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特許7665870蛍光化合物、蛍光化合物の製造方法、および水処理剤組成物
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  • 特許-蛍光化合物、蛍光化合物の製造方法、および水処理剤組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-11
(45)【発行日】2025-04-21
(54)【発明の名称】蛍光化合物、蛍光化合物の製造方法、および水処理剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C07D 307/77 20060101AFI20250414BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20250414BHJP
   A01N 59/08 20060101ALI20250414BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20250414BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20250414BHJP
   C07D 209/80 20060101ALI20250414BHJP
   C02F 1/50 20230101ALI20250414BHJP
   C02F 1/76 20230101ALI20250414BHJP
【FI】
C07D307/77 CSP
C09K11/06
A01N59/08 A
A01P3/00
A01N25/02
C07D209/80
C02F1/50 531L
C02F1/50 531P
C02F1/50 531M
C02F1/50 532H
C02F1/50 532E
C02F1/50 531K
C02F1/50 520P
C02F1/50 520B
C02F1/76 Z
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2024517975
(86)(22)【出願日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 JP2023014810
(87)【国際公開番号】W WO2023210363
(87)【国際公開日】2023-11-02
【審査請求日】2024-05-21
(31)【優先権主張番号】P 2022072299
(32)【優先日】2022-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022161906
(32)【優先日】2022-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000173762
【氏名又は名称】公益財団法人相模中央化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山縣 拓也
(72)【発明者】
【氏名】西浦 利紀
(72)【発明者】
【氏名】河原 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】矢野 大作
(72)【発明者】
【氏名】中村 慎司
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-188813(JP,A)
【文献】特開2015-188814(JP,A)
【文献】特開2017-012989(JP,A)
【文献】Journal of the American Chemical Society,1982年,104(23),6267-6272
【文献】Journal fuer Praktische Chemie (Leipzig),1922年,103,277-315
【文献】Chinese Journal of Inorganic Chemistry,2007年,23(2),275-280
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C,C07D
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されることを特徴とする蛍光化合物。
【化1】
(式(1)中、
Xは、酸素原子、セレン原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいメチレン基、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよい窒素原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいケイ素原子、またはカルボニル基を表す。
nは、0、1または2を表す。
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12は、各々独立に、スルホ基またはその化学的に許容される塩、水素原子、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のハロアルキル基、炭素数6から10の芳香族基、ハロゲン原子、または水酸基を表し、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12から選ばれる1つ以上5つ以下の基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩である。nが2のとき、複数のRおよびR12は、同一または相異なっていてもよい。ただし、Xが酸素原子であり、nが1であり、R、R、R、R、R、R、R、R、R11およびR12が全て水素原子であるとき、RおよびR10はスルホ基またはその化学的に許容される塩にはなり得ない。また、Xが炭素数1のアルキル基で置換された窒素原子であり、nが0であり、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 10 およびR 11 が全て水素原子であり、R がスルホ基またはその化学的に許容される塩である化合物と、Xが窒素原子であり、nが0であり、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 10 およびR 11 が全て水素原子であり、R が水酸基であり、R がスルホ基またはその化学的に許容される塩である化合物と、Xが窒素原子であり、nが0であり、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 10 およびR 11 が全て水素原子であり、R が水酸基であり、R がスルホ基またはその化学的に許容される塩である化合物と、Xが窒素原子であり、nが1であり、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 10 、R 11 およびR 12 が全て水素原子であり、R 、R がスルホ基のSr塩である化合物と、を除く。
【請求項2】
請求項1に記載の蛍光化合物であって、
Xが、酸素原子であることを特徴とする蛍光化合物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の蛍光化合物であって、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12が、スルホ基またはその化学的に許容される塩、水素原子または炭素数1から4のアルキル基であり、nが0または1であることを特徴とする蛍光化合物。
【請求項4】
請求項3に記載の蛍光化合物であって、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12から選ばれる1つ以上4つ以下の基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩であることを特徴とする蛍光化合物。
【請求項5】
請求項1または2に記載の蛍光化合物であって、
、R、R、RおよびR10の少なくとも1つの基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩であることを特徴とする蛍光化合物。
【請求項6】
請求項1または2に記載の蛍光化合物であって、
、R、R、RおよびR10から選ばれる少なくとも2つの基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩であることを特徴とする蛍光化合物。
【請求項7】
式(1)で表される蛍光化合物の製造方法であって、式(2)で表される芳香族化合物をスルホン化することを特徴とする蛍光化合物の製造方法。
【化2】
(式(1)中、
Xは、酸素原子、セレン原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいメチレン基、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよい窒素原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいケイ素原子、またはカルボニル基を表す。
nは、0、1または2を表す。
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12は、各々独立に、スルホ基またはその化学的に許容される塩、水素原子、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のハロアルキル基、炭素数6から10の芳香族基、ハロゲン原子、または水酸基を表し、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12から選ばれる1つ以上5つ以下の基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩である。nが2のとき、複数のRおよびR12は、同一または相異なっていてもよい。ただし、Xが酸素原子であり、nが1であり、R、R、R、R、R、R、R、R、R11およびR12が全て水素原子であるとき、RおよびR10はスルホ基またはその化学的に許容される塩にはなり得ない。)
【化3】
(式(2)中、
Xは、酸素原子、セレン原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいメチレン基、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよい窒素原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいケイ素原子、またはカルボニル基を表す。
nは、0、1または2を表す。
、A、A、A、A、A、A、A、A、A10、A11およびA12は、各々独立に、スルホ基またはその化学的に許容される塩、水素原子、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のハロアルキル基、炭素数6から10の芳香族基、ハロゲン原子、または水酸基を表し、A、A、A、A、A、A、A、A、A、A10、A11およびA12から選ばれる2つ以上の基が、水素原子である。nが2のとき、複数のAおよびA12は、同一または相異なっていてもよい。なお、AからA12で表される各々の基は、同じ番号のRからR12で表される各々の基とそれぞれ対応しており、Rで表される基がスルホ基またはその化学的に許容される塩の場合は、対応するAで表される基は水素原子である。)
【請求項8】
請求項7に記載の蛍光化合物の製造方法であって、
塩化スルホン酸、硫酸、および発煙硫酸のうちの少なくとも1つを用いてスルホン化することを特徴とする蛍光化合物の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の蛍光化合物の製造方法であって、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12から選ばれる2つ以下の基がスルホ基である芳香族スルホン酸化合物またはその塩、およびR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12から選ばれる3つ以上の基がスルホ基である芳香族スルホン酸化合物またはその塩を、併産することを特徴とする蛍光化合物の製造方法。
【請求項10】
式(1)で表される蛍光化合物を含むことを特徴とする水処理剤組成物。
【化4】
(式(1)中、
Xは、酸素原子、セレン原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいメチレン基、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよい窒素原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいケイ素原子、またはカルボニル基を表す。
nは、0、1または2を表す。
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12は、各々独立に、スルホ基またはその化学的に許容される塩、水素原子、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のハロアルキル基、炭素数6から10の芳香族基、ハロゲン原子、または水酸基を表し、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12から選ばれる1つ以上5つ以下の基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩である。nが2のとき、複数のRおよびR12は、同一または相異なっていてもよい。ただし、Xが酸素原子であり、nが1であり、R、R、R、R、R、R、R、R、R11およびR12が全て水素原子であるとき、RおよびR10はスルホ基またはその化学的に許容される塩にはなり得ない。)
【請求項11】
請求項10に記載の水処理剤組成物であって、
水溶性重合体、殺菌剤、防食剤、およびpH調整剤からなる群のうちの少なくとも1つ選択された成分をさらに含むことを特徴とする水処理剤組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の水処理剤組成物であって、
前記水溶性重合体が、カルボン酸またはその塩のうちの少なくとも1つの単量体単位を有することを特徴とする水処理剤組成物。
【請求項13】
請求項11に記載の水処理剤組成物であって、
前記殺菌剤が、塩素系酸化剤、臭素系酸化剤、および次亜ハロゲン酸安定化組成物のうちの少なくとも1つであることを特徴とする水処理剤組成物。
【請求項14】
請求項13に記載の水処理剤組成物であって、
前記次亜ハロゲン酸安定化組成物が、臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜臭素酸組成物であることを特徴とする水処理剤組成物。
【請求項15】
請求項11に記載の水処理剤組成物であって、
前記防食剤が、亜硝酸塩、モリブデン酸塩、重合リン酸塩、ホスホン酸塩、亜鉛塩、アゾール系化合物のうちの少なくとも1つであることを特徴とする水処理剤組成物。
【請求項16】
請求項11に記載の水処理剤組成物であって、
前記水溶性重合体、前記殺菌剤、前記防食剤、および前記pH調整剤からなる群のうち少なくとも前記殺菌剤および前記防食剤を含み、前記防食剤がアゾール系化合物であることを特徴とする水処理剤組成物。
【請求項17】
請求項16に記載の水処理剤組成物であって、
前記アゾール系化合物と前記蛍光化合物の質量比が、7:1から100:1の範囲であることを特徴とする水処理剤組成物。
【請求項18】
請求項16または17に記載の水処理剤組成物であって、
前記アゾール系化合物が、1,2,3-ベンゾトリアゾールであることを特徴とする水処理剤組成物。
【請求項19】
請求項10または11に記載の水処理剤組成物を被処理水に添加することを特徴とする被処理水の処理方法。
【請求項20】
被処理水に含まれる請求項10または11に記載の水処理剤組成物の濃度を蛍光測定により測定することを特徴とする被処理水中の水処理剤組成物の濃度測定方法。
【請求項21】
被処理水に添加された請求項10または11に記載の水処理剤組成物の濃度管理を行う濃度管理方法であって、
前記蛍光化合物の濃度を測定することによって前記被処理水に添加された前記水処理剤組成物の濃度管理を行うことを特徴とする濃度管理方法。
【請求項22】
被処理水に添加された請求項10または11に記載の水処理剤組成物の濃度管理を行う濃度管理装置であって、
前記蛍光化合物の濃度を測定することによって前記被処理水に添加された前記水処理剤組成物の濃度管理を行うことを特徴とする濃度管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光化合物、その蛍光化合物の製造方法、および、その蛍光化合物を用いる水処理剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
光を照射されることによって発光する蛍光化合物は、蛍光色素、蛍光顔料、蛍光灯、蛍光増白剤、ディスプレイなどの様々な用途で使用されている。これまで、蛍光化合物として様々な無機化合物や有機化合物が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、工業用水系に用いる水溶性の蛍光化合物が記載されている。
【0004】
このような水溶性の蛍光化合物として、新規構造を有する蛍光化合物が求められている。
【0005】
また、冷却水系、紙パルププロセス水系、集塵水系、スクラバ水系、排水系等の各種水系では、安全で安定的かつ効率的な装置の運転を実現するために、通常、スケールの析出抑制、防食、殺菌等の効果を有する水処理剤が用いられている。これらの水処理剤の最適な効果を得るために、水系中における水処理剤の濃度を測定し、添加量を制御することが望ましい。その方法の一つとして、水処理剤の経時変化を測定するための基準物質、いわゆるトレーサー物質を添加する方法が知られている。
【0006】
トレーサー物質として例えば蛍光物質等が知られている。蛍光物質としては、特許文献2や特許文献3ではスルホン化ピレン化合物が提案されている。
【0007】
特許文献4では、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、N-ブロモスルファミン酸塩、N-クロロスルファミン酸塩および亜塩素酸塩からなる群から選択される少なくとも1種の酸化剤と、2~6のベンゼン環から構成される縮合多環式炭化水素を基本骨格としかつ親水性基を有する化合物およびその塩からなる群から選択される少なくとも1種のトレーサーとを含有する水性溶液であり、かつpH13以上である、水処理剤組成物が提案されている。特許文献4の水処理剤組成物ではトレーサー物質として幅広く化合物が挙げられているが、具体的には既存の1,3,6,8-ピレンテトラスルホン酸四ナトリウム塩水和物および1,5-ナフタレンジスルホン酸二ナトリウムが用いられているだけである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平7-128324号公報
【文献】特開2015-188813号公報
【文献】特開2015-188814号公報
【文献】特開2017-012989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、新規構造を有する水溶性の蛍光化合物、その蛍光化合物の製造方法、および、その蛍光化合物を用いる水処理剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、式(1)で表される、蛍光化合物である。
【化1】
(式(1)中、
Xは、酸素原子、セレン原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいメチレン基、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよい窒素原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいケイ素原子、またはカルボニル基を表す。
nは、0、1または2を表す。
