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特許7665633移動式搬送装置およびシャフトへの設置フレームの導入方法
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  • 特許-移動式搬送装置およびシャフトへの設置フレームの導入方法 図1
  • 特許-移動式搬送装置およびシャフトへの設置フレームの導入方法 図2
  • 特許-移動式搬送装置およびシャフトへの設置フレームの導入方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-11
(45)【発行日】2025-04-21
(54)【発明の名称】移動式搬送装置およびシャフトへの設置フレームの導入方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/00 20060101AFI20250414BHJP
【FI】
B66B7/00 J
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022543466
(86)(22)【出願日】2021-01-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(86)【国際出願番号】 EP2021050011
(87)【国際公開番号】W WO2021144154
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2023-12-28
(31)【優先権主張番号】20152328.9
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390040729
【氏名又は名称】インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アッハーマン,ギード
(72)【発明者】
【氏名】ベック,ロジェ
(72)【発明者】
【氏名】ビッツォゼロ,ガブリエレ
(72)【発明者】
【氏名】ガブリック,ドラガン
(72)【発明者】
【氏名】ハルマス,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ランギ,ニコ
(72)【発明者】
【氏名】べーバー,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】バイベル,アンドレ
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-077195(JP,U)
【文献】特開2004-010175(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0208438(US,A1)
【文献】特開2016-160091(JP,A)
【文献】実開平03-056501(JP,U)
【文献】特開平11-079599(JP,A)
【文献】特開平05-330758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00- 7/12
B62B 1/00- 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置フレームを搬送し、設置フレームをシャフトに導入するための移動式搬送装置であって、
-ベースフレーム(16、116)と、
-ベースフレーム(16、116)に配置された固定装置(48)であって、ベースフレーム(16、116)をシャフト(14、114)のシャフト壁(52)のシャフト開口部(50、150)に固定し、搬送装置(10、110)が傾くのを防止するための、固定装置(48)と、
を備え、
設置フレーム(11、111)が上方から支持されることができる支持フレーム(34、134)によって特徴付けられ、
支持フレーム(34、134)は、ベースフレーム(16、116)によって支持され、ベースフレーム(16、116)に対して水平方向に移動可能に配置され、それによって、ベースフレーム(16、116)がシャフト(14、114)の外側に配置されると、支持フレーム(34、134)はシャフト(14、114)の外側からシャフト開口部(50、150)を通ってシャフト(14、114)内に移動されることができ
固定装置(48)は、シャフト開口部(50、150)を有するシャフト壁(52)の外側(82)に、支持用の一次固定要素(54)を有し、
一次固定要素(54)は、搬送装置(10、110)上の固定位置および変位位置に配置されることができる固定アーム(56)を有し、その固定位置では、ベースフレーム(16、116)をシャフト開口部(50、150)に固定することを可能にし、その変位位置では、搬送装置(10、110)を変位させることを可能にし、
固定アーム(56)の少なくとも一部(60)は、旋回軸(58)を中心に旋回するようにベースフレーム(16、116)に配置され、前記旋回軸(58)を中心に旋回することによって固定位置から変位位置に、およびその逆に運ばれ得ることを特徴とする、
搬送装置。
【請求項2】
設置フレームを搬送し、設置フレームをシャフトに導入するための移動式搬送装置であって、
-ベースフレーム(16、116)と、
-ベースフレーム(16、116)に配置された固定装置(48)であって、ベースフレーム(16、116)をシャフト(14、114)のシャフト壁(52)のシャフト開口部(50、150)に固定し、搬送装置(10、110)が傾くのを防止するための、固定装置(48)と、
を備え、
設置フレーム(11、111)が上方から支持されることができる支持フレーム(34、134)によって特徴付けられ、
支持フレーム(34、134)は、ベースフレーム(16、116)によって支持され、ベースフレーム(16、116)に対して水平方向に移動可能に配置され、それによって、ベースフレーム(16、116)がシャフト(14、114)の外側に配置されると、支持フレーム(34、134)はシャフト(14、114)の外側からシャフト開口部(50、150)を通ってシャフト(14、114)内に移動されることができ
固定装置(48)は、シャフト開口部(50、150)を有するシャフト壁(52)の内側(84)に支持用の二次固定要素(64)を有することを特徴とする、
搬送装置。
【請求項3】
設置フレームを搬送し、設置フレームをシャフトに導入するための移動式搬送装置であって、
-ベースフレーム(16、116)と、
-ベースフレーム(16、116)に配置された固定装置(48)であって、ベースフレーム(16、116)をシャフト(14、114)のシャフト壁(52)のシャフト開口部(50、150)に固定し、搬送装置(10、110)が傾くのを防止するための、固定装置(48)と、
を備え、
設置フレーム(11、111)が上方から支持されることができる支持フレーム(34、134)によって特徴付けられ、
