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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】電動車両用電池ユニットの温度制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/06 20060101AFI20250415BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20250415BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20250415BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20250415BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20250415BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20250415BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20250415BHJP
   H01M 10/633 20140101ALI20250415BHJP
   B60L 50/64 20190101ALI20250415BHJP
   B60L 58/26 20190101ALI20250415BHJP
   H01M 10/6569 20140101ALN20250415BHJP
【FI】
B60K11/06
B60K11/04 H
B60K11/04 K
B60K1/04 Z
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6563
H01M10/6557
H01M10/633
B60L50/64
B60L58/26
H01M10/6569
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022042599
(22)【出願日】2022-03-17
(65)【公開番号】P2023136742
(43)【公開日】2023-09-29
【審査請求日】2024-02-20
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2021年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発」に係る委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山賀 勇真
(72)【発明者】
【氏名】種平 貴文
(72)【発明者】
【氏名】森島 千菜美
(72)【発明者】
【氏名】三国 祐亮
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102019001391(DE,A1)
【文献】特開2015-079598(JP,A)
【文献】特開2020-152216(JP,A)
【文献】特開2007-326474(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0129805(US,A1)
【文献】中国実用新案第212161879(CN,U)
【文献】特開2021-138174(JP,A)
【文献】特開2021-005927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/00-15/10
B60K 1/00- 6/12, 7/00- 8/00,16/00
B60L 1/00- 3/12, 7/00-13/00,
15/00-58/40
H01M 10/52-16/667
H01M 8/04-8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両のフロア下に位置しかつ、前記電動車両の走行用の電気を出力する少なくとも1の電池ユニットと、
前記電池ユニットから熱を受けた冷媒が流れるパイプと、前記パイプが接続されかつ前記冷媒を放熱させる熱交換器とを有し、前記電池ユニットと前記熱交換器との間で冷媒を循環させることによって前記電池ユニットを冷却する冷媒システムと、
前記電動車両の前方及び後方のそれぞれに開口しかつ、前記電動車両の少なくとも走行中に空気が流れるエア通路と、
前記パイプと前記エア通路との間に介在しかつ、前記冷媒から前記エア通路内の空気へ熱を伝達させる熱伝導材と、を備え
前記熱交換器は、前記電池ユニット前方のパワーユニットルーム内に位置しかつ、電力供給を受けて空気流れを発生させるファンを有し、
前記エア通路は、通気口を通じて前記パワーユニットルームに連通すると共に、前記通気口を開閉する第2開閉弁を有し、
前記第2開閉弁は、前記車両の停車中でかつ前記電池ユニットの充電中に、前記通気口を開き、
前記ファンは、前記車両の停車中でかつ前記電池ユニットの充電中に駆動する、電動車両用電池ユニットの温度制御装置。
【請求項2】
電動車両のフロア下に位置しかつ、前記電動車両の走行用の電気を出力する少なくとも1の電池ユニットと、
前記電池ユニットから熱を受けた冷媒が流れるパイプと、前記パイプが接続されかつ前記冷媒を放熱させる熱交換器とを有し、前記電池ユニットと前記熱交換器との間で冷媒を循環させることによって前記電池ユニットを冷却する冷媒システムと、