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12は、各々独立に、スルホ基またはその化学的に許容される塩、水素原子、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のハロアルキル基、炭素数6から10の芳香族基、ハロゲン原子、または水酸基を表し、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12から選ばれる1つ以上5つ以下の基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩である。nが2のとき、複数のRおよびR12は、同一または相異なっていてもよい。ただし、Xが酸素原子であり、nが1であり、R、R、R、R、R、R、R、R、R11およびR12が全て水素原子であるとき、RおよびR10はスルホ基またはその化学的に許容される塩にはなり得ない。また、Xが炭素数1のアルキル基で置換された窒素原子であり、nが0であり、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 10 およびR 11 が全て水素原子であり、R がスルホ基またはその化学的に許容される塩である化合物と、Xが窒素原子であり、nが0であり、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 10 およびR 11 が全て水素原子であり、R が水酸基であり、R がスルホ基またはその化学的に許容される塩である化合物と、Xが窒素原子であり、nが0であり、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 10 およびR 11 が全て水素原子であり、R が水酸基であり、R がスルホ基またはその化学的に許容される塩である化合物と、Xが窒素原子であり、nが1であり、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 10 、R 11 およびR 12 が全て水素原子であり、R 、R がスルホ基のSr塩である化合物と、を除く。
【0011】
前記蛍光化合物において、Xが、酸素原子であることが好ましい。
【0012】
前記蛍光化合物において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12が、スルホ基またはその化学的に許容される塩、水素原子または炭素数1から4のアルキル基であり、nが0または1であることが好ましい。
【0013】
前記蛍光化合物において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12から選ばれる1つ以上4つ以下の基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩であることが好ましい。
【0014】
前記蛍光化合物において、R、R、R、RおよびR10の少なくとも1つの基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩であることが好ましい。
【0015】
前記蛍光化合物において、R、R、R、RおよびR10から選ばれる少なくとも2つの基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩であることが好ましい。
【0016】
本発明は、式(1)で表される蛍光化合物の製造方法であって、式(2)で表される芳香族化合物をスルホン化する、蛍光化合物の製造方法である。
【化2】
(式(1)中、
Xは、酸素原子、セレン原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいメチレン基、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよい窒素原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいケイ素原子、またはカルボニル基を表す。
nは、0、1または2を表す。
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12は、各々独立に、スルホ基またはその化学的に許容される塩、水素原子、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のハロアルキル基、炭素数6から10の芳香族基、ハロゲン原子、または水酸基を表し、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12から選ばれる1つ以上5つ以下の基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩である。nが2のとき、複数のRおよびR12は、同一または相異なっていてもよい。ただし、Xが酸素原子であり、nが1であり、R、R、R、R、R、R、R、R、R11およびR12が全て水素原子であるとき、RおよびR10はスルホ基またはその化学的に許容される塩にはなり得ない。)
【化3】
(式(2)中、
Xは、酸素原子、セレン原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいメチレン基、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよい窒素原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいケイ素原子、またはカルボニル基を表す。
nは、0、1または2を表す。
、A、A、A、A、A、A、A、A、A10、A11およびA12は、各々独立に、スルホ基またはその化学的に許容される塩、水素原子、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のハロアルキル基、炭素数6から10の芳香族基、ハロゲン原子、または水酸基を表し、A、A、A、A、A、A、A、A、A、A10、A11およびA12から選ばれる2つ以上の基が、水素原子である。nが2のとき、複数のAおよびA12は、同一または相異なっていてもよい。なお、AからA12で表される各々の基は、同じ番号のRからR12で表される各々の基とそれぞれ対応しており、Rで表される基がスルホ基またはその化学的に許容される塩の場合は、対応するAで表される基は水素原子である。)
【0017】
前記蛍光化合物の製造方法において、塩化スルホン酸、硫酸、および発煙硫酸のうちの少なくとも1つを用いてスルホン化することが好ましい。
【0018】
前記蛍光化合物の製造方法において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12から選ばれる2つ以下の基がスルホ基である芳香族スルホン酸化合物またはその塩、およびR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12から選ばれる3つ以上の基がスルホ基である芳香族スルホン酸化合物またはその塩を、併産することが好ましい。
【0019】
本発明は、式(1)で表される蛍光化合物を含む、水処理剤組成物である。
【化4】
(式(1)中、
Xは、酸素原子、セレン原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいメチレン基、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよい窒素原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいケイ素原子、またはカルボニル基を表す。
nは、0、1または2を表す。
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12は、各々独立に、スルホ基またはその化学的に許容される塩、水素原子、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のハロアルキル基、炭素数6から10の芳香族基、ハロゲン原子、または水酸基を表し、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12から選ばれる1つ以上5つ以下の基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩である。nが2のとき、複数のRおよびR12は、同一または相異なっていてもよい。ただし、Xが酸素原子であり、nが1であり、R、R、R、R、R、R、R、R、R11およびR12が全て水素原子であるとき、RおよびR10はスルホ基またはその化学的に許容される塩にはなり得ない。)
【0020】
前記水処理剤組成物において、水溶性重合体、殺菌剤、防食剤、およびpH調整剤からなる群のうちの少なくとも1つ選択された成分をさらに含むことが好ましい。
【0021】
前記水処理剤組成物において、前記水溶性重合体が、カルボン酸またはその塩のうちの少なくとも1つの単量体単位を有することが好ましい。
【0022】
前記水処理剤組成物において、前記殺菌剤が、塩素系酸化剤、臭素系酸化剤、および次亜ハロゲン酸安定化組成物のうちの少なくとも1つであることが好ましい。
【0023】
前記水処理剤組成物において、前記次亜ハロゲン酸安定化組成物が、臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜臭素酸組成物であることが好ましい。
【0024】
前記水処理剤組成物において、前記防食剤が、亜硝酸塩、モリブデン酸塩、重合リン酸塩、ホスホン酸塩、亜鉛塩、アゾール系化合物のうちの少なくとも1つであることが好ましい。
【0025】
前記水処理剤組成物において、前記水溶性重合体、前記殺菌剤、前記防食剤、および前記pH調整剤からなる群のうち少なくとも前記殺菌剤および前記防食剤を含み、前記防食剤がアゾール系化合物であることが好ましい。
【0026】
前記水処理剤組成物において、前記アゾール系化合物と前記蛍光化合物の質量比が、7:1から100:1の範囲であることが好ましい。
【0027】
前記水処理剤組成物において、前記アゾール系化合物が、1,2,3-ベンゾトリアゾールであることが好ましい。
【0028】
本発明は、前記水処理剤組成物を被処理水に添加する、被処理水の処理方法である。
【0029】
本発明は、被処理水に含まれる前記水処理剤組成物の濃度を蛍光測定により測定する、被処理水中の水処理剤組成物の濃度測定方法である。
【0030】
本発明は、被処理水に添加された前記水処理剤組成物の濃度管理を行う濃度管理方法であって、前記蛍光化合物の濃度を測定することによって前記被処理水に添加された前記水処理剤組成物の濃度管理を行う、濃度管理方法である。
【0031】
本発明は、被処理水に添加された前記水処理剤組成物の濃度管理を行う濃度管理装置であって、前記蛍光化合物の濃度を測定することによって前記被処理水に添加された前記水処理剤組成物の濃度管理を行う、濃度管理装置である。
【発明の効果】
【0032】
本発明によって、新規構造を有する水溶性の蛍光化合物、その蛍光化合物の製造方法、および、その蛍光化合物を用いる水処理剤組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】実施例16における50℃で14日間保存した後の、アゾール系化合物と蛍光化合物の質量比に対する蛍光化合物の残存率(%)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0035】
<蛍光化合物>
本実施形態に係る蛍光化合物は、式(1)で表される芳香族スルホン酸化合物またはその塩である。
【化5】
(式(1)中、
Xは、酸素原子、セレン原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいメチレン基、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよい窒素原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいケイ素原子、またはカルボニル基を表す。
nは、0、1または2を表す。
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12は、各々独立に、スルホ基またはその化学的に許容される塩、水素原子、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のハロアルキル基、炭素数6から10の芳香族基、ハロゲン原子、または水酸基を表し、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12から選ばれる1つ以上5つ以下の基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩である。nが2のとき、複数のRおよびR12は、同一または相異なっていてもよい。ただし、Xが酸素原子であり、nが1であり、R、R、R、R、R、R、R、R、R11およびR12が全て水素原子であるとき、RおよびR10はスルホ基またはその化学的に許容される塩にはなり得ない。)
【0036】
本実施形態に係る蛍光化合物は、新規構造を有する水溶性の有機の蛍光化合物である。本実施形態に係る蛍光化合物は、例えば、モニタリング用途、塗料、表示ディスプレイ、波長変換フィルム、バイオイメージング(バイオ用蛍光プローブ)などの様々な用途で使用することができる。
【0037】
以下、式(1)で示される芳香族スルホン酸化合物またはその塩について詳細に説明する。なお、本実施形態に係る蛍光化合物である「式(1)で示される芳香族スルホン酸化合物またはその塩」を、以下、「芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)」と称することもある。
【0038】
芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)における置換基の定義およびその好ましい具体例は、それぞれ以下のとおりである。
【0039】
[Xについて]
Xは、酸素原子、セレン原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいメチレン基、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよい窒素原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいケイ素原子、またはカルボニル基を表す。
【0040】
Xで表される、メチレン基、窒素原子、またはケイ素原子は、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよい。炭素数1から8のアルキル基としては、直鎖状、分岐状または環状のアルキル基のいずれでもよく、具体的には、メチル基、シクロヘキシルメチル基、エチル基、2-シクロペンチルエチル基、プロピル基、2-メチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、3-シクロプロピルプロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、2-ブチル基、3-メチルブタン-2-イル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、2-メチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、2-ペンチル基、2-メチルペンタン-2-イル基、4,4-ジメチルペンタン-2-イル基、3-ペンチル基、3-エチルペンタン-3-イル基、シクロペンチル基、2,5-ジメチルシクロペンチル基、3-エチルシクロペンチル基、ヘキシル基、2-メチルヘキシル基、3,3-ジメチルヘキシル基、4-エチルヘキシル基、2-ヘキシル基、2-メチルヘキサン-2-イル基、5,5-ジメチルヘキサン-2-イル基、3-ヘキシル基、2,4-ジメチルヘキサン-3-イル基、シクロヘキシル基、4-エチルシクロヘキシル基、4,4-ジメチルシクロヘキシル基、ヘプチル基、2-ヘプチル基、3-ヘプチル基、4-ヘプチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、オクチル基、2-オクチル基、3-オクチル基、4-オクチル基、シクロオクチル基またはビシクロ[2.2.2]オクチル基などを例示することができる。炭素数1から8のアルキル基としては、芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)の合成が容易な点で、メチル基、エチル基、またはtert-ブチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0041】
Xは、芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)の合成が容易な点で、酸素原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよい窒素原子、メチレン基、カルボニル基が好ましく、酸素原子、窒素原子、またはメチレン基がより好ましく、酸素原子またはメチレン基がさらに好ましく、酸素原子が殊更好ましい。
【0042】
[nについて]
nは、0、1または2を表し、芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)の合成が容易な点で、nは0または1が好ましく、1がより好ましい。
【0043】
[R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12について] R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12から選ばれる1つ以上5つ以下の基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩である。
【0044】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12で表されるスルホ基は塩を形成していてもよく、塩としては化学的に許容される塩であればよく、特に限定するものではなく、無機塩でも有機塩でもよく、具体的には、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、またはアンモニウム塩などを例示することができる。アルカリ金属塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩などが挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、カルシウム塩またはマグネシウム塩などが挙げられる。アンモニウム塩としては、脂肪族アミンや芳香族アミンのアンモニウム塩などが挙げられ、脂肪族アミンとしては、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルアニリン、モルホリン、ピペリジンなどが挙げられ、芳香族アミンとしては、ピリジン、ルチジン、ピロール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾールなどが挙げられる。塩としては、芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)の合成が容易な点で、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩、アルキルアンモニウム塩またはアンモニウム(NH )塩がより好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩またはアンモニウム(NH )塩がさらに好ましく、ナトリウム塩またはアンモニウム(NH )塩が殊更好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
【0045】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12で表される、炭素数1から8のアルキル基としては、直鎖状、分岐状または環状のアルキル基のいずれでもよく、具体的には、メチル基、シクロヘキシルメチル基、エチル基、2-シクロペンチルエチル基、プロピル基、2-メチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、3-シクロプロピルプロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、2-ブチル基、3-メチルブタン-2-イル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、2-メチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、2-ペンチル基、2-メチルペンタン-2-イル基、4,4-ジメチルペンタン-2-イル基、3-ペンチル基、3-エチルペンタン-3-イル基、シクロペンチル基、2,5-ジメチルシクロペンチル基、3-エチルシクロペンチル基、ヘキシル基、2-メチルヘキシル基、3,3-ジメチルヘキシル基、4-エチルヘキシル基、2-ヘキシル基、2-メチルヘキサン-2-イル基、5,5-ジメチルヘキサン-2-イル基、3-ヘキシル基、2,4-ジメチルヘキサン-3-イル基、シクロヘキシル基、4-エチルシクロヘキシル基、4,4-ジメチルシクロヘキシル基、ヘプチル基、2-ヘプチル基、3-ヘプチル基、4-ヘプチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、オクチル基、2-オクチル基、3-オクチル基、4-オクチル基、シクロオクチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基などを例示することができる。炭素数1から8のアルキル基としては、芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)の合成が容易な点で、炭素数1から4のアルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
