(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】表示装置、表示方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20250415BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20250415BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20250415BHJP
【FI】
H04N7/18 U
G09G5/00 550C
G09G5/00 550B
G02B27/02 Z
(21)【出願番号】P 2020198647
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中尾 早人
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 哲也
(72)【発明者】
【氏名】大段 翔平
(72)【発明者】
【氏名】菅原 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】高田 規
(72)【発明者】
【氏名】鶴 秀生
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-119297(JP,A)
【文献】特開2015-064513(JP,A)
【文献】国際公開第2019/135313(WO,A1)
【文献】特開2019-160112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G09G 5/00 - 5/42
G02B 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部と
、
ユーザの視野範囲内の対象物を撮像する撮像部と、
前記表示部から外光を透過させるか、または前記撮像部が撮像することにより、前記ユーザの視野範囲をメイン画像として前記表示部に表示させる出力制御部と、
前記撮像部が撮像した画像に
写っている前記対象物のうち所定時間以内に写らなくなった対象物を視線切替対象物として抽出し、前記視線切替対象物の種類を示す情報を取得することにより前記視線切替対象物の種類を特定する視認物特定部と、
前記視認物特定部
から異なるタイミングで取得された前記視線切替対象物の種類を示す情報が同じであることを特定した回数である視線切替回数を特定する視線切替回数特定部と、を含み、
前記出力制御部は、前記視線切替回数が所定回数未満である場合には、前記対象物の種類、前記対象物を指し示すアイコン、前記対象物を説明する文章、及び以前に抽出された同じ種類の前記対象物に関する情報、のいずれかを少なくとも1つ含む前記対象物に関する情報からなる画像を、サブ画像として前記メイン画像に重畳して前記表示部に表示させ、
前記出力制御部は、前記視線切替回数が所定回数以上となった場合に、そ
の対象物に関する情報を含む
前記サブ画像の表示を停止させ
、
前記所定時間は、200ミリ秒以上900ミリ秒以下である、
表示装置。
【請求項2】
画像を表示する表示部と、
ユーザの視野範囲内の対象物を撮像する撮像部と、
前記表示部から外光を透過させるか、または前記撮像部が撮像することにより、前記ユーザの視野範囲をメイン画像として前記表示部に表示させる出力制御部と、
前記撮像部が撮像した画像に写っている前記対象物のうち第1の所定時間以内に写らなくなった対象物を視線切替対象物として抽出し、前記撮像部が撮像した画像に写っている前記対象物のうち第2の所定時間以上連続して写っている対象物を視認対象物として抽出し、前記視認対象物及び前記視線切替対象物の種類を示す情報を取得することにより前記視認対象物及び前記視線切替対象物の種類を特定する視認物特定部と、
前記視認物特定部から異なるタイミングで取得された前記視線切替対象物の種類を示す情報が同じであることを特定した回数である視線切替回数を特定する視線切替回数特定部と、
前記ユーザの位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記視認物特定部が特定した前記視認対象物の種類及び前記ユーザの位置情報に基づき、前記ユーザが同じ場所で同じ種類の対象物を視認した回数である重複回数を特定する重複回数特定部と、を含み、
前記出力制御部は、前記視線切替回数が第1の所定回数未満である場合には、前記対象物の種類、前記対象物を指し示すアイコン、前記対象物を説明する文章、以前に抽出された同じ種類の前記対象物に関する情報、のいずれかを少なくとも1つ含む前記対象物に関する情報からなる画像をサブ画像として前記メイン画像に重畳して前記表示部に表示させ、
前記出力制御部は、前記視線切替回数が前記第1の所定回数以上となった場合に、その対象物に関する情報を含む前記サブ画像の表示を停止させ、
前記出力制御部は、前記重複回数が第2の所定回数以上である場合には、その対象物についての前記サブ画像の表示を停止させる、
表示装置。
【請求項3】
表示部に画像を表示させる表示方法であって、
ユーザの視野範囲内の対象物を撮像
するステップと、
前記表示部から外光を透過させるか、または撮像することにより、前記ユーザの視野範囲をメイン画像として前記表示部に表示させるステップと、
前記
撮像した画像に
写っている前記対象物のうち所定時間以内に写らなくなった対象物を視線切替対象物として抽出し、前記視線切替対象物の種類を示す情報を取得することにより前記視線切替対象物の種類を特定するステップと、
異なるタイミングで取得された前記視線切替対象物の種類を示す情報が同じであることを特定した回数である視線切替回数を特定するステップと、
前記視線切替回数が所定回数未満である場合には、前記対象物の種類、前記対象物を指し示すアイコン、前記対象物を説明する文章、及び以前に抽出された同じ種類の前記対象物に関する情報、のいずれかを少なくとも1つ含む前記対象物に関する情報からなる画像を、サブ画像として前記メイン画像に重畳して前記表示部に表示させるステップと、
前記視線切替回数が所定回数以上となった場合に、そ
の対象物に関する情報を含む
前記サブ画像の表示を停止させるステップと、
を含
み、
前記所定時間は、200ミリ秒以上900ミリ秒以下である、
表示方法。
【請求項4】
表示部に画像を表示させる表示方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
ユーザの視野範囲内の対象物を撮像
するステップと、
前記表示部から外光を透過させるか、または撮像することにより、前記ユーザの視野範囲をメイン画像として前記表示部に表示させるステップと、
前記
撮像した画像に
写っている前記対象物のうち所定時間以内に写らなくなった対象物を視線切替対象物として抽出し、前記視線切替対象物の種類を示す情報を取得することにより前記視線切替対象物の種類を特定するステップと、
異なるタイミングで取得された前記視線切替対象物の種類を示す情報が同じであることを特定した回数である視線切替回数を特定するステップと、
前記視線切替回数が所定回数未満である場合には、前記対象物の種類、前記対象物を指し示すアイコン、前記対象物を説明する文章、及び以前に抽出された同じ種類の前記対象物に関する情報、のいずれかを少なくとも1つ含む前記対象物に関する情報からなる画像を、サブ画像として前記メイン画像に重畳して前記表示部に表示させるステップと、
前記視線切替回数が所定回数以上となった場合に、そ
の対象物に関する情報を含む
前記サブ画像の表示を停止させるステップと、
をコンピュータに実行さ
せ、
前記所定時間は、200ミリ秒以上900ミリ秒以下である、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、表示方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、高速なCPUや高精細な画面表示技術、小型軽量のバッテリーの技術の進化、無線ネットワーク環境の普及や広帯域化などに伴い、情報機器が大きな進化をしている。そして、このような情報機器としては、その代表例であるスマートフォンだけでなく、ユーザに装着される所謂ウエラブルデバイスなども普及してきた。ウェアラブルデバイスとしては、視覚情報を提供するHMD(Head Mount Display)があり、AR(Augumented Reality)用や、VR(Virtual Reality)用などに用いられる。例えば特許文献1には、AR技術を用いて、オブジェクトを現実空間の画像に重畳する際のオブジェクトの色調を考慮するための技術として、現実空間に配置されたマーカの色調に基づきオブジェクトの色調を補正する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えはHMDなどの画像を表示する表示装置においては、その表示装置のユーザによらず、表示態様が一様となってしまう。そのため、表示装置のユーザに合わせて表示態様を適切に調整することが求められている。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑み、ユーザに合わせて表示態様を適切に調整可能な表示装置、表示方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様にかかる表示装置は、画像を表示する表示部と、前記表示部に画像を表示させる出力制御部と、ユーザの視野範囲内の対象物を撮像する撮像部と、前記撮像部が撮像した画像に基づき、前記ユーザが所定時間以内に目をそらした対象物の種類を特定する視認物特定部と、前記視認物特定部の特定結果に基づき、前記ユーザが同じ種類の対象物から目をそらした回数である視線切替回数を特定する視線切替回数特定部と、を含み、前記出力制御部は、前記視線切替回数が所定回数以上となった場合に、その種類の対象物に関する情報を含むサブ画像の表示を停止させる。