支持フレーム(34、134)は、ベースフレーム(16、116)によって支持され、ベースフレーム(16、116)に対して水平方向に移動可能に配置され、それによって、ベースフレーム(16、116)がシャフト(14、114)の外側に配置されると、支持フレーム(34、134)はシャフト(14、114)の外側からシャフト開口部(50、150)を通ってシャフト(14、114)内に移動されることができ
支持フレーム(34、134)は、センタリング装置(70)を有し、それによって、設置フレーム(11、111)は、支持フレーム(34、134)に嵌合するときに所定の嵌合位置に案内されることを特徴とする、
搬送装置。
【請求項4】
支持フレーム(34、134)は、伸縮式延長レール(17)を介してベースフレーム(16)に配置されること、
を特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項5】
ベースフレーム(16、116)および支持フレーム(34、134)は、それぞれ、ベースフレーム(16、116)に対する支持フレーム(34、134)の移動を制限するように設計および配置されたストッパ(44、46)を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項6】
支持フレーム(34)は、スピンドルドライブ(38)によってベースフレーム(16)に対して移動されることができることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項7】
支持フレーム(134)は、水平に対して傾斜して配置されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項8】
ローラ(26)は、ベースフレーム(16、116)に配置され、ローラによって、ベースフレーム(16、116)は、ベースフレーム(16、116)の下方の床(28)上に支持され、床(28)上を転動することができることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項9】
支持装置(66)はベースフレーム(16、116)に配置され、支持装置によって、ベースフレーム(16、116)はシャフト開口部(50、150)の前の床(28)上に支持されることができることを特徴とする、請求項に記載の搬送装置。
【請求項10】
ベースフレーム(16、116)は、搬送装置(10、110)を変位させるための駆動装置(32)への連結が生成され得るように設計および配置された連結装置(30)を有することを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項11】
センタリング装置(70)は、固定装置(74)を有し、それによって、支持フレーム(34、134)に嵌合された設置フレーム(11、111)は支持フレーム(34、134)に固定されることができることを特徴とする、請求項に記載の搬送装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の搬送装置を用いて、シャフトに設置フレームを導入するための方法であって、設置フレーム(11、111)は、移動式搬送装置(10、110)の支持フレーム(34、134)に嵌合され、設置フレーム(11、111)は、支持フレーム(34、134)に上方から支持され、支持フレーム(34、134)は、搬送装置(10、110)のベースフレーム(16、116)によって支持され、
方法は、少なくとも以下のステップ、すなわち、
-シャフト(14、114)の外側のシャフト開口部(50、150)でベースフレーム(16、116)上に配置された固定装置(48)によって、ベースフレーム(16、116)、したがって搬送装置(10、110)を固定し、それによって搬送装置(10、110)が傾くのが防止されるステップと、
-ベースフレーム(16、116)に対して水平方向に移動可能に配置された支持フレーム(34、134)を、シャフト(14、114)の外側からシャフト開口部(50、150)を通ってシャフト(14、114)内に移動させ、それによって設置フレーム(11、111)はシャフト(14、114)の外側からシャフト開口部(50、150)を通ってシャフト(14、14)内に導入されるステップと、
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設置フレームを搬送し、設置フレームをシャフト、特にエレベータシャフトに導入するための、請求項1の特徴を有する移動式搬送装置、および、設置フレームをシャフト、特にエレベータシャフトに導入するための、請求項15の特徴を有する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-160091号公報には、設置フレームを搬送し、設置フレームをエレベータシャフトに導入するための移動式搬送装置が記載されている。搬送装置は、ベースフレームと、ベースフレームをシャフト開口部に固定し、搬送装置の傾きを防止するためにベースフレーム上に配置された固定装置とを有する。
【0003】
国際公開第2017/016783号は、設置フレーム上に配置されたメカトロニクス設置部品を有する設置装置を記載している。設置装置は、自動化された設置ステップを実行するために、例えばエレベータシャフトにおけるエレベータの設置の一部として前記エレベータシャフトのシャフト壁に孔を開けるために使用される。エレベータシャフト内で相異なる高さで設置ステップを実行することを可能にするために、設置装置は可撓性吊下げ手段から吊り下げられ、その結果、吊下げ手段によってエレベータシャフトの上部に配置された変位部品によってエレベータシャフト内で変位され得る。設置装置がエレベータシャフト内で設置ステップを実行することができる前に、前記設置装置は、エレベータシャフトに搬送され、シャフト開口部を介してエレベータシャフトに導入されなければならない。国際公開第2017/016783号は、設置装置がどのように搬送され、そしてエレベータシャフトに導入されるかについて言及していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-160091号公報
【文献】国際公開第2017/016783号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
設置装置をシャフト内に、したがって設置フレームにも搬送して導入することは、設置装置の必要な寸法およびその重量のために非常に複雑である。さらなる複雑さは、設置装置が導入されるシャフト開口部のエレベータシャフトが、通常、設置装置が配置されることができ、設置者が踏むことができる堅固な床も一時的な設置プラットフォームも有さないことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明の目的は、特に、設置フレームをシャフト、特にエレベータシャフトに導入するための移動式搬送装置および方法を提案することであり、この搬送装置は、設置フレームをシャフト内に容易に、特に安全に導入することを可能にする。本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴を有する移動式搬送装置によって、および請求項15の特徴を有する方法によって達成される。
