(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-11
(45)【発行日】2025-04-21
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H10D 8/60 20250101AFI20250414BHJP
H10D 30/66 20250101ALI20250414BHJP
H10D 12/00 20250101ALI20250414BHJP
【FI】
H10D8/60 F
H10D8/60 D
H10D8/60 E
H10D8/60 M
H10D30/66 101F
H10D30/66 101H
H10D30/66 101T
H10D30/66 102B
H10D30/66 102D
H10D30/66 102F
H10D30/66 103
H10D30/66 103C
H10D30/66 103Q
H10D30/66 103S
H10D30/66 201C
H10D12/00 101A
(21)【出願番号】P 2024226031
(22)【出願日】2024-12-23
(62)【分割の表示】P 2021551185の分割
【原出願日】2020-09-25
【審査請求日】2025-01-16
(31)【優先権主張番号】P 2019180861
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 貴晶
(72)【発明者】
【氏名】中野 佑紀
(72)【発明者】
【氏名】山本 兼司
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-069381(JP,A)
【文献】特開2017-191840(JP,A)
【文献】特開2013-009501(JP,A)
【文献】特開2014-187073(JP,A)
【文献】特開2015-149327(JP,A)
【文献】特開2009-124060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10D 8/60
H10D 30/66
H10D 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面を有するチップと、
前記チップの上に形成された電極と、
前記電極を被覆し、第1開口から前記電極を露出させる無機絶縁層と、
前記無機絶縁層を被覆し、前記第1開口の開口端から間隔を空けて形成された開口端を有する第2開口を有し、前記第1開口および前記第2開口の間の領域において前記無機絶縁層の内周縁を露出させる有機絶縁層と、
前記第1開口内において前記電極を被覆し、前記第2開口内において前記無機絶縁層の前記内周縁を被覆するNiめっき層と、を含み、
前記有機絶縁層は、前記無機絶縁層の第1外壁よりも内方に位置する第2外壁を有して
おり、
前記第2外壁は、前記側面から内方に間隔を空けて切断ラインに沿って形成されている、半導体装置。
【請求項2】
前記無機絶縁層の前記第1外壁が、前記側面から内方に間隔を空けて形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記Niめっき層は、前記第2開口の開口端から前記無機絶縁層側に間隔を空けて形成されている、請求項1
または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2開口内において前記Niめっき層の外面を被覆する外面めっき層をさらに含む、請求項1
~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記外面めっき層は、前記Niめっき層の厚さ未満の厚さを有している、請求項
4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記無機絶縁層の前記内周縁は、前記無機絶縁層の厚さを超える幅を有している、請求項1~
5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記有機絶縁層の前記第2外壁は、前記無機絶縁層側に窪んだ湾曲状に形成されている、請求項1~
6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記チップは、SiCチップからなる、請求項1~
7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記チップに形成されたトランジスタをさらに含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記トランジスタは、ストライプ状に延びる複数の単位セルを含む、請求項
9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記トランジスタは、前記複数の単位セルに沿ってストライプ状に延びる複数のトレンチゲート構造を含む、請求項
10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記チップは、平面視で長方形状を有し、
複数の前記トレンチゲート構造は、前記チップの短辺に沿って延びている、請求項1
1に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記チップは、平面視で長方形状を有している、請求項1~1
1のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記チップが、前記電極によって被覆される第1主面と反対側の第2主面を有し、
前記第2主面を被覆する裏面電極をさらに含み、
前記裏面電極は、Ti層を含む、請求項1~1
3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記チップが、前記電極によって被覆される第1主面と反対側の第2主面を有し、
前記第2主面を被覆する裏面電極をさらに含み、
前記裏面電極は、Ni層を含む、請求項1~1
3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項16】
樹脂製のパッケージ本体と、
前記パッケージ本体内に配置された、銅を含む板状部材と、
前記パッケージ本体内に配置された請求項1~1
5のいずれか一項に記載の半導体装置と、を含み、
前記電極が、ソースパッド電極を含み、
前記板状部材が、前記ソースパッド電極に電気的に接続されている、半導体パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(
図4)は、半導体基板、アルミニウム膜(電極)、ポリイミド膜(有機絶縁層)およびNiめっき膜(Niめっき層)を備えた半導体装置を開示している。アルミニウム膜は、半導体基板の上に形成されている。ポリイミド膜は、アルミニウム膜の上に形成され、アルミニウム膜を露出させる開口を有している。Niめっき膜は、ポリイミド膜の開口から露出するアルミニウム膜の上に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有機絶縁層は、Niに対する密着性が低い性質を有している。したがって、有機絶縁層の開口から露出する電極の上にNiめっき層を形成した場合、Niめっき層は、有機絶縁層との間で電極に向かって延びる間隙を形成する。その結果、電極に対するNiめっき層の接続が不十分となり、Niめっき層の信頼性が低下する。
【0005】
本発明の一実施形態は、有機絶縁層の開口から露出する電極の上にNiめっき層が形成される構造において、Niめっき層の信頼性を向上できる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、チップと、前記チップの上に形成された電極と、前記電極を被覆し、第1開口から前記電極を露出させる無機絶縁層と、前記無機絶縁層を被覆し、前記第1開口の開口端から間隔を空けて形成された開口端を有する第2開口を有し、前記第1開口および前記第2開口の間の領域において前記無機絶縁層の内周縁を露出させる有機絶縁層と、前記第1開口内において前記電極を被覆し、前記第2開口内において前記無機絶縁層の前記内周縁を被覆するNiめっき層と、を含む、半導体装置を提供する。
【0007】
この半導体装置によれば、Niめっき層が、有機絶縁層と比較してNiに対する密着性が高い無機絶縁層の内周縁を被覆している。これにより、間隙の形成領域を電極から遠ざけることができると同時に、電極に向かって延びる間隙の形成を抑制できる。無機絶縁層の内周縁が露出しない構造と比較した場合、有機絶縁層との間における間隙の形成領域を低減できる。よって、Niめっき層の信頼性を向上できる。
【0008】
本発明における上述の、またはさらに他の目的、特徴および効果は、添付図面を参照して次に述べる実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すII-II線に沿う断面図を第1形態例に係る外面めっき層と共に示す断面図である。
【
図4A】
図4Aは、
図3の対応図であって、第2形態例に係る外面めっき層を示す拡大図である。
【
図4B】
図4Bは、
図3の対応図であって、第3形態例に係る外面めっき層を示す拡大図である。
【
図4C】
図4Cは、
図3の対応図であって、第4形態例に係る外面めっき層を示す拡大図である。
【
図4D】
図4Dは、
図3の対応図であって、第5形態例に係る外面めっき層を示す拡大図である。
【
図5A】
図5Aは、
図1に示す半導体装置の製造方法の一例を説明するための断面図である。
【
図6】
図6は、
図2の対応図であって、本発明の第2実施形態に係る半導体装置を第1形態例に係る外面めっき層と共に示す断面図である。
【
図8A】
図8Aは、
図7の対応図であって、第2形態例に係る外面めっき層を示す拡大図である。
【
図8B】
図8Bは、
図7の対応図であって、第3形態例に係る外面めっき層を示す拡大図である。
【
図8C】
図8Cは、
図7の対応図であって、第4形態例に係る外面めっき層を示す拡大図である。
【
図8D】
図8Dは、
図7の対応図であって、第5形態例に係る外面めっき層を示す拡大図である。
【
図9】
図9は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
【
図15】
図15は、
図12の対応図であって、本発明の第4実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図18】
図18は、第1~第4実施形態に係る半導体装置が組み込まれる半導体パッケージを一方側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置1を示す平面図である。
図2は、
図1に示すII-II線に沿う断面図を第1形態例に係る外面めっき層42と共に示す断面図である。
図3は、
図2に示す領域IIIの拡大図である。
【0011】
図1~
図3を参照して、半導体装置1は、この形態(this embodiment)では、SiCチップ2(チップ)を含むSiC半導体装置からなる。SiCチップ2は、六方晶からなるSiC単結晶を含む。六方晶からなるSiC単結晶は、2H(Hexagonal)-SiC単結晶、4H-SiC単結晶、6H-SiC単結晶等を含む複数種のポリタイプを有している。SiCチップ2は、この形態では、4H-SiC単結晶からなるが、他のポリタイプを除外するものではない。
【0012】
SiCチップ2は、直方体形状に形成されている。SiCチップ2は、一方側の第1主面3、他方側の第2主面4、ならびに、第1主面3および第2主面4を接続する側面5A、5B、5C、5Dを有している。第1主面3および第2主面4は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状(この形態では正方形状)に形成されている。
【0013】
SiCチップ2の厚さは、40μm以上300μm以下であってもよい。SiCチップ2の厚さは、40μm以上100μm以下、100μm以上150μm以下、150μm以上200μm以下、200μm以上250μm以下、または、250μm以上300μm以下であってもよい。SiCチップ2の厚さは、60μm以上150μm以下であることが好ましい。
【0014】
第1主面3および第2主面4は、SiC単結晶のc面に面している。第1主面3はSiC単結晶のシリコン面((0001)面)に面し、第2主面4はSiC単結晶のカーボン面((000-1)面)に面している。第2主面4は、研削痕およびアニール痕のいずれか一方または双方を有する粗面からなっていてもよい。アニール痕は、レーザ照射痕である。第2主面4は、アニール痕を有するオーミック面であってもよい。
【0015】
第1主面3および第2主面4は、SiC単結晶のc面に対して所定のオフ方向に所定のオフ角で傾斜したオフ角を有していてもよい。オフ方向は、SiC単結晶のa軸方向([11-20]方向)であることが好ましい。オフ角は、オフ方向に0°以上10°以下の角度で傾斜していることが好ましい。オフ角は、0°以上6°以下であってもよい。オフ角は、0°以上2°以下、2°以上4°以下、または、4°以上6°以下であってもよい。
【0016】
オフ角は、0°を超えて4.5°以下であることが好ましい。オフ角は、3°以上4.5°以下であってもよい。この場合、オフ角は、3°以上3.5°以下、または、3.5°以上4°以下であることが好ましい。オフ角は、1.5°以上3°以下であってもよい。この場合、オフ角は、1.5°以上2°以下、または、2°以上2.5°以下であることが好ましい。
【0017】
側面5A~5Dは、第1側面5A、第2側面5B、第3側面5Cおよび第4側面5Dを含む。第1側面5Aおよび第2側面5Bは、第1方向Xに沿って延び、第1方向Xに交差する第2方向Yに対向している。第3側面5Cおよび第4側面5Dは、第2方向Yに沿って延び、第1方向Xに対向している。第2方向Yは、具体的には、第1方向Xに直交している。
【0018】
第1側面5Aおよび第2側面5Bは、SiC単結晶のa面によって形成されている。第1側面5Aおよび第2側面5Bは、法線方向Zを基準にしたとき、法線方向Zに対してSiC単結晶のc軸方向([0001]方向)に傾斜した傾斜面を形成していてもよい。第1側面5Aおよび第2側面5Bは、法線方向Zを0°としたとき、法線方向Zに対してオフ角に応じた角度で傾斜していてもよい。オフ角に応じた角度は、オフ角と等しくてもよいし、0°を超えてオフ角未満の角度であってもよい。
【0019】
第3側面5Cおよび第4側面5Dは、SiC単結晶のm面によって形成されている。第3側面5Cおよび第4側面5Dは、法線方向Zに沿って平面的に延びている。第3側面5Cおよび第4側面5Dは、具体的には、第1主面3および第2主面4に対して略垂直に形成されている。
【0020】
側面5A~5Dは、劈開面または研削面からなっていてもよい。側面5A~5Dの長さは、0.1mm以上10mm以下であってもよい。側面5A~5Dの長さは、0.5mm以上2.5mm以下であることが好ましい。
【0021】
SiCチップ2は、この形態では、n +型のSiC基板6およびn型のSiCエピタキシャル層7を含む積層構造を有している。SiC基板6によって、SiCチップ2の第2主面4および側面5A~5Dの一部が形成されている。SiCエピタキシャル層7によって、SiCチップ2の第1主面3および側面5A~5Dの一部が形成されている。
【0022】
SiCエピタキシャル層7のn型不純物濃度は、SiC基板6のn型不純物濃度未満である。SiC基板6のn型不純物濃度は、1.0×10 18cm -3以上1.0×10 21cm -3以下であってもよい。SiCエピタキシャル層7のn型不純物濃度は、1.0×10 15cm -3以上1.0×10 18cm -3以下であってもよい。
【0023】
SiC基板6の厚さは、40μm以上250μm以下であってもよい。SiC基板6の厚さは、40μm以上100μm以下、100μm以上150μm以下、150μm以上200μm以下、または、200μm以上250μm以下であってもよい。SiC基板6の厚さは、40μm以上150μm以下であることが好ましい。SiC基板6を薄化することにより、SiC基板6の抵抗値を低減できる。
【0024】
SiCエピタキシャル層7の厚さは、1μm以上50μm以下であってもよい。SiCエピタキシャル層7の厚さは、1μm以上5μm以下、5μm以上10μm以下、10μm以上15μm以下、15μm以上20μm以下、20μm以上30μm以下、30μm以上40μm以下、または、40μm以上50μm以下であってもよい。SiCエピタキシャル層7の厚さは、5μm以上15μm以下であることが好ましい。
【0025】
SiCチップ2は、アクティブ領域8および外側領域9を含む。アクティブ領域8は、機能デバイス(ダイオード)の一例としてのSBD(Schottky Barrier Diode)を含む領域である。アクティブ領域8は、平面視において側面5A~5Dから内方に間隔を空けてSiCチップ2の中央部に形成されている。アクティブ領域8は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する四角形状に形成されている。
【0026】
外側領域9は、アクティブ領域8外の領域である。外側領域9は、側面5A~5Dおよびアクティブ領域8の間の領域に形成されている。外側領域9は、平面視においてアクティブ領域8を取り囲む環状(具体的には、無端状)に形成されている。
【0027】
半導体装置1は、アクティブ領域8において第1主面3の表層部に形成されたn型のダイオード領域10を含む。ダイオード領域10は、第1主面3の中央部に形成されている。ダイオード領域10の平面形状は任意である。ダイオード領域10は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する四角形状に形成されていてもよい。
【0028】
ダイオード領域10は、この形態では、SiCエピタキシャル層7の一部を利用して形成されている。ダイオード領域10のn型不純物濃度は、SiCエピタキシャル層7のn型不純物濃度と等しい。ダイオード領域10のn型不純物濃度は、SiCエピタキシャル層7のn型不純物濃度を超えていてもよい。この場合、ダイオード領域10は、SiCエピタキシャル層7の表層部に対するn型不純物の導入によって形成される。
【0029】
外側領域9において第1主面3の表層部には、p型不純物を含むガード領域11が形成されている。ガード領域11のp型不純物は、活性化されていなくてもよいし、活性化されていてもよい。ガード領域11は、平面視においてダイオード領域10に沿って延びる帯状に形成されている。ガード領域11は、具体的には、平面視においてダイオード領域10を取り囲む環状(具体的には、無端状)に形成されている。
【0030】
これにより、ガード領域11は、ガードリング領域として形成されている。ガード領域11は、アクティブ領域8(ダイオード領域10)を画定している。アクティブ領域8(ダイオード領域10)の平面形状は、ガード領域11の平面形状によって調整される。ガード領域11は、平面視において多角環状や円環状に形成されていてもよい。
【0031】
半導体装置1は、第1主面3の上に形成された主面絶縁層12を含む。主面絶縁層12は、酸化シリコン層および窒化シリコン層を含む積層構造を有していてもよい。主面絶縁層12は、酸化シリコン層または窒化シリコン層からなる単層構造を有していてもよい。主面絶縁層12は、この形態では、酸化シリコン層からなる単層構造を有している。
【0032】
主面絶縁層12は、ダイオード領域10を露出させるコンタクト開口13を有している。コンタクト開口13は、ガード領域11の内周縁も露出させている。コンタクト開口13の平面形状は、任意である。コンタクト開口13は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する四角形状に区画されていてもよい。
【0033】
主面絶縁層12の周縁は、側面5A~5Dから露出している。主面絶縁層12の周縁は、この形態では、側面5A~5Dに連なっている。主面絶縁層12の周縁は、側面5A~5Dから内方に間隔を空けて形成されていてもよい。この場合、主面絶縁層12は、第1主面3において外側領域9に位置する部分を露出させる。
【0034】
主面絶縁層12の厚さは、0.1μm以上10μm以下であってもよい。主面絶縁層12の厚さは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。主面絶縁層12の厚さは、0.5μm以上5μm以下であることが好ましい。
【0035】
半導体装置1は、第1主面3の上に形成された第1主面電極21(電極)を含む。第1主面電極21は、コンタクト開口13内においてダイオード領域10およびガード領域11に接続されている。第1主面電極21は、コンタクト開口13から主面絶縁層12の上に引き出されている。第1主面電極21の周縁は、側面5A~5Dから内方に間隔を空けて主面絶縁層12の上に形成されている。これにより、第1主面電極21は、主面絶縁層12の周縁部を露出させている。
【0036】
第1主面電極21の厚さT1は、10μm以上100μm以下であってもよい。厚さT1は、10μm以上20μm以下、20μm以上40μm以下、40μm以上60μm以下、60μm以上80μm以下、または、80μm以上100μm以下であってもよい。厚さT1は、20μm以上60μm以下であることが好ましい。
【0037】
第1主面電極21は、具体的には、第1主面3側からこの順に積層されたバリア電極22および主電極23を含む積層構造を有している。バリア電極22は、第1主面3および主面絶縁層12に沿って膜状に形成されている。バリア電極22は、ダイオード領域10との間でショットキー接合を形成する。これにより、第1主面電極21をアノードとし、ダイオード領域10をカソードとして有するSBDが形成されている。つまり、第1主面電極21は、SBDのアノード電極である。
【0038】
バリア電極22は、Ti層、Pd層、Cr層、V層、Mo層、W層、Pt層およびNi層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。バリア電極22の厚さは、0.01μm以上1μm以下であってもよい。バリア電極22の厚さは、0.01μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.2μm以下、0.2μm以上0.4μm以下、0.4μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.8μm以下、または、0.8μm以上1μm以下であってもよい。
【0039】
主電極23は、バリア電極22の上に膜状に形成されている。主電極23は、バリア電極22の主面の全域を被覆している。主電極23は、Al系金属層からなる。主電極23は、具体的には、純Al層(純度が99%以上のAlからなるAl層)、AlSi合金層、AlCu合金層およびAlSiCu合金層のうちの少なくとも1つを含む。
【0040】
主電極23は、純Al層、AlSi合金層、AlCu合金層およびAlSiCu合金層のうちの2つ以上が任意の順序で積層された積層構造を有していてもよい。主電極23は、純Al層、AlSi合金層、AlCu合金層またはAlSiCu合金層からなる単層構造を有していてもよい。主電極23は、AlSi合金層、AlCu合金層またはAlSiCu合金層からなる単層構造を有していることが好ましい。
【0041】
主電極23の厚さは、バリア電極22の厚さを超えている。主電極23の厚さは、10μm以上100μm以下であってもよい。主電極23の厚さは、10μm以上20μm以下、20μm以上40μm以下、40μm以上60μm以下、60μm以上80μm以下、または、80μm以上100μm以下であってもよい。主電極23の厚さは、20μm以上60μm以下であることが好ましい。バリア電極22の厚さは主電極23の厚さと比較して極めて小さいため、第1主面電極21の厚さT1は、主電極23の厚さに近似される。
