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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-11
(45)【発行日】2025-04-21
(54)【発明の名称】システム及びそのための搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20250414BHJP
   B65D 25/22 20060101ALI20250414BHJP
【FI】
B65G1/04 565
B65D25/22 Z
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2023564552
(86)(22)【出願日】2022-04-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(86)【国際出願番号】 EP2022060667
(87)【国際公開番号】W WO2022223769
(87)【国際公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】2105751.8
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】515134368
【氏名又は名称】オカド・イノベーション・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャープ、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ザミット、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】クラーク、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ランカスター、アダム
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-052979(JP,A)
【文献】米国特許第09796527(US,B1)
【文献】特表2020-536024(JP,A)
【文献】実開平04-105007(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
B65D 25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の搬送装置を備えるシステムであって、
表面に接続されたガイド手段又は駆動手段のうちの一方と、
前記表面に隣接し、前記ガイド手段又は前記駆動手段のうちの他方を備える第1の搬送装置と、
を備え、前記駆動手段は、前記第1の搬送装置又は前記表面のうちの一方の前記第1の搬送装置又は前記表面のうちの他方に対する移動をもたらすために、前記ガイド手段と相互作用するように構成されており、
前記ガイド手段は、前記第1の搬送装置又は前記表面の移動をもたらすために前記駆動手段と確実に係合される能動状態と、前記駆動手段が係合されず、前記第1の搬送装置及び前記表面が分離されることを可能にする受動状態との間で変化するように構成され
前記第1の搬送装置は、前記駆動手段を備え、前記表面は、前記ガイド手段を備え、前記表面は、第2の搬送装置の一部を形成する、システム。
【請求項2】
前記第1の搬送装置は、クラスタ内での前記第1の搬送装置又は隣接する搬送装置の移動を方向付けるために、前記隣接する搬送装置の駆動手段と相互作用するように構成されたガイド手段を更に備える、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2の搬送装置は、クラスタ内での前記第2の搬送装置又は隣接する搬送装置を移動させるための駆動手段を更に備える、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の搬送装置の各搬送装置は、直方体形状を有し、駆動手段は、2つの隣接する側面上に設けられ、ガイド手段は、残りの2つの隣接する側面上に設けられている、請求項に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の搬送装置の各搬送装置は、少なくとも1つの近接搬送装置を有する任意の1つの搬送装置の駆動手段に関連付けられた少なくとも1つの側面が近接搬送装置のガイド手段に関連付けられた側面に対向するように、同じ向きで前記クラスタ内に位置付けられている、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記ガイド手段は、前記ガイド手段が前記能動状態である間、前記ガイド手段と前記駆動手段との間の係合を維持するための保持手段を備える、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記ガイド手段は、前記能動状態であるときに少なくとも第1の位置又は第2の位置のうちの1つに保持されるように構成され、前記第1の位置及び前記第2の位置は、前記クラスタにわたる前記第1の搬送装置又は前記表面の移動をそれぞれ第1の方向及び第2の方向に方向付けるように配置されている、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の方向は、前記第2の方向に対して実質的に直交する、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の搬送装置の前記駆動手段は、前記第2の搬送装置の前記ガイド手段に回転可能に係合するように配置されている、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記ガイド手段はラックを備え、前記駆動手段は前記ラックに係合するように構成されたピニオンを備える、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記ラックは、前記ガイド手段を前記能動状態と前記受動状態との間で移動させるように移動可能である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ラックは、前記ピニオンが回転する軸と平行な回転軸を中心として回転可能である、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記ラック及び前記ピニオンの回転軸は、互いに対してオフセットされている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記ラックの前記回転軸は、前記ピニオンの円周に外接する概念的な正方形の頂点に位置する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ラックは、前記第1の方向及び前記第2の方向に延在する固定部分を更に備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記保持手段は、前記ガイド手段が前記能動状態であるときに前記ピニオンが受容されるチャネルを画定する、前記ラックの両側に位置付けられた2つの壁を備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数の搬送装置の各搬送装置は、その垂直方向の近傍内の近接搬送装置に対して位置を合わせるための垂直方向位置合わせ手段を備える、請求項に記載のシステム。
【請求項18】
