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特許7665169開発文書作成装置、開発文書作成方法、及び開発文書作成プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-11
(45)【発行日】2025-04-21
(54)【発明の名称】開発文書作成装置、開発文書作成方法、及び開発文書作成プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20230101AFI20250414BHJP
【FI】
G06Q10/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2024230794
(22)【出願日】2024-12-26
【審査請求日】2024-12-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】321003706
【氏名又は名称】株式会社エヌティ・ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】南雲 暢之
(72)【発明者】
【氏名】村岡(中村) 理恵子
【審査官】樋口 龍弥
(56)【参考文献】
【文献】特許第7527580(JP,B1)
【文献】特許第7591175(JP,B1)
【文献】特許第7560194(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大規模言語モデルを用いて開発文書の作成を支援する開発文書作成装置であって、
前記開発文書に記載する開発に関する開発情報を取得する開発情報取得部と、
前記開発のタスクに応じて前記大規模言語モデルのプロンプトをテンプレート情報として記録する第1記録部と、
前記開発のタスクをユーザから取得するタスク取得部と、
前記取得されたタスクに応じたテンプレート情報に基づいて前記大規模言語モデルを用いて第1質問を生成する質問生成部と、
前記第1質問に対する第1ユーザ回答をユーザから取得する回答取得部と、
前記回答取得部が取得した前記第1ユーザ回答に基づいて、解決策である回答を生成する回答生成部と、
前記開発情報と、前記ユーザから取得した前記第1質問に対する前記第1ユーザ回答とに基づいて、前記大規模言語モデルを用いて開発文書を作成する作成部と、
を備える、開発文書作成装置。
【請求項2】
前記開発文書は、内製企画書、環境定義書、要件定義書、設計書及び計画書を含み、
前記作成部は、前記内製企画書を作成し、前記内製企画書に基づき現行業務フロー、課題一覧表及び前記環境定義書を作成し、前記現行業務フロー、前記課題一覧表及び前記環境定義書に基づき前記要件定義書を作成し、前記作成された要件定義書に基づき前記設計書及び前記計画書を作成する、
請求項1に記載の開発文書作成装置。
【請求項3】
前記第1記録部は、企業資源計画の導入手順及び保守ノウハウを記録し、
前記作成部は、前記記録された企業資源計画の導入手順及び保守ノウハウに対応した前記開発文書を成果物として作成する、
請求項1に記載の開発文書作成装置。
【請求項4】
前記作成部は、前記企業資源計画の導入作業プロンプトを事前にテンプレート化した第1プロンプトと、ユーザとの対話に基づく第2プロンプトと、に基づいて、前記開発文書を作成する、
請求項3に記載の開発文書作成装置。
【請求項5】
前記作成部が作成した前記開発文書を作成するために用いられたプロンプトを記憶する第2記録部と、
一のユーザが担当するプロジェクトを同一チーム内の他のユーザが閲覧及び実行できるように構成された共有表示部と、
前記開発文書とは異なる他の開発文書の作成に際し前記プロンプトを反映させる反映部と、
をさらに備える、請求項1に記載の開発文書生成装置。
【請求項6】
前記質問生成部は、前記ユーザからの前記第1ユーザ回答に基づいて前記第1質問を補完する第2質問をさらに生成する、
請求項1に記載の開発文書作成装置。
【請求項7】
前記回答取得部は、前記第2質問に対する第2ユーザ回答を前記ユーザから取得し、
前記作成部は、前記開発情報と、前記第1ユーザ回答及び前記第2ユーザ回答に基づいて、前記開発文書を作成する、
請求項6に記載の開発文書作成装置。
【請求項8】
前記第1プロンプトは、前記開発文書を作成するにあたり必要なユーザとAIとの会話履歴を含む、
請求項4に記載の開発文書作成装置。
【請求項9】
前記回答生成部は、前記タスクのカテゴリに対応して前記回答を生成する、請求項7に記載の開発文書作成装置。
【請求項10】
前記回答生成部は、現在日付に応じて前記回答を生成する、請求項7に記載の開発文書作成装置。
【請求項11】
大規模言語モデルを用いて開発文書の作成を支援する開発文書作成方法であって、
コンピュータに、
前記開発文書に記載する開発に関する開発情報を取得する開発情報取得ステップと、
前記開発のタスクに応じて前記大規模言語モデルのプロンプトをテンプレート情報として記録する記録ステップと、
前記開発のタスクをユーザから取得するタスク取得ステップと、
前記取得されたタスクに応じたテンプレート情報に基づいて前記大規模言語モデルを用いて第1質問を生成する質問生成ステップと、
前記第1質問に対する第1ユーザ回答をユーザから取得する回答取得ステップと、
前記回答取得ステップにおいて取得された前記第1ユーザ回答に基づいて解決策である回答を生成する回答生成ステップと、
前記開発情報と、前記ユーザから取得した前記第1質問に対する第1ユーザ回答とに基づいて、前記大規模言語モデルを用いて開発文書を作成する作成ステップと、
を実行させる、開発文書作成方法。
【請求項12】
大規模言語モデルを用いて開発文書の作成を支援する開発文書作成プログラムであって、
コンピュータに、
前記開発文書に記載する開発に関する開発情報を取得する開発情報取得機能と、
前記開発のタスクに応じて前記大規模言語モデルのプロンプトをテンプレート情報として記録する記録機能と、
前記開発のタスクをユーザから取得するタスク取得機能と、
前記取得されたタスクに応じたテンプレート情報に基づいて前記大規模言語モデルを用いて第1質問を生成する質問生成機能と、
前記第1質問に対する第1ユーザ回答をユーザから取得する回答取得機能と、
前記回答取得機能により取得された前記第1ユーザ回答に基づいて、解決策である回答を生成する回答生成機能と、
前記開発情報と、前記ユーザから取得した前記第1質問に対する第1ユーザ回答とに基づいて、前記大規模言語モデルを用いて開発文書を作成する作成機能と、