【0007】
本発明の一態様にかかる表示方法は、表示部に画像を表示させる表示方法であって、ユーザの視野範囲内の対象物を撮像した画像を取得するステップと、前記画像に基づき、前記ユーザが所定時間以内に目をそらした対象物の種類を特定するステップと、前記ユーザが所定時間以内に目をそらした対象物の種類の特定結果に基づき、前記ユーザが同じ種類の対象物から目をそらした回数である視線切替回数を特定するステップと、前記視線切替回数が所定回数以上となった場合に、その種類の対象物に関する情報を含むサブ画像の表示を停止させるステップと、を含む。
【0008】
本発明の一態様にかかるプログラムは、表示部に画像を表示させる表示方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、ユーザの視野範囲内の対象物を撮像した画像を取得するステップと、前記画像に基づき、前記ユーザが所定時間以内に目をそらした対象物の種類を特定するステップと、前記ユーザが所定時間以内に目をそらした対象物の種類の特定結果に基づき、前記ユーザが同じ種類の対象物から目をそらした回数である視線切替回数を特定するステップと、前記視線切替回数が所定回数以上となった場合に、その種類の対象物に関する情報を含むサブ画像の表示を停止させるステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザに合わせて表示態様を適切に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る表示装置の模式図である。
【
図2】
図2は、表示装置が表示する画像の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る表示装置の模式的なブロック図である。
【
図4】
図4は、表示モードの設定処理を説明するフローチャートである。
【
図5】
図5は、通常モードと強調モードでサブ画像を表示した場合の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、通常モードと強調モードでサブ画像を表示した場合の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、サブ画像の表示処理を説明するフローチャートである。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る表示装置の模式的なブロック図である。
【
図9】
図9は、表示モードの設定処理を説明するフローチャートである。
【
図10】
図10は、サブ画像の表示処理を説明するフローチャートである。
【
図11】
図11は、通常モードと強調モードでサブ画像を表示した場合の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、第3実施形態に係る表示装置の模式的なブロック図である。
【
図13】
図13は、表示モードの設定処理を説明するフローチャートである。
【
図14】
図14は、非表示モードの場合の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、第4実施形態に係る表示装置の模式的なブロック図である。
【
図16】
図16は、表示モードの設定処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る表示装置の模式図である。第1実施形態に係る表示装置10は、画像を表示する表示装置である。
図1に示すように、表示装置10は、ユーザUの体に装着される、いわゆるウェアラブルデバイスである。本実施形態の例では、表示装置10は、ユーザUの目に装着される装置10aと、ユーザUの耳に装着される装置10bと、ユーザの腕に装着される装置10cとを含む。ユーザUの目に装着される装置10aは、ユーザUに視覚刺激を出力する(画像を表示する)後述の表示部22を含む。ユーザUの耳に装着される装置10bは、ユーザUに聴覚刺激(音声)を出力する音声出力部を含み、ユーザUの腕に装着される装置10cは、ユーザUに触覚刺激を出力する触覚刺激出力部を含む。ただし、
図1の構成は一例であり、装置の数や、ユーザUへの装着位置も任意であってよい。例えば、表示装置10は、装置10bや装置10cを含まなくてもよい。また例えば、表示装置10は、ウェアラブルデバイスに限られない。例えば、表示装置10は、スマートフォンやタブレット端末など、ユーザUに携帯される装置であってもよい。
【0013】
(メイン像)
図2は、表示装置が表示する画像の一例を示す図である。
図2に示すように、表示装置10は、表示部22を通して、ユーザUにメイン像PMを提供する。これにより、表示装置10を装着したユーザUは、メイン像PMを視認できる。メイン像PMとは、本実施形態では、ユーザUが表示装置10を装着していないと仮定した場合に、ユーザUが視認することになる景色の像であり、ユーザUの視野範囲に入る実在の対象物の像であるともいえる。視野範囲とは、ユーザUの視線を中心とした、眼球を動かさないで見える範囲を指す。本実施形態では、表示装置10は、例えば表示部22から外光(周辺の可視光)を透過させることで、ユーザUにメイン像PMを提供する。すなわち、本実施形態では、ユーザUは、表示部22を通して、実際の景色の像を直接視認しているといえる。ただし、表示装置10は、ユーザUに実際の景色の像を直接視認させることに限られず、表示部22にメイン像PMの画像を表示させることで、表示部22を通してユーザUにメイン像PMを提供してもよい。この場合、ユーザUは、表示部22に表示された景色の画像を、メイン像PMとして視認することとなる。この場合、表示装置10は、後述する撮像部28が撮像した、ユーザUの視野範囲に入る像を、メイン像PMとして表示部22に表示させる。なお、
図2では、メイン像PMとして道路と建物が含まれているが、単なる一例である。
【0014】
(サブ画像)
図2に示すように、表示装置10は、表示部22を通して提供されるメイン像PMに重畳するように、表示部22にサブ画像PSを表示させる。これにより、ユーザUは、メイン像PMにサブ画像PSが重畳された像を視認することとなる。サブ画像PSとは、メイン像PMに重畳される画像であり、ユーザUの視野範囲に入る実在の景色以外の画像といえる。すなわち、表示装置10は、実在の景色であるメイン像PMにサブ画像PSを重畳させることで、ユーザUにAR(Augumented Reality)を提供するといえる。
【0015】
本実施形態では、サブ画像PSは、メイン像PMに含まれている対象物に関する情報を含む画像である。すなわち、サブ画像PSは、ユーザUの視野範囲に入っている実在の対象物に関する情報(ユーザUが現在視認している対象物に関する情報)を含む画像といえる。サブ画像PSは、対象物毎に設定される。メイン像PMにある対象物が含まれている際に(ユーザUがその対象物を視認している際に)、その対象物についてのサブ画像PSが表示される。
図2の例では、ユーザUが視認している対象物が建物であり、その建物に関する情報であるサブ画像PSが表示されている。
図2では、サブ画像PSはBUという文字であるが、単なる一例である。
【0016】
このように、表示装置10は、メイン像PMとサブ画像PSとを提供するが、それ以外にも、メイン像PMとサブ画像PSとは異なる内容のコンテンツ画像を表示部22に表示させてもよい。コンテンツ画像は、例えば映画やテレビ番組など、任意のコンテンツの画像であってよい。また、表示装置10は、メイン像PMを提供せずにサブ画像PSを表示させるものであってもよい。
【0017】
(表示装置の構成)
図3は、第1実施形態に係る表示装置の模式的なブロック図である。
図3に示すように、表示装置10は、入力部20と、表示部22と、記憶部24と、通信部26と、撮像部28と、GNSS受信器30と、制御部32とを備える。
【0018】
入力部20は、ユーザの操作を受け付ける装置であり、例えばタッチパネルなどであってよい。表示部22は、画像を表示するディスプレイである。本実施形態では、表示部22は、いわゆるHMD(Head Mount Display)である。なお、表示部22以外にも、出力部として、音声を出力する音声出力部(スピーカ)や、ユーザUに触覚刺激を出力する触覚刺激出力部が備えられていてもよい。触覚刺激出力部は、振動などの物理的に作動することで、ユーザに触覚刺激を出力するが、触覚刺激の種類は、振動などに限られず任意のものであってよい。
【0019】
記憶部24は、制御部32の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。記憶部24が保存する制御部32用のプログラムは、表示装置10が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0020】
