IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジェイテクトの特許一覧

<>
  • 特許-制御情報管理システム 図1
  • 特許-制御情報管理システム 図2
  • 特許-制御情報管理システム 図3
  • 特許-制御情報管理システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】制御情報管理システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/05 20060101AFI20250415BHJP
【FI】
G05B19/05 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021043368
(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公開番号】P2022143042
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2024-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南部 展子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 博文
(72)【発明者】
【氏名】大谷 忠司
(72)【発明者】
【氏名】清水 昭宏
【審査官】渡邊 捷太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-053731(JP,A)
【文献】特開2020-149477(JP,A)
【文献】特開2018-180722(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0249956(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象の機械設備の動作を規定する動作プログラムを含む制御情報を記憶し、前記制御情報に基づいて前記機械設備を制御するプログラマブルコントローラと、前記プログラマブルコントローラに記憶された前記制御情報をバックアップデータとして記憶する情報管理装置と、を備えた制御情報管理システムであって、
前記情報管理装置は、前記プログラマブルコントローラから読み出した前記制御情報を第1のバックアップデータ記憶部に記憶する第1の記憶手段と、前記プログラマブルコントローラから読み出した前記制御情報を第2のバックアップデータ記憶部に記憶する第2の記憶手段と、を備え、
前記第1の記憶手段は、前記プログラマブルコントローラとの通信により、前記プログラマブルコントローラに記憶されている前記制御情報が前記第1のバックアップデータ記憶部に記憶されているものよりも新しいか否かを判定する第1の判定を所定時間ごとに繰り返し行い、当該第1の判定の結果が肯定的である場合、前記プログラマブルコントローラに記憶されている前記制御情報を前記第1のバックアップデータ記憶部に記憶し、
前記第2の記憶手段は、予め設定された時刻に前記プログラマブルコントローラとの通信を行い、その時点で前記プログラマブルコントローラに記憶されている前記制御情報が前記第2のバックアップデータ記憶部に記憶されているものよりも新しいか否かを判定する第2の判定を行い、当該第2の判定の結果が肯定的である場合、前記プログラマブルコントローラに記憶されている前記制御情報を前記第2のバックアップデータ記憶部に記憶し、
前記第1の記憶手段は、前記第2の記憶手段が前記第2の判定を行う時間間隔よりも短い時間間隔で前記第1の判定を繰り返し行い、
前記第2の記憶手段は、前記制御情報の更新があった日のn日分(nは複数)の過去の制御情報を記憶する、
制御情報管理システム。
【請求項2】
前記第1の記憶手段は、前記第1の判定の結果が肯定的であった場合の前記制御情報を、前記第1の判定が肯定的であると判定した過去の複数回分にわたって前記第1のバックアップデータ記憶部に記憶し、
前記第2の記憶手段は、前記第2の判定の結果が肯定的であった場合の前記制御情報を、前記第2の判定が肯定的であると判定した過去の複数回分にわたって前記第2のバックアップデータ記憶部に記憶する、
請求項1に記載の制御情報管理システム。
【請求項3】
前記情報管理装置は、複数の前記プログラマブルコントローラとの通信が可能であり、当該複数の前記プログラマブルコントローラのそれぞれに記憶された前記制御情報をバックアップデータとして記憶する、
請求項1又は2に記載の制御情報管理システム。
【請求項4】
