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特許7665600抗腫瘍溶解性ウイルス抗原抗体およびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-11
(45)【発行日】2025-04-21
(54)【発明の名称】抗腫瘍溶解性ウイルス抗原抗体およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/08 20060101AFI20250414BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20250414BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20250414BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20250414BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20250414BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20250414BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20250414BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20250414BHJP
   C12N 5/0786 20100101ALI20250414BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20250414BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20250414BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20250414BHJP
   A61K 35/17 20250101ALI20250414BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250414BHJP
【FI】
C07K16/08
C07K16/46
C07K19/00
C12N15/13 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12N5/0783
C12N5/0786
C12P21/08
A61K39/395 S
A61K47/68
A61K35/17
A61P35/00
【請求項の数】 49
(21)【出願番号】P 2022516107
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(86)【国際出願番号】 CA2020051230
(87)【国際公開番号】W WO2021046653
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】62/900,303
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522096064
【氏名又は名称】アドマーレ セラピューティクス ソサイエティ
(73)【特許権者】
【識別番号】521252900
【氏名又は名称】プロビンシャル ヘルス サービシズ オーソリティー
(73)【特許権者】
【識別番号】519409604
【氏名又は名称】ユービック インダストリー パートナーシップス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】UVIC INDUSTRY PARTNERSHIPS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】カミンズ、 エマ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ベルグクビスト、 ジャン ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン、 ブラッド
(72)【発明者】
【氏名】トゥマシ―ボアテン、 クワメ
(72)【発明者】
【氏名】クウォク、 イン ユ ユニス
(72)【発明者】
【氏名】スマジンスキ、 ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ベナード、 フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ルソー、 ジュリ― マリー
(72)【発明者】
【氏名】リン、 クオ―シャン
【審査官】西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/075914(WO,A2)
【文献】特表2010-507362(JP,A)
【文献】Chen, Z. et al.,"Chimpanzee/human mAbs to vaccinia virus B5 protein neutralize vaccinia and smallpox viruses and protect mice against vaccinia virus",Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A.,2006年,Vol. 103,pp. 1882-1887
【文献】Benhnia, M. R. et al.,"Vaccinia virus extracellular enveloped virion neutralization in vitro and protection in vivo depend on complement",J. Virol.,2009年,Vol. 83,pp. 1201-1215
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワクシニアウイルスB5抗原(VV B5)に特異的に結合する抗体であって、
アミノ酸配列SSYYMC(配列番号35)を含むVCDR1と、
アミノ酸配列CIYTSSGSAYYANWAKG(配列番号36)を含むVCDR2と、
アミノ酸配列NAVGSSYYLYL(配列番号37)を含むVCDR3と、を含む可変重鎖(V)ポリペプチド、および
アミノ酸配列QASQSVAGNNYLS(配列番号38)を含むVCDR1と、
アミノ酸配列SVSTLAS(配列番号39)を含むVCDR2と、
アミノ酸配列QGYYNDGIWA(配列番号40)を含むVCDR3と、を含む可変軽鎖(V)ポリペプチド;または
アミノ酸配列SYWMC(配列番号43)を含むVCDR1と、
アミノ酸配列CIYGGSSGSTYYSNWAKG(配列番号44)を含むVCDR2と、
アミノ酸配列DGSTWDYFRL(配列番号45)を含むVCDR3と、を含む可変重鎖(V)ポリペプチド、および
アミノ酸配列QASQSINTNYLS(配列番号46)を含むVCDR1と、
アミノ酸配列QASTLES(配列番号47)を含むVCDR2と、
アミノ酸配列QGYYTVENIGNP(配列番号48)を含むVCDR3と、を含む可変軽鎖(V)ポリペプチド
を含む、抗体。
【請求項2】
VV B5に特異的に結合する前記抗体が、
配列番号33に示されるアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖(V)ポリペプチド、および
配列番号34に示されるアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖(V)ポリペプチドを含むか、または
配列番号41に示されるアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖(V)ポリペプチド、および
配列番号42に示されるアミノ酸配列に対して75%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖(V)ポリペプチドを含む、
請求項に記載の抗体。
【請求項3】
前記抗体が、モノクローナル抗体である、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項4】
前記抗体が、ヒト化抗体である、請求項1~のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項5】
前記抗体が、IgGである、請求項1~のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項6】
前記抗体が、ヒトFcドメインを含む、請求項に記載の抗体。
【請求項7】
前記抗体が、Fab、F(ab’)、およびF(ab’)からなる群から選択される、請求項1~のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項8】
前記抗体が、単鎖抗体である、請求項1~のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項9】
前記単鎖抗体が、scFvである、請求項に記載の抗体。
【請求項10】
前記抗体が、請求項1または2に記載のVポリペプチド-Vポリペプチド対を含む第1の抗原結合ドメインを含む二重特異性抗体である、請求項1~のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項11】
前記二重特異性抗体が、ワクシニアウイルス抗原以外の抗原に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを含む、請求項10に記載の抗体。
【請求項12】
前記ワクシニアウイルス抗原以外の抗原が、免疫細胞表面抗原である、請求項11に記載の抗体。
【請求項13】
前記免疫細胞表面抗原が、免疫エフェクター細胞表面抗原である、請求項12に記載の抗体。
【請求項14】
前記免疫細胞表面抗原が、T細胞表面抗原である、請求項13に記載の抗体。
【請求項15】
前記抗原が、T細胞刺激分子である、請求項14に記載の抗体。
【請求項16】
前記T細胞刺激分子が、CD3またはCD28である、請求項15に記載の抗体。
【請求項17】
前記免疫細胞表面抗原が、ナチュラルキラー(NK)細胞表面抗原である、請求項13に記載の抗体。
【請求項18】
前記免疫細胞表面抗原が、マクロファージ細胞表面抗原である、請求項13に記載の抗体。
【請求項19】
融合タンパク質であって、
異種アミノ酸配列に融合した、請求項1~18のいずれか一項に記載の抗体の鎖を含む、融合タンパク質。
【請求項20】
前記異種アミノ酸配列が、前記抗体の前記鎖のC末端に融合している、請求項19に記載の融合タンパク質。
【請求項21】
前記抗体が、請求項8または9に記載の単鎖抗体である、請求項19または20に記載の融合タンパク質。
【請求項22】
前記融合タンパク質が、
前記単鎖抗体と、
膜貫通ドメインと、
細胞内シグナル伝達ドメインと
を含むキメラ抗原受容体(CAR)である、請求項21に記載の融合タンパク質。
【請求項23】
請求項1~18のいずれか一項に記載の抗体または請求項19~22のいずれか一項に記載の融合タンパク質と、
前記抗体または融合タンパク質にコンジュゲートされた薬剤と
を含む、コンジュゲート。
【請求項24】
前記薬剤が、化学療法剤、毒素、放射線増感剤、放射性同位体、検出可能な標識、および半減期延長部分からなる群から選択される、請求項23に記載のコンジュゲート。
【請求項25】
前記薬剤は放射性同位体または検出可能な標識であり、前記放射性同位体が、治療用放射性同位体であり、前記検出可能な標識が、放射性標識である、請求項24に記載のコンジュゲート。
【請求項26】
前記薬剤が、切断不可能なリンカーを介して、前記抗体または融合タンパク質にコンジュゲートされている、請求項23~25のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項27】
前記薬剤が、切断可能なリンカーを介して、前記抗体または融合タンパク質にコンジュゲートされている、請求項23~25のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項28】
請求項1~18のいずれか一項に記載の抗体の可変重鎖(V)ポリペプチド可変軽鎖(V)ポリペプチドをコードする核酸。
【請求項29】
請求項19~22のいずれか一項に記載の融合タンパク質をコードする核酸。
【請求項30】
請求項28または29に記載の核酸を含む、発現ベクター。
【請求項31】
請求項28もしくは29に記載の核酸、または
請求項30に記載の発現ベクター
を含む、細胞。
【請求項32】
前記細胞は請求項29に記載の核酸を含み、前記核酸は請求項22に記載の融合タンパク質をコードし、前記単鎖抗体はscFvである、請求項31に記載の細胞。
【請求項33】
前記細胞はその表面に前記融合タンパク質を発現する、請求項32に記載の細胞。
【請求項34】
前記細胞は免疫細胞である、請求項32または33に記載の細胞。
【請求項35】
前記細胞は免疫エフェクター細胞である、請求項34に記載の細胞。
【請求項36】
前記細胞はT細胞である、請求項35に記載の細胞。
【請求項37】
前記細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である、請求項35に記載の細胞。
【請求項38】
前記細胞はマクロファージである、請求項35に記載の細胞。
【請求項39】
請求項1~のいずれか一項に記載の抗体の前記可変重鎖(V)ポリペプチドをコードする第1の核酸と、
前記抗体の前記可変軽鎖(V)ポリペプチドをコードする第2の核酸と
を含む、細胞。
【請求項40】
前記第1の核酸を含む第1の発現ベクターと、
前記第2の核酸を含む第2の発現ベクターと
を含む、請求項39に記載の細胞。
【請求項41】
請求項1~18のいずれか一項に記載の抗体を産生する方法であって、前記細胞が前記抗体を発現するのに好適な条件下で、請求項31、39、および40のいずれか一項に記載の細胞を培養することを含み、前記抗体が産生される、方法。
【請求項42】
請求項1~18のいずれか一項に記載の抗体と、
薬学的に許容される担体と
を含む、医薬組成物。
【請求項43】
請求項19~22のいずれか一項に記載の融合タンパク質と、
薬学的に許容される担体と
を含む、医薬組成物。
【請求項44】
請求項23~27のいずれか一項に記載のコンジュゲートと、
薬学的に許容される担体と
を含む、医薬組成物。
【請求項45】
請求項31~40のいずれか一項に記載の細胞と、
薬学的に許容される担体と
を含む、医薬組成物。
【請求項46】
がんを有する個体に投与することを含む方法における使用のための、請求項42~45のいずれか一項に記載の医薬組成物であって、前記個体が、ワクシニアウイルス(VV)に感染されたがん細胞を含み、前記抗体、融合タンパク質、コンジュゲート、または細胞が、前記感染されたがん細胞の表面上に発現するVV抗原によって、前記感染されたがん細胞に標的指向化される、医薬組成物。
【請求項47】
前記方法は、前記医薬組成物を前記個体に投与する前に、VVを前記個体に投与することによって前記がん細胞に感染させることをさらに含む、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項48】
前記方法が、前記個体の前記がんを治療する方法である、請求項46または47に記載の医薬組成物。
【請求項49】
前記医薬組成物は、T細胞、NK細胞、またはマクロファージの表面に発現された請求項22に記載の融合タンパク質を含む、請求項46~48のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月13日に出願された、米国仮特許出願第62/900,303号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
免疫療法は、複数の悪性腫瘍に対する効果的な治療選択肢となっている。腫瘍溶解性ウイルス(OV:oncolytic viruses)は、腫瘍組織内で選択的に複製して腫瘍組織を溶解すると同時に、正常な非腫瘍性宿主細胞を温存し、同時に抗腫瘍免疫を回復するように設計することができ、腫瘍治療のための次世代免疫療法アプローチを構成する。特定の抗原発現パターンに依存せずに悪性腫瘍を標的とするOVの独自の能力により、OVは他の免疫療法アプローチの魅力的な代替手段となる。さらに、OVは腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の動員を促進し、免疫抑制性腫瘍微小環境(TME)を再プログラムし、全身の抗腫瘍免疫を高めることができる。
【0003】
遺伝子工学により、生きた複製ウイルスの設計は、細胞侵入および転写標的化を通じて高度に腫瘍選択的とするだけでなく、ウイルス療法の薬物動態の非侵襲的監視のため、および細胞傷害性活性もしくは免疫原性細胞死、または免疫モジュレーターの増強のためのレポーター遺伝子を装備することが可能になった。現在、がんの治療のために3つのOVが市販されている。これらのOVとしては、ラトビア、ジョージアおよびアルメニアで承認されたRigvir、中国で承認されたOncorine H101、および米国で承認されたタリモジンラヘルパレプベク(T-VEC)が挙げられる。Rigvir(リガウイルス)は、未改変の腸細胞変性ヒトオーファン7型(ECHO-7)ピコルナウイルスであり、その有効性を説明する公開データは限られている。Oncorineは、中国で臨床使用のための最初に承認された腫瘍溶解性ウイルスとなり、規制当局の承認を得た世界初の組換え腫瘍溶解性ウイルスとなった。これは、ウイルスE1B-55kを欠失し、ウイルスE3を4つ欠失した、弱毒化血清型5のアデノウイルスベクターである。Oncorineは、依然として、がん治療について承認された唯一のアデノウイルスであり、それも化学療法と組み合わせて投与される場合のみが承認されている。T-VEC(Imlygic(商標))は、2015年に米国食品医薬品局(FDA)によって、切除不可能な転移性黒色腫の治療について承認され、その後、EUで局所進行性または転移性皮膚黒色腫の治療について承認され、国の規制当局の承認を得た最新の腫瘍溶解性ウイルスであり、米国で承認を得た最初の腫瘍溶解性ウイルスである。T-VECは、HSV1ガンマ34.5とウイルスICP47の両方のコピーを欠失した組換えヒト単純ヘルペスウイルス1型(HSV1)であり、US11の発現を加速させ、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター下でヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の2つのコピーをコードする。T-VECは現在、皮膚の高悪性度黒色腫病変への腫瘍内注射について承認されており、この適応症に対して単剤での有効性を示している。
【0004】
臨床開発中のOVとしては、麻疹ウイルス、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、ラブドウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス(VV)、ヘルペスウイルス、コクサッキーウイルス、レオウイルス、およびレトロウイルスが挙げられる。
【0005】
麻疹ウイルスはマイナス鎖RNAパラミクソウイルスであり、融合性が高く、合胞体形成の広範な細胞変性効果を誘導する。細胞間融合は、腫瘍細胞のバイスタンダー殺滅を増加させ、宿主を介した細胞の抗腫瘍活性を誘発する可能性のある免疫原性の危険信号を誘導する。ヨウ化ナトリウム共輸送体(MV-NIS)または可溶性がん胎児性抗原(MV-CEA)をコードする組換えEdmonston株麻疹ウイルスは、多発性骨髄腫、卵巣がん、神経膠腫、乳がんおよび中皮腫を含む再発(relapsed)または再発性(recurrent)がんの患者で第I/II相臨床試験中である。
【0006】
NDVはトリパラミクソウイルスであり、腫瘍溶解性または腫瘍崩壊性のがんワクチンとして試験されている。NDV株MTH-68/H、HUJおよびPV701は、臨床的に試験されている。哺乳類細胞ではなく鳥類細胞の感染が損なわれGM-CSF(Medimmune、MEDI5395)をコードするメソゲンNDV-73T株に基づく組換えNDVは、前臨床試験中である。
【0007】
ラブドウイルスはマイナス鎖RNA(negative sense RNA)ウイルスであり、許容細胞中で約12時間の溶解複製サイクルを示す。最もよく研究されている腫瘍溶解性ラブドウイルス水疱性口内炎ウイルス(VSV)は、細胞侵入に低密度リポタンパク質(LDL)受容体を使用し、VSVがほぼすべての細胞型に感染し、多種多様な許容細胞において溶解性感染を引き起こすことを可能にする。
【0008】
アデノウイルスは、二十面体の非エンベロープ二本鎖DNAウイルスであり、各カプシドの頂点から長い繊維のノブが突出している。固形腫瘍におけるTelomelysin、膀胱がんにおけるCG0070、悪性脳腫瘍におけるDNX-2401に関する臨床データが公開されている。
【0009】
ワクシニアウイルス(VV)は、長さが約190kbの線形ゲノムを有する大きいエンベロープ二本鎖DNAウイルスである。これらのウイルスの弱毒化または腫瘍特異的標的化は、種々の欠失および挿入変異を使用して達成されており、チミジンキナーゼ機能の喪失が臨床腫瘍溶解性ワクシニアウイルスに共通する特徴である。JX-594はウイルスチミジンキナーゼを欠失し、TG6002はチミジンキナーゼおよびウイルスリボヌクレオチドレダクターゼを二重欠失し、GL-ONC1はそのチミジンキナーゼ(J2R)、血球凝集素HA(A56R)およびF14.5L遺伝子に挿入変異を有する。TKの機能喪失は、非分裂細胞中で複製するウイルスの能力を制限し、ウイルスリボヌクレオチドレダクターゼの欠失がこの能力をさらに制限する。腫瘍溶解効果を増強するように設計された2つの臨床ワクシニアベクターには、腫瘍細胞の殺滅を改善するように設計された導入遺伝子が含まれる。JX-594にはT-VECと同様にGM-CSFが含まれ、TG6002には、感染細胞において5-フルオロシトシン(5-FC)を5-FUに変換するヌクレオシド類似体変換酵素FCU1が組み込まれている。
【0010】
HSV1は、長さが約152kbの大きい二本鎖DNAウイルスである。臨床的に評価されているgamma34.5欠損ウイルスには、現在FDAが承認しているT-VEC、HSV1716(Seprehvir)、G207、およびRP1が含まれる。転移性疾患におけるHSVの抗がん効果を高める試みには、治療を受けた患者に適応性のある抗腫瘍反応を開発することを目的として、抗がん免疫と抗ウイルス免疫を同時に高めるために使用される治療用導入遺伝子を含めることが含まれる。
【0011】
コクサッキーウイルスは、二十面体カプシドに囲まれた約7.4kbの一本鎖プラスRNAピコルナウイルスである。腫瘍溶解性CVA21(Viralytics、CAVATAK)は、Kuykendall株に由来し、細胞侵入の主要な受容体としてICAM-1を使用する。ペムブロリズマブまたはイピリムマブと組み合わせた腫瘍内CVA21ウイルス注射の第I相試験は、これらの薬剤の全体的な有効性を増強するために進行中である。
【0012】
レオウイルスは二本鎖RNAウイルスであり、エンベロープを持たず、外側と内側のタンパク質シェルで構成される二十面体カプシドを持っている。単剤療法としてのレオウイルスは、腫瘍内または静脈内投与としていくつかの第I相試験(Oncolytics Biotech、Reolysin(商標))で調査された。
【0013】
レトロウイルス複製ベクター(Tocagen、Toca-511、vocimagene amiretrorepvec)は、プロドラッグ5-FCを抗がん剤5-FUに変換する酵母シトシンデアミナーゼ(CD)をコードし、それによって腫瘍において5-FUの局所濃度を高め、該薬剤の全身毒性を全体的に減少する。再発性高悪性度神経膠腫患者でのToca-511の第1相試験では、全生存期間が13.6か月であり、外部対照と比較して統計学的に改善されていた。
【発明の概要】
【0014】
OVベースの療法の最近の進歩にもかかわらず、がんの治療、緩和、および/または予防のための、ならびにがんを有する対象の生存を改善する方法のための、新しく改善されたOVベースの方法が依然として必要である。
【0015】
ワクシニアウイルス(VVまたはVACV)A56またはB5抗原に特異的に結合する抗体が提供される。抗体を含む融合タンパク質およびコンジュゲートも提供される。抗体、融合タンパク質およびコンジュゲートを含む医薬組成物およびキットも提供される。本開示の態様は、例えば、治療目的のために、抗体、融合タンパク質およびコンジュゲートを使用する方法をさらに含む。特定の実施形態では、がんを有する個体に本開示の抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートを投与することを含み、当該個体が、VVに感染したがん細胞を含み、当該抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートが、感染したがん細胞の表面上に発現するVV抗原によって、感染したがん細胞に標的指向化(targeted)される、方法が提供される。本開示の態様は、腫瘍溶解性ウイルス(OV)抗原に特異的に結合する抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートを、個体のがん細胞に標的指向化(targeting)する方法をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】VV Western Reserve VVdd(eGFP)に感染したA549およびCaOV3細胞に結合する抗体のフローサイトメトリーデータを示す。
図2】A56またはB5発現HEK細胞(Wyeth VV配列)に結合する抗体のフローサイトメトリーデータを示す。
図3】HEK-B5細胞に結合する抗体に関するデータを示す。HEK-B5への結合についてフローサイトメトリーアッセイ(上のパネル)またはELISA(下のパネル)で試験された最高濃度がプロットされ、ウサギおよびマウスのアイソタイプ対照(それぞれRb IgGアイソタイプおよびmIgGアイソタイプ)、ならびに抗B5 Immunetech抗体、IT抗B5 IgG(図3において抗B5 mIgGとして識別)については5μg/mlであり、ウサギポリクローナル抗体(c-VV)については1:1000である。
図4】フローサイトメトリーで測定した、A048抗体、Immunetech抗B5抗体、IT抗B5 IgG(図4ではIT抗B5 mIgGとして識別)、およびヒトアイソタイプ対照の、VV Western Reserve VVdd(eGFP)感染A549細胞(上のパネル)およびHT29細胞(下のパネル)への結合を示す。
図5】VV感染細胞への抗体の結合を示す。抗体は、フローサイトメトリーによってVVdd(eGFP)感染A549細胞への結合について試験した。すべてのフォーマットは同様のEC50を有し、感染していない細胞への結合は観察されなかった。
図6】免疫蛍光抗体法によるウイルス感染腫瘍組織への抗体A049の結合、特にウイルス感染結腸直腸腫瘍組織へのA049抗A56 hIgG1の結合を示す。上2つのパネルは、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色されている。これは、感染していない組織に対して多少の非特異的な染色を示すポリクローナル抗ワクシニアウイルス抗体と比較される。
図7】非ビオチン化抗体とプレインキュベートしたVVdd(eGFP)感染細胞へのビオチン化抗体の結合を示すエピトープビニングデータを提供する。ビオチン化抗体結合の低減は、試験抗体と類似または重複するエピトープを示す。抗体A047およびA049は、A56上の異なるエピトープと結合すると見られる。抗体A048およびA051は、B5上の異なるエピトープと結合すると見られる。
図8】ウイルス粒子への抗体の結合に関するデータを示す。ウイルス粒子(VVdd(eGFP))をプレートにコーティングし、抗体または陽性対照NKp30とともにインキュベートした。抗体A054を除きすべての抗体がウイルスに結合した。
図9】ウイルス感染中和を示すデータを提供する。VVdd(eGFP)感染と同時に抗体をA549細胞に添加した。抗体を使用しない感染(「抗体なし」)と同様のレベルの感染が観察された。
図10】VVCopenhagen(YFP)に感染したマウス細胞株への抗体の結合を示す。各感染細胞株におけるパーセントYFP発現は、VVCopenhagen(YFP)に感染した細胞の割合を示す。抗A56-PEおよび抗B5-PE抗体は、VVCopenhagen(YFP)に感染したB16F10、CT26LacZ、およびMC38細胞と結合する。
図11】HEK細胞表面に発現したA56もしくはB5抗原またはVVCopenhagenウイルスに感染されたU20S細胞への抗体の特異的結合に関する免疫組織化学データを示す。A56またはB5に特異的なウサギ/マウスキメラ(抗体A059およびA058)および完全ウサギIgGフォーマット(抗体A056およびA073)抗体は、それぞれ、安定して発現されたHEK-A56およびHEK-B5細胞上の標的抗原を特異的に検出することができた。抗A56抗体と抗B5抗体の両方が、VVCopenhagenに感染されたU2OS細胞上でのタンパク質発現を検出することができた。
図12】免疫組織化学によるVV処置腫瘍からのA56およびB5の検出を示す。データは、ワクシニアウイルスで処理した腫瘍の表面上でのA56およびB5タンパク質の検出を示す。
図13】パネルA:抗VVキメラ抗原受容体(CAR)構築物の設計例の代表的な概略図。パネルB:本開示の実施形態による治療アプローチの概略図。図示されるように、OVはがん細胞に感染し、続いてがん細胞の表面上にOV抗原(この例では、A56またはB5 OV抗原であり、いくつかの実施形態ではこれはOVのネイティブA56またはB5抗原であり得る)が提示される。感染したがん細胞を、提示されたOV抗原に特異的なCARを含むCART細胞で処置すると、感染したがん細胞が破壊される。破壊されたがん細胞によって放出されたOVに感染した隣接がん細胞が、続いて、提示されたOV抗原に特異的なCARを含むCAR T細胞によって破壊され得る。
図14】レンチウイルス形質導入後のVV CAR検出を示すフローサイトメトリーデータを提供する。データは、形質導入されたJurkat細胞上でのVV-CAR発現を示す。特異的な標的結合を示すCARの下方調節は、試験したすべてのVV-CAR構築物で明らかである。
図15】活性化されたA56-CAR-06陽性Jurkat細胞上でのCARおよびeGFPの発現を示す。データは、形質導入されたJurkat細胞株上でのA56-CAR-06とeGFPの共発現を示す。標的HEK A56株とともに培養した後、eGFP陽性集団をゲーティングすることにより、scFv陰性画分内で活性化CAR集団(CD69陽性)を特定することができる。
図16】標的HEK細胞株と共培養した場合における、VV-CARを発現するJurkat細胞の特異的活性化を示すデータを提供する。試験したすべてのVV-CARは、CD69の上方調節によって示される特異的オンターゲット活性化を示している。VV-CAR株を陰性/無関係の標的細胞株と共培養した場合には最小限の交差反応性/内因性活性化が発生した。
図17】健康ドナー初代T細胞のA56-CAR-06発現の形質導入および濃縮を示す。データは、標準的な臨床製造プロトコルに従ったヒト初代T細胞上でのA56-CAR-06の安定した発現を示す。A56-CAR-06濃縮集団は、CAR発現に関する細胞選別とそれに続く臨床的増殖の繰り返しによって確立された。
図18】標的発現HEK-A56株と共培養した場合の、A56-CAR-06を発現するヒトT細胞の特異的活性化を示す。A56-CAR-06を発現するヒト初代T細胞は、標的HEK-A56株との共培養後にCD69およびCD137の有意な上方調節を示した。陰性/無関係の標的細胞株では最小限の交差反応性が観察された。
図19】A56-CAR-06を発現するヒト初代T細胞が標的HEK-A56細胞との共培養後48時間で直接的な腫瘍殺滅の形態学的兆候を示すことを実証するデータを提供する。
図20】B5-CAR-011を発現しているヒトT細胞が高いパーセント特異的細胞傷害性を示すことを実証するデータを提供する。B5-CAR-011を発現するヒト初代T細胞は、相対発光単位(RLU)のパーセント減少によって決定されるように、24時間で特異的な細胞溶解を示した。
図21】同じマウスについての注射後1、3、5日での89Zr-DFO-A049(抗A56抗体、DFO:デフェロキサミン)の代表的な最大強度投影陽電子放出断層撮影(PET)画像を示す。脾臓と肝臓に加えて、腫瘍のタイプ:HEK-A56(A56を発現、左肩)および親HEK(非発現、右肩)を矢印で示している。結果は、組織1グラム当たりの注入量のパーセンテージ(%ID/g)として示される。陽性腫瘍における89Zr-DFO-A049の効率的かつ特異的な蓄積、および予想される放射性免疫コンジュゲートの薬物動態を伴う、明確な前臨床A56陽性腫瘍PETイメージングが示されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の抗体、組成物および方法をより詳細に記載する前に、抗体、組成物および方法は、記載される特定の実施形態に限定されず、当然のことながら変動し得ることが理解されるべきである。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載するためのものであるにすぎず、抗体、組成物および方法の範囲は添付の特許請求の範囲のみによって限定されるため、用語は限定的であることは意図されないこともまた理解されたい。
【0018】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の(文脈上明確に指示されていない限り、下限の単位の10分の1に至るまでの)各介在値、およびその記載された範囲内の他のあらゆる記載されたまたは介在する値は、当該抗体、組成物および方法内に包含されることを理解されたい。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立して、より小さい範囲に含められ得、記載された範囲内で特に除外された制限を受ける。記載される範囲に上下限の一方または両方が含まれている場合、その含まれる上下限のいずれかまたは両方を除く範囲も、当該抗体、組成物および方法に含まれる。
【0019】
特定の範囲は、数値の前に用語「約」が付された状態で本明細書に提示される。「約」という用語は、それが先行する正確な数字、およびその用語が先行する数字に近接または近似する数字に逐語的支持を提供するために本明細書において使用される。ある数が特定の列挙された数に近接または近似するかどうかを決定するにあたり、近似または近似するが列挙されていない数とは、それが提示されている文脈において具体的に列挙された数と実質的に等価な数であり得る。
【0020】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当該抗体、組成物および方法が属する技術分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に説明されているものと類似または等価な任意の抗体、組成物および方法もまた、当該抗体、組成物および方法の実施または試験において使用することができるが、代表的な例示的抗体、組成物および方法をここで説明する。
【0021】
本明細書に引用されるすべての刊行物および特許は、各個々の刊行物または特許が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれ、刊行物が引用されているところに関連する材料および/または方法を開示かつ記載するために、参照により本明細書に組み込まれる。任意の刊行物の引用は、出願日前のその開示についてのものであり、提供される刊行日は、個別に確認を必要とし得る実際の刊行日とは異なる場合があるので、本抗体、組成物および方法がそのような刊行物よりも先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。
【0022】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は任意選択的な要素を排除するように起草されてもよいことにさらに留意されたい。このように、この記述は、クレーム要素の列挙に関連する「専ら」、「のみ」などのような排他的な用語の使用または「負の」限定の使用のための文言的根拠としての役割を果たすことを意図する。
【0023】
明瞭さのために別々の実施形態の文脈中で記載された、抗体、組成物および方法の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わされても提供され得ることが認識される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明される、抗体、組成物および方法の様々な特徴は、別々にまたは任意の好適なサブコンビネーションで提供されてもよい。実施形態のすべての組み合わせは、本開示によって具体的に包含され、このような組み合わせが実施可能なプロセスおよび/または組成物を包含する限りにおいて、まさにありとあらゆる組み合わせが個々にまたは明示的に開示されているかのように本明細書に開示される。さらに、そのような可変要素を記載している実施形態に列挙されているすべてのサブコンビネーションも、本抗体、組成物および方法によって具体的に包含され、そのようなすべてのサブコンビネーションが個々におよび明示的に開示されているかのように、本明細書に開示される。
【0024】
本開示を読むと当業者には明らかであるように、本明細書に説明され例証された個々の実施形態の各々は、本開示の方法の範囲または趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離され得る、または組み合わせられ得る個別の構成要素および特徴を有する。いかなる列挙された方法も、列挙された事象の順序で、または論理的に可能なあらゆる他の順序で、実行され得る。
【0025】
抗体
本開示は、ワクシニアウイルス(VVまたはVACV)抗原に特異的に結合する抗体を提供する。ワクシニアウイルスは、宿主細胞機構から独立してウイルスが複製することを可能にする多数のウイルス酵素および因子をコードする約192kbの二本鎖DNAゲノムを特徴とするポックスウイルスファミリーのメンバーである。VVは、最大25kbのクローニングされた外因性DNAを安定して収容することができる。構造的に、VVは、ウイルスDNAと、リポタンパク質コア膜に包まれたRNAポリメラーゼおよびポリAポリメラーゼなどの様々なウイルス酵素と、で構成されるコア領域から構成される。ウイルスの外層は、二重脂質膜エンベロープから構成される。VVには、腫瘍の自然向性、強力な溶解能力、細胞から細胞への急速な拡散を伴う短いライフサイクル、効率的な遺伝子発現、および大きいクローニング能力など、腫瘍溶解性ウイルス療法での使用に好適な属性をVVに持たせる多くの固有の特徴がある。VVは、細胞質で起こる約8時間の短いライフサイクルを有し、ゲノムへの組み込みのリスクを排除する。複製は通常、感染から約2時間後に始まり、その時点で宿主細胞の核酸合成が停止し、細胞資源がウイルス複製に向けられる。細胞溶解は12時間~48時間の間に起こり、パッケージ化されたウイルス粒子を放出する。VVは、mRNA転写ために宿主メカニズムに依存しないため、宿主細胞の生物学的変化の影響を受けにくくなる。他の腫瘍溶解性ウイルス(OV)とは異なり、VVは細胞侵入のために特定の表面受容体を必要としないため、広範囲の細胞に感染することが可能になる。
【0026】
「抗体」(「免疫グロブリン」とも交換可能に使用される)という用語は、ポリクローナル(例えば、ウサギポリクローナル)およびモノクローナル抗体調製物を包含し、抗体は、任意のアイソタイプ(例えば、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)、IgE、IgD、IgA、IgMなど)の抗体または免疫グロブリン、完全長抗体(例えば、重鎖および軽鎖ポリペプチドの2二量体で構成される四量体で構成される抗体);単鎖抗体(例えば、scFv);単鎖Fv(scFv)、Fab、(Fab’)、(scFv’)およびダイアボディを含むがこれらに限定されない、化合物への特異的結合を保持する、抗体の断片(例えば、完全長抗体または単鎖抗体の断片);キメラ抗体;モノクローナル抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体;ならびに、抗体および非抗体タンパク質の抗原結合部分を含む融合タンパク質であり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、IgG、Fv、単鎖抗体、scFv、Fab、F(ab’)、およびF(ab’)から選択される。抗体は、特異的結合対のメンバー、例えばビオチン(ビオチン-アビジン特異的結合対のメンバー)などの他の部分とさらにコンジュゲートすることができる。
【0027】
免疫グロブリンのポリペプチドには、カッパおよびラムダの軽鎖、ならびにアルファ、ガンマ(IgG、IgG、IgG、IgG)、デルタ、イプシロンおよびミューの重鎖、または他の種における等価物が含まれる。完全長の免疫グロブリン「軽鎖」(通常、約25kDaまたは約214アミノ酸の)は、NH末端における約110アミノ酸の可変領域、およびCOOH末端におけるカッパまたはラムダの定常領域を含む。完全長の免疫グロブリン「重鎖」(約150kDaまたは約446アミノ酸の)は、同様に可変領域(約116アミノ酸の)および前述の重鎖定常領域のうちの1つ、例えば、ガンマ(約330アミノ酸の)を含む。
【0028】
免疫グロブリン軽鎖または重鎖可変領域(それぞれVおよびV)は、「相補性決定領域」または「CDR」とも呼ばれる3つの超可変領域によって中断された「フレームワーク」領域(FR)で構成される。フレームワーク領域とCDRの範囲が定義されている(E.Kabat et al.,Sequences of proteins of immunological interest,4th ed. U.S.Dept.Health and Human Services,Public Health Services,Bethesda,MD(1987);およびLefranc et al.IMGT,the international ImMunoGeneTics information system.Nucl.Acids Res.,2005,33,D593-D597))。異なる軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は、種内で比較的保存されている。構成軽鎖および重鎖の組み合されたフレームワーク領域である抗体のフレームワーク領域は、CDRを位置づけて並べるために役立つ。CDRは、主に抗原のエピトープへの結合に関与する。本開示によって提供されるすべてのCDRおよびフレームワークは、特に明記しない限り、上記のKabatに従って定義される。
【0029】
したがって、「抗体」は、例えば、免疫グロブリン遺伝子またはその断片によって遺伝的にコード可能な1つ以上のポリペプチドを有するタンパク質を包含する。認識されている免疫グロブリン遺伝子には、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン、およびミュー定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。軽鎖はカッパまたはラムダのいずれかに分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロンとして分類され、順にそれぞれ、免疫グロブリンクラスIgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEを定義する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、IgG抗体、例えば、ヒトIgG1抗体などのIgG1抗体である。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒトFcドメインを含む。
