(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-11
(45)【発行日】2025-04-21
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 54/02 20060101AFI20250414BHJP
【FI】
B65G54/02
(21)【出願番号】P 2024543568
(86)(22)【出願日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 JP2024006572
【審査請求日】2024-07-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】三宅 博成
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 達也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康広
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特許第7258266(JP,B1)
【文献】特開2022-019448(JP,A)
【文献】特開2013-102570(JP,A)
【文献】特開2023-161405(JP,A)
【文献】特開2024-4489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 54/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送体が移動する搬送路を構成する複数の搬送路ユニットを備え、
複数の前記搬送路ユニットの各々は、
電流が流れることにより、前記搬送体を移動させる推力を発生させる1つ以上のコイルを有するリニアモータ部と、
複数の電流制御装置と各前記電流制御装置を制御する電流制御部とを有する電流制御ユニットと、を備え、
前記コイルに接続されている前記電流制御装置は、前記コイルに流れる電流を制御し、
前記電流制御部は、前記リニアモータ部の構成を示す情報を前記リニアモータ部から取得し、取得された前記情報に基づいて、
前記リニアモータ部の前記コイルの数が前記電流制御ユニットの前記電流制御装置の数よりも少ない場合には前記電流制御ユニットが有する全ての前記電流制御装置の中から
前記リニアモータ部の前記コイルと同数の前記電流制御装置を選定する
ことを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
複数の前記搬送路ユニットに備えられる各前記電流制御ユニットは、互いに同じ数の前記電流制御装置を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記リニアモータ部の構成を示す前記情報は、前記リニアモータ部が有する前記コイルの数を示す情報を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記電流制御部は、前記リニアモータ部の構成を示す前記情報に基づいて、前記リニアモータ部が有する各前記コイルに流れる電流の制御に使用されるパラメータの値を決定し、
前記コイルに接続されている前記電流制御装置は、決定された前記パラメータの値に基づいて前記コイルに流れる電流を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記リニアモータ部は、前記リニアモータ部の構成を示す前記情報を保持する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の搬送システム。
【請求項6】
前記リニアモータ部は、前記搬送体の位置を検知する位置検知部を有し、
前記位置検知部は、前記リニアモータ部の構成を示す前記情報を記憶する記憶部を有する
ことを特徴とする請求項5に記載の搬送システム。
【請求項7】
複数の前記搬送路ユニットの各々では、前記リニアモータ部からの前記電流制御ユニットの分離が可能である
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の搬送システム。
【請求項8】
複数の前記搬送路ユニットの各々を制御するコントローラを備え、
前記コントローラは、複数の前記搬送路ユニットの各々の前記リニアモータ部から前記リニアモータ部の構成を示す前記情報を取得し、複数の前記搬送路ユニットの各々から取得された前記情報に基づいて前記搬送路の構成を演算する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の搬送システム。
【請求項9】
複数の前記搬送路ユニットで構成される前記搬送路の構成を示す構成情報が格納されており、複数の前記搬送路ユニットの各々を制御するコントローラを備え、
前記コントローラは、複数の前記搬送路ユニットの各々の前記リニアモータ部から前記リニアモータ部の構成を示す前記情報を取得し、複数の前記搬送路ユニットの各々から取得された前記情報に基づいて前記搬送路の構成を演算し、演算された前記搬送路の構成が、前記コントローラに格納されている前記構成情報に示される前記搬送路の構成と一致しない場合に、アラームを出力する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の搬送システム。
【請求項10】
前記搬送体には、永久磁石が設けられており、
前記リニアモータ部が有する各前記コイルは、前記永久磁石が発生する磁界との相互作用によって、前記搬送体を移動させる前記推力を発生させる
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の搬送システム。
【請求項11】
搬送体が移動する搬送路を構成する複数の搬送路ユニットと、
複数の前記搬送路ユニットの各々を制御するコントローラと、を備え、
複数の前記搬送路ユニットの各々は、
電流が流れることにより、前記搬送体を移動させる推力を発生させる1つ以上のコイルを有するリニアモータ部と、
複数の電流制御装置と各前記電流制御装置を制御する電流制御部とを有する電流制御ユニットと、を備え、
前記コイルに接続されている前記電流制御装置は、前記コイルに流れる電流を制御し、
前記電流制御部は、前記リニアモータ部の構成を示す情報を前記リニアモータ部から取得し、取得された前記情報に基づいて、前記電流制御ユニットが有する全ての前記電流制御装置の中から、前記コイルが接続されている前記電流制御装置を選定し、
前記コントローラは、複数の前記搬送路ユニットの各々の前記リニアモータ部から前記リニアモータ部の構成を示す前記情報を取得し、複数の前記搬送路ユニットの各々から取得された前記情報に基づいて前記搬送路の構成を演算する
ことを特徴とする搬送システム。
【請求項12】
搬送体が移動する搬送路を構成する複数の搬送路ユニットと、
複数の前記搬送路ユニットで構成される前記搬送路の構成を示す構成情報が格納されており、複数の前記搬送路ユニットの各々を制御するコントローラと、を備え、
複数の前記搬送路ユニットの各々は、
電流が流れることにより、前記搬送体を移動させる推力を発生させる1つ以上のコイルを有するリニアモータ部と、
複数の電流制御装置と各前記電流制御装置を制御する電流制御部とを有する電流制御ユニットと、を備え、
前記コイルに接続されている前記電流制御装置は、前記コイルに流れる電流を制御し、
前記電流制御部は、前記リニアモータ部の構成を示す情報を前記リニアモータ部から取得し、取得された前記情報に基づいて、前記電流制御ユニットが有する全ての前記電流制御装置の中から、前記コイルが接続されている前記電流制御装置を選定し、
前記コントローラは、複数の前記搬送路ユニットの各々の前記リニアモータ部から前記リニアモータ部の構成を示す前記情報を取得し、複数の前記搬送路ユニットの各々から取得された前記情報に基づいて前記搬送路の構成を演算し、演算された前記搬送路の構成が、前記コントローラに格納されている前記構成情報に示される前記搬送路の構成と一致しない場合に、アラームを出力する
