(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-11
(45)【発行日】2025-04-21
(54)【発明の名称】プリント基板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/11 20060101AFI20250414BHJP
H05K 3/40 20060101ALI20250414BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20250414BHJP
【FI】
H05K1/11 Z
H05K3/40 Z
H05K3/34 501A
H05K3/34 503Z
(21)【出願番号】P 2023523509
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(86)【国際出願番号】 JP2022021420
(87)【国際公開番号】W WO2022250088
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-06-16
(31)【優先権主張番号】P 2021088566
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】盛林 俊之
(72)【発明者】
【氏名】倉茂 和紀
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-069774(JP,A)
【文献】特開平05-021944(JP,A)
【文献】特開昭63-062294(JP,A)
【文献】特開2000-101222(JP,A)
【文献】特開2021-007163(JP,A)
【文献】特開2015-088531(JP,A)
【文献】国際公開第2005/122655(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/100984(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/11
H05K 3/40
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を有する基板本体部と、
前記基板本体部の前記表面に形成されたパッド電極と、
前記パッド電極上に形成されたはんだ層と、
前記はんだ層の外周部に重なるように配置されたフラックス被膜と、を備え、
前記フラックス被膜から露出している前記はんだ層の表面領域は、
第1方向における第1幅と、
前記第1方向と交差する方向である第2方向における第2幅とを有し、
前記第1幅と前記第2幅とは異なっており、
前記パッド電極は、本体部と、前記本体部の外周に連なる突出部とを含み、
前記第1方向は、前記突出部から前記本体部の中央部分に向かう方向であり、
前記第2方向は、前記本体部の前記外周において前記突出部が形成されていない領域から前記本体部の前記中央部分に向かう方向であり、
前記本体部上に位置する前記はんだ層の外周部での表面が前記基板本体部の
前記表面に対してなす角度は、前記突出部上に位置する前記はんだ層の外周部での表面が前記基板本体部の前記表面に対してなす角度より大き
く、
前記突出部は、前記本体部の前記外周に沿って間隔を隔てて配置された複数の突出部分を含み、
前記本体部の前記外周には、前記複数の突出部分と、前記複数の突出部分が形成されていない領域とが交互に形成されている、プリント基板。
【請求項2】
前記複数の突出部分は、前記本体部の前記外周に沿って等間隔に配置されている、請求項
1に記載のプリント基板。
【請求項3】
前記基板本体部の前記表面上に、前記パッド電極と間隔を隔てるとともに前記パッド電極を囲むように配置された絶縁層をさらに備え、
前記フラックス被膜は、前記はんだ層の前記外周部上から、前記パッド電極と前記絶縁層との間の領域にまで延在している、請求項1
または請求項
2に記載のプリント基板。
【請求項4】
前記パッド電極は、前記基板本体部の前記表面上に形成された導電体層の一部であり、
前記導電体層上に形成された絶縁層をさらに備え、
前記絶縁層には前記導電体層の前記一部を露出させて前記パッド電極の外形を規定する開口部が形成されている、請求項1
または請求項
2に記載のプリント基板。
【請求項5】
表面にパッド電極が形成された基板本体部を準備する工程と、
前記パッド電極上にソルダペーストを配置する工程と、
前記ソルダペーストを加熱して溶融させた後凝固させることで、前記パッド電極上にはんだ層を形成する工程と、を備え、
前記パッド電極は、本体部と、前記本体部の外周に連なる突出部とを含み、
前記突出部は、前記本体部の前記外周に沿って間隔を隔てて配置された複数の突出部分を含み、
前記本体部の前記外周には、前記複数の突出部分と、前記複数の突出部分が形成されていない領域とが交互に形成されており、
前記はんだ層を形成する工程では、前記はんだ層の外周部に重なるようにフラックス被膜が形成されとともに、前記はんだ層の一部である表面領域は前記フラックス被膜から露出し、
