(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-11
(45)【発行日】2025-04-21
(54)【発明の名称】コンピュータ可読コードをキャプチャする方法、読取機器、および読取システム
(51)【国際特許分類】
G06K 7/14 20060101AFI20250414BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20250414BHJP
【FI】
G06K7/14 034
G06K7/14 013
G06K7/14 017
G06K7/10 428
G06K7/14 047
(21)【出願番号】P 2023532589
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2021083602
(87)【国際公開番号】W WO2022112606
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2024-11-28
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン コーク
(72)【発明者】
【氏名】ミルコ ヴィト
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-533152(JP,A)
【文献】特表2010-501087(JP,A)
【文献】特開2018-139141(JP,A)
【文献】特開2006-004037(JP,A)
【文献】特開2001-028033(JP,A)
【文献】特開2009-151446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/14
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザを支援するための、医療製品または医療製品のパッケージの複数のコンピュータ可読コードをキャプチャする方法であって、
キャプチャ機器により
、前記医療製品または
前記医療製品の前記パッケージの画像をキャプチャするステップと、
前記キャプチャされた画像内の少なくとも第1
のコンピュータ可読コードおよび第2のコンピュータ可読コードを抽出するステップと、
解釈機器により前記
第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードを解釈するとともに、前記
第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの各々に関連する、少なくとも製品IDの情報と、さらなる製品情報と、を取得するステップと、
前記取得された情報に基づいて、前記医療製品についての所定の関連情報セットが、
前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの各々に関連する情報および/またはリンクドデータベー
スに含まれるか否かを特定するステップと、
前記第1の
コンピュータ可読コード
に関連する前記取得された情報が前記第2の
コンピュータ可読コード
に関連する前記取得された情報に完全に含まれる場合に前記第2の
コンピュータ可読コードを関連コードとして選択するか、または、
前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードに関連する情報の各々が前記所定の関連情報セットの情報の少なくとも一部を含む場合に前記第1の
コンピュータ可読コードおよび前記第2の
コンピュータ可読コードを前記関連コードとして選択するステップと、
前記特定するステップの結果と前記選択するステップの結果に基づいて、
前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの各々のコードマーカを表示機器に送信するステップと、
前記キャプチャされた画像と、前記コードマーカに応じた、前記ユーザに
前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの改善された概観を提供するために
前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの各々に補助視覚情報を追加するための
前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの各々のマーキングと、を有するオーバーレイ画像を表示するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記コードマーカの1つまたは複数は、前記バーコード周辺のオーバーレイの色および/もしくは形状、ならびに/または、前記
第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの各々の上または近傍のテキストおよび/もしくは記号を示す情報を含
む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記解釈機器により、前記製品情報を前
記データベースに追加するステップと、
前記解釈機器により、前記データベースが前記所定の必要情報を含むか否かを特定するステップと、
前記特定が否定的であった場合に、警告またはメッセージを
前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの前記コードマーカの
少なくとも1つに割り当てるステップと、
前記表示機器により、
前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの少なくとも1つに前記警告またはメッセージが割り当てられた前記オーバーレイ画像を前記ユーザに表示するステップと、
をさらに含
む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記解釈機器により、前記製品IDを前記データベースに格納することで、または、前記関連コード
の前記製品IDを前記データベースの既存の関連製品IDにリンクすることで、前記取得された製品IDを前記データベースに結び付けるステップと、
前記解釈機器により、前記さらなる製品情報データを前記製品IDの前記データベースに追加するステップと、
前記解釈機器により、前記結び付けられた製品IDの前記データベースが、前記所定の必要情報を含むか否かを特定するステップと、
をさらに含
む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記医療製品についての前記所定の関連情報セットを含む、それぞれに関連する情報を有する前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの各々を識別するステップと、
前記医療製品についての前記所定の関連情報セット含むと特定された、それぞれに関連する情報を有する前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの各々を囲う緑のボックスを有する前記オーバーレイ画像を表示するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
コンピュータ可読コードに対応する規格に準拠していないために無効であると特定された、それぞれに関連する情報を有する前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの各々を識別するステップと、
コンピュータ可読コードに対応する規格に準拠していないために無効であると特定された、それぞれに関連する情報を有する前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの各々が覆われた/隠された/薄くなった、前記オーバーレイ画像を表示するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの少なくとも1つのそれぞれに関連する情報の少なくとも一部を、
前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの各々の前記コードマーカに割り当てるステップと、
前記医療製品に関するさらなる情報で前記ユーザを支援するため、前記オーバーレイ画像において、
前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの各々の横に、
それぞれの情報の前記一部を表示するステップと、
をさらに含
む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記
複数のコンピュータ可読コードは、バーコードおよび/または二次元コード
である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記キャプチャ機器は、カメラを有するスマートフォンである、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記所定の必要情報は、前記製品ID、有効期限、および
/またはロットナンバーを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記製品情報は、有効期限である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ユーザを支援するための、医療製品または医療製品のパッケージの複数のコンピュータ可読コードをキャプチャする読取機器であって、
前記医療製品または
前記医療製品の前記パッケージの画像をキャプチャし、前記キャプチャされた画像内の少なくとも第1
のコンピュータ可読コードおよび第2のコンピュータ可読コードを抽出するように構成されるキャプチャ機器と、
解釈機器であって、
前記
第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードを解釈し、前記
第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの各々に関連する、少なくとも製品IDの情報と、さらなる製品情報と、を取得し、
前記取得された情報に基づいて、前記医療製品についての所定の関連情報セットが、
前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの各々に関連する情報および/または前記読取機器の記憶部もしくはサーバの記憶部に格納されたリンク
ドデータベー
スに含まれるか否かを特定し、
前記第1の
コンピュータ可読コード
に関連する情報が前記第2の
コンピュータ可読コード
に関連する情報に完全に含まれる場合に前記第2の
コンピュータ可読コードを関連コードとして選択するか、または、
前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードに関連する情報の各々が前記所定の関連情報セットの情報の少なくとも一部を含む場合に前記第1の
コンピュータ可読コードおよび前記第2の
コンピュータ可読コードを前記関連コードとして選択し、
前記特定の結果と、前記選択の結果と、に基づいて、
前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの各々のコードマーカを表示機器に送信するように構成された、解釈機器と、
前記キャプチャされた画像と、前記コードマーカに応じた、前記ユーザに
