響度と第2の影響度との両方が推定される場合には、第2の推定部14は、第2の影響度の分布を示す情報を推定結果として出力してもよい。また、例えば、影響度として第2の影響度だけが推定され、移動体の発生させる音が制御されるような場合には、第2の推定部14は、その時点の推定対象物の位置に応じた1つ以上の値を、推定結果として出力してもよい。また、第2の推定部14が、第2の影響度の分布を示す情報を制御処理部15へ出力し、制御処理部15が制御の際に、第2の影響度の分布を示す情報を用いて、その時点の推定対象物の位置に対応する1つ以上の値を求め、求めた1つ以上の値に基づいて後述する制御を行ってもよい。
【0063】
第2の情報は、第1の情報と同様に、例えば、移動体の影響度を調べる実験などによって取得されたデータを用いて算出される情報であり、第2の影響度を推定するための情報である。この実験は、第1の情報を算出するために行われる実験と同一であってもよいし、第1の情報を算出するための実験とは別に行われてもよい。
【0064】
ここでは、第1の情報を算出するために行われる実験が第2の情報の算出のための実験を兼ねる例について説明する。第1の情報の算出においては、個人を区別せずに第1の情報が算出された。第2の情報の算出においては、個人を区別して、すなわち評価対象物ごとに、第2の情報の生成が行われ、第2の影響度の分布を求める際に相対位置が用いられる場合、相対位置の基準が移動体の代わりに人になる。また、第2の情報として、相対位置の代わりに評価対象物の位置に応じた分布が算出されてもよい。
【0065】
例えば、第2の情報として、第1の情報と同様にメッシュごとの代表値が算出されてもよく、この場合、第2の推定部14は、評価対象物ごとにデータを分け、評価対象物ごとに第2の情報を生成する。第2の情報は、第1の情報と同様に、メッシュごとの第2の影響度を示す分布であってもよいし、近似式であってもよい。また、第2の情報は、第1の情報と同様に、機械学習によって生成される学習済モデルであってもよい。この場合、例えば、第2の推定部14が、図5に示した第1の推定部13と同様に、モデル生成部と、推論部とを備えてもよいし、モデル生成部を備える学習装置が情報処理装置1とは別に設けられてもよい。モデル生成部を備える学習装置が情報処理装置1とは別に設けられる場合、学習装置によって生成された学習済モデルが、情報記憶部11に格納される。
【0066】
例えば、第2の推定部14のモデル生成部は、評価対象物ごとに、当該評価対象物に対応するデータを用いて、モデル生成部131と同様に学習済モデルを生成し、第2の推定部14の推論部は、第2の影響度の推定の際に、推定対象物に対応する学習済モデルを用いて第2の影響度を推論する。または、第2の推定部14のモデル生成部は、評価対象物を識別する識別情報も特徴量に含めて学習を行い、第2の推定部14の推論部は、推定対象物を識別する識別情報も特徴量に含めて学習済モデルに入力することで第2の影響度を推定してもよい。
【0067】
また、第1の影響度を推定する場合と同様に、第2の推定部14は、第2の影響度の推定の際に、第2の情報の生成時に考慮された推定用参照情報のうちの一部を使用せずに、第2の影響度の推定を行ってもよい。また、上述した例では、評価対象物ごとに、第2の情報を生成する例を説明したが、評価対象物をグループ分けし、グループごとに第2の情報が生成されてもよい。グループ分けする際の指標は、例えば、評価対象物の属性であってもよい。すなわち、例えば、評価対象物が人である場合、性別、年代および性格などのうちの少なくとも1つに基づいて、評価対象物をグループ分けし、グループごとに、第2の情報を生成してもよい。また、第2の情報として学習済モデルを用いる場合に、各グループの属性を特徴量に含めて学習を行い、第2の推定部14の推論部は、推定対象物の属性も特徴量に含めて学習済モデルに入力することで第2の影響度を推定してもよい。
【0068】
また、第2の推定部14は、第2の影響度を推定する際に、移動体と推定対象物である人との間に備品、家具、壁などが存在することにより、移動体が見えない推定対象物の位置に対応する第2の影響度については、第2の情報を用いて算出した値を補正して第2の影響度の推定結果としてもよい。具体的には、第2の推定部14は、移動体の位置と推定対象物の位置と、第2の情報に加えて設備情報および施設情報のうちの少なくとも一方とを用いて、移動体が見えない推定対象物の位置に対応する推定対象物を特定する。そして、第2の推定部14は、特定した推定対象物の第2の影響度については、第2の情報を用いて算出した値から定められた値を減算する、または第2の影響度を最小値にする、などといったように、値を低下させるように第2の影響度を補正してもよい。
