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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】計数装置、計数方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06M 9/00 20060101AFI20250415BHJP
【FI】
G06M9/00 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021077018
(22)【出願日】2021-04-30
(65)【公開番号】P2022170805
(43)【公開日】2022-11-11
【審査請求日】2024-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】岩井 宏文
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-018243(JP,A)
【文献】特表2013-529809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06M 7/00-15/00
G07D 1/00-3/16、9/00-13/00
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの端が第1方向に延びるようにそろえられて、前記第1方向と交差する第2方向に並べられた複数の計数対象物を前記端の側から撮像した撮像画像を処理して、前記計数対象物の枚数を計数する処理部を備え、
前記処理部は、
前記撮像画像における前記第1方向及び前記第2方向に延びる領域における画素値の平均値を、前記領域を移動させながら前記第2方向にわたって算出する平均処理と、
前記平均値を用いて、前記計数対象物の枚数を計数する計数処理と、
を実行する、
計数装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記平均処理において、
前記領域を前記撮像画像における前記第2方向の一方の端に設定する設定処理を実行し、
設定した前記領域において、前記画素値の前記平均値を算出する領域平均処理と、
前記領域を前記撮像画像における前記第2方向に移動させる移動処理と、を繰り返し実行して、前記平均値を前記第2方向にわたって算出する、
請求項1に記載の計数装置。
【請求項3】
前記領域の前記第1方向の長さは、前記領域の前記第2方向の長さより長い、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の計数装置。
【請求項4】
前記領域の前記第1方向の長さは、前記領域の前記第2方向の長さの10倍以上である、
請求項3に記載の計数装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記計数処理において、
前記平均値を用いて、二値化する二値化処理と、
前記二値化した結果を用いて、前記計数対象物の枚数を計数する二値計数処理と、
を実行する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の計数装置。
【請求項6】
前記複数の計数対象物のそれぞれの前記端が前記第1方向に延びるようにそろえられ、前記第2方向に並べて載置される載置面を有する載置部と、
前記複数の計数対象物を前記端の側から撮像して前記撮像画像を生成する撮像部と、を更に備える、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の計数装置。
【請求項7】
それぞれの端が第1方向に延びるようにそろえられて、前記第1方向と交差する第2方向に並べられた複数の計数対象物を前記端の側から撮像した撮像画像を処理して、前記計数対象物の枚数を計数する計数方法であって、
前記撮像画像における前記第1方向及び前記第2方向に延びる領域における画素値の平均値を、前記領域を移動させながら前記第2方向にわたって算出する平均工程と、
前記平均値を用いて、前記計数対象物の枚数を計数する計数工程と、を含む、
計数方法。
【請求項8】
コンピュータに、
それぞれの端が第1方向に延びるようにそろえられて、前記第1方向と交差する第2方向に並べられた複数の計数対象物を前記端の側から撮像した撮像画像を取得する撮像手順と、
前記撮像画像における前記第1方向及び前記第2方向に延びる領域における画素値の平均値を、前記領域を移動させながら前記第2方向にわたって算出する平均手順と、
前記平均値を用いて、前記計数対象物の枚数を計数する計数手順と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、計数装置、計数方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