【0046】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12で表される炭素数1から8のアルコキシ基としては、直鎖状または分岐状のアルコキシ基のいずれでもよく、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、イソプロポキシ基、2-メチルプロピルオキシ基、2-ブチルオキシ基、tert-ブトキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基などを例示することができる。炭素数1から8のアルコキシ基としては、芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)の合成が容易な点で、メトキシ基が好ましい。
【0047】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12で表される炭素数1から8のハロアルキル基としては、直鎖状、分岐状または環状のハロアルキル基のいずれでもよく、具体的には、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、1,1-ジフルオロエチル基、2,2-ジフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、1,1-ジフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチル基、ペルフルオロシクロプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロシクロプロピル基、ペルフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル基、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル基、4,4,4-トリフルオロブチル基、1,2,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-1-(トリフルオロメチル)プロピル基、1-(トリフルオロメチル)プロピル基、1-メチル-3,3,3-トリフルオロプロピル基、ペルフルオロシクロブチル基、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロシクロブチル基、ペルフルオロペンチル基、2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンチル基、3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロペンチル基、4,4,5,5,5-ペンタフルオロペンチル基、5,5,5-トリフルオロペンチル基、1,2,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-1-(ペルフルオロエチル)プロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-(ペルフルオロエチル)プロピル基、ペルフルオロシクロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6-ウンデカフルオロヘキシル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル基、4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロヘキシル基、5,5,6,6,6-ペンタフルオロヘキシル基、6,6,6-トリフルオロヘキシル基、ペルフルオロシクロヘキシル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、2-クロロエチル基または3-ブロモプロピル基などを例示することができる。炭素数1から8のハロアルキル基としては、芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)の合成が容易な点で、トリフルオロメチル基が好ましい。
【0048】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12で表される炭素数6~10の芳香族基としては、特に限定するものではなく、具体的には、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基などを例示することができる。炭素数6~10の芳香族基としては、芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)の合成が容易な点で、フェニル基が好ましい。
【0049】
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12で表されるハロゲン原子としては、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子などを例示することができる。ハロゲン原子としては、芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)の合成が容易な点で、フッ素原子または臭素原子が好ましく、臭素原子がより好ましい。
【0050】
芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)の合成が容易な点で、スルホ基またはその化学的に許容される塩ではない場合のR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11またはR12は、各々独立に、水素原子または炭素数1から4のアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
【0051】
芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)の合成が容易な点で、R、R、R、R、RおよびR10のいずれかがスルホ基であることが好ましく、R、R、R、RおよびR10のいずれかがスルホ基であることがより好ましく、R、R、RおよびR10のいずれかがスルホ基であることがさらに好ましく、RおよびRのいずれかがスルホ基であることが殊更好ましく、Rがスルホ基であることが特に好ましい。
【0052】
芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)の水などの水溶性溶剤に対する溶解度が高い点で、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11またはR12の2つ以上がスルホ基またはその化学的に許容される塩であることが好ましく、3つ以上がスルホ基またはその化学的に許容される塩であることがより好ましく、4つ以上がスルホ基またはその化学的に許容される塩であることがさらに好ましい。
【0053】
芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)において、水などの水溶性溶剤に対する溶解度が高いなどの点で、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12が、スルホ基またはその化学的に許容される塩、水素原子または炭素数1から4のアルキル基であり、nが0または1であることが好ましい。
【0054】
芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)において、芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)の合成が容易などの点で、R、R、R、R、RおよびR10の少なくとも1つの基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩であることが好ましく、R、R、R、RおよびR10の少なくとも1つの基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩であることがより好ましく、R、R、RおよびR10の少なくとも1つの基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩であることがさらに好ましく、RおよびR10の少なくとも1つの基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩であることが殊更好ましく、Rが、スルホ基またはその化学的に許容される塩であることが特に好ましい。
【0055】
芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)において、水などの水溶性溶剤に対する溶解度が高いなどの点で、R、R、R、R、RおよびR10から選ばれる少なくとも2つの基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩であることが好ましく、R、R、R、RおよびR10の少なくとも2つの基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩であることがより好ましく、R、R、RおよびR10の少なくとも2つの基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩であることがさらに好ましく、R、RおよびR10の少なくとも2つの基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩であることが殊更好ましく、RおよびR10が、スルホ基またはその化学的に許容される塩であることが特に好ましい。
【0056】
なお、芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)において、nが2のとき、複数のRおよびR12は、同一または相異なっていてもよい。
【0057】
また、芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)において、Xが酸素原子であり、nが1であり、R、R、R、R、R、R、R、R、R11およびR12が全て水素原子であるとき、RおよびR10はスルホ基またはその化学的に許容される塩にはなり得ない。
【0058】
芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)としては、特に限定するものではなく、例えば、下記の1-1から1-1325に示す構造の化合物を具体的に例示することができる。
【0059】
【化6】
【0060】
【化7】
【0061】
【化8】
【0062】
【化9】
【0063】
【化10】
【0064】
【化11】
【0065】
【化12】
【0066】
【化13】
【0067】
【化14】
【0068】
【化15】
【0069】
【化16】
【0070】
【化17】
【0071】
【化18】
【0072】
【化19】
【0073】
【化20】
【0074】
【化21】
【0075】
【化22】
【0076】
【化23】
【0077】
【化24】
【0078】
【化25】
【0079】
【化26】
【0080】
【化27】
【0081】
【化28】
【0082】
【化29】
【0083】
【化30】
【0084】
【化31】
【0085】
【化32】
【0086】
【化33】
【0087】
【化34】
【0088】
【化35】
【0089】
【化36】
【0090】
【化37】
【0091】
【化38】
【0092】
【化39】
【0093】
【化40】
【0094】
【化41】
【0095】
【化42】
【0096】
【化43】
【0097】
【化44】
【0098】
【化45】
【0099】
【化46】
【0100】
【化47】
【0101】
【化48】
【0102】
【化49】
【0103】
【化50】
【0104】
【化51】
【0105】
【化52】
【0106】
【化53】
【0107】
【化54】
【0108】
【化55】
【0109】
【化56】
【0110】
【化57】
【0111】
【化58】
【0112】
なお、本明細書中、SOMは、スルホン酸、またはスルホン酸の化学的に許容される塩を表す。
【0113】
化合物1-1から1-1325で示される化合物のうち、芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)としては、水などの水溶性溶剤への溶解度が高い点で1-1、1-2、1-4、1-80、1-83、1-85、1-90、1-92、1-132、1-135、1-171、1-173、1-324、1-441、1-508、1-509、1-526、1-533、1-693、1-694、1-696、1-705、1-708、1-715、1-717、1-729、1-1134、1-1136、1-1145、1-1196、1-1197、1-1199、1-1128、1-1299または1-1300で示される化合物が好ましく、1-1、1-2、1-83、1-85、1-90、1-135、1-171、1-173、1-324、1-441または1-693で示される化合物がより好ましく、1-2、1-83、1-90、1-171または1-173で表される化合物がさらに好ましく、1-2、1-90または1-171が殊更好ましい。
【0114】
芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)は、例えば、350~500nmの範囲に蛍光波長を有し、310~380nmの範囲に励起波長を有する。
【0115】
<蛍光化合物の製造方法>
次に、本発明の実施形態に係る蛍光化合物である芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)の製造方法について説明する。
【0116】
芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)は、例えば、次の反応式に示される工程1によって製造することができる。
【0117】
【化59】
(式中、Xは、酸素原子、セレン原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいメチレン基、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよい窒素原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいケイ素原子、またはカルボニル基を表す。nは、0、1または2を表す。A、A、A、A、A、A、A、A、A、A10、A11およびA12は、各々独立に、スルホ基またはその化学的に許容される塩、水素原子、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のハロアルキル基、炭素数6から10の芳香族基、ハロゲン原子、または水酸基を表し、A、A、A、A、A、A、A、A、A、A10、A11およびA12から選ばれる2つ以上の基が、水素原子である。nが2のとき、複数のAおよびA12は、同一または相異なっていてもよい。なお、AからA12で表される各々の基は、同じ番号のRからR12で表される各々の基とそれぞれ対応しており、Rで表される基がスルホ基またはその化学的に許容される塩の場合は、対応するAで表される基は水素原子である。R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12は、各々独立に、スルホ基またはその化学的に許容される塩、水素原子、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のハロアルキル基、炭素数6から10の芳香族基、ハロゲン原子、または水酸基を表し、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12から選ばれる1つ以上5つ以下の基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩である。nが2のとき、複数のRおよびR12は同一または相異なっていてもよい。ただし、Xが酸素原子であり、nが1であり、R、R、R、R、R、R、R、R、R11およびR12が全て水素原子であるとき、RおよびR10はスルホ基またはその化学的に許容される塩にはなり得ない。)
【0118】
工程1は、芳香族化合物(2)を、スルホン化することによって、芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)を製造する工程である。
【0119】
芳香族化合物(2)におけるXおよびnは、芳香族スルホン酸化合物およびその塩(1)におけるXおよびnと同じ意味を表し、Xとしては同様の置換基を例示することができる。
【0120】
芳香族化合物(2)における 、A、A、A、A、A、A、A、A10、A11およびA12で表される、スルホ基の化学的に許容される塩は、R~R12で例示したスルホ基の化学的に許容される塩と同様の塩を例示することができる。
【0121】
芳香族化合物(2)における 、A、A、A、A、A、A、A、A10、A11およびA12で表される、炭素数1から8のアルキル基は、R~R12で例示した炭素数1から8のアルキル基と同様の置換基を例示することができる。
【0122】
芳香族化合物(2)におけるA、A、A、A、A、A、A、A、A、A10、A11およびA12で表される、炭素数1から8のアルコキシ基は、R~R12で例示した炭素数1から8のアルコキシ基と同様の置換基を例示することができる。
【0123】
芳香族化合物(2)におけるA、A、A、A、A、A、A、A、A、A10、A11およびA12で表される、炭素数1から8のハロアルキル基は、R~R12で例示した炭素数1から8のハロアルキル基と同様の置換基を例示することができる。
【0124】
芳香族化合物(2)におけるA、A、A、A、A、A、A、A、A、A10、A11およびA12で表される、炭素数6から10の芳香族基は、R~R12で例示した炭素数6から10の芳香族基と同様の置換基を例示することができる。
【0125】
芳香族化合物(2)におけるA、A、A、A、A、A、A、A、A、A10、A11およびA12で表される、ハロゲン原子は、R~R12で例示したハロゲン原子と同様の置換基を例示することができる。
【0126】
芳香族化合物(2)におけるA、A、A、A、A、A、A、A、A、A10、A11およびA12は、芳香族化合物(2)の合成が容易な点で、水素原子または炭素数1から4のアルキル基が好ましく、水素原子がさらに好ましい。
【0127】
工程1に用いる芳香族化合物(2)としては、例えば、下記の2-1から2-12に示す構造の化合物を挙げることができる。
【0128】
【化60】
【0129】
前記2-1から2-12で示される化合物のうち、芳香族化合物(2)の合成が容易な点で2-1、2-2、2-3、2-4、2-5または2-8で示される化合物が好ましく、2-1、2-2または2-3で示される化合物がより好ましい。芳香族化合物(2)は、当業者の良く知る汎用的な方法で製造することができ、例えば、Chin.J.Org.Chem.2018年,38巻,1516-1524頁に開示されている方法などに従えば、芳香族化合物(2)を得ることができる。また、芳香族化合物(2)としては、市販品を用いてもよい。
【0130】
工程1のスルホン化は、スルホン化剤を用いて実施することができる。スルホン化剤としては、具体的には、硫酸、発煙硫酸、二酸化硫黄、三酸化硫黄、クロロスルホン酸(塩化スルホン酸)または塩化スルフリルなどを例示することができ、これらのスルホン化剤は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。芳香族スルホン酸化合物(1)の合成が容易な点で、硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄またはクロロスルホン酸が好ましく、硫酸、発煙硫酸またはクロロスルホン酸がより好ましい。
【0131】
