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  • 特許-エンジンの吸気音増幅装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】エンジンの吸気音増幅装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/12 20060101AFI20250415BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20250415BHJP
【FI】
F02M35/12 Z
F02M35/10 101K
F02M35/10 101M
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021202639
(22)【出願日】2021-12-14
(65)【公開番号】P2023088025
(43)【公開日】2023-06-26
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 陽介
(72)【発明者】
【氏名】楠元 慧
(72)【発明者】
【氏名】児玉 臣
【審査官】村山 美保
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-223858(JP,A)
【文献】特開2013-082313(JP,A)
【文献】特開2008-006866(JP,A)
【文献】特開2006-051900(JP,A)
【文献】特開2006-063839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/12
F02M 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエンジンルームに搭載されたエンジンから車室に伝達される吸気音を増幅する、エンジンの吸気音増幅装置であって、
前記エンジンに吸気を導入する吸気通路から分岐した第1通路と、
前記吸気の脈動により振動する振動体を含み、且つ、前記第1通路の下流側に接続された装置本体と、
前記装置本体の下流側に接続されるとともに前記車室側に延びる第2通路と、を備え、
前記装置本体の少なくとも一部は、車両前後方向に延び且つ前記エンジンルームの内外を車幅方向に区画するサイドフレームよりも、前記車幅方向外側に位置し、
前記第2通路は、
前記サイドフレームよりも前記車幅方向外側に配置された外側部分と、
前記サイドフレームよりも前記車幅方向内側に配置された内側部分と、を含み、
前記外側部分の通路長さは、前記内側部分の通路長さよりも、長い、エンジンの吸気音増幅装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエンジンの吸気音増幅装置において、
前記装置本体は、前記車幅方向に見て、前記サイドフレームに重なる位置にある、エンジンの吸気音増幅装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエンジンの吸気音増幅装置において、
前記第1通路の少なくとも一部は、前記サイドフレームよりも、前記車幅方向外側に位置する、エンジンの吸気音増幅装置。
【請求項4】
請求項3に記載のエンジンの吸気音増幅装置において、
前記第1通路は、前記サイドフレームの下側を通って前記装置本体に接続されている、エンジンの吸気音増幅装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれか1つに記載のエンジンの吸気音増幅装置において、
前記装置本体の少なくとも一部は、フェンダーパネルよりも、前記車幅方向内側に位置する、エンジンの吸気音増幅装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エンジンの吸気音増幅装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のエンジンルームに搭載されたエンジンから車室に伝達される吸気音を増幅するための吸気音増幅装置が、知られている。例えば、特許文献1に開示の吸気音増幅装置は、エンジンに新気を供給する吸気管におけるスロットルバルブの上流から分岐した第1通路と、第1通路における吸気管の反対側の端部に設けられた振動部と、一端が振動部と接続され、他端が車室と対向する第2通路と、第2通路の中間部に設けられた消音部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-066930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸気音増幅装置は、通常、エンジンルーム内に配置されている。また、吸気音増幅装置は、予め設定された所定周波数の吸気音を、増幅する。
