IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

特許7666508被介護者の情報を提供するためにコンピューターで実行される方法、プログラム、および、情報提供装置
<>
  • 特許-被介護者の情報を提供するためにコンピューターで実行される方法、プログラム、および、情報提供装置 図1
  • 特許-被介護者の情報を提供するためにコンピューターで実行される方法、プログラム、および、情報提供装置 図2
  • 特許-被介護者の情報を提供するためにコンピューターで実行される方法、プログラム、および、情報提供装置 図3
  • 特許-被介護者の情報を提供するためにコンピューターで実行される方法、プログラム、および、情報提供装置 図4
  • 特許-被介護者の情報を提供するためにコンピューターで実行される方法、プログラム、および、情報提供装置 図5
  • 特許-被介護者の情報を提供するためにコンピューターで実行される方法、プログラム、および、情報提供装置 図6
  • 特許-被介護者の情報を提供するためにコンピューターで実行される方法、プログラム、および、情報提供装置 図7
  • 特許-被介護者の情報を提供するためにコンピューターで実行される方法、プログラム、および、情報提供装置 図8
  • 特許-被介護者の情報を提供するためにコンピューターで実行される方法、プログラム、および、情報提供装置 図9
  • 特許-被介護者の情報を提供するためにコンピューターで実行される方法、プログラム、および、情報提供装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-04-14
(45)【発行日】2025-04-22
(54)【発明の名称】被介護者の情報を提供するためにコンピューターで実行される方法、プログラム、および、情報提供装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 80/00 20180101AFI20250415BHJP
   G06Q 50/22 20240101ALI20250415BHJP
【FI】
G16H80/00
G06Q50/22
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022516920
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2021013648
(87)【国際公開番号】W WO2021215207
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2024-02-15
(31)【優先権主張番号】P 2020075888
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河本 望
(72)【発明者】
【氏名】岡田 真和
(72)【発明者】
【氏名】大河内 二郎
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-506445(JP,A)
【文献】再公表特許第2015/019477(JP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0254096(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被介護者の情報を提供するためにコンピューターで実行される方法であって、
前記コンピューターのプロセッサーが、被介護者の日常生活動作を複数回観察することにより取得された複数の動作データにアクセスすることと、
前記プロセッサーが、前記複数の動作データを前記プロセッサーに接続されているモニターに表示することと、
前記プロセッサーが、各前記動作データに基づいて、前記日常生活動作の程度の変化を表わす変化率前記モニターに表示することと、
前記プロセッサーが、データベースから、前記被介護者に対して実施されたリハビリテーションの内容を読み出すことと、
前記プロセッサーが、前記読み出したリハビリテーションの内容を前記モニターに表示することと、
前記プロセッサーが、変化率に応じて予め準備されたリハビリテーションのメニューと、前記被介護者についての当該変化とに基づいて、当該被介護者に推奨されるリハビリテーションを選択することと
前記プロセッサーが、選択された前記リハビリテーションのメニューを前記モニターに表示することとを含む、方法。
【請求項2】
前記プロセッサーが、複数の日常生活動作から1以上の日常生活動作の選択を受け付けることをさらに含み、
前記複数の動作データを表示することは、選択された前記1以上の日常生活動作についての動作データを表示することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変化率を表示することは、前記変化を表わすグラフを表示することを含み、
前記方法は、前記プロセッサーが、当該被介護者による1以上のリハビリテーションが行なわれたことを表わす1つ以上の印を、前記グラフの中における当該リハビリテーションが行なわれた日に関連付けて表示することをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の印を表示することは、当該被介護者に対して実施された複数のリハビリテーションの各々を識別する印を表示することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記グラフが表示された日常生活動作についての変化を表わすコメントを表示することをさらに含む、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記プロセッサーが、複数の日常生活動作のいずれかが行なわれた日の指定を受け付けることをさらに含み、
前記リハビリテーションの内容を表示することは、前記指定された日に行なわれたリハビリテーションの内容を表示することを含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記プロセッサーが、前記複数の日常生活動作のいずれかが行なわれた日として指定された日を変更するための操作を受け付けることをさらに含み、
前記リハビリテーションの内容を表示することは、前記変更の操作に応じて、変更後の日に行なわれたリハビリテーションの内容を表示することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記プロセッサーが、他の被介護者について取得された複数の動作データに基づいて、日常生活動作の程度の変化を表わす情報を表示することをさらに含む、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
被介護者の情報を提供するための方法を1つ以上のプロセッサーに実行させるプログラムであって、前記プログラムは前記1つ以上のプロセッサーに、
被介護者の日常生活動作を複数回観察することにより取得された複数の動作データにアクセスすることと、
前記複数の動作データを前記プロセッサーに接続されているモニターに表示することと、
各前記動作データに基づいて、前記日常生活動作の程度の変化を表わす変化率前記モニターに表示することと、
前記被介護者に対して実施されたリハビリテーションの内容を読み出すことと、
前記読み出されたリハビリテーションの内容を前記モニターに表示することと、
変化率に応じて予め準備されたリハビリテーションのメニューと、前記被介護者についての当該変化とに基づいて、当該被介護者に推奨されるリハビリテーションを選択することと
選択された前記リハビリテーションのメニューを前記モニターに表示することとを実行させる、プログラム。
【請求項10】
前記プログラムは前記1つ以上のプロセッサーに、複数の日常生活動作から1以上の日常生活動作の選択を受け付けることをさらに実行させ、
前記複数の動作データを表示することは、選択された前記1以上の日常生活動作についての動作データを表示することを含む、請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記変化率を表示することは、前記変化を表わすグラフを表示することを含み、
前記プログラムは前記1つ以上のプロセッサーに、当該被介護者による1以上のリハビリテーションが行なわれたことを表わす1つ以上の印を、前記グラフの中における当該リハビリテーションが行なわれた日に関連付けて表示することをさらに実行させる、請求項9または10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記プログラムは前記1つ以上のプロセッサーに、前記グラフが表示された日常生活動作についての変化を表わすコメントを表示することをさらに実行させる、請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記プログラムは前記1つ以上のプロセッサーに、複数の日常生活動作のいずれかが行なわれた日の指定を受け付けることをさらに実行させ、
前記リハビリテーションの内容を表示することは、前記指定された日に行なわれたリハビリテーションの内容を表示することを含む、請求項9~12のいずれかに記載のプログラム。
【請求項14】
前記プログラムは前記1つ以上のプロセッサーに、他の被介護者について取得された複数の動作データに基づいて、日常生活動作の程度の変化を表わす情報を表示することをさらに実行させる、請求項9~13のいずれかに記載のプログラム。
