(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-11
(45)【発行日】2025-04-21
(54)【発明の名称】電力装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20250414BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
(21)【出願番号】P 2023569463
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 JP2022046916
(87)【国際公開番号】W WO2023120529
(87)【国際公開日】2023-06-29
【審査請求日】2024-06-21
(31)【優先権主張番号】P 2021207306
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】栗栖 裕樹
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-087224(JP,A)
【文献】特開2019-134641(JP,A)
【文献】特開2013-105938(JP,A)
【文献】特開2020-099163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H01M10/42-10/48
H01R13/40-13/533
H01R43/00-43/28
H05K5/00-5/06
H05K7/00-7/14
H05K7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電気端子(20)を有する蓄電装置(12)を出し入れ可能に収容する収容部(14)と、
前記収容部を支持する筐体(32)又は骨格(30)と、
前記収容部に設けられ、前記第1電気端子に接続可能に設けられる第2電気端子(104)と、
第1電力線(154)を介して前記第2電気端子に電気的に接続され、前記蓄電装置からの電力によって動作する動作部(44)と、
を備える電力装置(10)であって、
前記収容部は、前記筐体又は前記骨格に対して着脱可能に支持され、
前記第1電力線は、互いに係脱可能な第3電気端子(164)と第4電気端子(166)とを有し、
前記第3電気端子は、前記第1電力線の一部である第1線部(162)を介して前記第2電気端子に電気的に接続され、
前記第3電気端子及び前記第1線部は、前記収容部に取り付けられて該収容部に支持される電力装置。
【請求項2】
請求項1記載の電力装置において、前記収容部は、開口(746)と、前記開口が形成された筒部(74)と、前記筒部に連なる底部(82)とを有し、
前記収容部は、前記開口、前記筒部及び前記底部によって有底筒状に形成され、
前記第3電気端子及び前記第1線部は、前記筒部の外面に取り付けられて該筒部に支持される電力装置。
【請求項3】
請求項2記載の電力装置において、前記収容部に対して前記蓄電装置を出し入れする方向を出入方向とするとき、前記収容部は、前記筐体又は前記骨格に対して前記出入方向に沿って着脱可能に設けられ、
前記第3電気端子及び前記第1線部は、前記筒部の前記外面のうち、該筒部の前記出入方向における中分位置よりも前記開口側の位置に固定される電力装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の電力装置において、前記収容部は、前記開口が鉛直方向に対して交差する方向を向く姿勢であり、
前記第3電気端子及び前記第1線部は、前記筒部の前記外面のうち、鉛直方向下方を向く面以外の面に固定される電力装置。
【請求項5】
請求項
2記載の電力装置において、前記第2電気端子は、前記収容部に対して相対移動可能に設けられる電力装置。
【請求項6】
請求項5記載の電力装置において、前記蓄電装置を前記収容部に対して出し入れするときの前記蓄電装置の移動軌跡に対して進退可能に設けられる進退部(132)と、
前記第2電気端子と前記進退部とを、互いに機械的に接続する接続部(110)と、
を備え、
前記接続部は、前記筒部の前記外面のうち、前記第3電気端子及び前記第1線部を避けた位置に配置される電力装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の電力装置において、前記第2電気端子を前記収容部に対して相対移動させる駆動源(116)を備え、
前記駆動源は、前記筒部の前記底部に取り付けられて前記収容部に支持される電力装置。
【請求項8】
請求項7記載の電力装置において、前記第2電気端子及び前記駆動源は、前記筒部の前記底部の外縁に平行な投影の範囲内に位置する電力装置。
【請求項9】
請求項1
又は2記載の電力装置において、
前記第4電気端子は、前記第1電力線の別の一部である第2線部(168)を介して前記動作部に電気的に接続され、
前記第2線部は、前記動作部に接続された状態で、且つ前記第3電気端子と前記第4電気端子とが互いに係合した状態で、前記収容部が前記筐体又は前記骨格から離脱する方向に移動可能な余剰部分を有する長さである電力装置。
【請求項10】
請求項1
又は2記載の電力装置において、前記収容部に収容された前記蓄電装置に対し、通信線(158)を介して通信可能に接続される制御部(46)を備え、
前記通信線は、互いに着脱可能な第1通信端子(192)と第2通信端子(194)とを有し、
前記第1通信端子は、前記通信線の一部である第1通信線部(190)を介して前記第1電気端子に電気的に接続され、
前記第1通信端子及び前記第1通信線部が、前記収容部に取り付けられて該収容部に支持される電力装置。
【請求項11】
請求項10記載の電力装置において、前記第1線部と前記第1通信線部とが束ねられて配索される電力装置。
【請求項12】
請求項1
0記載の電力装置において、前記制御部と前記第2電気端子とを電気的に接続する第2電力線(156)を備え、
前記第2電力線は、互いに着脱可能な第5電気端子(182)と第6電気端子(184)とを有し、
前記第5電気端子は、前記第2電力線の一部である第3線部(180)を介して前記第2電気端子に電気的に接続され、
前記第5電気端子及び前記第3線部が、前記収容部に取り付けられて該収容部に支持される電力装置。
【請求項13】
請求項12記載の電力装置において、前記第2電力線に介装される電力変換部(124)を備え、
前記電力変換部は、前記収容部に取り付けられて前記収容部に支持される電力装置。
【請求項14】
請求項1
2記載の電力装置において、前記第1電力線と前記第2電力線とが互いに束ねられて配索される電力装置。
【請求項15】
請求項1