前記ソルダペーストを配置する工程において、前記ソルダペーストは、前記パッド電極の上を覆うと共に、前記パッド電極より外側であって前記突出部に隣接する領域上に配置される、プリント基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プリント基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査用のプローブピンを接触させるための検査用電極部が形成されたプリント基板が知られている(たとえば、特開平5-109443号公報参照)。上述した従来のプリント基板では、検査用電極部として、はんだ付けに用いられるソルダペーストの厚さより厚い導体チップ部品を配置することで、ソルダペースト起因のフラックスによるプローブピンの接触不良を避けることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来のプリント基板では、検査用電極部として導体チップ部品をプリント基板に実装するため、プリント基板に実装する部品点数が増えることになる。この結果、プリント基板の製造工程における生産性が低下し、製造コストが増大する、という問題があった。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するために成されたものであり、製造コストの増大を招くことなく確実な検査を行うことが可能なプリント基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るプリント基板は、表面を有する基板本体部と、パッド電極と、はんだ層と、フラックス被膜とを備える。パッド電極は、基板本体部の表面に形成されている。はんだ層は、パッド電極上に形成されている。フラックス被膜は、はんだ層の外周部に重なるように配置されている。フラックス被膜から露出しているはんだ層の表面領域は、第1方向における第1幅と、第2方向における第2幅とを有する。第2方向は第1方向と交差する方向である。第1幅と第2幅とは異なっている。
【0007】
本開示に係るプリント基板の製造方法では、まず表面にパッド電極が形成された基板本体部を準備する。パッド電極上にソルダペーストを配置する。ソルダペーストを加熱して溶融させた後凝固させることで、パッド電極上にはんだ層を形成する。パッド電極は、本体部と、突出部とを含む。突出部は本体部の外周に連なる。はんだ層を形成する工程では、はんだ層の外周部に重なるようにフラックス被膜が形成されとともに、はんだ層の一部である表面領域はフラックス被膜から露出する。
【0008】
本開示に係るプリント基板の製造方法では、表面にパッド電極が形成された基板本体部を準備する。パッド電極上にソルダペーストを配置する。ソルダペーストを加熱して溶融させた後凝固させることで、パッド電極上にはんだ層を形成する。パッド電極の平面形状は四角形状である。はんだ層を形成する工程では、はんだ層の外周部に重なるようにフラックス被膜が形成されとともに、はんだ層の一部である表面領域はフラックス被膜から露出する。
【発明の効果】
【0009】
上記によれば、製造コストの増大を招くことなく確実な検査を行うことが可能なプリント基板が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係るプリント基板の検査用電極部を示す部分平面模式図である。
【
図2】
図1の線分II-IIにおける断面模式図である。
【
図3】
図1の線分III-IIIにおける断面模式図である。
【
図4】
図1から
図3に示したプリント基板の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図1から
図3に示したプリント基板の製造方法を説明するための部分平面模式図である。
【
図6】
図1に示したプリント基板に対する検査方法を説明するためのフローチャートである。
【
図7】実施の形態2に係るプリント基板の検査用電極部を示す部分平面模式図である。
【
図8】
図7の線分VIII-VIIIにおける断面模式図である。
【
図9】
図7の線分IX-IXにおける断面模式図である。
【
図10】
図7から
図9に示したプリント基板の製造方法を説明するための部分平面模式図である。
【
図11】実施の形態3に係るプリント基板の検査用電極部を示す部分平面模式図である。
【
図12】
図11に示したプリント基板の製造方法を説明するための部分平面模式図である。
【
図13】実施の形態4に係るプリント基板の検査用電極部を示す部分平面模式図である。
【
図14】
図13に示したプリント基板の製造方法を説明するための部分平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態を説明する。なお、同一の構成には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0012】
実施の形態1.
<プリント基板の構成>
図1は、実施の形態1に係るプリント基板の検査用電極部を示す部分平面模式図である。
図2は、
図1の線分II-IIにおける断面模式図である。
図3は、
図1の線分III-IIIにおける断面模式図である。なお、
図1から
図3はプリント基板100における検査時にプローブピンが接触する検査電極部を示している。
【0013】
図1から
図3に示されるように、プリント基板100は、表面を有する基板本体部7と、パッド電極1と、絶縁層3と、はんだ層4と、フラックス被膜5とを主に備える。パッド電極1は、基板本体部7の表面に形成されている。パッド電極1は、プローブピンを電気的に接続させて回路接続および当該回路の機能検査を行うために用いられる検査用電極である。パッド電極1は、プリント基板100に形成された回路から引きだされた配線(図示せず)と電気的に接続されている。
【0014】
図5などにも示されるように、パッド電極1は、本体部1aと、突出部1bとしての複数の突出部分1baを含む。複数の突出部分1baは、本体部1aの外周に連なっている。複数の突出部分1baは、本体部1aの外周に沿って間隔を隔てて配置されている。複数の突出部分1baは、本体部1aの外周に沿って等間隔に配置されている。パッド電極1を構成する材料としては、はんだ層4の濡れ性に優れた金属を用いることができる。たとえば、パッド電極1の材料として銅、ニッケル、金などを用いることができる。
【0015】
