(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】灯火器ユニット
(51)【国際特許分類】
B62J 6/045 20200101AFI20250415BHJP
B62J 6/04 20200101ALI20250415BHJP
B62J 50/26 20200101ALI20250415BHJP
B62J 35/00 20060101ALI20250415BHJP
B62J 6/20 20060101ALI20250415BHJP
【FI】
B62J6/045
B62J6/04
B62J50/26
B62J35/00 C
B62J6/20 G
(21)【出願番号】P 2021045860
(22)【出願日】2021-03-19
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】岡島 弘起
(72)【発明者】
【氏名】西山 雄大
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-205875(JP,A)
【文献】特開平4-78779(JP,A)
【文献】特開2015-120423(JP,A)
【文献】実開昭62-146690(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 6/04, 6/05, 6/20,35/00,50/26,
B60Q 1/30, 1/34, 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗型車両のリアフレームの後方に配置された灯火器ユニットであって、
前記リアフレームを後方から覆うように配置されたユニットカバーと、
前記ユニットカバーの第1の保持面に保持されたブレーキランプと、
前記ユニットカバーの第2の保持面に保持されたライセンスランプと、を備え、
前記第1の保持面と前記第2の保持面が一体的に形成され、当該第2の保持面にはライセンスプレートの取付部が形成され
、
前記ユニットカバーの前方に燃料タンクの収容空間が形成されており、
前記第1の保持面には後方に突出した第1の突出面が形成され、前記燃料タンクから延びるインレットパイプが前記第1の突出面の内側に収容されていることを特徴とする灯火器ユニット。
【請求項2】
前記第2の保持面に保持された一対のターンシグナルランプ及びリフレクタを備えていることを特徴とする請求項1に記載の灯火器ユニット。
【請求項3】
前記第2の保持面には後方に突出した第2の突出面が形成され、前記燃料タンクの後端が前記第2の突出面の内側に入り込み、前記第2の突出面に前記ライセンスランプが保持されていることを特徴とする
請求項1又は請求項2に記載の灯火器ユニット。
【請求項4】
前記ブレーキランプは、前記第1の保持面に左右に分けれた配置された一対のブレーキランプであり、
前記一対のブレーキランプの間で前記第1の保持面に前記第1の突出面が形成され、前記インレットパイプが前記一対のブレーキランプの間で前記第1の突出面の内側に収容されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の灯火器ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、灯火器ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
鞍乗型車両として、ブレーキランプ及びライセンスランプが別部品に保持されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の鞍乗型車両は、リアフレーム(シートレール)にリアフレームカバーが取り付けられ、リアフレームカバーにリアフェンダが取り付けられている。リアフレームカバーの後面にはブレーキランプが保持され、リアフェンダの後面にはライセンスランプ及びライセンスプレートが保持されている。リアフェンダの後面からライセンスランプが後方に突き出して、ライセンスランプによって上方からライセンスプレートが照らされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ブレーキランプとライセンスランプが別々の部品に取り付けられると、部品の相対的な位置精度によって各後部ランプの視認性が悪化するおそれがある。例えば、リアフレームカバーに対するリアフェンダの取付角度の僅かなズレによって、ブレーキランプの照射光がライセンスランプに遮られる場合があった。このため、リアフェンダの取付誤差を考慮して、ブレーキランプとライセンスランプを離して配置しなければならない。また、ライセンスランプに照らされたライセンスプレートの視認性が低下する恐れもあった。