ことを特徴とする搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物を搬送する搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ファクトリーオートメーションが導入される生産ライン、例えば、工業製品を組み立てるための生産ライン、または、食品を包装するための生産ラインなどには、ワークを搬送する搬送システムが一般的に用いられる。近年、ワークを搬送する搬送路を複数のゾーンに分割し、ワークが載せられた台車を、各ゾーンに配置された制御装置によって走行させる搬送システムが多く用いられている。かかる搬送システムは、生産効率の面で優れた搬送システムの1つとして知られている。
【0003】
搬送システムの一形態として、可動子である台車に磁石が配置され、搬送路を構成する固定子にコイルが配置された、いわゆるムービングマグネット型のリニアモータが活用されている。ムービングマグネット型のリニアモータは、可動子の長さに比べて長いストロークで可動子を移動させる場合に適している。固定子には、可動子を移動させる方向に複数のコイルが並べられる。さらに、複数の固定子が並べられることにより、1つまたは複数の台車を搬送させる搬送路が構成される。
【0004】
従来、モータを動作させるために必要な情報が記憶されているメモリを備えるモータが知られている。このようなモータの場合、モータを制御するコントローラへモータが接続された際に、メモリに記憶されている情報がコントローラへ送られる。メモリに記憶されている情報がコントローラへ自動的に送られるため、メモリに接続されるコントローラが交換される際に、モータの制御に必要な情報をコントローラへ入力する作業が不要となる。特許文献1には、モータに接続されるエンコーダに、モータに関する情報を書き込み可能なメモリを設けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1にて開示されているモータは、回転型モータである。回転型モータに接続されるコントローラでは、制御対象とされるモータの相数はあらかじめ決められた数であって、コントローラにおいて相数の設定が変更されることはない。制御対象とされるモータの相数があらかじめ決められた数であることから、コントローラが実行するプログラムは、あらかじめ決められた相数のモータに合わせて設計される。すなわち、特許文献1にて開示されるような従来の技術の場合、あらかじめ決められた数のコイルを有するモータに適合させたプログラムが設計されることとなる。
【0007】
上記の搬送システムに適用されるリニアモータの場合、搬送路を構成する複数の固定子の中には、コイルの数が互いに異なる固定子同士が含まれることがあり得る。上記従来の技術によると、コイルの数が互いに異なる固定子同士では、コイルの数に適合させたプログラムを固定子ごとに設計する必要が生じる。このため、上記従来の技術によると、搬送システムの設計における作業の負担が大きいという問題があった。
【0008】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、搬送システムの設計における作業の負担を軽減可能とする搬送システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る搬送システムは、搬送体が移動する搬送路を構成する複数の搬送路ユニットを備える。複数の搬送路ユニットの各々は、電流が流れることにより、搬送体を移動させる推力を発生させる1つ以上のコイルを有するリニアモータ部と、複数の電流制御装置と各電流制御装置を制御する電流制御部とを有する電流制御ユニットと、を備える。コイルに接続されている電流制御装置は、コイルに流れる電流を制御する。電流制御部は、リニアモータ部の構成を示す情報をリニアモータ部から取得し、取得された情報に基づいて、リニアモータ部のコイルの数が電流制御ユニットの電流制御装置の数よりも少ない場合には電流制御ユニットが有する全ての電流制御装置の中からリニアモータ部のコイルと同数の電流制御装置を選定する。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る搬送システムは、搬送システムの設計における作業の負担を軽減させることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係る搬送システムの構成例を示す図
【
図2】実施の形態1に係る搬送システムが有する直線型の搬送路ユニットの構成例を示す図
【
図3】実施の形態1に係る搬送システムが有する曲線型の搬送路ユニットの構成例を示す図
【
図4】実施の形態1に係る制御回路の構成例を示す図
【
図5】実施の形態1に係る専用のハードウェア回路の構成例を示す図
【
図6】実施の形態1に係る搬送システムの各搬送路ユニットにおいて、電流制御ユニットの電流制御部が実行する処理の手順を示すフローチャート
【
図7】実施の形態1の変形例に係る搬送システムが有する搬送路ユニットの構成例を示す図
【
図8】実施の形態2に係る搬送システムのコントローラが実行する処理の手順を示すフローチャート
【
図9】実施の形態3に係る搬送システムの構成例を示す図
【
図10】実施の形態3に係る搬送システムのコントローラが実行する処理の手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、実施の形態に係る搬送システムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る搬送システム1の構成例を示す図である。搬送システム1は、物の搬送に使用されるシステムである。実施の形態1では、搬送システム1は、物が載せられた搬送体を移動させることによって、物を搬送する。
【0014】
搬送システム1は、複数の搬送路ユニット11A-11Hと、コントローラ12と、直流(Direct Current:DC)電源13と、台車16A,16B,16Cとを備える。コントローラ12は、搬送路ユニット11A-11Hを制御することにより、各台車16A,16B,16Cを動作させる。以下の説明では、搬送路ユニット11とは、搬送路ユニット11A-11Hの各々を区別せずに称したものとする。
【0015】
複数の搬送路ユニット11は、互いに連結されており、搬送体が移動する搬送路10を構成する。複数の搬送路ユニット11は、搬送体へ動力を与えることによって搬送体を移動させる。台車16A,16B,16Cの各々は、搬送体である。以下の説明では、台車16とは、台車16A,16B,16Cの各々を区別せずに称したものとする。
【0016】
図1に示す搬送路10は、トラック形状の閉じた経路である。搬送システム1の搬送路10は、開いた経路でも良い。すなわち、搬送システム1の搬送路10は、互いに離れた位置にある始点および終点を有する経路でも良い。
【0017】
搬送路ユニット11A,11B,11E,11Fは、直線経路を構成する直線型の搬送路ユニット11である。搬送路ユニット11C,11D,11G,11Hは、曲線経路を構成する曲線型の搬送路ユニット11であって、搬送体の進行方向を90度変化させる。なお、搬送路10は、直線経路を構成する搬送路ユニット11を持たず、曲線経路を構成する搬送路ユニット11のみからなるものでも良い。互いに離れた位置にある始点および終点を有する搬送路10は、直線経路を構成する搬送路ユニット11のみからなるものでも良い。搬送路10の全体の形状は、任意であるものとする。
【0018】
台車16は、搬送路10の側面に取り付けられる。台車16は、搬送路10の側面に設けられているガイドレールに沿って移動する。台車16は、搬送路10の側面において移動し、搬送路10の側面において停止する。実施の形態1に係る搬送システム1は、ムービングマグネット型のリニアモータを備える。台車16は、搬送路10の上面に設けられているガイドレールに沿って移動するものでも良い。また、台車16は、搬送路10に沿って移動することができるように搬送路10に取り付けられていれば良い。台車16は、可動子を構成する永久磁石と、リニアスケール用の永久磁石と、回転によりガイドレール上を移動するガイドローラとを備える。