又は2記載の電力装置において、第3電力線(204)を介して前記第2電気端子に接続される発光部(112)を備え、
前記発光部及び前記第3電力線が、前記収容部に設けられて前記収容部に支持される電力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2021/107069号には、モノコックケースを備える保持装置が開示されている。該保持装置は、モバイルバッテリを収容する収容部(スロット)を備える。該スロットは、前記モノコックケースに対して挿抜可能である。この保持装置において仕様を変更する場合、保持装置の設置者は、スロットに代替し、例えば、操作機器等をモノコックケースに挿入する。このように、国際公開第2021/107069号に示された構成によれば、保持装置の仕様を変更することが容易である。
【0003】
保持装置は、インバータ等の電力変換部をさらに備える。スロット内のモバイルバッテリとインバータとは、電力線を介して電気的に接続される。モバイルバッテリは第1端子を有し、スロットは第2端子を有する。前記電力線は、第1端子と第2端子とを電気的に接続する。
【0004】
特開2021-87224号公報において、上記した電力線に余剰の長さを設けることが提案されている。この場合、電力線は、第2端子におけるスロットに向く端部を超えてスロットに届くように配索される。
【発明の概要】
【0005】
保持装置にメンテナンス等を施すとき、保持装置から収容部を取り外すことが想定される。このとき、電力線が電気的に切断される。この場合において、電気的に切断された電力線の一部と、収容部とを一体的に取り扱えることが望まれる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、第1電気端子を有する蓄電装置を出し入れ可能に収容する収容部と、前記収容部を支持する筐体又は骨格と、前記収容部に設けられ、前記第1電気端子に接続可能に設けられる第2電気端子と、第1電力線を介して前記第2電気端子に電気的に接続され、前記蓄電装置からの電力によって動作する動作部と、を備える電力装置であって、前記収容部は、前記筐体又は前記骨格に対して着脱可能に支持され、前記第1電力線は、互いに係脱可能な第3電気端子と第4電気端子とを有し、前記第3電気端子は、前記第1電力線の一部である第1線部を介して前記第2電気端子に電気的に接続され、前記第3電気端子及び前記第1線部は、前記収容部に取り付けられて該収容部に支持される電力装置が提供される。
【0008】
本発明においては、第3電気端子及び第1線部を収容部に取り付けている。このため、第3電気端子と第4電気端子との係合を解除した状態で、第3電気端子及び第1線部を収容部と一体的に取り扱うことが可能である。
【0009】
また、例えば、収容部を筐体又は骨格に対して移動させるとき、第3電気端子及び第1線部が収容部と筐体又は骨格との間に挟まれることが回避される。これにより、第3電気端子が破損することが回避される。また、第1線部が破断することも回避される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】
図4は、電力装置の基本骨格としてのモノコックフレームの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[電力装置の概略構成]
図1は、電力装置10の概略斜視図である。電力装置10の内部には、モバイルバッテリ12(蓄電装置)が挿抜可能に収容される。電力装置10は、内部に収容されたモバイルバッテリ12に対して充電を行う装置である。ユーザは、充電率(SOC: State of Charge)が低くなったモバイルバッテリ12を電力装置10に押し入れる。ユーザは、充電が完了した別のモバイルバッテリ12を電力装置10から引き出す。
【0012】
電力装置10は、8つのスロット14(収容部)と、1つの操作パネル16とを有する。8つのスロット14には、モバイルバッテリ12がそれぞれ収容される。ユーザが1個のスロット14にモバイルバッテリ12を収容すると、電力装置10は、該スロット14に収容されたモバイルバッテリ12の充電を開始する。
【0013】
操作パネル16は、ユーザにより操作される装置である。ユーザは、操作パネル16を操作することにより、例えば、料金の支払い等を行う。
【0014】
以下では、次のように規定されたX軸、Y軸及びZ軸に基づいて電力装置10について説明する。スロット14に対してモバイルバッテリ12が挿抜される方向をZ軸方向とする。Z軸方向において、スロット14の最奥部から開口部に向かう方向を+Z軸方向とする。+Z軸方向は、スロット14からモバイルバッテリ12が離脱する引抜方向である。-Z軸方向は、+Z軸方向の反対方向である。-Z軸方向は、スロット14へのモバイルバッテリ12の挿入方向である。すなわち、Z軸方向はモバイルバッテリ12の挿抜方向である。
【0015】
電力装置10の幅方向と平行な方向をX軸方向とする。ユーザが電力装置10の前面に向かって立ったときに、X軸方向において右手側を+X軸方向とする。-X軸方向は、+X軸方向の反対方向でありX軸方向において左手側である。Z軸及びX軸に直交する方向をY軸方向とする。Y軸方向において、上側を+Y軸方向とする。Y軸方向において、下側を-Y軸方向とする。
【0016】
[モバイルバッテリの構成]
本実施形態では、
図2及び
図3に示すモバイルバッテリ12を蓄電装置として用いる態様を例示する。このモバイルバッテリ12の構成について説明する。
図2は、モバイルバッテリ12の斜視図である。
図3は、モバイルバッテリ12の底面図である。
【0017】
図2に示すように、モバイルバッテリ12は、ボトムケース301と、メインケース302と、トップケース303とを有する。ボトムケース301は、モバイルバッテリ12の底面を構成する。
【0018】
図2に示すように、トップケース303は、モバイルバッテリ12の上面を構成する。上面にはハンドル24が設けられる。ハンドル24は、第1把持部241と、第2把持部242とを有する。ユーザは、主に第1把持部241を把持して、スロット14に対してモバイルバッテリ12の挿抜を行う。
【0019】
図3に示すように、底面には、雌型のコネクタ20(第1電気端子)が露出する。コネクタ20は、電力を授受するための雌型電気端子と、通信信号を授受するための雌型通信端子とを有する。すなわち、コネクタ20は、電気端子と通信端子とを兼ねる。コネクタ20は、底面の凹部26(
図2参照)に設けられる。すなわち、コネクタ20は、底面からトップケース303に若干寄った位置に設けられる。コネクタ20は、底面の中央から、第2把持部242が設けられた端部に寄っている。
【0020】
[骨格(モノコックフレーム)及び周辺機器の構成]
