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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20250415BHJP
【FI】
G03G15/16
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021054179
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022151211
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】保田 健
(72)【発明者】
【氏名】田中 大輔
(72)【発明者】
【氏名】松下 薫
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-072443(JP,A)
【文献】特開2002-108157(JP,A)
【文献】特開2016-080979(JP,A)
【文献】特開2005-266768(JP,A)
【文献】特開2008-262015(JP,A)
【文献】実開平02-027166(JP,U)
【文献】特開2013-190550(JP,A)
【文献】米国特許第04172303(US,A)
【文献】中国特許出願公開第1210284(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/02
13/14-13/16
15/02
15/14-15/16
21/00
21/04
21/10-21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を保持する無端ベルト、又は前記無端ベルトとの間でニップした記録媒体にトナー像を転写する転写部材であるトナー搬送体と、
前記無端ベルト、又は前記トナー搬送体の表面に回転して接触する多数の第1毛材を有し、前記トナー搬送体の表面に付着したトナーを清掃する清掃ブラシと、
前記清掃ブラシの前記第1毛材と接触する多数の第2毛材を有し、前記第1毛材に付着した前記トナーを除去する除去ブラシと、
を有し、
画像を形成している状態では、前記清掃ブラシ及び前記除去ブラシには前記トナーとは逆極性のバイアス電圧を印加し、前記除去ブラシには前記清掃ブラシよりも大きな前記バイアス電圧を印加し、
画像を形成していない状態で、前記除去ブラシに吸着した前記トナーを除去する場合は、前記除去ブラシに対して前記トナーと同極性の前記バイアス電圧を印加し、前記除去ブラシから前記トナーを離脱させて落下させる
画像形成装置。
【請求項2】
前記除去ブラシは円柱状に形成され、外周部が前記清掃ブラシに接触する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記除去ブラシを回転させる第1回転駆動装置を有する、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記清掃ブラシを回転させる第2回転駆動装置を有し、
前記除去ブラシと前記清掃ブラシとの接触部位において、前記清掃ブラシの前記第1毛材と前記除去ブラシの前記第2毛材とは互いに反対方向に移動する、
請求項3に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、像保持体の表面に回転して接触する多数の毛材を有するブラシと、前記多数の毛材と接触する位置に設けられ、前記ブラシの回転に伴い前記多数の毛材と接触及び離間し、接触によって前記多数の毛材を弾性変形させるとともに、離間することで弾性変形した前記多数の毛材を復元させて、前記多数の毛材に付着した現像剤を除去する除去部材と、前記除去部材よりも重力方向下方に設けられ、前記除去部材によって除去された現像剤を搬送する搬送装置と、を有し、前記多数の毛材と前記除去部材との接触が開始する接触部と前記搬送装置との間に現像剤を前記搬送装置に向けて落下させる空間が形成されている画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-123384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、一例として丸棒状や板状