前記電動車両の前方及び後方のそれぞれに開口しかつ、前記電動車両の少なくとも走行中に空気が流れるエア通路と、
前記パイプと前記エア通路との間に介在しかつ、前記冷媒から前記エア通路内の空気へ熱を伝達させる熱伝導材と、を備え
前記電池ユニットは、前側電池ユニットと、前記前側電池ユニットよりも前記電動車両の後側に位置する後側電池ユニットとを有し、
前記熱伝導材は、前記前側電池ユニットに対応する位置及び前記後側電池ユニットに対応する位置のそれぞれにおいて、前記パイプと前記エア通路との間に介在し、
前記エア通路は、前記エア通路内を、前記熱伝導材に接する第1通路と、前記熱伝導材から離れた第2通路とに隔てる隔壁を有し、
前記隔壁は、前記前側電池ユニットに対応する位置と、前記後側電池ユニットに対応する位置との中間位置に、前記第1通路と前記第2通路とを連通する連通部を有し、
前記エア通路は、
空気が前記前側電池ユニットに対応する位置及び前記後側電池ユニットに対応する位置の両方において前記第1通路を流れる状態と、
空気が前記前側電池ユニットに対応する位置において前記第2通路を流れた後、前記連通部を通って、前記後側電池ユニットに対応する位置において前記第1通路を流れる状態と、
に切り替わる、電動車両用電池ユニットの温度制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電動車両用電池ユニットの温度制御装置において、
前記エア通路は、前記エア通路の入口を開閉する第1開閉弁を有し、
前記第1開閉弁は、前記電池ユニットの温度が第1温度以下の場合、前記エア通路の入口を閉じる、電動車両用電池ユニットの温度制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電動車両用電池ユニットの温度制御装置において、
前記電池ユニットは、第1電池ユニットと、前記第1電池ユニットよりも前記電動車両の後側に位置する第2電池ユニットとを含み、
前記熱伝導材は、前記第1電池ユニットに対応する位置及び前記第2電池ユニットに対応する位置のそれぞれにおいて、前記パイプと前記エア通路との間に介在し、
前記エア通路は、
前記第1電池ユニット及び前記第2電池ユニットの順に空気が流れる状態と、
前記第1電池ユニットを迂回して前記第2電池ユニットへ空気が流れる状態と、
に切り替わる、電動車両用電池ユニットの温度制御装置。
【請求項5】
請求項に記載の電動車両用電池ユニットの温度制御装置において、
前記ファンは、前記電動車両の走行中は、前記電動車両の前から後への空気流れを発生させ、
前記ファンは、前記電動車両の停車中でかつ前記電池ユニットの充電中は、前記電動車両の後から前への空気流れを発生させる、電動車両用電池ユニットの温度制御装置。
【請求項6】
請求項に記載の電動車両用電池ユニットの温度制御装置において、
前記エア通路はさらに、
空気が前記前側電池ユニットに対応する位置において前記第1通路を流れた後、前記連通部を通って、前記後側電池ユニットに対応する位置において前記第2通路を流れる状態に切り替わる、電動車両用電池ユニットの温度制御装置。
【請求項7】
請求項2又は6に記載の電動車両用電池ユニットの温度制御装置において、
前記エア通路はさらに、
空気が前記前側電池ユニットに対応する位置において前記第1通路及び前記第2通路を流れた後、前記連通部を通って、前記後側電池ユニットに対応する位置において前記第1通路のみを流れる状態に切り替わる、電動車両用電池ユニットの温度制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、電動車両用電池ユニットの温度制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用電源装置の冷却構造が記載されている。電源装置は、電動車両に搭載された電池である。電池は、フロアパネルとアンダーカバーとの間に配置されている。フロアパネルとアンダーカバーとの間にはまた、導風ダクトが配設されている。導風ダクトは、車両の前方に向かって開口していると共に、車両の後方に向かって開口している。車両の走行時に生じる走行風が導風ダクト内を流れる。導風ダクト内を流れる走行風が、電池を冷却する。
【0003】
特許文献2には、車両用電池の冷却装置が記載されている。冷却装置は、バッテリとラジエータとの間で冷却水を循環させることによって、バッテリを冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-35323号公報
【文献】特開2013-107420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電動車両の電池ユニットの温度劣化を抑制するために、電池ユニットは効率的に冷却されなければならない。残念ながら従来の冷却装置は、電池ユニットの冷却を効率的に行うことができない。
【0006】
ここに開示する技術は、電動車両用の電池ユニットを、効率的に冷却する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
具体的にここに開示する技術は、電動車両用電池ユニットの温度制御装置に係る。この装置は、
電動車両のフロア下に位置しかつ、前記電動車両の走行用の電気を出力する少なくとも1の電池ユニットと、
前記電池ユニットから熱を受けた冷媒が流れるパイプと、前記パイプが接続されかつ前記冷媒を放熱させる熱交換器とを有し、前記電池ユニットと前記熱交換器との間で冷媒を循環させることによって前記電池ユニットを冷却する冷媒システムと、
