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特許7666324LED基板、積層体、およびLED基板の製造方法
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  • 特許-LED基板、積層体、およびLED基板の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】LED基板、積層体、およびLED基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10H 20/856 20250101AFI20250415BHJP
   H10H 20/857 20250101ALI20250415BHJP
   H10H 20/85 20250101ALI20250415BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20250415BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20250415BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20250415BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20250415BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20250415BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20250415BHJP
【FI】
H10H20/856
H10H20/857
H10H20/85
G02F1/13357
G02B5/08 Z
F21S2/00 484
B32B7/023
B32B27/00 N
B32B27/20 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021531332
(86)(22)【出願日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 JP2021018185
(87)【国際公開番号】W WO2021235310
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2024-04-24
(31)【優先権主張番号】P 2020089421
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020156933
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021041094
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昌平
(72)【発明者】
【氏名】宇都 孝行
(72)【発明者】
【氏名】内田 裕仁
(72)【発明者】
【氏名】荘司 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 崇志
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-036127(JP,A)
【文献】国際公開第2015/045979(WO,A1)
【文献】特開2012-069749(JP,A)
【文献】特開2016-139760(JP,A)
【文献】国際公開第2011/118109(WO,A1)
【文献】特開2014-003260(JP,A)
【文献】特開2017-143236(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101820044(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10H 20/00 - 20/858
H01S 5/00 - 5/50
G02F 1/1335 - 1/13357
G02B 5/08
F21S 2/00
B32B 1/00 - 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の少なくとも片面に、LED光源および反射層を有するLED基板であって、
前記反射層が白色顔料を含んでなり、
前記反射層が粘着層を介して前記基材に貼合されており、
かつ前記LED光源の反射層からの突出部高さ(P)が20μm以上200μm以下であ
前記反射層が1つ以上の貫通孔と、貫通孔周囲1.0mm域内に粘着層側に突出した隆起部を有し、前記隆起部の高さ(h)と粘着層厚み(t)の比(t/h)が0.20以上2.00未満である
LED基板。
【請求項2】
前記反射層の厚みが20μm以上である請求項1に記載のLED基板。
【請求項3】
前記反射層が、二軸配向フィルムである請求項1または2に記載のLED基板。
【請求項4】
前記反射層がポリエステル樹脂を主成分とし、前記反射層の層面に対して垂直方向の断面における平均ボイド含有率が10%以上70%以下である請求項1または2に記載のLED基板。
【請求項5】
前記LED光源の高さ(H1)と、前記反射層の高さ(H2)の比(H2/H1)が0.1以上0.8以下である請求項1または2に記載のLED基板。
【請求項6】
前記LED光源が反射層に有する前記貫通孔を通して配置され、前記基材の面直上から観察した際のLED光源の面積(Sl)と貫通孔の面積(Sh)の比率(Sl/Sh)が、0.25以上1.00未満である請求項1または2に記載のLED基板。
【請求項7】
前記反射層の前記基材とは反対側の表面の三次元表面粗さSRaが300nm以上2000nm未満である請求項1または2に記載のLED基板。
【請求項8】
前記LED光源が、青色LED光源である請求項1または2に記載のLED基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED基板および積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン、テレビ、携帯電話などの表示装置として、液晶を利用したディスプレイが数多く用いられている。これらの液晶ディスプレイは、裏側からバックライトと呼ばれる面光源を設置して光を照射することにより表示が可能となっている。
【0003】
液晶ディスプレイ用バックライトに用いられる反射層には、従来、白色顔料を添加したフィルムや内部に微細な気泡を含有させたフィルムが単独で、もしくはこれらのフィルムと金属板、プラスチック板などを貼り合わせたものが使用されてきた。特に内部に微細な気泡を含有させたフィルムは、輝度の向上効果や、画面輝度の均一化に一定の効果があることから広く使用されている(特許文献1、2)。
【0004】
携帯電話・スマートフォンおよびノート型パソコンの薄型化、小型化やテレビの大画面化に伴い、反射層に対して薄膜であるにも係わらず高い反射性、光の高隠蔽性、および高い剛性が要求されるようになってきた。特に、いわゆる4Kや8Kと呼ばれる高精細な液晶テレビでは、液晶パネルの透過率が低下する傾向にあり、より薄い反射層で高い反射性が求められている。
【0005】
反射層には、フィルム内部に含有された微細な気泡とマトリックス樹脂との界面での屈折率差による光の反射を利用した構成が広く採用されている。より高い反射性を達成するためには、界面数を多くする必要がある。界面数を多くするために、粒径が比較的小さい無機粒子を核とするボイドの形成が検討されてきた(特許文献3、4)。
【0006】
また、反射層を直下型ディスプレイにおいて使用する場合、従来は光源(LED)の位置に合わせて孔を開ける加工を行い、孔を通してLEDが出るようにセットする方法が行われている(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-160682号公報
【文献】特公平8-16175号公報
【文献】特許第3946183号公報
【文献】特開2013-136232号公報
