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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-11
(45)【発行日】2025-04-21
(54)【発明の名称】処理設備および軌道作業を実行する方法
(51)【国際特許分類】
   E01B 27/16 20060101AFI20250414BHJP
   B61L 25/02 20060101ALI20250414BHJP
   B61D 15/00 20060101ALI20250414BHJP
   B64U 20/87 20230101ALI20250414BHJP
【FI】
E01B27/16
B61L25/02 G
B61D15/00 B
B64U20/87
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022548722
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2021052745
(87)【国際公開番号】W WO2021160526
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】102020201689.5
(32)【優先日】2020-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507069564
【氏名又は名称】ローベル バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBEL Bahnbaumaschinen GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 31, D-83395 Freilassing, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】グレゴア シュミート
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ノット
(72)【発明者】
【氏名】ヤン フレーミッヒ
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03178720(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0016350(US,A1)
【文献】特開2018-090147(JP,A)
【文献】国際公開第2019/035960(WO,A1)
【文献】特開2018-179534(JP,A)
【文献】特開2017-185892(JP,A)
【文献】特開2011-089262(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107697103(CN,A)
【文献】特開平06-049802(JP,A)
【文献】特開2006-224737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 27/00 - 37/00
B61L 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道作業を実行するための処理設備であって、
少なくとも1つの処理装置(11,12,50)を含む鉄道車両(6)と、
記鉄道車両(6)の位置を特定するための少なくとも1つの位置測定装置(27,28,31)と、
特定された前記位置に依存して、前記鉄道車両(6)を制御するための制御装置(32)と、
を有する処理設備において、
前記鉄道車両(6)に許容される作業空間(A)を、レール長手方向に対応する水平面内のx方向に、かつレール横方向に対応する水平面内のy方向に定めて監視する監視装置(19)を有し、前記制御装置(32)は、定められた前記作業空間(A)に依存して、前記鉄道車両(6)を制御するように構成されている、処理設備
【請求項2】
前記鉄道車両(6)は、運転者なしで、かつ/またはオペレータなしで作動するように構成されていることを特徴とする、請求項1記載の処理設備。
【請求項3】
少なくとも1つの前記処理装置(11,12,50)を制御するための少なくとも1つのセンサ(18)を有することを特徴とする、請求項1または2記載の処理設備。
【請求項4】
少なくとも1つの前記処理装置(50)が多軸ロボットとして構成されていることを特徴とする、請求項1から3までの少なくとも1項記載の処理設備。
【請求項5】
少なくとも1つの前記位置測定装置(27,28,31)が非接触に構成されていることを特徴とする、請求項1から4までの少なくとも1項記載の処理設備。