【0007】
設置フレームを搬送し、設置フレームをシャフト、特にエレベータシャフトに導入するための本発明による移動式搬送装置は、ベースフレームと、設置フレームが上方から支持され得る支持フレームとを有する。搬送装置は、シャフトのシャフト壁のシャフト開口部にベースフレームを固定し、搬送装置の傾きを防止するための、ベースフレーム上に配置された固定装置も有する。支持フレームは、ベースフレームによって支持され、ベースフレームに対して水平方向に移動可能に配置され、ベースフレームがシャフトの外側に配置されると、支持フレーム、したがって設置フレームも、シャフトの外側からシャフト開口部を通ってシャフト内に移動されることができる。
【0008】
したがって、設置フレームを含む移動式搬送装置は、シャフト開口部まで運ばれるまたは変位されることができ、固定装置によってシャフトの外側のシャフト開口部に固定されることができる。その後、支持フレームは、ベースフレームに対して設置フレームと共に水平に移動され、したがってシャフト開口部を通ってシャフト内に押し込まれ得る。支持フレームおよび設置フレームはまた、前記水平移動中にベースフレームによって支持され、その結果、設置フレームは追加的に保持または支持される必要はない。特に、設置フレームは、シャフト内への導入前または導入中に設置フレームを回転させるまたは傾ける必要がないように、支持フレーム上に配置されることもできる。支持フレームおよび設置フレームの水平移動は、ベースフレームと設置フレームとの間の摩擦を克服する必要があるだけなので、比較的小さな力しか必要としない。したがって、設置フレームは、シャフト内に非常に容易に導入されることができる。また、設置フレームを導入するときに、設置者がエレベータシャフトに入る必要も、シャフト開口部に直接入る必要もない。したがって、設置フレームの導入も特に安全である。
【0009】
以下に説明する実施形態は、移動式搬送装置および方法に等しく関連する。言い換えれば、例えば移動式搬送装置を参照して以下に述べる特徴は、方法ステップとして実施されることもでき、逆もまた同様である。
【0010】
搬送装置は、移動式搬送装置として設計されている。これは、支持フレームに嵌合された設置フレームを含む搬送装置全体が可動である、すなわち変位可能であることを意味すると理解されるべきである。搬送装置は、例えば、搬送装置が移動されることができるローラを有することができる。搬送装置は、例えばフォークリフトによって変位されることも可能である。また、搬送装置は、ケーブルから吊り下げられ得、例えばクレーンによって吊り上げられ、変位され得る。
【0011】
設置フレームは、例えば産業用ロボットの形態のメカトロニクス設置部品を保持するために使用されることができる。メカトロニクス設置部品を使用すると、設置フレームが固定状態にあるときに自動設置ステップがシャフト内で実行され得る。メカトロニクス設置部品は、例えば、国際公開第2017/016780号の自動設置部品に従って設計されることができる。しかしながら、設置フレームは、例えば、設置プラットフォームを担持することもでき、または設置者が手動で、もしくはシャフト内のツールの助けを借りて設置ステップを実行することができる設置プラットフォームとして設計されることもできる。
【0012】
シャフトは、この場合、シャフト壁によって区切られた細長い空間として理解されるべきである。特に、シャフトは主に矩形の断面を有するが、他の断面も考えられる。特に、シャフトは、主に垂直方向に延びる。シャフトは、特に建物に配置されるが、例えば、ブリッジ、ピラー、または船舶にも配置され得る。シャフト壁は、特に、補強材で強化されたコンクリートからなる。しかしながら、これらは、例えば、金属製であってもよい。シャフトは、特にエレベータ設備のエレベータシャフトとして使用され、エレベータ設備の動作中に、人および/または物体を搬送するためのかごが変位方向に変位される。シャフトは、他の目的にも役立つことができる。例えば、換気シャフトとして、またはパイプ、電気ケーブルなどを収容するために使用されることができる。
【0013】
シャフトは、シャフトが側面から、すなわち水平方向からアクセス可能であるシャフト開口部を有する。したがって、シャフト開口部は、シャフトのシャフト壁の1つに配置される。シャフトがエレベータシャフトとして設計されている場合、シャフトドアが、エレベータシャフトへのエレベータの設置中にシャフト開口部に設置され、シャフトドアを通って、乗客は、その後のエレベータの動作中にエレベータのかごに出入りすることができる。シャフト開口部の前、すなわちシャフトの外側には、特に搬送装置が立つことができる床が配置される。シャフトがエレベータシャフトとして設計されている場合、前記床は、対応するシャフト開口部、したがってシャフトドアを介してアクセス可能な階層の床である。
【0014】
シャフト内への導入後、設置フレームは、シャフト内で変位方向に変位されることができ、したがって、相異なる位置、特にシャフト内の相異なる高さに位置決めされるべきである。この目的のために、シャフト内への導入の前または後に、設置フレームは、例えばケーブル、チェーン、またはベルトの形態の吊下げ手段を用いて、特にウインチの形態の変位部品に接続される。吊下げ手段は、ウインチによって巻き上げまたは巻き下げられることができ、したがって、設置フレームは、シャフト内で変位され得る。シャフト内に導入された後、設置フレームは、支持フレームから上方に吊り上げられ得る。
【0015】
特に、ベースフレームは、主に直方体の基本形状を有する。ベースフレームの基本構造は、特に矩形断面を有する金属プロファイルで特に構成される。さらなる部品が基本構造上に配置され得る。
【0016】
特に、支持フレームはまた、主に直方体の基本形状、したがって主に矩形の断面を有する。特に、支持フレームは、ベースフレームほど高くない。したがって、支持フレームは、設置フレームが嵌合され得る上向きの支持面を形成し、その結果、設置フレームは、支持面上、したがって支持フレーム上に上方から支持される。支持フレームは主に、例えば互いに溶接された矩形の金属プロファイルからなる。支持フレームは、ベースフレーム上に上方から支持されるようにベースフレームによって担持される。特に、これはベースフレーム上でのみ支持される。
【0017】
固定装置がベースフレームに配置された状態で、ベースフレーム、したがって搬送装置は、前記シャフト開口部でシャフトの外側に固定されることができる。シャフト開口部への固定は、水平方向の力、特にシャフト開口部に垂直な方向の力、および搬送装置の傾斜をもたらし得るトルクを支持することができるように、シャフト開口部を形成するシャフトの部分に固定装置が支持されることを意味すると理解されるべきである。シャフト開口部を形成するシャフトの部分は、特に、(シャフトの内側およびシャフトの外側の)シャフト壁だけでなく、シャフト開口部前方の床または天井も意味すると理解されるべきである。