【0030】
典型的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、四量体を含むことが知られている。各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一の対で構成され、各対は1つの「軽」鎖(約25kDa)および1つの「重」鎖(約50~70kDa)を有する。各鎖のN末端は、主に抗原認識に関与する約100~110個以上のアミノ酸の可変領域を定義する。可変軽鎖(V)および可変重鎖(V)という用語はそれぞれ、これらの軽鎖および重鎖を指す。
【0031】
抗体は、完全免疫グロブリン、および、遺伝子的にコードされ得るかまたは様々なペプチダーゼによる消化によって産生され得る、十分に特徴付けられた多数の断片を包含する。したがって、例えば、ペプシンは、ヒンジ領域内のジスルフィド結合の下で抗体を消化して、F(ab)’(それ自体がジスルフィド結合によってVH-CHIに結合した軽鎖であるFabの二量体)を産生する。F(ab)’は、穏やかな条件下で還元されて、ヒンジ領域内のジスルフィド結合を切断し、それによって(Fab’)二量体をFab’単量体に変換することができる。Fab’単量体は、本質的にヒンジ領域の一部を備えるFabである(他の抗体断片のより詳細な説明については、Fundamental Immunology,W.E.Paul,ed.,Raven Press,N.Y.(1993)を参照のこと)。完全抗体の消化に関して様々な抗体断片が定義されているが、そのようなFab’断片は、化学的にまたは組換えDNA方法論を利用することによって新たに合成され得ることを当業者は理解するであろう。したがって、本明細書で使用される場合、抗体という用語は、全抗体の改変によって産生されるか、またはFab’、IgG、IgM、IgA、scFv、dAb、ナノボディ、ユニボディ、およびダイアボディを含むがこれらに限定されない、組換えDNA方法論を使用して新たに合成される抗体断片も含む。特定の実施形態では、本開示の抗体は、IgG、Fv、単鎖抗体、scFv、Fab、F(ab’)、およびFab’から選択される。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、本開示の抗体は、モノクローナル抗体である。「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団(すなわち、微量で存在し得る自然発生的変異を除いて個々の抗体が同一である集団)から得られる1つ以上の抗体を含む組成物を指す。モノクローナル抗体は非常に特異的であり、単一の抗原部位に対して、一般的には抗原上の単一のエピトープに対して向けられている。修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均質な集団から得られるものとしての抗体の性質を示し、抗体が何らかの特定の方法によって産生されることや組成物中の唯一の抗体であることは必要としない。
【0033】
特定の実施形態では、本開示の抗体は、ヒト化抗体である。本明細書で使用される場合、ヒト化抗体は、非ヒト(例えば、ウサギ、齧歯類など)抗体に由来し、ヒト抗体のフレームワークおよび/または定常領域の少なくとも一部分を含有するように改変された組換えポリペプチドである。ヒト化抗体はまた、様々な領域が異なる種に由来し得るキメラ抗体およびCDRグラフト化抗体を包含する。キメラ抗体は、ヒト定常領域(例えば、ヒトFcドメイン)に連結された任意の供給源からの可変領域を含む抗体であり得る。したがって、キメラ抗体では、可変領域は非ヒトであり得、定常領域はヒトである。CDRグラフト化抗体は、ヒト「レシピエント」抗体のフレームワーク領域に連結された非ヒト「ドナー」抗体からのCDRを含む抗体である。例えば、scFVの形態である本開示の抗体は、ヒト定常領域(例えば、Fcドメイン)に連結されてヒト免疫グロブリンにされ得る。
【0034】
一般に、ヒト化抗体は、同じ抗体の非ヒト化バージョンと比較して、ヒト宿主において免疫応答を低下させる。抗体は、例えば、CDRグラフト化、ベニヤリングまたはリサーフェイシング(resurfacing)、および鎖シャッフリングなどを含む種々の技術を使用してヒト化することができる。特定の実施形態では、フレームワーク置換は、CDRとフレームワーク残基の相互作用をモデリングして抗原結合に重要なフレームワーク残基を同定することおよび配列比較をして特定の位置における特異なフレームワー残基を同定することによって同定される。
【0035】
したがって、本明細書に記載の抗体はいずれも、利用可能な方法を使用してヒト化することができる。ウサギまたはマウスCDRをヒト可変ドメインフレームワークに置き換えると、それらの正しい空間的配向を保持することができ、例えば、ヒト可変ドメインフレームワークは、該CDRが由来するウサギまたはマウス可変フレームワークと同じまたは類似の立体構造を採用する。これは、CDRが由来するウサギまたはマウス可変フレームワークドメインと高度の配列同一性を示すフレームワーク配列を有するヒト抗体からヒト可変ドメインを取得することによって達成することができる。重鎖および軽鎖の可変フレームワーク領域は、同じまたは異なるヒト抗体配列に由来することができる。ヒト抗体配列は、天然に存在するヒト抗体の配列であり得、またはいくつかのヒト抗体のコンセンサス配列であり得る。
【0036】
ウサギまたはマウスドナー免疫グロブリンおよび適切なヒトアクセプター免疫グロブリンの相補性決定領域を同定したら、次のステップは、得られるヒト化抗体の特性を最適化するためにこれらの成分の残基を置換するとすればどの残基を置換するべきかを決定することである。一般に、ヒトアミノ酸残基のウサギまたはマウスによる置換は最小限に抑える必要があり、これは、ウサギまたはマウス残基の導入により、抗体がヒトにおいてヒト抗ウサギ抗体(HARA)またはヒト抗マウス抗体(HAMA)応答を誘発するリスクが高まるためである。免疫応答を決定する技術的に認められた方法を、特定の患者においてまたは臨床試験中にHARAまたはHAMA応答を監視するために実行することができる。ヒト化抗体を投与された患者は、当該療法の投与の開始時および投与期間全体を通して免疫原性評価を受けることができる。HARAまたはHAMA応答は、例えば、表面プラズモン共鳴技術(BIACORE)および/または固相ELISA分析を含む当業者に知られている方法を使用して、患者からの血清試料中のヒト化治療試薬に対する抗体を検出することによって測定される。多くの実施形態では、対象ヒト化抗体は、ヒト対象においてHARA応答を実質的に誘発しない。
【0037】
ヒト可変領域フレームワーク残基からの特定のアミノ酸が、CDR立体構造および/または抗原結合に対してそれらが与え得る影響に基づいて、置換のために選択される。ウサギまたはマウスCDR領域とヒト可変フレームワーク領域の不自然な並置は、不自然な立体構造拘束をもたらす可能性があり、それは特定のアミノ酸残基の置換によって修正されない限り、結合親和性の喪失につながる。置換のためのアミノ酸残基の選択は、部分的に、コンピュータモデリングによって決定することができる。免疫グロブリン分子の三次元画像を生成するためのコンピュータハードウェアおよびソフトウェアは、当該技術分野で知られている。一般に、免疫グロブリン鎖またはそのドメインの解決された構造から開始して分子モデルが作成される。モデル化される鎖は、解決された三次元構造の鎖またはドメインとのアミノ酸配列類似性について比較され、最大の配列類似性を示す鎖またはドメインが、分子モデルの構築の開始点として選択される。少なくとも50%の配列同一性を共有する鎖またはドメインがモデリングのために選択され、好ましくは、少なくとも60%、70%、80%、90%以上の配列同一性を共有するものがモデリングのために選択される。解決された開始構造が、モデル化される免疫グロブリン鎖またはドメインの実際のアミノ酸と開始構造のアミノ酸との違いを許容するように、改変される。次に、その改変された構造が複合免疫グロブリンに組み立てられる。最後に、エネルギー最小化と、すべての原子が互いに適切な距離内にあり結合長および結合角度が化学的に許容できる範囲内にあることを確認することとにより、モデルが改良される。
【0038】
例えば、Kabatによって定義されるフレームワーク残基が、例えば、Chothiaによって定義される構造ループ残基を構成する場合、ウサギまたはマウス抗体に存在するアミノ酸を、ヒト化抗体への置換のために選択することができる。「CDR領域に隣接する」残基には、ヒト化免疫グロブリン鎖の一次配列中のCDRのうちの1つ以上に直接隣接する位置、例えば、Kabatによって定義されるCDR、または、Chothiaによって定義されるCDR(例えば、Chothia and Lesk JMB 196:901(1987)を参照されたい)に直接隣接する位置にあるアミノ酸残基が含まれる。これらのアミノ酸は、CDR内のアミノ酸と相互作用する可能性が特に高く、もしアクセプターから選択されると、ドナーCDRを歪めて親和性を減少させる可能性が高い。さらに、これら隣接するアミノ酸は抗原と直接相互作用する可能性があり(Amit et al.,Science,233:747(1986))、ドナーからこれらのアミノ酸を選択することは、元の抗体の親和性を提供するすべての抗原接触を維持するために望ましくなり得る。本明細書に記載の抗体のうちのいずれかをヒト化するために用いることができるアプローチとしては、Williams,D.,Matthews,D.& Jones,T.Humanising Antibodies by CDR Grafting.Antibody Engineering 319-339(2010) doi:10.1007/978-3-642-01144-3_21;Kuramochi,T.,Igawa,T.,Tsunoda,H.& Hattori,K.Humanization and simultaneous optimization of monoclonal antibody.Methods Mol.Biol.1060,123-37(2014);Hwang,W.Y.,Almagro,J.C.,Buss,T.N.,Tan,P.& Foote,J.Use of human germline genes in a CDR homology-based approach to antibody humanization.Methods 36,35-42(2005);Lo,B.K.Antibody humanization by CDR grafting.Methods Mol.Biol.248,135-59(2004);およびLefranc,M.-P.P.,Ehrenmann,F.,Ginestoux,C.,Giudicelli,V.& Duroux,P.Use of IMGT databases and tools for antibody engineering and humanization.Methods Mol.Biol.907,3-37(2012)(それらの開示は、あらゆる目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているものが含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
本開示の抗体は、VV A56またはVV B5抗原に特異的に結合する。抗体は、(例えば試料中の)他の物質に結合するよりも、より高い親和性、結合力で、より容易に、および/またはより長い持続時間で結合する場合、標的に「特異的に結合する」または「優先的に結合する」。特定の実施形態では、抗体は、例えば、約10-1以上の親和性またはKa(すなわち、1/Mの単位による特定の結合相互作用の平衡会合定数)で抗原に結合または会合する場合、抗原と「特異的に結合」する。代替的に、親和性は、Mの単位による特定の結合相互作用の平衡解離定数(KD)(例えば、10-5M~10-13M、またはそれ未満)として定義され得る。特定の態様では、特異的結合は、抗体が、約10-5M以下、約10-6M以下、約10-7M以下、約10-8M以下、または約10-9M、10-10M、10-11M、もしくは10-12M以下のKDで抗原に結合することを意味する。抗原に対する抗体の結合親和性は、従来の技術を使用して、例えば、競合ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、平衡透析によって、表面プラズモン共鳴(SPR)技術(例えば、製造業者によって概説された一般的な手順を使用するBIAcore 2000またはBIAcore T200機器)を使用することによって、ラジオイムノアッセイによって容易に決定することができる。
【0040】
本開示の抗体が、抗原に結合することについて第2の抗体と「競合する」かどうかは、当該技術分野で知られている競合結合アッセイを使用して容易に決定することができる。競合する抗体は、例えば、抗体競合アッセイを介して特定することができる。例えば、第1の抗体の試料を固体支持体に結合させ得る。次に、そのような第1の抗体と競合することができると疑われる第2の抗体の試料を加える。2つの抗体のうちの1つは標識される。標識抗体と非標識抗体が抗原上の離れた別個の部位に結合する場合、競合すると疑われる抗体が存在するかどうかに関係なく、標識抗体は同じレベルに結合する。しかしながら、相互作用の部位が同一であるかまたは重複している場合、非標識抗体が競合し、抗原に結合する標識抗体の量が低下する。非標識抗体が過剰に存在する場合、標識抗体は、たとえあったとしてもごくわずかしか結合しない。
【0041】
本開示の目的のために、競合する抗体は、抗原への抗体の結合を約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上減少させるものである。このような競合アッセイを実施するための手順の詳細は知られており、例えば、Harlow and Lane,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1988,567-569,1988,ISBN 0-87969-314-2に見出すことができる。このようなアッセイは、精製された抗体を使用して定量的に行うことができる。1つの抗体をそれ自体に対して滴定することによって標準曲線を確立することができる。つまり、同じ抗体が標識と競合物の両方に使用される。プレートへの標識抗体の結合を阻害する非標識競合抗体の能力を滴定することができる。結果をプロットし、所望の程度の結合阻害を達成するために必要な濃度を比較することができる。
【0042】
抗VV A56抗体
いくつかの実施形態によれば、VV A56抗原(VV A56)に特異的に結合する抗体が提供される。ワクシニアウイルスA56タンパク質はもともと血球凝集素タンパク質として特徴付けられていたが、A56は他の機能も有する。A56タンパク質は、セリンプロテアーゼ阻害剤(K2)とワクシニアウイルス補体制御タンパク質(VCP)の2つのウイルスタンパク質に結合し、それらを感染細胞の表面に固定することができる。両方のタンパク質は細胞表面で生物学的に関連する機能を有するが、どちらもそれ自体ではそこに位置することができない。A56-K2複合体は、感染細胞に重感染するウイルスの量を低減し、感染細胞による合胞体の形成も防ぐ。A56-VCP複合体は、感染細胞を補体攻撃から保護することができる。A56R遺伝子の欠失は、ワクシニアウイルスの病原性に様々な影響を及ぼす。A56タンパク質をコードする遺伝子は必須ではないため、外来遺伝子の挿入点として使用される可能性があり、腫瘍溶解剤として臨床開発中である一部のウイルスでは欠失されている。
【0043】
特定の実施形態では、本開示の抗体は、VV A56に特異的に結合し、本明細書でA047/A057、A049/A059/A056、A050およびA054と呼ばれる抗VV A56抗体のうちの1つ以上の1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つすべての相補性決定領域(CDR)を有する抗体と、VV A56への結合について競合する。いくつかの実施形態によれば、本開示の抗体は、VV A56に特異的に結合し、本明細書でA047/A057、A049/A059/A056、A050もしくはA054と呼ばれる抗VV A56抗体の1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つすべてのCDRを含む。A047/A057、A049/A059/A056、A050およびA054抗体の可変重鎖(V)ポリペプチド、可変軽鎖(V)ポリペプチド、およびCDRのアミノ酸配列を以下の表1に示す。本開示を通して記載されるすべてのCDRおよびフレームワーク領域は、特に明記しない限り、Kabatに従って定義される。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0044】
特定の実施形態では、本開示の抗体は、VV A56に特異的に結合し、VV A56への結合について、
アミノ酸配列SSYWIC(配列番号3)を含むVCDR1と、
アミノ酸配列CIYAGSGGSTYYATWAKG(配列番号4)を含むVCDR2と、
アミノ酸配列AYSDRSGGYSFNL(配列番号5)を含むVCDR3と、を含む可変重鎖(V)ポリペプチド、および
アミノ酸配列QASQSVDNNNYLA(配列番号6)を含むVCDR1と、
アミノ酸配列SASSLAS(配列番号7)を含むVCDR2と、
アミノ酸配列LGSYDCSDADCYA(配列番号8)を含むVCDR3と、を含む可変軽鎖(V)ポリペプチド、を含む抗体と競合する。
【0045】
特定の実施形態では、そのような抗体は、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8に示される6つのCDRを含む。いくつかの実施形態によれば、抗体は、配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上もしくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖(V)ポリペプチド、配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上もしくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖(V)ポリペプチド、または両方を含む。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、本開示の抗体は、VV A56に特異的に結合し、VV A56への結合について、
アミノ酸配列DIYYIS(配列番号11)を含むVCDR1と、
アミノ酸配列CTYAGSSGSTYYATWAKG(配列番号12)を含むVCDR2と、
アミノ酸配列DRYPGTSGRVYGMDL(配列番号13)を含むVCDR3と、を含む可変重鎖(V)ポリペプチド、および
アミノ酸配列QASQSISDLLS(配列番号14)を含むVCDR1と、
アミノ酸配列SASTLAS(配列番号15)を含むVCDR2と、
アミノ酸配列QCNYYSPTYGNG(配列番号16)を含むVCDR3と、を含む可変軽鎖(V)ポリペプチド、を含む抗体と競合する。
【0047】
特定の実施形態では、そのような抗体は、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15および配列番号16に示される6つのCDRを含む。いくつかの実施形態によれば、抗体は、配列番号9に記載のアミノ酸配列に対して70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上もしくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖(V)ポリペプチド、配列番号10に記載のアミノ酸配列に対して70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上もしくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖(V)ポリペプチド、または両方を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号9に記載のアミノ酸配列に対して70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上もしくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖(V)ポリペプチド、配列番号62に記載のアミノ酸配列に対して70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上もしくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖(V)ポリペプチド、または両方を含む。いくつかの実施形態によれば、抗体は、配列番号9に記載のアミノ酸配列に対して70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上もしくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖(V)ポリペプチド、配列番号63に記載のアミノ酸配列に対して70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上もしくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖(V)ポリペプチド、または両方を含む。
【0048】
特定の実施形態では、本開示の抗体は、VV A56に特異的に結合し、VV A56への結合について、
アミノ酸配列SSYWLC(配列番号19)を含むVCDR1と、
アミノ酸配列CIYNGDGSTHYASWAKG(配列番号20)を含むVCDR2と、
アミノ酸配列DYTYNFYTYGFNL(配列番号21)を含むV CDR3と、を含む可変重鎖(V)ポリペプチド、および
アミノ酸配列QASQSVNIWAS(配列番号22)を含むVCDR1と、
アミノ酸配列KASTLAS(配列番号23)を含むVCDR2と、
アミノ酸配列QGGYPSSSSGWA(配列番号24)を含むVCDR3と、を含む可変軽鎖(V)ポリペプチド、を含む抗体と競合する。
【0049】
特定の実施形態では、そのような抗体は、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23および配列番号24に示される6つのCDRを含む。いくつかの実施形態によれば、抗体は、配列番号17に記載のアミノ酸配列に対して70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上もしくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖(V)ポリペプチド、配列番号18に記載のアミノ酸配列に対して70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上もしくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖(V)ポリペプチド、または両方を含む。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、本開示の抗体は、VV A56に特異的に結合し、VV A56への結合について、
アミノ酸配列SSYWIC(配列番号27)を含むVCDR1と、
アミノ酸配列CTYNGDGSTHYASWAKG(配列番号28)を含むVCDR2と、
アミノ酸配列DYTDAFYTYGFNL(配列番号29)を含むVCDR3と、を含む可変重鎖(V)ポリペプチド、および
アミノ酸配列QASQSTSSYLA(配列番号30)を含むVCDR1と、
アミノ酸配列RASSLAS(配列番号31)を含むVCDR2と、
アミノ酸配列QTGFYGSSGHT(配列番号32)を含むVCDR3と、を含む可変軽鎖(V)ポリペプチド、を含む抗体と競合する。
【0051】
特定の実施形態では、そのような抗体は、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31および配列番号32に示される6つのCDRを含む。いくつかの実施形態によれば、抗体は、配列番号25に記載のアミノ酸配列に対して70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上もしくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖(V)ポリペプチド、配列番号26に記載のアミノ酸配列に対して70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上もしくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖(V)ポリペプチド、または両方を含む。
【0052】
本開示の抗VV A56抗体が、VV A56抗原への結合について第2の抗体と「競合する」かどうかを決定するための好適なVV A56抗原としては、以下の表2に示されるアミノ酸配列を有するWyeth、Western ReserveおよびCopenhagen A56抗原が挙げられる。
【表2】
【0053】
抗VV B5抗体
いくつかの実施形態によれば、VV B5抗原(VV B5)に特異的に結合する抗体が提供される。VV B5タンパク質は、補体制御タンパク質に特徴的な4つの短いコンセンサスリピート(SCR)で構成される細胞外ドメインを有する42kDaのI型膜貫通型糖タンパク質である。SCRの後、B5は膜貫通ドメインの前にストーク領域と、短い細胞質尾部(CT)と、を有する。SCRとCTはいずれも、B5を細胞外エンベロープウイルス(EEV)膜にターゲティングするために不可欠ではないが、後者は細胞表面へのその輸送およびエンドソームを介したリサイクルに影響を与える。B5は、細胞内成熟ウイルス(IMV)がラッピングして細胞内エンベロープウイルス(IEV)を形成するために必要である。
【0054】
特定の実施形態では、本開示の抗体は、VV B5に特異的に結合し、本明細書でA048/A058/A073およびA051と呼ばれる抗VV B5抗体のうちの1つ以上の1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つすべての相補性決定領域(CDR)を有する抗体と、VV B5への結合について競合する。いくつかの実施形態によれば、本開示の抗体は、VV B5に特異的に結合し、本明細書でA048/A058/A073もしくはA051と呼ばれる抗VV B5抗体の1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つすべてのCDRを含む。A048/A058/A073およびA051抗体の可変重鎖(V)ポリペプチド、可変軽鎖(V)ポリペプチド、ならびにCDRのアミノ酸配列を以下の表3に示す。
【表3】
【0055】
特定の実施形態では、本開示の抗体は、VV B5に特異的に結合し、VV B5への結合について、
アミノ酸配列SSYYMC(配列番号35)を含むVCDR1と、
アミノ酸配列CIYTSSGSAYYANWAKG(配列番号36)を含むVCDR2と、
アミノ酸配列NAVGSSYYLYL(配列番号37)を含むVCDR3と、を含む可変重鎖(V)ポリペプチド、および
アミノ酸配列QASQSVAGNNYLS(配列番号38)を含むVCDR1と、
アミノ酸配列SVSTLAS(配列番号39)を含むVCDR2と、
アミノ酸配列QGYYNDGIWA(配列番号40)を含むVCDR3と、を含む可変軽鎖(V)ポリペプド、を含む抗体と競合する。
【0056】
特定の実施形態では、そのような抗体は、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39および配列番号40に示される6つのCDRを含む。いくつかの実施形態によれば、抗体は、配列番号33に記載のアミノ酸配列に対して70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上もしくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖(V)ポリペプチド、配列番号34に記載のアミノ酸配列に対して70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上もしくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖(V)ポリペプチド、または両方を含む。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、本開示の抗体は、VV B5に特異的に結合し、VV B5への結合について、
アミノ酸配列SYWMC(配列番号43)を含むVCDR1と、
アミノ酸配列CIYGGSSGSTYYSNWAKG(配列番号44)を含むVCDR2と、
アミノ酸配列DGSTWDYFRL(配列番号45)を含むVCDR3と、を含む可変重鎖(V)ポリペプチド、および
アミノ酸配列QASQSINTNYLS(配列番号46)を含むVCDR1と、
アミノ酸配列QASTLES(配列番号47)を含むVCDR2と、
アミノ酸配列QGYYTVENIGNP(配列番号48)を含むVCDR3と、を含む可変軽鎖(V)ポリペプチド、を含む抗体と競合する。
【0058】
特定の実施形態では、そのような抗体は、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47および配列番号48に示される6つのCDRを含む。いくつかの実施形態によれば、抗体は、配列番号41に記載のアミノ酸配列に対して70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上もしくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖(V)ポリペプチド、配列番号42に記載のアミノ酸配列に対して70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上もしくは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖(V)ポリペプチド、または両方を含む。
【0059】
本開示の抗VV B5抗体が、VV B5抗原への結合について第2の抗体と「競合する」かどうかを決定するための好適なVV B5抗原としては、以下の表4に示されるアミノ酸配列を有するWyeth、Western ReserveおよびCopenhagen B5抗原が挙げられる。
【表4】
【0060】
二重特異性抗体
二重特異性抗体も提供される。特定の実施形態では、本開示の二重特異性抗体は、上記のような抗体などの本開示の抗VV A56および抗VV B5抗体のうちのいずれかのVポリペプチド-Vポリペプチド対を含む第1の抗原結合ドメインを含む。二重特異性抗体は、第1の抗原結合ドメインによって結合されたVV抗原に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを含み得る。特定の実施形態では、二重特異性抗体は、第1の抗原結合ドメインによって結合されたVV抗原以外のVV抗原に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを含む。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、本開示の二重特異性抗体は、VV抗原以外の抗原に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを含む。特定の実施形態では、VV抗原以外の抗原は、免疫細胞表面抗原である。免疫細胞表面抗原の非限定的な例としては、免疫エフェクター細胞表面抗原、例えば、T細胞表面抗原、ナチュラルキラー(NK)細胞表面抗原、マクロファージ細胞表面抗原などが挙げられる。第2の抗原結合ドメインによって結合され得るT細胞表面抗原の例としては、T細胞刺激分子、例えば、CD3、CD28などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
本開示の二重特異性抗体としては、全長抗体構造を有する抗体、および二重特異性抗体断片が挙げられる。本明細書で使用される場合、「全長」は、2つの全長抗体重鎖および2つの全長抗体軽鎖を有する抗体を指す。全長抗体重鎖(HC)は、よく知られている重鎖可変ドメインと、定常ドメインVH、CH1、CH2およびCH3と、から構成されている。全長抗体軽鎖(LC)は、よく知られている軽鎖可変ドメインと、定常ドメインVLおよびCLと、から構成されている。全長抗体は、一方または両方の重鎖のC末端リジンを欠いている可能性がある。「Fabアーム」という用語は、抗原に特異的に結合する1つの重鎖:軽鎖の対を指す。
【0063】
全長二重特異性抗体は、例えば、各半分子の重鎖CH3界面において置換を導入して、別個の特異性を有する2つの抗体半分子の無細胞環境下でインビトロでのまたは共発現を使用したヘテロ二量体形成が促進するようにすることによる、2つの単一特異性二価抗体間のFabアーム交換(もしくは半分子交換)を使用して、生成され得る。Fabアーム交換反応は、ジスルフィド結合の異性化反応とCH3ドメインの解離-会合の結果である。親単一特異性抗体のヒンジ領域における重鎖ジスルフィド結合が還元される。親単一特異性抗体のうちの1つから得られる遊離システインは、第2の親単一特異性抗体分子のシステイン残基と重鎖間ジスルフィド結合を形成し、同時に親抗体のCH3ドメインが解離-会合によって離れ再形成される。FabアームのCH3ドメインは、ホモ二量体化よりもヘテロ二量体化を優先するように設計され得る。得られる産物は、各々が別個のエピトープと結合する2つのFabアームまたは半分子を有する二重特異性抗体である。
【0064】
「ノブ・イン・ホール(knob-in-hole)」戦略(例えば、WO2006/028936を参照のこと)を使用して、全長二重特異性抗体を生成し得る。簡単に説明すると、ヒトIgGにおけるCHSドメインの界面を形成する選択されたアミノ酸が、CH3ドメイン相互作用に影響を与える位置において変異され、ヘテロ二量体形成を促進することができる。小さい側鎖(ホール)を有するアミノ酸が、第1の抗原に特異的に結合する抗体の重鎖に導入され、大きい側鎖(ノブ)を有するアミノ酸が、第2の抗原に特異的に結合する抗体の重鎖に導入される。2つの抗体の共発現後、「ホール」を有する重鎖と「ノブ」を有する重鎖との優先的な相互作用の結果として、ヘテロ二量体が形成される。ノブおよびホールを形成する例示的なCH3置換対は、以下のとおりである(第1の重鎖の第1のCH3ドメインにおける改変位置/第2の重鎖の第2のCH3ドメインにおける改変位置として表される):T366Y7F405A、T366W/F405W、F405W/Y407A、T394W/Y407T、T3945/Y407A、T366W/T394S、F405W/T394SおよびT366W/T366S_L368A_Y407V。
【0065】
US2010/0015133、US2009/0182127、US2010/028637またはUS2011/0123532に記載されるように、1つのCH3表面で正に帯電した残基を置換し第2のCH3表面で負に帯電した残基を置換することにより、静電相互作用を使用して重鎖ヘテロ二量体化を促進するなどの他の戦略を使用してもよい。他の戦略では、ヘテロ二量体化は、(第1の重鎖の第1のCH3ドメインにおける改変位置/第2の重鎖の第2のCH3ドメインにおける改変位置として表される)以下の置換によって促進され得る:US2012/0149876またはUS2013/0195849に記載されるようなL351 Y_F405A_Y407V T394W、T366I_K392M_T394W/F405A_Y407V、L351 Y_Y407A’T366A_K409F、L351Y_Y407A/T366V_K409F、Y407A/T366A_K409FもしくはT350V_L351Y_F405A_Y407V/T350V_T366L_K392L_T394W。
【0066】
単鎖二重特異性抗体も提供される。いくつかの実施形態では、本開示の単鎖二重特異性抗体は、二重特異性scFvである。二重特異性scFvに関する詳細は、例えば、Zhou et al.(2017)J Cancer 8(18):3689-3696に見出され得る。
【0067】
本明細書に記載の抗体から多重特異性(例えば、二重特異性)抗体を産生するために用いられ得るアプローチとしては、Ellerman,D.(2019).”Bispecific T-cell engagers:Towards understanding variables influencing the in vitro potency and tumor selectivity and their modulation to enhance their efficacy and safety.”Methods 154:102-117;Brinkmann,U.and R.E.Kontermann (2017).”The making of bispecific antibodies.”mAbs 9(2):182-212;およびSuurs,F.V.,et al.(2019).”A review of bispecific antibodies and antibody constructs in oncology and clinical challenges.”Pharmacol Ther 201:103-119(それらの開示は、あらゆる目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)が挙げられるが、これに限定されない。
【0068】
融合タンパク質
融合タンパク質も提供される。特定の実施形態では、本開示の融合タンパク質は、異種アミノ酸配列に融合された、本開示の抗VV A56または抗VV B5抗体のうちのいずれかの鎖を含む。異種アミノ酸配列は、抗体の鎖のC末端または抗体の鎖のN末端に融合され得る。特定の実施形態では、本開示の融合タンパク質は、抗体の鎖のC末端に異種配列と、抗体の鎖のN末端に異種配列と、を含み、これら異種配列は、同じ配列であっても異なる配列であってもよい。核酸またはポリペプチドの文脈で使用される場合、「異種」は一般に、核酸またはポリペプチドが、自然界には見られないものであるように、会合もしくは接合されているものとは異なる起源(例えば、異なる配列、異なる種の起源などの分子)に由来することを意味する。例えば、融合タンパク質では、軽鎖ポリペプチドとレポーターポリペプチド(例えば、GFP、赤色蛍光タンパク質(例えば、mCherry)、ルシフェラーゼなど)は、互いに「異種」であると言われる。同様に、マウス抗体からのCDRとヒト抗体からの定常領域は互いに「異種」である。
【0069】
抗VV A56または抗VV B5抗体の鎖は、目的の任意の異種配列に融合され得る。目的の異種ポリペプチドとしては、アルブミン、トランスフェリン、XTEN、ホモアミノ酸ポリマー、プロリン-アラニン-セリンポリマー、エラスチン様ペプチド、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。特定の態様では、異種ポリペプチドは、抗体がそれを必要とする個体に投与されたときに、異種配列に融合されていない同じ抗体と比較して、抗体の安定性および/または血清半減期を増加させる。
【0070】
特定の実施形態では、本開示の融合タンパク質は、単鎖抗体、例えば、上記のような抗体のうちのいずれかを含む、本開示の抗VV A56および抗VVB5抗体のうちのいずれかのVポリペプチド-Vポリペプチド対を含む単鎖抗体(例えば、scFv)を含む。本開示のscFvとしては、以下の表5に記載のscFvの6つのCDRを含むscFvが含まれるが、これらに限定されず、いくつかの実施形態では、scFvは、表5に記載のscFvのVのアミノ酸配列に対して70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖(V)ポリペプチドと、表5に記載のscFvのVのアミノ酸配列に対して70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖(V)ポリペプチドと、を含む。表5では、ポリペプチドのセグメント/ドメインが交互の下線で示され、セグメント/ドメインのIDが左側の列に示されている。
【表5-1】
【表5-2】
【0071】
いくつかの実施形態によれば、融合タンパク質が単鎖抗体(例えば、本明細書に記載のscFvのうちのいずれかを含む、本開示の単鎖抗体のうちのいずれか)を含む場合、融合タンパク質は、単鎖抗体、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含む、キメラ抗原受容体(CAR)である。
【0072】
本開示のCARは、様々なドメイン間の1つ以上のリンカー配列を含み得る。「可変領域連結配列」は、重鎖可変領域を軽鎖可変領域に接続し、得られたポリペプチドが、同じ軽鎖および重鎖可変領域を含む抗体と同じ標的分子に対する特異的結合親和性を保持するように2つのサブ結合ドメインの相互作用と適合性のあるスペーサー機能を提供するアミノ酸配列である。可変領域連結配列の非限定的な例は、アミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS (GS)(配列番号49)を含むセリン-グリシンリンカーなどのセリン-グリシンリンカーである。特定の態様では、リンカーは、1つ以上の重鎖または軽鎖可変ドメイン、ヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、および/または一次シグナル伝達ドメインを分離する。特定の実施形態では、CARは、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ以上のリンカーを含む。特定の実施形態では、リンカーの長さは、約1~約25アミノ酸、約5~約20アミノ酸、もしくは約10~約20アミノ酸、または任意の介在するアミノ酸の長さである。いくつかの実施形態では、リンカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、またはそれ超の長さのアミノ酸である。
【0073】
いくつかの実施形態では、CARの抗原結合ドメインの後に、適切な細胞/細胞接触、抗原結合および/または活性化を可能にするために、抗原結合ドメインをエフェクター細胞表面(例えば、CARを発現するT細胞の表面)から遠ざける1つ以上のスペーサードメインが続く。スペーサードメイン(ならびに、本明細書に記載の他の任意のスペーサードメイン、リンカーおよび/または同様のもの)は、天然、合成、半合成または組換えのいずれかの供給源に由来し得る。特定の実施形態では、スペーサードメインは、免疫グロブリンの一部分であり、1つ以上の重鎖定常領域、例えば、CH2およびCH3を含むが、これらに限定されない。スペーサードメインは、天然に存在する免疫グロブリンヒンジ領域または改変された免疫グロブリンヒンジ領域のアミノ酸配列を含み得る。一実施形態では、スペーサードメインは、IgG1、IgG4もしくはIgDのCH2および/またはCH3を含む。本明細書に記載のCARでの使用に好適である例示的なスペーサードメインには、CD8αおよびCD4などの1型膜タンパク質の細胞外領域に由来するヒンジ領域が含まれ、この領域は、これらの分子またはその変異体に由来する野生型ヒンジ領域であり得る。特定の態様では、ヒンジドメインは、CD8αヒンジ領域を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジは、PD-1ヒンジまたはCD152ヒンジである。
【0074】