前記垂直方向位置合わせ手段は、最上面に形成された凹部領域と、底面から延伸する格納式ポストとを備え、任意の1つの搬送装置の前記凹部領域は、前記搬送装置の垂直方向の位置合わせを確実にするように、上側の近接搬送装置の前記格納式ポストを受容するように構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記複数の搬送装置のうちの少なくとも1つの搬送装置は、他の搬送装置と比較してより大きい容積又はより小さい容積を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記複数の搬送装置の各搬送装置は、個々にアドレス指定可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記複数の搬送装置の各搬送装置は、在庫を保持するための受容空間を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記表面は固定されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載のシステムで使用するための搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ロボット式保管システムの分野に関し、より具体的には、再構成可能な物理的トポロジを有するクラスタを形成するように配置された搬送・保管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ある商業及び工業活動には、コンテナに保管され得る多数の物品の保管及び取り出しを可能にするシステムが必要である。列状に積み重ねられたコンテナの取り扱い方法が、数十年にわたり周知である。いくつかのそのようなシステムでは、例えば、US特許第2,701,065号(Bertel)に開示されているように、必要な場合に特定のコンテナへのアクセスを依然として提供しながらも、コンテナの保管に関連する保管量を低減するために、コンテナの自立型スタックが列状に配置される。所与のコンテナへのアクセスは、所与のコンテナを積み重ねたりスタックから取り外したりするために使用され得る比較的複雑な巻き上げ機構を設けることによって可能になる。しかしながら、そのようなシステムのコストは、多くの状況において非実用的であり、それらは、主に、大型輸送コンテナの保管及び取り扱いのために商品化されている。
【0003】
例えば、欧州特許第0767113号(Cimcorp)に開示されているように、コンテナの自立型スタックを使用し、特定のコンテナを取り出し及び保管するための機構を提供する概念は更に展開されてきた。この文献では、コンテナのスタックの周りに下げられ、スタックの任意の高さでコンテナを掴むことができるように構成された矩形チューブの形態のロボット式荷役ハンドラを使用して、積み重ねられた複数のコンテナを取り外すための機構が開示されている。このようにして、いくつかのコンテナをスタックから一度に持ち上げることができる。矩形チューブを使用して、いくつかのコンテナを1つのスタックの最上部から別のスタックの最上部まで移動させる、又はコンテナをスタックから外部の場所へ、またその逆へも移動させることができる。このようなシステムは、単一のスタックにおけるすべてのコンテナに同じ製品が入っている場合に、特に有用であり得る。このようなスタックは、単一製品スタックとして知られている。欧州特許第0767113号に開示されているシステムでは、コンテナの最も高いスタックを単一の操作で抜き出すことができるように、チューブの高さは、少なくとも、コンテナの最も大きいスタックの高さと同じ高さでなければならない。したがって、倉庫などの閉鎖空間で使用するとき、スタックの最大高さは、スタックより上のロボット式荷役ハンドラのチューブを収容する必要性によって制限される。
【0004】
複数の製品ラインの物品の保管及び取り出しのための既知のタイプのシステムの1つには、保管ビン又はコンテナを互いに重ねて、列状に配置されたスタックで配置するものがある。保管ビンは、スタックから取り外され、ロボット式荷役装置によって上方からアクセスされ、列と列の間の通路の必要性がなくなり、より多くのコンテナを所与の空間に保管することが可能になる。
【0005】
欧州特許第1037828号(Autostore)には、コンテナのスタックがフレーム構造内に配置されるシステムが開示されている。ロボット式荷役装置は、スタックの最上面にある軌道システム上でスタックの周りを制御可能に移動することができる。更にロボット式荷役装置の他の形態が、例えば、ノルウェー特許第317366号に開示されている。
【0006】
UK特許公開公報第2520104号(Ocado Innovation Limited)には、各ロボット式荷役ハンドラが1つのグリッド空間のみをカバーするロボット式荷役装置が開示されており、これにより、ロボット式荷役ハンドラの密度が高くなり、したがって所与のサイズのシステムのスループットが高くなることを可能にしている。ただし、任意の好適な形態の荷役装置を使用することができる。
【0007】
しかしながら、上述の既知のロボット式保管システムの各々には、以下の欠点のうちの1つ又は複数がある。すべての例において、保管ビンのスタックの上方/周りに周囲フレーム構造が必要である。フレーム構造は、保管ビンのスタックの上方でフレーム構造の最上部を横断するロボット式荷役ハンドラを支持する。このようなフレーム構造を使用すると、フレーム構造によって空間が消費されるので、保管ビンを保管できる密度が減少する。更に、フレーム構造は、たとえその容量が不確かなもの又は遠い未来のものだとしても予想される最大容量を収容するように構築されていなければならないので、そのようなフレーム構造は、動的にスケーラブルではない。
【0008】
更に、ロボット式荷役ハンドラは、選択された保管ビンを取り出すために、保管ビンのスタックを「掘り」下げる必要もあり、これは、保管ビンを取り出すときの時間及びエネルギーのオーバーヘッドを表す。また、上述のシステムではロボット式荷役ハンドラが必要になるということであり、これはシステムの追加コストを表す。
【0009】
更に、そのようなシステムを協調させるとき、ロボット式荷役ハンドラによる開始場所から目的場所への実際的な進行には、典型的に、ロボット式荷役ハンドラが、ルート計画及び/又は衝突回避を使用して他のロボット式荷役装置を回避するなどの、不必要で非生産的及び/又はコストのかかる多くのステップを行うことが必要になる。また、保管ビンが保管ビンのスタックにはまり込んでしまったとき、はまり込んだ保管ビンの下の保管ビンを回収するのは困難である。同様に、ロボット式荷役ハンドラが故障したとき、ロボット式荷役ハンドラを保管ビンのスタックの上方の場所から取り外すまで、ロボット式荷役ハンドラより下の保管ビンへのアクセスは制限される。更に、ロボット式荷役ハンドラが故障したとき、回復させることが困難である場合がある。
【0010】
本発明は、こうした背景に対して考案されたものである。
【発明の概要】
【0011】
したがって、第1の態様において、クラスタに配置された1つ又は複数の搬送装置を備えるシステムが提供され、本システムは、表面に接続された、すなわち表面に関連付けられたガイド手段又は駆動手段のうちの一方と、表面に隣接し、ガイド手段又は駆動手段のうちの他方を備える第1の搬送装置と、を備え、駆動手段は、第1の搬送装置又は表面のうちの一方の第1の搬送装置又は表面のうちの他方に対する移動をもたらすために、ガイド手段と相互作用するように構成され、ガイド手段は、第1の搬送装置又は表面の移動をもたらすために駆動手段と確実に係合される能動状態と、駆動手段が係合されず、第1の搬送装置及び表面が分離されることを可能にする受動状態との間で変化するように構成される。
【0012】
任意選択的に、第1の搬送装置は、駆動手段を備え、表面は、ガイド手段を備え、表面は、第2の搬送装置の一部を形成する。
【0013】
任意選択的に、第1の搬送装置は、クラスタ内での第1の搬送装置又は隣接する搬送装置の移動を方向付けるために、隣接する搬送装置の駆動手段と相互作用するように構成されたガイド手段を更に備える。
【0014】
任意選択的に、第2の搬送装置は、クラスタ内での第2の搬送装置又は隣接する搬送装置を移動させるための駆動手段を更に備える。
【0015】
任意選択的に、複数の搬送装置の各搬送装置は、直方体形状を有し、駆動手段は、2つの隣接する側面上に設けられ、ガイド手段は、残りの2つの隣接する側面上に設けられる。
【0016】
任意選択的に、複数の搬送装置の各搬送装置は、少なくとも1つの近接搬送装置を有する任意の1つの搬送装置の駆動手段に関連付けられた少なくとも1つの側面が近接搬送装置のガイド手段に関連付けられた側面に対向するように、同じ向きでクラスタ内に位置付けられる。
【0017】
任意選択的に、ガイド手段は、ガイド手段が能動状態である間、ガイド手段と駆動手段との間の係合を維持するための保持手段を備える。
【0018】
任意選択的に、ガイド手段は、能動状態であるときに少なくとも第1の位置又は第2の位置のうちの1つに保持されるように構成され、第1の位置及び第2の位置は、クラスタにわたる第1の搬送装置又は表面の移動をそれぞれ第1の方向及び第2の方向に方向付けるように配置される。
【0019】
任意選択的に、第1の方向は、第2の方向に対して実質的に直交する。
【0020】
任意選択的に、第1の搬送装置の駆動手段は、第2の搬送装置のガイド手段に回転可能に係合するように配置される。