前記情報管理装置は、前記第1のバックアップデータ記憶部及び前記第2のバックアップデータ記憶部に記憶されている複数の前記制御情報のうち、何れの前記制御情報を前記プログラマブルコントローラに書き込むかの選択を受け付け、前記選択された前記制御情報を前記プログラマブルコントローラに書き込む書込手段をさらに備える、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の制御情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御対象の機械設備を制御するためにプログラマブルコントローラが記憶する制御情報を管理する制御情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械等の機械設備を制御するプログラマブルコントローラは、機械設備の動作内容を規定する動作プログラムを含む制御情報を記憶し、この制御情報に基づいて機械設備を制御する。制御情報は、例えば特許文献1に記載されているように、周辺装置によって編集や更新がなされ、プログラマブルコントローラに書き込まれる。周辺装置には、更新前の制御情報がバックアップデータとして記憶される場合もある。バックアップデータとして記憶された制御情報は、例えば更新後の制御情報による機械設備の動作が思わしくなかった場合などにプログラマブルコントローラに書き込まれ、制御情報の復元がなされる。
【0003】
また、近年では、例えば特許文献2に記載されているように、1台の管理用端末が複数のプログラマブルコントローラとの通信によって工場の生産ラインの動作を管理することが行われている。このような管理用端末の機能として、例えばプログラマブルコントローラの故障などに備えて各プログラマブルコントローラの制御情報のバックアップデータを記憶しておくことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-127055号公報
【文献】特開2019-106158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば工場の生産ラインの立ち上げや改修の際には、プログラマブルコントローラの制御情報の更新が頻繁に行われる。このような場合において、上記の周辺装置あるいは管理用端末に制御情報を更新のたびに累積的に記憶していくと、記憶容量を圧迫してしまうので、バックアップデータとして記憶する制御情報の数を例えば過去の数回分に制限し、古い制御情報を順次消去する必要がある。このため、例えば前日の状態までプログラマブルコントローラの制御情報を戻したい場合に、その制御情報が既に消去されてしまっているという事態が発生し得る。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、プログラマブルコントローラに記憶された制御情報をバックアップデータとして記憶する情報管理装置の記憶容量が圧迫されてしまうことを抑制しながら、過去の長期間にわたる制御情報を記憶することが可能な制御情報管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の目的を達成するため、制御対象の機械設備の動作を規定する動作プログラムを含む制御情報を記憶し、前記制御情報に基づいて前記機械設備を制御するプログラマブルコントローラと、前記プログラマブルコントローラに記憶された前記制御情報をバックアップデータとして記憶する情報管理装置と、を備えた制御情報管理システムであって、
前記情報管理装置は、前記プログラマブルコントローラから読み出した前記制御情報を第1のバックアップデータ記憶部に記憶する第1の記憶手段と、前記プログラマブルコントローラから読み出した前記制御情報を第2のバックアップデータ記憶部に記憶する第2の記憶手段と、を備え、前記第1の記憶手段は、前記プログラマブルコントローラとの通信により、前記プログラマブルコントローラに記憶されている前記制御情報が前記第1のバックアップデータ記憶部に記憶されているものよりも新しいか否かを判定する第1の判定を所定時間ごとに繰り返し行い、当該第1の判定の結果が肯定的である場合、前記プログラマブルコントローラに記憶されている前記制御情報を前記第1のバックアップデータ記憶部に記憶し、前記第2の記憶手段は、予め設定された時刻に前記プログラマブルコントローラとの通信を行い、その時点で前記プログラマブルコントローラに記憶されている前記制御情報が前記第2のバックアップデータ記憶部に記憶されているものよりも新しいか否かを判定する第2の判定を行い、当該第2の判定の結果が肯定的である