「膜貫通ドメイン」(Tmドメイン)は、細胞外結合部分と細胞内シグナル伝達ドメインを融合し、CARを細胞(例えば、免疫エフェクター細胞)の原形質膜に固定するCARの部分である。Tmドメインは、天然、合成、半合成、または組換えのいずれかの供給源に由来し得る。いくつかの実施形態では、Tmドメインは、T細胞受容体、CD35、CD3ζ、CD3γ、CD3δ、CD4、CD5、CD8α、CD9、CD16、CD22、CD27、CD28、CD33、CD37、CD45、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD152、CD154またはPD-1のアルファまたはベータ鎖の(例えば、少なくとも膜貫通領域またはその機能的部分を含む)由来である。
【0075】
一実施形態では、CARは、CD8αに由来するTmドメインを含む。特定の態様では、CARは、CD8αに由来するTmドメインと、例えば、長さが1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10アミノ酸間の短いオリゴまたはポリペプチドリンカーと、を含む。これは、CARのTmドメインと細胞内シグナル伝達ドメインを連結する。例えば、グリシン-セリンリンカーをそのようなリンカーとして用いてもよい。
【0076】
CARの「細胞内シグナル伝達」ドメインは、標的分子/抗原に結合するCARからのシグナルを免疫エフェクター細胞の内部に伝達して、エフェクター細胞機能、例えば、活性化、サイトカイン産生、増殖および/または細胞傷害活性(CAR結合標的細胞への細胞傷害性因子の放出、もしくは細胞外CARドメインへの標的分子/抗原結合によって誘発される他の細胞応答を含む)を誘発することに関与するCARの一部を指す。したがって、「細胞内シグナル伝達ドメイン」という用語は、エフェクター機能シグナルを伝達し、細胞に特殊な機能を実行するように指示するタンパク質の部分を指す。細胞内シグナル伝達ドメインの短縮部分が使用される場合には、エフェクター機能シグナルを伝達する限り、そのような短縮部分は、全長細胞内シグナル伝達ドメインの代わりに使用され得る。細胞内シグナル伝達ドメインという用語は、エフェクター機能シグナルを伝達するのに十分な細胞内シグナル伝達ドメインの任意の短縮部分を含むことを意味する。
【0077】
T細胞受容体(TCR)だけで生成されたシグナルは、T細胞を完全に活性化するには不十分であり、二次シグナルまたは共刺激シグナルも必要である。したがって、T細胞の活性化は2つの別個のクラスの細胞内シグナル伝達ドメインによって媒介される:TCR(例えば、TCR/CD3複合体)を介して抗原依存性の一次活性化を開始する一次シグナル伝達ドメインと、二次または共刺激信号を提供するために抗原非依存的に作用する共刺激シグナル伝達ドメイン。したがって、本開示のCARは、1つ以上の「共刺激シグナル伝達ドメイン」および「一次シグナル伝達ドメイン」を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含み得る。
【0078】
一次シグナル伝達ドメインは、刺激的にまたは阻害的にのいずれかで、TCR複合体の一次活性化を調節する。刺激的に作用する一次シグナル伝達ドメインは、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(または「ITAM」)として知られているシグナル伝達モチーフを含有し得る。本開示のCARでの使用に好適なITAM含有一次シグナル伝達ドメインの非限定的な例としては、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD22、CD79α、CD79βおよびCD66δに由来するものが挙げられる。特定の実施形態では、CARは、CD3ζ一次シグナル伝達ドメインおよび1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインを含む。細胞内一次シグナル伝達および共刺激シグナル伝達ドメインは、膜貫通ドメインのカルボキシル末端に作動可能に連結されている。
【0079】
いくつかの実施形態では、CARは、CARを発現する免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞)の有効性および増殖を増強するために、1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインを含む。本明細書で使用される場合、「共刺激シグナル伝達ドメイン」または「共刺激ドメイン」という用語は、共刺激分子またはその活性断片の細胞内シグナル伝達ドメインを指す。特定の実施形態で企図されるCARでの使用に好適である例示的な共刺激分子としては、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、CARD11、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CD54(ICAM)、CD83、CD134(OX40)、CD137(4-1BB)、CD278(ICOS)、DAP10、LAT、KD2C、SLP76、TRIMおよびZAP70が挙げられる。いくつかの実施形態では、CARは、4-1BB(CD137)、CD28およびCD134からなる群から選択される1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインと、CD3ζ一次シグナル伝達ドメインと、を含む。
【0080】
本開示のCARは、リーダー配列を含むがこれらに限定されない、任意の種々の好適なドメイン;ヒンジ、スペーサーおよび/もしくはリンカードメイン;膜貫通ドメイン;共刺激ドメイン;シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ζドメイン);リボソームスキップエレメント;制限酵素配列;レポータータンパク質ドメイン;ならびに/または同様のものを含み得る。本開示のCARに含まれ得るそのようなドメインの非限定的な例としては、以下の表6に示されるものが挙げられる。当業者によって理解されるように、表6に示されるドメインのうちの1つ以上のアミノ酸配列(例えば、リンカー、ヒンジ、膜貫通、共刺激、シグナル伝達、リボソームスキップエレメント;制限酵素配列;レポータータンパク質など)は、例えば、CARの機能性などを改善するために、必要に応じて改変され得る。
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【0081】
特定の態様では、本開示のCARは、目的の抗原(例えば、VV A56抗原またはVV B5抗原)に結合する単鎖抗体(例えば、本開示のscFvのうちのいずれか);CD4、CD8α、CD154およびPD-1からなる群から選択されるポリペプチドからの膜貫通ドメイン;4-1BB(CD137)、CD28およびCD134からなる群から選択されるポリペプチドからの1つ以上の細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン;ならびに、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD22、CD79α、CD79βおよびCD66δからなる群から選択されるポリペプチドからの細胞内シグナル伝達ドメインを含む。そのようなCARは、抗原結合部分と膜貫通ドメインとの間にスペーサードメイン、例えば、CD8アルファヒンジをさらに含み得る。
【0082】
いくつかの実施形態によれば、提供されるのは、N末端からC末端までの間に、本明細書に記載の抗体の可変重鎖(V)ポリペプチド、リンカー、抗体の可変軽鎖(V)、CD8ヒンジ領域(いくつかの実施形態では、拡張CD8ヒンジ領域である)、CD8膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激ドメイン、およびCD3ζシグナル伝達ドメインを含むCARである。特定の実施形態によれば、提供されるのは、N末端からC末端までの間に、本明細書に記載の抗体の可変軽鎖(V)ポリペプチド、リンカー、抗体の可変重鎖(V)、CD8ヒンジ領域(いくつかの実施形態では、拡張CD8ヒンジ領域である)、CD8膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激ドメイン、およびCD3ζシグナル伝達ドメインを含むCARである。特定の実施形態では、提供されるのは、N末端からC末端までの間に、本明細書に記載の抗体の可変重鎖(V)ポリペプチド、リンカー、抗体の可変軽鎖(V)、CD28ヒンジ領域、CD28膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激ドメイン、およびCD3ζシグナル伝達ドメインを含むCARである。いくつかの実施形態によれば、提供されるのは、N末端からC末端までの間に、本明細書に記載の抗体の可変軽鎖(V)ポリペプチド、リンカー、抗体の可変重鎖(V)、CD28ヒンジ領域、CD28膜貫通ドメイン、4-1BB共刺激ドメイン、およびCD3ζシグナル伝達ドメインを含むCARである。本開示のCARはいずれも、VポリペプチドのN末端ドメインを含み得る。例えば、リーダー配列(例えば、GM-CSFRリーダー配列)は、本開示のCARのN末端に存在し得る。
【0083】
本開示の例示的な抗A56 CARのアミノ酸配列は、以下の表7および8に示され、表7のCARのアミノ酸配列は、N末端リーダー配列(ここでは、N末端GM-CSFRリーダー配列)のアミノ酸配列を含み、表8のCARのアミノ酸配列は、リーダー配列のアミノ酸配列を含まない。任意の所望のリーダー配列(例えば、GM-CSFRリーダー配列)は、そのようなCARのN末端に存在し得る。当業者によって理解されるように、表7および8に示されるドメインのうちの1つ以上(例えば、リンカー、ヒンジ、膜貫通、共刺激、シグナル伝達など)のアミノ酸配列は、例えば、CARの機能性などを改善するために、必要に応じて改変され得る。表7および8では、ポリペプチドのセグメント/ドメインが交互の下線で示され、セグメント/ドメインのIDが左側の列に示されている。
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【表7-4】
【表7-5】
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【表8-4】
【表8-5】
【0084】
本開示のCARは、必要に応じて、1つ以上の追加のドメインを含み得る。そのような追加のドメインの非限定的な例としては、リボソームスキップエレメント、酵素ドメイン(例えば、ヌクレアーゼ活性を有するドメイン、例えば、制限エンドヌクレアーゼ活性)、CARの検出を可能にするドメイン(例えば、レポータータンパク質ドメイン(例えば、蛍光タンパク質(例えば、eGFP、mCherryなど)、発光タンパク質および/または同様のもの))などが挙げられる。例えば、特定の実施形態では、提供されるのは、リボソームスキップエレメント、制限酵素ドメインおよび/またはレポータータンパク質ドメインを含むCARである。これらの特徴のうちの1つ以上を有する本開示の例示的な抗A56 CARのアミノ酸配列は、以下の表9に示されている。当業者によって理解されるように、表9に示されるドメインのうちの1つ以上のアミノ酸配列(例えば、リンカー、ヒンジ、膜貫通、共刺激、シグナル伝達、制限酵素配列、レポータータンパク質など)は、例えば、CARの機能性、検出などを改善するために、必要に応じて改変され得る。表9では、CAR部分が太字で示され、ポリペプチドのセグメント/ドメインが交互の下線で示されている。セグメント/ドメインのIDは、左側の列に示されている。
【表9-1】
【表9-2】
【表9-3】
【表9-4】
【表9-5】
【表9-6】
【表9-7】
【0085】
特定の実施形態では、提供されるのは、1つ以上のマウスCARドメインを含むCARである。本開示のCARに含まれ得るマウスCARドメインの非限定的な例としては、以下の表10に示されるマウスCARドメインのうちの1つ以上が含まれる。当業者によって理解されるように、表10に示されるドメインのうちの1つ以上のアミノ酸配列(例えば、リーダー配列、リンカー、ヒンジ、膜貫通、共刺激、シグナル伝達、リボソームスキップエレメント;制限酵素配列;レポータータンパク質など)は、必要に応じて改変され得る。
【表10】
【0086】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上のマウスCARドメイン(例えば、上記の表10に記載のドメインのいずれかのうちの1つ以上)を含むマウスCARが提供される。本開示のマウスCARの非限定的な例としては、以下の表11に示されるものが挙げられる。当業者によって理解されるように、表11に示されるドメインのうちの1つ以上のアミノ酸配列(例えば、リーエアー配列、V、リンカー、V、ヒンジ、膜貫通、共刺激、シグナル伝達、リボソームスキップエレメントなど)は、必要に応じて改変され得る。表11では、CAR部分が太字で示されている。ポリペプチドのセグメント/ドメインが交互の下線で示され、セグメント/ドメインのIDが左の列に示されている。
【表11-1】
【表11-2】
【0087】
いくつかの実施形態によれば、本開示のCARは、単一のポリペプチドによって提供される。特定の実施形態では、本開示のCARは、2つ以上のポリペプチドによって提供される。CARが2つ以上のポリペプチドによって提供される場合、CARは、ビオチン結合免疫受容体(BBIR)フォーマット(例えば、Urbanska K,Powell DJ.Development of a novel universal immune receptor for antigen targeting to infinity and beyond.Oncoimmunology.2012;1(5):777-779.doi:10.4161/onci.19730およびUrbanska K,Lanitis E,Poussin M,et al.A universal strategy for adoptive immunotherapy of cancer through use of a novel T cell antigen receptor.2013;72(7):1844-1852.doi:10.1158/0008-5472.CAN-11-3890.Aを参照のこと);ペプチドNeoEpitope(PNE)を用いる切り替え可能なCARフォーマット(例えば、Kim et al.(2015)J Am Chem Soc.2015;137(8):2832-2835;Ma et al.(2016)Proc Natl Acad Sci 113(4):E450-8;Rodgers et al.(2016)Proc Natl Acad Sci.113(4):E459-E468;Viaud et al.(2018)Proc Natl Acad Sci 115(46):E10898-E10906を参照のこと);ロイシンジッパーを備えるSUPRA CARフォーマット(例えば、Cho et al.(2108)Cell 173(6):1426-1438.e11を参照のこと);FITC-葉酸を用いるCAR-Tアダプター分子(CAM)ベースのフォーマット(例えば、Lee et al.(2019)Cancer Res.79(2):387-396およびLu et al.(2019)Front Oncol.9:151を参照のこと);抗FITC-葉酸アダプターフォーマット(例えば、Chu et al.(2018)Biosci Trends.12(3):298-308を参照のこと);抗FITC抗体アダプターCARフォーマット(例えば、Tamada et al.(2012)Clin Cancer Res.18(23):6436-6445を参照のこと);Fc標的化(例えば、抗CD16)CAR+抗腫瘍抗体フォーマット(例えば、Kudo et al.(2014)Cancer Res.74(1):93-103を参照のこと);ならびに同様のものを含む、普遍的なCARフォーマットを含む任意の有用なマルチポリペプチドフォーマットで提供され得る。
【0088】
コンジュゲート
本開示はまた、コンジュゲートを提供する。いくつかの実施形態によれば、本開示のコンジュゲートは、本開示の抗体または融合タンパク質のうちのいずれかと、抗体または融合タンパク質にコンジュゲートされた薬剤と、を含む。「コンジュゲートされた」という用語は一般に、共有結合または非共有結合のいずれか、通常は共有結合であり、目的の1つの分子を目的の第2の分子と近位に会合させる化学結合を指す。特定の実施形態では、抗体または融合タンパク質にコンジュゲートされた薬剤は、化学療法剤、毒素、放射線増感剤、放射性同位体(例えば、治療用放射性同位体)、検出可能な標識、および半減期拡張部分から選択される。
【0089】
いくつかの実施形態によれば、薬剤は、治療薬、例えば、化学療法剤である。目的の治療薬は、コンジュゲートの抗体部分の細胞/組織の抗原への特異的結合を介してコンジュゲートが結合する細胞/組織の機能に影響を及ぼすことができる薬剤を含む。細胞/組織の機能が病理的である場合、細胞/組織の機能を低下させる薬剤を用いてもよい。特定の態様では、本開示のコンジュゲートは、細胞増殖の阻害および/または細胞/組織の殺滅によって標的細胞/組織の機能を低下させる薬剤を含む。そのような薬剤は、様々であり、細胞増殖抑制剤および細胞傷害性剤、例えば、標的細胞への内在化ありまたはなしで標的細胞組織を殺滅することができる薬剤を含み得る。
【0090】
特定の態様では、治療薬は、エンジイン、レキシトロプシン、デュオカルマイシン、タキサン、ピューロマイシン、ドラスタチン、メイタンシノイド、およびビンカアルカロイドから選択される細胞傷害性剤である。いくつかの実施形態では、細胞傷害性剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、CC-1065、CPT-11(SN-38)、トポテカン、ドキソルビシン、モルホリノ-ドキソルビシン、リゾキシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、ドラスタチン-10、エキノマイシン、コンブレタスタチン、カリケアマイシン、メイタンシン、メイタンシンDM1、メイタンシンDM4、DM-1、アウリスタチンEもしくはアウリスタチンFのような、アウリスタチンもしくは他のドラスタチン誘導体、AEB(AEB-071)、AEVB(5-ベンゾイルバレリン酸-AEエステル)、AEFP(抗体-エンドスタチン融合タンパク質)、MMAE(モノメチルアウリスタチンE)、MMAF(モノメチルアウリスタチンF)、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)、エレウテロビン、ネットロプシン、またはこれらの任意の組み合わせである。
【0091】
いくつかの実施形態によれば、薬剤は、HTI-286などのヘミアステリンおよびヘミアステリン類似体(例えば、それらの全開示が参照により本明細書に組み込まれるUSPN7,579,323、WO2004/026293、およびUSPN8,129,407を参照)、アブリン、ブルシン、シクトキシン、ジフテリア毒素、バトラコトキシン、ボツリヌス毒素、志賀毒素、内毒素、Pseudomonas外毒素、Pseudomonas内毒素、破傷風毒素、百日咳毒素、炭疽毒素、コレラ毒素、ファルカリノール、フモニシンB1、フモニシンB2、アフラトキシン、マウロトキシン(maurotoxin)、アジトキシン、カリブドトキシン、マルガトキシン(margatoxin)、スロトキシン(slotoxin)、シラトキシン(scyllatoxin)、ヘフトキシン、カルシセプチン、タイカトキシン(taicatoxin)、カルシクルジン、ゲルダナマイシン、ゲロニン、ロタウストラリン、オクラトキシン(ocratoxin)A、パツリン、リシン、ストリキニーネ、トリコテセン、ゼアラレノン(zearlenone)、およびテトラドトキシン(tetradotoxin)から選択されるタンパク質毒素である。用いることができる酵素的に活性な毒素およびその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン(sarcin)、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンチンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-S)、Momordica charantia阻害剤、クルシン(curcin)、クロチン、Sapaonaria officinalis阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)およびトリコテセンが含まれる。
【0092】
特定の実施形態では、薬剤は放射線増感剤である。本明細書で使用される場合、「放射線増感剤」は、腫瘍細胞を殺滅する放射線の能力を増強する薬剤である。抗体または融合タンパク質にコンジュゲートされ得る放射線増感剤の非限定的な例としては、シスプラチン、5-フルオロウラシル(5-FU)、AZD7762、セルメチニブなどが挙げられる。
【0093】
特定の実施形態では、薬剤は、例えば、療法および/または検出(例えば、イメージング)に有用な放射性同位体である。抗体または融合タンパク質にコンジュゲートされ得る放射性同位体の非限定的な例としては、225Ac、111Ag、114Ag、71As、72As、77As、211At、198Au、199Au、212Bi、213Bi、75Br、76Br、11C、13C、55Co、62Cu、64Cu、67Cu、165Dy、166Dy、169Er、18F、19F、52Fe、59Fe、66Ga、67Ga、68Ga、72Ga、154-158Gd、157Gd、159Gd、166Ho、120I、121I、123I、124I、125I、131I、110In、111In、113mIn、194Ir、81mKr、177Lu、51Mn、52Mn、99Mo、13N、15N、15O、17O、32P、33P、211Pb、212Pb、109Pd、149Pm、151Pm、142Pr、143Pr、191PT、193mPT、195mPt、223Ra、142Rb、186Re、188Re、189Re、105Rh、47Sc、75Se、153Sm、117mSn、121Sn、83Sr、89Sr、161Tb、94Tc、99Tc、99mTc、227Th、201Tl、172Tm、127Te、90Y、169Yb、175Yb、133Xおよび89Zrが挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
特定の実施形態では、放射性同位体は、キレート剤、例えば、二機能性キレート剤を介して抗体または融合タンパク質にコンジュゲートされる。二官能性キレート剤は、安定な配位錯体において放射性同位体と結合する金属キレート部分と、本開示の抗体または融合タンパク質のうちのいずれかなどの標的指向化部分に共有結合している反応性官能基と、を含有し得、それにより、放射性同位体はインビボで望ましい分子標的に適切に向けられ得る。本開示の抗体または融合タンパク質を放射性同位体にコンジュゲートするために用いられ得る二機能性キレート剤の非限定的な例としては、p-SCN-Bn-DOTAおよびp-SCN-Bn-デフェロキサミンが挙げられる。本開示の抗体または融合タンパク質を放射性同位体にコンジュゲートするために用いられ得る二官能性キレート剤の追加の例としては、Price&Orvig(2014)Chem.Soc.Rev.43:260;およびBrechbiel(2008)Q J Nucl Med Mol Imaging 52(2):166-173に記載のものが挙げられる。
【0095】
いくつかの実施形態によれば、放射性同位体は治療用放射性同位体である。特定の実施形態では、放射性同位体は、アルファ放出放射性同位体、例えば、225Ac、211At、212Bi/212Pb、213Bi、223Ra、または227Thである。他の実施形態では、放射性同位体は、ベータマイナス放出放射性同位体、例えば、32P、33P、67Cu、90Y、131Iまたは177Luである。
【0096】
いくつかの実施形態によれば、薬剤は標識剤である。「標識剤」(または「検出可能な標識」)とは、抗体または融合タンパク質が目的の用途(例えば、インビトロおよび/もしくはインビボ研究ならびに/または臨床用途)において検出され得るように、薬剤が抗体または融合タンパク質を検出可能に標識することを意味する。目的の検出可能な標識は、放射性同位体(例えば、ガンマまたは陽電子放出体)、検出可能な産物を生成する酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼなど)、蛍光タンパク質、常磁性原子などを含む。特定の態様では、抗体または融合タンパク質は、検出可能な標識の特異的結合パートナーにコンジュゲートされる(例えば、アビジン/ストレプトアビジンを含む検出可能な標識を介して検出が起こり得るように、ビオチンにコンジュゲートされる)。
【0097】
特定の実施形態によれば、薬剤は、近赤外(NIR)光学イメージング、単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)±CTイメージング、陽電子放射断層撮影(PET)±CTイメージング、核磁気共鳴(NMR)分光法などのインビボイメージングでの使用が見出される標識剤である。そのような用途での使用に見出される標識剤として、蛍光標識、放射性同位体などが挙げられるが、これらに限定されない。特定の態様では、標識剤は、2つ以上のイメージング手法を使用してインビボイメージングを可能にするマルチモーダルインビボイメージング剤である(例えば、Thorp-Greenwood and Coogan(2011)Dalton Trans.40:6129-6143を参照されたい)。
【0098】
特定の実施形態では、標識剤は、近赤外線(NIR)イメージング用途での使用が見出されるインビボイメージング剤である。このような薬剤としては、Kodak X-SIGHT色素、Pz 247、DyLight750および800Fluors、Cy5.5および7Fluors、Alexa Fluor680および750Dyes、IRDye680および800CW Fluorsが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態によれば、標識剤は、SPECTイメージング用途での使用が見出されるインビボイメージング剤であり、その非限定的な例としては、99mTc、111In、123I、201T1、および133Xeが挙げられる。特定の実施形態では、標識剤は、PETイメージング用途、例えば、11C、13N、15O、18F、64Cu、62Cu、124I、76Br、82Rb、68Gaなどでの使用が見出されるインビボイメージング剤である。
【0099】
半減期を延長するために、本開示の抗体および融合タンパク質は、改善された薬物動態プロファイルを提供する薬剤にコンジュゲートされ得る(例えば、PEG化、高グリコシル化などによる)。血清半減期を延長することができる改変は興味深いものである。対象の抗体または融合タンパク質は、1つ以上のポリ(エチレングリコール)(PEG)部分を含有するものとして「PEG化」され得る。タンパク質のPEG化に好適な方法および試薬は当該技術分野で周知であり、例えば、米国特許第5,849,860号に見出すことができる。タンパク質へのコンジュゲーションに好適なPEGは一般に、室温で水溶性であり、一般式R(O-CH-CHO-Rを有し、式中、Rは水素、またはアルキル基もしくはアルカノール基などの保護基であり、nは1~1000の整数である。Rが保護基である場合、それは一般に1~8個の炭素を有する。対象の抗体または融合タンパク質にコンジュゲートされたPEGは線形であり得る。対象の抗体または融合タンパク質にコンジュゲートされたPEGはまた分岐であり得る。米国特許第5,643,575号に記載されるもの、「スターPEG」およびマルチアームPEGなどの分岐PEG誘導体。スターPEGは、例えば、米国特許第6,046,305号を含む当該技術分野において説明されている。
【0100】
対象の抗体または融合タンパク質が供給源から単離される場合、抗体または融合タンパク質は、特異的結合対のメンバー、例えば、ビオチン(ビオチン-アビジン特異的結合対のメンバー)、レクチンなどの精製を容易にする1つ以上の部分にコンジュゲートされ得る。抗体はまた、ポリスチレンプレートまたはビーズ、磁気ビーズ、試験ストリップ、膜などを含むがこれらに限定されない固体支持体に結合する(例えば、固定化する)ことができる。
【0101】
抗体または融合タンパク質がアッセイで検出される場合、抗体または融合タンパク質は、検出可能な標識、例えば、放射性同位体(例えば、89Zr、111Inなど)、検出可能な産物を生成する酵素(例えば、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなど)、蛍光タンパク質、発色性タンパク質、色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリンなど);EDTAなどの金属キレート基を介してタンパク質に結合した蛍光発光金属、例えば152Euまたは他のランタニド系;化学発光化合物、例えば、ルミノール、イソルミノール、アクリジニウム塩など;生物発光化合物、例えば、ルシフェリン;蛍光タンパク質などを含有し得る。間接標識としては、対象タンパク質に特異的な抗体が含まれ、抗体は二次抗体および特異的結合対のメンバー、例えば、ビオチン-アビジンなどを介して検出され得る。
【0102】
上記の薬剤はいずれも、リンカーを介して抗体または融合タンパク質にコンジュゲートされ得る。存在する場合、リンカー分子は、抗体または融合タンパク質および連結薬剤(linked agent)が抗体または融合タンパク質と連結薬剤との間でのいくらかの柔軟な動きを可能にするのに十分な長さであり得る。リンカー分子は、例えば、約6~50原子の長さであり得る。リンカー分子はまた、例えば、アリルアセチレン、2~10個の単量体単位を含むエチレングリコールオリゴマー、ジアミン、二酸、アミノ酸、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0103】
リンカーがペプチドである場合、リンカーは、1アミノ酸(例えば、Gly)~20アミノ酸以上、2アミノ酸~15アミノ酸、3アミノ酸~12アミノ酸(4アミノ酸~10アミノ酸、5アミノ酸~9アミノ酸、6アミノ酸~8アミノ酸、または7アミノ酸~8アミノ酸を含む)などの任意の好適な長さのものであることができ、長さが1、2、3、4、5、6、または7アミノ酸であり得る。
【0104】
柔軟なリンカーには、グリシンポリマー(G)、グリシン-セリンポリマー、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、および当該技術分野で知られている他の柔軟なリンカーが含まれる。グリシンおよびグリシン-セリンポリマーは、比較的構造化されていないアミノ酸が目的のものである場合に使用され得、成分間の中性テザーとして機能し得る。当業者は、上記の任意の薬剤にコンジュゲートされた抗体または融合タンパク質の設計が全体的または部分的に柔軟なリンカーを含み得、それにより、リンカーが柔軟なリンカーおよび柔軟性の低い構造を付与する1つ以上の部分を含み得ることを認識するであろう。
【0105】
いくつかの実施形態によれば、抗体または融合タンパク質は、切断不可能なリンカーを介して薬剤にコンジュゲートされる。目的の切断不可能なリンカーとしては、限定されないが、チオエーテルリンカーが挙げられる。用いられ得るチオエーテルリンカーの例としては、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)リンカーが含まれる。
【0106】
特定の実施形態では、抗体は、切断可能なリンカーを介して薬剤にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態によれば、リンカーは、中性pH(血流pH7.3~7.5)で安定であるが、標的細胞(例えば、がん細胞)の弱酸性エンドソーム(pH5.0~6.5)およびリソソーム(pH4.5~5.0)への内部移行時に加水分解を受ける酸切断可能なリンカーなどの、化学的に不安定なリンカーである。化学的に不安定なリンカーとしては、ヒドラゾン系リンカー、オキシム系リンカー、カーボネート系リンカー、エステル系リンカーなどが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、リンカーは、血流中で安定であるが、例えば、標的細胞(例えば、がん細胞)のリソソーム中のリソソームプロテアーゼ(カテプシンまたはプラスミンなど)によって標的細胞への内部移行時に酵素的切断を受ける、酵素不安定性リンカーなどの酵素不安定性リンカーである。酵素不安定性リンカーとしては、ペプチド結合を含むリンカー、例えば、ジペプチドベースのリンカー、例えばバリン-シトルリン(VC)リンカー、例えばマレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジル(MC-vc-PAB)リンカー、バリル-アラニル-パラ-アミノベンジルオキシ(Val-Ala-PAB)リンカーなどが挙げられるが、これらに限定されない。化学的に不安定なリンカー、酵素不安定性リンカーおよび切断不可能なリンカーは既知であり、例えば、Ducry & Stump(2010)Bioconjugate Chem.21:5-13;Nolting,B.2013)Methods Mol Biol.1045:71-100;Tsuchikama and An(2018)Protein&Cell 9(1):33-46などに詳細に記載されている。
【0107】
薬剤を抗体もしくは融合タンパク質に直接、またはリンカーを介して間接的に連結させるための多くの戦略が利用可能である。例えば、薬剤は、リンカーを薬剤に共有結合させることによって誘導体化され得、リンカーは、抗体または融合タンパク質上の「化学的ハンドル」と反応することができる官能基を有する。リンカー上の官能基は、様々であり得、抗体または融合タンパク質上の化学的ハンドルとの適合性に基づいて選択され得る。一実施形態によれば、抗体または融合タンパク質上の化学的ハンドルは、化学的ハンドルを有する非天然アミノ酸を抗体または融合タンパク質に組み込むことによって提供される。本開示のコンジュゲートを調製するための使用が見出される非天然アミノ酸としては、アジド、アルキン、アルケン、アミノオキシ、ヒドラジン、アルデヒド(例えば、ホルミルグリシン、例えば、Catalent Pharma SolutionsのSMARTag(商標)技術)、ニトロン、ニトリルオキシド、シクロプロペン、ノルボルネン、イソシアニド、ハロゲン化アリール、およびボロン酸官能基から選択される官能基を有するものが挙げられる。本開示のコンジュゲートの抗体に組み込まれ得る非天然アミノ酸(その非天然アミノ酸は、目的の官能基を提供するために選択され得る)は、既知であり、例えば、Maza et al.(2015)Bioconjug.Chem.26(9):1884-9;Patterson et al.(2014)ACS Chem.Biol.9:592-605;Adumeau et al.(2016)Mol.Imaging Biol.(2):153-65などに記載されている。そのような非天然アミノ酸は、例えば、化学合成または組換え手法を介して、例えば、宿主細胞における抗体または融合タンパク質の翻訳中に非天然アミノ酸を組み込むために好適な直交アミノアシルtRNAシンテターゼ-tRNA対を使用して、抗体または融合タンパク質に組み込むことができる。
【0108】
抗体または融合タンパク質中に存在する非天然アミノ酸の官能基は、アジド、アルキン、アルケン、アミノオキシ、ヒドラジン、アルデヒド、アスアルデヒド(asaldehyde)、ニトロン、ニトリルオキシド、シクロプロペン、ノルボルネン、イソシアニド、ハロゲン化アリール、ボロン酸、ジアゾ、テトラジン、テトラゾール、クアドロシクラン(quadrocyclane)、ヨードベンゼン、または他の好適な官能基あってもよく、リンカー上の官能基は、非天然アミノ酸の官能基と反応するように選択される(逆もまた同様である)。ほんの一例として、アジドを有する非天然アミノ酸(例えば、5-アジド-L-ノルバリンなど)を抗体または融合タンパク質に組み込んでもよく、リンカー-薬剤部分のリンカー部分は、抗体または融合タンパク質とリンカー-薬剤部分とがアジド-アルキン環状付加により共有コンジュゲートされるように、アルキン官能基を含み得る。コンジュゲーションは、例えば、銅触媒によるアジド-アルキン付加環化反応を使用して実施されてもよい。
【0109】
特定の実施形態では、抗体または融合タンパク質上の化学的ハンドルは、非天然アミノ酸を含まない。非天然アミノ酸を含有しない抗体は、反応性脱離基または他の求電子性基を有する部分との置換反応における求核試薬として、例えば、抗体または融合タンパク質の求核性官能基(例えば、N末端アミンもしくはリジンの一級アミン、または任意の他の求核性アミノ酸残基)を利用することによって、薬剤にコンジュゲートされ得る。例としては、N-ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)エステルを有する薬剤-リンカー部分を調製し、高pH(約10)の水性条件下またはN,N-ジイソプロピルエチルアミンなどの非求核性塩基が追加されたDMSOなどの極性有機溶媒中で、薬剤-リンカー部分を抗体または融合タンパク質と反応させることである。
【0110】
リンカー、薬剤および/または抗体もしくは融合タンパク質を互いに結合するための特定のアプローチは、特定のリンカー、薬剤および/または抗体もしくは融合タンパク質、ならびに様々な成分を互いにコンジュゲートするために選択および用いられる官能基に応じて変化し得ることが理解されよう。
【0111】
抗体を産生する方法
本明細書で提供される情報を使用して、本開示の抗VV A56および抗VV B5抗体ならびに融合タンパク質は、当業者に周知の標準的な技術を使用して調製され得る。例えば、本開示の抗体または融合タンパク質のアミノ酸配列をコードする核酸配列を使用して、抗体または融合タンパク質を発現させることができる。本明細書で提供されるポリペプチド配列(例えば、表1、3、5~11を参照のこと)を使用して、抗体または融合タンパク質をコードする適切な核酸配列を決定することができ、次いで、該核酸配列を使用して、VV A56またはVV B5に特異的な1つ以上の抗体または融合タンパク質を発現することができる。核酸配列は、当業者に周知の標準的な方法に従って、様々な発現系の特定のコドン「選好」を反映するように最適化することができる。提供された配列情報を使用して、当業者に知られているいくつかの標準的な方法に従って核酸を合成し得る。
【0112】
対象の抗体をコードする核酸が合成されると、標準的な方法に従って該核酸を増幅および/またはクローニングすることができる。これらの目的を達成するための分子クローニング技術は、当該技術分野で知られている。組換え核酸の構築に好適である多種多様なクローニングおよびインビトロ増幅方法は、当業者に知られており、多数の教科書および実験室マニュアルの主題である。
【0113】
本開示の抗体および融合タンパク質をコードする天然または合成の核酸の発現は、抗体または融合タンパク質をコードする核酸をプロモーター(構成的または誘導性のいずれか)に作動可能に連結し、構築物を発現ベクターに組み込んで組換え発現ベクターを生成することによって達成することができる。ベクターは、原核生物、真核生物またはその両方での複製および組込みに好適であり得る。典型的なクローニングベクターは、抗体をコードする核酸の発現の調節に有用な、機能的に適切に配向された転写および翻訳ターミネーター、開始配列、およびプロモーターを含有する。ベクターは、少なくとも1つの独立した終結配列、例えばシャトルベクターに見られるような真核生物と原核生物の両方でカセットの複製を可能にする配列、および原核生物系と真核生物系の両方の選択マーカーを含有する、一般的な発現カセットを任意選択で含有する。
【0114】
クローニングされた核酸の高レベルの発現を得るためには、通常、転写を指示する強力なプロモーター、翻訳開始のためのリボソーム結合部位、および転写/翻訳ターミネーターを、各々互いに対しておよびタンパク質をコードする配列に対して機能的に配向して含有する発現プラスミドを構築するのが一般的である。E.coliにおけるこの目的に好適な調節領域の例としては、E.coliトリプトファン生合成経路のプロモーターおよびオペレーター領域、ファージラムダの左向きプロモーター(P)、ならびにL-アラビノース(araBAD)オペロンである。E.coliにおいて形質転換されるDNAベクターに選択マーカーを含めることも有用である。このようなマーカーの例としては、アンピシリン、テトラサイクリンまたはクロラムフェニコールに対する耐性を指定する遺伝子が含まれる。抗体を発現するための発現系は、例えば、E.coli、Bacillus種およびSalmonellaを使用して利用可能である。また、E.coli系を使用してもよい。
【0115】
抗体遺伝子はまた、抗体(例えば、IgG、Fab、scFvなど)のC末端またはN末端でのタグ(例えば、FLAG、ヘキサヒスチジンなど)の付加を可能にする発現ベクターにサブクローニングされ得る。哺乳類細胞において遺伝子をトランスフェクトおよび発現する方法は、当該技術分野で知られている。細胞に核酸を形質導入することは、例えば、核酸を含有する脂質微粒子を細胞とインキュベートすること、または核酸を含有するウイルスベクターをベクターの宿主範囲内の細胞とインキュベートすることを含み得る。組織(例えば、腫瘍)または血液試料からの細胞株および培養細胞を含む、本開示で使用される細胞の培養は、当該技術分野でよく知られている。
【0116】
対象の抗体をコードする核酸が単離およびクローニングされると、当業者に知られている種々の組換え操作された細胞において核酸を発現させることができる。そのような細胞の例としては、細菌、酵母、糸状菌、昆虫(例えば、バキュロウイルスベクターを用いるもの)、および哺乳類細胞が含まれる。
【0117】
対象の抗体の単離および精製は、当該技術分野で知られている方法に従って達成することができる。例えば、タンパク質は、タンパク質を構成的におよび/または誘導時に発現するように遺伝子改変された細胞の溶解物から、または合成反応混合物から、免疫親和性精製(もしくはタンパク質LまたはAを使用する沈殿)、非特異的に結合した材料を除去するための洗浄、ならびに特異的に結合した抗体の溶出によって単離することができる。単離された抗体は、タンパク質精製法で通常用いられる透析および他の方法によってさらに精製することができる。一実施形態では、抗体は、金属キレートクロマトグラフィー法を使用して単離されてもよい。本開示の抗体は、上で考察されたように、単離を容易にするための特定の改変を含み得る。
【0118】
抗体は、実質的に純粋な形態または単離された形態(例えば、他のポリペプチドを含まない)で調製されてもよい。タンパク質は、存在する可能性のある他の成分(例えば、他のポリペプチドまたは他の宿主細胞成分)と比較して、当該ポリペプチドが濃縮された組成物中に存在することができる。精製された抗体は、抗体が他の発現タンパク質を実質的に含まない組成物、例えば、組成物の90%未満、通常は60%未満、より通常は50%未満が他の発現タンパク質で構成されるように提供され得る。
【0119】
原核細胞によって産生される抗体は、適切な折り畳みのためにカオトロピック剤への曝露を必要とする場合がある。例えば、E.coliからの精製中に、発現されたタンパク質を任意選択で変性させてから再生させることができる。これは、例えば、細菌によって産生された抗体をグアニジンHClなどのカオトロピック剤に可溶化させることによって達成することができる。次に、ゆっくりとした透析またはゲル濾過のいずれかによって、抗体が再生される。代替的に、抗体をコードする核酸は、抗体が正しく折り畳まれた形でペリプラズム内に分泌されるように、pelBなどの分泌シグナル配列に作動可能に連結され得る。
【0120】