前記電動車両の前方及び後方のそれぞれに開口しかつ、前記電動車両の少なくとも走行中に空気が流れるエア通路と、
前記パイプと前記エア通路との間に介在しかつ、前記冷媒から前記エア通路内の空気へ熱を伝達させる熱伝導材と、を備えている。
【0008】
この温度制御装置は、熱交換器とエア通路との両方を利用して、電池ユニットを冷却する。具体的に、冷媒システムは、電池ユニットと熱交換器との間で冷媒を循環させる。冷媒は電池ユニットから熱を受け、熱交換器において放熱する。熱交換器は、例えばラジエータとしてもよい。また、冷媒が空調冷媒の場合、コンデンサが熱交換器となる。
【0009】
電動車両の走行中に、空気(つまり走行風)がエア通路内を流れる。冷媒用のパイプとエア通路との間には、熱伝導材が介在している。冷媒の熱はパイプ及び熱伝導材を伝達し、エア通路を流れる空気へ熱が放出される。熱伝導材は、冷媒から空気への熱伝導を促進する。電池ユニットから受熱した冷媒は、エア通路よって冷却されると共に、熱交換器によって冷却される。
【0010】
従って、前記の温度制御装置では、電池ユニットから熱を受けた冷媒が、熱交換器に向かってパイプ内を流れている間に、エア通路を流れる空気によって冷却されると共に、熱交換器においても冷却される。前記の温度制御装置は、電動車両用の電池ユニットを、効率的に冷却できる。前記の温度制御装置は、電池ユニットの過熱を抑制できるから、電池ユニットの温度劣化を抑制できる。
【0011】
前記エア通路は、前記エア通路の入口を開閉する第1開閉弁を有し、
前記第1開閉弁は、前記電池ユニットの温度が第1温度以下の場合、前記エア通路の入口を閉じる、としてもよい。
【0012】
第1開閉弁がエア通路の入口を閉じると、空気がエア通路を流れない。冷媒が空気によって冷却されない、又は、冷却されにくい。電池ユニットの温度が第1温度以下である冷間時に第1開閉弁がエア通路の入口を閉じると、電池ユニットの温度上昇に有利になる。
【0013】
尚、第1開閉弁がエア通路の入口を閉じる場合、冷媒システムは冷媒の循環を停止させてもよい。この場合、冷媒システムも電池ユニットの冷却を行わないため、電池ユニットの温度上昇が促進される。
【0014】
前記電池ユニットは、第1電池ユニットと、前記第1電池ユニットよりも前記電動車両の後側に位置する第2電池ユニットとを含み、
前記熱伝導材は、前記第1電池ユニットに対応する位置及び前記第2電池ユニットに対応する位置のそれぞれにおいて、前記パイプと前記エア通路との間に介在し、
前記エア通路は、
前記第1電池ユニット及び前記第2電池ユニットの順に空気が流れる状態と、
前記第1電池ユニットを迂回して前記第2電池ユニットへ空気が流れる状態と、
に切り替わる、としてもよい。
【0015】
複数の電池ユニットが電動車両の前後方向に並んだ場合、相対的に前に位置する電池ユニットは走行風によって冷却されやすい。相対的に後に位置する電池ユニットは走行風によって冷却されにくいため、温度が高くなる場合がある。前後方向に並んだ複数の電池ユニットの温度がばらつく場合、複数の電池ユニットを均等に冷却するのではなく、何れかの電池ユニットを選択的に冷却した方が、効率がよい。
【0016】
エア通路が、第1電池ユニット及び第2電池ユニットの順に空気が流れる状態である場合、第1電池ユニット及び第2電池ユニットが、空気によって均等又は略均等に冷却される。エア通路が、第1電池ユニットを迂回して第2電池ユニットへ空気が流れる状態である場合、第2電池ユニットが、空気によって優先的に冷却される。エア通路が二つの状態に切り替わることによって、温度制御装置は、複数の電池ユニットを効率的に冷却できる。
【0017】
前記電動車両用電池ユニットの温度制御装置において、
前記熱交換器は、前記電池ユニット前方のパワーユニットルーム内に位置しかつ、電力供給を受けて空気流れを発生させるファンを有し、
前記エア通路は、通気口を通じて前記パワーユニットルームに連通すると共に、前記通気口を開閉する第2開閉弁を有し、
前記第2開閉弁は、前記車両の停車中でかつ前記電池ユニットの充電中に、前記通気口を開き、
前記ファンは、前記車両の停車中でかつ前記電池ユニットの充電中に駆動する。
【0018】
電動車両の停車中は、走行風が発生しないため、走行風を電池ユニットの冷却に利用できない。その一方で、電動車両の停車中に電池ユニットの充電を行っている場合、電池ユニットを冷却したい場合がある。
【0019】
温度制御装置は、電動車両の停車中でかつ電池ユニットの充電中に、熱交換器のファンを使って空気流れを発生させる。具体的にエア通路とパワーユニットルームとは、通気口を通じて連通しており、第2開閉弁が通気口を開けた状態で、パワーユニットルーム内のファンが駆動すると、エア通路内に空気流れが発生する。この状態において冷媒システムが冷媒を循環させることにより、電池ユニットから熱を受けた冷媒が、エア通路内を流れる空気流れによって冷却されると共に、熱交換器においても冷却される。車両の停車中にも、充電中の電池ユニットが効率的に冷却される。
【0020】
前記ファンは、前記電動車両の走行中は、前記電動車両の前から後への空気流れを発生させ、
前記ファンは、前記電動車両の停車中でかつ前記電池ユニットの充電中は、前記電動車両の後から前への空気流れを発生させる、としてもよい。
【0021】
ファンの駆動によって電動車両の後から前への空気流れが発生すると、エア通路の後方の開口から導入された空気がエア通路内を流れる。エア通路内を流れる空気の温度が相対的に低くなるから、電池ユニットの冷却効率があがる。
【0022】
前記とは異なる電動車両用電池ユニットの温度制御装置において、