前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの改善された概観を提供するために
前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの各々に補助視覚情報を追加するための
前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの各々のマーキングと、を有するオーバーレイ画像を表示するように構成された表示機器と、
を備える、読取機器。
【請求項13】
前記解釈機器は、
前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの少なくとも1つに関連する情報がGS1規格に準拠し、別のGS1規格バーコードもキャプチャ可能であろう
か否かを特定するように構成され、前記特定が肯定的である場合、前記表示機器は、別のコンピュータ可読コードをキャプチャするように前記ユーザにフィードバックを表示す
る、請求項12に記載の読取機器。
【請求項14】
前記解釈機器は、文字認識機能を備えており、
前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの少なくとも1つを、
前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードに定義されていない記述にリンクするように構成され
る、請求項12に記載の読取機器。
【請求項15】
前記解釈機器は、
前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの少なくとも1つに関連する情報が無菌資材に属するか否かを特定し、前記特定が肯定的である場合、前記解釈機器は、前記無菌資材についての追加情報を前記データベースから取得す
る、請求項12に記載の読取機器。
【請求項16】
前記解釈機器は、
前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの各々に関連する情報に、前記所定の関連情報セットの内の全ての情報が
含まれていないと特定すると、関連する電動医療製品の機能を停止し、前記表示機器
によって前記ユーザに警告を表示する
ように適用される、請求項12に記載の読取機器。
【請求項17】
前記解釈機器は、前記記憶部に格納された所定の選択可能コードマーカセットを有し、前記コードマーカは、前記バーコード周辺のオーバーレイの色および/もしくは形状、ならびに/または、前記各コードの上または近傍のテキストおよび/もしくは記号を示す情報を含
む、請求項12に記載の読取機器。
【請求項18】
前記無菌資材についての前記追加情報は、有効期限である、請求項15に記載の読取機器。
【請求項19】
前記医療製品の機能は、電源である、
請求項16に記載の読取機器。
【請求項20】
データベースを持つストレージを有し、前記少なくとも1つの読取機器に接続される、前記少なくとも1つの読取機器との間でデータを送受信するための中央サーバ機器をさらに備える、請求項12に記載の読取機器。
【請求項21】
コンピュータによって実行されると、
キャプチャ機器により、医療製品または前記医療製品のパッケージの画像をキャプチャするステップと、
前記キャプチャされた画像内の少なくとも第1のコンピュータ可読コードおよび第2のコンピュータ可読コードを抽出するステップと、
解釈機器により前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードを解釈するとともに、前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの各々に関連する、少なくとも製品IDの情報と、さらなる製品情報と、を取得するステップと、
前記取得された情報に基づいて、前記医療製品についての所定の関連情報セットが、前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの各々に関連する情報および/またはリンクドデータベースに含まれるか否かを特定するステップと、
前記第1のコンピュータ可読コードに関連する前記取得された情報が前記第2のコンピュータ可読コードに関連する前記取得された情報に完全に含まれる場合に前記第2のコンピュータ可読コードを関連コードとして選択するか、または、前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードに関連する情報の各々が前記所定の関連情報セットの情報の少なくとも一部を含む場合に前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードを前記関連コードとして選択するステップと、
前記特定するステップの結果と前記選択するステップの結果に基づいて、前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの各々のコードマーカを表示機器に送信するステップと、
前記キャプチャされた画像と、前記コードマーカに応じた、ユーザに前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの改善された概観を提供するために前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの各々に補助視覚情報を追加するための前記第1のコンピュータ可読コードおよび前記第2のコンピュータ可読コードの各々のマーキングと、を有するオーバーレイ画像を表示するステップと、を含む方法を前記コンピュータに実行させる命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザを支援するための、医療製品または医療製品のパッケージの複数のコンピュータ可読コード、好ましくはバーコードおよび/または二次元コードをキャプチャする方法に関する。さらに、本開示は、独立請求項のプレアンブルに係る、読取機器、読取システム、およびコンピュータ可読記憶媒体に関する。特に、本開示は、複数のコンピュータ可読コード、好ましくは複数のバーコードを有する医療製品と、パッケージ(物品)からスキャンされた情報を処理し、その中に含まれた情報を特定するために使用され得る。好ましくは、スキャナが、意図された用途に応じて、関連情報を特定し得る。利用分野の1つは、医療機器の処理及び文書化である。
【背景技術】
【0002】
患者、または患者の医療処置に関して使用される医療製品としての医療機器を追跡し、文書化することは、感染または機器リコールが生じた際に当該機器をトレースできるようにするために不可欠である。当該機器は、あらゆる種類の医療製品であり得る。患者に関して、ロットまたはシリアルナンバー情報を含む特定の物品(医療製品)のいずれが利用されたか、例えば埋め込まれたか、または使用されたかを判別可能であることが必要となる。ロットナンバーは、バッチナンバーとも称され得る。
【0003】
現行では、手動での文書化が一般的である。これは、機器から脱着可能なシールをはがすことを含む。多くの場合、これらシールは、なんらかの方法で職員により集められる。例えば、処置の際に、着用している術衣に貼り付けることが知られている。
【0004】
その後、文書化用途で利用される作業場で、シールがはがされ、フォームまたは書類に貼り付けられる。その後、フォームまたは書類はアーカイブ化または電子化される。
【0005】
不利なことに、シールが付されていない機器もある。この場合、例えばロットのような情報は、物品、物品パッケージ(医療製品のパッケージ)、または物品組のパッケージに印刷され得る。これら物品は往々にして忘れられ、その後文書化がなされない。
【0006】
現在病院で使用されているシステムにおいて、患者に対する医療物品の使用は、デジタル文書化可能である。同システムの例としては、病院情報システム(HIS、hospital information system)、病院管理ソフトウェアまたは病院管理システム(HMS、hospital management system)、臨床検査情報システム(LIS、laboratory information system)、方針手順管理システム、放射線科情報システム(RIS、radiology information system)、画像保存通信システム(PACS、picture archiving and communication system)、エンタープライズリソースプラニング(ERP、enterprise resource planning)システムなどが挙げられる。多くの場合、集められたシールから情報を集めるために、バーコードスキャナが利用される。
【0007】
医療機器には、国際規格1(GS1、global standards 1)、例えば国際取引商品番号(GTIN、global trade item number)、および医療産業バーコード(HIBC、health industry barcode)システムという、2つの主要な規格がある。特定の機器には、医薬品統一番号(Pharmaceutical central number)(PZN、ドイツ語では「Pharmazentralnummer」)が使用される。スキャンされるバーコードに適切な物品を結びつけるため、使用される可能性のあるあらゆる物品のマスターデータを含むデータベースは保守されなければならない。したがって、使用される情報システムには資材管理ブロックが必要となる、あるいは、情報システムと、資材管理ソフトウェアとの間にインタフェースが必要となる。
【0008】
例示的な研究によると、病院でスキャンされたインプラントのデータセットのうち、約27パーセントが適切に保守されなかった。具体的には、GTINが欠損していた。結果、バーコードをスキャンできたが、適切に処理できなかった。そのような場合には、ユーザには単にエラーメッセージが示され、欠損したデータを手動で入力する以外に、データ健全化の手立てはない。
【0009】
このことは、膝関節および股関節置換用インプラントのようなインプラントは、少なくとも一部の国々では、法律に準拠して文書化する必要があるため、極めて不利である。スキャン後のインプラントデータ手動入力では、ヒューマンエラーがシステム内のデータ劣化につながり得る。誤ったデータは損害賠償請求にもつながりかねないため、使用されている全ての物品について適切なデータベースを持つことが極めて望ましい。
【0010】
さらに、一部機器またはロットには、複数のバーコードが設けられる。医療機器のメーカーは、自社機器の関連情報をいかにコード化するかについてある程度自由がある。具体的には、GS1規格は異なる解釈が可能である。よって、異なるメーカーから機器上に提示される情報は一貫性を欠く。1つのスキャン可能要素、好ましくはデータマトリックスコードまたは同様なコードにおいて、全ての関連情報が存在することが望ましい。データマトリックスは、
図2aに示すような二次元コードであり、従来のバーコードよりも少ない面積で済む。独国特許出願公開第4107020号に、データマトリックスの原理が一部記載されている。データマトリックスのサイズとして一般的な、48行、48列のサイズを有するデータマトリックスにより、348個の数字、または259個の英数字が示され得る。印刷解像度によっては、48×48データマトリックスは、10×10mmから20×20mmのサイズとなる。現在用いられている規格ECC200の定義によると、一般的に使用されるデータマトリックスは最大で144×144となり、最大で3116個の数字、または2355個の英数字を保持し得る。
【0011】