【0069】
ステップS2の後、情報処理装置1は、制御を実施するか否かを判断する(ステップS3)。詳細には、例えば、制御処理部15は、影響度が目標影響度の範囲内である場合に、制御対象装置2の制御を実施しないと判断する。一方、制御処理部15は、一定時間以内に影響度が目標影響度の範囲を逸脱すると予想される場合に、制御対象装置2の制御を実施すると判断する。制御対象装置2の制御は、影響度を変更するための制御である。一定時間は0(0時間)であってもよい。すなわち、制御処理部15は、影響度が目標影響度の範囲を逸脱している場合に、影響度を変更する制御を実施すると判断してもよい。一定時間は、移動体の種類、影響度を変更するための制御の内容などに基づいて、適宜設定される。一定時間は、制御周期であってもよいし、制御周期より長い時間であってもよい。一定時間が0ではない場合には、推定部12は、一定時間先までの影響度を推定する。影響度は、第1の影響度であってもよいし、第2の影響度であってもよいし、制御処理部15が第1の影響度と第2の影響度とから算出した総合影響度であってもよい。
【0070】
目標影響度は、例えば、あらかじめ決定され、制御処理部15が保持する。または、目標影響度が情報記憶部11に格納され、制御処理部15が情報記憶部11から読み出してもよい。目標影響度は、後述するように、制御用参照情報に応じて定められていてもよい。すなわち、制御処理部15は、制御用参照情報に基づいて、制御を行ってもよい。例えば、周辺情報に応じて、目標影響度が定められていてもよい。なお、移動体は、影響度の制御とは別に、自律的、または遠隔操作により動作を行っているとする。移動体の動作は、清掃、搬送などの作業であってもよいし、人との会話などであってもよいし、これらに限定されない。目標影響度の詳細については後述する。
【0071】
制御を実施しないと判断した場合(ステップS3 No)、情報処理装置1は、処理を終了する。制御を実施すると判断した場合(ステップS3 Yes)、情報処理装置1は、影響度を変更するように制御対象装置2を制御し(ステップS4)、処理を終了する。詳細には、制御処理部15は、影響度が目標影響度となるように、影響度を変更するための制御信号を生成し、生成した制御信号を制御対象装置2へ送信する。影響度の変更は、例えば、移動体の位置の移動、移動体の音量の変更、ディスプレイへの表示、スピーカによる音の出力、照明装置による照明のオンまたはオフなどのうちの少なくとも1つにより行われる。
【0072】
情報処理装置1は、図2に示した処理を、例えば、定められた制御周期ごとに実施する。これにより、情報処理装置1は、移動体の存在感を把握することができる。また、情報処理装置1は、評価対象物への影響度が目標影響度を逸脱している場合に、評価対象物への影響度が目標影響度の範囲内となるように制御する。これにより、状況に応じて移動体の影響度を調整することができる。例えば、情報処理装置1は、人が移動体の存在が気になるような状況では、目標影響度の上限を低く設定し、移動体が目立った方がよい場合には、影響度の下限を高く設定しておく。これにより、情報処理装置1は、人が移動体の存在が気になるような状況では、目標影響度を低くし、移動体が目立った方がよい場合には、目標影響度を高くすることができる。
【0073】
なお、図2では、第1の影響度の推定および第2の影響度の推定の後に、影響度の制御が行われるが、影響度の制御は行われなくてもよい。この場合も、影響度が推定されることで、移動体の存在感を把握することができるという効果を奏することができる。
【0074】
また、図2では、制御処理部15が、推定された影響度が目標影響度を逸脱する場合に、影響度を変更する制御を行う例を説明したが、これに限らず、制御処理部15は、推定された影響度に基づいて影響度が定められた条件を満たすように、制御対象装置2を制御すればよい。定められた条件は、影響度が目標影響度の範囲内であるという条件であってもよいし、影響度を最小または最大にするという条件であってもよい。
【0075】