前記電池ユニットは、前側電池ユニットと、前記前側電池ユニットよりも前記電動車両の後側に位置する後側電池ユニットとを有し、
前記熱伝導材は、前記前側電池ユニットに対応する位置及び前記後側電池ユニットに対応する位置のそれぞれにおいて、前記パイプと前記エア通路との間に介在し、
前記エア通路は、前記エア通路内を、前記熱伝導材に接する第1通路と、前記熱伝導材から離れた第2通路とに隔てる隔壁を有し、
前記隔壁は、前記前側電池ユニットに対応する位置と、前記後側電池ユニットに対応する位置との中間位置に、前記第1通路と前記第2通路とを連通する連通部を有し、
前記エア通路は、
空気が前記前側電池ユニットに対応する位置及び前記後側電池ユニットに対応する位置の両方において前記第1通路を流れる状態と、
空気が前記前側電池ユニットに対応する位置において前記第2通路を流れた後、前記連通部を通って、前記後側電池ユニットに対応する位置において前記第1通路を流れる状態と、
に切り替わる。
【0023】
エア通路内を第1通路と第2通路とに隔てる隔壁が、連通部を有することによって、エア通路内において、空気の流れを第1通路から第2通路へ変更したり、第2通路から第1通路へ変更したりできる。
【0024】
空気が前側電池ユニットに対応する位置及び後側電池ユニットに対応する位置の両方において第1通路を流れる状態では、前側電池ユニット及び後側電池ユニットの両方が、均等又は略均等に冷却される。
【0025】
空気が前側電池ユニットに対応する位置において第2通路を流れた後、連通部を通って、後側電池ユニットに対応する位置において第1通路を流れる状態では、後側電池ユニットが優先的に冷却される。
【0026】
前記エア通路はさらに、
空気が前記前側電池ユニットに対応する位置において前記第1通路を流れた後、前記連通部を通って、前記後側電池ユニットに対応する位置において前記第2通路を流れる状態に切り替わる、としてもよい。
【0027】
この状態では、前側電池ユニットが優先的に冷却される。
【0028】
前記エア通路はさらに、
空気が前記前側電池ユニットに対応する位置において前記第1通路及び前記第2通路を流れた後、前記連通部を通って、前記後側電池ユニットに対応する位置において前記第1通路のみを流れる状態に切り替わる、としてもよい。
【0029】
この状態では、第1通路を流れる空気の流量が増えるから、前側電池ユニット及び後側電池ユニットの両方をさらに冷却できる。又は、電動車両の車速が低い場合に、前側電池ユニット及び後側電池ユニットの両方を効率的に冷却できる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、前記の電動車両用電池ユニットの温度制御装置は、電池ユニットを、効率的に冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、電池ユニットの温度制御装置が搭載された電動車両を示している。
図2図2は、例示的な電池ユニットの温度制御装置を概念的に示している。
図3図3は、電池ユニットの温度制御装置のブロック図を示している。
図4図4は、温度制御装置の制御フローの一部を示している。
図5図5は、温度制御装置の制御フローの一部を示している。
図6図6は、第1電池ユニットを優先的に冷却している状態を示している。
図7図7は、第2電池ユニットを優先的に冷却している状態を示している。
図8図8は、第1電池ユニット及び第2電池ユニットを均等的に冷却している状態を示している。
図9図9は、第1電池ユニット及び第2電池ユニットをさらに冷却している状態を示している。
図10図10は、電動車両の停車中に、第1電池ユニット及び第2電池ユニットを冷却している状態を示している。
図11図11は、電動車両の停車中に、第1電池ユニット及び第2電池ユニットを、さらに冷却している状態を示している。
図12図12は、電池ユニットの温度制御装置の変形例を概念的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、電動車両用電池ユニットの温度制御装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ここで説明する温度制御装置は例示である。
【0033】
(電動車両の全体構造)
電池ユニットの温度制御装置は、電動車両1に搭載されている。図1は、電動車両1の構成を概念的に示している。尚、以下の説明において「前」は、電動車両1の「前」、つまり、図1の紙面左であり、「後」は、電動車両1の「後」、つまり図1の紙面右である。
【0034】
電動車両1は、ハイブリッド車(Hybrid Electric Vehicle又はPlug-in Hybrid Electric Vehicle))、又は、電気自動車(Battery Electric Vehicle)である。電動車両1には、電気モータが搭載されている。電気モータは、電動車両の走行のための駆動力を発生する。電気モータは、例えば電動車両1のパワーユニットルーム12に設置されている。図例の電動車両1において、パワーユニットルーム12は、電動車両1の前部に位置している。
【0035】
電動車両1には、電池ユニット2が搭載されている。電池ユニット2は、電気モータへ電気を供給する。電池ユニット2は、電動車両1のフロア下11に位置している。電池ユニット2はまた、パワーユニットルーム12の後に位置している。
【0036】