比較として、図書に付される従来のバーコードでは、13桁の番号で本の国際標準図書番号(ISBN)が示される。
図2bにこのバーコードを示す。
【0012】
医療機器文書化用の関連情報は、GTIN、有効期限、ロットまたはシリアルナンバーを含む。しかし実際には、この情報のみでなく、恐らくは文書化に関係のないさらなる情報が、医療機器上に配置されることも多い。
図2cから2gに実例を示す。
図2cにおいて、3つのバーコードのうち、最下段のものに、全ての関連情報が含まれる。
図2dにおいて、全ての関連情報のためにスキャンされるべきは、2つデータマトリックスの内の下方のものである。ユーザは多くの場合、混乱し、困った挙句、不要なスキャン処理を実施する。結果、不正確なデータセットにつながるエラーの確率が増す。別の機器では、全ての関連情報は、単一のコードアイテムではなく、複数のバーコードまたはデータマトリックスに含まれる。この場合、従来のスキャン技術だと、不完全な文書化となる。
図2eでは、下側のバーコードは、GTIN(即ち、インジケータ欄「(01)」の後の値)と、有効期限データ(即ち、インジケータ欄「(17)」の後の値)とを含む。一方、上側のバーコードは、ロットナンバー(即ち、インジケータ欄「(10)」の後の値)を含む。
【0013】
バーコードのスキャン時、情報システムにスキャン済みデータを適切に処理させるため、ユーザは所定のスキャンシーケンスを遵守する必要がある。現行の手順では、GTINに加えてさらなる情報が続くことを情報システムに示すために、最初にロットナンバーをスキャンする必要がある。最初にGTINがスキャンされると、ロットナンバーは後続のGTINに結合される。そして文書化にエラーが生じ、ユーザに警告やその他標示はなされない。現行のスキャン機器には、これらの問題を把握しており、適切なシーケンスでコードをスキャンできる、熟練の知識豊富な作業員を要する。ただし、現行のシステムではエラーが生じる可能性が高い。
【0014】
多くのスキャナ(キャプチャ機器としての)は、コンピュータ可読コードをハイライトする一本線状のターゲット光線を利用するのではなく、矩形領域でのスキャンを行って、データマトリックスコードを検出するように設計される。この領域に複数のコードが存在する場合、スキャナは、どのコードを最初にスキャン、評価すべきか否かを特定する必要がある。熟練の作業員であれば、スキャン効率を上げるため、スキャンすべきではない、または最初にスキャンすべきではないコードを覆うということを知っている。具体的には、ユーザは、GTINを含むコードを覆い、最初にロットナンバーをスキャンする。しかしながら、GS1規格のインジケータ欄は一般的に認知されておらず、同様の情報を示すのに異なる欄を使用することもできる。GS1規格に関して、500を超える異なる、所謂アプリケーション識別子が知られている。
図3は、GS1アプリケーション識別子の抜粋を示す。また、一部のユーザは常に、最初に長いコードをスキャンする、または上から順にコードをスキャンするという間違いを犯す。しかし実際には、長さや位置はコードの内容に一切関係なく、ユーザは
図2fでは上側のコード、
図2gでは下側のコードに存在する、アプリケーション識別子「(10)」を探す必要がある。
【0015】
(関連技術)
例えば、米国特許出願公開第2016/0171258号は、医療製品のコードを検出し、処理するシステムを開示する。コードは、スキャンされ、データベースを有する中央モジュールにリンクされる。医療製品の製品情報は、コードまたはデータベースから取得される。必要情報が読み取られた/キャプチャされた場合、またはさらなるコードをユーザがスキャンする必要がある場合、ユーザはフィードバックを受ける。一度に1つのコードしかスキャンできず、その1つのコードに必要情報が含まれるか否かを特定することしかできない。
【0016】
バーコードスキャナおよび認識機器が、特開2016-212603号公報により知られている。バーコードスキャナが1つまたは複数のコードをスキャンし、認識機器がコードを解釈する。認識機器はコードデータをデータベースにリンクし、コードの既読頻度を計測する。したがって、認識機器は、同じコードが何度もスキャンされることを防止できる。認識機器はさらに、コードが二段階形式であるか否かを特定可能であり、その場合、2つのコードを適切な順序/シーケンスで読み取り可能である。
【0017】
したがって、従来技術として、コンピュータ可読コードをスキャンし、必要情報が存在するか否かを特定することは公知である。しかしながら、既存の手法では、複数のスキャン済みコードから、どれが最良のコードであるかをユーザに示すことはできない。さらに、既存の手法では、必要情報を取得するために、複数のコードからの製品情報を組み合わせることはできない。
【0018】
(本開示の簡単な説明)
したがって、本開示の目的は、複数のコンピュータ可読コードをキャプチャし、コード内の必要な製品データ/情報の入手可否と、キャプチャされたコードの関連性と、についてのフィードバックをユーザに提供可能にすることである。
【0019】
本開示の目的は、請求項1に記載の1つまたは複数のコンピュータ可読コードをキャプチャする方法と、請求項8に記載の読取機器と、請求項14に記載の読取システムと、請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体と、により実現される。
【0020】
本開示は、ユーザを支援するための、医療製品または医療製品のパッケージの複数のコンピュータ可読コード、好ましくはバーコードおよび/または二次元コードをキャプチャ、好ましくはスキャンする方法に関する。方法は、キャプチャ機器、好ましくはカメラを有するスマートフォンにより、コードを有する医療製品またはそのパッケージの画像をキャプチャ、好ましくはスキャンするステップと、キャプチャされた画像内の少なくとも第1および第2のコンピュータ可読コードを抽出/特定するステップと、を含む。解釈機器によりキャプチャされたコードのコードデータが解釈/デコードされ、少なくとも製品ID/製品識別子の情報と、さらなる製品情報、好ましくは有効期限および/またはロットナンバーと、がコードデータから取得される。
【0021】
画像のキャプチャまたはスキャンは、ユーザまたは機器が、好ましくはスマートフォンのカメラなどのカメラにより、医療製品または医療製品のパッケージの写真を撮ること、あるいはカメラなどのキャプチャ機器により、製品またはパッケージをスキャンすることを意味することが理解されよう。
【0022】
さらに、少なくとも第1および第2のコンピュータ可読コードのコードデータは、例えば、コードの(デジタル)写真であり得ることを理解されたい。キャプチャ機器がコンピュータ可読コードを解釈可能であれば、キャプチャ機器は、コードの解釈済みデータであるコードデータを送信することもできる。
【0023】
製品情報は、医療製品に関する情報であって、例えば、製品ID、有効期限データ、ロットナンバーを含むことを理解されたい。製品情報はさらに、例えば、ワクチンについての最長輸送期間または最長保管期間などの、医療製品についてのより多くの情報を含み得る。
【0024】
さらに、コードデータを解釈するとは、コンピュータ可読コードから情報を取得することであることを理解されたい。例えば、コードは、製品IDを含むGS1規格コードとして特定されるように解釈され得る。製品IDは、コードから読み取られる数字または数字と文字の組み合わせである。
【0025】
本開示に係る方法はさらに、取得された情報に基づいて、医療製品についての所定の関連情報セットが、キャプチャされたコードおよび/またはリンクド(マスターデータ)データベースの情報に含まれるか否かを特定するステップを含む。さらに、第1のコードの取得された情報が第2のコードの取得された情報に完全に含まれる場合に第2のコードを関連コードとして選択するか、または、各コードが所定の関連情報セットの情報の少なくとも一部を含む場合に第1のコードおよび第2のコードを関連コードとして選択する。
【0026】
所定の関連情報は、スキャンおよび電子化が必要な、医療製品に関する情報であることを理解されたい。所定の関連情報は、医療製品の種類とは異なり得る。例えば、インプラントは、ロットナンバーとともに文書化する必要がある。そうでなければ、義務付けられた文書化要件を満たさない。所定の関連情報は例えば、法的要件により、ユーザにより、またはその他の要件、例えば病院のインターン要件により定義され得る。
【0027】
(1つまたは複数の)コンピュータ可読コードは、それが所定の関連情報セットを含む場合に(1つまたは複数の)関連コードとして選択される。関連コードは、全ての関連情報を含む単一のコードであってもよいし、あるいは、組み合わせで関連情報を含むコードセットであってもよい。
【0028】
方法はさらに、特定するステップの結果と選択するステップの結果に基づいて、各コードのコードマーカを表示機器に送信するステップと、キャプチャされた画像と、コードマーカに応じた、ユーザにコンピュータ可読コードの改善された概観を提供するためにコードに補助視覚情報を追加するためのコードのマーキングと、を有するオーバーレイ画像を表示するステップと、を含む。
【0029】
コードマーカは、コンピュータ可読コードに「追加」される、追加情報である。追加情報は、例えば、コードが関連コードであるか、無効コードであるか、あるいは有効だが追加製品情報を含まないコードであるか、を示す記述をコードに追加する。
【0030】
オーバーレイ画像は、コンピュータ可読コードを有するキャプチャされた画像と、コードマーカに応じたコードのマーキングと、を含む画像である。マーキングは、コードについての視覚的フィードバックをユーザに提供するものである。マーキングは、例えば、コード周囲の所定の色付きボックスであってもよい。
【0031】
言い換えると、キャプチャ機器は、バーコードまたは二次元コードなどの、1つまたは複数のコンピュータ可読コードをスキャンするように適用され得る。キャプチャ機器は、キャプチャされた画像内のコンピュータ可読コードを特定し、複数のコードのコードデータを解釈機器に送信する。解釈機器は、コードデータを解釈する。これにより、解釈機器は、コードデータから製品情報を取得する。製品情報は、医療製品に関する情報であって、例えば、医療製品の製品識別子、ロットナンバー、および有効期限である。解釈機器は、関連コードの製品情報に所定の関連情報が含まれるか否かを特定する。解釈機器はさらに、欠損した製品情報がデータベースに格納されているか確認する。解釈機器は、1つのコードに別のコードの全ての製品情報も含まれる場合、その1つのコードを関連コードとして選択する。別のコードの全ての製品情報を含む1つのコードがなければ、複数のコードが関連コードであり得る。関連コードは、新たな製品情報を追加するあらゆるコードである。したがって、複数のコードが関連コードである場合、コードに含まれる情報により、所定の関連情報セットが組み合わされる。取得された製品情報は、(マスターデータ)データベースに格納される。即ち、解釈機器は、キャプチャされたものの製品情報が所定の関連情報を含むか否か、あるいは所定の関連情報がデータベースから取得可能であるか否かを特定する。コードデータからの製品情報と、データベースからの取得された製品情報と、を組み合わせて所定の関連情報を得ることもできる。
【0032】