図1及び
図4に示すように、電力装置10は、支持骨格であるモノコックフレーム30と、モノコックフレーム30を収容したハウジング32(筐体)とを有する。モノコックフレーム30は、9個のモノコックケース34と、複数個の支持柱36とを有する。支持柱36により、モノコックケース34が支持される。モノコックケース34は、前面が開放された中空体である。モノコックケース34の後面は、閉塞端であってもよい。モノコックケース34の後面は、開放端であってもよい。モノコックフレーム30は、電力装置10の基本骨格となっている。
【0021】
図5に示すように、電力装置10の下部には、外部接続部40が設けられている。外部接続部40には、外部電源又は外部負荷が接続される。外部接続部40は、外部電源から電力の供給を受ける。又は、外部接続部40は、外部負荷に対してモバイルバッテリ12の電力を出力(供給)する。
【0022】
モノコックフレーム30の上部には、支持板42が設けられる。支持板42には、複数個のインバータ44(動作部)が配置されている。複数個のインバータ44の各々は、複数個のスロット14の各々に電気的に接続される。従って、スロット14の個数とインバータ44の個数とは同一である。インバータ44は、モバイルバッテリ12から供給された直流電力を交流電力に変換する。又は、インバータ44は、外部電力から供給された交流電力を直流電力に変換する。
【0023】
支持板42には、メイン制御基板46(制御部)と、インバータ48とが配置されている。メイン制御基板46は、スロット14を制御するための統合制御部である。インバータ48は、外部電力から供給された交流電力を直流電力に変換する。得られた直流電力は、メイン制御基板46と、
図9に示す電子回路基板50とに供給される。電子回路基板50については後述する。
【0024】
モノコックフレーム30は、支持板42よりも上方において、天板51を支持する。天板51には、ブレーカ52が位置決め固定される。
【0025】
モノコックケース34(
図4参照)の中空内部は、スロット14の大部分を収納するための収納空間である。スロット14には、モバイルバッテリ12の全体又は大部分が収容される。
【0026】
モノコックケース34の素材は、パンチングメッシュ材であることが好ましい。この場合、モノコックフレーム30が軽量となるので、電力装置10が軽量化を図ることができる。また、モバイルバッテリ12は充電時に発熱する。モノコックケース34の素材がパンチングメッシュ材であると、モノコックケース34内の熱を帯びた大気が、該モノコックケース34の外部に放散され易くなる。しかも、モノコックケース34外の冷気が該モノコックケース34内に進入し易くなる。以上のような理由から、モノコックケース34内に熱が滞留し難くなる。このため、モバイルバッテリ12を効率よく冷却することができる。
【0027】
モノコックケース34の底部の内面には、
図6に示すように、Z軸方向に沿って延在する1組の案内レール54が設けられる。1組の案内レール54の-Z軸方向における端部の近傍には、1組の規制壁部56が設けられる。1組の規制壁部56は、+X軸方向又は-X軸方向に突出する。1組の規制壁部56は、1組の案内レール54よりも高い。
【0028】
1組の案内レール54の-Z軸方向における端部には、1組の板バネ部58が設けられる。1組の板バネ部58は、+Y軸方向に沿って若干突出し、且つ+Z軸方向に折曲されている。1組の規制壁部56の各々は、1組の板バネ部58の各々に一体的に連なる。1組の板バネ部58の各々において、+Z軸方向に延在する部位には、係合凸部60が形成される。係合凸部60は、案内レール54及び-Y軸方向に向かって突出する。
【0029】
[スロットの全体構成]
図6は、スロット14の概略前方斜視図である。
図6は、スロット14にモバイルバッテリ12が挿入されていない状態を示す。
図7は、スロット14の概略断面図である。
図7は、スロット14にモバイルバッテリ12が挿入されている状態を示す。
【0030】
スロット14は、スロットスリーブ70と、バッテリロック機構72とを有する。スロットスリーブ70は、モバイルバッテリ12を保持する。該スロットスリーブ70は、スロット本体74、スロットフランジ76、スロットステー78、スロットガイド80及びボトムカバー82を有する。
【0031】
スロット本体74は、下側板751と、左側板752と、右側板753と、上側板754とを有する筒状の部材(筒部)である。スロット本体74は、Z軸方向に沿って延在する。Z軸方向は、モバイルバッテリ12の挿抜方向である。
図7に示すように、スロット本体74は、内部に保持スペース745を有する。スロット14にモバイルバッテリ12が保持される場合、モバイルバッテリ12の大部分がこの保持スペース745に保持される。
【0032】
スロット本体74をZ軸方向から見た場合に、スロット本体74の外形は略矩形である。スロット本体74は、+Z軸方向の端部に開口部746を有し、且つ-Z軸方向の端部に開口部747を有する。
【0033】
図6及び
図7に示すように、スロット本体74の+Z軸方向の開口部746にスロットフランジ76が取り付けられる。このスロットフランジ76の+Z軸方向側に、スロットステー78が取り付けられる。スロットステー78には、扉86が取り付けられる。モバイルバッテリ12がスロットスリーブ70に収容されていない場合には、
図6に示すように、扉86が閉じる。モバイルバッテリ12がスロットスリーブ70に収容されるときには、
図7に示すように、扉86はスロット本体74の内側に開く。この状態で、モバイルバッテリ12がスロット本体74に収容される。なお、扉86は、シャフト87を中心として回動することで開閉する。
【0034】
スロットステー78の+Z軸方向側には、スロットガイド80が取り付けられる。スロットガイド80は、挿入口801を有する。モバイルバッテリ12は、挿入口801から挿入される。
【0035】
図6及び
図7に示すように、スロット本体74の-Z軸方向の開口部747には、ボトムカバー82(底部)が取り付けられる。該ボトムカバー82には、コネクタユニット90、ファン92、電子回路基板50及び検出スイッチ94が取り付けられる。これにより、ボトムカバーアセンブリ100が構成されている。ボトムカバーアセンブリ100については後述する。
【0036】
ボトムカバー82には、貫通穴102が形成される。貫通穴102には、後述するコネクタ104が通過する。モバイルバッテリ12がスロット本体74に挿入されたとき、コネクタ104は、-Z軸方向から+Z軸方向に向かうように貫通穴102を通る。これに対し、モバイルバッテリ12がスロット本体74から引き抜かれたとき、コネクタ104は、+Z軸方向から-Z軸方向に向かうように貫通穴102を通る。