【請求項15】
情報提供装置であって、
命令を格納したメモリと、
前記命令を実行するためのプロセッサーとを備え、前記命令が前記プロセッサーによって実行されると、前記命令は前記プロセッサーに、
被介護者の日常生活動作を複数回観察することにより取得された複数の動作データにアクセスすることと、
前記複数の動作データを前記プロセッサーに接続されているモニターに表示することと、
各前記動作データに基づいて、前記日常生活動作の程度の変化を表わす変化率前記モニターに表示することと、
前記被介護者に対して実施されたリハビリテーションの内容を読み出すことと、
前記読み出されたリハビリテーションの内容を前記モニターに表示することと、
変化率に応じて予め準備されたリハビリテーションのメニューと、前記被介護者についての当該変化とに基づいて、当該被介護者に推奨されるリハビリテーションを選択することと
選択された前記リハビリテーションのメニューを前記モニターに表示することとを実行させる、情報提供装置。
【請求項16】
前記命令は前記プロセッサーに、複数の日常生活動作から1以上の日常生活動作の選択を受け付けることをさらに実行させ、
前記複数の動作データを表示することは、選択された前記1以上の日常生活動作についての動作データを表示することを含む、請求項15に記載の情報提供装置。
【請求項17】
前記変化率を表示することは、前記変化を表わすグラフを表示することを含み、
前記命令は前記プロセッサーに、当該被介護者による1以上のリハビリテーションが行なわれたことを表わす1つ以上の印を、前記グラフの中における当該リハビリテーションが行なわれた日に関連付けて表示することをさらに実行させる、請求項15または16に記載の情報提供装置。
【請求項18】
前記命令は前記プロセッサーに、前記グラフが表示された日常生活動作についての変化を表わすコメントを表示することをさらに実行させる、請求項17に記載の情報提供装置。
【請求項19】
前記命令は前記プロセッサーに、複数の日常生活動作のいずれかが行なわれた日の指定を受け付けることをさらに実行させ、
前記リハビリテーションの内容を表示することは、前記指定された日に行なわれたリハビリテーションの内容を表示することを含む、請求項15~18のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項20】
前記命令は前記プロセッサーに、他の被介護者について取得された複数の動作データに基づいて、日常生活動作の程度の変化を表わす情報を表示することをさらに実行させる、請求項15~19のいずれかに記載の情報提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して情報の提示に関し、より特定的には、日常生活動作に関する情報の提示に関する。
【背景技術】
【0002】
人の日常生活動作(ADL)に関し、例えば、特表2018-507008号公報(特許文献1)は、「環境内の人の日常生活動作、ADLをモニタリングするためのシステムと方法」を開示している。特許文献1に開示された技術によると、「システムは人と環境のうち少なくとも一方の特性の検出値をあらわすセンサ出力信号を受信し、人の推論ADLをあらわす推論ADL出力信号を生成するように適応されるADL推論ユニットを有する。モニタユニットは受信センサ出力信号と推論ADL出力信号のうち少なくとも一つに依存するモニタ信号を生成するように適応される。」というものである([要約]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2018-507008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、介護施設に入居している被介護者(適宜「入居者」ともいう)の日常生活動作については、被介護者本人よりも、当該被介護者の家族あるいは介護スタッフが、本人の状態を把握するために、日常生活動作の状態を知りたい場合がある。したがって、日常生活動作の状態を客観的に表示する技術が必要とされている。
【0005】
本開示は上述のような背景に鑑みてなされたものであって、ある局面に従うと、日常生活動作の状態を客観的に表示する技術が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある実施の形態に従うと、被介護者の情報を提供するためにコンピューターで実行される方法が提供される。この方法は、被介護者の日常生活動作を複数回観察することにより取得された複数の動作データにアクセスすることと、複数の動作データを表示することと、各動作データに基づいて、日常生活動作の程度の変化を表わす情報を表示することと、被介護者に対して実施されたリハビリテーションの内容を表示することと、リハビリテーションの内容と、日常生活動作の程度の変化とに基づいて、当該被介護者に推奨されるリハビリテーションを出力することとを含む。
【0007】
ある局面に従う方法は、複数の日常生活動作から1以上の日常生活動作の選択を受け付けることをさらに含む。複数の動作データを表示することは、選択された1以上の日常生活動作についての動作データを表示することを含む。
【0008】
ある局面に従う方法において、情報を表示することは、変化を表わすグラフを表示することを含む。上記方法は、当該被介護者による1以上のリハビリテーションが行なわれたことを表わす1つ以上の印を、グラフの中における当該リハビリテーションが行なわれた日に関連付けて表示することをさらに含む。
【0009】
ある局面に従う方法において、1つ以上の印を表示することは、当該被介護者に対して実施された複数のリハビリテーションの各々を識別する印を表示することを含む。
【0010】
ある局面に従う方法は、グラフが表示された日常生活動作についての変化を表わすコメントを表示することをさらに含む。
【0011】
ある局面に従う方法は、複数の日常生活動作のいずれかが行なわれた日の指定を受け付けることをさらに含む。リハビリテーションの内容を表示することは、指定された日に行なわれたリハビリテーションの内容を表示することを含む。
【0012】
ある局面に従う方法は、複数の日常生活動作のいずれかが行なわれた日として指定された日を変更するための操作を受け付けることをさらに含む。リハビリテーションの内容を表示することは、変更の操作に応じて、変更後の日に行なわれたリハビリテーションの内容を表示することを含む。
【0013】
ある局面に従う方法は、他の被介護者について取得された複数の動作データに基づいて、日常生活動作の程度の変化を表わす情報を表示することをさらに含む。
【0014】
他の実施の形態に従うと、上記のいずれかに記載の方法を1つ以上のプロセッサーに実行させるプログラムが提供される。
【0015】
さらに他の実施の形態に従うと、上記のプログラムと、当該プログラムを実行するプロセッサーとを備える、情報提供装置が提供される。
【発明の効果】
【0016】
ある局面において、日常生活動作の状態が客観的に表示される。
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】見守りシステム100の構成の一例を示す図である。
図2】見守りシステム100の構成の概要を示すブロック図である。
図3】センサーボックス119を用いた見守りシステム100の概略を示す図である。
図4】コンピューターシステム400のハードウェア構成を表わすブロック図である。
図5】ハードディスク5におけるデータの一態様を概念的に表わす図である。
図6】被介護者別のリハビリテーション記録に関するデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。
図7】管理サーバー200のCPU1が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
図8】モニター8に表示される日常生活動作に関する情報の一例を表わす図である。
図9】他の日常生活動作の実測値と移動平均を表わす図である。
図10】指定された被介護者のADL状態に加えて、比較対象となるADL状態が表示された状態を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0019】
<システムの概要>
図1を参照して、ADLに関する情報を取得可能な見守りシステムの概要について説明する。図1は、見守りシステム100の構成の一例を示す図である。見守り対象の一例は、施設180の居室領域に設けられた各居室内の入居者である。図1の見守りシステム100では、居室領域に、居室110,120が設けられている。居室110は、入居者111に割り当てられている。居室120は、入居者121に割り当てられている。
【0020】
見守りシステム100は、ゲートウェイサーバー130と、交換装置12と、アクセスポイント140と、管理サーバー200と、センサーボックス119と、センサーボックス119と通信する各種機器と、携帯端末161,162,163,164とを含む。
【0021】
ゲートウェイサーバー130は、施設180の内部ネットワーク(イントラネット)と、施設180の外部ネットワーク16とを互いに接続する。外部ネットワーク16は、たとえば、インターネットや公衆電話回線網である。また、外部ネットワーク16には、クラウドサーバー150と、プッシュサーバー160と、無線基地局15とが接続されている。