である除去部材を用いて清掃ブラシのトナーを除去する構成に比較して、清掃ブラシのトナー除去効果を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一態様の画像形成装置は、トナー像を保持する無端ベルト、又は前記無端ベルトとの間でニップした記録媒体にトナー像を転写する転写部材であるトナー搬送体と、前記無端ベルト、又は前記トナー搬送体の表面に回転して接触する多数の第1毛材を有し、前記トナー搬送体の表面に付着したトナーを清掃する清掃ブラシと、前記清掃ブラシの前記第1毛材と接触する多数の第2毛材を有し、前記第1毛材に付着した前記トナーを除去する除去ブラシと、を有する。
【0006】
第二態様の画像形成装置は、第一態様の画像形成装置において、前記除去ブラシは円柱状に形成され、外周部が前記清掃ブラシに接触する。
【0007】
第三態様の画像形成装置は、第二態様の画像形成装置において、前記除去ブラシを回転させる第1回転駆動装置を有する。
【0008】
第四態様の画像形成装置は、第三態様に記載の画像形成装置において、前記清掃ブラシを回転させる第2回転駆動装置を有し、前記除去ブラシと前記清掃ブラシとの接触部位において、前記清掃ブラシの前記第1毛材と前記除去ブラシの前記第2毛材とは互いに反対方向に移動する。
【0009】
第五態様に記載の画像形成装置は、第一態様第四態様の何れか一態様に記載の画像形成装置において、発明は前記清掃ブラシ、及び前記除去ブラシに前記トナーとは逆極性のバイアス電圧を印加し、前記除去ブラシには、前記清掃ブラシよりも大きな前記バイアス電圧を印加する。
【発明の効果】
【0010】
第一態様の画像形成装置によれば、丸棒状や板状である除去部材を用いて清掃ブラシのトナーを除去する構成に比較して、清掃ブラシのトナー除去効果を向上することができる。
【0011】
第二態様の画像形成装置によれば、板上に多数の毛材を設けたブラシの1か所を清掃ブラシに接触させる場合に比較して、寿命を長くすることができる。
【0012】
第三態様に記載の画像形成装置によれば、除去ブラシが無回転の場合と比較して清掃ブラシのトナーが除去されやすくなる。
【0013】
第四態様の画像形成装置によれば、清掃ブラシと除去ブラシとを互いの接触部位において同方向に移動させる場合に比較して、トナーが除去され易くなる。
【0014】
第五態様に記載の画像形成装置によれば、清掃ブラシと同等のバイアス電圧を除去ブラシに引加する場合に比較して、トナーを除去し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る画像形成装置を正面側から見た構成を示す概略図である。
図2】本実施形態に係るトナー画像形成部を示す概略図である。
図3】本実施形態に係る転写装置を示す概略図である。
図4】転写ベルト上の非転写画像と転写画像とを示す図である。
図5】他の実施形態に係る画像形成装置の要部を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。なお、各図に示す矢印Hは鉛直方向を示し、矢印Wは水平方向であって装置幅方向を示す。
【0017】
<画像形成装置10の構成>
図1は、画像形成装置10を正面側から見た構成を示す概略図である。この図に示されるように、画像形成装置10は、電子写真方式により用紙等の記録媒体Pに画像を形成する画像形成部12と、記録媒体Pを搬送する搬送装置50と、画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部70と、を有している。
【0018】
(搬送装置50)
図1に示されるように、搬送装置50は、記録媒体Pが収容される収容器51と、収容器51から二次転写位置NTへ記録媒体Pを搬送する複数の搬送ロール52と、を有している。さらに、搬送装置50は、二次転写位置NTから定着装置40へ記録媒体Pを搬送する複数の搬送ベルト58と、定着装置40から記録媒体Pの排出部(図示省略)へ向けて記録媒体Pを搬送する搬送ベルト54を有している。
【0019】
(画像形成部12)
画像形成部12は、トナー画像を形成するトナー画像形成部20と、トナー画像形成部20で形成されたトナー画像を記録媒体Pに転写する転写装置30と、記録媒体Pに転写されたトナー画像を加熱及び加圧して記録媒体Pに定着する定着装置40と、を有している。