【文献】特開2015-106028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年のバックライトについては、近年のディスプレイの高輝度、高コントラスト、広色域のニーズから、基板上に微小なLEDを多数配置してなるLED方式(ミニLED方式)の技術が検討されている。しかしながら、ミニLED方式のLED基板の反射層として特許文献1~4に記載の反射フィルムを用いる場合に、特許文献5に記載されている方法でLED基板を作製すると、光源の小型化(すなわち開ける孔の微小化)に伴い、加工難易度が高まり、LED基板作製の収率が落ちたりする課題があった。また、LED基板を作成できたとしても、従来のLED方式と比較して大幅に輝度が低下したり、輝度ムラが大きくなったりする課題があり、解決が望まれていた。さらに、ミニLED方式では基板と反射フィルムの間の密着性や積層精度を高めるために両者の間に接着層あるいは粘着層を設けることが好ましいが、その場合に従来のLED方式では問題とならなかった孔周辺の隆起部の存在が輝度や加工性に大きく影響するという新たな課題を見出した。
【0009】
本発明の課題は上記した従来技術による問題点を解消することにある。すなわち、ミニLED方式のバックライトに用いた場合にも十分な輝度を達成可能なLED基板および積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、以下の構成を有するLED基板および積層体により上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。すなわち、
[I]基材の少なくとも片面に、LED光源、反射層を有するLED基板であって、前記反射層が白色顔料を含んでなり、かつ前記LED光源の反射層からの突出部高さ(P)が20μm以上200μm以下である、LED基板。
[II]前記反射層がポリエステル樹脂を主成分とし、前記反射層の層面に対して垂直方向の断面における平均ボイド含有率が10%以上70%以下である[I]に記載のLED基板。
[III]前記LED光源の高さ(H1)と、前記反射層の高さ(H2)の比(H2/H1)が0.1以上0.8以下である[I]または[II]に記載のLED基板。
[IV]前記反射層が1つ以上の貫通孔を有し、前記LED光源が反射層に有する貫通孔を通して配置され、前記基材の面直上から観察した際のLED光源の面積(Sl)と貫通孔の面積(Sh)の比率(Sl/Sh)が、0.25以上1.00未満である[I]~[III]のいずれかに記載のLED基板。
[V]前記反射層の前記基材とは反対側の表面の三次元表面粗さSRaが300nm以上2000nm未満である[I]~[IV]のいずれかに記載のLED基板。
[VI]前記LED光源が、青色LED光源である[I]~[V]のいずれかに記載のLED基板。
[VII]少なくとも反射層と粘着層を隣接して有する積層体であって、反射層が1つ以上の貫通孔と、貫通孔周囲1.0mm域内に粘着層側に突出した隆起部を有し、前記隆起部の高さ(h)と粘着層厚み(t)の比(t/h)が0.20以上2.00未満である積層体。
[VIII]少なくとも、剥離層、粘着層、反射層、支持層をこの順に有する積層体であって、すべての層を貫通する長径が0.2mm以上5.0mm以下である2以上の貫通孔を有し、積層体に占める貫通孔の割合(開口率)が0.1%以上60%以下である積層体。
[IX]少なくとも、剥離層、粘着層、反射層、および支持層をこの順に有する積層体はすべての層を貫通する貫通孔を有し、当該積層体から前記剥離層を除去する工程Aと、前記工程Aの後に前記粘着層と基板とを固定する工程Bと、前記工程Bの後に前記反射層から前記支持層を剥離する工程Cを含むLED基板の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ミニLED方式のバックライトの輝度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のLED基板の一例を示す模式断面図である。
図2】本発明の積層体の一例を示す模式断面図であって、反射層の隆起部の隆起高さ(h)と粘着層厚み(t)を表す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態について詳細に述べるが、本発明は以下の実施例を含む実施の形態に限定して解釈されるものではなく、発明の目的を達成できて、かつ、発明の要旨を逸脱しない範囲内においての種々の変更は当然あり得る。
【0014】
図1を用いて本発明のLED基板を説明する。本発明の一態様として、図1に例示されるように、基材2の少なくとも片面に、LED光源5、反射層3を有するLED基板であって、前記LED光源の反射層からの突出部高さ(P)6が20μm以上200μm以下であるLED基板1が挙げられる。ここでいう突出部高さ(P)とは、反射層のLED光源に近接する場所の最高点(基板からの距離が最大となる点)と前記LED光源の最高点(基板からの距離が最大となる点)との高低差のことを指す。本発明者らは、LEDの小型化に伴う輝度の低下は、LED光源の最高点が反射層の最高点よりも低くなっていることにより、LED光源から出射した光が反射層に遮られることが原因であることを見出した。そこで、LED光源の突出部高さ(P)を前記特定の範囲に制御することにより、LED光源から出射する光が反射層に遮られ輝度が低下する現象を抑制することができ、さらには輝度ムラを抑制することができる。突出部高さ(P)を20μm以上とすることで、LED光源から出射した光が反射層に遮られ輝度が低下することを抑制することができる。一方、突出部高さ(P)を200μm以下とすることで、LEDが大きいためにバックライトの総厚みが厚くなってディスプレイの薄型化が阻害されたり、ディスプレイの高精細さが阻害されたりすることを抑制できる。突出部高さ(P)は、好ましくは35μm以上120μm以下であり、50μm以上70μm以下であると最も好ましい。突出部高さ(P)が大きくなるほど、LED基盤を実装したバックライトの輝度を向上させることが容易となる。また、突出部高さ(P)が低くなるほどLEDのサイズを小型化でき、ディスプレイの薄型化や表示の高精細化などが容易となる。LED光源の反射層からの突出部高さ(P)が20μm以上200μm以下とするための方法は特に限定されないが、例えばLED光源の高さと反射層厚みのバランスを調整する方法などが挙げられる。
【0015】
本発明のLED基板に用いる基材は、配線及び端子を有する導体パターン等を支持するものと理解される。導体パターン同士を絶縁するものであってもよく、例えば、ガラスエポキシ製の絶縁樹脂基板などが挙げられる。なお、本発明に用いられる基材としては、特に限定はなく、LED用の基材に一般的に用いられる材料を用いることができる。このような材料として、例えば、ガラス布、紙などの補強材に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸し、積層、加熱加圧して得られる絶縁性の樹脂基板、LCP、PPS、熱可塑性ポリイミド等の熱可塑性樹脂を含んでなるシート状基板、セラミック等の絶縁性の無機基板、アルミニウム等の金属基板上に絶縁樹脂を積層した金属ベース基板、等が挙げられる。
【0016】
本発明のLED基板に用いるLED光源は、例えば、可視域の発光が可能な窒化物半導体等を好適に用いることができる。LED基板は、少なくとも1つのLED光源を備えていればよく、LED光源の個数は目的や用途に応じて変更可能である。
【0017】
本発明で用いられる反射層は、白色顔料を含むことが必要である。例えば、酸化チタン等の白色顔料を含有する熱硬化性樹脂を基材上にコーティングして形成される白色樹脂層や、酸化チタン等の白色顔料、および気泡を含有する白色樹脂フィルムなどが挙げられる。白色顔料を含むことにより反射層の反射率が向上できる。特に輝度や加工性、色目の均一性の観点から、白色樹脂フィルムが好ましく用いられる。
【0018】
本発明における反射層は、輝度や加工性、色目の均一性の観点から、ポリエステル樹脂を主成分とし、前記反射層の層面に対して垂直方向の断面における平均ボイド含有率が10%以上70%以下であることが好ましい。より好ましい平均ボイド含有率は15%以上60%以下である。ここで主成分とは、樹脂組成物を構成する樹脂成分のうち、50質量%以上を占める成分をさす。