【0022】
交換装置135は、施設180の内部ネットワークの各機器を互いに接続する。ある局面において、ルーターやスイッチが交換装置135として使用されてもよい。図1に示される例では、交換装置135の数は2であるが、当該数はこれに限定されない。施設180の内部ネットワークは、複数の交換装置135の組み合わせによって構成されてもよい。
【0023】
アクセスポイント140は、携帯端末161,162を施設180の内部ネットワークに接続するために使用される。ある局面において、Wi-Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)ルーターが、アクセスポイント140として使用され得る。
【0024】
管理サーバー200は、施設180の中のセンサーボックス119からイベント情報を受信し、各居室の入居者の情報を管理する。また、管理サーバー200は、携帯端末161,162とも通信し、当該携帯端末を保持するスタッフを管理すると共に、各携帯端末に各種の通知を送信する。なお、管理サーバー200は、携帯端末161,162に通知を送信する場合、外部のプッシュサーバー160を使用してもよい。また、外部のクラウドサーバー150が、管理サーバー200の一部または全ての機能を備えていてもよい。
【0025】
センサーボックス119は、その筐体に内蔵されたカメラおよびセンサーと、居室110,120内の他の各種センサーと連携することにより、居室110,120内の入居者111,121に関する情報をそれぞれ取得する。当該情報は、各入居者の歩行を示す画像、体温や脈拍その他のバイタル情報等を含み得る。また、センサーボックス119は、内部ネットワークを介して、管理サーバー200に、取得した入居者111,121に関する情報を送信する。センサーボックス119の詳細は後述する。
【0026】
携帯端末161,162は、施設180で介護に従事する介護者その他のスタッフにより使用される。スタッフは、携帯端末161,162を用いて、介護記録等を入力できる。携帯端末161,162は、当該介護記録を管理サーバー200に送信する。また、入居者111,121に問題が発生した場合には、スタッフは、携帯端末161,162を用いて、管理サーバー200から通知を受信する。携帯端末161,162は、施設180の中ではアクセスポイント140と接続され、内部ネットワークを介して管理サーバー200と通信する。本明細書の例では、介護者141,142,143,144がそれぞれ携帯端末161,162,163,164を保持している。
【0027】
携帯端末163,164は、施設180の外からは、無線基地局15等を介して、ゲートウェイサーバー11を経由して管理サーバー200と通信することができる。携帯端末163,164が施設180の外から管理サーバー200と通信する場合、管理サーバー200から携帯端末163,164に提供されるサービスの一部は、入居者の情報を保護するために制限される場合がある。
【0028】
なお、携帯端末161,162、アクセスポイント140、交換装置135等の他の装置の数は、図1に例示される数に限定されない。
【0029】
居室110,120は、それぞれ、設備として、家具112、ベッド113、および、トイレ114を含む。居室110,120のドアには、当該ドアの開閉を検出するドアセンサー118がそれぞれ設置されている。トイレ114のドアには、トイレ114の開閉を検出するトイレセンサー116が設置されている。ベッド113には、入居者111の排泄情報を取得する臭いセンサー117が設置されている。入居者111は、当該入居者111のバイタル情報を検出するバイタルセンサー290を装着している。検出されるバイタル情報の一例は、入居者の体温である。他の例は、入居者の呼吸である。さらに他の例は、入居者の心拍数である。さらに他の例は、これらの情報の中の2以上の種類の情報である。居室110では、入居者111はケアコール子機115を操作することができる。入居者111がケアコール子機115を操作すると、ケアコール子機115は、呼び出し信号を発信し、呼び出し信号は、センサーボックス119により受信される。センサーボックス119は、その受信した呼び出し信号を管理サーバー200に送信する。管理サーバー200は、入居者111から呼び出しを受けていることを通知する信号を携帯端末220に送信する。
【0030】
センサーボックス119は、居室110,120内の物体の挙動を検出するためのセンサーを内蔵する。センサーの一例は、物体の動作を検出するためのドップラーセンサーである。他の例は、カメラである。さらに他の例は、ケアコール子機115、ドアセンサー118、トイレセンサー116、臭いセンサー117、または、バイタルセンサー290である。センサーボックス119は、センサーとして、これらのセンサー中の少なくとも一つを含み得る。
【0031】
図2を参照して、見守りシステム100の構成要素について説明する。図2は、見守りシステム100の構成の概要を示すブロック図である。
【0032】
[センサーボックス119]
センサーボックス119は、制御装置101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、通信インターフェイス104と、カメラ105と、ドップラーセンサー106と、無線通信装置107と、記憶装置108とを備える。
【0033】
制御装置101は、センサーボックス119を制御する。制御装置101は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)その他のプロセッサー、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらの組み合わせなどによって構成される。
【0034】
通信インターフェイス104には、アンテナ(図示しない)などが接続される。センサーボックス119は、当該アンテナを介して、外部の通信機器との間でデータをやり取りする。外部の通信機器は、たとえば、管理サーバー200、携帯端末161,162,163,164その他の端末、アクセスポイント140、クラウドサーバー150、その他の通信端末などを含む。
【0035】
カメラ105は、一実現例では、近赤外カメラである。近赤外カメラは、近赤外光を投光するIR(Infrared)投光器を含む。近赤外カメラが用いられることにより、夜間でも居室110,120の内部を表わす画像が撮影され得る。他の実現例では、カメラ105は、可視光のみを受光する監視カメラである。さらに他の実現例では、カメラ105として、3Dセンサやサーモグラフィーカメラが用いられてもよい。センサーボックス119およびカメラ105は、一体として構成されてもよいし、個別の装置の組み合わせとして構成されてもよい。
【0036】
ドップラーセンサー106は、体動センサーとして機能する。ドップラーセンサー106は、マイクロ波、超音波その他の電波を発信及び受信して、居室110,120内の物体(例えば入居者111や介護スタッフ等)の挙動(動作)を検出する。これにより、居室110,120の入居者111,121の生体情報が検出され得る。
【0037】
より具体的には、ドップラーセンサー106は、制御装置101に接続され、制御装置101の制御に従って、入居者111の呼吸に伴う胸部の体表の動きを測定する。ドップラーセンサー106は、マイクロ波や超音波を送信し(以下「送信波」ともいう。)、物体で反射されたマイクロ波や超音波(すなわち「反射波」)を受信し、送信波と反射波とに基づいて、ドップラー周波数成分のドップラー信号を出力する。物体が動いている場合、反射波の周波数が所謂ドップラー効果により当該物体の動いている速度に比例してシフトする。そのため、送信波の周波数と反射波の周波数とに差(ドップラー周波数成分)が生じる。ドップラーセンサー106は、このドップラー周波数成分の信号をドップラー信号として所定のサンプリングレートで生成し、制御装置101に当該ドップラー信号を出力する。制御装置101は、ドップラーセンサー106からドップラー信号を受信すると、この受信したドップラー信号を時系列に記憶装置108に格納する。なお、マイクロ波が送信波として使用されると、当該マイクロ波は、着衣を透過して入居者111の体表で反射する。そのため、入居者111が衣服を着ていても体表の動きを検知できる。
【0038】
一例では、各ドップラーセンサー106は、24GHz帯のマイクロ波を各居室110,120のベッド113に向けて放射し、入居者111,121等で反射した反射波を受信する。反射波は、入居者111,121の動作により、ドップラーシフトしている。ドップラーセンサー106は、当該反射波から、入居者111,121の呼吸状態や心拍数を検出し得る。
【0039】
無線通信装置107は、ケアコール子機115、ドアセンサー118、トイレセンサー116、臭いセンサー117、および、バイタルセンサー290からの信号を受信し、当該信号を制御装置101へ送信する。ケアコール子機115は、ケアコールボタン241を備える。ケアコールボタン241が操作されると、ケアコール子機115は、当該操作があったことを示す信号(例えば呼び出し信号)を発信する。発信された信号は、無線通信装置107によって受信される。ドアセンサー118、トイレセンサー116、臭いセンサー117、および、バイタルセンサー290は、それぞれの検出結果を送信すると、送信された信号は、無線通信装置107によって受信される。
【0040】