【0020】
トナー画像形成部20は、色ごとにトナー画像を形成するように複数備えられている。この実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色のトナー画像形成部20が設けられている。この各色のトナー画像形成部20は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順で、後述の中間転写ベルト31の搬送方向の上流側から下流側に向けて配置されている。
【0021】
図1に示す(Y)、(M)、(C)、(K)は、上記各色に対応する構成部分を示している。なお、本明細書の説明では、(Y)、(M)、(C)、(K)の括弧を省略して、Y、M、C、Kと記載する場合がある。
【0022】
〔トナー画像形成部20〕
各色のトナー画像形成部20は、用いるトナーを除き基本的に同様に構成されている。具体的には、各色のトナー画像形成部20は、図2に示されるように、図2における時計周り方向に回転する感光体ドラム21と、感光体ドラム21を帯電させる帯電器22と、帯電器22によって帯電された感光体ドラム21を露光して感光体ドラム21に静電潜像を形成する露光装置23と、を有している。さらに、各色のトナー画像形成部20は、露光装置23によって感光体ドラム21に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像装置24と、転写装置30へのトナー画像の転写後に感光体ドラム21の表面に残留したトナーを除去するブレード25と、を有している。
【0023】
帯電器22は、例えば、感光体ドラム21の表面(感光層)を負極性に帯電させる。負極性に帯電した感光体ドラム21の表面は、露光装置23によって露光光Lが照射された部分が正極性を呈し、感光体ドラム21の表面に静電潜像が形成される。そして、現像装置24内で負極性に摩擦帯電されたトナーが、正極性を呈する静電潜像に付着して静電潜像が現像される。このように、感光体ドラム21の表面(外周面)にトナー画像が形成される。ブレード25は、感光体ドラム21の表面に接触して、感光体ドラム21の表面に残留したトナーを掻き取る。
【0024】
〔転写装置30〕
転写装置30は、各色の感光体ドラム21のトナー画像を、中間転写ベルト31に重畳して一次転写し、該重畳されたトナー画像を二次転写位置NT(ニップの一例)で記録媒体Pに二次転写するようになっている。具体的には、転写装置30は、図1に示されるように、無端ベルトの一例であり、かつ転写体であるトナー搬送体の一例としての中間転写ベルト31と、一次転写ロール33と、転写体であるトナー搬送体の一例としての二次転写ベルト36と、二次転写ベルト36の清掃装置60と、中間転写ベルト31の清掃装置35と、を備えている。
【0025】
[中間転写ベルト31]
図1に示されるように、中間転写ベルト31は、無端状を成し、複数のロール32に巻き掛けられて姿勢が決められている。この実施形態では、中間転写ベルト31は、正面視で装置幅方向に長い逆鈍角三角形状の姿勢とされている。複数のロール32のうち、図1に示すロール32Dは、図示しないモータの動力により中間転写ベルト31を矢印A方向に周回させる駆動ロールとして機能する。中間転写ベルト31は、矢印A方向に周回することで、一次転写された画像を二次転写位置NTへ搬送するようになっている。
【0026】
また、複数のロール32のうち、図1に示すロール32Tは、中間転写ベルト31に張力を付与する張力付与ロールとして機能する。複数のロール32のうち、図1に示すロール32Bは、二次転写ロール34の対向ロールとして機能する。対向ロール32Bには、前述の通り逆さ鈍角三角形状の姿勢とされた中間転写ベルト31の鈍角を成す下端側の頂部が巻き掛けられている。この中間転写ベルト31は、前述した姿勢で装置幅方向に延びる上辺部において、各色の感光体ドラム21に下方から接触している。
【0027】
[一次転写ロール33]