を実現させる、開発文書作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開発文書作成装置、開発文書作成方法、及び開発文書作成プログラムに関し、特に大規模言語モデルを用いて開発文書の作成を支援することが可能な開発文書作成装置、開発文書作成方法、及び開発文書作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、受発注プロセス全体における十分な支援により受発注活動を容易に行うことを可能にする技術がある。例えば特許文献1に開示される受発注支援装置では、受発注データベースの受発注関連情報に基づいて、プロンプトで与えられた単語や文章が自然言語としてどのように起こりやすいかを確率的に予測し、受発注支援情報を生成するように学習及び調整が行われることで、受発注支援情報の作成に特化された大規模言語モデルを有した大規模言語モデル部と、利用者との会話における利用者の回答情報を受け付ける情報受付部と、大規模言語モデルにおける受発注支援情報の生成の前提条件として指示する初期設定プロンプト生成部と、前提条件に基づいて受発注ステージに適合した受発注支援情報を大規模言語モデルに生成させる受発注プロンプト生成部と、を有している。
【0003】
しかし、特許文献1に開示の受発注支援装置では、受発注支援情報の作成に特化された大規模言語モデルを利用し、利用者の課題の受付けからベンダーへの発注に至るまでの受発注ステージに従った会話を利用者との間で行うことに注目していたが、内製企画書、環境定義書、要件定義書、設計書及び計画書等の、システム開発に特化した文書の作成には着目されていなかった。
このため、システム開発における、内製企画書、環境定義書、要件定義書、設計書及び計画書等の、開発に特化した文書の作成を可能とする技術の登場が望まれた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第7526415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、システム開発における、内製企画書、環境定義書、要件定義書、設計書及び計画書等の、開発に特化した文書の作成を可能とする開発文書作成装置、開発文書作成方法、及び開発文書作成プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、第1の態様に係る開発文書作成装置は、大規模言語モデルを用いて開発文書の作成を支援する開発文書作成装置であって、開発文書に記載する開発に関する開発情報を取得する開発情報取得部と、開発のタスクに応じて大規模言語モデルのプロンプトをテンプレート情報として記録する第1記録部と、開発のタスクをユーザから取得するタスク取得部と、取得されたタスクに応じたテンプレート情報に基づいて大規模言語モデルを用いて第1質問を生成する質問生成部と、第1質問に対する第1ユーザ回答をユーザから取得する回答取得部と、回答取得部が取得した第1ユーザ回答に基づいて、解決策である回答を生成する回答生成部と、開発情報と、ユーザから取得した第1質問に対する第1ユーザ回答とに基づいて、大規模言語モデルを用いて開発文書を作成する作成部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
第2の態様は、第1の態様の開発文書作成装置において、開発文書は、内製企画書、環境定義書、要件定義書、設計書及び計画書を含み、作成部は、内製企画書を作成し、内製企画書に基づき現行業務フロー、課題一覧表及び環境定義書を作成し、現行業務フロー、課題一覧表及び環境定義書に基づき要件定義書を作成し、作成された要件定義書に基づき設計書及び計画書を作成することとしてもよい。
【0008】
第3の態様の開発文書作成装置において、第1記録部は、企業資源計画の導入手順及び保守ノウハウを記録し、作成部は、記録された企業資源計画の導入手順及び保守ノウハウに対応した開発文書を成果物として作成することとしてもよい。
【0009】
第4の態様の開発文書作成装置において、作成部は、企業資源計画の導入作業プロンプトを事前にテンプレート化した第1プロンプトと、ユーザとの対話に基づく第2プロンプトと、に基づいて、開発文書を作成することとしてもよい。
【0010】
第5の態様の開発文書作成装置は、作成部が作成した、開発文書を作成するために用いられたプロンプトを記憶する第2記録部と、一のユーザが担当するプロジェクトを同一チーム内の他のユーザが閲覧及び実行できるように構成された共有表示部と、開発文書とは異なる他の開発文書の作成に際しプロンプトを反映させる反映部と、をさらに備えることとしてもよい。
【0011】
第6の態様の開発文書作成装置において、質問生成部は、ユーザからの第1ユーザ回答に基づいて第1質問を補完する第2質問をさらに生成することとしてもよい。
【0012】
第7の態様に係る開発文書作成装置において、回答取得部は、第2質問に対する第2ユーザ回答をユーザから取得し、
作成部は、開発情報と、第1回答及び第2回答に基づいて、開発文書を作成することとしてもよい。
【0013】
第8の態様の開発文書作成装置において、第1プロンプトは、開発文書を作成するにあたり必要なユーザとAIとの会話履歴を含むこととしてもよい。
【0014】
第9の態様の開発文書作成装置において、回答生成部は、タスクのカテゴリに対応して回答を生成することとしてもよい。
【0015】
第10の態様の開発文書作成装置において、回答生成部は、現在日付に応じて回答を生成することとしてもよい。
【0016】
第11の態様の開発文書作成方法は、大規模言語モデルを用いて開発文書の作成を支援する方法であって、コンピュータに、開発文書に記載する開発に関する開発情報を取得する開発情報取得ステップと、開発のタスクに応じて大規模言語モデルのプロンプトをテンプレート情報として記録する記録ステップと、開発のタスクをユーザから取得するタスク取得ステップと、取得されたタスクに応じたテンプレート情報に基づいて大規模言語モデルを用いて第1質問を生成する質問生成ステップと、第1質問に対する第1ユーザ回答をユーザから取得する回答取得ステップと、回答取得部が取得した前記第1ユーザ回答に基づいて、解決策である回答を生成する回答生成ステップと、開発情報と、ユーザから取得した第1質問に対する第1ユーザ回答とに基づいて、大規模言語モデルを用いて開発文書を作成する作成ステップと、を実行させることを特徴とする。
【0017】
第12の態様に係る開発文書作成プログラムは、大規模言語モデルを用いて開発文書の作成を支援するプログラムであって、コンピュータに、開発文書に記載する開発に関する開発情報を取得する開発情報取得機能と、開発のタスクに応じて大規模言語モデルのプロンプトをテンプレート情報として記録する記録機能と、開発のタスクをユーザから取得するタスク取得機能と、取得されたタスクに応じたテンプレート情報に基づいて大規模言語モデルを用いて第1質問を生成する質問生成機能と、第1質問に対する第1ユーザ回答をユーザから取得する回答取得機能と、回答取得部が取得した前記第1ユーザ回答に基づいて、解決策である回答を生成する回答生成機能と、開発情報と、ユーザから取得した第1質問に対する第1ユーザ回答とに基づいて、大規模言語モデルを用いて開発文書を作成する作成機能と、を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る開発文書作成装置は、大規模言語モデルを用いて開発文書の作成を支援する開発文書作成装置であって、開発文書に記載する開発に関する開発情報を取得する開発情報取得部と、開発のタスクに応じて大規模言語モデルのプロンプトをテンプレート情報として記録する第1記録部と、開発のタスクをユーザから取得するタスク取得部と、取得されたタスクに応じたテンプレート情報に基づいて大規模言語モデルを用いて第1質問を生成する質問生成部と、第1質問に対する第1ユーザ回答をユーザから取得する回答取得部と、回答取得部が取得した前記第1ユーザ回答に基づいて、解決策である回答を生成する回答生成部と、開発情報と、ユーザから取得した第1質問に対する前記第1ユーザ回答とに基づいて、大規模言語モデルを用いて開発文書を作成する作成部と、を備えることを特徴とするので、システム開発における、内製企画書、環境定義書、要件定義書、設計書及び計画書等の、開発に特化した文書の作成を可能とする。