記憶装置108は、たとえば、フラッシュメモリーまたはハードディスク等の固定記憶装置、あるいは、外付けの記憶装置などの記録媒体である。記憶装置108は、制御装置101によって実行されるプログラム、および、当該プログラムの実行に利用される各種のデータを格納する。各種のデータは、入居者111,121の行動情報を含んでいてもよい。行動情報の詳細は後述する。
【0041】
上記のプログラムおよびデータのうち少なくとも一方は、制御装置101がアクセス可能な記憶装置であれば、記憶装置108以外の記憶装置(たとえば、制御装置101の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリーなど)、ROM102、RAM103、外部機器(たとえば、管理サーバー200や携帯端末161,162,163,164等)に格納されていてもよい。
【0042】
[行動情報]
次に、本実施の形態における行動情報について、説明する。行動情報は、たとえば入居者111,121が所定の行動を実行したことを表わす情報である。一例では、所定の行動は、入居者111,121が起きたことを表わす「起床」、入居者111,121がベッド(寝具)113から離れたことを表わす「離床」、入居者111,121がベッド(寝具)113から落ちたことを表わす「転落」、および、入居者111,121が倒れたことを表わす「転倒」の4つの行動を含む。
【0043】
さらに、行動情報は、入居者が介護を受けることを拒否するために行なう動作を含み得る。例えば、行動情報は、手で介護者を振り払う動作、脚で介護者を蹴ろうとする動作、ベッド113にしがみついて着替えを拒否する動作等を含み得る。
【0044】
ある実施の形態では、制御装置101が、各居室110,120に設置されたカメラ105が撮像した画像に基づいて、各居室110,120に関連付けられた入居者111,121の各行動情報を生成する。制御装置101は、たとえば、上記画像から入居者111,121の頭部を検出し、この検出した入居者111,121の頭部における大きさの時間変化に基づいて、入居者111,121の「起床」、「離床」、「転倒」および「転落」の通常の情報に加えて、「介護拒否」という情報を検出する。以下、行動情報の生成の一具体例を、より詳細に説明する。
【0045】
まず、記憶装置108に、居室110,120における各ベッド113の所在領域、第1閾値Th1、第2閾値Th2、および、第3閾値Th3が格納される。第1閾値Th1は、ベッド113の所在領域内において、横臥姿勢にあるときと座位姿勢にあるときとの間で入居者の頭部の大きさを識別する。第2閾値Th2は、ベッド113の所在領域を除く居室110,120内において、入居者の頭部の大きさに基づいて、当該入居者が立位姿勢にあるか否かを識別する。第3閾値Th3は、ベッド113の所在領域を除く居室110,120内において、入居者の頭部の大きさに基づいて、当該入居者が横臥姿勢にあるか否かを識別する。
【0046】
制御装置101は、対象画像から、例えば背景差分法やフレーム差分法によって、入居者111,121の人物の領域として、動体領域を抽出する。制御装置101は、さらに、当該抽出した動体領域から、例えば円形や楕円形のハフ変換によって、予め用意された頭部のモデルを用いたパターンマッチングによって、頭部検出用に学習したニューラルネットワークによって導出された閾値を用いて、入居者111,121の頭部領域を抽出する。制御装置101は、当該抽出された頭部の位置および大きさから、「起床」、「離床」、「転倒」および「転落」を検知する。
【0047】
制御装置101は、上記のように抽出された頭部の位置がベッド113の所在領域内にあり、かつ、上記のように抽出された頭部の大きさが第1閾値Th1を用いることによって横臥姿勢の大きさから座位姿勢の大きさへと変化したことを検出した場合に、行動「起床」が発生したことを決定してもよい。
【0048】
制御装置101は、上記のように抽出された頭部の位置がベッド113の所在領域内からベッド113の所在領域外へ移動した場合において、上記のように抽出された頭部の大きさに対して第2閾値Th2を適用することにより、頭部がある大きさから立位姿勢の大きさへと変化したことを検出したときには、行動「離床」が発生したと判定してもよい。
【0049】
制御装置101は、上記のように抽出された頭部の位置がベッド113の所在領域内からベッド113の所在領域外へ移動した場合において、上記のように抽出された頭部の大きさに対して第3閾値Th3を適用することにより、頭部がある大きさから横臥姿勢の大きさへと変化したことを検出したときには、行動「転落」が発生したと判定してもよい。
【0050】
制御装置101は、上記のように抽出された頭部の位置がベッド113の所在領域を除く居室110,120内に位置し、かつ、抽出された頭部の大きさが第3閾値Th3を用いることによって或る大きさから横臥姿勢の大きさへと変化したことを検出した場合には、行動「転倒」が発生したと決定してもよい。
【0051】
さらに、制御装置101は、画像データから入居者に加えて介護者を検出し、入居者と介護者との間隔を推定する。制御装置は、当該間隔が予め定められた通常の間隔よりも短いと推定すると、介護拒否行動が行なわれていると判断し得る。さらに、制御装置101は、入居者の動作が通常と違う動きを示していると判断すると、当該入居者は介護者に対して、介護拒否行動を示していると判断し得る。
【0052】
以上のようにして、一具体例では、センサーボックス119の制御装置101が、入居者111,121の各行動情報を生成する。なお、他の局面に従う見守りシステム100では、居室110,120内の画像を用いて、制御装置101以外の他の要素(例えば、クラウドサーバー150)が入居者111,121の行動情報を生成してもよい。
【0053】
[携帯端末220]
携帯端末220は、制御装置221と、ROM222と、RAM223と、通信インターフェイス224と、ディスプレイ226と、記憶装置228と、入力デバイス229とを含む。ある局面において、携帯端末161,162,163,164は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、腕時計型端末その他のウェアラブル装置等として実現される。
【0054】
制御装置221は、携帯端末161,162,163,164を制御する。制御装置221は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
【0055】
通信インターフェイス224には、アンテナ(図示しない)などが接続される。携帯端末161,162,163,164は、当該アンテナおよびアクセスポイント140を介して、外部の通信機器との間でデータをやり取りする。外部の通信機器は、たとえば、センサーボックス119、管理サーバー200などを含む。
【0056】
ディスプレイ226は、たとえば、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、液晶ディスプレイ等によって実現される。入力デバイス229は、たとえばディスプレイ226に設けられたタッチセンサーによって実現される。当該タッチセンサーは、携帯端末161,162,163,164に対するタッチ操作を受け付け、当該タッチ操作に応じた信号を制御装置221へ出力する。
【0057】
記憶装置228は、たとえば、フラッシュメモリー、ハードディスクその他の固定記憶装置、あるいは、着脱可能なデータ記録媒体等により実現される。
【0058】
ある局面において、制御装置101は、入床、臥床、起床、離床、転落、転倒および微体動異常を、例えば、以下のように識別する。なお、対象画像中におけるベッド113が配置されている領域(ベッド113の所在領域)は、各種データの1つとしてROM102に予め記憶されている。また、各閾値や継続判定時間は、複数のサンプルから適宜設定され、各種データの1つとしてROM102に予め記憶されている。
【0059】
[入床]
入床の判定では、制御装置101は、前回の状態変数(行動判定結果を格納する変数)が「離床」であって、今回、カメラ105から取得した対象画像から例えば背景差分法によって抽出した人物領域がベッド113の所在領域に完全に重なる場合(人物領域が完全にベッド113の所在領域内となる場合)、入床と暫定的に判定し、その完全重畳状態の継続時間が入床継続判定時間を超えて継続している場合に、入床有りと最終的に判定し、入床を検知する。制御装置101は、状態変数を「入床」として更新する。入床継続判定時間は、抽出した人物領域とベッド113の所在領域との完全に重なりによって暫定的に判定された入床を、最終的に入床であると判定するための閾値として使用される。
【0060】
[臥床]
臥床とは、入居者(監視対象者)がベッド113で横たわっている状態のことをいう。例えば、制御装置101は、画像内において入居者が占める領域がベッド113の領域に含まれており、かつ当該入居者の移動量が予め定められた量以下である場合に、入居者の行動情報として「臥床」を検出する。
【0061】
[起床]