以下、情報処理装置1における影響度の制御の具体例を説明する。例えば、状況によらずに目標影響度をしきい値以下と定めておいてもよい。この場合、例えば、情報処理装置1の制御処理部15は、推定された影響度を用いて、推定された影響度がしきい値を超えている場合に、影響度を下げるような制御を行う。影響度を下げる制御は、移動体の位置を変更する、移動体の動作モードを変更する、移動体の移動ルートを変更することで音を発生させにくい滑らかな床面を移動させる、移動体が発生させる音声の音量を低下させる、移動体の近くに存在する周辺機器を制御することで人の意識を周辺機器に向けさせるなどを例示できる。影響度を下げる制御としてどのような制御を行うかは、あらかじめ、定められてもよいし、上述した制御用参照情報に基づいて決定されてもよい。例えば、移動体の種類に応じてどのような制御を行うかがあらかじめ定められ、制御処理部15が移動体の種類に基づいて制御の内容を決定してもよい。また、例えば、推定対象物の行動の種類に基づいてどのような制御を行うかがあらかじめ定められ、制御処理部15は、推定対象物を撮影した画像情報に基づいて推定対象物の行動を推定し、推定した行動に基づいて制御の内容を決定してもよい。
【0076】
また、情報処理装置1の制御処理部15は、影響度を変更する制御に限らず、影響度を用いた移動体の制御を行ってもよい。例えば、移動体を移動させるルートを決定する際に、影響度の低いルート、例えば、影響度がしきい値以下となるようなルートとなるように、ルートを決定してもよい。
【0077】
また、例えば、推定対象範囲に対応する施設の種類を示す施設情報に応じて目標影響度が設定されてもよい。図6は、本実施の形態の、施設情報に応じた目標影響度の一例を示す図である。図6に示した例では、例えば、施設が図書館であれば目標影響度は2以下であり、施設がスーパーマーケットであれば目標影響度は5以上であり、施設が高級飲食店であれば目標影響度は3以下である。例えば、図書館、高級飲食店などでは、移動体が目立たない方が好ましく、スーパーマーケットでは逆に移動体を目立たせたいことがある。このような場合には、例えば、図6に示すように施設の種類に応じた目標影響度を定めておくことで、施設に応じて移動体の存在感を調整することができる。
【0078】
また、周辺情報に応じて目標影響度が設定されてもよい。図7は、本実施の形態の、人の行動に応じた目標影響度の一例を示す図である。図7に示した例では、周辺情報の一例として人の行動を示す情報が用いられる。図7に示した例では、移動体の周辺にいる人が、仕事中または勉強中の場合には、目標影響度が低く設定され、歩いている場合には、仕事中または勉強中の場合より目標影響度の上限が高く設定されている。これにより、移動体が、仕事または勉強に集中している人に影響を与える可能性を低くすることができる。なお、例えば、制御処理部15は、人の行動を、人を撮影した画像情報を用いて判定することができる。
【0079】
また、人の位置に応じて目標影響度が設定されてもよい。図8は、本実施の形態の、人4の位置の変化の一例を示す図である。図8の最上段は、移動体3の周辺に存在する人4が机の前に座り仕事中の状態を示し、中段は、人4が机を離れて歩きだした状態を示し、下段は、人4が部屋の外に出た状態を示す。
【0080】
図9は、本実施の形態の、人4の位置に応じた目標影響度の一例を示す図である。図9に示した例では、移動体3が部屋の中にいる場合の目標影響度を示しており、人4の位置が、机の前に座っているか、机から離れた部屋の中であるか、部屋の外であるかに応じて目標影響度が定められている。例えば、移動体の周辺に存在する人4が、机の前に座っている場合には、人4が仕事中、勉強中などである可能性が高いため、目標影響度を低く設定し、人4が机から離れた部屋の中にいる場合には、人4が机の前に座っている場合より目標影響度の上限を高く設定する。さらに、人4が部屋の外にいる場合には、人4が机から離れた部屋の中にいる場合より目標影響度の上限を高く設定する。これにより、例えば、図8の上段に示したように、人4が仕事中の場合には、目標影響度を低くすることで移動体3の人4への影響を抑制することができる。また、例えば、影響度の制御として、指定された動作の停止を含めておき、移動体3の動作として部屋の清掃が指定されており、部屋の清掃を行う動作モードにおける影響度が目標影響度を超えるとする。この場合、制御処理部15は、影響度に基づいて、人4が部屋の中にいるときには移動体3に清掃の動作を停止させることを示す制御信号を送信し、人4が部屋から出ると清掃の動作の停止の解除を示す制御信号を送信してもよい。これにより、制御処理部15は、人が部屋の中にいる場合には移動体3による清掃を停止させ、人が部屋から出ると移動体3に清掃を行わせることができる。
【0081】