【0019】
また、本発明に係る開発文書作成方法及び開発文書作成プログラムは、本発明に係る開発文書作成装置と同様に、システム開発における、内製企画書、環境定義書、要件定義書、設計書及び計画書等の、開発に特化した文書の作成を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施形態の開発文書作成システム構成の概略を示す図である。
図2図2は、本発明の実施形態の開発文書作成装置の機能構成を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の実施形態の開発文書作成装置の仕様を示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態の開発文書作成装置の画面遷移を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態の開発文書作成装置のチャット画面を示す図である。
図6図6は、本発明の実施形態の開発文書作成装置の画面イメージを示す図である。
図7図7は、本発明の実施形態の開発文書作成装置のテンプレートを示す図である。
図8図8は、本発明の実施形態の開発文書作成装置のプロジェクトテンプレートを示す図である。
図9図9は、本発明の実施形態の開発文書作成装置のプロセステンプレートを示す図である。
図10図10は、本発明の実施形態の開発文書作成方法のフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以降、図を用いて、本発明の一実施形態を説明する。なお、図は一例であって、本発明は図に示すものに限定されない。例えば、図示した開発文書作成装置(サーバ)、大規模言語モデルサーバ、及びユーザ端末の数、データセット(テーブル)、フローチャート、表示画面例は一例であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施形態にかかる開発文書作成システムの構成例を示す図である。開発文書作成システム600は、サーバ(開発文書作成装置)100と、ユーザ端末200と、大規模言語モデルサーバ300とを少なくとも含む。
【0023】
サーバ100は、開発文書作成支援サービスを提供するプラットフォームとして機能し、作成した開発文書を、ネットワーク500を介して接続されたユーザ端末200に対して出力する。ここで、「開発文書」とは、システム開発における、開発に特化した文書であって、内製企画書、環境定義書、要件定義書、設計書及び計画書等を指してよい。詳細は後述するが、サーバ100は、ユーザ端末200との間で情報をやり取りしながら、開発文書を作成する。このとき、サーバ100は、大規模言語モデルサーバ300がクラウドで提供する大規模言語モデルの機能を用いて、開発文書を作成する。
【0024】
大規模言語モデル(LLM:Large language Models)は、自然言語処理(NLP:Natural Language Processing)に特化した生成AI(Artificial Intelligence)の一種であって、膨大な量のテキストデータを深層学習して構築された、高度な自然言語生成(NLG:Natural language generation)を実現する言語モデルである。なお、言語モデルとは、人間が使用する自然言語のパターンを理解し、単語の出現確率を分析することで、ある単語の次にくる単語を予測するしくみを指す。大規模言語モデルとは、例えば、ChatGPT(Chat Generative Pre-trained Transformer)(登録商標)、PaLM2(登録商標)、LaMDA2(登録商標)等であってよい。なお、これらの大規模言語モデルに入力する指示として用いられる単語や文章を、一般にプロンプトと称する。なお、使用する言語モデルは大規模言語モデルに限られず、小規模言語モデル(SLM:Small Language Model)であってもよい。小規模言語モデルは特定タスクの処理を得意とする軽量型の言語モデルである。ユーザによるファイル入力(ファイル添付)については、テキスト形式(txt、html、xml、csv)、Officeファイル(Excel、PowerPoint、Word)、PDF、画像(jpg、png)の形式に対応している。これらのファイルは、テキスト形式に変換され、ユーザの発言に紐づく形で会話履歴として保存される。特に画像については、「OCR結果の情報」と「画像をテキスト形式に変換した情報」との2種類を取得し、会話履歴内に保持する仕組みとなっており、文字が描かれているような画像に対しても精度を上げた回答をAIが行う。
【0025】
サーバ100は、各実施形態において記載する機能を実現できる情報処理装置であればどのような装置であってもよい。サーバ100は、例えば、サーバ装置、コンピュータ(例えば、デスクトップ、ラップトップ、タブレット等)、又はコミュニケーションプラットホームを含む。なお、図1では、サーバ100と大規模言語モデルサーバ300とを別個のものとして示してあるが、これに限定されない。すなわち、サーバ100が備えるとして説明する各機能は、複数のサーバによって実現されてもよいし、単一のサーバによって実現されてもよい。また、大規模言語モデルサーバ300が提供する機能を、サーバ100の一部の機能として実現してもよい。なお、サーバ100は、例えば、ネットワークを介して通信を行うことで協調動作する分散型サーバシステムでもよく、いわゆるクラウドサーバでもよい。すなわち、サーバ100は、物理的なサーバに限らず、ソフトウェアによる仮想的なサーバも含まれてよい。また、サーバ100は、各実施形態において記載する機能を実現できる情報処理装置であればどのような装置であってもよく、例えば、サーバ装置、コンピュータ(限定でなく例として、デスクトップ、ラップトップ、タブレット等)、コミュニケーションプラットホーム等を含んでもよい。
【0026】
ユーザ端末200は、開発文書作成支援システム600を利用するユーザが用いる通信端末であって、開発文書作成支援サービスを利用するためのアプリケーションがインストールされ、サーバ100との間で各種情報の送受信が可能である。なお、ユーザ端末200へのアプリケーションのインストールは必須ではなく、ユーザは、ユーザ端末200から、webブラウザ等を介して、サーバ100において提供される開発文書作成支援サービスを利用するためのwebページにアクセスし、各種情報の送受信を、サーバ100との間で行ってよい。
【0027】