通信部26は、外部の装置などと通信するモジュールであり、例えばアンテナなどを含んでよい。通信部26による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。
【0021】
撮像部28は、ユーザUの視野範囲内の対象物を撮像するカメラである。撮像部28は、撮像範囲が、ユーザUの視野範囲と重複するような位置に、設けられている。
図1の例では、撮像部28は、装置10aに設けられており、撮像方向がユーザUの顔が向いている方向となるように、取り付けられている。これにより、撮像部28は、ユーザUの視野範囲内の対象物を撮像できる。なお、撮像部28は、所定のフレームレート毎に撮像するビデオカメラであってよい。撮像部28の数は任意であり、単数であっても複数であってもよい。撮像部28が複数ある場合には、カメラ20Aが向いている方向の情報も、取得されてよい。
【0022】
GNSS受信器30は、表示装置10の位置情報を検出する装置である。ここでの位置情報とは、地球座標である。本実施形態では、表示装置10はユーザUに装着されているので、ユーザUと表示装置10との位置は同じである。従って、GNSS受信器30は、ユーザUの位置情報を検出するといえる。本実施形態では、GNSS受信器30は、いわゆるGNSS(Global Navigation Satellite System)モジュールであり、衛星からの電波を受信して、表示装置10(ユーザU)の位置情報を検出する。なお、第1実施形態においては、GNSS受信器30は必須の構成ではない。
【0023】
制御部32は、演算装置、すなわちCPU(Central Processing Unit)である。制御部32は、画像取得部40と、視認物特定部42と、視認回数特定部44と、表示モード設定部46と、出力制御部48とを含む。制御部32は、記憶部24からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、画像取得部40と視認物特定部42と視認回数特定部44と表示モード設定部46と出力制御部48とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部32は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、画像取得部40と視認物特定部42と視認回数特定部44と表示モード設定部46と出力制御部48との少なくとも一部を、ハードウェアで実現してもよい。
【0024】
画像取得部40は、撮像部28を制御して、撮像部28に画像を撮像させて、撮像部28が撮像した画像(画像データ)を取得する。すなわち、画像取得部40は、撮像部28によって撮像された、ユーザUの視野範囲を撮像範囲とした画像(画像データ)を取得する。画像取得部40は、所定の期間ごとに撮像部28に画像を撮像させる。画像取得部40は、撮像部28が画像を撮像するごとに、撮像部28が撮像した画像データを取得する。
【0025】
視認物特定部42は、撮像部28が撮像した画像に基づき、ユーザUの視野範囲内の対象物の種類を特定する。視認物特定部42の処理については後述する。
【0026】
視認回数特定部44は、視認物特定部42の特定結果に基づき、すなわちユーザUの視野範囲内の対象物の種類に基づき、ユーザUが同じ種類の対象物を視認した回数である視認回数を特定する。視認回数特定部44の処理については後述する。
【0027】
表示モード設定部46は、視認回数に基づき、サブ画像PSの表示モードを決定する。サブ画像PSの表示モードとは、サブ画像PSの表示のさせ方を指し、表示態様と呼ぶこともできる。表示モード設定部46の処理については後述する。
【0028】
出力制御部48は、表示部22を制御して、表示部22に画像を表示させる。出力制御部48は、メイン像PMに重畳するように、表示部22にサブ画像PSを表示させる。また、出力制御部48は、表示モード設定部46が決定したサブ画像PSの表示モードに基づき、サブ画像PSを表示させる。サブ画像PSの表示モードは視認回数に基づき設定されるため、出力制御部48は、視認回数に基づきサブ画像PSを表示させるといえる。出力制御部48の具体的な処理内容については後述する。
【0029】
表示装置10は、以上説明したような構成となっている。以下、表示装置10による処理内容について説明する。
【0030】
(表示モードの設定処理)
まず、表示装置10による処理内容として、表示モードの設定処理について説明する。
図4は、表示モードの設定処理を説明するフローチャートである。
【0031】
(画像の取得)
図4に示すように、制御部32は、画像取得部40によって、撮像部28によって撮像された画像を取得する(ステップS10)。画像取得部40は、撮像部28によって撮像された、ユーザUの視野範囲内を撮像範囲とした画像(画像データ)を取得する。すなわち、画像取得部40は、表示部22を通して視認されるユーザUの視野範囲内のメイン像PMを含む画像を取得するといえる。
【0032】
(視認対象物の種類の特定)
制御部32は、視認物特定部42により、画像取得部40が取得した画像に基づき、視認対象物を抽出して、視認対象物の種類を特定する(ステップS12)。視認対象物とは、ユーザUが表示部22を通して視認した対象物を指し、ユーザUの視野範囲内に存在する対象物といえる。視認物特定部42は、画像取得部40が取得した画像に写っている対象物を、視認対象物として抽出し、その視認対象物の種類を特定する。対象物の種類とは、対象物を所定の分類基準で分類した場合の、その対象物の所属を指す。ここでの分類基準は任意であってよい。
【0033】
視認物特定部42は、任意の方法で視認対象物を抽出して種類を特定してよいが、例えば、AI(Artificial Intelligence)モデルを用いて対象物を特定してもよい。この場合のAIモデルは、記憶部24に記憶されており、画像データから、画像に写っている対象物を抽出して種類を特定するためのモデルである。AIモデルは、画像データと、その画像に写っている対象物の種類を示す情報とを1つのデータセットとし、複数のデータセットを教師データとして学習して構築された、学習済みのAIモデルとなっている。視認物特定部42は、学習済みのAIモデルに、画像取得部40が取得した画像データを入力して、その画像に写っている視認対象物の種類を特定した情報を取得して、視認対象物の種類を特定する。なお、AIモデルとしては任意のモデルを用いてよいが、例えば、CNN(Conventional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)モデルを用いてよい。
【0034】
なお、視認物特定部42は、画像取得部40が取得した画像に写っている対象物(ユーザUの視野範囲内に存在する対象物)の全てを、視認対象物として抽出してよいが、それに限られず、画像取得部40が取得した画像に含まれる対象物(ユーザUの視野範囲内に存在する対象物)のうちの一部を、視認対象物として抽出してよい。この場合例えば、視認物特定部42は、画像取得部40が取得した画像に含まれる対象物のうちの、ユーザUの視線に重なる対象物を、視認対象物として抽出してよい。視認物特定部42は、例えば、画像取得部40が取得した画像のうちの所定領域(例えば中心の領域)における画像データを、AIモデルに入力して、その所定領域に写っている視認対象物の種類を特定した情報を取得して、視認対象物の種類を特定する。
【0035】
また例えば、視認物特定部42は、所定時間以上連続して視野範囲内にある対象物を、視認対象物として抽出してもよい。この場合、視認物特定部42は、撮像部28によって時系列で連続して撮像された画像から、所定時間以上連続して視野範囲内にある対象物を、すなわち所定時間以上連続した画像の全てに含まれる対象物を、視認対象物として抽出する。この場合例えば、視認物特定部42は、時系列で連続して撮像された画像の画像データをそれぞれAIモデルに入力して、それぞれの画像に写っている対象物の種類の情報を取得する。そして、視認物特定部42は、所定時間以上連続して撮像された画像の全てに同じ種類とされた対象物が写っている場合に、その対象物を視認対象物とする。
【0036】
また、視認物特定部42は、メイン像PS内における視認対象物の位置(画像取得部40が取得した画像における視認対象物の座標)を示す情報も取得してよい。
【0037】
(視認回数の特定)
次に、制御部32は、視認回数特定部44により、視認物特定部42の特定結果に基づき、ユーザUが同じ種類の対象物を視認した回数を示す視認回数を特定する(ステップS14)。視認回数特定部44は、視認対象物の種類毎に、視認物特定部42によって視認対象物として抽出された回数をカウントして視認回数とし、記憶部24に記憶させる。すなわち、視認回数特定部44は、同じ種類の視認対象物が視認物特定部42によって抽出された回数を、視認回数として特定する。例えば、視認物特定部42により、バナナという種類の視認対象物が異なるタイミングで5回抽出された場合、視認回数特定部44は、バナナという種類の対象物の視認回数を、5回として特定する。
【0038】
視認回数特定部44は、所定期間が経過したら、視認回数をリセットしてゼロに戻してもよい。すなわち、視認回数特定部44は、所定期間内において、視認物特定部42によって同じ種類の視認対象物が抽出された回数を、視認回数としてもよい。所定期間は、任意に設定してよく、例えば1か月であってもよいし1年であってもよい。