起床の判定では、制御装置101は、前回の状態変数が「臥床」であって、今回、カメラ105から取得した対象画像から抽出した人物領域がベッド113の所在領域からはみ出している領域が起床判定閾値以上であって離床判定閾値未満である場合、起床と暫定的に判定する。制御装置101は、当該領域が当該起床判定閾値以上であって離床判定閾値未満である状態の当該領域の継続時間が起床継続判定時間を超えている場合に、起床有りと最終的に判定し、起床を検知する。制御装置101は、状態変数を「起床」で更新する。起床判定閾値は、当該領域の大きさによって起床であるか否かを判定するために使用される。離床判定閾値は、当該領域の大きさによって離床であるか否かを判定するために使用される。離床判定閾値は、起床判定閾値より大きな値に設定される。起床継続判定時間は、当該領域と起床判定閾値との比較によって仮に判定された起床を、最終的に起床であると判定するための閾値として使用される。
【0062】
[離床]
離床の判定では、制御装置101は、前回の状態変数が「入床」および「起床」のうちのいずれかであって、今回、カメラ105から取得した対象画像から抽出した人物領域がベッド113の所在領域からはみ出している領域が離床判定閾値以上である場合、離床と暫定的に判定する。制御装置101は、当該領域が当該離床判定閾値以上である状態の当該領域の継続時間が離床継続判定時間を超えている場合に、離床有りと最終的に判定し、離床を検知する。制御装置101は、状態変数を「離床」で更新する。離床継続判定時間は、当該領域と離床判定閾値との比較によって仮に判定された離床を最終的に離床であると判定するための閾値として使用される。
【0063】
[転落]
転落の判定では、制御装置101は、今回、カメラ105から取得した対象画像から抽出した人物領域の頭部領域の大きさが横臥姿勢判定閾値以下であって、頭部領域の大きさの変化速度が転落判定速度閾値以上であって、人物領域がベッド113の所在領域の周囲に設定された転落判定領域内に在る場合に、転落有りと判定し、転落を検知する。横臥姿勢判定閾値は、横臥姿勢における頭部領域の大きさであるか否かを判別するために使用される。横臥姿勢であるか座位姿勢であるかは、当該頭部領域の大きさに基づいて判断される。転落判定速度閾値は、頭部領域の大きさの変化速度によって転落であるか否かを判別するために使用される。
【0064】
[転倒]
転倒の判定では、制御装置101は、今回、カメラ105から取得した対象画像から抽出した人物領域の頭部領域の大きさが横臥姿勢判定閾値以下であって、頭部領域の大きさの変化速度が転倒判定速度閾値以上であって、人物領域がベッド113の所在領域および転落判定領域を除く領域に在る場合に、転倒有りと判定し、転倒を検知する。転倒判定速度閾値は、頭部領域の大きさの変化速度によって転倒であるか否かを判別するために使用される。
【0065】
[微体動異常]
微体動異常は、ドップラーセンサー106から出力されるドップラー信号に基づいて検出される。より具体的には、制御装置101は、測定時点から過去へ、予め定められた時間内に測定されたドップラー信号を例えば高速フーリエ変換(FFT)し、このFFTで得られたスペクトルから、一般的な呼吸の周波数に対応する周波数帯における振幅の平均値を求める。制御装置101は、この求めた平均値と、微体動異常であるか否かを判定するための閾値とを比較し、求めた平均値が当該閾値以下である場合、微体動異常と暫定的に判定し、平均値が当該閾値以下である状態の継続時間が予め定められた判定時間を超えて継続している場合に、微体動異常有りと最終的に判定し、微体動異常を検知する。制御装置101は、状態変数を「微体動異常」で更新する。当該判定時間は、求めた平均値と微体動異常判定閾値との比較によって仮に判定された微体動異常を、最終的に微体動異常であると判定するための閾値として使用される。
【0066】
制御装置101は、このように入居者の行動から当該予め定められた行動を検知すると、入居者に関わる所定のイベントの内容を表すイベント情報を含むイベント通知信号を通信インターフェイス104からで管理サーバ-200に送信する。より詳しくは、制御装置101は、センサーボックス119のセンサーID、イベントの内容を表すイベント情報、入床、起床、離床、転落および転倒の検知の際に用いられた対象画像を含むイベント通知信号を、通信インターフェイス104を介して管理サーバ-200に送信する。
【0067】
イベント情報は、ある実施の形態では、入床、臥床、起床、離床、転落、転倒、微体動異常およびケアコールのうちの1または複数を含む。ここでは、制御装置101は、検知した入床、起床、離床、転落、転倒および微体動異常のうちの1または複数をイベント情報として当該イベント通知信号に収容する。画像は、静止画および動画のうちの少なくとも一方を含み得る。ある実施の形態では、後述するように、例えば、まず静止画がセンサーボックス119から管理サーバー200に送信され、ユーザー(例えば介護者、管理者、医師その他のスタッフ)の要求に応じて動画が配信され得る。なお、他の局面において、まず、動画が配信されてもよい。また、静止画および動画が管理サーバー200に送信され、携帯端末220は、管理サーバー200から送られる信号に基づいて、当該静止画あるいは動画を、画面分割の状態でディスプレイ226に表示してもよい。
【0068】
制御装置101は、ケアコール子機115がナースコールを受け付けた場合にその旨を所定のイベントの他の一例として含むイベント通知信号を管理サーバー200に送信し、スピーカー(図示しない)等を用いることで、携帯端末220との間で音声通話を行う。より具体的には、ケアコールボタン241が操作されると、その操作に応じた信号が無線通信装置107によって受信される。センサーボックス119は、そのセンサーIDおよびイベント情報としてナースコールを含むイベント通知信号を生成し、当該イベント通知信号を通信インターフェイス104を介して管理サーバ-200に送信する。制御装置101は、無線通信装置107を介して、ケアコール子機115のマイク(図示しない)およびスピーカー(図示しない)と、携帯端末220との間で、例えばVoIP(Voice over Internet Protocol)によって音声通話を実現する。
【0069】
制御装置101は、通信インターフェイス104を介して管理サーバー200、クラウドサーバー150、携帯端末220等の画像表示装置から動画の配信の要求を受信した場合に、当該要求に応答して、カメラ105の撮影によって得られた動画(例えばライブの動画)をストリーミング再生して、当該画像表示装置に動画を配信する。
【0070】
[見守りの概要]
図3を参照して、見守りシステム100を用いた見守りについて説明する。図3は、センサーボックス119を用いた見守りシステム100の概略を示す図である。
【0071】
見守りシステム100は、見守り対象者(監視対象者)である入居者111,121その他の入居者を見守るために利用される。居室110の天井には、センサーボックス119が取り付けられている。他の居室にも同様にセンサーボックス119が取り付けられている。
【0072】
範囲31は、センサーボックス119による検出範囲を表わす。センサーボックス119が前述のドップラーセンサーを有する場合、当該ドップラーセンサーは、範囲31内で生じた人の挙動を検出する。センサーボックス119がセンサーとしてカメラを有する場合、当該カメラは、範囲31内の画像を撮影する。
【0073】
センサーボックス119は、たとえば、介護施設、医療施設、宅内などに設置される。図3の例では、センサーボックス119は、天井に取り付けられており、入居者111およびベッド113を天井から撮影している。センサーボックス119の取り付け場所は天井に限られず、居室110の側壁に取り付けられてもよい。
【0074】
見守りシステム100は、カメラ105から得られた一連の画像(すなわち、映像)に基づいて入居者111に生じている危険を検知する。一例として、検知可能な危険は、入居者111の転倒や、危険個所(たとえば、ベッドの柵など)に入居者111がいる状態などを含む。
【0075】
見守りシステム100は、入居者111に危険が生じていることを検知した場合に、そことを介護者141,142等に報知する。報知方法の一例として、見守りシステム100は、入居者111の危険を介護者141,142の携帯端末161,162に通知する。携帯端末161,162は、当該通知を受信すると、入居者111の危険をメッセージ、音声、振動等で介護者141,142に報知する。これにより、介護者141,142は、入居者111に危険が生じていることを即座に把握でき、入居者111の元に素早く駆け付けることができる。
【0076】
さらに、見守りシステム100は、無線基地局15を介して、施設の外部にいる介護者143,144の携帯端末163,164にも、当該危険を通知し得る。
【0077】
なお、図3には、見守りシステム100が1つのセンサーボックス119を備えている例が示されているが、他の局面において、見守りシステム100は、複数のセンサーボックス119を備えてもよい。また、図3には、見守りシステム100が複数の携帯端末161,162を備えている例が示されているが、他の局面において、見守りシステム100は、一つの携帯端末でも実現され得る。
【0078】
[コンピューターシステムの構成]
図4を参照して、情報処理装置の一態様であるコンピューターシステム400の構成について説明する。図4は、コンピューターシステム400のハードウェア構成を表わすブロック図である。コンピューターシステム400は、ゲートウェイサーバー130、クラウドサーバー150、プッシュサーバー160、または管理サーバー200として機能する。
【0079】