【0005】
しかしながら、吸気音増幅装置がエンジンルーム内に配置されていると、エンジンからの放射熱が吸気音増幅装置に伝わるため、吸気音増幅装置による吸気音の増幅周波数が変化してしまう。
【0006】
また、エンジンルーム内には、吸排気系や減速機などの種々の機器が配置されているので、吸気音増幅装置をエンジンルーム内に配置しようとしても、配置可能なスペースが小さく、吸気音増幅装置のサイズ(振動部の大きさ、通路の長さ等)を自由に設計し難い。なお、吸気音増幅装置のサイズは、吸気音増幅装置の性能(例えば、増幅周波数など)に関係する。
【0007】
本開示は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、吸気音増幅装置において、エンジンからの放射熱による吸気音の増幅周波数変化を抑制するとともに、レイアウト自由度を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る吸気音増幅装置は、車両のエンジンルームに搭載されたエンジンから車室に伝達される吸気音を増幅する、エンジンの吸気音増幅装置であって、上記エンジンに吸気を導入する吸気通路から分岐した第1通路と、上記吸気の脈動により振動する振動体を含み、且つ、上記第1通路の下流側に接続された装置本体と、上記装置本体の下流側に接続されるとともに上記車室側に延びる第2通路と、を備え、上記装置本体の少なくとも一部は、車両前後方向に延び且つ上記エンジンルームの内外を車幅方向に区画するサイドフレームよりも、上記車幅方向外側に位置し、上記第2通路は、上記サイドフレームよりも上記車幅方向外側に配置された外側部分と、上記サイドフレームよりも上記車幅方向内側に配置された内側部分と、を含み、上記外側部分の通路長さは、上記内側部分の通路長さよりも、長い。
【0009】
これによれば、吸気音増幅装置の装置本体がサイドフレームよりも車幅方向外側に配置されているので、エンジンからの放射熱は、サイドフレームに遮られて、装置本体に含まれる振動体に伝わりにくくなる。これにより、エンジンからの放射熱の影響で吸気音の増幅周波数が変化することを、抑制することができる。
【0010】
また、吸気音増幅装置の装置本体がサイドフレームよりも車幅方向外側、すなわちエンジンルーム外に配置されているので、エンジンルーム内に配置された種々の機器との干渉を気にすることなく、吸気音増幅装置の性能に関係する吸気音増幅装置のサイズ(装置本体の大きさ、第1通路及び第2通路の長さ、等)を、比較的自由に設計することができる。すなわち、吸気音増幅装置のレイアウト自由度が高まる。
【0011】
以上、吸気音増幅装置において、エンジンからの放射熱による吸気音の増幅周波数変化を抑制するとともに、レイアウト自由度を高めることができる。第2通路の大部分をサイドフレームよりも車幅方向外側に配置することによって、第2通路のレイアウト自由度をさらに高めることができる。
【0012】
一実施形態では、上記装置本体は、上記車幅方向に見て、上記サイドフレームに重なる位置にある。
【0013】
これによれば、エンジンからの放射熱による吸気音の増幅周波数変化を抑制する上で、より有利になる。
【0014】
一実施形態では、上記第1通路の少なくとも一部は、上記サイドフレームよりも、上記車幅方向外側に位置する。
【0015】
これによれば、第1通路をエンジンの放射熱から保護することができるので、吸気音の増幅周波数変化を抑制する上でさらに有利になる。また、第1通路のレイアウト自由度を高めることができる。
【0016】
一実施形態では、上記第1通路は、上記サイドフレームの下側を通って上記装置本体に接続されている。
【0017】
これによれば、サイドフレームの下側の空間を有効活用することによって、第1通路のレイアウト自由度をさらに高めることができる。
【0020】
一実施形態では、上記装置本体の少なくとも一部は、フェンダーパネルよりも上記車幅方向内側に、位置する。
【0021】
これによれば、サイドフレームとフェンダーパネルとの間(フェンダー内部)のデッドスペースを、吸気音増幅装置を配置するために、有効活用することができる。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、吸気音増幅装置において、エンジンからの放射熱による吸気音の増幅周波数変化を抑制するとともに、レイアウト自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、吸気音増幅装置を含む車両前部を平面図で示す。