図1に示されるように、一次転写ロール33は、各感光体ドラム21のトナー画像を中間転写ベルト31に転写させるロールであり、中間転写ベルト31の内側に配置されている。各一次転写ロール33は、中間転写ベルト31を挟んで対応する色の感光体ドラム21に対して対向配置されている。また、一次転写ロール33には、給電部(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の一次転写電圧が印加されるようになっている。この一次転写電圧の印加により、感光体ドラム21に形成されたトナー画像が、感光体ドラム21と一次転写ロール33との間の一次転写位置Tで中間転写ベルト31に転写される。
【0028】
[二次転写ベルト36]
二次転写ベルト36は、中間転写ベルト31に重畳されたトナー画像を記録媒体Pに転写するベルトである。図3に示されるように、二次転写ベルト36は、無端状をなし、二次転写ロール34と、従動ロール37と、に巻き掛けられている。
【0029】
二次転写ロール34は、対向ロール32Bとの間に中間転写ベルト31及び二次転写ベルト36を挟むように配置されており、二次転写ベルト36と中間転写ベルト31とは予め定められた荷重にて接触している。このように接触している二次転写ベルト36と中間転写ベルト31の間が二次転写位置NTとされる。この二次転写位置NTには、収容器51から適時に記録媒体Pが供給されるようになっている。二次転写ベルト36は、二次転写ロール34が回転駆動されることで、矢印B方向へ周回移動される。
【0030】
本実施形態では、中間転写ベルト31のトナー画像を記録媒体Pに転写する際には、給電部39によって、対向ロール32Bに負極性の電圧が印加される。これにより、対向ロール32Bと二次転写ロール34との間に電位差が生じる。すなわち、対向ロール32Bに負極性の電圧が印加されることで、対向ロール32Bの対向電極をなす二次転写ロール34にトナー極性と逆極性の二次転写電圧(正極性の電圧)が間接的に印加される。これにより、二次転写位置NTを通過する記録媒体Pに、中間転写ベルト31から負極のトナー画像が転写される。
【0031】
一方、中間転写ベルト31のトナーが二次転写位置NTを通過する際に当該トナーを中間転写ベルト31に保持させる場合には、給電部39によって、対向ロール32Bに正極性の電圧が印加される。これにより、対向ロール32Bと二次転写ロール34との間に電位差が生じる。すなわち、対向ロール32Bに正極性の電圧が印加されることで、対向ロール32Bの対向電極をなす二次転写ロール34にトナー極性と同極性の非転写電圧(負極性の電圧)が間接的に印加される。これにより、二次転写位置NTを通過するトナーは、二次転写ロール34から反発力を受けて、中間転写ベルト31に保持される。
【0032】
[二次転写ベルト36の清掃装置60]
図3に示されるように、清掃装置60は、印加されるバイアス電圧に応じた静電力によって、二次転写ベルト36のトナーを吸着して清掃する円柱状の清掃ブラシ61を有している。なお、「ベルトに付着したトナーを清掃する」とは、「ベルトからトナーを除去する」と同義である。
清掃ブラシ61は、金属製の軸部61Aと、軸部61Aの外周にその全周にわたって設けられた合成樹脂製のブラシ部61Bと、を有している。ブラシ部61Bでは、多数本の第1毛材61Fが軸部61Aから放射方向(半径方向外側方向)に延びている。
清掃ブラシ61は、軸部61Aが図示しないモータ、減速機等を含んで構成された第1回転駆動装置67で回転駆動されることで、回転するようになっている。清掃ブラシ61は、一例として、二次転写ベルト36の周回方向と同一方向(図3における時計方向)に回転するようになっている。
なお、回転駆動装置67は、清掃ブラシ61を二次転写ベルト36の周回方向と逆方向(図3における反時計方向)に回転させることもできる。また、清掃ブラシ61が二次転写ベルト36の周回方向と逆方向に回転する場合には、例えば、二次転写ベルト36の周速度に対して周速度差を有して回転するように構成される。
【0033】
さらに、清掃装置60は、清掃ブラシ61のブラシ部61Bに接触する、一例として円柱状に形成された除去ブラシ63を有している。
除去ブラシ63は、金属製の軸部63Aと、軸部63Aの外周にその全周にわたって設けられた合成樹脂製のブラシ部63Bと、を有している。ブラシ部63Bでは、多数本の第2毛材63Fが設けられている。本実施形態のブラシ部63Bでは、同じ長さの第2毛材63Fが軸部63Aから放射方向(半径方向外側方向)に延びている。
【0034】
