(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】運転負担感低減装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20250415BHJP
【FI】
G08G1/16 F
(21)【出願番号】P 2021209523
(22)【出願日】2021-12-23
【審査請求日】2024-04-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】武田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】内藤 貴博
(72)【発明者】
【氏名】柏木 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】那須 俊作
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-074848(JP,A)
【文献】特開2020-045015(JP,A)
【文献】特開2019-098862(JP,A)
【文献】特開2009-031874(JP,A)
【文献】特開2016-187539(JP,A)
【文献】特開2012-159541(JP,A)
【文献】特開2013-139257(JP,A)
【文献】特開2006-247255(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0025969(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60T 7/12 - 8/1769
B60T 8/32 - 8/96
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
A61B 5/06 - 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転者の運転操作に係る運転負荷を推定する運転負荷推定部(110)と、
走行中の前記運転者の状態を改善するための五感刺激を、前記運転者に提供する五感刺激提供部(120)と、
前記五感刺激提供部によって提供される前記五感刺激を制御する五感刺激制御部(130)と、を備え、
前記五感刺激制御部は、前記運転負荷推定部によって推定される前記運転負荷に基づいて、前記五感刺激提供部によって提供される前記五感刺激の動作状態を変更することで、前記運転者に対して前記運転負荷をフィードバックし、前記運転者自らが前記車両をコントロールしていることを前記運転者に認識させ
、
前記五感刺激の動作状態は、予め上限値と下限値とが設定されており、
前記五感刺激制御部は、前記上限値および前記下限値の範囲で、前記運転負荷に基づいて、前記五感刺激の動作状態を変更し、
前記五感刺激の動作状態の変更は、前記運転者に対する刺激強度の変更であり、
前記刺激強度は、前記運転負荷のレベルが相対的に高い領域では、前記運転負荷のレベルが相対的に低い領域に比べて、緩やかに変化させるように前記運転負荷に応じて対数的に変化するように設定された運転負担感低減装置。
【請求項2】
前記五感刺激の前記上限値は、運転中に前記運転者が許容できる範囲の値として設定された請求項
1に記載の運転負担感低減装置。
【請求項3】
前記五感刺激の前記下限値は、運転中に前記運転者が気づくことのできる範囲の値として設定された請求項
1または請求項
2に記載の運転負担感低減装置。
【請求項4】
前記刺激強度は、前記運転負荷が大きくなる程、小さくなるように設定される請求項
1~請求項
3のいずれか1つに記載の運転負担感低減装置。
【請求項5】
前記刺激強度は、運転者に照射される光の輝度である請求項
1~請求項
4のいずれか1つに記載の運転負担感低減装置。
【請求項6】
前記上限値および前記下限値は、前記車両の内外の環境条件に応じて設定された請求項
1~請求項
5のいずれか1つに記載の運転負担感低減装置。
【請求項7】
前記環境条件は、前記車両の外の上方照度であることを特徴とする請求項
6に記載の運転負担感低減装置。
【請求項8】
前記五感刺激提供部は、前記五感刺激として光刺激を提供するようになっており、
前記五感刺激制御部は、前記上方照度の複数の代表点で上限値および下限値を設定し、それぞれの前記代表点の間の値は、線形近似して、内挿補完する請求項
7に記載の運転負担感低減装置。
【請求項9】
前記五感刺激提供部は、前記五感刺激として、触覚刺激を提供する請求項1~請求項
4のいずれか1つに記載の運転負担感低減装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運転負担感低減装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
居眠り防止装置として、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1の居眠り防止装置では、運転者の眠気の情報を取得する情報取得手段と、眠気の情報から眠気の強さの度合い(眠気度)を特定する眠気度特定手段と、運転者を覚醒させるために刺激を与える覚醒手段と、運転者の眠気度が大きいほど運転者を覚醒させる度合いが強くなるように覚醒手段を制御する覚醒制御手段と、を備えている。
【0003】