図1では、ガイドレールと、ガイドローラと、可動子を構成する永久磁石と、リニアスケール用の永久磁石との図示を省略する。
【0019】
各台車16の進行方向は、
図1における時計回りの方向、または、
図1における反時計回りの方向である。進行方向のうち、
図1における時計回りの方向を、順方向とする。進行方向のうち、
図1における反時計回りの方向を、逆方向とする。矢印17Aは、順方向を表す。矢印17Bは、逆方向を表す。
【0020】
図1に示す例では、搬送システム1は、8個の搬送路ユニット11と3個の台車16とを備える。搬送システム1に備えられる搬送路ユニット11の数は任意であるものとする。すなわち、搬送路10を構成する搬送路ユニット11の数は任意であるものとする。搬送システム1は、複数の搬送路ユニット11を備えていれば良い。搬送路10を移動する台車16の数は任意であるものとする。搬送システム1は、1または複数の台車16を備えていれば良い。
【0021】
DC電源13は、DC電源バス15を介して各搬送路ユニット11に接続されている。DC電源13は、直流電圧を出力する電源装置または電源回路である。DC電源13は、各搬送路ユニット11へ電力を供給する。各搬送路ユニット11は、DC電源13を共用する。
【0022】
搬送システム1は、マルチドロップ接続により各搬送路ユニット11がDC電源13に接続される構成を備える。各搬送路ユニット11とDC電源13との接続形態は、マルチドロップ接続に限られず、デイジーチェーン接続であっても良い。
図1に示す例では搬送システム1に備えられるDC電源13は1個であるが、搬送システム1に備えられるDC電源13の数は複数でも良い。すなわち、搬送システム1には複数の電源ドメインが構成されても良い。
【0023】
コントローラ12は、複数の搬送路ユニット11の各々を制御する。コントローラ12は、データ通信線14を介して各搬送路ユニット11に接続されている。データ通信線14は、複数の搬送路ユニット11の1つである搬送路ユニット11Aとコントローラ12とを接続する線と、互いに隣り合う搬送路ユニット11同士を接続する線とにより構成される。搬送システム1は、デイジーチェーン接続により各搬送路ユニット11がコントローラ12に接続される構成を備える。
【0024】
各搬送路ユニット11とコントローラ12との接続形態は、デイジーチェーン接続に限られない。各搬送路ユニット11とコントローラ12との接続形態は、各搬送路ユニット11が通信ハブを介してコントローラ12に接続されるスター接続でも良い。または、搬送システム1は、複数のデータ通信線14を備え、各搬送路ユニット11とコントローラ12とがデータ通信線14により直接接続されても良い。
【0025】
コントローラ12は、台車16を移動させる位置を示す位置指令を生成する。コントローラ12は、各搬送路ユニット11から送信される位置センサ情報に基づいて各台車16の位置を算出する。コントローラ12は、搬送路10における台車16の実際の位置を示す位置情報を各台車16について生成する。位置センサ情報については後述する。
【0026】
コントローラ12は、位置指令と位置情報との差に基づいて、台車16を移動させる推力の指令である推力指令を各台車16について生成する。コントローラ12は、各台車16の推力指令と各台車16の位置情報とに基づいて、各搬送路ユニット11のコイルに流れる電流を制御するための電流指令を生成する。コントローラ12は、各搬送路ユニット11へ電流指令を出力することによって、各搬送路ユニット11を制御する。
【0027】
コントローラ12には、プログラマブルロジックコントローラといった、コントローラ12よりも上位の制御装置が接続されても良い。かかる制御装置は、シーケンス制御のための指令をコントローラ12へ出力する。コントローラ12には、ヒューマンマシンインタフェースが接続されても良い。かかるヒューマンマシンインタフェースは、オペレータによる入力を受け付ける。また、かかるヒューマンマシンインタフェースは、搬送システム1の状況を示す情報を表示等により出力する。コントローラ12は、上位の制御装置またはヒューマンマシンインタフェースから各台車16の運行情報を取得し、運行情報に基づいて各台車16の位置指令を生成しても良い。運行情報は、搬送路10における各台車16の移動についてのスケジュールを示す情報である。
【0028】
次に、直線型の搬送路ユニット11の構成について説明する。ここでは、搬送路ユニット11Aを例として、直線型の搬送路ユニット11の構成を説明する。搬送路ユニット11B,11E,11Fは、以下に説明する搬送路ユニット11Aと同様の構成を有する。
【0029】
図2は、実施の形態1に係る搬送システム1が有する直線型の搬送路ユニット11Aの構成例を示す図である。
図2では、搬送路ユニット11Aと、搬送路ユニット11Aに沿って移動する1つの台車16とを模式的に示す。台車16は、可動子である永久磁石41と、台車16の位置の検知において使用される永久磁石42とを有する。
【0030】
搬送路ユニット11Aは、リニアモータ部21と電流制御ユニット22とを備える。リニアモータ部21は、リニアスケール23とコイル部24とを備える。リニアスケール23は、台車16の位置を検知する位置検知部として機能する。なお、直線型の搬送路ユニット11Aは、直線型のリニアモータ部21を有する。
【0031】
リニアスケール23は、複数の位置センサ25と、リニアスケール23を制御する制御部31とを備える。制御部31は、記憶部33を有する。記憶部33は、リニアモータ部21の構成を示す情報を記憶する。これにより、リニアモータ部21は、リニアモータ部21の構成を示す情報を保持する。
【0032】
リニアモータ部21の構成を示す情報の1つの例は、形態情報である。形態情報は、リニアモータ部21の形態についての情報であって、直線型と曲線型とのいずれであるかを示す情報とする。搬送路ユニット11Aの記憶部33には、直線型を示す形態情報が格納されている。
【0033】
複数の位置センサ25は、搬送路ユニット11Aのうち搬送路10を構成する部分に並べられている。各位置センサ25は、ホールセンサまたは磁気抵抗センサといった、磁界を検出するセンサである。各位置センサ25は、永久磁石41の磁界、または永久磁石42の磁界を検出する。
図2に示す位置センサ25は、2個のホール素子が搭載されたホールセンサとする。位置センサ25の各ホール素子は、磁界を電気信号に変換し、電気信号を出力する。各ホール素子が出力する電気信号は、台車16の移動に伴って変化する。
【0034】
リニアスケール23の各位置センサ25からの電気信号は、制御部31へ入力される。制御部31は、位置センサ25からの電気信号に基づいて、位置センサ25に対する台車16の位置を検知する。これにより、制御部31は、位置センサ25に対する台車16の相対的な位置を表す位置センサ情報を取得する。制御部31は、各位置センサ25により得られた位置センサ情報を、データ通信線14を介してコントローラ12へ送信する。なお、
図2ではデータ通信線14の図示を省略する。
【0035】
コイル部24は、複数のコイル20を有する。各コイル20は、コイル20に電流が流れると、永久磁石41が発生する磁界との相互作用によって、台車16を移動させる推力を発生させる。このように、各コイル20は、電流が流れることにより、台車16を移動させる推力を発生させる。
【0036】
直線型のリニアモータ部21では、複数のコイル20は、直線方向に配列される。
図2に示す例では、搬送路ユニット11Aのコイル部24は、12個のコイル20を有する。搬送路ユニット11Aが有するコイル20の数は、任意であるものとする。搬送路ユニット11Aは、1つ以上のコイル20を有していれば良い。
【0037】