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、ブレーキランプ、ライセンスランプ、ライセンスプレートをコンパクトに配置しつつ、ブレーキランプ及びライセンスプレートの視認性を確保できる灯火器ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の灯火器ユニットは、鞍乗型車両のリアフレームの後方に配置された灯火器ユニットであって、前記リアフレームを後方から覆うように配置されたユニットカバーと、前記ユニットカバーの第1の保持面に保持されたブレーキランプと、前記ユニットカバーの第2の保持面に保持されたライセンスランプと、を備え、前記第1の保持面と前記第2の保持面が一体的に形成され、当該第2の保持面にはライセンスプレートの取付部が形成され、前記ユニットカバーの前方に燃料タンクの収容空間が形成されており、前記第1の保持面には後方に突出した第1の突出面が形成され、前記燃料タンクから延びるインレットパイプが前記第1の突出面の内側に収容されていることで上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様の灯火器ユニットによれば、ブレーキランプの第1の保持面とライセンスランプの第2の保持面が一体化されているため、ブレーキランプとライセンスランプの相対的な位置精度が向上される。ブレーキランプとライセンスランプの位置ズレが抑えられることで、ブレーキランプの照射光がライセンスランプに遮られ難くなる。また、ライセンスプレートの取付部が第2の保持面に形成されているため、ライセンスランプとライセンスプレートの位置ずれが抑えられて、ライセンスランプによってライセンスプレートを規定の角度から規定の明るさで照らすことができる。よって、ブレーキランプ、ライセンスランプ、ライセンスプレートをコンパクトに配置しつつ、ブレーキランプ及びライセンスプレートの視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施例の鞍乗型車両の車両後部の側面図である。
【
図2】比較例の鞍乗型車両の車両後部の側面図である。
【
図4】
図3の車両後部をA-A線に沿って切断した断面図である。
【
図5】
図3の車両後部をB-B線に沿って切断した断面図である。
【
図6】
図3の車両後部をC-C線に沿って切断した断面図である。
【
図7】本実施例の灯火器ユニットの照射状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様の灯火器ユニットは、鞍乗型車両のリアフレームの後方に配置されている。灯火器ユニットは、リアフレームを後方から覆うようにユニットカバーが配置され、ユニットカバーの第1の保持面にブレーキランプが保持され、ユニットカバーの第2の保持面にライセンスランプが保持されている。ブレーキランプの第1の保持面とライセンスランプの第2の保持面が一体化されているため、ブレーキランプとライセンスランプの相対的な位置精度が向上される。ブレーキランプとライセンスランプの位置ズレが抑えられることで、ブレーキランプの照射光がライセンスランプに遮られ難くなる。また、ライセンスプレートの取付部が第2の保持面に形成されているため、ライセンスランプとライセンスプレートの位置ずれが抑えられて、ライセンスランプによってライセンスプレートを規定の角度から規定の明るさで照らすことができる。よって、ブレーキランプ、ライセンスランプ、ライセンスプレートをコンパクトに配置しつつ、ブレーキランプ及びライセンスプレートの視認性を向上させることができる。
【実施例】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本実施例の灯火器ユニットが適用された鞍乗型車両について説明する。
図1は本実施例の鞍乗型車両の車両前部の側面図である。
図2は比較例の鞍乗型車両の車両後部の側面図である。また、以下の図では、矢印FRは車両前方、矢印REは車両後方、矢印Lは車両左方、矢印Rは車両右方をそれぞれ示している。
【0011】
図1に示すように、鞍乗型車両1の車両後部には、左右一対のリアフレーム10を覆うように車体外装として複数のカバーが設けられている。左右一対のリアフレーム10は、一対のリアフレームカバー11によって左右側方から覆われ、リアセンターカバー21によって後方から覆われ、リアフェンダ13によって下方から覆われている。また、左右一対のリアフレーム10は、リアアッパーカバー14及びライダーシート15によって上方から覆われている。これら上下左右及び後方のカバー部材によって、鞍乗型車両1の車両後部の車体外装が形成されている。
【0012】
一対のリアフレームカバー11の下縁は後斜め上方に傾斜しており、一対のリアフレームカバー11の上縁と下縁の上下幅が後方に向かって小さくなるように形成されている。一対のリアフレームカバー11の上縁にはリアアッパーカバー14が連なり、一対のリアフレームカバー11の下縁の後半部にはリアセンターカバー21が連なっている。一対のリアフレームカバー11の下縁の前半部及びリアセンターカバー21の下縁にはリアフェンダ13が連なっている。各種のカバー部材は、ネジ止め、掛け止め、クリップ止め等の一つ又は複数の取付方法によって相互に取り付けられている。