積層された複数の計数対象物の端をカメラで撮影して、撮影した結果を用いて、当該計数対象物の枚数を計数する装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、折り加工された複数の用紙をテレビカメラで撮像し、水平走査線の1本分を構成する各構成点の非影部の個数を積算し用紙枚数を計数する計数方法が開示されている。
【0004】
特許文献2には、撮像ステップと、除去ステップと、ヒストグラム生成ステップと、把数計数ステップと、を持つ紙幣計数方法が開示されている。特許文献2には、把数計数ステップがヒストグラムにおける山の数を把の数として計数することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-002701号公報
【文献】特開2015-055991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
重ね合わせたナイロンポリ袋やカード類等の計数対象物の端を撮像した撮像画像を用いた場合に、端の部分にゴミや汚れがあったり、端の濃淡がはっきりしなかったりする場合においても、枚数を計数可能な技術が求められている。
【0007】
本開示は、計数対象物の端を撮像した撮像画像を用いて計数する際に、より精度よく計数する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、それぞれの端が第1方向に延びるようにそろえられて、前記第1方向と交差する第2方向に並べられた複数の計数対象物を前記端の側から撮像した撮像画像を処理して、前記計数対象物の枚数を計数する処理部を備え、前記処理部は、前記撮像画像における前記第1方向及び前記第2方向に延びる領域における画素値の平均値を、前記領域を移動しながら前記第2方向にわたって算出する平均処理と、前記平均値を用いて、前記計数対象物の枚数を計数する計数処理と、を実行する計数装置である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、計数対象物の端を撮像した撮像画像を用いて計数する際に、より精度よく計数できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係る計数装置の一例の概略構成を示す図である。
図2図2は、本実施形態に係る計数装置の一例の制御部の概略構成を示す図である。
図3図3は、本実施形態に係る計数装置の一例の制御部の機能ブロック図である。
図4図4は、本実施形態に係る計数装置の一例の処理を示すフローチャートである。
図5図5は、本実施形態に係る計数装置の一例の処理を示すフローチャートである。
図6図6は、本実施形態に係る計数装置の一例の処理を説明する図である。
図7図7は、本実施形態に係る計数装置の一例の処理を説明する図である。
図8図8は、本実施形態に係る計数装置の一例の処理を説明する図である。
図9図9は、本実施形態に係る計数装置の一例の処理を説明する図である。
図10図10は、本実施形態に係る計数装置の一例の処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の各実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の又は対応する機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する場合がある。また、理解を容易にするために、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。
【0012】
平行、直角、直交、水平、垂直、上下、左右などの方向には、実施形態の作用、効果を損なわない程度のずれが許容される。角部の形状は、直角に限られず、弓状に丸みを帯びてもよい。平行、直角、直交、水平、垂直には、略平行、略直角、略直交、略水平、略垂直が含まれてもよい。
【0013】
<計数装置1>
図1は、本実施形態に係る計数装置の一例である計数装置1の概略構成を示す図である。計数装置1は、複数枚の計数対象物Tを撮像部11で撮像して、撮像した画像を取り込み、ソフトウエア処理することにより計数対象物Tの枚数を画面に表示する装置である。計数対象物Tは、例えば、パウチ袋、空封筒、封入済み封筒、折り加工した紙、はがき、カード等である。
【0014】
なお、図1には、説明の便宜のためXYZ直交座標系が設定される。図面の紙面に対して垂直な座標軸については、座標軸の丸の中にバツ印は紙面に対して奥の方向が正であることを表している。ただし、当該座標系は、説明のために定めるものであって、計数装置1等の姿勢について限定するものではない。