電流制御ユニット22は、複数の電流制御装置26と、各電流制御装置26を制御する電流制御部32とを備える。各電流制御装置26は、コイル20に接続されている。コイル20に接続された電流制御装置26は、コイル20に流れる電流を制御する。各電流制御装置26は、互いに同様の構成を備える。
図2に示す例では、搬送路ユニット11Aの電流制御ユニット22は、12個の電流制御装置26を有する。
【0038】
各コイル20には、インバータ回路が接続されている。インバータ回路は、DC電源13からDC電源バス15を経て搬送路ユニット11Aへ供給される直流電流を交流電流へ変換する。コイル20には交流電流が流れる。また、インバータ回路は、コイル20に流れる電流を調整する。インバータ回路は、電流制御装置26に含まれる構成である。各コイル20には、コイル20に流れる電流の電流値であるコイル実電流値を検出する電流センサが接続されている。電流センサは、検出されたコイル実電流値を電流制御装置26へ出力する。なお、
図2では、インバータ回路、電流センサ、およびDC電源バス15の図示を省略する。
【0039】
コントローラ12からデータ通信線14を介して各搬送路ユニット11へ送信される電流指令は、各搬送路ユニット11の電流制御部32へ入力される。電流制御部32は、電流指令に示される電流指令値を各電流制御装置26へ出力する。電流制御装置26は、電流指令値とコイル実電流値とに基づいて、コイル20に印加する電圧の電圧値を算出する。電流制御装置26は、算出された電圧値と三角波との比較によって得られるパルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)信号をインバータ回路へ出力する。PWM信号に従ったスイッチングをインバータ回路が行うことで、所望の電流値の電流をコイル20に流すための電圧がコイル20に印加される。これにより、各電流制御装置26は、コイル20に流れる電流を制御する。なお、電流制御装置26は、電流指令値とコイル実電流値との偏差に基づいて、コイル20に印加する電圧のPID(Proportional Integral Differential)制御を行うことで、コイル20に印加する電圧の電圧値を算出しても良い。
【0040】
図2に示す搬送路ユニット11Aにおいて、リニアモータ部21の制御部31は、記憶部33に格納されている形態情報を、電流制御ユニット22の電流制御部32へ送信する。電流制御ユニット22の電流制御部32は、リニアモータ部21から形態情報を取得し、取得された形態情報に基づいて、リニアモータ部21が有するコイル20に流れる電流を制御する電流制御装置26を、電流制御ユニット22が有する複数の電流制御装置26から選定する。つまり、電流制御部32は、リニアモータ部21から形態情報を取得し、取得された形態情報に基づいて、電流制御ユニット22が有する全ての電流制御装置26の中からコイル20が接続されている電流制御装置26を選定する。
【0041】
搬送路ユニット11Aでは、各電流制御装置26に1つのコイル20が接続される。
図2に示す例では、電流制御ユニット22が有する電流制御装置26とリニアモータ部21が有するコイル20とがいずれも12個である。12個の電流制御装置26は、いずれもコイル20に接続されている。すなわち、
図2に示す例では、電流制御ユニット22が有する電流制御装置26の全てが、リニアモータ部21が有するコイル20に流れる電流を制御する電流制御装置26として選定される。すなわち、搬送路ユニット11Aでは、電流制御ユニット22が有する全ての電流制御装置26が、コイル20の電流制御に使用される。
【0042】
次に、曲線型の搬送路ユニット11の構成について説明する。ここでは、搬送路ユニット11Cを例として、曲線型の搬送路ユニット11の構成を説明する。搬送路ユニット11D,11G,11Hは、以下に説明する搬送路ユニット11Cと同様の構成を備える。
【0043】
図3は、実施の形態1に係る搬送システム1が有する曲線型の搬送路ユニット11Cの構成例を示す図である。
図3では、搬送路ユニット11Cと、搬送路ユニット11Cを通る1つの台車16とを模式的に示す。以下、搬送路ユニット11Cのうち
図2に示す搬送路ユニット11Aと同様の構成については、説明を省略する。
【0044】
曲線型の搬送路ユニット11Cは、曲線型のリニアモータ部21を有する。曲線型のリニアモータ部21では、複数のコイル20は、曲線に沿って配列される。
図3では、複数のコイル20の配列を、直線方向の配列に置き換えて示している。搬送路ユニット11Cの記憶部33には、曲線型を示す形態情報が格納されている。
【0045】
図3に示す例では、搬送路ユニット11Cのコイル部24は、10個のコイル20を有する。搬送路ユニット11Cが有するコイル20の数は、任意であるものとする。搬送路ユニット11Cは、1つ以上のコイル20を有していれば良い。また、
図3に示す例では、搬送路ユニット11Cの電流制御ユニット22は、12個の電流制御装置26を有する。
【0046】
図3に示す例では、電流制御ユニット22が有する電流制御装置26は12個であるのに対し、リニアモータ部21が有するコイル20は10個である。12個の電流制御装置26のうちの10個が、コイル20に接続されている。すなわち、
図3に示す例では、電流制御ユニット22が有する電流制御装置26のうちの10個のみが、リニアモータ部21が有するコイル20に流れる電流を制御する電流制御装置26として選定される。搬送路ユニット11Cでは、電流制御ユニット22が有する電流制御装置26のうちの10個のみがコイル20の電流制御に使用され、残り2個の電流制御装置26は使用されない。
【0047】
上記の例では、直線型の搬送路ユニット11のリニアモータ部21には、12個のコイル20が設けられている。直線型の搬送路ユニット11の記憶部33には、直線型を示す形態情報が格納されている。曲線型の搬送路ユニット11のリニアモータ部21には、10個のコイル20が設けられている。曲線型の搬送路ユニット11の記憶部33には、曲線型を示す形態情報が格納されている。電流制御ユニット22の電流制御部32は、リニアモータ部21から読み出された形態情報に基づいて、リニアモータ部21が直線型および曲線型のいずれであるかを判定する。
【0048】
電流制御部32は、リニアモータ部21が直線型であるものと判定した場合、コイル20の電流制御に使用される電流制御装置26として、コイル20と接続されている12個の電流制御装置26を選定する。電流制御部32は、リニアモータ部21が曲線型であるものと判定した場合、コイル20の電流制御に使用される電流制御装置26として、コイル20と接続されている10個の電流制御装置26を選定する。直線型を示す形態情報は、リニアモータ部21のコイル20が12個であることを示す。また、曲線型を示す形態情報は、リニアモータ部21のコイル20が10個であることを示す。すなわち、リニアモータ部21の構成を示す情報である形態情報は、リニアモータ部21が有するコイル20の数を示す情報を含むといえる。これにより、電流制御部32は、リニアモータ部21が有するコイル20の数を形態情報から認識して、コイル20の電流制御に使用される電流制御装置26を選定する。つまり、電流制御部32は、リニアモータ部21から形態情報を取得し、取得された形態情報に基づいて、電流制御ユニット22が有する全ての電流制御装置26の中からコイル20が接続されている電流制御装置26を選定する。
【0049】
また、搬送システム1の全ての搬送路ユニット11における電流制御ユニット22は、いずれも、12個の電流制御装置26を有する。このように、複数の搬送路ユニット11に備えられる各電流制御ユニット22は、互いに同じ数の電流制御装置26を有する。搬送システム1では、搬送システム1の全ての搬送路ユニット11において、電流制御ユニット22の構成が共通化されている。
【0050】