【請求項6】
少なくとも1つの前記位置測定装置(27,28)が機械式に構成されていることを特徴とする、請求項1から5までの少なくとも1項記載の処理設備。
【請求項7】
第1位置測定信号(x)を供給するための第1位置測定装置(27)と、第2位置測定信号(x)を供給するための第2位置測定装置(28)とを有することを特徴とする、請求項1から6までの少なくとも1項記載の処理設備。
【請求項8】
前記監視装置(19)には、前記鉄道車両(6)の、前記水平面内のx方向における第1の側および第2の側に配置するための少なくとも2つの監視ユニット(20,21)が含まれていることを特徴とする、請求項1から7までの少なくとも1項記載の処理設備。
【請求項9】
前記監視装置(19)には、少なくとも1つの光学式監視ユニット(46)が含まれていることを特徴とする、請求項1から8までの少なくとも1項記載の処理設備。
【請求項10】
前記監視装置(19)には、少なくとも1つの飛行体(45)が含まれていることを特徴とする、請求項1から9までの少なくとも1項記載の処理設備。
【請求項11】
前記作業空間(A)外で前記鉄道車両(6)を機械式に停止するための安全装置(40)を有することを特徴とする、請求項1から10までの少なくとも1項記載の処理設備。
【請求項12】
少なくとも1つの前記処理装置(50)用の工具(W)を供給するための工具マガジン(52)を有することを特徴とする、請求項1から11までの少なくとも1項記載の処理設備。
【請求項13】
エネルギ供給のためのエネルギ供給装置(36)を有することを特徴とする、請求項1から12までの少なくとも1項記載の処理設備。
【請求項14】
前記制御装置(32)は、信号を送信するための少なくとも1つの送信器(33,55)および/または信号を受信するための少なくとも1つの受信器(34,56)を有することを特徴とする、請求項1から13までの少なくとも1項記載の処理設備。
【請求項15】
軌道作業を実行する方法であって、
請求項1から14までの少なくとも1項記載の処理設備(1)を準備するステップと、
前記監視装置(19)によって作業空間(A)を定めるステップと、
前記鉄道車両(6)を移動して、定められた前記作業空間(A)内で軌道作業を実行するステップと、を有し、
少なくとも1つの前記位置測定装置(27,28,31)によって前記鉄道車両(6)の前記位置を特定し、
特定した前記位置および定めた前記作業空間(A)に依存し、前記制御装置(32)によって前記鉄道車両(6)を制御し、
前記作業空間(A)は、前記監視装置(19)によって監視され、
前記鉄道車両(6)が誤って移動することにより、かつ前記作業空間(A)内に入る対象体により、かつ/または前記作業空間(A)内に入る人により、少なくとも1つの作業空間境界に侵入される場合、前記鉄道車両(6)および/または前記少なくとも1つの処理装置(11,12,50)が停止される
軌道作業を実行する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
独国特許出願第102020201689.5号の内容は、参照によって本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、処理設備および軌道作業を実行する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
国際公開第2017/121441号(米国特許出願公開第2019/016350号明細書に対応)からは、車両フレームと側壁とにより、保護される作業空間を画定する保守用車両が公知である。作業空間内では、作業員によってまたは産業ロボットによって軌道作業が実行される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の根底にある課題は、容易かつ安全な仕方で、軌道作業の自動実行を可能にする処理設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴的構成を有する処理設備によって解決される。鉄道車両は、必要な軌道作業を実行するために、定められた作業空間内で作動される。作業空間は、監視装置により、少なくとも1つの空間方向に、特に少なくとも2つの空間方向に、特に3つの空間方向に定められる。好適には、作業空間は、レール長手方向に対応する、水平面内のx方向に、かつ/または、レール横方向に対応する、水平面内のy方向に定められる。軌道作業を実行する際には、少なくとも1つの位置測定装置を用いて鉄道車両の位置を特定し、特定された位置に依存し、制御装置を用いて鉄道車両の移動を制御する。鉄道車両には特に、走行駆動装置が配置された走行装置が含まれている。したがって、軌道作業は、鉄道車両および少なくとも1つの処理装置によって容易に自動的に実行可能である。鉄道車両および少なくとも1つの処理装置を作動させる際には特に、定められた作業空間内に人、すなわち運転者および/または作業員はいない。作業空間は、監視装置によって監視される。鉄道車両が誤って移動することにより、かつ/または作業空間にある対象体により、かつ/または作業空間にいる人により、少なくとも1つの作業空間境界に侵入される場合、鉄道車両もしくは走行駆動装置、および/または少なくとも1つの処理装置が停止される。これにより、処理設備の安全な動作が保証される。