【0015】
本開示では、特に説明しない限り、X軸及びY軸は、載置部10cのガラス窓10aの載置面10bに平行な軸とする。X軸は、計数対象物Tの並び方向の軸とする。Y軸は、計数対象物Tの広がり方向の軸とする。Z軸は、X軸及びY軸に垂直な方向の軸とする。
【0016】
計数装置1は、筐体10の内部に、撮像部11、照明部12及び制御部15を備える。また、計数装置1は、更に、表示操作部21、印刷部22、外部入出力部23及び電源部25を備える。制御部15には、撮像部11、照明部12、表示操作部21、印刷部22、外部入出力部23及び電源部25が接続される。
【0017】
計数装置1は、筐体10の上部にガラス窓10aを備える。ガラス窓10aは、筐体10の外側に載置面10bを有する。ガラス窓10aの載置面10bには、計数対象物Tが載置される。計数装置1は、ガラス窓10aの上に載置された計数対象物Tを挟んで保持する押さえ治具31及び押さえ治具32を備える。載置面10bを有するガラス窓10aにおける計数対象物Tを載置する部分を載置部10cという。
【0018】
計数対象物Tのそれぞれは、載置部10cにX軸方向、すなわち、並び方向、に複数枚並んで載置される。すなわち、載置部10cの載置面10bには、複数の計数対象物TがX軸方向(並び方向)に並んで載置される。計数対象物Tのそれぞれは、端がY軸方向に延びるようにそろえられて、X軸方向に並べられる。計数対象物Tのそれぞれは、Y軸方向及びZ軸方向に広がるように載置部10cに載置される。なお、載置面10bに平行であって、X軸方向に交差するY軸方向を計数対象物Tの広がり方向という場合がある。
【0019】
[撮像部11]
撮像部11は、ガラス窓10aの上に載置された複数の計数対象物Tのそれぞれの端が並んだ端部TFを撮像するカメラである。すなわち、撮像部11は、複数の計数対象物Tを端の側から撮像する。具体的には、撮像部11は、Z軸方向の+Z向きに複数の計数対象物Tを撮像する。撮像部11は、例えば、横方向が約2500画素、縦方向が2000画素の500万画素を有するモノクロのエリアカメラである。撮像部11は、ガラス窓10aの載置面10bに載置された計数対象物Tを、ガラス窓10aを透過して撮像する。
【0020】
撮像部11には、レンズ11aが取り付けられる。レンズ11aを用いて撮像する際の撮像部11の横方向の視野は、例えば25ミリメートルである。したがって、1画素あたりの長さは約10マイクロメートルである。なお、撮像部11の横方向の視野は25ミリメートルに限らず、測定対象に応じて、例えば、20ミリメートルから150ミリメートルの間で適宜設定してもよい。
【0021】
[照明部12]
照明部12は、撮像部11で撮像する際に、計数対象物Tを照明する。照明部12は、例えば、発光ダイオード、電球、放電管、蛍光灯等である。
【0022】
[制御部15]
制御部15は、計数装置1の全体を制御する。制御部15は、例えば、撮像部11から撮像データを取り込む。そして、制御部15は、取り込んだ撮像データを画像処理して、計数対象物Tを計数する。制御部15は、照明部12を制御する。また、制御部15は、表示操作部21、印刷部22及び外部入出力部23を制御する。
【0023】
図2は、本実施形態に係る計数装置の一例である計数装置1の制御部15の概略構成を示す図である。制御部15は、例えば、コンピュータである。制御部15は、CPU(Central Processing Unit)51、RAM(Random Access Memory)52、ROM(Read Only Memory)53を備える。CPU51は、ROM53に格納されたプログラムに基づいて動作する。
【0024】
また、制御部15は、撮像インタフェイス(撮像IF(Interface))54を備える。撮像インタフェイス54に撮像部11が接続される。更に、制御部15は、I/O(Input/Output)インタフェイス(I/O IF(Interface))55を備える。I/Oインタフェイス55に表示操作部21、印刷部22及び外部入出力部23が接続される。
【0025】
[表示操作部21]
表示操作部21は、ユーザからの入力を受け付ける。表示操作部21は、例えば、設定入力に使用される。また、表示操作部21は、ユーザに画像等の情報を表示する。表示操作部21は、例えば、計数結果の表示や処理画像の表示に使用される。表示操作部21は、例えば、タッチパネル付きディスプレイである。
【0026】
[印刷部22]
印刷部22は、計数結果等を紙に印刷して出力する。印刷部22は、例えば、プリンタである。なお、印刷部22は、省略してもよい。
【0027】
[外部入出力部23]
外部入出力部23は、外部の機器、例えば、表示装置、コンピュータ等、と接続する際に用いられる。