【0042】
半導体装置1は、第1主面3の上において第1主面電極21を被覆する絶縁層24を含む。
図1では、絶縁層24がハッチングによって示されている。絶縁層24は、具体的には、主面絶縁層12の上に形成されている。絶縁層24の周縁は、側面5A~5Dから内方に間隔を空けて形成されている。これにより、絶縁層24は、主面絶縁層12の周縁部を露出させている。
【0043】
絶縁層24の周縁は、側面5A~5Dとの間でダイシングストリート25を区画している。ダイシングストリート25によれば、ウエハから半導体装置1を切り出す際に、絶縁層24を物理的に切断せずに済む。これにより、ウエハから半導体装置1を円滑に切り出すことができると同時に、絶縁層24の剥離や劣化を抑制できる。その結果、絶縁層24によってSiCチップ2や第1主面電極21等の保護対象物を適切に保護できる。
【0044】
ダイシングストリート25の幅は、1μm以上25μm以下であってもよい。ダイシングストリート25の幅は、ダイシングストリート25が延びる方向に直交する方向の幅である。ダイシングストリート25の幅は、1μm以上5μm以下、5μm以上10μm以下、10μm以上15μm以下、15μm以上20μm以下、または、20μm以上25μm以下であってもよい。
【0045】
絶縁層24は、第1主面電極21を露出させるパッド開口26を有している。パッド開口26は、平面視においてコンタクト開口13によって取り囲まれた領域内において第1主面電極21を露出させている。パッド開口26は、平面視においてコンタクト開口13外の領域でコンタクト開口13を取り囲んでいてもよい。パッド開口26の平面形状は任意である。パッド開口26は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する四角形状に形成されていてもよい。
【0046】
絶縁層24は、具体的には、SiCチップ2側からこの順に積層された無機絶縁層30および有機絶縁層31を含む積層構造を有している。無機絶縁層30は、主面絶縁層12および第1主面電極21に沿って膜状に形成されている。無機絶縁層30は、第1内壁32および第1外壁33を含む。無機絶縁層30の第1内壁32は、第1主面電極21の一部を露出させる第1開口34を区画している。第1開口34は、パッド開口26の一部を形成している。
【0047】
第1開口34は、平面視においてコンタクト開口13によって取り囲まれた領域内に区画されている。第1開口34は、平面視においてコンタクト開口13の外側からコンタクト開口13を取り囲んでいてもよい。第1開口34の平面形状は任意である。第1開口34は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する四角形状に区画されていてもよい。
【0048】
無機絶縁層30の第1外壁33は、側面5A~5Dから内方に間隔を空けて形成され、主面絶縁層12の周縁部を露出させている。無機絶縁層30は、側面5A~5Dとの間でダイシングストリート25の一部を区画している。第1外壁33は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する四角形状に形成されていてもよい。
【0049】
第1内壁32(第1外壁33)が、無機絶縁層30内において第1主面電極21の主面との間で成す角度は、30°以上90°以下であってもよい。第1内壁32(第1外壁33)が、無機絶縁層30内において第1主面電極21の主面との間で成す角度は、45°以上90°未満であることが好ましい。第1内壁32(第1外壁33)の角度は、第1内壁32(第1外壁33)の下端部および上端部を結ぶ直線が、第1主面電極21の主面との間で成す角度によって定義される。
【0050】
無機絶縁層30は、Niに対する密着性が高い性質を有している。無機絶縁層30は、酸化シリコン層および窒化シリコン層のうちの少なくとも1つを含む。無機絶縁層30は、SiCチップ2側からこの順に積層された酸化シリコン層および窒化シリコン層を含む積層構造を有していてもよい。無機絶縁層30は、酸化シリコン層または窒化シリコン層からなる単層構造を有していてもよい。無機絶縁層30は、主面絶縁層12とは異なる絶縁材料を含むことが好ましい。無機絶縁層30は、この形態では、窒化シリコン層からなる単層構造を有している。
【0051】
無機絶縁層30の厚さT2は、第1主面電極21の厚さT1未満(T2<T1)であることが好ましい。厚さT2は、0.1μm以上10μm以下であってもよい。厚さT2は、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。厚さT2は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。厚さT2は、1μm以上2μm以下であることが特に好ましい。
【0052】
有機絶縁層31は、無機絶縁層30の上に膜状に形成されている。有機絶縁層31は、第2内壁35および第2外壁36を含む。有機絶縁層31の第2内壁35は、第1主面電極21の一部を露出させる第2開口37を区画している。第2内壁35は、この形態では、無機絶縁層30側に向けて窪んだ湾曲状に形成されている。
【0053】
図3を参照して、第2開口37は、無機絶縁層30の第1開口34に連通し、第1開口34との間でパッド開口26を形成している。第2開口37は、平面視においてコンタクト開口13によって取り囲まれた領域内に区画されている。第2開口37は、平面視においてコンタクト開口13の外側からコンタクト開口13を取り囲んでいてもよい。第2開口37の平面形状は任意である。第2開口37は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する四角形状に区画されていてもよい。
【0054】
第2開口37は、第1開口34から間隔を空けて第1開口34を取り囲み、無機絶縁層30の一部を露出させている。有機絶縁層31は、具体的には、第1開口34および第2開口37の間の領域において無機絶縁層30の主面の一部を内周縁38として露出させている。
【0055】
無機絶縁層30の内周縁38の幅Wは、0μmを超えて10μm以下であってもよい。幅Wは、0μmを超えて1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。幅Wは、1μm以上5μm以下であることが好ましい。幅Wは、任意であるが、無機絶縁層30の厚さT2以下(W≦T2)であることが好ましい。幅Wは、1μm以上2μm以下であることが特に好ましい。
【0056】
有機絶縁層31の第2外壁36は、この形態では、無機絶縁層30側に向けて窪んだ湾曲状に形成されている。第2外壁36は、側面5A~5Dから内方に間隔を空けて無機絶縁層30の上に形成され、側面5A~5Dとの間でダイシングストリート25の一部を区画している。これにより、有機絶縁層31は、主面絶縁層12の周縁部を露出させている。第2外壁36は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する四角形状に形成されていてもよい。
【0057】
有機絶縁層31の第2外壁36は、無機絶縁層30の第1外壁33を横切って主面絶縁層12の上に形成されていてもよい。この場合、有機絶縁層31の第2外壁36によってダイシングストリート25が区画される。
【0058】
有機絶縁層31の第2内壁35(第2外壁36)が有機絶縁層31内において無機絶縁層30の主面との間で成す角度は、30°以上90°以下であってもよい。第2内壁35(第2外壁36)が、有機絶縁層31内において無機絶縁層30の主面との間で成す角度は、45°以上90°未満であることが好ましい。第2内壁35(第2外壁36)の角度は、第2内壁35(第2外壁36)の下端部および上端部を結ぶ直線が、無機絶縁層30の主面との間で成す角度によって定義される。
【0059】
有機絶縁層31は、無機絶縁層30と比較してNiに対する密着性が低い性質を有している。有機絶縁層31は、ネガティブタイプまたはポジティブタイプの感光性樹脂を含む。有機絶縁層31は、ポリイミド、ポリアミドおよびポリベンゾオキサゾールのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。有機絶縁層31は、この形態では、ポリイミドを含む。
【0060】
有機絶縁層31は、無機絶縁層30の厚さT2を超える厚さT3(T2<T3)を有していることが好ましい。無機絶縁層30の厚さT2に対する有機絶縁層31の厚さT3の比T3/T2は、1を超えて10以下であってもよい。比T3/T2は、1を超えて2以下、2以上4以下、4以上6以下、6以上8以下、または、8以上10以下であってもよい。比T3/T2は、2以上6以下であることが好ましい。
【0061】
厚さT3は、1μm以上50μm以下であってもよい。厚さT3は、1μm以上10μm以下、10μm以上20μm以下、20μm以上30μm以下、30μm以上40μm以下、または、40μm以上50μm以下であってもよい。厚さT3は、5μm以上30μm以下であることが好ましい。
【0062】
半導体装置1は、第1主面電極21においてパッド開口26(無機絶縁層30の第1開口34)から露出する露出面に形成された粗面領域39を含む。粗面領域39は、無機絶縁層30の第1内壁32の直下の領域に形成された窪みを含む。これにより、無機絶縁層30の第1内壁32は、粗面領域39にオーバハングした部分を含む。
【0063】
半導体装置1は、パッド開口26内に形成されたパッド電極40を含む。パッド電極40は、パッド開口26内において第1主面電極21の上に形成されたNiめっき層41を含む。Niめっき層41は、第1開口34内において第1主面電極21を被覆し、第2開口37内において無機絶縁層30の内周縁38を被覆している。Niめっき層41は、有機絶縁層31(絶縁層24)の主面から第1主面電極21側に間隔を空けて形成された外面を有している。Niめっき層41は、この形態では、第2開口37内において有機絶縁層31を被覆している。
【0064】
図3を参照して、Niめっき層41は、第1主面電極21を被覆する第1部分41A、および、無機絶縁層30の内周縁38を被覆する第2部分41Bを有している。Niめっき層41の第1部分41Aは、第1開口34内において粗面領域39を埋めて第1主面電極21を被覆している。第1部分41Aは、無機絶縁層30の第1内壁32の全域を被覆し、第1開口34の開口端から第2開口37の開口端に向かって突出している。第1部分41Aは、無機絶縁層30の第1内壁32に接続され、無機絶縁層30の厚さ方向に延びる第1接続部を有している。
【0065】
Niめっき層41の第2部分41Bは、第2開口37内において第1部分41Aから有機絶縁層31側に向けて引き出されている。第2部分41Bは、第1開口34の開口端を起点に有機絶縁層31に向かう円弧状に形成されている。
【0066】
第2部分41Bは、第2開口37内において無機絶縁層30の内周縁38を被覆している。これにより、第2部分41Bは、無機絶縁層30の内周縁38を挟んで第1主面電極21に対向している。第2部分41Bは、無機絶縁層30の主面に接続され、無機絶縁層30の幅方向に延びる第2接続部を有している。
【0067】
第2部分41Bは、この形態では、第2開口37内において有機絶縁層31の第2内壁35をさらに被覆している。第2部分41Bは、有機絶縁層31の第2内壁35の中間部に対して無機絶縁層30側の領域を被覆している。換言すると、第2部分41Bは、第2内壁35(有機絶縁層31)の露出面積が第2内壁35(有機絶縁層31)の隠蔽面積を超えるように有機絶縁層31を被覆している。このように、Niめっき層41は、第1部分41Aおよび第2部分41Bが第1開口34の開口端に異なる2方向から係合(engage)するように形成されている。
【0068】
Niめっき層41は、無機絶縁層30の厚さT2を超える厚さT4(T2<T4)を有している。厚さT4は、有機絶縁層31の厚さT3未満(T4<T3)である。厚さT4は、無機絶縁層30の厚さT2に内周縁38の幅Wを加算した値(T2+W)を超えている(T2+W<T4)。これは、Niめっき層41が有機絶縁層31の第2内壁35に接する条件である。厚さT4は、第1主面電極21の主面を基準とするNiめっき層41の厚さによって定義される。
【0069】
無機絶縁層30の厚さT2に対するNiめっき層41の厚さT4の比T4/T2は、1を超えて5以下であってもよい。比T4/T2は、1を超えて2以下、2以上3以下、3以上4以下、または、4以上5以下であってもよい。
【0070】
厚さT4は、0.1μm以上15μm以下であってもよい。厚さT4は、0.1μm以上1μm以下、1μm以上3μm以下、3μm以上6μm以下、6μm以上9μm以下、9μm以上12μm以下、または、12μm以上15μm以下であってもよい。厚さT4は、2μm以上8μm以下であることが好ましい。
【0071】
パッド電極40は、Niめっき層41とは異なる金属材料からなり、第2開口37内においてNiめっき層41の外面を被覆する外面めっき層42を含む。外面めっき層42は、Niめっき層41の厚さT4未満の厚さT5(T5<T4)を有している。外面めっき層42は、第2開口37内において有機絶縁層31の第2内壁35を被覆している。
【0072】
外面めっき層42は、導電接合材(たとえば半田)を介して外部接続される端子面42Aを有している。端子面42Aは、有機絶縁層31の主面(第2開口37の開口端)に対してNiめっき層41側に位置している。これにより、外面めっき層42は、有機絶縁層31の第2内壁35の一部を露出させている。
【0073】
外面めっき層42は、この形態では、Niめっき層41側からこの順に積層されたPdめっき層43およびAuめっき層44を含む積層構造を有している。Pdめっき層43は、Niめっき層41の外面に沿って膜状に形成されている。Pdめっき層43は、第2開口37の開口端から無機絶縁層30側に間隔を空けてNiめっき層41を被覆している。Pdめっき層43は、第2開口37内において有機絶縁層31の第2内壁35を被覆している。
【0074】
Pdめっき層43は、Niめっき層41の厚さT4未満の厚さを有している。Pdめっき層43の厚さは、0.01μm以上1μm以下であってもよい。Pdめっき層43の厚さは、0.01μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.2μm以下、0.2μm以上0.4μm以下、0.4μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.8μm以下、または、0.8μm以上1μm以下であってもよい。
【0075】
Auめっき層44は、Pdめっき層43の外面に沿って膜状に形成されている。Auめっき層44は、第2開口37の開口端から無機絶縁層30側に間隔を空けてPdめっき層43を被覆している。Auめっき層44は、第2開口37内において有機絶縁層31の第2内壁35を被覆している。
【0076】
Auめっき層44は、Niめっき層41の厚さT4未満の厚さを有している。Auめっき層44の厚さは、0.01μm以上1μm以下であってもよい。Auめっき層44の厚さは、0.01μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.2μm以下、0.2μm以上0.4μm以下、0.4μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.8μm以下、または、0.8μm以上1μm以下であってもよい。
【0077】
外面めっき層42は、
図4A~
図4Dに示される種々の形態を取り得る。
【0078】
図4Aは、
図3の対応図であって、第2形態例に係る外面めっき層42を示す拡大図である。以下、第1形態例に係る外面めっき層42と異なる箇所について説明する。
【0079】
図4Aを参照して、外面めっき層42は、この形態では、Auめっき層44からなる単層構造を有している。Auめっき層44は、Niめっき層41の外面に沿って膜状に形成されている。Auめっき層44は、第2開口37の開口端から無機絶縁層30側に間隔を空けてNiめっき層41を被覆している。Auめっき層44は、第2開口37内において有機絶縁層31の第2内壁35を被覆している。
【0080】
図4Bは、
図3の対応図であって、第3形態例に係る外面めっき層42を示す拡大図である。以下、第1形態例に係る外面めっき層42と異なる箇所について説明する。
【0081】
図4Bを参照して、外面めっき層42は、この形態では、Pdめっき層43からなる単層構造を有している。Pdめっき層43は、Niめっき層41の外面に沿って膜状に形成されている。Pdめっき層43は、第2開口37の開口端から無機絶縁層30側に間隔を空けてNiめっき層41を被覆している。Pdめっき層43は、第2開口37内において有機絶縁層31の第2内壁35を被覆している。
【0082】
図4Cは、
図3の対応図であって、第4形態例に係る外面めっき層42を示す拡大図である。以下、第1形態例に係る外面めっき層42と異なる箇所について説明する。
【0083】
図4Cを参照して、外面めっき層42は、この形態では、Agめっき層45からなる単層構造を有している。Agめっき層45は、Niめっき層41の外面に沿って膜状に形成されている。Agめっき層45は、第2開口37の開口端から無機絶縁層30側に間隔を空けてNiめっき層41を被覆している。Agめっき層45は、第2開口37内において有機絶縁層31の第2内壁35を被覆している。
【0084】
Agめっき層45は、Niめっき層41の厚さT4未満の厚さを有している。Agめっき層45の厚さは、0.01μm以上1μm以下であってもよい。Agめっき層45の厚さは、0.01μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.2μm以下、0.2μm以上0.4μm以下、0.4μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.8μm以下、または、0.8μm以上1μm以下であってもよい。
【0085】
図4Dは、
図3の対応図であって、第5形態例に係る外面めっき層42を示す拡大図である。以下、第1形態例に係る外面めっき層42と異なる箇所について説明する。
【0086】
図4Dを参照して、外面めっき層42は、Niめっき層41側からこの順に積層されたPdめっき層43、Auめっき層44およびAgめっき層45を含む積層構造を有している。
【0087】
Pdめっき層43は、Niめっき層41の外面に沿って膜状に形成されている。Pdめっき層43は、第2開口37の開口端から無機絶縁層30側に間隔を空けてNiめっき層41を被覆している。Pdめっき層43は、第2開口37内において有機絶縁層31の第2内壁35を被覆している。
【0088】
Auめっき層44は、Pdめっき層43の外面に沿って膜状に形成されている。Auめっき層44は、第2開口37の開口端から無機絶縁層30側に間隔を空けてPdめっき層43を被覆している。Auめっき層44は、第2開口37内において有機絶縁層31の第2内壁35を被覆している。
【0089】
Agめっき層45は、Auめっき層44の外面に沿って膜状に形成されている。Agめっき層45は、第2開口37の開口端から無機絶縁層30側に間隔を空けてAuめっき層44を被覆している。Agめっき層45は、第2開口37内において有機絶縁層31の第2内壁35を被覆している。
【0090】
図2を再度参照して、半導体装置1は、第2主面4の上に形成された第2主面電極(裏面電極)46を含む。第2主面電極46は、第2主面4の全域を被覆している。第2主面電極46は、第2主面4との間でオーミック接触を形成している。第2主面電極46は、SBDのカソード電極として形成されている。
【0091】
第2主面電極46は、Ti層、Ni層、Pd層、Au層およびAg層のうちの少なくとも1つを含む。第2主面電極46は、Ti層、Ni層、Pd層、Au層およびAg層のうちの少なくとも2つを任意の順序で積層した積層構造を有していてもよい。第2主面電極46は、Ti層、Ni層、Pd層、Au層およびAg層からなる単層構造を有していてもよい。第2主面電極46は、オーミック電極としてのTi層を含むことが好ましい。第2主面電極46は、この形態では、第2主面4側からこの順に積層されたTi層、Ni層、Pd層、Au層およびAg層を含む積層構造を有している。
【0092】
図5A~
図5Oは、
図1に示す半導体装置1の製造方法の一例を説明するための断面図である。
【0093】
図5Aを参照して、まず、SiCチップ2のベースとなるSiCエピタキシャルウエハ50が用意される。SiCエピタキシャルウエハ50は、SiCウエハ51およびSiCエピタキシャル層52を含む積層構造を有している。SiCウエハ51は、SiC基板6のベースとなる。SiCエピタキシャル層52は、SiCエピタキシャル層7のベースとなる。SiCエピタキシャル層52は、SiCウエハ51の主面からSiCをエピタキシャル成長することによって形成されている。
【0094】
SiCエピタキシャルウエハ50は、一方側の第1ウエハ主面53、および、他方側の第2ウエハ主面54を有している。第1ウエハ主面53および第2ウエハ主面54は、SiCチップ2の第1主面3および第2主面4にそれぞれ対応している。
【0095】
SiCエピタキシャルウエハ50には、半導体装置1にそれぞれ対応した複数の装置領域55、および、複数の装置領域55を区画する切断予定ライン56が設定される。
図5Aでは、1つの装置領域55が示されており、それ以外の領域の図示は省略されている(以下、
図5B~
図5Oにおいて同じ)。複数の装置領域55は、第1方向Xおよび第2方向Yに沿う行列状に設定される。切断予定ライン56は、第1方向Xおよび第2方向Yに沿って延びる格子状に設定される。
【0096】
次に、
図5Bを参照して、機能デバイスの主要部が、各装置領域55に形成される。この形態では、第1ウエハ主面53の表層部にn型不純物および/またはp型不純物が選択的に導入されて、n型のダイオード領域10およびp型のガード領域11が形成される。n型不純物および/またはp型不純物は、イオン注入マスク(図示せず)を介するイオン注入法によって第1ウエハ主面53の表層部に導入される。
【0097】
次に、
図5Cを参照して、主面絶縁層12が、第1ウエハ主面53の上に形成される。主面絶縁層12は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法および/または酸化処理法(たとえば熱酸化処理法)によって形成されてもよい。
【0098】
次に、
図5Dを参照して、所定パターンを有するレジストマスク57が、主面絶縁層12の上に形成される。レジストマスク57は、主面絶縁層12においてコンタクト開口13を形成すべき領域を露出させ、それ以外の領域を被覆している。次に、主面絶縁層12の不要な部分が、レジストマスク57を介するエッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。これにより、コンタクト開口13が、主面絶縁層12に形成される。
【0099】
次に、
図5Eを参照して、第1主面電極21のベースとなるベース電極層58が、主面絶縁層12の上に形成される。ベース電極層58は、主面絶縁層12側からこの順に積層されたバリア電極22および主電極23を含む積層構造を有している。バリア電極22および主電極23は、スパッタ法および/または蒸着法によってそれぞれ形成されてもよい。
【0100】
次に、