除去ブラシ63は、第2毛材63Fの先端側の一部分が、清掃ブラシ61のブラシ部61Bの内部に入り込むように配置されており、清掃ブラシ61の第1毛材61Fと除去ブラシ63の第2毛材63Fとが相対移動した際に、第2毛材63Fで第1毛材61Fを弾くように構成されている。
【0035】
なお、第2毛材63Fの曲げ剛性を第1毛材61Fよりも高くして、第2毛材63Fの曲げ剛性を第1毛材61Fと同等とした場合に比較して第1毛材61Fを弾きやすくすることもできる。本実施形態では、第2毛材63Fは、第1毛材61Fよりも短く形成されているが、第2毛材63Fの長さは必要に応じて適宜変更可能である。例えば、異なる長さの第2毛材63Fを混在させてもよい。
また、除去ブラシ63における第2毛材63Fの植毛の密度を、清掃ブラシ61における第1毛材61Fの植毛の密度よりも高くすることができる。このようにすることで、除去ブラシ63の第2毛材63Fを清掃ブラシ61の第1毛材61Fに対してまんべんなく接触させることができ、トナーの除去効果を高めることができる。
【0036】
除去ブラシ63は、軸部63Aが図示しないモータ、減速機等を含んで構成された第2回転駆動装置68で回転駆動されることで、回転するようになっている。
除去ブラシ63は、一例として、清掃ブラシ61の周回方向と同じ方向(図3における時計方向)に回転するようになっており、除去ブラシ63と清掃ブラシ61との接触部位において、清掃ブラシ61の第1毛材61Fと除去ブラシ63の第2毛材63Fとは互いに反対方向に移動する。
【0037】
なお、第2回転駆動装置68は、除去ブラシ63を清掃ブラシ61の周回方向と逆方向(図3における反時計方向)に回転させることもできる。また、除去ブラシ63が清掃ブラシ61の周回方向と逆方向に回転する場合には、例えば、清掃ブラシ61の周速度に対して周速度差を有して回転するように構成される。
【0038】
さらに、清掃装置60は、清掃ブラシ61の軸部61Aに正極性のバイアス電圧(清掃電圧)を印加する第1給電部65と、除去ブラシ63の軸部63Aに正極性で、かつ軸部61Aよりも高電圧のバイアス電圧、または負極性の電圧を印加する第2給電部66と、を有している。なお、第2給電部66は、第1給電部65よりも高電圧を発生できる。
【0039】
この構成により、二次転写ベルト36上の負極性に帯電したトナーを静電的に清掃ブラシ61に吸着することができる。さらに、清掃ブラシ61に吸着されたトナーを静電的に除去ブラシ63に吸着することができる。
【0040】
なお、除去ブラシ63の軸部63Aに負極性の電圧を引加すると、除去ブラシ63に移動した負極性のトナーが静電的に反発力を受ける。これにより除去ブラシ63からトナーを離脱させることができ、離脱したトナーは、-一例として、除去ブラシ63の下方に配置した受け69(図1参照)に落下する。
【0041】
[中間転写ベルト31の清掃装置35]
図1に示されるように、清掃装置35は、中間転写ベルト31の周回方向において、二次転写位置NTの下流側で、かつ一次転写位置T(Y)の上流側に配置されている。清掃装置35は、中間転写ベルト31の表面に残留したトナーを中間転写ベルト31の表面から掻き取るブレード351を備えている。
【0042】
転写装置30には、濃度検出用画像(パッチ)や、色ずれ検出用画像(パッチ)を検出するための検出部(センサ)49が、トナー画像形成部20(K)の下流側(図1における左側)に配置されている。
【0043】
トナー画像形成部20Y、20M、20C、20K(以下、20Y~20Kと示す)で用いられるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)のトナーは、顔料とバインダー樹脂とを含んで構成されている。
【0044】
トナー画像形成部20Y~20Kが形成するトナー画像としては、記録媒体Pの転写するための転写画像と、記録媒体Pに転写されない非転写画像と、がある。非転写画像としては、濃度検出用画像(パッチ)や、色ずれ検出用画像(パッチ)、劣化した現像剤(トナー)を消費するための画像(バンド)、感光体ドラム21とブレード25との間にトナーを供給するための画像(バンド)等がある。
【0045】
なお、図4に示されるように、各トナー画像形成部20の画像320が、各一次転写ロール33によって、中間転写ベルト31上の転写領域R1に転写される。中間転写ベルト31に転写された画像320は、記録媒体Pと共に二次転写位置NTを通過して当該記録媒体Pに転写される。