なお、図1では、ユーザ端末200としてノートパーソナルコンピュータを示してあるが、ユーザ端末200としては、これ以降に説明する機能を実現できる端末であればどのような端末であってもよい。例えば、ユーザ端末200は、コンピュータ(例えば、タブレット端末、デスクトップパーソナルコンピュータ)、スマートフォン等であってよい。
【0028】
開発文書作成支援システム600は、開発文書作成支援システム600で利用する各種情報(データ)を記憶(格納)する図示しないデータベースサーバをさらに含んでよい。開発文書作成支援システム600で利用するデータとは、例えば、大規模言語モデルに入力するプロンプトや、ユーザ情報であってよい。
【0029】
ネットワーク500は、無線ネットワークや有線ネットワークを含んでよく、例えば、ワイヤレスLAN(wireless LAN:WLAN)や広域ネットワーク(wide area network:WAN)、ISDNs(integrated service digital networks)、無線LANs、CDMA(code division multiple access)、LTE(long term evolution)、LTE-Advanced、第4世代通信(4G)、第5世代通信(5G)、及び第6世代通信(6G)以降の移動体通信システム等であってよい。なお、ネットワーク500は、これらの例に限られず、例えば、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)やブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、光回線、衛星通信網等であってもよい。また、ネットワーク500は、これらの組み合わせであってもよい。
【0030】
図2は、実施形態の開発文書作成装置(サーバ)100の機能ブロック図である。本実施形態の開発文書作成装置100は、開発情報取得部10、第1記録部20、タスク取得部30、質問生成部40、回答取得部50、回答生成部60、作成部70、第2記録部80、共有表示部90及び反映部110を備える。また、これらは、CPUがRAM上に展開された情報処理プログラムを実行することにより実現される機能部である。開発文書作成装置100には、さらに、ROM、RAM、SSD,HDD等の記憶部、各種のインターフェース等が適式に実装される(図示省略)。
【0031】
開発情報取得部10は、開発文書に記載する開発に関する開発情報を取得する。開発文書は、例えば、内製企画書、環境定義書、要件定義書、設計書及び計画書を含む。開発情報とは、企業資源計画(ERP)導入ノウハウ、ERP保守ノウハウ、標準ドキュメント、顧客のASIS業務資料、セキュリティマスクなどのような情報である。セキュリティマスクとは、マスクキーワードのマスタに登録されたデータを用いて、元のデータ構造や意味を保持しつつ、特定の情報を非表示、書き換え、変更することで、データの機密性を保護する技術である。
【0032】
第1記録部20は、開発のタスクに応じて大規模言語モデルのプロンプトをテンプレート情報として記録する。開発のタスクとは、例えば、要件定義書を作成すること、新機能一覧を作成すること、基本設計書を作成すること、詳細設計書を作成すること、プログラミングを行うこと、などである。この開発情報取得部10及び第1記録部20を備えることにより、開発文書作成装置100は専門ノウハウに対応して、単語レベルで統計的に処理することにより開発文書作成ができる。それにより、ユーザのERP専門知識やAIスキルに左右されない作業が可能となる。
【0033】
タスク取得部30は、開発のタスクをユーザから取得する。開発のタスクとは、上述の通り、例えば、要件定義書を作成すること、新機能一覧を作成すること、基本設計書を作成すること、詳細設計書を作成すること、プログラミングを行うこと、などであり、ユーザが行いたい作業をテンプレートから選択する。タスク取得部30は、ユーザが選択したテンプレートに関するタスクを取得する。ERP導入の作業プロンプトを事前にテンプレート化しているため、テンプレートからタスクを選択するとすぐにAIから質問が来て作業を開始することができる。
【0034】
質問生成部40は、取得されたタスクに応じたテンプレート情報に基づいて大規模言語モデルを用いて第1質問を生成する。質問生成部40は、ユーザからの第1ユーザ回答に基づいて第1質問を補完する第2質問をさらに生成する。第1質問とは、例えば、「御社の抱えている問題を教えて下さい。」、「現行のシステムや業務には、どのような問題がありますか」、「その原因もご存知でしたら、併せて教えて下さい。」などである。第1ユーザ回答は、例えば、「部門別、セグメント別の収益管理について、収益の収集に時間がかかっています。何も仕組みがないのが原因だと思っています。」、「個別製品の原価が把握できていないです。共通費の配賦が出来ていないのが原因です。」、「歩留まりの把握ができていません。」、「承認処理が紙ベースです。」、「レガシーシステムが残っています。」、「使用しているERPの保守期限が迫っています。」などである。第2質問とは、例えば、「収益の収集に時間がかかるとのことですが、具体的にどのようなプロセスで収益を収集していますか?また、どの部門やセグメントが特に問題となっていますか?」、「共通費の配賦が出来ていないとのことですが、現在どのように原価を計算していますか?共通費の配賦方法について、どのような基準を設けたいと考えていますか?」、「歩留まりの把握ができていないとのことですが、現在どのように生産データを管理していますか?歩留まりの計算に必要なデータはどのように収集していますか?」、「承認処理が紙ベースとのことですが、どのような承認プロセスが存在しますか?また、承認に関わる部門や担当者はどのように関与していますか?」、「レガシーシステムが残っているとのことですが、具体的にどのシステムが残っており、どのような業務に使用されていますか?また、レガシーシステムのどの部分が問題となっていますか?」などである。以降、質問生成部40は、第3質問、第4質問・・・と、どんどん深掘りして質問を生成していく。
【0035】
回答取得部50は、第1質問に対する第1ユーザ回答をユーザから取得する。回答取得部50は、第2質問に対する第2ユーザ回答をユーザから取得する。第2ユーザ回答とは例えば、「メールでのやり取りや会議です。併せて合計で20時間/月程度かかっています。問題になっているのはA部門です。」、「原価はXXシステムで計算していますが、詳細についてはパッケージの担当者に確認しないと(私の方では)分かりません。確認が必要です。」、「生産管理はYYシステムを使用しています。データの収集は手作業です。」、「部下→上長の承認プロセスが多いです。ただ、最終的に情報システム部や管理部が承認する必要のあるフローもあります。」、「在庫管理システムが残っています。独立したシステムとなっていて、他の現行システムと十分な連携が取れておらず、困っています。」、「サポート期限が2025年の9月なのですが、切れるとベンダーによるサポートが行われないので困っています。」などである。
【0036】
回答生成部60は、回答取得部が取得した前記第1ユーザ回答に基づいて、解決策である回答を生成する。ユーザが的外れな回答をしても、解決策である回答を生成する。