【0039】
(表示モードの設定)
表示モード設定部46は、視認回数に基づいて、サブ画像PSの表示モードを設定する。サブ画像PSは、ユーザUの視野範囲内にある対象物(メイン像PSに含まれる対象物)に関する情報であり、その対象物がユーザUの視野範囲内にある際に、表示される。サブ画像PSの表示モードとは、上述のようにサブ画像PSの表示のさせ方を指す。表示モード設定部46は、対象物の種類毎に、サブ画像PSの表示モードを設定する。
【0040】
より詳しくは、表示モード設定部46は、視認回数に基づいて、対象物の種類毎に、サブ画像PSの表示モードを設定する。すなわち、表示モード設定部46は、視認回数に基づき、その視認回数がカウントされた種類の対象物についてのサブ画像PSの表示モードを設定する。例えば、表示モード設定部46は、バナナという種類の視認対象物の視認回数に基づき、バナナという種類の対象物についてのサブ画像PSの表示モードを設定する。
【0041】
図5及び
図6は、通常モードと強調モードでサブ画像を表示した場合の一例を示す図である。表示モード設定部46は、視認回数に応じて、サブ画像PSの表示モードを、通常モード又は強調モードのいずれかに設定する。強調モードは、通常モードよりも、その対象物に関する情報が強調して表示されるモードである。すなわち、強調モードに設定されたサブ画像PSは、通常モードに設定されたサブ画像PSよりも、より目立つように表示される。例えば
図5の例では、バナナという種類の対象物がユーザUの視野範囲に入っている場合に、サブ画像PSとして、「バナナ」という文字を表示する場合を示している。
図5の例では、通常モードにおける「バナナ」という文字よりも、強調モードにおける「バナナ」という文字の方が大きくなっており、強調モードの文字が強調して表示されている。また、
図6の例では、サブ画像PSとして、バナナという種類の対象物を指し示す矢印を表示する場合を示している。
図6の例では、通常モードにおける矢印よりも、強調モードにおける矢印の方が大きくなっており、強調モードの矢印が強調して表示されている。
【0042】
ただし、
図5及び
図6は一例であり、サブ画像PSは、対象物に関する情報を示すものであれば、任意の画像であってよい。例えば、サブ画像PSは、対象物に関する情報を示す任意の言語の文字であってもよいし、感嘆符など任意の形状のアイコンでもよい。また例えば、サブ画像PSは、その対象物を説明する文章であってもよい。この場合の強調モードは、通常モードよりも、その対象物の説明の詳しさ度合いが高いことを指してよい。また例えば、サブ画像PSとして、前に抽出された同じ種類の視認対象物に関する情報を表示させてもよいし、今回ユーザUに視認されている対象物と、前に抽出された同じ種類の視認対象物とを比較した情報である比較情報を表示させてもよい。この場合例えば、ユーザUが今回バナナを視認している場合には、前にユーザUに視認されたバナナに関する情報を、サブ画像PSとして表示させてもよいし、今回視認されているバナナと前に視認されたバナナとを比較する情報を表示させてもよい。
【0043】
また、
図5及び
図6の例では、強調モードのサブ画像PSを通常モードのサブ画像PSより大きくしていたが、それに限られず、強調モードのサブ画像PSを通常モードのサブ画像PSよりも強調させる任意の表示方法を用いてよい。例えば、強調モードのサブ画像PSの、メイン像PS内における表示位置を、通常モードのサブ画像PSの表示位置よりも目立つ場所(例えば中央など)にしてもよい。また、強調モードのサブ画像PSの輝度を、通常モードのサブ画像PSの輝度より高くしてもよい。また、強調モードのサブ画像PSの表示頻度を、通常モードのサブ画像PSの表示頻度より高くしてもよい。ここでの表示頻度とは、単位時間当たりのサブ画像PSの表示時間を指してもよいし、サブ画像PSの点滅させる速さを指してもよい。
【0044】
以下、
図4での説明に戻り、視認回数に基づいた表示モードの設定方法について具体的に説明する。
図4に示すように、制御部32は、表示モード設定部46により、視認回数が所定回数以上であるかを判断し(ステップS16)、視認回数が所定回数以上である場合(ステップS16;Yes)、その視認対象物と同じ種類の対象物についてのサブ画像PSの表示モードを、強調モードに設定する(ステップS18)。一方、視認回数が所定回数以上でない場合(ステップS16;No)、すなわち視認回数が所定回数未満である場合には、その視認対象物と同じ種類の対象物についてのサブ画像PSの表示モードを強調モードに設定することなく、ステップS20に進む。より詳しくは、表示モード設定部46は、視認回数が所定回数未満である視認対象物と同じ種類の対象物についてのサブ画像PSについては、表示モードを、通常モードとする。例えば、バナナという種類の視認対象物の視認回数が所定回数以上であり、リンゴという種類の視認対象物の視認回数が所定回数未満である場合には、表示モード設定部46は、バナナという種類の対象物についてのサブ画像PSの表示モードを、強調モードとし、リンゴという種類の対象物についてのサブ画像PSの表示モードを、通常モードとする。
【0045】
その後、処理が終了する場合には(ステップS20;Yes)、本処理を終了し、処理が終了しない場合には(ステップS20;No)、ステップS10に戻り、処理を繰り返す。その際、視認回数が所定回数未満であったが、その後の処理で視認回数が所定回数以上となった視認対象物がある場合には、その視認対象物と同じ種類の対象物についてのサブ画像PSの表示モードを、通常モードから強調モードに切り替える。
【0046】
このように、表示モード設定部46は、視認回数が所定回数未満の場合のサブ画像PSを通常モードとし、視認回数が所定回数以上の場合のサブ画像PSを強調モードとする。ただし、表示モード設定部46の処理はこれに限定されず、視認回数に基づいた任意の方法で、サブ画像PSの表示モードを設定してよい。例えば、表示モード設定部46は、視認回数が所定回数未満である場合には、サブ画像PSを表示しない非表示モードとし、視認回数が所定回数以上となった場合に、サブ画像PSを表示させるモードとしてもよい。また例えば、表示モード設定部46は、視認回数が多いほど、サブ画像PSの強調度合いが大きくなるように、表示モードを設定してよい。例えば、表示モード設定部46は、視認回数が多いほど、サブ画像PSを大きくしてよい。
【0047】
また例えば、表示モード設定部46は、対象物の種類毎に、サブ画像PSを表示しない非表示モードと、サブ画像PSを表示するモードとのいずれに設定するかを選択してよい。この場合例えば、表示モード設定部46は、サブ画像PSを表示する対象物の種類を示す種類情報を取得する。そして、表示モード設定部46は、種類情報で示された以外の種類の対象物については、非表示モードに設定する。一方、表示モード設定部46は、種類情報で示された種類の対象物については、サブ画像PSを表示させるモードに設定する。なお、種類情報は、サブ画像PSを表示しない対象物の種類を示す情報であってもよく、この場合には、種類情報で示された種類の対象物について、非表示モードに設定する。この種類情報は、予め設定されてよく、例えばユーザUによって予め設定されてよい。すなわち例えば、ユーザUが果物に興味があり肉類に興味がない場合には、果物については表示するモードとし、肉類については非表示モードとする。このように、対象物の種類毎に、表示モードを設定することで、ユーザUの嗜好に合わせてサブ画像PSを提供できる。
【0048】
(サブ画像の表示処理)
次に、サブ画像PSの表示処理について説明する。出力制御部48は、視認物特定部42によって抽出された視認対象物に関するサブ画像PSを、その視認対象物が含まれるメイン像PMに重畳するように、表示部22に表示させる。言い換えれば、出力制御部48は、ユーザUの視野範囲内に視認対象物が存在している際に、その視認対象物に関するサブ画像PSを表示部22に表示させる。
【0049】
出力制御部48は、表示モード設定部46が設定した表示モードに基づき、すなわち視認回数に基づき、視認物特定部42によって抽出された視認対象物(ユーザUの視野範囲内にある視認対象物)に関するサブ画像PSを、表示部22に表示させる。出力制御部48は、視認物特定部42によって抽出された視認対象物の種類に関するサブ画像PSの表示モードを読み出し、その表示モードで、抽出した視認対象物についてのサブ画像PSを表示させる。以下、より具体的に説明する。
【0050】
図7は、サブ画像の表示処理を説明するフローチャートである。
図7に示すように、視認対象物を抽出して視認対象物の種類を特定するS12までの処理は、
図4で示した表示モードの設定における処理と同じである。すなわち、本実施形態では、制御部32は、
図4で示したステップS14以降の処理(表示モードの設定処理)と、
図7で示すステップS30以降の処理(サブ画像PSの表示処理)とを、並行して行う。
【0051】