【0021】
任意選択的に、ガイド手段はラックを備え、駆動手段はラックに係合するように構成されたピニオンを備える。
【0022】
任意選択的に、ラックは、ガイド手段を能動状態と受動状態との間で移動させるように移動可能である。
【0023】
任意選択的に、ラックは、ピニオンが回転する軸と平行な回転軸を中心として回転可能である。
【0024】
任意選択的に、ラック及びピニオンの回転軸は、互いに対してオフセットされている。
【0025】
任意選択的に、ラックの回転軸は、ピニオンの外周に外接する概念的な正方形の頂点に位置する。
【0026】
任意選択的に、ラックは、第1の方向及び第2の方向に延在する固定部分を更に備える。
【0027】
任意選択的に、保持手段は、ガイド手段が能動状態であるときにピニオンが受容されるチャネルを画定する、ラックの両側に位置付けられた2つの壁を備える。
【0028】
任意選択的に、複数の搬送装置の各搬送装置は、その垂直方向の近傍内の近接搬送装置に対して位置を合わせるための垂直方向位置合わせ手段を備える。
【0029】
任意選択的に、垂直方向位置合わせ手段は、最上面に形成された凹部領域と、底面から延伸する格納式ポストとを備え、任意の1つの搬送装置の凹部領域は、搬送装置の垂直方向の位置合わせを確実にするように、上側の近接搬送装置の格納式ポストを受容するように構成される。
【0030】
任意選択的に、少なくとも1つの搬送装置は、他の搬送装置と比較してより大きい容積又はより小さい容積を備える。
【0031】
任意選択的に、各搬送装置は、1つ又は複数の通信ユニットを介して個々にアドレス指定可能である。
【0032】
任意選択的に、複数の搬送装置の各搬送装置は、在庫を保持するための受容空間を備える。
【0033】
任意選択的に、表面は固定されており、例えば、壁又は床の一部を形成している。
【0034】
第2の態様において、第1の態様に係るシステムで使用するための搬送装置が提供される。
【0035】
第3の態様において、クラスタに配置された複数の搬送装置が提供され、本搬送装置は、駆動手段を備える第1の搬送装置とガイド手段を備える第2の搬送装置とを備え、第2の搬送装置は、第1の搬送装置に隣接しており、第1の搬送装置の駆動手段は、第1の搬送装置又は第2の搬送装置のうちの一方の第1の搬送装置又は第2の搬送装置のうちの他方に対する移動をもたらすために、第2の搬送手段のガイド手段と相互作用するように構成され、ガイド手段は、クラスタ内での第1の搬送装置又は第2の搬送装置の移動をもたらすために第1の搬送装置の駆動手段と確実に係合される能動状態と、第1の搬送装置の駆動手段が係合されず、第1の搬送装置及び第2の搬送装置が分離されることを可能にする受動状態との間で変化するように構成される。
【0036】
次に、これらの態様及び他の態様について、添付図面を参照して、単に例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の一実施形態に係るクラスタに配置された複数の搬送装置を備える保管システムの概略斜視図である。
図2a図1のクラスタで使用するための、異なる回転位置にある搬送装置の概略斜視図を示す。
図2b図1のクラスタで使用するための、異なる回転位置にある搬送装置の概略斜視図を示す。
図2c図1のクラスタで使用するための、異なる回転位置にある搬送装置の概略斜視図を示す。
図2d図1のクラスタで使用するための、異なる回転位置にある搬送装置の概略斜視図を示す。
図3a図2の搬送装置において使用される駆動手段及びガイド手段の概略立面図を示し、ガイド手段は異なる回転位置で保持されている。
図3b図2の搬送装置において使用される駆動手段及びガイド手段の概略立面図を示し、ガイド手段は異なる回転位置で保持されている。
図3c図2の搬送装置において使用される駆動手段及びガイド手段の概略立面図を示し、ガイド手段は異なる回転位置で保持されている。
図4a】係合位置にある駆動手段及びガイド手段を示す概略図である。
図4b】係合位置にある駆動手段及びガイド手段を示す概略図である。
図4c】係脱位置にある駆動手段及びガイド手段を示す。
図5a】搬送装置のクラスタ内で図2の搬送装置を再位置付けする例に含まれるいくつかのステップを例示する一連の概略斜視図を示す。
図5b】搬送装置のクラスタ内で図2の搬送装置を再位置付けする例に含まれるいくつかのステップを例示する一連の概略斜視図を示す。
図5c】搬送装置のクラスタ内で図2の搬送装置を再位置付けする例に含まれるいくつかのステップを例示する一連の概略斜視図を示す。
図5d】搬送装置のクラスタ内で図2の搬送装置を再位置付けする例に含まれるいくつかのステップを例示する一連の概略斜視図を示す。
図5e】搬送装置のクラスタ内で図2の搬送装置を再位置付けする例に含まれるいくつかのステップを例示する一連の概略斜視図を示す。
図5f】搬送装置のクラスタ内で図2の搬送装置を再位置付けする例に含まれるいくつかのステップを例示する一連の概略斜視図を示す。
図5g】搬送装置のクラスタ内で図2の搬送装置を再位置付けする例に含まれるいくつかのステップを例示する一連の概略斜視図を示す。
図5h】搬送装置のクラスタ内で図2の搬送装置を再位置付けする例に含まれるいくつかのステップを例示する一連の概略斜視図を示す。
図6a図2の搬送装置をクラスタにわたり水平方向に移動させることに含まれるいくつかのステップを例示する搬送装置のクラスタの一連の概略側面図を示す。
図6b図2の搬送装置をクラスタにわたり水平方向に移動させることに含まれるいくつかのステップを例示する搬送装置のクラスタの一連の概略側面図を示す。
図6c図2の搬送装置をクラスタにわたり水平方向に移動させることに含まれるいくつかのステップを例示する搬送装置のクラスタの一連の概略側面図を示す。
図6d図2の搬送装置をクラスタにわたり水平方向に移動させることに含まれるいくつかのステップを例示する搬送装置のクラスタの一連の概略側面図を示す。
図6e図2の搬送装置をクラスタにわたり水平方向に移動させることに含まれるいくつかのステップを例示する搬送装置のクラスタの一連の概略側面図を示す。
図6f図2の搬送装置をクラスタにわたり水平方向に移動させることに含まれるいくつかのステップを例示する搬送装置のクラスタの一連の概略側面図を示す。
図7】本発明の第2の実施形態に係る保管システムの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図において、同様の特徴は、適切な場合、同様の参照符号で示される。
【0039】
以下の詳細な説明は、本発明をどのように実施できるかの具体的な詳細及び例を示す添付図面を参照する。これらの例は、当業者が本発明を実施することを可能にするために十分に詳述される。他の例を利用することができ、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、構造的変更を行うことができる。更に、方向に関する言及(上側、下側、上方向、下方向、左、右、左方向、右方向、最上部、底部、側部、上方、下方、前、中間、後ろ、垂直、水平、高さ、深さ、幅、及び含意的な向きを有する任意の他の用語を含む)は、本明細書に記載の特定の例を読者が理解するのを助けるために例として与えられる。それらは、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されていない限り、特に本発明の位置、向き、又は使用に関する要件又は限定であると解釈するべきではない。同様に、接続に関する言及(例えば、取り付けられた、結合された、接続された、接合された、及び固定されたなど)は、広く解釈されるべきであり、要素の接続間の中間部材及び要素間の相対移動を含み得る。したがって、接続に関する言及は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されていない限り、2つの要素が直接接続され、互いに固定関係にあることを必ずしも暗示しているわけではない。
【0040】