絶縁層3は、基板本体部7の表面上に配置されている。絶縁層3は、たとえばソルダレジストであって、プリント基板100の表面実装におけるはんだ付部のパターン形成、あるいは回路を形成する配線パターンの保護に利用される。絶縁層3は、パッド電極1と間隔を隔てるとともにパッド電極1を囲むように配置されている。異なる観点から言えば、絶縁層3には開口部3aが形成されている。パッド電極1は、当該開口部3aの内部に配置されている。開口部3aの内周面と間隔を隔ててパッド電極1が配置されている。
【0016】
はんだ層4は、パッド電極1上に形成されている。はんだ層4は、パッド電極1の平面形状に沿った平面形状を有する。具体的には、はんだ層4の外周端は、パッド電極1の外周端1dと重なるように配置される。はんだ層4は、表面領域4aと外周部4bとを含む。表面領域4aは、パッド電極1の本体部1a上に位置し、フラックス被膜5から露出した部分である。外周部4bは、表面領域4aを囲むように配置され、フラックス被膜5下に位置する部分である。外周部4bは、パッド電極1の突出部1b上に位置する部分と、パッド電極1の2つの突出部1bの間に位置する領域1c上に位置する部分とを含む。
【0017】
フラックス被膜5は、はんだ層4の外周部4bに重なるように配置されている。フラックス被膜5は、はんだ層4の外周部4b上から基板本体部7の表面上を介して絶縁層3まで到達するように配置されている。
図1から
図3に示されるように、パッド電極1の中央部分1aaから見て突出部1bと重なる方向でのフラックス被膜5の幅(径方向での幅)は、当該中央部分1aaから見てパッド電極1の領域1cと重なる方向でのフラックス被膜の幅(径方向での幅)より狭くなっている。フラックス被膜5では、フラックス被膜5の外周に沿った周方向において、径方向の幅が広い部分と狭い部分とが交互に並ぶように配置されている。
【0018】
フラックス被膜5から露出しているはんだ層4の表面領域4aは、第1方向における第1幅L1と、第2方向における第2幅L2とを有する。第1方向は、
図1および
図2に示されるように、パッド電極1の中央部分1aaと、当該中央部分1aaを挟むように配置された2つの突出部分1baとを結ぶ直線に沿った方向である。第2方向は、第1および
図3に示されるように、パッド電極1の中央部分1aaと、当該中央部分1aaを挟むように配置された2つの領域1cとを結ぶ直線に沿った方向である。
図1に示されるように、第2方向は第1方向と交差する方向である。第1幅L1と第2幅L2とは異なっている。第1幅L1は第2幅L2より長くなっている。
【0019】
図2および
図3に示されるように、第1方向に沿った断面におけるはんだ層4の表面形状は、第2方向に沿った断面におけるはんだ層4の表面形状と異なっている。具体的には、突出部1b上に位置するはんだ層4の外周部4bの表面形状は、突出部1bではない領域1c上に位置するはんだ層4の外周部4bの表面形状と異なっている。領域1c上に位置するはんだ層4の外周部4bでの表面が、基板本体部7の表面に対してなす角度は、突出部1b上に位置するはんだ層4の外周部4bでの表面における当該角度より大きい。
【0020】
<プリント基板の製造方法>
図4は、
図1から
図3に示したプリント基板の製造方法を説明するためのフローチャートである。
図5は、
図1から
図3に示したプリント基板の製造方法を説明するための部分平面模式図である。
図4および
図5に示されるように、
図1から
図3に示したプリント基板100の製造方法では、まず基板を準備する工程(S10)を実施する。この工程(S10)では、表面にパッド電極1が形成された基板本体部7を準備する。なお、基板本体部7の表面には、パッド電極1の周囲を囲むように絶縁層3が形成されている。パッド電極1では、本体部1aの外周に複数の突出部分1baが形成されている。突出部分1baの数は
図5に示されるようにたとえば8である。突出部分1baの数は任意に設定できる。
【0021】
次に、マスクを配置する工程(S20)を実施する。この工程(S20)では、基板本体部7の表面上にメタルマスク2を配置する。メタルマスク2には、
図5に示されるように開口部2aが形成されている。メタルマスク2は、当該開口部2aにおいてパッド電極1が露出するように配置される。なお、メタルマスク2の開口部2aのサイズは、絶縁層3の開口部3aのサイズより小さい。
図5では、メタルマスク2の開口部2aの径は、パッド電極1の最大外径と同じになっている。メタルマスク2の開口部2aの面積は、パッド電極1の面積より大きくしてもよい。なお、メタルマスク2の開口部2aの径(最大幅)は、パッド電極1の最大外径(最大幅)より小さくしてもよい。メタルマスク2の開口部2aの径(最大幅)を、パッド電極1の本体部1aの径(最大幅)以上としてもよい。当該開口部2aの径をパッド電極1の本体部1aの径未満とすると、はんだ層4の高さを十分に高くすることが難しくなる。また、当該開口部2aの径をあまり大きく設定すると、パッド電極1より外側にソルダボールなどが形成され、はんだ付け不良の原因となる。メタルマスク2の厚さはたとえば20μm以上500μm以下とすることができる。
【0022】
次に、ソルダペーストを塗布する工程(S30)を実施する。この工程(S30)では、メタルマスク2の開口部2a内を充填するようにソルダペーストを塗布する。ソルダペーストとしては、はんだ粒とフラックスとを含むペースト状の材料を用いることができる。ソルダペーストの塗布方法としては任意の方法を用いることができるが、たとえばスキージなどを用いた印刷工法を適用できる。この結果、パッド電極1上にソルダペーストが配置される。ソルダペーストはパッド電極1の上を覆うと共に、パッド電極1の隣接する突出部分1baの間の領域(パッド電極1の領域1cより外側の領域)上に配置される。その後、メタルマスク2を除去する。