【0046】
一方、各トナー画像形成部20のパッチ420は、各一次転写ロール33によって、転写領域R1の間の非転写領域R2に転写される。中間転写ベルト31上に転写されたパッチ420は、記録媒体Pと共に二次転写位置NTを通過せずに、単独で二次転写位置NTを通過する。
【0047】
本実施形態では、画像320を中間転写ベルト31から記録媒体Pに転写する場合には、前述のように、対向ロール32Bを介して二次転写ロール34に正極性の二次転写電圧(トナー極性と逆極性の電圧)が印加される。これにより、記録媒体Pと共に二次転写位置NTを通過する画像320が、中間転写ベルト31から記録媒体Pへ転写されるようになっている。
【0048】
一方、パッチ420が二次転写位置NTを通過する際には、中間転写ベルト31上のパッチ420が中間転写ベルト31に保持されるように、対向ロール32Bを介して二次転写ロール34に負極性の非転写電圧(トナー極性と同極性の電圧)が印加される。
【0049】
これにより、中間転写ベルト31上のパッチ420のトナーは、二次転写ベルト36(二次転写ロール34)から反発力を受けて、中間転写ベルト31に保持される。中間転写ベルト31に保持されたパッチ420のトナーは、清掃装置35へ搬送され、清掃装置35によって中間転写ベルト31から除去される。
【0050】
ここで、二次転写ベルト36と中間転写ベルト31とは、予め定められた荷重にて接触しているため、パッチ420が中間転写ベルト31の表面に形成された場合には、パッチ420のトナーの一部は、静電的な反発力を受けても二次転写ベルト36に転移されてしまう。
【0051】
パッチ420のトナーが二次転写ベルト36に転移することで、トナーが二次転写ベルト36(転写部材の一例)に付着する。当該トナーは、二次転写ベルト36が周回することで、清掃ブラシ61へ搬送されて、清掃ブラシ61で除去される。
具体的には、前述のように、第1給電部65によって清掃ブラシ61に正極性のバイアス電圧が印加されることで、二次転写ベルト36に転移された負極性のトナーが静電的に清掃ブラシ61に吸着されて二次転写ベルト36から除去される。
また、第2給電部66によって除去ブラシ63に正極性のバイアス電圧が印加されることで、清掃ブラシ61のトナーが静電的に除去ブラシ63に吸着され、トナーが清掃ブラシ61から除去される。
【0052】
(本実施形態に係る作用)
次に、本実施形態に係る作用を説明する。
【0053】
画像形成指令(プリント指令)を制御部70が受けると、制御部70は、以下のように、トナー画像形成部20Y~20K、転写装置30及び定着装置40を作動させる(図1参照)。
【0054】
トナー画像形成部20Y~20Kでは、以下の画像形成工程(プロセス)にて、画像320(図4参照)及びパッチ420(図4参照)と、がそれぞれ形成される。すなわち、各色の感光体ドラム21は、回転されながら帯電器22によって帯電される。帯電された各感光体ドラム21が各露光装置23によって露光されて、各感光体ドラム21の表面に静電潜像が形成される。各感光体ドラム21に形成された静電潜像は、現像装置24から供給される現像剤によって現像される。これにより、他色用の感光体ドラム21Y~21Kには、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像320及びパッチ420がそれぞれ形成される。
【0055】
各感光体ドラム21に形成された各色の画像320は、図4に示されるように、各一次転写ロール33によって、周回する中間転写ベルト31の転写領域R1に順次転写される。
【0056】
また、各感光体ドラム21に形成された各色のパッチ420は、各一次転写ロール33によって、周回する中間転写ベルト31の非転写領域R2の任意の位置に順次転写される。
【0057】
中間転写ベルト31に転写された画像320が、中間転写ベルト31の周回によって二次転写位置NTに搬送される。
【0058】
この二次転写位置NTには、搬送ロール52によって、画像320の搬送のタイミングに合わせて、記録媒体Pが供給される。この二次転写位置NTを記録媒体P、画像320(転写領域R1)が通過する際に、対向ロール32Bを介して二次転写ロール34に二次転写電圧(正極性の電圧)が印加される。これにより、中間転写ベルト31から画像320が記録媒体Pに転写される。