これにより、運転者を覚醒させるために、運転者の眠気度が大きいほど覚醒させる度合いが強くなるように運転者に刺激が与えられるので、より快適に運転者を覚醒させることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1は、五感刺激を使って、眠気、ストレス、イライラ、疲労といったRussellの円環モデルにおける不快な感情、情動に相当するドライバの状態を改善するものであって、運転中の負担感を低減するものではない。
【0006】
本開示の目的は、上記問題に鑑み、運転中における運転者の負担感を低減可能とする運転負担感低減装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0008】
本開示の運転負担感低減装置では、
車両の運転者の運転操作に係る運転負荷を推定する運転負荷推定部(110)と、
走行中の運転者の状態を改善するための五感刺激を、運転者に提供する五感刺激提供部(120)と、
五感刺激提供部によって提供される五感刺激を制御する五感刺激制御部(130)と、を備え、
五感刺激制御部は、運転負荷推定部によって推定される運転負荷に基づいて、五感刺激提供部によって提供される五感刺激の動作状態を変更することで、運転者に対して運転負荷をフィードバックし、運転者自らが車両をコントロールしていることを運転者に認識させ、五感刺激の動作状態は、予め上限値と下限値とが設定されており、五感刺激制御部は、上限値および下限値の範囲で、運転負荷に基づいて、五感刺激の動作状態を変更し、五感刺激の動作状態の変更は、運転者に対する刺激強度の変更であり、刺激強度は、運転負荷のレベルが相対的に高い領域では、運転負荷のレベルが相対的に低い領域に比べて、緩やかに変化させるように運転負荷に応じて対数的に変化するように設定される。
【0009】
本開示によれば、運転負荷に基づいて提供される五感刺激の動作状態が変更されることで、運転者に対して運転負荷がフィードバックされる。よって、運転者は、自らが車両をコントロールしていることを認識することができるので、運転操作に伴う負担感を低減することができる。
【0010】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】運転操作における負担感の絶対評価を行った結果を示すグラフである。
【
図2】運転操作における負担感の相対評価を行った結果を示すグラフである。
【
図3】運転負担感低減装置の全体構成を示す説明図である。
【
図4】運転負荷と刺激強度との関係を示すグラフである。
【
図5】車外の上方照度と車室内照明輝度との関係を示すグラフである。
【
図7】車両の上下方向加速度とシート振動刺激との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0013】
(第1実施形態)
第1実施形態の運転負担感低減装置100について、
図1~
図6を用いて説明する。運転負担感低減装置100は、運転者における運転の負担感を低減する装置である。
【0014】
運転の負担感というのは、運転操作における作業負担の感じ方を指し、不安感、落胆、いらいら、ストレス、悩み等の不快な感情を感じることに加え、気力や体力を必要と感じる、一生懸命に取組まないといけないと感じる、時間的な切迫感を感じることである。尚、ISO6835で作業負担は、「作業負荷が個人の特性や能力と関連して与える影響」と定義され、作業負荷は、「作業システムにおいて人の生理的・心理的状態を乱すように作用する外的条件や要求の総量」と定義されている。
【0015】
本開示の開発者は、
図1、
図2に示すように、運転操作に係る負荷の状況に応じて、運転者に提供する五感刺激(ここでは車内照明輝度)を変えてやることで、運転の負担感を低減可能であることを見出した。五感刺激における五感は、視覚、聴覚、触覚、味覚、臭覚であり、本実施形態では、これらのうち、少なくとも1つを含む。
【0016】
図1は、Dunnett法による負担感の絶対評価の結果を示したものである。
図1では、例えば、運転の負荷としてカーブや交差点での右左折を含むコースの走行テスト(n=7人)において、運転者に対する五感刺激として、車内照明輝度を取り上げて、車内照明輝度の提供要領を変えることで、主観的ワークロード評価尺度であるNASA‐TLXがどのように変化するかを確認した。
【0017】
開発者は、走行テスト時に、車内照明輝度を、「照明の点灯なし」→「照明の点灯あり(運転負荷に合わせた輝度変化の制御はなし)」→「照明の点灯あり(運転負荷に合わせた輝度変化の制御あり)」とすることによって、NASA‐TLXが順に低減することを確認した。
【0018】
また、
図2は、Wilcoxon順位和検定による負担感の相対評価の結果を示したものである。
図2では、例えば、
図1の場合と同様に、運転の負荷としてカーブや交差点での右左折を含むコースの走行テスト(n=7人)において、運転者に対する五感刺激として、車内照明輝度を取り上げて、車内照明輝度の提供要領を変えることで、運転者が感じる「楽しさ」がどのように変化するかを確認した。
【0019】
本開示の開発者は、走行テスト時に、車内照明輝度を、「照明の点灯あり(運転負荷に合わせた輝度変化の制御はなし)」→「照明の点灯あり(運転負荷に合わせた輝度変化の制御あり)」とすることによって、「楽しさ」が向上することを確認した。