なお、搬送システム1の中に、直線型または曲線型以外の形態であるその他の形態のリニアモータ部21を有する搬送路ユニット11が存在する場合、当該搬送路ユニット11の記憶部33には、当該その他の形態を示す形態情報が記憶される。電流制御部32により、当該その他の形態を示す形態情報が読み出された場合、電流制御部32は、当該その他の形態に応じた数の電流制御装置26を、コイル20の電流制御に使用される電流制御装置26に選定する。
【0051】
搬送システム1の各搬送路ユニット11におけるコイル20の数の最大値をNとすると、各電流制御ユニット22における電流制御装置26の数を互いに同じとする場合、各電流制御ユニット22にはN個以上の電流制御装置26が備えられる。これにより、搬送システム1は、共通の構成を有する電流制御ユニット22を使用して、各搬送路ユニット11の全てのコイル20に流れる電流を制御することができる。上記では、N=12であって、各電流制御ユニット22における電流制御装置26は12個としたが、電流制御装置26の数は、N個以上の任意の数とすることができる。
【0052】
電流制御ユニット22の電流制御部32は、リニアモータ部21の制御部31から取得される形態情報に基づいて、リニアモータ部21が有する各コイル20に流れる電流の制御に使用されるパラメータの値を決定しても良い。この場合、電流制御ユニット22の各電流制御装置26は、電流制御部32により決定されたパラメータの値に基づいてコイル20に流れる電流を制御する。形態情報に基づいて値が決定されるパラメータは、リニアモータ部21の形態によって値が変わるパラメータであって、例えば、誘起電圧定数、過電流を判定するための閾値、または、過負荷を判定するための閾値などである。形態情報に基づいて値が決定されるパラメータは、PID制御に使用される制御ゲインでも良い。例えば、電流制御部32は、形態情報とパラメータの値との関係を保持し、当該関係に基づいて、形態情報からパラメータの値を決定する。なお、電流制御部32が形態情報からパラメータの値を決定する方法は、任意であるものとする。
【0053】
各搬送路ユニット11は、リニアモータ部21と電流制御ユニット22とが互いに接続されることによって組み立てられる。搬送システム1における複数の搬送路ユニット11の各々では、リニアモータ部21からの電流制御ユニット22の分離が可能とされている。各搬送路ユニット11は、リニアモータ部21と電流制御ユニット22とのうちの一方のみが故障した場合に、故障した一方のみを交換することが可能である。これにより、リニアモータ部21からの電流制御ユニット22の分離ができない場合と比べて、故障からの復旧に要するコストを低下させることができる。
【0054】
次に、リニアモータ部21の制御部31を実現するハードウェアについて説明する。制御部31は、処理回路により実現される。処理回路は、プロセッサがソフトウェアを実行する回路であっても良いし、専用の回路であっても良い。
【0055】
処理回路がソフトウェアにより実現される場合、処理回路は、例えば、
図4に示す制御回路である。
図4は、実施の形態1に係る制御回路50の構成例を示す図である。制御回路50は、入力部51、プロセッサ52、メモリ53、および出力部54を備える。入力部51は、制御回路50の外部から入力されたデータを受信してプロセッサ52に与えるインタフェース回路である。出力部54は、プロセッサ52またはメモリ53からのデータを制御回路50の外部に送るインタフェース回路である。
【0056】
処理回路が
図4に示す制御回路50である場合、制御部31は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ53に格納される。処理回路は、メモリ53に記憶されたプログラムをプロセッサ52が読み出して実行することにより、制御部31の機能を実現する。すなわち、処理回路は、制御部31の処理が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ53を備える。また、これらのプログラムは、制御部31の手順および方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。
【0057】
プロセッサ52は、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ52は、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、またはDSPでも良い。メモリ53は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクまたはDVD(Digital Versatile Disc)等が該当する。
図2および
図3に示す記憶部33は、メモリ53を構成する不揮発性メモリにより実現される。
【0058】
図4は、汎用のプロセッサ52およびメモリ53により制御部31を実現する場合のハードウェアの例であるが、制御部31は、専用のハードウェア回路により実現されても良い。
図5は、実施の形態1に係る専用のハードウェア回路55の構成例を示す図である。
【0059】
専用のハードウェア回路55は、入力部51、出力部54、および処理回路56を備える。処理回路56は、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせた回路である。制御部31を機能別に処理回路56で実現しても良いし、各機能をまとめて処理回路56で実現しても良い。なお、制御部31は、制御回路50とハードウェア回路55とが組み合わされて実現されても良い。
【0060】
次に、電流制御ユニット22の電流制御部32を実現するハードウェアについて説明する。電流制御部32は、リニアモータ部21の制御部31と同様に、処理回路により実現される。電流制御部32を実現する処理回路は、
図4に示す制御回路50と同様の構成を備える。または、電流制御部32を実現する処理回路は、
図5に示すハードウェア回路55と同様の構成を備える。電流制御部32は、制御回路50と同様の構成とハードウェア回路55と同様の構成とが組み合わされて実現されても良い。
【0061】
次に、電流制御装置26を実現するハードウェアについて説明する。電流制御装置26も、制御部31または電流制御部32と同様に、処理回路により実現される。電流制御装置26を実現する処理回路は、
図4に示す制御回路50と同様の構成を備える。または、電流制御装置26を実現する処理回路は、
図5に示すハードウェア回路55と同様の構成を備える。電流制御装置26は、制御回路50と同様の構成とハードウェア回路55と同様の構成とが組み合わされて実現されても良い。
【0062】
次に、
図1に示すコントローラ12を実現するハードについて説明する。コントローラ12も、制御部31または電流制御部32と同様に、処理回路により実現される。コントローラ12を実現する処理回路は、
図4に示す制御回路50と同様の構成を備える。または、コントローラ12を実現する処理回路は、
図5に示すハードウェア回路55と同様の構成を備える。コントローラ12は、制御回路50と同様の構成とハードウェア回路55と同様の構成とが組み合わされて実現されても良い。
【0063】
なお、上記では、リニアスケール23が有する記憶部33に形態情報が格納されることとした。各搬送路ユニット11では、リニアモータ部21のうちリニアスケール23以外の構成要素に形態情報が格納されることとしても良い。例えば、形態情報は、コイル部24に格納されても良い。
【0064】
次に、電流制御ユニット22の電流制御部32が実行する処理の手順について説明する。
図6は、実施の形態1に係る搬送システム1の各搬送路ユニット11において、電流制御ユニット22の電流制御部32が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
図6に示す手順は、リニアモータ部21に電流制御ユニット22が接続されて、搬送路ユニット11の初期設定が行われる際における処理の手順とする。
【0065】