【0059】
画像320が転写された記録媒体Pは、搬送ベルト58によって、二次転写位置NTから定着装置40へ搬送され、定着装置40において、記録媒体P上の画像320が記録媒体Pに定着される。
【0060】
二次転写位置NTを記録媒体Pが通過せずに、パッチ420が通過する際には、対向ロール32Bを介して二次転写ロール34に非転写電圧(負極性の電圧)が印加される。これにより、中間転写ベルト31上のパッチ420は、二次転写ロール34(二次転写ベルト36)から反発力を受けて、中間転写ベルト31に保持される。これにより、パッチ420のトナーは、中間転写ベルト31に保持されたまま、二次転写位置NTを通過して清掃装置35へ搬送され、清掃装置35によって中間転写ベルト31から除去される。
【0061】
このように非転写電圧が印加されるものの、二次転写ベルト36と中間転写ベルト31とは、予め定められた荷重にて接触しているため、パッチ420のトナーの一部は、静電的な反発力を受けても二次転写ベルト36に転移される場合がある。
【0062】
本実施形態では、二次転写ベルト36に転移したトナーは、二次転写ベルト36が周回することで、清掃装置60へ搬送される。なお、二次転写ベルト36には、画像320のトナーが付着する場合もある。
【0063】
清掃装置60では、第1給電部65が、時計方向に回転する清掃ブラシ61に正極性の第1電圧を印加する。これにより、二次転写ベルト36上の負極性に帯電したトナーが静電的に清掃ブラシ61に吸着されて除去される。
【0064】
また、清掃装置60では、回転する清掃ブラシ61に対して除去ブラシ63を接触させるので、清掃ブラシ61に金属の丸棒であるフリッキング部材や板状等の除去部材を接触させて第1毛材61Fを弾いてトナーを除去する構成に比較して、清掃ブラシ61のトナー除去効果を向上することができる。なお、除去ブラシ63は、第2毛材63Fで清掃ブラシ61の第1毛材61Fを弾くだけでなく、第2毛材63Fの先端部分がブラシ部61Bの内部に進入するのでブラシ部内部のトナーを掻き出すことができる。
【0065】
また、本実施形態の清掃装置60では、除去ブラシ63を円柱状に形成したので、例えば、板上に多数の毛材を設けたブラシの1か所を清掃ブラシ61に接触させる場合に比較して、除去ブラシ63の寿命を長くすることができる。
【0066】
また、本実施形態の清掃装置60では、除去ブラシ63を回転させて清掃ブラシ61に接触させているため、清掃ブラシ61の第1毛材61Fを弾く頻度が高まり、清掃ブラシ61からトナーを除去し易くなる。除去ブラシ63は第2回転駆動装置68で回転させるため、手動で回転させる場合に比較して手間が掛からない。また、円柱状の除去ブラシ63を回転させることで、ブラシ外周分全体を清掃ブラシ61に接触させることができ、回転させない場合に比較して、ブラシ部63Bの寿命を長くすることができる。
【0067】
また、本実施形態では、除去ブラシ63を清掃ブラシ61と同方向に回転させて接触させているため、除去ブラシ63を清掃ブラシ61と逆方向に回転させて接触させる場合に比較して、除去ブラシ63を清掃ブラシ61との接触部位において第1毛材61Fと第2毛材63Fとの相対速度が大きくなる。このためで、除去ブラシ63が第1毛材61Fを弾く力が強くなり、清掃ブラシ61のトナーが除去され易くなる。
【0068】
また、本実施形態の清掃装置60では、除去ブラシ63に対して、第2給電部66が正極性で、かつ第1電圧よりも高電圧の第2電圧を印加する。これにより、除去ブラシ63に、清掃ブラシ61に吸着されたトナーに対して静電的に吸引する吸引力が生じ、清掃ブラシ61と同等のバイアス電圧を除去ブラシ63に引加する場合に比較して、清掃ブラシ61からトナーを除去し易くなる。なお、除去ブラシ63に電圧を引加すれば、引加しない場合に比較してトナーを除去し易くなる。
【0069】
本実施形態の清掃装置60では、このようにして清掃ブラシ61上のトナーを除去ブラシ63で除去するので、清掃ブラシ61にトナーが堆積することを抑制でき、清掃ブラシ61による二次転写ベルト36の清掃能力を長期に渡って維持することができる。
【0070】