図1は、本発明の一実施形態に係る、3次元の物理的トポロジに配置された搬送装置2のクラスタ4の斜視図である。この実施形態では、クラスタ4が、保管・取り出しシステム5の一部を形成しており、高密度のクラスタ4を形成するようにモザイク式にされた搬送装置2は、各々が物品を受容するための空隙として構成された受容空間3を備える。例えば、受容空間3は、顧客による発注の一環として製品が梱包されて出荷されるまで、製品を保持するように配置され得る。代替的に、受容空間3は、在庫システムのために物品を入れておくように配置され得る。この点に関して、クラスタ4は、2つ以上の搬送装置2を備えることが想定されており、これら搬送装置2は、1つの搬送装置2が、クラスタ4内の別の搬送装置2との相互作用により、場所移動するか又は場所移動されることによって配置転換され得る物理的トポロジにおいて協働し合うように構成されている。この実施形態では、クラスタ4は、搬送装置2の移動又は場所移動を容易にする外部手段を備えていないことに留意されたい。その代わりに、有利なことに、各搬送装置2は、少なくとも1つの他の搬送装置2との協働により、クラスタ4内で場所移動し、クラスタ4のトポロジを変えることができる機構を備える。クラスタ4は、搬送装置2のない空の部分を備えてよく、この部分は、クラスタ4の配置転換中に、搬送装置2が移動していける場所を提供するために使用され、移動した搬送装置2によって空きになった位置に空の部分を場所移動させる。しかしながら、クラスタ4が動作している空間全体をクラスタ4が占有していない場合には、そのような空き空間は必要なくてよい。例えば、クラスタ4は、搬送装置2のスタックを備える。各スタックは、別のスタックに隣接して位置する。各スタック中の搬送装置2は、特定の搬送装置2のクラスタ4内及びクラスタ4じゅうの移動をもたらすために互いに協働し得る。図1に示すように、搬送装置2のスタックは、可変の高さを有し、それどころかスタックの数及びスタック中の搬送装置2の数は、可変であってよく、特定の数に限定されない。更に、クラスタ4は、x方向、y方向、及び/又はz方向のいずれにも任意の数のスタック及び/又は搬送装置2の分だけ拡張してよい。図1に示すクラスタ4では、搬送装置2の移動のために空き空間が利用可能である。例えば、クラスタ4が4つの搬送装置2の最大高さを保持することができる場所にある場合、すべてのスタックが4つの搬送装置2を備えるわけではないので、空き空間があるのは明らかである。この例では、16個のスタックのうち4つが、可能な4つの搬送装置2よりも1つ少ない3つの搬送装置2を備える。更に、1つのスタックは2つの搬送装置2を備える。したがって、搬送装置2の移動を収容するために空き空間が利用可能である。
【0041】
クラスタ4は、任意のサイズ若しくは形状であってよく、及び/又は任意のタイプの環境で使用されてよいことが想定される。更に、クラスタ4を形成する搬送装置2は、様々なサイズであり得る。例えば、異なる幅、長さ、及び/又は高さの搬送装置2は、クラスタ4内の最小の搬送装置2の幅、長さ、及び/又は高さ(それぞれ)の倍数である。このような構成により、例えば、他の方法であれば、より小さい搬送装置2にとって、又はエネルギー効率若しくは空間効率の理由に起因して大きすぎる又は重すぎる物品の保管及び/又は搬送が可能になり得る。
【0042】
上述のように、クラスタ4は再構成可能なトポロジを有し、各搬送装置2は、クラスタ4の再構成を達成する機構を提供するために、少なくとも1つの他の搬送装置2と相互作用するように配置される。具体的には、この実施形態では、各搬送装置2は、搬送装置2又はその水平方向の近傍内の近接搬送装置2を推進するための駆動手段(全体的に6で示される)を備える。この実施形態では、搬送装置2は、各々が4つの側面8と上面10と底面12とを有する直方体として図示されている。したがって、この特定の配置では、各搬送装置2は、その水平方向の近傍内に最大4つの直接隣接する近接搬送装置2(以下、「水平方向の近接搬送装置2」という)を有し、その垂直方向の近傍内に最大2つの近接搬送装置2(以下、「垂直方向の近接搬送装置2」という)を有することができる。当然のことながら、クラスタ4の角に位置付けられた搬送装置2は、2つまでの水平方向の近接搬送装置2を有し、更にクラスタ4の最上列又は最下列に位置している場合には、1つまでの垂直方向の近接搬送装置2を有し得る。しかしながら、搬送装置2が直方体形状を有する必要はなく、搬送装置2が六角形状などの異なる形状にされ、及び/又は異なるサイズにされる他の実施形態が想定されることを理解されたい。
【0043】
駆動手段6に加えて、各搬送装置2は更に、クラスタ4内での搬送装置2又は水平方向の近接搬送装置2の移動を方向付けるために、水平方向の近接搬送装置2の駆動手段6と相互作用するように構成されたガイド手段14を備える。したがって、搬送装置2の移動は、外部又は周囲のフレームワークも外部の荷役ロボットも使用することなく行われる。ガイド手段14は、能動状態と受動状態との間で移動するように構成される。能動状態であるとき、ガイド手段14は、クラスタ4内での搬送装置2又は水平方向の近接搬送装置2の移動をもたらすために、水平方向の近接搬送装置2の駆動手段6とロック係合又は固定係合され、受動状態であるとき、ガイド手段14は、水平方向の近接搬送装置2の駆動手段6と係合することを防止され、例えばクラスタ4から取り外すために一方の搬送装置2をクラスタ4内の他方から離れるように移動させるか、又は、離れて開始する2つの搬送装置2が一緒になってから係合位置へと移動することを可能にするために、搬送装置2及び水平方向の近接搬送装置2が分離されることを可能にする。
【0044】
各搬送装置2は更に、1つ又は複数の通信ユニット(図示せず)を備え、それを介して個々にアドレス指定可能である。各搬送装置2のアドレス指定能力は、搬送装置2を物理的にアドレス指定することとは異なる。アドレス指定能力とは、1つ又は複数の搬送装置2を場所移動させるように1つ又は複数の搬送装置2の平行移動を達成するために、個々の搬送装置2又は搬送装置2のグループに1つ又は複数の命令、例えば運動制御命令を送信するために使用可能なアドレス指定方式を有することを指すことを意図している。換言すれば、(各搬送装置2との通信を目的とする)各搬送装置2のアドレス指定能力は、クラスタ4内の搬送装置2の場所とは無関係である。このために、1つ又は複数の通信ユニットは、その対応する搬送装置2を制御するための制御信号を受信するように配置される。例えば、1つ又は複数の通信ユニットのうちの1つの通信ユニットは、搬送装置2が起動又は停止すべきことを示す信号を受信し得る。追加的又は代替的に、信号は、搬送装置2が移動すべきクラスタ4内での方向、及び/又は搬送装置2が場所移動すべきクラスタ4内での位置を示し得る。追加的又は代替的に、信号は、搬送装置2の移動が、特定の方向に特定の距離の分だけ、例えば、搬送装置の高さ/幅/深さの分数又は搬送装置2の高さ/幅/深さの倍数だけ行われるべきことを示し得る。したがって、1つ又は複数の通信ユニットは、それらの対応する搬送装置2に、その水平方向の近接搬送装置2との相互作用により、クラスタ4内で搬送装置2を場所移動させるための信号によって示される方向に移動するように命令し得る。追加的又は代替的に、1つ又は複数の通信ユニットは、水平方向の近接搬送装置2が場所移動され得るように近接搬送装置2の移動を命令し得る。このようにして、個々の搬送装置2は、1つ又は複数の通信ユニットによって受信された信号に基づいて、クラスタ4内で場所移動し得る。追加的又は代替的に、1つ又は複数の通信ユニットは、1つ又は複数の作動、移動、通信、又は任意の他のアクションに変換され得るより高レベルの命令、例えばリセット若しくは自己テスト命令を受信し得る。1つ又は複数の通信ユニットは更に、保管・取り出しシステム5のコントローラに信号を送信するように配置され得る。信号は、その対応する搬送装置2の動作の状態、すなわち、動作が完了したか、動作が開始するところであるか、その進行、移動の特定の進行に関する追加の情報、又は他の情報を示し得る。更に、1つ又は複数の通信ユニットは、適切な是正措置を取ることができるように、その関連付けられた搬送装置2の技術的欠陥を示し得る。
【0045】
クラスタ4内の個々の搬送装置2の制御に関して、搬送装置2は、搬送装置2又は水平方向の近接搬送装置2のクラスタ4内の代替位置への場所移動をもたらすか、又は例えばクラスタ4からの搬送装置2の分離を容易にするために、その水平方向の近接搬送装置2のうちの少なくとも1つと相互作用又は協働する。このような制御戦略は、WO2019/068778A1(Ocado Innovation Limited名義)に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0046】