解釈機器は、関連コードのコードマーカを表示機器に送信する。コードマーカは、追加情報をコードに追加する。表示機器は、オーバーレイ画像をユーザに表示する。オーバーレイ画像は、キャプチャされた画像と、マーキングされた1つまたは複数の関連コードと、を含む。マーキングは、関連コードをユーザに対してハイライトするもので、それにより追加情報をユーザに提供する。解釈機器の特定に応じて、関連コードに異なるマーキングがなされる。解釈機器の特定が肯定的である場合、関連コードは単純にマーキングされ得る。一実施形態によると、マーキングの色は好ましくは緑であり得る。任意で、ユーザはスキャンが完了したというフィードバックを受け取る。一方、解釈機器の特定が否定的である場合、オーバーレイ画像は、ユーザに関連情報が不完全であることを通知する警告またはメッセージを含む。この場合も、関連コードは製品情報を含むため、マーキング/ハイライトされる。ただし、ここでは関連コードは赤またはオレンジでハイライトされ得る。
【0033】
言い換えると、本開示は特に、1つまたは複数のバーコードを含む画像内の、好ましくはバーコードであるコンピュータ可読コードから、処置(手術など)における医療資材の物品(医療製品)の消費についてのデータを収集する方法に関する。方法は、少なくとも1つのコンピュータ可読コード、好ましくはバーコードのバーコード情報を収集するステップであって、各コンピュータ可読コードは、機器識別子情報(製品ID)と、製造識別子情報(例えば、ロットナンバーまたは有効期限)と、コンピュータ可読コード種類情報、好ましくはバーコード種類情報を含む、収集するステップと、機器識別子情報(製品ID)と、製造識別子情報(例えば、ロットナンバーまたは有効期限)と、バーコード種類情報と、に基づいて、データベースから追加物品情報を取得するステップと、機器識別子情報、製造識別子情報、バーコード種類情報、および追加物品情報に基づいて、物品に関する所定の必要情報セット(所定の関連情報セット)がコンピュータ可読コードに存在するか否かを特定し、特定がイエスとなる場合、所定のルールに従って、物品に関する所定の必要情報セットを含むコンピュータ可読コードの最小セット、好ましくはバーコードの最小セットを特定し、特定の結果に基づいて、画像を表示するための、及び、画像(オーバーレイ画像)に含まれるバーコードに対するマーキングを提供するための、マーキング情報(コードマーカ)を送信するステップと、処置に関連付けて、物品に関する所定の必要情報セットをメモリに格納するステップとを含む。
【0034】
本開示に係る方法は、以下の利点を有する。単純に、方法は複数のコンピュータ可読コードのセットから最良のコンピュータ可読コードを選択する。好ましくは、最良のコードはユーザに対してハイライトされて、追加情報が提供される。したがって、ユーザは、複数のコードのうち、どのコードが最良か正確に把握する。医療製品またはパッケージ上に、全ての関連情報を含む単一のコードが存在しない場合、複数のコードからの製品情報を組み合わせて、関連情報が集められ得る。製品識別子を含むコードがロットナンバーを含むコードよりも先にスキャンされ、ロットナンバーが間違った製品にリンクされるという主要な問題が避けられる。本開示では、複数のコンピュータ可読コードが同時にスキャンされ得、それらは、スキャンされるコードが同じ医療製品に属することを保証し得る。スキャン済みコードにおいて、情報が欠損している場合、ユーザは警告または警報を受ける。単一のコードをスキャンすることも可能である。ユーザは、単一のコードが全ての関連情報を含むか否かのフィードバックを受ける。さらに、情報システムがリアルタイムに適切な使用情報を持つことが保証されるならば、物品を所定数補充する際の医療製品の再注文を容易に自動化できる。
【0035】
本開示の有利な態様は、従属請求項に記載され、および/または以下に具体的に記載される。
【0036】
好ましくは、コードマーカは、バーコード周辺のオーバーレイの色および/もしくは形状、ならびに/または、各コード上または近傍のテキストおよび/もしくは記号のうちの1つ又は複数を示す情報を含んでもよい。コードマーカは、例えば、コード周囲のボックスであり得る。コードマーカは、特定結果に応じて、異なるコードに対して異なる色を有し得る。例えば、関連コードは、緑で色付けされ得る。可読だが、さらなる製品情報を含まないコードは、オレンジまたは黄色で色付けされ得る。無効なコードは赤で色付けされ得る。コードについて様々な情報を有するコードマーカは、ユーザを支援する。コードのマーキングに基づいて、ユーザはどのコードが関連するものなのかを容易に判別できる。ユーザはさらに、キャプチャされたコードセットが所定の関連情報セットを含む場合に通知され、キャプチャされたコードセットが所定の関連情報セットを含まない場合に警告を受ける。ユーザは、コードのマーキングから、どのコードが関連するものなのかを今後のために学習できる。
【0037】
言い換えると、特にマーキング情報(コードマーカ)は、コンピュータ可読コード、好ましくはバーコード周辺のオーバーレイの色および/もしくは形状、ならびに/または、各コード上または近傍のテキスト、数字および/もしくは記号のうちの1つ又は複数を示し得る。さらに/あるいは、物品に関する所定の必要情報セットを含むと特定された1つまたは複数のコードに対して、物品に関する所定の必要情報セットが1つまたは複数のコードに存在しないと特定されたコードに対して、無効と特定された1つまたは複数のコードに対して、有効と特定されたが、関連した追加物品情報がデータベースから取得できない1つ又は複数のコードに対して、および/または最小コードセットで使用されていない1つ又は複数のコードに対して、異なるマーキングを使用することができる。
【0038】
好ましくは、方法はさらに、解釈機器により、製品情報を(マスターデータ)データベースに追加するステップと、解釈機器により、データベースが所定の必要情報、好ましくは製品ID、有効期限、およびロットナンバーを含むか否かを特定するステップと、を含む。さらに方法は、特定が否定的であった場合に、警告またはメッセージをコードマーカに割り当てるステップと、表示機器により、ユーザに対して、コードに警告またはメッセージが割り当てられたオーバーレイ画像を表示するステップとを含む。
【0039】
言い換えると、コードデータから取得された製品情報は、(マスターデータ)データベースに格納されてもよい。データベースに情報が追加された後、解釈機器は、データベースに所定の必要情報が含まれるか否かを特定する。特定の結果に応じて、表示機器に送信されるコードマーカは異なる。特定が肯定的である場合、コードマーカは、どのコードが関連するものなのかについての情報を含む。関連コードはオーバーレイ画像でハイライトされる。一方、特定が否定的である場合、コードマーカは警告またはメッセージを含む。警告またはメッセージは、オーバーレイ画像においてユーザに示される。これにより、ユーザに、コードに全ての所定の必要情報が含まれないことを通知する。
【0040】
好ましくは、解釈機器は、取得した製品情報をデータベースに格納し、所定の必要情報をデータベースが含むか否かを特定する。取得した製品情報が所定の必要情報を含む場合または必要情報がすでにデータベースに格納されている場合、製品情報の格納後にデータベースが完成する。解釈機器が、所定の必要情報が製品情報にもデータベースにも含まれていないことを特定すると、ユーザは、表示機器により、警告またはメッセージを受け得る。解釈機器は、キャプチャされたコードに関連情報が含まれるか確認し得る。関連情報がキャプチャされたコードに含まれなければ、解釈機器はデータベースから情報を抽出可能か否かを確認する。コードからもデータベースからも情報が抽出できない場合、ユーザは必要情報が存在しないというフィードバックを受ける。
【0041】
好ましくは、方法はさらに、コードの1つまたは複数が医療製品についての所定の関連情報セットを含むということが特定された場合に、コードのそれぞれを囲う緑のボックスを、コードマーカのそれぞれに割り当てるステップを含む。さらなるステップでは、表示機器により、コードのそれぞれが緑のボックスで囲まれたオーバーレイ画像をユーザに表示する。1つまたは複数のキャプチャされたコードが所定の関連情報セットを含む場合、コードは関連コードであると特定される。1つまたは複数の関連コードは、オーバーレイ画像において緑のボックスでマーキングされる。ユーザは、1つまたは複数の関連コードが存在することと、スキャンが完了したことと、を容易に理解することができる。
【0042】
好ましくは、方法はさらに、コードの1つまたは複数が、無効であり、コンピュータ可読コードの対応する規格に準拠していない、ということが特定される場合に、コードのそれぞれを隠す隠しフラグを割り当てるステップと、コードのそれぞれ覆われた/隠された/薄くなった、オーバーレイ画像を表示するステップと、をさらに含む。非関連コード、または規格コードではないコードは、オーバーレイ画像において隠され得る。ユーザは、非関連コードに惑わされずに、関連コードに注目できる。ユーザは、どのコードが関連するものなのかを、今後のために学習し得る。
【0043】
好ましくは、方法はさらに、解釈機器により、製品IDをデータベースに格納することで、または、関連コードのコードデータの製品IDをデータベースの既存の関連製品IDにリンクすることで、取得された製品IDを(マスターデータ)データベースに結び付けるステップを含む。方法はさらに、解釈機器により、さらなる製品情報データを製品IDのデータベースに追加するステップと、解釈機器により、結び付けられた製品IDのデータベースが、所定の必要情報、好ましくは有効期限および/またはロットナンバーを含むか否かを特定するステップと、を含む。コードのスキャン後、医療製品は(マスターデータ)データベースにリンクされる。解釈機器は、情報がデータベースから取得可能か否かを特定する。所定の関連情報セットとして必要な製品情報がどれかという情報もデータベースから取得可能である。データベースから製品情報を取得することで、キャプチャされたコードに必要情報が全て含まれていなくても、所定の関連情報セットを完成させることができる。
【0044】
好ましくは、方法はさらに、少なくとも第1および/または第2のコードの取得された情報の少なくとも一部を、コードのそれぞれのコードマーカに割り当てるステップと、医療製品に関するさらなる情報でユーザを支援するため、オーバーレイ画像において、コードの横に、取得された情報の一部を表示するステップと、を含む。コードマーカは、コードに格納された情報についての情報を含んでもよい。これは、コードが製品識別子を含むという情報であってもよい。表示されたオーバーレイ画像は、コードの横に、そのコードが製品識別子を含むことを示すマーカを含み得る。数字である製品識別子も、コードの横に表示され得る。ユーザは即座に、各コードが含む情報を理解する。ユーザは、今後のために、どの情報が単一のコードに格納されているかを学習することもできる。追加情報を使用して、ユーザはコードの識別子を学習することができる。
【0045】
本開示の目的はさらに、ユーザを支援するための、医療製品または医療製品のパッケージの複数のコンピュータ可読コードをキャプチャする読取機器によっても実現される。読取機器は、コードを有する医療製品またはそのパッケージの画像をキャプチャし、キャプチャされた画像内の少なくとも第1および第2のコンピュータ可読コードを抽出するように構成されるキャプチャ機器を備える。
【0046】