【0019】
ポリエステル樹脂について、好ましい態様を以下に記載する。ポリエステル樹脂とはエステル結合を主鎖に持つ高分子をいうが、本発明に用いるポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールとが縮重合した構造を持つポリエステル樹脂が好ましい。ジカルボン酸成分としては、例えば、芳香族ジカルボン酸では、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5-ナトリウムスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸などの各成分を挙げることができる。また、ジカルボン酸エステル誘導体成分として、上記ジカルボン酸化合物のエステル化物、例えばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2-ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどの各成分を挙げることができる。また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)などの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物などが挙げられる。これらはそれぞれ1種だけであっても2種以上用いられるものであっても良い。また、フィルムとして製膜性に影響が出なければトリメリット酸、ピロメリット酸およびそのエステル誘導体のうち1種以上が少量共重合されたものであっても構わない。
【0020】
ポリエステル樹脂の具体的な例は、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称する)、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ-1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートなどは安価に入手でき、かつ製膜性も良好であるため、特に好適に用いることができる。
【0021】
また、ポリエステル樹脂はホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。コポリマーである場合の共重合成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、炭素数2~15のジオール成分を挙げることができ、これらの例としては、例えばイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、スルホン酸塩基含有イソフタル酸、およびこれらのエステル形成性化合物、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、数平均分子量400~20,000のポリアルキレングリコールなどを挙げることができる。
【0022】
本発明に用いられるポリエステルとしては、JIS K-7122(1987)に準じて、昇温速度10℃/minで樹脂を25℃から300℃まで加熱(1stRUN)し、その状態で5分間保持後、次いで25℃以下となるよう40℃/分の速度で急冷し、再度25℃から10℃/minの昇温速度で300℃まで昇温を行って得られた2ndRUNの示差走査熱量測定チャートにおいて、融解ピークのピーク面積から求められる結晶融解熱量ΔHmが、20J/g以上である樹脂が好ましい。より好ましくは結晶融解熱量ΔHmが25J/g以上、さらに好ましくは30J/g以上である。結晶融解熱量が30J/g以上のポリエステルを用いることで、打ち抜き加工で孔開けを行う際に孔周縁部の隆起部の高さを小さく抑えることが出来る。
【0023】
本発明に用いられるポリエステルとしては、カルボキシル基末端基数が10当量/t以上40当量/t以下であることが好ましい。より好ましくいカルボキシル基末端基数は20当量/t以上40当量/t以下である。カルボキシル基末端基数を10当量/t以上とすることで、打ち抜き加工で孔開けを行う際に孔周縁部の隆起部の高さを小さく抑えることが出来る。カルボキシル基末端基数が40当量/tを超えると、カルボキシル基末端基由来のプロトンによる触媒作用が強く、加水分解や熱分解が促進され、フィルムの劣化がより進行しやすくなる場合がある。
【0024】
本発明に用いられるポリエステルとしては、固有粘度が0.50以上0.90以下であることが好ましい。より好ましい固有粘度は0.55以上0.80以下、更に好ましくは0.60以上0.70以下である。IVを0.90以下とすることで、打ち抜き加工で孔開けを行う際に孔周縁部の隆起部の高さを小さく抑えることが出来る。IVが0.50未満であると、後述のボイド核剤を含有させてボイドを形成させた場合に、分子間の絡み合いが少なくなりすぎて製膜破れが多発したり、製膜できたとしても機械物性が低下する場合がある。
【0025】
また、本発明に用いる反射層は、主成分の樹脂に対して非相溶な熱可塑性樹脂を含むこともが好ましい。ここで非相溶とは、溶解性パラメータ(以下、「SP値」と略称することがある)に0.5(MPa1/2)以上の乖離がある樹脂の組合せである。SP値は、Hildebrandらが提唱した溶解性パラメータ(“The Solubility
of Nonelectrolytes”,[3rd,ed.]Reinhold,NY 1959)の理論を基に算出されたものであり、2種類の樹脂について各々の樹脂のSP値の乖離が大きいほど、それら樹脂の相溶性が低いことを示唆する指標となる。非相溶な熱可塑性樹脂は、ボイドを形成するボイド核剤として使用される。以下、主成分の樹脂に対して非相溶な熱可塑性樹脂を、単に「ボイド核剤」とも呼ぶ。主成分の樹脂と、ボイド核剤とを任意の割合で混合した樹脂を延伸により外力を加えることで、ボイド核剤の周囲の樹脂が引き剥がされることによって、ボイドが形成される。
【0026】
ボイド核剤の具体的な例は、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリアリーレンオキシド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニルスルホン樹脂、芳香族ポリエーテルケトン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂を挙げることができる。中でも、主成分の樹脂がポリエステル樹脂の場合、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどの直鎖状または分鎖状オレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フッ素系樹脂などが好ましい。特に好ましくはオレフィン系樹脂またはスチレン系樹脂であり、オレフィン系樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4-メチルペンテン-1(以下、「ポリメチルペンテン」または「PMP」と略称することがある)、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン-1共重合体、環状オレフィンが、スチレン系樹脂としてはポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリジメチルスチレンなどである。これらは単独重合体であっても共重合体であってもよく、さらには2種以上を併用してもよい。特にボイド核剤としての効果と製膜性を両立できるため、ポリメチルペンテンもしくは環状オレフィンが好ましい。
【0027】
本発明に用いる反射層は、光散乱に由来する入射面側への出射光量を増大させ、ディスプレイの輝度を向上させるために白色顔料を含むことが好ましい。白色顔料としては、様々な無機粒子や有機顔料の中でも、屈折率、ボイド形成能、白色度、光学濃度など総合的効果の点から、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ケイ酸塩、チタン酸塩を主成分とする粒子が好ましく、特に酸化チタンを主成分とする粒子が好適に用いられる。粒子を構成する成分のうち、50質量%以上が酸化チタンであれば、酸化チタンが主成分であると言える。