【0023】
次に、はんだ層4を形成する工程である加熱する工程(S40)を実施する。この工程(S40)では、ソルダペーストを加熱して溶融させた後凝固させる。この結果、パッド電極1上にはんだバンプとしてのはんだ層4が形成される。
図1に示されるように、はんだ層4の外周部4bに重なるようにフラックス被膜5が形成される。フラックス被膜5は、ソルダペーストに含まれるフラックスの成分により構成される。当該成分としてたとえば樹脂成分などが挙げられる。また、はんだ層4の一部である表面領域4aはフラックス被膜5から露出する。このようにして、
図1から
図3に示したプリント基板100を得ることができる。
【0024】
ここで、パッド電極1は、
図5に示されるように本体部1aと、突出部1bとしての複数の突出部分1baとを含んでいる。複数の突出部分1baは本体部1aの外周に連なる。本体部1aの外周に沿った方向である周方向において、複数の突出部分1baは互いに間隔を隔てて配置されている。このような形状のパッド電極1上に配置されたソルダペーストを加熱している。
【0025】
このとき、ソルダペーストが溶融することで形成された溶融はんだは、パッド電極1の平面形状に沿った形状となるように凝集する。このため、上記工程(S30)で塗布されたソルダペーストの面積よりも、溶融はんだが凝集した領域の面積は小さくなり、結果的に溶融はんだの高さを高くできる。また、パッド電極1の平面形状が円形状ではなく、中央部分1aaから外周までの距離が局所的に異なるような異形形状である。そのため、溶融はんだが表面張力によりドーム状に凝集したときに、パッド電極1の突出部1b上を通る第1方向と、突出部1b上を通らない第2方向とで溶融はんだの高さに差が生じる。この結果、溶融はんだの表面形状に関して、パッド電極1の周方向において周期的な形状の変化が発生する。当該形状の変化に起因して、溶融はんだの表面におけるフラックスの流れ落ちが促進される領域が発生する。そのため、
図1に示すように、溶融はんだが凝固して形成されたはんだ層4の外周部では、周方向においてフラックス被膜5の形状が周期的に変化する。つまり、フラックス被膜5が比較的集中している領域と、当該フラックス被膜5からはんだ層4の表面が露出した領域とが形成されている。このようにはんだ層4においてフラックス被膜5から露出した表面領域4aは、検査などにおいてプローブピンなどの端子が電気的に接続されるコンタクト面となる。
【0026】
<検査方法>
図6は、
図1に示したプリント基板100に対する検査方法を説明するためのフローチャートである。プリント基板100に対する検査としては、たとえばはんだのリフロー加熱後に未接合などの不良発生の有無を確認するための導通検査、または性能検査などのインライン検査が実施される。
図6に示されるように、
図1に示したプリント基板100に対する検査方法では、まずはんだバンプにプローブを接触させる工程(S110)を実施する。この工程(S110)では、プリント基板100のパッド電極1上に形成されたはんだバンプとしてのはんだ層4に検査装置のプローブピンを接触させる。上述のように、はんだ層4の表面領域4aにはフラックス被膜5が形成されていないので、はんだ層4とプローブピンとの電気的接続を確実に行うことができる。
【0027】
また、プローブピンがフラックス被膜5と接触する可能性が低減されるので、当該プローブピンにフラックス被膜5の一部が付着することに起因するプローブピンとはんだ層4との導通不良の発生を抑制できる。特に、プリント基板100の機能検査のために高温下で検査を実施する場合、フラックス被膜5が軟化して流動性および粘着性を有する場合がある。この場合には、プローブピンにフラックス被膜5の一部が大量に付着する可能性がある。プローブピンにフラックス被膜5が大量に付着すると、結果的に連続的な検査が実施できないといった問題が発生する。本実施の形態に係るプリント基板100では、上記のようにプローブピンがフラックス被膜5と接触する可能性が低減されているので、このような問題の発生を効果的に抑制できる。
【0028】
また、この場合プローブピンがフラックス被膜5と接触する事に起因する、フラックス屑の発生も抑制できるので、当該フラックス屑による検査設備内の汚染も抑制できる。
【0029】
次に、測定する工程(S120)を実施する。この工程(S120)では、プローブピンからはんだ層4を介してパッド電極1に検査用の電気信号を入出力させることで、プリント基板100の導通検査などを行う。上述のように、はんだ層4と検査装置のプローブピンとの電気的接続が確実に行われているので、上記工程(S120)での検査を確実に実施できる。
【0030】
<作用効果>
本開示に係るプリント基板100は、表面を有する基板本体部7と、パッド電極1と、はんだ層4と、フラックス被膜5とを備える。パッド電極1は、基板本体部7の表面に形成されている。はんだ層4は、パッド電極1上に形成されている。フラックス被膜5は、はんだ層4の外周部4bに重なるように配置されている。フラックス被膜5から露出しているはんだ層4の表面領域4aは、第1方向における第1幅L1と、第2方向における第2幅L2とを有する。第2方向は第1方向と交差する方向である。第1幅L1と第2幅L2とは異なっている。
【0031】
このようにすれば、はんだ層4の外周部4bにおいてフラックス被膜5の形状が不均一となることから、結果的にはんだ層4の中央部にフラックス被膜5から露出した表面領域4aを確実に形成することができる。この結果、当該はんだ層4に対して、検査装置のプローブピンなどを接触させる際、従来のように検査用電極部として別部品をプリント基板100に実装する、あるいはプリント基板100を事前に洗浄するといったプロセスを行うことなく、プローブピンとはんだ層4との接触不良といった問題の発生を抑制できる。このため、製造コストの増大を招くことなく確実な検査を実施できる。