工程1で用いる芳香族化合物(2)とスルホン化剤とのモル比に特に制限はなく、スルホ基で1つ置換された芳香族スルホン酸化合物(1)を合成するためには、反応収率がよい点で、芳香族化合物(2):スルホン化剤のモル比が10:1から1:10の範囲にあることが好ましく、5:1から1:5の範囲にあることがより好ましく、2:1から1:2の範囲にあることがさらに好ましい。スルホ基で2つ置換された芳香族スルホン酸化合物(1)を合成するためには、反応収率がよい点で、芳香族化合物(2):スルホン化剤のモル比が1:1から1:50の範囲にあることが好ましく、1:2から1:35の範囲にあることがより好ましく、1:2から1:20の範囲にあることがさらに好ましい。スルホ基で3つ置換された芳香族スルホン酸化合物(1)を合成するためには、反応収率がよい点で、芳香族化合物(2):スルホン化剤のモル比が1:1から1:200の範囲にあることが好ましく、1:3から1:100の範囲にあることがより好ましく、1:3から1:60の範囲にあることがさらに好ましい。スルホ基で4つ置換された芳香族スルホン酸化合物(1)を合成するためには、反応収率がよい点で、芳香族化合物(2):スルホン化剤のモル比が1:4から1:300の範囲にあることが好ましく、1:10から1:200の範囲にあることがより好ましく、1:20から1:100の範囲にあることがさらに好ましい。
【0132】
工程1の反応は溶媒中で実施することもできる。用いることのできる溶媒に特に制限はなく、スルホン化反応を阻害しない溶媒であればよい。このような溶媒としては、具体的には、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタンなどのエーテル系溶媒、硫酸、発煙硫酸などの酸、ニトロメタン、ニトロベンゼンなどを例示することができ、これらの2種以上を任意の比で混合して用いてもよい。溶媒の使用量に特に制限はない。これらのうち、芳香族スルホン酸化合物(1)の反応収率がよい点でジクロロメタン、1,4-ジオキサン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、硫酸、発煙硫酸が好ましく、ジクロロメタン、1,4-ジオキサン、硫酸、発煙硫酸がさらに好ましい。
【0133】
工程1を実施する際の反応温度には特に制限はなく、通常は例えば-80℃から160℃の範囲から適宜選択された温度にて実施することができ、芳香族スルホン酸化合物(1)の反応収率が良い点で-10℃から100℃の範囲から適宜選択された温度にて実施することが好ましく、0℃から80℃の範囲から適宜選択された温度にて実施することがさらに好ましい。
【0134】
工程1の反応の終了後は、通常の後処理を行うことによって、芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)における芳香族スルホン酸を得ることができる。必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィー、昇華、塩析、または分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの通常の精製方法で精製してもよい。
【0135】
工程1で得られた芳香族スルホン酸をスルホン酸塩に変換する工程2を行ってもよい。芳香族スルホン酸をスルホン酸塩に変換する方法としては、例えば一般的な中和反応を利用すればよく、例えば、アルカリ金属水酸化物やアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシドと芳香族スルホン酸とを反応させればよく、スルホン酸塩の反応収率がよい点でアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドが好ましく、水酸化ナトリウムまたはナトリウムメトキシドがさらに好ましい。中和反応は水溶液中で行うこともできるが、水と混合する有機溶媒、例えば、アルコール系溶媒やエーテル系溶媒の共存下に反応させてもよい。
【0136】
また、芳香族スルホン酸と脂肪族アミン類または芳香族アミン類を反応させることによって、アンモニウム塩を製造することもできる。この反応は有機溶媒中で行うこともでき、有機溶媒としては、具体的には、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタンなどのエーテル系溶媒、ニトロメタン、ニトロベンゼンなどを例示することができ、これらの2種以上を任意の比で混合して用いてもよい。
【0137】
工程2の反応は、例えば-80℃から100℃の範囲から適宜選ばれた温度で実施することによって、収率よく目的物を得ることができる。反応時間に特に制限はない。
【0138】
反応終了後は、再沈殿、再結晶、塩析などの通常の方法によって、目的とするスルホン酸塩を得ることができる。スルホン酸塩は、必要に応じて通常の精製方法で精製してもよい。
【0139】
本実施形態に係る芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)の製造方法において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12から選ばれる2つ以下の基がスルホ基である芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)、およびR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12から選ばれる3つ以上の基がスルホ基である芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)を、併産してもよい。
【0140】
工程1のスルホン化によって、スルホ基で1つ置換された芳香族スルホン酸化合物(1)、スルホ基で2つ置換された芳香族スルホン酸化合物(1)、スルホ基で3つ置換された芳香族スルホン酸化合物(1)、スルホ基で4つ置換された芳香族スルホン酸化合物(1)、およびスルホ基で5つ置換された芳香族スルホン酸化合物(1)のうちの少なくとも2つを含む混合物として芳香族スルホン酸化合物(1)が得られる場合もある。また、工程1のスルホン化によって、同じスルホ基の数でも異なる置換位置に置換された芳香族スルホン酸化合物(1)の少なくとも2つを含む混合物として芳香族スルホン酸化合物(1)が得られる場合もある。これらの場合、2種以上の混合物の芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)として所定の用途で用いてもよいし、得られた芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)を精製して1種の芳香族スルホン酸化合物またはその塩(1)として所定の用途で用いてもよい。
【0141】
<水処理剤組成物>
本発明の実施形態に係る水処理剤組成物は、上記式(1)で表される蛍光化合物を含む、水処理剤組成物である。
【0142】
水処理剤組成物に含まれる蛍光化合物は、水等の溶媒に所定の割合で配合すればよい。その割合は、特に限定されるものではないが、上記式(1)で表される蛍光化合物が水処理剤組成物全体の重量に対して例えば0.001~1.0重量%の範囲、好ましくは0.01~0.8重量%の範囲になるように配合されればよい。蛍光化合物が水処理剤組成物全体の重量に対して1.0重量%を超えて配合すると、蛍光化合物のコストが嵩む、溶解している成分が析出するといった問題が発生する場合があり、0.001重量%未満では、蛍光強度が小さく、正確な測定が困難となる場合がある。
【0143】
本実施形態に係る水処理剤組成物は、上記式(1)で表される蛍光化合物に加えて、水溶性重合体、殺菌剤、防食剤、およびpH調整剤からなる群のうちの少なくとも1つ選択された成分をさらに含んでもよい。
【0144】
水溶性重合体は、例えば、カルボン酸またはその塩、ホスホン酸またはその塩、およびマレイン酸またはその塩のうちの少なくとも1つの単量体単位を有する重合体等が挙げられる。
【0145】
カルボン酸としては、例えば、カルボン酸系ホモポリマー(ポリアクリル酸およびその塩、ポリメタクリル酸およびその塩、ポリマレイン酸およびその塩)、カルボン酸系コポリマー(アクリル酸/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸二元共重合体、アクリル酸/マレイン酸二元共重合体、マレイン酸/メチルビニルエーテル二元共重合体、アクリル酸/ヒドロキシプロピルアクリル酸塩二元共重合体、スルホン化スチレン/無水マレイン酸二元共重合体)、カルボン酸系ターポリマー(マレイン酸/アクリル酸アルキルエステル/ビニルアセテート三元共重合体、アクリル酸/スルホン酸/スチレンスルホン酸ナトリウム三元共重合体、アクリル酸/スルホン酸/置換アクリルアミド三元共重合体)、ホスホノカルボン酸系ポリマー(四ナトリウムホスホノエタン-1,2-ジカルボン酸塩、六ナトリウムホスホノブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸塩)等が挙げられ、無機系殺菌剤の分解抑制等の点から、ポリアクリル酸およびその塩、アクリル酸/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸二元共重合体が好ましい。カルボン酸の塩としては、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩等が挙げられる。
【0146】
ホスホン酸の塩としては、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩等が挙げられる。
【0147】
マレイン酸の塩としては、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩等が挙げられる。
【0148】
水溶性重合体としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、アクリル酸/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の二元共重合体アクリル酸/2-アクリルアミド-2-メチルプロパン酸の二元共重合体、アクリル酸/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸/アルキルアクリルアミドの三元共重合体等のアクリル酸/2-アクリルアミド-2-メチルプロパン酸/置換アクリルアミドの三元共重合体等が挙げられ、無機系殺菌剤の分解抑制等の観点から、ポリアクリル酸、アクリル酸/2-アクリルアミド-2-メチルプロパン酸の二元共重合体が好ましい。
【0149】
水溶性重合体の重量平均分子量は、特に制限はないが、例えば、500~100,000の範囲である。
【0150】
水処理剤組成物に含まれる水溶性重合体の濃度は、水処理剤組成物全体の量に対して、例えば、1重量%~50重量%の範囲であることが好ましい。水溶性重合体の濃度が1重量%未満ではスケール分散効果が不十分である場合があり、50重量%を超えると、沈殿を生じる場合がある。
【0151】
上記の先行技術に記載されている既存の1,3,6,8-ピレンテトラスルホン酸四ナトリウム塩水和物および1,5-ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム等の蛍光化合物を配合した水処理剤組成物では、水溶性重合体が存在している場合、pHが酸性またはアルカリ性でないと蛍光化合物が劣化してしまい、水処理剤に配合できる成分に制約が出てきてしまうという問題があった。本発明の実施形態に係る水処理剤組成物は、上記式(1)で表される蛍光化合物を用いることによって、水処理剤に配合できる成分に依存せずに、蛍光化合物の劣化を抑制することができる。
【0152】
殺菌剤としては、例えば、有機系殺菌剤、塩素系酸化剤、臭素系酸化剤、次亜ハロゲン酸安定化組成物等が挙げられる。
【0153】
有機系殺菌剤としては、例えば、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-エチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロロ-2-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン等のイソチアゾリノン系化合物、ヒドラジン等が挙げられ、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0154】
塩素系酸化剤としては、例えば、塩素ガス、二酸化塩素、次亜塩素酸またはその塩、亜塩素酸またはその塩、塩素酸またはその塩、過塩素酸またはその塩、塩素化イソシアヌル酸またはその塩等が挙げられる。これらのうち、塩としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム等の次亜塩素酸アルカリ金属塩、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸バリウム等の次亜塩素酸アルカリ土類金属塩、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム等の亜塩素酸アルカリ金属塩、亜塩素酸バリウム等の亜塩素酸アルカリ土類金属塩、亜塩素酸ニッケル等の他の亜塩素酸金属塩、塩素酸アンモニウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム等の塩素酸アルカリ金属塩、塩素酸カルシウム、塩素酸バリウム等の塩素酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。これらの塩素系酸化剤は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。塩素系酸化剤としては、取り扱い性等の点から、次亜塩素酸ナトリウムを用いるのが好ましい。
【0155】
臭素系酸化剤としては、臭素(液体臭素)、塩化臭素、臭素酸、臭素酸塩、次亜臭素酸等が挙げられる。次亜臭素酸は、臭化ナトリウム等の臭素化合物と次亜塩素酸等の塩素系酸化剤とを反応させて生成させたものであってもよい。
【0156】
臭素化合物としては、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、臭化アンモニウムおよび臭化水素酸等が挙げられる。これらのうち、製剤コスト等の点から、臭化ナトリウムが好ましい。
【0157】
次亜ハロゲン酸安定化組成物としては、塩素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを含む「次亜塩素酸安定化組成物」、臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを含む「次亜臭素酸安定化組成物」等が挙げられる。
【0158】
「塩素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを含む」とは、「塩素系酸化剤」と「スルファミン酸化合物」との混合物を含む安定化次亜塩素酸組成物を含んでもよいし、「塩素系酸化剤とスルファミン酸化合物との反応生成物」を含む安定化次亜塩素酸組成物を含んでもよい。「臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを含む」とは、「臭素系酸化剤」と「スルファミン酸化合物」との混合物を含む安定化次亜臭素酸組成物を含んでもよいし、「臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物との反応生成物」を含む安定化次亜臭素酸組成物を含んでもよい。
【0159】
これらのうち、臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜臭素酸組成物であることが好ましく、臭素を用いた「臭素とスルファミン酸化合物(臭素とスルファミン酸化合物の混合物)」または「臭素とスルファミン酸化合物との反応生成物」を含む安定化次亜臭素酸組成物は、「臭素化合物と次亜塩素酸とスルファミン酸化合物」の安定化次亜臭素酸組成物および「塩化臭素とスルファミン酸」を含む安定化次亜塩素酸組成物等に比べて、共存する蛍光化合物を分解しにくく、有効臭素の安定性が高く、臭素酸の副生も抑制できるため、より好ましい。
【0160】
スルファミン酸化合物は、以下の一般式(3)で示される化合物である。
NSOH (3)
(式中、Rは独立して水素原子または炭素数1~8のアルキル基である。)
【0161】
次亜塩素酸または次亜臭素酸の安定化組成物を構成する無機系殺菌剤の安定化剤として働くと考えられるスルファミン酸化合物としては、例えば、2個のR基の両方が水素原子であるスルファミン酸(アミド硫酸)の他に、N-メチルスルファミン酸、N-エチルスルファミン酸、N-プロピルスルファミン酸、N-イソプロピルスルファミン酸、N-ブチルスルファミン酸等の2個のR基の一方が水素原子であり、他方が炭素数1~8のアルキル基であるスルファミン酸化合物、N,N-ジメチルスルファミン酸、N,N-ジエチルスルファミン酸、N,N-ジプロピルスルファミン酸、N,N-ジブチルスルファミン酸、N-メチル-N-エチルスルファミン酸、N-メチル-N-プロピルスルファミン酸等の2個のR基の両方が炭素数1~8のアルキル基であるスルファミン酸化合物、N-フェニルスルファミン酸等の2個のR基の一方が水素原子であり、他方が炭素数6~10のアリール基であるスルファミン酸化合物、またはこれらの塩等が挙げられる。スルファミン酸塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩、マンガン塩、銅塩、亜鉛塩、鉄塩、コバルト塩、ニッケル塩等の他の金属塩、アンモニウム塩およびグアニジン塩等が挙げられる。スルファミン酸化合物およびこれらの塩は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。スルファミン酸化合物としては、環境負荷等の点から、スルファミン酸(アミド硫酸)を用いるのが好ましい。
【0162】
本実施形態に係る水処理剤組成物において、「臭素系酸化剤」の当量に対する「スルファミン酸化合物」の当量の比は、1.0以上であることが好ましく、1.0以上2.0以下の範囲であることがより好ましく、1.05以上1.5以下の範囲であることがさらに好ましい。「臭素系酸化剤」の当量に対する「スルファミン酸化合物」の当量の比が1.0未満であると、臭素濃度が著しく低下する場合があり、2.0を超えると、製造コストが増加する場合がある。
【0163】
前記水処理剤組成物において、前記殺菌剤が、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、イソチアゾリノン系化合物、およびヒドラジンのうちの少なくとも1つであることが好ましい。
【0164】
水処理剤組成物に含まれる殺菌剤の濃度は、水処理剤組成物全体の量に対して、例えば、0.02重量%~45重量%の範囲であることが好ましい。殺菌剤の濃度が0.02重量%未満では殺菌効果が不十分の場合があり、45重量%を超えると、製造コストが高くなる場合がある。水処理剤組成物に含まれるイソチアゾリノン系化合物の濃度としては、好ましくは、0.1~10重量%、より好ましくは、0.5~5重量%である。
【0165】
防食剤としては、例えば、銅や銅合金等の銅系金属用の防食剤であるアゾール系化合物、炭素鋼等の鉄系金属用の防食剤である亜硝酸塩、モリブデン酸塩、重合リン酸塩、リン酸、有機リン酸塩(ホスホン酸等)、亜鉛塩等が挙げられる。銅系金属に対する防食作用に加え、紫外線吸収作用を有し、蛍光化合物の分解抑制に寄与する等の観点から、アゾール系化合物を配合することが好ましい。
【0166】
アゾール系化合物は、銅や銅合金等の銅系金属用の防食剤等として働く。アゾール系化合物としては、例えば、1,2,3-ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、イミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、5-カルボキシベンゾトリアゾール、5-ニトロベンゾトリアゾール等が挙げられ、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、製造コスト等の点から、1,2,3-ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾールが好ましく、1,2,3-ベンゾトリアゾールがより好ましい。
【0167】
ホスホン酸としては、例えば、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸およびその塩(PBTC)、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸およびその塩(HEDP)等が挙げられる。
【0168】
水処理剤組成物に含まれる銅系金属用等の防食剤の濃度は、水処理剤組成物全体の量に対して、例えば、0.1重量%~4重量%の範囲であることが好ましい。防食剤の濃度が0.1重量%未満では銅系金属等に対する防食効果、紫外線吸収効果が十分でない場合があり、4重量%を超えると、沈殿を生じる場合がある。