ステップS1において、電流制御部32は、形態情報の送信をリニアモータ部21へ要求する。リニアモータ部21の制御部31は、電流制御部32からの要求を受信すると、記憶部33に格納されている形態情報を電流制御部32へ送信する。ステップS2において、電流制御部32は、形態情報を受信する。
【0066】
ステップS3において、電流制御部32は、リニアモータ部21が有する各コイル20に流れる電流を制御する電流制御装置26を、形態情報に基づいて選定する。
【0067】
ステップS4において、電流制御部32は、リニアモータ部21が有する各コイル20に流れる電流の制御に使用されるパラメータの値を、形態情報に基づいて決定する。以上により、電流制御部32は、
図6に示す手順による処理を終了する。
【0068】
このように、搬送システム1の各搬送路ユニット11において、電流制御ユニット22の電流制御部32は、リニアモータ部21から取得される形態情報に基づいて、リニアモータ部21が有する1つ以上のコイル20に流れる電流を制御する電流制御装置26を、電流制御ユニット22が有する複数の電流制御装置26から選定する。つまり、電流制御部32は、リニアモータ部21から形態情報を取得し、取得された形態情報に基づいて、電流制御ユニット22が有する全ての電流制御装置26の中からコイル20が接続されている電流制御装置26を選定する。搬送システム1では、制御対象とされるリニアモータ部21の相数、すなわちリニアモータ部21のコイル20の数が互いに異なる搬送路ユニット11同士において、電流制御部32が実行するプログラムを相数に合わせて設計する必要が無く、電流制御部32が実行するプログラムを共通化させることが可能となる。搬送システム1の複数の搬送路ユニット11に、互いに異なる形態のリニアモータ部21を有する搬送路ユニット11同士が含まれる場合において、各搬送路ユニット11の電流制御部32が実行するプログラムを共通化させることができる。
【0069】
形態情報は、リニアモータ部21の形態を示す情報であれば良く、上述した情報とは異なる情報であっても良い。例えば、形態情報は、台車16を移動させる方向における、リニアモータ部21の長さを示す情報であっても良い。この場合、電流制御部32は、リニアモータ部21の長さを示す情報から、リニアモータ部21が有するコイル20の数を認識して、コイル20の電流制御に使用される電流制御装置26を選定する。また、形態情報は、リニアモータ部21のコイル20が実装される基板の基板ID(IDentifier)であっても良い。この場合、電流制御部32は、基板IDから、リニアモータ部21が有するコイル20の数を認識して、コイル20の電流制御に使用される電流制御装置26を選定する。
【0070】
上記では、リニアモータ部21に格納される、リニアモータ部21の構成を示す情報は、リニアモータ部21の形態を示す形態情報であるものとした。リニアモータ部21の構成を示す情報は、形態情報に限られない。
【0071】
リニアモータ部21の構成を示す情報は、電流制御ユニット22の電流制御部32がリニアモータ部21から取得可能な情報であれば良く、リニアモータ部21に格納される情報に限られない。リニアモータ部21の構成を示す情報は、例えば、リニアモータ部21に備えられている構成要素への電圧印加等によって取得される情報であっても良い。ここでは、リニアモータ部21に備えられている抵抗を用いて、リニアモータ部21の構成を示す情報を取得する2つの例について説明する。
【0072】
第1の例では、電流制御ユニット22の電流制御部32は、リニアモータ部21に電流制御ユニット22が接続されたときに、リニアモータ部21に備えられている抵抗への電圧印加によって当該抵抗の分圧を測定する。電流制御部32は、測定された分圧の値に基づいて、リニアモータ部21の形態を判定する。この場合、電流制御部32は、リニアモータ部21の構成を示す情報である分圧の値をリニアモータ部21から取得する。例えば、電流制御部32は、リニアモータ部21の形態と分圧の値との関係を保持し、当該関係に基づいて、分圧の値からリニアモータ部21の形態を判定する。なお、電流制御部32が分圧の値からリニアモータ部21の形態を判定する方法は、任意であるものとする。
【0073】
第2の例では、電流制御ユニット22の電流制御部32は、リニアモータ部21の形態を判定するための端子を有する。リニアモータ部21に設けられる抵抗は、電流制御部32の端子に接続される。リニアモータ部21における抵抗の配置態様は、プルアップまたはプルダウンであるものとする。電流制御部32は、リニアモータ部21に電流制御ユニット22が接続されたときに、リニアモータ部21の抵抗へ電流を流す。電流制御部32は、端子における信号がH(High)およびL(Low)のいずれであるかにより、抵抗の配置態様がプルアップおよびプルダウンのいずれであるかを判定する。電流制御部32は、リニアモータ部21の形態と抵抗の配置態様との関係を保持し、当該関係に基づいて、端子の信号値からリニアモータ部21の形態を判定する。この場合、電流制御部32は、リニアモータ部21の構成を示す情報である信号値をリニアモータ部21から取得する。なお、電流制御部32が信号値からリニアモータ部21の形態を判定する方法は、任意であるものとする。リニアモータ部21の構成を示す情報を電流制御部32により取得する方法は、上記第1の例または第2の例による方法に限られず、任意であるものとする。なお、電流制御部32は、形態情報以外の情報に基づいて電流制御装置26を選定する場合、形態情報以外の当該情報に基づいてパラメータの値を決定しても良い。
【0074】
上記では、搬送システム1の各搬送路ユニット11は、互いに同じ数の電流制御装置26を有することとした。搬送システム1は、各搬送路ユニット11における電流制御装置26の数が互いに同じであるものに限られない。搬送システム1の複数の搬送路ユニット11には、互いに異なる数の電流制御装置26を有する搬送路ユニット11同士が含まれても良い。
【0075】
図7は、実施の形態1の変形例に係る搬送システム1が有する搬送路ユニット11の構成例を示す図である。変形例に係る搬送システム1において、直線型の搬送路ユニット11の電流制御ユニット22は、
図2に示す搬送路ユニット11Aと同様に、12個の電流制御装置26を有する。一方、変形例に係る搬送システム1において、曲線型の搬送路ユニット11の電流制御ユニット22は、10個の電流制御装置26を有する。このように、変形例に係る搬送システム1の複数の搬送路ユニット11には、電流制御ユニット22における電流制御装置26の数が互いに異なる搬送路ユニット11同士が含まれる。
【0076】
図7には、曲線型の搬送路ユニット11である搬送路ユニット11Cの構成例を示す。搬送路ユニット11D,11G,11Hは、
図7に示す搬送路ユニット11Cと同様の構成を備える。
【0077】
図7に示す例では、搬送路ユニット11Cのコイル部24は、10個のコイル20を有する。また、
図7に示す例では、搬送路ユニット11Cの電流制御ユニット22は、10個の電流制御装置26を有する。搬送路ユニット11Cの記憶部33には、曲線型を示す形態情報が格納されている。
【0078】
図7に示す例では、電流制御ユニット22が有する電流制御装置26とリニアモータ部21が有するコイル20とがいずれも10個である。10個の電流制御装置26は、いずれもコイル20に接続されている。すなわち、
図7に示す例では、電流制御ユニット22が有する電流制御装置26の全てが、リニアモータ部21が有するコイル20に流れる電流を制御する電流制御装置26として選定される。すなわち、搬送路ユニット11Cでは、電流制御ユニット22が有する全ての電流制御装置26が、コイル20の電流制御に使用される。変形例に係る搬送システム1でも、リニアモータ部21のコイル20の数が互いに異なる搬送路ユニット11同士において、電流制御部32が実行するプログラムを相数に合わせて設計する必要が無く、電流制御部32が実行するプログラムを共通化させることができる。
【0079】