【0018】
設置フレームをシャフトに導入するために、すなわちシャフトの外側からシャフト内に運ぶために、設置フレームを含む搬送装置は、シャフト開口部の前、すなわちシャフトの外側の適切な位置に配置される。ベースフレーム、したがって搬送装置は、その後、固定装置によってシャフト開口部に固定される。続いて、支持フレームは、ベースフレームに対してシャフトの方向に水平方向に移動されることができ、その結果、支持フレーム、したがって設置フレームは、シャフト開口部を通ってシャフト内に移動される。例えば、支持フレームは、ベースフレームに対して150~200cmの間で移動されることができる。移動は、水平方向にのみ延びることはできず、垂直成分も有し得る。したがって、斜めにまたは傾斜して延びることもできる。
【0019】
ベースフレームに対する支持フレームの移動の前に、支持フレームは主に、特に完全に、ベースフレームの上方に配置される。したがって、支持フレームと支持フレームに嵌合された設置フレームの重量から生じる力が、ベースフレーム内で作用する。支持フレームがシャフトの方向に移動すると、支持フレームがベースフレームを越えて水平方向に突出し、結果として生じる前述の力の有効方向もシャフトの方向に水平に移動される。最終的に、これは、結果として生じる力がベースフレームの外側に作用し、その結果、ベースフレームに傾斜モーメントが生じることを意味する。この傾斜モーメントは、固定装置によって支持され、ベースフレーム、したがって搬送装置が傾くことが防止される。したがって、ベースフレームが水平移動に対して固定されるだけでは十分ではない。
【0020】
搬送装置を使用して、シャフトから設置フレームを取り外すこともできる。この目的のために、搬送装置は、設置フレームをシャフト内に導入するのと同じ方法でシャフト開口部に配置および固定される。その後、支持フレームは、設置フレームが嵌合されていないシャフト開口部を通ってシャフト内に移動される。変位部品を有する設置フレームは、その後、支持フレームに嵌合されることができる。その後、支持フレームは、シャフトから水平にベースフレームの方向に、したがってシャフトの内側からシャフトの外側に移動される。設置フレームは、シャフトの内側または外側のいずれかで吊下げ手段から引き離されることができる。
【0021】
本発明の一実施形態では、支持フレームは、伸縮式延長レール、特に互いに平行に配置された2つの伸縮式延長レールを介してベースフレームに配置される。これにより、搬送装置の特に簡単な構成が可能になる。さらに、伸縮式延長レールの使用は、ベースフレームに対する支持フレームの容易な水平方向の変位を容易に可能にし、したがって、シャフト内への設置プラットフォームの特に容易な導入を可能にする。嵌合された設置フレームを有する支持フレームは非常に重いため、使用される伸縮式延長レールは、いわゆる頑丈な伸縮式延長レールとして設計されている。
【0022】
伸縮式延長レールは、少なくとも2つのガイドレールからなり、該ガイドレールのプロファイルは互いの中に延び、互いに対して移動されることができる。第1のガイドレール、特に外側ガイドレールは、ベースフレームに接続され、第2のガイドレール、特に内側ガイドレールは、支持フレームに接続される。ガイドレールは、例えば、ベースフレームまたは支持フレームに直接または中間ブラケットを介して接続、特にねじ止めされることができる。
【0023】
本発明の一実施形態では、ベースフレームおよび支持フレームはそれぞれ、ベースフレームに対する支持フレームの移動を制限するように設計および配置されたストッパを有する。それらはまた、それぞれ2つ以上のストッパ、特に2つのストッパを有することができる。したがって、支持フレームがベースフレームに対して過度に移動され、もはやベースフレームによって保持されることができなくなることが確実に防止されることができる。これにより、特に安全な搬送装置が確保される。
【0024】
ベースフレームおよび支持フレームのストッパは、ベースフレームに対する支持フレームの水平移動量が最大に達すると互いに接触し、したがってさらなる移動を防止する。ストッパは、例えば、ベースフレームまたは支持フレームに溶接またはねじ止めされることができる小さな金属板として設計されることができる。
【0025】
本発明の一実施形態では、支持フレームは、スピンドルドライブによってベースフレームに対して移動されることができる。これにより、ベースフレームに対する支持フレームの特に簡単な移動、したがってシャフト内への設置フレームの特に簡単な導入が可能になる。スピンドルドライブは、手動で、例えばクランクによって作動されることができる。スピンドルドライブのスピンドルをハンドドリルに連結することができ、スピンドルドライブを連結されたハンドドリルによって作動させることも可能である。さらに、駆動装置、例えばスピンドルドライブを作動させるための電気モータが、搬送装置上に恒久的に配置されることが可能である。
【0026】
スピンドルドライブのスピンドルは、特に、ベースフレームに水平方向に回転可能かつ移動不能に取り付けられ、スピンドルが回転するときに支持フレームがスピンドルに対して水平に移動されるように、ベアリングフレームに一端が接続される。スピンドルが回転すると、支持フレームはベースフレームに対して移動される。
【0027】
本発明の一実施形態では、支持フレームは、水平に対して傾斜して配置される。前記傾斜は、搬送フレームが少なくともほぼ水平に延びる床に立っているときに与えられる。支持フレームは、特に、搬送装置がシャフトのシャフト開口部に配置されたときに、シャフト開口部の方向に、したがってシャフトの方向に勾配を有するように傾斜して配置される。これは、設置フレームをシャフトに導入するとき、支持フレームおよび設置フレームは、さらなる力の印加を必要とせずに、その重量のためにシャフト開口部を通ってシャフト内にベースフレームに対して自動的に移動されることができることを意味する。これにより、シャフト内への設置フレームの導入が特に容易になる。
【0028】
傾斜は、例えば、5~15°、特に約10°とすることができる。特に、ケーブルウインチがベースフレームに配置され、ケーブルウインチによって、支持フレームは再びベースフレームの方向にシャフトから引き出されることができる。この目的のために、ケーブルウインチのケーブルは、支持フレームに接続される。ケーブルウインチおよびケーブルによって、設置フレームをシャフト内に導入するときのベースフレームに対する支持フレームの自動移動も制御されることができ、すなわち、自動移動が制動または防止されることができる。ケーブルウインチに加えて、ベースフレームに対する支持フレームの固定機構が設けられることができ、この固定機構は、支持フレームがベースフレームに対して意図せずに移動することを防止する。固定機構は、例えば、ボルトを有することができ、このボルトは、支持フレームおよびベースフレームの対応する凹部に挿入される。
【0029】