図2図2は、吸気音増幅装置を側面図で示す。
図3図3は、吸気音増幅装置を縦断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0025】
図1は、後述する吸気音増幅装置20を含む車両1の前部を、上側から見た平面図で示す。図1に示すように、車両1の前部のエンジンルーム2内には、エンジン3が搭載されている。エンジン3は、複数のシリンダ(図示せず)が車両前後方向(図1における上下方向)に並ぶ縦置多気筒エンジンである。図示しないが、エンジンルーム2内において、エンジン3には減速機が連結されている。また、図示しないが、エンジンルーム2内には、過給機、モータ及びバッテリ等も収容されている。
【0026】
エンジンルーム2は、車両前側で車幅方向(図1における左右方向)に延びるフロントクロスメンバ4と、車幅方向両側で車両前後方向に延びる左右のサイドフレーム(フロントサイドメンバ)5と、フロントクロスメンバ4よりも車両後側で車幅方向に延びるダッシュパネル6と、で区画されている。なお、図1では、車両進行方向に見て車幅方向左側のサイドフレーム5のみを図示する。
【0027】
フロントクロスメンバ4及びダッシュパネル6は、エンジンルーム2の内外を車両前後方向に区画する。特に、ダッシュパネル6は、エンジンルーム2と車室7とを区画する。サイドフレーム5は、エンジンルーム2の内外を車幅方向に区画する。サイドフレーム5は、溝形鋼、H形鋼又は角筒鋼などの鋼材で形成されている。サイドフレーム5は、フロントクロスメンバ4の車幅方向端部からダッシュパネル6の近くまで、車両前後方向に延びている。
【0028】
サイドフレーム5の車両後側の端部における車幅方向内側の面には、プレート8が取り付けられている。プレート8は、厚み方向が車幅方向に一致するように配置されている。プレート8は、車両前後方向において、サイドフレーム5とダッシュパネル6との間に配置されている。サイドフレーム5とプレート8とは、車幅方向において、略同じ位置にある。
【0029】
サイドフレーム5の車幅方向外側には、フェンダーパネル9(図1において二点鎖線で図示)が設けられている。フェンダーパネル9は、車輪(詳細には前輪、図示せず)を覆っており、回転する車輪自体又は車輪による石・泥・水などの跳ね上げから、乗員や歩行者を保護する。フェンダーパネル9は、車両1の車幅方向外端部に配置された外板でもある。
【0030】
車幅方向において、サイドフレーム5とフェンダーパネル9との間には、隙間(空間)が形成されている。
【0031】
エンジン3は、エンジン3に吸気(新気)を導入する吸気通路10を、備える。吸気通路10は、吸気を取り込む吸気ダクト11と、吸気を濾過するエアクリーナ12と、吸気量を調節するスロットルバルブ13と、エンジン3の各気筒に吸気を導入するインテークマニホールド14と、吸気ダクト11からインテークマニホールド14まで吸気が流れる吸気管15と、有する。吸気通路10は、サイドフレーム5よりも、車幅方向内側に位置する。なお、図示しないが、エンジン3には、排気通路が接続されている。
【0032】
エンジン3は、吸気音増幅装置20を、備える。吸気音増幅装置20は、エンジンルーム2に搭載されたエンジン3から車室7に伝達される吸気音を、増幅する。吸気音増幅装置20は、第1通路30と、装置本体40と、第2通路50と、備える。
【0033】
第1通路30は、吸気通路10から分岐している。装置本体40は、第1通路30の下流側に接続されている。第2通路50は、装置本体40の下流側に接続されている。
【0034】
第1通路30は、管状であって、樹脂で形成されている。第1通路30は、吸気管15におけるエアクリーナ12とスロットルバルブ13との間の分岐部16から分岐している。第1通路30は、分岐部16から出発して、サイドフレーム5の下側を通ってサイドフレーム5よりも車幅方向外側に延びた後に、車両後方に延びている。
【0035】
ここで、詳細は後述するが、装置本体40は、サイドフレーム5よりも、車幅方向外側に位置する。すなわち、第1通路30は、サイドフレーム5の下側を通って装置本体40に接続されている。また、第1通路30の下流端部31は、サイドフレーム5よりも、車幅方向外側に位置する。
【0036】