特に、コントローラは、搬送装置2のうちの少なくとも1つの搬送装置2のクラスタ4内の開始場所から目的場所までの経路を決定するように配置される。コントローラは更に、決定された経路に基づいて制御信号を決定し、それを1つ又は複数の通信ユニットに送信するように配置され、それらの関連付けられた搬送装置2を、決定された経路にしたがって移動させ得る。このようにして、コントローラは、第1に、搬送装置2の経路を決定し、第2に、搬送装置2を、決定された経路に沿って移動させ得る。追加的又は代替的に、搬送装置2の開始場所から目的場所までの完全な経路が事前に決定されなくてもよく、代わりに、場所移動の開始時に1つ又は複数の作戦のみが決定されてもよいし、又はその経路が場所移動の開始後に再計算されてもよい。
【0047】
経路は、これらに限定されないが、最短移動距離、渋滞、すなわち混雑に遭遇する確率の低さ、合計所要時間の少なさ、衝突の確率の低さ、使用電力量の少なさ、代替経路への切り替えのしやすさ、障害物、例えば破損した搬送装置2、破損した経路、及び/又は修理中の経路部分を回避することができることを含む、いくつかの理由により優先的なものであり得る。コントローラは、接続されている様々な搬送装置2の移動を識別、設計、及び/又は制御するために、様々なアルゴリズムを使用することができる。コントローラは、1つの場所から別の場所への潜在的に利点のあるルートを決定するために様々なアルゴリズムを適用することにより、搬送装置2の移動を最適化するように構成され得る。潜在的な利点とは、移動距離が短くなること、混雑に遭遇する可能性が低くなること、所要時間が短くなること、電力消費量が低くなること、他の搬送装置2の移動との協調、破損した搬送装置2若しくは破損した表面領域などの障害物の迂回、又は様々なワークステーション動作との協調を含むことができる。
【0048】
上記に加えて、コントローラはまた、例えば、様々なビジネスルール及び/又は優先度の適用に依存して、クラスタ4内の作業割り当て、製品の移動、及び製品の載置をどのように改善すべきかを評価するように、又は特定のタイプの移動がいつ起こるべきか、そしてそれらがどのような順序で起こるべきかをスケジュールするようにも構成され得る。コントローラは、例えば製品の載置に関する判断を行う際に、インバウンド及びアウトバウンドの両方の要因を決定するように構成され得る。例えば、コントローラは、製品供給の配送場所を推定し、製品のアウトバウンド配送を推定し、それに応じて搬送装置2を移動させることができる。
【0049】
コントローラは、1つ又は複数の搬送装置2のうちのどれを、注文の履行に、又は任意の他の目的のために関与させるべきかを決定することができる。1つ又は複数の搬送装置2のアクションには、典型的には、搬送装置2がクラスタ4を横断すること、及び/又は隣接する搬送装置2を支持し、並びに/若しくは所与の搬送装置2を推進するなどのアクションを行うことが必要であり得る。コントローラは、制約及び条件のセットが与えられると、他の経路に対して潜在的に優先的な1つ又は複数の経路を決定するために、クラスタ4内の様々な経路を解析するように構成され得る。これらの優先経路は、クラスタ4全体にわたる搬送装置2の移動及び/又はクラスタ4内で搬送装置2が果たす役割を制御するために、搬送装置2に一度、周期的に、及び/又は動的に提供され得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、コントローラは、1つ又は複数のサーバを使用して実装されてよく、その各々は、1つ又は複数の非一時的コンピュータ可読媒体上に記憶された1つ又は複数の命令セットを実施するように構成された1つ又は複数のプロセッサを含む。コンピュータ実装の潜在的な利点には、これらに限定されないが、とりわけ、スケーラビリティ、大量の処理及び計算の複雑さに対処できること、反応速度の向上、迅速に判断できること、複雑な統計解析を行えること、機械学習を行えることが含まれる。コントローラは、任意の数の方法で実装されてよく、例えば、コントローラは、分散型コンピューティングシステムとして実装され得る。例えば、コントローラの機能の一部又は全部が搬送装置2自体に分散されていてもよい。それぞれの目的地が与えられると、1つ又は複数の搬送装置2は、クラスタ4内の近くの搬送装置2と通信して、それらの各々がそれらの目的を達成するために移動を協調させ得る。
【0051】
図2a~図2dは、図1のクラスタ4で使用するための、異なる回転位置にある搬送装置2の一連の斜視図である。図2aは、隣接する第1の側面22及び第2の側面24の間に形成された、搬送装置2の第1の垂直側縁部20を示す。側面22、24の各々は、駆動手段6を担持し、この駆動手段6は、この実施形態では、正方形の編成で配置された4つのピニオン26のセットを備え、各ピニオン26は、正方形の編成の頂点に位置付けられている。各ピニオン26は、回転可能なシャフトを介して電気モータに動作的に接続されており、水平方向の近接搬送装置2のガイド手段14に回転可能に係合するように配置される。電気モータは、各ピニオン26が、それが関連付けられている側面22、24に対して直角に延びるそれぞれの回転軸28を中心として回転可能であるように、1つ又は複数の通信ユニットによって制御される。ガイド手段14の一例が図2bに示されており、第2の垂直側縁部30が示されている。この例では、第2の垂直縁部30は、第2の側面24と、第2の側面24に隣接して位置付けられており、ガイド手段14を担持する第3の側面32との間に形成されている。この例では、ガイド手段14は、ピニオン26と同様に、正方形の編成で配置された4つのラック34のセットを備え、水平方向の近接搬送装置2のそれぞれのピニオン26と係合可能となるように、各ラック34の中心点が、正方形の編成の頂点に位置付けられている。各ラック34は、回転可能なシャフトを介して電気モータに動作的に接続されている。電気モータは、各ラック34が、クラスタ4内での搬送装置2又は水平方向の近接搬送装置2の移動をもたらすために水平方向の近接搬送装置2のそれぞれのピニオン26とロック係合される係合位置と、非係合位置との間で、第3の側面32に対して直角に延びるそれぞれの回転軸36を中心として回転可能であるように、通信ユニットによって制御される。このようにして、ラック34が回転可能である回転軸36は、水平方向の近接搬送装置2上のピニオン26の回転軸28と平行である。この例、そして第3の側面32とこれもまた4つのラック34のセットを担持する第4の側面38との間に形成された第3の垂直側縁部37を示す図2cに例示される例では、ラック34は、垂直方向の係合位置に保持され、垂直固定ラック部分16と組み合わさって、クラスタ4内での搬送装置2又は水平方向の近接搬送装置2の垂直移動を方向付けるための垂直ラックを形成する。ラック34はまた、水平係合位置に回転され保持されることもでき、そこで、ラック34は、水平固定ラック部分18と共に、クラスタ4にわたる搬送装置2又は近接搬送装置2の水平移動を方向付けるために水平方向の近接搬送装置2のピニオン26と係合するための水平ラックを形成する。最後に、図2dは、第1の側面22と第4の側面38との間に形成された第4の垂直側縁部40を示す。したがって、この実施形態では、搬送装置2は、2つの隣接する側面22、24上に各セットが設けられている4つのピニオン26の2つのセットを備える駆動手段6と、残りの2つの隣接する側面32、38上に各セットが設けられている4つのラック34の2つのセットを備えるガイド手段14とを備える。この特定の配置では、各搬送装置2は、任意の1つの搬送装置2の駆動手段6に関連付けられた少なくとも1つの側面22、24が、水平方向の近接搬送装置2のガイド手段14に関連付けられた側面32、38に常に対向するように同じ向きでクラスタ4内に位置付けられ、その結果、任意の1つの搬送装置2が、クラスタ4内で水平方向の近接搬送装置2を推進することができるか、又はそれによって推進されることができる。
【0052】
上述のように、概して、搬送装置2のガイド手段14は、クラスタ4内での搬送装置2又は水平方向の近接搬送装置2の移動をもたらすために、水平方向の近接搬送装置2の駆動手段6とロック係合される係合位置と、駆動手段6との係合が防止され、搬送装置2又は水平方向の近接搬送装置2がクラスタ4から取り外され得る又はクラスタ4内で互いから分離され得るように、搬送装置2及び近接搬送装置2が分離されることを可能にする非係合位置との間で移動するように構成される。搬送装置2のこの実施形態では、係合位置は、搬送装置2又は近接搬送装置2の垂直移動をもたらす第1の係合位置と、搬送装置2又は近接搬送装置2の水平移動をもたらす第2の係合位置とを備える。