コンピューターシステム400は、主たる構成要素として、プログラムを実行するCPU1と、コンピューターシステム400の使用者による指示の入力を受けるマウス2およびキーボード3と、CPU1によるプログラムの実行により生成されたデータ、又はマウス2若しくはキーボード3を介して入力されたデータを揮発的に格納するRAM4と、データを不揮発的に格納するハードディスク5と、光ディスク駆動装置6と、通信インターフェイス(I/F)7と、モニター8とを含む。各構成要素は、相互にデータバスによって接続されている。光ディスク駆動装置6には、CD-ROM9その他の光ディスクが装着される。
【0080】
コンピューターシステム400における処理は、各ハードウェアおよびCPU1により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、ハードディスク5に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、CD-ROM9その他の記録媒体に格納されて、コンピュータープログラムとして流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なアプリケーションプログラムとして提供される場合もある。このようなソフトウェアは、光ディスク駆動装置6その他の読取装置によりその記録媒体から読み取られて、あるいは、通信インターフェイス7を介してダウンロードされた後、ハードディスク5に一旦格納される。そのソフトウェアは、CPU1によってハードディスク5から読み出され、RAM4に実行可能なプログラムの形式で格納される。CPU1は、そのプログラムを実行する。
【0081】
図4に示されるコンピューターシステム400を構成する各構成要素は、一般的なものである。したがって、本開示に係る技術思想の本質的な部分の一つは、RAM4、ハードディスク5、CD-ROM9その他の記録媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。記録媒体は、一時的でない、コンピューター読取可能なデータ記録媒体を含み得る。なお、コンピューターシステム400の各ハードウェアの動作は周知であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0082】
なお、記録媒体としては、CD-ROM、FD(Flexible Disk)、ハードディスクに限られず、磁気テープ、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、IC(Integrated Circuit)カード(メモリーカードを含む)、光カード、マスクROM、EPROM(Electronically Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュROMなどの半導体メモリー等の固定的にプログラムを担持する媒体でもよい。
【0083】
ここでいうプログラムとは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0084】
[データ構造]
図5および図6を参照して、見守りシステム100のデータ構造について説明する。図5は、ハードディスク5におけるデータの一態様を概念的に表わす図である。ハードディスク5は、テーブル510,520を保持している。ある局面において、ハードディスク5は、クラウドサーバー150、管理サーバー200等に含まれる。
【0085】
テーブル510は、領域511~515を含む。領域511は、観察年月日を保持する。領域512は、日常生活動作の識別情報(ADL ID)を保持する。領域513は、当該日常生活動作の実測値を保持する。領域514は、観察者IDを保持する。領域515は、備考として観察者等によって入力されたテキスト情報、画像情報、音声情報その他の情報を保持する。テーブル510は、被介護者毎に作成される。
【0086】
テーブル520は、領域521,522を含む。領域521は、日常生活動作の識別情報(ADL ID)を保持する。領域522は、日常生活動作の項目(「表示指数」とも表わす)を保持する。
【0087】
図5の例示では、2020年2月1日の22時には、日常生活動作の番号(07)で特定される行動、すなわち、夜間ベッド外長距離の移動速度が観察されている。また、2020年2月5日の6時には、日常生活動作の番号(08)で特定される行動、すなわち、夜間ベッド外の、軌跡のふらつき度が観察されている。
【0088】
図5に示されるデータは、例えば、センサーボックス119により取得された計測データを含む。計測データは、予め設定された時間間隔で、各被介護者毎に、センサーボックス119からクラウドサーバー150に送られる。計測データは、クラウドサーバー150または管理サーバー200のハードディスク5に格納される。他の局面において、計測データは、携帯端末220に格納されても良い。
【0089】
図6は、被介護者別のリハビリテーション記録に関するデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。ある局面において、ハードディスク5は、クラウドサーバー150、管理サーバー200等に含まれる。
【0090】
ハードディスク5は、テーブル610を保持している。テーブル610は、領域611,612,613,614,615,616を含む。領域611は、リハビリテーションが行なわれた年月日を保持している。領域612は、リハビリテーションを受けた被介護者の識別情報IDを保持している。領域613は、リハビリテーションが行なわれた時間を保持している。領域614は、リハビリテーションの担当者を識別する情報を保持している。領域615は、リハビリテーションメニューを保持している。領域616は、リハビリテーションが行なわれた際に観察されて領域614で特定されるリハビリテーションの担当者によって入力された事象を保持している。
【0091】
図6に示されるデータは、例えば、被介護者のリハビリテーションを担当したスタッフによって携帯端末220から入力される。ある局面において、当該スタッフは、携帯端末220に表示される画面からリハビリメニューを選択し、リハビリテーションを受けた被介護者ID(名前あるいは番号)と、リハビリテーションが行なわれた時間と、観察記録とを入力する。携帯端末220は、リハビリテーションが行なわれた日時と、被介護者IDと、スタッフの識別データ(担当者ID)と、当該リハビリテーションが行なわれた時間と、担当者IDと、リハビリメニューと、当該観察記録とを、クラウドサーバー150に送信する。クラウドサーバー150のCPU1は、ハードディスク5に、これらのデータを逐次格納する(領域611~616)。
【0092】
[制御構造]
図7を参照して、管理サーバー200の制御構造について説明する。図7は、管理サーバー200のCPU1が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【0093】
ステップS710にて、CPU1は、日常生活動作(ADL)を構成する表示指数(項目)の選択を受け付ける。例えば、介護スタッフが、管理サーバー200において、ADL状態を表示するためのアプリケーションを起動すると、管理サーバー200のモニター8は、後述する画面(図8)を表示する。介護スタッフが、タッチ操作、マウス操作、音声入力その他の操作により、その画面から表示したい項目を選択する。
【0094】
ステップS720にて、CPU1は、選択された表示指数のデータベースにアクセスする。当該データベースは、ハードディスク5において、例えば、テーブル510、520として構成されている。
【0095】
ステップS730にて、CPU1は、指定された期間について表示指数のデータの移動平均を算出する。当該期間は、例えば、1週間、2週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年などであるが、特に限定されない。当該期間は、管理者によって予め設定されてもよく、介護スタッフによって都度変更されてもよい。
【0096】
ステップS740にて、CPU1は、移動平均の変化率を算出する。介護スタッフは、移動平均の変化率を参照することで、日常生活動作の変化の度合いを知ることができる。
【0097】
ステップS750にて、CPU1は、データベース(テーブル610)にアクセスしてリハビリテーション記録を読み出す。例えば、CPU1は、ステップS730において指定された期間において、当該被介護者に対して行なわれたリハビリテーションの記録を読み出す。他の局面において、CPU1は、比較対象となる他の被介護者に対して、同じ期間に行なわれたリハビリテーションの記録を読み出しても良い。この場合、CPU1は、比較対象として指定された被介護者の識別データが入力されたことに基づいて、当該他の被介護者のリハビリテーションの記録を読み出す。
【0098】
ステップS760にて、CPU1は、予め定められたおすすめメニューリストから、変化率とリハビリテーション記録に基づいて、当該被介護者に応じたリハビリテーションメニューを選択する。例えば、管理サーバー200は、日常生活動作の変化の度合いに応じて予め準備されたリハビリテーションのメニューをハードディスク5に保持している。その場合、CPU1は、選択された被介護者の日常生活動作の変化率を検索キーとして、当該変化率が該当するリハビリテーションのメニューを、ハードディスク5から選択し得る。他の局面において、CPU1は、他の被介護者に対して行なわれたリハビリテーションの内容をハードディスク5から読み出して、介護スタッフが選択可能な態様でモニター8に表示しても良い。
【0099】