実施の形態1によると、電流制御ユニット22の電流制御部32は、リニアモータ部21の構成を示す情報をリニアモータ部21から取得し、取得された情報に基づいて、リニアモータ部21が有する1つ以上のコイル20に流れる電流を制御する電流制御装置26を、電流制御ユニット22が有する複数の電流制御装置26から選定する。リニアモータ部21の構成を示す情報に基づいて電流制御装置26が選定されるため、コイル20の数が互いに異なる搬送路ユニット11同士が含まれていても、コイル20の数に適合させたプログラムが搬送路ユニット11ごとに設計されなくても良い。このため、搬送システム1は、搬送システム1の設計における作業の負担を軽減させることが可能となる。
【0080】
また、搬送システム1の複数の搬送路ユニット11に備えられる各電流制御ユニット22は、互いに同じ数の電流制御装置26を有する。搬送システム1では、搬送システム1の全ての搬送路ユニット11において、電流制御ユニット22の構成が共通化されている。すなわち、搬送路ユニット11に使用される電流制御ユニット22の種類を1つにできる。このため、互いに異なる形態の搬送路ユニット11同士に、電流制御装置26の数が互いに異なる電流制御ユニット22が適用される場合と比べて、搬送システム1の製造コストを低下させることができる。電流制御ユニット22の交換が可能である場合には、1つの種類の電流制御ユニット22を全ての搬送路ユニット11に使用できる。このため、電流制御ユニット22の交換に要するコストと電流制御ユニット22の在庫管理に要するコストとを低下させることができる。
【0081】
また、リニアモータ部21の構成を示す情報は、リニアモータ部21が有するコイル20の数を示す情報を含む。これにより、電流制御ユニット22の電流制御部32は、リニアモータ部21が有するコイル20と同じ数の電流制御装置26を、コイル20の電流制御に使用される電流制御装置26に選定することができる。
【0082】
また、電流制御ユニット22の電流制御部32は、リニアモータ部21の構成を示す情報に基づいて、リニアモータ部21が有する各コイル20に流れる電流の制御に使用されるパラメータの値を決定する。電流制御ユニット22の各電流制御装置26は、決定されたパラメータの値に基づいてコイル20に流れる電流を制御する。これにより、各搬送路ユニット11は、リニアモータ部21の形態に応じて、各コイル20に流れる電流を制御することができる。
【0083】
また、リニアモータ部21は、リニアモータ部21の構成を示す情報を保持する。これにより、電流制御ユニット22の電流制御部32は、リニアモータ部21に電流制御ユニット22が接続されることにより、リニアモータ部21の構成を示す情報をリニアモータ部21から取得することができる。
【0084】
また、位置検知部であるリニアスケール23は、リニアモータ部21の構成を示す情報を記憶する記憶部33を有する。搬送システム1は、リニアスケール23に備えられる構成を流用して、リニアモータ部21の構成を示す情報を保持および送信することができる。これにより、リニアモータ部21の構成を示す情報の保持および送信のための構成が別途設けられる場合と比べて、搬送路ユニット11を簡易な構成とすることができる。
【0085】
また、複数の搬送路ユニット11の各々では、リニアモータ部21からの電流制御ユニット22の分離が可能である。搬送路ユニット11においてリニアモータ部21と電流制御ユニット22とのうちの一方のみが故障した場合に、故障した一方のみを交換することが可能である。これにより、搬送路ユニット11の故障からの復旧に要するコストを低下させることができる。
【0086】
実施の形態2.
実施の形態2では、リニアモータ部21の構成を示す情報をコントローラ12が取得し、複数の搬送路ユニット11の各々から取得された情報に基づいて搬送路10の構成をコントローラ12が演算する例について説明する。実施の形態2に係る搬送システム1は、実施の形態1に係る搬送システム1と同様の構成を有する。実施の形態2では、上記の実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1とは異なる動作について主に説明する。
【0087】
図8は、実施の形態2に係る搬送システム1のコントローラ12が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
図8に示す手順は、搬送システム1の各搬送路ユニット11にコントローラ12が接続されて、コントローラ12の初期設定が行われる際における処理の手順とする。
【0088】
ステップS11において、コントローラ12は、リニアモータ部21の構成を示す情報である形態情報の送信を各搬送路ユニット11へ要求する。リニアモータ部21の制御部31は、コントローラ12からの要求を受信すると、記憶部33に格納されている形態情報をコントローラ12へ送信する。
【0089】
ステップS12において、コントローラ12は、形態情報を受信する。コントローラ12は、順方向において各搬送路ユニット11が配列されている順番により各搬送路ユニット11を識別して、受信される形態情報を各搬送路ユニット11に対応付ける。
図1に示すように、デイジーチェーン接続により各搬送路ユニット11がコントローラ12に接続されている場合に、コントローラ12は、コントローラ12から見てデータ通信線14を介した接続の順序が1番目である搬送路ユニット11Aを、1番目の搬送路ユニット11と識別する。コントローラ12は、搬送路ユニット11A以外の搬送路ユニット11B-11Hについて、搬送路ユニット11Aからの順方向における配列順に従って、順番を識別する。これにより、コントローラ12は、1番目の搬送路ユニット11Aから8番目の搬送路ユニット11Hまで、搬送路ユニット11の順序に対応付けられた形態情報を取得する。
【0090】
ステップS13において、コントローラ12は、各搬送路ユニット11から取得された形態情報に基づいて、搬送路10の構成を演算する。ここでは、搬送路10の構成の演算とは、搬送路10の全体の形状を決定することを指すものとする。コントローラ12は、各搬送路ユニット11から取得された形態情報から、4つの搬送路ユニット11A,11B,11E,11Fが直線型の搬送路ユニット11であること、および、4つの搬送路ユニット11C,11D,11G,11Hが、搬送体の進行方向を90度変化させる曲線型の搬送路ユニット11であることを認識する。コントローラ12は、各搬送路ユニット11の形態と各搬送路ユニット11の順序とを基に、搬送路10が、
図1に示すようにトラック形状の閉じた経路であることを認識する。このようにして、コントローラ12は、搬送路10の全体の形状を決定する。以上により、コントローラ12は、
図8に示す手順による処理を終了する。
【0091】
実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、リニアモータ部21の構成を示す情報は、リニアモータ部21の形態を示す形態情報に限られないものとする。また、リニアモータ部21の構成を示す情報は、コントローラ12および電流制御ユニット22の電流制御部32がリニアモータ部21から取得可能な情報であれば良く、リニアモータ部21に格納される情報に限られないものとする。リニアモータ部21の構成を示す情報は、例えば、リニアモータ部21に備えられている構成要素への電圧印加等によって取得される情報であっても良い。
【0092】
実施の形態2によると、コントローラ12は、複数の搬送路ユニット11の各々のリニアモータ部21からリニアモータ部21の構成を示す情報を取得し、複数の搬送路ユニット11の各々から取得された情報に基づいて搬送路10の構成を演算する。搬送システム1の各搬送路ユニット11にコントローラ12が接続されて、コントローラ12の初期設定が行われる際に、コントローラ12は、搬送路10の構成についての設定を自動的に行う。これにより、コントローラ12の初期設定のための入力操作を簡略化させることができる。
【0093】
実施の形態3.