【0037】
スロット本体74の左側板752の外面には、案内プレート106が設けられる。スロット本体74の右側板753の外面にも同様に、案内プレート106が設けられる。2個の案内プレート106は、Z軸方向に沿って延びる。2個の案内プレート106の各々において、-Z軸方向の端部には係合穴108が形成されている。
【0038】
スロットステー78の+Y軸方向側には、バッテリロック機構72が取り付けられる。バッテリロック機構72がロック状態である場合、バッテリロック機構72は、モバイルバッテリ12の+Z軸方向への移動を規制する。これにより、ユーザは、モバイルバッテリ12をスロット14から引き抜くことができない。バッテリロック機構72がアンロック状態である場合、バッテリロック機構72は、モバイルバッテリ12の+Z軸方向への移動を可能にする。これにより、ユーザは、モバイルバッテリ12をスロット14から引き抜くことができる。バッテリロック機構72については後述する。
【0039】
スロットスリーブ70の+Y軸方向側には、バッテリロック機構72のリンクバー110が設けられる。リンクバー110は、バッテリロック機構72からコネクタユニット90に向かって延びる。リンクバー110を含むバッテリロック機構72は、Z軸方向に平行に延びる。リンクバー110を含むバッテリロック機構72は、スロットスリーブ70に保持されたモバイルバッテリ12よりも長い。
【0040】
図8に示すように、スロットガイド80の-Y軸方向に位置する側板761にはインジケータ112が設けられる。インジケータ112は、本発明の発光部に相当する。インジケータ112は、側板761の+Z軸方向側の面に設けられる。インジケータ112は、スロット14の空き状況、スロット14に収容されているモバイルバッテリ12の充電状態等を、光が点灯している状態、光が点滅している状態、光が消灯している状態、光の色等により示す。
【0041】
[ボトムカバーアセンブリの構成]
図9に示すように、ボトムカバー82には、ファン92とコネクタユニット90とが設けられる。ファン92により、スロットスリーブ70の内部の空気の流れが促進される。
【0042】
コネクタユニット90は、
図10に示すコネクタ104と、モータ116とを有する。雄型のコネクタ104は、電力を授受するための雄型電気端子と、通信信号を授受するための雄型通信端子とを有する。すなわち、コネクタ104は、電気端子と通信端子とを兼ねる。
【0043】
コネクタ104は、モバイルバッテリ12のコネクタ20に嵌合する。このとき、コネクタ104からモバイルバッテリ12に電力が供給されて、モバイルバッテリ12が充電される。又は、モバイルバッテリ12の電力がコネクタ104を介して取り出され、モバイルバッテリ12が放電する。さらに、コネクタ20とコネクタ104とを介して、モバイルバッテリ12とメイン制御基板46とが通信可能に接続される。すなわち、モバイルバッテリ12とメイン制御基板46との間で通信信号が授受される。
【0044】
コネクタ104は、モータ116によってZ軸方向に沿って前進又は後退する。具体的に、モータ116は、回転シャフト(不図示)を有する。回転シャフトは、モータ116から+Y軸方向に延びる。回転シャフトの先端には、
図10に示すピニオン118が取り付けられる。ピニオン118は、ラック120と噛み合う。モータ116は、ピニオン118、ラック120及びベース122を介して、コネクタ104に機械的に接続される。コネクタ104及びモータ116は、ベース122を介してボトムカバー82に取り付けられる。これにより、ボトムカバー82にモータ116が支持される。
【0045】
-Z軸方向からボトムカバー82を見たときに、検出スイッチ94(
図7参照)、ファン92、ベース122、コネクタ104、モータ116、ピニオン118、ラック120及び電子回路基板50は、ボトムカバー82の外縁の内側に収まるように配置される。すなわち、検出スイッチ94、ファン92、ベース122、コネクタ104、モータ116、ピニオン118、ラック120及び電子回路基板50は、ボトムカバー82の外縁に平行な投影の範囲内に収まるように配置される。ボトムカバー82の外縁の平行投影は、スロットスリーブ70の延在方向(モバイルバッテリ12の挿抜方向又はZ軸方向)にボトムカバー82の外縁を投影した仮想領域である。
【0046】
これにより、スロット本体74に対してボトムカバー82を取り付けるときに、検出スイッチ94、ファン92、ベース122、コネクタ104、モータ116、ピニオン118、ラック120及び電子回路基板50が、周囲の部材と干渉することを抑制できる。
【0047】
電子回路基板50(
図9参照)は、例えば、スロットスリーブ70に収容されたモバイルバッテリ12の充電制御を行う。電子回路基板50の電子回路上には、検出スイッチ94が搭載される。スロットスリーブ70にモバイルバッテリ12が保持されると、検出スイッチ94は、モバイルバッテリ12により押し下げられてオフからオンに切り替わる。
【0048】
電子回路基板50には、DC/DCコンバータ124が搭載される。モバイルバッテリ12の充電時、DC/DCコンバータ124は、インバータ44からの直流電力を所望の直流電力に変換する。モバイルバッテリ12の放電時、DC/DCコンバータ124は、モバイルバッテリ12からの直流電力をDC/DCコンバータ124で所望の直流電力に変換する。
【0049】
[バッテリロック機構72の構成]
図11は、バッテリロック機構72の分解斜視図である。バッテリロック機構72は、リンクバー110、カム130、ストッパ132、ロックカバー134、カムシャフト136及びロックトップ138を有する。
【0050】
図10に示すように、リンクバー110の-Z軸方向側は、コネクタホルダ140に固定される。これにより、リンクバー110は、コネクタホルダ140に固定されたコネクタ104と一体的にZ軸方向に移動する。リンクバー110は、本発明の接続部に相当する。
【0051】
図11に示すように、リンクバー110の+Z軸方向側は、カム130に固定される。これにより、カム130は、リンクバー110と一体的にZ軸方向に移動する。カム130は、カムスリット701を有する。
【0052】
ストッパ132は、本発明の進退部に相当する。ストッパ132は、ストッパ本体721及び2つの連結部722を有する。2つの連結部722は、X軸方向に貫通するシャフト孔723をそれぞれ有する。カムシャフト136は、シャフト孔723及びカムスリット701に通される。
【0053】