【0032】
上記プリント基板100において、パッド電極1は、本体部1aと、突出部1bとを含んでもよい。突出部1bは、本体部1aの外周に連なってもよい。第1方向は、突出部1bから本体部1aの中央部分1aaに向かう方向であってもよい。第2方向は、本体部1aの外周において突出部1bが形成されていない領域1cから本体部1aの中央部分1aaに向かう方向であってもよい。
【0033】
この場合、パッド電極1に突出部1bが形成されているため、当該パッド電極1上に形成されるはんだ層4に関して、第1方向での表面形状と第2方向における表面形状とを異ならせることができる。この結果、はんだ層4の表面におけるフラックス被膜5の配置を制御することができ、結果的にはんだ層4がフラックス被膜5から露出した表面領域4aを確実に形成することができる。
【0034】
上記プリント基板100において、突出部1bは、本体部1aの外周に沿って間隔を隔てて配置された複数の突出部分1baを含んでもよい。この場合、パッド電極1の外周に、突出部分1baと、当該突出部分1baが形成されていない領域1cとを交互に形成できる。このため、パッド電極1上にリフロー加熱によって形成されるはんだ層4において、突出部分1ba上の部分と、上記領域1c上の部分とで表面形状を変えることができる。この結果、フラックス被膜5から露出したパッド電極1の領域を確実に形成できる。
【0035】
なお、パッド電極1における本体部1aからの径方向での突出部1bの長さは、たとえば0.05mm以上0.8mm以下としてもよい。突出部1bの上記長さが0.05mm未満である場合、パッド電極1より外側に塗布されたソルダペーストをパッド電極1上に凝集させる効果が低下し、パッド電極1の外部にソルダボールが発生する恐れがある。また、突出部1bの上記長さが0.8mmを超える場合、凝集したはんだ層4の高さを高くする効果が低下する。
【0036】
上記プリント基板100において、複数の突出部分1baは、本体部1aの外周に沿って等間隔に配置されていてもよい。この場合、はんだ層4が形成される際に、複数の突出部分1baの間に位置する領域にフラックス被膜5が集まる。この結果、複数の突出部分1ba上に位置する領域では、はんだ層4がフラックス被膜5から確実に露出する。
【0037】
上記プリント基板100は、絶縁層3をさらに備えてもよい。絶縁層3は、基板本体部7の表面上に配置されてもよい。絶縁層3は、パッド電極1と間隔を隔てるとともにパッド電極1を囲むように配置されてもよい。フラックス被膜5は、はんだ層4の外周部4b上から、パッド電極1と絶縁層3との間の領域にまで延在してもよい。
【0038】
この場合、パッド電極1と絶縁層3との間の領域を、はんだ層4の表面から移動するフラックス被膜5の移動先の領域として利用するので、はんだ層4においてフラックス被膜5から露出する表面領域4aの面積を大きくできる。
【0039】
本開示に係るプリント基板100の製造方法では、まず表面にパッド電極1が形成された基板本体部7を準備する。パッド電極1上にソルダペーストを配置する。ソルダペーストを加熱して溶融させた後凝固させることで、パッド電極1上にはんだ層4を形成する。パッド電極1は、本体部1aと、突出部1bとを含む。突出部1bは本体部1aの外周に連なる。はんだ層4を形成する工程では、はんだ層4の外周部4bに重なるようにフラックス被膜5が形成されとともに、はんだ層4の一部である表面領域4aはフラックス被膜5から露出する。このようにすれば、
図1から
図3に示されたプリント基板100を得ることができる。
【0040】
実施の形態2.
<プリント基板の構成>
図7は、実施の形態2に係るプリント基板の検査用電極部を示す部分平面模式図である。
図8は、
図7の線分VIII-VIIIにおける断面模式図である。
図9は、
図7の線分IX-IXにおける断面模式図である。
図7から
図9に示したプリント基板100は、基本的には
図1から
図3に示したプリント基板100と同様の構成を備えるが、パッド電極1および絶縁層3の構造が
図1から
図3に示したプリント基板100と異なっている。具体的には、
図7から
図9に示したプリント基板100では、基板本体部7の表面上に導電体層11が形成されている。導電体層11上に絶縁層3が形成されている。絶縁層3には開口部3aが形成されている。開口部3aから導電体層11の一部が露出している。開口部3aから露出している導電体層11の一部がパッド電極1となっている。このため、開口部3aの平面形状がパッド電極1の平面形状を規定する。開口部3aの平面形状は、
図10に示されるように、外周部に凹凸形状を含む。このような開口部3aの平面形状により、
図10に示されるようにパッド電極1の外周に複数の突出部分1baが形成される。なお、開口部3aの外周部における凹凸形状の数は任意に選択できる。この結果、パッド電極1の複数の突出部分1baの数も任意に選択可能である。
【0041】
図8および
図9に示されるように、はんだ層4の外周端は絶縁層3における開口部3aの内壁に接触している。このため、はんだ層4の平面形状も、開口部3aの平面形状により規定される。はんだ層4の外周部上から絶縁層3の上にまで延在するように、フラックス被膜5が形成されている。フラックス被膜5およびはんだ層4の表面領域4aの平面形状は、基本的に
図1から
図3に示したプリント基板100におけるフラックス被膜5およびはんだ層4の表面領域4aの平面形状と同様である。
【0042】
<プリント基板の製造方法>
図7から
図9に示したプリント基板100の製造方法は、基本的には
図1から
図3に示したプリント基板100の製造方法と同様であるが、
図4に示した工程(S10)および工程(S20)が一部異なっている。以下具体的に説明する。