ステップS770にて、CPU1は、表示指数のデータ(監視の項目毎に実際に計測された値あるいは算出された値)と移動平均とを含むグラフをモニター8に表示する。介護スタッフは、当該データに加えて、移動平均を見ることができるので、当該被介護者のADL状態の推移を容易に確認することができる。
【0100】
ステップS780にて、CPU1は、リハビリテーション記録をモニター8に表示する。当該リハビリテーション記録は、上記グラフで示されている日付に関連付けられている。したがって、介護スタッフは、当該グラフを参照することにより、過去にどのようなリハビリテーションが行なわれ、結果としてADL状態がどのように変化しているかを容易に確認することができる。
【0101】
ステップS790にて、CPU1は、当該被介護者に応じたリハビリテーションメニューをモニター8に表示する。例えば、CPU1は、ADL状態の変化に応じておすすめのリハビリテーションを予め準備されたリハビリテーションのメニューから選択して、モニター8に選択したリハビリテーションを表示する。あるいは、他の局面において、CPU1は、同様のADL状態の変化を示した他の被介護者に対して行なわれたリハビリテーションの内容を表示しても良い。
【0102】
[表示態様]
図8を参照して、モニター8に表示される画面の一例について説明する。図8は、モニター8に表示される日常生活動作に関する情報の一例を表わす図である。ある局面において、モニター8は、指定された被介護者について、テーブル810,840,850と、画面820,830とを表示する。
【0103】
テーブル810は、複数の日常生活動作のうちモニター8に表示する日常生活動作を選択する入力を受け付ける(ステップS710)。ある局面において、ユーザーが、モニター8に表示されたチェックボックスをマウス操作、タッチ操作または音声入力によって選択することにより、当該チェックボックスに関連付けられた日常生活動作が選択される。図8の例では、2つのチェックボックスが特定されているように、2つの日常生活動作、すなわち、「歩行速度」および「ふらつき度」が選択されている。
【0104】
画面820は、テーブル810において選択された「歩行速度」の情報を表示している。より具体的には、画面820は、グラフ821,822を表示している。グラフ821は、歩行速度の推移を表わす。ある局面において、グラフ821は、予め指定された期間に渡る歩行速度の推移を表示している。この期間は、例えば、図8に示される情報が抽出された日から一定期間遡った期間として設定される。遡る一定期間は、例えば、1週間、2週間、1ヶ月、3ヶ月等であるが、期間はこれらに限られず、ユーザーは任意に表示の期間を指定することができる。グラフ822は、歩行速度の移動平均の変化を表わしている。
【0105】
画面820において、2つの記号は、それぞれ、リハビリテーションを実施した日と、リハビリテーションの内容とを表わしている。画面820に表示されるグラフと、リハビリテーションとが当該記号により対応付けられるので、ユーザーは、日常生活動作の推移とリハビリテーションの内容との関連を認識することができる。
【0106】
画面830は、テーブル810において選択された「ふらつき度」の情報を表示している。より具体的には、画面830は、グラフ831,832を表示している。グラフ831は、ふらつき度の推移を表わす。ある局面において、グラフ831は、予め指定された期間に渡るふらつき度の推移を表示している。この期間は、画面820のグラフ821,822と同様に、例えば、図8に示される情報が抽出された日から一定期間遡った期間として設定される。この期間は、画面820で表示される期間と同一でもよく、異なっていてもよい。グラフ832は、ふらつき度の移動平均の変化を表わしている。
【0107】
画面820にも、2つの記号が、それぞれ、リハビリテーションを実施した日と、リハビリテーションの内容として表示される。この記号により、画面830に表示されるグラフと、リハビリテーションとの対応付けが容易になる。
【0108】
テーブル840は、実施したリハビリテーションの内容を表示する。ある局面において、テーブル840は、直近に行なわれたリハビリテーションの内容を表示する。テーブル840に例示される期間は、3日であるが、表示される期間は限られず、過去に遡って表示されても良い。他の局面において、画面820または画面830における期間の変更に連動して、テーブル840に表示される期間が移動しても良い。
【0109】
さらに他の局面において、画面820または830において指定された期間に対応する期間に行なわれたリハビリテーションの内容が表示されても良い。例えば、画面820において、「9月8日から9月15日」が選択された場合に、その選択された期間に行なわれたリハビリテーションがテーブル840に表示されても良い。このとき、テーブル840の表示のために確保された領域の大きさに応じて、期間がスクロールして表示されても良い。
【0110】
テーブル850は、当該被介護者に対して推奨されるリハビリテーションのメニューに関する情報を含む。例えば、ある局面において、テーブル850は、メニューと、当該メニューを実施する推奨回数と、活動時間と、コメントとを含む。メニューは、当該被介護者の現在の状態、被介護者の希望、および、過去の日常生活動作の変化に基づいて決定される。メニューは、ある局面において、介護スタッフにより決定され、あるいは、他の局面において、同様の状態、希望および過去の日常生活動作の変化が見られた他の被介護者による実績データに基づいて決定され得る。
【0111】
被介護者による日常生活動作の変化を表わすグラフは、図8に示されるように、必ずしも右肩上がりのグラフでなくても良い。他の局面において、当該変化を表わすグラフは、例えば、右肩下がりのグラフ、バラツキが小さくなっている(=収斂している)ことを示すグラフ等も使用され得る。
【0112】
そこで、図9を参照して、他の局面に従うグラフの一例を説明する。図9は、他の日常生活動作の実測値と移動平均を表わす図である。グラフ910,930は、日常生活動作の実測値を表わす。グラフ920,940は、日常生活動作の移動平均を表わす。日常生活動作によっては、実測値が一定値に収束していくことが望ましいとされる場合もあり得る。そこで、図9に示されるようなグラフが表示された場合に、当該被介護者が改善傾向にあると判断してもよい。
【0113】
さらに他の局面において、被介護者のADL状態に加えて、比較対象となる他のADL状態が表示されても良い。比較対象としては、同様の状態にある複数の被介護者の過去のADL状態、平均的なADL状態の推移などが使用され得る。
【0114】
そこで、図10を参照して、他の局面におけるADL状態の表示について説明する。図10は、指定された被介護者のADL状態に加えて、比較対象となるADL状態が表示された状態を表わす図である。例えば、モニター8は、指定された被介護者(例えば施設に現在入居している被介護者)のADL状態を表わすグラフ1010と、比較対象となるADL状態を表わすグラフ1020とを表示する。グラフ1020は、特定の被介護者あるいは同様に分類される複数の被介護者の各々のデータの平均値あるいは中央値を示し得る。これにより、管理者または被介護者の家族は、当該被介護者のADL状態を他のADL状態と比べることができるので、ADL状態の変化の様子あるいは被介護者の活動能力の改善傾向を容易に把握することができる。
【0115】
<実施の形態のまとめ>
以上のようにして、上記の開示によれば、被介護者のADL状態およびADL状態の変化を表わす情報がモニター8、ディスプレイ226その他の表示装置に表示されるので、ユーザーは、被介護者の改善の傾向を客観的に判断し得る。
【0116】
上記で開示された技術的特徴の一部は、以下のように要約され得る。
[構成1]ある実施の形態に従うと、被介護者の情報を提供するためにコンピューター(クラウドサーバー150または管理サーバー200のようなコンピューターシステム400、携帯端末220等)で実行される方法が提供される。この方法は、例えば、CPU1または制御装置221によって実行される。この方法は、被介護者の日常生活動作を複数回観察することにより取得された複数の動作データ(例えば、行動量、歩行速度、ふらつき度、繰り返し行動)にアクセスするステップと、複数の動作データをモニター8またはディスプレイ226に表示するステップと、各動作データに基づいて、日常生活動作の程度の変化を表わす情報(例えば、移動平均のグラフ等)を表示するステップと、被介護者に対して実施されたリハビリテーションの内容をモニター8またはディスプレイ226に表示するステップと、リハビリテーションの内容と、日常生活動作の程度の変化とに基づいて、当該被介護者に推奨されるリハビリテーションをモニター8またはディスプレイ226に表示するステップとを含む。例えば、コンピューターの使用時の日付から過去の一定期間(1週間、2週間、1ヶ月、3ヶ月、半年、1年など)について、ADL状態の計測値および移動平均値が表示される。係る構成によると、コンピューターのユーザー(例えば、管理者や被介護者の家族など)は、当該被介護者のADL状態の推移を画面で確認することができる。また、ADL状態に関する情報が「見える化」されることで、客観性が担保され、被介護者の家族は安心感を得ることができる。
【0117】