図例の電動車両1は、電池ユニット2として、第1電池ユニット21及び第2電池ユニット22を有している。第1電池ユニット21と第2電池ユニット22とは、前後方向に並んでいる。より具体的に、第2電池ユニット22は、第1電池ユニット21の後に位置している。第1電池ユニット21は前側電池ユニットであり、第2電池ユニット22は、後側電池ユニットである。尚、電池ユニットの数は、二つに限らず、三つ以上であってもよい。
【0037】
電動車両1には、冷媒システム3が搭載されている。冷媒システム3は、冷媒を放熱させるラジエータ31と、冷媒が流れるパイプ32と、を有している。ラジエータ31は、熱交換器の一例である。パイプ32は、電池ユニット2とラジエータ31との間をつないでいる。パイプ32は、往路と復路とを構成する。冷媒は、電池ユニット2から熱を受ける。
【0038】
パイプ32は、ラジエータ31に接続されている。ラジエータ31は、パワーユニットルーム12の前部に位置している。ラジエータ31は、冷媒と空気との間で熱交換を行う熱交換器である。ラジエータ31は、主に電動車両1の走行中に、走行風を利用して冷媒の熱を放出させる。冷媒システム3は、電池ユニット2とラジエータ31との間で冷媒を循環させることによって、電池ユニット2を冷却する。
【0039】
尚、熱交換器は、ラジエータ31に限定されない。冷媒が空調冷媒の場合、コンデンサが熱交換器となる。
【0040】
電動車両1はまた、エア通路4を有している。エア通路4は、電動車両1の下部に位置している。エア通路4は前後方向に延びている。エア通路4は、電動車両1の前方に開口していると共に、電動車両1の後方に開口している。電動車両1の走行中に、走行風は、前方からエア通路4内に導入され、エア通路4内を流れた後、後方から導出される。電池ユニットの温度制御装置は、冷媒システム3に、走行風が流れるエア通路4を組み合わせることによって、電池ユニット2を効率的に冷却する。
【0041】
(温度制御装置の詳細構造)
図2は、温度制御装置の詳細構造を示している。温度制御装置は、冷却対象の電池ユニット2と、前記冷媒システム3と、前記エア通路4とを備えている。
【0042】
電池ユニット2は、前述したように、第1電池ユニット21と第2電池ユニット22とを有している。第1電池ユニット21及び第2電池ユニット22はそれぞれ、複数のセルがケースに収容されて構成されている。セルは、充放電可能な二次電池である。複数のセルはケース内で並んでいる。複数のセルはバスバーによって電気的に接続されている。
【0043】
冷媒システム3のパイプ32は、第1パイプ321と第2パイプ322とを有している。第1パイプ321は、冷媒システム3において冷媒が流れる経路の往路又は復路であり、第2パイプ322は復路又は往路である。また、パイプ32は、第1電池ユニット21及び第2電池ユニット22のそれぞれにおいて、セル同士の間にも配設されている。セル同士の間に配設されたパイプ32は、第1パイプ321と第2パイプ322とを互いに接続する。尚、図2の例では、セル同士の間に配設されたパイプ32は上下方向に延びているが、電動車両1に搭載された状態において、セル同士の間に配設されたパイプ32は上下方向に延びて配設されるとは限らない。セル同士の間に配設されたパイプ32は、車幅方向に延びて配設されてもよいし、車両前後方向に延びて配設されてもよい。
【0044】
冷媒システム3は、ポンプ33を有している。ポンプ33は、パイプ32の途中に介在している。図2の例では、ポンプ33は、電池ユニット2内の第1パイプ321に配設されているが、ポンプ33の配設位置は、この位置に限定されない。ポンプ33は、適宜の位置に配設することができる。
【0045】
ラジエータ31は、ファン34を有している。ファン34が駆動すると、ラジエータ31を通過する空気流れが発生する。ラジエータ31を通過する空気流れは、ラジエータ31における冷媒の放熱を促進する。ラジエータ31の前側には、ダンパー35が位置している。ダンパー35は、電動車両1のグリルに位置している。ダンパー35は、図2に示すグリルを閉じた状態と、図9に示すグリルを開けた状態とに切り替わる。ダンパー35がグリルを閉じていると、電動車両1の走行中であってもラジエータ31を通過する空気流れが抑制されるから、冷媒の放熱も抑制される。その一方で、ダンパー35がグリルを閉じていると、電動車両1の走行抵抗が低下する。走行抵抗の低下は、電動車両1の電費又は燃費を向上させる。ダンパー35がグリルを開けていると、ラジエータ31を通過する空気流れが促進されるから、冷媒の放熱も促進される。
【0046】
ポンプ33が駆動すると、パイプ32内を冷媒が流れる。冷媒は、パイプ32内を流れることによって、電池ユニット2とラジエータ31との間を循環する。冷媒は、第1電池ユニット21及び第2電池ユニット22のそれぞれから熱を受けると共に、ラジエータ31において放熱する。これにより冷媒システム3は、第1電池ユニット21及び第2電池ユニット22を冷却する。尚、図2における冷媒の流れ方向に制限はない。冷媒は、図2における時計回り方向に流れてもよいし、反時計回り方向に流れてもよい。
【0047】
電池ユニット2の温度制御装置は、ヒーター61を備えている。ヒーター61は、第1電池ユニット21に接するように配設されていると共に、第2電池ユニット22に接するように配設されている。ヒーター61は、第1電池ユニット21及び第2電池ユニット22の冷間時に、これら第1電池ユニット21及び第2電池ユニット22を暖める。第1電池ユニット21及び第2電池ユニット22の温度が上昇する。ヒーター61は、第1電池ユニット21及び第2電池ユニット22を、個別に暖めることができる。
【0048】