【0037】
回答生成部60は、以降、第3回答、第4回答・・と回答を生成する。この第3回答以降が、「あるべき姿」であったりする。「あるべき姿」は、例えば、「ソフトウェア○○の収益管理情報を活用し、自動化された収益収集プロセスを構築する」、「ソフトウェア○○の原価管理機能を使用し、共通費の配賦基準を設定する」、「ソフトウェア○○の生産管理機能を活用し、歩留まり計算に必要なデータを自動収集する」、「ソフトウェア○○のワークフロー機能を使用し、電子承認プロセスを構築する」、「ソフトウェア○○への全面移行を計画し、統合を始める」、「ソフトウェア○○への移行を早急に進め、保守リスクを回避する」、などである。
【0038】
回答生成部60は、タスクのカテゴリに対応して回答を生成する。AIの振る舞いを安定させる為、今の作業がどのようなジャンルの作業なのかを認識させる仕組みが搭載されている。具体的には、一般的なシステムに搭載されている「カテゴリ」を拡張し、AIへのシステムプロンプトへ連携させている。これにより、AIは話題を正しく認識し、適切な振る舞いが出来るようになっている。カテゴリが設定されている場合、そのカテゴリのスペシャリストとして振る舞うようにAIに自動で指示を行う。カテゴリは複数設定することも可能である。カテゴリをもとに自動で与えられたシステムプロンプトにより、AIはソフトウェア○○のスペシャリストとして振る舞う。この指定が無いと、一般的なシステムの話を始めてしまう。
【0039】
回答生成部60は、現在日付に応じて回答を生成する。AIは通常、ナレッジカットオフの日付を現在日付と認識する性質がある為、プログラム内部で現在日付の情報を与えることで、現在日付を正しく認識させるようにしている。ユーザが日付情報を与えずにコメントしても、AIのほうで日付を正しく把握しているので、記入日が正しく入力される。
【0040】
回答生成部60は、RAGの考え方を使用し、検索リソースからの検索結果を加味して回答する仕組みを搭載している。RAGとは、Retrieval-Augmented Generation(検索拡張生成)であり、LLM(大規模言語モデル)のテキスト生成に、信頼性の高い外部情報の検索を組み合わせることで、プロンプトだけではコントロールしづらい出力精度を向上させるフレームワークである。AIに検索対象を選ばせることで、不要な情報による回答精度の低下、不要な情報によるトークン数の超過(速度低下、エラー)という問題を解決している。ただ、それだけでは、AIが実行してほしい検索を実行してくれない問題も発生する。その為、開発文書作成装置100では、必ず実行してほしい検索と、AIの判断に委ねる部分とを明確に指定できるようにしている。
【0041】
グラフDBでより重要なデータを取得する工夫として、一般的にグラフDBでの経路の検索は、何も指定しないと大量の経路が見つかる。一方で、AIにはトークン数の制限がある為、重要な経路のみを取得する必要がある。開発文書作成装置100では、エッジのプロパティ情報に重要度に係る属性情報を持たせ、検索した情報を精査(つまり、重要度の高い情報のみを取得)する仕組みを搭載している。グラフDBへの検索が必要な質問をすると、AIが「グラフDBへの検索が必要」と判断し、内部でグラフDBへの検索処理が実行され、グラフDBの検索結果を加味した回答が出力される。中間となるテーブルのリレーションも明確に回答できる。これは、単純なテキスト検索やベクトル検索では回答出来ない内容である。例えば、テーブルのリレーションなど、A→B→Cと関連のある事柄に対して、AとCの経路を検索したい時、従来のテキスト検索やベクトル検索では、Bにあたるデータを取得するのが困難という問題があった。開発文書作成装置100では、この問題に対し、グラフDBにデータを格納しておき、そこからRAGをすることで、意図した回答が出来る。これにより、例えば、ERPなどのパッケージソフトに含まれる(あらかじめバンドルされた)テーブルのリレーションを容易に検索できるようになり、AIに正しいクエリを書かせることが可能となる。
【0042】
作成部70は、開発情報と、ユーザから取得した第1質問に対する第1ユーザ回答とに基づいて、大規模言語モデルを用いて開発文書を作成する。作成部70は、内製企画書を作成し、内製企画書に基づき現行業務フロー及び課題一覧表及び環境定義書を作成し、現行業務フロー及び課題一覧表及び環境定義書に基づき要件定義書を作成し、作成された要件定義書に基づき設計書及び計画書を作成する。作成部70は、記録された企業資源計画(ERP)の導入手順及びERP保守ノウハウに対応した開発文書を成果物として作成する。作成部70は、ERPの導入作業プロンプトを事前にテンプレート化した第1プロンプト(裏のプロンプト)と、ユーザとの対話に基づく第2プロンプト(表のプロンプト)と、に基づいて、開発文書を作成する。作成部70は、開発情報と、第1回答及び第2回答に基づいて、開発文書を作成する。第1プロンプト(裏のプロンプト)とは、開発文書を作成するにあたり必要なユーザとAIとの会話履歴を含む。会話とはユーザとAIとの対話であり、ユーザは複数であってよい。つまり、例えば、ユーザAの発言、AIの発言、ユーザBの発言、AIの発言、というものが例示できる。
【0043】
第2記録部80は、作成部70が作成した、開発文書を作成するために用いられたプロンプトを記憶する。作成部70が作成した、開発文書を作成するために用いられたプロンプトとは前工程のプロンプトであり、ASIS機能一覧、新システム要件定義書、新システム非機能要件、課題一覧、組織・担当者一覧、権限構成一覧などである。これらの前工程プロンプトや成果物たる開発文書を、AIが対応して、単語レベルで統計的に処理することにより、作成することができる。例えば、現工程が基本設計書を作成するタスクであれば、要件定義プロンプト、最新要件定義書、課題一覧などを参照し、アドオン機能の基本設計タスクを開始し基本設計書を作成する。
【0044】
共有表示部90は、一のユーザが担当するプロジェクトを同一チーム内の他のユーザが閲覧及び実行できるように構成される。ホーム画面では、自分の作業中のプロジェクトだけでなく、他メンバーのプロジェクトも表示させることが可能である。これにより、例えば、「ベテラン社員が、新人の作業を引き継いで、途中から実行する」や「マネージャーが各メンバーの作業の様子をチェックする」などが可能となる。ログインユーザーで絞り込まれているフィルタを解除すると、自分以外のユーザのプロジェクトも表示されるようになり、閲覧・実行が可能となる。チームメンバー共有モードを搭載しているため、メンバー間の作業を共有可能になる。また、プロジェクト内の全ての情報をAIが参照し活用することが可能になる。
【0045】
反映部110は、開発文書とは異なる他の開発文書の作成に際しプロンプトを反映させる。例えば、前工程のプロジェクトが要件定義書作成であれば、そのASIS機能一覧、新システム要件定義書、新システム非機能要件、課題一覧、組織・担当者一覧、権限構成一覧などのプロンプトや成果物たる開発文書である要件定義書を、AIが対応して、単語レベルで統計的に処理することにより、作成することができる。そして、例えば、現工程で作成する他の開発文書が基本設計書であれば、要件定義プロンプト、最新要件定義書、課題一覧などを参照し、アドオン機能の基本設計タスクを開始し基本設計書を作成する。