ストッパ132は、バッテリロック機構72及びコネクタホルダ140を介して、コネクタ104と機械的に接続される。リンクバー110は、コネクタ104と一体的に移動するコネクタホルダ140のZ軸方向の動きを、カム130に伝達する。カム130は、リンクバー110のZ軸方向の動きを、ストッパ132のY軸方向の動きに変換する。
【0054】
これにより、コネクタ104をZ軸方向に移動させる駆動源と、ストッパ132をY軸方向に移動させる駆動源とを、共通のモータ116とすることができる。これにより駆動源の数を低減できるので、スロット14の製造コストを抑制できる。
【0055】
カム130が-Z軸方向に移動すると、ストッパ132は+Y軸方向に移動する。このとき、バッテリロック機構72はアンロック状態となる。カム130が+Z軸方向に移動すると、ストッパ132は-Y軸方向に移動する。その結果、ストッパ本体721がスロットステー78の挿入口321の内部に突出する。このとき、バッテリロック機構72はロック状態となる。
【0056】
以上から理解されるように、カム130は、モバイルバッテリ12がスロット14に挿抜されるときの移動軌跡に対して進退可能である。カム130が上記したように進退することに伴い、バッテリロック機構72がアンロック状態又はロック状態となる。
【0057】
[電力装置における電気的接続]
図5及び
図12を併せて参照しつつ、電力装置10の電気的接続につき説明する。
【0058】
ハウジング32の内部において、外部接続部40とブレーカ52とは、高圧電力線150を介して電気的に接続されている。この場合、高圧電力線150は、下記のように、外部接続部40から上方に延びてブレーカ52に接続されている。すなわち、高圧電力線150は、ハウジング32の内部で外部接続部40から上方に延びている。
【0059】
高圧電力線150は、ハウジング32の下方から上方に向かって延び、固定具152を用いて任意の箇所に固定される。高圧電力線150は、天板51に到達する前にハウジング32の内方に向かって湾曲され、ブレーカ52に接続されている。
【0060】
ブレーカ52と、インバータ44及びインバータ48とは、高圧電力線150を介して電気的に接続されている。電力装置10内で所定の閾値を超える過大な電流が発生したとき、ブレーカ52は、外部接続部40とインバータ44及びインバータ48との間の導通を遮断する。これにより、電力装置10が過電流から保護される。
【0061】
インバータ44及びインバータ48は、外部接続部40から入力された高圧の交流電力を、相対的に低電圧の直流電力に変換する。インバータ44の変換によって得られた直流電力は、モバイルバッテリ12に出力される。インバータ48の変換によって得られた直流電力は、メイン制御基板46及び電子回路基板50に出力される。
【0062】
電力装置10がモバイルバッテリ12の電力を出力する場合、インバータ44は、モバイルバッテリ12から供給される直流電力を交流電力に変換する。インバータ44の変換によって得られた交流電力は、ブレーカ52、高圧電力線150及び外部接続部40を介して、外部に出力される。
【0063】
インバータ44とモバイルバッテリ12とは、第1低圧電力線154を介して電気的に接続されている。第1低圧電力線154は、本発明の第1電力線に相当する。インバータ48と、メイン制御基板46及び電子回路基板50とは、第2低圧電力線156を介して電気的に接続されている。第2低圧電力線156は、本発明の第2電力線に相当する。メイン制御基板46とモバイルバッテリ12とは、通信線158を介して通信可能に接続されている。通信線158は、本発明の通信線に相当する。第1低圧電力線154、第2低圧電力線156及び通信線158の各々は、ハーネスとして構成されている。
【0064】
図13に示すように、第1低圧電力線154、第2低圧電力線156及び通信線158は束ねられてハーネス束160を構成している。ハーネス束160は、インバータ44、インバータ48及びメイン制御基板46から下方に延び、
図5における右方(+X軸方向)に向かう。さらに、ハーネス束160は、ハウジング32内において、第1分岐束1601、第2分岐束1602及び第3分岐束1603に分かれる。第1分岐束1601は、ハウジング32内の左端近傍を、上方から下方に向かって延びる。第2分岐束1602は、モノコックフレーム30の幅方向(X軸方向)略中間を、上方から下方に向かって延びる。第3分岐束1603は、ハウジング32内の右端近傍を、上方から下方に向かって延びる。
【0065】
第1分岐束1601は、複数個の配線束1610に分岐している。第2分岐束1602及び第3分岐束1603も同様に、複数個の配線束1610に分岐している。1個の配線束1610は、1個のスロット14に向かう。1個の配線束1610は、モノコックケース34に形成された不図示の挿通孔に通される。
【0066】
図14に示すように、配線束1610において、第1低圧電力線154は、第1線部162と、第1結線コネクタ164と、第2結線コネクタ166と、第2線部168とを有する。第1低圧電力線154は、さらに、
図12に示すケーブル170を有する。第1結線コネクタ164は、本発明の第3電気端子に相当する。第2結線コネクタ166は、本発明の第4電気端子に相当する。第1結線コネクタ164と第2結線コネクタ166とは、互いに着脱可能に係合される。
【0067】
第1線部162は、第1低圧電力線154において、第1結線コネクタ164よりも下流の部分である。第2線部168は、第1低圧電力線154において、第2結線コネクタ166よりも上流の部分である。以上から理解されるように、第1低圧電力線154は、モノコックケース34内で、第1結線コネクタ164及び第2結線コネクタ166を境に、第1線部162と第2線部168とに分割されている。第1線部162の最下流の先端は、DC/DCコンバータ124に電気的に接続される。第2線部168の最上流の先端は、動作部であるインバータ44に電気的に接続されている。
【0068】
なお、「上流」及び「下流」は、それぞれ、外部接続部40からインバータ44を経てモバイルバッテリ12に電流が流れるときの上流及び下流を表す。以下においても同様に、電流が外部接続部40から流れるときを基準に上流及び下流を定義する。通信信号についても、メイン制御基板46を上流とし、モバイルバッテリ12を下流とする。
【0069】
ケーブル170は、DC/DCコンバータ124と、第2電気端子であるコネクタ104とを電気的に接続している。ここで、ケーブル170は、上記したように第1低圧電力線154の一部である。DC/DCコンバータ124は、ケーブル170と第1線部162との間に配置されることで、第1低圧電力線154に介装されている。
【0070】