【0053】
図3a~図3cは、搬送装置2のガイド手段14、すなわちラック34と、水平方向の近接搬送装置2の駆動手段6、すなわちピニオン26との間の位置的又は空間的な関係を示す。これらの図において、ラック34の回転軸36とピニオン26の回転軸とが互いに対してオフセットされており、ラック34が係合位置と非係合位置との間で移動することを可能にするために必要な距離が設けられていることがわかる。この実施形態では、ラック34の回転軸36は、ピニオン26の円周に外接する概念的な正方形42の頂点に位置する。各図を順に参照すると、図3aは、第1の係合位置で搬送装置2の第3の側面32上にあり、水平方向の近接搬送装置2の第1の側面22上のピニオン26とロック係合しているラック34を示す。ラック34がこの位置にあるとき、ピニオン26がその回転軸28を中心として回転すると、ラック34が関連付けられている搬送装置2、又はピニオン26が関連付けられている水平方向の近接搬送装置2のいずれかを、ピニオン26が時計回りに駆動されるか反時計回りに駆動されるかに依存して、上方向又は下方向のいずれかに垂直方向に移動させる。クラスタ4内での搬送装置2又は水平方向の近接搬送装置2の水平方向又は横方向の移動をもたらすために、ラック34は、図3bに示すように、その回転軸36を中心として第1の係合位置から第2の係合位置に回転される。ここから、ピニオン26は、その回転軸28を中心として駆動され、ラック34が関連付けられている搬送装置2、又はピニオン26が関連付けられている水平方向の近接搬送装置2のいずれかを、ピニオン26が時計回りに駆動されるか反時計回りに駆動されるかに依存して、視点次第で、左若しくは右又は前方若しくは後方のいずれかに、横方向に移動させることができる。2つの係合位置に加えて、図3cに示すように、ラック34はまた、その回転軸36を中心として非係合位置にも駆動され得る。この実施形態では、非係合位置は、それぞれのピニオン26とラック34との間の距離が最大になる、第1の係合位置と第2の係合位置との間の概ね中間の角度位置である。
【0054】
上述のように、係合位置にあるとき、1つの搬送装置2のガイド手段14は、水平方向の近接搬送装置2の駆動手段6とロック係合される。これは、搬送装置2と水平方向の近接搬送装置2とを、回転軸28、36の方向に一方を他方から引き離すことによって分離することができないことを意味する。このロック係合を達成するために、ガイド手段14は、ガイド手段14が係合位置にある間、ガイド手段14と駆動手段6との間の係合を維持するための保持手段44を備える。図4a及び図4bを参照すると、ガイド手段14がラック34を備えるこの実施形態では、保持手段44は、ラック34が第1又は第2の係合位置のうちの1つにあるときにピニオン26がその中に受容されるチャネル47を画定するようにラック34の長手方向縁部に沿って延在する2つの壁46を備える。ラック34がこれらの位置の1つにあるとき、ピニオン26の側面方向(lateral)の移動は、壁46の内側表面がピニオン26の平面に作用することによって制限され、関連付けられた搬送装置2の分離を防止する。ラック34が非係合位置又は係脱位置に移動されると、図4cに示すように、チャネル47はピニオン26から離れるように移動し、関連付けられた搬送装置2は側面方向に分離され得る。
【0055】
図5a~図5hは、クラスタ4内でターゲット搬送装置52を再位置付けする一例に含まれるいくつかのステップを示す一連の図である。図5aを参照すると、ターゲット搬送装置52は、図2bに示すのと同じ位置でクラスタ4内に配向されており、駆動手段6を担持する第2の側面24と、ガイド手段14を担持する第3の側面32とだけが見えるようになっている。クラスタ4を形成する他の搬送装置2のすべても同様に配向されている。この例では、ターゲット搬送装置52の開始場所54はクラスタ4の底部角であり、目的場所56は搬送装置2の中央列の最上部にあり、単一の自由空間がクラスタ4内のターゲット搬送装置52のすぐ上に設けられている。
【0056】
図5bを参照すると、第1のステップにおいて、ターゲット搬送装置52は上方向に移動されて、クラスタ4内の自由空間を占有し、開始場所54におけるクラスタ4の底部角に新しい自由空間が生じる。このターゲット搬送装置52の移動は、第1の水平方向の近接搬送装置58及びそのすぐ上の搬送装置60の第3の側面32(図示せず)上のラック34を第1の係合位置に移動させ、搬送装置58、60の組み合わされた高さに沿って垂直方向に延在する実質的に連続したラックを形成することによって達成され、ターゲット搬送装置52の第1の側面22(図示せず)上のピニオン26のセットは、ターゲット搬送装置52を上方向に移動させるように回転可能に駆動される。同時に、ターゲット搬送装置52の第4の側面38(図示せず)上のラック34も第1の係合位置に保持され、第2の水平方向の近接搬送装置62及びそのすぐ上の搬送装置64の第2の側面24上のピニオン26のセットが、ターゲット搬送装置52を上方向に移動させるように回転可能に駆動される。
【0057】
ここから、前はターゲット搬送装置52の水平方向の近接物であった搬送装置62が、その第1の側面22(図示せず)上のピニオン26のセットとその水平方向の近接搬送装置の第3の側面32(図示せず)上のラック34との間の相互作用により、横方向に移動されて、自由空間を占有し、搬送装置62の自由空間への移行中に、搬送装置58が水平方向の近接搬送装置の1つになる(図5c参照)。この移動の前に、搬送装置62の第4の側面38上のラック34のセットは、離脱位置又は係脱位置に移動され、搬送装置63の第2の側面24上のピニオン26のセットとの係合を防止し、それによって搬送装置62、63の分離を可能にする。次いで、搬送装置64が、ピニオン26のセットとその隣接する側面上のラック34との間の相互作用により、下方向に駆動されて、ターゲット搬送装置52に隣接する自由空間が生じる。まず、搬送装置64の第2の側面24(図示せず)上のピニオン26のセットと、ターゲット搬送装置52及び搬送装置62(図5d参照)の第4の側面38(図示せず)上の第1の係合位置に保持されたラック34のセットとが、この下方向への移動のために使用される。同時に、搬送装置64の第4の側面38上のラック34のセットも第1の係合位置に保持されて、搬送装置63、65の第2の側面24上のピニオン26のセットに係合し、次いでこれらピニオンが適切に駆動される。これとともに、搬送装置64の第1の側面22上のピニオン26のセットは、中央に位置する搬送装置(図示せず)の第3の側面32上の第1の係合位置に保持されたラック34のセットに沿って適切に駆動される。
【0058】
ここから、ターゲット搬送装置52は、図5eに示すように、横方向に駆動されて自由空間を占有する。これは、ターゲット搬送装置52の第1の側面22(図示せず)上のピニオン26のセットと、搬送装置60がそのうちの1つである水平方向の近接搬送装置の第3の側面32(図示せず)上のラック34との間の相互作用により行われる。具体的には、ラック34のセットは、第2の係合位置に保持され、水平固定ラック部分18と共に、水平方向の近接搬送装置の組み合わされた長さに沿って延在する実質的に連続した水平ラック34を形成し、ターゲット搬送装置52の第1の側面22(図示せず)上のピニオン26は、ターゲット搬送装置52を自由空間へと横方向に移動させるように回転可能に駆動される。更に、搬送装置65に隣接する新しい位置に到着する前に、ターゲット搬送装置52の第4の側面38のラックは、離脱位置又は係脱位置に移動される。正しい位置に来ると、ターゲット搬送装置52の第4の側面38のラックは、次いで、第1又は第2の係合位置のいずれかに移動される。
【0059】
次のステップにおいて、図5fに示すように、搬送装置66が、下方向に移動されて、ターゲット搬送装置52の横方向の移動によって利用可能になった自由空間を占有する。この移動は、搬送装置66の第1の側面22(図示せず)上のピニオン26のセットと、搬送装置60、68の第3の側面32(図示せず)上の第1の係合位置に保持されたラック34のセットとの間の相互作用、及び、搬送装置66の第4の側面38(図示せず)上のラック34のセットと、ターゲット搬送装置52及びそのすぐ上の搬送装置70の第2の側面24上のピニオン26のセットとの間の相互作用により実施される。
【0060】