図2は、吸気音増幅装置20を左側から見た側面図で示す。図3は、吸気音増幅装置20を縦断面図で示す。図2,3に示すように、第1通路30の下流端部31は、車両後側(下流側)に延びるに従って上側に延びるように、傾斜している。第1通路30の下流端部31における開口縁部には、フランジ32が設けられている。
【0037】
図1に示すように、上述した通り、装置本体40は、サイドフレーム5よりも、車幅方向外側に位置する。また、装置本体40は、フェンダーパネル9よりも車幅方向内側に、位置する。すなわち、装置本体40は、車幅方向において、サイドフレーム5とフェンダーパネル9との間に位置する。装置本体40は、第1通路30の下流端部(下流側)31に接続されている。
【0038】
図2に示すように、装置本体40の一部は、車幅方向に見て、サイドフレーム5に重なる位置にある。換言すると、装置本体40は、サイドフレーム5と同じ高さに位置する。
【0039】
図3に示すように、装置本体40は、ハウジング41と、振動体(共振体)42と、取付部43と、を有する。ハウジング41は、車両前側(上流側)に開口する有底円筒状である。ハウジング41の車両前側の開口縁部には、フランジ41aが設けられている。ハウジング41と第1通路30の下流端部31とは、フランジ32,41aによって、互いに接続されている。ハウジング41の車両後側(下流側)の底壁部41bには、開口部41cが設けられている。筒状のハウジング41は、車両前後方向に水平に延びている。ハウジング41は、樹脂で形成されている。
【0040】
振動体42は、車両前側(上流側)に開口する有底円筒状であり、ハウジング41の内部に収容されている。振動体42は、円筒部42aと、底壁部42bと、フランジ42cと、を含む。振動体42は、ゴムで形成されている。振動体42は、膜状に形成されている。
【0041】
円筒部42aは、ハウジング41と同様に、車両前後方向に水平に延びている。円筒部42aは、弾性変形可能に蛇腹状に形成されている。底壁部42bは、円筒部42aの車両後側の開口を覆っている。底壁部42bは、第1通路30の下流端部31の開口に臨んでいる。フランジ42cは、円筒部42aの車両前側の開口縁部に設けられている。フランジ42cは、ハウジング41のフランジ41aに設けられた凹部41dに、嵌まり込んでいる。これにより、振動体42は、ハウジング41に固定されている。
【0042】
円筒部42aが蛇腹状に形成されているため、振動体42における底壁部42bは、吸気通路10を分岐して第1通路30を経て装置本体40に流れる吸気の脈動(圧力波)によって、振動(膜振動)する。振動体42が吸気脈動により振動することによって、吸気音は、特定の周波数帯において、共振して増幅される。
【0043】
取付部43は、ハウジング41の外周部に固定されている。取付部43がサイドフレーム5の下面に固定されることによって、装置本体40は、サイドフレーム5に取り付けられている。
【0044】
第2通路50は、管状であって、樹脂で形成されている。図2,3に示すように、第2通路50の上流端部51は、装置本体40のハウジング41の開口部41cに接続されている。すなわち、第2通路50の上流端部51は、サイドフレーム5よりも、車幅方向外側に位置する。第2通路50の上流端部51は、第1通路30の下流端部31と同様に、車両後側(下流側)に延びるに従って上側に延びるように、傾斜している。第2通路50の上流端部51は、装置本体40のハウジング41と一体形成されてもよい。
【0045】
図1,2に示すように、第2通路50は、ハウジング41の開口部41cから出発して、車両後側、すなわち車室7側に延びている。詳細には、第2通路50は、ハウジング41の開口部41cから出発して、車両後側且つ上側に延びた後に、曲折して車両後側且つ下側に延びている。そして、第2通路50は、さらに曲折して車幅方向内側に延びた後に、車両後側に曲折している。すなわち、第2通路50の下流端部52の開口部は、車室7側に臨んでいる。また、第2通路50の下流端部52の開口部は、ダッシュパネル6に近接している。詳細は後述するが、第2通路50の下流端部52は、サイドフレーム5よりも、車幅方向内側に位置する。
【0046】
図1に示すように、第2通路50は、外側部分53と、内側部分54と、で構成されている。外側部分53は、プレート8よりも車幅方向外側に配置されている。内側部分54は、プレート8よりも車幅方向内側に配置されている。ここで、上述したように、サイドフレーム5とプレート8とは、車幅方向において、略同じ位置にある。したがって、換言すると、外側部分53は、サイドフレーム5よりも車幅方向外側に配置されている。内側部分54は、サイドフレーム5よりも車幅方向内側に配置されている。