【0020】
運転の負荷に合わせた五感刺激の制御について、被験者にアンケートを取った結果では、「楽しかった」、「満足を感じた」との回答に対して、共通する理由を確認すると、
・運転していることを実感する、あるいは、
・車両との一体感を感じる、あるいは、
・運転操作に対して反応があるのが、おもてなしされている、気遣ってくれているように感じる、等の内容であった。
【0021】
つまり、運転者は、運転負荷に応じて、五感刺激を受けて、運転状況を認識することで、自分の置かれている状況がよく理解できるようになる。そして、運転者は、その状況を正確に理解することで、運転負荷に対する捉え方が変わり、自分の手に負えないものではなくて、自分が車両をコントロールしている(しっかり運転操作している)ことを認識することで、同じ運転負荷であっても自分が対処できるのだという、ポジティブな印象を得ることができる。このことから、運転者は、運転操作に係る負担感を下げることができるという知見を得て、本開示の提案に至ったのである。
【0022】
以下、運転負担感低減装置100の構成、および作用効果について説明する。
【0023】
図3に示すように、運転負担感低減装置100は、検出部111、カメラ112、センサ113、地図データベース114、運転負荷推定部110、五感刺激提供部120、および五感刺激制御部130等を備えている。
【0024】
検出部111は、例えば、車速センサ、ステアリング、ウインカレバー、ペダル(アクセルペダル、ブレーキペダル)等である。車速センサは車速信号を、ステアリングは操舵角信号を、ウインカレバーは右左折信号を、またペダルは加減速信号を、運転負荷推定部110に出力する。
【0025】
カメラ112は、例えば、車外、車内に設けられており、自車両と先行車両との距離信号、運転者の顔画像信号等を、運転負荷推定部110に出力する。
【0026】
センサ113は、例えば、周囲の車両信号(自車両と周囲車両との位置関係の信号)、車外の上方照度信号(天候による上方の明るさ)、車両の上下方向加速度信号等を、運転負荷推定部110に出力する。
【0027】
地図データベース114は、例えば、カーナビゲーションシステムにおける地図データが共用されて、走行中の道路状況(道路種別、アップダウン、急カーブ、道路幅等)に係る地図データを、運転負荷推定部110に出力する。
【0028】
運転負荷推定部110は、車両における運転者の運転操作に係る運転負荷を推定する部位である。運転負荷推定部110は、上記の検出部111、カメラ112、センサ113、および地図データベース114等から得られる各種信号を用いて、運転者が主観的に判断する運転負荷の程度(運転に係る単位時間当たりの認知・判断・操作量)と合うように予め定められた運転負荷推定アルゴリズムによって、走行中に変化していく運転負荷を推定する。尚、運転者の主観としては、運転者に対する五感刺激がない状態で収集されたものが使用される。
【0029】
例えば、運転負荷推定部110は、車速信号が高いほど、操舵角信号が大きいほど、右左折信号がありの場合、加減速信号の変化が大きいほど、運転負荷はより高いと推定する。尚、走行パターンの差を例にすると、曲道→車線変更→交差点の順に、運転負荷は高くなる。また、運転負荷推定部110は、先行車両との距離信号が短いほど、顔画像信号における運転者の表情が硬いほど、また、自車周囲の確認回数が多いほど、運転負荷はより高いと推定する。また、運転負荷推定部110は、周囲の車両信号にて周囲の車両が多く距離が近いほど、上方照度信号が暗いほど、上下加速信号が大きいほど、運転負荷はより高いと推定する。また、運転負荷推定部110は、走行中の地図データにおいて運転難易度の高くなる道路ほど、運転負荷はより高いと推定する。運転負荷推定部110は、推定した運転負荷のデータを五感刺激制御部130に出力する。
【0030】
五感刺激提供部120は、走行中の運転者の状態を改善するための五感刺激を、運転者に提供する部位である。五感刺激提供部120は、例えば、車内照明、メータ等の表示部、シートを振動させる振動装置、刺激音を出力するスピーカ、運転者に対するマッサージ効果を発揮するエアパック等とすることができる。五感刺激提供部120は、出力する各種五感刺激の大きさを調整することができるようになっている。以下、五感刺激提供部120として、ここでは車内照明を用いた場合を代表例として説明する。
【0031】
五感刺激制御部130は、運転負荷推定部110によって推定される運転負荷に基づいて、五感刺激提供部120によって提供される五感刺激の動作状態(刺激強度)を変更する(変化させる)部位である。
【0032】
図4(
図5、
図6)に示すように、五感刺激制御部130は、推定された運転負荷が大きくなるほど、刺激強度が小さくなるように設定する。
【0033】
また、
図5(
図6)に示すように、五感刺激の動作状態における範囲(刺激強度の範囲)として、予め上限値と下限値とが設定されている。五感刺激制御部130は、上限値および下限値の範囲で、運転負荷に基づいて、刺激強度を変更する。
【0034】
上限値は、運転中に運転者が許容できる範囲(運転の支障にならない範囲)の値となっている。また、下限値は、運転中に運転者が気づくことのできる範囲の値となっている。
【0035】