【0006】
制御装置には好適には、作業空間外に配置されている第1制御ユニットと、作業空間内に配置されている第2制御ユニットとが含まれている。制御装置は特に、少なくとも部分的に鉄道車両に配置されている。第2制御ユニットは、例えば、鉄道車両に配置されている。制御ユニットは、互いに信号接続されている。第1制御ユニットには、例えば、種々異なる処理プログラムが記憶されておりかつ選択可能である。選択された処理プログラムは、第2制御ユニットに伝送され、次いでこの第2制御ユニットでは、軌道作業を実行するために処理プログラムが作動する。少なくとも1つの位置測定装置および/または監視装置の信号は、第1制御ユニットおよび/または第2制御ユニットに伝送され、これにより、鉄道車両は、許容されない動作状態が識別される場合に停止される。
【0007】
請求項2記載の処理設備により、容易かつ安全な仕方で、軌道作業の自動実行が保証される。運転者なしで、かつ/またはオペレータなしで作動するために、鉄道車両は、処理タスクもしくは処理対象の対象体を検出するためのセンサシステムを有している。処理設備にはさらに、少なくとも1つの処理装置を用いて、処理対象の対象体を処理するために、制御装置に実装される処理プログラムが含まれている。好適には、鉄道車両にさらに、処理結果または処理された対象体をチェックするためのセンサシステムが含まれている。
【0008】
請求項3記載の処理設備により、容易かつ安全な仕方で、軌道作業の自動実行が保証される。少なくとも1つのセンサにより、処理タスクもしくは処理対象の対象体が検出され、かつ/または、処理結果もしくは処理された対象が検出される。したがって、少なくとも1つのセンサにより、鉄道車両および少なくとも1つの処理装置の、運転者なしのかつ/またはオペレータなしの作動が可能になる。少なくとも1つのセンサは特に、鉄道車両に、例えば少なくとも1つの処理装置に配置されている。
【0009】
請求項4記載の処理設備により、容易かつ安全な仕方で、軌道作業の自動実行が保証される。多軸ロボットは特に、産業ロボットとして構成されている。多軸ロボットには好適には、少なくとも3つの運動軸、特に少なくとも4つの運動軸、特に少なくとも5つの運動軸、特に6つの運動軸が含まれている。多軸ロボットには特に、工具を収容するための工具収容部が含まれている。
【0010】
請求項5記載の処理設備により、容易かつ安全な仕方で、軌道作業の自動実行が保証される。少なくとも1つの位置測定装置は、例えば、レーザ測定装置として、衛星支援位置特定システム用の位置信号受信器として、かつ/または、例えば、架線マストおよび/または信号マストに配置されている測定点を検出するための光学式測定システムとして構成されている。少なくとも1つの位置測定装置は好適には、少なくとも部分的に鉄道車両に固定されている。
【0011】
請求項6記載の処理設備により、容易かつ安全な仕方で、軌道作業の自動実行が保証される。少なくとも1つの位置測定装置は、少なくとも部分的に鉄道車両に固定されている。少なくとも1つの位置測定装置は、例えば、作業空間を定義して監視するために、鉄道車両および監視ユニットに固定されている測定ロープとして構成されている。監視ユニットは、例えば、軌道のまくらぎに固定されており、水平面内のx方向に、またはレール長手方向に作業空間を画定する。監視ユニットは、レール長手方向に見ると、例えば、まくらぎの中央に配置されている。監視ユニットには、例えば、測定ロープが固定されている支持架台が含まれている。
【0012】
請求項7記載の処理設備により、容易かつ安全な仕方で、軌道作業の自動実行が保証される。2つの位置測定装置により、位置測定が冗長に行われる。2つの位置測定信号から、鉄道車両の位置を正確に特定することができる。位置測定装置の故障および/または障害の際には、少なくとも1つの安全確保手段を導入することができ、例えば、警告信号を生成し、かつ/または軌道作業の実行を停止することができる。好適には、位置測定装置により、異なる測定方式による位置測定信号が供給される。第1位置測定装置は、例えば、第1測定方式に基づくのに対し、第2位置測定装置は、別の第2測定方式に基づく。これにより、位置測定の高い信頼性が保証され、ひいては処理設備の高い安全性が保証される。