本開示はまた、本開示の抗体を産生する細胞を提供し、好適な細胞は、真核細胞、例えば、哺乳類細胞を含む。細胞は、インビトロで抗体(例えば、IgGなどのモノクローナル抗体)を複製することができるハイブリッド細胞または「ハイブリドーマ」であり得る。例えば、本開示は、本開示の抗体の重鎖および/または軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含む1つ以上の核酸で遺伝子改変された組換え宿主細胞(本明細書では「遺伝子改変宿主細胞」とも称される)を提供する。
【0121】
ハイブリドーマの生成をバイパスする、抗体分子の抗原結合領域の組換えDNAバージョンを作製するための技術もまた、本明細書において企図される。DNAは、細菌(バクテリオファージなど)、酵母(例えば、SaccharomycesまたはPichia)、昆虫または哺乳類の発現系などにクローニングされる。好適な技術の一例は、発現された抗体(例えば、FabもしくはscFv)をペリプラズム空間(細菌細胞膜と細胞壁との間)に移動させるか、または分泌させるリーダー配列を有するバクテリオファージラムダベクター系を使用する。目的の抗原と結合するものについて、多数の機能的断片(例えば、FabまたはscFv)を迅速に生成することができる。
【0122】
VV A56およびVV B5に特異的に結合する抗体は、ハイブリドーマ、組換え、ファージディスプレイ技術、選択リンパ球抗体法(SLAM)(1)、またはそれらの組み合わせの使用を含む、当該技術分野で知られている多種多様な技術を使用して調製することができる。例えば、抗体は、ファージディスプレイの方法を使用して作製および単離され得る。ファージディスプレイは、タンパク質相互作用のハイスループットスクリーニングに使用される。ファージは、レパートリーまたはコンビナトリアル抗体ライブラリー(例えば、ヒトまたはマウス)から発現される抗原結合ドメインを提示するために利用され得る。VV A56またはVV B5と結合する抗原結合ドメインを発現するファージは、VV A56またはVV B5を用いて、例えば、固体表面またはビーズに結合または捕捉された標識VV A56またはVV B5を使用して選択または同定することができる。これらの方法で使用されるファージは、典型的には、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIタンパク質のいずれかに組換え融合されたFab、Fv(軽鎖または重鎖からの個別のFv領域)またはジスルフィド安定化Fv抗体ドメインを伴いファージから発現されるfdおよびM13結合ドメインを含む繊維状ファージである。大規模なファージライブラリーを構築するための戦略としてのコンビナトリアル感染およびインビボ組換えと同様に、鎖シャッフリングによる高親和性ヒト抗体の産生が知られている。別の実施形態では、リボソームディスプレイが、ディスプレイプラットフォームとしてバクテリオファージを置き換えるために使用することができる。細胞表面ライブラリーが抗体についてスクリーニングされ得る。そのような手順は、モノクローナル抗体の単離およびその後のクローニングのための従来のハイブリドーマ技法の代替物を提供する。
【0123】
ファージ選択後、ファージ由来の抗体コード領域を単離し、ヒト抗体または任意の所望の抗原結合断片を含む完全抗体を生成するように使用され得、哺乳類細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、および細菌を含む任意の所望の宿主内で発現され得る。例えば、Fv、scFv、Fab、F(ab’)、およびFab’断片を組換え産生する技法は、当該技術分野で知られる方法を使用して用いることができる。
【0124】
核酸、発現ベクターおよび細胞
本開示の抗体および融合タンパク質を産生する方法に関する上記のセクションを考慮して、本開示はまた、核酸、発現ベクターおよび細胞を提供することが理解されるであろう。
【0125】
特定の実施形態では、提供されるのは、本開示の抗VV A56および抗VV B5抗体のうちのいずれか、例えば、上記のような抗体のうちのいずれかを含め、本開示の抗体または融合タンパク質の可変重鎖(V)ポリペプチド、可変軽鎖(V)ポリペプチド、またはその両方をコードする核酸である。いくつかの実施形態によれば、抗体は単鎖抗体(例えば、scFv)であり、核酸は単鎖抗体をコードする。
【0126】
いくつかの実施形態によれば、抗VV A56抗体であるA047/A057、A049/A059/A056、A050またはA054の可変重鎖(V)ポリペプチド、可変軽鎖(V)ポリペプチド、またはその両方をコードする核酸が提供される。そのようなヌクレオチド配列の例は、以下の表12に示されている。フレームワーク領域とCDRをコードする配列は、それぞれ大文字と小文字で示されている。
【表12-1】
【表12-2】
【0127】
いくつかの実施形態によれば、抗VV B5の抗体であるA048/A058/A073またはA051の可変重鎖(V)ポリペプチド、可変軽鎖(V)ポリペプチド、またはその両方をコードする核酸が提供される。そのようなヌクレオチド配列の例は、以下の表13に示されている。フレームワーク領域とCDRをコードする配列は、それぞれ大文字と小文字で示されている。
【表13】
【0128】
いくつかの実施形態によれば、提供されるのは、本開示のCAR、例えば、本開示の抗VV A56または抗VV B5抗体のVポリペプチドおよびVポリペプチドを含む単鎖抗体と、膜貫通ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインと、を含むCARをコードする、核酸である。そのような単鎖抗体、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインの例は、上記で詳細に説明されている。
【0129】
本明細書に記載のA56-CAR-01をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号155に記載されている。本明細書に記載のA56-CAR-02をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号156に記載されている。本明細書に記載のA56-CAR-05をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号157に記載されている。本明細書に記載のA56-CAR-06をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号158に記載されている。本明細書に記載のA56-CAR-07をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号159に記載されている。本明細書に記載のA56-CAR-08をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号160に記載されている。本明細書に記載のA56-CAR-010をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号161に記載されている。本明細書に記載のA56-CAR-020をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号162に記載されている。本明細書に記載のA56-CAR-021をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号163に記載されている。本明細書に記載のA56-CAR-027をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号164に記載されている。本明細書に記載のA56-CAR-028をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号165に記載されている。本明細書に記載のA56-CAR-029をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号166に記載されている。本明細書に記載のA56-CAR-030をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号167に記載されている。本明細書に記載のB5-CAR-03をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号168に記載されている。本明細書に記載のB5-CAR-04をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号169に記載されている。本明細書に記載のB5-CAR-011をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号170に記載されている。本明細書に記載のB5-CAR-013をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号171に記載されている。本明細書に記載のB5-CAR-014をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号172に記載されている。本明細書に記載のB5-CAR-016をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号173に記載されている。本明細書に記載のB5-CAR-019をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号174に記載されている。本明細書に記載のB5-CAR-022をコードする例示的なヌクレオチド配列は、配列番号175に記載されている。表11に示されるマウスCARをコードするヌクレオチド配列の例は、配列番号176~179に記載されている。
【0130】
本開示の核酸のうちのいずれかを含む発現ベクターも提供される。本開示の抗体および融合タンパク質をコードする天然または合成の核酸の発現は、該抗体または融合タンパク質をコードする核酸をプロモーター(構成的または誘導性のいずれか)に作動可能に連結し、構築物を発現ベクターに組み込んで組換え発現ベクターを生成することによって達成することができる。ベクターは、原核生物、真核生物またはその両方での複製および組込みに好適であり得る。典型的なクローニングベクターは、抗体をコードする核酸の発現の調節に有用な、機能的に適切に配向された転写および翻訳ターミネーター、開始配列、およびプロモーターを含有する。ベクターは、少なくとも1つの独立した終結配列、例えばシャトルベクターに見られるような真核生物と原核生物の両方でカセットの複製を可能にする配列、および原核生物系と真核生物系の両方の選択マーカーを含有する、一般的な発現カセットを任意選択で含有する。
【0131】
本開示の核酸および/または発現ベクターのうちのいずれかを含む細胞も提供される。いくつかの実施形態によれば、本開示の細胞は、抗体のVポリペプチドおよび抗体のVポリペプチドをコードする核酸を含む。特定のそのような実施形態では、抗体は単鎖抗体(例えば、scFv)であり、核酸は単鎖抗体をコードする。いくつかの実施形態によれば、提供されるのは、本開示の抗体の可変重鎖(V)ポリペプチドをコードする第1の核酸、と抗体の可変軽鎖(V)ポリペプチドをコードする第2の核酸と、を含む細胞である。特定の実施形態では、例えば細胞は、第1の核酸を含む第1の発現ベクターと、第2の核酸を含む第2の発現ベクターと、を含む。
【0132】
本開示の抗体または融合タンパク質を作製する方法であって、細胞が抗体または融合タンパク質を発現するために好適な条件下で本開示の細胞を培養することを含み、そこで抗体または融合タンパク質が産生される、方法も提供される。抗体または融合タンパク質が発現されるように細胞を培養するための条件は、変化し得る。そのような条件は、好適な容器(例えば、細胞培養プレートまたはそのウェル)内で、好適な培地(例えば、DMEM、RPMI、MEM、IMDM、DMEM/F-12などの細胞培養培地)中で、好適な温度(例えば、32℃~42℃(37℃など))およびpH(例えば、pH7.0~7.7(pH7.4など))で、好適なCOのパーセンテージ、例えば、3%~10%(5%など))を有する環境において、細胞を培養することを含み得る。
【0133】
腫瘍溶解性ウイルス抗原に結合するキメラ抗原受容体
上記の融合タンパク質のセクションに記載されている本開示のキメラ抗原受容体(CAR)に加えて、本開示の態様は、抗腫瘍溶解性ウイルス抗原CARをさらに含む。特定の実施形態では、そのようなCARは、腫瘍溶解性ウイルス(OV)抗原に特異的に結合する抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む。このようなCARには種々の用途が見出される。例えば、本開示の利点により、そのようなCARには、抗OV抗原CARを含む医薬組成物をがんを有する個体に投与することを含む方法における使用が見出され、個体中のがん細胞がOVに感染しその表面上にOV抗原を発現させることにより、CARをがん細胞に標的指向化して個体のがんを治療することが理解されよう。
【0134】
本明細書で使用される場合、「腫瘍溶解性ウイルス抗原」または「OV抗原」は、腫瘍溶解性ウイルス(OV)のゲノムによってコードされる抗原である。いくつかの実施形態では、OV抗原は、ネイティブOV抗原であり、「ネイティブ」とは、抗原がOVの野生型ゲノムによってコードされるタンパク質であることを意味する。
【0135】
いくつかの実施形態では、OV抗原は、Poxviridae科、Herpesviridae科、Adenoviridae科、Paramyxoviridae科、Rhabdoviridae科、Reoviridae科、Picornaviridae科、Parvoviridae科、またはCoronaviridae科のウイルスの野生型ゲノムによってコードされる抗原である。そのようなOV抗原は、OVに対してネイティブまたは異種であり得る。
【0136】
特定の実施形態では、OV抗原は、以下の表14に記載されるファミリーからのウイルスの野生型ゲノムによってコードされる抗原であり、表14は、そのようなファミリー内のウイルス種/株の非限定的な例、ならびにそのような抗原の非限定的な例をさらに含む。
【表14】
【0137】
いくつかの実施形態によれば、OV抗原は、Amsacta mooreiエントモポックスウイルス、Chironomus luridusエントモポックスウイルス、鶏痘ウイルス、Melolontha melolonthaエントモポックスウイルス、Molluscum contagiosumウイルス、ミュールジカ痘ウイルス、粘液腫ウイルス、ナイルワニ痘ウイルス、オルフウイルス、ヒツジ痘ウイルス、ブタ痘ウイルス、ワクシニアウイルス、Yabaサル腫瘍ウイルス、ヨカポックス(Yokapox)ウイルス、Acrobasis zelleriエントモポックスウイルス、Adoxophyes honmaiエントモポックスウイルス、Aedes aegyptiエントモポックスウイルス、Anomala cupreaエントモポックスウイルス、Aphodius tasmaniaeエントモポックスウイルス、Arphia conspersaエントモポックスウイルス、ウシ丘疹性口炎ウイルス、ラクダ痘ウイルス、Camptochironomus tentansエントモポックスウイルス、カナリア痘ウイルス、Chironomus attenuatusエントモポックスウイルス、Chironomus plumosusエントモポックスウイルス、Choristoneura biennisエントモポックスウイルス、Choristoneura conflictaエントモポックスウイルス、Choristoneura diversumaエントモポックスウイルス、Choristoneura fumiferanaエントモポックスウイルス、Choristoneura rosaceanaエントモポックスウイルス、Chorizagrotis auxiliarisエントモポックスウイルス、牛痘ウイルス、Demodema bonariensisエントモポックスウイルス、Dermolepida albohirtumエントモポックスウイルス、Diachasmimorphaエントモポックスウイルス、エクトロメリアウイルス、Figulus sublaevisエントモポックスウイルス、Geotrupes sylvaticusエントモポックスウイルス、ヤギ痘ウイルス、Goeldichironomus holoprasinusエントモポックスウイルス、野ウサギ線維腫ウイルス、Heliothis armigeraエントモポックスウイルス、ジュンコ痘(Juncopox)ウイルス、Locusta migratoria昆虫ポックスウイルス、Lumpy皮膚疾患ウイルス、Melanoplus sanguinipesエントモポックスウイルス、サル痘ウイルス、キュウカンチョウ痘(Mynahpox)ウイルス、Mythimna separataエントモポックスウイルス、Oedaleus senegalensisエントモポックスウイルス、Operophtera brumataエントモポックスウイルス、ニュージーランドアカシカParapoxvirus、ハト痘ウイルス、偽牛痘ウイルス、Psittacinepoxウイルス、Pteropoxウイルス、ウズラ痘(Quailpox)ウイルス、ウサギ線維腫ウイルス、アライグマ痘ウイルス、Schistocerca gregariaエントモポックスウイルス、スカンク痘ウイルス、スズメ痘ウイルス、リス線維腫ウイルス、リス痘ウイルス、ムクドリ痘ウイルス、タナ痘ウイルス、オオハダシアレチネズミ痘(Taterapox)ウイルス、シチメンチョウ痘ウイルス、痘そうウイルス、およびハタネズミ痘ウイルスから選択されるPoxviridae科のウイルスの野生型ゲノムによりコードされる抗原である。そのようなOV抗原は、OVに対してネイティブまたは異種であり得る。
【0138】
特定の実施形態では、OV抗原は、トリアルファヘルペスウイルス1型、オウムアルファヘルペスウイルス1型、トリアルファヘルペスウイルス2型、ガン・カモ類アルファヘルペスウイルス1型、ハトアルファヘルペスウイルス1型、トリアルファヘルペスウイルス3型、シチメンチョウアルファヘルペスウイルス1型、ウミガメアルファヘルペスウイルス5型、ヒトアルファヘルペスウイルス1型、クモザルアルファヘルペスウイルス1型、ウシアルファヘルペスウイルス2型、オナガザルアルファヘルペスウイルス2型、ヒトアルファヘルペスウイルス2型、ウサギアルファヘルペスウイルス4型、マカシン(Macacine)アルファヘルペスウイルス1型、カンガルー(Macropodid)アルファヘルペスウイルス1型、カンガルーアルファヘルペスウイルス2型、Panineアルファヘルペスウイルス3型、ヒヒアルファヘルペスウイルス2型、リスザルアルファヘルペスウイルス1型、ヒトベータヘルペスウイルス5型、ヨザルベータヘルペスウイルス1型、オマキザルベータヘルペスウイルス1型、アフリカミドリザルベータヘルペスウイルス5型、マカシンベータヘルペスウイルス3型、パニン(Panine)ベータヘルペスウイルス2型、ヒヒベータヘルペスウイルス3型、リスザルベータヘルペスウイルス4型、ネズミベータヘルペスウイルス1型、ネズミベータヘルペスウイルス2型、ネズミベータヘルペスウイルス8型、ヒトベータヘルペスウイルス6A型、ヒトベータヘルペスウイルス6B型、ヒトベータヘルペスウイルス7型、ゾウベータヘルペスウイルス1型、ヒトガンマヘルペスウイルス4型、マーモセットガンマヘルペスウイルス3型、オナガザルガンマヘルペスウイルス14型、ゴリラガンマヘルペスウイルス1型、マカシンガンマヘルペスウイルス4型、パニンガンマヘルペスウイルス1型、ヒヒガンマヘルペスウイルス1型、オランウータンガンマヘルペスウイルス2型、リスザルガンマヘルペスウイルス2型、クモザルガンマヘルペスウイルス2型、クモザルガンマヘルペスウイルス3型、ウシガンマヘルペスウイルス4型、キヌゲネズミガンマヘルペスウイルス2型、ヒトガンマヘルペスウイルス8型、マカシンガンマヘルペスウイルス5型、ネズミガンマヘルペスウイルス4型、ネズミガンマヘルペスウイルス7型、ハーテビーストガンマヘルペスウイルス1型、ハーテビーストガンマヘルペスウイルス2型、ウシガンマヘルペスウイルス6型、ヤギガンマヘルペスウイルス2型、ブルーバックガンマヘルペスウイルス1型、ヒツジガンマヘルペスウイルス2型、ブタガンマヘルペスウイルス3型、ブタガンマヘルペスウイルス4型、ブタガンマヘルペスウイルス5型、ウマガンマヘルペスウイルス2型、ウマガンマヘルペスウイルス5型、およびイタチガンマヘルペスウイルス1型から選択されるHerpesviridae科のウイルスの野生型ゲノムによってコードされる抗原である。そのようなOV抗原は、OVに対してネイティブまたは異種であり得る。
【0139】
いくつかの実施形態によれば、OV抗原は、ニワトリアビアデノウイルスA、カエルシアデノウイルスA、ヒトマストアデノウイルスC、ヒツジアタデノウイルスD、チョウザメイクタデノウイルス(ichtadenovirus)A、コウモリマストアデノウイルスA、コウモリマストアデノウイルスB、コウモリマストアデノウイルスC、コウモリマストアデノウイルスD、コウモリマストアデノウイルスE、コウモリマストアデノウイルスF、コウモリマストアデノウイルスG、ウシアタデノウイルスD、ウシマストアデノウイルスA、ウシマストアデノウイルスB、ウシマストアデノウイルスC、イヌマストアデノウイルスA、シカアタデノウイルスA、シカマストアデノウイルスB、イルカマストアデノウイルスA、イルカマストアデノウイルスB、アヒルアタデノウイルスA、アヒルアビアデノウイルスB、ウママストアデノウイルスA、ウママストアデノウイルスB、ハヤブサアビアデノウイルスA、ニワトリアビアデノウイルスB、ニワトリアビアデノウイルスC、ニワトリアビアデノウイルスD、ニワトリアビアデノウイルスE、ガチョウアビアデノウイルスA、シジュウカラシアデノウイルスA、ヒトマストアデノウイルスA、ヒトマストアデノウイルスB、ヒトマストアデノウイルスD、ヒトマストアデノウイルスE、ヒトマストアデノウイルスF、ヒトマストアデノウイルスG、トカゲアタデノウイルスA、ネズミマストアデノウイルスA、ネズミマストアデノウイルスB、ネズミマストアデノウイルスC、ヒツジマストアデノウイルスA、ヒツジマストアデノウイルスB、ペンギンシアデノウイルスA、ハトアビアデノウイルスA、ハトアビアデノウイルスB、オマキザルマストアデノウイルスA、ブタマストアデノウイルスA、ブタマストアデノウイルスB、ブタマストアデノウイルスC、フクロネズミアタデノウイルスA、オウムアタデノウイルスA、オウムアビアデノウイルスB、猛禽類シアデノウイルスA、アシカマストアデノウイルスA、サルマストアデノウイルスA、サルマストアデノウイルスB、サルマストアデノウイルスC、サルマストアデノウイルスD、サルマストアデノウイルスE、サルマストアデノウイルスF、サルマストアデノウイルスG、サルマストアデノウイルスH、サルマストアデノウイルスI、トウゾクカモメシアデノウイルスA、スカンクマストアデノウイルスA、ヘビアタデノウイルスA、リスマストアデノウイルスA、ツパイマストアデノウイルスA、シチメンチョウアビアデノウイルスB、シチメンチョウアビアデノウイルスC、シチメンチョウアビアデノウイルスD、およびシチメンチョウシアデノウイルスAから選択されるAdenoviridae科のウイルスの野生型ゲノムによってコードされる抗原である。そのようなOV抗原は、OVに対してネイティブまたは異種であり得る。
【0140】
特定の実施形態では、OV抗原は、トリアブラウイルス1、ヘンドラヘニパウイルス、麻疹モルビリウイルス、ムンプスルブラウイルス、ネズミレスピロウイルス、爬虫類フェルラウイルス、サケアクアパラミクソウイルス、アキモタ(Achimota)ルブラウイルス1型、アキモタルブラウイルス2型、トリトリアブラウイルス10型、トリトリアブラウイルス11型、トリトリアブラウイルス12型、トリトリアブラウイルス13型、トリトリアブラウイルス14型、トリトリアブラウイルス15型、トリトリアブラウイルス16型、トリトリアブラウイルス17型、トリトリアブラウイルス18型、トリトリアブラウイルス19型、トリトリアブラウイルス2トリアブラウイルス3型、トリアブラウイルス4型、トリアブラウイルス5型、トリアブラウイルス6型、トリアブラウイルス7型、トリアブラウイルス8型、トリアブラウイルス9型、コウモリムンプスルブラウイルス、ウシレスピロウイルス3型、イヌモルビリウイルス、シダーヘニパウイルス、セタセアンモルビリウイルス、ネコモルビリウイルス、ガーナコウモリ(Ghanaian bat)ヘニパウイルス、ヒトレスピロウイルス1型、ヒトレスピロウイルス3型、ヒトルブラウイルス2型、ヒトルブラウイルス4型、哺乳類ルブラウイルス5型、マプエラ(Mapuera)ルブラウイルス、メナングル(Menangle)ルブラウイルス、モジャン(Mojiang)ヘニパウイルス、ニパ(Nipah)ヘニパウイルス、アザラシモルビリウイルス、ブタレスピロウイルス1型、ブタルブラウイルス、牛疫ウイルス(Rinderpest morbillivirus)、サルルブラウイルス、小型反芻動物(Small ruminant)モルビリウイルス、スソガ(Sosuga)ルブラウイルス、テビオト(Teviot)ルブラウイルス、ティオマンルブラウイルス、ツホコ(Tuhoko)ルブラウイルス1型、ツホコルブラウイルス2型、およびツホコルブラウイルス3型から選択されるParamyxoviridae科のウイルスの野生型ゲノムによってコードされる抗原である。そのようなOV抗原は、OVに対してネイティブまたは異種であり得る。
【0141】
いくつかの実施形態によれば、OV抗原は、ウシ熱エフェメロウイルス、コイスプリビウイルス、クリオノポリスクリオウイルス(Curionopolis curiovirus)、ショウジョウバエメラノガスターシグマウイルス、ダーラムツパウイルス(Durham tupavirus)、フランダースハパウイルス、インディアナベシクロウイルス、Le Dantecレダンテウイルス、レタスビッグベイン関連バリコサウイルス(varicosavirus)、レタス壊死性黄色(Lettuce necrotic yellows)サイトラブドウイルス、Niakhaスリプウイルス、ランえそ斑紋ウイルス、パーチペルハブドウイルス、ポテトイエロー萎縮ヌクレオラブドウイルス、プエルトアルメンドラスアルメンドラウイルス、狂犬病リッサウイルス、Puerto Almendrasアルメンドラウイルス、狂犬病ウイルス、サケ科魚ノビラブドウイルス、チブロガルガンチブロウイルス、アデレード川エフェメロウイルス、アラゴアスベシクロウイルス、アルファルファ萎縮サイトラブドウイルス、アルムピウォー(Almpiwar)スリプウイルス、アメリカコウモリベシクロウイルス、ウナギペルハブドウイルス、アラバン(Aravan)リッサウイルス、Arboretumアルメンドラウイルス、オーストラリアコウモリッサウイルス、バルサ(Balsa)アルメンドラウイルス、オオムギ黄色線条体(Barley yellow striate mosaic)モザイクサイトラブドウイルス、バルールレダンテウイルス、バス-コンゴ(Bas-Congo)チブロウイルス、ベアトリスヒル(Beatrice Hill)チブロウイルス、ベリマー(Berrimah)エフェメロウイルス、ボケロー(Bokeloh)コウモリリッサウイルス、ブロッコリー壊死性黄色サイトラブドウイルス、カラハス(Carajas)ベシクロウイルス、チャコ(Chaco)スリプウイルス、チャンディプラ(Chandipura)ベシクロウイルス、コースタルプレインズ(Coastal Plains)チブロウイルス、球菌(Cocal)ベシクロウイルス、コーヒーリングスポットジコルハウイルス(Coffee ringspot dichorhavirus)、コロカシアボボン病関連サイトラブドシグマウイルス、クートベイアルメンドラウイルス(Coot Bay almendravirus)、Datura黄色葉脈ヌクレオラブドウイルス、Drosophila affinisシグマウイルス、Drosophila ananassaeシグマウイルス、Drosophila immigransシグマウイルス、Drosophila obscuraシグマウイルス、Drosophila tristisシグマウイルス、ドゥベンヘイグ(Duvenhage)リッサウイルス、ナス斑紋萎縮(Eggplant mottled dwarf)ヌクレオラブドウイルス、Ekpoma1チブロウイルス、Ekpoma2チブロウイルス、ヨーロッパコウモリ1リッサウイルス、ヨーロッパコウモリ2リッサウイルス、Festuca leaf streakサイトラブドウイルス、Fikiriniレダンテウイルス、Fukuokaレダンテウイルス、ガンノルワ(Gannoruwa)コウモリリッサウイルス、グレイロッジ(Gray Lodge)ハパウイルス、ハートパーク(Hart Park)ハパウイルス、ヒラメ(Hirame)ノビラブドウイルス、イコマ(Ikoma)リッサウイルス、イリリ(Iriri)クリオウイルス、イルカット(Irkut)リッサウイルス、イスファハン(Isfahan)ベシクロウイルス、イタカイウナス(Itacaiunas)クリオウイルス、ジョインジャカカ(Joinjakaka)ハパウイルス、ジュルナ(Jurona)ベシクロウイルス、カメセ(Kamese)ハパウイルス、カニャワラ(Kanyawara)レダンテウイルス、カーンキャニオン(Kern Canyon)レダンテウイルス、ケウラリバ(Keuraliba)レダンテウイルス、クジャンド(Khujand)リッサウイルス、キンバリー(Kimberley)エフェメロウイルス、クラマス(Klamath)ツパウイルス、コレンテ(Kolente)レダンテウイルス、クールピニャ(Koolpinyah)エフェメロウイルス、コトンカン(Kotonkan)エフェメロウイルス、クマシ(Kumasi)レダンテウイルス、ラホヤ(La Joya)ハパウイルス、ラゴス(Lagos)コウモリリッサウイルス、ランジャ(Landjia)ハパウイルス、レタス黄色斑紋Lettuce yellow mottleサイトラブドウイルス、リェイダ(Lleida)コウモリリッサウイルス、トウモロコシイランモザイク(Maize Iranian mosaic)ヌクレオラブドウイルス、トウモロコシ縞葉枯病(Maize fine streak)ヌクレオラブドウイルス、トウモロコシモザイクヌクレオラブドウイルス、マルペススプリング(Malpais Spring)ベシクロウイルス、マニトバ(Manitoba)ハパウイルス、マラバ(Maraba)ベシクロウイルス、マルコ(Marco)ハパウイルス、モコラ(Mokola)リッサウイルス、モレトン(Morreton)ベシクロウイルス、モスケイロ(Mosqueiro)ハパウイルス、モッスリル(Mossuril)ハパウイルス、マウントエルゴンコウモリレダンテウイルス、モウサ(Moussa)ウイルス、Muscina stabulansシグマウイルス、ニュージャージーベシクロウイルス、ヌガイガン(Ngaingan)ハパウイルス、ニシムロ(Nishimuro)レダンテウイルス、ヌコルビッソン(Nkolbisson)レダンテウイルス、ムギ北地モザイク病サイトラブドウイルス、オボジアン(Obodhiang)エフェメロウイルス、オイタ(Oita)レダンテウイルス、オードリバー(Ord River)ハパウイルス、パリークリーク(Parry Creek)ハパウイルス、ペリネット(Perinet)ベシクロウイルス、パイクフライ(Pike fry)スプリビウイルス、ピリベシクロウイルス、ピスチン(Piscine)ノビラブドウイルス、ラディ(Radi)ベシクロウイルス、イネ黄葉ヌクレオラブドウイルス、リオチコ(Rio Chico)アルメンドラウイルス、ロシャンボー(Rochambeau)クリオウイルス、シートラウト(Sea trout)ペルハブドウイルス、セナ・マドゥレイラ(Sena Madureira)スリプウイルス、シモニ(Shimoni)コウモリリッサウイルス、スネークヘッドノビラブドウイルス、ソンクス(Sonchus)サイトラブドウイルス1、ソンクスイエローネットヌクレオラブドウイルス、ノゲシ黄色葉脈ヌクレオラブドウイルス、イチゴクリンクルサイトラブドウイルス、スイートウォーターブランチチブロウイルス、タロ葉脈白化(Taro vein chlorosis)ヌクレオラブドウイルス、ツパイツパウイルス、西コーカサスコウモリリッサウイルス、小麦アメリカ線条体モザイクサイトラブドウイルス、ウォンガベル(Wongabel)ハパウイルス、ウーハンレダンテウイルス、ヤタ(Yata)エフェメロウイルス、ヨンジア(Yongjia)レダンテウイルスおよびヤグボグダノバク(Yug Bogdanovac)ベシクロウイルスから選択されるRhabdoviridae科のウイルスの野生型ゲノムによってコードされる抗原である。そのようなOV抗原は、OVに対してネイティブまたは異種であり得る。
【0142】
特定の実施形態では、OV抗原は、Aedes pseudoscutellarisレオウイルス、アクアレオウイルスA型、バンナ(Banna)ウイルス、ブルータング(Bluetongue)ウイルス、コロラドダニ熱ウイルス、サイポウイルス1、Eriocheir sinensisレオウイルス、フィジー病ウイルス、イドノレオウイルス(Idnoreovirus)1、哺乳類オルソレオウイルス、Micromonas pusillaレオウイルス、マイコレオウイルス1、イネラギッドスタントウイルス、ロタウイルスA、創傷腫瘍ウイルス、アフリカ馬疫ウイルス、アクアレオウイルスB、アクアレオウイルスC、アクアレオウイルスD、アクアレオウイルスE、アクアレオウイルスF、アクアレオウイルスG、トリオルソレオウイルス、ヒヒオルソレオウイルス、チャングイノラウイルス、チェヌダウイルス、チョバーゴルジウイルス、コリパルタウイルス、サイポウイルス10、サイポウイルス11、サイポウイルス12、サイポウイルス13、サイポウイルス14、サイポウイルス15、サイポウイルス16、サイポウイルス2、サイポウイルス3、サイポウイルス4、サイポウイルス5、サイポウイルス6、サイポウイルス7、サイポウイルス8、サイポウイルス9、Echinochloaラギッドスタントウイルス、流行性出血病ウイルス、ウマ脳症ウイルス、ユーベナンジーウイルス、ヤッチ(Eyach)ウイルス、ニンニク萎縮ウイルス、グレートアイランドウイルス、イドノレオウイルス2、イドノレオウイルス3、イドノレオウイルス4、イドノレオウイルス5、イエリウイルス、カディピロウイルス、レボンボウイルス、リアオニン(Liao ning)ウイルス、マラピツィ(Mahlapitsi)オルソレオウイルス、Maize rough dwarfウイルス、リオクワルト病(Mal de Rio Cuarto)ウイルス、マイコレオウイルス2、マイコレオウイルス3、ネルソンベイ(Nelson Bay)オルソレオウイルス、Nilaparvata lugensレオウイルス、Oat sterile dwarfウイルス、オルンゴ(Orungo)ウイルス、パリアム(Palyam)ウイルス、パンゴラスタント(Pangola stunt)ウイルス、ペルー馬疫ウイルス、魚類オルソレオウイルス、爬虫類オルソレオウイルス、イネ黒条萎縮ウイルス、イネ萎縮ウイルス、Rice gall dwarfウイルス、ロタウイルスB、ロタウイルスC、ロタウイルスD、ロタウイルスE、ロタウイルスF、ロタウイルスG、ロタウイルスH、ロタウイルスI、イネ南方黒条萎縮ウイルス、セント・クロア川ウイルス、ウマティラ(Umatilla)ウイルス、ワドメダニ(Wad Medani)ウイルス、ウォーラル(Wallal)ウイルス、ヴァレゴ(Warrego)ウイルス、ウォンゴア(Wongorr)ウイルス、および雲南(Yunnan)オルビウイルスから選択されるReoviridae科のウイルスの野生型ゲノムによってコードされる抗原である。そのようなOV抗原は、OVに対してネイティブまたは異種であり得る。
【0143】
いくつかの実施形態によれば、OV抗原は、アアリウイルスA、アイチウイルスA、アンピウイルスA、アクアマウイルスA、アビヘパトウイルスA、アビシウイルスA、ボピウイルスA、カディシウイルスA、カルジオウイルスA、コサウイルスA、クロヒウイルスB、エンテロウイルスC、エルボウイルスA、足口病ウイルス、ガリウイルスA、ハルカウイルスA、ヘパトウイルスA、フンニウイルスA、クンサギウイルスA、リムニピウイルスA、メグリウイルスA、ミシウイルスA、モサウイルスA、オリウイルスA、オシウイルスA、パレコウイルスA、パシウイルスA、パッセリウイルスA、ポタミピウイルスA、ラボウイルスA、ロサウイルスA、サコブウイルスA、サリウイルスA、サペロウイルスA、セネカウイルスA、シャンバウイルスA、シチニウイルスA、テシオウイルス(Teschovirus)A、トーチウイルス(Torchivirus)A、トレモウイルスA、アイチウイルスB、アイチウイルスC、アイチウイルスD、アイチウイルスE、アイチウイルスF、トリサペロウイルス、アビシウイルスB、アビシウイルスC、ウシ鼻炎Aウイルス、ウシ鼻炎Bウイルス、カルジオウイルスB、カルジオウイルスC、コサウイルスB、コサウイルスD、コサウイルスE、コサウイルスF、クロヒウイルスA、エンテロウイルスA、エンテロウイルスB、エンテロウイルスD、エンテロウイルスE、エンテロウイルスF、エンテロウイルスG、エンテロウイルスH、エンテロウイルスI、エンテロウイルスJ、エンテロウイルスK、エンテロウイルスL、ウマ鼻炎Aウイルス、ヘパトウイルスB、ヘパトウイルスC、ヘパトウイルスD、ヘパトウイルスE、ヘパトウイルスF、ヘパトウイルスG、ヘパトウイルスH、ヘパトウイルスI、クンサギウイルスB、クンサギウイルスC、リムニピウイルスB、リムニピウイルスC、メグリウイルスB、メグリウイルスC、メグリウイルスD、メグリウイルスE、ミシウイルスB、ミシウイルスC、パレコウイルスB、パレコウイルスC、パレコウイルスD、ライノウイルスA、ライノウイルスB、ライノウイルスC、およびサペロウイルスBから選択されるPicornaviridae科のウイルスの野生型ゲノムによってコードされる抗原である。このようなOV抗原は、OVに対してネイティブまたは異種であり得る。
【0144】
特定の実施形態では、OV抗原は、アデノ関連ディペンドパルボウイルスA、肉食動物アムドパルボウイルス1型、十脚目(Decapod)ヘパンデンソウイルス1型、十脚目ペンスチルデンソウイルス1型、双翅類ブレビデンソウイルス1型、キジ目アベパルボウイルス1型、鱗翅目アンビデンソウイルス1型、鱗翅目イテラデンソウイルス1型、霊長類エリスロパルボウイルス1型、霊長類テトラパルボウイルス1型、齧歯類プロトパルボウイルス1型、有蹄類ボカパルボウイルス1型、有蹄類コピパルボウイルス1型、アデノ関連ディペンドウイルスB型、ガン・カモ目ディペンドウイルス1型、星状(Asteroid)アンビデンソウイルス1型、トリディペンドパルボウイルス1型、ゴキブリ(Blattodean)アンビデンソウイルス1型、ゴキブリ(Blattodean)アンビデンソウイルス2型、肉食動物アムドパルボウイルス2型、肉食動物アムドパルボウイルス3型、肉食動物アムドパルボウイルス4型、肉食動物ボカパルボウイルス1型、肉食動物ボカパルボウイルス2型、肉食動物ボカパルボウイルス3型、肉食動物ボカパルボウイルス4型、肉食動物ボカパルボウイルス5型、肉食動物ボカパルボウイルス6型、肉食動物プロトパルボウイルス1型、翼手類ボカパルボウイルス1型、翼手類ボカパルボウイルス2型、翼手類ボカパルボウイルス3型、翼手類ボカパルボウイルス4型、翼手類ディペンドパルボウイルス1型、翼手類プロトパルボウイルス1型、翼手類テトラパルボウイルス1型、十脚目アムビデンソウイルス1型、十脚目アンビデンソウイルス1型、双翅類アンビデンソウイルス1型、双翅類ブレビデンソウイルス1型、真無盲腸目プロトパルボウイルス1型、半翅目アンビデンソウイルス1型、半翅目アンビデンソウイルス2型、半翅目アンビデンソウイルス3型、膜翅類アンビデンソウイルス1型、、直翅類デンソウイルスボカパルボウイルス1型、鰭脚類ボカパルボウイルス1型、鰭脚類ボカパルボウイルス2型、鰭脚類デンソパルボウイルス1型、霊長類ボカパルボウイルス1型、霊長類ボカパルボウイルス2型、霊長類エリスロパルボウイルス2型、霊長類エリスロパルボウイルス3型、霊長類エリスロパルボウイルス4型、霊長類プロトパルボウイルス1型、霊長類プロトパルボウイルス2型、霊長類プロトパルボウイルス3型、齧歯類エリスロパルボウイルス1型、齧歯類プロトパルボウイルス2型、齧歯類プロトパルボウイルス3型、鱗片(Squamate)ディペンドパルボウイルス1型、有蹄類ボカパルボウイルス2型、有蹄類ボカパルボウイルス3型、有蹄類ボカパルボウイルス4型、有蹄類ボカパルボウイルス5型、有蹄類ボカパルボウイルス6型、有蹄類コピパルボウイルス2型、有蹄類エリスロパルボウイルス1型、有蹄類プロトパルボウイルス1型、有蹄類プロトパルボウイルス2型、有蹄類テトラパルボウイルス3型、および有蹄類テトラパルボウイルス4から選択されるParvoviridae科のウイルスの野生型ゲノムによってコードされる抗原である。そのようなOV抗原は、OVに対してネイティブまたは異種であり得る。
【0145】
いくつかの実施形態によれば、OV抗原は、アルファコロナウイルス1型、トリコロナウイルス、ヒヨドリ(Bulbul)コロナウイルスHKU11、ウマトロウイルス、マウスコロナウイルス、ホワイトブリーム(White bream)ウイルス、ボールニシキヘビニドウイルス1型、コウモリコロナウイルスCDPHE15、コウモリコロナウイルスHKU10、イロイルカコロナウイルスSW1、ベータコロナウイルス1型、ウシニドウイルス1型、ウシトロウイルス、キングサーモンニドウイルス1型、バン(Common moorhen)コロナウイルスHKU21、コロナウイルスHKU15、ファットヘッドミノーニドウイルス1型、ヘッジホッグコロナウイルス1型、ヒトコロナウイルス229E、ヒトコロナウイルスHKU1、ヒトコロナウイルスNL63、ヒトトロウイルス、中東呼吸器症候群関連コロナウイルス、Miniopterusコウモリコロナウイルス1型、MiniopterusコウモリコロナウイルスHKU8、ミンクコロナウイルス1型、ムニア(Munia)コロナウイルスHKU13型、ナイトヘロン(Night heron)コロナウイルスHKU19、PipistrellusコウモリコロナウイルスHKU5、ブタ流行性下痢ウイルス、ブタトロウイルス、RhinolophusコウモリコロナウイルスHKU2、RousettusコウモリコロナウイルスHKU9、SARSコロナウイルス2型、Scotophilusコウモリコロナウイルス512、重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス、ツグミコロナウイルスHKU12、TylonycterisコウモリコロナウイルスHKU4、ホワイトアイ(White-eye)コロナウイルスHKU16、ヒドリガモ(Wigeon)コロナウイルスHKU20、およびSARS-CoV-2から選択されるCoronaviridae科のウイルスの野生型ゲノムによってコードされる抗原である。そのようなOV抗原は、OVに対してネイティブまたは異種であり得る。
【0146】
特定の実施形態では、OV抗原は、ワクシニアウイルス(例えば、抗原A33、A34、A36、A56、B5、F12、F13など、例えば、改変VV株、JX-594、GL-ONC1、またはWestern Reserve、Wyeth、Lister、Copenhagen、Temple of Heaven、Patwadangar、および改変ワクシニアウイルスAnkaraなどから選択されたVV株)、アデノウイルス、HSV、レオウイルス、小胞性口内炎ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、セネカバレーウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、コクサッキーウイルス、およびマラバウイルスのゲノムによってコードされる抗原である。そのようなOV抗原は、OVに対してネイティブまたは異種であり得る。
【0147】