第1結線コネクタ164と第2結線コネクタ166とが互いに係合されたとき、第1低圧電力線154により、インバータ44とモバイルバッテリ12とが電気的に接続される。第1結線コネクタ164と第2結線コネクタ166との係合が解除されたとき、第1線部162と第2線部168とが電気的に絶縁される。従って、モバイルバッテリ12とインバータ44とが電気的に絶縁される。
【0071】
図14に示すように、配線束1610において、第2低圧電力線156は、第3線部180と、第3結線コネクタ182と、第4結線コネクタ184と、第4線部186とを有する。第2低圧電力線156は、さらに、
図12に示すケーブル188を有する。第3結線コネクタ182は、本発明の第5電気端子に相当する。第4結線コネクタ184は、本発明の第6電気端子に相当する。第3結線コネクタ182と第4結線コネクタ184とは、互いに着脱可能に係合される。
【0072】
第3線部180は、第2低圧電力線156において、第3結線コネクタ182よりも下流の部分である。第4線部186は、第2低圧電力線156において、第4結線コネクタ184よりも上流の部分である。すなわち、第2低圧電力線156は、モノコックケース34内で、第3結線コネクタ182及び第4結線コネクタ184を境に、第3線部180と第4線部186とに分割されている。第3線部180の最下流の先端は、電子回路基板50に電気的に接続される。第4線部186の最上流の先端は、動作部であるインバータ48に電気的に接続されている。第4線部186にはメイン制御基板46が介装される。
【0073】
ケーブル188は、電子回路基板50とコネクタ104とを電気的に接続している。上記したように、ケーブル188は第2低圧電力線156の一部である。電子回路基板50は、第3線部180とケーブル188との間に配置されることで、第2低圧電力線156に介装されている。
【0074】
第3結線コネクタ182と第4結線コネクタ184とが互いに係合されたとき、第2低圧電力線156により、インバータ48とモバイルバッテリ12とが、メイン制御基板46及び電子回路基板50を介して電気的に接続される。第3結線コネクタ182と第4結線コネクタ184との係合が解除されたとき、第3線部180と第4線部186とが電気的に絶縁される。従って、インバータ48とモバイルバッテリ12とが電気的に絶縁される。同時に、インバータ48とメイン制御基板46とが電気的に絶縁され、且つインバータ48と電子回路基板50とが電気的に絶縁される。
【0075】
図14に示すように、配線束1610において、通信線158は、第5線部190(第1通信線部)と、第5結線コネクタ192と、第6結線コネクタ194と、第6線部196(第2通信線部)とを有する。通信線158は、さらに、
図12に示すケーブル197を有する。第5結線コネクタ192は、本発明の第1通信端子に相当する。第6結線コネクタ194は、本発明の第2通信端子に相当する。第5結線コネクタ192と第6結線コネクタ194とは、互いに着脱可能に係合される。
【0076】
第5線部190は、通信線158において、第5結線コネクタ192よりも下流の部分である。第6線部196は、通信線158において、第6結線コネクタ194よりも上流の部分である。すなわち、通信線158は、モノコックケース34内で、第5結線コネクタ192及び第6結線コネクタ194を境に、第5線部190と第6線部196とに分割されている。第5線部190の最下流の先端は、電子回路基板50に電気的に接続されている。第6線部196の最上流の先端は、制御部であるメイン制御基板46に電気的に接続されている。
【0077】
ケーブル197は、電子回路基板50とコネクタ104とを電気的に接続している。上記したように、ケーブル197は通信線158の一部である。電子回路基板50は、第5線部190とケーブル197との間に配置されることで、通信線158に介装されている。
【0078】
第5結線コネクタ192と第6結線コネクタ194とが互いに係合されたとき、通信線158により、メイン制御基板46とモバイルバッテリ12とが、電子回路基板50を介して通信可能に接続される。第5結線コネクタ192と第6結線コネクタ194との係合が解除されたとき、第5線部190と第6線部196とが電気的に絶縁される。従って、メイン制御基板46とモバイルバッテリ12との間の通信が遮断される。
【0079】
第1線部162、第1結線コネクタ164、第3線部180、第3結線コネクタ182、第5線部190及び第5結線コネクタ192は、スロット本体74の左側板752の外面に固定具200を介して取り付けられている。すなわち、第1線部162、第1結線コネクタ164、第3線部180、第3結線コネクタ182、第5線部190及び第5結線コネクタ192は、スロットスリーブ70を介してスロット14に支持されている。第1線部162、第3線部180及び第5線部190は、固定具200によって束ねられている。第1結線コネクタ164、第3結線コネクタ182及び第5結線コネクタ192は、電力装置10の前方(+Z軸方向)を向いている。
【0080】
固定具200は、スロット本体74の左側板752において、スロット本体74の延在方向における中間位置(中分)から、開口部746に寄っている。換言すれば、第1結線コネクタ164、第3結線コネクタ182及び第5結線コネクタ192は、スロット14における前端(+Z軸方向の端部)に近接して設けられる。
【0081】
第2線部168、第4線部186及び第6線部196は、結束バンド202によって束ねられている。束ねられた第2線部168、第4線部186及び第6線部196の下流端部は、モノコックケース34内に挿入されている。なお、
図6には結束バンド202は図示していない。
【0082】
第1結線コネクタ164と第2結線コネクタ166とが互いに係合されると、第1線部162と第2線部168とが結線される。第3結線コネクタ182と第4結線コネクタ184とが互いに係合されると、第3線部180と第4線部186とが結線される。第5結線コネクタ192と第6結線コネクタ194とが互いに係合されると、第5線部190と第6線部196とが結線される。この結線状態において、作業者は、スロット14の+Z軸方向の端部を、モノコックケース34から+Z軸方向に引き出すことが可能である。
【0083】
換言すれば、上記の結線状態において、作業者は、スロット14をモノコックフレーム30から離脱する方向に移動させることが可能である。このように、第1低圧電力線154、第2低圧電力線156及び通信線158は、結線状態でスロット14が移動することが可能な長さである。結線状態において、スロット14は、少なくとも、第1結線コネクタ164、第3結線コネクタ182及び第5結線コネクタ192がモノコックケース34から露出するまで移動することが可能である。
【0084】