【0169】
本実施形態に係る水処理剤組成物において、上記式(1)で表される蛍光化合物と、殺菌剤とを含む場合、さらにアゾール系化合物を含むことが好ましく、1,2,3-ベンゾトリアゾールを含むことがより好ましい。上記式(1)で表される蛍光化合物と、殺菌剤とを含む場合にアゾール系化合物をさらに含むと、蛍光化合物の高温保存(例えば、50℃以上での保存)のときの安定性が向上する。この場合、アゾール系化合物は、蛍光化合物の安定化剤として働くが、銅や銅合金等の銅系金属用の防食剤としても働く。
【0170】
この場合、アゾール系化合物と上記式(1)で表される蛍光化合物の質量比が、7:1から100:1の範囲であることが好ましく、7:1から67:1の範囲であることがより好ましい。アゾール系化合物と上記式(1)で表される蛍光化合物の質量比が、7:1より小さいと、蛍光物質の高温保存のときの安定性が低下してしまう場合があり、100:1より大きいと沈殿を生じる場合がある。
【0171】
pH調整剤としては、塩酸、硫酸、硝酸等の酸や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリが挙げられる。酸のうち、コスト等の点から、塩酸、硫酸が好ましい。アルカリのうち、コスト等の点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
【0172】
水処理剤組成物に含まれるpH調整剤の濃度は、水処理剤組成物のpHを所定のpHに調整することができる量であればよい。水処理剤組成物のpHは、例えば、0~14の範囲である。
【0173】
蛍光化合物が含まれる水処理剤組成物としては、水溶性重合体やアゾール系化合物や殺菌剤やpH調整剤を含まず、蛍光化合物のみが含まれる蛍光化合物の純粋な液体としてもよいし、pHが変化するのを抑制するためにpH緩衝剤を配合してもよい。
【0174】
pH緩衝剤としては、例えば、りん酸、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機酸や、クエン酸等の有機酸等が挙げられ、スライム発生抑制等の点からりん酸、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機酸が好ましい。
【0175】
<安定化次亜ハロゲン酸組成物の製造方法>
安定化次亜ハロゲン酸組成物は、例えば、水に臭素系酸化剤または塩素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを混合することにより得られ、さらにアルカリを混合してもよい。
【0176】
臭素とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜臭素酸組成物の製造方法としては、水、アルカリおよびスルファミン酸化合物を含む混合液に臭素を不活性ガス雰囲気下で添加して反応させる工程、または、水、アルカリおよびスルファミン酸化合物を含む混合液に臭素を不活性ガス雰囲気下で添加する工程を含むことが好ましい。不活性ガス雰囲気下で添加して反応させる、または、不活性ガス雰囲気下で添加することにより、安定化次亜臭素酸組成物中の臭素酸イオン濃度が低くなる。
【0177】
用いる不活性ガスとしては限定されないが、製造等の面から窒素およびアルゴンのうち少なくとも1つが好ましく、特に製造コスト等の面から窒素が好ましい。
【0178】
臭素の添加の際の反応器内の酸素濃度は6%以下が好ましいが、4%以下がより好ましく、2%以下がさらに好ましく、1%以下が特に好ましい。臭素の反応の際の反応器内の酸素濃度が6%を超えると、反応系内の臭素酸の生成量が増加する場合がある。
【0179】
臭素の添加率は、安定化次亜臭素酸組成物全体の量に対して25重量%以下であることが好ましく、1重量%以上22.5重量%以下であることがより好ましい。臭素の添加率が安定化次亜臭素酸組成物全体の量に対して25重量%を超えると、反応系内の臭素酸の生成量が増加する場合がある。1重量%未満であると、殺菌力が劣る場合がある。
【0180】
臭素添加の際の反応温度は、0℃以上25℃以下の範囲に制御することが好ましいが、製造コスト等の面から、0℃以上15℃以下の範囲に制御することがより好ましい。臭素添加の際の反応温度が25℃を超えると、反応系内の臭素酸の生成量が増加する場合があり、0℃未満であると、凍結する場合がある。
【0181】
<水処理剤組成物の製造方法>
水処理剤組成物は、例えば、水に上記式(1)で表される蛍光化合物を混合することにより得られ、さらに水溶性重合体、殺菌剤、防食剤、およびpH調整剤からなる群のうちの少なくとも1つ選択された成分、pH緩衝剤等を混合してもよい。
【0182】
<被処理水の処理方法>
本発明の実施形態に係る被処理水の処理方法は、上記水処理剤組成物を被処理水に添加する処理方法である。
【0183】
本実施形態に係る被処理水の処理方法において、特に限定されるものではないが、水処理剤組成物が例えば1~1000mg/Lになるように被処理水に添加されればよい。
【0184】
被処理水としては、特に限定されるものではないが、例えば、工業用水、水道水、市水、井水、純水、超純水、排水、下水等や、生物処理装置、物理化学処理装置等によって処理された水が含まれた水でもよい。これらの被処理水には目的に応じて次亜塩素酸ナトリウム等の殺菌剤が予め添加されていることが多い。
【0185】
被処理水に含まれている殺菌剤として、塩素系酸化剤としては、例えば、塩素ガス、二酸化塩素、次亜塩素酸またはその塩、亜塩素酸またはその塩、塩素酸またはその塩、過塩素酸またはその塩、塩素化イソシアヌル酸またはその塩、安定化次亜塩素酸組成物等が挙げられる。臭素系酸化剤としては臭素(液体臭素)、塩化臭素、臭素酸、臭素酸塩、次亜臭素酸、安定化次亜臭素酸組成物等が挙げられる。次亜臭素酸は、臭化ナトリウム等の臭化物と次亜塩素酸等の塩素系酸化剤とを反応させて生成させたものであってもよい。これらの酸化剤は、1種が単独で含まれていても、2種以上が組み合わされて含まれていてもよい。
【0186】
被処理水に含まれている塩素系酸化剤、臭素系酸化剤等の酸化剤の濃度としては、一般的に遊離塩素濃度または全塩素濃度換算として0.01mg/L以上、100mg/L以下含まれていることが多い。これらの酸化剤濃度の測定手段としては、遊離塩素濃度または全塩素濃度の測定に用いられる公知の方法を適用することができ、例えば、ジエチル-p-フェニレンジアミン(DPD)比色法、ジエチル-p-フェニレンジアミン(DPD)吸光光度法、電流滴定法、ジエチル-p-フェニレンジアミン(DPD)滴定法、ヨウ素滴定法、ポーラログラフ法、オルトトリジン法等による測定方法が挙げられる。
【0187】
冷却塔等で添加された水処理薬剤は、設備の熱交換器と接触することが多く、熱交換器との接触は遮光下で高温条件(例えば、50℃以上)である。本実施形態に係る水処理剤組成物は、高温条件で用いられても蛍光化合物の安定性が高いため、熱交換器等の加熱装置等を有する水系、屋外等の紫外線照射環境下等において好適に用いることができる。
【0188】
<被処理水中の水処理剤組成物の濃度測定方法>
本発明の実施形態に係る被処理水中の水処理剤組成物の濃度測定方法は、被処理水に含まれる上記水処理剤組成物の濃度を蛍光測定により測定する方法である。
【0189】
蛍光の測定は、例えば、蛍光光度計等を用いて蛍光強度等を測定すればよい。
【0190】
<濃度管理方法および濃度管理装置>
本発明の実施形態に係る濃度管理方法は、上記式(1)で表される蛍光化合物の濃度を測定することによって被処理水に添加された水処理剤組成物の濃度管理を行う方法である。
【0191】
例えば、蛍光光度計等を用いて蛍光強度等を測定することによって、被処理水中の上記式(1)で表される蛍光化合物の濃度を測定すればよい。
【0192】
本発明の実施形態に係る濃度管理装置は、上記式(1)で表される蛍光化合物の濃度を測定することによって被処理水に添加された水処理剤組成物の濃度管理を行う装置である。
【0193】
例えば、蛍光光度計等によって、被処理水中の上記式(1)で表される蛍光化合物の濃度を測定すればよい。
【0194】
本明細書は、以下の実施形態を含む。
[1]式(1)で表される、蛍光化合物。
【化61】
(式(1)中、
Xは、酸素原子、セレン原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいメチレン基、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよい窒素原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいケイ素原子、またはカルボニル基を表す。
nは、0、1または2を表す。
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12は、各々独立に、スルホ基またはその化学的に許容される塩、水素原子、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のハロアルキル基、炭素数6から10の芳香族基、ハロゲン原子、または水酸基を表し、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12から選ばれる1つ以上5つ以下の基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩である。nが2のとき、複数のRおよびR12は、同一または相異なっていてもよい。ただし、Xが酸素原子であり、nが1であり、R、R、R、R、R、R、R、R、R11およびR12が全て水素原子であるとき、RおよびR10はスルホ基またはその化学的に許容される塩にはなり得ない。)
【0195】
[2][1]に記載の蛍光化合物であって、
Xが、酸素原子であること、蛍光化合物。
【0196】
[3][1]または[2]に記載の蛍光化合物であって、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12が、スルホ基またはその化学的に許容される塩、水素原子または炭素数1から4のアルキル基であり、nが0または1である、蛍光化合物。
【0197】
[4][3]に記載の蛍光化合物であって、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12から選ばれる1つ以上4つ以下の基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩である、蛍光化合物。
【0198】
[5][1]~[4]のいずれか1つに記載の蛍光化合物であって、
、R、R、RおよびR10の少なくとも1つの基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩である、蛍光化合物。
【0199】
[6][1]~[4]のいずれか1つに記載の蛍光化合物であって、
、R、R、RおよびR10から選ばれる少なくとも2つの基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩である、蛍光化合物。
【0200】
[7]式(1)で表される蛍光化合物の製造方法であって、式(2)で表される芳香族化合物をスルホン化する、蛍光化合物の製造方法。
【化62】
(式(1)中、
Xは、酸素原子、セレン原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいメチレン基、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよい窒素原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいケイ素原子、またはカルボニル基を表す。
nは、0、1または2を表す。
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12は、各々独立に、スルホ基またはその化学的に許容される塩、水素原子、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のハロアルキル基、炭素数6から10の芳香族基、ハロゲン原子、または水酸基を表し、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12から選ばれる1つ以上5つ以下の基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩である。nが2のとき、複数のRおよびR12は、同一または相異なっていてもよい。ただし、Xが酸素原子であり、nが1であり、R、R、R、R、R、R、R、R、R11およびR12が全て水素原子であるとき、RおよびR10はスルホ基またはその化学的に許容される塩にはなり得ない。)
【化63】
(式(2)中、
Xは、酸素原子、セレン原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいメチレン基、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよい窒素原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいケイ素原子、またはカルボニル基を表す。
nは、0、1または2を表す。
、A、A、A、A、A、A、A、A、A10、A11およびA12は、各々独立に、スルホ基またはその化学的に許容される塩、水素原子、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のハロアルキル基、炭素数6から10の芳香族基、ハロゲン原子、または水酸基を表し、A、A、A、A、A、A、A、A、A、A10、A11およびA12から選ばれる2つ以上の基が、水素原子である。nが2のとき、複数のAおよびA12は、同一または相異なっていてもよい。なお、AからA12で表される各々の基は、同じ番号のRからR12で表される各々の基とそれぞれ対応しており、Rで表される基がスルホ基またはその化学的に許容される塩の場合は、対応するAで表される基は水素原子である。)
【0201】
[8][7]に記載の蛍光化合物の製造方法であって、
塩化スルホン酸、硫酸、および発煙硫酸のうちの少なくとも1つを用いてスルホン化する、蛍光化合物の製造方法。
【0202】
[9][8]に記載の蛍光化合物の製造方法であって、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12から選ばれる2つ以下の基がスルホ基である芳香族スルホン酸化合物またはその塩、およびR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12から選ばれる3つ以上の基がスルホ基である芳香族スルホン酸化合物またはその塩を、併産する、蛍光化合物の製造方法。
【0203】
[10]式(1)で表される蛍光化合物を含む、水処理剤組成物。
【化64】
(式(1)中、
Xは、酸素原子、セレン原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいメチレン基、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよい窒素原子、炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいケイ素原子、またはカルボニル基を表す。
nは、0、1または2を表す。
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12は、各々独立に、スルホ基またはその化学的に許容される塩、水素原子、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のハロアルキル基、炭素数6から10の芳香族基、ハロゲン原子、または水酸基を表し、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12から選ばれる1つ以上5つ以下の基が、スルホ基またはその化学的に許容される塩である。nが2のとき、複数のRおよびR12は、同一または相異なっていてもよい。ただし、Xが酸素原子であり、nが1であり、R、R、R、R、R、R、R、R、R11およびR12が全て水素原子であるとき、RおよびR10はスルホ基またはその化学的に許容される塩にはなり得ない。)
【0204】
[11][10]に記載の水処理剤組成物であって、
水溶性重合体、殺菌剤、防食剤、およびpH調整剤からなる群のうちの少なくとも1つ選択された成分をさらに含む、水処理剤組成物。
【0205】
[12][11]に記載の水処理剤組成物であって、
前記水溶性重合体が、カルボン酸またはその塩のうちの少なくとも1つの単量体単位を有する、水処理剤組成物。
【0206】
[13][11]または[12]に記載の水処理剤組成物であって、
前記殺菌剤が、塩素系酸化剤、臭素系酸化剤、および次亜ハロゲン酸安定化組成物のうちの少なくとも1つである、水処理剤組成物。
【0207】
[14][13]に記載の水処理剤組成物であって、
前記次亜ハロゲン酸安定化組成物が、臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物とを含む安定化次亜臭素酸組成物である、水処理剤組成物。
【0208】
[15][11]~[14]のいずれか1つに記載の水処理剤組成物であって、
前記防食剤が、亜硝酸塩、モリブデン酸塩、重合リン酸塩、ホスホン酸塩、亜鉛塩、アゾール系化合物のうちの少なくとも1つである、水処理剤組成物。
【0209】
[16][11]~[15]のいずれか1つに記載の水処理剤組成物であって、
前記水溶性重合体、前記殺菌剤、前記防食剤、および前記pH調整剤からなる群のうち少なくとも前記殺菌剤および前記防食剤を含み、前記防食剤がアゾール系化合物である、水処理剤組成物。
【0210】
[17][16]に記載の水処理剤組成物であって、
前記アゾール系化合物と前記蛍光化合物の質量比が、7:1から100:1の範囲である、水処理剤組成物。
【0211】
[18][16]または[17]に記載の水処理剤組成物であって、
前記アゾール系化合物が、1,2,3-ベンゾトリアゾールである、水処理剤組成物。
【0212】
[19][10]~[18]のいずれか1つに記載の水処理剤組成物を被処理水に添加する、被処理水の処理方法。
【0213】
[20]被処理水に含まれる[10]~[18]のいずれか1つに記載の水処理剤組成物の濃度を蛍光測定により測定する、被処理水中の水処理剤組成物の濃度測定方法。
【0214】
[21]被処理水に添加された[10]~[18]のいずれか1つに記載の水処理剤組成物の濃度管理を行う濃度管理方法であって、
前記蛍光化合物の濃度を測定することによって前記被処理水に添加された前記水処理剤組成物の濃度管理を行う、濃度管理方法。
【0215】
[22]被処理水に添加された[10]~[18]のいずれか1つに記載の水処理剤組成物の濃度管理を行う濃度管理装置であって、
前記蛍光化合物の濃度を測定することによって前記被処理水に添加された前記水処理剤組成物の濃度管理を行う、濃度管理装置。
【実施例
【0216】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0217】
H-NMR測定]
H-NMRの測定には、Bruker AVANCE III 400 または AVANCE III HD 400 NMRを用いた。H-NMRは、重溶媒を測定溶媒とし、内部標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を用いて測定した。
【0218】
[ESI-MS測定]
ESI-MSの測定は、Waters micromass ZQを用いて測定した。
【0219】
<実施例1>
【化65】
【0220】
アルゴン雰囲気下で、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(0.32g,1.2mmol)をジクロロメタン(15mL)に溶解させた。この溶液に塩化スルホン酸(0.143g,1.2mmol)を加えて、室温(20±5℃)で3時間撹拌した。その後、この溶液にクロロホルムとヘキサンを加えて静置し、上澄み液を除去した。溶媒を減圧留去し、得られた固体をヘキサンで洗浄することによって、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-5-スルホン酸を白色固体として得た(0.20g,収率78%)。
【0221】
H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ(ppm):9.18(dd,J=8.7,1.1Hz,1H),9.09(d,J=8.4Hz,2H),8.37(s,1H),8.23(brd,J=8.1Hz,1H),8.17(d,J=8.9Hz,1H),8.06(d,J=8.9Hz,1H),7.87-7.81(m,2H),7.69-7.64(m,2H).