【0043】
図10は、
図7から
図9に示したプリント基板100の製造方法を説明するための部分平面模式図である。
図7から
図9に示したプリント基板100の製造方法では、まず基板を準備する工程(S10)を実施する。この工程(S10)では、表面に導電体層11および絶縁層3が形成された基板本体部7を準備する。導電体層11は基板本体部7の表面上に形成されている。導電体層11は、プリント基板100における回路の配線層の一部を構成する。絶縁層3は導電体層11上に形成されている。
図10に示されるように、絶縁層3には開口部3aが形成されている。開口部3aから露出した導電体層11の部分がパッド電極1に相当する。なお、パッド電極1は本体部1aと突出部1bとを含む。パッド電極1における本体部1aからの径方向での突出部1bの長さは、たとえば0.05mm以上0.8mm以下としてもよい。
【0044】
次に、マスクを配置する工程(S20)を実施する。この工程(S20)では、基板本体部7の表面上にメタルマスク2を配置する。メタルマスク2には、
図10に示されるように開口部2aが形成されている。メタルマスク2は、当該開口部2aにおいてパッド電極1の本体部1aの全体および突出部1bの一部が露出するように配置される。メタルマスク2の開口部2aの径(最大幅)は、パッド電極1の最大外径(最大幅)より小さくなっている。異なる観点から言えば、パッド電極1の突出部1bの外周端部は、メタルマスク2に覆われている。メタルマスク2の厚さはたとえば20μm以上500μm以下とすることができる。なお、メタルマスク2の開口部2aの最大幅は、パッド電極1の最大幅と同じであってもよい。メタルマスク2の開口部2aの最大幅は、パッド電極1の本体部1aの最大幅より大きくてもよい。メタルマスク2の開口部2aの面積は、パッド電極1の面積より大きくすることが好ましい。
【0045】
次に、ソルダペーストを塗布する工程(S30)を実施する。この工程(S30)では、
図4に示した工程(S30)と同様に、メタルマスク2の開口部2a内を充填するようにソルダペーストを塗布する。この結果、パッド電極1上にソルダペーストが配置される。ソルダペーストはパッド電極1の上を覆うと共に、パッド電極1の隣接する突出部分1baの間の領域(パッド電極1の領域1cより外側の絶縁層3)上に配置される。その後、メタルマスク2を除去する。
【0046】
次に、はんだ層4を形成する工程である加熱する工程(S40)を実施する。この工程(S40)では、
図4の工程(S40)と同様に、ソルダペーストを加熱して溶融させた後凝固させる。この結果、パッド電極1上にはんだバンプとしてのはんだ層4が形成される。
図7に示されるように、はんだ層4の外周部4bに重なるようにフラックス被膜5が形成される。フラックス被膜5は、はんだ層4の外周部4b上から、絶縁層3において開口部3aに隣接する部分上にまで延在する。また、はんだ層4の一部である表面領域4aはフラックス被膜5から露出する。このようにして、
図7から
図9に示したプリント基板100を得ることができる。
【0047】
<作用効果>
上記プリント基板100において、パッド電極1は、基板本体部7の表面上に形成された導電体層11の一部であってもよい。プリント基板100は、導電体層11上に形成された絶縁層3をさらに備えてもよい。絶縁層3には導電体層11の上記一部を露出させてパッド電極1の外形を規定する開口部3aが形成されてもよい。この場合、
図1から
図3に示したプリント基板100による効果に加えて、絶縁層3に開口部3aを形成することで、パッド電極1の平面形状を規定することができるため、
図1から
図3に示したプリント基板100のようにパッド電極1と絶縁層3の開口部3aとを別々に形成する場合よりもプリント基板100の製造プロセスを簡略化できる。
【0048】
実施の形態3.
<プリント基板の構成>
図11は、実施の形態3に係るプリント基板の検査用電極部を示す部分平面模式図である。
図11に示したプリント基板100は、基本的には
図1から
図3に示したプリント基板100と同様の構成を備えるが、パッド電極1、はんだ層4および絶縁層3の構造が
図1から
図3に示したプリント基板100と異なっている。具体的には、
図11に示したプリント基板100では、パッド電極1、はんだ層4および絶縁層3における開口部3aの平面形状が四角形状である。絶縁層3における開口部3aの内部にパッド電極1が配置されている。パッド電極1は、絶縁層3における開口部3aの内周面と間隔を隔てて配置されている。開口部3aの平面形状は、パッド電極1の平面形状と同じ四角形状である。なお、開口部3aの平面形状を、パッド電極1の平面形状と異なる形状としてもよい。
【0049】
はんだ層4は、パッド電極1上に形成されている。はんだ層4の平面形状は、パッド電極1の平面形状と同じである。はんだ層4の外周端は、パッド電極1の外周端1dと重なるように配置される。はんだ層4は、表面領域4aと外周部4bとを含む。表面領域4aは、パッド電極1の中央部上に位置し、フラックス被膜5から露出した部分である。外周部4bは、表面領域4aを囲むように配置される。外周部4bは、フラックス被膜5下に位置する。
【0050】
フラックス被膜5は、はんだ層4の外周部4b上から絶縁層3まで到達するように配置されている。
図11に示されるように、パッド電極1の対角線方向でのフラックス被膜5の幅は、パッド電極1の直線状の辺の中央部と重なる領域でのフラックス被膜5の幅(当該直線状の辺に対して垂直方向での幅)より狭くなっている。フラックス被膜5では、フラックス被膜5の外周に沿った周方向において、径方向の幅が広い部分と狭い部分とが交互に並ぶように配置されている。
【0051】