搬送装置が上述のようなスピンドルドライブを有する場合、支持フレームは、特に、水平に、すなわち傾斜していない状態で配置される。しかしながら、スピンドルドライブと支持フレームの傾斜配置との組み合わせも考えられる。
【0030】
本発明の一実施形態では、固定装置は、シャフト開口部を有するシャフト壁の外側に支持用の一次固定要素を有する。したがって、特に確実な固定を可能にすることができ、支持フレームをベースフレームに対して移動させるときの搬送装置の傾斜が特に確実に防止され得る。
【0031】
シャフト壁の外側は、この場合、シャフトから見て外側に向けられたシャフト壁側として理解されるべきである。したがって、シャフト壁の内側は、ここでは、シャフトから見て内側に向けられたシャフト壁側として理解されるべきである。
【0032】
固定装置は、特に、それぞれがシャフト開口部に対してベースフレーム上に横方向に配置された2つの一次固定要素を有する。固定中、1つまたは複数の一次固定要素は、ドア開口部を越えて突出し、したがってシャフト壁の外側でドア開口部の上方に支持され得るように、上方に、特に垂直方向に延びる。支持フレームをシャフト内に移動させるとき、特に、ベースフレーム、したがって搬送装置がシャフトの方向に傾くリスクがある。これは、シャフト開口部の上方にシャフト開口部を有するシャフト壁の外側の支持体によって確実に防止され得る。
【0033】
一次固定要素は、特に、固定中にシャフト壁の方向に主に水平に延びるスピンドルを有する。スピンドルは、一次固定要素内に回転可能かつ移動可能に取り付けられ、それにより、前記スピンドルは、対応する回転によって、例えば手動クランクによって、シャフト壁の方向に、またはシャフト壁から離れるように変位され得る。特に、スピンドルは、支持フレームがシャフトの方向に移動する前に既にシャフト壁の外側に当接するように、シャフト壁の方向に変位される。
【0034】
本発明の一実施形態では、一次固定要素は、搬送装置上の固定位置および変位位置に配置されることができる固定アームを有する。固定アームは、その固定位置において、ベースフレームをシャフト開口部に固定することを可能にし、その変位位置において、搬送装置を変位させることを可能にする。したがって、変位位置では、固定アームは搬送装置と共に変位されることができ、別個に搬送される必要はない。これは、搬送装置の特に効果的な使用を可能にする。
【0035】
固定アームの長さは、特に、対応するシャフト、特にシャフト開口部の高さに適合させることができるように変更されることができる。特に、それは複数の部品、特に2つの部品で設計され、2つの部分は、それらが互いの中に移動され、互いに分離され、例えばボルトによって互いに対して所望の位置に固定され得るように設計される。具体的には、搬送装置は、固定アームの全ての部品が変位位置で搬送装置上に配置され得るように設計される。
【0036】
本発明の一実施形態では、固定アームの少なくとも一部は、旋回軸線を中心に旋回するようにベースフレームに配置され、前記旋回軸線を中心に旋回することによって固定位置から変位位置に、およびその逆に運ばれ得る。これは、搬送装置の特に簡単な動作を可能にし、また、旋回可能に、したがってベースフレームにしっかりと接続された固定アームの部分が失われないことを確実にする。この場合、固定アームは、特に2つの部品で設計される。
【0037】
本発明の一実施形態では、固定装置は、シャフト開口部を有するシャフト壁の内側に支持用の二次固定要素を有する。したがって、特に確実な固定を可能にすることができ、支持フレームをベースフレームに対して移動させるときの搬送装置の傾きが特に確実に防止され得る。
【0038】
特に、固定装置は2つの二次固定要素を有する。固定中、1つまたは複数の二次固定要素は、ドア開口部を越えて突出し、したがってシャフト壁の内側でドア開口部の下方に支持され得るように、下方に、特に垂直方向に延びる。支持フレームをシャフト内に移動させるとき、特に、ベースフレーム、したがって搬送装置がシャフトの方向に傾くリスクがある。これは、シャフト開口部の下方にシャフト開口部を有するシャフト壁の内側の支持体によって確実に防止され得る。1つまたは複数の二次固定要素はまた、ベースフレーム、したがって搬送装置がシャフト開口部から水平方向に離れるのを防止する。
【0039】
固定装置は、異なる方法で設計されることもできる。例えば、固定装置は、シャフト開口部の前の床と天井との間を加締めることが考えられる。
【0040】
本発明の一実施形態では、ローラがベースフレームに配置され、ローラによって、ベースフレームは、ベースフレームの下方の床上に支持され、床上を転動することができる。したがって、搬送装置は、特に容易に変位され得る。
【0041】
特に、搬送装置は4個のローラを有する。特に、ローラは、垂直軸線を中心に旋回するようにベースフレームに配置され、特に相異なる方向にロックされ得る。
【0042】
本発明の一実施形態では、前述のローラに加えて支持装置がベースフレームに配置され、ローラによって、ベースフレームはシャフト開口部の前の床上に支持されることができる。このようにして、設置フレームをシャフト内に導入するときのローラへの荷重が軽減され得る。支持装置は、特に、ベースフレーム内に回転可能かつ移動可能に取り付けられた2つの垂直に整列したスピンドルを有する。適宜それらを回動させることによって、それらは、シャフト開口部の前の床上に支持されるようにベースフレームからねじ止めされることができ、また、シャフト開口部の方向に配置された少なくとも2つの車輪がもはや荷重を受けないか、または地面から吊り上げられるまで、ベースフレームを吊り上げることができる。
【0043】
本発明の一実施形態では、ベースフレームは、搬送装置を変位させるための駆動装置への連結が生成されることができるように設計および配置された連結装置を有する。したがって、搬送装置は、特に容易に変位され得る。これにより、搬送装置を特に容易に使用することができる。連結装置は、例えば、駆動装置が係合することができる金属プロファイルとして設計されることができる。駆動装置は、例えば、欧州特許出願公開第1710146号明細書による駆動装置のように設計されることができる。
【0044】
駆動装置用の連結装置の代わりに、搬送装置はまた、従動ローラまたは電気モータの形態の駆動機械を有することができる。
【0045】
本発明の一実施形態では、支持フレームは、支持フレームに嵌合されるときに設置フレームが所定の嵌合位置に案内されるセンタリング装置を有する。一方では、これにより、設置フレームを支持フレーム上の設置フレーム用に設けられた位置で確実に嵌合することが可能になり、他方では嵌合がより容易になる。
【0046】
特に、支持フレームは、複数のセンタリング装置、具体的には4つのセンタリング装置を有する。センタリング装置は、特に、挿入斜面を有し、挿入斜面は、設置フレームの延長部上の対応する斜面と相互作用する。設置フレームを支持フレームに嵌合するとき、斜面は互いにスライドし、したがって設置フレームを指定された嵌合位置に運ぶことができる。
【0047】