さらに、読取機器は、解釈機器を備える。解釈機器は、コードデータを解釈し、少なくとも製品IDの情報と、さらなる製品情報と、をコードデータから取得するように構成される。解釈機器はさらに、取得された情報に基づいて、医療製品についての所定の関連情報セットが、キャプチャされたコードおよび/または読取機器の記憶部もしくはサーバの記憶部に格納されたリンクド(マスターデータ)データベースの情報に含まれるか否かを特定するように構成される。解釈機器はさらに、第1のコードのコードデータの情報が第2のコードのコードデータの情報に完全に含まれる場合に第2のコードを関連コードとして選択するか、または、各コードが所定の関連情報セットの情報の少なくとも一部を含む場合に第1のコードおよび第2のコードを関連コードとして選択するように構成される。
【0047】
各コードのコードマーカは、特定の結果と選択の結果に基づいて、表示機器に送信される。読取機器はさらに、キャプチャされた画像と、コードマ―カに応じた、ユーザにコンピュータ可読コードの改善された概観を提供するためにコードに補助視覚情報を追加するためのコードのマーキングと、を有するオーバーレイ画像を表示するように構成された表示機器を備える。
【0048】
読取機器は、キャプチャ機器と、解釈機器と、表示機器と、を備える。キャプチャ機器は、好ましくはカメラ付きスマートフォンであり、医療製品の写真を撮るか、コードをスキャンするように構成される。解釈機器は、キャプチャされたコードおよび/またはデータベースに、必要な関連情報が存在するか否かを特定するように構成される。解釈機器はさらに、関連コードを選択し、(1つまたは複数の)各コードについての少なくとも1つのコードマーカを表示機器に送信する。表示機器は、キャプチャされた画像からなるオーバーレイ画像と、オーバーレイ画像に埋め込まれたコードマーカの情報と、をユーザに表示する。
【0049】
言い換えると、本開示は好ましくは、1つまたは複数のバーコードを含む画像内のコンピュータ可読コード、好ましくはバーコードから、処置(手術など)における医療資材の物品(医療製品)の消費についてのデータを収集するデータ評価器(例えば、読取機器)を提供する。データ評価器は、機器識別子情報(製品ID)、製造識別子情報、およびコード種類情報を含む少なくとも1つのコンピュータ可読コード、好ましくはバーコードのコード情報を収集するように構成された収集部(キャプチャ機器)と、機器識別子情報、製造識別子情報、およびコード種類情報に基づいて、データベースから追加物品情報を取得するように構成された取得部(解釈機器)と、機器識別子情報、製造識別子情報、コード種類情報、および追加物品情報に基づいて、物品に関する所定の必要情報セット(所定の関連情報セット)がコンピュータ可読コード、好ましくはバーコードに存在するか否かを特定し、特定がイエスとなる場合、所定のルールに従って、物品に関する所定の必要情報セットを含むコンピュータ可読コードの最小セット、好ましくはバーコードの最小セットを特定するように構成された特定部(解釈機器)と、特定の結果に基づいて、画像(オーバーレイ画像)を表示するための、及び、画像に含まれるコンピュータ可読コード、好ましくはバーコードに対するマーキングを提供するための、マーキング情報(コードマーカ)を送信するように構成された送信部と、処置に関連付けて、物品に関する所定の必要情報セットをメモリに格納するように構成された記憶部(データベース)とを備える。
【0050】
読取機器は以下の利点を有する。読取機器は、複数のコードをスキャンし、コードが、所定の関連情報の少なくとも一部を含むか否か特定できる。読取機器はさらに、所定の関連情報セット(の少なくとも一部)を含む関連コードセットを(特に、データベースに格納された残存情報と組み合わせて)特定し、それらをオーバーレイ画像においてハイライトできる。したがって、読取機器は、必要な関連データセットを取得するために、複数のコードの中から最良のコードを選択したり、あるいは複数のコードを組み合わせたりすることができる。
【0051】
好ましくは、解釈機器は、第1のキャプチャされたコードがGS1規格に準拠し、別のGS1規格バーコードもキャプチャ可能であろうということを特定するように構成され、特定が肯定的である場合、表示機器は、別のコンピュータ可読コードをキャプチャするようにユーザにフィードバックを表示する。一部の医療製品は、複数のGS1規格コードを有する。製品が複数のコードを有することは分かっているものの、キャプチャされた画像内にコードが1つしかない場合、ユーザは、表示機器上で、別のコードをスキャンするようにフィードバックを受ける。好ましくは、ユーザは、複数のコードをキャプチャするためにカメラ角度を変更するように促される。
【0052】
好ましくは、解釈機器は、文字認識機能を備えており、コンピュータ可読コードを、コンピュータ可読コードに定義されていない記述にリンクするように構成される。製品によっては、どの情報が保存されているかを示さないコンピュータ可読コードを有するものがある。その説明は、むしろ、コードの横に配置され、テキストで書かれる。解釈機器がテキストを読み取れることは有利である。解釈機器は、コードを、その横にあるテキストにリンクさせることができる。解釈機器は、例えば光学文字認識機能(OCR)または人工知能ネットワークにより、テキストを読み取ることができる。
【0053】
好ましくは、解釈機器は、キャプチャされたコードが無菌資材に属するか否かを特定し、特定が肯定的である場合、無菌資材についての追加情報、好ましくは有効期限をデータベースから取得するように構成される。無菌医療製品または無菌資材は、有効期限を有することが必須である。解釈機器は、キャプチャされたコードが無菌医療製品または資材に属するということを特定すると、好ましくは有効期限である追加情報を、キャプチャされたコードまたはデータベースから取得する。解釈機器は、資材が期限切れか否かを特定し、表示機器を介してユーザにフィードバックを提供する。
【0054】
好ましくは、解釈機器は、所定の関連情報セットの内の全ての情報が入手可能でないことと、電動医療製品が設けられ/使用されることと、を特定するように適用され、解釈機器は、医療製品の機能、好ましくは電源を停止し、表示機器は、ユーザに警告を表示する。解釈機器は、電動医療製品について所定の関連情報の全てが入手可能でないと特定する場合、電動医療製品の電源を停止することができる。あるいは、解釈機器は、表示機器を介してユーザに警告を表示することができる。
【0055】
好ましくは、解釈機器は、記憶部に格納された所定の選択可能コードマーカセットを有しており、コードマーカは、バーコード周辺のオーバーレイの色および/もしくは形状、ならびに/または、各コード上または近傍のテキストおよび/もしくは記号のうちの1つ又は複数を示す情報を含む。
【0056】
本開示はさらに、ユーザを支援するための、医療製品または医療製品のパッケージの複数のコンピュータ可読コードをキャプチャする読取システムに関する。読取システムは、本開示の上述の態様のいずれか一つに係る、クライアント機器としての少なくとも1つの読取機器と、(マスター)データベースを持つストレージを有し、少なくとも1つの読取機器に接続される、読取機器との間でデータを送受信するための中央サーバ機器と、を備える。読取システムは、データ処理用の1つの中央モジュールと、中央モジュールに接続された複数の読取システムと、を備える。中央モジュールは、製品情報についての複合データベースを提供する。例えば、複数のキャプチャ機器のうち1つが動作しない場合、同じ機能を提供し、同じデータベースおよび格納された製品情報にアクセス可能な別のキャプチャ機器を使用することができる。
【0057】
好ましくは、特定するステップはさらに、機器識別子情報、製造識別子情報、バーコード種類情報、および追加物品情報に基づいて、物品が処置に関連するか否かを特定することを含んでもよい。処置は、好ましくは、手術またはその他医療行為である。
【0058】
好ましくは、物品が処置に関連しないことを示す別のマーキングが、1つまたは複数のバーコードに対して使用され得る。
【0059】
好ましくは、物品に関する所定の必要情報セット(所定の関連情報セット)は、固有物品番号、メーカー識別子、メーカーでの物品番号、シリアルナンバー、ロットナンバー、および/または有効期限のうちの1つまたは複数を含む。
【0060】
好ましくは、追加物品(医療製品)情報は、物品に関する所定の必要情報セットを含む、さらに/あるいは物品に関する所定の必要情報セットは、シリアルナンバー、ロットナンバー、および/または有効期限のうちの1つまたは複数を含む。
【0061】
好ましくは、方法はさらに、画像を収集するステップ、画像内のバーコードを検出するステップ、検出されたバーコードをバーコードコード化表に基づいてデコードするステップ、デコードされたバーコードを解釈表に基づいて解釈するステップ、および/または、収集した画像をマーキングとともに表示するステップのうちの1つまたは複数を含む。
【0062】
好ましくは、方法はさらに、少なくとも1つの無効(バー)コードが特定される場合、物品に関するの所定の必要情報セットが(バー)コードに存在しないということが特定される場合、および/または方法が適切に終了した場合、ユーザを促し、ユーザから追加の入力を受信するステップを含む。
【0063】
好ましくは、表示するステップはさらに、好ましくはバーコード情報および/または追加物品情報に基づいて、相互作用要素を表示するステップを含む。
【0064】
好ましくは、方法は、複数の画像を処理するステップを、好ましくは所定時間の経過後および/またはユーザの確認後に、繰り返し実行する。
【0065】
好ましくは、マーキング情報(コードマーカ)は、バーコード周辺のオーバーレイの色および/もしくは形状、ならびに/または、各コード上または近傍のテキスト、数字および/もしくは記号のうちの1つ又は複数を示すことができる。さらに/あるいは、物品に関する所定の必要情報セットを含むと特定された1つまたは複数のコードに対して、物品に関する所定の必要情報セットが1つまたは複数のコードに存在しないと特定されたコードに対して、無効と特定された1つまたは複数のコードに対して、有効と特定されたが、関連した追加物品情報がデータベースから取得できない1つ又は複数のコードに対して、および/または最小コードセットで使用されていない1つ又は複数のコードに対して、異なるマーキングを使用することができる。
【0066】
好ましくは、特定部(解釈機器)はさらに、機器識別子情報、製造識別子情報、バーコード種類情報、および追加物品情報に基づいて、物品が処置に関連するか否かを特定するように構成される。
【0067】
好ましくは、物品が処置に関連しないことを示す別のマーキングを、1つまたは複数のバーコードに使用することができる。
【0068】
好ましくは、物品に関する所定の必要情報セットは、固有物品番号、メーカー識別子、メーカーでの物品番号、シリアルナンバー、ロットナンバー、および/または有効期限の内の1つまたは複数を含む。
【0069】
好ましくは、追加物品情報は、物品に関する所定の必要情報セットを含む。さらに/あるいは、物品に関する所定の必要情報セットは、シリアルナンバー、ロットナンバー、および/または有効期限の内の1つまたは複数を含む。
【0070】
好ましくは、画像を収集するように構成された収集部、画像内のバーコードを検出するように構成された検出部、検出されたバーコードをバーコードコード化表に基づいてデコードするように構成されたデコード部、デコードされたバーコードを解釈表に基づいて解釈するように構成された解釈部、および/または、収集した画像をマーキングとともに表示するように構成された表示部のうちの1つまたは複数を備えるデータ評価器が提供される。
【0071】