[構成2]ある局面において、上記方法は、上記構成に加えて、複数の日常生活動作から1以上の日常生活動作の選択を受け付けるステップをさらに含む。当該選択は、例えば、表示されている画面においてチェックボックスに印を付けることである。複数の動作データを表示するステップは、選択された1以上の日常生活動作についての動作データを表示することを含む。係る構成によると、複数の日常生活動作から選択された日常生活動作について、当該被介護者の状況を確認できる。
【0118】
[構成3]ある局面において、情報を表示するステップは、変化を表わすグラフ(例えば、折れ線グラフ、棒グラフ等)を表示することを含む。上記方法は、当該被介護者による1以上のリハビリテーションが行なわれたことを表わす1つ以上の印を、グラフの中における当該リハビリテーションが行なわれた日に関連付けてモニター8またはディスプレイ226に表示するステップをさらに含む。当該印は、記号または文字を含む。係る構成によると、コンピューターシステム400のユーザーは、当該リハビリテーションがいつ行なわれたかを容易に確認することができる。
【0119】
[構成4]ある局面に従う方法において、1つ以上の印を表示するステップは、当該被介護者に対して実施された複数のリハビリテーションの各々を識別する印を表示することを含む。例えば、異なる記号または同一の記号で異なる色が、当該印として使用される。係る構成によると、コンピューターシステム400のユーザーは、複数のリハビリテーションがいつ行なわれたかを容易に確認することができる。
【0120】
[構成5]ある局面に従う方法は、グラフが表示された日常生活動作についての変化を表わすコメントを表示するステップをさらに含む。係る構成によると、例えば、被介護者の家族のように専門知識を有さない人も、コメントを参照することにより、被介護者の状況を確認することができる。
【0121】
[構成6]ある局面に従う方法は、複数の日常生活動作のいずれかが行なわれた日の指定を受け付けるステップをさらに含む。リハビリテーションの内容を表示するステップは、指定された日に行なわれたリハビリテーションの内容を表示することを含む。係る構成によると、例えば、過去のデータが長期間にわたって保存されている場合に、コンピューターシステム400のユーザーは、特定の日付あるいは期間におけるリハビリテーションの内容を速やかに確認することができる。
【0122】
[構成7]ある局面に従う方法は、複数の日常生活動作のいずれかが行なわれた日として指定された日を変更するための操作を受け付けるステップをさらに含む。リハビリテーションの内容を表示することは、変更の操作に応じて、変更後の日に行なわれたリハビリテーションの内容を表示することを含む。係る構成によると、ユーザーは、モニター8またはディスプレイ226において、マウス操作によりあるいはタッチ操作により、日付をスライドさせて変更することにより、表示対象となる日付を他の日付に容易に変更できる。さらに、日付の変更に応じて、変更後の日付において行なわれたリハビリテーションの内容が表示されるので、管理者若しくは介護スタッフ又は被介護者の家族は、ADL状態の過去の推移と、そのときに行なわれたリハビリテーションとを容易に確認することができる。
【0123】
[構成8]ある局面に従う方法は、他の被介護者について取得された複数の動作データに基づいて、日常生活動作の程度の変化を表わす情報を表示するステップをさらに含む。係る構成によると、他の被介護者についての情報が、比較対象として表示される。したがって、管理者若しくは介護スタッフ又は被介護者の家族は、その被介護者のADL状態の推移を、当該他の被介護者のADL状態の推移と比較することができるので、その日介護者のADL状態を判断しやすくなる。
【0124】
[構成9]他の実施の形態に従うと、被介護者の情報を提供するための方法を1つ以上のプロセッサーに実行させるプログラムが提供される。プログラムは1つ以上のプロセッサーに、被介護者の日常生活動作を複数回観察することにより取得された複数の動作データにアクセスすることと、複数の動作データを表示することと、各動作データに基づいて、日常生活動作の程度の変化を表わす情報を表示することと、被介護者に対して実施されたリハビリテーションの内容を表示することと、リハビリテーションの内容と、日常生活動作の程度の変化とに基づいて、当該被介護者に推奨されるリハビリテーションを出力することとを実行させる。
【0125】
[構成10]ある局面に従うプログラムは1つ以上のプロセッサーに、複数の日常生活動作から1以上の日常生活動作の選択を受け付けることをさらに実行させる。複数の動作データを表示することは、選択された1以上の日常生活動作についての動作データを表示することを含む。
【0126】
[構成11]ある局面に従うプログラムにおいて、情報を表示することは、変化を表わすグラフを表示することを含む。プログラムは1つ以上のプロセッサーに、当該被介護者による1以上のリハビリテーションが行なわれたことを表わす1つ以上の印を、グラフの中における当該リハビリテーションが行なわれた日に関連付けて表示することをさらに実行させる。
【0127】
[構成12]ある局面に従うプログラムは1つ以上のプロセッサーに、グラフが表示された日常生活動作についての変化を表わすコメントを表示することをさらに実行させる。
【0128】
[構成13]ある局面に従うプログラムは1つ以上のプロセッサーに、複数の日常生活動作のいずれかが行なわれた日の指定を受け付けることをさらに実行させる。リハビリテーションの内容を表示することは、指定された日に行なわれたリハビリテーションの内容を表示することを含む。
【0129】
[構成14]ある局面に従うプログラムは1つ以上のプロセッサーに、他の被介護者について取得された複数の動作データに基づいて、日常生活動作の程度の変化を表わす情報を表示することをさらに実行させる。
【0130】
[構成15]さらに他の局面に従うと、情報提供装置が提供される。この情報提供装置は、命令を格納したメモリと、命令を実行するためのプロセッサーとを備える。命令がプロセッサーによって実行されると、命令はプロセッサーに、被介護者の日常生活動作を複数回観察することにより取得された複数の動作データにアクセスすることと、複数の動作データを表示することと、各動作データに基づいて、日常生活動作の程度の変化を表わす情報を表示することと、被介護者に対して実施されたリハビリテーションの内容を表示することと、リハビリテーションの内容と、日常生活動作の程度の変化とに基づいて、当該被介護者に推奨されるリハビリテーションを出力することとを実行させる。
【0131】
[構成16]ある局面に従う情報提供装置において、命令はプロセッサーに、複数の日常生活動作から1以上の日常生活動作の選択を受け付けることをさらに実行させる。複数の動作データを表示することは、選択された1以上の日常生活動作についての動作データを表示することを含む。
【0132】
[構成17]ある局面に従う情報提供装置において、情報を表示することは、変化を表わすグラフを表示することを含む。命令はプロセッサーに、当該被介護者による1以上のリハビリテーションが行なわれたことを表わす1つ以上の印を、グラフの中における当該リハビリテーションが行なわれた日に関連付けて表示することをさらに実行させる。
【0133】
[構成18]ある局面に従う情報提供装置において、命令はプロセッサーに、グラフが表示された日常生活動作についての変化を表わすコメントを表示することをさらに実行させる。
【0134】
[構成19]ある局面に従う情報提供装置において、命令はプロセッサーに、複数の日常生活動作のいずれかが行なわれた日の指定を受け付けることをさらに実行させる。リハビリテーションの内容を表示することは、指定された日に行なわれたリハビリテーションの内容を表示することを含む。
【0135】
[構成20]ある局面に従う情報提供装置において、命令はプロセッサーに、他の被介護者について取得された複数の動作データに基づいて、日常生活動作の程度の変化を表わす情報を表示することをさらに実行させる。
【0136】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本開示は日常生活動作(ADL)に関する情報が必要とされる施設で使用されるコンピューターに適用可能である。
【符号の説明】
【0138】
11,130 ゲートウェイサーバー、12,135 交換装置、15 無線基地局、16 外部ネットワーク、31 範囲、100 システム、101,221 制御装置、105 カメラ、106 ドップラーセンサー、107 無線通信装置、108,228 記憶装置、110,120 居室、111,121 入居者、112 家具、113 ベッド、114 トイレ、115 ケアコール子機、116 トイレセンサー、117,ID センサー、118 ドアセンサー、119 センサーボックス、140 アクセスポイント、141,142,143,144 介護者、150 クラウドサーバー、160 プッシュサーバー、161,162,163,164,220 携帯端末、180 施設、200 管理サーバー、226 ディスプレイ、229 入力デバイス、241 ケアコールボタン、290 バイタルセンサー、400 コンピューターシステム、510,520,610,810,840,850 テーブル、511,512,513,514,515,521,522,611,612,613,614,615,616 領域、820,830 画面、821,822,831,832,910,920,930,940,1010,1020 グラフ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10