図5Fを参照して、所定パターンを有するレジストマスク59が、ベース電極層58の上に形成される。レジストマスク59は、ベース電極層58において第1主面電極21を形成すべき領域を露出させ、それ以外の領域を被覆している。次に、ベース電極層58の不要な部分が、レジストマスク59を介するエッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。これにより、第1主面電極21が、主面絶縁層12の上に形成される。
【0101】
次に、
図5Gを参照して、無機絶縁層30が、第1主面電極21を被覆するように主面絶縁層12の上に形成される。無機絶縁層30は、この形態では、窒化シリコン層からなる単層構造を有している。無機絶縁層30は、SiCエピタキシャルウエハ50側からこの順に積層された酸化シリコン層および窒化シリコン層を含む積層構造を有していてもよい。無機絶縁層30は、CVD法によって形成されてもよい。
【0102】
次に、
図5Hを参照して、所定パターンを有するレジストマスク60が、無機絶縁層30の上に形成される。レジストマスク60は、無機絶縁層30において第1開口34およびダイシングストリート25を形成すべき領域を露出させ、それら以外の領域を被覆している。
【0103】
次に、無機絶縁層30の不要な部分が、レジストマスク60を介するエッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。これにより、第1主面電極21を露出させる第1開口34、および、切断予定ライン56に沿って格子状に延びるダイシングストリート25が、無機絶縁層30に形成される。
【0104】
次に、
図5Iを参照して、有機絶縁層31が、第1主面電極21および無機絶縁層30を被覆するように主面絶縁層12の上に形成される。有機絶縁層31は、感光性樹脂の一例としてのポリイミドを第1ウエハ主面53側に塗布することによって形成される。
【0105】
次に、
図5Jを参照して、有機絶縁層31が、第2開口37およびダイシングストリート25に対応したパターンで露光された後、現像される。これにより、第1主面電極21を露出させる第2開口37、および、切断予定ライン56に沿って格子状に延びるダイシングストリート25が、有機絶縁層31に形成される。
【0106】
有機絶縁層31の第2開口37は、無機絶縁層30の第1開口34から間隔を空けて第1開口34を取り囲むように形成される。これにより、第1開口34および第2開口37の間の領域において無機絶縁層30の内周縁38を露出させる有機絶縁層31が形成される。
【0107】
次に、
図5Kを参照して、第1主面電極21において第1開口34および第2開口37から露出する部分に、粗面領域39が形成される。粗面領域39は、第1主面電極21の露出部に対するジンケート処理法(亜鉛置換処理法)によって形成される。
【0108】
次に、
図5Lを参照して、Niめっき層41が、第1主面電極21において第1開口34および第2開口37から露出する部分の上に形成される。Niめっき層41は、電解めっき法または無電解めっき法(この形態では無電解めっき法)によって、第1主面電極21からNiを成膜することによって形成される。これにより、第1開口34内において第1主面電極21を被覆し、第2開口37内において無機絶縁層30の内周縁38を被覆するNiめっき層41が形成される。Niめっき層41の具体的な構造は、前述の通りであるので、説明を省略する。
【0109】
次に、
図5Mを参照して、外面めっき層42が、第2開口37内においてNiめっき層41の外面の上に形成される。外面めっき層42は、Pdめっき層43、Auめっき層44およびAgめっき層45のうちの少なくとも1つを含む。外面めっき層42は、電解めっき法または無電解めっき法(この形態では無電解めっき法)によって、第1主面電極21からPd、AuおよびAgのうちの任意の材料を成膜することによって形成される。
【0110】
次に、
図5Nを参照して、SiCエピタキシャルウエハ50が、第2ウエハ主面54の研削によって、所望の厚さになるまで薄化される。第2ウエハ主面54は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって研削されてもよい。第2ウエハ主面54の研削工程後、第2ウエハ主面54に対してアニール処理が実施されてもよい。アニール処理は、レーザ照射法によって実施されてもよい。これにより、第2ウエハ主面54(第2主面4)が、オーミック面となる。
【0111】
次に、
図5Oを参照して、第2主面電極46が、第2ウエハ主面54の上に形成される。第2主面電極46は、スパッタ法、蒸着法および/またはめっき法によって形成されてもよい。その後、ダイシングストリート25に沿ってSiCエピタキシャルウエハ50が切断または劈開され、複数の半導体装置1が切り出される。以上を含む工程を経て、半導体装置1が製造される。
【0112】
以上、半導体装置1は、SiCチップ2、第1主面電極21、無機絶縁層30、有機絶縁層31およびNiめっき層41を含む。第1主面電極21は、SiCチップ2の上に形成されている。無機絶縁層30は、第1主面電極21を被覆し、第1主面電極21を露出させる第1開口34を有している。有機絶縁層31は、無機絶縁層30を被覆し、第1開口34から間隔を空けて第1開口34を取り囲む第2開口37を有し、第1開口34および第2開口37の間の領域において無機絶縁層30の内周縁38を露出させている。Niめっき層41は、第1開口34内において第1主面電極21に接続され、第2開口37内において無機絶縁層30の内周縁38を被覆している。
【0113】
無機絶縁層30は、Niに対する密着性が高い性質を有している一方、有機絶縁層31は、無機絶縁層30と比較してNiに対する密着性が低い性質を有している。したがって、たとえば、無機絶縁層30が存在しない場合や、有機絶縁層31が無機絶縁層30と面一に形成されている場合、Niめっき層41は、有機絶縁層31との間で第1主面電極21に向かって延びる間隙を形成する。その結果、第1主面電極21に対するNiめっき層41の接続が不十分となり、Niめっき層41の信頼性が低下する。
【0114】
そこで、半導体装置1では、Niに対する密着性が高い性質を有する無機絶縁層30の内周縁38を露出させる有機絶縁層31を形成し、Niめっき層41が無機絶縁層30の内周縁38を被覆する構造を採用した。この場合、Niめっき層41は、無機絶縁層30との間で、無機絶縁層30の厚さ方向に延びる第1接続部、および、無機絶縁層30の幅方向に延びる第2接続部を形成する。
【0115】
これにより、間隙の形成領域を第1主面電極21から遠ざけることができると同時に、第1主面電極21に向かって延びる間隙の形成を適切に抑制できる。また、無機絶縁層30の内周縁38が存在しない場合と比較して、有機絶縁層31との間における間隙の形成領域を低減させることができる。よって、Niめっき層41の信頼性を向上できる。
【0116】
半導体装置1では、Niめっき層41の第2部分41Bが、有機絶縁層31の第2内壁35の中間部に対して無機絶縁層30側の領域を被覆している。換言すると、Niめっき層41の第2部分41Bは、第2内壁35(有機絶縁層31)の隠蔽面積が第2内壁35(有機絶縁層31)の露出面積未満になるように有機絶縁層31を被覆している。このようなNiめっき層41によれば、間隙の形成領域を適切に削減できる。
【0117】
半導体装置1は、Niめっき層41の外面を被覆する外面めっき層42をさらに含む。このような構造によれば、有機絶縁層31およびNiめっき層41の間において間隙の形成が抑制されているので、当該間隙内へのめっき液の進入を抑制できる。これにより、間隙を起点とする外面めっき層42の異常成膜を抑制できる。その結果、外面めっき層42の異常成膜に起因するNiめっき層41の接続不良を抑制できると同時に、外面めっき層42の剥離(接続不良)を抑制できる。
【0118】
外面めっき層42は、具体的には、Pdめっき層43、Auめっき層44およびAgめっき層45のうちの少なくとも1つを含むことができる。したがって、Pdめっき層43、Auめっき層44およびAgめっき層45の異常成膜に起因するNiめっき層41の接続不良を抑制できる。これと同時に、Pdめっき層43、Auめっき層44およびAgめっき層45の剥離(接続不良)を抑制できる。
【0119】
図6は、
図2の対応図であって、本発明の第2実施形態に係る半導体装置61を第1形態例に係る外面めっき層42と共に示す断面図である。
図7は、
図6に示す領域VIIの拡大図である。以下、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0120】
図6および
図7を参照して、有機絶縁層31は、第1開口34および第2開口37の間の領域において無機絶縁層30の内周縁38を露出させている。無機絶縁層30の内周縁38の幅Wは任意であるが、無機絶縁層30の厚さT2を超えていることが好ましい(T2<W)。
【0121】
無機絶縁層30の厚さT2に対する内周縁38の幅Wの比W/T2は、1を超えて10以下であってもよい。比W/T2は、1を超えて2以下、2以上4以下、4以上6以下、6以上8以下、または、8以上10以下であってもよい。比W/T2は、2以上5以下であることが好ましい。幅Wは、0μmを超えて10μm以下であってもよい。幅Wは、0μmを超えて2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。
【0122】
Niめっき層41は、パッド開口26内において第1主面電極21の上に形成されている。Niめっき層41は、第1開口34内において第1主面電極21を被覆し、第2開口37内において無機絶縁層30の内周縁38を被覆している。Niめっき層41は、有機絶縁層31(絶縁層24)の主面から第1主面電極21側に間隔を空けて形成された外面を有している。Niめっき層41は、第2開口37内において有機絶縁層31から間隔を空けて無機絶縁層30の内周縁38を被覆している。
【0123】
Niめっき層41は、具体的には、第1主面電極21を被覆する第1部分41A、および、無機絶縁層30の内周縁38を被覆する第2部分41Bを有している。Niめっき層41の第1部分41Aは、第1開口34内において粗面領域39を埋めて第1主面電極21を被覆している。第1部分41Aは、第1開口34内において無機絶縁層30の第1内壁32の全域を被覆し、第1開口34の開口端から第2開口37の開口端に向かって突出している。第1部分41Aは、無機絶縁層30の第1内壁32に接続され、無機絶縁層30の厚さ方向に延びる第1接続部を有している。
【0124】
Niめっき層41の第2部分41Bは、第2開口37内において第1部分41Aから有機絶縁層31側に向けて引き出されている。第2部分41Bは、第1開口34の開口端を起点に有機絶縁層31の第2内壁35に向かう円弧状に形成されている。
【0125】
第2部分41Bは、第2開口37内において無機絶縁層30の内周縁38を被覆している。第2部分41Bは、この形態では、無機絶縁層30の内周縁38の一部が露出するように、第2開口37内において有機絶縁層31の第2内壁35から無機絶縁層30の第1内壁32側に間隔を空けて無機絶縁層30の内周縁38を部分的に被覆している。
【0126】
これにより、Niめっき層41は、無機絶縁層30の内周縁38の一部および有機絶縁層31の第2内壁35の全域を露出させている。第2部分41Bは、無機絶縁層30の内周縁38を挟んで第1主面電極21に対向している。第2部分41Bは、無機絶縁層30の主面に接続され、無機絶縁層30の幅方向に延びる第2接続部を有している。
【0127】
Niめっき層41は、無機絶縁層30の厚さT2を超える厚さT4(T2<T4)を有している。厚さT4は、有機絶縁層31の厚さT3未満(T4<T3)である。厚さT4は、無機絶縁層30の厚さT2に内周縁38の幅Wを加算した値(T2+W)未満(T4<T2+W)である。これは、Niめっき層41が有機絶縁層31の第2内壁35を露出させる条件である。厚さT4は、第1主面電極21の主面を基準とするNiめっき層41の厚さによって定義される。
【0128】
無機絶縁層30の厚さT2に対するNiめっき層41の厚さT4の比T4/T2は、1を超えて5以下であってもよい。比T4/T2は、1を超えて2以下、2以上3以下、3以上4以下、または、4以上5以下であってもよい。厚さT4は、0.1μm以上10μm以下であってもよい。厚さT4は、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。
【0129】
外面めっき層42は、第2開口37内においてNiめっき層41の外面を被覆している。外面めっき層42は、Niめっき層41の厚さT4未満の厚さT5(T5<T4)を有している。外面めっき層42は、この形態では、第2開口37内において有機絶縁層31の第2内壁35から無機絶縁層30の第1内壁32側に間隔を空けて無機絶縁層30の内周縁38を部分的に被覆している。
【0130】
外面めっき層42は、導電接合材(たとえば半田)を介して外部接続される端子面42Aを有している。端子面42Aは、有機絶縁層31の主面(第2開口37の開口端)に対してNiめっき層41側に位置している。これにより、外面めっき層42は、第2開口37内において無機絶縁層30の内周縁38の一部および有機絶縁層31の第2内壁35の全域を露出させている。
【0131】
外面めっき層42は、具体的には、Niめっき層41側からこの順に積層されたPdめっき層43およびAuめっき層44を含む積層構造を有している。Pdめっき層43は、Niめっき層41の外面に沿って膜状に形成されている。Pdめっき層43は、第2開口37の開口端から無機絶縁層30側に間隔を空けてNiめっき層41を被覆している。Pdめっき層43は、無機絶縁層30の内周縁38の一部が露出するように、第2開口37内において有機絶縁層31の第2内壁35から無機絶縁層30の第1内壁32側に間隔を空けて無機絶縁層30の内周縁38を部分的に被覆している。これにより、Pdめっき層43は、第2開口37内において無機絶縁層30の内周縁38の一部および有機絶縁層31の第2内壁35の全域を露出させている。
【0132】
Pdめっき層43は、Niめっき層41の厚さT4未満の厚さを有している。Pdめっき層43の厚さは、0.01μm以上1μm以下であってもよい。Pdめっき層43の厚さは、0.01μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.2μm以下、0.2μm以上0.4μm以下、0.4μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.8μm以下、または、0.8μm以上1μm以下であってもよい。
【0133】
Auめっき層44は、Pdめっき層43の外面に沿って膜状に形成されている。Auめっき層44は、第2開口37の開口端から無機絶縁層30側に間隔を空けてPdめっき層43を被覆している。Auめっき層44は、無機絶縁層30の内周縁38の一部が露出するように、第2開口37内において有機絶縁層31の第2内壁35から無機絶縁層30の第1内壁32側に間隔を空けて無機絶縁層30の内周縁38を部分的に被覆している。これにより、Auめっき層44は、第2開口37内において無機絶縁層30の内周縁38の一部および有機絶縁層31の第2内壁35の全域を露出させている。
【0134】
Auめっき層44は、Niめっき層41の厚さT4未満の厚さを有している。Auめっき層44の厚さは、0.01μm以上1μm以下であってもよい。Auめっき層44の厚さは、0.01μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.2μm以下、0.2μm以上0.4μm以下、0.4μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.8μm以下、または、0.8μm以上1μm以下であってもよい。
【0135】
この形態では、有機絶縁層31の第2内壁35の全域を露出させる外面めっき層42が形成された例について説明した。しかし、有機絶縁層31の第2内壁35の一部を被覆する外面めっき層42が採用されてもよい。この場合、Pdめっき層43およびAuめっき層44の少なくとも1つが有機絶縁層31の第2内壁35の一部を被覆していてもよい。外面めっき層42は、
図8A~
図8Dに示される種々の形態を取り得る。
【0136】
図8Aは、
図7の対応図であって、第2形態例に係る外面めっき層42を示す拡大図である。以下、第1形態例に係る外面めっき層42と異なる箇所について説明する。
【0137】
図8Aを参照して、外面めっき層42は、この形態では、Auめっき層44からなる単層構造を有している。Auめっき層44は、Niめっき層41の外面に沿って膜状に形成されている。Auめっき層44は、無機絶縁層30の内周縁38の一部が露出するように、第2開口37内において有機絶縁層31の第2内壁35から無機絶縁層30の第1内壁32側に間隔を空けて無機絶縁層30の内周縁38を部分的に被覆している。
【0138】
Auめっき層44は、第2開口37の開口端から無機絶縁層30側に間隔を空けてNiめっき層41を被覆している。これにより、Auめっき層44は、第2開口37内において無機絶縁層30の内周縁38の一部および有機絶縁層31の第2内壁35の全域を露出させている。Auめっき層44は、有機絶縁層31の第2内壁35の一部を被覆していてもよい。
【0139】
図8Bは、
図7の対応図であって、第3形態例に係る外面めっき層42を示す拡大図である。以下、第1形態例に係る外面めっき層42と異なる箇所について説明する。
【0140】
図8Bを参照して、外面めっき層42は、この形態では、Pdめっき層43からなる単層構造を有している。Pdめっき層43は、Niめっき層41の外面に沿って膜状に形成されている。Pdめっき層43は、無機絶縁層30の内周縁38の一部が露出するように、第2開口37内において有機絶縁層31の第2内壁35から無機絶縁層30の第1内壁32側に間隔を空けて無機絶縁層30の内周縁38を部分的に被覆している。
【0141】
Pdめっき層43は、第2開口37の開口端から無機絶縁層30側に間隔を空けてNiめっき層41を被覆している。これにより、Pdめっき層43は、第2開口37内において無機絶縁層30の内周縁38の一部および有機絶縁層31の第2内壁35の全域を露出させている。Pdめっき層43は、有機絶縁層31の第2内壁35の一部を被覆していてもよい。
【0142】
図8Cは、
図7の対応図であって、第4形態例に係る外面めっき層42を示す拡大図である。以下、第1形態例に係る外面めっき層42と異なる箇所について説明する。
【0143】
図8Cを参照して、外面めっき層42は、この形態では、Agめっき層45からなる単層構造を有している。Agめっき層45は、Niめっき層41の外面に沿って膜状に形成されている。Agめっき層45は、無機絶縁層30の内周縁38の一部が露出するように、第2開口37内において有機絶縁層31の第2内壁35から無機絶縁層30の第1内壁32側に間隔を空けて無機絶縁層30の内周縁38を部分的に被覆している。
【0144】
Agめっき層45は、第2開口37の開口端から無機絶縁層30側に間隔を空けてNiめっき層41を被覆している。これにより、Agめっき層45は、第2開口37内において無機絶縁層30の内周縁38の一部および有機絶縁層31の第2内壁35の全域を露出させている。Agめっき層45は、有機絶縁層31の第2内壁35の一部を被覆していてもよい。
【0145】
Agめっき層45は、Niめっき層41の厚さT4未満の厚さを有している。Agめっき層45の厚さは、0.01μm以上1μm以下であってもよい。Agめっき層45の厚さは、0.01μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.2μm以下、0.2μm以上0.4μm以下、0.4μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.8μm以下、または、0.8μm以上1μm以下であってもよい。
【0146】
図8Dは、
図7の対応図であって、第5形態例に係る外面めっき層42を示す拡大図である。以下、第1形態例に係る外面めっき層42と異なる箇所について説明する。
【0147】
図8Dを参照して、外面めっき層42は、Niめっき層41側からこの順に積層されたPdめっき層43、Auめっき層44およびAgめっき層45を含む積層構造を有している。
【0148】
Pdめっき層43は、Niめっき層41の外面に沿って膜状に形成されている。Pdめっき層43は、無機絶縁層30の内周縁38の一部が露出するように、第2開口37内において有機絶縁層31の第2内壁35から無機絶縁層30の第1内壁32側に間隔を空けて無機絶縁層30の内周縁38を部分的に被覆している。Pdめっき層43は、第2開口37の開口端から無機絶縁層30側に間隔を空けてNiめっき層41を被覆している。これにより、Pdめっき層43は、第2開口37内において無機絶縁層30の内周縁38の一部および有機絶縁層31の第2内壁35の全域を露出させている。
【0149】
Auめっき層44は、Pdめっき層43の外面に沿って膜状に形成されている。Auめっき層44は、無機絶縁層30の内周縁38の一部が露出するように、第2開口37内において有機絶縁層31の第2内壁35から無機絶縁層30の第1内壁32側に間隔を空けて無機絶縁層30の内周縁38を部分的に被覆している。Auめっき層44は、第2開口37の開口端から無機絶縁層30側に間隔を空けてPdめっき層43を被覆している。これにより、Auめっき層44は、第2開口37内において無機絶縁層30の内周縁38の一部および有機絶縁層31の第2内壁35の全域を露出させている。
【0150】
Agめっき層45は、Auめっき層44の外面に沿って膜状に形成されている。Agめっき層45は、無機絶縁層30の内周縁38の一部が露出するように、第2開口37内において有機絶縁層31の第2内壁35から無機絶縁層30の第1内壁32側に間隔を空けて無機絶縁層30の内周縁38を部分的に被覆している。Agめっき層45は、第2開口37の開口端から無機絶縁層30側に間隔を空けてAuめっき層44を被覆している。これにより、Agめっき層45は、第2開口37内において無機絶縁層30の内周縁38の一部および有機絶縁層31の第2内壁35の全域を露出させている。Pdめっき層43、Auめっき層44およびAgめっき層45の少なくとも1つが有機絶縁層31の第2内壁35の一部を被覆していてもよい。
【0151】
以上、半導体装置61によっても半導体装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。特に、半導体装置61に係るNiめっき層41は、第2開口37内において有機絶縁層31から間隔を空けて無機絶縁層30の内周縁38を被覆している。これにより、有機絶縁層31およびNiめっき層41の間に不所望な間隙が形成されることを防止できる。よって、Niめっき層41の信頼性を確実に向上できる。
【0152】
さらに、半導体装置61は、Niめっき層41の外面を被覆する外面めっき層42を含む。このような構造によれば、有機絶縁層31およびNiめっき層41の間に間隙が形成されないので、Niめっき層41の外面に沿って外面めっき層42を適切に形成できる。よって、外面めっき層42の異常成膜に起因するNiめっき層41の接続不良を適切に抑制できると同時に、外面めっき層42の剥離(接続不良)を適切に抑制できる。
【0153】
外面めっき層42は、具体的には、Pdめっき層43、Auめっき層44およびAgめっき層45のうちの少なくとも1つを含むことができる。したがって、Pdめっき層43、Auめっき層44およびAgめっき層45の異常成膜に起因するNiめっき層41の接続不良を抑制できる。これと同時に、Pdめっき層43、Auめっき層44およびAgめっき層45の剥離(接続不良)を抑制できる。
【0154】