【0046】
図3は、本発明の実施形態の開発文書作成装置100の仕様を示す図である。導入工程テンプレート1として、要件定義書テンプレート11、機能一覧テンプレート12、追加開発基本設計書テンプレート13及び追加開発プログラムテンプレート14が用意されている。作業者2はこれらのテンプレートから、行いたい作業に適したテンプレートを選択する。一方、開発文書作成装置100は、企業資源計画(ERP)導入知見及びシステムプロンプト3を取得する。企業資源計画(ERP)導入知見及びシステムプロンプト3には、ERP導入ノウハウ31、ERP標準32及びドキュメント雛形33が含まれる。開発文書作成装置100は、これらERP導入ノウハウ31、ERP標準32及びドキュメント雛形33と、ウェブ最新情報34と、を取得する。そして、作業者2から相談又は依頼を受けて、必要な情報を催促したり作業を実行したりする。そして、作業者2をナビゲートしたり、成果物4を作業者2に提供したりする。成果物4には、要件定義書41、設計書42及びソースコード43が含まれる。ソースコードとは、プログラミング言語で書かれた、コンピュータプログラムを表現する文字列(テキストまたはテキストファイル)である。
【0047】
図4は、本発明の実施形態の開発文書作成装置100の画面遷移を示す図である。左側は実行環境5を、右側はサーバ設定環境6を示す。実行環境5にログインすると、プロジェクト一覧画面51が表示される。プロジェクト一覧画面51で、作業者2が実行画面52を選択すると実行画面52が表示され、作業者2が設定画面53を選択すると設定画面53が表示される。設定画面53では、マスクキーワード登録54をすることができる。マスクキーワードとは、キーワードを隠すことで、他のユーザには分からないキーワードを登録することができる。例えば、「山田 花子」などの個人情報がチャット欄に誤って入力された際に、別の文字列「XX XX」に自動で変換してからAIへ送信する為のマスタ機能である。この場合、マスクキーワードのマスタには、「山田 花子」と「XX XX」とのペアを事前に登録しておく。
【0048】
作業者2がサーバ設定環境6にログインすると、管理画面61が表示される。管理画面61上で、作業者2は様々な登録をすることができる。様々な登録とは、プロジェクトテンプレート登録62、工程登録63、タスク登録64、カテゴリ登録65、公開先登録66及びライセンス登録67である。プロジェクトテンプレート登録62では各プロジェクトのテンプレートを登録することができる。工程登録63では各工程を登録することができる。タスク登録64では各タスク登録することができる。カテゴリ登録65では各カテゴリを登録することができる。公開先登録66とライセンス登録67とについては、まず公開先(公開先A、公開先B、・・・)とライセンス(ライセンスX、ライセンスY、・・・)を登録してから、各ライセンスを公開先に割り当てる。
【0049】
図5を参照して、本発明の実施形態の開発文書作成装置のチャット画面について説明する。図5は、本発明の実施形態の開発文書作成装置のチャット画面を示す図である。図5に示すチャット画面は、課題一覧表を作成するためのヒアリングの様子を表している。上段はAIからの質問を、中段はユーザからの回答を示している。AIからの質問は、例えば、図5の上段に示すように、「御社の抱えている問題を教えてください。」、「現行のシステムや業務には、どのような問題点がありますか。」、「その原因もご存知でしたら、併せてご教示ください。」というようにまとまった質問であり、それに対するユーザの回答は、図5の中段に示すように、「工事プロジェクト別の収支管理ができていません」、「現行のスクラッチ開発したシステムは、組織別の損益は出せるが、プロジェクト別に管理する機能が無いため、プロジェクトの損益が分からない状態です。」、「新システムでは標準機能を利用して、プロジェクト別に売上と原価を集計しプロジェクト毎の損益を管理できるようにしたいです。」というようにまとまった回答である。上段のAIの質問と中段のユーザの回答とは必ずしも1対1の対応にはなっておらず、ユーザはAIが質問していない「新システムでは標準機能を利用して、プロジェクト別に売上と原価を集計しプロジェクト毎の損益を管理できるようにしたいです。」というユーザの希望を回答することもできる。AIはユーザが書きたいことを書いてもそれも踏まえた回答、つまり「あるべき姿」の提案をすることができるようになっている。下段は、AIの質問に対して1つ目の回答「工事プロジェクト別の収支管理ができていない」を入力し、それに引き続き2つ目の回答をコメント欄にメッセージとして入力しようとしていることを示している。なお、ユーザは回答に際しファイルをアップロードすることもできる。ユーザは、この2つ目の回答で終了する場合には右下の完了ボタンを押下して次のタスクに進み、3つ目の回答を入力する場合には右下の継続ボタンを押下して回答を入力する。
【0050】
図6は、本発明の実施形態の開発文書作成装置100の画面イメージを示す図である。図6は、プロジェクト一覧画面7のイメージである。まず、「自分の作成したプロジェクトのみ表示」にチェックを入れると、自分の作成したプロジェクトのみが表示される。左から1番目の列にはID71が表示され、左から2番目の列にはプロジェクトの名前72が表示され、左から3番目の列にはテンプレート73が表示され、左から4番目の列には対象カテゴリ74が表示され、左から5番目の列には作成者75が表示され、左から6番目の列には作成日76が表示される。これらの項目はページングやソートが可能である。
「+」ボタンをクリックするとプロジェクト新規作成画面8がポップアップで表示される。テンプレート81の選択変更後、確認ボタン82を押下すると、関連する工程が表示される。左から1番目の列には順序83が表示され、左から2番目の列には工程ID84が表示され、左から3番目の列には工事名85が表示される。
【0051】
図7は、本発明の実施形態の開発文書作成装置100のテンプレートを示す図である。プロジェクトテンプレート91の下にプロセステンプレート91-1~91-3が紐づいており、各プロセステンプレート91-1~91-3の中にタスクごとのテンプレートが含まれている。例えば、図7に示すように、プロセステンプレート91-1にはタスク1のテンプレートとしてタスク1-1~1-3が含まれている。プロセステンプレート91-2にはタスク2のテンプレートとしてタスク2-1及び2-2が含まれている。
【0052】