【0013】
請求項8記載の処理設備により、容易かつ安全な仕方で、軌道作業の自動実行が保証される。少なくとも2つの監視ユニットにより、水平面内のx方向に、鉄道車両用の作業空間が画定される。水平面内のx方向は、レール長手方向に対応する。したがって、少なくとも2つの監視ユニットにより、処理対象の軌道区間が、レール長手方向に画定される。鉄道車両が定められた作業空間を離れる場合、この鉄道車両は複数の監視ユニットの1つを跨ぐ。このことは、監視装置によって識別され、これにより、制御装置によって鉄道車両を停止させることができる。少なくとも1つの監視ユニットには特に、少なくとも1つの位置測定装置が部分的に固定されている。例えば、少なくとも1つの位置測定装置を測定ロープとして構成する際には、この測定ロープは、複数の監視ユニットの1つの監視ユニットに固定される。少なくとも1つの位置測定装置をレーザ測定装置として構成する際には、例えば、複数の監視ユニットの1つに反射器が固定される。
【0014】
請求項9記載の処理設備により、容易かつ安全な仕方で、軌道作業の自動実行が保証される。少なくとも1つの光学式監視ユニットにより、鉄道車両の周りの空間が検出される。監視装置により、検出された空間または検出空間内に作業空間が定義される。少なくとも1つの光学式監視ユニットは特に、鉄道車両の上方の、垂直面内のz方向に配置されている。少なくとも1つの光学式監視ユニットは、例えば、クレーンおよび/または飛行体に配置されている。少なくとも1つの光学式監視ユニットには、例えばデジタルカメラが含まれている。監視装置には好適には画像処理ユニットが含まれており、これにより、少なくとも1つの光学式監視ユニットによって特定される画像データを評価することができ、定義された作業空間を監視することができる。例えば、画像処理ユニットにより、作業空間に侵入する人および/または対象体を識別して、鉄道車両もしくは走行駆動装置および/または少なくとも1つの処理ユニットを停止させることができる。
【0015】
請求項10記載の処理設備により、容易かつ安全な仕方で、軌道作業の自動実行が保証される。少なくとも1つの飛行体には、鉄道車両の周りの空間を検出する監視ユニットが配置されている。監視ユニットは特に光学式に構成されている。監視装置により、検出された空間または検出空間内に鉄道車両用の作業空間が定義される。検出される空間内の作業空間の大きさは、環境影響に依存して変更可能である。したがって、例えば風のような環境影響に依存する、少なくとも1つの飛行体の望ましくない運動を補正することができる。好適には、監視装置に気象データが供給される。検出される空間内の作業空間の大きさは、供給される気象データに依存して変更可能である。少なくとも1つの飛行体は特に、ドローンとして構成されている。
【0016】
少なくとも1つの飛行体は、鉄道車両の位置に依存して移動可能である。好適には少なくとも1つの飛行体は、鉄道車両と同期して移動される。これにより、長い軌道区間の処理を可能にする動的な作業空間が生成される。
【0017】
対象体および/または人が作業空間に到達する場合、かつ/または、少なくとも1つの飛行体が飛行のための十分なエネルギをもはや有せずに着陸しなければならない場合、かつ/または、鉄道車両がもはや検出されない場合、鉄道車両もしくは走行駆動装置および/または少なくとも1つの処理装置は停止される。
【0018】
監視装置には、鉄道車両用の作業空間を定義するための監視ユニットを備えた飛行体に加えて、監視ユニットを備えた少なくとも1つの別の飛行体が含まれていてよい。この別の監視ユニットにより、作業空間と、そこに存在する鉄道車両とに対する所定の間隔で、軌道が監視される。この間隔は、例えば、少なくとも1km、特に少なくとも2km、また特に少なくとも3kmである。これにより、作業空間にやって来る鉄道車両、例えば、客車または貨物列車を早期に識別して、急ブレーキをかけることができる。監視装置は好適には、作業空間の両側に配置されている、所属の監視ユニットを備えた別の2つの飛行体を有する。
【0019】
請求項11記載の処理設備により、容易かつ安全な仕方で、軌道作業の自動実行が保証される。鉄道車両が制御されずに作業空間を離れる場合、安全装置によって鉄道車両が機械式に停止される。安全装置により、鉄道車両を例えば脱線させることができる。これによって、鉄道車両が工事現場エリアを離れてしまうことが確実に阻止される。
【0020】