ステップS12で視認対象物を抽出して視認対象物の種類を特定したら、制御部32は、出力制御部48により、抽出した視認対象物の種類についてのサブ画像PSの表示モードが、強調モードであるかを判断する(ステップS30)。抽出した視認対象物の種類についての表示モードが強調モードである場合(ステップS30;Yes)、出力制御部48は、表示部22に、その視認対象物についてのサブ画像PSを、強調モードで表示させる(ステップS32)。出力制御部48は、その視認対象物が含まれるメイン像PMに重畳するように、強調モードでサブ画像PSを表示させる。一方、抽出した視認対象物の種類についての表示モードが強調モードでない場合(ステップS30;No)、すなわち通常モードである場合、出力制御部48は、表示部22に、その視認対象物についてのサブ画像PSを、通常モードで表示させる(ステップS34)。出力制御部48は、その視認対象物が含まれるメイン像PMに重畳するように、通常モードでサブ画像PSを表示させる。すなわち、出力制御部48は、視認回数が所定回数未満である場合に表示させるサブ画像PS(通常モードに設定されたサブ画像PS)よりも、視認回数が所定回数以上である場合に表示させるサブ画像(強調モードに設定されたサブ画像PS)を、強調して表示させるといえる。
【0052】
例えば、抽出した視認対象物の種類がバナナである場合には、上述の例ではバナナについてのサブ画像PSが強調モードであるため、バナナに関するサブ画像PSが、強調モードで表示される。すなわち、ユーザUがこれまでに所定回数以上バナナを視認していた場合には、バナナが強調モードに設定されるため、今回バナナを視認した際には、バナナに関するサブ画像PSが、強調モードで表示される。一方、抽出した視認対象物の種類がリンゴである場合には、上述の例ではリンゴについてのサブ画像PSが通常モードであるため、リンゴに関するサブ画像PSは、通常モードで表示される。
【0053】
(効果)
以上説明したように、本実施形態に係る表示装置10は、画像を表示する表示部22と、撮像部28と、視認物特定部42と、視認回数特定部44と、出力制御部48とを含む。撮像部28は、ユーザUの視野範囲内の対象物を撮像する。視認物特定部42は、撮像部28が撮像した画像に基づき、ユーザUの視野範囲内の視認対象物の種類を特定する。視認回数特定部44は、視認物特定部42の特定結果に基づき、ユーザUが同じ種類の視認対象物を視認した回数である視認回数を特定する。出力制御部48は、表示部22を通して視認されるユーザUの視野範囲内のメイン像PMに重畳するように、表示部22に画像を表示させる。出力制御部48は、視認回数に基づき、その種類の対象物が含まれるメイン像PMに重畳するように、表示部22に、その種類の対象物に関する情報を含むサブ画像PSを表示させる。
【0054】
表示装置においては、その表示装置のユーザによらず、表示態様が一様となる場合がある。それに対し、本実施形態に係る表示装置10は、ユーザUが同じ種類の対象物を視認した回数を、視認回数としてカウントしておく。そして、表示装置10は、ユーザUがその対象物と同じ種類の対象物を視認した場合に、カウントしていた視認回数に基づき、その対象物に関するサブ画像PSを表示させる。本実施形態に係る表示装置10によると、ユーザUのこれまでの行動に合わせてサブ画像PSの表示態様を調整することが可能となり、ユーザUに合わせて表示態様を適切に調整することが可能となる。
【0055】
出力制御部48は、視認回数が所定回数未満である場合に表示させるサブ画像PSよりも、視認回数が所定回数以上である場合に表示させるサブ画像PSを、強調して表示させる。本実施形態に係る表示装置10によると、ユーザUが見た回数が多い対象物に対するサブ画像PSを強調表示させるため、ユーザUに合わせて表示態様を適切に調整することが可能となる。例えば、ユーザUがバナナに興味がある場合には、バナナの視認回数が多くなる。このような場合に、バナナを見た際のサブ画像PSが強調表示されることで、ユーザUにバナナに関する情報を適切に伝えることが可能となる。
【0056】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態においては、同じ場所を訪問した回数である訪問回数に基づき、サブ画像PSの表示モードを設定する点で、第1実施形態と異なる。第2実施形態において第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
【0057】
(表示装置の構成)
図8は、第2実施形態に係る表示装置の模式的なブロック図である。
図8に示すように、第2実施形態に係る表示装置10Aの制御部32Aは、位置情報取得部50と、訪問回数特定部52と、表示モード設定部46Aと、出力制御部48Aとを含む。
【0058】
位置情報取得部50は、ユーザU(表示装置10A)の位置情報を取得する。位置情報取得部50は、GNSS受信器30にユーザUの位置情報を検出させて、GNSS受信器30から、ユーザUの位置情報の検出結果を取得する。位置情報取得部50は、所定期間ごとにGNSS受信器30にユーザUの位置情報を検出させる。位置情報取得部50は、GNSS受信器30がユーザUの位置情報を検出するごとに、GNSS受信器30が検出したユーザUの位置情報を取得する。
【0059】
訪問回数特定部52は、ユーザUの位置情報に基づき、ユーザUの訪問回数を特定する。訪問回数とは、ユーザUが同じ場所を訪れた回数である。訪問回数特定部52の処理については後述する。
【0060】
表示モード設定部46Aは、訪問回数に基づき、サブ画像PSの表示モードを決定する。表示モード設定部46Aの処理については後述する。
【0061】
出力制御部48Aは、表示モード設定部46Aが決定したサブ画像PSの表示モードに基づき、サブ画像PSを表示させる。サブ画像PSの表示モードは訪問回数に基づき設定されるため、出力制御部48Aは、訪問回数に基づきサブ画像PSを表示させるといえる。出力制御部48Aの具体的な処理内容については後述する。
【0062】
(表示モードの設定処理)
図9は、表示モードの設定処理を説明するフローチャートである。
【0063】
(位置情報の取得)
図9に示すように、制御部32は、位置情報取得部50によって、ユーザUの位置情報を取得する(ステップS40)。
【0064】
(訪問回数の特定)
制御部32は、訪問回数特定部52によって、ユーザUの位置情報に基づき、ユーザUが同じ場所を訪問した回数である訪問回数を特定する(ステップS42)。訪問回数特定部52は、ユーザUの位置情報から、ユーザUが訪問した場所である訪問場所を特定し、訪問場所毎にユーザUが訪問した回数をカウントして、訪問回数として記憶部24に記憶させる。本実施形態における場所とは、地球座標系において所定の面積を占める領域を指す。例えば、訪問回数特定部52は、地球座標系を複数の領域(場所)に区分して、ユーザUの位置を範囲に含む領域(場所)を、訪問場所と判断する。そして、訪問回数特定部52は、訪問場所とされた回数を領域(場所)ごとにカウントして、訪問回数とする。例えば、訪問回数特定部52は、異なるタイミングで検出されたユーザUの位置が領域AR1内となった回数が、合計5回である場合には、領域AR1の訪問回数を5回とする。
【0065】
より詳しくは、訪問回数特定部52は、ユーザUが所定時間以上連続して同じ領域内に位置している場合に、その領域を訪問場所としてよい。すなわち、訪問回数特定部52は、ユーザUが所定時間以上同じ領域に留まった場合に、その領域を訪問したと判断してよい。この場合、訪問回数特定部52は、時系列で連続して検出されたユーザUの位置情報に基づき、所定時間以上連続して検出されたユーザUの位置情報が示す位置のそれぞれが、同じ領域内にある場合に、その領域を訪問場所とする。
【0066】
ただし、訪問回数特定部52は、このように地球座標系を複数の領域に区分して訪問回数をカウントすることに限られない。例えば、訪問回数特定部52は、異なるタイミングで検出されたユーザUの位置同士を比較して、それらの位置が所定距離範囲内にある場合に、同じ場所を訪問したと判断して、訪問回数をカウントしてもよい。
【0067】
訪問回数特定部52は、所定期間が経過したら、訪問回数をリセットしてゼロに戻してもよい。すなわち、訪問回数特定部52は、所定期間内においてユーザUが同じ場所を訪問した回数を、視認回数としてもよい。所定期間は、任意に設定してよく、例えば1か月であってもよいし1年であってもよい。
【0068】
(表示モードの設定)
表示モード設定部46Aは、訪問回数に基づいて、サブ画像PSの表示モードを設定する。表示モード設定部46Aは、訪問回数が特定された場所に対して所定距離範囲内にある対象物を、近接対象物として抽出する。例えば、表示モード設定部46Aは、記憶部24から地図データを読み出して、地図データに基づき、訪問回数が特定された場所に対して所定距離範囲内にある対象物を、近接対象物として抽出する。そして、表示モード設定部46Aは、近接対象物と同じ種類の対象物に関するサブ画像PSの表示モードを、訪問回数に基づいて設定する。例えば、訪問回数が特定された場所を領域AR1とすると、地図データから表示モード設定部46Aは、領域AR1から所定距離範囲内にある設備を読み出して、読み出した設備を、近接対象物とする。そして、表示モード設定部46Aは、近接対象物とされた設備と同じ種類の設備に関するサブ画像PSの表示モードを、領域AR1の訪問回数に基づき、設定する。
【0069】
より詳しくは、