図8は、本発明の実施形態の開発文書作成装置100のプロジェクトテンプレートを示す図である。図8では、プロジェクトテンプレート91が示されている。このケースでは、ID13の課題一覧表の作成画面が表示される。ライセンスと及びカテゴリが表示される。中央部の表は、縦軸が番号、横軸が左から順番、プロセスID、プロセス名、プロセスカテゴリである。例えば、図8に示すように、1番がプロセスID31の課題一覧表の作成であり、プロセスカテゴリがソフトウェア××である。2番がプロセスID32の課題解決案の検討であり、プロセスカテゴリがソフトウェア××である。3番がプロセスID37の課題一覧表ファイルの出力であり、プロセスカテゴリが付与されていない。これらの順番は上向き矢印及び下向き矢印で入れ替え可能である。例えば、プロセス名「課題一覧表の作成」をクリックすると、図9に示すプロセステンプレートが表示される。なお、図8に示す画面は、ユーザが使う画面ではなく、テンプレート設定の為に管理者が使う画面である。
【0053】
図9は、本発明の実施形態の開発文書作成装置100のプロセステンプレートを示す図である。図9では、プロセステンプレート91が示される。このケースではプロセスID31の「課題一覧表の作成」が表示される。カテゴリとしてはソフトウェア××である。中央部の表は、縦軸が番号、横軸が左から順番、タスクID、タスク名、タスクカテゴリである。例えば、図8に示すように、1番がタスクID86の課題の確認であり、タスクカテゴリがソフトウェア××である。2番がタスクID87の課題一覧表の作成であり、タスクカテゴリがソフトウェア××である。3番がタスクID88の課題一覧表のまとめであり、タスクカテゴリがソフトウェア××である。これらの順番は上向き矢印及び下向き矢印で入れ替え可能である。なお、図9に示す画面は、ユーザが使う画面ではなく、テンプレート設定の為に管理者が使う画面である。
【0054】
図10を参照して、実施形態に係る開発文書作成プログラムについて、開発文書作成方法とともに説明する。図10は実施形態の開発文書作成方法のフローチャートの一例である。
開発文書作成方法は、開発文書作成プログラムに基づいて、開発文書作成装置100のCPUにより実行される。
開発文書作成プログラムは、開発情報取得ステップS10、記録ステップS20、タスク取得ステップS30、質問生成ステップS40、回答取得ステップS50、回答生成ステップS60、及び作成ステップS70などを備える。
開発文書作成プログラムは、開発文書作成装置100のCPUに対して、開発情報取得機能、記録機能、タスク取得機能、質問生成機能、回答取得機能、回答生成機能及び作成機能などを実現させる。これらの機能は図9のフローチャートに示される順に実行されるが、適宜、順番を入れ替えて実行することもできる。なお、各機能は前述の開発文書作成装置100の各種機能部の説明と重複するため、その詳細な説明は省略する。
【0055】
開発情報取得機能は、開発文書に記載する開発に関する開発情報を取得する(ステップS10:開発情報取得ステップ)。
【0056】
記録機能は、開発のタスクに応じて大規模言語モデルのプロンプトをテンプレート情報として記録する(ステップS20:記録ステップ)。
【0057】
タスク取得機能は、開発のタスクをユーザから取得する(ステップS30:タスク取得ステップ)。
【0058】
質問生成機能は、取得されたタスクに応じたテンプレート情報に基づいて大規模言語モデルを用いて第1質問を生成する(ステップS40:質問生成ステップ)。
【0059】
回答取得機能は、第1質問に対する第1ユーザ回答をユーザから取得する(ステップS50:回答取得ステップ)。
【0060】
回答生成機能は、回答取得機能により取得された第1ユーザ回答に基づいて、解決策である回答を生成する(ステップS60:回答生成ステップ)。なお、質問生成ステップS40から回答生成ステップS60までは一度限りではなく、1~N回繰り返すのが通常である。回答生成ステップS60で回答が生成されれば、質問生成ステップS40に戻り、第2質問が生成され、回答取得ステップS50で第2ユーザ回答を取得し、回答生成ステップS60で回答を生成する。2回目以降はAIの回答と次の質問とが同時に出力されることもある。回答生成ステップS60から次の作成ステップS70に進むか、質問生成ステップS40に戻るかは、ユーザが判断する。
【0061】
作成機能は、開発情報と、前記ユーザから取得した前記第1質問に対する第1ユーザ回答とに基づいて、大規模言語モデルを用いて開発文書を作成する(ステップS70:作成ステップ)。
【0062】
以上説明した本開示の各態様によれば、システム開発における、内製企画書、環境定義書、要件定義書、設計書及び計画書等の、開発に特化した文書の作成が可能となる。
【0063】
実施形態の開発文書作成プログラムは、例えば、Arduino(登録商標)IDEなどのコンピュータ言語によりCPUに実装可能である。
【0064】
[機能及び回路について]
次に、上述した開発文書作成装置100の機能及び回路について説明する。
開発文書作成装置100のCPUの各機能部は、コンピュータの演算処理装置等の機能として実現されてもよい。すなわち、CPUは、コンピュータの演算処理装置等による開発情報取得機能、記録機能、タスク取得機能、質問生成機能、回答取得機能、回答生成機能及び作成機能としてそれぞれ実現されてもよい。
開発文書作成プログラムは、上述した各機能をコンピュータに実現させることができる。開発文書作成プログラムは、例えば、メモリ、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ又は光ディスク等の、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記憶媒体等に記録されてもよい。記憶媒体は、例えば、開発文書作成プログラムを格納する非一時的なコンピュータ可読媒体と言い換えてもよい。また、開発文書作成プログラムは、オンラインで伝送されてもよい。
また、上述したコンピュータの演算処理装置等は、例えば、集積回路等によって構成されてもよい。すなわち、開発文書作成装置100のCPUは、コンピュータの演算処理装置等を構成する開発情報取得回路、記録回路、タスク取得回路、質問生成回路、回答取得回路、回答生成回路及び作成回路として実現されてもよい。
【0065】
なお、本発明は上記した実施形態に係る開発文書作成装置100、開発文書作成方法、及び開発文書作成プログラムに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の変形例、若しくは応用例により実施可能である。また、上記した実施形態では、「情報」の文言を使用しているが、「情報」の文言は「データ」と言い換えることができ、「データ」の文言は「情報」と言い換えることができる。
【0066】
なお、本実施形態では開発文書作成装置100としたが、開発文書に限らず、開発以外の文書の作成、プログラミング、レビューも可能で、特に用途を限定するものではない。
【0067】
[本実施形態の態様及び効果]
次に、本実施形態の一態様及び各態様が奏する効果について説明する。なお、以下に記載する各態様は出願時の一例であり、本実施形態は以下に記載する態様に限定されることはない。すなわち、本実施形態は以下に記載する各態様に限定されることはなく、上述した各部を適宜組み合わせて実現されてもよい。また、下位の態様は、それよりも上位の態様のいずれでも引用できる場合がある。
また、以下に記載する本実施形態の効果は一例であり、各態様が奏する効果は以下に記載するものに限定されることはない。また、各態様は、例えば、以下に記載する少なくとも1つの効果を奏してもよい。