請求項12記載の処理設備により、容易かつ安全な仕方で、軌道作業の自動実行が保証される。工具マガジンは特に、作業空間内に配置され、好適には鉄道車両にまたは軌道の横に配置される。軌道作業を行うのに別の工具が必要な場合、自動的な工具交換を実行することができる。工具交換は、例えば、もはや必要でない工具を工具マガジンにしまって、新たな工具を工具マガジンから取り出す少なくとも1つの処理装置によって実行される。代替的には、処理設備はさらに、自動的な工具交換を実行する工具交換器を有していてよい。
【0021】
請求項13記載の処理設備により、容易かつ安全な仕方で、軌道作業の自動実行が保証される。エネルギ供給装置には好適には、電気エネルギを供給する少なくとも1つのエネルギ蓄積器が含まれている。少なくとも1つのエネルギ蓄積器には特に、少なくとも1つの蓄電池が含まれている。鉄道車両、特に走行駆動装置および/または少なくとも1つの処理装置は好適には、電気エネルギによって駆動される。鉄道車両には特に、走行駆動装置および/または少なくとも1つの処理装置用の駆動装置に電気エネルギを供給する少なくとも1つのエネルギ蓄積器が配置されている。エネルギ蓄積器は好適には、交換可能かつ/または再充電可能である。エネルギ供給装置には、例えば、エネルギ蓄積器を再充電するための充電ステーションが含まれている。エネルギ供給装置は、例えば、架線に接続可能である。
【0022】
請求項14記載の処理設備により、容易かつ安全な仕方で、軌道作業の自動実行が保証される。制御装置は、少なくとも1つの位置測定装置および/または監視装置と信号接続されている。これにより、故障時にかつ/または作業空間に侵入があった場合に、鉄道車両もしくは走行駆動装置および/または少なくとも1つの処理装置を停止させることができる。制御装置には好適には、作業空間外に配置されている第1制御ユニットと、作業空間内に配置されている第2制御ユニットとが含まれている。第2制御ユニットは好適には、鉄道車両に配置されている。第1制御ユニットおよび第2制御ユニットは互いに信号接続されている。これにより、第1制御ユニットから第2制御ユニットに、かつ/または第2制御ユニットから第1制御ユニットに、信号を伝送可能である。監視装置および/または少なくとも1つの位置測定装置は、第1制御ユニットに、かつ/または第2制御ユニットに信号接続されている。
【0023】
本発明の根底にある課題はさらに、容易かつ安全な仕方で、軌道作業の自動実行を可能にする方法を提供することである。
【0024】
この課題は、請求項15の特徴的構成を有する方法によって解決される。本発明による方法の利点は、本発明による処理設備のすでに説明した利点に対応する。
【0025】
別の特徴的構成、利点および詳細は、複数の実施例の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1実施例による処理設備の概略図である。
図2図1による処理設備の平面図である。
図3】第2実施例による処理設備の概略図である。
図4】第3実施例による処理設備の概略図である。
図5図4による処理設備の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、図1および図2に基づき、本発明の第1実施例を説明する。処理設備1は、軌道2において軌道作業を実行するために使用される。軌道2には、レール長手方向または水平面内のx方向に延び、かつx方向に対して垂直方向に延びる、水平面内のy方向に離隔されている複数のレール3が含まれている。これらのレール3は(垂直面内のz方向に見て)まくらぎ4上に配置されている。まくらぎ4は、バラスト道床5に埋め込まれている。z方向は、x方向およびy方向に対して垂直に延びている。x方向、y方向およびz方向は、デカルト座標系を形成している。
【0028】
処理設備1には鉄道車両6が含まれている。鉄道車両6には、車輪9を備えた2つの軸8が回転可能に支承されている車両フレーム7が含まれている。車両フレーム7には、複数の軸8の1つを回転駆動するための電気式走行駆動装置10が配置されている。
【0029】
車両フレーム7には2つの処理装置11,12が配置されている。処理装置11,12は、タンピングユニットとして構成されている。それぞれの処理装置11,12には、タンピングツール14が回転軸の周りに旋回可能に支承されている支持フレーム13が含まれている。タンピングツール14を備えたそれぞれの支持フレーム13は、駆動部15によってz方向に移動可能である。駆動部16,17により、タンピングツール14を振動運動させることができ、これらのタンピングツール14をペアで互いに送ることができる。処理装置11,12は、公知かつ一般的である。
【0030】
まくらぎ4を検出するために、車両フレーム7にはセンサ18が配置されている。センサ18は光学式に構成されている。センサ18は、例えば、デジタルカメラとして構成されている。