図9は、第3実施形態に係る半導体装置101を示す平面図である。
図10は、
図9に示す領域Xの拡大図である。
図11は、
図10に示すXI-XI線に沿う断面図である。
図12は、
図9に示すXII-XII線に沿う断面図である。
図13は、
図12に示す領域XIIIの拡大図である。
図14は、
図12に示す領域XIVの拡大図である。以下では、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0155】
図9~
図14を参照して、半導体装置101は、SBDに代えて、機能デバイスの一例としてのMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)が、アクティブ領域8に形成されたSiC半導体装置である。
【0156】
半導体装置101は、SiCチップ2、主面絶縁層12、第1主面電極21、絶縁層24、パッド電極40および第2主面電極(裏面電極)46を含む。
図9では、絶縁層24がハッチングによって示されている。SiCチップ2の第1主面3および第2主面4は、平面視において四角形状(この形態では長方形状)に形成されている。
【0157】
第1側面5Aおよび第2側面5Bは、第1方向Xに沿って延び、第1方向Xに交差する第2方向Yに対向している。第1側面5Aおよび第2側面5Bは、SiCチップ2の短辺を形成している。第3側面5Cおよび第4側面5Dは、第2方向Yに沿って延び、第1方向Xに対向している。第3側面5Cおよび第4側面5Dは、SiCチップ2の長辺を形成している。
【0158】
第1側面5A(第2側面5B)の長さは、0.1mm以上8mm以下であってもよい。第1側面5A(第2側面5B)の長さは、0.1mm以上2.5mm以下であることが好ましい。第3側面5C(第4側面5D)の長さは、0.2mm以上16mm以下であってもよい。第3側面5C(第4側面5D)の長さは、0.5mm以上5mm以下であることが好ましい。
【0159】
SiCチップ2は、第1実施形態の場合と同様に、SiC基板6およびSiCエピタキシャル層7を含む積層構造を有している。SiC基板6は、MISFETのドレイン領域として形成されている。SiCエピタキシャル層7は、MISFETのドリフト領域として形成されている。
【0160】
SiCエピタキシャル層7は、この形態では、法線方向Zに沿って異なるn型不純物濃度を有している。SiCエピタキシャル層7は、具体的には、n型不純物濃度が高い高濃度領域102、および、高濃度領域102よりもn型不純物濃度が低い低濃度領域103を含む。
【0161】
高濃度領域102は、第1主面3側の領域に形成されている。低濃度領域103は、高濃度領域102に対して第2主面4側の領域に形成されている。高濃度領域102の厚さは、低濃度領域103の厚さ未満である。高濃度領域102の厚さは、SiCエピタキシャル層7の総厚さの2分の1未満である。
【0162】
高濃度領域102のn型不純物濃度は、1.0×10 16cm -3以上1.0×10 18cm -3以下であってもよい。低濃度領域103のn型不純物濃度は、1.0×10 15cm -3以上1.0×10 16cm -3以下であってもよい。むろん、SiCエピタキシャル層7のn型不純物濃度は、1.0×10 15cm -3以上1.0×10 18cm -3以下の範囲で、SiC基板6から第1主面3に向けてn型不純物濃度が漸減する濃度勾配を有していてもよい。
【0163】
アクティブ領域8は、平面視において側面5A~5Dから内方に間隔を空けてSiCチップ2の中央部に形成されている。アクティブ領域8は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する長方形状に形成されている。一方、外側領域9は、平面視においてアクティブ領域8を取り囲む長方形環状に形成されている。
【0164】
半導体装置101は、アクティブ領域8において第1主面3に形成された複数のトレンチゲート構造104を含む。複数のトレンチゲート構造104は、第1方向Xに沿って延びる帯状にそれぞれ形成され、第2方向Yに間隔を空けて形成されている。複数のトレンチゲート構造104は、平面視において第1方向Xに沿って延びるストライプ状に形成されている。
【0165】
複数のトレンチゲート構造104は、この形態では、アクティブ領域8において一方側(第3側面5C側)の周縁部から他方側(第4側面5D側)の周縁部に向けて帯状に延びている。複数のトレンチゲート構造104は、アクティブ領域8において一方側の周縁部および他方側の周縁部の間の中間部を横切っている。
【0166】
各トレンチゲート構造104の長さは、1mm以上10mm以下であってもよい。各トレンチゲート構造104の長さは、1mm以上2mm以下、2mm以上4mm以下、4mm以上6mm以下、6mm以上8mm以下、または、8mm以上10mm以下であってもよい。各トレンチゲート構造104の長さは、2mm以上6mm以下であることが好ましい。1つのトレンチゲート構造104の単位面積当たりの総延長は、0.5μm/μm 2以上0.75μm/μm 2以下であってもよい。
【0167】
各トレンチゲート構造104は、ゲートトレンチ105、ゲート絶縁層106およびゲート電極107を含む。
図10では、ゲート絶縁層106およびゲート電極107がハッチングによって示されている。
【0168】
ゲートトレンチ105は、SiCエピタキシャル層7に形成されている。ゲートトレンチ105は、側壁および底壁を含む。ゲートトレンチ105の長辺を形成する側壁は、SiC単結晶のa面によって形成されている。ゲートトレンチ105の短辺を形成する側壁は、SiC単結晶のm面によって形成されている。
【0169】
ゲートトレンチ105の側壁は、法線方向Zに沿って延びていてもよい。SiCチップ2内においてゲートトレンチ105の側壁が第1主面3に対して成す角度は、90°以上95°以下(たとえば91°以上93°以下)であってもよい。ゲートトレンチ105の側壁は、第1主面3に対してほぼ垂直に形成されていてもよい。ゲートトレンチ105は、第1主面3から底壁に向けて開口幅が狭まる先細り形状に形成されていてもよい。
【0170】
ゲートトレンチ105の底壁は、高濃度領域102に位置している。ゲートトレンチ105の底壁は、SiC単結晶のc面に面している。ゲートトレンチ105の底壁は、SiC単結晶のc面に対してa軸方向に傾斜したオフ角を有している。ゲートトレンチ105の底壁は、第1主面3に対して平行に形成されていてもよい。ゲートトレンチ105の底壁は、第2主面4に向かう湾曲状に形成されていてもよい。
【0171】
ゲートトレンチ105は、第1深さD1を有している。第1深さD1は、0.5μm以上3μm以下であってもよい。第1深さD1は、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以下、または、2.5μm以上3μm以下であってもよい。
【0172】
ゲートトレンチ105の第2方向Yに沿う幅は、0.1μm以上2μm以下であってもよい。ゲートトレンチ105の幅は、0.1μm以上0.5μm以下、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、または、1.5μm以上2μm以下であってもよい。
【0173】
ゲートトレンチ105の開口エッジ部は、第1主面3からゲートトレンチ105の内方に向かって下り傾斜した傾斜部を含む。ゲートトレンチ105の開口エッジ部は、第1主面3およびゲートトレンチ105の側壁を接続する部分である。ゲートトレンチ105の傾斜部は、SiCチップ2に向けて窪んだ湾曲状に形成されている。ゲートトレンチ105の傾斜部は、ゲートトレンチ105に向かう湾曲状に形成されていてもよい。ゲートトレンチ105の傾斜部は、ゲートトレンチ105の開口エッジ部に対する電界集中を緩和する。
【0174】
ゲート絶縁層106は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムおよび酸化タンタルのうちの少なくとも1つを含む。ゲート絶縁層106は、酸化シリコン層および窒化シリコン層が任意の順で積層された積層構造を有していてもよい。ゲート絶縁層106は、酸化シリコン層または窒化シリコン層からなる単層構造を有していてもよい。ゲート絶縁層106は、この形態では、酸化シリコン層からなる単層構造を有している。
【0175】
ゲート絶縁層106は、ゲートトレンチ105の内壁に沿って膜状に形成され、ゲートトレンチ105内においてリセス空間を区画している。ゲート絶縁層106は、第1領域108、第2領域109および第3領域110を含む。第1領域108は、ゲートトレンチ105の側壁に沿って形成されている。第2領域109は、ゲートトレンチ105の底壁に沿って形成されている。第3領域110は、ゲートトレンチ105の開口エッジ部を介して第1主面3を部分的に被覆している。
【0176】
第1領域108の厚さは、0.01μm以上0.2μm以下であってもよい。第2領域109の厚さは、0.05μm以上0.5μm以下であってもよい。第2領域109の厚さは、第1領域108の厚さを超えていてもよい。第3領域110の厚さは、0.05μm以上0.5μm以下であってもよい。第3領域110の厚さは、第1領域108の厚さを超えていてもよい。
【0177】
ゲート絶縁層106は、開口エッジ部においてゲートトレンチ105内に向けて膨出した膨出部111を含む。膨出部111は、ゲート絶縁層106の第1領域108および第3領域110の接続部に形成されている。膨出部111は、ゲートトレンチ105の内方に向かう湾曲状に形成されている。膨出部111は、開口エッジ部においてゲートトレンチ105の開口を狭めている。膨出部111を有さないゲート絶縁層106が形成されていてもよい。一様な厚さを有するゲート絶縁層106が形成されていてもよい。
【0178】
ゲート電極107は、ゲート絶縁層106を挟んでゲートトレンチ105に埋設されている。ゲート電極107は、具体的には、ゲートトレンチ105内においてゲート絶縁層106によって区画されたリセス空間に埋設されている。ゲート電極107は、ゲートトレンチ105の開口から露出する電極面を有している。ゲート電極107の電極面は、ゲートトレンチ105の底壁に向かって窪んだ湾曲状に形成されている。ゲート電極107の電極面は、ゲート絶縁層106の膨出部111によって狭められている。
【0179】
ゲート電極107は、金属材料以外の導電材料からなる。ゲート電極107は、導電性ポリシリコンからなることが好ましい。ゲート電極107は、この形態では、p型不純物が添加されたp型ポリシリコンを含む。
【0180】
ゲート電極107のp型不純物濃度は、1.0×10 18cm -3以上1.0×10 22cm -3以下であってもよい。ゲート電極107のp型不純物は、ホウ素、アルミニウム、インジウムおよびガリウムのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。ゲート電極107のシート抵抗は、10Ω/□以上500Ω/□以下(この形態では200Ω/□程度)であってもよい。ゲート電極107の厚さは、0.5μm以上3μm以下であってもよい。
【0181】
半導体装置101は、ゲート電極107を被覆する第1低抵抗層112を含む。第1低抵抗層112は、ゲートトレンチ105内においてゲート電極107を被覆している。第1低抵抗層112は、トレンチゲート構造104の一部を形成している。
【0182】
第1低抵抗層112は、ゲート電極107のシート抵抗未満のシート抵抗を有する導電材料を含む。第1低抵抗層112のシート抵抗は、0.01Ω/□以上10Ω/□以下であってもよい。第1低抵抗層112の厚さは、0.01μm以上3μm以下であってもよい。第1低抵抗層112の厚さは、ゲート電極107の厚さ未満であることが好ましい。
【0183】
第1低抵抗層112は、具体的には、ポリサイド層を含む。ポリサイド層は、ゲート電極107の表層部を金属材料によってシリサイド化することによって形成されている。つまり、ゲート電極107の電極面は、第1低抵抗層112によって形成されている。ポリサイド層は、具体的には、ゲート電極107に添加されたp型不純物を含むp型ポリサイド層からなる。ポリサイド層は、10μΩ・cm以上110μΩ・cm以下の比抵抗を有していることが好ましい。
【0184】
ゲート電極107および第1低抵抗層112が埋め込まれたゲートトレンチ105内のシート抵抗は、ゲート電極107単体のシート抵抗未満である。ゲートトレンチ105内のシート抵抗は、n型不純物が添加されたn型ポリシリコンのシート抵抗以下であることが好ましい。ゲートトレンチ105内のシート抵抗は、第1低抵抗層112のシート抵抗に近似される。ゲートトレンチ105内のシート抵抗は、0.01Ω/□以上10Ω/□以下であってもよい。ゲートトレンチ105内のシート抵抗は、10Ω/□未満であることが好ましい。
【0185】
第1低抵抗層112は、TiSi、TiSi 2、NiSi、CoSi、CoSi 2、MoSi 2およびWSi 2のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。とりわけ、これらの種のうちのNiSi、CoSi 2およびTiSi 2は、比抵抗の値および温度依存性が比較的小さいことから、第1低抵抗層112を形成するポリサイド層として適している。第1低抵抗層112は、他の領域への拡散が少ない性質を有するCoSi 2からなることが最も好ましい。
【0186】
第1低抵抗層112は、ゲート絶縁層106に接する接触部を含む。第1低抵抗層112の接触部は、具体的には、ゲート絶縁層106の第3領域110(膨出部111)に接している。これにより、第1低抵抗層112およびSiCエピタキシャル層7の間の電流パスを抑制できる。特に、第1低抵抗層112の接触部を、ゲート絶縁層106において比較的厚い角部に接続させる設計は、電流パスのリスクを低減する上で有効である。
【0187】
n型ポリシリコンとは相異なる仕事関数を有するp型ポリシリコンをゲートトレンチ105に埋め込むことにより、ゲート閾値電圧Vthを1V程度増加させることができる。しかし、p型ポリシリコンは、n型ポリシリコンのシート抵抗よりも数十倍(おおよそ20倍)高いシート抵抗を有している。そのため、p型ポリシリコンをゲート電極107の材料として採用した場合、ゲートトレンチ105内の寄生抵抗(以下、単に「ゲート抵抗」という。)の増加に伴ってエネルギ損失が増大する。
【0188】
そこで、半導体装置101では、ゲート電極107(p型ポリシリコン)の上に第1低抵抗層112(p型ポリサイド)を形成している。第1低抵抗層112によれば、ゲート閾値電圧Vthの増加を許容させながら、ゲートトレンチ105内のシート抵抗を低減できる。
【0189】
たとえば、第1低抵抗層112を有する構造によれば、第1低抵抗層112を有さない構造と比較してシート抵抗を100分の1以下に低下させることができる。第1低抵抗層112を有する構造によれば、n型ポリシリコンを含むゲート電極107と比較してシート抵抗を5分の1以下に低下させることができる。
【0190】
これにより、ゲート抵抗を低減できるから、トレンチゲート構造104に沿って電流を効率的に拡散させることができる。つまり、第1低抵抗層112は、ゲートトレンチ105内に電流を拡散する電流拡散層として形成されている。特に、ミリメートルオーダの長さ(1mm以上の長さ)を有するゲートトレンチ105の場合には電流の伝達に時間を要するが、第1低抵抗層112によればスイッチング遅延を適切に抑制できる。
【0191】
第1低抵抗層112を有する構造によれば、ゲート閾値電圧Vthを高める上でSiCエピタキシャル層7内のp型不純物濃度を増加させなくて済む。よって、チャネル抵抗の増加を抑制しながら、ゲート閾値電圧Vthを適切に増加させることができる。
【0192】
半導体装置101は、隣り合う複数のトレンチゲート構造104の間の領域にそれぞれ形成された複数のトレンチソース構造121を含む。複数のトレンチソース構造121は、1つのトレンチゲート構造104を挟み込む態様で、第2方向Yに間隔を空けて形成されている。
【0193】
複数のトレンチソース構造121は、第1方向Xに沿って延びる帯状にそれぞれ形成されている。複数のトレンチソース構造121は、平面視において第1方向Xに沿って延びるストライプ状に形成されている。
【0194】
第2方向Yに隣り合うトレンチソース構造121の中央部間のピッチPSは、1μm以上5μm以下であってもよい。ピッチPSは、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。ピッチPSは、1.5μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0195】
各トレンチソース構造121は、ソーストレンチ122、ソース絶縁層123およびソース電極124を含む。
図10では、ソース電極124がハッチングによって示されている。
【0196】
ソーストレンチ122は、SiCエピタキシャル層7に形成されている。ソーストレンチ122は、側壁および底壁を含む。ソーストレンチ122の長辺を形成する側壁は、SiC単結晶のa面によって形成されている。ソーストレンチ122の短辺を形成する側壁は、SiC単結晶のm面によって形成されている。
【0197】
ソーストレンチ122の底壁は、高濃度領域102に位置している。ソーストレンチ122の底壁は、ゲートトレンチ105の底壁に対して第2主面4側の領域に位置している。ソーストレンチ122の底壁は、法線方向Zに関して、ゲートトレンチ105の底壁および低濃度領域103の間の領域に位置している。
【0198】
ソーストレンチ122の底壁は、SiC単結晶のc面に面している。ソーストレンチ122の底壁は、SiC単結晶のc面に対してa軸方向に傾斜したオフ角を有している。ソーストレンチ122の底壁は、第1主面3に対して平行に形成されていてもよい。ソーストレンチ122の底壁は、第2主面4に向かう湾曲状に形成されていてもよい。
【0199】
ソーストレンチ122は、ゲートトレンチ105の第1深さD1を超える第2深さD2を有している。第1深さD1に対する第2深さD2の比DS/DGは、ソーストレンチ122が高濃度領域102内に位置するという条件において、1.5以上であってもよい。比DS/DGは、2以上であることが好ましい。
【0200】
第2深さD2は、0.5μm以上10μm以下であってもよい。第2深さD2は、0.5μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。第1深さD1とほぼ等しい第2深さD2を有するソーストレンチ122が形成されてもよい。
【0201】
ソーストレンチ122は、第1トレンチ部125および第2トレンチ部126を含む。第1トレンチ部125は、ソーストレンチ122の開口側に形成されている。第1トレンチ部125は、第2方向Yに関して第1幅W1を有している。第1トレンチ部125は、第1主面3から底壁側に向かって第1幅W1が狭まる先細り形状に形成されていてもよい。
【0202】
第1トレンチ部125は、ゲートトレンチ105の底壁に対して第1主面3側の領域に形成されていることが好ましい。つまり、第1トレンチ部125の深さは、ゲートトレンチ105の第1深さD1未満であることが好ましい。ゲートトレンチ105の底壁を横切る第1トレンチ部125が形成されていてもよい。つまり、第1トレンチ部125の深さは、ゲートトレンチ105の第1深さD1を超えていてもよい。
【0203】
第1トレンチ部125の深さは、0.1μm以上2μm以下であってもよい。第1トレンチ部125の深さは、0.1μm以上0.5μm以下、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、または、1.5μm以上2μm以下であってもよい。
【0204】
第1トレンチ部125の第1幅W1は、ゲートトレンチ105の幅以上であってもよいし、ゲートトレンチ105の幅未満であってもよい。第1幅W1は、ゲートトレンチ105の幅を超えていることが好ましい。第1幅W1は、0.1μm以上2μm以下であってもよい。第1幅W1は、0.1μm以上0.5μm以下、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、または、1.5μm以上2μm以下であってもよい。
【0205】
第2トレンチ部126は、ソーストレンチ122の底壁側に形成されている。第2トレンチ部126は、法線方向Zに関して、第1トレンチ部125およびSiCエピタキシャル層7の底部の間の領域に形成され、ゲートトレンチ105の底壁を横切っている。法線方向Zに関して、第1トレンチ部125を基準とした第2トレンチ部126の深さは、ゲートトレンチ105の第1深さD1を超えていることが好ましい。
【0206】
第2トレンチ部126は、第2方向Yに関して第1幅W1未満の第2幅W2を有している。第2幅W2は、第1幅W1未満という条件下において、ゲートトレンチ105の幅以上であってもよいし、ゲートトレンチ105の幅未満であってもよい。
【0207】
第2幅W2は、0.1μm以上2μm未満であってもよい。第2幅W2は、0.1μm以上2μm未満であってもよい。第2幅W2は、0.1μm以上0.5μm以下、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、または、1.5μm以上2μm未満であってもよい。むろん、第1幅W1とほぼ等しい第2幅W2を有する第2トレンチ部126が形成されてもよい。
【0208】
ソーストレンチ122の全体的な開口幅は、ゲートトレンチ105の開口幅と同程度に形成されていることが好ましい。ソーストレンチ122の開口幅がゲートトレンチ105の開口幅と同程度であるとは、ソーストレンチ122の開口幅が、ゲートトレンチ105の開口幅の±20%の範囲内に収まっていることをいう。
【0209】
第2トレンチ部126の側壁は、法線方向Zに沿って延びていてもよい。SiCチップ2内において第2トレンチ部126の側壁が第1主面3に対して成す角度は、90°以上95°以下(たとえば91°以上93°以下)であってもよい。第2トレンチ部126の側壁は、第1主面3に対してほぼ垂直に形成されていてもよい。第2トレンチ部126は、第1トレンチ部125から底壁側に向かって第2幅W2が狭まる先細り形状に形成されていてもよい。
【0210】
ソース絶縁層123は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムまたは酸化タンタルのうちの少なくとも1つを含む。ソース絶縁層123は、酸化シリコン層および窒化シリコン層が任意の順で積層された積層構造を有していてもよい。ソース絶縁層123は、酸化シリコン層または窒化シリコン層からなる単層構造を有していてもよい。ソース絶縁層123は、この形態では、酸化シリコン層からなる単層構造を有している。
【0211】
ソース絶縁層123は、ソーストレンチ122の内壁に沿って膜状に形成され、ソーストレンチ122内においてリセス空間を区画している。ソース絶縁層123は、具体的には、第1トレンチ部125を露出させ、第2トレンチ部126を被覆するようにソーストレンチ122の内壁に沿って膜状に形成されている。
【0212】
これにより、ソース絶縁層123は、第2トレンチ部126内においてリセス空間を区画している。ソース絶縁層123は、第1トレンチ部125を露出させる側壁窓部127を有している。
【0213】
ソース絶縁層123は、第1領域128および第2領域129を含む。第1領域128は、ソーストレンチ122の側壁に沿って形成されている。第2領域129は、ソーストレンチ122の底壁に沿って形成されている。第1領域128の厚さは、第2領域129の厚さ未満である。第1領域128の厚さは、0.01μm以上0.2μm以下であってもよい。第2領域129の厚さは、0.05μm以上0.5μm以下であってもよい。