エア通路4は、電池ユニット2の下側に位置している。エア通路4と、第2パイプ322との間には、熱伝導材5が介在している。より具体的に、熱伝導材5は、エア通路4の一部を形成している。熱伝導材5は、第1電池ユニット21及び第2電池ユニット22の両方にまたがるように、前後方向に延びている。熱伝導材5は、第2パイプ322内を流れる冷媒から、エア通路4を流れる空気への熱伝導を促進する。熱伝導材5の介在は、エア通路4を流れる空気を利用した冷媒の冷却を可能にする。
【0049】
エア通路4内には、隔壁が設けられている。隔壁は、エア通路4内を、熱伝導材5に接する第1通路441、451と、熱伝導材5から離れた第2通路442、452とに隔てる。隔壁は、第1電池ユニット21に対応する位置と、第2電池ユニット22に対応する位置との中間位置に、連通部433を有している。連通部433は、第1通路441、451と第2通路442、452とを連通させる。連通部433によって、隔壁は、前側隔壁431と、後側隔壁432とに分けられる。また、第1通路は、前側隔壁431に対応する第1前側通路441と、後側隔壁432に対応する第1後側通路451とに分けられ、第2通路は、前側隔壁431に対応する第2前側通路442と、後側隔壁432に対応する第2後側通路452とに分けられる。
【0050】
エア通路4は、入口41を開閉する第1開閉弁を有している。第1開閉弁は、F1バルブ51と、F2バルブ52とを含んでいる。F1バルブ51は、第1前側通路441の入口を開閉する。F2バルブ52は、第2前側通路442の入口を開閉する。
【0051】
エア通路4の内部には、R1バルブ53及びR2バルブ54が配設されている。R1バルブ53は、第1後側通路451の入口に位置し、当該入口を開閉する。R2バルブ54は、第2後側通路452の入口に位置し、当該入口を開閉する。
【0052】
詳細は後述するが、F1バルブ51、F2バルブ52、R1バルブ53、及び、R2バルブ54の開閉が切り替わることよって、空気が流れる経路が切り替わる。
【0053】
エア通路4は、通気口46を通じてパワーユニットルーム12に連通している。通気口46は、第1前側通路441の前後方向の中間位置に位置している。通気口46には、C1バルブ55が位置している。C1バルブ55は、通気口46を開閉する。C1バルブ55が開くと、パワーユニットルーム12と第1前側通路441とが連通する。
【0054】
図3に示すように、電動車両1は、制御ユニット7を有している。制御ユニット7は、第1電池ユニット21及び第2電池ユニット22の温度を調整する。第1温度センサ71は、第1電池ユニット21の温度を計測する。第1温度センサ71は、制御ユニット7に電気的に接続されている。第1温度センサ71は、制御ユニット7に、第1電池ユニット21の温度に関する計測信号を出力する。第2温度センサ72は、第2電池ユニット22の温度を計測する。第2温度センサ72は、制御ユニット7に電気的に接続されている。第2温度センサ72は、制御ユニット7に、第2電池ユニット22の温度に関する計測信号を出力する。
【0055】
車速センサ73は、電動車両1の車速を計測する。車速センサ73は、制御ユニット7に電気的に接続されている。車速センサ73は、制御ユニット7に、車速に関する計測信号を出力する。制御ユニット7は、車速センサ73の計測信号に基づいて、電動車両1が、停車中であるか、走行中であるかを判断する。制御ユニット7はまた、走行中である場合に、電動車両1が、所定速度よりも高い高速走行中であるか、所定速度以下の低速走行中であるかを判断する。
【0056】
制御ユニット7にはまた、前述したヒーター61、ポンプ33、ファン34、ダンパー35、F1バルブ51、F2バルブ52、R1バルブ53、R2バルブ54、及びC1バルブ55が、電気的に接続されている。制御ユニット7は、これらの各デバイスへ、制御信号を出力する。各デバイスは、制御ユニット7からの制御信号を受けて動作する。
【0057】
(温度制御装置による温度制御)
次に、図4及び図5のフローチャートを参照しながら、温度制御装置による、電池ユニット2の温度制御の詳細を説明する。
【0058】
先ず、図4のフローのスタート後のステップS41において、制御ユニット7は、第1温度センサ71の計測信号に基づく第1電池ユニット21の温度Tbfと、第2温度センサ72の計測信号に基づく第2電池ユニット22の温度Tbrと、を読み込む。続くステップS42において、制御ユニット7は、Tbf及びTbrが、第1温度T1を超えるか否かを判断する。第1温度T1は、電池ユニット2が冷間であることの基準温度である。第1温度T1は、予め定められかつ、制御ユニット7に記憶されている。ステップS42の判断がYESの場合、換言すれば、電池ユニット2が冷間でない場合、プロセスはステップS43へ進む。ステップS42の判断がNOの場合、換言すれば、電池ユニット2が冷間である場合、プロセスはステップS44へ進む。
【0059】
ステップS44において、制御ユニット7は、ヒーター61をONにしかつ、ポンプ33をOFFにする。ポンプ33のOFFによって、冷媒システム3は実質的に機能しない。尚、ダンパー35も閉じている。制御ユニット7はまた、全てのバルブ51、52、53、54、55を閉じる。電動車両1が走行中であっても、走行風はエア通路4内を流れない。図2は、ステップS44における温度制御装置の状態を示している。ステップS44の後、プロセスはステップS41に戻る。
【0060】
ステップS43において、制御ユニット7は、ヒーター61をOFFにし、ポンプ33をONにする。冷媒システム3において、冷媒が循環する。
【0061】