【0047】
第2通路50において、外側部分53と内側部分54とは、プレート8を境に、互いに別部材で形成されている。外側部分53と内側部分54とが互いに連通するように、プレート8には、孔(図示せず)が空けられている。上流端部51は、外側部分53に含まれている。下流端部52は、内側部分54に含まれている。
【0048】
第2通路50において、外側部分53の通路長さは、内側部分54の通路長さよりも、長い。
【0049】
以上、本実施形態によれば、吸気音増幅装置20の装置本体40がサイドフレーム5よりも車幅方向外側に配置されているので、エンジン3からの放射熱は、サイドフレーム5に遮られて、装置本体40に含まれる振動体42に伝わりにくくなる。これにより、エンジン3からの放射熱(輻射熱)の影響で吸気音の増幅周波数が変化することを、抑制することができる。
【0050】
詳細には、エンジン3からの放射熱に起因する、ゴム製の振動体42の変形や、樹脂製の第1通路30及び第2通路50の変形を抑制することによって、吸気音の増幅周波数の変化を抑制することができる。
【0051】
また、吸気音増幅装置20の装置本体40がサイドフレーム5よりも車幅方向外側、すなわちエンジンルーム2外に配置されているので、エンジンルーム2内に配置された種々の機器(例えば、吸排気系や減速機など)との干渉を気にすることなく、吸気音増幅装置20の性能に関係する吸気音増幅装置20のサイズ(装置本体40の大きさ、第1通路30及び第2通路50の長さ・太さ、等)を、比較的自由に設計することができる。すなわち、吸気音増幅装置20のレイアウト自由度が高まる。
【0052】
以上の通り、吸気音増幅装置20において、エンジン3からの放射熱による吸気音の増幅周波数変化を抑制するとともに、レイアウト自由度を高めることができる。
【0053】
吸気音増幅装置20の装置本体40が、車幅方向に見てサイドフレーム5に重なる位置にあるので、エンジン3からの放射熱による吸気音の増幅周波数変化を抑制する上で、より有利になる。
【0054】
第1通路30の一部、具体的には下流端部31は、サイドフレーム5よりも車幅方向外側に位置する。これにより、第1通路30を、エンジン3の放射熱から保護することができるので、吸気音の増幅周波数変化を抑制する上でさらに有利になる。また、第1通路30のレイアウト自由度を高めることができる。
【0055】
第1通路30がサイドフレーム5の下側を通って装置本体40に接続されているので、サイドフレーム5の下側の空間を有効活用することによって、第1通路30のレイアウト自由度をさらに高めることができる。
【0056】
第2通路50における外側部分53の通路長さが内側部分54の通路長さよりも長いので、第2通路50の大部分をサイドフレーム5よりも車幅方向外側に配置することによって、第2通路50のレイアウト自由度をさらに高めることができる。
【0057】
装置本体40がフェンダーパネル9よりも車幅方向内側に位置するので、サイドフレーム5とフェンダーパネル9との間(フェンダー内部)のデッドスペースを、吸気音増幅装置20を配置するために、有効活用することができる。
【0058】
以上、本開示を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【0059】
吸気音増幅装置20の装置本体40の一部が、サイドフレーム5の真下に位置してもよい。すなわち、装置本体40の少なくとも一部が、サイドフレーム5よりも車幅方向外側に位置すればよい。第1通路30は、サイドフレーム5よりも車幅方向内側において、装置本体40に接続されることがある。
【0060】
第1通路30は、サイドフレーム5の上側を通って装置本体40に接続されてもよい。第2通路50の途中に、消音装置等の機器が設けられてもよい。
【0061】
プレート8は、無くてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本開示は、エンジンの吸気音増幅装置に適用できるので、極めて有用であり、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0063】
1 車両
2 エンジンルーム
3 エンジン
5 サイドフレーム
6 ダッシュパネル
7 車室
8 プレート
9 フェンダーパネル
10 吸気通路
20 吸気音増幅装置
30 第1通路
40 装置本体
41 ハウジング
42 振動体
50 第2通路
53 外側部分
54 内側部分
図1
図2
図3