【0028】
白色顔料の平均粒径(D50、モード平均粒径)は0.05~1.0μmであることが好ましい。より好ましくい白色顔料の平均粒径は0.1~0.5μm、さらに好ましくは0.15~0.35μmである。白色顔料の平均粒径を0.05μm以上とすることで、分散性が良好となり凝集の発生抑制し、1.0μm以下とすることで、フィルムの製膜において破断が発生するのを抑制することができる。
【0029】
反射層が白色樹脂フィルムの場合、反射層中の白色顔料は、反射層を構成する全成分のうち、10質量%より多く、40質量%より少ないことが好ましい。より好ましい反射層中の白色顔料は15質量%より多く、35質量%より少ないことである。反射層中の白色顔料を10質量%より多くすることで、反射層の反射率が良好となり、孔開け加工時に孔周縁部の隆起部の高さを小さくすることができる。また、40質量%より少なくすることで、生産性が良好となる。特に、フィルム厚みが薄くなるほど生産性は低下しやすくなるため、反射層中の白色顔料の含有量を上記の範囲とすることが好ましい。
【0030】
本発明に用いる反射層は、ポリエステル樹脂を主成分とし、層面に対して垂直方向の断面における平均ボイド含有率が10%以上70%以下であると、反射層の反射率が高くなるため好ましい。本発明におけるボイドとは、ボイド核剤や白色顔料によって形成される層中に存在する空隙のことを指す。平均ボイド含有率は、後述するSEM断面観察と画像解析によって求めることができる。ボイドの形成方法は、上記に記載のポリエステル樹脂を主成分とする樹脂とボイド核剤や白色顔料を含む混合物に延伸により外力を加え、ポリエステル樹脂とボイド核剤、あるいはポリエステル樹脂と白色顔料とを引き剥がす方法で形成させることができる。具体的には、ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂とボイド核剤や白色顔料を含む混合物を溶融押出しした後、少なくとも一方向に延伸することで、内部にボイドを形成させる方法が挙げられる。平均ボイド含有率を10%以上とすることで、反射層の反射率を高くすることができる。また、平均ボイド含有率を70%以下とすることで、製膜時の破れなどを抑制し生産性を良好にすることができる。
【0031】
本発明のLED基板は、前記反射層が1つ以上の貫通孔を有し、前記LED光源が反射層に有する貫通孔を通して配置され、前記基材の面直上から観察した際のLED光源の面積(Sl)と貫通孔の面積(Sh)と比率(Sl/Sh)が、0.25以上1.00未満であることが好ましい。好ましくは0.50以上、さらに好ましくは0.75以下である。貫通孔とLED光源の面積比率(Sl/Sh)が大きくなることで、LED光源より出射された光が反射層によって反射される面積が増え、輝度向上の効果が高まり、さらには輝度ムラを抑制することができる。面積比率(Sl/Sh)が小さすぎると反射層が反射する光が減り、輝度が低下する課題が生じる場合がある。一方、面積比率(Sl/Sh)が0.75以下であると、LEDと貫通孔に適度な隙間があることで、セットアップの際に高い組立精度が求められず、LED基板の生産性を向上させることが可能となる。
【0032】
本発明のLED基板は、前記LED光源の高さ(H1)と、前記反射層の高さ(H2)の比(H2/H1)が0.1以上0.8以下であることが好ましい。H2/H1を0.8以下とすることで、LED光源から出射した光が反射層に遮られ輝度や輝度ムラが低下することを抑制することができる。また、H2/H1を0.1以上とすることで、LED光源が大きいためにバックライトの総厚みが厚くなってディスプレイの薄型化が阻害されたり、ディスプレイの高精細さが阻害されたりすることを抑制できる。H2/H1は、好ましくは0.1以上0.6以下であり、より好ましくは0.1以上0.5以下である。なお、LED光源の高さ(H1)は、LED光源の先端と基材表面との距離を表し、反射層の高さ(H2)は、反射層表面と基材表面との距離を表す。
【0033】
また、本発明のLED基板は、前記反射層の少なくとも片面に粘着層を有し、前記反射層が1つ以上の貫通孔と、貫通孔周囲1.0mm域内に粘着層側に突出した隆起部を有し、前記隆起部の高さ(h)と粘着層厚み(t)の比(t/h)が0.20以上1.00未満であることが好ましい。好ましくは0.50以上、さらに好ましくは0.70以上である。隆起部の高さ(h)と粘着層厚み(t)の比(t/h)を0.20以上とすることで、貫通孔内部からの出光を隆起部が遮断し、ディスプレイの輝度の低下を抑制し、また、基材上あるいは基材と反対面に位置する拡散板などのシート状素材に前記粘着層を介して前記反射層を貼付する場合の密着性を良好にすることができる。比(t/h)が1.00未満とすることで、ディスプレイの輝度を良好に維持しつつ、バックライトの総厚みを薄くできるため、ディスプレイの薄型化に寄与することができる。
【0034】
本発明のLED基板は、前記反射層の前記基材とは反対側の表面の三次元表面粗さSRaが300nm以上2000nm未満であることが好ましい。三次元表面粗さSRaが上記の範囲となることで、浅い角度でLEDから出た光が反射材の表面で反射した際に、バックライト内で遠くまで届いてしまい、ディスプレイの高精細さが阻害されるのを抑制できる。特に、三次元表面粗さを300nm以上とすることで、バックライトを部分駆動した際に、消灯している部分が点灯している部分からの光で明るく見える場合を抑制できる。また、三次元表面粗さを2000nm以下とすることで、加工のためのコストを抑制し、また歩留まりを高めることができる。より好ましくは500nm以上である。表面粗さを上記の範囲とする方法について、特に限定されないが、反射材が凹凸を形成するための粒子あるいはビーズを含有する層を有することが好ましい。
【0035】
本発明のLED基板は、前記LED光源が青色LED光源であることが好ましい。本発明のLED基板が複数のLED光源を有する場合は、1つ以上のLED光源を有することが好ましい。光源として、可視光の中でも波長が短い青色の光源を用いる場合、LED光源から出射した光が反射層に遮られるという課題がより強く生じるため、本発明による輝度向上の効果をより高く得ることができるため好ましい。
【0036】
また、図2を用いて本発明の積層体を説明する。本発明の一態様として、図2に例示されるように、少なくとも反射層3と粘着層4を隣接して有する積層体であって、反射層が1つ以上の貫通孔14と、貫通孔周囲1.0mm域8内に粘着層側に突出した隆起部9を有し、前記隆起部の高さ(h)11と粘着層厚み(t)12の比(t/h)が0.20以上2.00未満である積層体が挙げられる。なお貫通孔14の奥行きにある積層体は図示を省略している。ここで貫通孔周囲1.0mm域内とは、反射層を面直上から見た時の貫通孔の重心点を起点とし、半径1.0mmの同心円内に含まれる領域を表し、後述する測定方法により求められる。また隆起部の高さ(h)とは、貫通孔周囲1.0mm域内において反射層が粘着層側に最も突出した高さを表す。t/hは、より好ましくは0.50以上、さらに好ましくは0.70以上である。隆起部の高さ(h)と粘着層厚み(t)の比(t/h)を0.20以上とすることで、積層体の貫通孔の中へLEDが配置されるように積層体を基板に貼合してLED基板を作成した場合に、LED貫通孔内部からの出光を隆起部が遮断し、ディスプレイの輝度が低下するのを抑制し、また、基板に貼合する際の密着性を良好にすることができる。また、比(t/h)を2.00未満とすることで、粘着層が厚すぎることによる貼合加工時の位置ずれを抑制することができる。また、基板やLED光源とLED基板とした際に、ディスプレイの輝度を良好に維持しつつ、バックライトの総厚みを薄くできディスプレイの薄型化に寄与することができる。
【0037】
粘着層の厚み(t)は、0.1μm以上25μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.5μm以上20μm以下、さらに好ましくは1μm以上15μm以下である。厚みが0.1μm未満である場合、粘着力が不足する場合がある。また、25μmより大きい場合、孔開け加工時に孔周縁部の隆起部の高さが高くなったり、貼合加工時の位置ずれが強く発生したりする場合がある。