続くステップS45において、制御ユニット7は、Tbf又はTbrが、第2温度T2を超えるか否かを判断する。第2温度T2は、電池ユニット2の、積極的な冷却が必要であることの基準温度であり、T2>T1である。第2温度T2は、予め定められかつ、制御ユニット7に記憶されている。
【0062】
ステップS45の判断がNOの場合、換言すれば、電池ユニット2の、積極的な冷却が不要な場合、プロセスはステップS41へ戻る。この場合、冷媒システム3のみが電池ユニット2を冷却する。尚、この場合に、ダンパー35は、閉じていてもよいし、開いていてもよい。また、ダンパー35が開いている場合、ファン34はONであってもよいし、OFFであってもよい。
【0063】
ステップS45の判断がYESの場合、換言すれば、電池ユニット2の、積極的な冷却が必要な場合、プロセスはステップS46へ進む。
【0064】
ステップS46において、制御ユニット7は、電動車両1が、停車中であるか、又は、充電中であるかを判断する。尚、「停車中であるか」は、充電は行っていないが停車中であることを意味し、「充電中であるか」は、停車中であってかつ充電中であることを意味する。ステップS46の判断がYESの場合、プロセスはステップS47へ進む。ステップS46の判断がNOの場合、つまり、走行中でかつ放電中である場合、プロセスは、図5のステップS411へ進む。
【0065】
ステップS411において、制御ユニット7は、Tbf及びTbrの両方が、第2温度T2を超えるか否かを判断する。ステップS411の判断がYESの場合、換言すれば、第1電池ユニット21及び第2電池ユニット22の両方の温度が高い場合、プロセスはステップS412へ進み、ステップS411の判断がNOの場合、換言すれば、第1電池ユニット21及び第2電池ユニット22のいずれか一方の温度が高い場合、プロセスはステップS414へ進む。
【0066】
ステップS414において、制御ユニット7は、Tbfが、第2温度T2を超えるか否かを判断する。ステップS414の判断がYESの場合、換言すれば、第1電池ユニット21の温度が高い場合、プロセスはステップS415へ進み、ステップS414の判断がNOの場合、換言すれば、第2電池ユニット22の温度が高い場合、プロセスはステップS416へ進む。
【0067】
ステップS415において制御ユニット7は、第1電池ユニット21及び第2電池ユニット22のうち、第1電池ユニット21を優先的に冷却する。具体的に、制御ユニット7は、F1バルブ51及びR2バルブ54をそれぞれ開弁し、F2バルブ52、R1バルブ53及びC1バルブ55をそれぞれ閉弁する。これにより、図6に矢印で示すように、空気は、エア通路4内の第1前側通路441を流れた後、連通部433から、第2後側通路452を流れて、エア通路4の出口42から出ていく。この状態において、第1電池ユニット21付近において、第2パイプ322を流れる冷媒から空気へ熱が移動することにより、第1電池ユニット21が冷却される。一方、空気は、第1後側通路451を流れないため、第2電池ユニット22の冷却が抑制される。こうして、第1電池ユニット21が、冷媒システム3とエア通路4とを使って、優先的に冷却される。
【0068】
ステップS416において、制御ユニット7は、第1電池ユニット21及び第2電池ユニット22のうち、第2電池ユニット22を優先的に冷却する。具体的に、制御ユニット7は、F2バルブ52及びR1バルブ53をそれぞれ開弁し、F1バルブ51、R2バルブ54及びC1バルブ55をそれぞれ閉弁する。これにより、図7に矢印で示すように、空気は、エア通路4内の第2前側通路442を流れた後、連通部433から、第1後側通路451を流れて、エア通路4の出口42から出ていく。この状態において、第2電池ユニット22付近において、第2パイプ322を流れる冷媒から空気へ熱が移動することにより、第2電池ユニット22が冷却される。一方、空気は、第1前側通路441を流れないため、第1電池ユニット21の冷却が抑制される。こうして、第2電池ユニット22が、冷媒システム3とエア通路4とを使って、優先的に冷却される。
【0069】
ステップS412において、制御ユニット7は、Tbf及びTbrが、第4温度T4を超えるか否かを判断する。第4温度T4は、電池ユニット2の温度が極めて高いため、電池ユニット2を積極的な冷却が必要であることの基準温度であり、T4>T2である。第4温度T4は、予め定められかつ、制御ユニット7に記憶されている。
【0070】
ステップS412の判断がYESの場合、換言すれば、高温の電池ユニット2の、積極的な冷却が必要な場合、プロセスはステップS413へ進む。ステップS412の判断がNOの場合、プロセスはステップS417へ進む。
【0071】
ステップS417において、制御ユニット7は、Tbf及びTbrが、第3温度T3を超えるか否かを判断する。第3温度T3は、T4未満でかつ、T2を超える温度である(T4>T3>T2)。第3温度T3は、予め定められかつ、制御ユニット7に記憶されている。
【0072】
ステップS417の判断がYESの場合、プロセスはステップS419へ進み、NOの場合、プロセスはステップS418へ進む。
【0073】
ステップS418において、制御ユニット7は、F1バルブ51、R1バルブ53をそれぞれ開弁し、F2バルブ52、R2バルブ54及びC1バルブ55をそれぞれ閉弁する。これにより、図8に矢印で示すように、空気は、エア通路4内の第1前側通路441を流れた後、第1後側通路451を流れて、エア通路4の出口42から出ていく。第1電池ユニット21及び第2電池ユニット22それぞれの付近において、第2パイプ322を流れる冷媒から空気へ熱が移動することにより、第1電池ユニット21及び第2電池ユニット22の両方を、効率的に冷却することが可能になる。