好ましくは、データ評価器はさらに、少なくとも1つの無効(バー)コードが特定される場合、物品に関する所定の必要情報セットが(バー)コードに存在しないということが特定される場合、および/または画像からのデータ収集が適切に終了した場合、ユーザを促し、ユーザから追加の入力を受信するように構成された相互作用部を備える。
【0072】
好ましくは、データ評価器はさらに、好ましくはバーコード情報および/または追加物品情報に基づいて、相互作用要素を表示するように構成された表示部を備える。
【0073】
好ましくは、データ評価器は、好ましくは所定時間の経過後および/またはユーザの確認後に次の画像に進むように、複数の画像を順次処理するように構成される。
【0074】
さらに、本開示は、処理機器用のプログラムを含むコンピュータプログラムプロダクトであって、プログラムが処理機器上で実行される場合に上述の態様に係る方法を実行するソフトウェアコード部分を含む、コンピュータプログラムプロダクトに関する。
【0075】
好ましくは、コンピュータプログラムプロダクトは、ソフトウェアコード部分が格納されるコンピュータ可読媒体を備えており、プログラムは、処理機器の内部メモリに直接ロード可能である。
【0076】
本開示はさらに、コンピュータによって実行されると、上述の態様の何れかに係る方法をコンピュータに実行させる命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体に関する。
【0077】
本開示に係るコンピュータ可読コードをキャプチャする方法の説明は、本開示の読取機器の説明にも同様に適用される。この逆についても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
本開示は、図を用いて好ましい実施形態を参照しながら、以下により詳細に説明される。
【
図1】一実施形態に係る本開示の方法を示すフローチャートである。
【
図2a】理解を促すための、機器上のコードの実例を示す図である。
【
図2b】理解を促すための、機器上のコードの実例を示す図である。
【
図2c】理解を促すための、機器上のコードの実例を示す図である。
【
図2d】理解を促すための、機器上のコードの実例を示す図である。
【
図2e】理解を促すための、機器上のコードの実例を示す図である。
【
図2f】理解を促すための、機器上のコードの実例を示す図である。
【
図2g】理解を促すための、機器上のコードの実例を示す図である。
【
図3】理解を促すための、GS1規格アプリケーション識別子のリストである。
【
図4a】理解を促すための、異なる製品コード化様式を示す図である。
【
図4b】理解を促すための、異なる製品コード化様式を示す図である。
【
図4c】理解を促すための、異なる製品コード化様式を示す図である。
【
図4d】理解を促すための、異なる製品コード化様式を示す図である。
【
図4e】理解を促すための、異なる製品コード化様式を示す図である。
【
図4f】理解を促すための、異なる製品コード化様式を示す図である。
【
図4g】理解を促すための、異なる製品コード化様式を示す図である。
【
図4h】理解を促すための、異なる製品コード化様式を示す図である。
【
図4i】理解を促すための、異なる製品コード化様式を示す図である。
【
図4j】理解を促すための、異なる製品コード化様式を示す図である。
【
図4k】理解を促すための、異なる製品コード化様式を示す図である。
【
図4l】理解を促すための、異なる製品コード化様式を示す図である。
【
図4m】理解を促すための、異なる製品コード化様式を示す図である。
【
図4n】理解を促すための、異なる製品コード化様式を示す図である。
【
図4o】理解を促すための、異なる製品コード化様式を示す図である。
【
図4p】理解を促すための、異なる製品コード化様式を示す図である。
【
図4q】理解を促すための、異なる製品コード化様式を示す図である。
【
図4r】理解を促すための、異なる製品コード化様式を示す図である。
【
図4s】理解を促すための、異なる製品コード化様式を示す図である。
【
図4t】理解を促すための、異なる製品コード化様式を示す図である。
【
図4u】理解を促すための、異なる製品コード化様式を示す図である。
【
図4v】理解を促すための、異なる製品コード化様式を示す図である。
【
図4w】理解を促すための、異なる製品コード化様式を示す図である。
【
図4x】理解を促すための、異なる製品コード化様式を示す図である。
【
図5】理解を促すための、例示的なバーコードデコード表である。
【
図6】本開示の好ましい実施形態に係る読取機器を示す概略図である。
【0079】
図面は概略を示すものであり、本発明の理解を助けることのみを意図している。各種実施形態の特徴は置き換え可能である。
【0080】
(好適な実施形態の図の詳細な説明)
以下では、添付の図面を使用して、本開示の例を詳細に説明する。
【0081】
図1は、ユーザを支援するための、医療製品または医療製品のパッケージの複数のコンピュータ可読コードをキャプチャする方法1000のフローチャートを示す。本実施形態において、方法は、バーコードおよびQRコード(登録商標)のキャプチャに適用される。方法は以下のステップを含む。
【0082】
第1のステップ1010において、方法は、キャプチャ機器2としてのカメラにより、コードを有する医療製品またはそのパッケージをキャプチャする。
【0083】
第2のステップ1020において、方法は、キャプチャされた画像内の少なくとも第1のバーコードまたはQRコードおよび第2のバーコードまたはQRコードを抽出する。
【0084】
その後、方法はステップ1030に進む。ここで、方法は、解釈機器4によりコードデータを解釈し、コードデータから、少なくとも製品IDの情報と、有効期限の形式のさらなる製品情報と、を取得する。
【0085】
ステップ1040では、取得された情報に基づいて、キャプチャされたコードおよび/またはリンクドデータベース8の情報に、医療製品についての所定の関連情報セットが含まれるか否かが特定される。
【0086】
ステップ1050は、第1のコードの取得された情報が第2のコードの取得された情報に完全に含まれる場合に第2のコードを関連コードとして選択するか、または、各コードが所定の関連情報セットの少なくとも一部を含む場合に第1のコードおよび第2のコードを関連コードとして選択することを含む。
【0087】
特定および選択が完了すると、処理は、特定結果および選択結果に基づいて各コードのコードマーカを表示機器6に送信するステップ1060に進む。
【0088】
最後に、処理は、キャプチャされた画像と、コードマーカに応じた、ユーザにコンピュータ可読コードの改善された概観を提供するためにコードに補助視覚情報を追加するためのコードのマーキングと、を有するオーバーレイ画像を表示するステップ1070に進む。
【0089】
このような方法によると、各コードにさらなる情報を追加すること及びユーザを支援することが可能となる。方法は特に、拡張現実(augumented reality)の方法である。この方法では、現実世界の情報がデジタル世界の情報によって補足され、それによって、関連情報を、必要な箇所に効果的に追加することができる。方法は、複数のコンピュータ可読コードをキャプチャ可能であって、ユーザが必要な知識をもたずとも、各コンピュータ可読コードを自動的に確認および解釈し、データ分析の結果を、特に病院における日常業務を推進するために表示される追加情報の形態で、ユーザに提示する。さらに、方法によって自動で選択が行われるため、患者の安全性および病院におけるワークフロー速度が向上する。特に方法は、必要情報をユーザに直観的に示すために、コードに含まれた情報またはその少なくとも一部、例えば有効期限を、オーバーレイ画像(現実世界/デジタル世界)に自動的に追加するように適用されてもよい。これによって、ユーザは自身の特定のタスクに集中できるようになり、そのタスクをより良くこなすことができるようになるので、ユーザの作業負担が軽減される。さらに、方法は機械によって自動的に実行され、ユーザによる補助や手動入力を必要としないので、エラーの可能性は最小限に抑えられる。
【0090】
主に、最も良く情報を伝達する最良のコードである特定のQRコードまたはバーコードが、ユーザに提示される。これにより、例えば、ユーザは自身がどのバーコードに注目すればよいか直観的に理解する。さらに、複数のコンピュータ可読コードが最小の関連情報セットを含む場合、それらのバーコードがユーザに対して正確に示される。例えば、7つのバーコードのうちの1つが有効期限の情報を含む場合、7つのコードのうちの当該コードがユーザにハイライトされて表示される。それにより、ユーザは、その時に有効期限内か否かを特定することができる。あるいは、有効期限が切れたことをユーザに通知するために、赤などの特別な色でバーコードをハイライトして、警告メッセージが示されてもよい。これにより。それを受けたユーザは、当該医療製品を選別できる。方法は、適用可能な各具体的状況において、関連情報の改善された概要をユーザに提供するものである(フロントエンドの改善)。
【0091】
一方、現行のスキャニング装置は、スキャナの前に置かれた物品の画像を収集し、そこにあるバーコードを検出およびデコードすることしかできない。各バーコードは、そのコード表に基づいてデコードされる。バーコードの場合、各コード化文字は、バーコードのバーとスペースの構成でコード化される。例として、CODE39による文字は、5つのバーと、4つのスペースからなる。その合計9個のエレメントにおいて、3つは太く(二進数の1の値に対応)、6つは細い(二進数の0の値に対応)。これは、43個の異なる大文字アルファベット、数字、および記号とスペースをコード化するものであり、128個のASCII文字の全てをコード化する能力を有する。ここではCODE39の場合におけるデコード表の例を
図5に示す。デコード部は、検出されたコードを処理し、デコードされた文字列を返す。
【0092】
データベースから、完全な情報セットを構成するために必要とされるものを含むデータを取得することができる。例えば、データベースは、医療製品の場合、有効期限が必要であるということを含み得、あるいはワクチンの場合、過ぎてはならない輸送期間を含み得る。このような制約は、データベースから加えられ得る。さらに、変更された要件が、同様にしてロードされ得る。例えば、輸送時にデータベースにリコール情報が追加されると、これにより、スキャンされた物品が「期限切れ」または「リコール」とマーキングされることになるので、それによって、その使用を避けることができる。
【0093】
任意で、ディスプレイは、1つ又は複数のコードにすべての必要情報が含まれるがために、最終的に使用される1つ又は複数のコードを、ユーザに示してもよい。これは、例えば、(1つまたは複数の)コードの上の色付きまたは白黒のオーバーレイや、(1つまたは複数の)コードの周囲の色付きまたは白黒のフレームや、記号、例えば(1つまたは複数の)コードの横の点、星、または矢印、あるいはその他任意の視認可能な標示により実現され得る。残りの情報は、その後、データベースのマスターデータから選択された追加情報によって装飾され得る。追加情報の例としては、製造者情報、病院物品番号、または物品説明が挙げられる。
【0094】
しかしながら、機器のマーキングは、必ずしも、情報が単一のバーコードまたはデータマトリックスに含まれるような形式で行われるわけではない。GS1規格は、情報を複数のバーコード間に分散させることを許容している。従来のバーコードスキャナを使用する場合、ユーザは、最初にどのコードをスキャンするべきかを判断する必要がある、あるいは、その判断をバーコードスキャナに任せる。しかしながら、これらのケースでは、以上で詳述したように、文書化にエラーが生じる可能性が高い。