本発明の一実施形態では、センタリング装置は固定装置を有し、それによって、支持フレームに嵌合された設置フレームが受けフレームに固定されることができる。これにより、設置フレームが支持フレームから、したがって搬送装置から意図せずに引き離されることを防止することができる。
【0048】
固定装置は、例えば、貫通孔の形態の凹部を有することができ、凹部は、設置フレームの指定された嵌合位置に、例えば設置フレームにおける貫通孔の形態の対応する凹部と位置合わせされる。設置フレームを支持フレームに固定するために、例えば2つの凹部に固定ピンが挿入されることができ、それによって設置フレームと支持フレームとの間の確実な接続が確立される。固定装置は、センタリング装置上ではなく、別の場所に配置されることも可能である。
【0049】
特に、搬送装置は、搬送装置が吊り下げられ得る少なくとも1つのアイレットを有する。したがって、搬送装置は、例えばクレーンによって特に容易に変位され得る。
【0050】
特に、搬送装置は、2つ以上のアイレット、具体的には4つのアイレットを有する。1つまたは複数のアイレットは、特に支持フレーム上に、特に溶接されて配置される。
【0051】
前述の目的はまた、設置フレームをシャフト、特にエレベータシャフトに導入する方法によっても達成される。設置フレームは、移動式搬送装置の支持フレームに嵌合され、支持フレームに上方から支持される。支持フレームは、搬送装置のベースフレームによって支持される。本発明による方法は、少なくとも以下のステップ、すなわち、
-ベースフレーム、したがって搬送装置を、シャフトの外側のシャフト開口部でベースフレームに配置された固定装置によって固定し、それによって搬送装置の傾斜が防止されるステップと、
-ベースフレームに対して水平方向に移動可能に配置された支持フレームを、シャフトの外側からシャフト開口部を通ってシャフト内に移動させ、それによって設置フレームがシャフトの外側からシャフト開口部を通ってシャフト内に導入されるステップと、
を有する。
【0052】
この方法は、移動式搬送装置に関連して述べた利点を有する。
【0053】
特に、ステップは指定された順序で実行されるが、この順序からの逸脱も考えられる。
【0054】
嵌合、特に移動式搬送装置の支持フレームへの設置フレームの第1の嵌合は、シャフトを有する建物の外側で行うことができる。第1の嵌合の後、設置フレームは、移動式搬送装置の支持フレームに嵌合され、別のシャフトまで変位され、特に一方のシャフトにおける設置作業が完了した後に、他方のシャフトに導入される。
【0055】
嵌合後、含まれる設置フレームは、シャフトのシャフト開口部まで変位される。この変位は、建物内または建物間であり得る。駆動装置、フォークリフト、クレーン、またはトラックなどの多種多様な補助装置が変位に使用されることができる。搬送装置はまた、1人または複数人の設置者によって、手動で移動されることができ、したがって変位され得る。
【0056】
シャフトへの導入の前または後に、設置フレームは、特にシャフト内を延びる吊下げ手段に接続される。したがって、シャフト内への導入後、設置フレームは、例えばウインチの形態でシャフトの上部に配置された変位部品によって吊下げ手段によって支持フレームから上方に吊り上げられることができ、シャフト内で変位され得る。
【0057】
設置フレームが取り付けられ、吊り上げられた後、支持フレームは、特にシャフトから再び取り外される。この目的のために、これは、シャフトの内側からシャフトの外側に、すなわちベースフレームの方向に、ベースフレームに対して水平に移動される。したがって、設置フレームをシャフト内に導入するときに実行される移動は、反対方向に実行される。
【0058】
その後、シャフト開口部への固定は引き離されることができ、搬送装置はシャフト開口部から離れて変位され得る。このようにして、搬送装置は、シャフトにおけるその後の設置作業を妨げない。
【0059】
シャフトにおける設置作業が完了した後、設置フレームは、既に上述したように、移動式搬送装置の助けを借りてシャフトから取り外される。
【0060】
本発明の可能な特徴および利点のいくつかは、本発明による搬送装置および本発明による方法の異なる実施形態を参照して本明細書に記載されていることに留意されたい。当業者は、本発明のさらなる実施形態に到達するために、特徴が適切な方法で組み合わせられる、適合される、移転される、または交換されることができることを認識する。
【0061】
本発明のさらなる利点、特徴、および詳細は、以下の実施形態の説明、および同一または機能的に同一の要素に同一の参照符号を付した図面から明らかになるであろう。これらの図面は単に概略的なものであり、縮尺通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】設置フレームが嵌合された、シャフトのシャフト開口部の前に配置された移動式搬送装置を示す図である。
図2】シャフト開口部およびシャフト内に押し込まれた設置フレームに固定された状態の図1の搬送装置を示す図である。
図3】設置フレームが嵌合された、代替実施形態におけるシャフトのシャフト開口部の前に配置された移動式搬送装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1によれば、設置装置12の設置フレーム11を搬送し、設置フレーム11および設置装置12をエレベータシャフト14の形態のシャフトに導入するための移動式搬送装置10は、ベースフレーム16を有する。設置装置12はまた、設置フレーム11上に垂れ下がるように配置された産業用ロボット13の形態のメカトロニクス設置部品を有する。
【0064】
ベースフレーム16は、下部フレーム18と上部フレーム20とを有する。2つのフレーム18、20は、同一の矩形断面を有し、矩形の金属プロファイルからなる。2つのフレーム18、20は、同じく金属プロファイルからなる長さが等しい4つの垂直に延びるバー24を介して互いに接続され、これらのバーはそれぞれフレーム18、20の隅の領域に配置される。したがって、ベースフレーム16の2つのフレーム18、20は、互いに平行に配置される。したがって、ベースフレーム16は、直方体の基本形状を有する。したがって、2つのフレーム18、20およびバー24は、ベースフレーム16の基本構造を形成する。
【0065】
ベースフレーム16の下部フレーム18の下側には4個のローラ26が配置されており、それを介してベースフレーム16、したがって搬送装置10は、ベースフレーム16の下方の床28上に支持される。ローラ26は、下部フレーム18上の垂直軸線を中心に旋回可能に配置され、相異なる方向にロックされることができる。したがって、搬送装置10は、ローラ26が床28上を転動することにより、床28上を移動され得る。ベースフレーム16の下部フレーム18の合計3つの側部には、連結装置30が、底部で開いており、駆動される搬送装置32が係合することができ、したがって搬送装置10に駆動力を加えることができる金属プロファイルの形態で配置されている。駆動装置32は、例えば、欧州特許出願公開第1710146号明細書による駆動装置のように設計されることができる。