【0038】
隆起部の高さ(h)は25μm以下であることが好ましい。より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。隆起部の高さが25μmより大きい場合、基板に貼合する際の密着性が低下する場合がある。
【0039】
また、本発明の一態様として、図2に例示されるように、少なくとも、剥離層13、粘着層4、反射層3、支持層(図示しない)をこの順に有する積層体であって、すべての層を貫通する長径が0.2mm以上5.0mm以下である2以上の貫通孔14を有し、積層体に占める貫通孔の割合(開口率)が0.1%以上60%以下である積層体を挙げられる。上記の貫通孔はLEDを配置するためのものであり、貫通孔の積層体面内方向の大きさ、形状、割合は、LEDのサイズや個数に応じて変更されるものである。貫通孔の長径が5.0mm以下とすることで、ミニLED方式のLEDのサイズと比較して貫通孔が大きくなり過ぎず、十分に光を反射することができる。貫通孔の長径を0.2mm以上とすることで、LEDの配置と穴の位置を合わせる加工時のずれによる歩留まりの低下を抑制できる。より好ましくは0.3mm以上3.0mm以下、さらに好ましくは0.4mm以上2.5mm以下である。また、開口率が0.1%以上とすることで、LEDを十分な光量となる個数を配することができる。また、開口率が60%以下とすることで、積層体がフィルムとしての形状を保持でき、反射性能を良好とすることができる。より好ましくは0.3%以上50%以下、さらに好ましくは0.5%以上40%以下である。本発明では貫通孔にLEDを配置することを目的としているが、本発明の効果を阻害しない範囲でLED以外の部品を貫通孔に配置しても問題ない。また、貫通孔の形状・サイズは一定でなくとも良い。その場合、貫通孔の全個数のうち、90%以上の貫通孔の長径が0.2~5.0mmであることが好ましい。
【0040】
次に本発明のLED基板およびの反射層が有する貫通孔の作製方法の一例を記載する。当該加工は、機械的加工や化学的エッチング、およびそれらを複数適用することができる。機械的加工の一例として、キリやドリルによる孔開け、プレス加工やトムソン加工、エンボスロール加工によって加工することもできる。化学的エッチングの一例としては、CWレーザーやパルスレーザーによるレーザー加工などを使用することができる。中でも、生産性の観点からプレス加工やトムソン加工、エンボスロール加工といった打ち抜きの方法が特に好ましく用いられる。
【0041】
本発明において、反射層の厚みは80μm以下であると好ましい。反射層の厚みは、好ましくは65μm以下である。反射層の厚みが80μm以下とすることで、ミニLED方式のLED光源を用いた場合に、反射層による光が遮蔽されることを抑制し、輝度を良好にすることができる。また、反射層の厚みは20μm以上であることも好ましい。反射層の厚みが20μm以上とすることで、反射層の反射率を十分に高くすることができる。また、例えば反射層として白色樹脂フィルムを用いた場合では、製膜性や、加工時の取り扱い性を良好にできる。より好ましくは30μm以上である。なお、本発明での貫通孔を後述する打ち抜き法で作製する場合、反射層の厚みが厚いと、貫通孔周囲1.0mm域内に粘着層側に突出した隆起部の高さ(h)は高くなる傾向となる。
【0042】
本発明において反射層厚みを前記の好ましい範囲とする方法としては特に限定されないが、反射層に白色樹脂フィルムを用いた場合では、従来材料においては、反射層厚みの減少は反射率と二律背反の関係であることから両立が困難であり、反射率を高めるために多量に添加された白色顔料や延伸工程により形成されるボイドの影響により、フィルム厚みを80μm以下とした場合に製膜性が顕著に悪化することで、フィルム化自体が困難となる課題があった。この課題に対して、白色顔料と樹脂の相溶性を高めるための表面処理を施すことが好ましい。表面処理剤としては、シリコーン、シランカップリング剤、アルミキレート剤、ポリ尿素などが好ましく用いられる。特に好ましくはシランカップリング剤である。また表面処理を施した白色顔料粒子を、前記ボイド核剤と予め溶融混錬してマスターバッチを得た後、反射層の主成分である樹脂とマスターバッチとを溶融混錬することで、前記ボイド核剤の内部に白色顔料粒子が含まれた構造を得ることも好ましい。
【0043】
本発明のLED基板は、LED光源の高さが250μm以下であると好ましい。より好ましくは100μm以下である。従来、LED光源の高さは1mm以上のものを用いられていた。繊細な表示を行う際にはLED光源の個数を増加させること等が行われるが、LED光源増加のコストに伴う製造コストが課題となっていた。また、通常の平面形状のディスプレイから曲面形状のディスプレイとする際に、LEDのサイズや剛性のために望む曲面形状が実現できないという課題があった。LED光源の高さが前述の範囲のLED光源は、基板上へ直接実装するチップオンボードの手法を用いた量産に適するため、高さが1mm以上のLED光源を用いたときに比べて量産時のコストが安価であるので、LED光源の個数を増やした際のコスト低減となる。また、LED光源の高さが前述の範囲のLED光源を用いることで、曲面形状への追従性を達成することができ、薄型液晶ディスプレイ用途に好ましく用いることができる。
【0044】
本発明のLED基板の製造方法の一例として、前述した少なくとも、剥離層、粘着層、反射層、および支持層をこの順に有し、すべての層を貫通する貫通孔を有する積層体から剥離層を除去する工程Aと、前記工程Aの後に粘着層と基板を固定する(剥離層を除去した積層体の粘着層と基板を固定する)工程Bと、前記工程Bの後に反射層から支持層を剥離する(基板に貼り付けられた積層体から支持層を除去する)工程Cを含む製造方法が挙げられる。このような製造方法により、薄く、高反射な反射層を有するLED基板を高い生産性で得ることができる。
【0045】
次に本発明の積層体の製造方法について、その一例を説明するがかかる例に特に限定されるものではない。以下に示すように、剥離層、反射層、支持層を、それぞれを製造した後、後工程で貼り合せる方法により製造する方法を例として挙げることができる。
【0046】
まず、本発明の積層体に含まれる反射層の製造方法について、その一例として3層積層構成フィルムを挙げて説明するが、かかる例に特に限定されるものではなく、単層であっても、3層以外の積層構成であってもよい。少なくとも2台の一軸または二軸押出機、主押出機と副押出機を有する複合製膜装置において、主押出機に芯層(Y)の原料となる樹脂、副押出機に表層(X)の原料となる樹脂を投入する。それぞれの原料は水分率が50ppm以下となるように乾燥されていることが好ましい。このようにして各押出機に原料を供給し、例えば2台の押出機とTダイ上部に設置したフィードブロックやマルチマニホールドにてX/Y/Xの3層積層フィルムとすることができる。押出された未延伸シートは、冷却されたドラム上で密着冷却固化し、未延伸積層フィルムを得る。このとき、均一なフィルムを得るために静電気を印加してドラム上に密着させることが望ましい。
【0047】
この未延伸フィルムをロール加熱、必要に応じて赤外線加熱等でポリマーのガラス転移温度(Tg)以上に加熱し、長手方向に延伸(以降、縦延伸と呼ぶ場合がある)して縦延伸フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行う。縦延伸の倍率は用途の要求特性にもよるが、好ましくは2~6倍、より好ましくは3~4倍である。2倍以上とすることで反射率を高くすることができ、6倍以下とすることで製膜中の破断を抑制できる。縦延伸後のフィルムは、続いて、長手方向と直交する方向に延伸(以降、横延伸と呼ぶ場合がある)、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸配向フィルムとするが、これら処理はフィルムを走行させながら行うことが好ましい。このとき、横延伸のための予熱および延伸温度はポリマーのガラス転移温度(Tg)以上(Tg+20℃)で行うのが好ましい。横延伸の倍率は、用途の要求特性にもよるが、好ましくは2.5~6倍、より好ましくは3~4倍である。2.5倍以上とすることで反射率を高くすることができる。6倍以下とすることで製膜中の破断を抑制できる。得られた二軸配向フィルムの結晶配向を完了させて、平面性と寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内にて180~230℃の温度で1~60秒間の熱処理を行ない、均一に徐冷後、室温まで冷却し、ロールに巻き取る。なお、かかる熱処理はフィルムをその長手方向および/または幅方向に3~12%弛緩させつつ行ってもよい。