場合、前記プログラマブルコントローラに記憶されている前記制御情報を前記第2のバックアップデータ記憶部に記憶し、前記第1の記憶手段は、前記第2の記憶手段が前記第2の判定を行う時間間隔よりも短い時間間隔で前記第1の判定を繰り返し行い、前記第2の記憶手段は、前記制御情報の更新があった日のn日分(nは複数)の過去の制御情報を記憶する、制御情報管理システムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る制御情報管理システムによれば、プログラマブルコントローラに記憶された制御情報をバックアップデータとして記憶する情報管理装置の記憶容量が圧迫されてしまうことを抑制しながら、過去の長期間にわたる制御情報を記憶することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る制御情報管理システムを示す概略構成図である。
図2】情報管理装置及びプログラマブルコントローラのCPUモジュールの機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】第1の記憶手段が実行する処理の具体例を示すフローチャートである。
図4】第2の記憶手段が実行する処理の具体例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態]
本発明の実施の形態について、図1乃至図4を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る制御情報管理システムを示す概略構成図である。この制御情報管理システム1は、情報管理装置2と複数のプログラマブルコントローラ3とを通信ネットワーク10によって相互通信可能に接続して構成され、工場内に設置されている。複数のプログラマブルコントローラ3は、それぞれ機械設備4を制御する。機械設備4は、例えば組付機、旋盤、研削盤、もしくはマシニングセンタ等の各種の工作機械である。
【0012】
なお、図1では、一つのプログラマブルコントローラ3、及びこのプログラマブルコントローラ3が制御する機械設備4の構成要素を示し、他のプログラマブルコントローラ3及び機械設備4を簡略化して示しているが、これらのプログラマブルコントローラ3及び機械設備4は、大略同様に構成されている。また、図1では、一つのプログラマブルコントローラ3に接続された動作プログラム編集装置5を示している。
【0013】
プログラマブルコントローラ3は、電源モジュール30、CPUモジュール31、出力モジュール32、入力モジュール33、通信モジュール34、及びこれら各モジュールが装着されたベース300を有して構成されている。CPUモジュール31は、プログラマブルコントローラ3の中核をなすモジュールであり、他のモジュール(出力モジュール32、入力モジュール33、通信モジュール34)は、機械設備4の制御のために必要な機能に応じてCPUモジュール31と組み合わされてプログラマブルコントローラ3を構成するオプションモジュールである。
【0014】
電源モジュール30は、例えばAC100Vの商用電源電圧をDC5Vに変換し、ベース300を介して各モジュール31~34に供給する。また、ベース300は、データバスが形成されたプリント基板を有しており、このデータバスを介してCPUモジュール31と他のモジュール32~34とのデータの受け渡しが可能である。
【0015】
CPUモジュール31は、制御対象の機械設備4の動作を規定する動作プログラムを実行する。動作プログラムは、機械設備4を動作させるためにユーザが作成したユーザプログラムであり、その代表的なものは、IEC61131-3で規定されたラダーダイアグラム言語で記載されたシーケンスプログラムである。
【0016】
ユーザは、例えば図1に示す動作プログラム編集装置5を用いて動作プログラムを編集(作成及び更新)することが可能である。動作プログラム編集装置5は、例えば動作プログラムを作成するためのアプリケーションソフトウェアがインストールされた可搬型コンピュータ(ノートパソコン)であり、通信ケーブル51によってCPUモジュール31と接続されている。動作プログラム編集装置5によって編集された動作プログラムは、CPUモジュール31に送信され、CPUモジュール31に記憶される。CPUモジュール31の構成については後述する。
【0017】