【0066】
ベースフレーム16の上部フレーム20は、設置装置12の設置フレーム11が上方から支持される支持フレーム34を支持する。したがって、支持フレーム34は水平に配置され、したがって水平に対して傾斜していない。それはまた、矩形の断面を有し、矩形の金属プロファイルからなる。支持フレーム34の断面は、ベースフレーム16の2つのフレーム18、20の断面と同一である。アイレット36は、支持フレーム34上に、その四隅の各々の領域において配置され、アイレットによって、搬送装置10は適切なケーブル(図示せず)上で吊り下げられることができ、変位されることができる。支持フレーム34は、互いに平行に配置され、図1では見られることができない2つの伸縮式延長レール(図2の17)を介して、ベースフレーム16の上部フレーム20に接続されている。したがって、支持フレーム34および設置装置12は、ベースフレーム16に対してエレベータシャフト14の方向に水平に移動されることができる。
【0067】
ベースフレーム16に対する支持フレーム34の移動は、スピンドルドライブ38によって生じる。スピンドルドライブ38は、ベースフレーム16の上部フレーム20上のL字型の付加部42に回転可能に取り付けられ、水平方向に移動可能に取り付けられることができないスピンドル40を有する。スピンドル40はまた、スピンドル40が回転するときに支持フレーム34がスピンドル40に対して水平に移動されるように、支持フレーム34に接続される。スピンドル40が回転すると、支持フレーム34がベースフレーム16に対して移動される。スピンドル40は、手動クランク(図示せず)によって回動および回転可能である。ハンドドリル(図示せず)がスピンドル40に連結され、それと共に回動または回転されることも可能である。
【0068】
第1のストッパ44は、エレベータシャフト14の方向に向けられたその端部においてベースフレーム16の上部フレーム20に配置されている。この第1のストッパ44は、エレベータシャフトから離れる方向に向いた、支持フレーム34の端部に配置された第2のストッパ46と共に、ベースフレーム16に対する支持フレーム34の水平移動を制限する。2つのストッパ44、46は、最大移動に達したときに互いに接触し、したがって、エレベータシャフト14の方向へのベースフレーム16に対する支持フレーム34のさらなる変位を防止する。この様子を図2に示す。
【0069】
ベースフレーム16には、エレベータシャフト14のシャフト壁52のシャフト開口部50にベースフレーム16を固定し、搬送装置10の傾斜を防止するための固定装置48も配置されている。図1は、搬送装置10の変位を可能にする搬送位置にある固定装置48を示す。固定装置48は、ベースフレーム16上に横方向に配置された2つの一次固定要素54を有し、図1および図2では1つの一次固定要素54のみが見える。一次固定要素54は、ベースフレーム16の上部フレーム20に固定して配置された旋回軸58を中心に旋回可能な下部アーム部分60と、上部アーム部分62とからなる2つの部分で構成される固定アーム(図2の56)を有する。旋回可能なアーム部分60は、ボルト61によってベースフレーム16の上部フレーム20に対して固定されることができる。上部アーム部分62は、下部アーム部分60に挿入可能であり、ボルト(図示せず)によって様々な位置で固定可能である。したがって、固定アーム56の長さは調整可能であり、シャフト開口部50の高さに適合され得る。その搬送位置において、上部アーム部分62は、ブラケット(図示せず)によってベースフレーム16の上部フレーム20に締結される。
【0070】
固定装置48はまた、垂直方向に移動可能であり、ベースフレーム16の下部フレーム18のシャフト側端部に配置された2本のピン64の形態の二次固定装置を有する。図1および図2では、1本のピン64のみが見える。ピン64は、ボルト(図示せず)によって相異なる高さに固定されることができる。図1において、すなわち固定装置48の搬送位置において、ピン64は、それらが床28の上方で終端し、したがって搬送装置10の変位を妨げないように配置されている。
【0071】
2つの垂直に整列したスピンドル66の形態の2つの支持装置が、ベースフレーム16の下部フレーム18上のそのシャフト側端部の領域に配置され、図1および図2では1つのスピンドル66のみが見える。スピンドル66は、対応する回転によって、下部フレーム18からさらにまたは少し下に突出することができる。図1では、スピンドル66は、それらが床28の上方で終端し、したがって搬送装置10の変位を妨げないように配置されている。
【0072】
設置フレーム11を有する設置装置12をエレベータシャフト14に導入するために、設置装置12は、搬送装置10の支持フレーム34に嵌合されなければならない。第1の嵌合は、エレベータシャフト14が配置される建物の外側で行われる。設置装置12は、特にクレーンによって支持フレーム34に嵌合される。この目的のために、設置装置12はアイレット68から吊り下げられることができる。アイレット68はまた、エレベータシャフト14内のウインチの形態の変位部品(図示せず)の吊下げ手段(図示せず)から設置装置12を吊り下げるために使用される。
【0073】
設置装置12、したがって設置フレーム11を所定の嵌合位置に運ぶために、支持フレーム34は4つのセンタリング装置70を有し、そのうちの2つのみが図1および図2に見られる。センタリング装置70は、設置フレーム11の下方に向けられた延長部72の対応する斜面と相互作用する、円錐状に配置された挿入斜面を有する。設置フレーム11を支持フレーム34に嵌合するとき、対応する斜面が互いにスライドして、設置フレーム11を図1および図2に示す指定された嵌合位置に運ぶ。
【0074】
センタリング装置70の各々は、固定装置74を有し、それによって、支持フレーム34に嵌合された設置フレーム11は受けフレーム34に固定されることができる。固定装置74は、センタリング装置に貫通孔(図示せず)を有し、この貫通孔は、設置フレーム11の延長部72における対応する貫通孔(図示せず)と、設置フレーム11の指定された嵌合位置において位置合わせされている。設置フレーム11を支持フレーム34に固定するために、固定ピン76が2つの貫通孔に挿入され、それによって設置フレーム11と支持フレーム34との間の確実な接続が確立される。
【0075】
支持フレーム34への設置フレーム11の上述の嵌合は、エレベータシャフトへの設置作業が完了された後に行うこともできる。これについては、以下でより詳細に説明する。
【0076】
設置フレーム11を支持フレーム34に嵌合させた後、設置フレーム11を含む搬送装置10は、エレベータシャフト14のシャフト開口部50まで変位される。搬送装置10は、二次固定装置の垂直ピン64がエレベータシャフト14内に真っ直ぐに配置され、床28上を下方に移動されることができるように、シャフト開口部50の前に位置決めされる。この位置を図1および図2に示す。
【0077】