【0048】
またここでは逐次二軸延伸法によって延伸する場合を例に詳細に説明したが、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法のいずれの方法で延伸してもよく、さらに必要に応じて、二軸延伸後、再縦延伸および/または再横延伸を行ってもよい。
【0049】
また、本発明の効果が損なわれない範囲で、各ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、易滑性や帯電防止性、紫外光吸収性能等を付与するために、周知の技術を用いて種々の塗液を塗布したり、耐衝撃性を高めるためにハードコート層などを設けたりしても良い。塗布は、フィルム製造時に塗布(インラインコーティング)してもよいし、フィルム製造後のポリエステルフィルム上に塗布(オフラインコーティング)してもよい。
【0050】
次に、本発明で用いられる剥離層の製造方法について述べる。剥離層の製造方法として、上記反射層の製造方法と同様の方法でポリエステルフィルムを製造した後、離型性を付与するため、離型剤を塗布、乾燥する方法を挙げることができる。離型剤を塗布、乾燥する方法は、ポリエステルフィルム製膜時に行うインラインコート法、ポリエステルフィルム製膜後に行うオフラインコート法のいずれを行っても良い。
【0051】
次に、本発明で用いられる支持層の製造方法について述べる。支持層の製造方法として、上記反射層の製造方法と同様の方法でポリエステルフィルムを製造した後、微粘着性を付与するため微粘着層を塗布、乾燥する方法を挙げることが出来る。微粘着層を塗布、乾燥する方法は、ポリエステルフィルム製膜時に行うインラインコート法、ポリエステルフィルム製膜後に行うオフラインコート法のいずれを行っても良い。また、微粘着層には識別のために適宜顔料を添加しても良い。
【0052】
次に、剥離層、反射層、支持層を、後工程で貼り合せる方法について述べる。まず、反射層となるポリエステルフィルムに粘着層を塗布、乾燥後に剥離層と積層する。支持層には、着色剤を含む微粘着層を塗布、乾燥し、剥離層/粘着層/反射層となっている積層ポリエステルフィルムの反射層側に貼り合せることで、積層体を得ることができる。粘着層はJIS Z 0237:2009に記載の180°剥離試験で測定される剥離力が2N/25mm以上の層であり、微粘着層はJIS Z 0237:2009に記載の180°剥離試験で測定される剥離力が0.01N/25mm以上2N/25mm未満の層である。
【0053】
次に、本発明のLED基板の具体的な製造方法の例について、その一例を説明するが特に限定されるものではない。片面銅箔張り積層板を準備し、銅箔上に印刷法でエッチングレジストを形成後、エッチングを行うことにより、絶縁基板の一方の面に配線及びLED搭載用の端子を有する導体パターンを形成することで基材を得た。次に、上記で形成した基材の導体パターン上に、LED光源(例えば、発光部高さ100μm、縦横長さがいずれも300μmの直方体形の青色LED光源など)を接続する。
【0054】
次に、前述した方法により得た積層体に、前記LED光源が接続された基材のLED光源の位置に対応する位置に所望の大きさの貫通孔を形成する。貫通孔を形成する方法は、ドリルやレーザーを用いる方法や、トムソン刃、プレス金型、エンボスロールを用いた打ち抜き等、公知の手法を用いることができるが、生産性の観点から打ち抜きの方法が好ましく用いられる。積層体の支持体側から打ち抜きの方法を用いて貫通孔を形成することで、貫通孔周囲1.0mm域内に粘着層側に突出した隆起部が形成される。この際、打ち抜きの型のオス型とメス型の間のクリアランスを制御することで粘着層側に突出した隆起部の高さを制御することができる。打ち抜きの型のオス型とメス型の間のクリアランスを小さくすると、粘着層側に突出した隆起部の高さは小さくなる傾向となる。打ち抜きの型のオス型とメス型の間のクリアランスは、10μm以上75μm以下、より好ましくは20μm以上50μm以下である。その後、積層体をLED光源と接続された基材と同様のサイズに切り出し、積層体から剥離層を除去し、その次にLED光源と貫通孔の位置を合わせて粘着層が基材に面するように配置して粘着層と基材を固定し、続いて積層体から支持層を剥離することで、本発明のLED基板を得ることができる。
【実施例
【0055】
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
【0056】
(1)LED光源の高さ(H1)、反射層の高さ(H2)、LED光源の反射層からの突出部高さ(P)、反射層高さとLED光源高さの比(H2/H1)
LED基板を側方すなわち垂直断面方向から電子顕微鏡(S-2100A型、(株)日立製作所製)にて適当な倍率(目安として100倍~5000倍)で観察し、LED光源の先端と基材表面との距離を計測し、LED光源の高さ(H1)とした。同様の方法により反射層表面と、基材表面との距離を計測し、反射層の高さ(H2)とした。同様の方法によりLED光源の先端と反射層表面との距離を計測し突出部高さ(P)とした。側方からの観察が難しい場合には、LED基板全体をダイヤモンドカッターによって変形しないように反射層表面に対して垂直に切断した後、断面をイオンミリング装置を用いて仕上げ切断した後に電子顕微鏡にて観察した。また、LED光源の高さ(H1)と、反射層の高さ(H2)の比(H2/H1)は、H2をH1で除して算出した。
【0057】
(2)貫通孔の面積(Sh)、LED光源の面積(Sl)、LED光源面積と貫通孔面積の比(Sl/Sh)、貫通孔の長径
LED基板を基材の面直上から電子顕微鏡(LEICA DMLM ライカマイクロシステムズ(株)製)にて倍率100倍で観察し、反射層の貫通孔の面積(Sh)を算出した。同様の方法によりLED光源の面積(Sl)を算出した。また、LED光源の面積(Sl)と貫通孔面積の比(Sl/Sh)は、SlをShで除して算出した。貫通孔の長径は、面直上から穴の形状を観察し、重心を通る直線と穴の縁との2つの交点のうち、最も遠い2点間の距離を長径として求めた。(穴が真円の場合は長径=直径となる。)なお、基板に複数の貫通孔やLED光源がある場合には、すべてについてそれぞれの面積や長径を求めた後、その平均値を採用した。ただし、貫通孔の中にLED光源が設置されていない貫通孔は、貫通孔の面積の平均値の算出から除外した。
【0058】
(3)開口率
積層体がカットシート形状である場合は、すべての穴の面積の和を求めた後、すべての穴を内包する最小の矩形の面積を分母とし、開口率(%)を計算した。積層体がロール状であったり、穴の個数が多かったりするためにすべての穴を計測するのが現実的に困難であり、かつ開口部の配置が、繰り返しパターンを持つ場合、繰り返し単位を元に開口率を計算した。
【0059】
(4)貫通孔周囲1.0mm域内の隆起部の高さ(h)、粘着層の厚み(t)、粘着層厚みと貫通孔周囲1.0mm域内の隆起部の高さの比(t/h)
図2を用いて説明する。積層体またはLED基板をダイヤモンドカッターによって変形しないように垂直に切断して垂直断面を作製した後、断面をイオンミリング装置を用いて仕上げ切断し、断面を電子顕微鏡にて観察した。断面画像を画像解析ソフトに取り込み、反射層を面直上から見た時の貫通孔の重心点から1.1mm以上離れた少なくとも互いに2.0mm以上離れた位置にある反射層表面3点を選択して反射層表面ベースライン7を決定した。次に、反射層を面直上から見た時の貫通孔の重心点を起点とし、半径1.0mmの同心円内に含まれる領域を貫通孔周囲1.0mm域8とし、貫通孔周囲1.0mm域内において前記ベースラインを基準とした粘着層側に突出した反射層の隆起部最大点10の高さを求めた。同様の計算を、100個の貫通孔について行い、100個の最大高さを平均したものを、貫通孔周囲1.0mm域内の隆起部の高さ(h)11とした。また、貫通孔周囲1.0mm域内に隆起がある側の反射層の表面に接する粘着層の厚みを算出し、粘着層厚み(t)12とした。粘着層厚みと貫通孔周囲1.0mm域内の隆起部の高さの比(t/h)は、tをhで除して算出した。