実施の形態3では、リニアモータ部21の構成を示す情報をコントローラ12が取得し、取得された情報に基づいて搬送路10の構成を演算し、演算された搬送路10の構成と、コントローラ12に格納されている搬送路10の構成とをコントローラ12により比較する例について説明する。実施の形態3では、上記の実施の形態1または2と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1または2とは異なる構成について主に説明する。
【0094】
図9は、実施の形態3に係る搬送システム60の構成例を示す図である。搬送システム60は、複数の搬送路ユニット11A-11Hと、DC電源13と、台車16A,16B,16Cと、コントローラ61とを備える。
【0095】
コントローラ61は、複数の搬送路ユニット11の各々を制御する。コントローラ61は、
図1に示すコントローラ12と同様に、データ通信線14を介して各搬送路ユニット11に接続されている。コントローラ61は、記憶部62を有する。記憶部62は、搬送路10の全体の形状を示す情報を記憶する。コントローラ61では、複数の搬送路ユニット11の各々の配置についての設定が行われる。かかる設定により、搬送路10の全体の形状を示す情報である、搬送路10の構成を示す構成情報が記憶部62に格納される。なお、かかる設定は、例えば、搬送システム60のユーザによるコントローラ61への入力操作により行われる。
【0096】
コントローラ61は、複数の搬送路ユニット11の各々のリニアモータ部21から、リニアモータ部21の構成を示す情報である形態情報を取得する。コントローラ61は、複数の搬送路ユニット11の各々から取得された形態情報に基づいて搬送路10の構成を演算し、演算された搬送路10の構成と、コントローラ61の記憶部62に格納されている搬送路10の構成を示す構成情報とを比較する。具体的には、コントローラ61は、形態情報に基づいて演算された搬送路10の形状と、記憶部62に格納されている構成情報に示される搬送路10の形状とを比較する。コントローラ61は、形態情報に基づいて演算された搬送路10の構成と、記憶部62に格納されている構成情報に示される搬送路10の構成とが一致しない場合に、アラームを出力する。
【0097】
図10は、実施の形態3に係る搬送システム60のコントローラ61が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
図10に示す手順は、搬送システム60の初期設定または搬送システム60のメンテナンスのときに、搬送システム60の各搬送路ユニット11にコントローラ61が接続された際における処理の手順とする。
【0098】
ステップS21において、コントローラ61は、リニアモータ部21の構成を示す情報である形態情報の送信を各搬送路ユニット11へ要求する。リニアモータ部21の制御部31は、コントローラ61からの要求を受信すると、記憶部33に格納されている形態情報をコントローラ61へ送信する。
【0099】
ステップS22において、コントローラ61は、形態情報を受信する。コントローラ61は、
図8に示すステップS12と同様に、順方向において各搬送路ユニット11が配列されている順番により各搬送路ユニット11を識別して、受信される形態情報を各搬送路ユニット11に対応付ける。コントローラ61は、各搬送路ユニット11の順序に対応付けられた形態情報を取得する。
【0100】
ステップS23において、コントローラ61は、各搬送路ユニット11から取得された形態情報に基づいて演算された搬送路10の構成が、コントローラ61に格納されている構成情報で示される搬送路10の構成に一致するか否かを判断する。各搬送路ユニット11から取得された形態情報に基づいて演算された搬送路10の構成が、コントローラ61に格納されている構成情報で示される搬送路10の構成に一致する場合(ステップS23,Yes)、コントローラ61は、
図10に示される手順による処理を終了する。
【0101】
一方、各搬送路ユニット11から取得された形態情報に基づいて演算された搬送路10の構成が、コントローラ61に格納されている構成情報で示される搬送路10の構成に一致しない場合(ステップS23,No)、ステップS24において、コントローラ61は、アラームを出力する。コントローラ61は、アラームを出力することにより、形態情報に基づいて演算された搬送路10の構成が、コントローラ61に格納されている構成情報で示される構成とは異なることを搬送システム60のユーザに通知する。コントローラ61は、ステップS24を終えることにより、
図10に示される手順による処理を終了する。
【0102】
次に、コントローラ61を実現するハードウェアについて説明する。コントローラ61は、
図1に示すコントローラ12と同様に、処理回路により実現される。コントローラ61を実現する処理回路は、
図4に示す制御回路50と同様の構成を備える。または、コントローラ61を実現する処理回路は、
図5に示すハードウェア回路55と同様の構成を備える。コントローラ61は、制御回路50と同様の構成とハードウェア回路55と同様の構成とが組み合わされて実現されても良い。また、コントローラ61の出力部54は、アラームを出力する手段を備える。記憶部62は、メモリ53を構成する不揮発性メモリにより実現される。
【0103】
実施の形態3においても、実施の形態1と同様に、リニアモータ部21の構成を示す情報は、リニアモータ部21の形態を示す形態情報に限られないものとする。また、リニアモータ部21の構成を示す情報は、コントローラ61および電流制御ユニット22の電流制御部32がリニアモータ部21から取得可能な情報であれば良く、リニアモータ部21に格納される情報に限られないものとする。リニアモータ部21の構成を示す情報は、例えば、リニアモータ部21に備えられている構成要素への電圧印加等によって取得される情報であっても良い。
【0104】
実施の形態3によると、コントローラ61は、複数の搬送路ユニット11の各々のリニアモータ部21からリニアモータ部21の構成を示す情報を取得し、複数の搬送路ユニット11の各々から取得された情報に基づいて搬送路10の構成を演算し、演算された搬送路10の構成が、コントローラ61に格納されている構成情報で示される搬送路10の構成と一致しない場合に、アラームを出力する。各搬送路ユニット11から取得された情報に基づいて演算された搬送路10の構成が、コントローラ61に格納されている構成情報で示される構成とは異なると、搬送システム60の動作に不具合が生じ得る。コントローラ61は、アラームを出力することで、搬送路10の実際の構成が、コントローラ61に格納されている構成情報で示される構成とは異なることをユーザに通知する。これにより、搬送システム60の動作の不具合を未然に防ぐことができる。
【0105】
以上の各実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものである。各実施の形態の構成は、別の公知の技術と組み合わせることが可能である。各実施の形態の構成同士が適宜組み合わせられても良い。本開示の要旨を逸脱しない範囲で、各実施の形態の構成の一部を省略または変更することが可能である。
【符号の説明】
【0106】
1,60 搬送システム、10 搬送路、11,11A,11B,11C,11D,11E,11F,11G,11H 搬送路ユニット、12,61 コントローラ、13 DC電源、14 データ通信線、15 DC電源バス、16,16A,16B,16C 台車、17A,17B 矢印、20 コイル、21 リニアモータ部、22 電流制御ユニット、23 リニアスケール、24 コイル部、25 位置センサ、26 電流制御装置、31 制御部、32 電流制御部、33,62 記憶部、41,42 永久磁石、50 制御回路、51 入力部、52 プロセッサ、53 メモリ、54 出力部、55 ハードウェア回路、56 処理回路。
【要約】
搬送システムは、搬送体が移動する搬送路を構成する複数の搬送路ユニットを備える。複数の搬送路ユニットの各々は、電流が流れることにより、搬送体を移動させる推力を発生させる1つ以上のコイル(20)を有するリニアモータ部(21)と、複数の電流制御装置(26)と各電流制御装置(26)を制御する電流制御部(32)とを有する電流制御ユニット(22)と、を備える。各電流制御装置(26)は、コイル(20)に接続され、コイル(20)に流れる電流を制御する。電流制御部(32)は、リニアモータ部(21)の構成を示す情報をリニアモータ部(21)から取得し、取得された情報に基づいて、リニアモータ部(21)が有する1つ以上のコイル(20)に流れる電流を制御する電流制御装置(26)を、電流制御ユニット(22)が有する複数の電流制御装置(26)から選定する。