設置装置12、したがって設置フレーム11をエレベータシャフト14内に導入するために、固定装置48が図2に示すその固定位置に運ばれ、したがってベースフレーム16および搬送装置10がシャフト開口部50に固定される。この目的のために、上部アーム部分62は、ベースフレーム16の上部フレーム20上のそれらのブラケットから取り外され、それらの関連する下部アーム部分60に挿入される。固定アーム56の長さは、シャフト開口部50をわずかに超えて突出するように調整される。固定アーム56は、その後、それらの旋回軸58を中心に上方にそれらの固定位置に旋回され、ボルト63によってベースフレーム16の下部フレーム18に対してこの位置に固定される。
【0078】
固定アーム56、具体的には上部アーム部分62は、それぞれその上端にスピンドル78を有し、このスピンドルは、固定アーム56が固定位置にあるときにシャフト壁52の方向に水平に延びる。スピンドル78は、前記スピンドルが手動クランク80による対応する回転によってシャフト壁52の方向に、またはシャフト壁52から離れるように変位されることができるように、固定アーム56に回転可能かつ移動可能に取り付けられている。ベースフレーム16、したがって搬送装置10をシャフト開口部50に固定するために、スピンドル78は、シャフト壁52の外側82に当接するようにシャフト壁52の方向に変位され、したがってシャフト壁52の外側82上に支持される。上述したように、固定アーム56はシャフト開口部50を越えて上方に突出しているので、スピンドル78、したがって固定アーム56は、シャフト開口部59を有するシャフト壁52の外側82でシャフト開口部50の上方に支持される。この状態を図2に示す。
【0079】
固定装置48をその固定位置に運ぶために、2本のピン64の形態の二次固定装置もその固定位置に運ばれる。この目的のために、2本のピン64は、床28の下方で終端するように十分に押し下げられる。したがって、それらの下部領域では、シャフト開口部50を有するシャフト壁52の内側84に当接し、したがって内側84上で支持されることができる。ピン64は床28の下方で終端するので、ピン64は、シャフト開口部50の下方で、シャフト開口部50を有するシャフト壁52の内側84上に支持される。この状態を図2に示す。
【0080】
ローラ26、特にシャフト側の2つのローラ26への荷重を軽減するために、設置装置12をエレベータシャフト14に導入するとき、支持装置のスピンドル66は、それらが床28上に支持され、2つのシャフト側ローラ26がもはや荷重を受けないように、ベースフレーム16の下部フレーム18から下方に回転される。この状態を図2に示す。
【0081】
ベースフレーム14および搬送装置10をシャフト開口部50に固定した後、固定装置74の固定ピン76が取り外される(図1参照)ことにより、設置フレーム11、したがって設置装置12が支持フレーム34から吊り上げられることができる。
【0082】
続いて、スピンドルドライブ38のスピンドル40を回動または回転させることによって、支持フレーム34、したがって設置フレーム11を有する設置装置12は、エレベータシャフト14の方向にベースフレーム16に対して水平に移動される。支持フレーム34をベースフレーム16の上部フレーム20に接続する2つの伸縮式延長レール17は、引き離される。したがって、支持フレーム34は、設置装置12および設置フレーム11と共に、エレベータシャフト14の外側からシャフト開口部50を通ってエレベータシャフト14内に移動される。変位は、ベースフレーム16の上部フレーム20上の第1のストッパ44が支持フレーム34上の第2のストッパ46と接触するまで継続し、こうして移動が終了される。この状態を図2に示す。
【0083】
エレベータシャフト14内への移動が終了された後、設置フレーム11、したがって設置装置12は、アイレット68を介して、エレベータシャフト14内のウインチの形態の変位部品(図示せず)の吊下げ手段(図示せず)に接続される。続いて、設置フレーム11を有する設置装置12は、ウインチおよび吊下げ手段によって支持フレーム34から吊り上げられる。
【0084】
続いて、支持フレーム34がベースフレーム14の方向に戻され、シャフト開口部50上の固定部48が引き離される。これにより、搬送装置10は、図1に示す状態に戻される。その後、搬送装置10は、シャフト開口部50から離れるように変位され得る。
【0085】
設置装置12は、その後、エレベータシャフト14内で必要な設置ステップを実行することができる。設置ステップが完了した後、設置装置12は、搬送装置10によってエレベータシャフト14から再び取り外される。この目的のために、これは図2に示す位置に戻され、設置装置12は、ウインチおよび吊下げ手段によって支持フレーム34に嵌合される。設置装置12の導入に関連して説明したステップは、続いて逆の順序で実行される。
【0086】
図3は、シャフト114のシャフト開口部150の前において、シャフト開口部50の前の図1の搬送装置10と同じ位置にある、設置フレーム111が嵌合された搬送装置110の代替実施形態を示す。図3の搬送装置110は、図1の搬送装置10とわずかしか異なっていないので、ここでは、2つの搬送装置の違いについてのみ説明される。
【0087】
搬送装置110のベースフレーム116の垂直に延びるバーは、下部フレーム118を上部フレーム120に接続するが、同じではなく、相異なる長さを有する。シャフト開口部150に面するバー124aは、シャフト開口部150から離れる方向に向いたバー124bよりも短いので、ベースフレーム116の上部フレーム120は、シャフト開口部150の方向に傾斜している。したがって、ベースフレーム116の上部フレーム120によって支持された支持フレーム134も、シャフト開口部150の方向に傾斜している。
【0088】
ケーブルウインチ140は、ベースフレーム116の上部フレーム120に配置され、手動クランク142で作動されることができる。ケーブルウインチ140の図示されていないケーブルは、支持フレーム134に接続される。ケーブルウインチ142は、支持フレーム134の傾斜によって生じるベースフレーム116に対する支持フレーム134の自動移動を防止または制御するために使用されることができる。設置装置112がシャフト114内に導入され、変位部品のケーブル上に吊り下げられた後、支持フレーム134は、ケーブルウインチ142を使用してシャフト114から引き戻され、したがってベースフレーム116の方向に戻されることができる。
【0089】
最後に、「有する(having)」、「含む(comprising)」などの用語は、他の要素またはステップを排除せず、「1つの(a)」または「1つの(an)」などの用語は、複数性を排除しないことに留意されたい。さらに、上記の実施形態のうちの1つを参照して説明された特徴またはステップはまた、上記の他の実施形態の他の特徴またはステップと組み合わせて使用され得ることに留意されたい。請求項における参照符号は、限定的であると見なされるべきではない。
図1
図2
図3