【0013】
ところで、鞍乗型車両の車両後部には、複数種類のランプが取り付けられている。
図2(A)の比較例に示すように、一般的な鞍乗型車両60では、リアセンターカバー61の後面に一対のブレーキランプ62が取り付けられ、リアフェンダ63の後面にライセンスランプ64が取り付けられている。リアセンターカバー61とリアフェンダ63との境目から後方に向かって斜め上方にリアセンターカバー61の後面が傾斜し、当該境目から後方に向かって斜め下方にリアフェンダ63の後面が傾斜している。このように、ブレーキランプ62及びライセンスランプ64の取付面が上下2つに分かれている。
【0014】
図2(B)に示すように、リアフェンダ63の取付角度に僅かなズレが生じると、ブレーキランプ62の照射光がライセンスランプ64に遮られてブレーキランプ62の視認性が低下する。このため、リアフェンダ63の取付誤差を考慮して、ブレーキランプ62とライセンスランプ64を離して配置しなければならない。また、ライセンスランプ64についても、ライセンスプレート65を規定の角度で規定の明るさで照らす必要があるため、リアフェンダ63におけるライセンスランプ64とライセンスプレート65の相対位置のズレが少ないことが好ましい。
【0015】
また、リアセンターカバー61は前後抜きの金型で成形され、ブレーキランプ62を取り付けるための取付穴は前後方向に形成されている。このため、リアセンターカバー61はブレーキランプ62の取付穴も含めて前後抜きの金型で成形可能である。一方で、リアフェンダ63は上下抜きの金型で成形されるが、ライセンスランプ64を取り付けるための取付穴は前後方向に形成されている。このため、リアフェンダ63の製造時に上下抜きの金型に加えてスライドコアを用意する必要があり、リアフェンダ63の意匠面にパーティングラインが発生して外観が低下すると共に金型費用が高くなる。
【0016】
そこで、本実施例の灯火器ユニット20では、リアセンターカバー21にブレーキランプ34、ライセンスランプ37、ライセンスプレート42の取付面が形成されている。これにより、ブレーキランプ34、ライセンスランプ37、ライセンスプレート42の相対的な位置関係が変化しないため、ブレーキランプ34及びライセンスプレート42の視認性が悪化することがない。リアセンターカバー21が前後抜きの金型、リアフェンダ13が上下抜きの金型でそれぞれ形成され、カバー部材の製造時にスライドコアが不要になるため、カバー部材の外観の低下及び金型費用が抑えられる。
【0017】
以下、
図1、
図3から
図6を参照して、灯火器ユニットの詳細構成について説明する。
図3は本実施例の灯火器ユニットの後面図である。
図4は
図3の車両後部をA-A線に沿って切断した断面図である。
図5は
図3の車両後部をB-B線に沿って切断した断面図である。
図6は
図3の車両後部をC-C線に沿って切断した断面図である。
【0018】
図1及び
図3に示すように、灯火器ユニット20は、鞍乗型車両1のリアフレーム10の後方に配置されている。灯火器ユニット20にはユニットカバーとしてリアセンターカバー21が設けられており、リアセンターカバー21には各種灯火器類が保持されている。リアセンターカバー21にはリアセンターカバー21の後面を上下に分ける横溝22が形成されている。リアセンターカバー21は横溝22を境にして第1の保持面25と第2の保持面26に分かれている。リアセンターカバー21の第1の保持面25はリアフレームカバー11の後縁に連なり、リアセンターカバー21の第2の保持面26はリアフェンダ13の上縁に連なっている。
【0019】
リアセンターカバー21の第1の保持面25はリアフレームカバー11の外観に倣ったデザインに形成され、リアセンターカバー21の第2の保持面26はリアフェンダ13の外観に倣ったデザインに形成されている。すなわち、リアセンターカバー21の第1の保持面25がリアフレームカバー11の外側面の後側を補い、リアセンターカバー21の第2の保持面がリアフェンダ13の外側面の上側を補っている。第1の保持面25とリアフレームカバー11の外観の一体感が得られ、第2の保持面26とリアフェンダ13の外観の一体感が得られて車両後部のデザイン性が保たれている。
【0020】
リアセンターカバー21の第1の保持面25の左右両側には一対のブレーキランプ34用の保持穴31が形成されている。一対のブレーキランプ34は、一対の保持穴31から後方に露出するように第1の保持面25に保持されている。また、第1の保持面25には、一対のブレーキランプ34の間から後方に突出した第1の突出面27が形成されている。第1の突出面27によってリアセンターカバー21の上半部23の内側の収容空間が広げられ、この第1の突出面27の内側は後述する燃料タンク50(
図4参照)のインレットパイプ53の後方空間として機能している。
【0021】