【0028】
[電源部25]
電源部25は、計数装置1に供給された電力を変換して計数装置1の各構成要素に供給する。
【0029】
[押さえ治具31及び押さえ治具32]
押さえ治具31及び押さえ治具32は、ガラス窓10aに載置された計数対象物Tを安定して保持するための治具である。押さえ治具31及び押さえ治具32は、計数対象物TをX軸方向(並び方向)に並ぶように保持する。また、押さえ治具31及び押さえ治具32は、計数対象物Tの端が、Y軸方向(広がり方向)に平行になるようにそろえて保持する。
【0030】
なお、押さえ治具31、計数対象物T及び押さえ治具32を覆うように、筐体10の上に遮光カバーを備えてもよい。
【0031】
<計数装置1の制御部15の処理>
次に、計数装置1の処理、具体的には、計数装置1の制御部15の処理について説明する。図3は、本実施形態に係る計数装置の一例である計数装置1の制御部15が行う処理を示す機能ブロック図である。
【0032】
制御部15は、画像取得部61、前処理部62、領域平均化部63、二値化部64及び計数部65を有する。
【0033】
[画像取得部61]
画像取得部61は、撮像部11から、撮像部11が撮影した画像を取り込んで取得する。画像取得部61は、それぞれの端がY軸方向に延びるようにそろえられて、前記第1方向と交差するX軸方向に並べられた複数の計数対象物を端の側から撮像した撮像画像を取得する。
【0034】
[前処理部62]
前処理部62は、後の工程で処理を行いやすいように画像取得部61が取得した画像を処理する。前処理部62は、例えば、ガンマ補正、輝度補正、コントラスト補正、フィルタ処理、モホロジー処理(オープニング処理、クロージング処理等)、幾何変換処理等の画像処理を行う。
【0035】
フィルタ処理は、例えば、メディアンフィルタ、鮮鋭化フィルタ等である。また、フィルタ処理としてポジネガ変換処理等を行ってもよい。フィルタ処理は、一つのフィルタ処理に限らず複数のフィルタ処理を組み合わせてもよい。
【0036】
コントラスト補正を行う際には、例えば、シグモイド関数を用いて、コントラストを補正してもよい。
【0037】
取り込んだ画像が斜めに傾いている場合は、画像を幾何変換、例えば、アフィン変換を行って、傾きを補正してもよい。
【0038】
更に、前処理部62は、画像取得部61が取得した画像の一部を切り出して、処理を行うようにしてもよい。例えば、画像取得部61が取得した画像から、複数の領域、例えば、3つの領域、を抽出して、複数の領域のそれぞれにおいて、計数対象物Tの計数処理を行ってもよい。
【0039】
複数の領域において計数対象物Tの計数処理を行う場合には、複数の領域での計数結果が一致しない場合に、例えば、エラーを表示して再度計数するようにしてもよい。
【0040】
[領域平均化部63]
領域平均化部63は、端面が延びる方向に長い矩形領域を並び方向に移動させながら、当該矩形領域に含まれる画素の画素値の平均を求める。
【0041】
[二値化部64]
二値化部64は、領域平均化部63により平均化した結果に対して二値化を行う。二値化処理は、例えば、適応二値化により二値化する。なお、二値化処理については、適応二値化に限らず、所定の画素値を閾値として二値化してもよいし、他の手法を適用してもよい。
【0042】
[計数部65]
計数部65は、二値化部64において二値化した結果を用いて、例えば、暗い点から明るい点に変化する場所を数えて、計数対象物Tの枚数を数える。
【0043】
次に、計数装置1における計数対象物Tの計数処理、すなわち、計数方法について、フローチャートを用いて説明する。図4及び図5は、本実施形態に係る計数装置の一例である計数装置1の処理を示すフローチャートである。図4及び図5は、制御部15において実行される手順を示す。
【0044】
最初に、ユーザは、計数対象物Tをそろえて、揃えた計数対象物Tを計数装置1のガラス窓10aの上に載せる。そして、ユーザは、押さえ治具31及び押さえ治具32を用いて、計数対象物Tをガラス窓10aの上に固定する。ユーザは、表示操作部21を操作して、計数装置1に計数処理を開始させる。なお、計数装置1は、例えば、計数対象物Tがガラス窓10aの上に固定されたことが検知されたら、自動的に計数処理を開始してもよい。
【0045】
次に、撮像部11により、計数対象物Tの端部TFを撮像する(ステップS10、撮像部により計数対象物の端部を撮像する工程(撮像工程、撮像処理、撮像手順))。具体的には、制御部15は、撮像部11に計数対象物Tの端部TFを撮像するように制御する。そして、制御部15の画像取得部61は、撮像部11から画像を取得する。画像取得部61は、それぞれの端がY軸方向に延びるようにそろえられて、前記第1方向と交差するX軸方向に並べられた複数の計数対象物を端の側から撮像した撮像画像を取得する。