続いて、搬送装置70が、搬送装置70の第1の側面22上のピニオン26のセットと、水平固定ラック部分18と共に搬送装置68、72(図5g参照)の組み合わされた長さに大方わたる実質的に連続したラック34を形成するように第2の係合位置に保持された搬送装置68、72の第3の側面32上のラック34のセットとの間の相互作用により、横方向に移動されて、搬送装置66の下方向への移動によって残った自由空間を占有する。これに続いて、最終ステップにおいて、ターゲット搬送装置52は、図5hに示すように、目的場所56へと上方向に移動される。この例では、ターゲット搬送装置52は、その第1、第2、及び第4の側面22、24、38に隣接する近接搬送装置を有し、これらの近接搬送装置のすべてと相互作用して、その目的場所56への上方向への移動が完了する。具体的には、搬送装置66、70の第4の側面38上のラック34のセットが、第1の係合位置に保持され、ターゲット搬送装置52の第2の側面24上のピニオン26のセットは、回転可能に駆動され、ターゲット搬送装置52を上方向に移動させる。これとともに、ターゲット搬送装置52の他方の側、すなわち第4の側面38上のラック34のセットも、第1の係合位置に保持され、搬送装置65、74の第2の側面24上のピニオン26のセットと相互作用し、これらピニオンは、ターゲット搬送装置52を目的場所へと移動させるように回転可能に駆動される。最後に、搬送装置72及びそのすぐ下の搬送装置の第3の側面32上のラック34のセットも、ターゲット搬送装置52を目的場所56に駆動するようにターゲット搬送装置52の第1の側面22上のピニオン26のセットと相互作用するために、第1の係合位置に保持される。上記では、クラスタ4にわたる個々の搬送装置2の例示的な移動を説明しているが、当然のことながら、1つ又は複数の他の搬送装置2がクラスタ4じゅうを同時に移動することができる。また、2つ以上の隣接する搬送装置2を、第1又は第2の係合位置に保持されたそれらの駆動手段6とガイド手段14との間の相互作用により連結して、グループとしてクラスタ4にわたり移動させることができる搬送装置2のチェーンを形成することも可能である。ピニオン及びラック26、34の適切なセット間の相互作用により、そのような搬送装置2のチェーンは、クラスタ4にわたり長手方向又は横断方向に移動し得る。搬送装置2のチェーンを形成することは、故障してもはやクラスタ4にわたり推進するのに貢献できないクラスタ4内の搬送装置2にアクセスするのに特に有用である。
【0061】
簡潔にするために、前述の図に関連して説明してはいないが、搬送装置2のクラスタ4にわたる水平移動を可能にするために、搬送装置2の列と列の間に垂直方向の間隙が必要である。このために、搬送装置2は、概して、その最上面10に形成された1つ又は複数の凹部領域86と、その底面12から延伸可能な対応する数の格納式ポスト88とを備える。具体的には、直方体形状を有するこの実施形態の搬送装置2は、各々が4つの凹部領域86と、4つの対応する格納式ポスト88とを備える(図2a~図2d参照)。凹部領域86及び格納式ポスト88は、協働するように空間的に配置され、これは、第1の搬送装置2の凹部領域86が、その上に位置付けられた第2の搬送装置2の格納式ポスト88を受容して、第1の搬送装置2の上に第2の搬送装置2を支持し、それらの間に間隙を画定するように構成されるということである。したがって、凹部領域86及び格納式ポスト88は、図6aに示すように、スタックに配置された搬送装置2を支持し、それらの垂直方向の位置合わせを確実にする。ターゲット搬送装置52が目的場所に水平方向に移動され得るようにするために、ターゲット搬送装置52が移動する水平経路の上方に延在する搬送装置2の列は、水平経路の上方の所定位置に保持される。これは、それらのガイド手段14及び/又はそれらの水平方向の近接搬送装置2のガイド手段14を第1又は第2の係合位置に保持することによって行われる。実際には、搬送装置及び/又はそれらの水平方向の近接搬送装置2のガイド手段14のいくつかは、水平経路の上方に延在する搬送装置2の列が適切に支持されるならば、離脱位置又は係脱位置に保持されてもよい。このようにして、搬送装置2の列は、それらの水平方向の近接搬送装置2によって支持される。次いで、格納式ポスト88は、ターゲット搬送装置52が水平経路に沿って移動するときに妨害しないように、必ずしも同時である必要はないが、1つ又は複数の通信ユニットを介してコントローラによって制御される好適なアクチュエータによって格納され得る。同様に、ターゲット搬送装置52も、水平経路を横断するときにそのガイド手段14及びその水平方向の近接搬送装置2のガイド手段14を第2の係合位置に移動させることにより、その水平方向の近接搬送装置2によって支持され、次いで、その格納式ポスト88は、図6bに示すように、水平経路に沿う移動を妨げないように格納される。次いで、ターゲット搬送装置52は、図6c~図6eに示すように、水平経路を横断するときに、その駆動手段6及びその水平方向の近接搬送装置2の駆動手段6の動作によって、水平経路に沿って目的場所まで駆動される。目的場所にくると、ターゲット搬送装置52を含むスタックを形成する搬送装置2の格納式ポスト88は、図6fに示すように、搬送装置2を支持するように延伸され得る。いくつかの例では、格納式ポスト88は、例えば、異なる搬送装置2の1つ又は複数の通信ユニット間で制御信号及び又は電力を送信するために、及び/又はモータ、アクチュエータ等に電力供給するために使用され得る。
【0062】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る別のシステムを示す。搬送装置2が協働してクラスタ4内の1つ又は複数の搬送装置2を推進する先の実施形態とは異なり、この実施形態は、表面80に隣接して位置する少なくとも1つの搬送装置2を備え、これらは、搬送装置2又は表面80のうちの一方を搬送装置2又は表面80のうちの他方に対して移動させるために互いに協働する。この特定の例では、壁として図示されている表面80に対して移動するのは、搬送装置2である。本質的に、表面80は、先の実施形態における水平方向の近接搬送装置2の機能を再現する。このために、この実施形態では、表面80は、ガイド手段14を備え、搬送装置2は、表面80に面する搬送装置2の面、すなわち第1の側面22に関連付けられた駆動手段6を備える。しかしながら、当業者であれば、表面80が、代わりに、駆動手段6、又は駆動手段6とガイド手段14の組み合わせを備えてもよいことを理解するであろう。駆動手段6は、搬送装置2の表面80に対する移動をもたらすために、ガイド手段14と相互作用するように構成される。この実施形態の駆動手段6及びガイド手段14は、搬送装置2又は表面80のうちの一方を互いに対して移動させるように互いに相互作用するピニオン26及びラック34のセットをそれぞれ備えるという点で、先の実施形態と同じである。ラック34のセットは、搬送装置2又は表面80の移動をもたらすためにピニオン26のそれぞれのセットと確実に係合される能動状態と、駆動手段が係合されず、搬送装置2及び表面80が分離されることを可能にする受動状態との間で移動可能である。表面80は、個々のセル84a、84b、84cを備えてよく、ここで搬送装置2は常時少なくとも1つのセルと協働する。このようにして、搬送装置2は、表面80を横切ってセルからセルに移動し得る。例えば、複数の搬送装置2を備えるクラスタ4の物理的トポロジを再構成するために、搬送装置2はセル84aからセル84bに移動され得る。このようにして、搬送装置2をクラスタ4に追加してもよいし、又はクラスタ4から取り外してもよい。表面80は、搬送装置2に隣接するものとして示されているが、代わりに、搬送装置2の任意の面が駆動手段6又はガイド手段14のうちの一方を担持して表面80上の駆動手段又はガイド手段14のうちの他方を補完するならば、面の下にある床として配置されてもよい。表面80は、代替的に、搬送装置2の上方に位置付けられてもよい。更に、搬送装置2を2つ以上の次元で移動させるために、2つ以上の表面80が使用されてもよい。例えば、1つの表面が搬送装置2の下に配置され、別の表面が搬送装置2の1つの側に壁として配置されてもよく、搬送装置2の位置を変更するために搬送装置2を任意の直交方向に移動させることを可能にする。
【0063】
本開示は、本発明をどのように実施できるかの例について説明し、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく様々な手法が採用され得ることが当業者によって理解されよう。
【0064】