【0214】
第1領域128の厚さは、ゲート絶縁層106の第1領域128の厚さとほぼ等しくてもよい。第2領域129の厚さは、ゲート絶縁層106の第2領域129の厚さとほぼ等しくてもよい。一様な厚さを有するソース絶縁層123が形成されていてもよい。
【0215】
ソース電極124は、ソース絶縁層123を挟んでソーストレンチ122に埋設されている。ソース電極124は、具体的には、ソース絶縁層123を挟んで第1トレンチ部125および第2トレンチ部126に埋設されている。
【0216】
ソース電極124は、ソーストレンチ122の底壁側において第2トレンチ部126によって区画されたリセス空間に埋設されている。ソース電極124は、ソーストレンチ122の開口側において側壁窓部127から露出する第1トレンチ部125の側壁に接する側壁コンタクト部130を有している。
【0217】
ソース電極124は、ソーストレンチ122の開口から露出する電極面を有している。ソース電極124の電極面は、ソーストレンチ122の底壁に向かって窪んだ湾曲状に形成されている。ソース電極124の電極面は、第1主面3に対して平行に形成されていてもよい。
【0218】
法線方向Zに関して、ソース電極124の厚さは、0.5μm以上10μm以下であってもよい。ソース電極124の厚さは、0.5μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。
【0219】
ソース電極124は、金属材料以外の導電材料からなる。ソース電極124は、導電性ポリシリコンからなることが好ましい。ソース電極124は、この形態では、p型不純物が添加されたp型ポリシリコンを含む。
【0220】
ソース電極124のp型不純物濃度は、1.0×10 18cm -3以上1.0×10 22cm -3以下であってもよい。ソース電極124のp型不純物濃度は、ゲート電極107のp型不純物濃度と等しいことが好ましい。ソース電極124のp型不純物は、ホウ素、アルミニウム、インジウムおよびガリウムのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0221】
半導体装置101は、ソース電極124を被覆する第2低抵抗層131を含む。第2低抵抗層131は、ソーストレンチ122内においてソース電極124を被覆している。第2低抵抗層131は、トレンチソース構造121の一部を形成している。第2低抵抗層131は、第1低抵抗層112と同様の構造を有している。第2低抵抗層131の説明については、第1低抵抗層112の説明が準用される。
【0222】
半導体装置101は、アクティブ領域8において第1主面3の表層部に形成されたp型のボディ領域141を含む。ボディ領域141は、アクティブ領域8を画定している。ボディ領域141のp型不純物濃度は、ゲート電極107およびソース電極124のp型不純物濃度未満である。ボディ領域141のp型不純物濃度のピーク値は、1.0×10 17cm -3以上1.0×10 19cm -3以下であってもよい。
【0223】
ボディ領域141は、第1主面3の表層部において、ゲートトレンチ105の側壁およびソーストレンチ122の側壁を被覆している。ボディ領域141は、ゲートトレンチ105の底壁に対して第1主面3側の領域に形成されている。ボディ領域141は、ゲート絶縁層106を挟んでゲート電極107に対向している。
【0224】
ボディ領域141は、第2トレンチ部126に対して第1トレンチ部125側の領域に形成されている。ボディ領域141は、第1トレンチ部125を被覆している。ボディ領域141は、第1トレンチ部125から露出するソース電極124の側壁コンタクト部130に接続されている。これにより、ボディ領域141は、SiCチップ2内においてソース接地されている。ボディ領域141は、第2トレンチ部126の一部を被覆していてもよい。この場合、ボディ領域141は、ソース絶縁層123の一部を挟んでソース電極124に対向していてもよい。
【0225】
半導体装置101は、ボディ領域141の表層部に形成されたn +型のソース領域142を含む。ソース領域142は、ゲートトレンチ105に沿って形成されている。ソース領域142のn型不純物濃度のピーク値は、高濃度領域102のn型不純物濃度のピーク値を超えている。ソース領域142のn型不純物濃度のピーク値は、1.0×10 18cm -3以上1.0×10 21cm -3以下であってもよい。
【0226】
ソース領域142は、ボディ領域141の表層部においてゲートトレンチ105の側壁およびソーストレンチ122の側壁を被覆している。ソース領域142は、ゲート絶縁層106を挟んでゲート電極107に対向している。ソース領域142は、ゲート絶縁層106を挟んで第1低抵抗層112に対向していることが好ましい。
【0227】
ソース領域142は、さらに、第2トレンチ部126に対して第1トレンチ部125側の領域に形成されている。ソース領域142は、第1トレンチ部125を被覆している。ソース領域142は、第1トレンチ部125から露出するソース電極124の側壁コンタクト部130に接続されている。これにより、ソース領域142は、SiCチップ2内においてソース接地されている。
【0228】
ソース領域142は、この形態では、第1主面3においてゲート絶縁層106の第3領域110によって隠蔽された隠蔽部、および、第3領域110から露出した露出部を有している。ソース領域142の全域が第3領域110によって被覆されていてもよい。
【0229】
ソース領域142においてゲートトレンチ105の側壁に沿う部分は、ボディ領域141内において高濃度領域102との間でMISFETのチャネルを画定している。チャネルのON/OFFは、ゲート電極107によって制御される。
【0230】
半導体装置101は、アクティブ領域8において第1主面3の表層部に形成されたp +型の複数のコンタクト領域143を含む。各コンタクト領域143のp型不純物濃度のピーク値は、ボディ領域141のp型不純物濃度のピーク値を超えている。各コンタクト領域143のp型不純物濃度のピーク値は、1.0×10 18cm -3以上1.0×10 21cm -3以下であってもよい。
【0231】
複数のコンタクト領域143は、複数のソーストレンチ122に沿う領域にそれぞれ形成されている。複数のコンタクト領域143は、具体的には、対応する1つのソーストレンチ122に対して1対複数の関係で形成されている。複数のコンタクト領域143は、対応するソーストレンチ122に沿って間隔を空けてそれぞれ形成されている。複数のコンタクト領域143は、ゲートトレンチ105から間隔を空けてそれぞれ形成されている。
【0232】
各コンタクト領域143は、対応する第1トレンチ部125を被覆している。各コンタクト領域143は、対応する第1トレンチ部125において、ソース電極124の側壁コンタクト部130およびソース領域142の間に介在している。各コンタクト領域143は、さらに、対応する第1トレンチ部125において、ソース電極124の側壁コンタクト部130およびボディ領域141の間に介在している。
【0233】
これにより、各コンタクト領域143は、ソース電極124、ボディ領域141およびソース領域142に電気的に接続されている。各コンタクト領域143は、SiCチップ2内においてソース接地されている。
【0234】
各コンタクト領域143において第1トレンチ部125を被覆する部分は、ゲートトレンチ105に向けて引き出されている。各コンタクト領域143において第1トレンチ部125を被覆する部分は、ボディ領域141の底部に対して第1主面3側の領域に形成されている。各コンタクト領域143において第1トレンチ部125を被覆する部分は、ゲートトレンチ105およびソーストレンチ122の間の中間領域まで延びていてもよい。
【0235】
各コンタクト領域143は、さらに、対応する第2トレンチ部126を被覆している。各コンタクト領域143は、対応する第2トレンチ部126において、ソース絶縁層123を挟んでソース電極124に対向している。
【0236】
各コンタクト領域143は、さらに、対応するソーストレンチ122の底壁を被覆している。各コンタクト領域143は、対応するソーストレンチ122の底壁を挟んでソース電極124に対向している。各コンタクト領域143の底部は、対応するソーストレンチ122の底壁に対して平行に形成されていてもよい。
【0237】
半導体装置101は、アクティブ領域8において第1主面3の表層部に形成されたp型の複数のディープウェル領域144を含む。各ディープウェル領域144のp型不純物濃度のピーク値は、コンタクト領域143のp型不純物濃度のピーク値未満である。
【0238】
各ディープウェル領域144のp型不純物濃度のピーク値は、ボディ領域141のp型不純物濃度のピーク値以上であってもよいし、ボディ領域141のp型不純物濃度のピーク値未満であってもよい。各ディープウェル領域144のp型不純物濃度のピーク値は、1.0×10 17cm -3以上1.0×10 19cm -3以下であってもよい。
【0239】
複数のディープウェル領域144は、複数のソーストレンチ122に対して1対1対応の関係で形成されている。各ディープウェル領域144は、平面視において対応するソーストレンチ122に沿って延びる帯状に形成されている。各ディープウェル領域144は、高濃度領域102に形成されている。各ディープウェル領域144は、ボディ領域141に対して第2主面4側の領域に形成されている。各ディープウェル領域144は、ボディ領域141に連なっている。
【0240】
各ディープウェル領域144は、対応する第2トレンチ部126を被覆する部分を含む。各ディープウェル領域144は、コンタクト領域143を挟んで対応する第2トレンチ部126を被覆する部分を含む。各ディープウェル領域144は、さらに、対応するソーストレンチ122の底壁を被覆する部分を含む。各ディープウェル領域144は、コンタクト領域143を挟んで対応するソーストレンチ122の底壁を被覆する部分を含む。
【0241】
各ディープウェル領域144は、ゲートトレンチ105の底壁に対して第2主面4側に位置する底部を有している。各ディープウェル領域144の底部は、各ソーストレンチ122の底壁に対して平行に形成されていてもよい。複数のディープウェル領域144は、一定の深さで形成されていることが好ましい。
【0242】
各ディープウェル領域144は、高濃度領域102との間でpn接合部を形成している。このpn接合部からは、ゲートトレンチ105に向けて空乏層が拡がる。空乏層は、ゲートトレンチ105の底壁にオーバラップしてもよい。
【0243】
pn接合ダイオードだけを備える半導体装置101では、トレンチを備えていないという構造上、SiCチップ2内における電界集中の問題は少ない。各ディープウェル領域144は、トレンチゲート型のMISFETをpn接合ダイオードの構造に近づける。これにより、トレンチゲート型のMISFETにおいて、SiCチップ2内における電界を緩和できる。
【0244】
ゲートトレンチ105の底壁に対して第2主面4側に底部を有するディープウェル領域144によれば、空乏層によって、ゲートトレンチ105に対する電界集中を適切に緩和できる。複数のソーストレンチ122(ディープウェル領域144)の間のピッチPSを狭めることは、電界集中を緩和し、耐圧を向上させる上で有効である。
【0245】
複数のディープウェル領域144は、一定の深さで形成されていることが好ましい。これにより、SiCチップ2の耐圧(たとえば破壊耐量)が各ディープウェル領域144によって制限されることを抑制できるから、耐圧の向上を適切に図ることができる。
【0246】
ソーストレンチ122を利用することにより、SiCチップ2の比較的深い領域にディープウェル領域144を適切に形成できる。ソーストレンチ122に沿ってディープウェル領域144を形成できるから、複数のディープウェル領域144の深さにバラツキが生じるのを適切に抑制できる。
【0247】
この形態では、高濃度領域102の一部が複数のディープウェル領域144の間の領域に介在している。これにより、複数のディープウェル領域144の間の領域においてJFET(Junction Field Effect Transistor)抵抗を低減できる。
【0248】
この形態では、各ディープウェル領域144の底部が高濃度領域102に位置している。これにより、高濃度領域102における各ディープウェル領域144の直下の領域において第1主面3に対して平行な横方向に電流経路を形成できる。その結果、電流拡がり抵抗を低減できる。低濃度領域103は、このような構造において、SiCチップ2の耐圧を高める。
【0249】
主面絶縁層12は、第1主面3の全域を被覆している。主面絶縁層12は、アクティブ領域8においてソース領域142およびコンタクト領域143を被覆している。主面絶縁層12は、具体的には、アクティブ領域8において第2方向Yに沿う断面視においてソース領域142の全域およびコンタクト領域143の全域を被覆している。主面絶縁層12は、平面視においてソース領域142の全域およびコンタクト領域143の全域を被覆している。
【0250】
主面絶縁層12は、さらに具体的には、アクティブ領域8において第1トレンチ部125を横切ってソース電極124を被覆している。主面絶縁層12は、第1主面3の上においてソース電極124の側壁コンタクト部130を被覆している。
【0251】
主面絶縁層12は、アクティブ領域8において複数のソース電極124をそれぞれ露出させる複数のコンタクト開口151を有している。複数のコンタクト開口151は、複数のソース電極124に対して1対1対応の関係で形成されている。各コンタクト開口151は、トレンチソース構造121に沿って延びる帯状に形成されていてもよい。各コンタクト開口151は、平面視においてソーストレンチ122(第1トレンチ部125)の側壁によって取り囲まれた領域内に形成されている。
【0252】
各コンタクト開口151は、ソーストレンチ122(第1トレンチ部125)の側壁からソーストレンチ122の内方に間隔を空けてソース電極124を露出させている。コンタクト開口151は、ソース電極124のみを露出させている。コンタクト開口151の開口エッジ部は、コンタクト開口151内に向かう湾曲状に形成されている。
【0253】
ソース電極124の電極面には、ソーストレンチ122の底壁に向かって窪んだリセス152が形成されている。リセス152は、トレンチソース構造121に沿って延びる帯状に形成されていてもよい。リセス152は、平面視においてソーストレンチ122(第1トレンチ部125)の側壁によって取り囲まれた領域内に形成されている。
【0254】
リセス152は、ソーストレンチ122(第1トレンチ部125)の側壁からソーストレンチ122の内方に間隔を空けて形成されている。リセス152は、第2低抵抗層131を露出させている。リセス152は、第2低抵抗層131を貫通していてもよい。コンタクト開口151は、ソース電極124のリセス152に連通している。
【0255】
主面絶縁層12の周縁は、側面5A~5Dから露出している。主面絶縁層12の周縁は、この形態では、側面5A~5Dに連なっている。主面絶縁層12の周縁は、側面5A~5Dから内方に間隔を空けて形成されていてもよい。この場合、主面絶縁層12は、第1主面3において外側領域9に位置する部分を露出させる。
【0256】
主面絶縁層12の厚さは、0.1μm以上10μm以下であってもよい。主面絶縁層12の厚さは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。主面絶縁層12の厚さは、0.5μm以上5μm以下であることが好ましい。
【0257】
第1主面電極21は、主面絶縁層12の上に形成されている。第1主面電極21の厚さT1は、1μm以上100μm以下であってもよい。厚さT1は、1μm以上10μm以下、10μm以上20μm以下、20μm以上40μm以下、40μm以上60μm以下、60μm以上80μm以下、または、80μm以上100μm以下であってもよい。厚さT1は、20μm以上60μm以下であることが好ましい。
【0258】
第1主面電極21は、ゲート主面電極153、ゲート配線電極154およびソース主面電極155を含む。ゲート主面電極153(ゲート配線電極154)には、ゲート電圧が印加される。ゲート電圧は、10V以上50V以下(たとえば30V程度)であってもよい。ソース主面電極155には、ソース電圧が印加される。ソース電圧は、基準電圧(たとえばGND電圧)であってもよい。
【0259】
ゲート主面電極153は、アクティブ領域8に形成されている。ゲート主面電極153は、平面視において第1側面5A側の領域に形成されている。ゲート主面電極153は、具体的には、平面視において第1側面5Aの中央部に形成されている。ゲート主面電極153は、平面視において側面5A~5Dのうちの任意の2つを接続する角部に形成されていてもよい。ゲート主面電極153は、平面視において四角形状に形成されていてもよい。
【0260】
ゲート配線電極154は、ゲート主面電極153から引き出されており、アクティブ領域8の周縁に沿って帯状に延びている。ゲート配線電極154は、この形態では、第1側面5A、第3側面5Cおよび第4側面5Dに沿って延び、アクティブ領域8の内方を3方向から区画している。ゲート配線電極154は、主面絶縁層12を介してゲート電極107に電気的に接続されている。ゲート主面電極153からの電気信号は、ゲート配線電極154を介してゲート電極107に伝達される。
【0261】
ソース主面電極155は、ゲート主面電極153およびゲート配線電極154から間隔を空けてアクティブ領域8に形成されている。ソース主面電極155は、ゲート主面電極153およびゲート配線電極154によって区画された領域を被覆し、平面視においてC字形状に形成されている。
【0262】
ソース主面電極155は、コンタクト開口151を介してソース電極124に電気的に接続されている。つまり、この形態では、金属材料からなるソース主面電極155が導電性ポリシリコンからなるソース電極124に電気的に接続されている。
【0263】
第1主面電極21(ゲート主面電極153、ゲート配線電極154およびソース主面電極155)は、SiCチップ2側からこの順に積層されたバリア電極22および主電極23を含む積層構造をそれぞれ有している。
【0264】
バリア電極22は、この形態では、Ti層およびTiN層のうちの少なくとも1を含む。バリア電極22は、SiCチップ2側からこの順に積層されたTi層およびTiN層を含む積層構造を有していることが好ましい。バリア電極22は、Ti層またはTiN層からなる単層構造を有していてもよい。
【0265】
バリア電極22の厚さは、0.01μm以上1μm以下であってもよい。バリア電極22の厚さは、0.01μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.2μm以下、0.2μm以上0.4μm以下、0.4μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.8μm以下、または、0.8μm以上1μm以下であってもよい。
【0266】
主電極23は、バリア電極22の上に膜状に形成されている。主電極23は、バリア電極22の主面の全域を被覆している。主電極23は、バリア電極22の抵抗値未満の抵抗値を有している。主電極23は、Al系金属層からなる。主電極23は、具体的には、純Al層、AlSi合金層、AlCu合金層およびAlSiCu合金層のうちの少なくとも1つを含む。
【0267】
主電極23は、純Al層、AlSi合金層、AlCu合金層およびAlSiCu合金層のうちの2つ以上が任意の順序で積層された積層構造を有していてもよい。主電極23は、純Al層、AlSi合金層、AlCu合金層またはAlSiCu合金層からなる単層構造を有していてもよい。主電極23は、AlSi合金層、AlCu合金層またはAlSiCu合金層からなる単層構造を有していることが好ましい。
【0268】
主電極23の厚さは、バリア電極22の厚さを超えている。主電極23の厚さは、10μm以上100μm以下であってもよい。主電極23の厚さは、10μm以上20μm以下、20μm以上40μm以下、40μm以上60μm以下、60μm以上80μm以下、または、80μm以上100μm以下であってもよい。主電極23の厚さは、20μm以上60μm以下であることが好ましい。バリア電極22の厚さは主電極23の厚さと比較して極めて小さいため、第1主面電極21の厚さT1は、主電極23の厚さに近似される。
【0269】
絶縁層24は、第1主面3の上において第1主面電極21を被覆している。
図9では、絶縁層24がハッチングによって示されている。絶縁層24は、具体的には、主面絶縁層12の上に形成されている。絶縁層24の周縁は、側面5A~5Dから内方に間隔を空けて形成されている。これにより、絶縁層24は、主面絶縁層12の周縁部を露出させている。
【0270】
絶縁層24の周縁は、側面5A~5Dとの間でダイシングストリート25を区画している。ダイシングストリート25によれば、ウエハから半導体装置101を切り出す際に、絶縁層24を物理的に切断せずに済む。これにより、ウエハから半導体装置101を円滑に切り出すことができると同時に、絶縁層24の剥離や劣化を抑制できる。その結果、絶縁層24によってSiCチップ2や第1主面電極21等の保護対象物を適切に保護できる。
【0271】
ダイシングストリート25の幅は、1μm以上25μm以下であってもよい。ダイシングストリート25の幅は、ダイシングストリート25が延びる方向に直交する方向の幅である。ダイシングストリート25の幅は、1μm以上5μm以下、5μm以上10μm以下、10μm以上15μm以下、15μm以上20μm以下、または、20μm以上25μm以下であってもよい。
【0272】
絶縁層24は、第1主面電極21を露出させるパッド開口26を有している。パッド開口26は、この形態では、ゲート主面電極153を露出させるゲートパッド開口161、および、ソース主面電極155を露出させるソースパッド開口162を含む。ゲートパッド開口161は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する多角形状に形成されていてもよい。ソースパッド開口162は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する多角形状に形成されていてもよい。ゲートパッド開口161の平面形状およびソースパッド開口162の平面形状は、任意である。
【0273】
絶縁層24は、具体的には、SiCチップ2側からこの順に積層された無機絶縁層30および有機絶縁層31を含む積層構造を有している。無機絶縁層30は、主面絶縁層12、ゲート主面電極153およびソース主面電極155に沿って膜状に形成されている。無機絶縁層30は、第1ゲート内壁163、第1ソース内壁164および第1外壁165を含む。以下、第1ゲート内壁163、第1ソース内壁164および第1外壁165を纏めて第1壁面ということがある。
【0274】
第1ゲート内壁163は、ゲート主面電極153の一部を露出させる第1ゲート開口166を区画している。第1ゲート開口166は、ゲートパッド開口161の一部を形成している。第1ゲート開口166は、ゲート主面電極153の平面形状に相似する平面形状を有し、ゲート主面電極153の内方部を露出させている。第1ゲート開口166の平面形状は任意である。第1ゲート開口166は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する多角形状に区画されていてもよい。
【0275】