電子回路基板50は、DC/DCコンバータ124、ファン92及びインジケータ112に対し、ケーブル204を介して電気的に接続されている(
図12参照)。ケーブル204は、本発明の第3電力線に相当する。その一方で、DC/DCコンバータ124とモバイルバッテリ12とは、上記したように第1低圧電力線154の一部であるケーブル170を介して、電気的に接続されている。従って、モバイルバッテリ12の電力を、DC/DCコンバータ124及びケーブル204を介して、ファン92及びインジケータ112に供給することが可能である。
【0085】
図9から理解されるように、第3電力線であるケーブル204は、スロット14に設けられている。従って、ケーブル204は、スロット14に支持される。
【0086】
本実施形態に係る電力装置は、基本的には以上のように構成される。次に、電力装置の作用効果につき説明する。
【0087】
電力装置10は、第1低圧電力線154、第2低圧電力線156及び通信線158が結線された状態で使用される。SOCが低下したモバイルバッテリ12は、電力装置10において空のスロット14に挿入される。モバイルバッテリ12によって検出スイッチ94がオフからオンに切り替わると、モータ116が起動する。その結果、コネクタ104がコネクタ20に向かって移動する。コネクタ104は、貫通穴102を通ってコネクタ20に係合する。これにより、外部接続部40に接続された外部電力と、モバイルバッテリ12とが電気的に接続される。
【0088】
外部電力から供給された電力は、インバータ48によって低圧の直流電力に変換される。得られた直流電力は、第2低圧電力線156を介してメイン制御基板46及び電子回路基板50に供給される。その結果、メイン制御基板46及び電子回路基板50が駆動する。メイン制御基板46は、通信線158を介して、電子回路基板50との間で信号の送受信(通信)を行う。例えば、メイン制御基板46から電子回路基板50に対し、モバイルバッテリ12を制御するための制御信号が送信される。
【0089】
電子回路基板50は、通信線158を介して受信した制御信号に基づき、DC/DCコンバータ124を制御する。これにより、インバータ44からの直流電力がDC/DCコンバータ124で所望の直流電力に変換される。変換後の直流電力は、ケーブル170、コネクタ104及びコネクタ20を介してモバイルバッテリ12に供給される。この結果、モバイルバッテリ12が充電される。
【0090】
電子回路基板50は、制御信号に基づきファン92を駆動することで、モバイルバッテリ12を冷却する。さらに、電子回路基板50は、コネクタ20、コネクタ104及びケーブル197を介して、モバイルバッテリ12から該モバイルバッテリ12の電圧、温度、SOC等の情報を取得する。電子回路基板50は、モバイルバッテリ12から取得した情報等を、通信線158を介して、メイン制御基板46に送信する。
【0091】
SOCが低くなったモバイルバッテリ12がスロット14に収容されると、別のスロット14において、例えば、インジケータ112が点灯する。このとき、DC/DCコンバータ124から電子回路基板50を介してインジケータ112に直流電力が供給される。なお、別のスロット14とは、SOCが十分に高くなったモバイルバッテリ12を収容したスロット14である。ユーザは、インジケータ112が点灯したスロット14から、モバイルバッテリ12を引き抜く。
【0092】
モバイルバッテリ12からの電力を外部に出力する場合、DC/DCコンバータ124は、モバイルバッテリ12からの直流電力を所望の直流電力に変換する。変換後の直流電力は、第1低圧電力線154を介してインバータ44に供給される。インバータ44では、直流電力が交流電力に変換される。変換後の交流電力は、外部接続部40から電力装置10の外部に取り出される。
【0093】
電力装置10が継続して運転されることに伴い、定期点検又は故障対応等が必要となることが想定される。スロット14にメンテナンスが必要な場合、作業者は、スロット14をモノコックケース34から引き出す。
【0094】
このときには、案内プレート106(
図6参照)が、モノコックケース34に設けられた案内レール54の上面に沿って滑動する。これにより、スロット14の+Z軸方向の端部を+Z軸方向に容易に引き出すことができる。なお、滑動が始まると、板バネ部58の係合凸部60が係合穴108から離脱する。
【0095】
上記したように、スロット14の左側板752の外面には、第1低圧電力線154の第1線部162、第2低圧電力線156の第3線部180、通信線158の第5線部190が固定具200を介して取り付けられている。しかも、固定具200は、スロット本体74における延在方向の中間位置(中分)から前端に寄っている。従って、スロット14の前端をモノコックケース34から引き出すことで、
図6に示すように、固定具200がモノコックケース34から露出する。このとき、互いに係合した第1結線コネクタ164及び第2結線コネクタ166もモノコックケース34から露出する。同様に、互いに係合した第3結線コネクタ182及び第4結線コネクタ184もモノコックケース34から露出する。互いに係合した第5結線コネクタ192及び第6結線コネクタ194も、モノコックケース34から露出する。
【0096】
上記したように、第1低圧電力線154の第2線部168、第2低圧電力線156の第4線部186、及び通信線158の第6線部196の長さは余裕代を含んでいる。余裕代により、固定具200がモノコックケース34から露出するまでスロット14を移動させることができる。従って、固定具200がモノコックケース34から露出する前に第1低圧電力線154、第2低圧電力線156及び通信線158が緊張することが回避される。このことに起因して、スロット14が停止することも回避される。
【0097】
また、固定具200は、スロット14の左側板752の外面に設けられている。このため、作業者は、互いに係合された第1結線コネクタ164及び第2結線コネクタ166を容易に視認することができる。同様に、作業者は、互いに係合された第3結線コネクタ182及び第4結線コネクタ184と、互いに係合された第5結線コネクタ192及び第6結線コネクタ194とを容易に視認することができる。
【0098】
従って、作業者は、第1結線コネクタ164と第2結線コネクタ166との係合を容易に解除することができる。同様に、第3結線コネクタ182と第4結線コネクタ184との係合と、第5結線コネクタ192と第6結線コネクタ194との係合とを容易に解除することができる。
【0099】
第1結線コネクタ164と第2結線コネクタ166との係合、第3結線コネクタ182と第4結線コネクタ184との係合、及び、第5結線コネクタ192と第6結線コネクタ194との係合が解除されると、スロット14が、第1低圧電力線154、第2低圧電力線156及び通信線158の拘束から解放される。従って、作業者は、スロット14をさらに+Z軸方向に引き出すことができる。