図9に示すように、制御部32は、表示モード設定部46Aにより、訪問回数が所定回数以上であるかを判断する(ステップS44)。表示モード設定部46Aは、訪問回数が所定回数以上である場合(ステップS44;Yes)、訪問回数が所定回数以上となった場所から所定距離範囲内にある近接対象物を抽出する。そして、表示モード設定部46Aは、近接対象物と同じ種類の対象物についてのサブ画像PSの表示モードを、強調モードに設定する(ステップS46)。一方、訪問回数が所定回数以上でない場合(ステップS44;No)、すなわち訪問回数が所定回数未満である場合には、表示モードを強調モードに設定することなく、ステップS48に進む。より詳しくは、表示モード設定部46Aは、最初は、全ての種類の対象物についてのサブ画像PSの表示モードを、通常モードに設定しておく。そして、表示モード設定部46Aは、訪問回数が所定回数未満である場所については、近接対象物の抽出や表示モードの設定を行わないが、訪問回数が所定回数以上となる場所がある場合には、その場所の近接対象物を抽出して、その近接対象物と同じ種類の対象物についての表示モードを、強調モードに切り替える。
【0070】
その後、処理が終了する場合には(ステップS48;Yes)、本処理を終了し、処理が終了しない場合には(ステップS48;No)、ステップS10に戻り、処理を繰り返す。
【0071】
(サブ画像の表示処理)
出力制御部48Aは、表示モード設定部46Aが設定した表示モードに基づき、すなわち訪問回数に基づき、視認物特定部42によって抽出された視認対象物(ユーザUの視野範囲内にある視認対象物)に関するサブ画像PSを、表示部22に表示させる。出力制御部48は、視認物特定部42によって抽出された視認対象物の種類に関するサブ画像PSの表示モードを読み出し、その表示モードで、抽出した視認対象物についてのサブ画像PSを表示させる。以下、より具体的に説明する。
【0072】
図10は、サブ画像の表示処理を説明するフローチャートである。
図10に示すように、制御部32は、画像取得部40により、撮像部28によって撮像された画像を取得し(ステップS10A)、視認物特定部42により、画像取得部40が取得した画像に基づき、視認対象物を抽出して、視認対象物の種類を特定する(ステップS12A)。制御部32は、出力制御部48Aにより、抽出した視認対象物の種類についてのサブ画像PSの表示モードが、強調モードであるかを判断する(ステップS30A)。抽出した視認対象物の種類についての表示モードが強調モードである場合(ステップS30A;Yes)、出力制御部48は、表示部22に、その視認対象物についてのサブ画像PSを、強調モードで表示させる(ステップS32A)。出力制御部48Aは、その視認対象物が含まれるメイン像PMに重畳するように、強調モードでサブ画像PSを表示させる。一方、抽出した視認対象物の種類についての表示モードが強調モードでない場合(ステップS30A;No)、すなわち通常モードである場合、出力制御部48Aは、表示部22に、その視認対象物についてのサブ画像PSを、通常モードで表示させる(ステップS34A)。出力制御部48Aは、その視認対象物が含まれるメイン像PMに重畳するように、通常モードでサブ画像PSを表示させる。すなわち、出力制御部48Aは、訪問回数が所定回数未満である場合に表示させるサブ画像PS(通常モードに設定されたサブ画像PS)よりも、訪問回数が所定回数以上である場合に表示させるサブ画像(強調モードに設定されたサブ画像PS)を、強調して表示させるといえる。
【0073】
このように、出力制御部48Aは、ユーザUが視認した対象物についての表示モードが強調モードである場合に、その対象物についてのサブ画像PSを強調モードで表示する。従って、ユーザUが、訪問回数が所定回数以上となった場所を再度訪れて、その場所の近接対象物そのものを視認した場合には、その近接対象物についてのサブ画像PSが、強調モードで表示される。また、ユーザUが、訪問回数が所定回数以上となった場所以外の場所を訪れて、訪問回数が所定回数以上となった場所の近接対象物とは別の対象物であるが、種類が同じ対象物を視認した場合にも、視認した対象物についてのサブ画像PSが、強調モードで表示される。具体例として、領域AR1の訪問回数が所定回数以上であり、領域AR1の近接対象物が薬局である場合を挙げる。この場合、ユーザUが領域AR1を再度訪れて近接対象物である同じ薬局を視認した際にも、ユーザUが領域AR1以外の場所で別の薬局を視認した場合にも、薬局に関するサブ画像PSが、強調モードで表示される。
【0074】
図11は、通常モードと強調モードでサブ画像を表示した場合の一例を示す図である。
図11の例では、薬局という種類の対象物がユーザUの視野範囲に入っている場合に、サブ画像PSとして、「薬局」という文字を表示する場合を示している。
図11の例では、通常モードにおける「薬局」という文字よりも、強調モードにおける「薬局」という文字の方が大きくなっており、強調モードの文字が強調して表示されている。ただし、
図11は一例であり、サブ画像PSは、対象物に関する情報を示すものであれば、任意の画像であってよい。例えば、サブ画像PSは、対象物に関する情報を示す任意の言語の文字であってもよいし、感嘆符や矢印など任意の形状のアイコンでもよい。また例えば、サブ画像PSは、その対象物を説明する文章であってもよい。この場合の強調モードは、通常モードよりも、その対象物の説明の詳しさ度合いが高いことを指してよい。また例えば、サブ画像PSとして、前に抽出された同じ種類の視認対象物に関する情報を表示させてもよいし、今回ユーザUに視認されている対象物と、前に抽出された近接対象物とを比較した情報である比較情報を表示させてもよい。この場合例えば、ユーザUが今回薬局を視認している場合には、前にユーザUが訪れた薬局に関する情報を、サブ画像PSとして表示させてもよいし、今回視認されている薬局と前に訪れた薬局とを比較する情報を表示させてもよい。
【0075】
また、
図11の例では、強調モードのサブ画像PSを通常モードのサブ画像PSより大きくしていたが、それに限られず、強調モードのサブ画像PSを通常モードのサブ画像PSよりも強調させる任意の表示方法を用いてよい。例えば、強調モードのサブ画像PSの、メイン像PS内における表示位置を、通常モードのサブ画像PSの表示位置よりも目立つ場所(例えば中央など)にしてもよい。また、強調モードのサブ画像PSの輝度を、通常モードのサブ画像PSの輝度より高くしてもよい。また、強調モードのサブ画像PSの表示頻度を、通常モードのサブ画像PSの表示頻度より高くしてもよい。ここでの表示頻度とは、単位時間当たりのサブ画像PSの表示時間を指してもよいし、サブ画像PSの点滅させる速さを指してもよい。
【0076】
また、本実施形態では、訪問回数が所定回数未満の場合のサブ画像PSを通常モードとし、訪問回数が所定回数以上の場合のサブ画像PSを強調モードとする。ただし、第2実施形態での表示モードの設定方法はこれに限定されず、訪問回数に基づいた任意の方法で、サブ画像PSの表示モードを設定してよい。例えば、表示モード設定部46Aは、訪問回数が所定回数未満である場合には、サブ画像PSを表示しない非表示モードとし、訪問回数が所定回数以上となった場合に、サブ画像PSを表示させるモードとしてもよい。また例えば、表示モード設定部46Aは、訪問回数が多いほど、サブ画像PSの強調度合いが大きくなるように、表示モードを設定してよい。例えば、表示モード設定部46は、訪問回数が多いほど、サブ画像PSを大きくしてよい。
【0077】
(効果)
以上説明したように、第2実施形態に係る表示装置10Aは、画像を表示する表示部22と、出力制御部48Aと、位置情報取得部50と、訪問回数特定部52と、出力制御部48Aとを含む。位置情報取得部50は、ユーザUの位置情報を取得する。訪問回数特定部52は、ユーザUの位置情報に基づき、ユーザUが同じ場所を訪れた回数である訪問回数を特定する。出力制御部48Aは、表示部22を通して視認されるユーザUの視野範囲内のメイン像PMに重畳するように、表示部22に画像を表示させる。出力制御部48Aは、訪問回数に基づき、表示部22に、ユーザUが訪れた場所から所定距離範囲内にある対象物(近接対象物)と同じ種類の対象物に関する情報を含むサブ画像PSを表示させる。
【0078】
表示装置においては、その表示装置のユーザによらず、表示態様が一様となる場合がある。それに対し、本実施形態に係る表示装置10Aは、ユーザUが同じ場所を訪問した回数を、訪問回数としてカウントしておく。そして、表示装置10Aは、ユーザUがその場所の近くにある近接対象物と同じ種類の対象物を視認した場合に、カウントしていた訪問回数に基づき、その対象物に関するサブ画像PSを表示させる。本実施形態に係る表示装置10によると、ユーザUのこれまでの行動に合わせてサブ画像PSの表示態様を調整することが可能となり、ユーザUに合わせて表示態様を適切に調整することが可能となる。
【0079】
また、出力制御部48Aは、訪問回数が所定回数未満である場合に表示させるサブ画像PSよりも、訪問回数が所定回数以上である場合に表示させるサブ画像PSを、強調して表示させる。本実施形態に係る表示装置10Aによると、訪問回数が多い場所の近くにある近接対象物と同じ種類の対象物に対するサブ画像PSを強調表示させる。そのため、表示装置10Aによると、ユーザUの行動に合わせて表示態様を適切に調整することが可能となる。
【0080】
また、出力制御部48Aは、訪問回数が所定回数以上となった場所とは異なる場所で、近接対象物と同じ種類の対象物がユーザUの視野範囲に入った場合にも、その対象物に関するサブ画像PSを、強調して表示させる。これにより、例えばユーザUが初めて訪れる場所などでも、ユーザUが興味を示す対象物を認識させ易くすることが可能となり、ユーザUの行動に合わせて表示態様を適切に調整することが可能となる。