第1ソース内壁164は、ソース主面電極155の一部を露出させる第1ソース開口167を区画している。第1ソース開口167は、ソースパッド開口162の一部を形成している。第1ソース開口167は、ソース主面電極155の平面形状に相似する平面形状を有し、ソース主面電極155の内方部を露出させている。第1ソース開口167の平面形状は任意である。第1ソース開口167は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する多角形状に区画されていてもよい。
【0276】
無機絶縁層30の第1外壁165は、側面5A~5Dから内方に間隔を空けて形成され、側面5A~5Dとの間でダイシングストリート25の一部を区画している。これにより、無機絶縁層30は、主面絶縁層12の周縁部を露出させている。第1外壁165は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する四角形状に形成されていてもよい。
【0277】
無機絶縁層30の第1壁面が、無機絶縁層30内において第1主面電極21の主面との間で成す角度は、30°以上90°以下であってもよい。第1壁面が、無機絶縁層30内において第1主面電極21の主面との間で成す角度は、45°以上90°未満であることが好ましい。第1壁面の角度は、第1壁面の下端部および上端部を結ぶ直線が、第1主面電極21の主面との間で成す角度によって定義される。
【0278】
無機絶縁層30は、Niに対する密着性が高い性質を有している。無機絶縁層30は、酸化シリコン層および窒化シリコン層のうちの少なくとも1つを含む。無機絶縁層30は、SiCチップ2側からこの順に積層された酸化シリコン層および窒化シリコン層を含む積層構造を有していてもよい。無機絶縁層30は、酸化シリコン層または窒化シリコン層からなる単層構造を有していてもよい。無機絶縁層30は、主面絶縁層12とは異なる絶縁材料を含むことが好ましい。無機絶縁層30は、この形態では、窒化シリコン層からなる単層構造を有している。
【0279】
無機絶縁層30の厚さT2は、第1主面電極21の厚さT1未満(T2<T1)であることが好ましい。厚さT2は、0.1μm以上10μm以下であってもよい。厚さT2は、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。厚さT2は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。厚さT2は、1μm以上2μm以下であることが特に好ましい。
【0280】
有機絶縁層31は、無機絶縁層30の上に膜状に形成されている。有機絶縁層31は、第2ゲート内壁168、第2ソース内壁169および第2外壁170を含む。以下、第2ゲート内壁168、第2ソース内壁169および第2外壁170を纏めて第2壁面ということがある。
【0281】
図13を参照して、第2ゲート内壁168は、この形態では、無機絶縁層30側に向けて窪んだ湾曲状に形成されている。第2ゲート内壁168は、ゲート主面電極153の一部を露出させる第2ゲート開口171を区画している。第2ゲート開口171は、ゲート主面電極153の平面形状に相似する平面形状を有し、ゲート主面電極153の内方部を露出させている。第2ゲート開口171の平面形状は任意である。第2ゲート開口171は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する多角形状に区画されていてもよい。
【0282】
第2ゲート開口171は、無機絶縁層30の第1ゲート開口166に連通し、第1ゲート開口166との間でゲートパッド開口161を形成している。第2ゲート開口171は、第1ゲート開口166から間隔を空けて第1ゲート開口166を取り囲み、無機絶縁層30の一部を露出させている。有機絶縁層31は、具体的には、第1ゲート開口166および第2ゲート開口171の間の領域において無機絶縁層30の主面の一部をゲート内周縁172として露出させている。
【0283】
ゲート内周縁172の幅WGは、0μmを超えて10μm以下であってもよい。幅WGは、0μmを超えて1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。幅WGは、1μm以上5μm以下であることが好ましい。幅WGは、任意であるが、無機絶縁層30の厚さT2以下(WG≦T2)であることが好ましい。幅WGは、1μm以上2μm以下であることが特に好ましい。
【0284】
図14を参照して、第2ソース内壁169は、この形態では、無機絶縁層30側に向けて窪んだ湾曲状に形成されている。第2ソース内壁169は、ソース主面電極155の一部を露出させる第2ソース開口173を区画している。第2ソース開口173は、ソース主面電極155の平面形状に相似する平面形状を有し、ソース主面電極155の内方部を露出させている。第2ソース開口173の平面形状は任意である。第2ソース開口173は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する多角形状に区画されていてもよい。
【0285】
第2ソース開口173は、無機絶縁層30の第1ソース開口167に連通し、第1ソース開口167との間でソースパッド開口162を形成している。第2ソース開口173は、第1ソース開口167から間隔を空けて第1ソース開口167を取り囲み、無機絶縁層30の一部を露出させている。有機絶縁層31は、具体的には、第1ソース開口167および第2ソース開口173の間の領域において無機絶縁層30の主面の一部をソース内周縁174として露出させている。
【0286】
ソース内周縁174の幅WSは、0μmを超えて10μm以下であってもよい。幅WSは、0μmを超えて1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。幅WSは、1μm以上5μm以下であることが好ましい。幅WSは、任意であるが、無機絶縁層30の厚さT2以下(WS≦T2)であることが好ましい。幅WSは、1μm以上2μm以下であることが特に好ましい。
【0287】
有機絶縁層31の第2外壁170は、この形態では、無機絶縁層30側に向けて窪んだ湾曲状に形成されている。第2外壁170は、側面5A~5Dから内方に間隔を空けて無機絶縁層30の上に形成され、側面5A~5Dとの間でダイシングストリート25の一部を区画している。これにより、有機絶縁層31は、主面絶縁層12の周縁部を露出させている。第2外壁170は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する四角形状に形成されていてもよい。
【0288】
有機絶縁層31の第2外壁170は、無機絶縁層30の第1外壁165を横切って主面絶縁層12の上に形成されていてもよい。この場合、有機絶縁層31の第2外壁170によってダイシングストリート25が区画される。
【0289】
有機絶縁層31の第2壁面が有機絶縁層31内において無機絶縁層30の主面との間で成す角度は、30°以上90°以下であってもよい。第2壁面が、有機絶縁層31内において無機絶縁層30の主面との間で成す角度は、45°以上90°未満であることが好ましい。第2壁面の角度は、第2壁面の下端部および上端部を結ぶ直線が、無機絶縁層30の主面との間で成す角度によって定義される。
【0290】
有機絶縁層31は、無機絶縁層30と比較してNiに対する密着性が低い性質を有している。有機絶縁層31は、ネガティブタイプまたはポジティブタイプの感光性樹脂を含む。有機絶縁層31は、ポリイミド、ポリアミドおよびポリベンゾオキサゾールのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。有機絶縁層31は、この形態では、ポリイミドを含む。
【0291】
有機絶縁層31は、無機絶縁層30の厚さT2を超える厚さT3(T2<T3)を有していることが好ましい。無機絶縁層30の厚さT2に対する有機絶縁層31の厚さT3の比T3/T2は、1を超えて10以下であってもよい。比T3/T2は、1を超えて、2以下、2以上4以下、4以上6以下、6以上8以下、8以上10以下であってもよい。比T3/T2は、2以上6以下であることが好ましい。
【0292】
厚さT3は、1μm以上50μm以下であってもよい。厚さT3は、1μm以上10μm以下、10μm以上20μm以下、20μm以上30μm以下、30μm以上40μm以下、または、40μm以上50μm以下であってもよい。厚さT3は、5μm以上30μm以下であることが好ましい。
【0293】
第1主面電極21の粗面領域39は、この形態では、ゲート粗面領域175およびソース粗面領域176を含む。ゲート粗面領域175は、ゲート主面電極153においてゲートパッド開口161(無機絶縁層30の第1ゲート開口166)から露出する露出面に形成されている。ゲート粗面領域175は、第1ゲート内壁163の直下の領域に形成された窪みを含む。これにより、第1ゲート内壁163は、ゲート粗面領域175にオーバハングした部分を含む。
【0294】
ソース粗面領域176は、ソース主面電極155においてソースパッド開口162(無機絶縁層30の第1ソース開口167)から露出する露出面に形成されている。ソース粗面領域176は、第1ソース内壁164の直下の領域に形成された窪みを含む。これにより、第1ソース内壁164は、ソース粗面領域176にオーバハングした部分を含む。
【0295】
パッド電極40は、この形態では、ゲートパッド電極181およびソースパッド電極182を含む。ゲートパッド電極181は、ゲートパッド開口161内においてゲート主面電極153の上に形成された第1Niめっき層183を含む。第1Niめっき層183は、第1実施形態に係るNiめっき層41に対応している。
【0296】
第1Niめっき層183は、第1ゲート開口166内においてゲート主面電極153を被覆し、第2ゲート開口171内において無機絶縁層30のゲート内周縁172を被覆している。第1Niめっき層183は、有機絶縁層31(絶縁層24)の主面からゲート主面電極153側に間隔を空けて形成された外面を有している。第1Niめっき層183は、第2ゲート開口171内において有機絶縁層31を被覆している。
【0297】
図13を参照して、第1Niめっき層183は、具体的には、ゲート主面電極153を被覆する第1部分183A、および、無機絶縁層30のゲート内周縁172を被覆する第2部分183Bを有している。
【0298】
第1Niめっき層183の第1部分183Aは、第1ゲート開口166内においてゲート粗面領域175を埋めてゲート主面電極153を被覆している。第1部分183Aは、無機絶縁層30の第1ゲート内壁163の全域を被覆し、第1ゲート開口166の開口端から第2ゲート開口171の開口端に向かって突出している。第1部分183Aは、無機絶縁層30の第1ゲート内壁163に接続され、無機絶縁層30の厚さ方向に延びる第1接続部を有している。
【0299】
第1Niめっき層183の第2部分183Bは、第2ゲート開口171内において第1部分183Aから有機絶縁層31側に向けて引き出されている。第2部分183Bは、第1ゲート開口166の開口端を起点に有機絶縁層31に向かう円弧状に形成されている。
【0300】
第2部分183Bは、第2ゲート開口171内において無機絶縁層30のゲート内周縁172を被覆している。これにより、第2部分183Bは、無機絶縁層30のゲート内周縁172を挟んでゲート主面電極153に対向している。第2部分183Bは、無機絶縁層30の主面に接続され、無機絶縁層30の幅方向に延びる第2接続部を有している。
【0301】
第2部分183Bは、この形態では、第2ゲート開口171内において有機絶縁層31の第2ゲート内壁168をさらに被覆している。第2部分183Bは、有機絶縁層31の第2ゲート内壁168の中間部に対して無機絶縁層30側の領域を被覆している。換言すると、第2部分183Bは、第2ゲート内壁168(有機絶縁層31)の露出面積が第2ゲート内壁168(有機絶縁層31)の隠蔽面積を超えるように有機絶縁層31を被覆している。このように、第1Niめっき層183は、第1部分183Aおよび第2部分183Bが第1ゲート開口166の開口端に異なる2方向から係合(engage)するように形成されている。
【0302】
第1Niめっき層183は、無機絶縁層30の厚さT2を超える厚さT4(T2<T4)を有している。厚さT4は、有機絶縁層31の厚さT3未満(T3<T4)である。厚さT4は、無機絶縁層30の厚さT2にゲート内周縁172の幅WGを加算した値(T2+WG)を超えている(T2+WG<T4)。これは、第1Niめっき層183が有機絶縁層31の第2ゲート内壁168に接する条件である。厚さT4は、ゲート主面電極153の主面を基準とする第1Niめっき層183の厚さによって定義される。
【0303】
無機絶縁層30の厚さT2に対する第1Niめっき層183の厚さT4の比T4/T2は、1を超えて5以下であってもよい。比T4/T2は、1を超えて2以下、2以上3以下、3以上4以下、または、4以上5以下であってもよい。
【0304】
厚さT4は、0.1μm以上15μm以下であってもよい。厚さT4は、0.1μm以上1μm以下、1μm以上3μm以下、3μm以上6μm以下、6μm以上9μm以下、9μm以上12μm以下、または、12μm以上15μm以下であってもよい。厚さT4は、2μm以上8μm以下であることが好ましい。
【0305】
ゲートパッド電極181は、第1Niめっき層183とは異なる金属材料からなり、第2ゲート開口171内において第1Niめっき層183の外面を被覆する第1外面めっき層184を含む。第1外面めっき層184は、第1実施形態に係る外面めっき層42に対応している。
【0306】
第1外面めっき層184は、第1Niめっき層183の厚さT4未満の厚さT5(T5<T4)を有している。第1外面めっき層184は、第2ゲート開口171内において有機絶縁層31の第2ゲート内壁168を被覆している。
【0307】
第1外面めっき層184は、導電接合材(たとえば半田)を介して外部接続されるゲート端子面185Aを有している。ゲート端子面185Aは、有機絶縁層31の主面(第2ゲート開口171の開口端)に対して第1Niめっき層183側に位置している。これにより、第1外面めっき層184は、有機絶縁層31の第2ゲート内壁168の一部を露出させている。
【0308】
第1外面めっき層184は、具体的には、第1Niめっき層183側からこの順に積層された第1Pdめっき層185および第1Auめっき層186を含む積層構造を有している。第1Pdめっき層185および第1Auめっき層186は、第1実施形態に係るPdめっき層43およびAuめっき層44にそれぞれ対応している。
【0309】
第1Pdめっき層185は、第1Niめっき層183の外面に沿って膜状に形成されている。第1Pdめっき層185は、第2ゲート開口171の開口端から無機絶縁層30側に間隔を空けて第1Niめっき層183を被覆している。第1Pdめっき層185は、第2ゲート開口171内において有機絶縁層31の第2ゲート内壁168を被覆している。
【0310】
第1Pdめっき層185は、第1Niめっき層183の厚さT4未満の厚さを有している。第1Pdめっき層185の厚さは、0.01μm以上1μm以下であってもよい。第1Pdめっき層185の厚さは、0.01μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.2μm以下、0.2μm以上0.4μm以下、0.4μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.8μm以下、または、0.8μm以上1μm以下であってもよい。
【0311】
第1Auめっき層186は、第1Pdめっき層185の外面に沿って膜状に形成されている。第1Auめっき層186は、第2ゲート開口171の開口端から無機絶縁層30側に間隔を空けて第1Pdめっき層185を被覆している。第1Auめっき層186は、第2ゲート開口171内において有機絶縁層31の第2ゲート内壁168を被覆している。
【0312】
第1Auめっき層186は、第1Niめっき層183の厚さT4未満の厚さを有している。第1Auめっき層186の厚さは、0.01μm以上1μm以下であってもよい。第1Auめっき層186の厚さは、0.01μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.2μm以下、0.2μm以上0.4μm以下、0.4μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.8μm以下、または、0.8μm以上1μm以下であってもよい。
【0313】
この形態では、第1外面めっき層184が第1Pdめっき層185および第1Auめっき層186を含む積層構造を有している例について説明した。しかし、前述の
図4A~
図4Dに示された第2~第4形態例に係る外面めっき層42のうちのいずれか1つと同様の形態を有する第1外面めっき層184が採用されてもよい。
【0314】
ソースパッド電極182は、ソースパッド開口162内においてソース主面電極155の上に形成された第2Niめっき層193を含む。第2Niめっき層193は、第1実施形態に係るNiめっき層41に対応している。
【0315】
第2Niめっき層193は、第1ソース開口167内においてソース主面電極155を被覆し、第2ソース開口173内において無機絶縁層30のソース内周縁174を被覆している。第2Niめっき層193は、有機絶縁層31(絶縁層24)の主面からソース主面電極155側に間隔を空けて形成された外面を有している。第2Niめっき層193は、第2ソース開口173内において有機絶縁層31を被覆している。
【0316】
図14を参照して、第2Niめっき層193は、具体的には、ソース主面電極155を被覆する第1部分193A、および、無機絶縁層30のソース内周縁174を被覆する第2部分193Bを有している。
【0317】
第2Niめっき層193の第1部分193Aは、第1ソース開口167内においてソース粗面領域176を埋めてソース主面電極155を被覆している。第1部分193Aは、無機絶縁層30の第1ソース内壁164の全域を被覆し、第1ソース開口167の開口端から第2ソース開口173の開口端に向かって突出している。第1部分193Aは、無機絶縁層30の第1ソース内壁164に接続され、無機絶縁層30の厚さ方向に延びる第1接続部を有している。
【0318】
第2Niめっき層193の第2部分193Bは、第2ソース開口173内において第1部分193Aから有機絶縁層31側に向けて引き出されている。第2部分193Bは、第1ソース開口167の開口端を起点に有機絶縁層31に向かう円弧状に形成されている。
【0319】
第2部分193Bは、第2ソース開口173内において無機絶縁層30のソース内周縁174を被覆している。これにより、第2部分193Bは、無機絶縁層30のソース内周縁174を挟んでソース主面電極155に対向している。第2部分193Bは、無機絶縁層30の主面に接続され、無機絶縁層30の幅方向に延びる第2接続部を有している。
【0320】
第2部分193Bは、この形態では、第2ソース開口173内において有機絶縁層31の第2ソース内壁169をさらに被覆している。第2部分193Bは、有機絶縁層31の第2ソース内壁169の中間部に対して無機絶縁層30側の領域を被覆している。換言すると、第2部分193Bは、第2ソース内壁169(有機絶縁層31)の露出面積が第2ソース内壁169(有機絶縁層31)の隠蔽面積を超えるように有機絶縁層31を被覆している。このように、第2Niめっき層193は、第1部分193Aおよび第2部分193Bが第1ソース開口167の開口端に異なる2方向から係合(engage)するように形成されている。
【0321】
第2Niめっき層193は、無機絶縁層30の厚さT2を超える厚さT4(T2<T4)を有している。厚さT4は、有機絶縁層31の厚さT3未満(T3<T4)である。厚さT4は、無機絶縁層30の厚さT2にソース内周縁174の幅WSを加算した値(T2+WS)を超えている(T2+WS<T4)。これは、第2Niめっき層193が有機絶縁層31の第2ソース内壁169に接する条件である。厚さT4は、ソース主面電極155の主面を基準とする第2Niめっき層193の厚さによって定義される。
【0322】
無機絶縁層30の厚さT2に対する第2Niめっき層193の厚さT4の比T4/T2は、1を超えて5以下であってもよい。比T4/T2は、1を超えて2以下、2以上3以下、3以上4以下、または、4以上5以下であってもよい。
【0323】
厚さT4は、0.1μm以上15μm以下であってもよい。厚さT4は、0.1μm以上1μm以下、1μm以上3μm以下、3μm以上6μm以下、6μm以上9μm以下、9μm以上12μm以下、または、12μm以上15μm以下であってもよい。厚さT4は、2μm以上8μm以下であることが好ましい。
【0324】
ソースパッド電極182は、第2Niめっき層193とは異なる金属材料からなり、第2ソース開口173内において第2Niめっき層193の外面を被覆する第2外面めっき層194を含む。第2外面めっき層194は、第1実施形態に係る外面めっき層42に対応している。
【0325】
第2外面めっき層194は、第2Niめっき層193の厚さT4未満の厚さT5(T5<T4)を有している。第2外面めっき層194は、第2ソース開口173内において有機絶縁層31の第2ソース内壁169を被覆している。
【0326】
第2外面めっき層194は、導電接合材(たとえば半田)を介して外部接続されるソース端子面194Aを有している。ソース端子面194Aは、有機絶縁層31の主面(第2ソース開口173の開口端)に対して第2Niめっき層193側に位置している。これにより、第2外面めっき層194は、有機絶縁層31の第2ソース内壁169の一部を露出させている。
【0327】
第2外面めっき層194は、具体的には、第2Niめっき層193側からこの順に積層された第2Pdめっき層195および第2Auめっき層196を含む積層構造を有している。第2Pdめっき層195および第2Auめっき層196は、第1実施形態に係るPdめっき層43およびAuめっき層44にそれぞれ対応している。
【0328】
第2Pdめっき層195は、第2Niめっき層193の外面に沿って膜状に形成されている。第2Pdめっき層195は、第2ソース開口173の開口端から無機絶縁層30側に間隔を空けて第2Niめっき層193を被覆している。第2Pdめっき層195は、第2ソース開口173内において有機絶縁層31の第2ソース内壁169を被覆している。
【0329】
第2Pdめっき層195は、第2Niめっき層193の厚さT4未満の厚さを有している。第2Pdめっき層195の厚さは、0.01μm以上1μm以下であってもよい。第2Pdめっき層195の厚さは、0.01μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.2μm以下、0.2μm以上0.4μm以下、0.4μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.8μm以下、または、0.8μm以上1μm以下であってもよい。
【0330】
第2Auめっき層196は、第2Pdめっき層195の外面に沿って膜状に形成されている。第2Auめっき層196は、第2ソース開口173の開口端から無機絶縁層30側に間隔を空けて第2Pdめっき層195を被覆している。第2Auめっき層196は、第2ソース開口173内において有機絶縁層31の第2ソース内壁169を被覆している。
【0331】
第2Auめっき層196は、第2Niめっき層193の厚さT4未満の厚さを有している。第2Auめっき層196の厚さは、0.01μm以上1μm以下であってもよい。第2Auめっき層196の厚さは、0.01μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.2μm以下、0.2μm以上0.4μm以下、0.4μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.8μm以下、または、0.8μm以上1μm以下であってもよい。