【0060】
(5)表面粗さ(SRa)
反射層の反射面(基材とは反対側の表面)が露出した状態にした後、キーエンス社製形状解析レーザー顕微鏡VK-X1000(ヘッド部VK-X1100)を用いて反射層の表面を真上から三次元形状観察し、三次元表面粗さSRa値を求めた。測定範囲は、反射層の表面のうち貫通孔を避けて150μm角の範囲とした。高さ方向の測定分解能は0.5nm、面方向の表示分解能は1nmとし、リフレッシュレートは125Hzとした。なお、測定はサンプル内の測定位置を変えて5回行い、得られたSRa値の平均値でもって最終的な該サンプルのSRa値とした。
【0061】
(6)相対輝度
後述の実施例にて作成したLED基板を発光させ、同LED基板から90cm直上の地点よりCCDカメラ(SONY製DXC-390)で撮影し、画像解析装置(コニカミノルタ製CA-2000)で20mm×20mmの範囲の画像を取り込み、その輝度レベルを3万ステップに制御し自動検出させ、輝度を算出した。また、反射層のみを除いたLED基板を作成し、同様にして輝度を測定した。反射層を有するLED基板の輝度を、反射層の無いLED基板の輝度で割り返し、相対輝度とした。同様の測定を、それぞれ中心位置が30mm以上離れたLED基板の任意の箇所5か所について実施し、得られた5つの相対輝度の値の平均値を該サンプルの相対輝度とし、得られた相対輝度を下記の基準で評価した。
A:130%以上
B:120%以上130%未満
C:100%以上120%未満
D:100%未満。
【0062】
(7)輝度ムラ
(6)の相対輝度の測定において任意の5箇所で測定した5つの相対輝度の値について、下記式にて輝度ムラ(%)を算出した。
輝度ムラ(%)={(5つの相対輝度の値のうちの最大値)-(5つの相対輝度の値のうちの最小値)/(5つの相対輝度の値の平均値)}×100
輝度ムラおよびサンプルの状態について以下の基準で評価した。
A:輝度ムラが2.0%未満
B:輝度ムラが2.0%以上5.0%未満
C:輝度ムラが5.0%以上10.0%未満
D:輝度ムラが10.0%以上。
【0063】
(8)加工性
後述の実施例にて貫通孔を形成させた積層体とLED光源が搭載された基材をラミネーターにより線圧5kgf/cmで固定した後、支持層を剥離し、LED基板を作成する加工を行った際、下記基準で加工性を評価した。
A:問題なく加工できた。
B:多少の位置ずれ、密着ムラがあったが使用に問題はなかった。
C:支持層を剥離する際に基板と反射層が剥離したか、反射層が変形した。
【0064】
(9)平均ボイド含有率
イオンミリング装置(日立社製IM4000)を用いて、液体窒素による冷却下でフィルムの変形や損傷を抑制しながらフィルム面に対して垂直に切断し測定試料を作製した。切削方向は、フィルム面に対して5°刻みで右方向に面内回転させながら、各回転角度において垂直断面を作製し、合計の回転角度が90°に達するまで、計19の垂直断面の試料を作製した。作製した断面に白金-パラジウムを蒸着した後、形状解析レーザー顕微鏡(キーエンス社製VK-X1000、ヘッド部はVK-X1100)を用いてフィルム断面を真上から観察し、断面形状をマッピング計測した。測定条件は表示分解能が最高となる条件とした。なお、フィルムが複数の層からなる場合には最も厚みの大きい層について観察し、試料断面のうちマッピング観察される対象領域範囲が合計10000~22500μmとなるように観察した。得られた断面解析データのうち、最も高度の高い点を切断面と定義し、切断面の高度を基準高さとして高さ-50~0nmの部分は白領域(明度100)、高さ-50nm未満の部分は黒領域(明度0)として観察データの2値化を行った。解析ソフト(装置付属のもの)を用いて白領域の面積Swおよび黒領域の面積Sbをそれぞれ算出し、下記式に基づいてボイド含有率Vをもとめた。
V=Sb/(Sw+Sb)×100 …(式)。
【0065】
作製した19の垂直断面すべてについてボイド含有率Vをもとめ、その平均値を平均ボイド含有率とした。
【0066】
[使用原料]
(1)ポリエステル樹脂(a)
テレフタル酸およびエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、常法により重合を行い、ポリエチレンテレフタレート(PET)を得た。得られたPETのガラス転移温度は77℃、融点は255℃、固有粘度は0.63dl/g、結晶融解熱量は35J/g、末端カルボキシル基濃度は40当量/tであった。
【0067】
(2)熱可塑性樹脂(b)
市販の環状オレフィン樹脂「TOPAS 6017」(日本ポリプラスチックス株式会
社)を用いた。
【0068】
(3)二酸化チタンマスター(c)
二酸化チタン粒子(数平均粒径0.25μm、ルチル型)50質量部に対し、シランカップリング剤「11-100Additive」(東レダウ・コーニング社製)を0.25質量部添加し、常法により表面処理したのち、ポリエステル樹脂(a)を50質量部と二軸押出機にて混練し、二酸化チタンマスターペレット(c)を得た。
【0069】
(4)凝集シリカマスター(d)
凝集シリカ粒子(数平均粒子径4.0μm)を粒子濃度10質量部とポリエステル樹脂(a)を90質量部と二軸押出機にて混練し、シリカマスター(d)を得た。
【0070】
(実施例1)
[剥離層]
シリコーン離型剤付き厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック株式会社製PET38X)を使用した。
【0071】
[反射層:ポリエステルフィルム]
表2に示した組成の原料を180℃の温度で6時間真空乾燥した後に、主押出機に芯層(Y)の原料を供給し、280℃の温度で溶融押出後、30μmカットフィルターにより濾過を行った。また、副押出機に表層(X)の原料を供給し、290℃の温度で溶融押出後、30μmカットフィルターにより濾過を行った。引き続いて、これらの溶融ポリマーをTダイ複合口金内で、表層が芯層の両表層に積層(X/Y/X)されるよう合流させた。引き続いて、合流した溶融ポリマーをシート状に押出して溶融シートとし、当該溶融シートを、表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着させ冷却固化させて未延伸フィルムとした。引き続いて、該未延伸フィルムを80℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、赤外線ヒーターで両面から照射しながら、表2の倍率にて縦延伸(フィルム長手方向に延伸)を行い、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムとした。引き続いて、一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の90℃の予熱ゾーンに導き、95℃で表2の倍率にて横延伸(フィルム幅方向に延伸)を行った。引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで表2の温度の熱処理を施し、次いで均一に徐冷後、ロールに巻き取り、表2に記載の厚みの二軸配向ポリエステルフィルム(反射層)を得た。
【0072】
[粘着層:シリコーン樹脂]
反射層となるフィルムに、シリコーン樹脂系粘着剤(SH4280PSA、東レ・ダウコーニング株式会社製)100質量部、過酸化ベンゾイル触媒(ナイパー(R)BMT-K40、日油株式会社製)0.15質量部、及びトルエン50質量部の混合物を乾燥後の粘着層の厚みが表1-1に記載の厚みになるように塗布し、70℃で3分間、及び180℃で5分間加熱硬化をおこなった。
【0073】
[支持層]