ESI-MS(MeOH)m/z:347(M-H)
【0222】
<実施例2>
【化66】
【0223】
アルゴン雰囲気下で、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(2.05g,7.6mmol)をジクロロメタン(25mL)中に溶解させた。この溶液に塩化スルホン酸(1.78g,15mmol)を加えて、室温下で2時間撹拌した。その後、この溶液にヘキサンを加えてろ過を行い、得られた固体をヘキサンで洗浄することによって、黒紫色固体を得た(3.51g,粗収率quant.)。この固体をNMRにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,9-ジスルホン酸を含んでいた。
【0224】
H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ(ppm):9.16(dd,J=8.6,1.3Hz,1.2H),9.10-9.05(m,1.2H),9.02(d,J=8.7Hz,0.3H),8.44(s,0.3H),8.36(s,1.0H),8.23(d,J=8.6Hz,0.4H),8.17(d,J=8.9Hz,0.2H),8.07(d,J=8.8Hz,0.5H),8.03(d,J=8.9Hz,0.3H),7.88-7.80(m,1.3H),7.69-7.64(m,1.3H).
ESI-MS(MeOH)m/z:427(M-H)
【0225】
<実施例3>
【化67】
【0226】
アルゴン雰囲気下で、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(671mg,2.5mmol)をジクロロメタン(8.5mL)に溶解させた。この溶液に塩化スルホン酸(0.59g,5.1mmol)を加えて、室温で4時間撹拌した。その後、この溶液に水をゆっくりと加え、水層を抽出した後に5M水酸化ナトリウム水溶液(2.0mL,10mmol)を加え、低沸点留分を減圧除去した。得られた固体にエタノール(50mL)を加え、80℃まで加熱して30分撹拌した。室温まで放冷後、濾過を行い、得られた固体をエタノールで洗浄することによって、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,9-ジスルホン酸ナトリウムを薄い黄色固体として得た(806mg)。
【0227】
H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ(ppm):9.16(brd,J=8.6Hz,1H),9.08(brd,J=8.3Hz,1H),9.02(brd,J=8.8Hz,1H),8.43(d,J=1.7Hz,1H),8.35(s,1H),8.23(d,J=8.9Hz,1H),8.06(d,J=8.9Hz,1H),8.02(dd,J=8.8,1.7Hz,1H),7.83(dd,J=8.3,8.3Hz,1H),7.66(dd,J=8.3,8.3Hz,1H).
ESI-MS(MeOH)m/z:449(M-Na)
【0228】
<実施例4>
【化68】
【0229】
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(503mg,1.9mmol)に95%(質量%)硫酸(3mL,52mmol)を加え、この溶液を50℃で9時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(30mL)および5M水酸化ナトリウム水溶液(22mL,110mmol)をゆっくりと加え、低沸点留分を減圧除去した。その後、メタノール(30mL)を加えて一晩撹拌した後に濾過を行い、低沸点留分を減圧除去した。得られた固体にエタノール(50mL)を加え、80℃まで加熱して1時間撹拌した。室温まで放冷後、濾過を行い、得られた固体をエタノールで洗浄することによって黄色固体を得た(887mg)。この固体をNMRにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムおよびジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,9-ジスルホン酸ナトリウムを積分値換算でそれぞれ47%と14%の割合で含んでいた。
【0230】
H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ(ppm):9.49-9.45(m,0.93H),9.22-8.94(m,2.37H),8.46-8.37(m,1.59H),8.26-7.96(m,3.14H),7.91-7.65(m,0.97H).
ESI-MS(MeOH)m/z:551(M-Na)
【0231】
<実施例5>
【化69】
【0232】
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(210mg,0.78mmol)に95%硫酸(2mL,35mmol)を加え、この溶液を100℃で5.5時間加熱撹拌した。室温まで放冷後、0℃に冷却させてからゆっくりと6M水酸化ナトリウム水溶液(11mL,66mmol)をゆっくり加えて硫酸を中和し、低沸点留分を減圧除去した。その後、メタノール(50mL)を加えて一晩撹拌した後に濾過を行い、低沸点留分を減圧除去した。得られた固体にエタノール(80mL)を加えて80℃まで加熱してから1時間撹拌した。室温まで放冷後、濾過を行い、得られた固体をエタノールで洗浄することによって、オレンジ色固体を得た(287mg,粗収率54%)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,9,11-テトラスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
ESI-MS(MeOH)m/z:653(M-Na)
【0233】
<実施例6>
【化70】
【0234】
アルゴン雰囲気下で、3,3'-ジメチル-[1,1’-ビナフタレン]-2,2’-ジオール(432mg,1.4mmol)とパラ-トルエンスルホン酸(559mg,2.9mmol)をトルエン(15mL)中に懸濁させ、135℃で29時間撹拌させた。室温まで放冷後、反応混合物にクロロホルムおよび水を加えた後、有機層を抽出した。有機層に硫酸ナトリウム加えて撹拌した後、濾過を行い、低沸点留分を減圧除去した。得られた固体をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:クロロホルム=100:0~95:5)にて精製することによって、6,8-ジメチルジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フランを乳白色固体として得た(365mg,収率90%)
【0235】
H-NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):9.13(d,J=8.4Hz,2H),7.99(dd,J=8.1,1.0Hz,2H),7.74(s,2H),7.68(ddd,J=8.4,6.9,1.3Hz,2H),7.55(ddd,J=8.0,6.9,1.2Hz,2H),2.81(s,6H).
【0236】
【化71】
【0237】
アルゴン雰囲気下で、6,8-ジメチルジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(151mg,0.51mmol)をジクロロメタン(5mL)中に溶解させた。この溶液に塩化スルホン酸(62.4mg,0.53mmol)を加えて、室温下で1.5時間撹拌した。その後、この溶液にヘキサンを加えて濾過を行い、得られた固体をヘキサンで洗浄することによって粗灰色固体を得た(144mg,粗収率75%)。この固体をESI-MSにて解析したところ、6,8-ジメチルジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3-スルホン酸を含んでいた。
ESI-MS(MeOH)m/z:375(M-H)
【0238】
<実施例7>
【化72】
【0239】
アルゴン雰囲気下で、6,8-ジメチルジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(104mg,0.35mmol)をジクロロメタン(3.5mL)中に溶解させた。この溶液に塩化スルホン酸(85.6mg,0.73mmol)を加えて、室温下で6時間撹拌した。その後、この溶液にヘキサンを加えて濾過を行い、得られた固体をヘキサンで洗浄することによって、黒紫色固体を得た(157mg,粗収率99%)。この固体をESI-MSにて解析したところ、6,8-ジメチルジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-ジスルホン酸の構造異性体を含んでいた。
ESI-MS(MeOH)m/z:455(M-H)
【0240】
<実施例8>
【化73】
【0241】
アルゴン雰囲気下で、7H-ジベンゾ[c,g]カルバゾール(252mg,0.9mmol)をジクロロメタン(5mL)中に溶解させた。この溶液に塩化スルホン酸(112mg,1.0mmol)を加えて、室温下で1時間撹拌した。その後、この溶液にヘキサンを加えて濾過を行い、得られた固体をヘキサンで洗浄することによって、7H-ジベンゾ[c,g]カルバゾール-5-スルホン酸を赤紫色固体として得た(286mg,収率87%)。
【0242】
H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ(ppm):12.35(s,1H),9.07(ddd,J=8.6,7.5,1.1Hz,3H),8.33(s,1H),8.10(dd,J=8.1,1.2Hz,1H),7.94(d,J=8.7Hz,1H),7.82(d,J=8.7Hz,1H),7.71-7.64(m,2H),7.53-7.47(m,2H).
ESI-MS(MeOH)m/z:346(M-H)
【0243】
<実施例9>
【化74】
【0244】
アルゴン雰囲気下で、ベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン(218mg,1.0mmol)をジクロロメタン(10mL)中に溶解させた。この溶液に塩化スルホン酸(120mg,1.0mmol)を加えて、室温下で2.5時間撹拌した。その後、この溶液にヘキサンを加えて濾過を行い、得られた固体をヘキサンで洗浄することによって、白色固体を得た(188mg,粗収率63%)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-5-スルホン酸を含んでいた。
ESI-MS(MeOH)m/z:297(M-H)
【0245】
<実施例10>
【化75】
【0246】
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(597mg,2.2mmol)に95%硫酸(2.8mL,49mmol)を加え、この溶液を100℃で24時間加熱撹拌した。室温まで放冷後、0℃に冷却させてから5M水酸化カリウム水溶液(21mL,105mmol)をゆっくりと加えて硫酸を中和し、低沸点留分を減圧除去した。その後、メタノール(250mL)を加えて2日間撹拌した後に濾過を行い、低沸点留分を減圧除去した。得られた固体をヘキサンで洗浄することによって、オレンジ色固体を得た(1.83g,粗収率quant.)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,9,11-テトラスルホン酸カリウムを含んでいた。
ESI-MS(MeOH)m/z:701(M-K)
【0247】
<実施例11>
【化76】
【0248】
アルゴン雰囲気下で、7H-ベンゾ[c]フルオレン(207mg,1.0mmol)をジクロロメタン(10mL)中に溶解させた。この溶液に塩化スルホン酸(116mg,1.0mmol)を加えて、室温下で2.5時間撹拌した。その後、この溶液にヘキサンを加えて濾過を行い、得られた固体をヘキサンで洗浄することによって、白色固体を得た(219mg,粗収率78%)。この固体をNMRにて解析したところ、7H-ベンゾ[c]フルオレン-5-スルホン酸および7H-ベンゾ[c]フルオレン-6-スルホン酸を積分値換算でそれぞれ77%と33%の割合で含んでいた。
【0249】
H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ(ppm):9.04(dd,J=8.7,1.0Hz,1.0H),8.82(d,J=8.4Hz,1.3H),8.49(d,J=7.9Hz,1.0H),8.42(d,J=8.2Hz,0.3H),8.23(s,1.0H),8.07(d,J=7.8Hz,0.3H),7.94(d,J=8.3Hz,0.3H),7.89(s,0.3H),7.79(d,J=8.3Hz,0.3H),7.75(brd,J=7.8Hz,0.3H),7.72-7.65(m,2.3H),7.60-7.55(m,1.3H),7.50(brd,J=7.4,6.8Hz,1.0H),7.39(ddd,J=7.4,6.6,0.8Hz,1.0H),4.08(s,3H).