【0332】
この形態では、第2外面めっき層194が第2Pdめっき層195および第2Auめっき層196を含む積層構造を有している例について説明した。しかし、前述の
図4A~
図4Dに示された第2~第4形態例に係る外面めっき層42のうちのいずれか1つと同様の形態を有する第2外面めっき層194が採用されてもよい。
【0333】
第2主面電極46は、第2主面4の全域を被覆している。第2主面電極46は、第2主面4との間でオーミック接触を形成している。第2主面電極46は、ドレイン電極として形成されている。
【0334】
第2主面電極46は、Ti層、Ni層、Pd層、Au層およびAg層のうちの少なくとも1つを含む。第2主面電極46は、Ti層、Ni層、Pd層、Au層およびAg層のうちの少なくとも2つを任意の順序で積層した積層構造を有していてもよい。第2主面電極46は、Ti層、Ni層、Pd層、Au層およびAg層からなる単層構造を有していてもよい。第2主面電極46は、オーミック電極としてのTi層を含むことが好ましい。第2主面電極46は、この形態では、第2主面4側からこの順に積層されたTi層、Ni層、Pd層、Au層およびAg層を含む積層構造を有している。
【0335】
以上、SBDに代えてMISFETを含む半導体装置101によっても、半導体装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
【0336】
図15は、
図12の対応図であって、本発明の第4実施形態に係る半導体装置201を示す断面図である。
図16は、
図15に示す領域XVIの拡大図である。
図17は、
図15に示す領域XVIIの拡大図である。以下では、半導体装置101(
図9~
図14参照)に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0337】
図15~
図17を参照して、有機絶縁層31は、第1ゲート開口166および第2ゲート開口171の間の領域において無機絶縁層30のゲート内周縁172を露出させている。ゲート内周縁172の幅WGは、無機絶縁層30の厚さT2を超えていることが好ましい(T2<WG)。
【0338】
無機絶縁層30の厚さT2に対するゲート内周縁172の幅WGの比WG/T2は、1を超えて10以下であってもよい。比WG/T2は、1を超えて2以下、2以上4以下、4以上6以下、6以上8以下、または、8以上10以下であってもよい。比WG/T2は、2以上5以下であることが好ましい。幅WGは、0μmを超えて10μm以下であってもよい。幅WGは、0μmを超えて2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。
【0339】
第1Niめっき層183は、ゲートパッド開口161内においてゲート主面電極153の上に形成されている。第1Niめっき層183は、第1ゲート開口166内においてゲート主面電極153を被覆し、第2ゲート開口171内において無機絶縁層30のゲート内周縁172を被覆している。第1Niめっき層183は、有機絶縁層31(絶縁層24)の主面からゲート主面電極153側に間隔を空けて形成された外面を有している。第1Niめっき層183は、第2ゲート開口171内において有機絶縁層31から間隔を空けて無機絶縁層30のゲート内周縁172を被覆している。
【0340】
図16を参照して、第1Niめっき層183は、具体的には、ゲート主面電極153を被覆する第1部分183A、および、無機絶縁層30のゲート内周縁172を被覆する第2部分183Bを有している。
【0341】
第1Niめっき層183の第1部分183Aは、第1ゲート開口166内においてゲート粗面領域175を埋めてゲート主面電極153を被覆している。第1部分183Aは、第1ゲート開口166内において無機絶縁層30の第1ゲート内壁163の全域を被覆し、第1ゲート開口166の開口端から第2ゲート開口171の開口端に向かって突出している。第1部分183Aは、無機絶縁層30の第1ゲート内壁163に接続され、無機絶縁層30の厚さ方向に延びる第1接続部を有している。
【0342】
第1Niめっき層183の第2部分183Bは、第2ゲート開口171内において第1部分183Aから有機絶縁層31側に向けて引き出されている。第2部分183Bは、第1ゲート開口166の開口端を起点に有機絶縁層31の第2ゲート内壁168に向かう円弧状に形成されている。
【0343】
第2部分183Bは、第2ゲート開口171内において無機絶縁層30のゲート内周縁172を被覆している。第2部分183Bは、この形態では、無機絶縁層30の内周縁38の一部が露出するように、第2ゲート開口171内において有機絶縁層31の第2ゲート内壁168から無機絶縁層30の第1ゲート内壁163側に間隔を空けて無機絶縁層30のゲート内周縁172を部分的に被覆している。
【0344】
これにより、第1Niめっき層183は、無機絶縁層30のゲート内周縁172の一部および有機絶縁層31の第2ゲート内壁168の全域を露出させている。第2部分183Bは、無機絶縁層30のゲート内周縁172を挟んでゲート主面電極153に対向している。第2部分183Bは、無機絶縁層30の主面に接続され、無機絶縁層30の幅方向に延びる第2接続部を有している。
【0345】
第1Niめっき層183は、無機絶縁層30の厚さT2を超える厚さT4(T2<T4)を有している。厚さT4は、無機絶縁層30の厚さT2にゲート内周縁172の幅WGを加算した値(T2+WG)未満(T4<T2+WG)である。これは、第1Niめっき層183が有機絶縁層31の第2ゲート内壁168を露出させる条件である。厚さT4は、ゲート主面電極153の主面を基準とする第1Niめっき層183の厚さによって定義される。
【0346】
無機絶縁層30の厚さT2に対する第1Niめっき層183の厚さT4の比T4/T2は、1を超えて5以下であってもよい。比T4/T2は、1を超えて2以下、2以上3以下、3以上4以下、または、4以上5以下であってもよい。厚さT4は、0.1μm以上10μm以下であってもよい。厚さT4は、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。
【0347】
第1外面めっき層184は、第2ゲート開口171内において第1Niめっき層183の外面を被覆している。第1外面めっき層184は、第1Niめっき層183の厚さT4未満の厚さT5(T5<T4)を有している。第1外面めっき層184は、この形態では、無機絶縁層30の内周縁38の一部が露出するように、第2ゲート開口171内において有機絶縁層31の第2ゲート内壁168から無機絶縁層30の第1ゲート内壁163側に間隔を空けて無機絶縁層30のゲート内周縁172を部分的に被覆している。
【0348】
第1外面めっき層184は、導電接合材(たとえば半田)を介して外部接続されるゲート端子面184Aを有している。ゲート端子面184Aは、有機絶縁層31の主面(第2ゲート開口171の開口端)に対して第1Niめっき層183側に位置している。これにより、第1外面めっき層184は、第2ゲート開口171内において無機絶縁層30のゲート内周縁172の一部および有機絶縁層31の第2ゲート内壁168の全域を露出させている。
【0349】
第1外面めっき層184は、具体的には、第1Niめっき層183側からこの順に積層された第1Pdめっき層185およびPdめっき層186を含む積層構造を有している。第1Pdめっき層185は、第1Niめっき層183の外面に沿って膜状に形成されている。第1Pdめっき層185は、第2ゲート開口171の開口端から無機絶縁層30側に間隔を空けて第1Niめっき層183を被覆している。
【0350】
第1Pdめっき層185は、無機絶縁層30の内周縁38の一部が露出するように、第2ゲート開口171内において有機絶縁層31の第2ゲート内壁168から無機絶縁層30の第1ゲート内壁163側に間隔を空けて無機絶縁層30のゲート内周縁172を部分的に被覆している。これにより、第1Pdめっき層185は、第2ゲート開口171内において無機絶縁層30のゲート内周縁172の一部および有機絶縁層31の第2ゲート内壁168の全域を露出させている。
【0351】
第1Pdめっき層185は、第1Niめっき層183の厚さT4未満の厚さを有している。第1Pdめっき層185の厚さは、0.01μm以上1μm以下であってもよい。第1Pdめっき層185の厚さは、0.01μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.2μm以下、0.2μm以上0.4μm以下、0.4μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.8μm以下、または、0.8μm以上1μm以下であってもよい。
【0352】
Pdめっき層186は、第1Pdめっき層185の外面に沿って膜状に形成されている。Pdめっき層186は、第2ゲート開口171の開口端から無機絶縁層30側に間隔を空けて第1Pdめっき層185を被覆している。
【0353】
Pdめっき層186は、無機絶縁層30の内周縁38の一部が露出するように、第2ゲート開口171内において有機絶縁層31の第2ゲート内壁168から無機絶縁層30の第1ゲート内壁163側に間隔を空けて無機絶縁層30のゲート内周縁172を部分的に被覆している。これにより、Pdめっき層186は、第2ゲート開口171内において無機絶縁層30のゲート内周縁172の一部および有機絶縁層31の第2ゲート内壁168の全域を露出させている。
【0354】
Pdめっき層186は、第1Niめっき層183の厚さT4未満の厚さを有している。Pdめっき層186の厚さは、0.01μm以上1μm以下であってもよい。Pdめっき層186の厚さは、0.01μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.2μm以下、0.2μm以上0.4μm以下、0.4μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.8μm以下、または、0.8μm以上1μm以下であってもよい。
【0355】
この形態では、第1外面めっき層184が第1Pdめっき層185およびPdめっき層186を含む積層構造を有している例について説明した。しかし、前述の
図8A~
図8Dに示された第2~第4形態例に係る外面めっき層42のうちのいずれか1つと同様の形態を有する第1外面めっき層184が採用されてもよい。
【0356】
有機絶縁層31は、第1ソース開口167および第2ソース開口173の間の領域において無機絶縁層30のソース内周縁174を露出させている。ソース内周縁174の幅WSは、この形態では、無機絶縁層30の厚さT2を超えている(T2<WS)。
【0357】
無機絶縁層30の厚さT2に対するゲート内周縁172の幅WSの比WS/T2は、1を超えて10以下であってもよい。比WS/T2は、1を超えて2以下、2以上4以下、4以上6以下、6以上8以下、または、8以上10以下であってもよい。比WS/T2は、2以上5以下であることが好ましい。幅WSは、0μmを超えて10μm以下であってもよい。幅WSは、0μmを超えて2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。
【0358】
第2Niめっき層193は、ソースパッド開口162内においてソース主面電極155の上に形成されている。第2Niめっき層193は、第2ソース開口173内においてソース主面電極155を被覆し、第2ソース開口173内において無機絶縁層30のソース内周縁174を被覆している。第2Niめっき層193は、有機絶縁層31(絶縁層24)の主面からソース主面電極155側に間隔を空けて形成された外面を有している。第2Niめっき層193は、第2ソース開口173内において有機絶縁層31から間隔を空けて無機絶縁層30のソース内周縁174を被覆している。
【0359】
図17を参照して、第2Niめっき層193は、具体的には、ソース主面電極155を被覆する第1部分193A、および、無機絶縁層30のソース内周縁174を被覆する第2部分193Bを有している。
【0360】
第2Niめっき層193の第1部分193Aは、第1ソース開口167内においてソース粗面領域176を埋めてソース主面電極155を被覆している。第1部分193Aは、第1ソース開口167内において無機絶縁層30の第1ソース内壁164の全域を被覆し、第1ソース開口167の開口端から第2ソース開口173の開口端に向かって突出している。第1部分193Aは、無機絶縁層30の第1ソース内壁164に接続され、無機絶縁層30の厚さ方向に延びる第1接続部を有している。
【0361】
第2Niめっき層193の第2部分193Bは、第2ソース開口173内において第1部分193Aから有機絶縁層31側に向けて引き出されている。第2部分193Bは、第1ソース開口167の開口端を起点に有機絶縁層31の第2ソース内壁169に向かう円弧状に形成されている。
【0362】
第2部分193Bは、第2ソース開口173内において無機絶縁層30のソース内周縁174を被覆している。第2部分193Bは、この形態では、無機絶縁層30の内周縁38の一部が露出するように、第2ソース開口173内において有機絶縁層31の第2ソース内壁169から無機絶縁層30の第1ソース内壁164側に間隔を空けて無機絶縁層30のソース内周縁174を部分的に被覆している。
【0363】
これにより、第2Niめっき層193は、無機絶縁層30のソース内周縁174の一部および有機絶縁層31の第2ソース内壁169の全域を露出させている。第2部分193Bは、無機絶縁層30のソース内周縁174を挟んでソース主面電極155に対向している。第2部分193Bは、無機絶縁層30の主面に接続され、無機絶縁層30の幅方向に延びる第2接続部を有している。
【0364】
第2Niめっき層193は、無機絶縁層30の厚さT2を超える厚さT4(T2<T4)を有している。厚さT4は、有機絶縁層31の厚さT3未満(T3<T4)である。厚さT4は、無機絶縁層30の厚さT2にソース内周縁174の幅WSを加算した値(T2+WS)未満(T4<T2+WS)である。これは、第2Niめっき層193が有機絶縁層31の第2ソース内壁169を露出させる条件である。厚さT4は、ソース主面電極155の主面を基準とする第2Niめっき層193の厚さによって定義される。
【0365】
無機絶縁層30の厚さT2に対する第2Niめっき層193の厚さT4の比T4/T2は、1を超えて5以下であってもよい。比T4/T2は、1を超えて2以下、2以上3以下、3以上4以下、または、4以上5以下であってもよい。厚さT4は、0.1μm以上10μm以下であってもよい。厚さT4は、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。
【0366】
第2外面めっき層194は、第2ソース開口173内において第2Niめっき層193の外面を被覆している。第2外面めっき層194は、第2Niめっき層193の厚さT4未満の厚さT5(T5<T4)を有している。第2外面めっき層194は、この形態では、無機絶縁層30の内周縁38の一部が露出するように、第2ソース開口173内において有機絶縁層31の第2ソース内壁169から無機絶縁層30の第1ソース内壁164側に間隔を空けて無機絶縁層30のソース内周縁174を部分的に被覆している。
【0367】
第2外面めっき層194は、導電接合材(たとえば半田)を介して外部接続されるソース端子面194Aを有している。ソース端子面194Aは、有機絶縁層31の主面(第2ソース開口173の開口端)に対して第2Niめっき層193側に位置している。これにより、第2外面めっき層194は、第2ソース開口173内において無機絶縁層30のソース内周縁174の一部および有機絶縁層31の第2ソース内壁169の全域を露出させている。
【0368】
第2外面めっき層194は、具体的には、第2Niめっき層193側からこの順に積層された第2Pdめっき層195および第2Auめっき層196を含む積層構造を有している。第2Pdめっき層195は、第2Niめっき層193の外面に沿って膜状に形成されている。第2Pdめっき層195は、第2ソース開口173の開口端から無機絶縁層30側に間隔を空けて第2Niめっき層193を被覆している。
【0369】
第2Pdめっき層195は、無機絶縁層30の内周縁38の一部が露出するように、第2ソース開口173内において有機絶縁層31の第2ソース内壁169から無機絶縁層30の第1ソース内壁164側に間隔を空けて無機絶縁層30のソース内周縁174を部分的に被覆している。これにより、第2Pdめっき層195は、第2ソース開口173内において無機絶縁層30のソース内周縁174の一部および有機絶縁層31の第2ソース内壁169の全域を露出させている。
【0370】
第2Pdめっき層195は、第2Niめっき層193の厚さT4未満の厚さを有している。第2Pdめっき層195の厚さは、0.01μm以上1μm以下であってもよい。第2Pdめっき層195の厚さは、0.01μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.2μm以下、0.2μm以上0.4μm以下、0.4μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.8μm以下、または、0.8μm以上1μm以下であってもよい。
【0371】
第2Auめっき層196は、第2Pdめっき層195の外面に沿って膜状に形成されている。第2Auめっき層196は、第2ソース開口173の開口端から無機絶縁層30側に間隔を空けて第2Pdめっき層195を被覆している。
【0372】
第2Auめっき層196は、無機絶縁層30の内周縁38の一部が露出するように、第2ソース開口173内において有機絶縁層31の第2ソース内壁169から無機絶縁層30の第1ソース内壁164側に間隔を空けて無機絶縁層30のソース内周縁174を部分的に被覆している。これにより、第2Auめっき層196は、第2ソース開口173内において無機絶縁層30のソース内周縁174の一部および有機絶縁層31の第2ソース内壁169の全域を露出させている。
【0373】
第2Auめっき層196は、第2Niめっき層193の厚さT4未満の厚さを有している。第2Auめっき層196の厚さは、0.01μm以上1μm以下であってもよい。第2Auめっき層196の厚さは、0.01μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.2μm以下、0.2μm以上0.4μm以下、0.4μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.8μm以下、または、0.8μm以上1μm以下であってもよい。
【0374】
この形態では、第2外面めっき層194が第2Pdめっき層195および第2Auめっき層196を含む積層構造を有している例について説明した。しかし、前述の
図8A~
図8Dに示された第2~第4形態例に係る外面めっき層42のうちのいずれか1つと同様の形態を有する第2外面めっき層194が採用されてもよい。
【0375】
以上、半導体装置201によっても、半導体装置101に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。半導体装置201によれば、半導体装置61に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
【0376】
図18は、第1~第4実施形態に係る半導体装置(符号略)が組み込まれる半導体パッケージ301を一方側から見た平面図である。
図19は、
図18に示す半導体パッケージ301を他方側から見た平面図である。
図20は、
図18に示す半導体パッケージ301の斜視図である。
図21は、
図18に示す半導体パッケージ301の分解斜視図である。
図22は、
図18に示すXXII-XXII線に沿う断面図である。
図23は、
図18に示す半導体パッケージ301の回路図である。
【0377】
図18~
図23を参照して、半導体パッケージ301は、この形態では、パワーガードと称される形態を有している。半導体パッケージ301は、樹脂製のパッケージ本体302を含む。パッケージ本体302は、フィラー(たとえば絶縁フィラー)およびマトリクス樹脂を含むモールド樹脂からなる。マトリクス樹脂は、エポキシ樹脂からなることが好ましい。
【0378】
パッケージ本体302は、一方側の第1主面303(第1面)、他方側の第2主面304(第2面)、ならびに、第1主面303および第2主面304を接続する側面305A~305Dを有している。第1主面303および第2主面304は、それらの法線方向Zから見た平面視において四角形状(この形態では長方形状)に形成されている。
【0379】
側面305A~305Dは、第1側面305A、第2側面305B、第3側面305Cおよび第4側面305Dを含む。第1側面305Aおよび第2側面305Bは、第1方向Xに沿って延び、第1方向Xに交差する第2方向Yに対向している。第1側面305Aおよび第2側面305Bは、パッケージ本体302の長辺を形成している。第3側面305Cおよび第4側面305Dは、第2方向Yに沿って延び、第1方向Xに対向している。第3側面305Cおよび第4側面305Dは、パッケージ本体302の短辺を形成している。第2方向Yは、具体的には、第1方向Xに直交している。
【0380】
半導体パッケージ301は、パッケージ本体302内に配置された第1金属板310を含む。第1金属板310は、パッケージ本体302の第1主面303側に配置され、第1放熱部311および第1端子部312を一体的に含む。第1放熱部311は、第1主面303から露出するようにパッケージ本体302内に配置されている。第1放熱部311は、平面視において第1方向Xに沿って延びる長方形状に形成されている。第1放熱部311は、第1主面303の平面積未満の平面積を有し、側面305A~305Dから内方に間隔を空けて第1主面303から露出している。
【0381】
第1端子部312は、第1側面305Aから露出している。第1端子部312は、具体的には、第1放熱部311から第1側面305Aに向けて帯状に延び、第1側面305Aを貫通してパッケージ本体302外に引き出されている。第1放熱部311は、第1側面305A(第2側面305B)の中央部を第2方向Yに横切る中央ラインLCを設定したとき、当該中央ラインLCに対して第4側面305D側に位置している。
【0382】
第1端子部312は、第2方向Yに関して第1長さL1を有している。第1端子部312の第1方向Xの幅は、第1放熱部311の第1方向Xの幅未満である。第1端子部312は、パッケージ本体302内において第1主面303側から第2主面304側に折れ曲がった屈曲部313を介して第1放熱部311に接続されている。これにより、第1端子部312は、第1主面303から第2主面304側に間隔を空けて第1側面305Aから露出している。
【0383】
半導体パッケージ301は、パッケージ本体302内に配置された第2金属板320を含む。第2金属板320は、第1金属板310から間隔を空けてパッケージ本体302の第2主面304側に配置され、第2放熱部321および第2端子部322を一体的に含む。第2放熱部321は、第2主面304から露出するようにパッケージ本体302内に配置されている。第2放熱部321は、平面視において第1方向Xに沿って延びる長方形状に形成されている。第2放熱部321は、第2主面304の平面積未満の平面積を有し、側面305A~305Dから内方に間隔を空けて第2主面304から露出している。
【0384】