例えば、いくつかの代替的な実施形態では、搬送装置2のすべての面は、搬送装置2が受容空間3を含まないように中実であってもよい。このタイプの搬送装置2を使用するシステムは、物体を持ち上げる又は支持するように再構成可能であり得る。更に、本開示で与えられる例示的な駆動手段6及びガイド手段14は、それぞれ4つのピニオン26及びラック34のセットを備える。駆動手段6及びガイド手段14が、異なる数のピニオン26及びラック34を有するセットを含む例が想定される。これらの例のいくつかにおいて、ピニオン26の各セットは、ラック34のセットにおけるラック34の数と比較してより多くのピニオン26を含み得る。この場合、ラック34は、間隙を形成するようにサイズ決め及び位置付けされることになり、ピニオン26のうちの1つ又は複数が、搬送装置2間の相対移動中にラック34の間を通ることが可能になる。ピニオン26は、それら自体のモータに関連付けられなくてもよく、モータが相互に連結されていてもよいし、又は当業者であれば、面のすべてのピニオンホイールを駆動する必要があるわけではない場合があり、代わりに、受動的ホイールであってもよいことを理解し得る。更に、ラック34のセットにおける各ラックが、すべてそれ自体の独立したモータ及び制御システムを有してもよく、これは、搬送装置の移動方向の変更を容易にするために必要とされる場合がある。例えば、その側面のうちの1つのみで支持されている搬送装置2を移動させ、垂直方向から水平方向に変更するとき、搬送装置2は、ラック34のセットのうちの上側ラックを最初に移動させ得る。代替的に、水平方向の近接搬送装置2に対する搬送装置2の位置及び向きを十分に抑制するために、一度に1つのラックのみを移動させてもよい。搬送装置2のクラスタ4への追加又はクラスタ4からの取り外しを容易にするために、クラスタ4と共に周辺機器を使用することもできる。クラスタ4に追加するか、又はクラスタ4から取り外すために、搬送装置2がその上に位置し得る運搬機構が使用され得る。更に、クラスタ4は、特定の機能のために異なる場所に位置し得る。例えば、第1のクラスタが、冷蔵環境に位置してもよく、第2のクラスタが、周囲環境に位置してもよい。第1及び第2のクラスタは、より大きいクラスタの第1及び第2のレベルを形成し得る。このようにして、第1のクラスタ4は、冷蔵が必要ない食料品(乾物類など)を保管する搬送装置2を備えることができ、第2のクラスタ4は、冷蔵が必要な食料品(生鮮食品など)を保管する搬送装置2を備えることができる。顧客の注文は、顧客によって注文された冷蔵が必要な食料品及び冷蔵が必要ない食料品を備える搬送装置2を第1及び第2のクラスタ4から抜き出すことによって履行することができる。この説明は、例として提供されているにすぎず、冷蔵され得るか、又は周囲温度で保管され得る食料品は、第1又は第2のクラスタ4のいずれかに等しく保管され得ることが理解されよう。

以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 1つ又は複数の搬送装置を備えるシステムであって、
表面に接続されたガイド手段又は駆動手段のうちの一方と、
前記表面に隣接し、前記ガイド手段又は前記駆動手段のうちの他方を備える第1の搬送装置と、
を備え、前記駆動手段は、前記第1の搬送装置又は前記表面のうちの一方の前記第1の搬送装置又は前記表面のうちの他方に対する移動をもたらすために、前記ガイド手段と相互作用するように構成されており、
前記ガイド手段は、前記第1の搬送装置又は前記表面の移動をもたらすために前記駆動手段と確実に係合される能動状態と、前記駆動手段が係合されず、前記第1の搬送装置及び前記表面が分離されることを可能にする受動状態との間で変化するように構成されている、システム。
[2] 前記第1の搬送装置は、前記駆動手段を備え、前記表面は、前記ガイド手段を備え、前記表面は、第2の搬送装置の一部を形成する、[1]に記載のシステム。
[3] 前記第1の搬送装置は、クラスタ内での前記第1の搬送装置又は隣接する搬送装置の移動を方向付けるために、前記隣接する搬送装置の駆動手段と相互作用するように構成されたガイド手段を更に備える、[2]に記載のシステム。
[4] 前記第2の搬送装置は、クラスタ内での前記第2の搬送装置又は隣接する搬送装置を移動させるための駆動手段を更に備える、[2]又は[3]に記載のシステム。
[5] 前記複数の搬送装置の各搬送装置は、直方体形状を有し、駆動手段は、2つの隣接する側面上に設けられ、ガイド手段は、残りの2つの隣接する側面上に設けられている、[3]に従属するときの[4]に記載のシステム。
[6] 前記複数の搬送装置の各搬送装置は、少なくとも1つの近接搬送装置を有する任意の1つの搬送装置の駆動手段に関連付けられた少なくとも1つの側面が近接搬送装置のガイド手段に関連付けられた側面に対向するように、同じ向きで前記クラスタ内に位置付けられている、[5]に記載のシステム。
[7] 前記ガイド手段は、前記ガイド手段が前記能動状態である間、前記ガイド手段と前記駆動手段との間の係合を維持するための保持手段を備える、[1]~[6]のいずれか一項に記載のシステム。
[8] 前記ガイド手段は、前記能動状態であるときに少なくとも第1の位置又は第2の位置のうちの1つに保持されるように構成され、前記第1の位置及び前記第2の位置は、前記クラスタにわたる前記第1の搬送装置又は前記表面の移動をそれぞれ第1の方向及び第2の方向に方向付けるように配置されている、[1]~[7]のいずれか一項に記載のシステム。
[9] 前記第1の方向は、前記第2の方向に対して実質的に直交する、[8]に記載のシステム。
[10] 前記第1の搬送装置の前記駆動手段は、前記第2の搬送装置の前記ガイド手段に回転可能に係合するように配置されている、[2]~[9]のいずれか一項に記載のシステム。
[11] 前記ガイド手段はラックを備え、前記駆動手段は前記ラックに係合するように構成されたピニオンを備える、[10]に記載のシステム。
[12] 前記ラックは、前記ガイド手段を前記能動状態と前記受動状態との間で移動させるように移動可能である、[11]に記載のシステム。
[13] 前記ラックは、前記ピニオンが回転する軸と平行な回転軸を中心として回転可能である、[12]に記載のシステム。
[14] 前記ラック及び前記ピニオンの回転軸は、互いに対してオフセットされている、[13]に記載のシステム。
[15] 前記ラックの前記回転軸は、前記ピニオンの円周に外接する概念的な正方形の頂点に位置する、[14]に記載のシステム。
[16] 前記ラックは、前記第1の方向及び前記第2の方向に延在する固定部分を更に備える、[8]又はそれに従属するいずれかの請求項に従属するときの[12]~[15]のいずれか一項に記載のシステム。
[17] 前記保持手段は、前記ガイド手段が前記能動状態であるときに前記ピニオンが受容されるチャネルを画定する、前記ラックの両側に位置付けられた2つの壁を備える、[7]又はそれに従属するいずれかの請求項に従属するときの[11]~[16]のいずれか一項に記載のシステム。
[18] 前記複数の搬送装置の各搬送装置は、その垂直方向の近傍内の近接搬送装置に対して位置を合わせるための垂直方向位置合わせ手段を備える、[1]~[17]のいずれか一項に記載のシステム。
[19] 前記垂直方向位置合わせ手段は、最上面に形成された凹部領域と、底面から延伸する格納式ポストとを備え、任意の1つの搬送装置の前記凹部領域は、前記搬送装置の垂直方向の位置合わせを確実にするように、上側の近接搬送装置の前記格納式ポストを受容するように構成されている、[5]又はそれに従属するいずれかの請求項に従属するときの[18]に記載のシステム。
[20] 前記複数の搬送装置のうちの少なくとも1つの搬送装置は、他の搬送装置と比較してより大きい容積又はより小さい容積を備える、[1]~[19]のいずれか一項に記載のシステム。
[21] 前記複数の搬送装置の各搬送装置は、個々にアドレス指定可能である、[1]~[20]のいずれか一項に記載のシステム。
[22] 前記複数の搬送装置の各搬送装置は、在庫を保持するための受容空間を備える、[1]~[21]のいずれか一項に記載のシステム。
[23] 前記表面は固定されている、[1]に記載のシステム。
[24] [1]~[23]のいずれか一項に記載のシステムで使用するための搬送装置。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図5f
図5g
図5h
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図7