ESI-MS(MeOH)m/z:295(M-H)
【0250】
[蛍光波長の測定]
実施例1~11の各蛍光物質、および参考例1として2-ナフタレンスルホン酸ナトリウム(CAS番号532-02-5、関東化学製)、参考例2としてスルホン化ピレンの一種であるピレン-1,3,6,8-テトラスルホン酸テトラナトリウム(略称PTSA、CAS番号59572-10-0、Acros Organics製)を、それぞれ、濃度1000μg/Lとなるよう純水に溶解し、分光蛍光光度計(日本分光製FP-8350DS)を用い、最も強い蛍光強度を観測する蛍光波長、およびそのときの最適励起波長を取得した。結果を表1に示す。
【0251】
【表1】
【0252】
表1から明らかなように、様々な蛍光波長および励起波長を有する水溶性の蛍光物質を得ることができた。
【0253】
[蛍光強度の測定]
実施例1、実施例2の各蛍光物質、および参考例2としてピレン-1,3,6,8-テトラスルホン酸テトラナトリウムを、それぞれ、濃度1000μg/Lとなるよう純水に溶解し、分光蛍光光度計(日本分光製FP-8350DS)を用い、最も強い蛍光強度を観測する蛍光波長、およびそのときの蛍光強度を取得した。結果を表2に示す。
【0254】
【表2】
【0255】
表2から明らかなように、既存の蛍光物質である参考例2のPTSAに比べて、蛍光強度が高い蛍光物質を得ることができた。このため、蛍光材料として用いる場合に配合する蛍光物質の量を削減することができ、配合コストを低くすることができる。
【0256】
以上のように、実施例によって、新規構造を有する水溶性の蛍光化合物を得ることができた。
【0257】
<実施例12~15>
[水処理剤組成物の調製]
表3~表6に示す配合組成(質量%)で製剤化を行った。PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製の容器内で、スターラで撹拌しながら各薬剤を添加し、一剤化した薬品として、表3~6に示す組成の水処理剤組成物を調製した。蛍光化合物は、実施例4で得た蛍光化合物(ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムおよびジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,9-ジスルホン酸ナトリウムを積分値換算でそれぞれ47%と14%の割合で含む。)を用いた。
【0258】
なお、水溶性重合体としては、アクリル酸単独重合体(重量平均分子量4,500)、アクリル酸と2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸とのアクリル酸系二元共重合体(重量平均分子量4,500)、アクリル酸と2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸とアルキルアクリルアミドとのアクリル酸系三元共重合体(重量平均分子量4,500)、ポリマレイン酸(重量平均分子量500)を用いた。殺菌剤としては、イソチアゾリノン系殺菌剤(5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン約10質量%含有、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン約3質量%含有の混合物)、安定化次亜臭素酸組成物(下記参照)、次亜塩素酸ナトリウム、ヒドラジン一水和物を用いた。防食剤としては、アゾール系化合物として1,2,3-ベンゾトリアゾール、塩化亜鉛、リン酸、ホスホン酸として2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸およびその塩(PBTC)、モリブデン酸塩としてモリブデン酸ナトリウム二水和物を用いた。酸は、塩酸、アルカリは、水酸化ナトリウムを用いた。
【0259】
安定化次亜臭素酸組成物は、以下のようにして調製した。
【0260】
[安定化次亜臭素酸組成物の調製]
反応容器内の酸素濃度が1%に維持されるように、窒素ガスの流量をマスフローコントローラでコントロールしながら連続注入で封入した2Lの4つ口フラスコに1436gの水、361gの水酸化ナトリウムを加えて混合し、次いで300gのスルファミン酸を加え混合した後、反応液の温度が0~15℃になるように冷却を維持しながら、473gの液体臭素を加え、さらに48%水酸化カリウム溶液230gを加え、組成物全体の量に対する重量比でスルファミン酸10.7%、臭素16.9%、臭素の当量に対するスルファミン酸の当量比が1.04である、目的の安定化次亜臭素酸組成物を得た。生じた溶液のpHは、ガラス電極法にて測定したところ、14であった。生じた溶液の臭素含有率は、臭素をヨウ化カリウムによりヨウ素に転換後、チオ硫酸ナトリウムを用いて酸化還元滴定する方法により測定したところ16.9%であり、理論含有率(16.9%)の100.0%であった。また、臭素反応の際の反応容器内の酸素濃度は、株式会社ジコー製の「酸素モニタJKO-02 LJDII」を用いて測定した。なお、臭素酸濃度は5mg/kg未満であった。
【0261】
なお、pHの測定は、以下の条件で行った。
電極タイプ:ガラス電極式
pH測定計:東亜ディーケーケー社製、IOL-30型
電極の校正:関東化学社製中性リン酸塩pH(6.86)標準液(第2種)、同社製ホウ酸塩pH(9.18)標準液(第2種)の2点校正で行った
測定温度:25℃
測定値:測定液に電極を浸漬し、安定後の値を測定値とし、3回測定の平均値
【0262】
得られた水処理剤組成物をポリスチレン容器に入れ、室温(25℃)と50℃と-5℃でそれぞれ密閉保管し、14日後に蛍光物質の残存率(%)を測定した。蛍光強度物質の残存率は、製剤直後の測定値を100%として、14日後の測定値から残存率(%)を求めた。製剤については、白濁や沈殿が生じない場合に〇とした。結果を表3~表6に示す。
【0263】
【表3】
【0264】
【表4】
【0265】
【表5】
【0266】
【表6】
【0267】
表3~表6から明らかなとおり、蛍光強度は調製直後と比較して全てのサンプルで95%以上であった。
【0268】
<実施例16>
表7に示す配合組成(質量%)で、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製の容器内で、スターラで撹拌しながら各薬剤を添加し、一剤化した薬品として水処理剤組成物を調製した。殺菌剤として上記安定化次亜臭素酸組成物(40質量%)、実施例4で得た蛍光化合物(0.06質量%)、アゾール系化合物として1,2,3-ベンゾトリアゾール(0~6質量%)を用いた。調製した水処理剤組成物をポリスチレン容器に入れて密閉し、50℃で14日間保存した後の蛍光化合物の残存率(%)を測定した。結果を表7に示す。50℃で14日間保存した後の、アゾール系化合物と蛍光化合物の質量比(BTA/蛍光化合物)に対する蛍光化合物の残存率(%)を図1に示す。
【0269】
【表7】
【0270】
調製直後と比較して、アゾール系化合物と蛍光化合物の質量比が、7:1から100:1のサンプルで蛍光化合物の残存率は70%以上であった。実施例の蛍光化合物+殺菌剤の条件下で、ベンゾトリアゾールをさらに加えると蛍光化合物の高温保存のときの安定性が向上した。
【0271】
<実施例17、比較例1>
表8に示す配合組成(質量%)で、蛍光物質として実施例4の蛍光化合物またはPTSA(1,3,6,8-ピレンテトラスルホン酸四ナトリウム塩水和物)を用いて、水処理剤組成物を調製した。調製した水処理剤組成物をポリスチレン容器中の被処理水(冷却塔の冷却水)に蛍光化合物またはPTSAが100ppbになるように添加し、密閉した後、50℃遮光条件下、または屋外(2週間の平均気温16.5℃、最高気温28℃)遮光条件下で14日間保存した。14日間後の蛍光化合物の残存率(%)を測定した。結果を表9に示す。
【0272】
【表8】
【0273】
【表9】
【0274】
表9に示すように実施例4の蛍光化合物の方の残存率が高かった。冷却塔で添加された水処理薬剤は、設備の熱交換器と接触することが多く、熱交換器との接触は遮光下で高温条件であり、蛍光物質としてPTSAを用いると消失してしまう可能性があることがわかった。
【0275】
<実施例18>
【化77】
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(501mg,1.9mmol)に95%硫酸(1mL,17mmol)を加え、この溶液を50℃で3時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(10mL)および5M水酸化ナトリウム水溶液(7mL,35mmol)をゆっくりと加えて攪拌してから水(10mL)を再度加えて濾過を行い、低沸点留分を減圧除去した。その後、メタノール(18mL)を加えて50℃で2時間撹拌した後に濾過を行い、濾液を濃縮し、析出した固体を濾過することで白黄色固体を得た(311mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,9-ジスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0276】
<実施例19>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(501mg,1.9mmol)に95%硫酸(3mL,52mmol)を加え、この溶液を50℃で2時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(50mL)および5M水酸化ナトリウム水溶液(21mL,105mmol)をゆっくりと加え、濾過を行い、不溶物を除去してから低沸点留分を減圧除去した。その後、メタノール(50mL)を加えて一晩室温で撹拌した後に濾過を行い、低沸点留分を減圧除去した。得られた固体にエタノール(50mL)を加え、80℃まで加熱して2時間撹拌した。室温まで放冷後、濾過を行い、得られた固体をエタノールで洗浄することによって黄白色固体を得た(967mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,9-ジスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0277】
<実施例20>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(501mg,1.9mmol)に95%硫酸(1mL,17mmol)を加え、この溶液を50℃で9時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(50mL)および5M水酸化ナトリウム水溶液(7mL,35mmol)をゆっくりと加え、低沸点留分を減圧除去した。その後、メタノール(40mL)を加えて一晩室温で撹拌した後に濾過を行い、低沸点留分を減圧除去した。得られた固体にエタノール(50mL)を加え、80℃まで加熱して30分間撹拌した。室温まで放冷後、濾過を行い、得られた固体をエタノールで洗浄することによって黄白色固体を得た(818mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,9-ジスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0278】
<実施例21>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(501mg,1.9mmol)に95%硫酸(1mL,17mmol)を加え、この溶液を50℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(30mL)および5M水酸化ナトリウム水溶液(7mL,35mmol)をゆっくりと加え、低沸点留分を減圧除去した。その後、メタノール(50mL)を加えて50℃で一晩撹拌した後に濾過を行い、低沸点留分を減圧除去した。得られた固体にエタノール(50mL)を加え、80℃まで加熱して30分間撹拌した。室温まで放冷後、濾過を行い、得られた固体をエタノールで洗浄することによって黄白色固体を得た(851mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,9-ジスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0279】
<実施例22>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(500mg,1.9mmol)に95%硫酸(1mL,17mmol)を加え、この溶液を50℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(30mL)および5M水酸化ナトリウム水溶液(7mL,35mmol)をゆっくりと加え、濾過を行い、不溶物を除去してから低沸点留分を減圧除去した。その後、メタノール(50mL)を加えて50℃で一晩撹拌した後に濾過を行い、低沸点留分を減圧除去した。得られた固体にエタノール(45mL)を加え、濾過を行うことによって黄白色固体を得た(962mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,9-ジスルホン酸ナトリウムを含んでいた。またこの固体をNMRにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムおよびジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,9-ジスルホン酸ナトリウムを積分値換算でそれぞれ17%と51%の割合で含んでいた。
【0280】
<実施例23>
実施例22で、エタノール(45mL)をイソプロパノール(70mL)に変更した以外は同様の操作を行い、黄白色固体を得た(1038mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,9-ジスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0281】
<実施例24>
実施例22で、反応温度を40℃に変更した以外は同様の操作を行い、黄白色固体を得た(988mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,9-ジスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0282】
<実施例25>
実施例22で、50℃で6時間加熱撹拌を60℃で7時間加熱撹拌に変更し、エタノール(45mL)をイソプロパノール(50mL)に変更した以外は同様の操作を行い、黄白色固体を得た(1115mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,9-ジスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0283】
<実施例26>
実施例19で、50℃で2時間加熱撹拌を50℃で6時間加熱撹拌に変更し、水(50mL)を水(10mL)に変更し、5M水酸化ナトリウム水溶液(21mL,105mmol)を5M水酸化ナトリウム水溶液(7mL,35mmol)に変更し、エタノール(50mL)をイソプロパノール(50mL)に変更し、80℃まで加熱して2時間撹拌を80℃まで加熱して1時間撹拌に変更し、エタノールで洗浄をイソプロパノールで洗浄に変更した以外は同様の操作を行うことによって黄白色固体を得た(986mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,9-ジスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0284】
<実施例27>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(2.0g,7.5mmol)に95%硫酸(4mL,69.8mmol)を加え、この溶液を50℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(14mL)、25%(質量%)ナトリウムメトキシドメタノール溶液(33mL,144.2mmol)をゆっくりと加えた。その後、水(24mL)およびメタノール(56mL)を加えて還流下で一晩加熱撹拌し、熱時濾過を行い、低沸点留分を減圧濃縮した。ここにイソプロパノール(120mL)を加え、減圧濃縮し、再度イソプロパノール(100mL)を加え、濾過を行うことによって黄白色固体を得た(4.04g)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,9-ジスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0285】
<実施例28>
【化78】
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(1.01g,3.8mmol)に95%硫酸(5mL,88mmol)を加え、この溶液を50℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、6M水酸化ナトリウム水溶液(30mL,180mmol)をゆっくりと加え、低沸点留分を減圧除去した。その後、メタノール(120mL)を加えて一晩撹拌した後に濾過を行い、低沸点留分を減圧除去した。得られた固体にヘキサンを加え、濾過を行うことによって黄白色固体を得た(2.97g)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0286】
<実施例29>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(349mg,1.3mmol)に95%硫酸(2mL,35mmol)を加え、この溶液を80℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(15mL)および5M水酸化ナトリウム水溶液(14mL,70mmol)をゆっくりと加え、濾過を行い、不溶物を除去してから低沸点留分を減圧除去した。その後、メタノール(50mL)を加えて50℃で一晩撹拌した後に濾過を行い、低沸点留分を減圧除去した。得られた固体にエタノール(50mL)を加え、濾過を行うことによって黄白色固体を得た(788mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0287】
<実施例30>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(501mg,1.9mmol)に95%硫酸(3mL,52mmol)を加え、この溶液を50℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(30mL)および5M水酸化ナトリウム水溶液(22mL,110mmol)をゆっくりと加え、濾過を行い、不溶物を除去してから低沸点留分を減圧除去した。その後、メタノール(50mL)を加えて50℃で一晩撹拌した後に濾過を行い、低沸点留分を減圧除去した。得られた固体にイソプロパノール(70mL)を加え、濾過を行うことによって黄色固体を得た(1.17g)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0288】
<実施例31>
実施例30で、95%硫酸(3mL,52mmol)を2mL,35mmolに変更し、5M水酸化ナトリウム水溶液(22mL,110mmol)を14mL,70mmolに変更し、イソプロパノール(70mL)を50mLに変更した以外は同様の操作を行うことによって黄色固体を得た(1.10g)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0289】
<実施例32>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(500mg,1.9mmol)に95%硫酸(3mL,52mmol)を加え、この溶液を50℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(10mL)および5M水酸化ナトリウム水溶液(22mL,110mmol)をゆっくりと加え、濾過を行い、不溶物を除去してから低沸点留分を減圧除去した。その後、メタノール(50mL)を加えて室温下で一晩撹拌した後に濾過を行い、低沸点留分を減圧除去した。得られた固体にイソプロパノールを加え、濾過を行うことによって黄色固体を得た(1.19g)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0290】
<実施例33>
反応温度を60℃とすること以外は実施例32と同様の操作を行い、黄色固体を得た(1.00g)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0291】
<実施例34>
反応温度を70℃とすること以外は実施例32と同様の操作を行い、黄色固体を得た(1.03g)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0292】
<実施例35>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(1000mg,3.7mmol)に95%硫酸(6mL,105mmol)を加え、この溶液を55℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(50mL)および5M水酸化ナトリウム水溶液(42mL,210mmol)をゆっくりと加え、濾過を行い、不溶物を除去してから低沸点留分を減圧除去した。その後、メタノール(100mL)を加えて室温下で一晩撹拌した後に濾過を行い、低沸点留分を減圧除去した。得られた固体にイソプロパノールを加え、濾過を行うことによって黄色固体を得た(1.56g)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0293】
<実施例36>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(500mg,1.9mmol)に95%硫酸(3mL,52mmol)を加え、この溶液を50℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(30mL)および5M水酸化ナトリウム水溶液(22mL,110mmol)をゆっくりと加え、濾過を行い、不溶物を除去してから低沸点留分を減圧除去した。その後、メタノール(50mL)を加えて室温下で一晩撹拌した後に濾過を行い、低沸点留分を減圧除去した。得られた固体にイソプロパノール(50mL)を加え、80℃まで加熱して1時間撹拌した。室温まで放冷後、濾過を行い、得られた固体をイソプロパノールで洗浄することによって黄色固体を得た(1.14g)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0294】
<実施例37>
実施例36で、95%硫酸(3mL,52mmol)を10mL,175mmolに変更し、水(30mL)を50mLに変更し、5M水酸化ナトリウム水溶液(22mL,110mmol)を70mL,350mmolに変更し、メタノール(50mL)を100mLに変更した以外は同様の操作を行うことによって黄色固体を得た(825mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0295】
<実施例38>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(7.00g,26.1mmol)に95%硫酸(42mL,733mmol)を加え、この溶液を50℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(50mL)および10M水酸化ナトリウム水溶液(150mL,1500mmol)をゆっくりと加え、濾過を行い、不溶物を除去してから低沸点留分を減圧除去した。その後、メタノール(300mL)を加えて室温下で一晩撹拌した後に濾過を行い、低沸点留分を減圧除去した。得られた固体にイソプロパノール(450mL)を加え、濾過を行うことによって黄色固体を得た(16.3g)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0296】
<実施例39>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(504mg,1.9mmol)に95%硫酸(3mL,52.4mmol)を加え、この溶液を50℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(100mL)および25%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(25mL,109mmol)をゆっくりと加え、低沸点留分を減圧除去した。その後、メタノール(100mL)を加えて室温下で一晩撹拌した後に濾過を行い、低沸点留分を減圧除去した。得られた固体にイソプロパノールを加え、濾過を行うことによって黄色固体を得た(1.14g)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0297】
<実施例40>
水(100mL)を25mLに変更した以外は実施例39と同様の操作を行い、黄色固体を得た(1.15g)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0298】
<実施例41>
水(100mL)を16.6mLに変更した以外は実施例39と同様の操作を行い、黄色固体を得た(925mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0299】