【0046】
画像取得部61が撮像部11から取得した画像の例である画像IMG1を図6に示す。画像IMG1は、計数対象物Tの端部TFを撮像した画像(撮像画像)である。図6の矢印DXは、撮像画像(画像IMG1)における計数対象物Tの並び方向(図1のX軸方向)に対応する方向(並び方向DX)を示す。また、図6の矢印DYは、撮像画像(画像IMG1)における計数対象物Tの広がり方向(図1のY方向)に対応する方向(広がり方向DY)を示す。
【0047】
画像IMG1において、計数対象物Tの広がり方向DYに、明るい画素が線状に延びて並んでいる。また、画像IMG1において、計数対象物Tの並び方向DXに、線状に延びて並ぶ明るい画素の列がほぼ等間隔で並ぶ。当該明るい画素の列のそれぞれは、計数対象物Tの一つの端に対応する。したがって、計数対象物Tの並び方向の明るい画素の列の数を数えることにより、計数対象物Tの数を計数できる。
【0048】
次に、撮像した画像を前処理する(ステップS20、撮像した画像を前処理する工程)。具体的には、制御部15の前処理部62は、画像取得部61が撮像部11から取得した画像に対して前処理を行う。前処理の内容については、例えば、表示操作部21を用いて設定してもよい。
【0049】
次に、前処理した画像を設定した矩形領域に含まれる画素の画素値の平均を求める(ステップS30、前処理した画像を矩形領域で平均する工程(平均工程、平均処理、平均手順))。画像取得部61が撮像部11から取得した画像は、計数対象物Tの広がり方向DYに明るい画素が並ぶ。そこで、計数装置1では、計数対象物Tの広がり方向DYに明るい画素が並ぶことを利用して、計数対象物Tの広がり方向に長く、並び方向には計数対象物Tの厚さより短い矩形領域で平均する。
【0050】
図7は、画像取得部61が撮像部11から取得した画像の例である画像IMG2を示す。実際に画像取得部61が取得した場合には、画像IMG2の領域A1に示すように、計数対象物Tに付着したゴミが写る場合がある。また、画像IMG2の領域A2に示すように、計数対象物Tの積層状態によって、境界がはっきり写らない場合がある。
【0051】
計数装置1は、矩形領域で平均化することによって、図7の領域A1に示したようなゴミの影響を抑えることができる。また、計数装置1は、図7の領域A2に示したような境界がはっきり写らない場合に、並び方向の画素の明るさの差を強調できる。
【0052】
図5は、ステップS30における処理(平均工程)の詳細を示すフローチャートである。ステップS30の平均工程を開始すると、前処理した画像において、処理の対象とする対象領域の端、具体的には、計数対象物Tの並び方向DXの端に、矩形領域を設定する(ステップS31、対象領域の端に矩形領域を設定する工程(設定工程、設定処理、設定手順))。
【0053】
図8は、矩形領域について説明する図である。画像IMG3について、並び方向DXの端に、矩形領域WA1を設定する。
【0054】
なお、矩形領域の並び方向DXの長さは、計数対象物Tの厚さの3分の1以下の幅とすることが望ましい。例えば、計数対象物Tの厚さが140マイクロメートル、1画素が10マイクロメートルとすると、並び方向DXの幅は4画素分、すなわち、40マイクロメートルに相当する幅とする。
【0055】
また、矩形領域の広がり方向DYの長さは、計数対象物Tの広がり方向で平均化することから、並び方向DXに対して長いほうが望ましい。例えば、矩形領域の広がり方向DYの長さは、並び方向DXの長さに対して、10倍以上であることが望ましい。
【0056】
なお、矩形領域の並び方向DX及び広がり方向DYの長さについては、ユーザが設定できるようにしてもよい。また、平均化を行う領域については、矩形領域に限らない。例えば、計数対象物Tが図1のY軸方向に対して傾いている場合は、領域の一方辺を計数対象物Tの端が傾斜する方向に沿った辺として平行四辺形にしてもよい。
【0057】
次に、矩形領域内の画素値の平均値を算出する(ステップS32、矩形領域内の画素値の平均値を算出する工程(領域平均工程、領域平均処理、領域平均手順))。図8において、矩形領域WA1に含まれる画像IMG3の画素について、画素値の平均値を求める。
【0058】
次に、矩形領域を1画素分だけ並び方向DXに移動する(ステップS33、矩形領域を1画素分移動する工程(移動工程、移動処理、移動手順))。図8において、矩形領域を並び方向DX、すなわち、矢印DAの方向にずらす(移動する)。なお、図8では、n回目(nは1以上の整数である)の処理における矩形領域を矩形領域WAnとして表す。
【0059】