なお、除去ブラシ63の第2毛材63Fが、清掃ブラシ61の第1毛材61Fと第1毛材61Fとの間に入り込んで通過するので、第1毛材Fの乱れを整えることができる。
【0071】
(除去ブラシ63のトナー除去)
除去ブラシ63に吸着したトナーを除去する場合は、一例として、画像を形成してない状態で、除去ブラシ63に対してトナーと同極性の電圧を引加する。これにより、トナーが静電的に反発され、トナーが除去ブラシ63から離脱される。除去ブラシ63から離脱したトナーは、受け69に落下して回収される。
【0072】
[その他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0073】
上記実施形態では、円柱状の除去ブラシ63を清掃ブラシ61と同様に時計方向に回転させたが、除去ブラシ63の回転方向は清掃ブラシ61とは逆方向であってもよい。
【0074】
上記実施形態では、回転させた除去ブラシ63を清掃ブラシ61に接触させたが、除去ブラシ63は必要に応じて回転させればよく、清掃ブラシ61のトナーを除去できる場合には、除去ブラシ63は静止させてもよい。除去ブラシ63を回転させる必要が無ければ第2回転駆動装置68は設け無くてもよい。
【0075】
上記実施形態では、除去ブラシ63を第2回転駆動装置68で回転させたが、手動で回転させてもよい。
【0076】
上記実施形態の除去ブラシ63では、同じ長さの多数本の第2毛材63Fが、軸部63Aに設けられていたが、長さの異なる多数本の第2毛材63Fが軸部63Aに設けられていてもよい。
【0077】
上記実施形態の除去ブラシ63では、第2毛材63Fが軸部63Aから放射方向(半径方向外側方向)に延びていたが、第2毛材63Fは、放射方向(半径方向外側方向)に対して傾斜して延びていてもよい。例えば、第2毛材63Fを、放射方向(半径方向外側方向)に対して、回転方向側に傾斜させてもよく、回転方向側とは反対側に傾斜させてもよい。
【0078】
上記実施形態では、除去ブラシ63に第2電圧を印加したが、第2電圧は必要に応じて印加すればよく、清掃ブラシ61に除去ブラシ63を接触させるだけで清掃ブラシ61のトナーを除去できている場合には、除去ブラシ63に第2電圧を印加しなくてもよい。
【0079】
上記実施形態では、除去ブラシ63の形状が円柱状であったが、除去ブラシ63の形状は円柱状に限らず、清掃ブラシ61のトナーを除去できる場合には、一例として、長尺の平板状の部材に多数の毛材を設けた構造のものであってもよい。
【0080】
上記実施形態では、清掃装置60を二次転写ベルト36の清掃に用いたが、清掃装置60は中間転写ベルト31の清掃に用いることもできる。この場合、図5に示すように、清掃装置35の代わりに清掃装置60を用いればよい。清掃装置60は、二次転写ベルト36と同様に、中間転写ベルト31に付着したトナーを清掃することができる。
また、二次転写ベルト36が無い画像形成装置であって、二次転写ロール34と中間転写ベルト31とで記録媒体Pをニップする構成の場合、二次転写ロール34が本発明のトナー搬送体となる。この場合、図示は省略するが、二次転写ロール34に対向して清掃装置60を設ければよく、これにより、二次転写ロール34に付着したトナーを清掃装置60で清掃することができる。
【0081】
上記実施形態では、負極性に帯電したトナーを清掃する例を説明したが、清掃ブラシ61、及び除去ブラシ63に負極の電圧を印加すれば、正極性に帯電したトナーを清掃することができる。
【0082】
また、負極性に帯電したトナーと、正極性に帯電したトナーとが混在して二次転写ベルト36(または中間転写ベルト31)に付着している場合には、負極性に帯電したトナーを除去する清掃装置60と、正極性に帯電したトナーを除去する清掃装置60とを搬送方向に沿って直列に設ければよい。
【符号の説明】
【0083】
10 画像形成装置
31 中間転写ベルト(無端ベルトの一例、転写部材であるトナー搬送体の一例)
36 二次転写ベルト(転写部材であるトナー搬送体の一例)
P 記録媒体
61 清掃ブラシ(清掃ブラシの一例)
61B ブラシ部(第1毛材の一例)
63 除去ブラシ(除去ブラシの一例)
63B ブラシ部(第2毛材の一例)
65 第1給電部
66 第2給電部
67 第1回転駆動装置(第1回転駆動装置の一例)
68 第2回転駆動装置(第2回転駆動装置の一例)
図1
図2
図3
図4
図5