リアセンターカバー21の第2の保持面26には中央部分から後方に突出した第2の突出面28が形成されている。第2の突出面28はボックス状に形成されており、第2の突出面28の後面上側にはライセンスランプ37用の保持穴32が形成され、第2の突出面28の両側面には一対のターンシグナルランプ38用の保持穴33(
図4参照)が形成されている。ライセンスランプ37は保持穴32から後方に突出するように第2の突出面28に保持され、一対のターンシグナルランプ38は一対の保持穴33から側方に突出するように第2の突出面28に保持されている。
【0022】
第2の突出面28の後面下側には、反射面を後方に向けたリフレクタ41が保持されている。また、第2の保持面26には、第2の突出面28よりも下方にライセンスプレート42用の一対の取付穴(取付部)43が形成されている。第2の突出面28の下方にライセンスプレート42が取り付けられることで、第2の突出面28に保持されたライセンスランプ37によって上方からライセンスプレート42が照らされる。第2の突出面28によってリアセンターカバー21の下半部24の内側の収容空間が広げられ、この第2の突出面28の内側は燃料タンク50の後端の収容空間として機能している。
【0023】
このように、リアセンターカバー21では、第1の保持面25と第2の保持面26とが一体的に形成されているため、一対のブレーキランプ34、ライセンスランプ37、一対のターンシグナルランプ38の相対的な位置精度が高められている。一対のブレーキランプ34の照射角外にライセンスランプ37が配置されることで、取付誤差等によってブレーキランプ34の照射光がライセンスランプ37に遮られ難くなる。同様に、一対のターンシグナルランプ38の照射角外にライセンスランプ37が配置されることで、取付誤差等によってターンシグナルランプ38の照射光がライセンスランプ37に遮られ難くなる。
【0024】
照射角とは、いわゆる1/2照射角であり、照度分布の最大照度の1/2以上になる角度範囲である。なお、一対のブレーキランプ34及び一対のターンシグナルランプ38が保安基準を満たしていれば、一対のブレーキランプ34及び一対のターンシグナルランプ38の照射角内にライセンスランプ37が配置されていてもよい。また、ライセンスランプ37とライセンスプレート42の相対的な位置精度も高められることで、ライセンスランプ37によってライセンスプレート42が規定の角度から規定の光度で照らせてライセンスプレート42の視認性も向上されている。
【0025】
さらに、リアセンターカバー21の成形には前後抜きの金型が使用されており、前後抜きの金型によってリアセンターカバー21に第1、第2の保持面25、26が形成されている。リアセンターカバー21に第2の保持面26が形成されて、リアフェンダ13にはライセンスランプ37やライセンスプレート42等の取付穴があいた保持面を形成する必要がない。このため、リアフェンダ13の成形にスライドコアが不要になり、上下抜きの金型だけでリアフェンダ13が成形可能になって、リアフェンダ13の金型費用が低減されると共にパーティングの発生が抑えられている。
【0026】
リアセンターカバー21の第1の保持面25がリアフレームカバー11を後方に延伸させた形状であり、リアセンターカバー21の第2の保持面26がリアフェンダ13を上方に延伸させた形状である。この第1の保持面25と第2の保持面26が横溝22によって上下に分かれており、中央から左右方向外側に向かって横溝22が深く形成されている。リアセンターカバー21の第1、第2の保持面25、26が一体に形成されているが、横溝22を境にして第1、第2の保持面25、26のデザインが明確に分かれている。このように、車両後部にはリアセンターカバー21によって従来と同様な外観が維持されている。
【0027】
図4に示すように、リアセンターカバー21の前方には燃料タンク50の収容空間が形成されている。燃料タンク50は、一対のリアフレーム10の間に配置されており、リアフェンダ13の上面によって下方から支持されている。燃料タンク50は、下面を開放したアッパシェル51と上面を開放したロアシェル52の外縁を接合して形成されている。燃料タンク50の後部上面の中央にはインレットパイプ53が設けられている。インレットパイプ53は燃料タンク50の後部上面から後斜め上方に延びた後に、リアアッパーカバー14のタンクキャップ54に向かって上方に延びている。
【0028】
図5に示すように、一対のリアフレーム10の後端部には上面視U字状のタンクブラケット55が設けられている。タンクブラケット55はインレットパイプ53の左右両側と後側を囲むように配置されており、インレットパイプ53の延在方向の中間部分を支持している。また、タンクブラケット55の左右両側には、一対のブレーキランプ34のランプソケット35が取り付けられている。リアセンターカバー21には一対のブレーキランプ34が左右に分かれて配置されているため、一対のブレーキランプ34の間が燃料タンク50の収容空間に利用されている。
【0029】