【0031】
処理設備1にはさらに、監視装置19が含まれている。監視装置19は、鉄道車両6に許容される作業空間Aを定めて監視するために使用される。監視装置19には2つの機械式の監視ユニット20,21が含まれている。監視ユニット20,21は、x方向に互いに離隔されて軌道2に固定されている。鉄道車両6は、監視ユニット20,21間に配置されている。
【0032】
監視ユニット20,21にはそれぞれ1つの支持架台22が含まれている。それぞれの支持架台22は、例えば、x方向に見て、まくらぎ4に対して中央に配置される。それぞれの支持架台22には検出器23が配置されている。検出器23は、鉄道車両6がそれぞれの監視ユニット20,21に到達すると、鉄道車両6を検出する。したがって、監視ユニット20,21により、x方向またはレール長手方向に作業空間Aが定められ、処理対象の軌道区間が定義される。
【0033】
それぞれの監視ユニット20,21にはさらに、レーザビーム生成および受信器24と反射器25とが含まれており、これらは、y方向において端部が支持架台22に配置されている。第1監視ユニット20のレーザビーム生成および受信器24には、第2監視ユニット21の反射器25が、x方向において対向して配置されており、また逆も同様である。これにより、2つの光格子Lが生成され、これらの光格子Lにより、軌道2に対し、y方向に見て側方に作業空間Aが定められて監視される。
【0034】
それぞれの監視ユニット20,21には、さらに信号発生器26が含まれている。検出器23によって鉄道車両6が検出され、かつ/またはレーザビーム生成および受信器24によって所属の光格子Lが遮られたことが検出されると、所属の信号発生器26によって緊急停止信号が生成される。
【0035】
鉄道車両6の位置を特定するために、処理設備1は、第1位置測定装置27および第2位置測定装置28を有している。それぞれの位置測定装置27,28は、レーザ測定装置として構成されておりかつ送受信ユニット29および所属の反射器30を含んでいる。送受信ユニット29は、x方向において端部が鉄道車両6に固定されている。所属の反射器30は、監視ユニット20,21の支持架台22に固定されている。第1位置測定装置27は、送受信ユニット29と反射器30との間の間隔xを、ひいては反射器30に対する鉄道車両6の位置を測定する。これに対応して、第2位置測定装置28は、送受信ユニット29と反射器30との間の間隔xを、したがって反射器30に対する鉄道車両6の位置を測定する。位置測定装置27,28は、光学式に、したがって非接触に構成されている。
【0036】
処理設備1にはさらに、第3位置測定装置31が含まれている。第3位置測定装置31はGPS受信器として構成されており、鉄道車両6の絶対位置を特定することができる。第3位置測定装置31は、鉄道車両6に固定されている。
【0037】
特定した位置および定めた作業空間Aに依存して鉄道車両6を制御するために、処理設備1には制御装置32が含まれている。制御装置32は、位置測定装置27,28および31と、監視ユニット20,21と信号接続されている。制御装置32には、信号を送信するための送信器33と、信号を受信するための受信器34とが含まれている。受信器34は、監視ユニット20,21の緊急停止信号を受信するために信号発生器26に信号接続されている。制御装置32は、送信器33により、詳しく示されていない中央管理部に信号接続されている。緊急停止信号の場合、制御装置32は、送信器33により、対応する信号を中央管理部に送信する。制御装置32は、制御部35により、走行駆動装置10および処理装置11,12の駆動部15,16,17を制御する。
【0038】
エネルギ供給のために、処理設備1にはエネルギ供給装置36が含まれている。エネルギ供給装置36には、電気エネルギを供給する第1エネルギ蓄積器37が含まれている。第1エネルギ蓄積器37は、鉄道車両6に配置されている。第1エネルギ蓄積器37により、走行駆動装置10と、処理装置11,12と、位置測定装置27,28,31と、センサ18と、制御装置32とに電気エネルギが供給される。
【0039】
エネルギ供給装置36にはさらに、第2エネルギ蓄積器38および第3エネルギ蓄積器39が含まれている。エネルギ蓄積器38により、第1監視ユニット20に電気エネルギが供給されるのに対し、エネルギ蓄積器39により、第2監視ユニット21に電気エネルギが供給される。
【0040】
処理設備1にはさらに、2つの脱線要素41,42を備えた安全装置40が含まれている。脱線要素41,42は、監視ユニット20,21が、脱線要素41,42間になるように軌道2に配置されている。したがって、脱線要素41,42を備えた安全装置40は、作業空間A外に配置されている。