【0100】
ここで、第1結線コネクタ164、第1線部162、第3結線コネクタ182、第3線部180、第5結線コネクタ192及び第5線部190は、固定具200を介してスロット本体74に取り付けられている。従って、これらのコネクタ及び線部は、結線が解除された後も、結線が解除される前と同位置を保っている。すなわち、これらのコネクタ及び線部が自重によって下降することが回避される。
【0101】
従って、結線を解除した後にスロット14をさらに引き出す最中に、スロット14に設けられたコネクタ及び線部が、モノコックケース34の底面とスロット本体74の下側板751との間に挟まれることが防止される。これにより、第1結線コネクタ164、第3結線コネクタ182及び第5結線コネクタ192が破損することが回避される。また、第1線部162、第3線部180及び第5線部190が破断することも回避される。
【0102】
また、この場合、第2結線コネクタ166、第2線部168、第4結線コネクタ184、第4線部186、第6結線コネクタ194及び第6線部196を、スロット本体74と一体的に移動させることができる。すなわち、これらのコネクタ及び線部をスロット本体74に組み込んだスロットアセンブリとして取り扱うことができる。
【0103】
スロット14の全体をハウジング32から取り出した後、該スロット14に対してメンテナンス等を行う。スロット14の全体が外部に露呈しているので、スロット14に対してメンテナンスを実施することが容易である。
【0104】
スロット14に対してメンテナンスを実施した後、スロット14をモノコックケース34内に挿入する。このときには、作業者は、モノコックケース34の前端(+Z軸方向の端部)にスロット14の後端(-Z軸方向の端部)を支持する。また、作業者は、案内レール54に対して案内プレート106を重ねる。この状態で、作業者は、第1結線コネクタ164と第2結線コネクタ166とを係合する。作業者は、さらに、第3結線コネクタ182と第4結線コネクタ184とを係合し、第5結線コネクタ192と第6結線コネクタ194とを係合する。以上により、第1低圧電力線154、第2低圧電力線156及び通信線158がそれぞれ結線される。
【0105】
その後、作業者は、案内プレート106を案内レール54に沿って-Z軸方向に向かって滑動させる。これにより、スロット14と、第1結線コネクタ164、第1線部162、第3結線コネクタ182、第3線部180、第5結線コネクタ192及び第5線部190が一体的に移動する。上記した理由から、モノコックケース34の底面と、スロット本体74の下側板751との間に、スロット14に設けられたコネクタ及び線部が、挟まれることが防止される。従って、第1結線コネクタ164、第3結線コネクタ182及び第5結線コネクタ192が破損することが回避される。また、第1線部162、第3線部180及び第5線部190が破断することも回避される。
【0106】
以上のように、本実施形態では、第1結線コネクタ164、第1線部162、第3結線コネクタ182、第3線部180、第5結線コネクタ192及び第5線部190をスロット本体74に組み込んでスロットアセンブリを構成している。これにより、上記のコネクタ及び線部を保護することができる。
【0107】
しかも、この場合、作業スペースを確保するためにハウジング32の向きを変更する必要がない。同様の理由から、ハウジング32を移動する必要もない。このため、煩雑な作業が不要となる。また、メンテナンス等に要する時間が短縮される。
【0108】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【0109】
例えば、蓄電装置はモバイルバッテリ12に特に限定されない。蓄電装置の他の例としては、モバイルバッテリ12を収容した給電器が挙げられる。
【0110】
動作部は、インバータ44に特に限定されない。動作部の他の例としては、モータが挙げられる。
【0111】
電子回路基板50を、ハウジング32に設けてもよい。また、モノコックフレーム30を設けず、ハウジング32に対してスロット14を取り出し可能に設けてもよい。
【0112】
第1線部162、第1結線コネクタ164、第3線部180、第3結線コネクタ182、第5線部190及び第5結線コネクタ192を、スロット本体74の右側板753の外面に取り付けるようにしてもよい。また、モノコックケース34の下面と下側板751との間に十分なクリアランスが形成される場合、上記の線部及び結線コネクタを、下側板751の外面に取り付けることも可能である。同様に、上側板754とモノコックケース34の上面との間に十分なクリアランスが形成される場合、上記の線部及び結線コネクタを、上側板754の外面に取り付けることも可能である。
【符号の説明】
【0113】
10…電力装置
12…モバイルバッテリ(蓄電装置)
14…スロット(収容部)
20…コネクタ(第1電気端子)
30…モノコックフレーム(骨格)
32…ハウジング(筐体)
34…モノコックケース
40…外部接続部
44、48…インバータ(動作部)
46…メイン制御基板(制御部)
50…電子回路基板
70…スロットスリーブ
72…バッテリロック機構
74…スロット本体(筒部)
76…スロットフランジ
82…ボトムカバー(底部)
90…コネクタユニット
92…ファン
94…検出スイッチ
100…ボトムカバーアセンブリ
104…コネクタ(第2電気端子)
106…案内プレート
108…係合穴
110…リンクバー(接続部)
112…インジケータ(発光部)
116…モータ(駆動源)
118…ピニオン
120…ラック
124…DC/DCコンバータ(電力変換部)
130…カム
132…ストッパ(進退部)
134…ロックカバー
136…カムシャフト
138…ロックトップ
140…コネクタホルダ
150…高圧電力線
154…第1低圧電力線(第1電力線)
156…第2低圧電力線(第2電力線)
158…通信線
160…ハーネス束
162…第1線部
164…第1結線コネクタ(第3電気端子)
166…第2結線コネクタ(第4電気端子)
168…第2線部
170、188、197、204…ケーブル
180…第3線部
182…第3結線コネクタ(第5電気端子)
184…第4結線コネクタ(第6電気端子)
186…第4線部
190…第5線部(第1通信線部)
192…第5結線コネクタ(第1通信端子)
194…第6結線コネクタ(第2通信端子)
196…第6線部
200…固定具
202…結束バンド
1601…第1分岐束
1602…第2分岐束
1603…第3分岐束
1610…配線束