【0095】
本発明によると、同時に複数のコードを読み取ることができる。単一のコードから完全な情報セットが得られなければ、上述のように2つ以上のコードが組み合わせられ得る。
【0096】
本発明は、ユーザに対して、文書化および支援を可能な限り容易にすることを目的とする。したがって、ディスプレイは、異なる複数のカラーブラシ、例えばオーバーレイと協働し得る。これにより、ユーザは、時間経過と共に、異なる複数のコード化規格に気付き、それを認識する。マスターデータは、物品をどのようにコード化するべきか、どのコードが想定されるか、及び、どの情報が文書化されるべきかを定義するために使用され得る。ここでいうブラシとは、紙にハイライトを付すブラシのような、特定の領域のマーキングを示す色付きオーバーレイのことである。
【0097】
以下に、
図4aから4zを参照して、医療機器コード化の例をいくつか詳細に示す。なお、同じ原理が、多分野の機器にも適用され得る。
【0098】
医療機器の一例として、以下にインプラントを詳細に示す。インプラントが、GTIN/LIC+PNC、有効期限、ロットまたはシリアルナンバーに関するコード化情報を持つことは、一般的である。医療機器用の既知のコード化様式は、以下を含む。
・医薬品統一番号(Pharmaceutical central number)(PZN、ドイツ語では「Pharmazentralnummer」)(
図4aに示す)
・EANコード(European Article Number)(EAN13 +PZN)(
図4bに示す)
・EAN13(
図4cに示す)
・GS1(01)(
図4dに示す)
・GS1(01)+GS1(17/10)(
図4eおよび4fに示す)
・GS1(01/17/10)+EAN 13(
図4gに示す)
・GS1(*/10)+EAN 13(
図4hに示す)
・GS1(01/17/10)(
図4iおよび4jに示す)
・GS1(01/17/21)(
図4kに示す)
・GS1+HIBC(
図4lに示す)
・HIBC(
図4mおよび4nに示す)
・非規格化コード(
図4oおよび4pに示す)
・バーコードと組み合わせたOCR(
図4qに示す)
・OCRのみ(
図4rに示す)
・無菌製品(
図4s、4t、および4uに示す)
・カード番号(
図4vに示す)
・文書化または再滅菌インプラント
・電子取扱説明書(eIFU、electronic instructions for use)(
図4wに示す)
・QRコード(
図4xに示す)
・有効期限証明。
【0099】
上記において、OCR、即ち光学文字認識機能は、複数の個別の文字を含むテキストを認識すること、さらに記号、具体的には、例えば
図4pまたは
図4qにおける「ロット」の指定、あるいは
図4qにおける、砂時計記号のようなグラフィック記号を認識することを含む。したがって、これは画像認識とも称され得、および/または、一般的に使用される記号の意味を学習する機械学習を含み得る。
【0100】
図4aはPZNを示す。ドイツでは、医薬品には医薬品統一番号(PZN)が付される。EUでは、医薬品製品番号(PPN、pharmacy product number)が使用される。PZNまたはPPN規格は、インプラントの文書化または再注文についての優先順位を有さない。しかしながら、適切に追跡および院内備品補充を行うためには、これらコードを検出し、適切に解釈する必要がある。PZNは、(1つまたは複数の)GS1コードとは異なる態様、即ち、異なる色、形状、および/または記号で、マーキングされるべきである。
【0101】
図4bは、EAN13+PZNという組み合わせを示す。PZNはEAN13に対応しないので、物品を特定するためには両コードを解釈する必要がある。新たなマスターデータを作成する際には、ユーザは、物品が別の機械可読コードを含むかどうかを問われるべきである。PZNとEAN13の組合せは、注文時に、データを商品管理に適切に送信できるという点で重要である。マスターデータの作成が完了した物品は、PZNまたはEAN13で特定されるはずである。PZNは、(1つまたは複数の)GS1コードとは異なる態様、即ち、異なる色、形状、および/または記号で、マーキングされるべきである。
【0102】
図4cは、EAN13を示す。EAN13を有する物品については、有効期限およびロットまたはシリアルナンバーが手動で入力されることが想定される。スキャンを行い、それにより新たなマスターデータを作成する際、ユーザは、物品が別の機械可読コードを含むか、および有効期限およびロットまたはシリアルナンバーが文書化されるべきかを問われるべきである。一般的に、手動入力は、可能であるべきだが、その機器にとって必要である場合には必須である。例えば、絆創膏に対して手動でロットナンバーを記録するのは機器にとって不適切である。また、ロットナンバー無しでインプラントを文書化することは、文書化要件を満たさない。これは、別のGS1コード化様式に関して、以下に詳述する。
【0103】
図4dは、識別子(01)付きのGS1を示す。識別子(01)付きのGTINを含み、その他のコードを含まないバーコードを有する機器がある。従来技術のスキャナは、EAN13は直ちに処理可能だが、GS1(01)コードをスキャンした後、例えば「進む」ボタンを押す等のユーザの相互作用があるまで、別のスキャン対象コードの処理を待機する。この場合、マスターデータは、この機器に関して、さらなるコードが想定されないことを示し得る。ロット情報の手動入力も、マスターデータに依存し得る。
【0104】
図4eおよび
図4fは、識別子(01)以外の識別子付きのGS1を示す。複数のGS1コードを製品が有することがわかっていれば、ユーザは、複数のコードをキャプチャするためにカメラの視点を変更するように促される。
【0105】
図4gは、同一のパッケージ上のGS1コードおよびEAN13を示す。製品において、EAN13の横に完全なGS1コードが存在することがわかっていれば、ユーザはGS1コードをスキャンするように促される。この場合、EAN13は処理されるべきではない。
【0106】
図4hは、GS1識別子(01)ではなく、EAN13付きの物品を示す。マスターデータにおいて、製品が第2のコードを有すること、または、ロットナンバーのスキャンが必要であることが定義されている場合、読取機器はEAN13を処理せず、ロットナンバーがスキャンされるまで待機する。
【0107】
図4iから
図4kは、1つのコードに必要な関連情報セットが含まれるコードを示す。
図4lはHIBCコードを示す。HIBCコードは、GS1コードとは異なる色でマーキングされるべきである。医療製品は、HIBCコードまたはGS1コードで特定されるはずである。
図4mおよび
図4nもHIBCコードを示す。1つの単一のHIBCコードから、製品ID、ロットナンバー、およびシリアルナンバーが取得可能であるはずである。
【0108】
図4oから
図4rに非規格化コードを示す。
図4oのコードは、文書化に使用するべきではない。読取機器は、
図4pおよび
図4qにおけるコードがどの情報を含むかを特定するために、テキストを読み取り可能である。
図4rは、コンピュータ可読コードを一切含まない。
図4rの情報を処理するため、読取機器は、文字認識機能(OCR)を使用してもよく、または、写真を撮って製品を文書化してもよい。
図4vも、どの規格にも属さない。同図における情報は、OCRによって取得され得、または、写真を撮ることによって文書化され得る。
【0109】
図4sから
図4uは、無菌資材のコードを示す。読取機器は、医療製品が無菌資材であることを特定し、例えば、同材料の有効期限を取得し得る。
【0110】
図4wおよび
図4xは、製品情報を有するウェブサイトまたは命令につながるコードを示す。ウェブサイトまたは命令は、読取機器により開かれ、表示機器上でユーザに対して表示される。
【0111】
図6は、本開示の好ましい実施形態に係る読取機器1の概略図を示す。読取機器1は、キャプチャ機器2と、解釈機器4と、表示機器6と、データベース8と、を備える。キャプチャ機器2は、好ましくはカメラであり、特に好ましくはスマートフォンのカメラである。ユーザまたは機器は、バーコードセットの画像をキャプチャする、またはバーコードセットをスキャンするために、キャプチャ機器2を使用する。バーコードは、キャプチャされた画像から抽出されるか、キャプチャされた画像内で検出される。解釈機器4は、抽出されたバーコードをデコードし、単一のバーコードにどの製品情報が格納されているかを検出する。解釈機器4は、その後、バーコード内で、またはリンクドデータベース8内で、所定の関連情報セットが入手可能であるか否かを特定する。解釈機器4は、関連コードを選択し、表示機器6上で関連コードをハイライトする。
【0112】
具体的実施形態における、ユーザ作業支援のために、医療製品または医療製品のパッケージの複数のコンピュータ可読コードをキャプチャする方法を以下に説明する。キャプチャ機器2はカメラ、好ましくはスマートフォンのカメラである。ユーザは、カメラにより、コンピュータ可読コードのセットをスキャンする。コンピュータ可読コードのセットは、
図2cおよび2dに示すように、例えばバーコードセットである。カメラは、コンピュータ可読コードの画像をキャプチャする。キャプチャされた画像において、バーコードが検出される。解釈機器4は、キャプチャされたバーコードに格納されたコードデータをデコードする。即ち、解釈機器4は、例えば
図5に示すように、解釈表に基づいて、バーコード内のバーをデコードする。解釈機器4はさらに、バーコードにどの情報が格納されているか解釈する。
【0113】
図2cの例では、解釈機器4は、上段のバーコードが製品IDを含み、中段のバーコードが有効期限データとロットナンバーを含むことを認識可能である。一方、下段のバーコードは、製品ID、有効期限データ、およびロットナンバーを含む。解釈機器4は、医療製品をその製品IDによりデータベースにリンク可能であるとともに、キャプチャされたバーコードおよび/またはデータベースに所定の関連情報セットが設けられているか否かを特定可能である。解釈機器4は、完全な関連情報セットを得るにはどの製品情報が必要か、という情報を取得できる。情報は、データベース8から得られるか、または解釈機器4に格納されている。さらに、製品情報、例えば滅菌日、最長輸送期間または最長保管期間が、データベース8に格納され得る。この場合、解釈機器4は、製品ID、有効期限、およびロットナンバーが設けられているため、全ての必要情報がバーコードにおいて入手可能であることを特定する。
【0114】
次に、解釈機器は1つ又は複数の関連コードを選択する。
図2cでは、最下バーコードに全ての必要な製品情報が含まれており、最下バーコードに格納されていない情報を別のコードが追加し得ないことから、最下バーコードが関連コードとなる。肯定的な特定と、関連コードが選択されたことと、に基づいて、解釈機器4は、全コードについてのコードマーカを表示機器6に送信する。この場合、コードマーカは、例えば最下コードを関連コードとしてマーキングする緑のボックスとなる。その他2つのバーコードは、黄色またはオレンジのボックスでハイライトされて、これらのバーコードが、有効であり、GS1規格に準拠するものの、関連コードではない、ということが示される。ユーザはさらに、例えば全ての関連情報が入手可能で、スキャンが完了したという視覚的フィードバックを受ける。
【0115】