出力モジュール32は、機械設備4の複数の出力要素41にそれぞれ接続された複数の出力リレーを有しており、この出力リレーのオン/オフにより出力要素41を動作させることが可能である。入力モジュール33は、機械設備4の複数の入力要素42にそれぞれ接続された複数の入力リレーを有しており、この入力リレーのオン/オフにより機械設備4の動作状態を検知することが可能である。出力要素41は、例えばアクチュエータや表示ランプなどである。入力要素42は、例えばリミットスイッチや光電スイッチなどである。動作プログラムには、出力リレーをオン/オフさせる条件が入力リレーのオン/オフ状態の組み合わせ等によって記述されている。
【0018】
通信モジュール34は、通信ケーブル341によって接続された他の装置との通信を行う。通信モジュール34の通信相手は、例えば工場内の作業者が機械設備4を手動操作するための操作盤である。また、他のプログラマブルコントローラやサーボアンプを通信モジュール34の通信相手としてもよい。
【0019】
情報管理装置2は、ディスプレイ201、キーボード202、及びポインティングデバイス203が接続されたコンピュータである。情報管理装置2は、複数のプログラマブルコントローラ3との通信により、各機械設備4の動作状態等をモニタすることが可能である。本実施の形態では、情報管理装置2が、通信ネットワーク10に接続された複数のプログラマブルコントローラ3にそれぞれ記憶された制御情報をバックアップデータとして記憶する制御情報バックアップ機能を有している。
【0020】
制御情報は、動作プログラムの他、CPUモジュール31の動作のために必要な各種のパラメータ情報等を含んでいる。プログラマブルコントローラ3は、この制御情報に基づいて機械設備4を制御する。例えば、CPUモジュール31が故障して新しいものに交換した際には、バックアップデータとして記憶されていた制御情報を交換後のCPUモジュール31に転送することで、交換後のCPUモジュール31によって交換前のものと同様に機械設備4を制御することができる。
【0021】
また、本実施の形態では、上記の課題に鑑みて、情報管理装置2が二つの異なる態様でCPUモジュール31から制御情報を読み出してバックアップデータとして記憶する。次に、情報管理装置2及びCPUモジュール31の構成の具体例について説明する。なお、情報管理装置2は、複数のプログラマブルコントローラ3との通信が可能であり、これら複数のプログラマブルコントローラ3のそれぞれに記憶された制御情報をバックアップデータとして記憶するが、ここでは一つのプログラマブルコントローラ3に記憶された制御情報をバックアップデータとして記憶するための処理について詳細に説明する。
【0022】
図2は、情報管理装置2及びCPUモジュール31の機能構成の一例を示すブロック図である。CPUモジュール31は、動作プログラムを実行する動作プログラム実行部311と、情報管理装置2との通信を行う通信部312と、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリからなる記憶部313とを有している。記憶部313には、制御情報314と、システムプログラム315とが記憶されている。
【0023】
システムプログラム315は、CPUモジュール31に搭載されたCPU(演算処理装置)が実行するプログラムである。動作プログラム実行部311及び通信部312の機能は、このCPUがシステムプログラム315を実行することにより実現される。なお、動作プログラム実行部311及び通信部312の機能の一部又は全部をFPGA(Field Programmable Gate Array)あるいはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現してもよい。
【0024】
制御情報314には、動作プログラム314aと、CPUモジュール31に組み合わされている他のオプションモジュール(図1に示す例では、出力モジュール32、入力モジュール33、通信モジュール34)のモジュール種別等のパラメータであるモジュールパラメータ314b、通信モジュール34の通信のための設定情報であるリンクパラメータ314c、及び動作プログラム314aの更新日時(日付及び時・分・秒)を示す更新日時情報314dを含んでいる。
【0025】
例えば製造ラインの立ち上げ時等において、未使用のCPUモジュール31に最初に制御情報314を書き込んだ際には、その書き込みの日時が更新日時情報314dとして記憶部313に記憶される。その後、例えば動作プログラム編集装置5によって制御情報314の内容が書き換えられた場合には、その書き換えの日時が更新日時情報314dとして記憶部313に記憶される。
【0026】
情報管理装置2は、例えばハードディスク等のストレージからなる記憶部25を有しており、この記憶部25の一部が第1のバックアップデータ記憶部251及び第2のバックアップデータ記憶部252となっている。