また、施設情報、周辺情報および属性情報に応じて目標影響度が設定されてもよい。例えば、施設情報がホテルであり、移動体3の周辺の人4の位置が移動体3から一定距離以下の位置であり、属性情報に含まれる移動体3の周辺の人4の属性が来客である場合には、目標影響度を最小値とするように定められてもよい。また、この場合に、影響度を低下させる制御として、移動体3を来客から見えない定められた位置に移動させることが定められていてもよい。これにより、ホテルの来客から見えない位置に移動体3を移動させることができる。周辺の人4の位置は、上述したように周辺情報に含まれる。また、この例では、属性情報は人4が来客であるか否かを含むが、例えば、来客以外の従業員については上述した顔情報を登録しておくことで、来客か従業員であるかを判別できる。そして、例えば、取得部16または制御処理部15が、人4を撮影した画像情報と顔情報とに基づいて従業員であるか否かを判別し、従業員でないと判別した場合に当該人4が来客であると判断する。
【0082】
また、勉強中または仕事中に対応する目標影響度を、図7に示した例と同様に低く設定し、スマートフォンをみながら歩いている場合には、目標影響度を例えば5以上とするなど一定値以上とすることで、影響度を上げるように制御してもよい。例えば、制御処理部15が、移動体3に、人4に話しかけるように指示する制御信号を送信することで影響度を上げる。これにより、人4がスマートフォンをみながら歩いている場合に、移動体3に注意を向けさせることができる。なお、人4がスマートフォンをみながら歩いている例に限らず、人4がよそ見をしている場合に、制御処理部15は、影響度を上げる制御を行ってもよい。すなわち、制御処理部15は、移動体3の周囲を撮影することにより得られた画像情報に基づいて人4がよそ見をしていると判断した場合に、影響度を上げるように制御してもよい。例えば、制御処理部15は、画像情報を用いて、人4の頭の向き、顔の向き、および歩行中か否かを判定し、頭の向きが歩行する方向と同じであるものの、顔は下に向いていると判断した場合に、人4がよそ見していると判断してもよい。
【0083】
図10は、本実施の形態の、複数の人の行動の一例を示す図である。例えば、図10の上段に示すように、勉強中または仕事中に対応する人4-1と、スマートフォンをみながら歩いている人4-2との両方が移動体3の周囲にいるとする。この場合、人4-1に対する影響度の制御を優先させ、図10の下段に示すように、人4-2が人4-1から離れてから、移動体3に、注意を促す音を発生させる、または人4-2に話しかけるように指示する制御信号を送信してもよい。
【0084】
また、人の行動の一例として、人の会話の内容に応じて目標影響度が設定されてもよい。図11は、本実施の形態の、会話の内容に応じた目標影響度の一例を示す図である。図11に示すように仕事の内容に関連する言葉(キーワード)が会話に含まれている場合には、目標影響度を低く設定し、レジャーに関する言葉が話に含まれている場合には、仕事の内容に関連する言葉が含まれている場合より目標影響度の上限を高く設定する。また、会話が無い場合にも、目標影響度を低く設定してもよい。仕事の内容に関連する言葉は、例えば、「事業」、「量産化」、「収益」などであるがこれらに限定されず、あらかじめ定められる。レジャーに関する言葉も同様に、あらかじめ定められる。なお、仕事の内容に関連する言葉、レジャーに関する言葉の具体的な内容は、対象となる施設に応じて定められてもよいし、オペレータによって変更可能であってもよい。このように、移動体3と人4との接触により不安全となる状況が予測される場合には、制御処理部15は、影響度を上げる制御を行ってもよい。
【0085】
また、制御処理部15は、設備情報に応じて人の位置を把握して、影響度を制御してもよい。例えば、影響度として相対位置ごとの第1の影響度が推定され、移動体に近いほど影響度が高いとし、目標影響度がしきい値以下と設定されており、設備情報として、施設内の席の配置位置を示す情報と、席に人がいるか否かを示す在席情報とが含まれるとする。このような場合に、制御処理部15は、目標影響度を用いる代わりに、複数の人または物への影響度の合計を低下させるように、制御を行ってもよい。
【0086】
図12は、本実施の形態の座席の配置例を示す図である。図12に示した例では、A-1~A-3,B-1~B-3の6つの机に、それぞれ4つずつ席が設けられている。図12では、空席を白抜きの図形で示し、人が在席している席を黒のハッチングの図形で示している。図13は、本実施の形態の在席情報の一例を示す図である。図13に示した例では、在席情報は、机単位の、着席している人数、すなわち在席している人数を含む。図13に示した在席情報は、図12に示した状態に対応している。在席情報は、撮影装置によって撮影された画像情報から生成されてもよいし、席の予約を示す予約情報などに基づいて生成されてもよく、例えば、施設を管理する管理装置が予約情報を管理し、情報処理装置1が、管理装置から予約情報を取得する。または、情報処理装置1における取得部16または制御処理部15が、画像情報から在席人数を算出してもよい。