図2dに、バーコードの別の例を示す。解釈機器4は、これらのバーコードにおいて、上段のバーコードが製品IDを含むことを検出する。これは、GS1規格に応じた(01)識別子によりマーキングされる。下段のバーコードは、ロットナンバー(10)と、有効期限(17)と、を含む。解釈機器4は、所定の関連情報セットが、キャプチャされたバーコードにおいて入手可能であることを特定する。したがって、肯定的な特定が成される。単独で全ての必要な製品情報を含むバーコードがないため、解釈機器4は、両バーコードを関連コードとして選択する。したがって、解釈機器4は、2つのバーコードから取得された情報を組み合わせて、所定の関連情報セットを取得する。その結果、両バーコードは、表示機器6において、緑でマーキングされる。
【0116】
解釈機器4が、バーコードセットについて、所定の関連情報セットがバーコードに存在しないことを特定すると、表示機器6は、データが不完全であることを示す警告またはメッセージをユーザに示す。ユーザは、さらに、より多くのバーコードをスキャンするように促すリクエストを受け取る。
【0117】
特に、読取機器が、カメラおよびディスプレイを有するモバイル機器である場合、ユーザは、容易に読取機器と相互作用することができ、手術前、または手術中に使用することができる。
【0118】
一部の態様を装置としての文脈で説明したが、これらの態様は対応する方法の説明を表すものでもあり、装置またはその一部が方法ステップまたは方法ステップの特徴に対応することは自明である。同様に、方法ステップとしての文脈で説明された態様も、対応する装置または装置の一部または物品の一部または対応する装置の特徴の説明を表す。方法ステップの一部または全部は、例えば、マイクロプロセッサ、プログラマブルコンピュータ、もしくは電子回路のようなハードウェア装置によって(またはこれを用いて)実施され得る。一部の実施形態では、このような装置は、最も重要な方法ステップの1つまたは複数を実行し得る。
以下の項目は、出願当初の特許請求の範囲に記載されていた項目である。
(項目1)
ユーザを支援するための、医療製品または医療製品のパッケージの複数のコンピュータ可読コード、好ましくはバーコードおよび/または二次元コードをキャプチャする方法であって、
キャプチャ機器(2)、好ましくはカメラを有するスマートフォンにより、前記コードを有する前記医療製品またはそのパッケージの画像をキャプチャするステップと、
前記キャプチャされた画像内の少なくとも第1および第2のコンピュータ可読コードを抽出するステップと、
解釈機器(4)により前記コードデータを解釈するとともに、前記コードデータから、少なくとも製品IDの情報と、さらなる製品情報、好ましくは有効期限の情報と、を取得するステップと、
前記取得された情報に基づいて、前記医療製品についての所定の関連情報セットが、前記キャプチャされたコードおよび/またはリンクドデータベース(8)の情報に含まれるか否かを特定するステップと、
前記第1のコードの前記取得された情報が前記第2のコードの前記取得された情報に完全に含まれる場合に前記第2のコードを関連コードとして選択するか、または、各コードが前記所定の関連情報セットの情報の少なくとも一部を含む場合に前記第1のコードおよび前記第2のコードを前記関連コードとして選択するステップと、
前記特定するステップの結果と前記選択するステップの結果に基づいて、各コードのコードマーカを表示機器(6)に送信するステップと、
前記キャプチャされた画像と、前記コードマーカに応じた、前記ユーザに前記コンピュータ可読コードの改善された概観を提供するために前記コードに補助視覚情報を追加するための前記コードのマーキングと、を有するオーバーレイ画像を表示するステップと、を含む方法。
(項目2)
前記コードマーカは、前記バーコード周辺のオーバーレイの色および/もしくは形状、ならびに/または、前記各コードの上または近傍のテキストおよび/もしくは記号を示す情報を含むことを特徴とする、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記解釈機器(4)により、前記製品情報を前記(マスターデータ)データベースに追加するステップと、
前記解釈機器(4)により、前記データベース(8)が前記所定の必要情報、好ましくは前記製品ID、有効期限、およびロットナンバーを含むか否かを特定するステップと、
前記特定が否定的であった場合に、警告またはメッセージを前記コードマーカに割り当てるステップと、
前記表示機器(6)により、前記コードに前記警告またはメッセージが割り当てられた前記オーバーレイ画像を前記ユーザに表示するステップと、
をさらに含むことを特徴とする、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
前記コードの1つまたは複数が前記医療製品についての前記所定の関連情報セットを含むと特定された場合に、前記コードのそれぞれを囲う緑のボックスを、前記コードマーカのそれぞれに割り当てるステップと、
前記表示機器(6)により、前記コードのそれぞれが緑のボックスで囲まれた前記オーバーレイ画像を前記ユーザに表示するステップと、
をさらに含むことを特徴とする、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記コードの1つまたは複数が、無効であり、コンピュータ可読コードに対応する規格に準拠していない、ということが特定される場合に、前記コードのそれぞれを隠す隠しフラグを割り当てるステップと、
前記コードのそれぞれが覆われた/隠された/薄くなった、前記オーバーレイ画像を表示するステップと、
をさらに含むことを特徴とする、項目1から4のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記解釈機器(4)により、前記製品IDを前記データベースに格納することで、または、前記関連コードの前記コードデータの前記製品IDを前記データベース(8)の既存の関連製品IDにリンクすることで、前記取得された製品IDを前記データベース(8)に結び付けるステップと、
前記解釈機器(4)により、前記さらなる製品情報データを前記製品IDの前記データベースに追加するステップと、
前記解釈機器(4)により、前記結び付けられた製品IDの前記データベース(8)が、前記所定の必要情報、好ましくは有効期限および/またはロットナンバーを含むか否かを特定するステップと、
をさらに含むことを特徴とする、項目3に記載の方法。
(項目7)
前記少なくとも第1および/または第2のコードの前記取得された情報の少なくとも一部を、前記コードのそれぞれの前記コードマーカに割り当てるステップと、
前記医療製品に関するさらなる情報で前記ユーザを支援するため、前記オーバーレイ画像において、前記コードの横に、前記取得された情報の前記一部を表示するステップと、
をさらに含むことを特徴とする、項目1から6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
ユーザを支援するための、医療製品または医療製品のパッケージの複数のコンピュータ可読コードをキャプチャする読取機器(1)であって、
前記コードを有する前記医療製品またはそのパッケージの画像をキャプチャし、前記キャプチャされた画像内の少なくとも第1および第2のコンピュータ可読コードを抽出するように構成されるキャプチャ機器(2)と、
解釈機器(4)であって、
コードデータを解釈し、少なくとも製品IDの情報と、さらなる製品情報と、を前記コードデータから取得し、
前記取得された情報に基づいて、前記医療製品についての所定の関連情報セットが、前記キャプチャされたコードおよび/または前記読取機器の記憶部もしくはサーバの記憶部に格納されたリンクド(マスターデータ)データベース(8)の情報に含まれるか否かを特定し、
前記第1のコードの前記コードデータの情報が前記第2のコードの前記コードデータの情報に完全に含まれる場合に前記第2のコードを関連コードとして選択するか、または、各コードが前記所定の関連情報セットの情報の少なくとも一部を含む場合に前記第1のコードおよび前記第2のコードを前記関連コードとして選択し、
前記特定の結果と、前記選択の結果と、に基づいて、各コードのコードマーカを表示機器に送信するように構成された、解釈機器(4)と、
前記キャプチャされた画像と、前記コードマーカに応じた、前記ユーザに前記コンピュータ可読コードの改善された概観を提供するために前記コードに補助視覚情報を追加するための前記コードのマーキングと、を有するオーバーレイ画像を表示するように構成された表示機器(6)と、
を備える、読取機器(1)。
(項目9)
前記解釈機器は、第1のキャプチャされたコードがGS1規格に準拠し、別のGS1規格バーコードもキャプチャ可能であろうということを特定するように構成され、前記特定が肯定的である場合、前記表示機器は、別のコンピュータ可読コードをキャプチャするように前記ユーザにフィードバックを表示することを特徴とする、項目8に記載の読取機器(1)。
(項目10)
前記解釈機器(4)は、文字認識機能を備えており、コンピュータ可読コードを、前記コンピュータ可読コードに定義されていない記述にリンクするように構成されることを特徴とする、項目8または9に記載の読取機器(1)。
(項目11)
前記解釈機器(4)は、前記キャプチャされたコードが無菌資材に属するか否かを特定し、前記特定が肯定的である場合、前記解釈機器(4)は、前記無菌資材についての追加情報、好ましくは有効期限を前記データベースから取得することを特徴とする、項目8から10のいずれか一項に記載の読取機器(1)。
(項目12)
前記解釈機器(4)は、前記所定の関連情報セットの内の全ての情報が入手可能でないことと、電動医療製品が設けられ/使用されることと、を特定するように適用され、前記解釈機器(4)は、前記医療製品の機能、好ましくは電源を停止し、前記表示機器(6)は、前記ユーザに警告を表示することを特徴とする、項目8から11のいずれか一項に記載の読取機器(1)。
(項目13)
前記解釈機器(4)は、前記記憶部に格納された所定の選択可能コードマーカセットを有し、前記コードマーカは、前記バーコード周辺のオーバーレイの色および/もしくは形状、ならびに/または、前記各コードの上または近傍のテキストおよび/もしくは記号を示す情報を含むことを特徴とする、項目8から11のいずれか一項に記載の読取機器(1)。
(項目14)
ユーザを支援するための、医療製品または医療製品のパッケージの複数のコンピュータ可読コードをキャプチャする読取システム(100)であって、
クライアント機器としての、項目8から13のいずれか一項に記載の少なくとも1つの読取機器(1)と、
(マスター)データベース(8)を持つストレージを有し、前記少なくとも1つの読取機器(1)に接続される、前記読取機器(1)との間でデータを送受信するための中央サーバ機器と、
を備える、読取システム(100)。
(項目15)
コンピュータによって実行されると、項目1から7のいずれか一項に記載の方法を前記コンピュータに実行させる命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【符号の説明】
【0119】
1: 読取機器
2: キャプチャ機器
4: 解釈機器
6: 表示機器
8: データベース
100: 読取システム
1000: 方法
1010: 画像をキャプチャするステップ
1020: 画像の中からコードを抽出するステップ
1030: コードを解釈するステップ
1040: 所定の情報セットを特定するステップ
1050: コードを選択するステップ
1060: コードマーカを送信するステップ
1070: オーバーレイ画像を表示するステップ