【0074】
ステップS419において、制御ユニット7は、F1バルブ51、F2バルブ52、R1バルブ53をそれぞれ開弁し、R2バルブ54及びC1バルブ55をそれぞれ閉弁する。これにより、図9に矢印で示すように、空気は、エア通路4内の第1前側通路441及び第2前側通路442のそれぞれを流れた後、連通部433において合流して、第1後側通路451を流れて、エア通路4の出口42から出ていく。図8と比較して、エア通路4を流れる空気の流量が増えるため、第1電池ユニット21及び第2電池ユニット22の両方を、さらに冷却することが可能になる。また、電動車両1の車速が低い場合であっても、第1電池ユニット21及び第2電池ユニット22の両方を、効率良く冷却できる。尚、ステップS419において、制御ユニット7は、ダンパー35を開けてもよい(図9参照)。ダンパー35を開けると、冷媒システム3は、冷媒の放熱を促進できるから、第1電池ユニット21及び第2電池ユニット22の両方を、さらに効率的に冷却できる。
【0075】
ステップS413において、制御ユニット7は、F1バルブ51、F2バルブ52、R1バルブ53、R2バルブ54及びC1バルブ55をそれぞれ開弁する。これにより、エア通路4内の第1前側通路441、第2前側通路442、第1後側通路451及び第2後側通路452のそれぞれを空気が流れる。エア通路4を流れる空気の流量が増えるため、第1電池ユニット21及び第2電池ユニット22の両方を、さらに冷却することが可能になる。尚、ステップS413においても、制御ユニット7は、ダンパー35を開けてもよい。そうすることで、連通部433を通じたパワーユニットルーム12からエア通路4への空気の流れが促進されるから、エア通路4を流れる空気の流量がさらに増える。
【0076】
図4に戻り、ステップS47において、制御ユニット7は、ラジエータ31のファン34を逆転駆動する。また、制御ユニット7は、ダンパー35を開ける。これにより、電動車両1が停車している状態においても、空気流れが発生する。冷媒システム3は、冷媒を効率的に放熱させることができる。
【0077】
続くステップS48において、制御ユニット7は、Tbf又はTbrが、第3温度T3(T4>T3>T2)を超えるか否かを判断する。ステップS48の判断がYESの場合、プロセスはステップS410へ進み、NOの場合、プロセスはステップS49へ進む。
【0078】
ステップS49において、制御ユニット7は、R1バルブ53、及び、C1バルブ55をそれぞれ開弁し、F1バルブ51、F2バルブ52、及び、R2バルブ54をそれぞれ閉弁する。これにより、図10に矢印で示すように、空気は、エア通路4内の出口42から第1後側通路451及び第1前側通路441へ向かって流れかつ、通気口46を通ってパワーユニットルーム12へ流れる。電動車両1が停車していて、走行風が発生しない状態でも、エア通路4を空気が流れ、第1電池ユニット21及び第2電池ユニット22それぞれの付近において、第2パイプ322を流れる冷媒から空気へ熱が移動することにより、第1電池ユニット21及び第2電池ユニット22のそれぞれを、効率的に冷却できる。
【0079】
一方、ステップS410において、制御ユニットは、R1バルブ53、R2バルブ54、及び、C1バルブ55をそれぞれ開弁し、F1バルブ51及びF2バルブ52をそれぞれ閉弁する。これにより、図11に矢印で示すように、空気は、エア通路4内の第1後側通路451及び第2後側通路452のそれぞれを流れた後、連通部433において合流して、第1前側通路441を流れて、通気口46からパワーユニットルーム12へ流れる。図10と比較して、エア通路4を流れる空気の流量が増えるため、第1電池ユニット21及び第2電池ユニット22の両方を、さらに冷却することが可能になる。例えば急速充電時等において、第1電池ユニット21及び第2電池ユニット22の両方の温度が、過度に上昇することが抑制できる。
【0080】
以上のように、電池ユニットの温度制御装置は、電池ユニット2から熱を受けた冷媒が、ラジエータ31に向かって第2パイプ322内を流れている間に、エア通路4を流れる空気によって冷却されると共に、ラジエータ31においても冷却される。そのため、温度制御装置は、電動車両1の電池ユニット2を、効率的に冷却できる。また、温度制御装置は、電池ユニット2の過熱を抑制できるから、電池ユニット2の温度劣化を抑制できる。
【0081】
(変形例)
図2の構成例では、電池ユニット2のケースの下側に熱伝導材5が配置されているが、例えば図12に例示するように、熱伝導材5は、電池ユニット2のケースの一部を構成してもよい。この場合、温度制御装置は、電池ユニット2をより効率的に冷却できる。
【符号の説明】
【0082】
1 電動車両
11 フロア下
12 パワーユニットルーム
2 電池ユニット
21 第1電池ユニット
22 第2電池ユニット
3 冷媒システム
31 ラジエータ(熱交換器)
32 パイプ
34 ファン
4 エア通路
41 入口
42 出口
431 前側隔壁(隔壁)
432 後側隔壁(隔壁)
433 連通部
441 第1前側通路(第1通路)
442 第2前側通路(第2通路)
451 第1後側通路(第1通路)
452 第2後側通路(第2通路)
46 通気口
5 熱伝導材
51 F1バルブ(第1開閉弁)
52 F2バルブ(第1開閉弁)
55 C1バルブ(第2開閉弁)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12