【0087】
図12に例示した状態において、移動体3に、ルートR1を通り目的地5へ移動する動作が指示されていたとする。このような場合、制御処理部15は、在席者のいるA-3,B-2,B-3の3つの机および在席者のいないB-1の机の近くを通るルートR1より、在席者のいるA-3の机および在席者のいないA-1,A-2,B-1の3つの机の近くを通るルートR2の方が、在席者全体への影響度が低くなると判断し、ルートR1をルートR2に変更することを指示する制御信号を移動体3に送信してもよい。また、図13に示した例では、在席情報は机を単位として在席人数を示したが、在席情報は席ごとの在席の有無を示してもよい。
【0088】
また、制御処理部15は、人の視線方向を考慮して、影響度を変更する制御を行ってもよい。図14は、本実施の形態の、視線方向を考慮した制御を説明するための図である。制御処理部15は、例えば、周辺情報として得られる、撮影装置51によって撮影された画像情報から人の視線方向52を推定し、推定した視線方向52に移動体3が存在する場合に、移動体3の位置を変更することで、人への影響度を下げてもよい。制御処理部15は、推定部12によって推定された影響度を用いた制御に加えて視線方向に基づくこの制御を行ってもよいし、視線方向に基づくこの制御だけを行ってもよい。図14に示した例では、B-3の机の左下の席に座っている人の視線方向52の延長線上に移動体3が存在するため、制御処理部15は、移動体3を左側へ移動させることを指示する制御信号を移動体3に送信してもよい。また、図14では、着席している人の視界に移動体が入らないように制御が行われる例を示したが、これに限らず、制御処理部15は、歩いている人、立っている人などの視線方向に基づいて、移動体3が視界に入らないように移動体3を制御してもよい。
【0089】
また、例えば、施設がホテルであり、上述した図6に例示したように施設情報に応じた目標影響度において、ホテルの目標影響度が低く設定されることにより、移動体3が、来客に気づかれにくく制御されているとする。また、施設における設備情報としてロビーにおけるイベントのスケジュールを示すイベント情報が含まれているとする。この場合、ロビーにおいて、ピアノ演奏などの華やかなイベント、にぎやかなイベントなどが開催されている時間帯には、制御処理部15は、目標影響度の上限を上げることで、移動体3がロビーを通過できるように制御してもよい。
【0090】
また、図7を用いて、人の行動ごとに、目標影響度を定める例を示したが、人の行動は、人が活動している例に限定されず、睡眠中、体調不良などの状態が含まれていてもよい。図15は、本実施の形態の、人の行動に応じた目標影響度の別の一例を示す図である。人の行動は、例えば、画像情報を用いて、取得部16または制御処理部15によって判定される。図15に示すように、例えば、人が落とし物をした場合の目標影響度を一定値以上とするなど、目標影響度を高く設定してもよい。これにより、人が落とし物に気づきやすくなる。同様に、体調が悪い人がいる場合の目標影響度を一定値以上とするなど、目標影響度を高く設定してもよい。これにより、体調不調の人がいることを、周囲の人が気づきやすくなる。また、睡眠中の人がいる場合には、目標影響度をしきい値以下とすることで、目標影響度を低くし、睡眠を妨げないようにしてもよい。なお、体調不調か否かの判定、睡眠中であるか否かの判定などは、人の携帯端末などからバイタルデータを取得できる場合には、バイタルデータに基づいて行われてもよい。
【0091】
また、図15には例示していないが、人の行動が不審な行動である場合の目標影響度を一定値以上とするなど、目標影響度を高く設定してもよい。例えば、不審な行動に対応する制御の内容を、移動体3の周辺の照明装置をオンとする、または移動体3の備える照明装置をオンとする、移動体3が人に話かける、移動体3に音を発生させるなどと定めておくことで、移動体3の存在感を強く感じさせ、これにより、不審な行動をとる人をけん制することができる。
【0092】
また、制御処理部15は、影響度を下げるための制御として、周辺機器であるディスプレイに画像を表示させるための制御信号を生成し、生成した制御信号をディスプレイに送信してもよい。図16は、本実施の形態の周辺機器の制御による影響度の低下を説明するための図である。例えば、人4が移動体3とすれ違うことで接近する際に、制御処理部15は、人4が移動体3と距離が近づくことで影響度が目標影響度を逸脱することが予想される場合、ディスプレイ6に画像を表示させるための制御信号を生成し、生成した制御信号をディスプレイ6に送信する。なお、ここでいう画像は、静止画だけでなく動画も含む。これにより、ディスプレイ6に画像が表示され、人4がディスプレイ6に注目することで移動体3の人4に対する影響度を低下させることができる。