尚、五感刺激(刺激強度)は、他の刺激との組み合わせ(例えば、照明と音)で、刺激に対する閾値が下がる可能性がある。そのため、刺激単独と、刺激の組み合わせにおいて、上限値に著しい差がないかを確認する必要がある。差がない場合には、刺激単独で調べた上限値を用いてもよい。
【0036】
図5では、刺激強度は車内照明による光の輝度(車室内照明輝度)とした場合を示しており、上限値と下限値は、車両の内外の環境条件(ここでは、車外の上方照度)に応じて設定されることを示している。つまり、車両の内外の環境条件として車外の上方照度とした場合に、この上方照度に応じて、車内照明による光の輝度が、上限値と下限値との間で変更される。尚、車外の上方照度は、天候による車外の明るさを意味し、例えば、低い側から高い側に向けて、夜間、薄暮れ、日中(曇天)、日中(晴天)の順にレベル設定されている。そして、上限値と下限値は、上方照度が高くなるにつれて大きくなるように設定される。
【0037】
五感刺激制御部130は、上方照度の複数の代表点(夜間、夕方、薄暮れ、曇天、晴天)で、上限値および下限値を設定し、それぞれの代表点の間の値は、線形近似して、内挿補完する。
【0038】
また、
図6に示すように、刺激強度は、運転負荷に応じて対数的に変化(減少)するように設定されている。運転負荷のレベル差を等間隔に取った場合、運転負荷のレベルが相対的に低い領域では、刺激強度は急峻に減少し、運転負荷のレベルが相対的に高い領域では、刺激強度は緩やかに減少する。
【0039】
本開示の運転負担感低減装置100においては、五感刺激制御部130によって、運転負荷に基づいて提供される五感刺激の動作状態が変更されることで、運転者に対して運転負荷がフィードバックされる。よって、運転者は、自らが車両をコントロールしていることを認識することができるので、運転操作に伴う負担感を低減することができる。
【0040】
また、五感刺激の動作状態は、予め上限値と下限値とが設定されており、五感刺激制御部130は、上限値および下限値の範囲で、運転負荷に基づいて、五感刺激の動作状態を変更するので、適切な五感刺激を運転者に提供することができる。
【0041】
また、五感刺激の上限値は、運転中に運転者が許容できる範囲の値として設定され、五感刺激の下限値は、運転中に運転者が気づくことのできる範囲の値として設定されることで、運転者に対して適切な五感刺激とすることができる。
【0042】
また、五感刺激の動作状態の変更は、運転者に対する刺激強度の変更としており、刺激強度を変更する(変化させる)ことで、好適な負担感低減の制御が可能となる。
【0043】
また、刺激強度は、運転負荷に応じて対数的に変化(減少)するように設定されている。これにより、運転負荷の相対的に低い領域では、刺激強度の変化量を大きくすることができ、また、運転負荷の相対的に高い領域では、刺激強度の変化量を小さくすることができる。
【0044】
また、刺激強度は、運転負荷が大きくなる程、小さくなるように設定される。これにより、運転負荷の相対的に低い領域では、刺激強度を大きくして運転者に効果的な刺激を提供することができ、また、運転負荷の相対的に高い領域では、刺激強度を小さくして運転者の運転操作に支障を与えないようにすることができる。総じて、運転者に対する負担低減を効果的に引き出すことができる。
【0045】
また、刺激強度は、運転者に照射される光の輝度とすることで、適用しやすく、好適なものとなる。
【0046】
また、上限値および下限値は、車両の内外の環境条件に応じて設定されるので、環境条件に合った刺激強度の設定が可能となる。
【0047】
また、環境条件としては、車両の外の上方照度として、好適である。
【0048】
また、五感刺激提供部120が、五感刺激として光刺激を提供する場合において、五感刺激制御部130は、上方照度の複数の代表点で上限値および下限値を設定し、それぞれの代表点の間の値は、線形近似して、内挿補完する。これにより、代表点の間の値を容易に推定することができる。
【0049】
(第2実施形態)
第2実施形態の運転負担感低減装置100ついて、
図7を用いて説明する。第2実施形態の運転負担感低減装置100は、上記第1実施形態で説明した
図5に対して、
図7を用いた制御を実行する。即ち、第2実施形態の運転負担感低減装置100は、車両の内外の環境条件として、車両の上下方向加速度を採用し、刺激強度として、シートを振動させる振動装置による振動刺激(触覚刺激)の強度を変更する。
【0050】
ここでは、車両の上下方向加速度の大小に応じて、シート振動刺激の強度が変更され、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0051】
尚、運転者に提供する刺激強度の変更方法としては、表示部(メータやセンタディスプレイ等)における輝度を変更するもの、スピーカによるノイズ音(刺激音)を変更するもの、あるいはエアパックによる押し込み量を変更するもの等としてもよい。
【0052】
(その他の実施形態)
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、1つの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、更に請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【符号の説明】
【0053】
100 運転負担感低減装置
110 運転負荷推定部
120 五感刺激提供部
130 五感刺激制御部