【0081】
また、訪問回数特定部52は、ユーザUが所定時間以上同じ場所に位置している場合に、その場所に訪れたと判断する。これにより、ユーザUの行動に合わせて表示態様を調整することが可能となる。
【0082】
なお、第2実施形態と第1実施形態とを組み合わせてもよい。すなわち、第1実施形態で説明した処理を用いて視認回数に基づきサブ画像PSを表示させつつ、第2実施形態で説明した処理を用いて、訪問回数にも基づき、サブ画像PSを表示させてよい。
【0083】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態においては、ユーザUが同じ場所で同じ種類の対象物を視認した回数に基づき、サブ画像PSの表示モードを設定する点で、第1実施形態及び第2実施形態と異なる。第3実施形態において第1実施形態や第2実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
【0084】
(表示装置の構成)
図12は、第3実施形態に係る表示装置の模式的なブロック図である。
図12に示すように、第3実施形態に係る表示装置10Bの制御部32Bは、画像取得部40と、視認物特定部42と、視認回数特定部44と、位置情報取得部50と、訪問回数特定部2と、重複回数特定部60と、表示モード設定部46Bと、出力制御部48Bとを含む。
【0085】
重複回数特定部60は、ユーザUが同じ場所で同じ種類の対象物を視認した回数である重複回数を特定する。重複回数特定部60の処理内容については後述する。
【0086】
(表示モードの設定処理)
第3実施形態に係る制御部32Bは、第1実施形態と同様の方法で、視認回数に基づき、サブ画像PSの表示モードを設定し、第2実施形態と同様の方法で、訪問回数に基づき、サブ画像PSの表示モードを設定する。ただし、制御部32Bは、重複回数にも基づいてサブ画像PSの表示モードを設定する点で、第1実施形態及び第2実施形態とは異なる。以下、重複回数に基づいた表示モードの設定処理について説明する。
【0087】
図13は、表示モードの設定処理を説明するフローチャートである。
図13に示すように、制御部32Bの重複回数特定部60は、視認物特定部42が特定した視認対象物の種類と、位置情報取得部50が取得したユーザUの位置情報とに基づき、重複回数を特定する(ステップS50)。具体的には、重複回数特定部60は、視認物特定部42が特定した視認対象物の種類の情報と、その視認対象物の種類を特定するために用いた画像が撮像されたタイミングにおけるユーザUの位置情報とを、1つのデータセットとし、画像が撮像されたタイミング毎のデータセットを取得する。そして例えば、重複回数特定部60は、それらのデータセットを、視認対象物の種類及びユーザUが位置する場所の組み合わせ毎に区分して、同じ種類の対象物でありかつユーザUの位置する場所が同じデータセットの数を、重複回数としてカウントする。重複回数特定部60は、視認対象物の種類及びユーザUが位置する場所の組み合わせ毎に、重複回数をカウントする。すなわち例えば、領域AR1で薬局を5回視認した場合には、領域AR1の薬局についての重複回数が、5回となる。
【0088】
重複回数特定部60は、所定期間が経過したら、重複回数をリセットしてゼロに戻してもよい。すなわち、重複回数特定部60は、所定期間内において、ユーザUが同じ場所で同じ対象物を視認した回数を、重複回数としてもよい。所定期間は、任意に設定してよく、例えば1か月であってもよいし1年であってもよい。
【0089】
表示モード設定部46Bは、重複回数に基づいて、サブ画像PSの表示モードを設定する。表示モード設定部46Bは、重複回数がカウントされた場所で視認された視認対象物についての表示モードを、その重複回数に基づき設定する。具体的には、
図13に示すように、表示モード設定部46Bは、重複回数が所定回数以上であるかを判断し(ステップS52)、所定回数以上である場合には(ステップS52;Yes)、重複回数が所定回数以上となった場所における視認対象物についてのサブ画像PSの表示モードを、非表示モードに設定する(ステップS54)。例えば、領域AR1で薬局が視認された回数である重複回数が所定回数以上である場合には、領域AR1の薬局についての表示モードが、非表示モードに設定される。
【0090】
一方、重複回数が所定回数以上でない場合(ステップS52;No)、すなわち重複回数が所定回数未満である場合には、表示モードを非表示モードに設定することなく、ステップS56に進む。その後、処理が終了する場合には(ステップS56;Yes)、本処理を終了し、処理が終了しない場合には(ステップS56;No)、ステップS50に戻り、処理を繰り返す。
【0091】
なお、表示モード設定部46Bは、非表示モードに設定してから所定の期間が経過したら、非表示モードの設定を停止して、サブ画像PSを表示するモードに切り替えてもよい。
【0092】
(サブ画像の表示処理)
図14は、非表示モードの場合の一例を示す図である。出力制御部48Bは、表示モード設定部46Bが設定した表示モードに基づき、視認物特定部42によって抽出された視認対象物(ユーザUの視野範囲内にある視認対象物)に関するサブ画像PSを、表示部22に表示させる。例えば、出力制御部48Bは、第1実施形態や第2実施形態と同様に、抽出した視認対象物の種類についてのサブ画像PSの表示モードが強調モードである場合には、強調モードでサブ画像PSを表示させ、抽出した視認対象物の種類についてのサブ画像PSの表示モードが通常モードである場合には、通常モードでサブ画像PSを表示させる。一方、出力制御部48Bは、抽出した視認対象物についてのサブ画像PSの表示モードが非表示モードである場合には、その視認対象物についてのサブ画像PSを表示させない。なおこの場合、出力制御部48Bは、抽出した視認対象物が視認された際のユーザUの位置情報を取得して、視認対象物が視認された際のユーザUの位置が、重複回数が所定回数以上となった場所と同じ場所にあり、かつ、視認対象物の種類と重複回数が所定回数以上となった場所の近接対象物の種類とが合致する場合に、視認対象物についてのサブ画像PSを表示させないといえる。
図14は、非表示モードである場合の例を示している。
図14に示すように、非表示モードである場合には、サブ画像PSが表示されない。
【0093】
(効果)
以上説明したように、第3実施形態に係る表示装置10Bは、重複回数特定部60を含む。重複回数特定部60は、視認物特定部42の特定結果及びユーザUの位置情報に基づき、ユーザが同じ場所で同じ種類の対象物を視認した回数である重複回数を特定する。出力制御部48Bは、重複回数が所定回数以上である場合には、その対象物についてのサブ画像PSの表示を停止させる。ここで、一般的に、ユーザUは、1週間単位で行動パターンを1クール回す生活をしている。そのため、ユーザUは、興味がないにもかかわらず、同じ対象物を視認したり、同じ場所を訪問したりすることも想定される。そのような場合に、その対象物のサブ画像PSを表示した場合には、ユーザUにとって煩わしくなる可能性がある。それに対し、第3実施形態に係る表示装置10Bは、重複回数が所定回数以上となる場合には、その対象物のサブ画像PSの表示を停止させる。従って、第3実施形態に係る表示装置10Bによると、ユーザUが煩わしく感じることを抑制して、ユーザUの行動に合わせて表示態様を適切に調整することが可能となる。
【0094】
なお、以上の説明では、重複回数が所定回数以上となった場所にある視認対象物についてのサブ画像PSを非表示モードとしており、その場所とは別の場所にある同じ種類の対象物のサブ画像PSについては、非表示モードとしない。ただしこれに限られず、別の場所にある同じ種類の対象物のサブ画像PSについても、非表示モードとしてよい。すなわち、表示装置10Bは、重複回数が所定回数以上となった場所の近接対象物と同じ種類の対象物についてのサブ画像PSを、非表示モードとしてもよい。例えば、領域AR1の薬局の重複回数が所定回数以上である場合には、領域AR1以外の場所の薬局についてのサブ画像PSの表示モードも、非表示モードとしてもよい。
【0095】
また、以上の説明では、表示装置10Bは、視認回数及び訪問回数に基づき表示モードを設定しつつ、重複回数にも基づいて表示モードを設定するが、それに限られない。例えば、表示装置10Bは、視認回数及び訪問回数に基づいた表示モードの設定処理を行わず、重複回数に基づいた表示モードを設定するものであってもよい。
【0096】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態においては、ユーザUが対象物から目をそらした回数に基づき、サブ画像PSの表示モードを設定する点で、第1実施形態と異なる。第4実施形態において第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。なお、第4実施形態は、第2実施形態や第3実施形態にも組み合わせ可能である。
【0097】
(表示装置の構成)
図15は、第4実施形態に係る表示装置の模式的なブロック図である。
図15に示すように、第4実施形態に係る表示装置10Cの制御部32Cは、画像取得部40と、視認物特定部42Cと、視線切替回数特定部70と、表示モード設定部46Cと、出力制御部48Cとを含む。