【0093】
なお、ディスプレイ6に画像を表示させる制御は、影響度を変更するための制御の一例であり、制御の具体的内容は、例えば、あらかじめ実験により定められてもよい。例えば、ディスプレイ6に画像を表示させたり、スピーカから音声を出力させたり、様々なケースで、実験を行い、影響度の変化を評価しておき、効果的な対策を、影響度を低下させる制御として定めておいてもよい。また、ディスプレイ6に同じ画像が表示されても、人4によって移動体3の影響度が変化するか否かが異なることがあり、また、人4によって興味のある画像(画像の内容)も異なることがある。したがって、あらかじめ、人4ごとに、効果的な制御内容が定められていてもよい。また、人4ごとに表示される画像の内容が定められていてもよい。また、人4ごとの代わりに、人4を属性によりグループ分けし、グループごとに、制御内容、画像の内容などが定められていてもよい。このように、制御処理部15は、推定部12の推定結果に基づいて、影響度を低下させると判断した場合に、ディスプレイ6に画像を表示させ、第2の属性情報に基づいて表示させる画像を決定してもよい。
【0094】
次に、本実施の形態の情報処理装置1のハードウェア構成について説明する。本実施の形態の情報処理装置1は、コンピュータシステム上で、情報処理装置1のそれぞれにおける処理が記述されたコンピュータプログラムであるプログラムが実行されることにより、コンピュータシステムがそれぞれ情報処理装置1として機能する。図17は、本実施の形態の情報処理装置1のそれぞれを実現するコンピュータシステムの構成例を示す図である。図17に示すように、このコンピュータシステムは、制御部101と入力部102と記憶部103と表示部104と通信部105と出力部106とを備え、これらはシステムバス107を介して接続されている。
【0095】
図17において、制御部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、本実施の形態の情報処理装置1における処理が記述されたプログラムを実行する。入力部102は、例えばキーボード、ボタン、マウスなどで構成され、コンピュータシステムの使用者が、各種情報の入力を行うために使用する。記憶部103は、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)などの各種メモリおよびハードディスクなどのストレージデバイスを含み、上記制御部101が実行すべきプログラム、処理の過程で得られた必要なデータ、などを記憶する。また、記憶部103は、プログラムの一時的な記憶領域としても使用される。制御部101および記憶部103は、例えば、処理回路を構成する。処理回路は、1つの回路であってもよいし複数の回路であってもよい。表示部104は、ディスプレイ、LCD(Liquid Crystal Display:液晶表示パネル)などで構成され、コンピュータシステムの使用者に対して各種画面を表示する。なお、入力部102と表示部104とが一体化されたタッチパネルが用いられてもよい。通信部105は、通信処理を実施する受信機および送信機である。出力部106は、スピーカなどである。なお、図17は、一例であり、情報処理装置1のそれぞれを実現するコンピュータシステムの構成は図17に示した例に限定されない。例えば、出力部106が設けられていなくてもよい。
【0096】
ここで、本実施の形態のプログラムが実行可能な状態になるまでのコンピュータシステムの動作例について説明する。上述した構成をとるコンピュータシステムには、例えば、図示しないCD(Compact Disc)-ROMドライブまたはDVD(Digital Versatile Disc)-ROMドライブにセットされたCD-ROMまたはDVD-ROMから、プログラムが記憶部103にインストールされる。そして、プログラムの実行時に、記憶部103から読み出されたプログラムが記憶部103の主記憶領域に格納される。この状態で、制御部101は、記憶部103に格納されたプログラムにしたがって、本実施の形態の情報処理装置1のそれぞれとしての処理を実行する。
【0097】