上記したように、一対のブレーキランプ34の間では、リアセンターカバー21の第1の保持面25から後方に第1の突出面27が突出しており、この第1の突出面27の内側にインレットパイプ53が収容されている(特に
図4参照)。第1の突出面27の内側がインレットパイプ53の収容空間に利用され、燃料タンク50が後方に広げられてタンク容量が十分に確保される。一対のブレーキランプ34のランプソケット35から前方にケーブル類が延出しているが、ランプソケット35及びケーブル類が左右に振り分けられているため、ランプソケット35及びケーブル類がインレットパイプ53に干渉することがない。
【0030】
図6に示すように、リアセンターカバー21の第2の保持面26から後方にボックス状の第2の突出面28が突出しており、この第2の突出面28の内側に燃料タンク50の後端が入り込んでいる。ライセンスランプ37及び一対のターンシグナルランプ38を保持する第2の突出面28の内側が燃料タンク50の収容空間に利用され、燃料タンク50が後方に広げられてタンク容量が十分に確保される。燃料タンク50の後端と第2の突出面28の後面の間には十分な間隔が空けられているため、ライセンスランプ37及び一対のターンシグナルランプ38のケーブル類が燃料タンク50に干渉することがない。
【0031】
図7を参照して、灯火器ユニットの照射状態について説明する。
図7は本実施例の灯火器ユニットの照射状態の説明図であり、(A)は側方から見た照射状態、(B)は後方から見た照射状態をそれぞれ示している。
【0032】
図7(A)、(B)に示すように、第1の保持面25から一対のブレーキランプ34のレンズ36が露出しており、第2の保持面26からライセンスランプ37が後方に突出している。第1、第2の保持面25、26が一体に形成されるため、一対のブレーキランプ34とライセンスランプ37の相対的な位置関係が一定に保たれている。一対のブレーキランプ34の照射角外にライセンスランプ37が位置しているため、一対のブレーキランプ34の照射光がライセンスランプ37に遮られ難くなっている。よって、一対のブレーキランプ34の近くにライセンスランプ37が配置されても、一対のブレーキランプ34の視認性が確保されている。
【0033】
第2の保持面26には一対のターンシグナルランプ38が設けられており、一対のターンシグナルランプ38のレンズ39は後方に向けられている。一対のターンシグナルランプ38とライセンスランプ37が同じ第2の保持面26に設けられているため、一対のターンシグナルランプ38とライセンスランプ37の相対的な位置関係が一定に保たれている。一対のターンシグナルランプ38の照射角外にライセンスランプ37が位置しているため、一対のターンシグナルランプ38の照射光がライセンスランプ37に遮られ難くなっている。よって、一対のターンシグナルランプ38の視認性が確保されている。
【0034】
第2の保持面26にはライセンスランプ37の下方にライセンスプレート42が取り付けられており、ライセンスプレート42は左右方向の中央で後方に向けられている。ライセンスランプ37のレンズ(不図示)はライセンスプレート42に向けられている。ライセンスランプ37とライセンスプレート42が同じ第2の保持面26に設けられているため、ライセンスランプ37とライセンスプレート42の相対的な位置関係が一定に保たれている。ライセンスランプ37によって規定の角度から規定の明るさでライセンスプレート42が照らされて、ライセンスプレート42の視認性が確保されている。
【0035】
また、本実施例では灯火器類がリアセンターカバー21に設けられているため、リアフェンダ13が軽量化されている。すなわち、
図2(A)に示すように、リアフェンダ63に灯火器類を設けるためには、走行によるリアフェンダ63の振動を抑えるためにリアフェンダ63とリアセンターカバー61の締結点をリブ等によって補強して剛性を高める必要がある。これに対して、本実施例のリアセンターカバー21は周囲のカバーとの締結によって全体的な剛性が高められている。リアセンターカバー21に灯火器類が集約されても、リアフェンダ13の締結点の補強が不要になってリアフェンダ13の軽量化が図られている。
【0036】
以上、本実施例によれば、ブレーキランプ34の第1の保持面25とライセンスランプ37の第2の保持面26が一体化されているため、灯火器類の相対的な位置精度が向上される。これにより一対のブレーキランプ34の照射光及び一対のターンシグナルランプ38の照射光がライセンスランプ37に遮られ難くなる。また、ライセンスランプ37とライセンスプレート42の位置ずれが抑えられることで、ライセンスランプ37によってライセンスプレート42を規定の角度から規定の明るさで照らすことができる。よって、ブレーキランプ34、ターンシグナルランプ38、ライセンスランプ37、ライセンスプレート42をコンパクトに配置しつつ、ブレーキランプ34、ターンシグナルランプ38、ライセンスプレート42の視認性を向上させることができる。