特定の実施形態では、OV抗原は、ネイティブOV抗原の改変されたバージョン(または誘導体)である。例えば、いくつかの実施形態によれば、OV抗原は、ネイティブ抗原の同じまたは実質的に類似のエピトープを含むが、所望の特性、例えば、ウイルスの感染力の改善などを与えるように改変/操作される。特定の実施形態では、例えば、既存の抗体(例えば、治療的使用が承認された抗体)が改変/操作されたOV抗原に結合するがネイティブ抗原には結合しないように、OV抗原は、ネイティブ抗原と比較して異なるエピトープを有するように改変/操作される。
【0148】
いくつかの実施形態によれば、OVのゲノムは、OVの野生型ゲノムによってコードされない1つ以上のタンパク質をコードおよび発現するように改変され得、このようなタンパク質は、本明細書では、OV抗原に対して「異種」またはOVに「ネイティブではない」と称される場合がある。OVのゲノムは、目的の異種OV抗原をコードおよび発現するように改変され得る。特定の実施形態では、異種OV抗原は、抗原を発現するOVに対して異種であるウイルス抗原(例えば、本明細書の他の場所に記載されるウイルスのうちのいずれかの野生型ゲノムによってコードされる抗原)である。いくつかの実施形態によれば、異種OV抗原は腫瘍抗原であり、その非限定的な例には、5T4、AXL受容体チロシンキナーゼ(AXL)、B細胞成熟抗原(BCMA)、c-MET、C4.4a、炭酸アンヒドラーゼ6(CA6)、炭酸アンヒドラーゼ9(CA9)、カドヘリン-6、CD19、CD20、CD22、CD25、CD27L、CD30、CD33、CD37、CD44v6、CD56、CD70、CD74、CD79b、CD123、CD138、がん胚性抗原(CEA)、cKit、Criptoタンパク質、CS1、デルタ様カノニカルノッチリガンド3(DLL3)、エンドセリン受容体タイプB(EDNRB)、エフリンA4(EFNA4)、上皮成長因子受容体(EGFR)、EGFRvIII、エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ3(ENPP3)、EPH受容体A2(EPHA2)、線維芽細胞成長因子受容体2(FGFR2)、線維芽細胞成長因子受容体3(FGFR3)、FMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)、葉酸受容体1(FOLR1)、糖タンパク質非転移性B(GPNMB)、グアニル酸シクラーゼ2C(GUCY2C)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、ヒト上皮成長因子受容体3(HER3)、インテグリンアルファ、リソソーム関連膜タンパク質1(LAMP-1)、ルイスY、LIV-1、ロイシンリッチリピート含有15(LRRC15)、メソセリン(MSLN)、ムチン1(MUC1)、ムチン16(MUC16)、ナトリウム依存性リン酸輸送タンパク質2B(NaPi2b)、ネクチン-4、NMB、NOTCH3、p-カドヘリン(p-CAD)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、タンパク質チロシンキナーゼ7(PTK7)、溶質担体ファミリー44メンバー4(SLC44A4)、SLIT様ファミリーメンバー6(SLITRK6)、STEAPファミリーメンバー1(STEAP1)、組織因子(TF)、T細胞免疫グロブリンおよびムチンタンパク質-1(TIM-1)、および栄養芽細胞表面抗原(TROP-2)が含まれる。
【0149】
OVゲノムを改変してコードおよび発現させることができる腫瘍抗原に特異的に結合し、本開示の抗OV CARまたは抗OVコンジュゲートにおいて利用され得る抗原結合ドメインの非限定的な例としては、以下の抗体:アデカツムマブ(Adecatumumab)、アスクリンバクマブ(Ascrinvacumab)、シクツムマブ(Cixutumumab)、コナツムマブ(Conatumumab)、ダラツムマブ(Daratumumab)、ドロジツマブ(Drozitumab)、デュリゴツマブ(Duligotumab)、デュルバルマブ(Durvalumab)、デュシジツマブ(Dusigitumab)、エンフォルツマブ(Enfortumab)、エノチクマブ(Enoticumab)、フィギツムマブ(Figitumumab)、ガニツマブ(Ganitumab)、グレムバツムマブ(Glembatumumab)、インテツムマブ(Intetumumab)、イピリムマブ(Ipilimumab)、イラツムマブ(Iratumumab)、イクルクマブ(Icrucumab)、レキサツムマブ(Lexatumumab)、ルカツムマブ(Lucatumumab)、マパツムマブ(Mapatumumab)、ナルナツマブ(Narnatumab)、ネシツムマブ(Necitumumab)、ネスバクマブ(Nesvacumab)、オファツムマブ(Ofatumumab)、オララツマブ(Olaratumab)、パニツムマブ(Panitumumab)、パトリツマブ(Patritumab)、プリツムマブ(Pritumumab)、ラドレツマブ(Radretumab)、ラムシルマブ(Ramucirumab)、リロツムマブ(Rilotumumab)、ロバツムマブ(Robatumumab)、セリバンツマブ(Seribantumab)、タレクスツマブ(Tarextumab)、テプロツムマブ(Teprotumumab)、トベツマブ(Tovetumab)、バンチクツマブ(Vantictumab)、ベセンクマブ(Vesencumab)、ボツムマブ(Votumumab)、ザルツムマブ(Zalutumumab)、フランボツマブ(Flanvotumab)、アルツモマブ(Altumomab)、アナツモマブ(Anatumomab)、アルシツモマブ(Arcitumomab)、ベクツモマブ(Bectumomab)、ブリナツモマブ(Blinatumomab)、デツモマブ(Detumomab)、イブリツモマブ(Ibritumomab)、ミンレツモマブ(Minretumomab)、ミツモマブ(Mitumomab)、モキセツモマブ(Moxetumomab)、ナプツモマブ(Naptumomab)、ノフェツモマブ(Nofetumomab)、ペムツモマブ(Pemtumomab)、ピンツモマブ(Pintumomab)、ラコツモマブ(Racotumomab)、サツモマブ(Satumomab)、ソリトマブ(Solitomab)、タプリツモマブ(Taplitumomab)、テナツモマブ(Tenatumomab)、トシツモマブ(Tositumomab)、トレメリムマブ(Tremelimumab)、アバゴボマブ(Abagovomab)、イゴボマブ(Igovomab)、オレゴボマブ(Oregovomab)、カプロマブ(Capromab)、エドレコロマブ(Edrecolomab)、ナコロマブ(Nacolomab)、アマツキシマブ(Amatuximab)、バビツキシマブ(Bavituximab)、ブレンツキシマブ(Brentuximab)、セツキシマブ(Cetuximab)、デルロツキシマブ(Derlotuximab)、ジヌツキシマブ(Dinutuximab)、エンシツキシマブ(Ensituximab)、フツキシマブ(Futuximab)、ギレンツキシマブ(Girentuximab)、インダツキシマブ(Indatuximab)、イサツキシマブ(Isatuximab)、マージツキシマブ(Margetuximab)、リツキシマブ(Rituximab)、シルツキシマブ(Siltuximab)、ウブリツキシマブ(Ublituximab)、エクロメキシマブ(Ecromeximab)、アビツズマブ(Abituzumab)、アレムツズマブ(Alemtuzumab)、ベバシズマブ(Bevacizumab)、ビバツズマブ(Bivatuzumab)、ブロンチクツズマブ(Brontictuzumab)、カンツズマブ(Cantuzumab)、カンツズマブ(Cantuzumab)、シタツズマブ(Citatuzumab)、クリバツズマブ(Clivatuzumab)、ダセツズマブ(Dacetuzumab)、デムシズマブ(Demcizumab)、ダロツズマブ(Dalotuzumab)、デニンツズマブ(Denintuzumab)、エロツズマブ(Elotuzumab)、エマンクツズマブ(Emactuzumab)、エミベツズマブ(Emibetuzumab)、エノブリツズマブ(Enoblituzumab)、エタラシズマブ(Etaracizumab)、ファルレツズマブ(Farletuzumab)、フィクラツズマブ(Ficlatuzumab)、ゲムツズマブ(Gemtuzumab)、イムガツズマブ(Imgatuzumab)、イノツズマブ(Inotuzumab)、ラベツズマブ(Labetuzumab)、リファツズマブ(Lifastuzumab)、リンツズマブ(Lintuzumab)、ロルボツズマブ(Lorvotuzumab)、ルムレツズマブ(Lumretuzumab)、マツズマブ(Matuzumab)、ミラツズマブ(Milatuzumab)、ニモツズマブ(Nimotuzumab)、オビヌツズマブ(Obinutuzumab)、オカラツズマブ(Ocaratuzumab)、オトレルツズマブ(Otlertuzumab)、オナルツズマブ(Onartuzumab)、オポルツズマブ(Oportuzumab)、パルサツズマブ(Parsatuzumab)、ペルツズマブ(Pertuzumab)、ピナツズマブ(Pinatuzumab)、ポラツズマブ(Polatuzumab)、シブロツズマブ(Sibrotuzumab)、シムツズマブ(Simtuzumab)、タカツズマブ(Tacatuzumab)、チガツズマブ(Tigatuzumab)、トラスツズマブ(Trastuzumab)、ツコツズマブ(Tucotuzumab)、バンドルツズマブ(Vandortuzumab)、バヌシズマブ(Vanucizumab)、ベルツズマブ(Veltuzumab)、ボルセツズマブ(Vorsetuzumab)、ソフィツズマブ(Sofituzumab)、カツマキソマブ(Catumaxomab)、エルツマキソマブ(Ertumaxomab)、デパツキシズマブ(Depatuxizumab)、オンツキシズマブ(Ontuxizumab)、ブロンツベトマブ(Blontuvetmab)、タムツベトマブ(Tamtuvetmab)の抗原結合ドメイン、またはその腫瘍抗原結合変異体が挙げられる。本明細書で使用される場合、「変異体」は、抗原結合ドメインが特定の抗原(例えば、トラスツズマブにとってのHER2)に特異的に結合するが、親抗体よりも少ないもしくは多いアミノ酸を有するか(例えば、親抗体の断片(例えば、scFv)であるか)、親抗体と比較して1つ以上のアミノ酸置換を有するか、またはそれらの組み合わせであることを意味する。
【0150】
いくつかの実施形態では、本開示の抗OV抗原CARまたは抗OV抗原コンジュゲートの抗原結合ドメインは、治療用抗体としての使用(例えば、患者の特定の疾患関連細胞を標的とするためなど)について米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)および/もしくは欧州医薬品庁(European Medicines Agency)(EMA)によって承認された抗体、または標的抗原に特異的に結合する能力を保持するその断片(例えば、抗体のscFvバージョンなどのそのような抗体の単鎖バージョン)に由来する。
【0151】
本開示のCARの抗原結合ドメインは、任意の好適なフォーマット、例えば、scFvなどであり得る。上記の融合タンパク質のセクションで説明した膜貫通および細胞内シグナル伝達ドメイン、ならびに共刺激ドメイン、リンカー配列/スペーサードメインなどのうちのいずれかを含む、任意の好適な膜貫通および細胞内シグナル伝達ドメインを用いることができる。
【0152】
本開示のCARは、単一のペプチドによって提供され得るか、または2つ以上のポリペプチドによって提供され得る。CARが2つ以上のポリペプチドによって提供される場合、CARは、本開示の融合タンパク質のセクションで上記に記載されたそのようなマルチペプチドフォーマットを含む、任意の有用なマルチポリペプチドフォーマットで提供され得る。
【0153】
本開示の抗OV抗原CARのうちのいずれかをコードする核酸、そのような核酸を含む発現ベクター、ならびにそのような核酸および発現ベクターを含む細胞もまた提供される。
【0154】
いくつかの実施形態によれば、提供されるのは、その表面上に抗OV抗原CARを発現する細胞である。目的とする細胞としては、免疫細胞が挙げられるが、これに限定されない。特定の実施形態では、免疫細胞は、免疫エフェクター細胞である。本開示の抗OV抗原CARをその表面に発現し得る免疫エフェクター細胞の非限定的な例としては、T細胞(すなわち、細胞はCAR T細胞であり得る)、NK細胞、NKT細胞、マクロファージなどが挙げられる。また、その表面上に抗OV抗原CARを発現する本開示の細胞のうちのいずれかを含む医薬組成物も提供される。そのような組成物は、細胞および薬学的に許容される担体を含み得る。好適な薬学的に許容される担体の例を以下で詳細に説明する。
【0155】
腫瘍溶解性ウイルス抗原と結合するコンジュゲート
上記のコンジュゲートのセクションに記載された本開示の抗VV A56および抗VV B5抗体ならびに融合タンパク質コンジュゲートに加えて、本開示の態様は、抗腫瘍溶解性ウイルス抗原抗体コンジュゲートをさらに含む。特定の実施形態では、そのようなコンジュゲートは、腫瘍溶解性ウイルス(OV)抗原に特異的に結合する抗体、およびその抗体にコンジュゲートされた薬剤を含む。いくつかの実施形態によれば、抗体にコンジュゲートされた薬剤は、化学療法剤、毒素、放射線増感剤、および放射性同位体(例えば、治療用放射性同位体)から選択される。薬剤は、上記のコンジュゲートのセクションで説明されているそのような薬剤のうちのいずれかである可能性がある。
【0156】
本開示の抗OV抗体コンジュゲートには、種々の用途が見出される。例えば、本開示の利点により、そのようなコンジュゲートには、抗OV抗原コンジュゲートを含む医薬組成物をがんを有する個体に投与することを含む方法における使用が見出され、個体中のがん細胞がOVに感染しその表面上にOV抗原を発現させることにより、コンジュゲートをがん細胞に標的指向化して個体のがんを治療することが理解されよう。
【0157】
コンジュゲートが目的のOV抗原に特異的に結合するように、抗体(またはそれを含む融合タンパク質)が選択され得る。OV抗原は、ネイティブOV抗原であり得る。特定の実施形態では、コンジュゲートの抗体部分は、ワクシニアウイルス(例えば、抗原A33、A34、A36、A56、B5、F12、F13など、例えば、JX-594、GL-ONC1、またはWestern Reserve、Wyeth、Lister、Copenhagen、Temple of Heaven、Patwadangar、および改変ワクシニアウイルスAnkaraなどから選択されたVV株)、アデノウイルス、HSV、レオウイルス、小胞性口内炎ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、セネカバレーウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、コクサッキーウイルス、ならびにマラバウイルスから選択されたOVによってコードされるネイティブ抗原に特異的に結合し得る。
【0158】
特定の実施形態では、OV抗原は、OVに対して異種である。例えば、抗体(または抗体を含む融合タンパク質)は、コンジュゲートの抗体部分が上記のCARセクションに記載された異種OV抗原のうちのいずれかに特異的に結合するように選択され得る。
【0159】
本開示の抗OV抗体コンジュゲートの抗体部分は、本開示の抗体、抗VV A56および抗VV B5抗体ならびに融合タンパク質コンジュゲートに関連する上記のセクションに記載されているように、任意の所望のフォーマット、例えば、四量体フォーマット、単鎖(例えば、scFv)フォーマットなどで提供され得る。
【0160】
本開示の抗OV抗体コンジュゲートは、リンカー、例えば、本開示の抗-VV A56および抗VV B5抗体ならびに融合タンパク質コンジュゲートに関連する上記のセクションに記載された切断不可能または切断可能なリンカーのうちのいずれかを介して、抗体(または抗体を含む融合タンパク質)にコンジュゲートされた薬剤を含み得る。
【0161】
本開示の抗OV抗体コンジュゲートのうちのいずれかを含む医薬組成物も提供される。そのような組成物は、コンジュゲートおよび薬学的に許容される担体を含み得る。好適な薬学的に許容される担体の例を以下で詳細に説明する。
【0162】
組成物
上で要約したように、本開示は組成物も提供する。いくつかの実施形態によれば、本開示の組成物は、本開示の抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートを含む。例えば、抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートは、上記の抗体のセクションに記載されている抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートのうちのいずれかであり得、その記載は組み込まれるが、簡潔にするためにここでは繰り返されない。
【0163】
特定の態様では、本開示の組成物は、液体培地中に存在する抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートを含む。液体媒体は、水、緩衝溶液などの水性液体媒体であり得る。1つ以上の添加剤、例えば、塩(例えば、NaCl、MgCl、KCl、MgSO)、緩衝剤(トリス緩衝液、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N’-(2-エタンスルホン酸)(HEPES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸ナトリウム塩(MES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N-トリス[ヒドロキシメチル]メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)など)、溶解剤、洗浄剤(例えば、Tween-20などの非イオン性洗浄剤)、ヌクレアーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、グリセロール、キレート剤などが、このような組成物に存在してもよい。
【0164】
本開示の態様は、医薬組成物をさらに含む。いくつかの実施形態では、本開示の医薬組成物は、本開示の抗VV A56抗体もしくは抗VV B5抗体(またはそれを含むコンジュゲートもしくは融合タンパク質)、および薬学的に許容される担体を含む。
【0165】
抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートは、治療投与のための種々の製剤に組み込むことができる。より具体的には、抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートは、適切な薬学的に許容される賦形剤または希釈剤との組み合わせによって、医薬組成物に製剤化することができ、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、注射剤、吸入剤、エアロゾルなどの固体、半固体、液体またはガス状形態の製剤に製剤化することができる。
【0166】
個体への投与のための(例えば、ヒト投与に好適な)抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートの製剤は、一般に無菌であり、さらに、検出可能な発熱物質、または選択された投与経路による患者への投与が禁忌である他の混入物を含んでいない状態とし得る。
【0167】
薬学的剤形において、抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートは、それらの薬学的に許容される塩の形態で投与することができ、またはそれらは、単独でもしくは他の薬学的に活性な化合物との、適切な会合、および組み合わせでも使用され得る。以下の方法および担体/賦形剤は単なる例であり、決して限定するものではない。
【0168】
経口製剤の場合、ラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプンまたはジャガイモデンプンなどの従来の添加剤、結晶セルロース、セルロース誘導体、アラビアゴム、コーンスターチまたはゼラチンなどの結合剤、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプンまたはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの崩壊剤、タルク、またはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、所望により、希釈剤、湿潤剤、防腐剤および香味剤を用いて、錠剤、散剤、顆粒またはカプセル剤を製造するために、抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートを単独でまたは適切な添加剤と組み合わせて使用することができる。
【0169】
抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートは、非経口(例えば、静脈内、動脈内、骨内、筋肉内、大脳内、脳室内、髄腔内、皮下など)投与用に製剤化することができる。特定の態様では、抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートは、植物油もしくは他の類似の油、合成脂肪族グリセリド、高級脂肪酸のエステル、またはプロピレングリコールなどの水性溶媒または非水性溶媒に抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートを溶解、懸濁もしくは乳化することによって、また必要であれば、可溶化剤、等張剤、懸濁化剤、乳化剤、安定剤および防腐剤等の通常の添加剤を用いて、注射用に製剤化することができる。
【0170】
抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートを含む医薬組成物は、所望の純度を有する抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートを任意の生理学的に許容される担体、賦形剤、安定剤、界面活性剤、緩衝剤および/または等張化剤と混合することによって調製することができる。許容される担体、賦形剤および/または安定剤は、用いられる投与量および濃度ではレシピエントに無毒であり、緩衝剤、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸;アスコルビン酸、グルタチオン、システイン、メチオニンおよびクエン酸を含む抗酸化剤、防腐剤(例えば、エタノール、ベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、p-クロロ-m-クレゾール、メチルまたはプロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、またはそれらの組み合わせ)、アルギニン、グリシン、オルニチン、リジン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、イソロイシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、セリン、プロリン、およびそれらの組み合わせなどのアミノ酸、単糖、二糖、および他の糖類、低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド、ゼラチンまたは血清アルブミンなどのタンパク質、EDTAなどのキレート剤、トレハロース、ショ糖、ラクトース、グルコース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フラクトース、ソルボース、ラフィノース、グルコサミン、N-メチルグルコサミン、ガラクトサミン、およびノイラミン酸などの糖、ならびに/または、Tween、Brij Pluronic、Triton-X、またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。
【0171】
医薬組成物は、液体形態、凍結乾燥形態、または凍結乾燥形態から再構成された液体形態であり得、凍結乾燥調製物は投与前に滅菌溶液で再構成されることになる。凍結乾燥組成物を再構成するための標準的な手順は、一定量の純水(典型的には、凍結乾燥中に除去された体積と等量である)を加え戻すことであるが、非経口投与用の医薬組成物の製造のために抗菌剤を含む溶液が使用されてもよい。
【0172】
抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートの水性製剤は、例えば、約4.0~約7.0、または約5.0~約6.0の範囲、または代替的に、約5.5のpHで、pH緩衝溶液中で調製することができる。この範囲内のpHに好適である緩衝剤の例には、リン酸緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤、クエン酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、および他の有機酸緩衝剤が含まれる。緩衝剤の濃度は、例えば、緩衝剤および製剤の所望の張性に応じて、約1mM~約100mM、または約5mM~約50mMであり得る。
【0173】
製剤の張度を調節するために、等張化剤を製剤に含めることができる。例示的な等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、およびアミノ酸、糖の群からの任意の成分、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、高張または低張溶液が好適であり得るが、水性製剤は等張性である。「等張性」という用語は、生理的食塩水または血清など、それが比較されるいくつかの他の溶液と同じ張性を有する溶液を意味する。等張化剤は、約5mM~約350mMの量で、例えば、100mM~350mMの量で使用され得る。
【0174】
凝集を減少させるために、および/または製剤中の微粒子の形成を最小限にするために、および/または吸着を低減するために、界面活性剤が製剤に添加されてもよい。界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij)、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル(Triton-X)、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー(Poloxamer、Pluronic)およびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が挙げられる。好適なポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの例は、ポリソルベート20(Tween 20(商標)の商標で販売)、およびポリソルベート80(Tween 80(商標)の商標で販売)である。好適なポリエチレン-ポリプロピレンコポリマーの例は、Pluronic(登録商標)F68またはPoloxamer 188(商標)の名称で販売されているものである。好適なポリオキシエチレンアルキルエーテルの例は、Brij(商標)の商標で販売されているものである。界面活性剤の濃度の例は、約0.001%~約1%w/vの範囲であり得る。
【0175】
凍結乾燥プロセス中の不安定化条件から抗体および/またはT細胞活性化剤を保護するために、凍結保護剤を添加してもよい。例えば、既知の凍結保護剤には、糖(グルコースおよびスクロースを含む)、ポリオール(マンニトール、ソルビトールおよびグリセロールを含む)、ならびにアミノ酸(アラニン、グリシンおよびグルタミン酸を含む)が含まれる。凍結保護剤は、約10mM~500nMの量で含まれることができる。
【0176】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、抗体、融合タンパク質またはコンジュゲート、および上記で特定される成分(例えば、界面活性剤、緩衝剤、安定剤、等張化剤)のうちの1つ以上を含み、エタノール、ベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、p-クロロ-m-クレゾール、メチルまたはプロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、およびこれらの組み合わせなどの、1つ以上の防腐剤を本質的に含まない。他の実施形態において、防腐剤が、製剤中に、例えば約0.001~約2%(w/v)の範囲の濃度で含まれる。
【0177】
キット
本開示の態様は、キットをさらに含む。特定の実施形態では、キットは、本開示の方法、例えば、本開示の医薬組成物を個体に投与して抗体、融合タンパク質(例えば、CAR)またはコンジュゲートを該個体中の腫瘍溶解性ウイルス(例えばVV)感染がん細胞に向けさせることを含む方法を実施する際の使用が見出される。
【0178】
したがって、特定の実施形態では、本開示のキットは、本開示の医薬組成物のうちのいずれかと、それを必要とする個体に医薬組成物を投与するための説明書と、を含む。キットに含まれる医薬組成物は、本開示の抗体、融合タンパク質、および/またはコンジュゲートのうちのいずれか、例えば、上記の抗体、融合タンパク質、および/またはコンジュゲートのうちのいずれかを含み得る。理解されるように、本開示のキットは、簡潔にするために本明細書で繰り返されない、主題の抗体、融合タンパク質、コンジュゲートおよび組成物に関連するセクションで上記に記載された薬剤および特徴のうちのいずれかを含み得る。
【0179】
本開示のキットは、単位投与量、例えば、アンプル、または複数回投与量形式で存在する、ある量の組成物を含み得る。したがって、特定の実施形態では、キットは、本開示の抗体、融合タンパク質、および/またはコンジュゲートを含む組成物の1つ以上の(例えば、2つ以上の)単位投与量(例えば、アンプル)を含み得る。「単位投与量」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒトおよび動物対象のための単一の投与量として好適な物理的に別個の単位を指し、各単位は、所望の効果をもたらすのに十分な量で計算された所定量の組成物を含有する。単位投与量の量は、用いられる特定の抗体、融合タンパク質および/またはコンジュゲート、達成されるべき効果、ならびに個体における抗体、融合タンパク質および/またはコンジュゲートと関連する薬力学などの様々な要因に依存する。さらに他の実施形態では、キットは組成物の単一の複数回投与量を含み得る。
【0180】
特定の実施形態では、本開示のキットは、例えば医薬組成物を個体に投与することにより、がんを有する個体中のVV感染がん細胞に、該医薬組成物中に存在する抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートを向けさせること(例えば、個体のがんを治療するために)についての説明書を含み、ここで個体はVVに感染されたがん細胞を含み、抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートは、感染されたがん細胞の表面上に発現するVV抗原によって、感染されたがん細胞に標的指向化される。
【0181】
いくつかの実施形態によれば、本開示のキットは、VV(例えば、JX-594、GL-ONC1、ウエスタンリザーブ、ワイス、リスター、コペンハーゲン、天壇、パトワダンガル、および改変ワクシニアウイルスアンカラなどから選択されるVVの株)を含む医薬組成物を含む。そのようなキットは、例えば、本開示の抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートを含む医薬組成物を投与する前に、個体のがん細胞に感染するのに有効な量のVVを含む医薬組成物を、がんを有する個体に投与するための説明書をさらに含み得る。
【0182】
キットに含まれる説明書(例えば、使用についての説明書(IFU))は、好適な記録媒体に記録され得る。例えば、説明書は、紙またはプラスチックなどの基材上に印刷することができる。そのようなものとして、説明書は、添付文書としてキット内に、キットの容器またはその構成要素のラベル(すなわち、包装またはサブ包装に付随)などに存在し得る。他の実施形態において、説明書は、ポータブルフラッシュドライブ、DVD、CD-ROM、ディスケットなどの好適なコンピュータ可読記憶媒体上に存在する、電子記憶データファイルとして存在する。さらに他の実施形態において、実際の説明書は、キット中には存在しないが、例えばインターネットを介してリモートソースから説明書を取得するための手段が提供される。この実施形態の一例は、説明書を閲覧することができ、かつ/または説明書をダウンロードすることができるウェブアドレスを含むキットである。説明書と同様に、説明書を得るための手段は、好適な基材上に記録される。
【0183】
方法
本開示の態様は、本開示の抗体、融合タンパク質(例えば、CAR)およびコンジュゲートを使用する方法を含む。本方法は、インビトロおよび/もしくはインビボ研究ならびに/または臨床用途を含む種々の状況で有用である。
【0184】
特定の態様では、提供されるのは、本開示の抗VV A56または抗VV B5抗体(そのような抗体を含む融合タンパク質またはコンジュゲートのうちのいずれかを含む)のうちのいずれかを含む有効量の医薬組成物を、がんを有する個体に投与することを含む方法であって、個体が、抗体が結合するVV A56またはVV B5抗原をコードするOVに感染されたがん細胞を含み(VV A56またはVV B5抗原は、OVに対してネイティブまたは異種であり得る)、抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートが、感染されたがん細胞の表面上に発現するVV抗原によって、感染されたがん細胞に標的指向化される、方法である。いくつかの実施形態によれば、そのような方法は、医薬組成物を個体に投与する前に、有効量のOVを個体に投与することによってがん細胞に感染させることをさらに含む。そのような方法は、例えば、個体のがんを治療する上での使用が見出される。
【0185】
特定の実施形態では、医薬組成物は、本開示の抗VV A56または抗VV B5抗体コンジュゲートのうちのいずれかを含む。例えば、医薬組成物は、抗VV A56または抗VV B5抗体が、インビボイメージング剤である検出可能な標識または放射性同位体にコンジュゲートされているコンジュゲートを含み得る。そのような方法は、インビボイメージング剤を使用して、個体の感染したがん細胞をイメージングすることをさらに含み得る。検出可能な標識または放射性同位体を含むコンジュゲートを個体に投与する方法は、例えば、診断、予後および/または抗がん療法を監視する目的で、個体のがん細胞をイメージングする上での使用が見出される。
【0186】
いくつかの態様によれば、腫瘍溶解性ウイルス(OV)抗原に特異的に結合する抗体を個体のがん細胞に標的指向化する方法が提供される。そのような方法は、OV抗原に特異的に結合する抗体(または抗体を含む融合タンパク質もしくはコンジュゲート)を含む有効量の医薬組成物を個体に投与することを含み、個体内のがん細胞は、OVに感染し、それらの表面上にOV抗原を発現する。OV抗原は、本明細書の他の場所に記載されているOV抗原のうちのいずれかであり得る。特定の実施形態では、OV抗原は、ネイティブOV抗原である。例えば、OVは、上記の「腫瘍溶解性ウイルス抗原に結合するキメラ抗原受容体」と題するセクションに記載されたウイルスのうちのいずれか、またはその操作された変異体(例えば、以下に記載されるOV改変、例えば、ヒトGM-CSFについてのトランスジェニック、チミジンキナーゼ遺伝子の欠失、および/またはその他のうちの1つ以上を有する操作された変異体)であり得、OV抗原は該OVにネイティブである。いくつかの実施形態によれば、OV抗原は、該OVに対して異種であり、例えば、該OVに対して異種であるウイルス抗原(例えば、上記の「腫瘍溶解性ウイルス抗原に結合するキメラ抗原受容体」と題するセクションに記載されたウイルスOV抗原のうちのいずれか)、腫瘍抗原、または本明細書の他の場所に記載されている他の任意の異種OV抗原である。いくつかの実施形態によれば、そのような方法は、医薬組成物を個体に投与する前に、有効量のOVを個体に投与することによってがん細胞に感染させることをさらに含む。そのような方法は、例えば、個体のがんを治療する上での使用が見出される。
【0187】
がん細胞表面上に結合すると、抗体(または融合タンパク質)は、例えば、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を介して、補体依存性細胞傷害(CDC)において補体を動員することによって、抗体依存性細胞ファゴサイトーシス(ADCP)を介して、エピトープ拡大(epitope spreading)を介して、または他の何らかのメカニズムによって、細胞傷害を誘導し得る。抗体は、Fc領域において改変されて、所望のまたは増強されたエフェクター機能を提供し得る。これは、抗体のFc領域に1つ以上のアミノ酸置換を導入することによって達成することができる。代替的に、副作用または治療上の合併症を最小限に抑えるために、エフェクター機能を排除または低減することが望ましい場合、特定の他のFc領域を使用することができる。
【0188】
特定の実施形態では、医薬組成物は、抗VV A56または抗VV B5抗体が、化学療法剤、毒素、放射線増感剤、治療用放射性同位体、および抗体のインビボイメージングを可能にする放射性同位体から選択される薬剤にコンジュゲートされている、コンジュゲートを含み得る。薬剤は、上記のコンジュゲートのセクションで説明されているような薬剤のいずれかであり得る。
【0189】
コンジュゲートが目的のOV抗原に特異的に結合するように、抗体(またはそれを含む融合タンパク質)が選択され得る。目的のOV抗原としては、本明細書の他の場所に記載されているネイティブまたは異種のOV抗原のうちのいずれかが挙げられるが、これに限定されない。特定の実施形態では、OV抗原は、ネイティブOV抗原である。例えば、OVは、上記の「腫瘍溶解性ウイルス抗原に結合するキメラ抗原受容体」と題するセクションに記載されたウイルスのうちのいずれか、またはその操作された変異体(例えば、以下に記載されるOV改変、例えば、ヒトGM-CSFについてのトランスジェニック、チミジンキナーゼ遺伝子の欠失、および/またはその他のうちの1つ以上を有する操作された変異体)であり得、OV抗原は該OVにネイティブである。いくつかの実施形態によれば、OV抗原は、該OVに対して異種であり、例えば、該OVに対して異種であるウイルス抗原(例えば、上記の「腫瘍溶解性ウイルス抗原に結合するキメラ抗原受容体」と題するセクションに記載されたウイルスOV抗原のうちのいずれか)、腫瘍抗原、または本明細書の他の場所に記載されている他の任意の異種OV抗原である。いくつかの実施形態では、抗原は、その発現が専らその抗原のためのOVの野生型転写調節エレメントの制御下にある、ネイティブまたは異種のOV抗原である。すなわち、そのような実施形態によれば、該抗原のためのOVの転写調節エレメントは、野生型OVと比較して改変されていない。特定の実施形態では、抗原は、ネイティブOV抗原であり、その発現レベルは、OVの1つ以上の野生型転写調節エレメントの改変(例えば、置換、複製など)により、野生型OVによる発現と比較して変化している(例えば、増加している)。例として、抗原は、ネイティブOV抗原(例えば、ネイティブA56、ネイティブB5、または目的とする任意の他のネイティブOV抗原)であり得、その発現は、OVの野生型転写調節エレメントと比較してより高い発現レベルをもたらす1つ以上の異種調節エレメント(例えば、ヒトプロモーターなどのプロモーター)にネイティブのOV抗原のコード領域を作動可能にカップリングすることによって、野生型OVによる発現と比較して増加される。このようなOVは、改変OV、例えば、以下に記載されるOV改変のうちの1つ以上を含むOVであり得る。
【0190】
特定の実施形態では、OV抗原は、該OVに対して異種である。例えば、コンジュゲートの抗体部分が本明細書の他の場所に記載される異種OV抗原(例えば、該OVに対して異種のウイルス抗原、腫瘍抗原など)のうちのいずれかに特異的に結合するように抗体が選択され得る。
【0191】
抗体は、本開示の前のセクションに記載されているように、任意の所望のフォーマット、例えば、四量体フォーマット、単鎖(例えば、scFv)フォーマットなどで提供され得る。いくつかの実施形態によれば、医薬組成物は、検出可能な標識または放射性同位体にコンジュゲートされた抗体を含む。特定の実施形態では、検出可能な標識または放射性同位体は、インビボイメージング剤である。抗体がインビボイメージング剤にコンジュゲートされる方法は、例えば、診断、予後および/または抗がん療法を監視する目的で、インビボで個体のがん細胞を画像化するためのインビボイメージング剤を検出することをさらに含み得る。
【0192】
いくつかの態様によれば、腫瘍溶解性ウイルス(OV)抗原に特異的に結合するCARを個体のがん細胞に標的指向化する方法が提供される。そのような方法は、OV抗原に特異的に結合する抗原結合ドメインを含むCARを含む有効量の医薬組成物を個体に投与することを含み、個体のがん細胞は、OVに感染され、それらの表面上にOV抗原を発現する。CARは、細胞、例えば、免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞、NK細胞、NKT細胞、マクロファージなどのような免疫細胞の表面上に発現され得る。例えば、CARは、T細胞の表面上に存在し得、その場合本方法は、個体における感染したがん細胞にCAR T細胞を標的指向化する方法である。いくつかの実施形態によれば、そのような方法は、医薬組成物を個体に投与する前に、有効量のOVを個体に投与することによってがん細胞に感染させることをさらに含む。そのような方法は、例えば、個体のがんを治療する上での使用が見出される。
【0193】
CARの抗原結合ドメインは、目的のOV抗原に特異的に結合する。目的のOV抗原としては、本明細書の他の場所に記載されているネイティブまたは異種のOV抗原のうちのいずれかが挙げられるが、これに限定されない。特定の実施形態では、OV抗原は、ネイティブOV抗原である。例えば、OVは、上記の「腫瘍溶解性ウイルス抗原に結合するキメラ抗原受容体」と題するセクションに記載されたウイルスのうちのいずれか、またはその操作された変異体(例えば、以下に記載されるOV改変、例えば、ヒトGM-CSFについてのトランスジェニック、チミジンキナーゼ遺伝子の欠失および/またはその他のうちの1つ以上を有する操作された変異体)であり得、OV抗原は該OVにネイティブである。いくつかの実施形態によれば、OV抗原は、該OVに対して異種であり、例えば、該OVに対して異種であるウイルス抗原(例えば、上記の「腫瘍溶解性ウイルス抗原に結合するキメラ抗原受容体」と題するセクションに記載されたウイルスOV抗原のうちのいずれか)、腫瘍抗原、または本明細書の他の場所に記載されている他の任意の異種OV抗原である。
【0194】
表面上にCARを発現する細胞を含む医薬組成物は、種々の方法によって調製することができる。いくつかの実施形態では、本開示の細胞は、CARをコードするウイルスベクターで細胞をトランスフェクトすることによって産生される。いくつかの実施形態では、細胞はT細胞であり、その結果、CAR T細胞を産生する方法が提供される。いくつかの実施形態では、そのような方法は、T細胞の集団(例えば、CAR T細胞療法が投与される個体から得られるT細胞)を活性化することと、T細胞の集団を刺激して増殖させることと、CARをコードするウイルスベクターをT細胞に形質導入することと、を含む。いくつかの実施形態では、CARをコードするレトロウイルスベクター、例えば、ガンマレトロウイルスベクターを、T細胞に形質導入する。いくつかの実施形態では、CARをコードするレンチウイルスベクターをT細胞に形質導入する。
【0195】