なお、上記の説明においては、CD-ROMまたはDVD-ROMを記録媒体として、情報処理装置1のそれぞれにおける処理を記述したプログラムを提供しているが、これに限らず、コンピュータシステムの構成、提供するプログラムの容量などに応じて、例えば、通信部105を経由してインターネットなどの伝送媒体により提供されたプログラムを用いることとしてもよい。
【0098】
本実施の形態のプログラムは、例えば、コンピュータシステムに、移動体3が動作する際の影響度を推定する推定ステップ、を実行させる。
【0099】
図1に示した推定部12および制御処理部15は、図17に示した記憶部103に記憶されたプログラムが図17に示した制御部101により実行されることにより実現される。また、推定部12および制御処理部15の実現には、記憶部103も用いられる。また、制御処理部15の実現には、図17に示した通信部105も用いられる。図1に示した取得部16および受付部17は、それぞれ図17に示した入力部102および通信部105のうちの少なくとも一方により実現される。また、取得部16の一部の機能は、制御部101により実行されてもよい。図1に示した情報記憶部11は、図17に示した記憶部103の一部である。情報処理装置1は、複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、情報処理装置1は、クラウドコンピュータシステムにより実現されてもよい。
【0100】
以上のように、本実施の形態の情報処理装置1は、移動体3の動作の際の影響度を推定する。これにより、移動体3の存在感を把握することができる。さらに、情報処理装置1は、推定した影響度を用いて、影響度が定められた条件を満たすように制御を行うことで、移動体3の影響度を適切に保つことができる。
【0101】
実施の形態2.
図18は、実施の形態2にかかる情報処理システム100aの構成例を示す図である。本実施の形態の情報処理システム100aは、情報処理装置1aと、表示装置7とを備える。以下、実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0102】
本実施の形態の情報処理装置1aは、制御処理部15の代わりに表示情報生成部18を備える以外は、実施の形態1の情報処理装置1と同様である。本実施の形態では、推定部12は影響度の推定結果を表示情報生成部18へ出力し、表示情報生成部18は、推定部12から受け取った推定結果を分布図として示す表示情報を生成し、表示情報を表示装置7へ出力する。表示情報は、表示装置7に、影響度の推定結果を分布図として表示するための情報である。これにより、表示装置7は、推定された影響度の分布図を表示する。本実施の形態においても、推定部12は、第1の影響度および第2の影響度のうちの少なくとも一方を推定する。分布図は、2次元平面における分布図であってもよいし、3次元空間における分布図であってもよい。
【0103】
図19は、本実施の形態の情報処理装置1aにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。情報処理装置1aは、表示指示があったか否かを判断する(ステップS11)。詳細には、例えば、受付部17が、オペレータなどから表示指示の入力を受け付けるか、または図示しない他の装置から表示指示を受信すると、表示指示があったと判断する。表示指示がない場合(ステップS11 No)、情報処理装置1aは、ステップS11を繰り返す。
【0104】
表示指示があった場合(ステップS11 Yes)、情報処理装置1aは、ステップS1,S2の処理を実施する。ステップS1,S2は、実施の形態1と同様である。ステップS2の後、情報処理装置1aは、表示情報を生成する(ステップS12)。詳細には、表示情報生成部18が、推定部12から受け取った影響度の推定結果を用いて、推定された影響度の分布図を示す表示情報を生成する。
【0105】
次に、情報処理装置1aは、表示情報を出力し(ステップS13)、処理を終了する。詳細には、ステップS13では、表示情報生成部18が、表示情報を表示装置7へ出力する。なお、表示装置7は、ディスプレイ、モニタなどであってもよいし、コンピュータシステムである端末装置であってもよい。この場合、表示指示は、当該端末装置から送信され、受付部17が端末装置から表示指示を受信してもよい。
【0106】
図20図22は、本実施の形態の表示装置7に表示される表示画面の一例を示す図である。図20図22では、推定された影響度の2次元平面における分布をコンター図示しているが、分布図の表示形式は図20図22に示した例に限定されない。
【0107】