【0027】
また、情報管理装置2は、制御情報バックアップ機能のための機能構成として、プログラマブルコントローラ3のCPUモジュール31から読み出した制御情報を第1のバックアップデータ記憶部251に記憶する第1の記憶手段21と、プログラマブルコントローラ3のCPUモジュール31から読み出した制御情報を第2のバックアップデータ記憶部252に記憶する第2の記憶手段22と、第1のバックアップデータ記憶部251及び第2のバックアップデータ記憶部252に記憶されている複数の制御情報のうちユーザによって選択された制御情報を読み出し元のプログラマブルコントローラ3のCPUモジュール31に書き込む書込手段23とを有している。第1の記憶手段21、第2の記憶手段22、及び書込手段23は、情報管理装置2のCPUが記憶部25に記憶されたアプリケーションプログラム253を実行することにより実現される。
【0028】
また、情報管理装置2は、第2の記憶手段22が参照する現在時刻の情報を出力することが可能な時計回路24を有している。時計回路24は、RTC(Real Time Clock)とも称されるものであり、動作プログラム編集装置5にも同様の時計回路が内蔵されている。
【0029】
第1の記憶手段21は、プログラマブルコントローラ3のCPUモジュール31との通信により、CPUモジュール31に記憶されている制御情報314が第1のバックアップデータ記憶部251に記憶されているものよりも新しいか否かを判定する第1の判定を繰り返し行い、この第1の判定の結果が肯定的である場合、CPUモジュール31に記憶されている制御情報314を第1のバックアップデータ記憶部251に記憶する。
【0030】
第2の記憶手段22は、予め設定された時刻にプログラマブルコントローラ3のCPUモジュール31との通信を行い、その時点でCPUモジュール31に記憶されている制御情報314が第2のバックアップデータ記憶部252に記憶されているものよりも新しいか否かを判定する第2の判定を行い、この第2の判定の結果が肯定的である場合、CPUモジュール31に記憶されている制御情報314を第2のバックアップデータ記憶部252に記憶する。
【0031】
第1の記憶手段21は、第2の記憶手段22が第2の判定を行う時間間隔よりも短い時間間隔で第1の判定を繰り返し行う。すなわち、第1の記憶手段21と第2の記憶手段22とは、プログラマブルコントローラ3のCPUモジュール31に記憶された制御情報314をバックアップデータとして記憶するタイミングが異なり、第2の記憶手段22は、第1の記憶手段21よりも長い期間の制御情報を第2のバックアップデータ記憶部252に記憶する。
【0032】
第1の記憶手段21は、例えば工場の生産ラインの立ち上げや改修の際などに動作プログラムの更新が頻繁に行われる場合にも、更新のたびに制御情報をバックアップデータとして記憶することができるよう、例えば数分間隔(10分以下)で第1の判定を行う。第2の記憶手段22は、例えば1日のうち設定された時刻にプログラマブルコントローラ3との通信を行い、第2の判定を行う。第2の判定を行う時刻は、例えば動作プログラムの編集作業等が行われやすい日中の時間帯よりも後の時刻(例えば22時以降)であることが望ましい。なお、情報管理装置2は、基本的には常時電源オンの状態で使用される。
【0033】
第1の記憶手段21は、第1の判定の結果が肯定的であった場合の制御情報を、第1の判定が肯定的であると判定した過去の複数回分にわたって第1のバックアップデータ記憶部251に記憶する。図2では、第1のバックアップデータ記憶部251が、1回前からn回前までのバックアップバッファBA~BAを有する場合について図示している。nは、例えば5以上であることが望ましく、また情報管理装置2の記憶容量を圧迫しない観点からは、10以下であることが望ましい。
【0034】
第1のバックアップデータ記憶部251における1回前のバックアップバッファBAには、第1の記憶手段21による直近のバックアップ時の制御情報が記憶されており、2回目のバックアップバッファBAには、1回前のバックアップバッファBAの次に新しい制御情報が記憶されている。3回目のバックアップバッファBAには、さらにその次に新しい制御情報が記憶されており、n回前のバックアップバッファBAまで、順次古い制御情報が記憶されている。
【0035】