【0041】
次に処理設備1の動作の仕方を説明する。
【0042】
処理設備1は、運搬車両により、処理対象の軌道区間に運ばれる。運搬車両は、例えば、道路車両および/または鉄道車両である。引き続いて、処理設備1を設置する。監視ユニット20,21により、x方向およびy方向に作業空間Aが定められる。安全確保のために、脱線要素41,42は、作業空間A外で軌道2に配置される。引き続いて、鉄道車両6は、作業空間Aにおいて、例えば作業クレーンによってレール3上に位置決めされる。
【0043】
エネルギ蓄積器38,39に監視ユニット20,21を接続した後、制御部35に記憶されている処理プログラムが開始される。鉄道車両6は、引き続いて、運転者なしにかつオペレータなしで作動する準備が整う。位置測定信号xおよびxに基づき、処理装置11,12が、まくらぎ4の上方の位置になるように、鉄道車両6は制御装置32によって移動される。符号の異なる特定の走行距離は、同様に位置測定信号xおよびxになるはずであるため、制御装置32により、位置測定信号xおよびxが正しいことがチェックされる。この際に、センサ18によってまくらぎ4が検出され、これにより、場合によっては位置を修正することができる。引き続き、処理装置11,12により、通常のようにタンピング過程が行われる。タンピング過程が終了すると、鉄道車両6は、次のまくらぎ4に移動される。この流れは、作業空間Aに配置されておりかつ処理装置11,12が到達可能なまくらぎ4が突き固められるまで繰り返される。
【0044】
第3位置測定装置31により、鉄道車両6の絶対位置が特定される。この絶対位置は、制御装置32により、例えば、中央管理部に伝送される。
【0045】
障害の際、走行駆動装置10および処理装置11,12は停止される。障害が発生するのは、検出器23により、鉄道車両6が検出される場合、光格子Lが遮られる場合、エネルギ蓄積器37,38または39のうち1つが空になった場合、かつ/または、位置測定装置27,28により、正常でない位置測定信号x,xが制御装置32に伝送される場合である。障害の際、監視ユニット20,21の1つが、所属の信号発生器26により、緊急停止信号を制御装置32に伝送する。正常でない位置測定データx,xが制御装置に存在する場合、制御装置32は緊急停止信号を生成する。
【0046】
障害の生じた場合に鉄道車両6を停止できないとき、鉄道車両6は、監視ユニット20,21の1つを跨ぐことによって作業空間Aから離れる際に、脱線要素41,42の1つによって脱線させられる。これによって、鉄道車両6が制御されずに軌道上を移動することが確実に阻止される。
【0047】
したがって、処理設備1により、容易かつ安全な仕方で、作業空間A内での軌道作業を自動実行することができる。
【0048】
次に、図3に基づき、本発明の第2実施例を説明する。第1実施例とは異なり、位置測定装置27,28は機械式に構成されている。位置測定装置27,28にはそれぞれ、測定ロープユニット43および固定要素44が含まれている。測定ロープユニット43は、車両フレーム7に固定されている。それぞれの測定ロープSは、所属の固定要素44に結合されている。それぞれの固定要素44は、監視ユニット20,21の支持架台22に固定されている。処理設備1の別の構成および別の機能の仕方については、前の実施例を参照されたい。
【0049】
次に、図4および図5に基づき、本発明の第3実施例を説明する。前の実施例とは異なり、監視装置19には、光学式監視ユニット46が配置されている飛行体45が含まれている。飛行体45は、例えば、ドローンとして構成されている。光学式監視ユニット46には、例えば、カメラおよび/または画像処理ユニットが含まれている。飛行体45には、回転駆動可能または回転駆動されるロータ48が固定されている基体47が含まれている。飛行体45にはさらに、基体47に固定されている送受信ユニット49が含まれている。送受信ユニット49は、光学式監視ユニット46と信号接続されている。位置特定のために監視装置19には、位置測定装置58が含まれている。位置測定装置58は、GPS受信器として構成されている。
【0050】
光学式監視ユニット46は、円錐形の検出空間Eを有する。検出空間E内では、光学式監視ユニット46により、作業空間Aが定められる。作業空間Aは、x方向、y方向およびz方向に定められる。作業空間Aは、例えば、円錐形に定められる。作業空間Aは、検出空間Eよりも小さい。レール3によりまたはレール3の領域において定義される平面内で、すべての水平方向における作業空間Aの境界は、検出空間Eの境界から少なくとも寸法ΔRだけ離隔されている。
【0051】