本開示の細胞は、自家(autologous)/自己(autogeneic)(「自己(self)」)または非自家(non-autologous)(「非自己(non-self)」、例えば、同種異系、同系もしくは異種)であり得る。本明細書で使用される「自家(autologous)」は、同じ個体からの細胞を指す。本明細書で使用される「同種異系」は、比較して細胞と遺伝的に異なる同じ種の細胞を指す。本明細書で使用される「同系」は、比較して細胞と遺伝的に同一である異なる個体の細胞を指す。いくつかの実施形態では、細胞は、哺乳類から得られたT細胞である。いくつかの実施形態では、哺乳類は霊長類である。いくつかの実施形態において、個体はヒトである。
【0196】
T細胞は、末梢血、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸膜滲出液、脾臓組織、および腫瘍を含むがこれらに限定されない多くの供給源から得ることができる。特定の実施形態では、T細胞は、沈降、例えば、FICOLL(商標)分離などの任意の数の既知の技術を使用して、個体から収集された血液の単位から得ることができる。
【0197】
いくつかの実施形態では、T細胞の単離または精製された集団が使用される。いくつかの実施形態では、TCTLおよびTリンパ球は、PBMCから精製される。いくつかの実施形態では、TCTLおよびTリンパ球は、活性化、増殖、および/または遺伝子改変の前または後のいずれかで、ナイーブ(T)、メモリー(TMEM)、およびエフェクター(TEFF)T細胞亜集団に分類される。そのような選別のための好適なアプローチは知られており、例えば、磁気活性化細胞選別(MACS)を含み、TNはCD45RACD62LCD95であり、TSCMはCD45RACD62LCD95であり、TCMはCD45ROCD62LCD95であり、TEMはCD45ROCD62LCD95である。このような選別のアプローチ例は、Wang et al.(2016)Blood 127(24):2980-90に記載されている。
【0198】
いくつかの実施形態では、以下のマーカー:CD3、CD4、CD8、CD28、CD45RA、CD45RO、CD62、CD127およびHLA-DRのうちの1つ以上を発現するT細胞の特定の亜集団は、陽性または陰性選択技術によってさらに単離され得る。いくつかの実施形態では、CD62L、CCR7、CD28、CD27、CD122、CD127、CD197、またはCD38もしくはCD62L、CD127、CD197およびCD38からなる群から選択されるマーカーのうちの1つ以上を発現するT細胞の特定の亜集団は、陽性または陰性選択技術によってさらに単離される。いくつかの実施形態では、製造されたT細胞組成物は、以下のマーカー:CD57、CD244、CD160、PD-1、CTLA4、TI3、およびLAG3のうちの1つ以上を発現しない。いくつかの実施形態では、製造されたT細胞組成物は、以下のマーカー:CD57、CD244、CD160、PD-1、CTLA4、TI3、およびLAG3のうちの1つ以上を実質的に発現しない。
【0199】
T細胞組成物の治療上有効な用量を達成するために、T細胞は、1回以上の刺激、活性化および/または増殖に供され得る。T細胞は、例えば、米国特許第6,352,694号、第6,534,055号、第6,905,680号、第6,692,964号、第5,858,358号、第6,887,466号、第6,905,681号、第7,144,575号、第7,067,318号、第7,172,869号、第7,232,566号、第7,175,843号、第5,883,223号、第6,905,874号、第6,797,514号および第6,867,041号(これらは各々、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているような方法を一般的に使用して活性化および増殖させることができる。いくつかの実施形態では、T細胞は、約1~21日間、例えば、約5~21日間活性化および増殖される。いくつかの実施形態では、T細胞は、CARをコードする核酸(例えば、発現ベクター)をT細胞に導入する前に、約1日~約4日、約1日~約3日、約1日~約2日、約2日~約3日、約2日~約4日、約3日~約4日、または約1日、約2日、約3日もしくは約4日間活性化および増殖される。
【0200】
いくつかの実施形態では、T細胞は、CARをコードする核酸(例えば、発現ベクター)をT細胞に導入する前に、約6時間、約12時間、約18時間、または約24時間活性化および増殖される。いくつかの実施形態では、T細胞は、CARをコードする核酸(例えば、発現ベクター)がT細胞に導入されると同時に活性化される。
【0201】
いくつかの実施形態では、T細胞培養に適切な条件には、適切な培地(例えば、最小必須培地またはRPMI培地1640または、X-vivo 15(Lonza))、ならびに血清(例えば、ウシ胎児またはヒト血清)、インターロイキン-2(IL-2)、インスリン、IFN-γ、IL-4、IL-7、IL-21、GM-CSF、IL-10、IL-12、IL-15、TGFβおよびTNF-α、または当業者に知られている細胞の成長に好適な他の任意の添加剤を含むが、これらに限定されない、増殖および生存に必要な1つ以上の因子が含まれる。細胞培養培地のさらなる例示的な例には、アミノ酸、ピルビン酸ナトリウムおよびビタミンが添加され、無血清であるか、あるいは適切な量の血清(もしくは血漿)または定義されたホルモンのセット、および/またはT細胞の成長と増殖に十分な量のサイトカインが補充されているRPMI 1640、Click、AEVI-V、DMEM、MEM、a-MEM、F-12、X-Vivo 15およびX-Vivo 20、Optimizerが含まれるが、これらに限定されない。
【0202】
いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸(例えば、発現ベクター)は、マイクロインジェクション、トランスフェクション、リポフェクション、ヒートショック、エレクトロポレーション、形質導入、遺伝子銃、マイクロインジェクション、DEAE-デキストランを介した移入などによって細胞(例えば、T細胞)内に導入される。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸(例えば、発現ベクター)は、AAV形質導入によって細胞(例えば、T細胞)内に導入される。AAVベクターは、AAV2からのITR、およびAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9またはAAV10のうちのいずれか1つからの血清型を含み得る。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、AAV2からのITRおよびAAV6からの血清型を含む。いくつかの実施形態では、CARをコードする核酸(例えば、発現ベクター)は、レンチウイルスまたはレトロウイルスの形質導入によって細胞(例えば、T細胞)内に導入される。レンチウイルスベクターバックボーンは、HIV-1、HIV-2、ビスナ・マエディウイルス(VMV)ウイルス、ヤギ関節炎-脳炎ウイルス(CAEV)、ウマ感染性貧血ウイルス(EIAV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、またはサル免疫不全ウイルス(SIV)に由来する可能性がある。レンチウイルスベクターは、組み込み能力がある(integration competent)か、またはインテグラーゼ欠損レンチウイルスベクター(TDLV)であり得る。一実施形態では、HIVベースのベクターバックボーン(すなわち、HIVシス作用性配列エレメント)を含むIDLVベクターが用いられる。
【0203】
特定の態様では、腫瘍溶解性ウイルス(OV)抗原に特異的に結合する抗体を含むコンジュゲートを個体のがん細胞に標的指向化する方法が提供される。そのような方法は、OV抗原に特異的に結合する抗体を含む有効量の医薬組成物を個体に投与することを含み、個体のがん細胞は、OVに感染し、それらの表面上にOV抗原を発現する。いくつかの実施形態によれば、そのような方法は、医薬組成物を個体に投与する前に、有効量のOVを個体に投与することによってがん細胞に感染させることをさらに含む。そのような方法は、例えば、個体のがんを治療する上での使用が見出される。
【0204】
コンジュゲートの抗体は、本明細書の他の場所に記載されているOV抗原のうちのいずれかを含むがこれらに限定されない、目的のOV抗原に特異的に結合する。特定の実施形態では、OV抗原は、ネイティブOV抗原である。例えば、OVは、上記の「腫瘍溶解性ウイルス抗原に結合するキメラ抗原受容体」と題するセクションに記載されたウイルスのうちのいずれか、またはその操作された変異体(例えば、以下に記載されるOV改変、例えば、ヒトGM-CSFについてのトランスジェニック、チミジンキナーゼ遺伝子の欠失および/またはその他のうちの1つ以上を有する操作された変異体)であり得、OV抗原は該OVにネイティブである。いくつかの実施形態によれば、OV抗原は、該OVに対して異種であり、例えば、該OVに対して異種であるウイルス抗原(例えば、上記の「腫瘍溶解性ウイルス抗原に結合するキメラ抗原受容体」と題するセクションに記載されたウイルスOV抗原のうちのいずれか)、腫瘍抗原、または本明細書の他の場所に記載されている他の任意の異種OV抗原である。
【0205】
本開示に従って個体に投与されるOVは、野生型OVまたは改変OVであり得る。いくつかの実施形態によれば、OVは改変されたOVであり、改変されたOVは、異なるウイルスからの2つ以上のドメインを含むキメラOVである。いくつかの実施形態では、OVは、以下の機能的カテゴリーのうちの1つ以上における1つ以上の改変を含む改変OV(例えば、非キメラまたはキメラOV)である:感染、複製、向性、改善された安全性、イメージングのためのレポーター遺伝子、宿主の抗ウイルス免疫応答を阻止し、宿主の抗腫瘍免疫応答を増強するなど。いくつかの実施形態によれば、OVは、以下のように改変される:ヒトGM-CSFをコードおよび発現する、チミジンキナーゼ遺伝子の欠失を有する(変異したRASまたはp53遺伝子を有するがん細胞に通常見られる高レベルのチミジンキナーゼを有する細胞にウイルス複製を限定または実質的に限定する)、レポーター遺伝子(例えば、Lac Z、ルシフェラーゼなど)をコード化および発現させる、リボヌクレオチドレダクターゼ(RR)をコードする1つ以上の遺伝子を変更する、F2L遺伝子(DNA複製の忠実度の維持とチミジル酸シンターゼによるTMP産生の前駆体の提供の両方に関与するウイルスdUTPaseをコードする)を破壊する、治療用タンパク質(例えば、自殺遺伝子-すなわち、TK、シトシンデアミナーゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ、チミジル酸キナーゼなどを含むがこれらに限定されない、薬物の前駆体を細胞傷害性化合物に変換することができるタンパク質をコードする遺伝子)を発現する、免疫刺激性タンパク質を発現する(「免疫刺激性タンパク質」は、サイトカイン、ケモカイン、成長因子などを含む、特異的または非特異的な方法で免疫系を刺激する能力を有するタンパク質を指す)、ならびにそれらの任意の組み合わせ。上記の改変されたOVのうちのいずれかは、本明細書の他の場所に記載されているOV抗原のうちのいずれかをコードし得る。例えば、改変されたOVは、上記の「腫瘍溶解性ウイルス抗原に結合するキメラ抗原受容体」と題するセクションに記載されたウイルスのうちのいずれかから改変され得、OV抗原は、該OVにネイティブである。いくつかの実施形態によれば、OV抗原は、該OVに対して異種であり、例えば、改変OVに対して異種であるウイルス抗原(例えば、上記の「腫瘍溶解性ウイルス抗原に結合するキメラ抗原受容体」と題するセクションに記載されたウイルスOV抗原のうちのいずれか)、腫瘍抗原、または本明細書の他の場所に記載されている他の任意の異種OV抗原である。
【0206】
特定の態様では、OVに感染した細胞(例えば、がん細胞)を含む医薬組成物を投与することを含む方法が提供される。医薬組成物は、感染細胞、例えば、がん細胞によって発現されるOV抗原に特異的に結合する抗体、コンジュゲートまたは融合タンパク質をさらに含み得る。該細胞(例えば、がん細胞)は、手術の際に個体から除去されたものであり得る。該細胞(例えば、がん細胞)は、患者に投与されたときに免疫系によって攻撃される可能性が高くなるように、実験室で変更(および殺滅)されたものであり得る。次に、患者の免疫系は、体内に残っている該細胞および同様の細胞を攻撃する。本開示の抗体、コンジュゲートまたは融合タンパク質をこのアプローチに従って用いて、プロフェッショナルAPC上のFc受容体による腫瘍粒子/抗原の取り込みを促進し、腫瘍に対する免疫応答を増強することができる。
【0207】
医薬組成物は、種々の個体のうちのいずれかに投与することができる。特定の態様では、個体は、「哺乳類」または「哺乳動物」であり、これらの用語は、肉食動物(例えば、イヌおよびネコ)、齧歯類(例えば、マウス、モルモット、およびラット)、および霊長類(例えば、ヒト、チンパンジー、およびサル)を含む、哺乳綱内の生物を表すために広く使用される。いくつかの実施形態において、個体はヒトである。特定の態様では、個体は、がんなどの細胞増殖性障害の動物モデル(例えば、マウスモデル、霊長類モデルなど)である。
【0208】
それを必要としている個体は、細胞増殖性障害を有する可能性がある。「細胞増殖性障害」とは、多細胞生物の細胞における1つ以上のサブセットの望ましくない細胞増殖が起こり、生物にとっての害(例えば、痛みまたは平均余命の低下)をもたらす障害を意味する。細胞増殖性障害には、がん、前がん、良性腫瘍、血管増殖性障害(例えば、関節炎、再狭窄など)、線維性障害(例えば、肝性肝硬変、アテローム性動脈硬化症など)、乾癬、表皮および類皮嚢胞、脂肪腫、腺腫、毛細血管および皮膚血管腫、リンパ管腫、損傷性母斑(nevi lesions)、奇形腫、腎腫、筋線維腫症、骨形成腫瘍、形成異常腫瘤(dysplastic masses)、メサンギウム細胞増殖性障害などが含まれるが、これらに限定されない。
【0209】
いくつかの実施形態において、個体はがんを有する。対象の方法は、多種多様ながんの治療に用いることができる。本明細書で使用される「腫瘍」は、悪性または良性にかかわらず、すべての新生物細胞の増殖および増殖、ならびにすべての前がん性およびがん性の細胞および組織を指す。「がん」および「がん性」という用語は、典型的には無秩序な細胞増殖/増殖を特徴とする哺乳動物における生理学的状態を指すかまたは説明する。主題の方法を使用して治療することができるがんの例には、がん腫、リンパ腫、芽細胞腫、および肉腫が含まれるが、これらに限定されない。そのようながんのより具体的な例には、扁平上皮がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺腺がん、肺扁平上皮がん、腹膜がん、肝細胞がん、胃腸がん、膵臓がん、膠芽腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、胆管がん、膀胱がん、肝がん、乳がん、大腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がんもしくは子宮がん、唾液腺がん、腎臓がん、肝臓がん、前立腺がん、外陰外陰部がん、甲状腺がん、肝臓がん、様々なタイプの頭頸部がんなどが挙げられる。特定の実施形態では、個体は、固形腫瘍、再発性多形性神経膠芽細胞腫(GBM)、非小細胞肺がん、転移性黒色腫、黒色腫、腹膜がん、上皮性卵巣がん、多形性神経膠芽細胞腫(GBM)、転移性結腸直腸がん、結腸直腸がん、膵管腺がん、扁平上皮がん、食道がん、胃がん、神経芽細胞腫、ファロピウス管がん、膀胱がん、転移性乳がん、膵臓がん、軟組織肉腫、再発性頭頸部がん扁平上皮がん、頭頸部がん、未分化星状細胞腫、悪性胸膜中皮腫、乳がん、扁平上皮非小細胞肺がん、横紋筋肉腫、転移性腎細胞がん、基底細胞がん(基底細胞上皮腫)、および神経膠肉腫から選択されるがんを有する。特定の態様では、個体は、黒色腫、ホジキンリンパ腫、腎細胞がん(RCC)、膀胱がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、および頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)から選択されるがんを有する。
【0210】
本開示の抗体、融合タンパク質およびコンジュゲートは、経口(例えば、錠剤形態、カプセル形態、液体形態など)、非経口(例えば、静脈内、筋肉内、皮下、筋肉内、もしくは硬膜外注射)、局所、鼻腔内、または腫瘍内投与から選択される投与経路を介して投与され得る。
【0211】
本開示の抗体、融合タンパク質およびコンジュゲートは、治療有効量で医薬組成物として投与することができる。「治療有効量」とは、所望の結果をもたらすのに十分な用量を意味し、例えば、対照と比較して、がんの症状の軽減などの有益なまたは所望の治療結果(予防的な結果を含む)をもたらすのに十分な量を意味する。がんに関して、いくつかの実施形態では、治療有効量は、腫瘍の成長を遅らせる、腫瘍のサイズを縮小する、および/または同様のことをするのに十分である。有効量は1回以上の投与で投与することができる。
【0212】
上記のように、本開示の態様は、個体のがんを治療するための方法を含む。「治療」とは、少なくとも個体のがんと関連する1つ以上の症状の改善を意味し、改善は、パラメータ、例えば、少なくとも治療されるがんと関連する症状の程度の軽減を指すために広義で使用される。したがって、治療はまた、個体ががん、または少なくともがんを特徴付ける症状にそれ以上苦しまないように、がん、または少なくともそれに関連する1つ以上の症状が完全に阻害される、例えば、発生するのを防止される、または停止される、例えば、中止される状況も含む。
【0213】
本開示の抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートは、単独で、または第2の薬剤と組み合わせて、個体に投与することができる。目的の第2の薬剤には、がんの治療に使用するために米国食品医薬品局および/または欧州医薬品庁(EMA)によって承認された薬剤が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、第2の薬剤は、免疫チェックポイント阻害剤である。目的の免疫チェックポイント阻害剤には、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)阻害剤、プログラム細胞死-1(PD-1)阻害剤、プログラム細胞死リガンド-1(PD-L1)阻害剤、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)阻害剤、T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン3(TIM-3)阻害剤、インドールアミン(2,3)-ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤、IgおよびITIMドメイン(TIGIT)阻害剤を含むT細胞免疫受容体、T細胞活性化のVドメインIgサプレッサー(VISTA)阻害剤、B7-H3阻害剤、およびそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0214】
本開示の抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートが第2の薬剤とともに投与される場合、抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートおよび第2の薬剤は、任意の好適な投与レジメンに従って個体に投与され得る。特定の実施形態によれば、抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートおよび第2の治療剤は、個々の使用のために承認された投薬レジメンに従って投与される。いくつかの実施形態では、抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートの投与は、抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートを投与せずに第2の薬剤が投与される場合に使用されるのと比較して、1回以上のより低用量および/またはより低頻度の投与、および/またはサイクル数の減少を伴う投薬レジメンに従って第2の薬剤が投与されることを可能にする。特定の態様では、第2の薬剤の投与は、第2の薬剤を投与せずに抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートが投与される場合に使用されるのと比較して、抗体、融合タンパク質、またはコンジュゲートが、1回以上のより低用量および/またはより低頻度の投与、および/またはサイクル数の減少を伴う投薬レジメンに従って投与されることを可能にする。
【0215】
いくつかの実施形態では、1回以上の用量の抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートおよび第2の薬剤は、個体に同時に投与される。「同時に」とは、抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートと第2の薬剤が同じ医薬組成物中に存在するか、または抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートと第2の薬剤が1時間以下、30分以下、または15分以下以内に別個の医薬組成物として投与されることを意味する。
【0216】
いくつかの実施形態では、1回以上の用量の抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートおよび第2の薬剤は、個体に連続して投与される。
【0217】
いくつかの実施形態において、抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートおよび第2の薬剤は、異なる組成でおよび/または異なる時間に個体に投与される。例えば、抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートは、第2の治療剤の投与の前に(例えば、特定のサイクルで)投与されてもよい。代替的に、第2の治療剤は、抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートの投与の前に(例えば、特定のサイクルで)投与されてもよい。投与され得る第2の薬剤は、投与され得る第1の薬剤投与後の少なくとも1時間後、3時間後、6時間後、12時間後、24時間後、48時間後、72時間後、または最長5日以上後に開始する期間に投与されてもよい。
【0218】
一例では、第2の薬剤は、抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートの投与前に、望ましい期間、個体に投与される。特定の態様では、そのようなレジメンは、がん細胞を「プライミング」して、抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートの抗がん効果を増強する。抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートを投与するステップから第2の薬剤を投与するステップを分離するそのような期間は、望ましくは、抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートの抗がん効果が増加するように、がん細胞のプライミングを可能にするのに十分な長さである。
【0219】
いくつかの実施形態では、1つの薬剤の投与は、別の薬剤の投与に対して特異的なタイミングである。例えば、いくつかの実施形態では、抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートは、特定の効果が観察される(または、例えば、所与の投薬レジメンと目的の特定の効果との間の相関を示す集団研究に基づいて観察されると予想される)ように投与される。
【0220】
特定の態様では、併用投与される薬剤の所望の相対的投薬レジメンは、例えばエクスビボ、インビボおよび/またはインビトロモデルを使用して、経験的に評価または決定されてもよい。いくつかの実施形態では、そのような評価または経験的決定は、インビボ、患者集団において(例えば、相関が確立されるように)、または代替的に目的の特定の個体において行われる。
【0221】
いくつかの実施形態では、抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートおよび第2の薬剤は、少なくとも2サイクルを含む断続的な投薬レジメンに従って投与される。2つ以上の薬剤が組み合わされ、各々がそのような間欠的サイクリングレジメンによって投与される場合、異なる薬剤の個別の用量が互いに組み合わされ得る。特定の態様では、第2の薬剤の1回以上の用量は、第1の薬剤の1回の用量後、ある期間に投与される。特定の実施形態では、第2の薬剤の各用量は、第1の薬剤の1回の用量後、ある期間に投与される。特定の態様では、第1の薬剤の各用量は、第2の薬剤の1回の用量によりある期間後に続く。いくつかの実施形態では、第1の薬剤の2回以上の用量は、第2の薬剤の少なくとも1対の用量の間で投与され、特定の態様では、第2の薬剤の2回以上の用量は、第1の薬剤の少なくとも1対の用量の間で投与される。いくつかの実施形態では、同じ薬剤の異なる用量は、共通の時間間隔で隔てられ、いくつかの実施形態では、同じ薬剤の異なる用量の間の時間間隔は変動する。特定の態様では、抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートおよび第2の薬剤の異なる用量は、共通の時間間隔で互いに隔てられ、いくつかの実施形態では、異なる薬剤の異なる用量は、異なる時間間隔で互いに隔てられる。
【0222】
2つの間欠的サイクル化投薬レジメンを相互に組み合わせるための1つの例示的プロトコルは、(a)治療有効量の抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートが患者に投与される第1の投薬期間と、(b)第1の休止期間と、(c)治療有効量の第2の薬剤が患者に投与される第2の投薬期間と、(d)第2の休止期間と、を含むことができる。2つの間欠的サイクル化投薬レジメンを相互に組み合わせるための第2の例示的プロトコルは、(a)治療有効量の第2の薬剤が患者に投与される第1の投薬期間と、(b)第1の休止期間と、(c)治療有効量の抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートが患者に投与される第2の投薬期間と、(d)第2の休止期間と、を含むことができる。
【0223】
いくつかの実施形態では、第1の休止期間および第2の休止期間は、同じ時間または日数に対応し得る。代替的に、いくつかの実施形態では、第1の休止期間および第2の休止期間は異なり、第1の休止期間が第2の休止期間よりも長いか、またはその逆のいずれかである。いくつかの実施形態では、休止期間の各々は、120時間、96時間、72時間、48時間、24時間、12時間、6時間、30時間、1時間以下に対応する。いくつかの実施形態では、第2の休止期間が第1の休止期間よりも長い場合、これは数時間よりも数日または数週間(例えば、1日、3日、5日、1週間、2週間、4週間以上)として定義され得る。
【0224】
第1の休止期間の長さが特定の生物または治療事象の存在または発生によって決定される場合、第2の休止期間の長さは、別々のまたは組み合わされた、異なる因子に基づいて決定され得る。例示的なそのような因子には、治療が投与されるがんのタイプおよび/または病期、抗体、融合タンパク質もしくはコンジュゲートの特性(例えば、薬物動態特性)、および/または抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートによる療法に対する患者の応答のうちの1つ以上の特徴が含まれ得る。いくつかの実施形態では、一方または両方の休止期間の長さは、投与薬剤の一方または他方の(例えば、血漿濃度レベルを介して評価されるような)薬物動態特性に照らして調整され得る。例えば、関連薬剤の血漿濃度が、任意選択で個体の応答の1つ以上の特徴の評価または他の考慮時に所定のレベルを下回る場合、関連休止期間は完了したとみなされ得る。
【0225】
特定の態様では、特定の薬剤が投与されるサイクル数は、経験的に決定され得る。また、いくつかの実施形態では、後に続く正確なレジメン(例えば、用量の回数、用量の間隔(例えば、互いにまたは別の療法の投与のような別の事象に対する)用量の量など)は、1つ以上のサイクルについて1つ以上の他のサイクルと比べて異なり得る。
【0226】
抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートおよび第2の薬剤は、任意の好適な投与経路を介して一緒にまたは独立して投与することができる。抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートおよび第2の薬剤は、経口、(例えば、静脈内、動脈内、皮下、筋肉内、もしくは硬膜外注射による)局所、または鼻腔内投与から独立して選択される投与経路を介して投与され得る。特定の実施形態によれば、抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートおよび第2の薬剤は両方とも、経口的に(例えば、錠剤形態、カプセル形態、液体形態などで)同時(同じ医薬組成物もしくは別個の医薬組成物において)または連続してかのいずれかで投与される。
【0227】
医薬組成物を個体に投与する前に、OVを個体に投与することによってがん細胞に感染させることを方法がさらに含む場合、がん細胞に感染させるために任意の好適な投与レジメンを用いることができる。ポックスウイルスの複製は細胞質で起こり、これは、ウイルスが十分に複雑で、ゲノム複製に必要なすべての機能を獲得しているからである。細胞質に入ると、コアに付随するウイルス酵素によって遺伝子発現が実施される。発現は2つの段階に分けられる:初期遺伝子はゲノムの約50%を占め、ゲノム複製の前に発現され、後期遺伝子はゲノム複製の後に発現される。発現の時間的な制御は、活性のDNA複製に依存する後期プロモーターによって提供される。ゲノム複製には、自己プライミングすることが関わり、これが高分子量コンカテマーの形成をもたらし、それがその後切断および修復されてウイルスゲノムを作製すると考えられている。ウイルスのアセンブリは細胞骨格中で起こり、おそらく細胞骨格タンパク質(例えば、アクチン結合タンパク質)との相互作用を伴う。細胞質に内包物が形成され、それがウイルス粒子に成熟する。ワクシニアウイルスは、宿主細胞の細胞質でのみ複製するため、DNAウイルスの中でも独特である。したがって、ウイルスDNA複製に必要な様々な酵素やタンパク質をコードするために大きなゲノムが必要である。複製中、ワクシニアは外膜が異なるいくつかの感染形態を生成する:細胞内成熟ビリオン(IMV)、細胞内エンベロープビリオン(IEV)、細胞関連エンベロープビリオン(CEV)、および細胞外エンベロープビリオン(EEV)。
【0228】
がん細胞をOVに感染させるために、OVは好適な投与経路を使用して投与される。投与経路は、がんの位置および性質によって異なり得、例えば、皮内、経皮、非経口、静脈内、筋肉内、鼻腔内、皮下、局所(例えば、腫瘍の近く、特に腫瘍の血管系もしくは隣接する血管系))、経皮、気管内、腹腔内、動脈内、膀胱内、腫瘍内、吸入、灌流、洗浄、ならびに経口投与および製剤化を含み得る。腫瘍内注射、または腫瘍血管系への直接注射は、個別の、固形の、アクセス可能な腫瘍のために特に企図されている。局所(local)、局所(regional)または全身投与も適切な場合がある。ウイルス粒子は、例えば、約1cm間隔で、腫瘍に複数回の注射を投与することによって有利に接触させることができる。連続投与はまた、適切な場合、例えば、腫瘍または腫瘍血管系にカテーテルを移植することによって適用され得る。そのような連続灌流は、例えば、投与開始後、約1~2時間、約2~6時間、約6~12時間、または約12~24時間の期間にわたって起こり得る。投与レジメンは様々であり得、多くの場合、腫瘍のタイプ、腫瘍の位置、疾患の進行、および患者の健康と年齢に依存する。特定のタイプの腫瘍はより積極的な治療を必要とするが、同時に、特定の患者はより多くの負担となるプロトコルに耐えることができない。臨床医はそのような決定を下すのに最も適している。
【0229】
核酸構築物の注射は、発現構築物が注射に必要な針の特定のゲージを通過することができる限り、注射器または溶液の注射に使用される任意の他の方法によって送達することができる。OVの投与に使用され得る例示的な無針注射システムは、米国特許第5,846,233号に例示されている。このシステムは、溶液を保持するためのアンプルチャンバーを画定するノズルと、溶液をノズルから送達部位に押し出すためのエネルギーデバイスと、を特徴とする。別の例示的な注射器システムは、任意の深さで正確に所定量の溶液の複数回の注射を可能にするものである(米国特許第5,846,225号)。OV粒子またはそれをコードする核酸の混合物は、1つ以上の賦形剤、担体、または希釈剤と好適に混合された水中で調製してもよい。分散液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物、ならびに油中で調製されてもよい。
【0230】
医師は、所望の治療効果を達成するために必要とされるレベルよりも低いレベルでOVベクターの用量を処方し始め、所望の効果が達成されるまで用量を徐々に増加させてもよい。代替的に、医師は、1回の用量のOVベクターを投与することによって治療レジメンを開始し、その後、治療効果が達成されるまで、例えば、1つ以上の腫瘍の体積の減少まで、漸進的により低い用量を投与してもよい。
【0231】
以下の実施例は、限定ではなく例示として提供される。
【実施例
【0232】
実験
実施例1―抗体の生成
Wyeth VV株からのA56またはB5配列(それぞれ配列番号180および配列番号181)を使用して、ワクシニアウイルスA56(CHO-A56)またはB5カプシドタンパク質(CHO-B5)のいずれかを発現する安定したCHO細胞株を生成した。水酸化アルミニウム(5mg/注射)およびCpG(カタログ番号ODN1826、20μg/注射)と混合したCHO-A56細胞およびCHO-B5細胞の混合物(最初の注射では細胞型当たり3000万、その後の注射では4500万)による連続的な半月ごとの皮下免疫により、ニュージーランドホワイトラビットにおいて抗体を育成した。10回目の注射の1週間後、ウサギを安楽死させ、脾臓を採取した(Cedarlane)。Babcook et al.(1)に従って、B細胞を培養および単離した。VV Western Reserve株VVdd(eGFP)(Ottawa Hospital Research Institute(OHRI)のJohn Bell博士から贈呈、配列番号182および183)に感染したOVCAR3細胞(ATCC、カタログ番号HTB-161)への結合についてB細胞上清をフローサイトメトリーによりスクリーニングすることによって抗体を同定した(データは示していない)。培養B細胞から抗体をクローニングするために、凍結細胞を解凍し、A56.hFcまたはB5.hFc溶血性プラークアッセイによって分析した。ヒトFc融合タンパク質は、表2および4に示すように、Wyeth VV株からのA56またはB5配列を使用して社内で生成した。単離された単一B細胞を溶解し、抗体V遺伝子をRT-PCRによって増幅した。次に、マッチした抗体の重鎖および軽鎖に対応するPCR産物を、ヒトIgG1定常領域およびIgκ定常領域構築物(pTT5/IgG1、pTT5/Igk)にクローニングした。組換え抗体を産生するために、VHおよびVL鎖プラスミドを、293fectin(Thermo、カタログ番号12347019)を使用してHEK293-6E細胞にトランスフェクトした。96時間の分泌後、抗体を含有する上清から、遠心分離および滅菌濾過(0.22μm)により細胞を除去した。AKTAExpressシステム上でHiTrap Mab Select SuReカラム(GE、カタログ番号:11003495)およびHiPrep 26/10 Desaltingカラム(GE、カタログ番号17508701)を使用して抗体を精製した。抗体の純度は、SDS-PAGE、UPLC-SECおよびLC-MSによって試験した。生成された抗体の配列を表1および3に示す。抗体IDおよびフォーマットを以下の表15に示す。
【表15】
【0233】
実施例2―A56およびB5抗原への抗体の結合
Lenti-x293T(Clontech、カタログ番号632181)細胞を使用して安定した細胞株を生成し、細胞表面上に抗原A56(Wyeth VV配列)またはB5(Wyeth VV配列)を発現するHEK-A56(GFP)およびHEK-B5(GFP)細胞を生成した。A549(ATCC、カタログ番号CCL-185)およびCaOv3(ATCC、カタログ番号HTB-75)腫瘍細胞は、適切な培地(A549:F-12K Nutrient Mixture(Gibco、カタログ番号21127-022);CaOV3:10%FBS(Corning、カタログ番号35-015-CV)を補充した、DMEM(Gibco、カタログ番号11995-040))中で80~90%のコンフルエンスまで成長させた。細胞を、無血清RPMI(Gibco、カタログ番号A10491-01)中の感染多重度0.5でVVdd(eGFP)に感染させ、5%CO中37℃で6.5時間インキュベートした。ウェルを増殖培地1:2で補充し、さらに一晩インキュベートした。A549細胞をトリプシン処理し、CaOV3細胞と一緒に、96ウェルV底プレート(Sarstedt、カタログ番号82.1583.001)にウェル当たり約1×10個の細胞でプレーティングした。対応する非感染A549およびCaOV3細胞、ならびにHEK-A56(GFP)、HEK-B5(GFP)およびHEK-WT細胞株もウェル当たり4×10個の細胞でプレーティングした。抗ワクシニアウイルスウサギポリクローナル抗体(CedarLane、カタログ番号LS-C103289)を陽性対照として使用した。
【0234】
抗A56抗体(A047、A049、A050またはA054)、抗B5抗体(A048またはA051)、およびヒトIgGアイソタイプ対照(Sigma、カタログ番号I5154)を細胞に添加し、氷上で25分間インキュベートした。細胞をPBSで2回洗浄し、450Gで4分間遠心分離し、1:100 AlexaFluor 647コンジュゲート抗ウサギIgG(Jackson、カタログ番号115-605-046)またはAlexaFluor 647コンジュゲート抗ヒトIgG(Jackson、カタログ番号109-605-098)と、1:1000の固定可能生存率色素eFluor 780(eBioscience、カタログ番号65-0865-14)と室温(RT)で15分間インキュベートした。PBSで2回洗浄した後、細胞をIC固定緩衝液(eBioscience、カタログ番号00-8222-49)で10分間固定し、PBSで2回洗浄し、PBS中の1%FBSに再懸濁させ、BD LSRFortessa X-20 HTSシステム上でフローサイトメトリーにより分析し、FlowJo V 10.5.3 Softwareでデータ処理した。データは、VV VVdd(eGFP)感染細胞への抗体の結合を示している(図1)。抗A56抗体はHEK-A56(GFP)細胞に、抗B5抗体はHEK-B5(GFP)細胞に、特異的に結合する(図2)。陰性対照(HEK親細胞、感染していないA549またはCaOV3細胞、および、やはりHEK細胞中で発現された無関係なVV抗原A33)への結合は観察されなかった(データは示していない)。アイソタイプ対照hIgGは、細胞への結合を示さなかった。
【0235】
市販の抗B5抗体(Immunetech、カタログ番号IT-012-009M1、VV Western Reserve免疫原を使用して育成)を、B5抗原への結合について試験した。フローサイトメトリーにより、抗ワクシニアウサギポリクローナル抗体の希釈系列を、上記と同様のアッセイ条件で、Immunetech抗B5抗体(「IT抗B5 IgG」)およびアイソタイプ対照と比較した。IT抗B5 IgGおよびマウスアイソタイプ対照のマウス抗体検出には、ヤギ抗マウスA647(Jackson、カタログ番号115-005-146)を使用した。IT抗B5 IgGは、HEK-B5細胞に結合しなかった(図3、上部パネル)。B5.hFc可溶性抗原への結合を評価するためのELISAにより、この抗体はVV WyethB5配列に基づいて作製されたB5試薬と結合しないことが確認された。このアッセイでは、B5.hFcをmaxisorpプレート上に2μg/mlでコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。標準的なELISA手順に従って、プレートを洗浄し、5%脱脂粉乳でブロックし、一次抗体をブロック中で1時間RTインキュベートし、洗浄した。二次検出は、ヤギ抗mIgG Fc HRP(Jackson、カタログ番号115-035-071)または抗Rb IgG Fc HRP(Jackson ImmunoResearch、カタログ番号111-035-046)を使用して、RTで1時間行い、その後洗浄し、50μl/ウェルのTMBK-Blue(Neogen、#308175)を添加し、次に50μl/ウェルの1N HClを添加した。標準的なELISAにより、IT抗B5 IgGは、B5.hFc可溶性抗原への結合について陰性であった(図3、下のパネル)。
【0236】
IT抗B5 IgGを、Western Reserve VVddeGFPに感染したA549およびHT29細胞への結合についても試験した。A549およびHT29細胞(ATCCカタログ番号HTB-38、McCoy 5A培地(Gibco#16600-082)+10%FBS中で培養)を80~90%のコンフルエンスまで培養した。細胞を、無血清RPMI中感染多重度1におけるVVdd(eGFP)で感染させた。細胞を5%CO中37℃で6.5時間インキュベートし、増殖培地1:2を補充し、さらに一晩インキュベートした。細胞をトリプシン処理し、96ウェルV底プレートにウェル当たり約1×10個の細胞でプレーティングした。抗B5抗体A048 hIgG1およびIT抗B5 IgG、ならびにヒトアイソタイプ対照を細胞に添加し、氷上で25分間インキュベートした。細胞を洗浄し、AlexaFluor 647コンジュゲート化抗ヒトIgGおよび抗マウスIgG(Jackson、#115-605-164)、続いて1:1000固定可能生存率色素eFluor780を使用して、上記のように抗体を検出した。PBS中の1%FBSで2回洗浄、固定および再懸濁させた後、試料をBD LSRFortessa X-20 HTSシステム上でフローサイトメトリーによって分析した。データは、A048抗体がIT抗B5 IgGよりも強く、ウエスタンリザーブVVddeGFPに感染したA549およびHT29細胞に結合することを示している(図4)。感染したA549細胞およびHT29細胞へのA048抗体の結合に関するEC50は、それぞれ6nMおよび1.1nMである。感染したA549細胞およびHT29細胞へのIT抗B5 IgGの結合に関するEC50は、それぞれ78nMおよび15.8nMである。
【0237】
実施例3―マウスおよびウサギ抗体への再フォーマット