第2の記憶手段22は、第2の判定の結果が肯定的であった場合の複数回分の制御情報を、第2の判定が肯定的であると判定した過去の複数回分にわたって第2のバックアップデータ記憶部252に記憶する。図2では、第2のバックアップデータ記憶部252が、1日前からn日前までのバックアップバッファBB~BBを有する場合について図示している。nは、一例として第1のバックアップデータ記憶部251のバックアップバッファの数と同じであるが、第1のバックアップデータ記憶部251のバックアップバッファの数と異なっていてもよい。
【0036】
第2のバックアップデータ記憶部252における1日前のバックアップバッファBBには、第2の記憶手段22による直近のバックアップ時の制御情報が記憶され、2日目のバックアップバッファBBからn日前のバックアップバッファBBには、順次古い日付の制御情報が記憶されている。
【0037】
次に、第1の記憶手段21及び第2の記憶手段22が実行する処理の具体例について、図3及び図4のフローチャートを参照して説明する。
【0038】
図3は、第1の記憶手段21が実行する処理の具体例を示すフローチャートである。第1の記憶手段21は、実行開始(スタート)後もしくは前回のサイクルの一連の処理(ステップS11~S19)の実行後、所定時間(例えば数分間)ごとにステップS11以降の処理を繰り返し実行する。
【0039】
第1の記憶手段21は、ステップS10の処理で所定時間が経過したかを判定し、所定時間が経過していれば(S10:Yes)、プログラマブルコントローラ3のCPUモジュール31に制御情報314の更新日時情報314dの送信要求D11図2参照)を行う。その後、第1の記憶手段21は、CPUモジュール31からのレスポンスとして更新日時情報314dを受信したかを判定し(ステップS12)、受信していなければ(S12:N)、レスポンスの待ち時間が経過したかを判定する(ステップS13)。
【0040】
第1の記憶手段21は、このステップS13の判定の結果、待ち時間が経過していなければ(S13:No)、再度ステップS12の判定処理を実行する。一方、例えばプログラマブルコントローラ3の電源が入っていないこと等により、待ち時間が経過するまでにCPUモジュール31からのレスポンスがなければ(S13:Yes)、第1の記憶手段21は、ステップS10に処理を戻す。
【0041】
第1の記憶手段21は、CPUモジュール31からのレスポンスR11(更新日時情報314dの送信)を受信したら(S12:Yes)、その内容を1回前のバックアップバッファBAに記憶されている更新日時情報と比較して、不一致か否か、すなわちCPUモジュール31の制御情報314の更新がされたか否かを判定する(ステップS14)。このステップS14の判定処理は、上記の第1の判定に相当する。第1の記憶手段21は、この判定の結果、制御情報314の更新がなければ(S14:No)、ステップS10に処理を戻す。
【0042】
第1の記憶手段21は、ステップS14の判定でCPUモジュール31の制御情報314の更新があると判定した場合(S14:Yes)、CPUモジュール31に制御情報の送信要求D12を行う(ステップS15)。その後、第1の記憶手段21は、CPUモジュール31からのレスポンスR12として制御情報を受信したかを判定し(ステップS16)、制御情報を受信したら(S16:Yes)、第1のバックアップデータ記憶部251のバッファシフトを行う(ステップS18)。なお、第1の記憶手段21は、ステップS16で制御情報を受信していなければ(S16:No)、待ち時間が経過するまで待ち(ステップS17)、待ち時間が経過した場合(S17:Yes)には、ステップS10に処理を戻す。
【0043】
ステップS18のバッファシフトは、1回前のバックアップバッファBAからn-1回前のバックアップバッファBAn-1までの内容を、2回前のバックアップバッファBAからn回前のバックアップバッファBAまでに順次移す処理である。この結果、n回前のバックアップバッファBAに記憶されていた内容は、n-1回前のバックアップバッファBAn-1に記憶されていた内容が上書きされることにより消去される。その後、第1の記憶手段21は、CPUモジュール31から受信した制御情報を1回前のバックアップバッファBAに書き込み(ステップS19)、ステップS10に処理を戻す。
【0044】
図4は、第2の記憶手段22が実行する処理の具体例を示すフローチャートである。第2の記憶手段22は、図2に示すように、CPUモジュール31に対する制御情報314の更新日時情報314dの送信要求D21及びこれに対するCPUモジュール31からのレスポンスR21、ならびにCPUモジュール31に対する制御情報314の送信要求D22及びこれに対するCPUモジュール31からのレスポンスR22により、第2のバックアップデータ記憶部252への制御情報のバックアップ処理を実行するが、第1の記憶手段21とはその時期及び頻度が異なっている。