【0068】
(態様1)
一態様の開発文書作成装置は、大規模言語モデルを用いて開発文書の作成を支援する開発文書作成装置であって、開発文書に記載する開発に関する開発情報を取得する開発情報取得部と、開発のタスクに応じて大規模言語モデルのプロンプトをテンプレート情報として記録する第1記録部と、開発のタスクをユーザから取得するタスク取得部と、取得されたタスクに応じたテンプレート情報に基づいて大規模言語モデルを用いて第1質問を生成する質問生成部と、第1質問に対する第1ユーザ回答をユーザから取得する回答取得部と、回答取得部が取得した第1ユーザ回答に基づいて解決策である回答を生成する回答生成部と、開発情報と、ユーザから取得した第1質問に対する第1ユーザ回答とに基づいて、大規模言語モデルを用いて開発文書を作成する作成部と、を備える。
これにより、開発文書作成装置は、システム開発における、内製企画書、環境定義書、要件定義書、設計書及び計画書等の、開発に特化した文書の作成が可能となる。
なお、開発文書作成方法及び開発文書作成プログラムについても同様である。
【0069】
(態様2)
一態様の開発文書作成装置において、開発文書は、内製企画書、環境定義書、要件定義書、設計書及び計画書を含み、作成部は、内製企画書を作成し、内製企画書に基づき現行業務フロー、課題一覧表及び環境定義書を作成し、現行業務フロー、課題一覧表及び環境定義書に基づき要件定義書を作成し、作成された要件定義書に基づき設計書及び計画書を作成することとしてもよい。
これにより、開発文書作成装置は、システム開発における、内製企画書、環境定義書、要件定義書、設計書及び計画書等の、開発に特化した文書の作成が可能となる。
【0070】
(態様3)
一態様の開発文書作成装置において、第1記録部は、企業資源計画の導入手順及び保守ノウハウを記録し、作成部は、記録された企業資源計画の導入手順及び保守ノウハウに対応した開発文書を成果物として作成することとしてもよい。
これにより、開発文書作成装置は、ユーザのERP専門知識やAIスキルに左右されない作業が可能となる。
【0071】
(態様4)
一態様の開発文書作成装置において、作成部は、企業資源計画の導入作業プロンプトを事前にテンプレート化した第1プロンプトと、ユーザとの対話に基づく第2プロンプトと、に基づいて、開発文書を作成することとしてもよい。
これにより、開発文書作成装置は、ユーザのERP専門知識やAIスキルに左右されない作業が可能となる。
【0072】
(態様5)
一態様の開発文書作成装置は、作成部が作成した、開発文書を作成するために用いられたプロンプトを記憶する第2記録部と、一のユーザが担当するプロジェクトを同一チーム内の他のユーザが閲覧及び実行できるように構成された共有表示部と、開発文書とは異なる他の開発文書の作成に際しプロンプトを反映させる反映部と、をさらに備えることとしてもよい。
これにより、開発文書作成装置は、ユーザのERP専門知識やAIスキルに左右されない作業が可能となる。
【0073】
(態様6)
一態様の開発文書作成装置において、質問生成部は、ユーザからの第1ユーザ回答に基づいて第1質問を補完する第2質問をさらに生成することとしてもよい。
これにより、開発文書作成装置は、システム開発における、内製企画書、環境定義書、要件定義書、設計書及び計画書等の、開発に特化した文書のより的確な作成が可能となる。
【0074】
(態様7)
一態様の開発文書作成装置において、回答取得部は、第2質問に対する第2ユーザ回答をユーザから取得し、作成部は、開発情報と、第1回答及び第2回答に基づいて、開発文書を作成することとしてもよい。
これにより、開発文書作成装置は、システム開発における、内製企画書、環境定義書、要件定義書、設計書及び計画書等の、開発に特化した文書のより的確な作成が可能となる。
【0075】
(態様8)
一態様の開発文書作成装置において、第1プロンプトは、開発文書を作成するにあたり必要なユーザとAIとの会話履歴を含むこととしてもよい。
これにより、開発文書作成装置は、システム開発における、内製企画書、環境定義書、要件定義書、設計書及び計画書等の、開発に特化した文書のより的確な作成が可能となる。
【0076】
(態様9)
一態様の開発文書作成装置において、回答生成部は、タスクのカテゴリに対応して回答を生成することとしてもよい。
これにより、開発文書作成装置は、システム開発における、内製企画書、環境定義書、要件定義書、設計書及び計画書等の、開発に特化した文書のより的確な作成が可能となる。
【0077】
(態様10)
一態様の開発文書作成装置において、回答生成部は、現在日付に応じて回答を生成することとしてもよい。
これにより、開発文書作成装置は、システム開発における、内製企画書、環境定義書、要件定義書、設計書及び計画書等の、開発に特化した文書のより的確な作成が可能となる。
【符号の説明】
【0078】
1 導入工程テンプレート
2 作業者
3 ERP導入知見及びシステムプロンプト
4 ナビゲート及び成果物
5 実行環境
6 サーバ設定環境
7 プロジェクト一覧画面
8 プロジェクト新規作成画面
10 開発情報取得部
11 要件定義書テンプレート
12 機能一覧テンプレート
13 追加開発基本設計書
14 追加開発プログラム
20 第1記録部
30 タスク取得部
31 ERP導入ノウハウ
32 ERP標準
33 ドキュメント雛形
34 ウェブ最新情報
40 質問生成部
50 回答取得部
51 プロジェクト一覧画面
52 実行画面
53 設定画面
54 マスクキーワード登録
60 回答生成部
61 管理画面
62 プロジェクトテンプレート登録
63 工程登録
64 タスク登録(プロンプト)
65 カテゴリ登録
66 公開先登録
67 ライセンス登録
70 作成部
71 ID
72 名前
73 テンプレート
74 対象カテゴリ
75 作成者
76 作成日
80 第2記録部
81 テンプレート
82 確認
83 順序
84 工程ID
85 工事名
90 共有表示部
91 プロジェクトテンプレート
91-1 プロセステンプレート1
91-2 プロセステンプレート2
91-3 プロセステンプレート3
100 開発文書作成装置
110 反映部
200 ユーザ端末
300 大規模言語モデルサーバ
500 ネットワーク
【要約】
【課題】 システム開発に特化した文書の作成を可能とする開発文書作成装置、開発文書作成方法、及び開発文書作成プログラムを提供する。
【解決手段】 本発明に係る開発文書作成装置は、開発情報を取得する開発情報取得部と、開発のタスクに応じて大規模言語モデルのプロンプトをテンプレート情報として記録する第1記録部と、開発のタスクをユーザから取得するタスク取得部と、取得されたタスクに応じたテンプレート情報に基づいて第1質問を生成する質問生成部と、第1質問に対する第1ユーザ回答をユーザから取得する回答取得部と、第1ユーザ回答に基づいて解決策である回答を生成する回答生成部と、開発情報と、ユーザから取得した第1質問に対する第1ユーザ回答と、に基づいて開発文書を作成する作成部と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10