そして、対象領域のすべてで処理が終了したかどうかを判定する(ステップS34、すべての領域で処理が終了したか判定する工程)。すべての領域で処理が終了した場合(ステップS34のYes)は、平均工程を終了する。すべての領域で処理が終了していない場合(ステップS34のNo)は、ステップS32に戻って処理を繰り返す。ステップS32からステップ33の工程を繰り返すことによって、矩形領域における平均値を並び方向DXにわたって算出する。
【0060】
次に、図4に戻って、領域平均化部63は、ステップS30で平均した結果に基づいて、平均画像を形成する(ステップS40、平均した結果を用いて平均画像を形成する工程)。具体的には、ステップS30で求めた平均値を、広がり方向DYに伸ばすことにより平均画像(図10参照)を形成する。
【0061】
次に、平均画像を二値化画像に変換する(ステップS50、平均画像を二値化画像に変換する工程(二値化工程、二値化処理、二値化手順))。具体的には、二値化部64は、領域平均化部63が形成した平均画像を二値化して二値化画像を形成する。二値化手段については、例えば、適応二値化でもよいし、特定の閾値を用いた二値化でもよい。
【0062】
次に、二値化画像から縞の本数を計数する(ステップS60、二値化画像から縞の本数を計数する工程(二値計数工程、二値計数処理、二値計数手順))。具体的には、計数部65は、二値化部64が形成した二値化画像を用いて、計数対象物Tの端に対応する縞の数を計数する。二値化画像は、並び方向DXに縞状の画像となる。当該縞は、計数対象物Tの端に対応する。したがって、並び方向DXに並ぶ縞の数を数えることにより、計数対象物Tの数を計数する。
【0063】
次に、縞の本数を計数した結果から計数対象物Tの枚数を算出する(ステップS70、計数結果から計数対象物の枚数を算出する工程)。具体的には、計数部65は、計数した縞の数を、計数対象物Tの枚数とする。
【0064】
なお、上記の処理では、計数対象物Tを計数する際に、二値化処理を行っているが、二値化処理を行わずに、ステップS30の後に、平均した結果の変曲点を求めることによって、枚数を計数してもよい。ステップS40、ステップS50、ステップS60及びステップS70を例として示すように、ステップS30の平均工程で求めた平均値を用いて計数対象物Tの枚数を計数する工程を計数工程(計数処理、計数手順)という場合がある。
【0065】
制御部15は、計数した計数対象物Tの枚数を、例えば、表示操作部21で表示させてもよい。また、制御部15は、計数した計数対象物Tの枚数を、例えば、印刷部22で印字して出力させてもよい。更に、制御部15は、計数した計数対象物Tの枚数を、例えば、外部入出力部23から外部機器に出力させてもよい。
【0066】
計数装置1で処理した結果を図9及び図10に示す。図9は、画像取得部61が取得した画像IMG4を示す。図10は、領域平均化部63が生成した平均画像IMG5を示す。
【0067】
図9に示すように、画像IMG4は、輝度の高い線状のゴミAS1、輝度の低い線状のゴミAS2及びゴミAS3を含んでいる。平均画像IMG5は、矩形領域で平均化することにより、当該ゴミAS1、ゴミAS2及びゴミAS3の影響を除去できる。
【0068】
なお、Y軸方向及び広がり方向DYのそれぞれは第1方向、X軸方向及び並び方向DXのそれぞれは第2方向、制御部15は、処理部の一例である。
【0069】
[作用・効果]
本実施形態に係る計数装置によれば、計数対象物Tの端部TFを撮像した画像から精度よく計数対象物Tの枚数を計数できる。
【0070】
例えば、チャックを備えるパウチ袋において、チャックにより、パウチ袋をきれいに揃えるのが難しい。パウチ袋がきれいに揃っていないと、計数対象物Tであるパウチ袋の端面の色や明るさが変わってしまい、計数処理が難しい。
【0071】
本実施形態に係る計数装置によれば、計数対象物Tの広がり方向に広い矩形領域で平均化することにより、計数対象物Tの端の色や明るさが変わっても、精度よく計数対象物Tを計数できる。
【0072】
また、風を当てて計数対象物を一枚一枚めくる計数方式や、送り機構により物理的に計数対象物をめくる計数方式では、計数対象物の破損や皺の発生が生じる可能性があり、不良品の発生の原因となりえる。これに対して、本実施形態に係る計数装置は、風や送り機構を使わず非接触方式により計数対象物を計数するため、計数に伴う不良品の発生を防ぐことができる。
【0073】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 計数装置
10 筐体
10a ガラス窓
10b 載置面
10c 載置部
11 撮像部
15 制御部
63 領域平均化部
64 二値化部
65 計数部
DX 並び方向
DY 広がり方向
T 計数対象物
TF 端部
WA1、WAn 矩形領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10