【0045】
すなわち、第2の記憶手段22は、情報管理装置2の時計回路24から現在時刻の情報を取得し(ステップS201)、取得した現在時刻に基づいて、予め設定された指定時刻になったか否かを判定する(ステップS202)。この指定時刻は、情報管理装置2に接続されたキーボード202やポインティングデバイス203により、ユーザによって予め設定されている。なお、指定時刻として、24時間のうちの複数の時刻を設定してもよい。
【0046】
ステップS202の判定により、指定時刻になったと判定された場合(S202:Yes)、第2の記憶手段22は、ステップS21~S29の処理を実行する。このステップS21~S29の処理の内容は、図3を参照して説明した第1の記憶手段21のステップS11~S19の処理の内容と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0047】
第2の記憶手段22が実行するステップS24の処理は、CPUモジュール31の制御情報314の更新がされたか否かを判定する処理であり、上記の第2の判定に相当する。第2の記憶手段22は、CPUモジュール31からのレスポンスR21で受信したCPUモジュール31の更新日時情報314dの内容と1日前のバックアップバッファBBに記憶されている更新日時情報と比較して、この第2の判定を行う。
【0048】
なお、ステップS23の判定もしくはステップS27の判定の結果が否(No)であった場合には、ステップS28のバッファシフト処理及びステップS29の書き込み処理が行われないので、1日前のバックアップバッファBBには、必ずしも前日の制御情報が記憶されているわけではない。すなわち、第2のバックアップデータ記憶部252には、CPUモジュール31の制御情報314の更新があった日のn日分の過去の制御情報がバックアップデータとして記憶される。
【0049】
第1のバックアップデータ記憶部251及び第2のバックアップデータ記憶部252に記憶された制御情報は、必要時に書込手段23によってプログラマブルコントローラ3のCPUモジュール31に書き込まれる。書込手段23は、第1のバックアップデータ記憶部251及び第2のバックアップデータ記憶部252に記憶されている複数の制御情報のうち、何れの制御情報を対象のCPUモジュール31に書き込むかの選択を受け付け、選択された制御情報をCPUモジュール31に書き込む。ユーザは、キーボード202やポインティングデバイス203により、情報管理装置2に対して選択操作を行う。
【0050】
なお、第1のバックアップデータ記憶部251又は第2のバックアップデータ記憶部252に記憶された制御情報をプログラマブルコントローラ3のCPUモジュール31に書き込むことが必要になるのは、例えばCPUモジュール31が故障して交換する場合や、動作プログラムの更新後の機械設備4の動作で何らかの問題が発生し、動作プログラムを元に戻したい場合などである。
【0051】
以上説明した本発明の実施の形態によれば、情報管理装置2が第1の記憶手段21に加えて第2の記憶手段22を有していることにより、情報管理装置2の記憶容量が圧迫されてしまうことを抑制しながら、過去の長期間にわたる制御情報をバックアップデータとして記憶することが可能となる。つまり、仮に過去の複数日の間に更新された全ての制御情報をバックアップデータとして記憶することとすれば、生産ラインの立ち上げや改修の際などには、数多くの制御情報を記憶することが必要となり、情報管理装置2の記憶容量が圧迫されるおそれがあるが、制御情報のバックアップ処理を実行する時期及び頻度が異なる第1及び第2の記憶手段21,22を併用してバックアップ処理を行うことで、必要な記憶容量を抑制しながらも過去の長期間にわたる制御情報を記憶することが可能となる。
【0052】
(付記)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、この実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、一部の構成を省略し、あるいは構成を追加もしくは置換して、適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1…制御情報管理システム 2…情報管理装置
21…第1の記憶手段 22…第2の記憶手段
23…書込手段 251…第1のバックアップデータ記憶部
252…第2のバックアップデータ記憶部 3…プログラマブルコントローラ
31…CPUモジュール 314…制御情報
314a…動作プログラム 4…機械設備
図1
図2
図3
図4