鉄道車両6は、作業空間A内でレール3上に配置されている。車両フレーム7には、処理装置50が固定されている。処理装置50は、多軸ロボットとして構成されている。この多軸ロボットは、例えば、通常の産業ロボットである。この多軸ロボットは、6つの運動軸B~Bを有している。運動軸Bは、回転駆動可能な工具収容部51によって形成されている。センサ18は、多軸ロボットに固定されている。工具収容部51には、工具Wがセットされている。
【0052】
様々な工具Wを供給するために、処理設備1には工具マガジン52が含まれている。工具マガジン52は、車両フレーム7に固定されている。処理装置50により、自動的な工具交換を実行することができ、すなわち、工具Wを工具マガジン52に収納して、新たな工具Wを工具マガジン52から取り出すことができる。
【0053】
制御装置32には、作業空間Aおよび検出空間E外に配置されている第1制御ユニット53と、車両フレーム7に配置されている第2制御ユニット54とが含まれている。第1制御ユニット53には、送信器33、受信器34および中央制御部35が含まれている。第2制御ユニット54には、送信器55、受信器56およびローカル制御部57が含まれている。
【0054】
第1制御ユニット53は、第2制御ユニット54および送受信ユニット49に信号接続されている。ローカル制御部57は、鉄道車両6を制御し、かつ走行駆動装置10、処理装置50、センサ18および位置測定装置31に信号接続されている。
【0055】
飛行体45にエネルギを供給するために、基体47にはエネルギ蓄積器38が配置されている。第1制御ユニット53は、第3エネルギ蓄積器39に接続されている。
【0056】
処理対象の軌道区間に処理設備1を送り出した後、鉄道車両6は、レール3上に配置され、第1制御ユニット53は、十分な間隔で軌道2の横に位置付けられる。引き続いて、中央制御部35に記憶されている制御プログラムが開始される。制御プログラムにより、監視装置19が作動される。このために、飛行体45が開始され、z方向に鉄道車両6の上に位置付けられる。光学式監視ユニット46により、検出空間E内に作業空間Aが定められ、作業空間内の鉄道車両6が検出される。引き続いて、制御プログラムにより、ローカル制御部57に記憶されている処理プログラムが開始される。処理プログラムにより、鉄道車両または処理装置50は、予定された軌道作業を実行する。
【0057】
障害の際には、走行駆動装置10および処理装置50が停止される。障害が発生するのは、定められた作業空間Aを鉄道車両6が離れた場合、人および/または対象体が作業空間Aに侵入した場合、位置測定装置31および光学式監視ユニット46により、位置測定装置58に関連して、鉄道車両6の互いに異なる位置が特定される場合、かつ/または、複数のエネルギ蓄積器37,38または39の1つが空になった場合である。
【0058】
例えば、環境影響の結果として飛行体45の飛行姿勢または飛行位置が急激に変化すると、検出空間Eが変化し、ひいては定められた作業空間Aが変化する。間隔ΔRは、飛行姿勢または飛行位置を直接に補正できない場合に、これらの飛行姿勢または飛行位置の変化により、変更された空間Aが、元々の検出空間E外に出てしまわないように選択される。これにより、作業空間Aを監視する際に高い安全性が保証される。
【0059】
長い軌道区間上で軌道作業を実行する際には、飛行体45は、鉄道車両6と同期して移動され、これにより、作業空間Aが動的に定められる。したがって、作業空間Aは、鉄道車両6と一緒に移動する。人および/または対象体による作業空間Aへの侵入が識別されることにより、処理設備1の安全性が保証される。
【0060】
障害の際には、制御装置32により、特に第1制御ユニット53により、緊急停止信号が生成され、第2制御ユニット54および中央管理部に伝送される。
【0061】
別の構成および別の機能の仕方については、前の実施例を参照されたい。
【0062】
一般に当てはまるのは、実施例の特徴的構成が、互いに任意に組み合わせ可能であることである。
【0063】
処理設備1の動作は、監視員によって監視可能である。作業空間A外には、緊急停止キーを配置することができ、これにより、監視員は、緊急停止キーを操作することで、いつでも処理設備1を停止することができる。
【0064】
光学式監視ユニット46は、カメラ、レーザスキャナおよび/またはレーダを含んでいてよい。鉄道車両6は検出のために、光学式監視ユニット46によって一意に識別することができるマークを有していてよい。
【0065】
間隔ΔRは、環境影響または気象状況に依存して変更可能であってよい。監視装置19には、例えば制御装置32を用いて、気象状況についてのデータを供給することができる。
図1
図2
図3
図4
図5