フラックス被膜5から露出しているはんだ層4の表面領域4aは、パッド電極1の対角線に沿った方向である第1方向における第1幅L1と、パッド電極1の外周における1つの辺に沿った方向である第2方向における第2幅L2とを有する。
図11に示されるように、第2方向は第1方向と交差する。第1幅L1と第2幅L2とは異なっている。第1幅L1は第2幅L2より長くなっている。なお、
図11に示したプリント基板100において、第1方向に沿った断面の構造は
図2に示したプリント基板100の断面構造と同様である。また、
図11に示したプリント基板100において、第2方向に沿った断面の構造は、
図3に示したプリント基板100の断面構造と同様である。
【0052】
<プリント基板の製造方法>
図12は、
図11に示したプリント基板100の製造方法を説明するための部分平面模式図である。
図11に示したプリント基板100の製造方法は、基本的には
図1から
図3に示したプリント基板の製造方法と同様である。以下、具体的に説明する。
【0053】
図11に示したプリント基板100の製造方法では、まず基板を準備する工程(S10)を実施する。この工程(S10)では、表面にパッド電極1が形成された基板本体部7(
図2参照)を準備する。なお、基板本体部7の表面には絶縁層3が形成されている。絶縁層3には、パッド電極1を露出さるように開口部3aが形成されている。
【0054】
次に、マスクを配置する工程(S20)を実施する。この工程(S20)では、基板本体部7の表面上にメタルマスク2を配置する。メタルマスク2には、
図12に示されるように開口部2aが形成されている。メタルマスク2は、当該開口部2aにおいてパッド電極1が露出するように配置される。なお、メタルマスク2の開口部2aのサイズは、絶縁層3の開口部3aのサイズより小さい。
図12では、メタルマスク2の開口部2aのサイズは、パッド電極1のサイズより大きくなっている。開口部2aの平面形状は四角形状である。なお、開口部2aの平面形状を、円形状または五角形などの多角形状など、他の形状としてもよい。
【0055】
次に、
図4に示した工程(S30)と同様に、ソルダペーストを塗布する工程(S30)を実施する。この工程(S30)では、メタルマスク2の開口部2a内を充填するようにソルダペーストを塗布する。この結果、パッド電極1上にソルダペーストが配置される。ソルダペーストはパッド電極1の上を覆うと共に、パッド電極1の外周端より外側に位置する領域上に配置される。その後、メタルマスク2を除去する。
【0056】
次に、
図4に示した工程(S40)と同様に、はんだ層4を形成する工程である加熱する工程(S40)を実施する。この工程(S40)では、ソルダペーストを加熱して溶融させた後凝固させる。この結果、パッド電極1上にはんだバンプとしてのはんだ層4が形成される。
図11に示されるように、はんだ層4の外周部4bに重なるようにフラックス被膜5が形成される。また、はんだ層4の一部である表面領域4aはフラックス被膜5から露出する。このようにして、
図1から
図3に示したプリント基板100を得ることができる。
【0057】
ここで、パッド電極1は、
図11に示されるように平面形状が四角形状となっている。このような形状のパッド電極1上に配置されたソルダペーストを加熱している。そのため、ソルダペーストが溶融することで形成された溶融はんだが表面張力によりドーム状に凝集したときに、パッド電極1の対角線に沿った第1方向と、パッド電極1の辺に沿った第2方向とで溶融はんだの高さに差が生じる。この結果、溶融はんだの表面形状に関して、パッド電極1の周方向において周期的な形状の変化が発生する。当該形状の変化に起因して、溶融はんだの表面におけるフラックスの流れ落ちが促進される領域が発生する。そのため、
図11に示すように、溶融はんだが凝固して形成されたはんだ層4の外周部では、フラックス被膜5が比較的集中している領域と、当該フラックス被膜5からはんだ層4の表面が露出した領域とが形成される。
【0058】
<作用効果>
上記プリント基板100において、パッド電極1の平面形状は四角形状であってもよい。第1方向はパッド電極1の対角線に沿った方向であってもよい。第2方向はパッド電極1の外周における1つの辺に沿った方向であってもよい。この場合も、
図1から
図3に示したプリント基板100と同様の効果を得ることができる。すなわち、第1方向に沿った断面でのはんだ層4の表面形状と、第2方向に沿った断面でのはんだ層4の表面形状とが異なることで、結果的にフラックス被膜5が集中する領域を形成できる。そのため、当該フラックス被膜5から露出したはんだ層4の表面領域4aを確実に形成できる。
【0059】
上記プリント基板100は、絶縁層3をさらに備えてもよい。絶縁層3は、基板本体部7の表面上に配置されてもよい。絶縁層3は、パッド電極1と間隔を隔てるとともにパッド電極1を囲むように配置されてもよい。フラックス被膜5は、はんだ層4の外周部4b上から、パッド電極1と絶縁層3との間の領域にまで延在してもよい。この場合、パッド電極1と絶縁層3との間の領域を、はんだ層4の表面から移動するフラックス被膜5の移動先の領域として利用できる。このため、はんだ層4においてフラックス被膜5から露出する表面領域4aの面積を大きくできる。
【0060】
本開示に係るプリント基板の製造方法では、表面にパッド電極1が形成された基板本体部を準備する。パッド電極1上にソルダペーストを配置する。ソルダペーストを加熱して溶融させた後凝固させることで、パッド電極1上にはんだ層4を形成する。パッド電極1の平面形状は四角形状である。はんだ層4を形成する工程では、はんだ層4の外周部4bに重なるようにフラックス被膜5が形成されとともに、はんだ層4の一部である表面領域4aはフラックス被膜5から露出する。このようにすれば、
図11に示されたプリント基板100を得ることができる。
【0061】
実施の形態4.