【0098】
視認物特定部42Cは、撮像部28が撮像した画像に基づき、ユーザUが所定時間以内に目をそらした対象物の種類を特定する。視認物特定部42Cの処理については後述する。
【0099】
視線切替回数特定部70は、視認物特定部42Cの特定結果に基づき、ユーザUが同じ種類の対象物から視線をそらした回数である視線切替回数を特定する。視線切替回数特定部70の処理については後述する。
【0100】
(表示モードの設定処理)
第4実施形態に係る制御部32Cは、視線切替回数に基づき、サブ画像PSの表示モードを設定する。なお、第4実施形態においても、第1実施形態と同様に視認回数に基づいて表示モードを設定してもよいし、第2実施形態と同様に訪問回数に基づいて表示モードを設定してもよいし、第3実施形態と同様に重複回数に基づいて表示モードを設定してもよい。
【0101】
図16は、表示モードの設定処理を説明するフローチャートである。
図16に示すように、制御部32Cは、画像取得部40により、撮像部28によって撮像された画像を取得し(ステップS60)、視認物特定部42Cにより、画像取得部40が取得した画像に基づき、視線切替対象物の種類を特定する(ステップS62)。視線切替対象物とは、ユーザUが所定時間以内に目をそらせた対象物を指す。
【0102】
視認物特定部42Cは、時系列で連続して撮像された画像の画像データに基づき、視線切替対象物を抽出して、視線切替対象物の種類を特定する。具体的には、視認物特定部42Cは、一度視野範囲内に入ってから所定時間以内に視野範囲外となった対象物を、視線切替対象物として抽出する。すなわち、視認物特定部42Cは、画像に写っている対象物であって、その画像から所定時間が経過するまでに撮像された画像には写らなくなった対象物を、視線切替対象物として抽出する。ただし、視認物特定部42Cは、一度視野範囲内に入ってから所定時間以内に視野範囲外となった対象物を、視線切替対象物として抽出することに限られない。例えば、視認物特定部42Cは、一度ユーザUの視線に重なってから所定時間以内に視線と重ならなくなった対象物を、視線切替対象物として抽出してもよい。この場合例えば、視認物特定部42Cは、画像のうちの所定領域(例えば中心の領域)内に写っている対象物であって、その画像から所定時間が経過するまでに撮像された画像においては、所定領域(例えば中心の領域)内に写らなくなった対象物を、視線切替対象物として抽出する。なお、視線切替対象物の種類の特定方法は任意であるが、例えば第1実施形態と同様にAIモデルを用いて特定してよい。
【0103】
ここでの所定時間は、任意に設定されてよいが、例えば、200ミリ秒以上900ミリ秒以下であることが好ましい。脳科学的には、既知の1種の刺激が提示され、それに対して決められた1種の反応をする(単純検出課題)ときの反応時間は、150ミリ秒から300ミリ秒程度であるといわれている。しかし、本実施形態においては、ある対象物を見てから、その対象物を見たくないと判断してから目をそらすという反応を適切に検出するために、単純反応に加えて、判断するための弁別反応時間も加味することが好ましい。すなわち、本実施形態においては、所定時間を200ミリ秒以上900ミリ秒以下とすることで、2つの物体に視点が移る往復時間(単純反応の時間)と、判断するための弁別反応時間とを適切に加味できるため、好ましい。
【0104】
視線切替回数特定部70は、視認物特定部42Cの特定結果に基づき、ユーザUが同じ種類の対象物から目をそらせた回数を示す視線切替回数を特定する(ステップS64)。視線切替回数特定部70は、視線切替対象物の種類毎に、視線切替対象物として抽出された回数をカウントして視線切替回数とし、記憶部24に記憶させる。すなわち、視線切替回数特定部70は、同じ種類の視線切替対象物が抽出された回数を、視線切替回数として特定する。例えば、蜘蛛という種類の視線切替対象物が異なるタイミングで5回抽出された場合、視線切替回数特定部70は、蜘蛛の視線切替回数を、5回として特定する。
【0105】
視線切替回数特定部70は、所定期間が経過したら、視線切替回数をリセットしてゼロに戻してもよい。すなわち、視線切替回数特定部70は、所定期間内において、視認物特定部42Cによって同じ種類の視線切替対象物が抽出された回数を、視線切替回数としてもよい。所定期間は、任意に設定してよく、例えば1か月であってもよいし1年であってもよい。
【0106】
表示モード設定部46Cは、視線切替回数に基づいて、サブ画像PSの表示モードを設定する。表示モード設定部46Cは、視線切替回数がカウントされた視線切替対象物と同じ種類の対象物についての表示モードを、その視線切替回数に基づき設定する。具体的には、
図16に示すように、表示モード設定部46Cは、視線切替回数が所定回数以上であるかを判断し(ステップS66)、所定回数以上である場合には(ステップS66;Yes)、その視線切替対象物と同じ種類の対象物についてのサブ画像PSの表示モードを、非表示モードに設定する(ステップS68)。例えば、蜘蛛という種類の対象物の視線切替回数が所定回数以上である場合には、蜘蛛についてのサブ画像PSの表示モードが、非表示モードに設定される。
【0107】
一方、視線切替回数が所定回数以上でない場合(ステップS66;No)、すなわち視線切替回数が所定回数未満である場合には、表示モードを非表示モードに設定することなく、ステップS70に進む。その後、処理が終了する場合には(ステップS70;Yes)、本処理を終了し、処理が終了しない場合には(ステップS70;No)、ステップS60に戻り、処理を繰り返す。
【0108】
なお、表示モード設定部46Cは、非表示モードに設定してから所定の期間が経過したら、非表示モードの設定を停止して、サブ画像PSを表示するモードに切り替えてもよい。
【0109】
(サブ画像の表示処理)
出力制御部48Cは、表示モード設定部46Cが設定した表示モードに基づき、視認物特定部42Cによって抽出された視認対象物(ユーザUの視野範囲内にある視認対象物)に関するサブ画像PSを、表示部22に表示させる。例えば、出力制御部48Cは、第1実施形態と同様に、抽出した視認対象物の種類についてのサブ画像PSの表示モードが強調モードである場合には、強調モードでサブ画像PSを表示させ、抽出した視認対象物の種類についてのサブ画像PSの表示モードが通常モードである場合には、通常モードでサブ画像PSを表示させる。一方、出力制御部48Cは、抽出した視認対象物についてのサブ画像PSの表示モードが非表示モードである場合には、その視認対象物についてのサブ画像PSを表示させない。
【0110】
(効果)
以上説明したように、本実施形態に係る表示装置10は、画像を表示する表示部22と、撮像部28と、視認物特定部42Cと、視線切替回数特定部70と、出力制御部48Cとを含む。撮像部28は、ユーザUの視野範囲内の対象物を撮像する。視認物特定部42Cは、撮像部28が撮像した画像に基づき、ユーザUが所定時間以内に目をそらした対象物(視線切替対象物)の種類を特定する。視線切替回数特定部70は、視認物特定部42Cの特定結果に基づき、ユーザUが同じ種類の対象物から目をそらせた回数である視線切替回数を特定する。出力制御部48Cは、表示部22を通して視認されるユーザUの視野範囲内のメイン像PMに重畳するように、表示部22に画像を表示させる。出力制御部48Cは、視線切替回数が所定回数以上となった場合には、その種類の対象物に関する情報を含むサブ画像PSの表示を停止させる。
【0111】
ここで、ユーザUには、見たくない対象物が存在する場合がある。見たくない対象物についてのサブ画像PSを表示すると、ユーザUが見たくない対象物を意識してしまい、ユーザUの気分を阻害する可能性がある。それに対して、本実施形態に係る表示装置10Cは、ユーザUが目をそらせた回数が多い対象物については、その対象物のサブ画像PSの表示を停止させる。従って、第3実施形態に係る表示装置10Bによると、ユーザUの気分を阻害することを抑制して、ユーザUの行動に合わせて表示態様を適切に調整することが可能となる。
【0112】
また、出力制御部48Cは、視線切替回数が所定回数未満である場合には、その種類の対象物が含まれるメイン像PMに重畳するように、表示部22にサブ画像PSを表示させる。本実施形態に係る表示装置10Cは、目をそらせた回数が少ない対象物についてはサブ画像PSを表示させることで、ユーザUの行動に合わせて表示態様を適切に調整することが可能となる。
【0113】
また、所定時間は、200ミリ秒以上900ミリ秒以下であることが好ましい。所定時間をこの範囲とすることで、単純反応の時間と弁別反応の時間とを適切に加味して、ユーザUの行動に合わせて表示態様をより適切に調整することが可能となる。
【0114】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、各実施形態の構成を組み合わせることも可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0115】
10 表示装置
22 表示部
28 撮像部
30 GNSS受信器
40 画像取得部
42 視認物特定部
44 視認回数特定部
46 表示モード設定部
48 出力制御部
50 位置情報取得部
52 訪問回数特定部
60 重複回数特定部
70視線切替回数特定部
PM メイン像
PS サブ画像