抗体を完全ウサギIgGまたはキメラウサギ/マウスIgG2a Fc抗体に再フォーマットし、HEK293細胞で発現させ、前述のように精製した。上記のように、VVdd(eGFP)に感染したA549細胞を、ウサギIgG、またはマウスもしくはヒトのキメラとしての抗体による結合について試験した。抗A56抗体(A056、A049、A059)および抗B5抗体(A073、A048、A058)、ならびにウサギIgGアイソタイプ(Jackson、カタログ番号011-000-003)、ヒトIgGアイソタイプ(Sigma Aldrich、カタログ番号I5154)およびマウスIgGアイソタイプ(R&D Biosystems、カタログ番号MAB004)を感染細胞に添加し、氷上で25分間インキュベートした。細胞を洗浄し、1:100 AlexaFluor 647コンジュゲート化抗ウサギIgG(Jackson、カタログ番号115-605-046)、または抗ヒトIgG(Jackson、カタログ番号109-605-098)、または抗マウスIgG(Jackson、カタログ番号115-605-164)、1:1000 DAPI(BioLegend、カタログ番号422801)とRTで15分間インキュベートした、洗浄および固定に続いて、試料をフローサイトメトリーで分析した。データは、すべてのフォーマットが同様のEC50でVV VVdd(eGFP)感染細胞に結合することを確認する(図5、表16)。感染していない細胞への結合、またはアイソタイプ対照による結合は観察されなかった。
【表16】
【0238】
実施例4―ウイルス感染組織への抗体の結合
第0日目において、BALB/c雌マウスに1×10個のMC38細胞を移植した。一部のマウスでは、MC38移植後11日目と13日目にVVdd(eGFP)をIT投与し(100μl中2.5×10pfu)、16日目にマウスを安楽死させた。MC38腫瘍を有する対照マウスをVVdd(eGFP)の代わりにPBSで処理し、移植後12日目に安楽死させた。腫瘍組織を10%中性緩衝ホルマリン(NBF)中に収集した。組織をホルマリン固定し、パラフィン包埋し、切片化し、染色した。H&E染色画像を、Aperio ScanScope AT2デジタルスライドスキャナーを使用してスキャンした。標準的なプロトコルに従って、組織を脱パラフィン化し、再水和した。熱誘導エピトープ回復(heat-induced epitope retrieval)のために、組織を抗原レトリバー(Sigma、カタログ番号C999-100ML)中で121℃で20分間オートクレーブ処理した。冷却後、スライドをPBSで2回すすぎ、疎水性バリアを作製するためにPAPペンを用いて切片を隔離した。組織を200μlの洗浄緩衝液(PBS中0.1%Tween-20、0.1%BSA)で水和させた。PBS中の0.2%Tritonを使用して組織をRTで10分間透過処理し、3回洗浄した。切片をブロッキング緩衝液(PBS中5%正常ヤギ血清、0.05%Tween-20、0.1%BSA)で60分間ブロックした。ブロッキング緩衝液を除去した後、抗体希釈液(PBS中1%正常ヤギ血清、0.05%Tween-20、0.1%BSA)中の一次抗体を切片に適用し、4℃で一晩インキュベートした。A049(Anti-A56)hIgG1は12.5μg/mlで使用し、陽性対照のポリクローナルウサギ抗ワクシニアウイルス抗体(CedarLane、カタログ番号LS-C103289)は1:100で使用した。ヒトIgG1(Sigma、カタログ番号I5154)およびウサギIgG(Jackson ImmunoResearch Laboratories、カタログ番号011-000-003)アイソタイプ対照は25μg/mlで使用した。翌日、組織を洗浄し、二次抗体(200μl)を抗体希釈液中に調製し、暗所で室温で1.5時間インキュベートした。ヒト一次抗体で染色された組織は、1:100におけるAlexaFluor 549コンジュゲート化ヤギ抗ヒトIgG(Jackson、カタログ番号109-585-003)を用いて検出され、ウサギ一次抗体は10μg/mlにおけるAlexaFluor Plus 488ヤギ抗ウサギIgG(H+L)抗体(Thermo、カタログ番号A32731)を用いて検出した。インキュベーション後、スライドを3回、各5分間洗浄した。Hoechst染色(Sigma、カタログ番号B2261)を1μg/mlで組織に添加し、10分間インキュベートした後、過剰分を除去した。カバースリップにFluoromont-G(Southern Biotech、カタログ番号0100-01)を追加し、Leica SP5X Laser Scanning Confocal Microscopeを使用してイメージングした。データは、A049のVV VVdd(eGFP)感染腫瘍組織への結合を確認し、感染していない腫瘍組織への結合は観察されなかった(図6)。ポリクローナルウサギ抗ワクシニアウイルス抗体は、感染していない腫瘍組織への非特異的結合を示す。
【0239】
実施例5―B5およびA56タンパク質に対する抗体親和性
抗体親和性は、Biacore T200を使用して評価した。Series SCM5チップ上で、FC2上にA048を固定化し、FC3上にA051を固定化し、FC1はブランク固定化をした。EDCおよびNHSを注入することによってセンサー表面を活性化させた。リガンドは次のように固定化した:200μLの酢酸ナトリウム(pH4.5)中で抗B5 A048 hIgG1(12μg/mL)を調製し、200μlの酢酸ナトリウム(pH5.0)中でA051(12μg/mL)を調製した。残りの活性化基は、エタノールアミンを注入することによってブロックした。最後に、チップを50mM NaOHで洗浄した。各抗体の約1000RUをアミン結合させた後、緩衝液でチップを平衡化した。すべての結合研究は、新たに調製され濾過されたランニング緩衝液HBS-EP+(GE、カタログ番号BR100188)中で実行した。上昇していく濃度の抗原(1.5nM、4.6nM、13.8nM、41.4nM、および124nM)において分析物としてB5.hFc(MW:150kDa)を30μl/分の会合で200秒間流し、その後30分間の解離を1回行った。各サイクルの終わりに、pH1.5、10mMグリシンを30μl/分で60秒間注入することにより、IgG捕捉表面を再生した。分析物を含まないランニング緩衝液を注入して、二重参照減算を行った。1:1ラングミュア結合を使用して曲線をフィットさせた。
【0240】
A56抗体についても同様の実験条件を設定したが、ただし異なる濃度(0.6nM、1.9nM、5.6nM、16.7nMおよび50nM)のA56.hFcをセンサー上に流した。二価抗原B5.hFcおよびA56.hFcを使用しているため、抗体との相互作用は単純な1:1結合ではない可能性があるため、見かけのKDが記載されている(表17)。A051の親和性は、Biacore T200の検出限界に達していたため、これらの条件下では測定できなかった。
【表17】
【0241】
A56.hFcまたはB5.hFcに対する親和性について抗体を評価した。
【0242】
実施例6―エピトープビニング
抗体は、EZ-Link Sulfo-NHS-LC-Biotin(Thermo、カタログ番号21343)を使用して、製造元のプロトコルに従って20:1の比率でビオチン化した。A549細胞は、VVdd(eGFP)を使用してMOI 0.5で感染させ、アッセイの前日に固定した。アッセイの日に、ウイルスに感染したA549細胞を25μg/mLの非ビオチン化抗体とプレインキュベートし、1時間インキュベートした。次に、ビオチン化抗体(10μg/ml)を96ウェルV底プレートのウェルにスパイクして最終濃度を5μg/mlにし、1時間インキュベートした。最後に、ストレプトアビジン-Alexa647(Jackson、カタログ番号016-600-084)を使用して検出を実行し、結合したビオチン化抗体を検出した。Intellicyt HTFCハイスループットフローサイトメーターで試料を取得した。抗オボアルブミン抗体(医薬品研究開発センター(CDRD)社内品)を無関係な対照IgGとして使用した。2番目の抗体をVAVCコーティングプレートに追加すると、最初の被験抗体と同様の結合が観察されるため、データは、これらの抗A56抗体がA56上の異なるエピトープに結合すると見られることを示している。同様に、データは、これらの抗B5抗体がB5上の異なるエピトープに結合すると見られることを示している(図7)。
【0243】
実施例7―ウイルス粒子への抗体の結合
96ウェルプレート(Corning、カタログ番号3368)に、重曹緩衝液(pH9.6)中の9×10pfu/mLのVVdd(eGFP)をコーティングした(50μl/ウェル)。4℃で一晩インキュベートした後、コーティングしたウェルをPBSで3回洗浄し、固定緩衝液を加えて10分間インキュベートした。次に、コーティングしたウェルを蒸留水で4回洗浄した。ウェルをPBS中の5%脱脂粉乳でRTで1時間ブロックした。抗体(A049、A047、A050、A054、A048、A051)を、20μg/mlの開始濃度からブロッキング緩衝液で1:4に希釈しタイトレートした。NK細胞の細胞傷害性受容体であるNKp30は、VV A56と結合することが示されている(2)。陽性対照としてNKp30-His(社内)可溶性タンパク質を20μg/mLまたは1μg/mlで、陰性対照としてhIgG1を試験した。ウェルを水で4回洗浄し、50μl/ウェルの抗体を加え、RTで1時間インキュベートした。続いて、ウェルを水で洗浄し、ブロッキング緩衝液中の0.2μg/mLのHRPコンジュゲート化ヤギ抗hIgG Fc(Jackson、カタログ番号109-035-098)を添加し、RTで1時間インキュベートした。洗浄後、50μl/ウェルのTMB(Neogen、カタログ番号308177)を添加し、プレートをRTで30分間インキュベートした。1M HCl、50μlで発色を停止させた。Spectromaxプレートリーダーを使用して450nmでの吸光度を測定し、SoftMaxProを使用してデータを処理した。データは、A054を除き試験されたすべての抗体がVVdd(eGFP)のウイルス粒子に結合することを示している(図8)。
【0244】
実施例8―ウイルス感染に対する抗体の影響
A549細胞を96ウェル平底プレート(Flacon、カタログ番号353075)にウェル当たり5×10個の細胞で播種し、37℃、5%COで一晩接着させた。異なるMOI(1.5×10pfu/mL(MOI 1)、1.5×10pfu/mL(MOI 0.1)および1.5×10pfu/mL(MOI 0.01))のVVdd(eGFP)を、無血清F-12K栄養素混合物(Gibco、カタログ番号21127-022)中の等体積、20μg/mLのA047、A048、A049、A050、A051、A054、hIgG(Sigma、カタログ番号I5154)または1:100ワクシニアウイルスポリクローナル抗体(Cedarlane、カタログ番号LS-C103289)と、RTで15分間インキュベートした。細胞をVVdd(eGFP)/抗体混合物で37℃、5%COにて6.5時間感染させた後、10%FBS(Corning 35-015-CVロット35015124))を補充したF-12K栄養素混合物(Gibco、カタログ番号21127-022)を1:2希釈で添加し、一晩培養した。インキュベーション後、付着細胞をトリプシン処理し、96ウェルV底プレート(Sarstedt、カタログ番号82.1583.001)に移された非付着細胞と並べてプレーティングした。細胞を450Gで4分間遠心分離し、1:1000の固定可能生存率色素eFluor 780(eBioscience、カタログ番号65-0865-14)で再懸濁させ、RTで15分間インキュベートした。次に細胞をPBSで洗浄し、IC固定緩衝液(eBioscience、カタログ番号00-8222-49)で10分間RTで固定し、PBSで洗浄し、最後にCountBright絶対数カウントビーズ(Invitrogen、カタログ番号C36950)のウェル当たり6000ビーズを伴う1×PBSに再懸濁させた。BD LSRFortessa X-20 HTSシステム上でフローサイトメトリーによって試料を分析し、データはFlowJo V 10.5.3 Softwareで処理した。データは、これらの抗体の添加が腫瘍細胞のVVdd(eGFP)感染を阻害または低減しないことを示している(図9)。
【0245】
実施例9―抗体の熱安定性
抗体の変性温度(T)は、Protein Thermo Shift Dye Kit(商標)(ThermoFisher、カタログ番号4461146)を使用した示差走査蛍光測定(DSF)から決定した。簡単に説明すると、31μg/mLの抗体を各反応で使用した。キットのマニュアルに記載されている推奨設定で、Applied Biosystems QuantStudio 7 Flex Real-Time PCR Systemを使用して抗体の融解曲線を生成した。次に、ThermoFisher Protein Thermal Shiftソフトウェア(v.1.3)を使用して、抗体のT(表18)を決定した。抗体のT1は、DSFによって決定した。
【表18】
【0246】
実施例10―ワクシニアCopenhagenに感染したマウス細胞株への抗体の結合
B16F10(ATCC、カタログ番号CRL-6475)、CT26LacZ(ATCC、カタログ番号CRL-2639)およびMC38(OHRIのJohn Bell博士から贈呈)腫瘍細胞を、10cm組織培養プレート(Thermo Scientific、カタログ番号12-556-002)において、適切な培地(B16F10:DMEM(Gibco、カタログ番号11995-040)、MC38:DMEM(Gibco、カタログ番号11995-040)、CT26LacZ:RPMI1640(Gibco、カタログ番号11875-093)、10%FBS(Gibco、カタログ番号12483020)で補足)中で80~90%のコンフルエンスまで成長させた。無血清DMEM(Gibco、カタログ番号11995-040)中0.5の感染多重度でのVVCopenhagen(YFP)(John Bell博士(OHRI)から贈呈)で細胞を感染させ、5%CO中6.5時間、37℃で培養した。プレートに1:2の比率で増殖培地を補充し、さらに一晩(約16時間)インキュベートした。B16F10細胞をトリプシン処理し(TrypLE、カタログ番号12604021)、96ウェルU底プレート(Sarstedt、カタログ番号83.3925)中にウェル当たり約1×10個の細胞で、CT26LacZおよびMC38細胞と並べてプレーティングした。対応する感染していないB16F10、CT26LacZおよびMC38細胞も、ウェル当たり1×10個の細胞でプレーティングした。細胞をPBS3%FBS(FACs Buffer)で2回洗浄し、1800rpmで3分間遠心分離した。細胞をPBSに再懸濁させ、1:3000の固定可能生存率色素Zombie NIR(Biolegend、カタログ番号423106)とともにRTで15分間インキュベートした。FACS緩衝液で2回洗浄した後、マウスFcブロック(BD、カタログ番号553141)を含むFACS緩衝液に細胞を再懸濁させ、RTで5分間インキュベートした。さらに洗浄することなく、細胞を、1:100の抗A56-PE(A056、Rb IgG)、1:100の抗B5-PE(A073、Rb IgG)、または1:100の抗ワクシニアウイルスウサギポリクローナル抗体(CedarLane、カタログ番号LS-C103289)(陽性対照として機能)のいずれかで直接染色し、4℃で30分間インキュベートした。細胞をFACS緩衝液で2回洗浄し、再懸濁させた。抗ワクシニアウイルス一次抗体を受け取ったウェルは次に1:100の抗ウサギIgG-PE(Biolegend、カタログ番号406421)で染色し、4℃でさらに20分間インキュベートした。細胞をFAC緩衝液でさらに洗浄した後、IC固定緩衝液(eBioscience、カタログ番号00-8222-49)で10分間固定し、PBSで2回洗浄し、FACS緩衝液に再懸濁させ、CytekAuroraフローサイトメーター上でフローサイトメトリーにより分析した。FlowJoV10.5.3 Softwareを使用してデータを処理した。データは、各感染細胞株におけるパーセントYFP発現を示し、VVCopenhagen(YFP)に感染した細胞の割合を示している(図10A)。抗A56-PEおよび抗B5-PE抗体は、YFP陽性によればVVCopenhagen(YFP)に感染されていたB16F10、CT26LacZ、およびMC38細胞と結合することが見出された(図10B)。予想された通り、抗ワクシニアウイルスウサギポリクローナル抗体も、感染された(YFP陽性の)細胞に結合した。感染していない陰性対照細胞への結合は観察されなかった。
【0247】
実施例11―ワクシニアA56およびB5の免疫組織化学検出
HEK-B5(GFP)細胞株を、10枚の15cm組織培養プレート(Corning、カタログ番号353025)において、適切な培地(10%FBS(Gibco、カタログ番号12483020)を補充したHEK-DMEM(Gibco、カタログ番号11995-040))中で90%コンフルエンスまで成長させた。それに加えて、U2OS細胞(John Bell博士(OHRI)から贈呈)を、90%のコンフルエンスまで成長させ、感染多重度0.025でVVCopenhagen(YFP)に感染させ、5%CO中37℃で72時間インキュベートした。HEK-A56、HEK-B5、HEK-WTおよびU2OS細胞をトリプシン処理し(TrypLE、カタログ番号12604021)、カウントし、15mlポリプロピレンチューブ(FroggaBio、カタログ番号TB15-500)内で2×10個の細胞/mlの濃度となるように再懸濁させた。細胞を1500RPMで5分間遠心分離し、1mlの溶融ヒストゲル(Thermo Scientific、カタログ番号HG-4000-012)に再懸濁させ、氷上に10分間置いて、ヒストゲルを固化させた。ヒストゲルペレットを10mlの10%中性緩衝ホルマリン(Sigma、カタログ番号HT501128)に移し、RTで24時間放置した。免疫組織化学(IHC)のために、ヒストゲル切片(4μm)を37℃で一晩インキュベートし、脱パラフィン化し、キシレンとエタノール勾配を使用して再水和し、Biocareデクローキングチャンバー(110℃で15分間)においてDivaデクローカー試薬(Biocare、カタログ番号DV2004)を使用して抗原を回復させ、Intellipath FLX Autostainerにロードした。Biocare試薬を使用して室温で明視野IHCを実行した。スライドを、Peroxidased-1(Biocare、カタログ番号PX968)で5分間、およびBackground Sniper(Biocare、カタログ番号BS966)で10分間処理した。DaVinci Green(Biocare、カタログ番号PD900)で希釈した一次抗体を30分間適用した後、Mach2 HRP Polymer(一次抗体の種に基づいてマウスまたはウサギのどちらか)(Biocare、カタログ番号RHRP520およびMHRP520)を30分間適用した。DAB西洋ホースラディッシュペルオキシダーゼ(Biocare、カタログ番号IPK5010G80)色原体基質をスライドに添加した。dHOで1:5に希釈したCATヘマトキシリン(Biocare、カタログ番号CATHE)をRTで5分間添加した。染色されたスライドを水で洗浄し、風乾し、Ecomount(Biocare、カタログ番号EM897L)を使用してカバースリップをかけた。抗体の希釈率は次の通りである:A058抗B5、Rb/Mu IgG2a:1/280(10μg/mL);A059抗A56、Rb/Mu IgG2a:1/540(10μg/mL);A056抗A56、Rb IgG:1/840(10μg/mL);A073抗B5、Rb IgG:1/550(10μg/mL)。A56またはB5に特異的な抗体は、安定にトランスフェクトされたHEK-A56細胞およびHEK-B5細胞上の標的抗原をそれぞれ特異的に検出することができた(図11)。代替抗原またはHEK-WT細胞に対する交差反応性は観察されなかった。抗A56抗体と抗B5抗体の両方が、感染したU2OS細胞上のタンパク質発現を検出することができ、感染していないU2OS細胞上でバックグラウンド染色は検出されなかった(図11)。
【0248】
実施例12―VV処理腫瘍からのA56およびB5の免疫組織化学的検出
C57BL/6野生型マウス(Jackson Laboratory、カタログ番号000664)の右後部の脇腹に、1×10個のB16F10(ATCC、カタログ番号CRL-6475)腫瘍細胞を皮下移植した。マウスは次のようにグループ化した:1用量のVVCopenhagen(YFP)、2用量のVV Copenhagen(YFP)、PBS、および水疱性口内炎ウイルス(VSV)(John Bell博士(OHRI)から贈呈)。すべての注射は、100μlの容量中1×10PFUの用量で行い、腫瘍が35~40mmのサイズに達したときに腫瘍内に送達された。動物は、最初の注射から1、2、3、または7日後に安楽死させた。腫瘍を収集し、10%中性緩衝ホルマリンで24時間固定した。固定後、腫瘍をパラフィンワックスに包埋し、各切除腫瘍から1~5個の2mm腫瘍パンチを採取した。腫瘍パンチを配列して腫瘍組織マイクロアレイ(TMA)を作製し、スライドガラス上に切片化した。IHCのために、TMA切片(4μm)を37℃で一晩インキュベートし、脱パラフィン化し、キシレンとエタノール勾配を使用して再水和し、Biocareデクローキングチャンバー(110℃で15分間)においてDivaデクローカー試薬(Biocare、カタログ番号DV2004)を使用して抗原を回復させ、Intellipath FLX Autostainerにロードした。Biocare試薬を使用してRTで明視野IHCを実行した。Peroxidazed-1(Biocare、カタログ番号PX968)で5分間、およびBackground Sniper(Biocare、カタログ番号BS966)で10分間、スライドを処理した。DaVinci Green(Biocare、カタログ番号PD900)で希釈した一次抗体を30分間適用した後、Mach2 HRP Polymer(一次抗体の種に基づいてマウスまたはウサギのどちらか)(Biocare、カタログ番号RHRP520およびMHRP520)を30分間適用した。DAB西洋ホースラディッシュペルオキシダーゼ(Biocare、カタログ番号IPK5010G80)色原体基質をスライドに添加した。dHOで1/5に希釈したCATヘマトキシリン(Biocare、カタログ番号CATHE)をRTで5分間添加した。染色されたスライドを水で洗浄し、風乾し、Ecomount(Biocare、カタログ番号EM897L)を使用してカバースリップをかけた。スライドを抗A56(A056)または抗B5(A073)Rb IgGで染色し、抗ウサギ二次抗体で検出した。抗体の希釈率は次の通りである:A056抗A56、Rb IgG:1/840(10μg/mL);A073抗B5、Rb IgG:1/550(10μg/mL)。DAB染色(濃い灰色)は、陽性のタンパク質検出を示す(図12)。A56またはB5に対する抗体は、処理された腫瘍から採取されたコアの大部分で標的抗原を特異的に検出することができた。VVCopenhagen(YFP)の複数回用量を受けた腫瘍ではタンパク質検出の増加が明らかであった。PBSまたはVSVで処理された腫瘍に対する交差反応性は見られなかった。これらの発見は、ワクシニアウイルスの腫瘍内送達後の、ウイルス由来のA56およびB5タンパク質発現の特異的な検出および程度を実証している。
【0249】
実施例13―VVキメラ抗原受容体(CAR)の設計およびレンチウイルス形質導入後の検出
ヒトVV-CAR構築物はすべて、GM-CSFRαリーダー配列、それに続くA56またはB5scFv(A56:A049、B5:A048に由来)、ヒトCD8αヒンジおよび膜貫通ドメイン、ヒト4-1BB細胞内シグナル伝達ドメイン、およびヒトCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含有する(図13A)(3)。一部のCAR構築物には、T2Aリボソームスキップ配列によって分離されたレポータータンパク質(例えばeGFP)が含まれていた。CARのアミノ酸配列を表7に示す。
【0250】
A56-CAR-01、A56-CAR-02、B5-CAR-03、B5-CAR-04、またはA56-CAR-06をコードする遺伝子断片は、Twist Biosciencesによって合成された。遺伝子断片を、第2世代トランスファープラスミド(Robert Holt博士(BC Cancer)から贈呈)にクローニングした。VV-CAR構築物をコードするレンチウイルスは、標準的なリン酸カルシウムトランスフェクションプロトコル(4)および第2世代パッケージングベクター(Rob Holt博士(BC Cancer)から贈呈)を使用して生成した。各レンチウイルストランスフェクションからの500μlの上清を用いて、Jurkat T細胞(ATCC、カタログ番号TIB-152)に形質導入した。次に、Jurkat細胞を1週間増殖させ、1×10個のCAR陽性細胞を、ヤギ抗Rb IgG F(ab’)2-Alexa Fluor 647検出(Jackson Laboratories、カタログ番号111-605-047)に基づいて選別した。濃縮されたJurkat CAR陽性集団を、さらに1週間増殖させ、HEK-A56、HEK-B5またはHEK-WT細胞との共培養アッセイにおいてプレーティングした。細胞は、1:1のエフェクター:標的(E:T)比(1×10個の総細胞数)で一晩(16時間)培養した。翌日、細胞をPBSで洗浄し、正常ヤギ血清(Jackson Laboratories、カタログ番号005-000-001)でブロックし、CD45 v450(BD、カタログ番号560367)、CD69 PE-Cy7(Biolegend、カタログ番号310912))、抗Rb IgG Alexa Fluor647で染色した。A56-CAR-01、A56-CAR-02およびA56-CAR-06は、標的HEK-A56株と培養すると、細胞表面CAR分子の下方調節を示した。細胞表面CAR分子のそのような下方調節は、CARの活性化を示している(図14)。同様に、B5特異的CARであるB5-CAR-03およびB5-CAR-04は、標的HEK-B5株と培養した場合、表面CARの下方調節を示した。CAR-T細胞をHEK WT株または無関係な標的抗原と培養した場合、CARの下方調節は存在しなかった。これらのデータは、A56特異的またはB5特異的CARを発現するように形質導入されたエフェクターT細胞が、適切な抗原(それぞれA56またはB5)を有する標的細胞と遭遇すると、活性化を受けることを示している(細胞表面CAR発現の下方調節によって証明される)。
【0251】
実施例14―活性化されたA56-CAR-06陽性Jurkat T細胞上でのCARおよびeGFPの発現
eGFPを共発現するJurkat A56-CAR-06株を、HEK-A56株と一晩(16時間)培養し、そして実施例13の結果から予想されるように、CAR発現が減少することが観察された(図15)。しかしながら、CAR「陰性」集団内に、eGFP陽性集団が観察された。さらに、該eGFP陽性集団は、T細胞活性化マーカーであるCD69の発現増加を示したが、eGFP陰性集団が示すCD69発現は最小限であった。CD69の上方調節は、適切な抗原(この場合はA56)を有する標的細胞のCAR-T細胞認識を示す。これらの結果によれば、適切な抗原(この場合はA56)を有する標的細胞との遭遇後、CAR-T細胞は、細胞表面のCAR発現の下方調節を示すが、それでもまだeGFPおよびCD69発現によって識別可能であり、後者はCARによる標的細胞認識の独立した証拠となる。
【0252】
実施例15―VV-CARを発現するJurkat T細胞は、適切な標的抗原を有するHEK細胞株と共培養すると特異的な活性化を示す
A56-CAR-01、A56-CAR-02、B5-CAR-03、B5-CAR-04またはA56-CAR-06のうちのいずれかを発現するJurkat T細胞を、1:1のE:T比、条件当たり1×10の総細胞数で、HEK-WT、HEK-A56、またはHEK-B5安定株と三重実験で共培養した。細胞を5%CO中37℃で一晩(16時間)培養した。翌日、細胞をPBSで洗浄し、正常ヤギ血清でブロックし、CD45、CD69、抗RBIgGで染色した。次に、CD45+Jurkat集団のCD69発現を評価した。試験したすべてのCARは、適切な標的抗原を発現する細胞と共培養するとCD69発現の増加を示したが、HEK WT細胞または無関係の標的抗原を発現するHEK細胞と共培養するとCD69の発現は最小限であった(図16)。これらの発見は、A56およびB5に向けられたCAR-T細胞が、適切な抗原(それぞれA56およびB5)を発現する標的細胞の特異的認識を示し、最小限の交差反応性および/または構成的活性(持続性(tonic)シグナル伝達)を示すことを実証する。
【0253】
実施例16―A56-CAR-06発現について形質導入され濃縮された健康ドナー初代T細胞
CD4+およびCD8+T細胞集団を、健康なドナーPBMC試料から単離した。5×10個の健康ドナーT細胞を、Miltenyi TransAct(商標)(Miltenyi Biotec、カタログ番号130-111-160)で活性化し、3%ヒト血清(Sigma、カタログ番号H4522)、硫酸ゲンタマイシン(Sandoz、DIN:02268531)、ならびにヒトインターロイキン-7(Miltenyi Biotec、カタログ番号130-095-367)およびインターロイキン-15(Miltenyi Biotec、カタログ番号130-095-764))(10μg/ml)を補充したMiltenyi TexMACS GMP(Miltenyi Biotec、カタログ番号170-076-309)培地で成長させた。活性化の24時間後、T細胞にA56-CAR-06レンチウイルスを0.25のMOIで形質導入した。次の12日間にわたり、細胞を1ml当たり1×10細胞未満の密度で増殖させた。増殖後、フローサイトメーターを使用して、A56-CAR-06で形質導入されたT細胞の画分をeGFP陽性により選別した。2×10個の細胞を高純度に選別し、96ウェル丸底プレートの単一ウェルにプレーティングした。選別した集団は、上記のように活性化させ、細胞密度を1×10/ml未満に維持しながらさらに12日間増殖させた。増殖され濃縮された最終的な集団は、フローサイトメトリーによると、>95%CAR陽性であった(図17)。これらの発見は、初代PBMC由来のヒトT細胞がVV-CAR構築物を発現するように容易に形質導入され、形質導入後に濃縮および増殖され得ることを示す。
【0254】
実施例17―A56-CAR-06を発現するヒトT細胞は、A56を発現するHEK293T株と共培養すると特異的な活性化を示す
A56-CAR-06を発現するヒトT細胞を、HEK-WT、HEK-A56またはHEK-B5株と、1:1のE:T比で、条件当たり1×10個の総細胞数で一晩(16時間)、三重実験で共培養した。翌日、細胞をPBSで洗浄し、正常ヤギ血清でブロックし、CD3 BV510(Biolegend、カタログ番号317332)、CD45、CD69、CD137 BV650(Biolegend、カタログ番号564092)、抗RBIgGの発現を検出するために染色した。CD3+eGFP+T細胞集団を、フローサイトメトリーによってCD69およびCD137の発現について評価した。A56-CAR-06で形質導入されたT細胞は、A56標的抗原を発現する細胞と共培養するとCD69とCD137の発現が増加したが、HEK-WT細胞または無関係な抗原を発現するHEK細胞と共培養するとCD69とCD137の発現は最小限であった(図18)。これらの発見は、A56-CAR-06を発現するように形質導入された初代T細胞が、表面上にA56抗原を発現する標的細胞とともに培養されると特異的な活性化を示すことを実証する。
【0255】
実施例18―A56-CAR-06を発現するヒトT細胞は、A56発現標的細胞において細胞死の形態学的兆候を誘導する
HEK-WT、HEK-A56、またはHEK-B5細胞(各2×10個)を24ウェル組織培養プレートに播種し、一晩放置して接着させた。翌日、1×10個のA56-CAR-06 T細胞を各ウェルに添加し、細胞をさらに48時間培養した。画像は、A56-CAR-06陽性T細胞と共培養した場合のHEK-A56標的細胞株に明確な形態学的変化を示しており、これは直接的な腫瘍細胞殺滅を示す。対照的に、HEK-WTおよびHEK-B5株は、形態学的変化を伴わずに完全にコンフルエントのままであった(図19)。これらの発見は、A56-CAR-06 T細胞との共培養後にHEK-A56細胞単層が破壊されることを示しており、直接的な細胞変性効果の証拠を提供している。
【0256】
実施例19―B5-CAR-011を発現するヒトT細胞は、B5発現標的細胞に対して細胞傷害性を示す
ホタルルシフェラーゼをコードする哺乳類発現伝達プラスミドpCCL Lucピューロマイシン(Jonathan Bramson博士(McMaster University)から贈呈)を使用して、実施例13で前述したようにレンチウイルスを生成した。このルシフェラーゼをコードするレンチウイルスでHEK-WT、A56およびB5株に形質導入し、ピューロマイシン(1.5μg/ml、Sigma、カタログ番号P8833)に対する耐性について2週間にわたって選択した。ピューロマイシン耐性細胞培養物を増殖し、VV-CAR殺滅アッセイのための標的集団として使用した。ルシフェラーゼを発現する標的HEK株を、96ウェルプレート(Corning、カタログ番号3917)のウェル当たり2×10細胞、100μlで播種し、一晩インキュベートして接着させた。以前に増殖させた初代ヒトB5-CAR-011T細胞のソーティングされた集団を、96ウェルプレートに三連でプレーティングし(ウェル当たり100μl)、2倍希釈系列に分割して、10:1~0.625:1のE:T比範囲を達成した。次に、希釈したT細胞懸濁液を付着性HEK細胞に移して、総量を200μlにした。さらに、最大および最小の相対発光単位(RLU)を決定するために、標的細胞のみの3ウェルと培地のみの3ウェルをプレーティングした。細胞を5%CO中37℃で24時間培養した。翌日、各ウェルにXenolight(商標)D-ルシフェリン(Perkin Elmer、カタログ番号122799)の10Xストック22μlを入れ、暗所で室温で10分間インキュベートした。次に、プレートを発光プレートリーダー(Perkin Elmer Wallac Envision 2104 Multilabel Reader)でスキャンした。図20Aは、24時間の時点での各E:T比における三連ウェルからの平均RLUを示す。三連のウェルを平均し、パーセント特異的細胞傷害性を次の式で決定した: パーセント特異的細胞傷害性=100×(最大発光RLU-試験発光RLU)/(最小発光RLU-最大発光RLU)。B5-CAR-011 T細胞は、複数のE:T比で高いパーセント特異的細胞傷害性を示した(図20B)。さらに、B5-CAR-011 T細胞と共培養したB5発現標的細胞は、24時間で細胞死の明らかな形態学的兆候を示したが、B5-CAR-011T細胞はHEK293WTまたはHEK293A56細胞に対しては細胞傷害性の兆候を示さなかった(図20C)。結果は、B5-CAR-011T細胞がHEK-B5腫瘍細胞を効率的かつ特異的に殺滅することを示す。(図20)。腫瘍細胞の表面上に発現するOV抗原を標的化することにより、標的細胞がOV-CARによる破壊を受けやすくすることができる。
【0257】
実施例20―放射性標識抗A56抗体は、陽電子放出断層撮影法によるインビボでのA56発現腫瘍細胞の明確な視覚化を可能にする
抗A56抗体(A049)を選択し、生体内分布研究とmicroPETイメージングのためにジルコニウム-89(89Zr)で放射性標識した。これにより、生きたマウスの深部組織イメージングが高感度かつ高空間分解能で可能になる(5、6)。89Zrは、半減期が長く(78時間)、減衰特性が良好であるため(6、7)、mAbとの使用によく適している。2ミリグラムのA049を、3:1のキレート剤:mAbの分子比で、p-SCN-Bn-デフェロキサミン(1-(4-イソチオシアナトフェニル)-3-[6,17-ジヒドロキシ-7,10,18,21-テトラオキソ-27-(N-アセチルヒドロキシルアミノ)-6,11,17,22-テトラアザヘプテイコシン]チオ尿素、DFO(Macrocyclics、米国、TZ、プレイノ)とコンジュゲート化した。反応は、抗体の最終濃度を2mg/mLとしてPBS pH9中で37℃で1時間実行した。次に、50kDaの分子量カットオフの遠心フィルターユニット(Amicon超遠心フィルター、Ultracel-50:再生セルロース、Millipore Corp.(米国、マサチューセッツ州、ビレリカ))を使用して、コンジュゲート抗体(DFO-A049)を非コンジュゲートデフェロキサミンから精製し、0.25M酢酸ナトリウム溶液中の5mg/mL 2,5-ジヒドロキシ安息香酸(Sigma-Aldrich(カナダ、オンタリオ、オークビル))で1回洗浄した。精製された免疫コンジュゲート溶液の濃度は、製造元の推奨事項(Sigma-Aldrich)に従ってブラッドフォードアッセイによって決定した。
【0258】
89Zrによる免疫コンジュゲートの放射性標識
前述のように(8)、ACSI(カナダ、リッチモンド)TR-19サイクロトロンにおいてイットリウム89ディスク(American Elements(米国、カリフォルニア州、ロサンゼルス)上に13 MeVで陽子照射することによって、89Zrを生成した。照射後、ディスクをHCl(10mL、2M)に溶解し、Triskem(Bruz、France)から供給されたヒドロキサメートベースのZR樹脂を使用して精製した。簡単に説明すると、ディスク溶液を樹脂上にロードし、10mLの2M HCl溶液、続いて10mLの水で洗浄し、次に0.5 mLのシュウ酸(0.05 M)で溶出した。
【0259】
放射性標識のために、免疫コンジュゲートDFO-A049(0.4mg)および89Zr溶液(0.4mL、pH7、232MBq)をPBS(最終容量:1mL、pH7)に添加し、得られた溶液を室温で1時間インキュベートした。放射化学的収率(RCY)は、溶媒として50mM DTPA pH7(Sigma-Aldrich)を使用したインスタント薄層クロマトグラフィーシリカゲル(iTLC-SG、Agilent technologies(米国、カリフォルニア州、サンタクララ))を使用して決定した。89Zr標識抗体および遊離89ZrのRf値はそれぞれ0および1であった。96%のRCYによる効率的な標識が観察された。次に、89Zr標識抗体をPD-10脱塩カラム(GE Healthcare(英国、ロンドン))によって遊離89Zrから分離し、50kDa分子量カットオフフィルター(Millipore Corp.)を使用して濃縮した。89Zr-DFO-A049の比活性は、サイズ排除HPLCカラム(BioSep-SEC-s3000、Phenomenex(米国、カリフォルニア州、トーランス)を使用して、モデル1200クォータナリポンプ、モデル1200 UV吸光度検出器、およびBioscan(米国、ワシントンDC)NaIシンチレーション検出器を装備したAgilent HPLCシステム(米国、カリフォルニア州、サンタクララ)で測定した。HPLC緩衝液は、0.1Mリン酸ナトリウム一塩基二水和物、0.1Mリン酸ナトリウム二塩基十二水和物、0.1Mアジ化ナトリウムおよび0.15M塩化ナトリウム(pH6.2~7.0)のアイソクラティック勾配であった。0.1MBq/μgの比放射能が得られ、放射性免疫コンジュゲートのインビボ特性評価には十分であった。最終的な放射化学的純度は、前述のようにiTLC-SGを使用して決定し、>99.9%であった。
【0260】
抗体の免疫反応性
89Zr-DFO-A049の免疫反応性画分は、A56抗原(Wyeth VV配列)(HEK-A56)を発現するように安定的に改変されたHEK-293細胞を使用したLindmo細胞結合法に従って推定した。簡単に説明すると、HEK-A56細胞を1.0~24.6×10細胞/mLの様々な濃度でPBS(pH7.4)に懸濁した。残りの手順は、前述のように(9)実行した。結果は、89Zr-DFO-A049の52%が依然として効率的にA56タンパク質に結合することを示した。
【0261】
動物の腫瘍モデルおよび抗体注射
すべての動物実験は、ブリティッシュコロンビア大学(University of British Columbia)の動物管理委員会(Animal Care Committee)(カナダ、ブリティッシュコロンビア州、バンクーバー)の制度的ガイドラインに従い、認定研究者の監督下で、BCがん研究センター(BC Cancer Research Centre)の動物資源センター(Animal Resource Centre)で実行した。12週齢の雌免疫不全NOD.Cg-Rag1tm1Mom Il2rgtm1Wjl/SzJ(NRG)マウス(所内繁殖コロニーから取得)の左肩にHEK-A56細胞を、または右肩にA56非発現HEK-293親細胞を皮下注射した。(n=8匹のマウス)。両方の細胞株について、マトリゲル(比率1:1、BD Bioscience(カナダ、オンタリオ州、ミシサガ)中5×10個の細胞を注入した。
【0262】
陽電子放出断層撮影(PET)
腫瘍がイメージングサイズ(約100mm)に達したとき、マウスを酸素中の2%イソフルランで麻酔し、89Zr-DFO-A049(40.9±1.5μg、4.1±0.2MBq)を静脈内注射した。Siemens(米国、テネシー州、ノックスビル)Inveon microPET/CTスキャナーを使用して、1匹のマウスについて注射の1日、3日、および5日後にPET画像を取得した。マウスには、減衰補正のためのCTスキャンを施し、続いて、1日目と3日目には20分間の静的PET取得を行い、5日目には30分間のスキャンを行った。3次元条件付きサブセット期待値最大化(3-dimensional ordered-subsets expectation maximization(OSEM3D)、2回反復)と、それに続く高速最大化事前アルゴリズム(fast maximum a priori algorithm(FastMAP):18回反復)を使用して、画像を再構成した。最大強度の投影画像は、マウス(特に長骨骨端などの高骨リモデリング領域)における89Zr-DFOコンジュゲートの既知の脱金属に起因する骨の取り込みに加えて、抗体のプロセシングおよび代謝による肝臓および脾臓などの正常臓器での予想された蓄積を示している(10)。より重要なことに、PET画像は、陰性対照腫瘍(HEK-293)と比較してHEK-A56腫瘍について、より高い腫瘍取り込み率および腫瘍対バックグラウンド比を示しており、89Zr-DFO-A049抗体の特異的かつ効率的な腫瘍取り込みを示している(図21)。
【0263】
89Zr-DFO-A049生体内分布の評価
5日目に、すべてのマウスを安楽死させ、以前に記載されたように(9)、生体内分布研究のために目的の器官を収集した。89Zr-DFO-A049についての結果を表19に示す。
【表19】
【0264】
生体内分布の結果は、正常な臓器において予想された放射性免疫コンジュゲートの生体内分布を伴って、PET画像観察を確認している。腫瘍に関しては、A56非発現HEK腫瘍における1.44±0.25%ID/gと比較して、A56発現HEK腫瘍においては7.71±4.52%ID/gの高い取り込みが得られた(n=8、p<0.05)。したがって、これらの生体内結果(PETイメージングおよび生体内分布研究)は、89Zr-DFO-A049をA56発現腫瘍に効果的かつ選択的に送達することができることを立証している。
【0265】
OV感染腫瘍細胞の表面上に発現する、腫瘍溶解性ウイルスにコードされたタンパク質を標的とする抗体は、放射性核種で標識された場合、例えば、PETイメージングによるOV感染のインビボイメージング、ならびに、放射免疫療法により治療用放射性同位体を局所送達してOV感染細胞および感染していない隣接腫瘍細胞を殺滅することにおいて、診断、治療およびセラノスティクス用途を可能にするように使用することができる(11,12)。
【0266】
参考文献
1.Babcook,J.S.,Leslie,K.B.,Olsen,O.A.,Salmon,R.A.,Schrader,J.W.(1996)A novel strategy for generating monoclonal antibodies from single,isolated lymphocytes producing antibodies of defined specificities.Proc Natl Acad Sci U S A 93(15):p.7843-8.