<プリント基板の構成>
図13は、実施の形態4に係るプリント基板の検査用電極部を示す部分平面模式図である。
図13に示したプリント基板100は、基本的には
図11に示したプリント基板100と同様の構成を備えるが、パッド電極1および絶縁層3の構造が
図11に示したプリント基板100と異なっている。具体的には、
図13に示したプリント基板100では、基板本体部の表面上に導電体層11が形成されている。導電体層11上に絶縁層3が形成されている。絶縁層3には開口部3aが形成されている。開口部3aから導電体層11の一部が露出している。開口部3aから露出している導電体層11の一部がパッド電極1となっている。開口部3aの平面形状がパッド電極1の平面形状を規定する。開口部3aの平面形状は四角形状である。このような開口部3aの平面形状により、パッド電極1の平面形状も四角形状となる。
【0062】
はんだ層4の外周端は絶縁層3における開口部3aの内壁に接触している。このため、はんだ層4の平面形状も、開口部3aの平面形状により規定される。はんだ層4の外周部上から絶縁層3の上にまで延在するように、フラックス被膜5が形成されている。フラックス被膜5およびはんだ層4の表面領域4aの平面形状は、基本的に
図11に示したプリント基板100におけるフラックス被膜5およびはんだ層4の表面領域4aの平面形状と同様である。
【0063】
フラックス被膜5から露出しているはんだ層4の表面領域4aは、パッド電極1の対角線に沿った方向である第1方向における第1幅L1と、パッド電極1の外周における1つの辺に沿った方向である第2方向における第2幅L2とを有する。
図13に示されるように、第2方向は第1方向と交差する。第1幅L1は第2幅L2より長くなっている。なお、
図13に示したプリント基板100において、第1方向に沿った断面の構造は
図8に示したプリント基板100の断面構造と同様である。また、
図13に示したプリント基板100において、第2方向に沿った断面の構造は、
図9に示したプリント基板100の断面構造と同様である。
【0064】
<プリント基板の製造方法>
図13に示したプリント基板100の製造方法は、基本的には
図11に示したプリント基板100の製造方法と同様であるが、
図4に示した工程(S10)および工程(S20)が一部異なっている。以下具体的に説明する。
【0065】
図14は、
図13に示したプリント基板100の製造方法を説明するための部分平面模式図である。
図13に示したプリント基板100の製造方法では、まず基板を準備する工程(S10)を実施する。この工程(S10)では、表面に導電体層11および絶縁層3が形成された基板本体部7(
図8参照)を準備する。導電体層11は基板本体部7の表面上に形成されている。絶縁層3は導電体層11上に形成されている。
図14に示されるように、絶縁層3には四角形状の開口部3aが形成されている。開口部3aから露出した導電体層11の部分がパッド電極1に相当する。
【0066】
次に、マスクを配置する工程(S20)を実施する。この工程(S20)では、基板本体部7の表面上にメタルマスク2を配置する。メタルマスク2には、
図14に示されるように開口部2aが形成されている。開口部2aの平面形状は四角形状である。メタルマスク2は、当該開口部2aにおいてパッド電極1の全体および絶縁層3の一部が露出するように配置される。メタルマスク2の開口部2aのサイズは、パッド電極1のサイズより大きくなっている。なお、メタルマスク2の開口部2aのサイズは、パッド電極1のサイズと同じであってもよい。
【0067】
次に、ソルダペーストを塗布する工程(S30)を実施する。この工程(S30)では、
図4に示した工程(S30)と同様に、メタルマスク2の開口部2a内を充填するようにソルダペーストを塗布する。この結果、パッド電極1上にソルダペーストが配置される。ソルダペーストはパッド電極1の上を覆うと共に、パッド電極1に隣接する絶縁層3上に配置される。その後、メタルマスク2を除去する。
【0068】
次に、はんだ層4を形成する工程である加熱する工程(S40)を実施する。この工程(S40)では、
図4の工程(S40)と同様に、ソルダペーストを加熱して溶融させた後凝固させる。この結果、パッド電極1上にはんだバンプとしてのはんだ層4が形成される。
図13に示されるように、はんだ層4の外周部4bに重なるようにフラックス被膜5が形成される。フラックス被膜5は、はんだ層4の外周部4b上から、絶縁層3において開口部3aに隣接する部分上にまで延在する。また、はんだ層4の一部である表面領域4aはフラックス被膜5から露出する。このようにして、
図13に示したプリント基板100を得ることができる。
【0069】
<作用効果>
上記プリント基板100において、パッド電極1は、基板本体部7の表面上に形成された導電体層11の一部であってもよい。プリント基板100は、導電体層11上に形成された絶縁層3をさらに備えてもよい。絶縁層3には導電体層11の上記一部を露出させてパッド電極1の外形を規定する開口部3aが形成されてもよい。この場合、
図11に示したプリント基板100による効果に加えて、絶縁層3に開口部3aを形成することで、パッド電極1の平面形状を規定することができるため、
図11に示したプリント基板100のようにパッド電極1と絶縁層3の開口部3aとを別々に形成する場合よりもプリント基板100の製造プロセスを簡略化できる。
【0070】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態の少なくとも2つを組み合わせてもよい。本開示の基本的な範囲は、上記した説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0071】
1 パッド電極、1a 本体部、1aa 中央部分、1b 突出部、1ba 突出部分、1c 領域、1d 外周端、2 メタルマスク、2a,3a 開口部、3 絶縁層、4 はんだ層、4a 表面領域、4b 外周部、5 フラックス被膜、7 基板本体部、11 導電体層、100 プリント基板。