【0037】
なお、本実施例では、リアセンターカバーの第1の保持面がリアフレームカバーと外観の一体感が得られるように形成されたが、第1の保持面の形状は特に限定されない。また、リアセンターカバーの第2の保持面がリアフェンダと外観の一体感が得られるように形成されたが、第2の保持面の形状は特に限定されない。
【0038】
また、本実施例では、リアセンターカバーに一対のブレーキランプが保持されたが、リアセンターカバーには単一のブレーキランプが保持されてもよい。
【0039】
また、本実施例では、リアセンターカバーに一対のターンシグナルランプ、リフレクタが保持されたが、一対のターンシグナルランプは一対のリアフレームカバーに保持されてもよいし、リフレクタはリアフェンダに保持されてもよい。
【0040】
また、本実施例では、リアセンターカバーの前方に燃料タンクの収容空間が形成されたが、リアセンターカバーの前方には燃料タンクの収容空間が形成されていなくてもよい。例えば、リアセンターカバーの前方にはバッテリ等の収容空間が形成されていてもよい。
【0041】
また、鞍乗型車両とは、ライダーがシートに跨った姿勢で乗車する車両全般に限定されず、ライダーがシートに跨らずに乗車する小型のスクータタイプの車両も含んでいる。
【0042】
以上の通り、本実施例の灯火器ユニット(20)は、鞍乗型車両(1)のリアフレーム(10)の後方に配置された灯火器ユニットであって、リアフレームを後方から覆うように配置されたユニットカバー(リアセンターカバー21)と、ユニットカバーの第1の保持面(25)に保持されたブレーキランプ(34)と、ユニットカバーの第2の保持面(26)に保持されたライセンスランプ(37)と、を備え、第1の保持面と第2の保持面が一体的に形成され、当該第2の保持面にはライセンスプレート(42)の取付部(取付穴43)が形成されている。この構成によれば、ブレーキランプの第1の保持面とライセンスランプの第2の保持面が一体化されているため、ブレーキランプとライセンスランプの相対的な位置精度が向上される。ブレーキランプとライセンスランプの位置ズレが抑えられることで、ブレーキランプの照射光がライセンスランプに遮られ難くなる。また、ライセンスランプとライセンスプレートの位置ずれが抑えられることで、ライセンスランプによってライセンスプレートを規定の角度から規定の明るさで照らすことができる。よって、ブレーキランプ、ライセンスランプ、ライセンスプレートをコンパクトに配置しつつ、ブレーキランプ及びライセンスプレートの視認性を向上させることができる。
【0043】
本実施例の灯火器ユニットにおいて、第2の保持面に保持された一対のターンシグナルランプ(38)及びリフレクタ(41)を備えている。この構成によれば、ライセンスランプと一対のターンシグナルランプが第2の保持面に保持されているため、ライセンスランプと一対のターンシグナルランプの相対的な位置精度が向上される。ライセンスランプと一対のターンシグナルランプの位置ズレが抑えられ、一対のターンシグナルランプの照射光がライセンスランプに遮られ難くなる。また、ブレーキランプ、ライセンスランプ、ライセンスプレート、ターンシグナルランプ、リフレクタをコンパクトに配置しつつ、各ランプ、ライセンスプレート、リフレクタの視認性を向上させることができる。
【0044】
本実施例の灯火器ユニットにおいて、ユニットカバーの前方に燃料タンク(50)の収容空間が形成されており、第1の保持面には後方に突出した第1の突出面(27)が形成され、燃料タンクからインレットパイプ(53)が第1の突出面の内側に収容されている。この構成によれば、第1の突出面の内側をインレットパイプの収容空間に利用することで、燃料タンクのタンク容量を十分に確保することができる。
【0045】
本実施例の灯火器ユニットにおいて、第2の保持面には後方に突出した第2の突出面(28)が形成され、燃料タンクの後端が第2の突出面の内側に入り込み、第2の突出面にライセンスランプが保持されている。この構成によれば、ライセンスランプを保持する第2の突出面の内側を燃料タンクの収容空間に利用することで、燃料タンクのタンク容量を十分に確保することができる。
【0046】
なお、本実施例を説明したが、他の実施例として、上記実施例及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0047】
また、本発明の技術は上記の実施例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0048】
1 :鞍乗型車両
10:リアフレーム
13:リアフェンダ
20:灯火器ユニット
21:リアセンターカバー(ユニットカバー)
25:第1の保持面
26:第2の保持面
27:第1の突出面
28:第2の突出面
34:ブレーキランプ
37:ライセンスランプ
38:ターンシグナルランプ
41:リフレクタ
42:ライセンスプレート
43:取付穴(取付部)
50:燃料タンク
53:インレットパイプ