アクリル系共重合体(綜研化学株式会社製SKダイン1499M、固形分濃度30質量%)100部あたり、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン株式会社製コロネートL、固形分濃度75質量%)5.4部、緑色顔料(大日精化(株)製NAF1063グリーン)5部を加えた溶液を、乾燥後の厚さが3μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製ルミラー(R)T60)に塗工したのち、約80℃で1分間乾燥し、さらに40℃で72時間熟成して、支持層とした。ポリエチレンテレフタレートフィルムは、150μmのものを使用した。
【0074】
[積層体]
剥離層、粘着層、反射層、支持層をこの順になるようにラミネートし、貫通孔を有していない積層体を得た。
【0075】
[LED光源を搭載した基材]
長辺(横方向)140mm、短辺(縦方向)76.4mmの樹脂基材上に表1-2に記載のサイズの青色LED光源を表1-1に記載のピッチで並列に配置し、LED光源を搭載した基材を用意した。なお、ピッチは縦横ともに同一であり、LEDは面内を余すことなく敷き詰める形で設置した。ピッチとは、設計図面において均等間隔に物体を配置する際の配置間隔を表す言葉であり、本発明においては基材の面直上から見た場合の、各LED光源の中心位置同士の間隔を示す。
【0076】
[LED基板]
前記の方法で得た積層体に対し、オス型とメス型の間のクリアランスが55μmの金型プレスにて、1個あたりの貫通孔面積、貫通孔長径が表1-1および表1-2に記載のとおりとなる円形の貫通孔を開ける加工を施した。孔の位置は、前記のLED搭載基材を面直上から観察した場合のそれぞれのLED光源の中心と、それぞれの孔の中心が一致するように調整した。
【0077】
次に、前記積層体から剥離層を除去し、前記のLED搭載基材の上に、貫通孔の箇所にそれぞれのLEDが入るように設置し、ラミネーターを用いて線圧5kgf/cmをかけて固定した後、支持層を剥離した。次いでその上に、青色LEDとの間隙が5mmとなるようにアクリル拡散板を載せ、その上にプリズムシートを配置し、温度25℃、相対湿度65%の条件下で1時間静置し、LED基板を作製した。
【0078】
(実施例2~9、比較例1~4)
表1-1および表1-2に記載のとおりの条件とした以外は、実施例1と同様にしてLED基板を作製した。
【0079】
なお、比較例3では貼合加工時の位置ずれが強く発生したため、LED基板を作製できなかった。また、比較例4では支持層を剥離する際に反射層が変形し、LED基板を作製できなかった。
【0080】
(実施例10)
オス型とメス型の間のクリアランスが40μmの金型プレスを用いて穿孔加工を実施した以外は、実施例3と同様にしてLED基板を作製した。
【0081】
(実施例11)
[反射層7:ポリエステルフィルム]
表2に記載の反射層2を得た後、下記組成の塗剤を、乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布し、塗布後に120℃の温度で2分間乾燥することで、表1-2に記載の表面粗さを有するポリエステルフィルム(反射層7)を得た。
バインダー;ハルスハイブリッド(登録商標)UV-G720T(固形分40質量%、(株)日本触媒製):10質量部、硬化剤;デュラネート24A-100(旭化成ケミカルズ(株)製):0.4質量部、ビーズ;“オルガソル”(登録商標)1002 UD NAT 1(多孔質ナイロン6樹脂粒子、アルケマ(株)製、平均粒子径5μm):4.6質
量部、溶剤;酢酸エチル:12質量部。
【0082】
反射層7を反射層として用いた以外は、実施例2と同様にしてLED基板を作製した。
【0083】
(実施例12)
反射層として下記のポリエステルフィルム(反射層8)を用いた以外は、実施例2と同様にしてLED基板を作製した。
[反射層8:ポリエステルフィルム]
ポリエステル樹脂(a)60質量%、熱可塑性樹脂(b)20質量%、二酸化チタンマスター(c)20質量%からなる原料を180℃の温度で6時間真空乾燥した後に、主押出機に供給し、280℃の温度で溶融押出後、30μmカットフィルターにより濾過を行った。引き続いて、溶融ポリマーをTダイからシート状に押出して溶融シートとし、当該溶融シートを、表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着させ冷却固化させて未延伸フィルムとした。引き続いて、該未延伸フィルムを80℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、赤外線ヒーターで両面から照射しながら、表2の倍率にて縦延伸(フィルム長手方向に延伸)を行い、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムとした。引き続いて、一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の90℃の予熱ゾーンに導き、95℃で表2の倍率にて横延伸(フィルム幅方向に延伸)を行った。引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで表2の温度の熱処理を施し、次いで均一に徐冷後、ロールに巻き取り、表2に記載の厚みの二軸配向ポリエステルフィルム(反射層8)を得た。
【0084】
(実施例13、比較例5)
[LED光源を搭載した基材]
長辺(横方向)140mm、短辺(縦方向)76.4mmの樹脂基材上に、表1-2に記載のサイズの青色LED光源を表1-1に記載のピッチで並列に配置し、LED光源を搭載した基材を用意した。なお、ピッチは縦横ともに同一であり、LEDは面内を余すことなく敷き詰める形で設置した。
【0085】
[反射層]
次いで、基材の表面に、反射層として、熱硬化型の白色ソルダーレジストであるS500(LEW51)(太陽インキ製造株式会社製)を、スクリーン印刷法を用いて、前記LED光源の反射層からの突出部高さ(P)やLED光源の高さ(H1)と前記反射層の高さ(H2)の比(H2/H1)などが表1-2に記載のとおりとなるように塗布と熱処理(150℃、30分)を繰り返した。なお反射層は、LED光源の部分を避けて孔をあけて印刷し、孔のサイズはLED光源1つあたり0.4mmとし、基材を面直上から観察した場合に孔の中心とLED光源の中心が重なるようにした。
【0086】
[粘着層]
LED光源を搭載した基材の表面設けた反射層の表面に、シリコーン樹脂系粘着剤(SH4280PSA、東レ・ダウコーニング株式会社製)100質量部、過酸化ベンゾイル触媒(ナイパー(R)BMT-K40、日油株式会社製)0.15質量部、及びトルエン50質量部の混合物を乾燥後の粘着層の厚みが表1-1に記載の厚みになるように塗布し、70℃で3分間、及び180℃で5分間加熱硬化を行い、粘着層を設けた。塗布にはスクリーン印刷法を用い、LED光源の部分を避けて孔をあけて印刷し、孔のサイズは1つあたり0.4mmとし、基材の面直上から見た場合に反射層の孔と位置が重なるようにした。
【0087】
[LED基板]
次いでその上に、青色LEDとの間隙が5mmとなるようにアクリル拡散板を載せ、その上にプリズムシートを配置し、温度25℃、相対湿度65%の条件下で1時間静置し、LED基板を作製した。
【0088】
(比較例6)
剥離層、粘着層、反射層をこの順になるようにラミネートし、支持層を持たない積層体を用いた以外は実施例2と同様にしてLED基板を作製しようとしたが、積層体を基材に十分に密着できず、LED基板を作製できなかった。
【0089】
(比較例7)
オス型とメス型の間のクリアランスが80μmの金型プレスを用いて穿孔加工を実施した以外は、実施例2と同様にしてLED基板を作製しようとしたが、積層体を基材に十分に密着できず、LED基板を作製できなかった。
【0090】
【表1-1】
【0091】
【表1-2】
【0092】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明によれば、ミニLED方式のバックライトに好適に用いることの出来るLED基板を提供することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 LED基板
2 基材
3 反射層
4 粘着層
5 LED光源
6 突出部高さ(P)
7 ベースライン
8 貫通孔周囲1.0mm域
9 隆起部
10 隆起部最大点
11 隆起部の高さ(h)
12 粘着層厚み(t)
13 剥離層
14 貫通孔
図1
図2