2.Jarahian,M.,Fiedler,M.,Cohnen,A.,Djandji,D.,Hammerling,G.J.,Gati,C.,Cerwenka,A.,Turner,P.C.,Moyer,R.W.,Watzl,C.,Hengel,H.,and Momburg,F.(2011)Modulation of NKp30- and NKp46-mediated natural killer cell responses by poxviral hemagglutinin.PLoS Pathog 7,e1002195.
3.S.Guedan,H.Calderon,A.D.Posey,M.V Maus,Engineering and Design of Chimeric Antigen Receptors,Mol.Ther.Methods Clin.Dev.12(2019)145-156.https://doi.org/10.1016/j.omtm.2018.12.009.
4.Molecular Cloning:A Laboratory Manual 3rd edition(eds.Sambrook,J.& Russell,D.W.)(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,USA,2001).
5.Kim JS.Combination Radioimmunotherapy Approaches and Quantification of Immuno-PET.Nuclear medicine and molecular imaging.2016;50(2):104-11.
6.van de Watering FC,Rijpkema M,Perk L,Brinkmann U,Oyen WJ,Boerman OC.Zirconium-89 labeled antibodies:a new tool for molecular imaging in cancer patients.BioMed research international.2014;2014:203601.
7.Zhang Y,Hong H,Cai W.PET tracers based on Zirconium-89.Current radiopharmaceuticals.2011;4(2):131-9.
8.Dias GM,Ramogida CF,Rousseau J,Zacchia NA,Hoehr C,Schaffer P,Lin K-S,Benard F.89Zr for antibody labeling and in vivo studies - A comparison between liquid and solid target production.Nucl Med Biol.2018 Mar;58:1-7.
9.Rousseau J,Zhang Z,Wang X,Zhang C,Lau J,Rousseau E,et al.Synthesis and evaluation of bifunctional tetrahydroxamate chelators for labeling antibodies with(89)Zr for imaging with positron emission tomography.Bioorg Med Chem Lett.2018;28(5):899-905.
10.Rousseau J,Zhang Z,Dias GM,Zhang C,Colpo N,Benard F,Lin K-S.Design,synthesis and evaluation of novel bifunctional tetrahydroxamate chelators for PET imaging of 89Zr-labeled antibodies.Bioorg Med Chem Lett.2017;27(4):708-712.
11.Makvandi M.,et al.Alpha-Emitters and Targeted Alpha Therapy in Oncology:from Basic Science to Clinical Investigations.Target Oncol.2018 Apr;13(2):189-203.
12.Kraeber-Bodere F,Bodet-Milin C,Rousseau C,Eugene T,Pallardy A,Frampas E,et al.Radioimmunoconjugates for the treatment of cancer.Seminars in oncology.2014;41(5):613-22.
【0267】
本開示は以下の実施形態を含む。
実施形態1
ワクシニアウイルスA56抗原(VV A56)に特異的に結合し、VV A56への結合について、
アミノ酸配列SSYWIC(配列番号3)を含むV CDR1と、
アミノ酸配列CIYAGSGGSTYYATWAKG(配列番号4)を含むV CDR2と、
アミノ酸配列AYSDRSGGYSFNL(配列番号5)を含むV CDR3と、を含む可変重鎖(VH)ポリペプチド、および
アミノ酸配列QASQSVDNNNYLA(配列番号6)を含むV CDR1と、
アミノ酸配列SASSLAS(配列番号7)を含むV CDR2と、
アミノ酸配列LGSYDCSDADCYA(配列番号8)を含むV CDR3と、を含む可変軽鎖(V )ポリペプチド;
アミノ酸配列DIYYIS(配列番号11)を含むV CDR1と、
アミノ酸配列CTYAGSSGSTYYATWAKG(配列番号12)を含むV CDR2と、
アミノ酸配列DRYPGTSGRVYGMDL(配列番号13)を含むV CDR3と、を含む可変重鎖(VH)ポリペプチド、および
アミノ酸配列QASQSISDLLS(配列番号14)を含むV CDR1と、
アミノ酸配列SASTLAS(配列番号15)を含むV CDR2と、
アミノ酸配列QCNYYSPTYGNG(配列番号16)を含むV CDR3と、を含む可変軽鎖(V )ポリペプチド;
アミノ酸配列SSYWLC(配列番号19)を含むV CDR1と、
アミノ酸配列CIYNGDGSTHYASWAKG(配列番号20)を含むV CDR2と、
アミノ酸配列DYTYNFYTYGFNL(配列番号21)を含むV CDR3と、を含む可変重鎖(V )ポリペプチド、および
アミノ酸配列QASQSVNIWAS(配列番号22)を含むV CDR1と、
アミノ酸配列KASTLAS(配列番号23)を含むV CDR2と、
アミノ酸配列QGGYPSSSSGWA(配列番号24)を含むV CDR3と、を含む可変軽鎖(V )ポリペプチド;または
アミノ酸配列SSYWIC(配列番号27)を含むV CDR1と、
アミノ酸配列CTYNGDGSTHYASWAKG(配列番号28)を含むV CDR2と、
アミノ酸配列DYTDAFYTYGFNL(配列番号29)を含むV CDR3と、を含む可変重鎖(VH)ポリペプチド、および
アミノ酸配列QASQSTSSYLA(配列番号30)を含むV CDR1と、
アミノ酸配列RASSLAS(配列番号31)を含むV CDR2と、
アミノ酸配列QTGFYGSSGHT(配列番号32)を含むV CDR3と、を含む可変軽鎖(VL)ポリペプチド
を含む抗体と競合する、抗体。
実施形態2
前記抗体が、
アミノ酸配列SSYWIC(配列番号3)を含むV CDR1と、
アミノ酸配列CIYAGSGGSTYYATWAKG(配列番号4)を含むV CDR2と、
アミノ酸配列AYSDRSGGYSFNL(配列番号5)を含むV CDR3と、を含む可変重鎖(VH)ポリペプチド、および
アミノ酸配列QASQSVDNNNYLA(配列番号6)を含むV CDR1と、
アミノ酸配列SASSLAS(配列番号7)を含むV CDR2と、
アミノ酸配列LGSYDCSDADCYA(配列番号8)を含むV CDR3と、を含む可変軽鎖(VL)ポリペプチド;
アミノ酸配列DIYYIS(配列番号11)を含むV CDR1と、
アミノ酸配列CTYAGSSGSTYYATWAKG(配列番号12)を含むV CDR2と、
アミノ酸配列DRYPGTSGRVYGMDL(配列番号13)を含むV CDR3と、を含む可変重鎖(VH)ポリペプチド、および
アミノ酸配列QASQSISDLLS(配列番号14)を含むV CDR1と、
アミノ酸配列SASTLAS(配列番号15)を含むV CDR2と、
アミノ酸配列QCNYYSPTYGNG(配列番号16)を含むV CDR3と、を含む可変軽鎖(VL)ポリペプチド;
アミノ酸配列SSYWLC(配列番号19)を含むV CDR1と、
アミノ酸配列CIYNGDGSTHYASWAKG(配列番号20)を含むV CDR2と、
アミノ酸配列DYTYNFYTYGFNL(配列番号21)を含むV CDR3と、を含む可変重鎖(V )ポリペプチド、および
アミノ酸配列QASQSVNIWAS(配列番号22)を含むV CDR1と、
アミノ酸配列KASTLAS(配列番号23)を含むV CDR2と、
アミノ酸配列QGGYPSSSSGWA(配列番号24)を含むV CDR3と、を含む可変軽鎖(VL)ポリペプチド;または
アミノ酸配列SSYWIC(配列番号27)を含むV CDR1と、
アミノ酸配列CTYNGDGSTHYASWAKG(配列番号28)を含むV CDR2と、
アミノ酸配列DYTDAFYTYGFNL(配列番号29)を含むV CDR3と、を含む可変重鎖(VH)ポリペプチド、および
アミノ酸配列QASQSTSSYLA(配列番号30)を含むV CDR1と、
アミノ酸配列RASSLAS(配列番号31)を含むV CDR2と、
アミノ酸配列QTGFYGSSGHT(配列番号32)を含むV CDR3と、を含む可変軽鎖(VL)ポリペプチド
を含む、実施形態1に記載の抗体。
実施形態3
前記抗体が、
配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖(V )ポリペプチド、および
配列番号2に示されるアミノ酸配列に対して70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖(V )ポリペプチドを含む、実施形態1または2に記載の抗体。
実施形態4
前記抗体が、
配列番号9に示されるアミノ酸配列に対して70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖(V )ポリペプチド、および
配列番号10に示されるアミノ酸配列に対して70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖(V )ポリペプチドを含む、実施形態1または2に記載の抗体。
実施形態5
前記抗体が、
配列番号17に示されるアミノ酸配列に対して70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖(V )ポリペプチド、および
配列番号18に示されるアミノ酸配列に対して70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖(V )ポリペプチドを含む、実施形態1または2に記載の抗体。
実施形態6
前記抗体が、
配列番号25に示されるアミノ酸配列に対して70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖(V )ポリペプチド、および
配列番号26に示されるアミノ酸配列に対して70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖(V )ポリペプチドを含む、実施形態1または2に記載の抗体。
実施形態7
前記抗体が、
配列番号9に示されるアミノ酸配列に対して70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖(V )ポリペプチド、および
配列番号62に示されるアミノ酸配列に対して70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖(V )ポリペプチドを含む、実施形態1または2に記載の抗体。
実施形態8
前記抗体が、
配列番号9に示されるアミノ酸配列に対して70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖(V )ポリペプチド、および
配列番号63に示されるアミノ酸配列に対して70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖(V )ポリペプチドを含む、実施形態1または2に記載の抗体。
実施形態9
ワクシニアウイルスB5抗原(VV B5)に特異的に結合し、VV B5への結合について、
アミノ酸配列SSYYMC(配列番号35)を含むV CDR1と、
アミノ酸配列CIYTSSGSAYYANWAKG(配列番号36)を含むV CDR2と、
アミノ酸配列NAVGSSYYLYL(配列番号37)を含むV CDR3と、を含む可変重鎖(VH)ポリペプチド、および
アミノ酸配列QASQSVAGNNYLS(配列番号38)を含むV CDR1と、
アミノ酸配列SVSTLAS(配列番号39)を含むV CDR2と、
アミノ酸配列QGYYNDGIWA(配列番号40)を含むV CDR3と、を含む可変軽鎖(V )ポリペプチド;または
アミノ酸配列SYWMC(配列番号43)を含むV CDR1と、
アミノ酸配列CIYGGSSGSTYYSNWAKG(配列番号44)を含むV CDR2と、
アミノ酸配列DGSTWDYFRL(配列番号45)を含むV CDR3と、を含む可変重鎖(VH)ポリペプチド、および
アミノ酸配列QASQSINTNYLS(配列番号46)を含むV CDR1と、
アミノ酸配列QASTLES(配列番号47)を含むV CDR2と、
アミノ酸配列QGYYTVENIGNP(配列番号48)を含むV CDR3と、を含む可変軽鎖(VL)ポリペプチド
を含む抗体と競合する、抗体。
実施形態10
前記抗体が、
アミノ酸配列SSYYMC(配列番号35)を含むV CDR1と、
アミノ酸配列CIYTSSGSAYYANWAKG(配列番号36)を含むV CDR2と、
アミノ酸配列NAVGSSYYLYL(配列番号37)を含むV CDR3と、を含む可変重鎖(VH)ポリペプチド、および
アミノ酸配列QASQSVAGNNYLS(配列番号38)を含むV CDR1と、
アミノ酸配列SVSTLAS(配列番号39)を含むV CDR2と、
アミノ酸配列QGYYNDGIWA(配列番号40)を含むV CDR3と、を含む可変軽鎖(VL)ポリペプチド;または
アミノ酸配列SYWMC(配列番号43)を含むV CDR1と、
アミノ酸配列CIYGGSSGSTYYSNWAKG(配列番号44)を含むV CDR2と、
アミノ酸配列DGSTWDYFRL(配列番号45)を含むV CDR3と、を含む可変重鎖(VH)ポリペプチド、および
アミノ酸配列QASQSINTNYLS(配列番号46)を含むV CDR1と、
アミノ酸配列QASTLES(配列番号47)を含むV CDR2と、
アミノ酸配列QGYYTVENIGNP(配列番号48)を含むV CDR3と、を含む可変軽鎖(VL)ポリペプチド
を含む、実施形態9に記載の抗体。
実施形態11
前記抗体が、
配列番号33に示されるアミノ酸配列に対して70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖(V )ポリペプチド、および
配列番号34に示されるアミノ酸配列に対して70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖(V )ポリペプチドを含む、実施形態9または10に記載の抗体。
実施形態12
前記抗体が、
配列番号41に示されるアミノ酸配列に対して70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖(V )ポリペプチド、および
配列番号42に示されるアミノ酸配列に対して70%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖(V )ポリペプチドを含む、実施形態9または10に記載の抗体。
実施形態13
前記抗体が、モノクローナル抗体である、実施形態1~12のいずれか一項に記載の抗体。
実施形態14
前記抗体が、ヒト化抗体である、実施形態1~13のいずれか一項に記載の抗体。
実施形態15
前記抗体が、IgGである、実施形態1~14のいずれか一項に記載の抗体。
実施形態16
前記抗体が、ヒトFcドメインを含む、実施形態15に記載の抗体。
実施形態17
前記抗体が、ヒトIgG1である、実施形態16に記載の抗体。
実施形態18
前記抗体が、Fab、F(ab’) 、およびF(ab’)からなる群から選択される、実施形態1~14のいずれか一項に記載の抗体。
実施形態19
前記抗体が、単鎖抗体である、実施形態1~14のいずれか一項に記載の抗体。
実施形態20
前記単鎖抗体が、scFvである、実施形態19に記載の抗体。
実施形態21
前記抗体が、実施形態1~12のいずれか一項に記載のV ポリペプチド-V ポリペプチド対を含む第1の抗原結合ドメインを含む二重特異性抗体である、実施形態1~20のいずれか一項に記載の抗体。
実施形態22
前記二重特異性抗体が、ワクシニアウイルス抗原以外の抗原に特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを含む、実施形態21に記載の抗体。
実施形態23
前記ワクシニアウイルス抗原以外の抗原が、免疫細胞表面抗原である、実施形態22に記載の抗体。
実施形態24
前記免疫細胞表面抗原が、免疫エフェクター細胞表面抗原である、実施形態23に記載の抗体。
実施形態25
前記免疫細胞表面抗原が、T細胞表面抗原である、実施形態24に記載の抗体。
実施形態26
前記抗原が、T細胞刺激分子である、実施形態25に記載の抗体。
実施形態27
前記T細胞刺激分子が、CD3またはCD28である、実施形態26に記載の抗体。
実施形態28
前記免疫細胞表面抗原が、ナチュラルキラー(NK)細胞表面抗原である、実施形態24に記載の抗体。
実施形態29
前記免疫細胞表面抗原が、マクロファージ細胞表面抗原である、実施形態24に記載の抗体。
実施形態30
融合タンパク質であって、
異種アミノ酸配列に融合した、実施形態1~29のいずれか一項に記載の抗体の鎖を含む、融合タンパク質。
実施形態31
前記異種アミノ酸配列が、前記抗体の前記鎖のC末端に融合している、実施形態30に記載の融合タンパク質。
実施形態32
前記抗体が、実施形態19または20に記載の単鎖抗体である、実施形態30または31に記載の融合タンパク質。
実施形態33
前記融合タンパク質が、
前記単鎖抗体と、
膜貫通ドメインと、
細胞内シグナル伝達ドメインと
を含むキメラ抗原受容体(CAR)である、実施形態32に記載の融合タンパク質。
実施形態34
実施形態1~29のいずれか一項に記載の抗体または実施形態30~33のいずれか一項に記載の融合タンパク質と、
前記抗体または融合タンパク質にコンジュゲートされた薬剤と
を含む、コンジュゲート。
実施形態35
前記薬剤が、化学療法剤、毒素、放射線増感剤、放射性同位体、検出可能な標識、および半減期延長部分からなる群から選択される、実施形態34に記載のコンジュゲート。
実施形態36
前記放射性同位体が、治療用放射性同位体である、実施形態35に記載のコンジュゲート。
実施形態37
前記検出可能な標識が、放射性標識である、実施形態35に記載のコンジュゲート。
実施形態38
前記放射性標識が、ジルコニウム-89( 89 Zr)である、実施形態37に記載のコンジュゲート。
実施形態39
前記薬剤が、切断不可能なリンカーを介して、前記抗体または融合タンパク質にコンジュゲートされている、実施形態34~38のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
実施形態40
前記薬剤が、切断可能なリンカーを介して、前記抗体または融合タンパク質にコンジュゲートされている、実施形態34~38のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
実施形態41
前記切断可能なリンカーが、酵素切断可能なリンカーである、実施形態40に記載のコンジュゲート。
実施形態42
前記リンカーが、リソソームプロテアーゼによって切断可能である、実施形態41に記載のコンジュゲート。
実施形態43
前記リンカーが、カテプシンまたはプラスミンによって切断可能である、実施形態42に記載のコンジュゲート。
実施形態44
実施形態1~29のいずれか一項に記載の抗体の可変重鎖(VH)ポリペプチド、可変軽鎖(V )ポリペプチド、またはその両方をコードする核酸。
実施形態45
実施形態30~33のいずれか一項に記載の融合タンパク質をコードする核酸。
実施形態46
実施形態44または45に記載の核酸を含む、発現ベクター。
実施形態47
実施形態44もしくは45に記載の核酸、または
実施形態46に記載の発現ベクター
を含む、細胞。
実施形態48
実施形態1~18のいずれか一項に記載の抗体の前記可変重鎖(V )ポリペプチドをコードする第1の核酸と、
前記抗体の前記可変軽鎖(V )ポリペプチドをコードする第2の核酸と
を含む、細胞。
実施形態49
前記第1の核酸を含む第1の発現ベクターと、
前記第2の核酸を含む第2の発現ベクターと
を含む、実施形態48に記載の細胞。
実施形態50
実施形態1~28のいずれか一項に記載の抗体を産生する方法であって、前記細胞が前記抗体を発現するのに好適な条件下で、実施形態47~49のいずれか一項に記載の細胞を培養することを含み、前記抗体が産生される、方法。
実施形態51
実施形態1~28のいずれか一項に記載の抗体と、
薬学的に許容される担体と
を含む、医薬組成物。
実施形態52
実施形態30~33のいずれか一項に記載の融合タンパク質と、
薬学的に許容される担体と
を含む、医薬組成物。
実施形態53
実施形態34~43のいずれか一項に記載のコンジュゲートと、
薬学的に許容される担体と
を含む、医薬組成物。
実施形態54
実施形態51~53のいずれか一項に記載の医薬組成物と、
前記医薬組成物をそれを必要とする個体に投与するための説明書と
を含む、キット。
実施形態55
前記医薬組成物が、1つ以上の単位剤形で存在する、実施形態54に記載のキット。
実施形態56
前記医薬組成物が、2つ以上の単位剤形で存在する、実施形態54に記載のキット。
実施形態57
実施形態51~53のいずれか一項に記載の医薬組成物を、がんを有する個体に投与することを含み、前記個体が、ワクシニアウイルス(VV)に感染されたがん細胞を含み、前記抗体、融合タンパク質またはコンジュゲートが、前記感染されたがん細胞の表面上に発現するVV抗原によって、前記感染されたがん細胞に標的指向化される、方法。
実施形態58
前記医薬組成物を前記個体に投与する前に、VVを前記個体に投与することによって前記がん細胞に感染させることをさらに含む、実施形態57に記載の方法。
実施形態59
前記方法が、前記個体の前記がんを治療する方法である、実施形態57または58に記載の方法。
実施形態60
実施形態53に記載の医薬組成物が前記個体に投与され、前記コンジュゲートが、インビボイメージング剤である検出可能な標識または放射性同位体にコンジュゲートされた前記抗体を含み、前記方法が、前記インビボイメージング剤を使用して、前記個体の前記感染したがん細胞をイメージングすることを含む、実施形態57~59のいずれか一項に記載の方法。
実施形態61
腫瘍溶解性ウイルス(OV)抗原に特異的に結合する抗体を、個体のがん細胞に標的指向化する方法であって、
前記OV抗原に特異的に結合する抗体を含む医薬組成物を前記個体に投与することを含み、前記個体中の前記がん細胞はOVに感染され、それらの表面上に前記OV抗原を発現する、方法。
実施形態62
前記医薬組成物を前記個体に投与する前に、前記OVを前記個体に投与することによって、前記がん細胞に感染させることをさらに含む、実施形態61に記載の方法。
実施形態63
前記OV抗原が、前記OVにネイティブである、実施形態61または62に記載の方法。
実施形態64
前記OV抗原が、前記OVに対して異種である、実施形態61または62に記載の方法。
実施形態65
前記OVが、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)、レオウイルス、水疱性口内炎ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、セネカバレーウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、コクサッキーウイルス、およびマラバウイルスからなる群から選択される、実施形態61~64のいずれか一項に記載の方法。
実施形態66
前記OVが、ワクシニアウイルス(VV)である、実施形態61~64のいずれか一項に記載の方法。
実施形態67
前記VVが、JX-594またはGL-ONC1である、実施形態66に記載の方法。
実施形態68
前記VVの株が、Western Reserve、Wyeth、Lister、Copenhagen、Temple of Heaven、Patwadangar、および改変ワクシニアウイルスAnkaraからなる群から選択される、実施形態66に記載の方法。
実施形態69
前記抗体が、モノクローナル抗体である、実施形態61~68のいずれか一項に記載の方法。
実施形態70
前記抗体が、ヒト化抗体である、実施形態61~69のいずれか一項に記載の方法。
実施形態71
前記抗体が、IgGである、実施形態61~70のいずれか一項に記載の方法。
実施形態72
前記抗体が、ヒトFcドメインである、実施形態71に記載の方法。
実施形態73
前記抗体がヒトIgG1である、実施形態72に記載の方法。
実施形態74
前記抗体が、Fab、F(ab’) 、およびF(ab’)からなる群から選択される、実施形態61~70のいずれか一項に記載の方法。
実施形態75
前記抗体が、単鎖抗体である、実施形態61~70のいずれか一項に記載の方法。
実施形態76
前記単鎖抗体が、scFvである、実施形態75に記載の方法。
実施形態77
前記OV抗原が、VV A56抗原である、実施形態66~76のいずれか一項に記載の方法。
実施形態78
前記医薬組成物が、実施形態1~8のいずれか一項に記載の抗体を含む、実施形態77に記載の方法。
実施形態79
前記OV抗原が、VV B5抗原である、実施形態66~76のいずれか一項に記載の方法。
実施形態80
前記医薬組成物が、実施形態9~12のいずれか一項に記載の抗体を含む、実施形態79に記載の方法。
実施形態81
前記医薬組成物が、検出可能な標識または放射性同位体にコンジュゲートされた前記抗体を含む、実施形態57~80のいずれか一項に記載の方法。
実施形態82
前記検出可能な標識または放射性同位体が、インビボイメージング剤である、実施形態81に記載の方法。
実施形態83
前記がん細胞をインビボでイメージングするための前記インビボイメージング剤を検出することを含む、実施形態82に記載の方法。
実施形態84
前記方法が、前記個体の前記がんを治療する方法である、実施形態61~83のいずれか一項に記載の方法。
実施形態85
腫瘍溶解性ウイルス(OV)抗原に特異的に結合する抗原結合ドメインと、
膜貫通ドメインと、
細胞内シグナル伝達ドメインと
を含む、キメラ抗原受容体(CAR)。
実施形態86
前記OV抗原が前記OVにネイティブである、実施形態85に記載のCAR。
実施形態87
前記OV抗原が前記OVに対して異種である、実施形態85に記載のCAR。
実施形態88
前記OVが、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)、レオウイルス、水疱性口内炎ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、セネカバレーウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、およびマラバウイルスからなる群から選択される、実施形態85~87のいずれか一項に記載のCAR。
実施形態89
前記OV抗原が、ワクシニアウイルス(VV)によってコードされる抗原である、実施形態85~87のいずれか一項に記載のCAR。
実施形態90
前記VVが、JX-594またはGL-ONC1である、実施形態89に記載のCAR。
実施形態91
前記VVの株が、Western Reserve、Wyeth、Lister、Copenhagen、Temple of Heaven、Patwadangar、および改変ワクシニアウイルスAnkaraからなる群から選択される、実施形態89に記載のCAR。
実施形態92
前記OV抗原がVV A56抗原である、実施形態89に記載のCAR。
実施形態93
前記抗原結合ドメインが、実施形態1~8のいずれか一項に記載の抗体のV ポリペプチド-V ポリペプチド対を含む、実施形態92に記載のCAR。
実施形態94
前記OV抗原がVV B5抗原である、実施形態89に記載のCAR。
実施形態95
前記抗原結合ドメインが、実施形態9~12のいずれか一項に記載の抗体のV ポリペプチド-V ポリペプチド対を含む、実施形態94に記載のCAR。
実施形態96
前記抗原結合ドメインが、scFvを含む、実施形態85~95のいずれか一項に記載のCAR。
実施形態97
前記CARが、単一のポリペプチドによって提供される、85~96のいずれか一項に記載のCAR。
実施形態98
前記CARが、2つ以上のポリペプチドによって提供される、85~96のいずれか一項に記載のCAR。
実施形態99
実施形態85~98のいずれか一項に記載のCARをコードする、核酸。
実施形態100
実施形態99に記載の核酸を含む、細胞。
実施形態101
前記細胞が、その表面上に前記CARを発現する、実施形態100に記載の細胞。
実施形態102
前記細胞が、免疫細胞である、実施形態100または101に記載の細胞。
実施形態103
前記細胞が、免疫エフェクター細胞である、実施形態102に記載の細胞。
実施形態104
前記細胞が、T細胞である、実施形態103に記載の細胞。
実施形態105
前記細胞が、NK細胞である、実施形態103に記載の細胞。
実施形態106
前記細胞が、マクロファージである、実施形態103に記載の細胞。
実施形態107
実施形態100~105のいずれか一項に記載の細胞を含む、医薬組成物。
実施形態108
腫瘍溶解性ウイルス(OV)抗原に特異的に結合するCARを、個体のがん細胞に標的指向化する方法であって、
実施形態107に記載の医薬組成物を前記個体に投与することを含み、前記個体の前記がん細胞はOVに感染され、それらの表面上に前記OV抗原を発現する、方法。
実施形態109
前記医薬組成物を前記個体に投与する前に、前記OVを前記個体に投与することによって、前記がん細胞に感染させることをさらに含む、実施形態108に記載の方法。
実施形態110
前記方法が、前記個体の前記がんを治療する方法である、実施形態108または109に記載の方法。
実施形態111
コンジュゲートであって、
腫瘍溶解性ウイルス(OV)抗原に特異的に結合する抗体と、
前記抗体にコンジュゲートされた薬剤と
を含み、前記薬剤が、化学療法剤、毒素、放射線増感剤、および放射性同位体からなる群から選択される、コンジュゲート。
実施形態112
前記放射性同位体が、治療用放射性同位体である、実施形態111に記載のコンジュゲート。
実施形態113
前記OV抗原が、前記OVにネイティブである、実施形態111または112に記載のコンジュゲート。
実施形態114
前記OV抗原が、前記OVに対して異種である、実施形態111または112に記載のコンジュゲート。
実施形態115
前記OV抗原が、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、HSV、レオウイルス、水疱性口内炎ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、セネカバレーウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、コクサッキーウイルス、およびマラバウイルスからなる群から選択されるOVによってコードされる抗原である、実施形態111~114のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
実施形態116
前記OV抗原が、ワクシニアウイルス(VV)によってコードされる抗原である、実施形態111~114のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
実施形態117
前記VVが、JX-594またはGL-ONC1である、実施形態116に記載のコンジュゲート。
実施形態118
前記VVの株が、Western Reserve、Wyeth、Lister、Copenhagen、Temple of Heaven、Patwadangar、および改変ワクシニアウイルスAnkaraからなる群から選択される、実施形態116に記載のコンジュゲート。
実施形態119
前記OV抗原が、VV A56抗原である、実施形態116に記載のコンジュゲート。
実施形態120
前記抗体が、実施形態1~8のいずれか一項に記載の抗体である、実施形態119に記載のコンジュゲート。
実施形態121
前記OV抗原が、VV B5抗原である、実施形態116に記載のコンジュゲート。
実施形態122
前記抗体が、実施形態9~12のいずれか一項に記載の抗体である、実施形態121に記載のコンジュゲート。
実施形態123
前記抗体が、モノクローナル抗体である、実施形態111~122のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
実施形態124
前記抗体が、ヒト化抗体である、実施形態111~123のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
実施形態125
前記抗体が、IgGである、実施形態111~124のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
実施形態126
前記抗体が、ヒトFcドメインを含む、実施形態125に記載のコンジュゲート。
実施形態127
前記抗体が、ヒトIgG1である、実施形態126に記載のコンジュゲート。
実施形態128
前記抗体が、Fab、F(ab’) 、およびF(ab’)からなる群から選択される、実施形態111~124のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
実施形態129
前記抗体が、単鎖抗体である、実施形態111~124のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
実施形態130
前記単鎖抗体が、scFvである、実施形態129に記載のコンジュゲート。
実施形態131
前記薬剤が、切断不可能なリンカーを介して、前記抗体にコンジュゲートされている、実施形態111~130のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
実施形態132
前記薬剤が、切断可能なリンカーを介して、前記抗体にコンジュゲートされている、実施形態111~130のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
実施形態133
前記切断可能なリンカーが、酵素切断可能なリンカーである、実施形態132に記載のコンジュゲート。
実施形態134
前記リンカーが、リソソームプロテアーゼによって切断可能である、実施形態133に記載のコンジュゲート。
実施形態135
前記リンカーが、カテプシンまたはプラスミンによって切断可能である、実施形態134に記載のコンジュゲート。
実施形態136
実施形態111~135のいずれか一項に記載のコンジュゲートを含む、医薬組成物。
実施形態137
腫瘍溶解性ウイルス(OV)抗原に特異的に結合する抗体を含むコンジュゲートを、個体のがん細胞に標的指向化する方法であって、
実施形態136に記載の医薬組成物を前記個体に投与することを含み、前記個体の前記がん細胞はOVに感染され、それらの表面上に前記OV抗原を発現する、方法。
実施形態138
前記医薬組成物を前記個体に投与する前に、前記OVを前記個体に投与することによって、前記がん細胞に感染させることをさらに含む、実施形態137に記載の方法。
実施形態139
前記方法が、前記個体の前記がんを治療する方法である、実施形態137または138に記載の方法。
このように、上記は、単に本開示の原理を説明しているにすぎない。本明細書に明示的には記載または図示していないが、本発明の原理を具現化しその趣旨および範囲内に含まれる様々な構成を当業者が工夫することができることが理解されよう。さらに、本明細書に列挙されたすべての例および条件的文言は、主として本発明の原理および発明者らにより当該技術分野の促進のために寄与された概念を理解する上で読者を助けることを意図しており、このような具体的に列挙された例および条件への限定ではないと解釈されるべきである。また、本発明の原理、態様、および実施形態、ならびにその具体的な例を列挙する本明細書におけるすべての記述は、その構造的および機能的等価物の両方を包含することを意図する。加えて、そのような等価物は、現在知られている等価物および将来開発される等価物の両方、すなわち、構造にかかわらず同じ機能を果たすあらゆる開発要素も含むことが意図される。したがって、本発明の範囲は、本明細書に図示および記載された例示的な実施形態に限定されることを意図しない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14-1】
図14-2】
図14-3】
図14-4】
図14-5】
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図21
【配列表】
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