<実施例42>
水(100mL)を11mLおよびメタノール(100mL)を50mLに変更した以外は実施例39と同様の操作を行い、黄色固体を得た(993mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0300】
<実施例43>
水(100mL)を6.4mLおよびメタノール(100mL)を90mLに変更した以外は実施例39と同様の操作を行い、黄白色固体を得た(656mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0301】
<実施例44>
水(100mL)を2.8mLに変更した以外は実施例39と同様の操作を行い、黄白色固体を得た(354mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0302】
<実施例45>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(503mg,1.9mmol)に95%硫酸(3mL,52.4mmol)を加え、この溶液を50℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、メタノール(50mL)および25%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(25mL,109mmol)をゆっくりと加えた。その後、室温下で1時間撹拌した後に濾過を行い、得られた固体に再度メタノール(100mL)を加えて室温下で一晩撹拌した後に濾過を行い、濾液の低沸点留分を減圧除去した。また、濾取物として得られた固体に再度メタノール(100mL)を加えて室温下で一晩撹拌した後に濾過を行い、この溶液に先に減圧除去して得られた固体を加えて低沸点留分を減圧除去した。得られた固体にイソプロパノールを加え、濾過を行うことによって黄色固体を得た(1.08g)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0303】
<実施例46>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(501mg,1.9mmol)に95%硫酸(3mL,52.4mmol)を加え、この溶液を50℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(11mL)および25%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(25mL,109mmol)をゆっくりと加え、低沸点留分を減圧除去した。その後、還流下で一晩かけてメタノールによるソックスレー抽出を行い、低沸点留分を減圧除去した。得られた固体にイソプロパノールを加え、濾過を行うことによって白色固体を得た(1122mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0304】
<実施例47>
ソックスレー抽出後に低沸点留分を減圧濃縮に変更した以外は実施例46と同様の操作を行い、黄白色固体を得た(1.14g)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0305】
<実施例48>
水(11mL)を6.4mLに変更した以外は実施例46と同様の操作を行い、黄白色固体を得た(994mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0306】
<実施例49>
水(11mL)を2.8mLに変更した以外は実施例46と同様の操作を行い、黄白色固体を得た(705mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0307】
<実施例50>
水(11mL)をメタノール(15mL)に変更した以外は実施例46と同様の操作を行い、白色固体を得た(1.39g)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0308】
<実施例51>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(503mg,1.9mmol)に95%硫酸(3mL,52.4mmol)を加え、この溶液を50℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、メタノール(60mL)および25%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(25mL,109mmol)をゆっくりと加えて室温下で1時間撹拌し、濾過を行った。その後、得られた固体を還流下で一晩かけてメタノールによるソックスレー抽出を行い、低沸点留分を減圧除去した。得られた固体にイソプロパノールを加え、濾過を行うことによって白色固体を得た(835mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0309】
<実施例52>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(502mg,1.9mmol)に95%硫酸(3mL,52.4mmol)を加え、この溶液を50℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(11mL)および25%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(25mL,109mmol)をゆっくりと加え、メタノール(100mL)を加えて室温下で一晩撹拌した。その後、濾過を行い、低沸点留分を減圧濃縮した。ここにイソプロパノールを加え、濾過を行うことによって黄白色固体を得た(484mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0310】
<実施例53>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(502mg,1.9mmol)に95%硫酸(3mL,52.4mmol)を加え、この溶液を50℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(11mL)および25%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(25mL,109mmol)をゆっくりと加え、メタノール(100mL)を加えて室温下で一晩撹拌した。その後、濾過を行い、低沸点留分を減圧濃縮した。ここにイソプロパノールを加えて低沸点留分を減圧濃縮し、再度イソプロパノールを加え、濾過を行うことによって黄白色固体を得た(572mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0311】
<実施例54>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(502mg,1.9mmol)に95%硫酸(3mL,52.4mmol)を加え、この溶液を50℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(11mL)および25%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(25mL,109mmol)をゆっくりと加え、低沸点留分を減圧除去した。その後、メタノール(100mL)を加えて室温下で一晩撹拌した後に濾過を行い、低沸点留分を減圧濃縮した。ここにイソプロパノールを加えて低沸点留分を減圧濃縮し、再度イソプロパノールを加え、濾過を行うことによって黄白色固体を得た(934mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0312】
<実施例55>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(501mg,1.9mmol)に95%硫酸(3mL,52.4mmol)を加え、この溶液を50℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(11mL)および25%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(25mL,109mmol)をゆっくりと加え、メタノール(100mL)を加えて室温下で一晩撹拌した。その後、濾過を行い、低沸点留分を減圧除去した。得られた固体にイソプロパノールを加え、濾過を行うことによって黄白色固体を得た(649mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0313】
<実施例56>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(501mg,1.9mmol)に95%硫酸(3mL,52.4mmol)を加え、この溶液を50℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(11mL)および25%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(25mL,109mmol)をゆっくりと加え、低沸点留分を減圧濃縮した。その後、メタノール(100mL)を加えて室温下で一晩撹拌し、濾過を行い、低沸点留分を減圧除去した。得られた固体にイソプロパノールを加え、濾過を行うことによって黄白色固体を得た(676mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0314】
<実施例57>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(501mg,1.9mmol)に95%硫酸(3mL,52.4mmol)を加え、この溶液を50℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(11mL)および25%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(25mL,109mmol)をゆっくりと加え、低沸点留分を減圧濃縮した。その後、メタノール(110mL)を加えて室温下で一晩撹拌し、濾過を行った。得られた固体に再度メタノール(100mL)を加えて室温下で一晩撹拌し、濾過を行い、低沸点留分を減圧濃縮した。ここにイソプロパノールを加え、減圧濃縮し、再度イソプロパノールを加え、濾過を行うことによって黄白色固体を得た(362mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0315】
<実施例58>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(502mg,1.9mmol)に95%硫酸(3mL,52.4mmol)を加え、この溶液を50℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(11mL)、25%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(25mL,109mmol)およびイソプロパノール(70mL)をゆっくりと加え、低沸点留分を減圧濃縮した。その後、再度イソプロパノールを加えて濾過を行った。得られた固体にメタノール(100mL)を加えて室温下で一晩撹拌し、濾過を行い、低沸点留分を減圧濃縮した。ここにイソプロパノールを加え、減圧濃縮し、再度イソプロパノールを加え、濾過を行うことによって黄白色固体を得た(614mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0316】
<実施例59>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(501mg,1.9mmol)に95%硫酸(3mL,52.4mmol)を加え、この溶液を50℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(11mL)、25%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(25mL,109mmol)をゆっくりと加え、低沸点留分を減圧除去した。その後、メタノール(100mL)を加えて還流下で一晩加熱撹拌し、熱時濾過を行い、低沸点留分を減圧濃縮した。ここにイソプロパノールを加え、濾過を行うことによって黄白色固体を得た(997mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0317】
<実施例60>
25%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(25mL,109mmol)をゆっくりと加えた後の低沸点留分を減圧除去する操作を省略した以外は実施例59と同様の操作を行い、黄白色固体を得た(535mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0318】
<実施例61>
水(11mL)を2.8mLに変更した以外は実施例59と同様の操作を行い、黄白色固体を得た(537mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0319】
<実施例62>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(502mg,1.9mmol)に95%硫酸(3mL,52.4mmol)を加え、この溶液を50℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、25%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(25mL,109mmol)をゆっくりと加え、室温下で1時間撹拌し、濾過を行った。得られた固体にメタノール(100mL)を加えて還流下で一晩加熱撹拌し、熱時濾過を行い、低沸点留分を減圧濃縮した。ここにイソプロパノールを加え、濾過を行うことによって黄白色固体を得た(312mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0320】
<実施例63>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(500mg,1.9mmol)に95%硫酸(3mL,52.4mmol)を加え、この溶液を50℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(11mL)、25%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(25mL,109mmol)をゆっくりと加えた。その後、水(30mL)およびメタノール(70mL)を加えて還流下で一晩加熱撹拌し、熱時濾過を行い、低沸点留分を減圧濃縮した。ここにイソプロパノールを加え、減圧濃縮し、再度イソプロパノールを加え、濾過を行うことによって黄色固体を得た(1.23g)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0321】
<実施例64>
25%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(25mL,109mmol)をゆっくりと加えた後に加える水(30mL)を6mLおよびメタノール(70mL)を14mLに変更した以外は実施例63と同様の操作を行い、黄色固体を得た(1.08g)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0322】
<実施例65>
25%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(25mL,109mmol)をゆっくりと加えた後に加える水(30mL)を3mLおよびメタノール(70mL)を7mLに変更した以外は実施例63と同様の操作を行い、黄白色固体を得た(915mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0323】
<実施例66>
25%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(25mL,109mmol)をゆっくりと加えた後に加える水およびメタノールを加えなかったこと以外は実施例63と同様の操作を行い、黄白色固体を得た(818mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0324】
<実施例67>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(7.00g,26.1mmol)に95%硫酸(42mL,733mmol)を加え、この溶液を50℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(154mL)、25%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(340mL,1486mmol)をゆっくりと加えた。その後、水(90mL)およびメタノール(196mL)を加えて還流下で一晩加熱撹拌し、熱時濾過を行い、低沸点留分を減圧濃縮した。ここにイソプロパノール(300mL)を加え、減圧濃縮し、再度イソプロパノール(300mL)を加え、濾過を行うことによって黄色固体を得た(14.7g)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0325】
<実施例68>
実施例67で、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(7.00g,26.1mmol)を500mg,1.9mmolに変更し、95%硫酸(42mL,733mmol)を3mL,52.4mmolに変更し、水(154mL)を11mLに変更し、25%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(340mL,1486mmol)を25mL,109mmolに変更し、中和後に加える水(90mL)を6mLに変更し、メタノール(196mL)を14mLに変更し、1回目に加えるイソプロパノール(300mL)を60mLに変更し、2回目に加えるイソプロパノール(300mL)を30mLに変更した以外は同様の操作を行うことによって黄色固体を得た(995mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0326】
<実施例69>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(2.0g,7.5mmol)に95%硫酸(8mL,139.6mmol)を加え、この溶液を50℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液を0℃に冷却し、水(28mL)、25%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(65mL,284.1mmol)をゆっくりと加えた。その後、水(24mL)およびメタノール(56mL)を加えて還流下で一晩加熱撹拌し、熱時濾過を行い、低沸点留分を減圧濃縮した。ここにイソプロパノール(120mL)を加え、減圧濃縮し、再度イソプロパノール(100mL)を加え、濾過を行うことによって黄白色固体を得た(3.85g)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,9-ジスルホン酸ナトリウム及びジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0327】
<実施例70>
実施例69で95%硫酸(8mL,139.6mmol)を12mL,209.4mmolに変更し、反応温度を50℃から65℃に変更し、反応時間を6時間から3時間に変更し、水(28mL)を42mLに変更し、25%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(65mL,284.1mmol)を96mL,419.5mmolに変更し、1回目のイソプロパノール(120mL)を160mLに変更した以外は同様の操作を行うことによって黄色固体を得た(4.09g)この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0328】
<実施例71>
実施例69で95%硫酸(8mL,139.6mmol)を6mL,104.7mmolに変更し、反応温度を50℃から80℃に変更し、水(28mL)を21mLに変更し、25%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(65mL,284.1mmol)を49mL,214.1mmolに変更し、1回目のイソプロパノール(120mL)を200mLに変更した以外は同様の操作を行うことによって黄色固体を得た(4.18g)この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0329】
<実施例72>
実施例69で、95%硫酸(8mL,139.6mmol)を6mL,104.7mmolに変更し、水(28mL)を21mLに変更し、25%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(65mL,284.1mmol)を49mL,214.1mmolに変更した以外は同様の操作を行うことによって黄白色固体を得た(3.87g)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,9-ジスルホン酸ナトリウム及びジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0330】
<実施例73>
ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(500mg,1.9mmol)に95%硫酸(3mL,52.4mmol)を加え、この溶液を50℃で6時間加熱撹拌した。その後、この溶液に水(10mL)および1-オクタノール(11mL)を加えて有機層を抽出した。回収した有機層に2.5M水酸化ナトリウム水溶液(2.5mL,6.25mmol)を加えて水層を抽出し、水溶媒を減圧濃縮した。ここにイソプロパノール(120mL)を加え、減圧濃縮し、再度イソプロパノール(100mL)を加えて濾過を行うことによって橙色固体を得た(1.23g)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0331】
<実施例74>
実施例73で、2.5M水酸化ナトリウム水溶液(2.5mL,6.25mmol)を3mL,7.5mmolに変更し、1回目のイソプロパノール(120mL)を60mLに変更した以外は同様の操作を行うことによって橙色固体を得た(871mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,9-ジスルホン酸ナトリウム及びジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0332】
<実施例75>
実施例73で、反応温度を50℃から65℃に変更し、反応時間を6時間から3時間に変更し、1-オクタノール(11mL)を10mLに変更し、2.5M水酸化ナトリウム水溶液(2.5mL,6.25mmol)を3.4mL,8.5mmolに変更し、イソプロパノール(120mL)を100mLに変更した以外は同様の操作を行うことによって橙色固体を得た(1.33mg)。この固体をESI-MSにて解析したところ、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,9-ジスルホン酸ナトリウムおよびジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-3,5,11-トリスルホン酸ナトリウムを含んでいた。
【0333】
<実施例76>
【化79】
アルゴン雰囲気下で、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(1.01g,3.8mmol)をジクロロメタン(15mL)に溶解させた。この溶液に塩化スルホン酸(0.45g,3.8mmol)を加えて、室温で1.5時間撹拌した。その後、この溶液に水をゆっくりと加え、水層を抽出した後に5M水酸化ナトリウム水溶液(2.0mL,10mmol)およびイソプロパノール(50mL)を加え、低沸点留分を減圧除去した。得られた固体にエタノール(50mL)を加え、濾過を行い、得られた固体をエタノールで洗浄することによって、ジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン-5-スルホン酸ナトリウムを白色固体として得た(943mg)。
【0334】
H-NMR(400MHz,DMSO-d)δ(ppm):9.18(dd,J=8.6,1.1Hz,1H),9.10(d,J=8.4Hz,2H),8.37(s,1H),8.23(brd,J=8.3Hz,1H),8.18(d,J=8.9Hz,1H),8.07(d,J=8.9Hz,1H),7.88-7.82(m,2H),7.70-7.65(m,2H).
ESI-MS(MeOH)m/z:347(M-Na
【0335】
このように、新規構造を有する水溶性の蛍光化合物を用いる水処理剤組成物が得られた。また、水処理剤に配合できる成分に依存せずに蛍光化合物の劣化を抑制することができる水処理剤組成物が得られた。
図1