第2端子部322は、第1側面305Aから露出している。第2端子部322は、具体的には、第2放熱部321から第1側面305Aに向けて帯状に延び、第1側面305Aを貫通してパッケージ本体302外に引き出されている。第2端子部322は、中央ラインLCに対して第3側面305C側に位置している。
【0385】
第2端子部322は、この形態では、第2方向Yに関して第1端子部312の第1長さL1とは異なる第2長さL2を有している。第1端子部312および第2端子部322は、それらの形状(長さ)から識別される。第2端子部322の第2長さL2は、第1長さL1を超えていてもよいし、第1長さL1未満であってもよい。むろん、第1長さL1と等しい第2長さL2を有する第2端子部322が形成されてもよい。
【0386】
第2端子部322の第1方向Xの幅は、第2放熱部321の第1方向Xの幅未満である。第2端子部322は、パッケージ本体302内において第2主面304側から第1主面303側に折れ曲がった屈曲部323を介して第2放熱部321に接続されている。これにより、第2端子部322は、第2主面304から第1主面303側に間隔を空けて第2側面305Bから露出している。
【0387】
第2端子部322は、法線方向Zに関して、第1端子部312とは異なる厚さ位置から引き出されている。第2端子部322は、この形態では、第1端子部312から第2主面304側に間隔を空けて形成されている。第2端子部322は、第1方向Xに関して第1端子部312と対向していない。
【0388】
半導体パッケージ301は、パッケージ本体302内に配置された1つまたは複数(この形態では5つ)の制御端子330を含む。複数の制御端子330は、第1端子部312および第2端子部322が露出した第1側面305Aとは反対側の第2側面305Bから露出している。複数の制御端子330は、中央ラインLCに対して第3側面305C側に位置している。複数の制御端子330は、平面視において第2金属板320の第2端子部322と同一直線状に位置している。複数の制御端子330の配置は任意である。
【0389】
複数の制御端子330は、第2方向Yに沿って延びる帯状にそれぞれ形成されている。複数の制御端子330は、具体的には、内部接続部331、外部接続部332および帯状部333をそれぞれ含む。内部接続部331は、パッケージ本体302内に配置されている。外部接続部332は、パッケージ本体302外に配置されている。
【0390】
帯状部333は、内部接続部331から第2側面305Bを貫通して外部接続部332に向けて帯状に延びている。帯状部333は、パッケージ本体302外に位置する部分において第2主面304側に向けて窪んだ湾曲部334を有していてもよい。むろん、湾曲部334を有さない帯状部333が形成されてもよい。
【0391】
複数の制御端子330は、法線方向Zに関して、第1放熱部311および第2放熱部321とは異なる厚さ位置から引き出されている。複数の制御端子330は、この形態では、第1放熱部311および第2放熱部321から間隔を空けて第1放熱部311および第2放熱部321の間の領域に配置されている。
【0392】
半導体パッケージ301は、パッケージ本体302内に配置されたSBDチップ341およびMISFETチップ342を含む。SBDチップ341は、第1~第2実施形態に係る半導体装置(符号略)のいずれか一方からなる。MISFETチップ342は、第3~第4実施形態に係る半導体装置(符号略)のいずれか一方からなる。
【0393】
SBDチップ341は、パッケージ本体302内において第1放熱部311および第2放熱部321によって挟まれた空間に配置されている。SBDチップ341は、中央ラインLCに対してパッケージ本体302の第4側面305D側に配置されている。SBDチップ341は、第2主面電極46を第2放熱部321に対向させた姿勢で、第2放熱部321の上に配置されている。
【0394】
MISFETチップ342は、SBDチップ341から間隔を空けてパッケージ本体302内において第1放熱部311および第2放熱部321によって挟まれた空間に配置されている。MISFETチップ342は、中央ラインLCに対してパッケージ本体302の第3側面305C側に配置されている。MISFETチップ342は、第2主面電極46を第2放熱部321に対向させた姿勢で、第2放熱部321の上に配置されている。
【0395】
半導体パッケージ301は、第1導電接合材343および第2導電接合材344を含む。第1導電接合材343および第2導電接合材344は、半田または金属ペーストをそれぞれ含む。第1導電接合材343は、SBDチップ341の第2主面電極46および第2放熱部321の間に介在し、SBDチップ341および第2放熱部321を熱的、機械的および電気的に接続している。第2導電接合材344は、MISFETチップ342の第2主面電極46および第2放熱部321の間に介在し、MISFETチップ342および第2放熱部321を熱的、機械的および電気的に接続している。
【0396】
これにより、SBDチップ341のカソードは、MISFETチップ342のドレインに電気的に接続されている。つまり、第2金属板320(第2放熱部321)は、SBDチップ341およびMISFETチップ342に対するカソード・ドレイン端子として機能する。
【0397】
半導体パッケージ301は、第1金属スペーサ351および第2金属スペーサ352を含む。第1金属スペーサ351および第2金属スペーサ(板状部材)352は、この形態では、銅を含む板状部材からそれぞれなる。第2金属スペーサ352は、第1金属スペーサ351の厚さと等しい厚さを有している。
【0398】
第1金属スペーサ351は、SBDチップ341および第1放熱部311の間に介在し、SBDチップ341から第1放熱部311を離間させている。第2金属スペーサ352は、MISFETチップ342および第1放熱部311の間に介在し、MISFETチップ342から第1放熱部311を離間させている。この形態では、第1金属スペーサ351および第2金属スペーサ352が別体であるが、第1金属スペーサ351および第2金属スペーサ352は一体的に形成されていてもよい。
【0399】
半導体パッケージ301は、第3導電接合材353および第4導電接合材354を含む。第3導電接合材353および第4導電接合材354は、半田または金属ペーストをそれぞれ含む。第3導電接合材353および第4導電接合材354は、それぞれ半田からなることが好ましい。
【0400】
第3導電接合材353は、SBDチップ341のパッド電極40および第1金属スペーサ351の間に介在し、SBDチップ341および第1金属スペーサ351を熱的、機械的および電気的に接続している。第4導電接合材354は、MISFETチップ342のソースパッド電極182および第2金属スペーサ352の間に介在し、MISFETチップ342および第2金属スペーサ352を熱的、機械的および電気的に接続している。
【0401】
半導体パッケージ301は、第5導電接合材355および第6導電接合材356を含む。第5導電接合材355および第6導電接合材356は、半田または金属ペーストをそれぞれ含む。第5導電接合材355は、第1放熱部311および第1金属スペーサ351の間に介在し、第1放熱部311および第1金属スペーサ351を熱的、機械的および電気的に接続している。第6導電接合材356は、第1放熱部311および第2金属スペーサ352の間に介在し、第1放熱部311および第2金属スペーサ352を熱的、機械的および電気的に接続している。
【0402】
これにより、SBDチップ341のアノードは、MISFETチップ342のソースに電気的に接続されている。つまり、第1金属板310(第1放熱部311)は、SBDチップ341およびMISFETチップ342に対するアノード・ソース端子として機能する。
【0403】
半導体パッケージ301は、1つまたは複数(この形態では5つ)の導線357を含む。導線357は、ボンディングワイヤとも称される。導線357は、金ワイヤ、銅ワイヤまたはアルミニウムワイヤからなっていてもよい。複数の導線357は、MISFETチップ342のゲートパッド電極181および複数の制御端子330の内部接続部331にそれぞれ接続されている。
【0404】
これにより、MISFETチップ342のゲートは、複数の制御端子330に電気的に接続されている。つまり、複数の制御端子330は、MISFETチップ342のゲート端子としてそれぞれ機能する。導線357は、全ての制御端子330およびゲートパッド電極181を接続させる必要はない。任意の制御端子330は、電気的に開放されていてもよい。
【0405】
以上、半導体パッケージ301によれば、SBDチップ341のパッド電極40に第1導電接合材343が接続される。SBDチップ341のパッド電極40は、第1~第2実施形態において述べた通り、Niめっき層41および外面めっき層42を含む。これにより、SBDチップ341のパッド電極40に対して第1導電接合材343を適切に接続させることができる。よって、SBDチップ341を第1放熱部311および第2放熱部321に熱的、機械的および電気的に適切に接続させることができる。
【0406】
SBDチップ341が有機絶縁層31を備えていない場合、パッケージ本体302に含有されるフィラーに起因してSBDチップ341のパッド電極40等にクラックや剥離等が生じる場合がある。この種の問題はフィラーアタックと称され、パッド電極40等の信頼性低下の一要因になっている。そこで、SBDチップ341では、無機絶縁層30の上に有機絶縁層31が形成されている。これにより、有機絶縁層31がフィラーに対するクッションになるから、フィラーアタックからパッド電極40等を適切に保護できる。
【0407】
さらに、SBDチップ341では、第1~第2実施形態において述べた通り、有機絶縁層31を備えた構造において、Niめっき層41が無機絶縁層30の内周縁38に接続された構造を有している。これにより、フィラーアタックに起因するNiめっき層41(外面めっき層42)のクラックや剥離等も適切に抑制できる。
【0408】
半導体パッケージ301によれば、MISFETチップ342のソースパッド電極182に第2導電接合材344が接続される。MISFETチップ342のソースパッド電極182は、第3~第4実施形態において述べた通り、第2Niめっき層193および第2外面めっき層194を含む。これにより、MISFETチップ342のソースパッド電極182に対して第2導電接合材344を適切に接続させることができる。よって、MISFETチップ342を第1放熱部311および第2放熱部321に熱的、機械的および電気的に適切に接続させることができる。
【0409】
MISFETチップ342が有機絶縁層31を備えていない場合、パッケージ本体302に含有されるフィラーに起因してMISFETチップ342のソースパッド電極182等にクラックや剥離等が生じる場合がある。この種の問題はフィラーアタックと称され、ソースパッド電極182等の信頼性低下の一要因になっている。そこで、MISFETチップ342では、無機絶縁層30の上に有機絶縁層31が形成されている。これにより、有機絶縁層31がフィラーに対するクッションになるから、フィラーアタックからソースパッド電極182等を適切に保護できる。
【0410】
さらに、MISFETチップ342では、第3~第4実施形態において述べた通り、有機絶縁層31を備えた構造において、第2Niめっき層193が無機絶縁層30の第1ソース内壁164に接続された構造を有している。これにより、フィラーアタックに起因する第2Niめっき層193(第2外面めっき層194)のクラックや剥離等も適切に抑制できる。MISFETチップ342では、ゲートパッド電極181側においても、ソースパッド電極182側の効果と同様の効果を奏することができる。
【0411】
この形態では、半導体パッケージ301がSBDチップ341およびMISFETチップ342を含む例について説明した。しかし、SBDチップ341およびMISFETチップ342のいずれか一方だけを含む半導体パッケージ301が採用されてもよい。複数のSBDチップ341および/または複数のMISFETチップ342を含む半導体パッケージ301が採用されてもよい。
【0412】
本発明の実施形態は、さらに他の形態で実施できる。
【0413】
前述の第3~第4実施形態において、ゲート閾値電圧Vthの増加を重視しない場合には、ゲート電極107は、p型ポリシリコンに代えて、n型不純物が添加されたn型ポリシリコンを含んでいてもよい。この場合、n型ポリサイドからなる第1低抵抗層112が形成される。このような構造の場合、ゲート抵抗をより一層低減できる。
【0414】
前述の第3~第4実施形態において、p型ポリシリコンに代えて、n型不純物が添加されたn型ポリシリコンを含んでいてもよい。前述の第3~第4実施形態において、第1低抵抗層112および第2低抵抗層131のいずれか一方または双方が形成されていない構造が採用されてもよい。
【0415】
前述の第3~第4実施形態において、n +型のドレイン領域に代えてp +型のコレクタ領域が採用されてもよい。この構造によれば、MISFETに代えて、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を提供できる。この場合、前述の第3~第4実施形態において、MISFETの「ソース」がIGBTの「エミッタ」に読み替えられ、MISFETの「ドレイン」がIGBTの「コレクタ」に読み替えられる。
【0416】
前述の各実施形態において、SiCチップ2に代えてSi単結晶からなるSiチップが採用されてもよい。つまり、前述の各実施形態に係る半導体装置(符号略)は、Si半導体装置であってもよい。前述の各実施形態において、各半導体部分の導電型が反転された構造が採用されてもよい。つまり、p型の部分がn型とされ、n型の部分がp型とされてもよい。
【0417】
以下、この明細書および図面から抽出される特徴の例を示す。以下の[A1]~[A20]および[B1]~[B15]は、有機絶縁層の開口から露出する電極の上にNiめっき層が形成される構造において、Niめっき層の信頼性を向上できる半導体装置を提供する。
【0418】
[A1]チップと、前記チップの上に形成された電極と、前記電極を被覆し、前記電極を露出させる第1開口を有する無機絶縁層と、前記無機絶縁層を被覆し、前記第1開口から間隔を空けて前記第1開口を取り囲む第2開口を有し、前記第1開口および前記第2開口の間の領域において前記無機絶縁層の内周縁を露出させる有機絶縁層と、前記第1開口内において前記電極を被覆し、前記第2開口内において前記無機絶縁層の前記内周縁を被覆するNiめっき層と、を含む、半導体装置。
【0419】
[A2]前記Niめっき層は、前記第2開口内において前記有機絶縁層を被覆している、A1に記載の半導体装置。
【0420】
[A3]前記Niめっき層は、前記第2開口の開口端から前記無機絶縁層側に間隔を空けて形成されている、A2に記載の半導体装置。
【0421】
[A4]前記Niめっき層は、前記第2開口内において前記有機絶縁層の露出面積が前記有機絶縁層の隠蔽面積を超えるように前記有機絶縁層を被覆している、A2またはA3に記載の半導体装置。
【0422】
[A5]前記無機絶縁層の前記内周縁は、前記無機絶縁層の厚さ以下の幅を有している、A2~A4のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0423】
[A6]前記第2開口内において前記Niめっき層の外面を被覆する外面めっき層をさらに含む、A2~A5のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0424】
[A7]前記外面めっき層は、前記第2開口内において前記有機絶縁層を被覆している、A6に記載の半導体装置。
【0425】
[A8]前記外面めっき層は、前記第2開口の開口端から前記無機絶縁層側に間隔を空けて前記Niめっき層を被覆している、A6またはA7に記載の半導体装置。
【0426】
[A9]前記外面めっき層は、前記Niめっき層の厚さ未満の厚さを有している、A6~A8のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0427】
[A10]前記Niめっき層は、前記第2開口内において前記有機絶縁層から間隔を空けて前記無機絶縁層の前記内周縁を被覆している、A1に記載の半導体装置。
【0428】
[A11]前記Niめっき層は、前記第2開口の開口端から前記無機絶縁層側に間隔を空けて形成されている、A10に記載の半導体装置。
【0429】
[A12]前記無機絶縁層の前記内周縁は、前記無機絶縁層の厚さを超える幅を有している、A10またはA11に記載の半導体装置。
【0430】
[A13]前記第2開口内において前記Niめっき層の外面を被覆する外面めっき層をさらに含む、A10~A12のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0431】
[A14]前記外面めっき層は、前記無機絶縁層の前記内周縁を被覆している、A13に記載の半導体装置。
【0432】
[A15]前記外面めっき層は、前記有機絶縁層から間隔を空けて前記Niめっき層を被覆している、A13またはA14に記載の半導体装置。
【0433】
[A16]前記外面めっき層は、前記第2開口の開口端から前記無機絶縁層側に間隔を空けて前記Niめっき層を被覆している、A13~A15のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0434】
[A17]前記外面めっき層は、前記Niめっき層の厚さ未満の厚さを有している、A13~A16のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0435】
[A18]前記チップは、SiCチップからなる、A1~A17のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0436】
[A19]一方側の第1面、他方側の第2面、および、側面を有する樹脂製のパッケージ本体と、前記第1面から露出する第1放熱部、および、前記側面から露出する第1端子部を有し、前記パッケージ本体内に配置された第1金属板と、前記第2面から露出する第2放熱部、および、前記側面から露出する第2端子部を有し、前記第1金属板から前記第2面側に間隔を空けて前記パッケージ本体内に配置された第2金属板と、前記パッケージ本体内において前記第1放熱部および前記第2放熱部によって挟まれた空間に配置されたA1~A18のいずれか一つに記載の半導体装置と、を含む、半導体パッケージ。
【0437】
[B1]チップと、前記チップの上に形成された電極と、前記電極を被覆し、前記電極を露出させる第1開口を有する無機絶縁層と、前記無機絶縁層を被覆し、前記第1開口から間隔を空けて前記第1開口を取り囲む第2開口を有し、前記第1開口および前記第2開口の間の領域において前記無機絶縁層の内周縁を露出させる有機絶縁層と、前記第1開口内において前記電極を被覆し、前記第2開口内において前記無機絶縁層の前記内周縁を被覆するNiめっき層と、を含み、
前記有機絶縁層は、前記無機絶縁層の第1外壁よりも内方に位置する第2外壁を有している、半導体装置。
【0438】
[B2]前記Niめっき層は、前記第2開口の開口端から前記無機絶縁層側に間隔を空けて形成されている、B1に記載の半導体装置。
【0439】
[B3]前記第2開口内において前記Niめっき層の外面を被覆する外面めっき層をさらに含む、B1またはB2に記載の半導体装置。
【0440】
[B4]前記外面めっき層は、前記Niめっき層の厚さ未満の厚さを有している、B3に記載の半導体装置。
【0441】
[B5]前記無機絶縁層の前記内周縁は、前記無機絶縁層の厚さを超える幅を有している、B1~B4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0442】
[B6]前記有機絶縁層の前記第2外壁は、前記無機絶縁層側に窪んだ湾曲状に形成されている、B1~B5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0443】
[B7]前記チップは、SiCチップからなる、B1~B6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0444】
[B8]前記チップに形成されたトランジスタをさらに含む、B1~B7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0445】
[B9]前記トランジスタは、ストライプ状に延びる複数の単位セルを含む、B8に記載の半導体装置。
【0446】
[B10]前記トランジスタは、前記複数の単位セルに沿ってストライプ状に延びる複数のトレンチゲート構造を含む、B9に記載の半導体装置。
【0447】
[B11]前記チップは、平面視で長方形状を有し、
複数の前記トレンチゲート構造は、前記チップの短辺に沿って延びている、B10に記載の半導体装置。
【0448】
[B12]前記チップは、平面視で長方形状を有している、B1~B10のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0449】
[B13]前記チップが、前記電極によって被覆される第1主面と反対側の第2主面を有し、
前記第2主面を被覆する裏面電極をさらに含み、
前記裏面電極は、Ti層を含む、B1~B12のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0450】
[B14]前記チップが、前記電極によって被覆される第1主面と反対側の第2主面を有し、
前記第2主面を被覆する裏面電極をさらに含み、
前記裏面電極は、Ni層を含む、B1~B12のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0451】
[B15]樹脂製のパッケージ本体と、
前記パッケージ本体内に配置された、銅を含む板状部材と、
前記パッケージ本体内に配置されたB1~B14のいずれか一項に記載の半導体装置と、を含み、
前記電極が、ソースパッド電極を含み、
前記板状部材が、前記ソースパッド電極に電気的に接続されている、半導体パッケージ置。
【0452】
この出願は、2019年9月30日に日本国特許庁に提出された特願2019-180861号に対応しており、この出願の全開示はここに引用により組み込まれる。本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0453】
1 半導体装置
2 SiCチップ(チップ)
21 第1主面電極(電極)
30 無機絶縁層
31 有機絶縁層
34 第1開口
37 第2開口
38 無機絶縁層の内周縁
41 Niめっき層
42 外面めっき層
61 半導体装置
101 半導体装置
153 ゲート主面電極(電極)
155 ソース主面電極(電極)
166 第1ゲート開口(第1開口)
167 第1ソース開口(第1開口)
171 第2ゲート開口(第2開口)
172 無機絶縁層のゲート内周縁
173 第2ソース開口(第2開口)
174 無機絶縁層のソース内周縁
183 第1Niめっき層
184 第1外面めっき層
193 第2Niめっき層
194 第2外面めっき層
201 半導体装置
301 半導体パッケージ
302 パッケージ本体
303 第1主面(第1面)
304 第2主面(第2面)
305A 側面
305B 側面
305C 側面
305D 側面
310 第1金属板
311 第1放熱部
312 第1端子部
320 第2金属板
321 第2放熱部
322 第2端子部
341 SBDチップ(半導体装置)
342 MISFETチップ(半導体装置)
351 第1金属スペーサ
352 第2金属スペーサ
T2 無機絶縁層の厚さ
T4 Niめっき層の厚さ
T5 外面めっき層の厚さ
W 無機絶縁層の内周縁の幅
WG 無機絶縁層のゲート内周縁の幅
WS 無機絶縁層のソース内周縁の幅