図20には、影響度の推定結果の分布図として、第1の影響度の推定結果の分布32を示す図が表示される例が示されている。図20に示した例では、移動体3の移動方向31において影響度が広く分布している。例えば、移動方向を変えて実験を行うことで、移動方向の影響が考慮された影響度が推定されてもよい。または、例えば、表示情報生成部18が、処理周期ごとに、今回の処理タイミングから次の処理タイミングまでの移動を考慮し、この間の各時間帯の影響度の分布を重ね合わせることで図20に示すような分布図を生成してもよい。この場合、影響度をそのまま加算する代わりに、例えば時間刻みを乗算して加算するなどの方法によって、影響度の値が正規化されてもよい。
【0108】
図21には、影響度の推定結果の分布図として、第2の影響度の推定結果の分布41を示す図が表示される例が示されている。図21に示した例では、推定対象物が人4である例を示している。
【0109】
図22には、影響度の推定結果の分布図として、第1の影響度の推定結果と第2の影響度の推定結果との両方の分布を示す図が表示される例が示されている。図22に示した例では、推定対象物が人4-1,4-2である例を示しており、人4-1,4-2のそれぞれに対応する第2の影響度が分布41-1,41-2として表示されている。図22では、領域42では、人4-1に対応する第2の影響度の分布41-1と第1の影響度の分布32とが重なっている。このような領域に関しては、第1の影響度の分布41-1と第2の影響度の分布41-2とのどちらの分布に対応する表示態様で表示されてもよい。すなわち、領域42には、分布41-1が表示されてもよいし、分布41-2が表示されてもよい。例えば、第1の影響度と第2の影響度の分布が重なった場合にどちらの表示を優先するかが、あらかじめ指定され、指定に基づいて表示が行われてもよい。また、図22では図示されていないが、第1の影響度と第2の影響度とを加算した総合影響度が、さらに数値などで表示されてもよい。例えば、人4-1に関する総合影響度は、図22における人4-1の位置における第1の影響度の値と、移動体3の位置における第2の影響度とを加算した値としてもよい。すなわち、例えば、人4-1に関する総合影響度は、第1の影響度の分布32と人4-1の位置との交点での値、および人4-1に関する第2の影響度の分布41-1と移動体3の位置との交点での値を加算したものとなる。また、人4-2に関する総合影響度は、図22における人4-2の位置における第1の影響度の値と、移動体3の位置における第2の影響度とを加算した値としてもよい。また、第1の影響度と第2の影響度とが加算される代わりに、第1の影響度と第2の影響度とが重み付け加算されてもよい。なお、総合影響度の算出情報は、これらの例に限定されない。
【0110】
本実施の形態の情報処理装置1aは、実施の形態1の情報処理装置1と同様に、例えば、図17に例示したコンピュータシステムにより実現される。図18に示した表示情報生成部18は、図17に示した記憶部103に記憶されたプログラムが図17に示した制御部101により実行されることにより実現される。また、表示情報生成部18の実現には、記憶部103も用いられる。
【0111】
なお、図18では、制御処理部15の代わりに表示情報生成部18を備える例を示したが、これに限らず、実施の形態1の情報処理装置1に、表示情報生成部18を追加し、実施の形態1の動作と、本実施の形態の動作との両方が行われてもよい。
【0112】
以上のように、本実施の形態では、推定された影響度が分布図として表示されるため、例えば、移動体3の管制を行うオペレータが移動体3の影響度を視覚的に容易に把握することができる。また、移動体3の移動計画、作業計画などを作成する際に、オペレータは、移動体3の影響度を考慮した計画を作成しやすくなる。また、分布図は、移動体3が存在する施設の地図情報と重畳されて表示されてもよい。これにより、オペレータは、影響度を考慮した移動体3の移動ルートを決定しやすくなる。
【0113】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0114】
1,1a 情報処理装置、2 制御対象装置、3 移動体、4,4-1,4-2 人、6 ディスプレイ、7 表示装置、11 情報記憶部、12 推定部、13 第1の推定部、14 第2の推定部、15 制御処理部、16 取得部、17 受付部、18 表示情報生成部、51 撮影装置、52 視線方向、100,100a 情報処理システム、131 モデル生成部、132 推論部。
【要約】
本開示にかかる情報処理装置(1)は、移動体が動作する際の移動体の存在感を示す影響度を推定する推定部(12)、を備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22